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特許7362057会計処理サーバ、会計処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-06
(45)【発行日】2023-10-17
(54)【発明の名称】会計処理サーバ、会計処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/12 20230101AFI20231010BHJP
【FI】
G06Q40/12
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019189781
(22)【出願日】2019-10-16
(65)【公開番号】P2021064297
(43)【公開日】2021-04-22
【審査請求日】2022-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】594145220
【氏名又は名称】株式会社フォーバルラボコミュニケーションズ
(74)【代理人】
【識別番号】110002181
【氏名又は名称】弁理士法人IP-FOCUS
(74)【代理人】
【識別番号】100208959
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 敏史
(72)【発明者】
【氏名】小野 弘明
【審査官】野口 俊明
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-053528(JP,A)
【文献】特開2004-133569(JP,A)
【文献】特開2018-077813(JP,A)
【文献】特開2018-120360(JP,A)
【文献】特開2003-152943(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが使用するユーザ端末を通じてユーザ側資料を受信し、前記ユーザ側資料を用いて会計部門が会計部門端末において会計処理を行うことを可能とする会計処理サーバであって、
前記ユーザ側資料を受信する受信部と、
前記受信部で受信された前記ユーザ側資料の検証を行う検証部と、
前記検証部の検証結果に応じて各種処理を行う処理部を備え、
前記検証部は、前記ユーザ側資料が所定の期日までに所定の記録領域に記録されているかを検証し、
前記ユーザ側資料が記録されていない場合は、前記処理部が前記ユーザに対してメッセージの報知を行うことを特徴とする会計処理サーバ。
【請求項2】
請求項1に記載の会計処理サーバであって、
前記検証部は、前記ユーザ側資料が記録されている場合に、前記ユーザ側資料のデータ量又は質が必要データ条件に達しているか否かを検証し、
前記処理部は、前記ユーザ側資料のデータ量又は質が必要データ条件未満の場合にも前記メッセージの報知を行うことを特徴とする会計処理サーバ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の会計処理サーバであって、
前記ユーザ側資料は、前記ユーザ側資料の作成者の情報を含み、
前記処理部は、前記報知を行う際に、前記作成者の情報も報知することを特徴とする会計処理サーバ。
【請求項4】
請求項3に記載の会計処理サーバであって、
前記検証部は、前記作成者の評価を行い、評価結果を前記ユーザ端末又は前記会計部門端末に表示可能であることを特徴とする会計処理サーバ。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の会計処理サーバであって、
前記検証部は、さらに前記会計処理が所定の第2期日までに行われたかを検証し、
前記会計処理が行われていない場合は、前記会計部門に第2メッセージの報知を行うことを特徴とする会計処理サーバ。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の会計処理サーバであって、
前記処理部は、前記検証部の検証結果を、検証結果一覧として前記ユーザ端末又は前記会計部門端末に表示可能であることを特徴とする会計処理サーバ。
【請求項7】
ユーザが使用するユーザ端末を通じてユーザ側資料を受信し、前記ユーザ側資料を用いて会計部門が会計部門端末において会計処理を行うことを可能とする会計処理サーバであって、
前記ユーザ側資料を受信する受信部と、
前記会計処理の検証を行う第2検証部と、
前記第2検証部の検証結果に応じて各種処理を行う第2処理部を備え、
前記第2検証部は、前記会計処理が所定の第2期日までに行われたかを検証し、
前記会計処理が行われていない場合は、前記第2処理部が前記会計部門に第2メッセージの報知を行うことを特徴とする会計処理サーバ。
【請求項8】
請求項7に記載の会計処理サーバであって、
前記第2検証部は、前記会計処理の担当者の検証も行い、
前記第2処理部は、前記第2メッセージの報知を行う際に、会計処理担当者の情報も報知することを特徴とする会計処理サーバ。
【請求項9】
請求項8に記載の会計処理サーバであって、
前記第2検証部は、前記会計処理担当者の評価を行い、評価結果を前記ユーザ端末又は前記会計部門端末に表示可能であることを特徴とする会計処理サーバ。
【請求項10】
請求項7~9のいずれか1項に記載の会計処理サーバであって、
前記第2処理部は、前記第2検証部の検証結果を、検証結果一覧として前記ユーザ端末又は前記会計部門端末に表示可能であることを特徴とする会計処理サーバ。
【請求項11】
ユーザが使用するユーザ端末を通じてユーザ側資料を受信し、前記ユーザ側資料を用いて会計部門が会計部門端末において会計処理を行うことを可能とする会計処理方法であって、
前記ユーザ側資料を受信する受信ステップと、
前記受信ステップで受信された前記ユーザ側資料の検証を行う検証ステップと、
前記検証ステップの検証結果に応じて各種処理を行う処理ステップを備え、
前記検証ステップにおいては、前記ユーザ側資料が所定の期日までに所定の記録領域に記録されているかを検証し、
前記ユーザ側資料が記録されていない場合は、前記処理ステップにおいて、前記ユーザに対してメッセージの報知を行うことを特徴とする会計処理方法。
【請求項12】
ユーザが使用するユーザ端末を通じてユーザ側資料を受信し、前記ユーザ側資料を用いて会計部門が会計部門端末において会計処理を行うことを可能とする会計処理方法であって、
前記ユーザ側資料を受信する受信ステップと、
前記会計処理の検証を行う第2検証ステップと、
前記第2検証ステップの検証結果に応じて各種処理を行う第2処理ステップを備え、
前記第2検証ステップにおいては、前記会計処理が所定の第2期日までに行われたかを検証し、
前記会計処理が行われていない場合は、前記第2処理ステップにおいて、前記ユーザに対して第2メッセージの報知を行うことを特徴とする会計処理方法。
【請求項13】
コンピュータを、請求項1~10のいずれか1項に記載の会計処理サーバとして機能させるための会計処理サーバ用プログラム。
【請求項14】
コンピュータを用いて、請求項11又は12に記載の会計処理方法を実行させるための会計処理サーバ用プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、会計処理サーバ、会計処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
経理事務における業務は、会計伝票を入力するための証憑等の原始資料の収集作業、原始資料を見ながら行う会計伝票の入力作業を伴う。また、入力された会計伝票を適切に処理し、売掛金等の残高を正しく把握して、試算表(貸借対照表・損益計算書・製造原価報告書)や滞留債権債務一覧表等の経営資料を作成し、ユーザ側の経営者に報告する業務がある。
【0003】
このように、経理事務に関する業務は専門的な知識を要するため、個人事業主や企業は、これらの業務の一部を会計事務所等の会計部門に依頼することが行われている。外部の会計部門に経理事務に関する業務を依頼する場合、ユーザ側で日々の経理事務によって発生する請求書や領収書等の証憑を電子データ化し、これを会計部門に送信することが多い。
【0004】
その際、ユーザは、日々発行される請求書や領収書等の証憑を、スキャナ等を用いて電子データ化するか、コンピュータから電子データを直接受信している。また、ユーザは、会計ソフトウエアプログラムを用いて、これらの電子データを所定の期限までに会計部門に送信している。
【0005】
会計部門においては、このようにユーザから送信されてきた電子データを用いて会計処理を行い、定期的にユーザに対して試算表等の報告を行っている。ここで、本願発明者等は、ユーザにおける証憑の取り扱いを容易にするための機能を搭載したプログラムを開発している(特許文献1参照)。
【0006】
このように、本願発明者等は、上記プログラムによって、ユーザの経理事務の利便性を向上させ、ユーザの負担軽減を図ることにより、経理事務を迅速に行えるようにしている。これにより、その後の会計部門の会計処理も迅速に行うことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2019-016045号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、ユーザ側の業務の詰まり具合によっては、経理事務が遅延することがあり、その場合は会計部門における会計処理を行うことができない。従って、会計部門からユーザに提供すべき試算表等の報告がタイムリーになされないという事態が生じる。
【0009】
このような場合は、会計部門から、ユーザ側に対して、必要なデータが送られていない旨の連絡を行うことが行われている。この場合も、当該連絡は会計部門側の担当者任せの場合が多く、ユーザ側は連絡があっても対応できないことがあり、対策は必ずしも十分ではなかった。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑み、ユーザ側の処理が遅延した場合であっても迅速に支援することができ、会計部門においてはタイムリーな試算表等の報告が可能になる会計処理サーバ、会計処理方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の会計処理サーバは、ユーザが使用するユーザ端末を通じてユーザ側資料を受信し、前記ユーザ側資料を用いて会計部門が会計部門端末において会計処理を行うことを可能とする会計処理サーバであって、前記ユーザ側資料を受信する受信部と、前記受信部で受信された前記ユーザ側資料の検証を行う検証部と、前記検証部の検証結果に応じて各種処理を行う処理部を備え、前記検証部は、前記ユーザ側資料が所定の期日までに所定の記録領域に記録されているかを検証し、前記ユーザ側資料が記録されていない場合は、前記処理部が前記ユーザに対してメッセージの報知を行うことを特徴とする。
【0012】
本発明の会計処理サーバによれば、検証部はユーザ側資料が所定の期日までに所定の記録領域に記録されているかを検証し、記録されていない場合は処理部がユーザに対してメッセージの報知を行う。従って、例えば、ユーザがユーザ側データの送信を失念していた場合に、ユーザに当該メッセージによる注意喚起が行われ、処理の遅延を抑制することができる。本発明は、ユーザと会計部門が分かれた状況で実施可能であるが、ユーザと会計部門が1つの会社内にあるような状況でも実施が可能である。
【0013】
ここで、本願における会計部門とは、会計事務所や会計事務を行う法人又は個人、或いは団体等を含む概念である。また、期日とは、ユーザ側資料の送信の締め切り日の他、締め切り日よりも何日か前の日等、任意に設定可能な日をいう。また、メッセージとは、必要なユーザ側資料が所定の期日までに記録されていない旨の情報や、最終期限まであと何日というような情報のように、注意喚起を促す情報や、現状における事実等の情報をいう。
【0014】
また、本発明の会計処理サーバにおいて、前記検証部が、前記ユーザ側資料が記録されている場合に、前記ユーザ側資料のデータ量又は質が必要データ条件に達しているか否かを検証し、前記処理部が、前記ユーザ側資料のデータ量又は質が必要データ条件未満の場合にも前記メッセージの報知を行うこともできる。
【0015】
ユーザ側資料が記録されている場合であっても、必要データ条件に達していないとき、例えば、データ量が少ないとき、或いはデータ内の請求書の数等の証憑の数が少ないときは、ユーザ側資料の内容に不足があることが予想される。本発明の会計処理サーバによれば、ユーザ側資料の一部が欠落している場合もユーザにメッセージの報知が行われるので、処理の遅延を抑制することができる。
【0016】
また、本発明の会計処理サーバにおいて、前記ユーザ側資料は、前記ユーザ側資料の作成者の情報を含み、前記処理部は、前記報知を行う際に、前記作成者の情報も報知するようにしてもよい。当該構成によれば、ユーザ側の処理を行った担当者が明らかになるので、ユーザ側としても迅速な対応が可能となる。
【0017】
また、本発明の会計処理サーバにおいて、前記検証部は、前記作成者の評価を行い、評価結果を前記ユーザ端末及び前記会計部門端末に表示可能としてもよい。当該構成によれば、ユーザ側又は会計部門側で、前記作成者の評価を行うことができるので、ユーザ側であれば当該評価を人事評価に反映することができる。また、会計部門側では、ユーザ側への担当者の変更の要請等も可能となる。
【0018】
また、本発明の会計処理サーバにおいて、前記検証部は、さらに前記会計処理が所定の第2期日までに行われたかを検証し、前記会計処理が行われていない場合は、前記会計部門に第2メッセージの報知を行ってもよい。ユーザ側資料が期日までに記録された場合であっても、その後の会計処理が遅れれば、最終的に会計部門からユーザへの報告が遅延する。本発明によれば、そのような場合も第2メッセージの報知が会計部門に行われるので、処理の遅延を抑制することができる。
【0019】
また、本発明の会計処理サーバにおいて、前記処理部は、前記検証部の検証結果を、検証結果一覧として前記ユーザ端末又は前記会計部門端末に表示可能としてもよい。このように検証部の検証結果を一覧として表示させることにより、処理の遅延が生じた際の原因の究明に利用することができる。
【0020】
本発明の第2の態様の会計処理サーバは、ユーザが使用するユーザ端末を通じてユーザ側資料を受信し、前記ユーザ側資料を用いて会計部門が会計部門端末において会計処理を行うことを可能とする会計処理サーバであって、前記ユーザ側資料を受信する受信部と、
前記会計処理の検証を行う第2検証部と、前記第2検証部の検証結果に応じて各種処理を行う第2処理部を備え、前記第2検証部は、前記会計処理が所定の第2期日までに行われたかを検証し、前記会計処理が行われていない場合は、前記第2処理部が前記会計部門に第2メッセージの報知を行うことを特徴とする。
【0021】
本発明の第2の態様の会計処理サーバによれば、第2検証部が会計処理の検証を行い、第2期日までに会計処理が行われていないときは、第2処理部が会計部門に第2メッセージの報知を行う。従って、何らかの理由により会計部門の会計処理が遅延している場合には、会計部門に第2メッセージによる注意喚起が行われ、処理の遅延を抑制することができる。
【0022】
また、第2の態様の会計処理サーバにおいて、前記第2検証部は、前記会計処理の担当者の検証も行い、前記第2処理部は、前記第2メッセージの報知を行う際に、会計処理担当者の情報も報知してもよい。当該構成によれば、会計処理の遅延が生じている場合に、当該会計部門の担当者が明らかになるので、会計部門側としても迅速な対応が可能となる。
【0023】
また、第2の態様の会計処理サーバにおいて、前記第2検証部は、前記会計処理担当者の評価を行い、評価結果を前記ユーザ端末又は前記会計部門端末に表示可能としてもよい。当該構成によれば、会計部門において、例えば前記評価を人事評価に反映することができる。
【0024】
また、第2の態様の会計処理サーバにおいて、前記第2処理部は、前記第2検証部の検証結果を、検証結果一覧として前記ユーザ端末又は前記会計部門端末に表示可能としてもよい。このように検証部の検証結果を一覧として表示させることにより、処理の遅延が生じた際の原因の究明に利用することができる。
【0025】
また、本発明の会計処理方法は、ユーザが使用するユーザ端末を通じてユーザ側資料を受信し、前記ユーザ側資料を用いて会計部門が会計部門端末において会計処理を行うことを可能とする会計処理方法であって、前記ユーザ側資料を受信する受信ステップと、前記受信ステップで受信された前記ユーザ側資料の検証を行う検証ステップと、前記検証ステップの検証結果に応じて各種処理を行う処理ステップを備え、前記検証ステップにおいては、前記ユーザ側資料が所定の期日までに所定の記録領域に記録されているかを検証し、前記ユーザ側資料が記録されていない場合は、前記処理ステップにおいて、前記ユーザに対してメッセージの報知を行うことを特徴とする。
【0026】
本発明の会計処理方法によれば、検証ステップによりユーザ側資料が所定の期日までに所定の記録領域に記録されているかを検証し、記録されていない場合は処理ステップにおいてユーザに対してメッセージの報知を行う。従って、ユーザ側の担当者の処理が遅れて、本来送信されているべきユーザ側資料がサーバ側に送られてきていないときに、ユーザにメッセージによる注意喚起が行われ、処理の遅延を抑制することができる。
【0027】
また、本発明の第2の態様の会計処理方法は、ユーザが使用するユーザ端末を通じてユーザ側資料を受信し、前記ユーザ側資料を用いて会計部門が会計部門端末において会計処理を行うことを可能とする会計処理方法であって、前記ユーザ側資料を受信する受信ステップと、前記会計処理の検証を行う第2検証ステップと、前記第2検証ステップの検証結果に応じて各種処理を行う第2処理ステップを備え、前記第2検証ステップにおいては、前記会計処理が所定の第2期日までに行われたかを検証し、前記会計処理が行われていない場合は、前記第2処理ステップにおいて、前記ユーザに対して第2メッセージの報知を行うことを特徴とする。
【0028】
本発明の第2の態様の会計処理方法によれば、会計部門において会計処理が遅れている場合、第2メッセージによって注意喚起が行われ、処理の遅延を抑制することができる。
【0029】
また、本発明の会計処理サーバ用プログラムは、コンピュータを上記いずれかの会計処理サーバとして機能させるものである。また、本発明の会計処理サーバ用プログラムは、コンピュータを用いて、上記会計処理方法を実行させるものである。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、ユーザ側の処理が遅延した場合であっても迅速に対応することができ、会計事務所等においてはタイムリーな試算表等の報告が可能になる会計処理サーバ、会計処理方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の実施形態の一例である会計処理サーバ及び各端末を示す説明図。
図2】本実施形態の会計処理サーバにおけるユーザ側の作動、会計処理方法及びプログラムの流れを示すフローチャート。
図3】本実施形態の会計処理サーバにおける会計部門側の作動、会計処理方法及びプログラムの流れを示すフローチャート。
図4】本実施形態の会計処理サーバによる検証結果一覧を示す説明図。
図5】(A)はユーザ側の担当者の評価一覧の一例、(B)は会計部門側の担当者の評価一覧の一例。
【発明を実施するための形態】
【0032】
次に、図1図5を参照して、本発明の実施形態である会計処理サーバ、会計処理方法及びプログラムについて説明する。図1に示すように、本実施形態の会計処理サーバ1は、インターネット等のネットワーク2に接続されており、ネットワーク2を介してユーザ端末3や会計部門端末4に対してアクセス可能に形成されている。
【0033】
会計処理サーバ1は、CPU、メモリ、ハードディスク、インターフェース等のハードウエアによって構成され、本発明の会計処理サーバ用プログラム(以下「会計ソフト」という。)がインストールされている。この会計処理サーバ1は、例えば会計ソフトを取り扱う会社が運営するサーバであり、図1に示すように、機能的構成として、受信部5と、検証部6と、処理部7を備えている。
【0034】
受信部5は、ユーザ端末3から会計ソフトを介して送信されるユーザ側資料を受信する機能部であり、ネットワーク2との通信を行う通信機器等を備えている。本実施形態においては、受信部5が受信したユーザ側資料は、会計部門端末4のハードディスクに記録される。
【0035】
検証部6は、会計部門端末4のハードディスクに所定の期日までにユーザ側資料が記録されているか否かを検証する機能部である。この検証部6は、会計処理サーバ1内のハードウエアと、会計処理サーバ1にインストールされた会計ソフトにより構成される。
【0036】
処理部7は、ユーザ及び会計処理担当者に対してメッセージの報知を行う等の各種処理を行う機能部である。この処理部7も、会計処理サーバ1内のハードウエアと、会計処理サーバ1にインストールされた会計ソフトにより構成される。当該処理部7は、本実施形態の会計処理サーバ1において、種々の状況が発生した際に、処理ステップとしてその状況に応じたメッセージの発信を行う。
【0037】
ユーザ端末3は、経理処理を行うユーザが用いる端末であって、例えば、図1に示すように、パーソナルコンピュータと周辺機器から構成される。パーソナルコンピュータは、本体一体型ディスプレイ31と、キーボード32と、マウス33を備え、周辺機器としてスキャナ34を備えている。
【0038】
ユーザは、個人事業主や各種企業・団体を含む経理処理が必要な個人又は団体である。ユーザ端末3としては、図1に示すもの以外に、後述する会計部門端末4と同様の通常のデスクトップ型パーソナルコンピュータ、ノート型パーソナルコンピュータ、タブレット型コンピュータ、及びスマートフォン等の各種端末が該当する。
【0039】
会計部門端末4は、会計処理を行う会計事務所や法人で用いられる端末であって、例えば、図1に示すように、パーソナルコンピュータ本体41、ディスプレイ42、キーボード43、マウス44、及びスキャナ45を備えている。
【0040】
次に、本実施形態の会計処理サーバ1の作動であって、会計ソフトが実行されて行われる会計処理方法について、図2及び図3を参照して説明する。ユーザは、日々経理処理を行っており、ユーザ側資料として、請求書、領収書等の原始資料が日々発生している。ユーザ側の経理担当者が経理処理を行う場合は、図2に示すように、ユーザ端末3を起動させ、本実施形態の会計ソフトを立ち上げる(STEP1)。
【0041】
会計ソフトを立ち上げると、ユーザ確認画面(図示省略)が表示されるので、経理担当者は担当者毎に定められているIDを選択し、パスワードを入力してログイン処理を行う(STEP2)。なお、経理担当者が新規ユーザの場合は、ユーザ情報を入力して新規登録を行う。
【0042】
経理担当者は、会計ソフトの入力画面に従い、ユーザ側資料入力画面(図示省略)を起動させる。ユーザ側入力画面を立ち上げた状態で、経理担当者が領収書等の証憑をスキャナ34でスキャンすると、証憑がユーザ側資料として経理ソフト内に取り込まれる(STEP3)。
【0043】
経理担当者は、このように証憑の取り込みを行い、会計ソフト内に蓄積させる。次に、証憑等の仕訳処理をユーザ側で行うか、或いは会計部門で行うかが自動で選択される(STEP4)。これは、例えばユーザ側の経理担当者のレベルを分け、仕訳処理ができる担当者のレベルを決定する。その上で、このレベルを経理担当者のIDと関連付け、経理担当者がログインをした際に、当該担当者が仕訳処理を行うか否かを決定する。
【0044】
ここで、ユーザ側で仕訳処理を行う場合は(STEP4でYES)、ユーザ側の経理担当者が仕訳処理を行う(STEP5)。仕訳処理を会計部門で行う場合は(STEP4でNO)、経理担当者は仕訳処理を行わない。
【0045】
次に、経理担当者は、その月に発生した証憑を、ユーザ側データとして翌月の所定の期日(例えば毎月10日)までに会計処理サーバ1に送信する(STEP6)。送信されたユーザ側データは、会計処理サーバ1が受信し(受信ステップ)、会計処理サーバ1の記憶装置に記録される。同時に、会計処理サーバ1の記憶装置には、ユーザ側データのユーザ情報、担当者(作成者)情報、送信日時、データ量又は質等の検証用データが記録される(STEP7)。
【0046】
会計処理サーバ1では、検証部6によって、所定の期日毎にユーザ側データが会計処理サーバ1の所定の記録領域に記録されているかの検証を行う(STEP8)。具体的には、検証ステップとして、検証部6は、会計処理サーバ1に記憶された検証用データにアクセスし、当該検証用データを確認することでユーザ側資料の有無の検証を行う。
【0047】
本実施形態においては、検証部6における検証では、所定の期日までに、会計部門端末4の所定の記録領域(ハードディスク等)にユーザ側データが記録されているか否かという検証と、そのユーザ側データのデータ量又は質が所定の必要データ条件を満たしているか否かという検証と、ユーザ側で仕訳処理を行う場合に仕訳処理が行われているか否かの検証を行っている。
【0048】
上記検証における必要データ条件は、各ユーザにおけるユーザ側データの毎月のデータ量又は質(証憑の内容)を記録し、統計手法を用いて各月毎に会計処理に必要と予想されるデータ量又は質を割り出したものである。例えば、経理処理を行う会社の繁忙期には、他の月に比べてユーザ側データのデータ量が増える傾向にある。
【0049】
よって、仮にユーザ側データが所定の期日までに所定の記録領域に記録されていた場合であっても、例えば繁忙期であるにも関わらず他の月と変わらないようなデータ量であった場合、必要なユーザ側データが揃っていないと判断できる。また、ユーザ側で仕訳処理を行う場合に、仕訳処理が行われていないのであれば、必要なユーザ側データが揃っていないと判断できる。
【0050】
検証部6の検証結果が、必要なユーザ側データが揃っているという結果であった場合(STEP8でYES)、処理部7は、ユーザ端末3にメッセージを送ることなく、ユーザ側の担当者の評価を行う(STEP9)。このように、期日までに必要なユーザ側データが送信されているときは、当該処理を行った担当者の評価をプラス評価としても良い。
【0051】
一方で、検証部6が必要なユーザ側データが揃っていないと検証した場合(STEP8でNO)、処理部7がユーザ端末3に対してメッセージの送信を行う(STEP10)。当該メッセージは、検証部6による検証結果に応じたメッセージが選択される。
【0052】
ユーザ側データが所定の期日までに所定の記録領域に記録されていない場合は、「送信すべき資料はありませんか?」等のメッセージとなる。ユーザ側データのデータ量が少ないと判断された場合は、「送信すべき資料で不足している資料はありませんか?」等のメッセージとなる。また、仕訳入力が可能な資料があり、当該仕訳入力の処理が遅れているときは、「仕訳の作業が遅れています」等のメッセージを送信する。
【0053】
メッセージは、ユーザ端末3に電子メールのような形で送信しても良く、ユーザが会計ソフトを立ち上げた際に起動メッセージとして表示させても良い。また、メッセージは、ユーザ側の担当者の所有するスマートフォン等に電子メールの形で送信しても良い。
【0054】
次に、図3を参照して、会計部門端末4側の操作について説明する。会計部門端末4においては、会計事務所等の会計部門の担当者が会計ソフトを立ち上げ(STEP11)、ログイン処理を行う(STEP12)。ここで、会計部門側で仕訳作業を行う場合は(STEP13でYES)、会計部門の会計処理担当者が仕訳作業を行う(STEP14)。仕訳処理をユーザ側で行う場合は(STEP13でNO)、会計部門の会計処理担当者は仕訳作業を行わない。
【0055】
次に、会計処理担当者は、ユーザ端末3から送信されたユーザ側データを用いて、試算表等の作成を含む会計処理を行う(STEP15)。会計部門端末4において会計処理が行われると、会計処理サーバ1内に会計処理データが記録される(STEP16)。
【0056】
検証部6は、所定の第2期日毎に、会計部門端末4において会計処理が行われているかの検証を行う(STEP17)。具体的には、検証部6は、会計処理サーバ1に記憶された会計処理データにアクセスし、当該会計処理データを確認することで会計処理の進捗の検証を行う。
【0057】
検証部6の検証の結果、会計処理データにおける会計処理の進捗が第2期日の時点で終了しているときは(STEP17でYES)、処理部7は、会計部門端末4にメッセージを送ることなく、会計部門側の担当者の評価を行う(STEP18)。例えば、会計部門端末4から、試算表等の管理資料をユーザ端末3に送信した日時が第2期日以内であった場合のように、第2期日までに会計処理がなされているときは、当該処理を行った担当者の評価をプラス評価としても良い。
【0058】
一方で、検証部6が必要な会計処理がなされていないと検証した場合(STEP17でNO)、処理部7が会計部門端末4に対して第2メッセージの送信を行う(STEP19)。当該第2メッセージは、検証部6による検証結果に応じたメッセージが選択される。
【0059】
例えば、試算表等の管理資料を送信した日時が第2期日よりも遅れているときは「経営報告が遅れています。原因は○○さん(担当者)の伝票作業が遅れているためで改善を求めます。」と原因を特定し、第2メッセージを送信する。
【0060】
上記実施形態においては、検証部6による検証は、複数の期日に行ってもよい。例えば、期日には最終期日があるが、その最終期日の1~2週間前に事前検証(1)を行い、最終期日の数日前に事前検証(2)を行うようにしてもよい。このように、期日は、ユーザ或いは会計部門によって適宜設定することができる。
【0061】
次に、処理部7が検証部6の検証結果を、検証結果一覧8としてユーザ端末3及び会計部門端末4に表示させる機能について、図4を参照して説明する。検証結果一覧8は、図4に示すように、ABC株式会社に関する検証結果であり、取引銀行欄81や、領収書及び請求書欄82、入金伝票等の各種伝票欄83、経理処理を行う担当者を表示する担当者欄84が設けられている。
【0062】
領収書及び請求書欄82、及び各種伝票欄83には、会計部門端末4にどれだけの件数が記録されているかを表示している。当該記録は、継続的に本件会計ソフトを使用しているユーザであれば、過去のデータの統計が取られており、各月毎に各項目で最低限何件のデータが必要かという必要データ条件が定められている。
【0063】
検証部6は、該当する月のデータとして、各欄の件数を確認し、必要データ条件(必要数又は質)のデータが記録されているか、或いは必要データ条件に達しているか、必要データ条件未満かの検証を行っている。この必要データ条件は、定まった値としてもよく、ユーザの事業の成長度合いに応じて、毎月変動する予測値としてもよい。
【0064】
処理部7は、検証部6の検証結果に応じて担当者の評価を行う場合、検証結果一覧8の担当者欄84に各担当者の評価を記録する。例えば、図4の担当者Aの1月の処理が6件であった場合、6件全てが期日内になされているときは6点とし、6件の内4件が期日内で2件が期日を過ぎた後の処理だった場合は、2件分は-2として合計4点というような評価を行う。
【0065】
このように、図4に示す検証結果一覧8によれば、どの資料がどの時点で何件記録されているかが明確となる。また、本来は記録されていなければいけない箇所に記録がない場合も一目で明らかとなる。よって、会計部門の管理者は、会計処理の流れを一覧することができ、会計処理全体の業務の流れを円滑なものとすることができる。
【0066】
次に、図5を参照して、会計処理サーバ1による評価一覧画面について説明する。図5(A)はユーザ側の担当者の評価一覧の例である担当者評価一覧9Aであり、図5(B)は会計部門側の担当者の評価一覧である担当者評価一覧9Bである。担当者評価一覧9A及び担当者評価一覧9Bは、ユーザ端末3又は会計部門端末4、或いは双方に評価結果を表示可能である。
【0067】
担当者評価一覧9A及び担当者評価一覧9Bには、各担当者が行った処理の総件数と、1月~12月までに処理した件数が表示されている(3月~10月分は省略)。そして、マイナスの欄は、期日を過ぎて処理した案件の数となっており、総合評価は、1月~12月までに処理した件数からマイナス分を引いた数で表している。
【0068】
このように、本実施形態によれば、担当者評価一覧9A及び9Bによって、ユーザ側の担当者及び会計部門側の担当者のそれぞれの評価を一目で確認することができる。また、ユーザ側にはユーザ側の担当者評価一覧9Aのみを提示し、会計部門側には担当者評価一覧9Bのみを提示することも可能である。当該評価一覧によって、各担当者の評価を客観的に行うことが容易となる。
【0069】
また、本実施形態の会計処理サーバ1によれば、検証部6によって上記状況を把握した上で、処理部7によって関係者へメッセージが送信されるので、仮に作業が滞っている場合であっても、各担当者への確認が確実に行われる。これにより、会計処理全体の業務の流れを円滑なものとすることができる。
【0070】
なお、上記実施形態においては、検証部6が会計部門の検証を行っているが、これに限らず、図1の第2の態様の会計処理サーバ1Aに示すように、第2検証部6Aで会計部門の検証を行い(第1検証ステップ)、第2処理部7Aによって会計部門に対する処理を行うようにしてもよい(第2処理ステップ)。
【0071】
このような構成とすることにより、第2の態様の会計処理サーバ1Aにおいて、会計部門側の検証及び処理を行う第2検証部6A及び第2処理部7Aのみの機能を提供することができる。一方で、会計処理サーバ1において、ユーザ側の検証及び処理のみを行う仕様とすることができる。
【0072】
また、上記実施形態においては、図1において、ユーザ端末3を1台のみ記載しているが、実際は複数のユーザが存在し、それぞれユーザ端末3を所有している。また、上記実施形態では、ユーザ側データを会計ソフトの機能を用いて送信しているが、これに限らず、ユーザ端末3から電子メール等の手段を用いて会計部門端末4に送信してもよい。
【0073】
また、ユーザ側データの記録場所は、会計処理サーバ1ではなく、会計部門端末4の内部であってもよく、ユーザ端末3であってもよい。また、検証部6による検証は、ユーザ側データを直接検証する場合に限られず、ユーザ端末3からユーザ側データを送信する際に、検証に必要なデータのみを会計処理サーバ1又は会計部門端末4に送信し、そのデータで検証を行うようにしてもよい。また、必要データ条件は、統計的に定めるだけでなく、各ユーザの業務量等を予測した予測値を用いて算出してもよい。
【符号の説明】
【0074】
1,1A…会計処理サーバ
2…ネットワーク
3…ユーザ端末
4…会計部門端末
5…受信部
6,6A…検証部
7,7A…処理部
8…検証結果一覧
9A…担当者評価一覧
9B…担当者評価一覧
31…ディスプレイ
32…キーボード
33…マウス
34…スキャナ
41…パーソナルコンピュータ本体
42…ディスプレイ
43…キーボード
44…マウス
45…スキャナ
81…取引銀行欄
82…請求書欄
83…種伝票欄
84…担当者欄

図1
図2
図3
図4
図5