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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-06
(45)【発行日】2023-10-17
(54)【発明の名称】自動水栓装置
(51)【国際特許分類】
   E03B 9/02 20060101AFI20231010BHJP
   E03C 1/05 20060101ALI20231010BHJP
   F16L 55/24 20060101ALI20231010BHJP
【FI】
E03B9/02 C
E03C1/05
F16L55/24 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019172617
(22)【出願日】2019-09-24
(65)【公開番号】P2021050481
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-07-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100107537
【弁理士】
【氏名又は名称】磯貝 克臣
(72)【発明者】
【氏名】酒井 智美
(72)【発明者】
【氏名】島本 岳雪
【審査官】佐久間 友梨
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-069475(JP,A)
【文献】特開2003-307342(JP,A)
【文献】特開2013-108219(JP,A)
【文献】特開平10-259881(JP,A)
【文献】特開2002-206262(JP,A)
【文献】特開2000-328614(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03B 7/07
9/02
E03C 1/00-1/10
F16L 55/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台と、
内部に流路を有すると共に、前記基台に前方側から取付け及び取外し可能な流路ユニットと、
周面の少なくとも一部に濾過部を有すると共に、前記流路ユニットの前記流路内に前方側から取付け及び取外し可能な筒状のストレーナと、
を備え、
前記流路ユニットの前記流路の上流側が、前記筒状のストレーナの濾過部に対して内側の空間に連通し、前記流路ユニットの前記流路の下流側が、前記筒状のストレーナの濾過部に対して外側の空間に連通するようになっている
ことを特徴とする自動水栓装置。
【請求項2】
電磁弁を有し、前記筒状のストレーナの上方側において前記流路ユニットに対して取付け及び取外し可能であって、前記流路ユニットの前記流路を前記電磁弁の開閉によって連通ないし遮断するようになっている電磁弁ユニット
を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の自動水栓装置。
【請求項3】
前記流路ユニットの前記流路は、前記筒状のストレーナの濾過部に対して外側の空間から前記電磁弁に向かう部分において、流路断面積が徐々に広がるように形成されている
ことを特徴とする請求項2に記載の自動水栓装置。
【請求項4】
前記流路ユニットの前記流路は、前記筒状のストレーナの濾過部に対して外側の空間から上方側へと延びる上方向き流路を有しており、
前記電磁弁ユニットは、前記上方向き流路の上方端部に取付け及び取外し可能となっており、
前記上方向き流路は、上方側へ行くに従って、流路断面積が徐々に広がるように形成されている
ことを特徴とする請求項3に記載の自動水栓装置。
【請求項5】
前記流路ユニットまたは前記電磁弁ユニットは、前記電磁弁が着座する平面視で円環状の弁座と、当該弁座の外周側に隣接する平面視で円環状の凹部と、を有しており、
前記上方向き流路は、上方端部において、前記円環状の凹部に連通している
ことを特徴とする請求項4に記載の自動水栓装置。
【請求項6】
前記筒状のストレーナの濾過部の内側の空間に、定流量弁が設けられている
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の自動水栓装置。
【請求項7】
前記定流量弁は、前記筒状のストレーナの後方側に嵌合されている
ことを特徴とする請求項6に記載の自動水栓装置。
【請求項8】
耐圧部材が、前記筒状のストレーナと一体的に設けられており、
前記耐圧部材が、前記流路ユニットに対して嵌合することによって、前記ストレーナが前記流路ユニットの前記流路内に取り付けられる
ことを特徴とする請求項7に記載の自動水栓装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストレーナを備えた自動水栓装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動水栓装置の機能部(例えば電磁弁等を含む)は、微小なサイズのゴミが混入するだけで、故障等の不具合を生じることがある。これを防止するため、従来から、所謂シングルレバー水栓やサーモ水栓といったメカ式の水栓装置と比較して、より目の細かいストレーナが用いられている。そして、そのような目の細かいストレーナは、止水栓、または自動水栓装置の機能部と止水栓との間、に配置されている。
【0003】
しかしながら、ストレーナを止水栓に配置する場合には、メカ式の水栓とは異なる専用の止水栓を用意する必要があった。また、ストレーナを自動水栓装置の機能部と止水栓との間に配置する場合には、そのようなストレーナに対するメンテナンスを実施する際、自動水栓装置の機能部を止水栓から取り外す必要があった。
【0004】
また、ストレーナを自動水栓装置の機能部と止水栓との間に配置する場合には、自動水栓装置の設置施行時やメンテナンス時に、ストレーナが脱落してしまうことがあり、更に、そのような脱落が生じたことに気付かないまま(ストレーナが取り付けられていない状態で)、自動水栓装置を設置ないし復旧させてしまうことがあった(その場合、自動水栓装置の機能部は、微小なサイズのゴミの混入による故障等のリスクに曝されてしまう)。
【0005】
なお、特許文献1及び特許文献2には、自動水栓装置の機能部の基本的な形態が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平11-61918号公報
【文献】特開2018-53525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本件発明者は、筒状のストレーナを採用することで、専用の止水栓を利用することなく、メンテナンス時等においてストレーナのみを容易に取り外せる構成を実現可能であることを知見した。
【0008】
本発明は、以上の知見に基づいてなされたものである。本発明の目的は、メンテナンス時等においてストレーナのみを容易に取り外すことが可能であり、専用の止水栓を利用する必要がない自動水栓装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、基台と、内部に流路を有すると共に、前記基台に前方側から取付け及び取外し可能な流路ユニットと、周面の少なくとも一部に濾過部を有すると共に、前記流路ユニットの前記流路内に前方側から取付け及び取外し可能な筒状のストレーナと、を備え、前記流路ユニットの前記流路の上流側が、前記筒状のストレーナの濾過部に対して内側の空間に連通し、前記流路ユニットの前記流路の下流側が、前記筒状のストレーナの濾過部に対して外側の空間に連通するようになっていることを特徴とする自動水栓装置である。
【0010】
本発明によれば、筒状のストレーナを採用して、流路ユニットの流路の上流側が筒状のストレーナの濾過部に対して内側の空間に連通すると共に、流路ユニットの流路の下流側が筒状のストレーナの濾過部に対して外側の空間に連通するような構成としたことにより、上流側から流れてきた細かなゴミをストレーナの濾過部の内側に捕捉することが可能となる。また、メンテナンス時等において、その内側にゴミを捕捉したストレーナのみを容易に取り外せるレイアウトの実現が可能であり、ゴミが流路内に落ちて下流側に流出することを抑制することが可能となる。
【0011】
また、本発明の自動水栓装置は、電磁弁を有し、前記筒状のストレーナの上方側において前記流路ユニットに対して取付け及び取外し可能であって、前記流路ユニットの前記流路を前記電磁弁の開閉によって連通ないし遮断するようになっている電磁弁ユニットを更に備えることが好ましい。
【0012】
これによれば、自動水栓装置の前出を抑えることができ、全体としてサイズバランスのよい自動水栓装置を実現することができる。
【0013】
また、前記流路ユニットの前記流路は、前記筒状のストレーナの濾過部に対して外側の空間から前記電磁弁に向かう部分において、流路断面積が徐々に広がるように形成されていることが好ましい。
【0014】
これによれば、流路による圧力損失を低減することができ、電磁弁に向かう水流を安定化することができる。これにより、供給水圧が低い現場でも使用することができるようになる。
【0015】
例えば、前記流路ユニットの前記流路が、前記筒状のストレーナの濾過部に対して外側の空間から上方側へと延びる上方向き流路を有していて、前記電磁弁ユニットが、前記上方向き流路の上方端部に取付け及び取外し可能となっている場合、前記上方向き流路が、上方側へ行くに従って、流路断面積が徐々に広がるように形成されていることが好ましい。
【0016】
また、前記流路ユニットまたは前記電磁弁ユニットが、前記電磁弁が着座する平面視で円環状の弁座と、当該弁座の外周側に隣接する平面視で円環状の凹部と、を有している場合、前記上方向き流路は、上方端部において、前記円環状の凹部に連通していることが更に好ましい。
【0017】
これによれば、平面視で円環状の凹部を介して、電磁弁(の弁座)に向かう水流を全方位的に供給することができる。これにより、電磁弁ユニット、特にダイヤフラム弁、にかかる水の力を周方向で平均化することができるようになり、ダイヤフラム弁の開閉が安定するようになる。ひいては、ダイヤフラム弁に歪な力がかかることによる無理な変形、それに伴う寿命の低下、を抑制することができる。
【0018】
また、前記筒状のストレーナの濾過部の内側の空間に、定流量弁が設けられていることが好ましい。
【0019】
これによれば、筒状のストレーナの濾過部の内側の空間を有効活用することができ、全体として省スペースな自動水栓装置を実現することができる。
【0020】
この場合、更に、前記定流量弁が、前記筒状のストレーナの後方側に嵌合されていることが好ましい。
【0021】
これによれば、筒状のストレーナと定流量弁とを一体的に取り扱う(一体的に取り付けたり取り外したりする)ことができるようになり、メンテナンスが容易である。
【0022】
また、更に、耐圧部材が、前記筒状のストレーナと一体的に設けられており、前記耐圧部材が、前記流路ユニットに対して嵌合することによって、前記ストレーナが前記流路ユニットの前記流路内に取り付けられることが好ましい。
【0023】
これによれば、耐圧部材と流路ユニットとの嵌合によりストレーナが保持されるため、筒状のストレーナ自体を耐圧部材として設計する必要がなくなる。これにより、ストレーナについてはPOMなどの比較的低コストの材料から製造することが可能となる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、筒状のストレーナを採用して、流路ユニットの流路の上流側が筒状のストレーナの濾過部に対して内側の空間に連通すると共に、流路ユニットの流路の下流側が筒状のストレーナの濾過部に対して外側の空間に連通するような構成としたことにより、上流側から流れてきた細かなゴミをストレーナの濾過部の内側に捕捉することが可能となる。また、メンテナンス時等において、その内側にゴミを捕捉したストレーナのみを容易に取り外せるレイアウトの実現が可能であり、ゴミが流路内に落ちて下流側に流出することを抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一実施形態による自動水栓装置の概略斜視断面図である。
図2図1の自動水栓装置の概略断面図である。
図3図1の自動水栓装置の正面図である。
図4図1の自動水栓装置の入水側流路ユニットの拡大斜視断面図である。
図5図4の入水側流路ユニットをより上方側から見た拡大斜視断面図である。
図6図4の入水側流路ユニットの平面図である。
図7】発電機付きの出水側流路ユニットを用いた場合の自動水栓装置の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、添付図面を参照して、本発明の一実施形態による自動水栓装置について説明する。
【0027】
(構成)
図1は、本発明の一実施形態による自動水栓装置1の概略斜視断面図であり、図2は、図1の自動水栓装置1の概略断面図であり、図3は、図1の自動水栓装置1の正面図である。
【0028】
図1乃至図3に示すように、本実施形態の自動水栓装置1は、概ね直方体状の基台10(筐体状であってもよい)と、当該基台10に前方側(図1及び図2の右方側)から取付け及び取外し可能な流路ユニット20、30と、を備えている。
【0029】
本実施形態の流路ユニットは、出水側流路ユニット20と、入水側流路ユニット30と、からなっている。そして、基台10に対して、まず出水側流路ユニット20が前方側から取付け及び取外し可能となっており、当該出水側流路ユニット20に対して、入水側流路ユニット30が前方側から取付け及び取外し可能となっている。なお、ここで言う前方とは、使用者が自動水栓装置1を利用する際にアプローチする方向をいい、一般的には洗面器や自動水栓装置1が取り付けられる壁面と相対する方向を言う。
【0030】
より具体的には、出水側流路ユニット20の下方の段差部20sが基台10の段差部10sに当接するように、且つ、出水側流路ユニット20の上方の凹部20rが基台10の嵌合部10pに係合するように、出水側流路ユニット20が前方側(図1及び図2の右方側)から基台10に対して取り付けられるようになっている。
【0031】
そして、出水側流路ユニット20の前方側突出部20pに対して、Oリング92を介して、入水側流路ユニット30の後方側嵌合凹部30rが嵌合されるようになっている。更に、この嵌合状態は、抑え部材40が後方側嵌合凹部30rのキー孔30h及び前方側突出部20pのキー溝20kと係合することによって、維持されるようになっている。
【0032】
本実施形態の流路は、入水側流路ユニット30によって、基台10の下方側領域から上方側に延びる第1流路31と、第1流路31の上方端から前方側へと延びる小径の第2流路32と、第2流路32に連続して更に前方側へと延びる大径の第3流路33と、第3流路33の前方端部(第3流路33の前方端は後述する耐圧部材80の後方端部によって規定される)から上方側へと延びる第4流路34(上方向き流路)と、第4流路34の上方端部が連通する平面視で円環状の凹部35(第5流路)と、凹部35から平面視で円環状の弁座35vを介して折り返して下方側へと延びる第6流路36と、第6流路36の下方端部から後方側へと延びる第7流路37と、が形成されている。平面視で円環状の凹部35は、平面視で円環状の弁座35vの外周側に隣接している。
【0033】
更に、本実施形態の流路は、出水側流路ユニット20によって、第7流路37に連通する(中心軸線はオフセットされている)と共に更に後方側へと延びる第8流路28と、第8流路28の後方端部から基台10の上方側領域にまで延びる第9流路29と、が形成されている。
【0034】
また、本実施形態の自動水栓装置1は、入水側流路ユニット30の第6流路36の上方端部に対して、電磁弁ユニット50が上方側から取付け及び取外し可能となっている。
【0035】
より具体的には、電磁弁ユニット50は、Oリング95を介して、入水側流路ユニット30の上方側嵌合凹部30qに対して挿入(嵌合)されるようになっている。
【0036】
本実施形態の電磁弁ユニット50は、電磁コイル55により提供される磁力によってパイロット弁54が移動することで、パイロット孔56を開閉可能となっている。
【0037】
パイロット孔56が開放されると、背圧室53がパイロット通路57を介して第7流路37または第8流路28と連通して、すなわち、背圧室53内の水が第7流路37または第8流路28へと抜けていき、背圧室53における背圧が下がってダイヤフラム52が弾性変形して主弁体51が弁座35vから離れ、すなわち、主弁体51が開放されるようになっている。
【0038】
パイロット孔56が閉鎖されると、背圧室53とパイロット通路57との連通状態が遮断され、背圧室53における背圧が元の釣合状態に戻って主弁体51が弁座35vに当接する、すなわち、主弁体51が閉鎖されるようになっている。
【0039】
また、入水側流路ユニット30の第3流路33は、後方側(図2の左側)に向けて段階的に先細の段付き円筒形状(緩やかに先細の略円錐形状でもよい)となっており、Oリング97を介して、前方側から筒状のストレーナ70が挿入(嵌合)されるようになっている。
【0040】
ストレーナ70は、周面の少なくとも一部に濾過部71を有しており、流路の上流側(第2流路32)が、筒状のストレーナ70の濾過部71に対して内側の空間72に連通する一方、流路の下流側(第3流路33)が、筒状のストレーナ70の濾過部71に対して外側の空間に連通するようになっている。
【0041】
また、ストレーナ70の濾過部71の内側の空間72であって、第2流路32に連通する側の領域に、定流量弁73が設けられている。定流量弁73は、筒状のストレーナ70の後方側に嵌合されている。
【0042】
その他、耐圧部材80が、筒状のストレーナ70の前方側に設けられている。耐圧部材80は、Oリング98を介して、入水側流路ユニット30の第3流路33の更に前方側へと延びる前方雌ネジ部30tに螺合されるようになっており、耐圧部材80の後方端部が、ストレーナ70の濾過部71の内側の空間72の前方端及び第3流路33の前方端を規定するようになっている。
【0043】
また、本実施形態の第4流路34(上方向き流路)は、上方側へ行くに従って、流路断面積が徐々に広がるように形成されている。これについて、図4乃至図6を参照して説明を補足する。
【0044】
図4は、図1の自動水栓装置1の入水側流路ユニット30の拡大斜視断面図であり、図5は、図4の入水側流路ユニット30をより上方側から見た拡大斜視断面図であり、図6は、図4の入水側流路ユニット30の平面図である。
【0045】
図4乃至図6に示すように、本実施形態の第4流路34(上方向き流路)は、第6流路36を規定する円筒壁の周囲に回り込むように、上方側へ行くに従って流路断面積が徐々に広がっている。
【0046】
より詳細には、本実施形態の第4流路34(上方向き流路)は、下面側の開口孔34h(図6参照)を介して第3流路33に連通しており、当該開口孔34hに対する左右両側において、上方側へ行くに従って、第6流路36を規定する円筒壁の更に外側の円筒状空間内に徐々に広がって、上方端部において、第6流路36を規定する円筒壁を取り囲む(弁座35vを取り囲む)円環状の凹部35に滑らかに移行(連続)している。開口孔34hは、第6流路36を規定する円筒壁の更に外側の前記円筒状空間の下方領域の一部に開口され、円弧形状であってもよい。
【0047】
(作用)
以上に説明した本実施形態の自動水栓装置1によれば、筒状のストレーナ70が採用されており、流路の上流側(第2流路32)がストレーナ70の濾過部71に対して内側の空間72に連通する一方、流路の下流側(第3流路33)がストレーナ70の濾過部71に対して外側の空間に連通するようになっているため、上流側から流れてきた細かなゴミをストレーナ70の濾過部の内側に捕捉することが可能であり、また、メンテナンス時等において、その内側にゴミを捕捉したストレーナ70のみを容易に前方側から取り外すことができる。これにより、ゴミが流路内に落ちて下流側に流出することを抑制することが可能である。
【0048】
また、本実施形態の自動水栓装置1によれば、流路ユニットの流路を電磁弁(パイロット弁54を介した主弁体51)の開閉によって連通ないし遮断する電磁弁ユニット50が、入水側流路ユニット30の第6流路36の上方端部に上方側から取付け及び取外し可能である(弁座35vと主弁体51とが位置合わせされる)。これにより、メンテナンス時等に電磁弁ユニット50を取り外すことが容易であり、電磁弁ユニット50のメンテナンス作業等が容易である。
【0049】
また、本実施形態の自動水栓装置1によれば、電磁弁ユニット50とストレーナ70とが上下方向に並置されているため、流路の前出を抑えることができ、全体としてサイズバランスのよい自動水栓装置1を実現することができる。
【0050】
また、本実施形態の自動水栓装置1によれば、筒状のストレーナ70の濾過部71に対して外側の空間から電磁弁(電磁弁ユニット50の主弁体51)に向かう第4流路34(上方向き流路)が、第6流路36を規定する円筒壁の周囲に回り込むように、上方側へ行くに従って流路断面積が徐々に広がっている。これにより、流路による圧力損失を低減することができ、電磁弁(電磁弁ユニット50の主弁体51)に向かう水流を安定化することができる。これにより、供給水圧が低い現場でも使用することができる。
【0051】
特に、本実施形態の第4流路34(上方向き流路)は、下面側の開口孔34h(図6参照)を介して第3流路33に連通しており、当該開口孔34hに対する左右両側において、上方側へ行くに従って、第6流路36を規定する円筒壁の更に外側の円筒状空間内に徐々に広がっていることにより、スペースの顕著な増大を必要とすることなく、電磁弁(電磁弁ユニット50の主弁体51)に向かう水流を効果的に安定化することができる。
【0052】
更に、本実施形態の第4流路34(上方向き流路)は、上方端部において、第6流路36を規定する円筒壁を取り囲む(弁座35vを取り囲む)円環状の凹部35に滑らかに移行(連続)していることにより、当該円環状の凹部35を介して、電磁弁(電磁弁ユニット50の主弁体51)の弁座35vに向かう水流を全方位的に供給することができる。これにより、電磁弁ユニット50、特にダイヤフラム52(ダイヤフラム弁)、にかかる水の力を周方向で平均化することができるようになり、ダイヤフラム52の開閉が安定するようになる。ひいては、ダイヤフラム52に歪な力がかかることによる無理な変形、それに伴う寿命の低下、を抑制することができる。
【0053】
また、本実施形態の自動水栓装置1によれば、筒状のストレーナ70の濾過部71の内側の空間72に、定流量弁73が設けられている。これにより、筒状のストレーナ70の濾過部71の内側の空間72を有効活用することができ、全体として省スペースな自動水栓装置1を実現することができる。
【0054】
更に、本実施形態の自動水栓装置1によれば、定流量弁73が筒状のストレーナ70の後方側に嵌合されている。これにより、筒状のストレーナ70と定流量弁73とを一体的に取り扱う(一体的に取り付けたり取り外したりする)ことが容易である。
【0055】
更に、本実施形態の自動水栓装置1によれば、耐圧部材80が筒状のストレーナ70と一体的に設けられており、耐圧部材80が流路ユニットに対して嵌合することによって、ストレーナ70が流路ユニットの流路内に取り付けられている。耐圧部材80は、耐圧性能を確保するために、ガラス入りのPPS等の硬い材料で構成することが好ましい。耐圧部材80と流路ユニットとの嵌合によりストレーナ70が保持されるため、筒状のストレーナ70自体を耐圧部材として設計する必要がなくなるため、ストレーナ70についてはPOMなどの比較的低コストな材料から製造することが可能となる。
【0056】
なお、本実施形態の自動水栓装置1において、出水側流路ユニット20は、水流発電する発電機125が搭載された発電機付きの出水側流路ユニット120に置換可能である。図7は、出水側流路ユニット20が発電機付きの出水側流路ユニット120で置換された場合の自動水栓装置1の概略断面図である。
【0057】
発電機付きの出水側流路ユニット120は、基台10のリブ10r(図2参照)と係合する係合凹部(不図示)を有しており、当該リブ10rと係合凹部とが係合することによって、基台10に保持されるようになっている。
【0058】
図7に示すように、発電機付きの出水側流路ユニット120も、出水側流路ユニット20の第8流路28及び第9流路29と同様に、第8流路128及び第9流路129を提供するようになっている。また、入水側流路ユニット30を保持するため、キー溝20kと同様のキー溝120kを有している。
【符号の説明】
【0059】
1 自動水栓装置
10 基台
10p 嵌合部
10r リブ
10s 段差部
20 出水側流路ユニット
20k キー溝
20p 前方側突出部
20r 凹部
20s 段差部
28 第8流路
29 第9流路
30 入水側流路ユニット
30h キー孔
30q 上方側嵌合凹部
30r 後方側嵌合凹部
30t 前方雌ネジ部
31 第1流路
32 第2流路
33 第3流路
34 第4流路
34h 開口孔
35 凹部
35v 弁座
36 第6流路
37 第7流路
40 抑え部材
50 電磁弁ユニット
51 主弁体
52 ダイヤフラム
53 背圧室
54 パイロット弁
55 電磁コイル
56 パイロット孔
57 パイロット通路
70 ストレーナ
71 濾過部
72 空間
73 定流量弁
80 耐圧部材
92 Oリング
95 Oリング
97 Oリング
98 Oリング
120 発電機付きの出水側流路ユニット
120k キー溝
125 発電機
128 第8流路
129 第9流路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7