(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-06
(45)【発行日】2023-10-17
(54)【発明の名称】SDWSN向けの分散型・エントロピー高効率化・省エネのクラスタベースルーティング方法
(51)【国際特許分類】
H04W 40/32 20090101AFI20231010BHJP
H04W 40/20 20090101ALI20231010BHJP
H04W 84/20 20090101ALI20231010BHJP
H04W 4/38 20180101ALI20231010BHJP
【FI】
H04W40/32
H04W40/20
H04W84/20
H04W4/38
(21)【出願番号】P 2022197354
(22)【出願日】2022-12-09
【審査請求日】2022-12-09
(31)【優先権主張番号】202210711924.7
(32)【優先日】2022-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522481248
【氏名又は名称】浙江工商大学
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG GONGSHANG UNIVERSITY
【住所又は居所原語表記】No.18, Xuezheng Str. Xiasha University Town Hangzhou, Zhejiang 310018, China
(74)【代理人】
【識別番号】100146374
【氏名又は名称】有馬 百子
(72)【発明者】
【氏名】馬 巧巧
(72)【発明者】
【氏名】麻 佳輝
(72)【発明者】
【氏名】董 黎剛
(72)【発明者】
【氏名】蒋 献
【審査官】松野 吉宏
(56)【参考文献】
【文献】Mr.M.Sitha Ram, Dr.Kuda Nageswara Rao, Mr.Shaik Johny Basha, Mr.S.Srinivasa Reddy,Cluster Head and Optimal Path Slection Using K-GA and T-FA Algorithms for Wireless Sensor Networks,Fourth International Conference on Electronics, Communication and Aerospace Technology (ICECA-2020),米国,IEEE,2020年12月28日,Pages 798-805
【文献】Praveen Lalwani, Isha Ganguli, Haider Banka,FARW: Firefly Algorithm for Routing in Wireless Sensor Networks,3rd International Conference on Recent Advances in Information Technology (RAIT-2016),米国,IEEE,2016年07月09日
【文献】Shachi Battar, Rakesh Kumar,A Hybrid Approach to Increase Network Lifetime in WSN Using PSO and Firefly Optimization,2019 IEEE International Conference on Electrical, Computer and Communication Technologies (ICECCT),米国,IEEE,2019年10月17日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 - 7/26
H04W 4/00 - 99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1-1)ネットワークノードは、閾値条件式(1)によって一時的なクラスタヘッドを選び出し、ノード情報をクラスタヘッドによって基地局に送信するステップであって、
式中、N個のセンサノードs
i(i=1,2…N)であり、Cは、クラスタヘッドにならなかったノード群を表し、rは、カレントの反復ラウンド数であり、modは、モジュロ演算子であり、H(En
i)は、ノードの相対エネルギーエントロピーであり、
式中、kは、期待されるクラスタ数の割合であり、En
i(r)は、センサノードs
iのrラウンドでの残留エネルギーであり、
1-2)基地局は、ホタルアルゴリズムによってクラスタヘッドを選択し、式(3)に示す個体群多様性の位置更新ポリシーに基づいて個体の位置を更新して、カレントの大域的最適解C
bestを得るステップであって、
式中、c
i、c
jは、ホタルi、jの空間位置を表し、
nは、反復ラウンド数であり、
βは、光吸収係数であり、
γ
0は、ホタルの最大吸引度であり、
r
ijは、ユークリッド距離であり、
1-3)重力探索アルゴリズムと生物地理学ベースの最適化を組み合わせたアルゴリズムを利用してC
bestに対してさらに探索して、大域的最適解G
bestを得て、即ち、エネルギーが最大のノード位置であるステップと、
1-4)基地局は、G
bestに基づいてクラスタヘッド・ローテーションテーブルを計算し、フローテーブル情報にロードしてノードに配り、各ノードは、情報を受信及び記憶し、各クラスタからエネルギーが最高のノードをクラスタヘッドとして選び出すステップとを含む
ことを特徴とするSDWSN向けの分散型・エントロピー高効率化・省エネのクラスタベースルーティング方法。
【請求項2】
前記ステップ1-1)で、ネットワークノードは、データ層に位置し、
ネットワークノードは、閾値条件式(1)によってクラスタヘッドになる確率を評価し、0から1の間で条件付き確率として1つの乱数を抽出し、
当該条件付き確率より小さい場合に、ノードは、自身を一時的なクラスタヘッドとして選択し、
ノードと基地局の距離がノードとクラスタヘッドの距離より大きい場合に、自身の位置情報、残留エネルギー情報及びトポロジ情報データを直接基地局に伝送し、
そうでなければ、クラスタヘッドによってデータを基地局に伝送し、クラスタヘッドは、データの受信、融合及び転送の機能だけを実行することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ステップ1-2)で、ホタルアルゴリズムを用いるステップとして、
2-1)パラメータの個体群規模N、初期ステップサイズ因子α、初期個体群多様性指数β
0、最大反復回数maxIterateを初期化し、
2-2)相対エネルギーエントロピーに基づいて初期個体群C
0を構築し、式(4)によって計算してホタルの輝度Iを並べ替え、最大蛍光輝度を有する個体の位置は、即ちカレントの大域的最適解C
bestであり、
式中、I
0は、ホタルの最大蛍光輝度であり、
式中、c
ik、c
jkは、ホタルi、jのw番目の次元における座標であり、
ホタルの吸引度γは、
であり、
2-3)個体群多様性の位置更新ポリシー、
即ち式(3)によってホタルの位置を更新し、
ρは、式(8)に示す多様性指数β
nに基づいて変化する重みで、
式(9)に示すとおりであり、式(6)によってホタル間の吸引度を更新し、同時にC
bestを更新し、
式中、|s|は、個体群のサイズを表し、
式中、β
0は、初期個体群多様性指数であり、σは、線形減少関数で、計算式が、
であり、
2-4)反復回数nがmaxIterateに達したら、アルゴリズムを停止してカレントのC
bestを出力し、そうでなければ、ステップ2-2)~2-3)を繰り返し実行することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソフトウェア定義無線センサの技術分野に関し、特に、SDWSN向けの分散型・エントロピー高効率化・省エネのクラスタベースルーティング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無線センサネットワーク(WSN、wireless sensor network)には、一般に1つの基地局と多くのセンサノードが配置される。配置コストが安く、利益が高いという特徴から、WSNは急速な発展と幅広い普及を遂げている。しかしWSNには、ネットワークリソースの制限、ネットワークの管理の柔軟性の不足とルーティングアルゴリズムの局所的有効性などの問題がある。前記問題を解決するためのソフトウェア定義無線センサネットワーク(SDWSN、software defined wireless sensor network)は、ソフトウェア定義技術をWSNに用いて、データプレーンとコントロールプレーンを分離させる。SDWSNは、集中管理及びプログラマビリティによって、ネットワークの柔軟性を向上させ、且つ、異種の高速相互接続、柔軟で効率的なセンシング及び動的で信頼性の高いルーティングをサポートしている。
【0003】
SDWSNは、省エネ、ネットワーク寿命の延長などの大きなチャレンジに直面している。そのために、WSN向けのクラスタベースルーティング方法がSDWSNに用いられるようになり、主にLEACH、DEEC、SEPなどである。クラスタベースルーティングでは、センサノードを異なるクラスタに分けて、各クラスタは、クラスタメンバーの情報を収集し基地局に伝送するクラスタヘッドを1つ有し、この方式によりSDWSNは良好な拡張性及び堅牢性を有している。LEACHでは、クラスタヘッドをランダムに選ぶため、ネットワーク負荷が比較的バランスがとれているが、クラスタヘッドを頻繁に選択するのは、エネルギーの無駄をもたらす。DEECでは、クラスタヘッドを選ぶ時にノードの残留エネルギーを考慮するため、ネットワークのライフサイクルが延長されるが、データの伝送に遅延が生じてしまう。Samayveerらが、重み付き当選確率及び閾値関数によってクラスタヘッドを選ぶ、ネットワークの異種性を説明するためのWSNに用いる3レベルの異種ネットワークモデルを提案している。LEACH-Oは、GA及びLEACHに基づいて、エネルギー効率を高めるとともに、WSNの寿命を延長させている。EADEECは、DEECに基づいて、クラスタのデータ伝送、ノードのライフタイム及び安定性について改善している。Sixuらが、SDWSNに対し、粒子群最適化(PSO、particle swarm optimization)を採用してクラスタヘッドと基地局の相対位置を計算し、ABCに基づく経路探索アルゴリズムで基地局の移動経路を設計することで、センサノードのエネルギーコストを低減させている。
【0004】
近年、クラスタベースルーティング方法のクラスタリング工程を改善するのに多くのスマート最適化アルゴリズムが利用され、動物の集団行動をシミュレートして複雑な最適化問題を近似的に解決する。スマート最適化アルゴリズムは、遺伝的アルゴリズム(GA、genetic algorithm)、ホタルアルゴリズム(FA、firefly algorithm)、人工蜂コロニーアルゴリズム(ABC、artificial bee colony algorithm)などを含む。GAは収束速度が早いが、局所的探索には適さず、FAはGAよりパラメータが少なく、ABCは大域的探索及び収束速度に優位性を持っている。そのうち、FAとABCの方がクラスタベースルーティング方法で実現しやすい。スマート最適化アルゴリズムには求解の精度が低く、局所的最適解に収束しており、探索空間範囲が小さいなどの問題がある。羅剣らがIFCEERを提案しており、当該アルゴリズムは、高エネルギーノードのクラスタリングにFAを用いることで、複数のクラスタリングに消費するエネルギーを低減しているが、収束速度が遅く、求解の精度が低いなどの問題がある。余修武らが、アルゴリズムが局所的最適解に終わるのを避けるFFACMを提案しているが、初期クラスタセンターの設定が不正確であるという欠点はある。Liminと彼のチームがベイズに基づくPSOアルゴリズムを研究しており、当該アルゴリズムは、ベイズの定理の確率密度関数に基づいてパラメータを設定する一方、局所的最適解の問題が避けられず、複雑な多重最小化問題では特に目立っている。HFPSOは、FAとPSOを組み合わせて、カレントの大域的ベストフィットネスの値をチェックすることにより探索プロセスの開始を決定する。PitchaimanickamらがHFAPSOを提案しており、当該アルゴリズムは、HFPSOをLEACH-Cの最適なクラスタヘッドの選択に用いることで、ホタルの大域的探索能力を向上させている。DEEC-FAでは、FAをエネルギーパラメータを有する組み合わせた状態の論理モデルに適用することで、分散型サービス拒否(DDoS、distributed denial of service)攻撃を検出するために用いる。CharanらがFAとBBOを用いてソフトウェア製品ラインに特徴の選択を行う。ShrivastavaらがPSOGWOを提案しており、当該アルゴリズムは、ハイイロオオカミ最適化アルゴリズム(GWO、grey wolf optimizer)とPSOを組み合わせることで、アルゴリズムの実現に要する計算時間を大幅に低減させている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来技術の欠点に対し、SDWSN向けの分散型・エントロピー高効率化・省エネのクラスタベースルーティング方法を提供し、ネットワークのライフサイクルを延長させ、エネルギー利用率を高めることができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
SDWSN向けの分散型・エントロピー高効率化・省エネのクラスタベースルーティング方法であって、
1-1)ネットワークノードは、閾値条件式(1)によって一時的なクラスタヘッドを選び出し、ノード情報をクラスタヘッドによって基地局に送信するステップであって、
【0007】
式中、N個のセンサノードs
i(i=1,2…N)であり、Cは、クラスタヘッドにならなかったノード群を表し、rは、カレントの反復ラウンド数であり、modは、モジュロ演算子であり、H(En
i)は、ノードの相対エネルギーエントロピーであり、
【0008】
【0009】
式中、kは、期待されるクラスタ数の割合であり、En
i(r)は、センサノードs
iのrラウンドでの残留エネルギーであり、
rラウンドのネットワークの平均エネルギーを表すステップと、
【0010】
1-2)基地局は、ホタルアルゴリズムによってクラスタヘッドを選択し、式(3)に示す個体群多様性の位置更新ポリシーに基づいて個体の位置を更新して、カレントの大域的最適解Cbestを得るステップであって、
【0011】
【0012】
式中、c
i、c
jは、ホタルi、jの空間位置を表し、nは、反復ラウンド数であり、βは、光吸収係数であり、γ
0は、ホタルの最大吸引度であり、r
ijは、ユークリッド距離であり、
【0013】
1-3)重力探索アルゴリズムと生物地理学ベースの最適化を組み合わせたアルゴリズムを利用してCbestに対してさらに探索して、大域的最適解Gbestを得て、即ち、エネルギーが最大のノード位置であるステップと、
【0014】
1-4)基地局は、Gbestに基づいてクラスタヘッド・ローテーションテーブルを計算し、フローテーブル情報にロードしてノードに配り、各ノードは、情報を受信及び記憶し、各クラスタからエネルギーが最高のノードをクラスタヘッドとして選び出すステップとを含む。
【0015】
前記ステップ1-1)で、ネットワークノードは、データ層に位置し、ネットワークノードは、閾値条件式(1)によってクラスタヘッドになる確率を評価し、0から1の間で条件付き確率として1つの乱数を抽出し、当該条件付き確率より小さい場合に、ノードは、自身を一時的なクラスタヘッドとして選択し、ノードと基地局の距離がノードとクラスタヘッドの距離より大きい場合に、自身の位置情報、残留エネルギー情報及びトポロジ情報データを直接基地局に伝送し、そうでなければ、クラスタヘッドによってデータを基地局に伝送し、クラスタヘッドは、データの受信、融合及び転送の機能だけを実行する。
【0016】
前記ステップ1-2)で、ホタルアルゴリズムを用いるステップは、次のとおりである。
2-1)パラメータの個体群規模N、初期ステップサイズ因子α、初期個体群多様性指数β0、最大反復回数maxIterateを初期化し、
2-2)相対エネルギーエントロピーに基づいて初期個体群C0を構築し、式(4)によって計算してホタルの輝度Iを並べ替え、最大蛍光輝度を有する個体の位置は、即ちカレントの大域的最適解Cbestであり、
【0017】
【0018】
式中、c
ik、c
jkは、ホタルi、jのw番目の次元における座標であり、
ホタルの吸引度γは、
【0019】
【0020】
2-3)個体群多様性の位置更新ポリシー、即ち式(3)によってホタルの位置を更新し、
式(9)に示すとおりであり、式(6)によってホタル間の吸引度を更新し、同時にC
bestを更新し、
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】
【0026】
2-4)反復回数nがmaxIterateに達したら、アルゴリズムを停止してカレントのCbestを出力し、そうでなければ、ステップ2-2)~2-3)を繰り返し実行する。
【発明の効果】
【0027】
本発明の有益な効果は、次のとおりである。
従来技術の欠点に対し、SDWSN向けの分散型・エントロピー高効率化・省エネのクラスタベースルーティング方法(DHEEC、distributed high-efficiency entropy energy-saving cluster routing algorithm)を提案し、エネルギーエントロピーと、ホタルアルゴリズムと生物地理学ベースの最適化的を組み合わせて設計した最適化アルゴリズムをクラスタヘッドの選択に用いる。当該方法は、ネットワークのライフサイクルを延長させ、エネルギー利用率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、SDWSN向けの分散型・エントロピー高効率化・省エネのクラスタベースルーティング方法のフローチャートである。
【
図2】
図2は、IFCEER、DEEC-FA及びDHEECにおけるネットワークノードのライフサイクルの比較であり、そのうち、(a)は、ノード死数の比較であり、(b)は、ノード死タイミングの比較である。
【
図3】
図3は、IFCEER、DEEC-FA及びDHEECにおける基地局の受信したデータパケット総数の比較である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面と実施例を用いて本発明をさらに説明する。
【0030】
SDWSN向けの分散型・エントロピー高効率化・省エネのクラスタベースルーティング方法であって、当該発明のフローチャートである
図1に示すように、センサノードは、データ層に位置し、自身の位置情報、残留エネルギー情報及びトポロジ情報をクラスタヘッドによって基地局に送信する。基地局は、コントロール層に位置し、クラスタヘッド・ローテーションテーブルを計算し、フローテーブル情報にロードしてクラスタヘッドに配る。
【0031】
当該方法は、次のステップを含む。
1-1)ネットワークノードは、閾値条件式(1)によって一時的なクラスタヘッドを選び出し、ノード情報をクラスタヘッドによって基地局に送信し、
【0032】
式中、N個のセンサノードs
i(i=1,2…N)であり、Cは、クラスタヘッドにならなかったノード群を表し、rは、カレントの反復ラウンド数であり、modは、モジュロ演算子であり、H(En
i)は、ノードの相対エネルギーエントロピーであり、
【0033】
式中、kは、期待されるクラスタ数の割合であり、En
i(r)は、センサノードs
iのrラウンドでの残留エネルギーであり、
【0034】
【0035】
1-2)基地局は、ホタルアルゴリズムによってクラスタヘッドを選択し、式(3)に示す個体群多様性の位置更新ポリシーに基づいて個体の位置を更新して、カレントの大域的最適解Cbestを得て、
【0036】
【0037】
【0038】
1-3)重力探索アルゴリズムと生物地理学ベースの最適化を組み合わせたアルゴリズムを利用してCbestに対してさらに探索して、大域的最適解Gbestを得て、即ち、エネルギーが最大のノード位置であり、
【0039】
1-4)基地局は、Gbestに基づいてクラスタヘッド・ローテーションテーブルを計算し、フローテーブル情報にロードしてノードに配り、各ノードは、情報を受信及び記憶し、各クラスタからエネルギーが最高のノードをクラスタヘッドとして選び出す。
【0040】
前記ステップ1-1)で、ネットワークノードは、データ層に位置し、ネットワークノードは、閾値条件式(1)によってクラスタヘッドになる確率を評価し、0から1の間で条件付き確率として1つの乱数を抽出し、当該条件付き確率より小さい場合に、ノードは、自身を一時的なクラスタヘッドとして選択する。ノードと基地局の距離がノードとクラスタヘッドの距離より大きい場合に、自身の位置情報、残留エネルギー情報及びトポロジ情報データを直接基地局に伝送し、そうでなければ、クラスタヘッドによってデータを基地局に伝送し、クラスタヘッドは、データの受信、融合及び転送の機能だけを実行する。
【0041】
前記ステップ1-2)で、改善されたホタルアルゴリズムを用いるステップは、次のとおりである。
【0042】
2-1)パラメータの個体群規模N、初期ステップサイズ因子α、初期個体群多様性指数β0、最大反復回数maxIterateなどを初期化し、
2-2)相対エネルギーエントロピーに基づいて初期個体群C0を構築し、式(4)によって輝度を計算して並べ替え、最大蛍光輝度を有する個体の位置は、即ちカレントの大域的最適解Cbestであり、
【0043】
式中、I
0は、ホタルの最大蛍光輝度であり、βは、光吸収係数であり、r
ijは、ユークリッド距離であり、
【0044】
式中、c
i、c
jは、ホタルi、jの空間位置を表し、c
ik、c
jkは、ホタルi、jのw番目の次元における座標である。
【0045】
【0046】
2-3)個体群多様性の位置更新ポリシー、即ち式(3)によってホタルの位置を更新し、
式(9)に示すとおりであり、式(6)によってホタル間の吸引度を更新し、同時にC
bestを更新し、
【0047】
【0048】
【0049】
【0050】
【0051】
2-4)反復回数nがmaxIterateに達したら、アルゴリズムを停止してカレントのCbestを出力し、そうでなければ、ステップ2-2)~2-3)を繰り返し実行する。
【0052】
(実施例)
当業者が本発明を理解及び実施しやすいように、本発明に記載の方法の具体的な実施例を示す。SDWSN向けの分散型・エントロピー高効率化・省エネのクラスタベースルーティング方法の構想は、エネルギーエントロピーと、ホタルアルゴリズムと生物地理学ベースの最適化的を組み合わせて設計した最適化アルゴリズムをクラスタヘッドの選択に用いることである。当該方法は、ネットワークのライフサイクルを延長させ、エネルギー利用率を高めることができる。
【0053】
ソフトウェアmatlab2018aを用いて、SDWSNネットワークモデルを確立し、当該ネットワークモデルは、次の特徴を有する。100個のネットワークノードがランダムに100m×100mのエリアに分布し、基地局はエリアの中心に位置し、基地局とクラスタヘッドはOpenFlowプロトコルに基づいてデータ情報を交換し、ノードのハードウェアとソフトウェア構成が同じであり、いずれも一意の番号を有し、位置が固定しており、ネットワークのリンクは対称であり、基地局の計算速度及びデータ伝送能力はセンサノードを上回っている。ネットワークシミュレーションパラメータの一部は、表1に示すとおりである。
【0054】
表1
表1:ネットワークシミュレーションパラメータ
【0055】
ネットワークノードは、閾値条件式(1)によって一時的なクラスタヘッドを選び出し、ノード情報をクラスタヘッドによって基地局に送信し、
【0056】
式中、N個のセンサノードs
i(i=1,2…N)であり、Cは、クラスタヘッドにならなかったノード群を表し、rは、カレントの反復ラウンド数であり、H(En
i)は、ノードの相対エネルギーエントロピーであり、
【0057】
【0058】
式中、kは、期待されるクラスタ数の割合であり、ここで、k=0.05であり、Eni(r)は、センサノードsiのrラウンドでの残留エネルギーであり、E(r)は、rラウンドのネットワークの平均エネルギーを表し、
基地局は、ホタルアルゴリズムによってクラスタヘッドを選択し、シミュレーションパラメータの一部は、表2に示すとおりであり、個体群多様性の位置更新ポリシーに基づいて個体の位置を更新して、カレントの大域的最適解Cbestを得る。
【0059】
表2
表2:ホタルアルゴリズムのシミュレーションパラメータ
重力探索アルゴリズム及び生物地理学ベースの最適化を利用してC
bestに対してより精密に探索し、シミュレーションパラメータの一部は、表3に示すとおりである。
【0060】
表3
表3:重力探索アルゴリズムと生物地理学ベースの最適化のシミュレーションパラメータ
【0061】
Cbestに基づいて初期個体群C0を構築し、適合度指標HSIを計算して、並べ替え、カレントの大域的最適解Gbestを更新し、
【0062】
式(7)及び式(8)によって生息地の転出住民指数μk及び転入住民指数λkを計算して、移動操作を行い、式(9)によって変異操作を行い、
【0063】
【0064】
式中、S
kは、現在の個体群の個体数を表し、S
maxは、最大個体群の個体数を表し、Iは、最大住民転入率を表し、Eは、最大住民転出率を表す。
【0065】
式中、Mは、最大変異率を表し、P
iは、種確率を表し、P
maxは、最大種確率を表し、ここで、P
max=Nである。
式(10)によって各個体群の慣性質量を計算し、式(11)によって個体の位置を更新し、
【0066】
【0067】
式中、SIViは、適合度指標変数を表し、Mtは、個体群の慣性質量を表し、best(t)は、カレントの最適解であり、worst(t)は、カレントの最悪解である。
【0068】
【0069】
反復回数が100に達したら、アルゴリズムを停止してカレントの大域的最適解Cbestを出力する。Gbestは、即ちカレントの反復回数でエネルギーが最大のノードで、クラスタヘッドに選ばれる。
【0070】
ネットワークノードのエネルギーは、アルゴリズムの反復回数の増加につれて減少し、所定の反復回数後に枯渇して、ノード死に至る。ネットワークのノード死数は、ネットワークのライフサイクルを表す。
図2は、IFCEER、DEEC-FA及びDHEECの3つのアルゴリズムのネットワークのライフサイクルに対する影響を示す。そのうち、
図2の(a)は、最大反復回数が5000ラウンドである時の、IFCEER、DEEC-FA及びDHEECの3つのアルゴリズムのノード死数の変化を示す。IFCEER、DEEC-FA及びDHEECの3つのアルゴリズムの全ノード死のラウンド数が、それぞれ、3754、2000、3568ラウンドであることが示されている。ネットワークの最初のノード死が起こると、基地局の収集する情報は完全でなくなり、アルゴリズムを実行していくのにつれて、死ノード数が増加し、後期に生き残った少数のノードは残留エネルギーが低く、通信能力を失っている。したがって、ネットワークのライフサイクルをより全面的に評価するためには、
図2の(b)でIFCEER、DEEC-FA及びDHEECの3つのアルゴリズムの最初のノード死のラウンド数(FND、first node died)、10%ノード死のラウンド数(TND、10% node died)及び全ノード死のラウンド数(LND、last node died)を比較している。IFCEERは高エネルギーノードだけがクラスタヘッドの選択の候補に入るため、FNDとLNDが非常に近く、DEEC-FAのFNDは他の2つのアルゴリズムよりはるかに小さく、アルゴリズムの初期でネットワークの性能低下が大きいことが分かった。ネットワーク全体のエネルギー消費にバランスがとれるよう、TNDをネットワークのライフサイクルと定義し、DHEECのTNDは、IFCEERより約13.89%高められ、DEEC-FAより約41.05%高められている。
【0071】
アルゴリズムを実行するプロセスで、生き残ったメンバーノードは収集したデータをクラスタヘッドに伝送し、クラスタヘッドはまた基地局に伝送し、全てのノードの伝送が完了したら、基地局は当ラウンドで受信したデータパケット数を集計する。したがって、基地局の受信したデータパケット総数でエネルギー利用率を評価し、基地局の受信したデータパケットが多いほど、エネルギーの分布によりバランスがとれている。
図3は、IFCEER、DEEC-FA及びDHEECの3つのアルゴリズムが5000ラウンド反復した後の基地局の受信したデータパケット総数の変化を示す。これによって、DHEECは、エネルギー利用率がIFCEERより約31.58%高められ、DEEC-FAより約31.06%高められていると結論付ける。
【0072】
最後に明言すべきは、上記の実施例が本発明の技術的解決手段を非限定的に説明するためのもので、当業者は前記実施例を参照しながら依然として本発明の特定の実施形態に修正又は同等な置換を行うことができ、本発明の趣旨と範囲から逸脱しないこれらの任意の修正又は同等な置換が、本発明の特許請求の範囲に含まれる。
【要約】 (修正有)
【課題】SDWSN向けの分散型・エントロピー高効率化・省エネのクラスタベースルーティング方法を提供する。
【解決手段】方法は、ネットワークノードが、閾値条件式により一時的なクラスタヘッドを選び、ノード情報をクラスタヘッドより基地局に送信し、基地局が、ホタルアルゴリズムによってクラスタヘッドを選択し、個体群多様性の位置更新ポリシーに基づいて個体の位置を更新し、カレントの大域的最適解C
bestを得て、重力探索と生物地理学ベースの最適化を組み合わせたアルゴリズムを利用してさらに探索し、大域的最適解を得て、エネルギーが最大のノードを選び出し、基地局が、大域的最適解に基づいてクラスタヘッド・ローテーションテーブルを計算し、フローテーブル情報にロードしてノードに配り、各ノードが、情報を受信及び記憶し、各クラスタからエネルギーが最高のノードをクラスタヘッドとして選び出す。
【選択図】
図1