(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-06
(45)【発行日】2023-10-17
(54)【発明の名称】保護カバー及び架空線の交差箇所における上側の架空線の撤去方法
(51)【国際特許分類】
H02G 1/02 20060101AFI20231010BHJP
H02G 7/00 20060101ALI20231010BHJP
【FI】
H02G1/02
H02G7/00
(21)【出願番号】P 2020029670
(22)【出願日】2020-02-25
【審査請求日】2023-02-15
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和1年11月27日中部電力株式会社本店中電ホールにおいて開催された第72回全社技術研究発表会で発表
(73)【特許権者】
【識別番号】000213297
【氏名又は名称】中部電力株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000130765
【氏名又は名称】株式会社サンキョウ
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】山下 隆幸
(72)【発明者】
【氏名】大塚 賢
(72)【発明者】
【氏名】湊 幹夫
(72)【発明者】
【氏名】飼沼 賢治
【審査官】遠藤 尊志
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-33274(JP,A)
【文献】特開2003-61218(JP,A)
【文献】特開2009-38941(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 1/02
H02G 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
架空線の交差箇所において、上側の前記架空線を撤去する際に、下側の前記架空線を一時的に覆うために用いられる保護カバーであって、
長尺状に形成される板状のカバー本体と、前記カバー本体の下面に取り付けられるフックとを備え、
前記カバー本体は、前記カバー本体の長手方向の両端上部に、上方へ向けて突出する一対の突出部を有し、
前記フックは、前記カバー本体の短手方向に係止側開口を有する鉤状のフック本体と、前記係止側開口の逆方向で、前記フック本体より外側に設けられた引掛部とを備えることを特徴とする保護カバー。
【請求項2】
前記フックは、前記フック本体の下端に設けられ、前記係止側開口と対向する方向へ向けて開口する板状のガイド部を備えることを特徴とする請求項1に記載の保護カバー。
【請求項3】
前記フックは、下端が前記フック本体の下部へ回転可能に連結されて、前記係止側開口を前記フック本体の内側から閉塞する閉塞位置と、前記内側へ退避して前記係止側開口を開放する開放位置との間で移動可能な外れ止め部材を備え、
前記外れ止め部材の先端に、その端部が回動自在に連結され、前記係止側開口の対向方向へ延びる連動部が設けられ、
前記連動部の先端に、前記引掛部が設けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の保護カバー。
【請求項4】
前記突出部に、上下方向を回転軸として回転自在なローラが設けられることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の保護カバー。
【請求項5】
前記カバー本体の下面側に、下方に向けて開口し、上部へかけて徐々に窄まった形状のストッパが設けられることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の保護カバー。
【請求項6】
架空線の交差箇所における上側の前記架空線を撤去する方法であって、
請求項1乃至5の何れかに記載の保護カバーの引掛部に、所定の長さを有する操作棒の先端を引っ掛けて前記保護カバーを持ち上げ、フック本体の係止側開口から前記交差箇所における下側の前記架空線を相対的に進入させることで前記下側の架空線に前記フック本体を係止させて、カバー本体により前記下側の架空線を上方から覆った状態とした後、前記操作棒を前記引掛部から取り外し、
前記上側の架空線の一端を下ろして前記突出部の間で前記カバー本体の上面に前記上側の架空線を交差状に載せた状態で、前記上側の架空線の他端を下ろして前記上側の架空線を撤去し、
その後、前記操作棒を用いて、前記保護カバーを前記下側の架空線から取り外すことを特徴とする架空線の交差箇所における上側の架空線の撤去方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、架空配電線を含む架空線の交差箇所において、上側の前記架空線を撤去する際に、下側の前記架空線を一時的に覆うために用いられる保護カバーと、その保護カバーを用いて架空線の交差箇所における上側の架空線を撤去する方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
架空配電線を含む多数の架空線が張り巡らされている現代において、架空線の交差箇所は無数に存在する。架空線は、劣化等を理由に撤去・交換の必要があるが、交差箇所における撤去・交換作業では、撤去対象の架空線が、その下側で交差している他の架空線を損傷させないように作業を行う必要がある。現状では、
図1に示すように、高所作業車を使用して、架空線の交差箇所へ作業員が向かい、架空線同士が接触しないように作業員が撤去対象の架空線を手作業で送りながら、複数名の補助作業員や監督者等と共に撤去作業を行っている。そのため、現状の架空線の撤去作業は、高所作業車の使用や動員によって多くの時間とコストを要する。ここで、高所作業車の使用目的は、交差箇所へ作業員を送ることで、撤去対象の架空線と下側の架空線との接触を回避するためである。従って、人の手に依らずに撤去対象の架空線と下側の架空線とを隔離させることができれば、高所作業に関わる人員数の削減を図れる。そこで、下側の架空線に対して一時的に損傷防止用のカバー(例えば、特許文献1-3)を取り付けることで、人の手に依らずに撤去対象の架空線と下側の架空線との隔離を達成できると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-85816号公報
【文献】特開2018-73580号公報
【文献】特開2018-68057号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述したような損傷防止用のカバーは、長期の装着を目的とした外れ難い構造である上、架空線へのカバーの取り付けは手作業で行う必要がある。つまり、従来と同様に、交差箇所へ作業員を送らなければならず、高所作業車の使用を回避できない。
【0005】
そこで、本発明の目的は、地上からの作業でも架空線への着脱が容易に可能であり、架空線の撤去作業を効率的に行うことができる保護カバーと、その保護カバーを用いて架空線の交差箇所における上側の架空線を撤去する方法とを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、架空線の交差箇所において、上側の架空線を撤去する際に、下側の架空線を一時的に覆うために用いられる保護カバーであって、長尺状に形成される板状のカバー本体と、カバー本体の下面に取り付けられるフックとを備え、カバー本体は、カバー本体の長手方向の両端上部に、上方へ向けて突出する一対の突出部を有し、フックは、カバー本体の短手方向に係止側開口を有する鉤状のフック本体と、係止側開口の逆方向で、フック本体より外側に設けられた引掛部とを備えることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1の構成において、フックは、フック本体の下端に設けられ、係止側開口と対向する方向へ向けて開口する板状のガイド部を備えることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2の構成において、フックは、下端がフック本体の下部へ回転可能に連結されて、係止側開口をフック本体の内側から閉塞する閉塞位置と、内側へ退避して係止側開口を開放する開放位置との間で移動可能な外れ止め部材を備え、外れ止め部材の先端に、その端部が回動自在に連結され、係止側開口の対向方向へ延びる連動部が設けられ、連動部の先端に、引掛部が設けられることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れかの構成において、突出部に、上下方向を回転軸として回転自在なローラが設けられることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の何れかの構成において、カバー本体の下面側に、下方に向けて開口し、上部へかけて徐々に窄まった形状のストッパが設けられることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、架空線の交差箇所における上側の架空線を撤去する方法であって、請求項1乃至5の何れかの構成の保護カバーの引掛部に、所定の長さを有する操作棒の先端を引っ掛けて保護カバーを持ち上げ、フック本体の係止側開口から交差箇所における下側の架空線を相対的に進入させることで下側の架空線にフック本体を係止させて、カバー本体により下側の架空線を上方から覆った状態とした後、操作棒を引掛部から取り外し、上側の架空線の一端を下ろして突出部の間でカバー本体の上面に上側の架空線を交差状に載せた状態で、上側の架空線の他端を下ろして上側の架空線を撤去し、その後、操作棒を用いて、保護カバーを下側の架空線から取り外すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1及び6に記載の発明によれば、地上からの作業で容易に架空線に保護カバーを着脱することができる。また、保護カバー取付後に行う架空線の撤去作業中に、撤去対象の架空線が、保護カバーから脱落することを防止できる。さらに、架空線に取り付けられた保護カバーの取付姿勢を安定させることもできる。さらにまた、作業員を架空線の交差箇所へ送ることなく、少人数で効率的に架空線の撤去作業を行うことができる。
請求項2に記載の発明によれば、上記効果に加え、地上から操作棒を用いて架空線に保護カバーを取り付ける際の操作性を安定させることができる。また、ガイド部に重量を持たせることで保護カバーの重心を下げ、架空線に取り付けられた保護カバーの取付姿勢を安定させることもできる。
請求項3に記載の発明によれば、上記効果に加え、架空線に取り付けた保護カバーの脱落を防止できる。
請求項4に記載の発明によれば、上記効果に加え、円滑に架空線の引き抜きを行う事ができるため、作業効率が向上する。
請求項5に記載の発明によれば、上記効果に加え、保護カバーの取付姿勢を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】従来の交差箇所における架空線の撤去方法を示す説明図である。
【
図2】本発明の実施の形態における保護カバーの正面図である。
【
図3】本発明の実施の形態における閉塞状態の保護カバーを示す側面図である。
【
図4】本発明の実施の形態における開放状態の保護カバーを示す側面図である。
【
図5】(A)及び(B)は、本発明の交差箇所における架空線の撤去方法の手順を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図2は、本発明の実施の形態における保護カバーの正面図、
図3は、閉塞状態の保護カバーを示す側面図である。
図2,3に示すように、保護カバー1は、長尺状に形成され、下方に向けて開口する横断面倒C字形状のカバー本体2と、カバー本体2の長手方向中央部の下面に取り付けられたフック3とを備える。
カバー本体2の長手方向の両端上部には、上方へ向けて突出する一対の突出部4,4が設けられ、突出部4,4には、上下方向を回転軸として、鉛直方向に回転自在なローラ4a,4aが設けられている。また、カバー本体2の長手方向両端部の下面には、カバー本体2の短手方向に沿って取り付けられ、下方へ向けて開口し、上方が窄まった逆V字形状のストッパ5,5が設けられ、ストッパ5,5の下端に沿って、電気絶縁性を有する素材で形成される絶縁部6,6が形成されている。
【0010】
フック3は、カバー本体2の短手方向に係止側開口9(
図4)を有する鉤状のフック本体7と、その下端がフック本体7の下部へ回転可能に連結されて、係止側開口9をフック本体7の内側7aから閉塞する閉塞位置と、
図4に示すように、フック本体7の内側7aへ退避して係止側開口9を開放する開放位置との間で移動可能な外れ止め部材8とを備える。外れ止め部材8は、コイルバネ等の図示しない付勢手段によって、閉塞位置へ向けて付勢されている。また、外れ止め部材8の先端に、その端部が回動自在に連結され、係止側開口9の対向方向へ延びる連動部10が設けられ、連動部10の先端に、リング状の引掛部11が設けられている。さらに、フック本体7の下端には、係止側開口9と対向する方向へ向けて開口する横断面U字形状のガイド部12が設けられている。なお、ガイド部12は、密度の高い素材で形成され、一定の重量を有している。
【0011】
次に、保護カバー1の架空線への取付作業の手順を説明する。
図4は、本発明の実施の形態における開放状態の保護カバーを示す側面図である。
地上の作業員は、先端に十手形状の突起部13aを備える操作棒13を用いて、保護カバー1を架空線へ取り付ける。外れ止め部材8が閉塞位置にあるフック3の引掛部11に操作棒13の突起部13aを引っ掛け、上方へ向けて保護カバー1を持ち上げると、引掛部11が操作棒13によって支えられることで、相対的に保護カバー1が下方へ向けて移動し、その際、連動部10の動きに連動して外れ止め部材8が回転して開放位置へ移動し、係止側開口9が開放される。保護カバー1をさらに上方へ持ち上げると、引掛部11を支点に保護カバー1はカバー本体2の短手方向へ傾くが、この時、ガイド部12に操作棒13を係止させることで、保護カバー1が操作棒13に支えられると共に、鉛直方向の回転運動も抑えることができるため、保護カバー1の操作性を安定させることができる。
なお、操作棒13は、引掛部11に引っ掛かり、架空線に保護カバー1を取り付けることができれば、上記形態のものに限らず、任意のものを使用してよい。
【0012】
上述の状態の保護カバー1を所定の高さまで持ち上げて操り、撤去対象の架空線の下側の架空線を、フック3の係止側開口9からフック本体7の内側7aに進入させる。下側の架空線をフック本体7の内側7aに収容した後、操作棒13を下ろして引掛部11から外すと、図示しない付勢手段によって付勢された外れ止め部材8が、閉塞位置へ移動し、係止側開口9を閉塞する。この時、
図3に示すようにフック本体7の内側7aに収容された架空線Yは、ストッパ5の最も窄まった位置へ集められてフック本体7に係止するため、カバー本体2の短手方向でのズレが抑制され、保護カバー1の架空線への取付姿勢を安定させることができる。また、この時、高重量のガイド部12によって、カバー本体2の長手方向中央且つ下方に保護カバー1の重心が下がるため、保護カバー1の取付姿勢を安定させることができる。
なお、取り外しの際は、取り付け時の逆の手順で行えば良く、操作棒13の突起部13aを保護カバー1の引掛部11に引っ掛けた後、上方へ持ち上げ、フック3の外れ止め部材8を開放位置へ移動させて、フック本体7の内側7aに収容されている下側の架空線を係止側開口9からフック3の外へ放出すれば、保護カバー1を地上に下ろすことができる。
このように、保護カバー1の架空線への着脱作業は、操作棒13を用いて地上から容易に行うことができる。
【0013】
続いて、保護カバー1を用いた交差箇所における架空線の撤去作業の手順を説明する。
まず、
図5(A)に示すように、地上の作業員aは、上述のような手順で保護カバー1を交差箇所における撤去対象の架空線Xの下側の架空線Yに取り付ける。この時、保護カバー1は、突出部4,4の間に架空線Xが位置するように配置する。なお、架空線Yは、図面上では1本だが、複数あってもよい。
次に、
図5(B)に示すように、架空線Xの一端が取り付けられた電柱Pに登った作業員bは、架空線Xの一端を電柱Pから取り外した後、ロープ14を用いて、地上へ下ろし、作業員aが架空線Xの一端を受け取る。その後、保護カバー本体の上面に架空線Xを交差状に載せた状態で、地上から上空に残った架空線Xの他端を引き抜き、撤去を行う。この時、保護カバー1を架空線Yに取り付けたことで、保護カバー交差箇所に作業員を動員しなくても、架空線Yを損傷させることなく撤去作業を行うことができる。また、突出部4,4にローラ4a,4aを設けたことで、作業途中で架空線Xがカバー本体2から脱落することがなく、円滑に架空線Xの引き抜きを行う事ができるため、作業効率が向上する。さらに、従来の撤去作業のように、大勢の作業員の動員及び高所作業車の導入を必要とせず、作業員a,bの2名で架空線Xの撤去作業を行うことができるため、作業時間やコストを削減できる。
架空線Xの撤去作業終了後は、上記手順に従い、架空線Yから保護カバー1を取り外す。
【0014】
上記形態の保護カバー1は、長尺状に形成され、下方に向けて開口する横断面倒C字形状の板状のカバー本体2と、カバー本体2の長手方向中央部の下面に取り付けられたフック3とを備え、カバー本体2は、カバー本体2の長手方向の両端上部に、上方へ向けて突出する一対の突出部4,4を備え、フック3は、カバー本体2の短手方向に係止側開口9を有する鉤状のフック本体7と、係止側開口9の逆方向で、フック本体7より外側に設けられた引掛部11とを備える。
このような形態の保護カバー1によれば、地上からの作業で容易に架空線Yに保護カバー1を着脱することができる。また、架空線Xの撤去作業中に、架空線Xが、保護カバー1から脱落することを防止できる。さらに、架空線Yに取り付けられた保護カバー1の取付姿勢を安定させることもできる。さらにまた、作業員を架空線X,Yの交差箇所へ送ることなく、少人数で効率的に架空線Xの撤去作業を行うことができる。
【0015】
また、フック3は、フック本体7の下端に設けられ、係止側開口9と対向する方向へ向けて開口する横断面U字形状のガイド部12を備える。
よって、地上から操作棒13を用いて架空線Yに保護カバー1を取り付ける際の操作性を安定させることができる。また、ガイド部12に重量を持たせることで保護カバー1の重心を下げ、架空線Yに取り付けられた保護カバー1の取付姿勢を安定させることもできる。
【0016】
また、フック3は、下端がフック本体7の下部へ回転可能に連結されて、係止側開口9をフック本体7の内側7aから閉塞する閉塞位置と、内側7aへ退避して係止側開口9を開放する開放位置との間で移動可能な外れ止め部材8を備え、外れ止め部材8の先端に、その端部が回動自在に連結され、係止側開口9の対向方向へ延びる連動部10が設けられ、連動部10の先端に、引掛部11が設けられる。
よって、架空線Yに取り付けた保護カバー1の脱落を防止できる。
【0017】
また、突出部4,4に、上下方向を回転軸として、鉛直方向に回転自在なローラ4a,4aが設けられる。
よって、円滑に架空線Xの引き抜きを行う事ができるため、作業効率が向上する。
【0018】
また、カバー本体2の長手方向両端部下面側に、下方へ向けて開口し、上方が窄まった逆V字形状のストッパ5,5が設けられる。
よって、保護カバー1の取付姿勢を安定させることができる。
【0019】
以上は、本発明を図示例に基づいて説明したものであり、その技術範囲はこれに限定されるものではない。
例えば、カバー本体の形状は、下方に向けて開口していれば、適宜変更可能である。横断面形状を、逆V字形状、逆U字形状や倒コ字形状等にしても良いし、保護カバーの上面に傾斜を持たせて、縦断面形状をV字形状にする等しても良い。
また、カバー本体の両端部に、長手方向へ延びるローラを設ける等して、架空線の引き抜きをより円滑に行えるようにしても良い。
また、フックは、架空線の交差箇所における撤去対象外の架空線をその内側に収容することができれば良く、その形状や仕様は限定されない。さらに、フックは、複数設けられても良く、その設置箇所も任意に設定可能である。
また、ストッパは、少なくともカバー本体の長手方向両端部の下面側に設けてあれば、複数設けられても良く、その配置も限定されない。加えて、ストッパの形状は、保護カバーの取り付け姿勢を安定させることができるものであれば、任意の形状で設計可能である。
また、絶縁部の配置や設置方法は限定されない。例えば、ストッパ表面を絶縁部で完全に被覆しても良いし、ストッパを電気絶縁性を有する素材で形成して設ける等しても良い。さらに、ストッパを省略して、カバー本体の裏面に絶縁被覆を施しても良いし、フック本体の上部にも絶縁部を設ける等しても良い。一方、保護対象の架空線の種類に応じて、絶縁部を設けない設計としても良い。
また、ガイド部の形状は、係止側開口の対向方向へ向けて開口していれば、適宜変更可能である。さらに、ガイド部とフック本体とは、一体に形成しても、別体を組み合わせても良い。
また、引掛部の形状は、操作棒を用いて保護カバーを高所へ持ち上げ可能であり、保護カバーの架空線への着脱作業中に脱落等が起こらなければ、適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0020】
1・・保護カバー、2・・カバー本体、3・・フック、4・・ローラ、5・・ストッパ、6・・絶縁部、7・・フック本体、8・・外れ止め部材、9・・係止側開口、10・・連動
部、11・・引掛部、12・・ガイド部。