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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-06
(45)【発行日】2023-10-17
(54)【発明の名称】商品陳列用フック
(51)【国際特許分類】
   A47F 5/00 20060101AFI20231010BHJP
【FI】
A47F5/00 D
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020045074
(22)【出願日】2020-03-16
(65)【公開番号】P2021145694
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2022-01-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000213138
【氏名又は名称】中日産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100112900
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 路子
(74)【代理人】
【識別番号】100136995
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 千織
(74)【代理人】
【識別番号】100163164
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 敏之
(72)【発明者】
【氏名】林 誠浩
(72)【発明者】
【氏名】石原 一昭
(72)【発明者】
【氏名】生田 寛人
【審査官】高橋 祐介
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0032482(US,A1)
【文献】登録実用新案第3121507(JP,U)
【文献】登録実用新案第3149151(JP,U)
【文献】特開2019-216919(JP,A)
【文献】実開平06-087311(JP,U)
【文献】特開平09-164044(JP,A)
【文献】特開2021-112470(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47F 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品陳列用什器の横棒に取り付けられる取付部と、前記取付部から延設されて商品が吊り下げられるアーム部とを備えた金属製の商品陳列用フックであって、
前記取付部が、前後に相対向する前板部及び後板部と、前記前板部と前記後板部とを上端側で連結する連結部と、を備え、
前記アーム部が、
棒状に形成され前記取付部の前記後板部から上方に延設された上延設部と、
棒状に形成され前記上延設部の上端部から斜め下前方に延設された下向き傾斜部と、
棒状に形成され前記下向き傾斜部の前端部から略水平方向かつ前方に延設された水平部と、
棒状に形成され前記水平部の前端部から斜め上前方に延設された上向き傾斜部と、
を備え、
前記水平部は、前記取付部の上端と上下方向における位置が略同一とされ、
少なくとも前記アーム部の外表面に滑性処理が施され、
表示具を取り付け可能なホルダ部を備え、
前記ホルダ部は、前記下向き傾斜部に直交するとともに斜め上前方に延設された縦棒部と、前記縦棒部に直交する方向、かつ、斜め下前方に延びるとともに途中から略水平方向前方に延びるように延設された横棒部と、前記横棒部から上方に延設され前記表示具が取り付けられる表示具取付部と、を備え、
前記縦棒部は、前記前板部の前端と前後方向における位置が略同一とされていることを特徴とする商品陳列用フック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品陳列用什器に取り付けられて商品を陳列するための商品陳列用フックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の商品陳列用フックとして、本出願人が先にした特許文献1に記載されるものがあった。これによれば、商品陳列用什器の横棒に取り付けられる取付部と、取付部から延設されて商品が吊り下げられる棒状のアーム部とを備えていた。
【0003】
そして、アーム部が、取付部から斜め下前方に延設された下向き傾斜部と、下向き傾斜部の前端部から略水平方向かつ前方に延設された制動部と、制動部の前端部から斜め上前方に延設された上向き傾斜部と、を備えていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実用新案登録第3149151号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記商品陳列用フックは、合成樹脂で形成されていたので、金属製の商品陳列用フックにも適用することが望まれていた。
【0006】
しかし、金属製の商品陳列用フックでは、クロムメッキ、粉体塗装、といった表面処理が施されていたが、これらは滑性が低いので吊り下げられる商品が滑り降りてこないおそれがあった。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑み、金属で形成しても吊り下げられる商品が滑り降りてくる商品陳列用フックを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
商品陳列用什器の横棒に取り付けられる取付部と、前記取付部から延設されて商品が吊り下げられるアーム部とを備えた金属製の商品陳列用フックであって、
前記取付部が、前後に相対向する前板部及び後板部と、前記前板部と前記後板部とを上端側で連結する連結部と、を備え、
前記アーム部が、
棒状に形成され前記取付部の前記後板部から上方に延設された上延設部と、
棒状に形成され前記上延設部の上端部から斜め下前方に延設された下向き傾斜部と、
棒状に形成され前記下向き傾斜部の前端部から略水平方向かつ前方に延設された水平部と、
棒状に形成され前記水平部の前端部から斜め上前方に延設された上向き傾斜部と、
を備え、
前記水平部は、前記取付部の上端と上下方向における位置が略同一とされ、
少なくとも前記アーム部の外表面に滑性処理が施され、
表示具を取り付け可能なホルダ部を備え、
前記ホルダ部は、前記下向き傾斜部に直交するとともに斜め上前方に延設された縦棒部と、前記縦棒部に直交する方向、かつ、斜め下前方に延びるとともに途中から略水平方向前方に延びるように延設された横棒部と、前記横棒部から上方に延設され前記表示具が取り付けられる表示具取付部と、を備え、
前記縦棒部は、前記前板部の前端と前後方向における位置が略同一とされている。
【0009】
これによれば、金属で形成しても吊り下げられる商品が滑り降りてくる商品陳列用フックを提供することができる。
【0011】
これによれば、既存の商品陳列用フックは、取付部から水平方向に沿って延びて形成されるので、既存の商品陳列用フックと併用しても、上下方向における位置を揃えることが可能となる。
【0013】
これによれば、商品陳列用フックを合成樹脂で形成していた場合には、商品の重量によりアーム部の長さの制約が生じていたが、金属で形成することと相まって、下向き傾斜部の後端を後方に下げることができ、商品の吊り下げ領域を増加させること可能となる。さらに、アーム部の前端を揃えて商品を陳列する場合には、アーム部の長さが増えることになるので、アーム部のたわみによる商品の滑り降り効果が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明における一実施形態の商品陳列用フックの右斜め上からみた斜視図である。
図2】同実施形態の右側面図である。
図3】既存の商品陳列用フックの右斜め上からみた斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明における商品陳列用フックの一実施形態を図面に基づいて説明する。以下の説明では、各図面に付される矢印の、Fを前、Bを後ろ、Rを右、Lを左、Uを上、Dを下、方向とする。
【0020】
商品陳列用フック10は、金属製で、図1、2に示すように、商品陳列用什器の横棒SBに取り付けられる取付部20と、取付部20から延設されて商品70が吊り下げられる棒状のアーム部30と、アーム部30から延設される棒状のホルダ部40と、を備えている。
【0021】
なお、横棒SBは、商品陳列用什器において、水平方向に延設された断面矩形状の棒状部材である。
【0022】
取付部20は、前後に相対向する矩形板状の、前板部21と、後板部22と、を備えるとともに、前板部21と後板部22とを連結する矩形板状の連結部23を備えている。取付部20は、前板部21が後板部22より上下方向における長さが長く形成され、側面視において下向きの略コ字形状とされている。
【0023】
なお、図1に示すように、商品陳列用フック10を横棒SBに取り付けるとき、前板部21と後板部22との間に横棒SBが挟まれる。
【0024】
アーム部30は、後板部22から上下方向上側に延びる上延設部31と、上延設部31の上端部から斜め下前方に延設された下向き傾斜部32と、下向き傾斜部32の前端部から略水平方向かつ前方に延設された水平部33と、水平部33の前端部から斜め上前方に延設された上向き傾斜部34と、を備えている。
【0025】
アーム部30は、上延設部31の下端部において、取付部20の後板部22の左右方向における中央部分に溶接されて取り付けられている。つまり、上延設部31は、取付部20の後板部22の後端部から上方に延設されていることになる。
【0026】
本実施形態では、商品陳列用フック10が横棒SBに取り付けられた状態において、下向き傾斜部32の水平方向に対する傾斜角度は、10度とされ、また、水平部33が、取付部20の上端と略同一の高さとされている。
【0027】
ホルダ部40は、図1、2に示すように、アーム部30の下向き傾斜部32から斜め上前方(下向き傾斜部32に直交する方向)に延設された縦棒部41と、縦棒部41の上端部から斜め下前方(縦棒部41に直交する方向)に延びるとともに途中から略水平方向前方に延びるように延設された横棒部42と、横棒部42の前端部から上方(横棒部42の前端部に直交する方向)に延設されたホルダ取付部43とを備えている。ホルダ取付部43にカードホルダ44が取り付けられている。
【0028】
商品陳列用フック10の外表面には、滑性処理が施されている。本実施形態では、フッ素系樹脂塗装が施されて、商品陳列用フック10の外表面に滑性が付与されている。
【0029】
本実施形態における、商品陳列用フック10の使用態様を説明する。商品陳列用フック10を用いて商品70を陳列するときは、図1に示すように、ホルダ部40が商品陳列用什器の前方を向くように、取付部20を商品陳列用什器の横棒SBに取り付ける。
【0030】
そして、各商品70のフック部71をアーム部30に引っ掛けて、商品70を並べる。図1の状態では、前側の商品70が水平部33に、後側の商品70が下向き傾斜部32に吊り下げられている。
【0031】
また、ホルダ部40のホルダ取付部43に、プライスカード等を収納したカードホルダ44を取り付ける。
【0032】
商品70を購入するときには、購入者は、通常、一番前の商品70を持ち上げる。このとき、残った商品70のうち、下向き傾斜部32に吊り下げられていた商品70が滑り降りて、前側の商品70を押して前方に移動させるとともに、アーム部30に加わっていた一番前の商品70の荷重が一気に無くなることから、アーム部30が振動して、残った商品70が下向き傾斜部32を滑って下方に送り出される。よって、水平部33及び下向き傾斜部32に、残った商品70が並んだ状態となる。
【0033】
なお、商品陳列用フック10では、上延設部31が、取付部20の後板部22の後端部に取り付けられていることから、下向き傾斜部32、水平部33、上向き傾斜部34の前後方向の長さが長くなるため、アーム部30に加わっていた一番前の商品70の荷重が無くなることによる振動が生じ易くなることが期待できる。また、フック部71は上向き傾斜部34に引っ掛かる場合もあり、商品70が離れるときにも、アーム部30が振動するので、下向き傾斜部32に位置する商品70は、下向き傾斜部32を滑り降りることとなる。
【0034】
また、商品70が下方に送り出されるとき、アーム部30には滑性処理が施されているため、商品70がスムーズに滑り降りる。
【0035】
下向き傾斜部32から下方に送り出された商品70のうち、水平部33に至った商品70は、水平部33が略水平方向に延設されていることから、勢いが減少させられるので、後側の商品70が勢い良く前側の商品70を押すことにより、商品陳列用フック10から商品70が落下することを抑制する。
【0036】
そして、上向き傾斜部34が、後側の商品70に押されて前側の商品70がより前方に出ようとする力を抑制するとともに、商品70の前面を前方に向けて並び易くしている。
【0037】
本実施形態の商品陳列用フック10では、商品陳列用什器の横棒SBに取り付けられる取付部20と、取付部20から延設されて商品70が吊り下げられる棒状のアーム部30とを備えた金属製の商品陳列用フックであって、
アーム部30が、
取付部20から上方に延設された上延設部31と、
上延設部31の上端部から斜め下前方に延設された下向き傾斜部32と、
下向き傾斜部32の前端部から略水平方向かつ前方に延設された水平部33と、
水平部33の前端部から斜め上前方に延設された上向き傾斜部34と、
を備え、
少なくともアーム部30の外表面に滑性処理が施されている。
【0038】
これによれば、金属で形成しても吊り下げられる商品70が滑り降りてくる商品陳列用フックを提供することができる。
【0039】
また、水平部33は、取付部20の上端と上下方向における位置が略同一とされている。
【0040】
これによれば、図3に示すような、既存の商品陳列用フック100では、アーム部130が、取付部120から水平方向に沿って延びて形成されるので、既存の商品陳列用フック100と併用しても、上下方向における位置を揃えることが可能となる。
【0041】
また、上延設部31が、取付部20の後端部から上方に延設されている。
【0042】
これによれば、商品陳列用フックを合成樹脂で形成していた場合には、商品70の重量によりアーム部の長さの制約が生じていたが、金属で形成することと相まって、下向き傾斜部32の後端を後方に下げることができ、商品70の吊り下げ領域を増加させることが可能となる。さらに、アーム部30の前端を揃えて商品70を陳列する場合には、アーム部30の長さが増えることになるので、アーム部30のたわみによる商品70の滑り降り効果が期待できる。
【0043】
また、下向き傾斜部32の水平方向に対する傾斜角度が、10度である。
【0044】
これによれば、歯ブラシ等の比較的軽い商品70の重量に応じて、滑り降りる傾斜角度を設定することができている。
【0045】
また、滑性処理が、フッ素系樹脂塗装である。
【0046】
これによれば、商品70の前出し作業を無くすことに寄与する。
【0047】
本発明の商品陳列用フックは上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の要旨を逸脱しない限り各種の設計変更等が可能である。
【0048】
例えば、滑性処理は、滑性が付与できるのであれば、シリコーン系樹脂塗装、テフロンメッキ(テフロンは登録商標、フッ素系樹脂メッキ)、セラミックコーティング、カチオン電着塗装、ワックス、潤滑油の塗布等することが例示できる。
【0049】
また、商品70の勢いを減少させるために、水平部33の軸方向の角度は、水平方向に対して0度 ~ 約4度の範囲で設定することができる。
【0050】
また、下向き傾斜部32の水平方向に対する傾斜角度は、吊り下げられる商品70の重量に応じて5度から15度の範囲内で適宜変更することができ、水平方向に対して7度から10度の傾斜角度であることがより望ましい。
【0051】
また、滑性処理は、少なくとも商品70が吊り下げられるアーム部30の外表面に滑性処理が施されていれば足りる。
【0052】
また、商品70の値段、品質等の情報を他の手段で表示する場合には、ホルダ部40、カードホルダ44を省略することも可能である。この場合、商品70の吊り下げ領域の制約がなくなり、商品70の吊り下げ領域を増加させることに寄与する。
【0053】
また、上延設部31は、上下方向に沿って延設されていたが、上下方向に対して傾斜させて延設することも可能である。
【0054】
また、上延設部31は、取付部20の後端部から上方に延設されていたが、取付部20の上端部又は前端部から上方に延設させることも可能である。このような構成とすれば、部材のコスト低減につながる。
【0055】
また、水平部33は、取付部20の上端と上下方向における位置が略同一とされていたが、既存の商品陳列用フックに対応させて、取付部20の上端から上側に25mmの範囲に設定することができる。
【符号の説明】
【0056】
10 商品陳列用フック
20 取付部
30 アーム部
31 上延設部
32 下向き傾斜部
33 水平部
34 上向き傾斜部
70 商品
SB 横棒
図1
図2
図3