(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-06
(45)【発行日】2023-10-17
(54)【発明の名称】止水ボルト部材、足場つなぎアンカー用化粧キャップ部材及び足場つなぎアンカー用化粧キャップ部材の組み付け方法
(51)【国際特許分類】
E04G 5/04 20060101AFI20231010BHJP
E04G 5/00 20060101ALI20231010BHJP
F16B 33/02 20060101ALI20231010BHJP
F16B 41/00 20060101ALI20231010BHJP
【FI】
E04G5/04 D
E04G5/00 301H
F16B33/02 Z
F16B41/00 R
(21)【出願番号】P 2019205797
(22)【出願日】2019-11-13
【審査請求日】2022-08-22
(31)【優先権主張番号】P 2019112308
(32)【優先日】2019-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000142919
【氏名又は名称】株式会社呉英製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】中籔 朋己
【審査官】菅原 奈津子
(56)【参考文献】
【文献】実開平06-058227(JP,U)
【文献】特開平07-103221(JP,A)
【文献】特開平10-054413(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0050100(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 1/00- 7/34
E04B 1/38- 1/61
F16B 23/00-43/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁つなぎ足場で用いる筒状のインサートと、当該インサートの筒内に形成された雌ねじに螺合する止水ボルトとを備えた止水ボルト部材であって、
前記止水ボルトは、前記雌ねじに嵌合する2つの雄ねじを有するねじ軸と、
前記ねじ軸の一端部に化粧キャップが設けられるキャップ穴が形成されたねじ頭部と、を有し、
前記ねじ軸と前記ねじ頭部とが一体に樹脂で形成されており、
前記雄ねじのそれぞれのねじピッチは、前記雌ねじのねじピッチと同じであり、かつ、2つの前記雄ねじがそれぞれのねじ山の中間に形成されており、
前記雄ねじのねじ山の高さは、前記雌ねじのねじ山の高さより低い
ことを特徴とする止水ボルト部材。
【請求項2】
壁つなぎ足場で用いる筒状のインサートと、当該インサートの筒内に形成された雌ねじに螺合する止水ボルトとを備えた止水ボルト部材であって、
前記止水ボルトは、前記雌ねじに嵌合する雄ねじを有するねじ軸と、
前記ねじ軸の一端部に化粧キャップが設けられるキャップ穴が形成されたねじ頭部と、を有し、
前記ねじ軸と前記ねじ頭部とが一体に樹脂で形成されており、
前記雄ねじのねじピッチは、前記雌ねじのねじピッチより小さく、かつ、
前記雄ねじのねじ山の高さは、前記雌ねじのねじ山の高さより低い
ことを特徴とする止水ボルト部材。
【請求項3】
前記止水ボルトの雄ねじの外周部がねじ頭部側からねじ先端側まで軸方向に沿って除去された面取り箇所が1箇所以上ある
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の止水ボルト部材。
【請求項4】
前記止水ボルトの雄ねじと前記インサートの雌ねじは、ねじの切り始めの位相が異なっている
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の止水ボルト部材。
【請求項5】
前記ねじ頭部は、前記化粧キャップの支持軸部を嵌合するキャップ穴を有し、前記キャップ穴の周辺に化粧キャップの支持軸部が嵌入された際に変形代となる凹形状の逃げ部が形成されている
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の止水ボルト部材。
【請求項6】
前記止水ボルトは、ねじ頭部と雄ねじとの間にアンカー用の穴の径より大きな径を有して覆う外周部が形成されている防水用のツバ部が一体に形成されている
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の止水ボルト部材。
【請求項7】
前記止水ボルトは、ねじ軸の先端部から突出して前記インサートの筒内に前記ねじ軸を案内する案内突出片を有しており、
前記案内突出片は、
根元の内側に凹形状の切り込みが形成されており、かつ、
その先端部は、外方に行くに従って前記止水ボルトの軸に近付く傾斜を有している
ことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の止水ボルト部材。
【請求項8】
前記止水ボルトのねじ軸は、軸方向において前記雄ねじのねじ谷よりも小さな直径でねじ山が形成されていない円柱状の非ねじ軸が設けられている
ことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の止水ボルト部材。
【請求項9】
前記ねじ軸の内側には、断面多角形状のレンチ穴が軸方向に延在して設けられている
ことを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の止水ボルト部材。
【請求項10】
請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の
止水ボルト部材と、
前記ねじ頭部の前記キャップ穴に設けられた前記化粧キャップとを
備えていることを特徴とする足場つなぎアンカー用化粧キャップ部材。
【請求項11】
前記化粧キャップは、キャップと前記キャップに一体に形成される軸部とを備え、
前記キャップに対して、前記軸部の向きを変えられる
ことを特徴とする請求項10に記載の足場つなぎアンカー用化粧キャップ部材。
【請求項12】
前記軸部の前記キャップ側の根元部には、前記キャップ側から、小径部と、前記小径部よりも大径の突条を備えた係止部と、前記係止部に連続して前記キャップ側から離れるに連れて拡径する傾斜面部と、が順次形成されている
ことを特徴とする請求項11に記載の足場つなぎアンカー用化粧キャップ部材。
【請求項13】
前記止水ボルトの前記ねじ軸の根元に嵌合するゴムパッキンをさらに備え、
前記ゴムパッキンは、円筒形状の胴部と鍔部とを有し、
前記鍔部は、前記胴部よりも前記ねじ軸側に配置され、前記胴部から離れるに連れて次第に径が小さくなる円環部を有している
ことを特徴とする請求項10乃至請求項12のいずれか一項に記載の足場つなぎアンカー用化粧キャップ部材。
【請求項14】
請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の止水ボルト部材の止水ボルトのねじ頭部に設けた化粧キャップを、建物の外壁の足場で用いる筒状のインサートの筒内に形成される雌ねじに前記化粧キャップを殴打することで、外壁と面一とする
ことを特徴とする足場つなぎアンカー用化粧キャップ部材の組み付け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、止水ボルト部材、足場つなぎアンカー用化粧キャップ部材及び足場つなぎアンカー用化粧キャップ部材の組み付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の外壁を工事するに際して、外壁に足場を組む。
図30は、従来のアンカー用の穴k1に設置する足場つなぎアンカー用化粧キャップ部材101の分解図であり、
図31は、従来の足場つなぎアンカー用化粧キャップ部材101を外壁Kに組み付けた状態の断面図である。
足場を組むに際しては、外壁Kにアンカー用の穴k1(
図31)が設けられ、該穴k1に内側に雌ねじが形成された足場つなぎアンカー100が打ち込まれる。
【0003】
そして、足場つなぎアンカー100に壁つなぎが締め込まれ、足場が組まれる。
足場を使用した工事が終了後、足場が解体され、アンカーボルトが取り外される。その後、下記のアンカー用の穴k1を見えなくする作業(化粧作業)が行われる。
【0004】
図30に示すように、化粧用部材の足場つなぎアンカー用化粧キャップ部材101は、止水ボルト102と化粧キャップ103と環状の防水ゴム102pとを有している。
止水ボルト102は、雄ねじ102mとボルトパッド102bとキャップ取付穴102cとを有している。また、化粧キャップ103は、キャップ軸103aが軸部103bの球体103c(
図31)に嵌合されている。
【0005】
図31に示すように、外壁Kの穴k1に打ち込まれた足場つなぎアンカー100に、止水ボルト102がねじ込み量を調整しながらねじ込まれる。そして、止水ボルト102に化粧キャップ103が取り付けられている(特許文献1参照)。
こうして、足場つなぎアンカー用化粧キャップ部材101が外壁Kの足場つなぎアンカー100の内部に設置されている。化粧キャップ103により、外壁Kに形成された穴k1が塞がれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、化粧用部材である足場つなぎアンカー用化粧キャップ部材101(103、103a、102、102p)は、止水ボルト102をねじ込んで化粧キャップ103が外壁Kから凹んだり、突出したりすることがないように調整する必要があり、組み上げるのに手間がかかるという問題がある。
本発明は上記実状に鑑み創案されたものであり、簡単な作業により化粧キャップの位置を調整可能な止水ボルト部材、足場つなぎアンカー用化粧キャップ部材及び足場つなぎアンカー用化粧キャップ部材の組み付け方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、第1の本発明の止水ボルトは、壁つなぎ足場で用いる筒状のインサートと、当該インサートの筒内に形成された雌ねじに螺合する止水ボルトとを備えた止水ボルト部材であって、前記止水ボルトは、前記雌ネジに嵌合する2つの雄ねじを有するねじ軸と、前記ねじ軸の一端部に化粧キャップが設けられるキャップ穴が形成されたねじ頭部と、を有し、前記ねじ軸と前記ねじ頭部とが一体に樹脂で形成されており、前記雄ねじのそれぞれのねじピッチは、前記雌ねじのねじピッチと同じであり、かつ、2つの前記雄ねじがそれぞれのねじ山の中間に形成されており、前記雄ねじのねじ山の高さは、前記雌ねじのねじ山の高さより低い。
【0009】
第2の本発明の止水ボルトは、壁つなぎ足場で用いる筒状のインサートと、当該インサートの筒内に形成された雌ねじに螺合する止水ボルトとを備えた止水ボルト部材であって、前記止水ボルトは、前記雌ねじに嵌合する雄ねじを有するねじ軸と、前記ねじ軸の一端部に化粧キャップが設けられるキャップ穴が形成されたねじ頭部と、を有し、前記ねじ軸と前記ねじ頭部とが一体に樹脂で形成されており、前記雄ねじのねじピッチは、前記雌ねじのねじピッチより小さく、かつ、前記雄ねじのねじ山の高さは、前記雌ねじのねじ山の高さより低い。
【0010】
第3の本発明の足場つなぎアンカー用化粧キャップ部材は、請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の止水ボルト部材と、前記ねじ頭部の前記キャップ穴に設けられた化粧キャップとを備えている。
【0012】
第4の本発明の足場つなぎアンカー用化粧キャップ部材の組み付け方法は、請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の止水ボルト部材の止水ボルトのねじ頭部に設けた化粧キャップを、建物の外壁の足場で用いる筒状のインサートの筒内に形成される雌ねじに化粧キャップを殴打することで前記止水ボルトを打ち込んで、前記化粧キャップが外壁と面一とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、簡単な作業により化粧キャップの位置を調整可能な止水ボルト、足場つなぎアンカー用化粧キャップ部材及び足場つなぎアンカー用化粧キャップ部材の組み付け方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係る実施形態1の止水ボルトを含む足場つなぎアンカー用化粧キャップ部材を外壁のアンカー用の穴に設置した状態の断面図。
【
図2】外壁に形成されるアンカー用の穴に設置される本発明に係る実施形態1の足場つなぎアンカー用化粧キャップ部材の設置時の分解斜視図。
【
図3】(a)は本発明に係る実施形態1の足場つなぎアンカー用化粧キャップ部材と足場つなぎアンカーの分解斜視図、(b)はゴムパッキンの一部縦断面を含む側面図。
【
図5】足場つなぎアンカーの雌ねじと止水ボルトの雄ねじとの嵌合状態を示す拡大模式図。
【
図6】(a)は実施形態1の足場つなぎアンカーの雌ねじの縦断面図、(b)は(a)のI方向矢視図。
【
図7】(a)は実施形態1の止水ボルトの雄ねじの縦断面図、(b)は(a)のII方向矢視図。
【
図8】実施形態1の足場つなぎアンカーの雌ねじと止水ボルトの雄ねじとが噛み合った状態での雌ねじの始点と雄ねじの始点とを軸方向に見た模式図。
【
図10】(a)は変形例1の止水ボルトの正面図、(b)は変形例1の(a)のIII方向矢視図。
【
図11】変形例2の足場つなぎアンカー用化粧キャップ部材が外壁のアンカー用の穴に設置した足場つなぎアンカーに打ち込まれた状態の断面図。
【
図12】(a)は変形例2の止水ボルトの一部断面を含む正面図、(b)は変形例2の(a)のIV方向矢視図。
【
図13】(a)は変形例3の止水ボルトの正面図、(b)は変形例3の(a)のV方向矢視図。
【
図14】変形例3の足場つなぎアンカー用化粧キャップ部材を足場つなぎアンカーの内部に嵌入する状態を示す拡大断面模式図。
【
図16】変形例4の足場つなぎアンカー用化粧キャップ部材を足場つなぎアンカーの打ち込みが浅い場合に適用した場合の断面図。
【
図17】変形例4の足場つなぎアンカー用化粧キャップ部材を足場つなぎアンカーの打ち込みが深い場合に適用した場合の断面図。
【
図18】変形例5の化粧キャップを止水ボルトに一体形成した足場つなぎアンカー用化粧キャップ部材を構成した図。
【
図19】変形例5の他例の化粧キャップとツバ部を止水ボルトに一体形成して、足場つなぎアンカー用化粧キャップ部材を構成した図。
【
図20】変形例6の足場つなぎアンカー用化粧キャップ部材が足場つなぎアンカーの内部に設置された状態を示す断面図。
【
図22】(a)は変形例7の化粧キャップの一例を示す正面断面図、(b)は変形例7の足場つなぎアンカー用化粧キャップ部材が足場つなぎアンカーの内部に設置された状態の一例を示す断面図。
【
図23】(a)は現状品である他社製品の化粧キャップの一例を示す正面断面図、(b)は現状品である他社製品の足場つなぎアンカー用化粧キャップ部材が足場つなぎアンカーの内部に設置された状態の一例を示す断面図。
【
図24】(a)は実施形態2の足場つなぎアンカー用化粧キャップ部材が壁のアンカー用の穴に設置された状態を示す正面図、(b)は実施形態2の足場つなぎアンカー用化粧キャップ部材の止水ボルトの斜視図、(c)は(b)のVI方向矢視図。
【
図25】変形例8の化粧キャップを示す正面断面図。
【
図26】変形例9のゴムパッキンを示す正面断面図。
【
図27】(a)は変形例10の止水ボルトの正面図、(b)は変形例10の(a)のVII方向矢視図。
【
図29】実施形態3の足場つなぎアンカー用化粧キャップ部材が足場つなぎアンカーの内部に設置された状態を示す断面図。
【
図30】従来のアンカー用の穴に設置する足場つなぎアンカー用化粧キャップ部材の分解図。
【
図31】従来の足場つなぎアンカー用化粧キャップ部材を外壁に組み付けた状態の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
<<実施形態1>>
始めに足場つなぎアンカー用化粧キャップ部材の使用手順について説明し、その後に各構成について説明する。
図2に示すように、建物の外壁Kを工事するに際して、外壁Kに足場を組む。
足場を組むに際しては、外壁Kにアンカー用の穴k1が複数設けられる。そして、アンカー用の穴k1に、
図3(a)に示す中央孔100aに雌ねじ100nが形成された足場つなぎアンカー100が打ち込まれる(
図1の矢印α11)。
【0016】
なお、足場つなぎアンカー100は、円筒形状を有している。足場つなぎアンカー100の奥側には、アンカー用の穴k1からの抜け防止材101が嵌合されている。
【0017】
そして、足場つなぎアンカー100に足場用のアンカーボルトがボルト締めされ、足場が組まれる。
工事が終了後、アンカー用の穴k1を見えなくする作業(化粧作業)が行われる。
【0018】
アンカー用の穴k1に設けられた足場つなぎアンカー100の雌ねじ100nに、実施形態1の止水ボルト2を含む足場つなぎアンカー用化粧キャップ部材1が打ち込まれる。
キャップ部3aが外壁Kに設けられるので一連の作業が終了する。
【0019】
足場つなぎアンカー用化粧キャップ部材1は、止水ボルト2と化粧キャップ3とゴムパッキン4とを備えている。以下構成について説明する。
【0020】
<止水ボルト2>
止水ボルト2は、樹脂成形される。止水ボルト2は、雄ねじ2mをもつねじ軸2aとねじ頭2bとを有している。
止水ボルト2は、使い捨てである。止水ボルト2は、足場つなぎアンカー100を再利用するために用いられるものであり、化粧キャップ3等とともに一式で使用されるものである。
この際、足場つなぎアンカー100の雌ねじ100nと止水ボルト2の雄ねじ2mが合うことでソケットレンチでスムーズに外せる。
下記の止水ボルト2の第1雄ねじ2m1と第2雄ねじ2m2は、足場つなぎアンカー100の雌ねじ100nと同じねじなので、一番スムーズに外せる。
止水ボルト2のねじ頭2bには、化粧キャップ3のキャップ軸3dが嵌入されるキャップ穴2b1が形成されている。ねじ頭2bは、六角形に形成されている。また、根元2a1とねじ頭2bとの間にねじ頭2bよりも大径となるフランジが形成されている。
【0021】
ねじ軸2aには、雄ねじ2mが形成されている。
止水ボルト2の雄ねじ2mは、足場つなぎアンカー100の雌ねじ100nと同じピッチの2つの雄ねじ(第1雄ねじ2m1と第2雄ねじ2m2)が、π位相をずらして形成されている。すなわち、ねじ軸2aの雄ねじ2mは、足場つなぎアンカー100の雌ねじ100nのピッチp1と同じピッチp1の第1雄ねじ2m1と第2雄ねじ2m2とがそれぞれ雌ねじ100nのねじ山間に形成されている。
図5に示すように、第1雄ねじ2m1は雌ねじ100nのねじ山100n1に接触し、第2雄ねじ2m2は雌ねじ100nのねじ山100n2に接触する。
【0022】
そのため、雄ねじ2mのピッチp2(第1雄ねじ2m1と第2雄ねじ2m2間の距離)は、足場つなぎアンカー100の雌ねじ100n(
図2参照)のピッチp1より小さいピッチで形成されている。
また、止水ボルト2の雄ねじ2mのねじ山の高さh2は、足場つなぎアンカー100の雌ねじ100nのねじ山の高さh1より小さく形成されている。
【0023】
例えば、本実施形態では、止水ボルト2の雄ねじ2mのピッチp2を、足場つなぎアンカー100の雌ねじ100nのピッチp1の1/2とした場合を示している。また、止水ボルト2における雄ねじ2mのねじ山の高さh2を、足場つなぎアンカー100の雌ねじ100nのねじ山の高さh1の1/2の高さとした場合を示している。
【0024】
そして、実施形態1では、足場つなぎアンカー100の雌ねじ100n(
図6(a)、(b))と止水ボルト2の雄ねじ2m(
図7(a)、(b))の位相を異ならせて構成しいる。
図6(b)に示すように、足場つなぎアンカー100は、雌ねじ100nの切り始めが始点100n0である。
図7(b)に示すように、止水ボルト2は、雄ねじ2mの切り始めが始点2m0である。
【0025】
止水ボルト2の雄ねじ2mの切り始め(始点m0)は、足場つなぎアンカー100の雌ねじ100nの始点100n0に対して位相θがπ(180度)遅れている。すなわち、止水ボルト2の雄ねじ2mは、足場つなぎアンカー100の雌ねじ100nに対して位相がπ(180度)遅れて形成されている。
【0026】
足場つなぎアンカー100の雌ねじ100nと止水ボルト2の雄ねじ2mの位相とが異なることで、止水ボルト2は足場つなぎアンカー100の雌ねじ100nの内部に止水ボルト2の2つの雄ねじ2mを配置でき、円滑に打ち込む(嵌合する)ことができる。
【0027】
足場つなぎアンカー用化粧キャップ部材1の外部空間側には化粧キャップ3が嵌合されている。化粧キャップ3のキャップ部3aは、外壁Kの外面仕上げKg(
図2参照)と同じ模様とされている。例えば、外壁Kの外面仕上げKgがタイル仕上げの場合には、キャップ部3aはタイル仕上げ模様とされる。
【0028】
化粧キャップ3は、キャップ部3aと球体3c(
図11参照)を有する支持軸部3bとが形成されている。化粧キャップ3は、支持軸部3bの球体3cにキャップ軸3dが嵌合され構成されている。化粧キャップ3は、球体3cがあることでキャップ部3aがキャップ軸3dに対して、直交する位置関係から所定角度傾斜することができるようになっている。
【0029】
なお、止水ボルト2のねじ軸2aの根元2a1には、一例としてここでは、ゴムパッキン4が予め嵌められている。
図3(a)、
図3(b)に示すように、ゴムパッキン4は中央に孔4aが形成された環形状に形成されている。
【0030】
ゴムパッキン4は、胴部4aと鍔部4bとを有している。鍔部4bには、胴部4aから次第に径が太くなる円錐状部4b1を有している。円錐状部4b1は足場つなぎアンカー用化粧キャップ部材1が打ち込まれる際にゴムパッキン4が滑らかにアンカー用の穴k1に摺動してシールすることができる大きさに形成されている。
【0031】
足場つなぎアンカー用化粧キャップ部材1を使用する場合は、止水ボルト2の外部空間側からねじ頭2bのキャップ穴2b1に化粧キャップ3のキャップ軸3dが嵌められ、止水ボルト2のねじ軸2aの根元2a1には、環状のゴムパッキン4(
図3(b)参照)が弾性変形させて嵌められる。
【0032】
<足場つなぎアンカー用化粧キャップ部材1の足場つなぎアンカー100への組み付け>
次に、足場つなぎアンカー用化粧キャップ部材1の足場つなぎアンカー100への組み付け方法について説明する。
【0033】
図3(a)に示すように、止水ボルト2の根元2a1に、孔4aを嵌入してゴムパッキン4を嵌める(
図2参照)。
続いて、ゴムパッキン4を嵌めた止水ボルト2のねじ頭2bのキャップ穴2b1に、化粧キャップ3のキャップ軸3dを嵌入して、化粧キャップ3を止水ボルト2のねじ頭2bに取り付ける。
続いて、
図1に示すように、外壁Kにアンカー用の穴k1内の足場つなぎアンカー100の雌ねじ100nの内部に、足場つなぎアンカー用化粧キャップ部材1における止水ボルト2の雄ねじ2mを合わせて、足場つなぎアンカー100の雌ねじ100nの内部に足場つなぎアンカー用化粧キャップ部材1を打ち入れる。そして、足場つなぎアンカー用化
粧キャップ部材1の化粧キャップ3が外壁Kと面一になるようにする。
ハンマーは、金属よりもプラスチック製であることが好ましく、ハンマーの直径が化粧キャップ3の直径よりも大きいことで、ハンマーが外壁Kまで化粧キャップ3を殴打すると外壁Kと同じ面上にすることができる。または、当て板を当てて金属ハンマーで殴打しても良い。
例えば、
図25、
図26に示す従来の足場つなぎアンカー100の雌ねじ100nと同じピッチの止水ボルト101では、化粧キャップ103が外壁Kとの間に最大で足場つなぎアンカー100の雌ねじ100nのピッチの高低差が発生する。
これに対して、本実施形態では、止水ボルト2の雄ねじ2mのピッチp2の高低差しか生じない。
【0034】
止水ボルト2は樹脂で成形されている。そして、止水ボルト2は、雄ねじ2mのピッチp2を足場つなぎアンカー100の雌ねじ100n(
図5参照)のピッチp1より小さくするとともに、止水ボルト2の雄ねじ2mのねじ山の高さh2を、足場つなぎアンカー100の雌ねじ100nのねじ山の高さh1より小さく形成している。
足場つなぎアンカー用化粧キャップ部材1は、足場つなぎアンカー100の内部に打ち込まれると、止水ボルト2の雄ねじ2mが弾性変形して、止水ボルト2を足場つなぎアンカー100の内部に打ち入れることができる。
【0035】
したがって、外壁Kのアンカー用の穴k1を見えなくする作業が容易である。また、足場つなぎアンカー用化粧キャップ部材1を打ち込むので、足場つなぎアンカー用化粧キャップ部材1の化粧キャップ3を外壁Kと面一にし易い。
さらに、足場つなぎアンカー用化粧キャップ部材1を打ち込んで調整できる構成であるので、足場つなぎアンカー100に打ち込まれる長さにより、外壁Kから化粧キャップ3が突出したり、凹んだりする事象を減少できる。
こうして、外壁Kのアンカー用のすべての穴k1に足場つなぎアンカー用化粧キャップ部材1を打ち込むことで穴k1を見えなくする作業(化粧作業)が終了する。
足場つなぎアンカー用化粧キャップ部材1は、前記したように、次回工事に再利用することが可能となる。つまり、止水ボルト2から化粧キャップ3を取り外し、ねじ頭2bをソケットレンチに係合して回すことで取り外すことができる。
なお、止水ボルト2の雄ねじ2mは、足場つなぎアンカー100の雌ねじ100nの1/2ピッチのピッチp2の雄ねじ2m3で構成してもよい。
【0036】
<変形例1>
変形例1は、
図9に示すように、止水ボルト22の雄ねじ22mの外周部がねじ頭部22bの側から雄ねじ22mの先端22a1の側まで軸方向に沿って除去された面取り箇所22m1が1箇所以上ある構成としたものである。その他の構成は、雄ねじ22mのピッチが足場つなぎアンカー100の雌ねじ100nのピッチp1の1/2であること以外、実施形態1と同様であるから、実施形態1と同一の構成要素には20番台の符号を付して示し、詳細な説明は省略する。
【0037】
変形例1の止水ボルト22のねじ軸22aには、雄ねじ22mが形成されている。そして、雄ねじ22mの外周部がねじ頭部22bの側から雄ねじ22mの先端22a1の側まで軸方向に沿って除去された面取り箇所22m1が1例として4箇所形成されている。
変形例1によれば、止水ボルト22のねじ軸22aに、雄ねじ22mの半径r1より小さい半径r2をもつ平面の面取り箇所22m1が形成されるので、足場つなぎアンカー用化粧キャップ部材1を足場つなぎアンカー100の内部に打ち込むに際して、足場つなぎアンカー100の雌ねじ100aと止水ボルト22の雄ねじ22mとが干渉するエリアが少なくなる。そのため、止水ボルト22をもつ足場つなぎアンカー用化粧キャップ部材1の足場つなぎアンカー100の内部への打ち込み作業が容易になる。
また、止水ボルト22の雄ねじ22mのピッチが足場つなぎアンカー100の雌ねじ100nのピッチp1の1/2ピッチとし、面取り箇所22m1を形成することで、止水ボルト22を次回工事の時に再利用する場合、足場つなぎアンカー100の雌ねじ100nのねじ山に倣ってソケットレンチで外すことができる。
【0038】
なお、変形例1では面取り箇所22m1が4箇所形成された場合を例に挙げて説明したが、1箇所以上あればよく、変形例1の上記効果を奏する。
【0039】
<変形例2>
変形例2の足場つなぎアンカー用化粧キャップ部材31(
図11参照)における止水ボルト32は、
図12(a)、(b)に示すように、ねじ頭部32bに化粧キャップ3の支持軸部3bを嵌合するキャップ穴32b1を有している。そして、キャップ穴32b1の周辺部に化粧キャップ3の支持軸部3bが嵌入された際に変形代となる凹形状の逃げ部32b2が形成されている。
【0040】
また、止水ボルト32は、ねじ頭部32bとねじ軸32aとの間に防水用のツバ部32cが一体に形成されている。
図12(a)、(b)に示すように、ツバ部32cは、所定の厚みで外周部32c1をもつ円板状に形成されている。ツバ部32cの外径d2(
図12(a)、(b))は、アンカー用の穴k1の径d1(
図11参照)より大きな径を有している。なお、外周部32c1の厚みは、例えば、0.4~0.8mmの範囲であるとスムーズに打ち込むことができる。
これにより、
図11に示すように、ツバ部32cの外周部32c1は、足場つなぎアンカー用の穴k1を覆い、外壁Kのアンカー用の穴k1と外部空間とをシールすることができる。
【0041】
ねじ頭32bにおける逃げ部32b2は、ねじ頭部32bに環状の凹形状をもつ凹部として形成されている。
キャップ穴32b1と逃げ部32b2との間には、環形状の変形肉32b3が形成されている。
キャップ穴32b1の周辺部に凹形状の逃げ部32b2が形成されることで、
図11に示すように、化粧キャップ3の球体3cを有する支持軸部3bがキャップ穴32b1に嵌入された際、環形状の変形肉32b3が弾性変形して逃げ部32b2に入り込む。そのため、化粧キャップ3の球体3cを有する支持軸部3bを円滑にキャップ穴32b1に嵌入できる。
【0042】
また、
図11に示すように、化粧キャップ3に別部品のキャップ軸3d(
図3(a)参照)を用いることなく、化粧キャップ3を直接ねじ頭32bに嵌めることができる。
したがって、化粧キャップ3の止水ボルト32への取り付けが容易である。
また、足場つなぎアンカー用化粧キャップ部材31がアンカー用の穴k1に嵌入された際、止水ボルト32のツバ部32cがアンカー用の穴k1の径d1(
図11参照)より大きな外径d2(
図12(a)参照)をもつので、ツバ部32cによって、アンカー用の穴k1(
図11参照)を塞ぎ、シールすることができる。
【0043】
また、シール機能をもつツバ部32cが止水ボルト32と一体成形されるので、防水ゴム102p(
図25、
図26参照)が不要になる。そのため、部品点数を削減できる。また、防水ゴム102pを止水ボルト102(
図25参照)に嵌める組立て作業が解消し、組立て性が向上する。
【0044】
<変形例3>
変形例3の止水ボルト42(
図13(a)参照)は、ねじ軸42aの先端部42a1から突出した案内突出片42tを形成してもよい。
図13(a)、(b)に示すように、案内突出片42tは、ねじ軸42aの先端部42a1から突出して一対形成されている。案内突出片42tは、足場つなぎアンカー100の筒内に足場つなぎアンカー用化粧キャップ部材41を打ち込む際に円滑に入るように、ねじ軸42aを足場つなぎアンカー100の内部に案内する。
【0045】
図13(a)に示すように、一対の案内突出片42tは、それぞれ雄ねじ42mの外径d3より小さい外径d4(
図14参照)を有している。換言すれば、案内突出片42tの半径r1はそれぞれ雄ねじ42mの外形の半径r2より小さい。
案内突出片42tは、長い本体部42t1とテーパ部42t2とを有している。
テーパ部42t2は、案内突出片42tの先端部に形成されている。テーパ部42t2は、先端側にいくほど内側に位置する傾斜を有している。また、案内突出片42tの根元内側には、凹形状の切り込み42t3が形成されている。
【0046】
変形例3によれば、止水ボルト42のねじ軸42aの先端部42a1に足場つなぎアンカー100の雌ねじ100nの内径d3の内側に位置する外径d4をもつ案内突出片42tを有する。そのため、足場つなぎアンカー用化粧キャップ部材41を足場つなぎアンカー100の筒内に嵌入する(
図14の矢印α12)際、足場つなぎアンカー用化粧キャップ部材41を足場つなぎアンカー100の内部に、案内突出片42tが案内することで円滑に打ち込むことができる(嵌入できる)。
また、案内突出片42tの先端部にテーパ部42t2を有するとともに案内突出片42tの根元内側に凹形状の切り込み42t3が形成されるので、外壁Kにおけるアンカー用の穴k1の足場つなぎアンカー100が浅く、案内突出片42tが抜け防止材101(
図3(a)参照)に当たっても、案内突出片42tが柔軟に内側に曲がることができる。
【0047】
なお、変形例3では、案内突出片42tを雄ねじ軸42aの先端部42a1に一対(2つ)形成する場合を説明したが、案内突出片42tを3つ以上形成してもよい。なお、案内突出片42tを約180度間隔で3つ形成すれば、2次元平面での案内が行い易い。
【0048】
<変形例4>
足場つなぎアンカー100の打ち込みで浅いものと深いものがある。
深さに対応するには、足場つなぎアンカー用化粧キャップ部材1(
図1参照)の違う長さのものを準備しなければならない。そこで、止水ボルト102を準備して現場で雄ねじ102m(
図25参照)を切断すると切断部分にバリや返りが出てねじがスムーズに入らない場合がある。
【0049】
この問題に対応する構成が下記の変形例4である。
変形例4の足場つなぎアンカー用化粧キャップ部材51(
図15参照)は止水ボルト52を有している。止水ボルト52は、ねじ軸52aとねじ頭部52bとを有している。
そして、止水ボルト52のねじ軸52aは、軸方向において雄ねじ52mのねじ谷52m0の径d5よりも小さな径d6をもつねじ山が形成されていない円柱状の非ねじ軸52hが設けられている。
【0050】
つまり、ねじ軸52aには、非ねじ軸52hを挟んで、2箇所に雄ねじ52mが形成されている。
足場つなぎアンカー用化粧キャップ部材51の使用に際して、足場つなぎアンカー100の打ち込みの深さに応じて、非ねじ軸52hを切断する。
【0051】
例えば、
図16に示すように、足場つなぎアンカー100の打ち込みが浅いケースでは
、足場つなぎアンカー100の雌ねじ100nが浅い位置にあるので、非ねじ軸52hで切断する。なお、非ねじ軸52hの切断した側に予め面取り52cを付けて、止水ボルト52が足場つなぎアンカー100の雌ねじ100nの内部に入り易くするようにしてもよい。
【0052】
足場つなぎアンカー100の打ち込みが深いケースでは、雌ねじ100が深い位置にあるので、非ねじ軸52hで切断しない。
変形例4によれば、現場でねじ軸52aの非ねじ軸52hを切断砥石かのこぎりで切断することで、足場つなぎアンカー100にスムーズに挿入できる。
【0053】
止水ボルト52は、足場つなぎアンカー100の打ち込み状態に応じて対応できるので、金型や在庫コストを削減できる。
なお、変形例4では、非ねじ軸52hを一つ形成した場合を説明したが、非ねじ軸52hを2つ以上形成してもよい。
【0054】
<変形例5>
図18に示す変形例5は、化粧キャップ63を止水ボルト62と一体に形成して足場つなぎアンカー用化粧キャップ部61A、61Bを構成したものである。
その他の構成は、実施形態1と同様であるから、同様な構成要素には60番台の符号を付して示し、詳細な説明は省略する。
【0055】
変形例5は、化粧キャップ63を止水ボルト62に一体形成して、足場つなぎアンカー用化粧キャップ部62Aを構成した例である。
したがって、部品点数が削減され、組立工程数が削減される。そのため、足場つなぎアンカー用化粧キャップ部62Aの低コスト化が図れる。
【0056】
図19に示す変形例5の他例は、アンカー用の穴k1の径d1(
図11参照)より大きな外径d2をもつツバ部62cと化粧キャップ63とを止水ボルト62に一体形成して足場つなぎアンカー用化粧キャップ部62Bを構成した例である。
止水ボルト62は、ねじ頭62bとねじ軸62aとの間に防水用のツバ部62cが一体に形成されている。
ツバ部62cは、足場つなぎアンカー用の穴k1の径d1(
図11参照)より大きな外径d2を有して覆う外周部62c1が形成されている。
【0057】
変形例5の他例の足場つなぎアンカー用化粧キャップ部62Bによれば、化粧キャップ63とツバ部62cとを止水ボルト62に一体形成したので、部品点数がさらに削減される。また、さらに組立工程数が削減される。
したがって、低コストの足場つなぎアンカー用化粧キャップ部材62A、62Bを得られる。
【0058】
<変形例6>
変形例6の足場つなぎアンカー用化粧キャップ部材71(
図20参照)は、化粧キャップ73が止水ボルト42に対して柔軟に曲げられる構成である。
その他の構成は実施形態4と同様であるので、同様な構成要素には同一の符号を付して示し詳細な説明は省略する。
【0059】
変形例6の足場つなぎアンカー用化粧キャップ部材71は、ゴムパッキン4が嵌められた止水ボルト42のキャップ穴に化粧キャップ73が嵌入されている。ねじ軸42aの先端部42a1から一対の案内突出片42tが突出して、形成されている。
【0060】
化粧キャップ73は、
図21にも示すように、キャップ部73aと支持軸部73bとが樹脂または金属を用いて一体に形成されている。
支持軸部73bの根元部73b1は、キャップ部73aに近付くにつれて細く形成され、キャップ部73aに屈曲自在になるよう構成されている。
これにより、
図20に示すように、足場つなぎアンカー用化粧キャップ部材71を外壁Kの足場つなぎアンカー100の内部に打ち込んだ際に傾斜していても化粧キャップ73のキャップ部73aの外面73a1が外壁Kの外面Kgに沿わせることができる。
【0061】
<変形例7>
変形例7の足場つなぎアンカー用化粧キャップ部材91(
図22(b)参照)は、変形例6の変更タイプである。
図22(a)に示すように、変形例7の化粧キャップ93は、キャップ部93aと支持軸部93bとを有している。
【0062】
支持軸部93bは、耐候性樹脂で成形される。支持軸部93bは、球部93b1と円柱状の軸部93b2、および球部93b1と軸部93b2とを接続する細い接続部93b3が形成されている。接続部93b3は軸部93b2から球部93b1に近づくに従い次第に細い径となる形状をもつ。
キャップ部93aは、金属製または樹脂製の円板状の部材である。キャップ部93aは、円板状の外板93a1と外板93a1より径が小さく厚い接続板93a2とが形成されている。接続板93a2には、支持軸部93bの球部93b1がインサート成形される。
【0063】
図22(b)に、足場つなぎアンカー用化粧キャップ部材91が外壁Kの外面Kgに垂直な方向に対して10°の角度で打ち込んだ足場つなぎアンカー100に設置された状態を一例として示す。
図23(a)に、現状品である他社製品の化粧キャップ193の一例の正面断面図を示し、
図23(b)に、現状品である他社製品の足場つなぎアンカー用化粧キャップ部材191が足場つなぎアンカー100の内部に設置された状態の一例の断面図を示す。
【0064】
化粧キャップ193は、キャップ部193aと支持軸部193bとを有している。
キャップ部193aは金属製である。キャップ部193aは円板部193a1と球部193a2とが細い金属軸193a3で接続されている。
支持軸部193bは樹脂製の略円柱状の部材である。支持軸部193bにはスリット193b1が形成される。支持軸部193bにはキャップ部193aの球部193a2がインサート成形される。
【0065】
化粧キャップ193は球体である球部193a2の位置がキャップ部193aの表面から離れている。例えば、
図23(a)に示すように、化粧キャップ193の支持軸部193bの軸方向の長さs11=3.95mm。そのため、化粧キャップ193の打ち込み後に、アンカー用の穴k1とキャップ部193aとの間の隙間s12が例えば0.84mmとなる。
【0066】
これに対して、
図22(a)に示す変形例7の化粧キャップ93は、球体である球部93a2の位置がキャップ部93aの表面から近い。例えば化粧キャップ93の支持軸部93bの軸方向の長さs1=1.8mm。そのため、化粧キャップ93の打ち込み後に、アンカ
ー用の穴k1とキャップ部93aとの間の隙間s2が例えば0.46 mmで済む。
【0067】
変形例7の化粧キャップ93は、化粧キャップ193と比較し、アンカー用の穴k1とキャップ部93aとの間の隙間s2が約半分に改善されている。
上述の変形例7の化粧キャップ93は前記の変形例6の化粧キャップ73より更に効果が高い。
【0068】
<<実施形態2>>
図24(a)に示す実施形態2の足場つなぎアンカー用化粧キャップ部材1Aは、実施形態1と変形例1と変形例3とを組み合わせて構成したものである。
図24(b)に示すように、止水ボルト82の雄ねじ82mを、足場つなぎアンカー100の雌ねじ100n(
図3(a)参照)と同じピッチでπ位相をずらして形成した第1雄ねじ2m1と第2雄ねじ2m2とで形成している。そして、雄ねじ82mの外周部を雄ねじ頭部82bの側から雄ねじ82mの先端82a1の側まで軸方向に沿って除去された面取り箇所82m1が1箇所以上ある構成としたものである。
【0069】
図24(a)~(c)では面取り箇所82m1を4箇所形成した例を示している。止水ボルト82の雄ねじ82mのねじ山の高さは、足場つなぎアンカー100の雌ねじ100nのねじ山の高さより低く形成されている。
ねじ軸82aの先端部82a1から案内突出片82tを突出して一対形成している。
案内突出片82tは、長い本体部82t1とテーパ部82t2とを有している。テーパ部82t2は、案内突出片82tの先端部に、先端側にいくほど内側に位置する傾斜を有している。また、案内突出片82tの根元内側には、凹形状の切り込み82t3が形成されている。
【0070】
実施形態2によれば、雄ねじ82mの外周部がねじ頭部82bの側から雄ねじ82mの先端82a1の側まで軸方向に沿って除去された面取り箇所82m1が形成されているので、よりスムーズに壁Kのアンカー用の穴k1に打ち込む(嵌合する)ことができる。
また、止水ボルト82の雄ねじ82mに面取り箇所82m1を有する。そのため、足場つなぎアンカー100の内部に足場つなぎアンカー用化粧キャップ部材1Aを打ち込む際に、足場つなぎアンカー100の雌ねじ100nと、足場つなぎアンカー用化粧キャップ部材1Aの雄ねじ82mとの軸方向の重畳面積が減るので、円滑かつ容易に打ち込める。
【0071】
また、止水ボルト82は先端にテーパ部82t2と凹形状の切り込み82t3とを有する案内突出片82tを備えるので、足場つなぎアンカー100の内部に足場つなぎアンカー用化粧キャップ部材1Aを打ち込む際に案内突出片82tに案内させて円滑に打ち込むことができる。 なお、止水ボルト82の雄ねじ82mは、足場つなぎアンカー100の雌ねじ100nの1/2ピッチのピッチp2の雄ねじ2m3で構成してもよい。
【0072】
<変形例8>
変形例8の化粧キャップ113は、変形例6の化粧キャップ73の変更タイプである。
図25に示すように、変形例8の化粧キャップ113は、キャップ部113aと支持軸部113bとが樹脂または金属を用いて一体に形成されている。
支持軸部113bの根元部には、キャップ部113a側から、小径部113b1、係止部113b2、傾斜面部113b3が順次形成されている。小径部113b1は、キャップ部113aの中心部に連続しており、キャップ部113aが支持軸部113bに対して屈曲自在になるように細く形成されている。
係止部113b2は、小径部113b1より大径の突条を備えている。突条は、小径部113b1から連続して支持軸部113bの先端側に向かうに連れて徐々に拡径した後、若干縮径する。突条は、断面三角形状を呈し、円周方向に沿って環状に形成されている。
傾斜面部113b3は、係止部113b2の先端から連続して支持軸部113bの先端側に向かう(キャップ部113aから離れる)に連れて徐々に拡径し、支持軸部113bの外周面に繋がっている。
変形例8の化粧キャップ113は、実施形態1の化粧キャップ3、変形例6の化粧キャップ73や変形例7の化粧キャップ93に代えて用いることができる。
【0073】
このような構造の化粧キャップ113によれば、化粧キャップ113を止水ボルト112に挿入した状態で、万一小径部113b1が破断し、キャップ部113aが外れた場合に、支持軸部113bを取り出すことができる。具体的には、ラジオペンチ等の工具を用いて係止部113b2を挟み込み、引き抜くことで容易に支持軸部113bを取り出すことができる。
【0074】
<変形例9>
変形例9のゴムパッキン114は、実施形態1のゴムパッキン4と止水ボルトに装着される向きが逆である。ゴムパッキン114は、円筒形状を呈し、止水ボルト112のねじ軸112aの根元に予め嵌められている。ゴムパッキン114は、
図26に示すように、胴部114aと鍔部114bとを有している。鍔部114bは、胴部4aから離れるに連れて次第に径が小さくなる円錐台形状を呈した円環部114b1を有している。円環部114b1は、足場つなぎアンカー用化粧キャップ部材111が打ち込まれる際にゴムパッキン114が滑らかにアンカー用の穴k1の内周面に摺動してシールすることができる大きさに形成されている。ゴムパッキン114は、鍔部114bが胴部114aよりもねじ軸112aの先端側に位置するように、ねじ軸112aの根元に嵌められる。
変形例9のゴムパッキン114は、実施形態1や実施形態2のゴムパッキン4に代えて用いることができ、変形例1乃至5の止水ボルトに装着することができる。
【0075】
このような構成のゴムパッキン114によれば、ゴムパッキン114が装着された止水ボルト112を穴k1に挿入する際に、鍔部114bが穴k1の内周面に引っかからず、円滑に挿入できる。また、鍔部114bは、ねじ頭112bから離れているので、変形し易く、穴k1内を挿通しやすい。
【0076】
<変形例10>
変形例10の止水ボルト112は、ねじ軸112aとねじ頭112bとを備えている。
図27および
図28に示すように、ねじ軸112aの内側には、棒状のレンチ(図示せず)が挿入されるレンチ穴115が軸方向に延在して設けられている。本変形例のレンチ穴115は、断面多角形状(本変形例10では六角穴形状)を呈しており、六角レンチが挿入される。レンチ穴115は、ねじ頭112bの表面の開口部116から連続している。開口部116は、レンチ穴115の六角穴より大径の円形穴形状を呈している。開口部116の外側端部には、外側に向かって拡径するテーパ部116aが形成されている。レンチ穴115は、化粧キャップ113の支持軸部113bが嵌入されるキャップ穴112b1と兼用されている。レンチ穴115は、支持軸部113bの形状に応じて、軸方向寸法および内径寸法が設定されている。なお、レンチ穴115の形状は、六角に限定されるものではなく、断面多角形状であればよく、レンチの断面形状に合わせて他の多角形や星形等、他の形状であってもよい。なお、星形も多角形に含む。
変形例10の止水ボルト112は、実施形態1の止水ボルト2や実施形態2の止水ボルト82に代えて用いることができる。。
【0077】
このような構成の止水ボルト112によれば、ねじ頭112bにボックスレンチを嵌めて止水ボルト112を着脱する場合と比較して、ねじ頭112bの軸方向長さを短くすることができる。これによって、化粧キャップ113と穴k1の隙間から浸入する雨水が溜まるエリアを小さくすることができる。また、レンチ穴115の軸方向寸法を十分に確保できるので、確実に止水ボルト112を回転することができる。
【0078】
<<実施形態3>>
図29に示す実施形態3の足場つなぎアンカー用化粧キャップ部材111は、実施形態1と変形例8と変形例9と変形例10とを組み合わせて構成したものである。実施形態3のアンカー用化粧キャップ部材111は、止水ボルト112に挿入された化粧キャップ113の形状と、止水ボルト112のねじ軸112aの根元に嵌められたゴムパッキン114の形状と止水ボルト112の形状が実施形態1と異なる。また、止水ボルト112には、ねじ軸112aの先端部112a1から一対の案内突出部112tが突出して形成されている。
その他の構成は実施形態1と同様であるので、同様な構成要素には同一の符号を付して示し詳細な説明は省略する。
【0079】
本実施形態の止水ボルト112は、六角レンチを用いて、足場つなぎアンカー100の雌ねじ100nに螺合される。アンカー用化粧キャップ部材111の止水ボルト112のキャップ穴112b1には、変形例8の化粧キャップ113の支持軸部113bが嵌入されている。止水ボルト112のねじ軸112aの根元には、変形例9のゴムパッキン114が嵌合されている。ゴムパッキン4は、鍔部114bが胴部114aよりもねじ軸112aの先端側に位置するように、ねじ軸112aの根元に嵌められている。
【0080】
実施形態3によれば、化粧キャップ113を傾斜させる際に、万一小径部113b1が破断しキャップ部113aが外れたとしても、ラジオペンチ等の工具で係止部113b2を挟み込み、引き抜くことで容易に支持軸部113bを取り出すことができる。
また、ゴムパッキン114の鍔部114bが挿入方向の先端側が小径の円錐状部114b1を備えているので、止水ボルト112を穴k1に挿入する際に、ゴムパッキン114の鍔部114bが穴k1の内周面に引っかからず、止水ボルト112を円滑に挿入することができる。また、鍔部114bは、ねじ頭112bから離れているので、変形し易く、止水ボルト112は穴k1内をより一層挿入しやすい。
【0081】
さらに、止水ボルト112は、ねじ軸112aの内側にレンチ穴115が形成されているので、ねじ頭112bにボックスレンチを嵌めて止水ボルト112を着脱する場合と比較して、ねじ頭112bの軸方向長さを短くすることができる。よって、化粧キャップ113と穴k1の隙間から浸入する雨水が溜まるエリアを小さくすることができる。さらに、一旦足場つなぎアンカー100に装着した止水ボルト112は、化粧キャップ113を取り外した後に、レンチ穴115にレンチを挿入して回転させることで、取り外すことができる。
【0082】
<<その他の実施形態>>
1.前記実施形態1、2、3、変形例1~10では、様々な構成を説明したが、実施形態1、2、3、各変形例1~10の少なくとも一部を採用してもよい。例えば、説明した実施形態1、2および変形例1~10の構成を、適宜選択して組み合わせて構成してもよい。
【0083】
2.前記実施形態1、2、3、変形例1~10で説明した構成は、本発明の一例であり、特許請求の範囲で記載した範囲内でその他の様々な形態が可能である。また、各実施形態及び各変形例でしめした止水ボルトは、既存の化粧キャップ(例えば、
図23(a))の支持軸部をねじ頭部のキャップ穴に差し込んで使用することも可能である。
【符号の説明】
【0084】
1、1A、31、41、51、61A、61B、71、91、111 足場つなぎアンカー用化粧キャップ部材(インサート)
2、22、32、42、52、62、72、82、112 止水ボルト
2b、22b、32b、52b、82b ねじ頭部
2b1 キャップ穴
2m1 第1雄ねじ(それぞれのねじ山の中間に2つ形成される雄ねじ)
2m2 第2雄ねじ(それぞれのねじ山の中間に2つ形成される雄ねじ)
3、63、73、93、113 化粧キャップ
32b2 逃げ部
32c ツバ部
32c1 外周部
42a1、82a1 先端部
42t、82t 案内突出片
42t3、82t3 切り込み
52c 面取り(面取り箇所)
52h 非ねじ軸
63 ねじ頭部に形成された化粧キャップ
100n 雌ねじ
h1 雌ねじ、のねじ山の高さ
h2 雄ねじのねじ山の高さ
p1 雌ねじのねじピッチ
p2 雄ねじのねじピッチ
θ 位相