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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-06
(45)【発行日】2023-10-17
(54)【発明の名称】農作業機用状態検知システム
(51)【国際特許分類】
   A01B 63/102 20060101AFI20231010BHJP
   A01B 33/02 20060101ALI20231010BHJP
   A01B 63/00 20060101ALI20231010BHJP
【FI】
A01B63/102
A01B33/02 Z
A01B63/00 B
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019085016
(22)【出願日】2019-04-26
(65)【公開番号】P2020178641
(43)【公開日】2020-11-05
【審査請求日】2022-01-19
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000188009
【氏名又は名称】松山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】弁理士法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池内 善活
(72)【発明者】
【氏名】山本 誠
【審査官】櫻井 健太
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-136878(JP,A)
【文献】特開2001-352807(JP,A)
【文献】特開2014-195422(JP,A)
【文献】特開2016-049029(JP,A)
【文献】特開2019-004806(JP,A)
【文献】特開2020-156389(JP,A)
【文献】特開2000-078903(JP,A)
【文献】特開2011-045287(JP,A)
【文献】特開2017-046656(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 27/00 - 67/00
A01B 71/00 - 79/02
A01D 34/00 - 34/01
A01D 34/412- 34/90
A01D 42/00 - 42/08
A01D 43/06 - 43/077
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラクタに装着して農作業を行う作業部を備える農作業機が移動時の走行に適した走行可能状態であるか否かを判定する農作業機用状態検知システムにおいて、
当該農作業機用状態検知システムは、前記農作業機の前記作業部の状態を変更させるアクチュエータと、前記農作業機に設けられる制御部と、前記農作業機の前後方向の角度を検出するセンサと、前記トラクタに設けられるトラクタ制御部と、前記トラクタに配置される通信変換装置と、前記トラクタに配置される表示部とを備え、
前記農作業機は、前記アクチュエータの作動により折り畳みが可能な延長作業部を備える農作業機であり、
前記制御部は、前記延長作業部が折り畳んでいる場合で、かつ、前記農作業機が予め定めた角度以上に前側に傾いている場合に、移動時の走行に適した走行可能状態であると判定し、走行可能状態でないと判定された場合は運転条件信号を前記通信変換装置へ無線で出力し、
前記通信変換装置は、前記運転条件信号を前記制御部との無線通信で使用する通信方式から、前記トラクタ制御部との有線通信で使用する通信方式へ変換し、前記トラクタ制御部へ出力し、
前記トラクタ制御部は、前記運転条件信号を受信した場合は、前記表示部に運転注意情報を表示させることを特徴とする農作業機用状態検知システム。
【請求項2】
請求項1に記載の農作業機用状態検知システムにおいて、
当該農作業機用状態検知システムは、スピーカーを備え、
前記スピーカーは、前記トラクタに配置されるとともに、前記制御部が運転条件信号を出力した場合に音による報知を行うことを特徴とする農作業機用状態検知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農作業機用状態検知システムに関し、特に、トラクタに農作業機を装着して走行する場合に走行に適した状態であるか否かを検知する農作業機用状態検知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
トラクタに装着する農作業機は、農作業に適した状態、又は、走行に適した状態に変更可能な構成を有するものは多数存在する。
【0003】
例えば、特許文献1には、折り畳み可能な農作業機が記載されている。ここで、農作業機を開いた状態では、作業幅を広くでき、作業効率を向上させることができる。また、非作業時においては、折り畳んだ状態として全幅を短くできる。このことにより、トラクタに装着して移動するとき、より安全な走行が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平10-295111号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、トラクタに装着した農作業機がどのような状態であっても、トラクタの速度を上げて走行することは可能であるので、農作業機の状態によっては安全性が低下する可能性がある。
【0006】
例えば、特許文献1に記載された農作業機であれば、左右の作業機部分を開いたままの状態で、トラクタを高速で運転すれば、安全性が低下した状態での走行になる。そして、従来は、このような状態を検知するシステムは存在していなかった。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みて、トラクタに農作業機を装着して走行する場合に走行に適した状態であるか否かを検知する農作業機用状態検知システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、代表的な本発明の農作業機用状態検知システムの一つは、トラクタに装着して農作業を行う作業部を備える農作業機が移動時の走行に適した走行可能状態であるか否かを判定する農作業機用状態検知システムにおいて、当該農作業機用状態検知システムは、前記農作業機の前記作業部の状態を変更させるアクチュエータと、前記農作業機に設けられる制御部と、前記農作業機の前後方向の角度を検出するセンサと、前記トラクタに設けられるトラクタ制御部と、前記トラクタに配置される通信変換装置と、前記トラクタに配置される表示部とを備え、前記農作業機は、前記アクチュエータの作動により折り畳みが可能な延長作業部を備える農作業機であり、前記制御部は、前記延長作業部が折り畳んでいる場合で、かつ、前記農作業機が予め定めた角度以上に前側に傾いている場合に、移動時の走行に適した走行可能状態であると判定し、走行可能状態でないと判定された場合は運転条件信号を前記通信変換装置へ無線で出力し、前記通信変換装置は、前記運転条件信号を前記制御部との無線通信で使用する通信方式から、前記トラクタ制御部との有線通信で使用する通信方式へ変換し、前記トラクタ制御部へ出力し、前記トラクタ制御部は、前記運転条件信号を受信した場合は、前記表示部に運転注意情報を表示させることを特徴とする。
【0010】
らに本発明の農作業機用状態検知システムの一つは、当該農作業機用状態検知システ
ムは、スピーカーを備え、前記スピーカーは、前記トラクタに配置されるとともに、前記
制御部が運転条件信号を出力した場合に音による報知を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、農作業機用状態検知システムにおいて、トラクタに農作業機を装着して走行する場合に走行に適した状態であるか否か検知してより安全な走行をサポートできる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の農作業機用状態検知システムの第1の実施形態のブロック図である。
図2】本発明の農作業機用状態検知システムの第1の実施形態の平面概略図である。
図3】本発明の農作業機用状態検知システムの第1の実施形態で適用する農作業機の第1の状態を示す背面図である。
図4】本発明の農作業機用状態検知システムの第1の実施形態で適用する農作業機の第2の状態を示す背面図である。
図5】本発明の農作業機用状態検知システムの第1の実施形態で適用可能な操作部の一例を示す。
図6】本発明の農作業機用状態検知システムの第1の実施形態のフローチャートの例を示す。
図7】本発明の農作業機用状態検知システムの第2の実施形態のブロック図である。
図8】本発明の農作業機用状態検知システムの第2の実施形態の平面概略図である。
図9】本発明の農作業機用状態検知システムの第3の実施形態の平面概略図である。
図10】本発明の農作業機用状態検知システムの第4の実施形態の平面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明を実施するための形態を説明する。
【0015】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の農作業機用状態検知システムの第1の実施形態のブロック図である。
【0016】
トラクタ1に装着する農作業機2を備える構成において、トラクタ1側には、エンジン11、変速機12、スピーカー13、表示部14、トラクタ制御部15を備えている。さらに、トラクタ1側には、操作部19が配置可能となっている。また、農作業機2側には、制御部21、アクチュエータ22、センサ23を備えている。
【0017】
エンジン11は、トラクタ1に予め備えられているトラクタ1のためのエンジンである。回転数等の情報をトラクタ制御部15に出力可能となっている。
【0018】
変速機12は、トラクタ1に予め備えられているトラクタ1のための変速機である。変速機12の状態の情報をトラクタ制御部15に出力可能となっている。
【0019】
スピーカー13は、トラクタ1に予め備えられているものでもよいし、トラクタ1に追加で配備してもよい。スピーカー13は、トラクタ1の運転席近傍に備えられ、トラクタ1を操作する作業者に音の情報を伝達可能となっている。
【0020】
表示部14は、トラクタ1に作業者が運転時に見やすい位置に設置され、作業者に検知に基づく走行に適した状態かを知らせることができる。表示部14は、例えば、液晶、有機EL、LED等による表示画面を備えていることができる。また、これ以外に、LED等のランプの点灯、色替え、点滅等の方法により知らせる構成でも適用できる。表示部14は、トラクタ1に予め設置されている表示装置を用いてもよい。このときアプリケーション(アプリケーション・ソフトウェア)を導入して必要な処理が可能な構成を備えることができる。なお、表示部14は、トラクタ1の制御内容を表示するものを適用することもできる。
【0021】
トラクタ制御部15は、トラクタ1側の制御のための処理を行う。トラクタ制御部15は、トラクタ1に予め備えられているものを利用できる。トラクタ制御部15は、エンジン11、変速機12、スピーカー13、表示部14等に対する制御のための処理を行う。例えば、トラクタ1の運転席に備えるアクセル等の状態に応じてエンジン11の回転の制御を行う。また、トラクタ1の運転席に備えるシフトレバーの操作により変速機12を切り換える制御を行う。また、制御部21から送られてくる信号に応じて、スピーカー13から音を出す制御や表示部14で表示させる制御を行う。このとき、トラクタ制御部15の情報を加味することができる。ここでのトラクタ制御部15の情報は、例えば、トラクタ1の速度等であり、これはエンジン11や変速機12の情報から算出することも可能である。また、トラクタ制御部15の情報は、制御部21へ送信することも可能である。
【0022】
操作部19は、アクチュエータ22を作動させて、農作業機2の状態を変化させるための操作部である。操作のために、押しボタン等による複数の操作スイッチを備えることができる。操作スイッチの操作による情報は、制御部21へ送信される。本実施形態では無線により送信可能な構成を示している。
【0023】
制御部21は、トラクタ制御部15との通信、及び、操作部19と無線通信が可能である。制御部21は、操作部19の操作情報に基づきアクチュエータ22の制御を行う。ここで、センサ23からの情報を制御に反映してもよい。そして、制御部21は、後述する走行に適した状態か否かを判定するための処理が可能である。また、制御部21は、処理を行った情報等をトラクタ制御部15へ送信することもできる。また、制御部21は、必要に応じて制御に必要なデータを記憶しておく記憶部を有していてもよい。制御部21は、制御や処理等のために必要な電子デバイス等で構成される。
【0024】
アクチュエータ22は、農作業機2の一部を必要に応じて可動させるためのアクチュエータである。アクチュエータ22としては、例えば、油圧シリンダや電動油圧シリンダ等のシリンダや、モータ等である。特に、農作業機2の農作業を行う作業部の状態を変更するアクチュエータや、作業部を作動させるアクチュエータ等である。作業部の状態を変更するアクチュエータは、例えば、作業部の位置を変更する等して状態を変更できる。
【0025】
センサ23は、農作業機2の必要に応じて様々な種類のセンサが適用され、農作業機2の適切な場所に設置される。センサ23は、例えば、加速度センサ、角速度センサ、傾斜センサ、地磁気センサ、回転センサ、ポテンショメータ、リミットスイッチ、ストロークセンサ等である。これにより、アクチュエータ22の状態、アクチュエータ22による農作業機2の状態、農作業機2の現在の状態(例えば、傾きや作業深さ等)等を検知することができる。
【0026】
図2は、本発明の農作業機用状態検知システムの第1の実施形態の平面概略図である。図3は、本発明の農作業機用状態検知システムの第1の実施形態で適用する農作業機の第1の状態を示す背面図である。図4は、本発明の農作業機用状態検知システムの第1の実施形態で適用する農作業機の第2の状態を示す背面図である。図2~4の農作業機2は折り畳み機構を備えた代掻き作業機30による実施形態を示している。以下、代掻き作業機30の進行方向を前方向として説明している。図2の左右方向が横方向であり、図2の上下方向が前後方向である。図3、4の左右方向が横方向であり、図3、4の上下方向が代掻き作業機30の上下方向である。
【0027】
図2に示すように、トラクタ1の後方に代掻き作業機30の中央作業部35が装着される。中央作業部35の両側に設置された延長作業部35’は、中央作業部35に対して折り畳み可能となっている。トラクタ1の運転席の付近には操作部19が配置される。制御部21は、中央作業部35に設置されている。また、アクチュエータ22、センサ23は、用途に応じて代掻き作業機30の適した場所に設置される。トラクタ制御部15は配線16と接続されて先端がコネクタ16aとなっている。制御部21は配線25と接続されて先端がコネクタ25aとなっている。コネクタ16aとコネクタ25aはトラクタ1と代掻き作業機30の間付近で接続され、トラクタ制御部15と制御部21は有線接続されている。
【0028】
ここで、操作部19で操作した操作情報は、無線通信により制御部21へ送られる。制御部21では、その情報に基づきアクチュエータ22を制御する。センサ23からの情報は、制御部21に送信される。制御部21では、センサ23から送られてきた情報又は制御部21の制御情報に基づき、代掻き作業機30が走行に適した状態か否かを判断する。そして、その判断に基づく情報をトラクタ制御部15に出力する。トラクタ制御部15では、制御部21からの情報に基づきスピーカー13による報知や表示部14による表示の制御を行う。このとき、必要に応じてトラクタ制御部15の制御情報(例えばトラクタ1の速度情報)を用いることができる。また、制御部21からの情報は、トラクタ制御部15によるトラクタ1の制御(例えば、走行制御等)に活用することもできる。
【0029】
図3、4には、具体的な代掻き作業機30の形状が示されている。中央作業部35には、装着部31であるマスト31aと左右のヒッチ31bが設けられ、これらを介して代掻き作業機30がトラクタ1に装着される。トラクタ1からの動力は、前側に設けられる入力軸を介して入力され、カバー32やその後方の第1の整地体33の内側で代掻き爪48を備える耕耘部49に伝達される。そして、耕耘部49が回転して土を細かくするとともに、第1の整地体33とその後方に備えられる第2の整地体34により土の表面を平らにする。このようにして代掻き作業を行う。また、制御ボックス38は、カバー32上に設置されている。制御ボックス38はその他の場所に設置されてもよく、その他のフレーム等に設置してもよい。
【0030】
左右の電動油圧シリンダ36は、シリンダが伸び縮みすることにより、回動機構37を作用させ中央作業部35の左右端部側にそれぞれ設けられた延長作業部35’を回動させ、それぞれ内側に閉じて折り畳むか、外側に開くかすることができる。図3は、両側の延長作業部35’が開いた状態であり、図4は、両側の延長作業部35’を横方向の内側に閉じて折り畳んだ状態である。図3の状態では、延長作業部35’が延長されて代掻き作業の全幅を広くでき、作業の効率を上げることができる。また、図4の状態では、両側の延長作業部35’が折り畳んでいる状態であるので、代掻き作業機30の横方向の全幅を短くでき、移動時の走行に適した状態となる。
【0031】
左右の延長整地体駆動装置40(図3参照)は、内部のモータが回転することにより、アーム42やワイヤ43を介して左右の延長整地体41をそれぞれ回動軸41aを中心に回動させることができる。このことで、第2の整地体34の両側端部に設けられた延長整地体41を外側に開いて延長するか(図3の左側の状態)内側に閉じて折り畳むか(図3の右側の状態)を選択できる。なお、図4の状態では、左右の延長整地体41は折り畳んだ状態である。
【0032】
第2の整地体駆動装置46は、内部のモータが回転することにより、第2の整地体リンク手段47を介して第2の整地体34を回動させ下側で固定した土引き状態とするか回動が固定されていない通常の代掻き状態とするかを選択することができる。
【0033】
これら、電動油圧シリンダ36や、延長整地体駆動装置40(のモータ)、第2の整地体駆動装置46(のモータ)を図1、2のアクチュエータ22として適用できる。また、図1、2のセンサ23としては、これらのアクチュエータやそれによる作動状態を検知するセンサ等を適用できる。例えば、延長作業部35’の開閉を検知するセンサ(例えばリミットスイッチ等)や、電動油圧シリンダ36の作動を検知するセンサ(例えばストロークセンサ等)等である。さらに、センサ23として、代掻き作業機30上に傾斜センサや加速度センサ等を設けてもよい。このセンサは制御ボックス38内に設けることも可能である。
【0034】
図5は、本発明の農作業機用状態検知システムの第1の実施形態で適用可能な操作部の一例を示す。
【0035】
図5では、図1の操作部19の具体的な例として操作部50を示している。操作部50は、開スイッチ50a、閉スイッチ50b、左スイッチ50c、右スイッチ50d、左開スイッチ50e、左閉スイッチ50f、右開スイッチ50g、右閉スイッチ50h、代かきスイッチ50i、土引スイッチ50jを備えている。これらは、押しボタンで構成することができる。
【0036】
開スイッチ50aを押すと、操作情報が制御部21に送信されて、制御部21により左右の電動油圧シリンダ36を制御して、延長作業部35’を開いて図3の状態となる。閉スイッチ50bを押すと、操作情報が制御部21に送信されて、制御部21により左右の電動油圧シリンダ36を制御して、延長作業部35’を折り畳んで図4の状態となる。また、左スイッチ50cを押してから、開スイッチ50aまたは閉スイッチ50bを押すと、左側だけの延長作業部35’の開閉を操作できる。また、右スイッチ50dを押してから、開スイッチ50aまたは閉スイッチ50bを押すと、右側だけの延長作業部35’の開閉を操作できる。
【0037】
左開スイッチ50e、左閉スイッチ50f、右開スイッチ50g、右閉スイッチ50hは、延長整地体駆動装置40を制御することで、それぞれ左の延長整地体41を開く操作、左の延長整地体41を閉じる操作、右の延長整地体41を開く操作、右の延長整地体41を閉じる操作を行うことができる。
【0038】
代かきスイッチ50i、土引スイッチ50jは、第2の整地体駆動装置46を制御することで、第2の整地体34を代掻き状態にする操作、土引き状態にする操作を行うことができる。
【0039】
図6は、本発明の農作業機用状態検知システムの第1の実施形態のフローチャートの例を示す。ここでは、制御部21による処理を示している。
【0040】
まず、処理がスタートすると(S101)、走行可能状態か否かを判定する(S102)。ここでの走行可能状態は、農作業機2を装着したトラクタ1が、移動のための走行をすることに適した状態か否かを判定するものである。
【0041】
S102の判定は、農作業機2の農作業を行う作業部の状態により判定することができる。例えば、代掻き作業機30であれば、左右の延長作業部35’が折り畳んだ図4の状態であれば、走行可能状態と判定できる。これは、横方向の全幅を短くした状態であるので、移動のための走行に適した状態となるからである。この判定は、センサ23として、延長作業部35’の開閉を検知するセンサや、電動油圧シリンダ36の状態を検知するセンサ等を必要に応じて設け、これらのセンサの情報を用いて確実な判定が可能である。また、制御部21の電動油圧シリンダ36を制御する情報に基づき判定することも可能である。
【0042】
S102の判定は、さらに、代掻き作業機30(農作業機2)の前後方向の角度(傾き)の検知を用いることができる。代掻き作業機30を装着したトラクタ1が、移動のための走行をする場合、トラクタ1での操作により、代掻き作業機30を上側に上げて走行することで安全性を確保できる。このとき、トラクタ1に装着される代掻き作業機30は、トラクタ1に対して上側に移動すると連結部の構成により、通常は、前側に傾く性質がある。このため、予め定めた角度よりも、代掻き作業機30が前側に傾いたら、代掻き作業機30が所定角度以上、上側に上がっていると判断し、走行可能状態と判定できる。この判定は、センサ23として、代掻き作業機30の傾きを検知するセンサ(例えば、傾斜センサや加速度センサ等)を設け、このセンサの情報により判定できる。また、トラクタ1のトラクタ制御部15から、農作業機2を連結する連結部(例えば、ヒッチアーム等)の上下位置の信号(例えば、最上げが100%、最下げを0%とした場合のパーセント表示の信号等)が出力されている場合、これを利用することもできる。この信号を制御部21で受信して、農作業機2が所定角度以上、上側に上がっているか判断し、走行可能状態か否かを判定してもよい。
【0043】
このようにS102の判定は、代掻き作業機30の作業部の状態や、代掻き作業機30の前後方向の傾き(横方向に延びる軸を回転軸とする場合の傾き)の状態を用いることで判定が可能である。代掻き作業機30の作業部の状態だけで判定を行ってもよいし、さらに、代掻き作業機30の前後方向の傾きの状態を加えてより確実な判定を行ってもよい。これら2つの状態を用いる場合は、代掻き作業機30の作業部の状態、代掻き作業機30の前後方向の傾きの状態のいずれも、走行に適した状態であると判定される場合に走行可能状態と判定される。逆に、いずれかが走行に適してない状態の場合は走行可能状態でないと判定される。
【0044】
S102で走行可能状態でないと判定された場合はS103に行き、走行可能状態であると判定された場合は、S102の判定に戻る。すなわち、走行可能状態であると判定された場合は、表示部14やスピーカー13等の制御は行われず、トラクタ制御部15による走行制御も行われない。
【0045】
S103では、運転条件変更または規制する信号を出力する。ここでの出力は、制御部21からトラクタ制御部15へ送信する。ここで、運転条件変更または規制する信号は、代掻き作業機30が走行に適した状態でないと判定した情報に基づく信号である。トラクタ制御部15はその情報に応じて制御を行う。以下その具体例について説明する。
【0046】
トラクタ制御部15は、運転条件変更または規制する信号を受信した場合は、運転注意情報を表示部14に表示させる。具体的には、所定速度以上での走行は危険である旨の情報を文字又は図又は絵等により表示部14の表示画面に表示させる。また、このような情報をスピーカー13から音声で報知してもよい。さらに、実際にトラクタ1が予め定めた所定速度以上で走行する場合は、現在の走行が危険である旨の情報を表示部14の表示画面に文字又は図又は絵等により表示させる。加えて、音声や警告音による音による報知をスピーカー13から行うこともできる。このとき、予め定めた所定速度と現在の速度との比較と判定はトラクタ制御部15で行うことができる。もしくは、現在の速度の情報を制御部21がトラクタ制御部15から取得し、制御部21で予め定めた所定速度と現在の速度と比較して判定する処理を行ってもよい。その結果はトラクタ制御部15へ出力される。ここで予め定めた所定速度は、実際の農作業を行う速度よりも大きい速度(例えば、7km/h以上、さらには10km/h以上、さらには15km/h以上等)で、通常の移動走行時よりも小さい速度(例えば、20km/h以下、さらには15km/h以下、さらには12km/h以下等)である。
【0047】
また、表示部14では、現在の代掻き作業機30の状態(延長作業部35’の開閉の状態や代掻き作業機30の前後方向の角度等)を、図又は絵又は文字等により表示させてもよい。
【0048】
さらに、トラクタ制御部15は、運転条件変更または規制する信号を受信した場合は、実際に、エンジン11や変速機12を制御して、トラクタ1が予め定めた所定速度以上の速度にならないように走行制御を行ってもよい。また、変速機12が所定以上の高いギアにならないように制御してもよい。
【0049】
このように第1の実施形態では、代掻き作業機30の状態をふまえて、走行可能状態であるか否かを判定し出力することにより、代掻き作業機30を装着したトラクタ1のより安全な走行をサポートできる。特に、代掻き作業機30の状態として、作業部の状態(延長作業部35’の開閉状態)や前後方向の傾きの状態を適用することで、より適確な判定が可能となる。作業者は、表示部14の表示やスピーカー13からの報知を受けたら、操作部50の操作やトラクタ1における操作により、代掻き作業機30を走行に適した状態に変更できる。
【0050】
(第2の実施形態)
図7は、本発明の農作業機用状態検知システムの第2の実施形態のブロック図である。図8は、本発明の農作業機用状態検知システムの第2の実施形態の平面概略図である。この第2の実施形態では、第1の実施形態と異なる点について主に説明し、同一の箇所には同一の符号を付してあり、特に説明がない部分は同じ説明を省略している。
【0051】
この実施形態では、通信変換装置17を追加した点が第1の実施形態と異なる。そして、図7、8において、トラクタ制御部15’と通信変換装置17は通信線18で有線接続されている。
【0052】
トラクタ制御部15’は、トラクタ1側の制御のための処理を行う点は第1の実施形態と同様である。一方、本実施形態では、トラクタ1側の制御情報を、トラクタ制御部15’から通信変換装置17に送信する制御が行われる。また、通信変換装置17からの情報をトラクタ制御部15’で受信することが可能である。
【0053】
通信変換装置17は、異なる種類の通信を変換可能な構成を備えている。通信変換装置17は、トラクタ制御部15’と通信線18を介して通信が可能であると共に、制御部21と無線通信Rが可能である。ここで、無線通信Rは制御部21で適用可能な通信方式を採用している。また、通信線18の通信方式はトラクタ制御部15’に適用可能な通信方式を採用している。ここで、通信方式が異なる場合は、その方式に対応した機器でなければ通信を行うことができないため、無線通信Rと通信線18の通信方式が異なる場合に通信変換装置17で変換を行う。通信変換装置17は、同じ情報に対して、無線通信Rの通信方式を通信線18の通信方式に変換可能である。さらに、通信変換装置17は、同じ情報に対して、通信線18の通信方式を、無線通信Rの通信方式に変換可能である。
【0054】
無線通信Rは各種の無線通信方式が適用できる。また、通信変換装置17と制御部21の間は、Bluetooth〈登録商標〉であればペアリングを行い、Bluetooth以外のWi-Fi等では、ペアリング以外の方式を適用する。
【0055】
通信方式の例としては、通信線18の通信方式がCAN(Controller Area Network)である場合があげられる。CANは、トラクタに広く採用されている通信方式でありトラクタ1のトラクタ制御部15’で採用されている可能性が高いものである。このため、トラクタ制御部15’から出力される情報としてCANを適用できる可能性が高い。また、無線通信Rの通信方式としては、BLE(Bluetooth Low Energy)である場合があげられる。BLEは、無線通信において低電力で通信を行える効果を有しており、トラクタ1と農作業機2間において有効な通信方式である。この場合、通信変換装置17は、BLEからCAN、または、CANからBLEの通信方式に変更する。
【0056】
農作業機2の制御部21からの情報は、無線通信Rを介してトラクタ1側の通信変換装置17へ送られる。通信変換装置17では、通信方式が変換されて通信線18を介してトラクタ制御部15’へその情報が送られる。一方、トラクタ制御部15’からの情報は、通信線18を介して通信変換装置17へ送られる。通信変換装置17では、通信方式が変換されて無線通信Rを介して、制御部21へその情報が送られる。
【0057】
このように、第2の実施形態では、トラクタ制御部15’に適用できる通信方式と、制御部21に適用できる通信方式が異なる場合でも、通信変換装置17を用いることで通信が可能となる。従来は、適用できる通信方式が異なる場合は、制御部21ごと変更する必要があり、手間とコストがかかるものであった。しかし、第2の実施形態では、通信変換装置17の追加のみで、農作業機用状態検知システムの構築が可能となり、汎用性を高くすることが可能である。
【0058】
(第3の実施形態)
図9は、本発明の農作業機用状態検知システムの第3の実施形態の平面概略図である。第3の実施形態では、第1の実施形態と異なる点について主に説明し、同一の箇所には同一の符号を付してあり、特に説明がない部分は同じ説明を省略している。ここでの実施形態では、農作業機2として畦塗り作業を行う畦塗り機100に適用する例を示す。なお、図9の上が前側(畦塗り作業の前進方向)、下が後ろ側を示し、図9の左右方向が横(左右)方向を示す。また、図9では、トラクタ1は図示を簡略化している。
【0059】
畦塗り機100は、装着部102がトラクタ1の後部に装着される。中間フレーム103の一端側は装着部102に対して左右方向に回動可能に接続されており、中間フレーム103の他端側は回動機構104をともない作業部105と接続されている。作業部105は、前側が耕耘部107でその後ろにディスク部108が設けられている。トラクタ1からのPTO動力は、図示を省略した伝動機構を介して作業部105へ送られる。作業部105は、耕耘部107における耕耘部カバー107b内の爪107aの回転により、旧畦の土をディスク部108へ送り、そしてディスク部108の回転により新たな畦形状に整形する構成である。
【0060】
また、畦塗り機100は、第1シリンダ111及び第2シリンダ112が設けられている。第1シリンダ111の伸縮により、作業部105をオフセット移動可能として、オフセット量(トラクタ1に対する横方向の位置)を調整できる。また、図9の前進作業状態から第1シリンダ111を十分に縮ませることにより中間フレーム103を装着部102に対して矢印Pの方向に回動させる。これにより作業部105をトラクタ1に対する左右中央付近にオフセット移動して格納状態にできる。この状態は、トラクタ1の後方に作業部105が位置するようになり、図9の前進作業状態よりも、横方向においてトラクタ1からはみ出ない構成になる。さらに、格納状態から第2シリンダ112を伸ばすことにより作業部105を中間フレーム103に対して回動させてバック作業状態としてリターン作業を可能としている。このとき、作業部105は左右反対の左側へ突出して、作業部105の前後は逆転する。
【0061】
制御ボックス110は、装着部102に取り付けられており、図1で示した制御部21やセンサ23等を格納することができる。また、スピーカー13、表示部14、トラクタ制御部15は、第1の実施形態と同様である。また、操作部19’は、制御ボックス110の制御部21と無線のやりとりが可能であり、畦塗り機100の第1シリンダ111及び第2シリンダ112の制御に応じた操作スイッチを備えている。
【0062】
第1シリンダ111及び第2シリンダ112は、図1のアクチュエータ22として適用できる。図1のセンサ23としては、これらのアクチュエータやそれによる作動状態を検知するセンサ等を適用できる。例えば、中間フレーム103又は作業部105の回動を検知するセンサ(例えばポテンショメータ等)や、第1シリンダ111又は第2シリンダ112の状態を検知するセンサ(例えばストロークセンサ等)等である。さらに、センサ23として、畦塗り機100上(特にトラクタ1に対して回動しない装着部102上)に傾斜センサや加速度センサ等を設けてもよい。このセンサは制御ボックス110内に設けることも可能である。
【0063】
第3の実施形態においても、制御部21の図6で説明した処理と同様の処理が行われる。S102の判定においては、第1の実施形態と同様に、畦塗り機100の作業部105の状態や、畦塗り機100の前後方向の傾きの状態を用いることで判定が可能である。ここで、畦塗り機100の作業部105の状態は、上述した格納状態である場合に走行可能状態と判定できる。これは、横方向のトラクタ1に対するはみ出しが少なく若しくはなくした状態であるので、移動のための走行に適した状態となる。この判定は、センサ23として、中間フレーム103や作業部105の回動を検知するセンサや、第1シリンダ111や第2シリンダ112の状態を検知するセンサ等を必要に応じて設け、これらのセンサの情報を用いて確実な判定が可能である。また、制御部21の第1シリンダ111や第2シリンダ112を制御する情報に基づき判定することも可能である。畦塗り機100の前後方向の傾きは、予め定めた角度よりも畦塗り機100が前側に傾いたら、走行可能状態と判定できる。この判定は、畦塗り機100の傾きを検知するセンサ(例えば、傾斜センサや加速度センサ等)を設け、このセンサの情報により判定できる。S103の処理は第1の実施形態と同様である。
【0064】
このように第3の実施形態では、畦塗り機100の状態をふまえて、走行可能状態であるか否かを判定でき、畦塗り機100を装着したトラクタ1のより安全な走行をサポートできる。特に、畦塗り機100の状態として、作業部105の状態(オフセット位置)や前後方向の傾きの状態を適用することで、より適確な判定が可能となる。作業者は、表示部14の表示やスピーカー13からの報知を受けて、操作部19’の操作やトラクタ1における操作で、畦塗り機100を走行に適した状態に変更できる。
【0065】
(第4の実施形態)
図10は、本発明の農作業機用状態検知システムの第4の実施形態の平面概略図である。第4の実施形態では、第1の実施形態と異なる点について主に説明し、同一の箇所には同一の符号を付してあり、特に説明がない部分は同じ説明を省略している。ここでの実施形態では、農作業機2として草刈り作業を行う草刈り機200に適用する例を示す。なお、図10の上が前側(草刈り作業の前進方向)、下が後ろ側を示し、図10の左右方向が横(左右)方向を示す。また、図10では、トラクタ1は図示を簡略化している。
【0066】
草刈り機200は、装着部210がトラクタ1の後部に装着される。装着部210と作業部250は、第1アーム221及び第2アーム222を有するリンク機構220により接続されている。そして、このリンク機構220により、装着部210に対して作業部250を左右方向にオフセット移動可能となっている。トラクタ1からのPTO動力は、装着部210に備えられる第1入力軸231から、中間ジョイント232を介して作業部250に備えられる第2入力軸251に伝達される。第2入力軸251は、カバー255上部のミッションケース252に備えられ、入力した動力は、作業部250側面に設けられるベルトカバー261内のベルトを介して、カバー255の下側に草刈軸263へ伝達される。草刈軸263には、複数の草刈爪264を備えており、草刈軸263を回転させることで草を刈っていく。
【0067】
また、草刈り機200は、リンク機構220に設けられるオフセットシリンダ240の伸縮により、作業部250のオフセット量(トラクタ1に対する横方向の位置)を調整できる。また、図10の作業状態からオフセットシリンダ240を十分に縮ませることにより作業部250を装着部210に対して矢印Qの方向に移動させて、作業部250をトラクタ1に対する左右中央付近に位置させた格納状態にできる。この状態は、トラクタ1の後方に作業部250が位置するようになり、図10の作業状態よりも、横方向においてトラクタ1から作業部250がはみ出ない構成になる。また、チルトシリンダ270は、リンク機構220の作業部250側の取付部材256に対して、作業部250を、前後方向に延びる軸を回転軸として傾けることを可能とするシリンダである。
【0068】
制御ボックス280は、装着部210に取り付けられており、図1で示した制御部21やセンサ23等を格納することができる。また、スピーカー13、表示部14、トラクタ制御部15は、第1の実施形態と同様である。また、操作部19’’は、制御ボックス280の制御部21と無線のやりとりが可能であり、草刈り機200のオフセットシリンダ240及びチルトシリンダ270の制御に応じた操作スイッチを備えている。
【0069】
オフセットシリンダ240及びチルトシリンダ270は、図1のアクチュエータ22として適用できる。図1のセンサ23としては、これらのアクチュエータやそれによる作動状態を検知するセンサ等を適用できる。例えば、リンク機構220のアーム221、222のいずれかの回動又は作業部250の傾きの回動を検知するセンサ(例えばポテンショメータ等)や、オフセットシリンダ240又はチルトシリンダ270の状態を検知するセンサ(例えばストロークセンサ等)等である。さらに、センサ23として、草刈り機200上(特にトラクタ1に対してオフセット移動又は回動しない装着部210上)に傾斜センサや加速度センサ等を設けてもよい。このセンサは制御ボックス280内に設けることも可能である。
【0070】
第4の実施形態においても、制御部21において図6で説明した処理と同様の処理が行われる。S102の判定においては、第1の実施形態と同様に、草刈り機200の作業部250の状態や、草刈り機200の前後方向の傾きの状態を用いることで判定が可能である。
【0071】
草刈り機200の作業部250の状態は、上述した格納状態である場合に走行可能状態と判定できる。これは、横方向のトラクタ1に対するはみ出しが少なく若しくはなくした状態であるので、移動のための走行に適した状態となる。この判定は、センサ23として、リンク機構220のアーム221、222のいずれかの回動を検知するセンサや、オフセットシリンダ240の状態を検知するセンサ等を必要に応じて設け、これらのセンサの情報を用いて確実な判定が可能である。また、制御部21のオフセットシリンダ240を制御する情報に基づき判定することも可能である。さらに、草刈り機200の作業部250の状態として、作業部250が前後方向に延びる軸を回転軸とした場合の傾きが水平に近い場合(例えば水平に対して±10度以内、さらには水平に対して±5度以内の場合)に走行可能状態と判定できる。この判定は、センサ23として、作業部250の傾き方向の回動を検知するセンサや、チルトシリンダ270の状態を検知するセンサ等を必要に応じて設け、これらのセンサの情報を用いて確実な判定が可能である。また、制御部21のチルトシリンダ270を制御する情報に基づき判定することも可能である。
【0072】
草刈り機200の前後方向の傾きは、予め定めた角度よりも草刈り機200が前側に傾いたら、走行可能状態と判定できる。この判定は、草刈り機200の傾きを検知するセンサ(例えば、傾斜センサや加速度センサ等)を設け、このセンサの情報により判定できる。S103の処理は第1の実施形態と同様である。
【0073】
このように第4の実施形態では、草刈り機200の状態をふまえて、走行可能状態であるか否かを判定でき、草刈り機200を装着したトラクタ1のより安全な走行をサポートできる。特に、草刈り機200の状態として、作業部250の状態(オフセット位置)や前後方向の傾きの状態や作業部の水平状態を適用することで、より適確な判定が可能となる。作業者は、表示部14の表示やスピーカー13からの報知を受けて、操作部19’’の操作やトラクタ1における操作で、草刈り機200を走行に適した状態に変更できる。
【0074】
以上の様に、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、上述した以外の様々な変形例も含まれる。例えば、上記した実施形態に設けられた全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を削除したり、他の構成に置き換えたりすることも可能である。
【0075】
例えば、上記実施形態では、農作業機2の例として、代掻き作業機30、畦塗り機100、草刈り機200の例を示したが、これ以外のトラクタ1に装着する農作業機2に適用することも可能である。
【0076】
また、第1、第3、第4の実施形態では、トラクタ制御部15と制御部21は有線接続されている例を示したが、無線による通信でもよい。
【0077】
また、各実施形態において、農作業機2の前後方向の角度を走行可能状態の判定に用いることを説明したが、この角度から農作業機2の高さを実際に算出して走行可能状態の判定を行ってもよい。また、農作業機2の高さの情報は、トラクタ1のトラクタ制御部15から取得可能であれば、その情報を用いてもよい。
【0078】
また、各実施形態で示した表示部14、スピーカー13に代えて、又は、表示部14、スピーカー13に加えて、制御部21と直接に無線通信可能な通信端末をトラクタ1に配置してもよい。この通信端末には表示部やスピーカーを備えており、表示部14、スピーカー13と同様の報知を行うことができる。この場合、トラクタ制御部15を介さないため、制御部21で必要な処理を行い通信端末へ出力し、通信端末内で報知のための処理を行う。例えば、予め定めた所定速度と現在の速度との比較は制御部21で行う。この通信端末は、スマートフォンやタブレット型コンピュータ等を適用できる。
【符号の説明】
【0079】
1 トラクタ
2 農作業機
11 エンジン
12 変速機
13 スピーカー
14 表示部
15 トラクタ制御部
16、18、25 配線
19、19’、19’’、50 操作部
21 制御部
22 アクチュエータ
23 センサ
30 代掻き作業機
35 中央作業部
35’ 延長作業部
36 電動油圧シリンダ
40 延長整地体駆動装置
46 第2の整地体駆動装置
100 畦塗り機
105 作業部
111 第1シリンダ
112 第2シリンダ
200 草刈り機
240 オフセットシリンダ
250 作業部
270 チルトシリンダ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10