(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-06
(45)【発行日】2023-10-17
(54)【発明の名称】レンジフード
(51)【国際特許分類】
F24F 7/06 20060101AFI20231010BHJP
F24F 7/007 20060101ALI20231010BHJP
F24F 11/526 20180101ALI20231010BHJP
F24F 11/74 20180101ALI20231010BHJP
F24F 11/77 20180101ALI20231010BHJP
【FI】
F24F7/06 101A
F24F7/007 C
F24F11/526
F24F11/74
F24F11/77
(21)【出願番号】P 2020007756
(22)【出願日】2020-01-21
【審査請求日】2022-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000237374
【氏名又は名称】富士工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110319
【氏名又は名称】根本 恵司
(72)【発明者】
【氏名】柏村 浩介
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-042075(JP,A)
【文献】特開平10-137060(JP,A)
【文献】特開昭61-153329(JP,A)
【文献】特開平09-166342(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/06
F24F 7/007
F24F 11/526
F24F 11/74
F24F 11/77
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理器での調理で発生した油煙を捕集して排気するレンジフードであって、
前記レンジフードの運転状況を手動で変更する手動運転モードと、自動で運転状況を変更する自動運転モードを有し、手動運転モードを自動運転モードより優先する制御部と、
前記調理器での調理状態を監視する調理状態監視部と、
前記制御部による運転状況の変更を通知する通知部を備え、
前記制御部は、自動運転モードの時に、前記レンジフードの運転状態を、前記調理状態監視部が監視する調理状態に見合う運転状態に変更し、かつ
前記レンジフードの運転状況を変更する一定時間前に、前記通知部で運転状況の変更を通知することを特徴とするレンジフード。
【請求項2】
請求項
1記載のレンジフードにおいて、
運転状況の変更を中止する変更中止信号を、前記制御部に入力する変更中止操作部を備え、
前記制御部は、前記通知部が運転状況の変更を通知してから前記一定時間内に、前記変更中止信号が入力された時に、運転状況の変更を中止するレンジフード。
【請求項3】
請求項
2記載のレンジフードにおいて、
前記制御部は、運転状況の変更を中止した後、前記通知部が運転状況の変更を通知した時の運転状況を継続するレンジフード。
【請求項4】
請求項
2記載のレンジフードにおいて、
前記制御部は、運転状況の変更を中止してから所定時間経過後に、前記調理状態監視部が監視する調理状態に見合う運転状況に変更するレンジフード。
【請求項5】
請求項1から
4のいずれかに記載のレンジフードにおいて、
前記通知部は、音を鳴らすことで運転状況の変更を通知するレンジフード。
【請求項6】
請求項
5記載のレンジフードにおいて、
前記制御部は、前記調理状態監視部が監視する調理状態に応じて異なる複数の運転状況の1つに変更し、
前記通知部は、変更する運転状況により異なる音で通知するレンジフード。
【請求項7】
請求項1から
6のいずれかに記載のレンジフードにおいて、
前記制御部は、前記調理状態監視部が監視する調理状態に応じて異なる複数の運転状況の1つに変更し、
前記制御部で変更した運転状況を表示する運転状況表示部を備えたレンジフード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調理器での調理により発生した油煙を捕集して排気するレンジフードに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、調理器での調理により発生した油煙を捕集して排気するレンジフードにおいて、調理器での調理状態に応じてレンジフードの運転状況を自動で変更するようにした自動運転機能付きのレンジフードが提案されている。
例えば、特許文献1に、調理器での調理状態を監視する調理状態監視部と、調理状態監視部が監視する調理状態に応じてレンジフードの運転状況を変更する制御部を備え、調理状態監視部は、調理器での調理状態を油煙の発生量として監視し、レンジフードの運転状況は、捕集した油煙が通過するフイルタの回転速度とし、監視している油煙の発生量が多い場合には、レンジフードの運転状況を、捕集した油煙が通過するフイルタを高速回転している状況とし、監視している油煙の発生量が少ない場合には、レンジフードの運転状況を、捕集した油煙が通過するフイルタを低速回転している状況とする自動運転機能付きのレンジフードが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の自動運転機能付きのレンジフードによれば、レンジフードは調理器での調理状態に応じた運転状況となるので、レンジフードの周辺の環境は調理器での調理状態に応じた環境となる。しかしながら、使用者はレンジフードの周辺の環境を、調理器での調理状態に応じた環境とは異なる環境を望むことがある。この場合には、使用者が手動操作によりレンジフードの運転状況を変更することになるが、レンジフードの運転状況が調理器の調理状態に応じて自動で変更されるため、使用者はレンジフードの運転状況が変更されたことを気付きにくいので、レンジフード周辺の環境を望む環境とするためにレンジフードの運転状況を変更するタイミングを判断しづらく、レンジフード周辺の環境を使用者が望む環境にしづらい。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するために為されたものであり、その目的は、自動運転している時に、レンジフード周辺の環境を使用者が望む環境にし易いレンジフードを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のレンジフードは、調理器での調理で発生した油煙を捕集して排気するレンジフードであって、前記レンジフードの運転状況を手動で変更する手動運転モードと、自動で運転状況を変更する自動運転モードを有し、手動運転モードを自動運転モードより優先する制御部と、前記調理器での調理状態を監視する調理状態監視部と、前記制御部による運転状況の変更を通知する通知部を備え、前記制御部は、自動運転モードの時に、前記レンジフードの運転状態を、前記調理状態監視部が監視する調理状態に見合う運転状態に変更し、かつ前記レンジフードの運転状況を変更する一定時間前に、前記通知部で運転状況の変更を通知することを特徴とするレンジフードである。
【0008】
本発明のレンジフードにおいては、運転状況の変更を中止する変更中止信号を、前記制御部に入力する変更中止操作部を備え、前記制御部は、前記通知部が運転状況の変更を通知してから前記一定時間内に、前記変更中止信号が入力された時に、運転状況の変更を中止するレンジフードとすることができる。
このレンジフードによれば、使用者が望まない運転状況となることを止めることができる。
【0009】
本発明のレンジフードにおいては、前記制御部は、運転状況の変更を中止した後、前記通知部が運転状況の変更を通知した時の運転状況を継続するレンジフードとすることができる。
このレンジフードによれば、使用者が望む運転状況を維持できる。
【0010】
本発明のレンジフードにおいては、前記制御部は、運転状況の変更を中止してから所定時間経過後に、前記調理状態監視部が監視する調理状態に見合う運転状況に変更するレンジフードとすることができる。
【0011】
本発明のレンジフードにおいては、前記通知部は、音を鳴らすことで運転状況の変更を通知するレンジフードとすることができる。
このレンジフードによれば、使用者は通知部を見なくとも運転状況が変更されることを知ることができる。
【0012】
本発明のレンジフードにおいては、前記制御部は、前記調理状態監視部が監視する調理状態に応じて異なる複数の運転状況の1つに変更し、前記通知部は、変更する運転状況により異なる音で通知するレンジフードとすることができる。
このレンジフードによれば、変更される運転状況を知ることができる。
【0013】
本発明のレンジフードにおいては、前記制御部は、前記調理状態監視部が監視する調理状態に応じて異なる複数の運転状況の1つに変更し、前記制御部で変更した運転状況を表示する運転状況表示部を備えたレンジフードとすることができる。
このレンジフードによれば、実際に運転している運転状況を知ることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のレンジフードによれば、自動運転している時に、使用者が運転状況が変更されることを知ることができるので、使用者が望むレンジフード周辺の環境となるように、使用者が運転状況を手動でタイミングよく変更できるので、レンジフード周辺の環境を使用者が望む環境にし易いレンジフードとなる。使用者は、レンジフードの運転状況が変更される以前に、運転状況を変更することを知ることができるので、レンジフードの運転状況を使用者が迅速に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明のレンジフードと調理器の実施の形態を概略的に示す正面図である。
【
図2】本発明の制御部の第1の実施の形態を示す説明図である。
【
図3】本発明の制御部の第2の実施の形態を示す説明図である。
【
図4】本発明のレンジフードの第2の実施の形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明のレンジフードと調理器の実施の形態を
図1に基づいて説明する。
図1は本発明のレンジフードと調理器の実施の形態を概略的に示す正面図である。
レンジフード1は、フード2と、排気ファン3と、手動運転操作部4と、制御部5と、運転状況表示部6と、自動運転スイッチ7と、調理状態監視部8と、通知部9と、図示しないフイルタ等を備えている。
手動運転操作部4と自動運転スイッチ7は、フード2の前面2aに設けられ、使用者が操作し易くしてある。運転状況表示部6と通知部9は、フード2の前面2aに設けられ、使用者が目視し易くしてある。制御部5はフード2の内部に設けてある。使用者とは調理をする者などレンジフードの周辺に居る者である。
レンジフード1は調理器10の上方に設置されている。なお、レンジフード1は調理器10の近傍に設置してもよい。
【0017】
フード2は、下面に開口した流路(図示せず)を有している。
排気ファン3は、ファン3aと、ファン3aを回転するモータ3bを有し、ファン3aがフード2の流路に臨むように設けてある。そして、モータ3bでファン3aを回転することで排気ファン3が駆動する。
排気ファン3が駆動することで、調理器10での調理で発生した油煙をフード2の流路に捕集し、図示しないフイルタを通して屋外などに排気する。
【0018】
図2に示すように、手動運転操作部4は運転スイッチ40と、レンジフードの運転状況を手動で設定する運転状況手動設定スイッチ41を有している。運転スイッチ40は制御部5にレンジフードの運転開始信号と、レンジフードの運転停止信号を出力する。
運転状況手動設定スイッチ41は、第1運転状況設定信号を制御部5に入力する第1運転状況手動設定スイッチ41aと、第2運転状況設定信号を制御部5に入力する第2運転状況手動設定スイッチ41bと、第3運転状況設定信号を制御部5に入力する第3運転状況手動設定スイッチ41cを備えている。レンジフードの運転状況は排気ファン3の風量としてある。
第1運転状況設定信号は、排気ファン3の風量を最大とする信号である。第2運転状況設定信号は、排気ファン3の風量を中位とする信号である。第3運転状況設定信号は、排気ファン3の風量を最小とする信号である。
運転状況表示部6は、第1表示部60と、第2表示部61と、第3表示部62とを備えている。
【0019】
第1表示部60は、排気ファン3の風量を最大としてレンジフードが運転している第1運転状況を表示する。例えば、強風量運転の文字表示、または強風量運転の音声発生をする。
第2表示部61は、排気ファン3の風量を中位としてレンジフードが運転している第2運転状況を表示する。例えば、中風量運転の文字表示、または中風量運転の音声発生をする。
第3表示部62は、排気ファン3の風量を最小としてレンジフードが運転している第3運転状況を表示する。例えば、弱風量運転の文字表示、または弱風量運転の音声発生をする。
【0020】
制御部5は、レンジフードの運転開始信号と第1運転状況設定信号が入力されると、排気ファン3のモータ3bの通電量を多くしてファン3aを高速回転することで、排気ファン3の風量を最大としてレンジフードを第1運転状況とし、かつ第1表示部60を表示する。
制御部5は、レンジフードの運転開始信号と第2運転状況設定信号が入力されると、排気ファン3のモータ3bの通電量を中位としてファン3aを中速回転することで、排気ファン3の風量を中位としてレンジフードを第2運転状況とし、かつ第2表示部61を表示する。
制御部5は、レンジフードの運転開始信号と第3運転状況設定信号が入力されると、排気ファン3のモータ3bの通電量を少なくしてファン3aを低速回転することで、排気ファン3の風量を最小としてレンジフードを第3運転状況とし、かつ第3表示部62を表示する。
【0021】
制御部5は、レンジフードの運転停止信号が入力されると、モータ3bの通電を止め、排気ファン3を停止するとともに、表示している表示部の表示を止める。
したがって、レンジフードを手動操作で運転している時に、排気ファン3の風量、つまりレンジフードの運転状況を使用者が知ることができる。
自動運転スイッチ7は、制御部5に自動運転信号を入力し、制御部5を自動運転モードとする。制御部5に自動運転信号が入力されていない時には、制御部5は手動運転モードである。
調理状態監視部8は、調理器10での調理状態を監視するもので、調理器10での調理状態を制御部5に入力する。実施の形態では、調理状態監視部8は煙センサで、調理器10での調理状態を、調理により発生する油煙の発生量としてある。
【0022】
制御部5は、自動運転モードの時に調理状態監視部8から入力された調理状態に応じてレンジフードの運転状況を、第1運転状況、第2運転状況、第3運転状況のいずれかとするとともに、第1運転状況とした時には第1表示部60を表示し、第2運転状況とした時には第2表示部61を表示し、第3運転状況とした時には第3表示部62を表示する。
したがって、実施の形態のレンジフードは自動運転機能付きのレンジフードであり、自動運転の時にレンジフードの運転状況を運転状況表示部6により確認することができる。
【0023】
通知部9は、制御部5が、調理状態監視部8が監視している調理状態に応じてレンジフードの運転状況を変更する際に、使用者に運転状況を変更することを通知する。例えば、音を鳴らして通知する。
したがって、調理状態に応じてレンジフードの運転状況を自動で変更する自動運転の時に、運転状況が変更されることを使用者が知ることができるので、レンジフード周辺の環境を使用者が望む環境とするために、使用者が、運転状況手動設定スイッチ41を操作してレンジフードの運転状況を自動運転とは異なる運転状況に変更するタイミングが判りやすく、レンジフード周辺の環境を使用者が望む環境にし易いレンジフードとすることができる。
【0024】
例えば、調理状態監視部8が監視している調理状態が油煙の発生量が少なくなり、レンジフードの運転状況が排気ファン3の風量が少ない運転状況に自動で変更された時に、レンジフードの周辺に調理による強い臭いが残存して不快な環境となることがあるが、レンジフードの運転状況を、使用者が手動で排気ファン3の風量が多い運転状況に変更することで、残存している強い臭いを迅速に排気して臭いの少ない良好な環境とすることができる。つまり、手動運転モードは自動運転モードより優先し、制御部5が自動運転モードの時に運転状況手動設定スイッチ41を操作することでレンジフードの運転状況を変更できる。
【0025】
図1に示すように、調理状態監視部8である煙センサは、フード2の下面2bに調理器10の熱を発生する調理部10aに向けて取り付けてある。煙センサは、調理部10aに鍋11等を置いて調理している時に発生した油煙の発生量(油煙に含まれる油粒子の質量濃度)を検出する。
煙センサで検出した油煙の発生量は制御部5に入力される。制御部5は自動運転モードの時に、入力された油煙の発生量により調理器10での調理状態を知り、その調理状態に応じたレンジフードの運転状況となるように排気ファン3のモータ3bの通電量を制御し、レンジフードの運転状況を変更する。
例えば、制御部5に、監視している調理状態に見合う運転状況であるかを判断する判定部50を設け、判定部50が、運転状況が監視している調理状態に見合わないと判断した時に、制御部5がレンジフードの運転状況を変更する。判定部50は制御部5とは別に設けてもよい。
【0026】
レンジフードの自動運転の一例を具体的に説明する。
レンジフードの運転状況を排気ファン3の風量とし、レンジフードの運転状況を、手動運転と同様に、排気ファン3の風量が最大である第1運転状況、排気ファン3の風量が中位である第2運転状況、排気ファン3の風量が最小である第3運転状況に変更できるようにしてある。
調理器での調理状態を、調理により発生した油煙の発生量とする。
図3に示すように、制御部5に、第1運転状況(排気ファン3の風量)に見合う第1調理状態(油煙の発生量)の範囲を設定する第1設定部51と、第2運転状況(排気ファンの風量)に見合う第2調理状態(油煙の発生量)の範囲を設定する第2設定部52と、第3運転状況(排気ファンの風量)に見合う第3調理状態(油煙の発生量)の範囲を設定する第3設定部53とを設ける。
【0027】
自動運転スイッチ7から制御部5に自動運転信号を入力して制御部5を自動運転モードとし、レンジフードを自動運転する。
自動運転している時の運転状況(排気ファンの風量)に見合う設定部(第1設定部51、第2設定部52、第3設定部53のいずれか1つの設定部)に設定した調理状態(油煙の発生量)の範囲と、調理状態監視部8が監視している調理状態(油煙の発生量)を判定部50で比較し、その監視している調理状態(油煙の発生量)が設定した調理状態(油煙の発生量)の範囲内であれば、レンジフードの運転状況が監視している調理状態に見合うと判断し、そのままの運転状況でレンジフードを運転し続ける。
例えば、排気ファンが最大風量である第1運転状況でレンジフードが運転している時に、調理状態監視部8が監視している油煙の発生量が、第1設定部51に設定した調理状態(油煙の発生量)の範囲内である場合には、レンジフードの運転状況が監視している調理状態に見合う運転状況であると判断して、レンジフードを第1運転状況で運転し続ける。
【0028】
監視している調理状態(油煙の発生量)が設定した調理状態(油煙の発生量)の範囲外であれば、判定部50は、レンジフードの運転状況が監視している調理状態に見合わないと判断し、制御部5は、排気ファン3のモータ3bの通電量を変えて排気ファン3の風量を変更し、レンジフードの運転状況を、監視している調理状態(油煙の発生量)と見合う運転状況(排気ファンの風量)に変更する。
制御部5は運転状況を変更することで、運転状況表示部6の表示する表示部を変更する。
制御部5は、運転状況を変更する際に通知部9で運転状況の変更を通知する。
【0029】
例えば、排気ファンが最大風量である第1運転状況でレンジフードが運転している時に、調理状態監視部8が監視している調理状態(油煙の発生量)が、第1設定部51に設定した調理状態(油煙の発生量)の範囲を下回り、第2設定部52に設定した調理状態(油煙の発生量)の範囲内の値に変化した場合には、判定部50が、レンジフードの運転状況が監視している調理状態に見合わないと判断し、制御部5は、排気ファン3のモータ3bの通電量を減少し、排気ファン3の風量を中位の風量として、レンジフードの運転状況を第2運転状況に変更する。
また、制御部5は、第1運転状況から第2運転状況に変更したことにより、運転状況表示部6の第1表示部60の表示を止め、第2表示部61を表示する。
さらに、制御部5は、第1運転状況から第2運転状況に変更する際に通知部9で運転状況の変更を通知する。
【0030】
レンジフードの運転状況に見合う調理状態は、次のように設定することもできる。第1設定部51に設定した調理状態(油煙の発生量)の範囲と第2設定部52に設定した調理状態(油煙の発生量)の範囲の境界の値を第1設定値(第1閾値)として第1設定部51に設定する。つまり第1設定部51で設定した調理状態(油煙の発生量)の最小の値が第2設定部52で設定した調理状態(油煙の発生量)の最大の値となり、その値が境界の値である。
第2設定部52に設定した調理状態(油煙の発生量)の範囲と第3設定部53に設定した調理状態(油煙の発生量)の範囲の境界の値を第2設定値(第2閾値)として第2設定部52に設定する。つまり第2設定部52で設定した調理状態(油煙の発生量)の最小の値が第3設定部52で設定した調理状態(油煙の発生量)の最大の値となり、その値が境界の値である。
【0031】
このように設定した場合には、判定部50は、調理状態監視部8が監視している調理状態(油煙の発生量)と第1設定値または、第2設定値を比較することで、監視している調理状態に見合う運転状態であるかを判断し、見合う場合にはレンジフードを、その運転状況で継続して運転する。見合わない場合にはレンジフードの運転状況を変更する。
例えば、レンジフードを第1運転状態で運転している時に、監視している調理状態(油煙の発生量)が第1設定値以下となった場合は、第2運転状態に変更する。
レンジフードを第2運転状態で運転している時に、監視している調理状態(油煙の発生量)が第2設定値以下となった場合は、第3運転状態に変更する。
【0032】
制御部5は、調理状態監視部8が監視している調理状態(油煙の発生量)が、レンジフードの運転状況に応じて設定した調理状態の範囲外となった時、または、設定値を超えた時、つまり運転状況に見合わなくなった時に直ちに通知部9で運転状況の変更を通知し、運転状況に見合わなくなってから、一定時間後にレンジフードの運転状況を変更するようにしてもよい。
また、調理状態監視部8が監視している調理状態(油煙の発生量)の単位時間当たりの変化量に基づいて、監視している調理状態(油煙の発生量)が設定した調理状態(油煙の発生量)の範囲外となる時期、または設定値を超える時期を予測し、予測した時期となる一定時間前に通知部7で運転状況の変更を通知し、その後に予測した時期となった時にレンジフードの運転状況を変更するようにしてもよい。
つまり、制御部5は、レンジフードの運転状況(排気ファンの風量)を変更する一定時間前に運転状況の変更を通知するようにしてもよい。
【0033】
レンジフードの運転状況(排気ファンの風量)を変更する一定時間前に運転状況の変更を通知することで、使用者は運転状況が変更する一定時間前に運転状況の変更を知ることができ、レンジフードの運転状況を使用者が迅速に変更することができるとともに、運転状況が変更される前に使用者が運転状況を選択することができる。
また、
図3に示す制御部の第2の実施の形態のように、運転状況の変更を中止する変更中止信号を、制御部5に入力する変更中止操作部、例えば中止スイッチ54を設け、レンジフードの運転状況の変更を通知してから運転状況を変更するまでの一定時間内に中止スイッチ54を操作して制御部5に変更中止信号を入力することで、制御部5は一定時間後に運転状況を変更することを中止するようにできる。なお、自動運転スイッチ7を長い時間連続して操作することで制御部5に変更中止信号を入力することができる。つまり、自動運転スイッチ7を変更中止操作部と兼用とすることができる。さらに、フード2に取り付けした照明を点灯、消灯する照明スイッチなどのレンジフードの運転に使用する他のスイッチが変更中止操作部を兼用するようにしてもよい。
これにより、レンジフードの周辺が使用者の望まない環境となることを防止できる。
【0034】
制御部5は、レンジフードの運転状況の変更を中止した後、運転状況の変更を通知した時の運転状況を継続するようにできる。
制御部5は、レンジフードの運転状況の変更を中止してから所定時間経過後に、調理状態監視部8が監視している調理状態に見合う運転状況に変更するようにできる。所定時間は予め制御部5に設定してもよいし、運転状況の変更を通知する時に制御部5に設定するようにしてもよい。このようにすることで、使用者が望む運転状況に手動操作で変更してから所定時間経過後に、レンジフードの運転状態は調理状態監視部8が監視している調理状態に見合う運転状態となる。
【0035】
通知部9は、運転状況の変更を音声、音楽などの音で通知する。
したがって、使用者は通知部9を目視せずに、レンジフードの近くにいることで運転状況が変更したことを知ることができる。
通知部9は、変更後の運転状況に応じた音で運転状況の変更を通知するようにできる。
例えば、排気ファン3の風量が最大の第1運転状況に変更した時には、「ピピピッ」の音を鳴らす。
排気ファン3の風量が中位の第2運転状況に変更した時には、「ピピッ」の音を鳴らす。
排気ファン3の風量が最小の第3運転状況に変更した時には、「ピッ」の音を鳴らす。
したがって、「ピ」の音の回数で変更後の運転状況を知ることができる。
【0036】
通知部9は、「ピ」の音の回数で変更後の運転状況を表示するのではなく、変更後の運転状況が変更前の運転状況よりも排気ファン3の風量が増加する場合には「ピピッ」の音を鳴らし、変更後の運転状況が変更前の運転状況よりも排気ファン3の風量が減少する場合には「ピッ」の音を鳴らすようにして、「ピ」の音の回数で排気ファン3の風量が増加する運転状況に変更したのか、排気ファン3の風量が減少する運転状況に変更したのかを表示するようにしてもよい。
【0037】
調理状態監視部8は煙センサに限ることはなく、調理器10の調理部10aに設けて鍋11の底の温度を測定する鍋底温度センサ、フード2の下面2bに設けて調理部11周辺上部の温度を測定する温度センサ、調理時に発生する音を監視する音センサ、調理しているものの色を監視する色彩センサ、調理器10自体が調理状態に応じた信号発生する調理器運転状態センサなどのいずれか1つ、または複数を組み合わせて使用することができる。
調理状態監視部8を煙センサとした場合には油煙の発生量が調理状態であるが、煙センサ以外とした場合には、調理状態は調理状態監視部8が監視する状態、たとえば温度センサの場合には温度の高低、音センサの場合には音の種類、色彩センサの場合には色の種類、明度などが調理状態となる。
【0038】
レンジフードの運転状況は排気ファン3の風量としたが、フイルタを回転するようにしたレンジフードの場合には、フイルタの回転速度をレンジフードの運転状況とすることができる。
例えば、
図4に示すように、フード2内にフイルタ20を回転可能に設け、モータ21でフイルタ20を回転することで油煙の油脂分をフイルタ20に付着して除去するようにしたレンジフードの場合には、フイルタ20の回転速度をレンジフードの運転状態とし、モータ21の通電量を変えることでフイルタ20の回転速度を変えて運転状況を変更する。
【符号の説明】
【0039】
1…レンジフード、2…フード、3…排気ファン、3a…ファン、3b…モータ、4…手動運転操作部、5…制御部、6…運転状況表示部、7…自動運転スイッチ、8…調理状態監視部、9…通知部、10…調理器、20…フイルタ、21…モータ、40…運転スイッチ、41…運転状況手動設定スイッチ、50…判定部、54…中止スイッチ(変更中止操作部)。