(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-06
(45)【発行日】2023-10-17
(54)【発明の名称】スカートセフティスイッチ作動荷重測定装置及びスカートセフティスイッチ作動荷重測定方法
(51)【国際特許分類】
B66B 31/00 20060101AFI20231010BHJP
【FI】
B66B31/00 D
(21)【出願番号】P 2022124079
(22)【出願日】2022-08-03
【審査請求日】2022-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】富永 保介
(72)【発明者】
【氏名】大恵 淳
【審査官】太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-274773(JP,A)
【文献】実開昭51-054669(JP,U)
【文献】特開2005-083925(JP,A)
【文献】特開2010-173797(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 21/00-31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マンコンベヤのステップの踏面に載置され、前記踏面の幅方向への移動が規制される本体と、
前記踏面よりも幅方向外側に配置されたスカートパネルに対して押圧され、前記スカートパネルよりも幅方向外側に配置されたスカートセフティスイッチの作動荷重を測定する荷重計測器と、
操作部を有し、前記操作部の操作量に応じた移動量で前記荷重計測器を前記スカートパネルへ向かって押圧して前記本体に対する幅方向の位置を変更し、且つその幅方向の位置を保持する位置調節機構と、を備え
、
前記位置調節機構は、前記荷重計測器を前後方向の両側から挟み込んで前記幅方向にガイドする一対のガイド板を備え、
前記一対のガイド板は、前記荷重計測器との間に両者が互いに摺動可能な隙間を介在させた状態で、前記本体に固定される、スカートセフティスイッチ作動荷重測定装置。
【請求項2】
マンコンベヤのステップの踏面に載置され、前記踏面の幅方向への移動が規制される本体と、
前記踏面よりも幅方向外側に配置されたスカートパネルに対して押圧され、前記スカートパネルよりも幅方向外側に配置されたスカートセフティスイッチの作動荷重を測定する荷重計測器と、
操作部を有し、前記操作部の操作量に応じた移動量で前記荷重計測器を前記スカートパネルへ向かって押圧して前記本体に対する幅方向の位置を変更し、且つその幅方向の位置を保持する位置調節機構と、を備え、
前記操作部は、回転することにより前記本体に対する相対位置を変更して前記荷重計測器を押圧するボルトであり、
前記位置調節機構は、前記ボルトの回転量に応じた移動量で前記荷重計測器を前記スカートパネルへ向かって押圧し、
前記位置調節機構は、前記ボルトが螺合する雌ねじ部を有し、
前記雌ねじ部は、前記本体に着脱可能に固定される、スカートセフティスイッチ作動荷重測定装置。
【請求項3】
前記操作部は、回転することにより前記本体に対する相対位置を変更して前記荷重計測器を押圧するボルトであり、
前記位置調節機構は、前記ボルトの回転量に応じた移動量で前記荷重計測器を前記スカートパネルへ向かって押圧する、請求項1に記載のスカートセフティスイッチ作動荷重測定装置。
【請求項4】
前記位置調節機構は、前記ボルトが螺合する雌ねじ部を有し、
前記雌ねじ部は、前記本体に着脱可能に固定される、請求項
3に記載のスカートセフティスイッチ作動荷重測定装置。
【請求項5】
前記本体は、前記踏面に形成された溝に挿入される複数の爪部を備え、
前記爪部は、前記本体に対して幅方向に移動可能に固定される、請求項1
又は2に記載のスカートセフティスイッチ作動荷重測定装置。
【請求項6】
請求項1
又は2に記載のスカートセフティスイッチ作動荷重測定装置を用いて、前記スカートセフティスイッチの作動荷重を測定するスカートセフティスイッチ作動荷重測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、スカートセフティスイッチ作動荷重測定装置及びスカートセフティスイッチ作動荷重測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、マンコンベヤは、スカートパネルの内側に設けられたスカートセフティスイッチを備えている。スカートセフティスイッチは、ステップとスカートパネルの間に乗客の足や靴等が巻き込まれたことを検出できるようになっている。スカートセフティスイッチの点検は、スカートパネルを介して荷重計測器を押し当て、スカートセフティスイッチが作動するときの荷重(以下、作動荷重ともいう)を測定することで実施される。(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1では、操作レバーを回動させることで、荷重計測器をスカートパネルに押し当てるようにしている。しかしながら、操作レバーの回動で荷重計測器を移動させているため、荷重計測器の位置を少しずつ変更し、且つその位置を保持することができず、作動荷重を正確に測定することが難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、課題は、スカートセフティスイッチの作動荷重を正確に測定することができるスカートセフティスイッチ作動荷重測定装置及びスカートセフティスイッチ作動荷重測定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
スカートセフティスイッチ作動荷重測定装置は、マンコンベヤのステップの踏面に載置され、前記踏面の幅方向への移動が規制される本体と、
前記踏面よりも幅方向外側に配置されたスカートパネルに対して押圧され、前記スカートパネルよりも幅方向外側に配置されたスカートセフティスイッチの作動荷重を測定する荷重計測器と、
操作部を有し、前記操作部の操作量に応じた移動量で前記荷重計測器を前記スカートパネルへ向かって押圧して前記本体に対する幅方向の位置を変更し、且つその幅方向の位置を保持する位置調節機構と、を備える。
【0007】
スカートセフティスイッチ作動荷重測定方法は、上記のスカートセフティスイッチ作動荷重測定装置を用いて、前記スカートセフティスイッチの作動荷重を測定する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図4】一実施形態に係るスカートセフティスイッチ作動荷重測定装置の正面図
【
図5】同実施形態に係るスカートセフティスイッチ作動荷重測定装置の平面図
【
図6】同実施形態に係るスカートセフティスイッチ作動荷重測定装置の側面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
各図面において、構成要素の寸法は、例えば、理解を容易にするために、実際の寸法に対して拡大、縮小して示す場合があり、また、各図面の間での寸法比は、一致していない場合がある。なお、各図面において、例えば、理解を容易にするために、構成要素の一部を省略して示す場合がある。
【0010】
第1、第2等の序数を含む用語は、多様な構成要素を説明するために用いられるが、この用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられ、構成要素は、この用語によって特に限定されるものではない。なお、序数を含む構成要素の個数は、特に限定されず、例えば、一つでもよい場合がある。また、以下の明細書及び図面で用いられる序数は、特許請求の範囲に記載された序数と異なる場合がある。
【0011】
まず、本実施形態に係るスカートセフティスイッチ作動荷重測定装置の各構成を説明するのに先立って、マンコンベヤについて説明する。
【0012】
図1に示すように、マンコンベヤ1は、例えば、躯体に設置される構造体2と、乗客(人)を搬送する搬送部3と、搬送部3を第1方向D1で挟むように配置される一対(
図1においては、一つのみ図示している)の欄干部4と、搬送部3及び欄干部4を駆動させる駆動部5と、装置全体を制御する処理部6とを備えていてもよい。
【0013】
各図において、第1方向D1は、水平方向と平行な方向である第1横方向(「幅方向」ともいう)D1であり、第2方向D2は、水平方向と平行な方向であって、且つ、第1横方向D1と直交する第2横方向(「前後方向」ともいう)D2であり、第3方向D3は、第1横方向D1及び第2横方向D2と直交する鉛直方向であって、上下方向D3である。
【0014】
本実施形態に係るマンコンベヤ1は、乗客を搬送するために、踏面が階段状になるエスカレータであるが、斯かる構成に限られない。例えば、マンコンベヤ1は、乗客を搬送するために、踏面が平面状となる移動歩道(動く歩道)であってもよい。なお、本実施形態においては、マンコンベヤ1は、乗客を斜め上方へ搬送する、という構成であるが、マンコンベヤ1は、乗客を斜め下方へ搬送する、という構成でもよい。
【0015】
搬送部3は、例えば、本実施形態のように、駆動部5に駆動されることによって無端回転する環状の走行部3aと、走行部3aに接続されることによって走行部3aと共に走行し、乗客が乗る踏面を有する複数のステップ3bとを備えていてもよい。特に限定されないが、走行部3aは、例えば、ローラチェーンとしてもよい。
【0016】
また、例えば、走行部3aは、第1横方向D1に離れて一対設けられ、複数のステップ3bは、一対の走行部3a,3aの間に配置されていてもよい。そして、ステップ3bは、それぞれの走行部3aに対して第1横方向D1を軸にして回転可能に接続されていてもよい。
【0017】
駆動部5は、例えば、本実施形態のように、ステップ3bが反転するように走行部3aが巻き掛けられて且つ第1横方向D1を軸にして回転する一対の回転部5a,5aと、回転部5aを回転させる駆動源5bとを備えていてもよい。特に限定されないが、回転部5aは、例えば、スプロケットとしてもよく、また、駆動源5bは、例えば、モータとしてもよい。
【0018】
欄干部4は、例えば、無端回転する環状の手摺ベルト4aと、手摺ベルト4aを支持する欄干本体部4bと、欄干本体部4bの下部を覆うカバー部4cとを備えていてもよい。なお、例えば、手摺ベルト4aが駆動部5の駆動によって走行し、手摺ベルト4aの走行は、ステップ3bの走行と同期してもよい。
【0019】
図2に示すように、欄干本体部4bは、複数のインテリアパネル4dを備えていてもよい。複数のインテリアパネル4dは、搬送部3が人を搬送する方向に沿って並列されている。カバー部4cは、ステップ3bの側部に近接して配置されるスカートパネル4eと、スカートパネル4eの上部に連結されるモールディング4fとを備えていてもよい。モールディング4fの上部はインテリアパネル4dに連結される。
【0020】
図3に示すように、スカートパネル4eは、ステップ3bの幅方向D1の両端と対向しており、両者の間には隙間が設けられる。スカートセフティスイッチ4sは、スカートパネル4eよりも幅方向D1の外側に配置される。スカートセフティスイッチ4sは、搬送部3が人を搬送する方向に沿って所定間隔で複数配置されてもよい。スカートセフティスイッチ4sは、ステップ3bとスカートパネル4eの間の隙間に乗客の足や靴等が巻き込まれた場合、マンコンベヤ1を停止させる等の制御を行うための安全スイッチである。スカートセフティスイッチ4sは、安全のため、所定の荷重が加わると正確に作動する必要があり、点検時にスカートセフティスイッチ4sの動作確認が行われる。
【0021】
スカートセフティスイッチ作動荷重測定装置10(以下、作動荷重測定装置10ともいう)は、スカートパネル4eを挟んでスカートセフティスイッチ4sと対向するようにステップ3bの踏面3cに固定される。より具体的には、作動荷重測定装置10の前端に設けられた計測軸81(後述する)が、スカートパネル4eを挟んでスカートセフティスイッチ4sと対向するように配置される。作動荷重測定装置10は、計測軸81をスカートパネル4eを介してスカートセフティスイッチ4sに押し当て、スカートセフティスイッチ4sが作動するときの荷重を測定することができる。
【0022】
作動荷重測定装置10は、ステップ3bの踏面3cに載置され、踏面3cの幅方向D1への移動が規制される本体7と、スカートセフティスイッチ4sの作動荷重を測定する荷重計測器8と、本体7に対する荷重計測器8の幅方向D1の位置を変更し、且つその幅方向D1の位置を保持する位置調節機構9と、を備えている。
【0023】
図4~
図6に示すように、本体7は、平プレート71と、平プレート71上に固定されるU字プレート72と、U字プレート72上に固定されるブラケット73とを備えていてもよい。また、本体7は、ステップ3bの踏面3cに形成された複数の溝3d(
図4を参照)に挿入される爪部74を備えていてもよい。
【0024】
平プレート71は、略矩形状の板部材であり、ステップ3bの踏面3cに載置される。平プレート71は、前後方向D2の端縁付近に幅方向D1に延びる第1長孔71aを有している。第1長孔71aは、例えば、幅方向D1に3つ設けられている。
【0025】
U字プレート72は、幅方向D1視で略U字状の部材であり、幅方向D1に沿って延びる一対の縦板72aを有している。縦板72aは、幅方向D1の中央部に幅方向D1に延びる第2長孔72bを有している。また、縦板72aは、前後方向D2に貫通する2つの第1貫通孔72cを有している。
【0026】
ブラケット73は、前後方向D2視で略L字状の部材であり、幅方向D1に貫通する1つの第2貫通孔73aと2つの第3貫通孔73bとを有している。ブラケット73は、リブ73cを備えていてもよい。
【0027】
荷重計測器8は、前端に設けられた計測軸81を被計測物に押し当てる際の荷重を測定することができ、例えば、フォースゲージ(プッシュプルゲージともいう)であってもよい。
【0028】
位置調節機構9は、荷重計測器8を幅方向D1にガイドする一対のガイド板91と、荷重計測器8の後端を押圧する押板92と、押板92を移動させる移動機構93とを備えていてもよい。
【0029】
一対のガイド板91は、荷重計測器8を前後方向D2の両側から挟み込む。ただし、ガイド板91と荷重計測器8の間には、両者が互いに摺動可能な隙間が介在する。ガイド板91は、2本のボルト状部材91aを有しており、ボルト状部材91aは、U字プレート72の第1貫通孔72cにナット91bで固定される。
【0030】
押板92は、C字プレート92aと、C字プレート92aに固定された上プレート92bとを備えていてもよい。C字プレート92aは、平面視(上下方向D3視)で略C字状の部材であり、荷重計測器8の後端を取り囲むように配置される。C字プレート92aの前後方向D2の幅は、一対の縦板72aの間の距離よりも僅かに狭くなっており、C字プレート92aは、一対の縦板72aの間を幅方向D1に移動することができる。
【0031】
上プレート92bは、C字プレート92aの上端部に例えば溶接で固定される。上プレート92bの前後方向D2の幅は、一対の縦板72aの間の距離よりも広くなっており、上プレート92bは、縦板72aの上端に沿って幅方向D1にスライドすることができる。
【0032】
移動機構93は、ジャッキボルト93aと、ジャッキボルト93aが螺合するナット93bとを備えていてもよい。
【0033】
ナット93bは、矩形プレート93cに固定されている。矩形プレート93cは、1つの第4貫通孔93dと、2つの第5貫通孔93eとを有している。第4貫通孔93dと第5貫通孔93eは、ブラケット73の第2貫通孔73aと第3貫通孔73bに対応する位置にそれぞれ形成されている。ナット93bは、第4貫通孔93dの位置に固定されている。矩形プレート93cとブラケット73は、第5貫通孔93eと第3貫通孔73bを挿通するボルト93fによって連結される。これにより、ナット93bは、矩形プレート93cを介して本体7に着脱可能に固定される。
【0034】
ジャッキボルト93aは、第2貫通孔73a及び第4貫通孔93dを挿通して、ナット93bに螺合する。ジャッキボルト93aの先端は、ナット93bよりも突出している。ジャッキボルト93aは、回転することによりナット93bに対する相対位置、すなわち本体7に対する相対位置を変更することができる。これにより、ジャッキボルト93aは、回転することにより先端で押板92のC字プレート92aを押すことができる。ジャッキボルト93aにより押された押板92は、荷重計測器8をスカートパネル4eへ向かって押圧することができる。
【0035】
ジャッキボルト93aは、回転量に応じてナット93bからの突出量を変更するため、回転量に応じた移動量で荷重計測器8をスカートパネル4eへ向かって押圧して本体7に対する幅方向D1の位置を変更することができる。また、ジャッキボルト93aは、本体7に固定されたナット93bによって移動が規制されるため、荷重計測器8の幅方向D1の位置を保持することができる。これにより、位置調節機構9は、本体7に対する荷重計測器8の幅方向D1の位置を正確に調節することができる。なお、ジャッキボルト93aは、所望の位置でロックナット93gによってロックされてもよい。
【0036】
爪部74は、ステップ3bの踏面3cに載置された本体7の幅方向D1の移動を規制するためのものである。爪部74は、踏面3cに形成された溝3dに挿入される。爪部74は、断面がL字状の部材であり、下方向に突出するように平プレート71に固定される。爪部74は、第1長孔71aにボルト74a及びナット74bによって取り付けられる。爪部74は、平プレート71に対して幅方向D1の任意の位置で固定されてもよい。
【0037】
爪部74は、幅方向D1に複数設けられることが好ましい。爪部74を複数設けることで、本体7からの荷重を分散することができるため、爪部74によって踏面3cの溝3dの溝壁が変形することを抑制できる。
【0038】
次に、作動荷重測定装置10を用いて、スカートセフティスイッチ4sの作動荷重を測定するスカートセフティスイッチ作動荷重測定方法について説明する。
【0039】
初めに、計測軸81がスカートパネル4eを挟んでスカートセフティスイッチ4sと対向するように作動荷重測定装置10を配置する。このとき、作動荷重測定装置10を所定位置に正確に配置する必要がある。そのため、マンコンベヤ1は、
図2に示すように、マーキング4g,4hを備えていてもよい。マーキング4g,4hは、例えば、欄干本体部4bの上部であって手摺ベルト4aの下方に設けられてもよい。また、マーキング4g,4hは、手摺ベルト4aの下部に設けられたモールディングの裏面に設けられてもよい。また、マーキング4g,4hは、製品出荷時に設けられてもよく、据付後に製作誤差や据付誤差を含めた実際のスカートセフティスイッチ4sの位置を基準に設けられてもよい。マーキング4g,4hの形状は、特に限定されないが、
図2に示すような円形であってもよい。
【0040】
第1マーキング4gは、作動荷重測定装置10を載置するステップ3bの位置を表示するものである。例えば、搬送部3を駆動させてステップ3bの角を第1マーキング4gの下方に合わせることで、ステップ3bの上下方向D3の位置、すなわち作動荷重測定装置10の上下方向D3の位置を所定位置に合わせることができる。
【0041】
また、第2マーキング4hは、スカートセフティスイッチ4sの位置を表示するものである。例えば、ステップ3bの踏面3cに載置した作動荷重測定装置10を前後方向D2に移動させて、計測軸81を第2マーキング4hの下方に合わせることで、作動荷重測定装置10の前後方向D2の位置を所定位置に合わせることができる。
【0042】
マーキング4g,4hを設けることにより、例えば、モールディング4fを外してスカートセフティスイッチ4sの位置を確認する必要がなく、また、作動荷重測定装置10の取り付け位置(上下方向D3及び前後方向D2の位置)が安定するため、測定結果がばらつくことを低減し、且つ測定作業の効率化を図ることができる。
【0043】
作動荷重測定装置10をステップ3b上の所定の取り付け位置に配置した後、爪部74を固定しているナット74bを少し緩めて、作動荷重測定装置10を幅方向D1に揺すり、3つの爪部74の先端のすべてが、溝3dの溝壁のうちスカートパネル4eから遠い溝壁に当接する状態となった位置でナット74bを締めて爪部74を固定する。次に、ジャッキボルト93aを回転させて荷重計測器8をスカートパネル4eへ向かって押圧し、スカートパネル4eが数mm撓むまで押圧し続け、スカートセフティスイッチ4sを作動させる。このときのスカートセフティスイッチ4sの作動荷重を測定する。スカートセフティスイッチ4sの作動荷重は、所定の範囲内であることが求められる。
【0044】
[1]
以上より、スカートセフティスイッチ作動荷重測定装置10は、本実施形態のように、マンコンベヤ1のステップ3bの踏面3cに載置され、前記踏面3cの幅方向D1への移動が規制される本体7と、前記踏面3cよりも幅方向D1外側に配置されたスカートパネル4eに対して押圧され、前記スカートパネル4eよりも幅方向D1外側に配置されたスカートセフティスイッチ4sの作動荷重を測定する荷重計測器8と、操作部(本実施形態においてはジャッキボルト93a)を有し、前記操作部の操作量に応じた移動量で前記荷重計測器8を前記スカートパネル4eへ向かって押圧して前記本体7に対する幅方向D1の位置を変更し、且つその幅方向D1の位置を保持する位置調節機構9と、を備える、という構成が好ましい。
【0045】
斯かる構成によれば、位置調節機構9は、操作部の操作量に応じた移動量で荷重計測器8をスカートパネル4eへ向かって少しずつ押圧して移動させ、また、押圧して移動させた荷重計測器8の位置を保持するため、スカートセフティスイッチ4sの作動荷重を正確に測定することができる。
【0046】
[2]
また、上記[1]のスカートセフティスイッチ作動荷重測定装置10においては、本実施形態のように、前記操作部は、回転することにより前記本体7に対する相対位置を変更して前記荷重計測器8を押圧するボルト(本実施形態においてはジャッキボルト)93aであり、前記位置調節機構9は、前記ボルト93aの回転量に応じた移動量で前記荷重計測器8を前記スカートパネル4eへ向かって押圧する、という構成が好ましい。
【0047】
斯かる構成によれば、ボルト(本実施形態においてはジャッキボルト)93aの回転量に応じた移動量で少しずつ荷重計測器8を押圧することができるため、スカートセフティスイッチ4sの作動荷重を正確に測定することができる。
【0048】
[3]
また、上記[2]のスカートセフティスイッチ作動荷重測定装置10においては、本実施形態のように、前記位置調節機構9は、前記ボルト(本実施形態においてはジャッキボルト)93aが螺合する雌ねじ部(本実施形態ではナット)93bを有し、前記雌ねじ部93bは、前記本体7に着脱可能に固定される、という構成が好ましい。
【0049】
斯かる構成によれば、ボルト(本実施形態においてはジャッキボルト)93aにより雌ねじ部(本実施形態ではナット)93bに大きな荷重が加わって、雌ねじ部93bの山が潰れる場合があるが、雌ねじ部93bを容易に交換することができる。
【0050】
[4]
また、上記[1]~[3]の何れか一つのスカートセフティスイッチ作動荷重測定装置10においては、本実施形態のように、前記本体7は、前記踏面3cに形成された溝3dに挿入される複数の爪部74を備え、前記爪部74は、前記本体7に対して幅方向D1に移動可能に固定される、という構成が好ましい。
【0051】
斯かる構成によれば、爪部74によって、踏面3cに載置した本体7の幅方向D1への移動を規制することができる。また、爪部74を複数設けることにより、本体7からの荷重を分散することができるため、爪部74によって踏面3cの溝3dの溝壁が変形することを抑制できる。また、爪部74が本体7に対して幅方向D1に移動可能に固定されることにより、踏面3cに形成された溝3dのピッチが異なるステップ3bであっても爪部74を移動することで、本体7の幅方向D1への移動を規制することができる。
【0052】
[5]
また、上記[1]~[4]の何れか一つのスカートセフティスイッチ作動荷重測定装置10においては、本実施形態のように、前記位置調節機構9は、前記荷重計測器8を前後方向D2の両側から挟み込んで前記幅方向D1にガイドする一対のガイド板91を備える、という構成が好ましい。
【0053】
斯かる構成によれば、荷重計測器8をスカートパネル4eへ向かって幅方向D1に適切に押圧することができるため、スカートセフティスイッチ4sの作動荷重を正確に測定することができる。
【0054】
[6]
また、スカートセフティスイッチ作動荷重測定方法は、本実施形態のように、上記[1]~[5]の何れか一つのスカートセフティスイッチ作動荷重測定装置を用いて、前記スカートセフティスイッチ4sの作動荷重を測定する、という方法が好ましい。
【0055】
斯かる方法によれば、位置調節機構9は、操作部の操作量に応じた移動量で荷重計測器8をスカートパネル4eへ向かって少しずつ押圧して移動させ、また、押圧して移動させた荷重計測器8の位置を保持するため、スカートセフティスイッチ4sの作動荷重を正確に測定することができる。
【0056】
なお、スカートセフティスイッチ作動荷重測定装置及びスカートセフティスイッチ作動荷重測定方法は、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、スカートセフティスイッチ作動荷重測定装置及びスカートセフティスイッチ作動荷重測定方法は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に一つ又は複数選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0057】
(A)上記実施形態に係るスカートセフティスイッチ作動荷重測定装置10においては、操作部は、回転することにより本体7に対する相対位置を変更して荷重計測器8を押圧するジャッキボルト93aであり、位置調節機構9は、ジャッキボルト93aの回転量に応じた移動量で荷重計測器8をスカートパネル4eへ向かって押圧する、という構成である。しかしながら、スカートセフティスイッチ作動荷重測定装置10は、斯かる構成に限られない。例えば、位置調節機構9は、ラック・アンド・ピニオンで構成された移動機構93を備えていてもよい。例えば、移動機構93がラック・アンド・ピニオンであれば、幅方向D1に沿ってラックを配置し、当該ラックと噛み合うピニオンを本体7に回転可能に固定する。このピニオンを回転操作すると、当該ピニオンに噛み合うラックが幅方向D1に移動し、押板92を移動させることとなる。すなわち、操作部は、回転することにより本体7に対するラックの相対位置を変更して荷重計測器8を押圧するピニオンであり、位置調節機構9は、ピニオンの回転量に応じた移動量で荷重計測器8をスカートパネル4eへ向かって押圧する、という構成でもよい。
【0058】
(B)また、上記実施形態に係るスカートセフティスイッチ作動荷重測定装置10においては、位置調節機構9は、ジャッキボルト93aが螺合するナット93bを有し、ナット93bは、本体7に着脱可能に固定される、という構成である。しかしながら、スカートセフティスイッチ作動荷重測定装置10は、斯かる構成に限られない。例えば、ナット93bは、ブラケット73に固定されている、という構成でもよい。このとき、ブラケット73が本体7に着脱可能に固定され、ブラケット73が交換可能に構成されてもよい。
【0059】
また、上記実施形態に係るスカートセフティスイッチ作動荷重測定装置10においては、雌ねじ部は、ナット93bである、という構成である。しかしながら、スカートセフティスイッチ作動荷重測定装置10は、斯かる構成に限られない。例えば、雌ねじ部は、第4貫通孔93dの内壁に雌ねじが形成された矩形プレート93cである、という構成でもよい。
【0060】
(C)また、上記実施形態に係るスカートセフティスイッチ作動荷重測定装置10においては、本体7は、踏面3cに形成された溝3dに挿入される複数の爪部74を備え、爪部74は、本体7に対して幅方向D1に移動可能に固定される、という構成である。しかしながら、スカートセフティスイッチ作動荷重測定装置10は、斯かる構成に限られない。例えば、爪部74は一つのみであっても本体7の幅方向D1への移動を規制することができる。
【0061】
(D)また、上記実施形態に係るスカートセフティスイッチ作動荷重測定装置10においては、位置調節機構9は、荷重計測器8を前後方向D2の両側から挟み込んで幅方向D1にガイドする一対のガイド板91を備える、という構成である。しかしながら、スカートセフティスイッチ作動荷重測定装置10は、斯かる構成に限られない。例えば、位置調節機構9は、荷重計測器8を幅方向D1にガイドするリニアガイドを備える、という構成でもよい。
【符号の説明】
【0062】
1…マンコンベヤ、2…構造体、3…搬送部、3a…走行部、3b…ステップ、3c…踏面、3d…溝、4…欄干部、4a…手摺ベルト、4b…欄干本体部、4c…カバー部、4d…インテリアパネル、4e…スカートパネル、4f…モールディング、4g…第1マーキング、4h…第2マーキング、4s…スカートセフティスイッチ、5…駆動部、5a…回転部、5b…駆動源、6…処理部、7…本体、8…荷重計測器、9…位置調節機構、10…スカートセフティスイッチ作動荷重測定装置、71…平プレート、71a…第1長孔、72…U字プレート、72a…縦板、72b…第2長孔、72c…第1貫通孔、73…ブラケット、73a…第2貫通孔、73b…第3貫通孔、73c…リブ、74…爪部、74a…ボルト、74b…ナット、81…計測軸、91…ガイド板、91a…ボルト状部材、91b…ナット、92…押板、92a…C字プレート、92b…上プレート、93…移動機構、93a…ジャッキボルト、93b…ナット、93c…矩形プレート、93d…第4貫通孔、93e…第5貫通孔、93f…ボルト、93g…ロックナット、D1…幅方向、D2…前後方向、D3…上下方向
【要約】
【課題】 スカートセフティスイッチの作動荷重を正確に測定することができるスカートセフティスイッチ作動荷重測定装置及びスカートセフティスイッチ作動荷重測定方法を提供する。
【解決手段】 スカートセフティスイッチ作動荷重測定装置は、マンコンベヤのステップの踏面に載置され、踏面の幅方向への移動が規制される本体と、踏面よりも幅方向外側に配置されたスカートパネルに対して押圧され、スカートパネルよりも幅方向外側に配置されたスカートセフティスイッチの作動荷重を測定する荷重計測器と、操作部を有し、操作部の操作量に応じた移動量で荷重計測器をスカートパネルへ向かって押圧して本体に対する幅方向の位置を変更し、且つその幅方向の位置を保持する位置調節機構と、を備える。
【選択図】
図3