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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-06
(45)【発行日】2023-10-17
(54)【発明の名称】自転車用子供乗せ
(51)【国際特許分類】
   B62J 1/00 20060101AFI20231010BHJP
   B62J 1/16 20060101ALI20231010BHJP
【FI】
B62J1/00 D
B62J1/16 Z
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021004271
(22)【出願日】2021-01-14
(65)【公開番号】P2022108994
(43)【公開日】2022-07-27
【審査請求日】2022-11-07
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ウェブサイトのアドレス:https://global.yamaha-motor.com/jp/news/2020/1014/pas_un.html ウェブサイトの掲載日: 令和2年10月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000205292
【氏名又は名称】オージーケー技研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 真吾
(72)【発明者】
【氏名】堀 啓一
(72)【発明者】
【氏名】赤坂 雅之
【審査官】中川 隆司
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-214045(JP,A)
【文献】特開平11-049058(JP,A)
【文献】特開平08-198020(JP,A)
【文献】特開2004-034921(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 1/00
B62J 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車に固定され、子供を前向きに着座させる座席本体と、
前記座席本体の前部に設けられ、前記座席本体に対して前下方へ回動可能に連結されるカバー部材と、
前記カバー部材の後部に設けられ、前記座席本体に着座させた子供の把持部となるグリップバーと、
前記カバー部材の前部に回動可能に設けられ、前記カバー部材を回動させるときの使用者の把持部となる開閉ハンドルと、
前記カバー部材が前記座席本体を前方から覆う所定の閉位置にあるときにロック状態となり、前記カバー部材の回動を阻止する一方、前記開閉ハンドルが引張操作されて、前記カバー部材の前方へ回動されることでアンロック状態となり、前記カバー部材の回動を許容するロック機構部と、を備え
前記カバー部材は、ラッチ支持枠を有し、
前記ロック機構部は、前記ラッチ支持枠に出没可能に設けられ、前記開閉ハンドルの引張操作に連動して前記ラッチ支持枠に没入されるラッチ部と、前記座席本体に設けられ、前記カバー部材が前記閉位置にあるときに前記ラッチ部を抜け止め状態で保持するラッチ受け部とを有し、
前記ラッチ部は、ラッチ掛止爪を有し、
前記ラッチ支持枠は、前記ラッチ部が没入されたときに前記ラッチ掛止爪が嵌挿されて、前記ラッチ部の突出方向への移動を阻止する爪受け孔を有する自転車用子供乗せ。
【請求項2】
自転車に固定され、子供を前向きに着座させる座席本体と、
前記座席本体の前部に設けられ、前記座席本体に対して前下方へ回動可能に連結されるカバー部材と、
前記カバー部材の後部に設けられ、前記座席本体に着座させた子供の把持部となるグリップバーと、
前記カバー部材の前部に設けられ、前記カバー部材を回動させるときの把持部となる開閉ハンドルと、
前記カバー部材が前記座席本体を前方から覆う所定の閉位置にあるときにロック状態となり、前記カバー部材の回動を阻止する一方、前記開閉ハンドルが引張操作されることでアンロック状態となり、前記カバー部材の回動を許容するロック機構部と、
一端部が前記座席本体の底部に回動可能に連結され、他端部が前記カバー部材の底部に回動可能に連結される第1リンク部材と、
一端部が前記座席本体の側部に回動可能に連結され、他端部が前記カバー部材の側部に回動可能に連結される第2リンク部材と、を備え、
前記カバー部材は、前記第1リンク部材および前記第2リンク部材を介して前記座席本体に連結支持された自転車用子供乗せ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車に子供を同乗させるための自転車用子供乗せに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自転車のハンドル部に取り付けられ、子供を同乗させるための籠状の自転車用子供乗せにおいて、子供を前向きに着座させる座席本体の前部に、カバー部が前下方へ回動可能に設けられたものが知られている(例えば、特許文献1および2)。
【0003】
特許文献1および2の自転車用子供乗せは、カバー部材を前下方へ回動させ、所定位置まで開くことにより、カバー部材の前壁内側が子供の脚乗せ部になるように構成されている。また、座席本体の側壁相互間には、座席本体に着座させた子供に把持させるためのハンドル(以下、「グリップバー」という)が横設されている。さらに、座席本体の底部には、カバー部材の回動を阻止可能なロック機構部が設けられており、上記ロック機構部を手動操作してアンロック状態にすることで、カバー部材を所定位置まで開くことができるようになっている。
【0004】
このような自転車用子供乗せを使用する場合、例えば、使用者(自転車の運転者)はまず、自転車の前側に立ち、座席本体の内側底部に設けられたロック機構部をアンロック状態にした後、カバー部材を前下方へ回動させて所定位置まで開く。次に、使用者は、抱き上げた子供を、座席本体の背凭れ部とグリップバーとの間隙に脚先から滑り込ませるようにして通し、座席本体の座部に着座させる。その際、グリップバーは、子供の腹部近傍に配される。そしてこの状態で、座席本体に設けられたシートベルトを子供の胴部に装着し、子供にはグリップバーを握らせる。これにより、子供を安定して着座させることができる。
【0005】
一方、子供を自転車用子供乗せから降ろす場合、例えば、使用者はまず、自転車の前側に立ち、子供に装着されたシートベルトを外す。そしてこの状態で、使用者は、座部に着座させている子供を、背凭れ部とグリップバーとの間隙から引き抜くようにして抱き上げ、自転車用子供乗せから降ろす。またその後、使用者は、カバー部材を元の閉位置まで回動させるとともに、ロック機構部をロック状態に戻す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2006-182199号
【文献】特開2011-88536号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1および2の自転車用子供乗せは、全体が深型の籠状に形成されているとともに、座部に着座させた子供の腹部近傍の前方位置にグリップバーが横設固定されているため、子供を乗せ降ろしする際に、脚部がグリップバーに引っ掛かり易く、円滑に乗せ降ろしできない問題があった。しかも、このものでは、座席本体の内側底部にカバー部材のロック機構部が設けられているため、特に子供を抱えているときや荷物を持っているときに、ロック機構部を手動で操作して、カバー部材を開閉させるのも容易でなかった。
【0008】
本発明は、上記の問題を鑑みてなされたものであり、自転車用子供乗せにおいて、子供
を乗せ降ろしする際の使用者の負担を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の自転車用子供乗せは、以下の技術的手段を講じている。
【0010】
本発明は、自転車に固定され、子供を前向きに着座させる座席本体と、前記座席本体の前部に設けられ、前記座席本体に対して前下方へ回動可能に連結されるカバー部材と、前記カバー部材の後部に設けられ、前記座席本体に着座させた子供の把持部となるグリップバーと、前記カバー部材の前部に回動可能に設けられ、前記カバー部材を回動させるときの使用者の把持部となる開閉ハンドルと、前記カバー部材が前記座席本体を前方から覆う所定の閉位置にあるときにロック状態となり、前記カバー部材の回動を阻止する一方、前記開閉ハンドルが引張操作されて、前記カバー部材の前方へ回動されることでアンロック状態となり、前記カバー部材の回動を許容するロック機構部と、を備え、前記カバー部材は、ラッチ支持枠を有し、前記ロック機構部は、前記ラッチ支持枠に出没可能に設けられ、前記開閉ハンドルの引張操作に連動して前記ラッチ支持枠に没入されるラッチ部と、前記座席本体に設けられ、前記カバー部材が前記閉位置にあるときに前記ラッチ部を抜け止め状態で保持するラッチ受け部とを有し、前記ラッチ部は、ラッチ掛止爪を有し、前記ラッチ支持枠は、前記ラッチ部が没入されたときに前記ラッチ掛止爪が嵌挿されて、前記ラッチ部の突出方向への移動を阻止する爪受け孔を有する。
【0012】
また、本発明は、自転車に固定され、子供を前向きに着座させる座席本体と、前記座席本体の前部に設けられ、前記座席本体に対して前下方へ回動可能に連結されるカバー部材と、前記カバー部材の後部に設けられ、前記座席本体に着座させた子供の把持部となるグリップバーと、前記カバー部材の前部に設けられ、前記カバー部材を回動させるときの把持部となる開閉ハンドルと、前記カバー部材が前記座席本体を前方から覆う所定の閉位置にあるときにロック状態となり、前記カバー部材の回動を阻止する一方、前記開閉ハンドルが引張操作されることでアンロック状態となり、前記カバー部材の回動を許容するロック機構部と、一端部が前記座席本体の底部に回動可能に連結され、他端部が前記カバー部材の底部に回動可能に連結される第1リンク部材と、一端部が前記座席本体の側部に回動可能に連結され、他端部が前記カバー部材の側部に回動可能に連結される第2リンク部材と、を備え、前記カバー部材は、前記第1リンク部材および前記第2リンク部材を介して前記座席本体に連結支持される。
【発明の効果】
【0013】
本発明の自転車用子供乗せによれば、使用者は、カバー部材の前部に設けられた開閉ハンドルを把持し、引張操作すれば、ロック機構部がアンロック状態となり、そのままカバー部材を前下方へ回動させることができるようになるから、たとえ子供を抱えていたり荷物を持っていたりしても、カバー部材を容易に開くことができる。また、上記のようにカバー部材を開くことによって、グリップバーは、カバー部材と共にその前下方、即ち、座席本体の背凭れ部から離れる方向へ移動するから、子供を乗せたり降ろしたりする際に、子供の脚部がグリップバーに引っ掛かり難い。これにより、使用者の負担が格段に軽減される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態の自転車用子供乗せの前方斜視図である。
図2】実施形態の自転車用子供乗せの側面図である。
図3】カバー部材を閉じた状態の自転車用子供乗せの側方視断面図である。
図4】ロック機構部の側方視断面図である。
図5】開閉ハンドルおよび脚乗せ部周辺の一部分解斜視図である。
図6】グリップバーをグリップバー掛合部から抜脱させた状態の自転車用子供乗せの側方視断面図である。
図7】カバー部材を開いた状態の自転車用子供乗せの側方視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態に係る自転車用子供乗せを、図面に基づき説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を具体化した一例であって、その具体例をもって本発明の構成を限定するものではない。
【0016】
図1図3に示すように、本実施形態の自転車用子供乗せ1は、背凭れ部21、座部22、および脚乗せ部23を有する座席本体2と、座席本体2の前部に設けられ、且つ座席本体2に対して前下方へ回動可能に連結されるカバー部材(以下、「ガード」という)3とでその外郭が構成されており、深型籠状に形成され、座席本体2を自転車のハンドル部にボルト等により固定して使用される。同乗させる子供は、座席本体2の座部22に前向きに着座させる。
【0017】
なお、本実施形態の説明においては、自転車のハンドル部に対して適正な向きで取り付けられた状態において、自転車の前後方向を自転車用子供乗せ1の前後方向、自転車の左右方向を自転車用子供乗せ1の左右方向、自転車の上下方向を自転車用子供乗せ1の上下方向とする(図1および図2参照)。
【0018】
背凭れ部21は、座部22の後部からやや斜め後方に向かって起立形成されている。背凭れ部21の左右側部には、座部22の左右側方へ回り込むように背凭れ部21から連続して側壁(以下、「座席側壁」という)24が形成されている。即ち、座部22の後方および左右側方位置には、座部22の上部空間を後方および左右側方から囲うように、略U字状の壁板(背凭れ部21および座席側壁24)が起立形成されている。従って、座部22に着座させた子供の胴部は、背凭れ部21および座席側壁24によって後方および左右側方から覆われる。
【0019】
背凭れ部21の内側上部には、座席側壁24の内側まで至る略U字状のヘッドレスト41が設けられている。背凭れ部21の内側下部には、座席本体2に子供の胴部を固定保持させるためのシートベルト42が連設されている。なお、シートベルト42は、図示しない先端の留め金を座部22の前部に立設されたベルト締結部43に締結固定させて使用される。
【0020】
脚乗せ部23は、座席本体2の前部を構成しており、座部22の前方で且つ座部22より低位置に段差をもって設けられている。従って、座部22に着座した子供は、脚部を軽く曲げた状態で脚乗せ部23に乗せることができる。
【0021】
座席本体2における座席側壁24の前方で、且つ脚乗せ部23の左右上方位置には、子供を乗せ降ろしする際に、脚部が座席側壁24や脚乗せ部23の側壁(以下、「脚乗せ部側壁」という)25に引っ掛からないようにするために、略U字状の開口部(以下、「側壁開口部」という)26が設けられている。
【0022】
座席側壁24の上縁前寄りの位置には、ガード3が基本位置である閉位置にあるときに、ガード3に設けられたグリップバー5を掛合保持させるための切欠(以下、「グリップバー掛合部」という)27が形成されている。
【0023】
グリップバー掛合部27は、座席側壁24の上縁部から下向きに延長され、さらに前方へ向かって略L字状に折曲形成されており、ガード3が閉位置にあるときに、グリップバー掛合部27の前端部270にグリップバー5が嵌挿される。従って、この状態で開閉ハンドル6がガード3の前上方へ引張操作されても、グリップバー5は、グリップバー掛合部27に掛合された状態で保持され、上記引張操作方向へ移動しない。
【0024】
ガード3は、略U字状に曲成された板体であり、閉位置において脚乗せ部23の上部空間を前方および左右側方から囲うように、脚乗せ部23の前方位置に配される。従って、脚乗せ部23に乗せられた子供の脚部は、ガード3によって前方および左右側方から覆われる。
【0025】
ガード3の後部には、座席本体2に着座させた子供の把持部となる棒状のグリップバー5が設けられている。グリップバー5は、両端部が下方に向かって折曲する略コ字状に形成されており、その両端部はそれぞれ、ガード3の左右の側壁(以下、「ガード側壁」という)34の後寄り上方位置に連結固定されている。即ち、グリップバー5は、ガード側壁34相互間に横設されている。
【0026】
ガード3は、脚乗せ部23の底部に連結された第1リンク部材としての略平板状のリンク板11と、脚乗せ部23の側部に連結された第2リンク部材としての左右2つの略L字状のリンクアーム12とを介して、座席本体2の前部に連結支持されている。
【0027】
リンク板11は、後側の端部(以下、「後端部」という)11Aが脚乗せ部23の底部後寄りの位置に上下回動可能に連結支持されている。後端部11Aには、周方向へ突出する突起110が設けられており、リンク板11を前下方へ回動させたとき、突起110が脚乗せ部23の底部に立設された壁板230に当接することで、リンク板11がその位置よりさらに同方向へ回動しないようになっている。即ち、リンク板11は、後端部11Aを中心として、脚乗せ部23の底面部に沿って配された位置から前下方へ所定角度(例えば、略60度)回動可能に構成されている。
【0028】
リンク板11の前側の端部(以下、「前端部」という)11Bは、ガード側壁34の底部前寄りの位置に上下回動可能に連結されている。即ち、リンク板11は、前端部11Bにてガード3を上下回動可能に軸支している。
【0029】
リンクアーム12は、後側の端部(以下、「後端部」という)12Aが脚乗せ部側壁25の後寄りの位置に上下回動可能に連結され、前側の端部(以下、「前端部」という)12Bがガード側壁34の上下間の中央やや後寄りの位置に上下回動可能に連結されている。即ち、リンクアーム12は、前端部11Bにてガード3を上下回動可能に軸支している。
【0030】
ガード側壁34の上下間の中央やや後寄りの位置には、前方へ湾曲する円弧状のスリット13が開設されている。スリット13は、ガード側壁34の下方から上方に向かって延設されており、リンクアーム12の前端部12Bは、スリット13に対してその形成範囲内で移動可能に連結されている。
【0031】
このように、ガード3は、上下異なる高さ位置に配された2つのリンク部材11,12によって座席本体2に連結支持されていることで、座席本体2の所定の一点を中心に円弧状に回動させるだけでなく、座席本体2と略平行に所定の範囲内で上下移動させたり、角度を異ならせながら回動させたりすることができる。
【0032】
ガード3の前部には、上記のようにガード3を回動(開閉)させるときの使用者の把持部となる開閉ハンドル6が設けられている。開閉ハンドル6は、ガード3の前壁(以下、「ガード前壁」という)31に沿ってその上下方向、即ち、回動方向と同方向に延長される略棒状に形成されている。
【0033】
ガード前壁31における上下間および左右間の略中央位置には、開閉ハンドル6の取付部となるハンドル支持枠60が設けられており、開閉ハンドル6は、上端部61がハンドル支持枠60に対して回動可能に連結支持されている。
【0034】
開閉ハンドル6の下端部62と脚乗せ部23の前部との間には、ガード3が閉位置にあるときにロック状態となって、ガード3の回動を阻止したり、開閉ハンドル6が引張操作されることでアンロック状態となって、ガード3の回動を許容したりするラッチ部71お
よびラッチ受け部72からなるロック機構部7が設けられている。
【0035】
図4および図5に示すように、ラッチ部71は、略矩形軸状に形成されており、ハンドル支持枠60の後面部63からその後下方、即ち、脚乗せ部23側へ向かって突設されている。ハンドル支持枠60の後面部63には、略矩形筒状のラッチ支持枠64が形成されており、ラッチ部71は、ラッチ支持枠64の内側に、その先端開口から所定の範囲内で出没可能に挿通支持されている。
【0036】
ラッチ部71の基端部71Aは、開閉ハンドル6の下端部62に対して回動可能に連結されている。従って、開閉ハンドル6が引張操作され、その下端部62が上端部61を支点としてガード3の前方へ移動すれば、ラッチ部71は、それに連動してラッチ支持枠64の内側へ引き込まれて埋没する。
【0037】
ラッチ部71の側面部には、ラッチ部71の周壁にて片持ち梁状に支持され、その先端側(自由端側)がラッチ部71の周壁より外側へ突出するラッチ掛止爪73が設けられている。一方、ラッチ支持枠64の側面部には、上記のようにラッチ部71がラッチ支持枠64の内側へ引き込まれた際に、ラッチ掛止爪73が嵌挿され、ラッチ部71の突出方向への移動を阻止する爪受け孔74が開設されている。
【0038】
ラッチ部71の内部には、ラッチ部71を上記突出方向へ押圧付勢する押出ばね75が設けられており、ラッチ掛止爪73が爪受け孔74から抜脱されたときに、ラッチ部71をその先端側へ押圧し、ラッチ支持枠64の外側へ突出させる。また、上記のようにラッチ部71が押出ばね75の押圧力によってラッチ支持枠64の外側へ押し出されると、開閉ハンドル6の下端部62は、それに連動して引張操作される前の元の位置へ移動する。
【0039】
ラッチ受け部72は、上方に開口する略矩形筒状に形成されており、脚乗せ部23の前部に立設されている。ラッチ部71は、ガード3が閉位置にあるときに、ラッチ受け部72の上端開口部(以下、「ラッチ挿入孔」という)72Aに挿入される。
【0040】
ラッチ挿入孔72Aの上縁内側には、ラッチ挿入孔72Aにラッチ部71が挿入された際に、ラッチ部71の爪受け孔74に嵌挿され、ラッチ受け部72に対してラッチ部71を抜け止め状態で保持するガード掛止爪76が突出形成されている。
【0041】
上記のように、ガード3が閉位置にあるとき、ラッチ支持枠64の爪受け孔74には、脚乗せ部23に設けられたラッチ受け部72のガード掛止爪76が嵌挿され、ラッチ受け部72に対してラッチ部71が抜け止め状態で保持される。これにより、ガード3は、回動が阻止されたロック状態となる(図3参照)。またこのとき、グリップバー5は、グリップバー掛合部27の前端部270に嵌挿保持される。即ち、ガード3は、座席本体2に対してグリップバー掛合部27とラッチ受け部72との2箇所で回動阻止された状態となる。なお、グリップバー掛合部27は、座部22の前縁部上方位置で且つ、座部22に着座した子供の胸部から腹部に亘る範囲の高さ位置に設けられている。従って、ガード3が閉位置にあるとき、グリップバー5は、座部22に着座した子供の胸部や腹部付近の前方近傍に配される。
【0042】
また、上記ロック状態のときに、開閉ハンドル6が引張操作され、ラッチ部71がラッチ支持枠64内へ引き込まれると、ラッチ部71のラッチ掛止爪73がラッチ支持枠64の爪受け孔74に嵌挿され、ガード掛止爪76を爪受け孔74から押し出す。これにより、ラッチ受け部72に対するラッチ部71の抜け止め状態が解除され、ガード3は、回動可能なアンロック状態となる。従って、この状態でガード3を後上方へ移動させれば、グリップバー5をグリップバー掛合部27から抜脱させることができる(図6参照)。
【0043】
そしてさらに、そのまま開閉ハンドル6を前下方へ引き下げ、ガード3を前下方の所定の開位置まで回動させれば、それに合わせてグリップバー5も背凭れ部21からその前下方へ大きく離反される。即ち、グリップバー5と背凭れ部21との間隙を広く開けた状態でガード3が開かれる(図7参照)。なお、ガード3が開位置にあるとき、グリップバー5は、脚乗せ部23の前部上方、即ち、脚乗せ部23に乗せた子供の脚部より前上方に配される。
【0044】
また、上記のようにガード3が開かれた状態から、再び閉位置まで戻されて、ラッチ部71がラッチ受け部72に挿入されると、ラッチ受け部72のガード掛止爪76がラッチ支持枠64の爪受け孔74に嵌挿され、ラッチ掛止爪73を爪受け孔74から押し出す。その結果、ラッチ部71がラッチ受け部72に抜け止め状態で保持され、ガード3は再びロック状態となる。
【0045】
このように、本実施形態の自転車用子供乗せ1によれば、使用者(自転車の運転者)は、ガード3の前部に設けられた開閉ハンドル6を把持し、引張操作すれば、ロック機構部7がアンロック状態となり、そのままガード3を前下方の所定の開位置まで回動させることができるようになるから、たとえ子供を抱えていたり荷物を持っていたりしても、ガード3を容易に開くことができる。これにより、子供を乗せ降ろしする際の使用者の負担が格段に軽減される。
【0046】
しかも、このものでは、上記のようにガード3を所定の開位置まで開くことによって、グリップバー5もガード3と共にその前下方へ移動し、背凭れ部21から大きく離反するから、子供を乗せたり降ろしたりする際に、子供の脚部がグリップバー5に引っ掛かり難い。これにより、使用者の負担が一層軽減される。
【0047】
また、このものでは、ガード3が閉位置にあるとき、グリップバー5は、グリップバー掛合部27の前端部270にて掛合保持されており、開閉ハンドル6が引張操作され、ロック機構部7がアンロック状態になっても、ガード3をそのままグリップバー掛合部27に掛合した位置にて保持させておくことができる。よって、使い勝手や安全性も格段に向上する。
【0048】
しかも、このものでは、ガード3が座席本体2に対して1軸のみで回動可能に連結支持されているものに比べて、可動の自由度が高いから、使い勝手が一層良好である。また、ガード3の可動の自由度が高いことで、グリップバー5と背凭れ部21との間隙をより広く開くことができるから、子供を乗せ降ろしする際の使用者の負担もより一層軽減される。
【0049】
なお、上記実施形態では、開閉ハンドル6は、上端部61がハンドル支持枠60に対して回動可能に連結支持され、下端部62側にロック機構部7が設けられたものを説明したが、下端部62がハンドル支持枠60に対して回動可能に連結支持され、上端部61側にロック機構部7が設けられたものとしてもよいし、上端部61および下端部62が共にハンドル支持枠60に対して上下移動可能に連結支持され、その一方の端部(例えば、下端部62)側又は両方の端部側にロック機構部7が設けられたものとしてもよい。
【0050】
また、上記実施形態では、開閉ハンドル6は、ガード前壁31に沿って上下方向に延長される略棒状に形成されたものを説明したが、ガード前壁31の左右方向に延長される略棒状に形成されたものとしてもよいし、略球状や円板状、矩形板状など、使用者が適切に把持可能で、且つそのままガード3を円滑に回動可能であれば、その形状に何ら限定されない。
【符号の説明】
【0051】
1 自転車用子供乗せ
2 座席本体
3 ガード(カバー部材)
5 グリップバー
6 開閉ハンドル
7 ロック機構部
11 リンク板(第1リンク部材)
12 リンクアーム(第2リンク部材)
21 背凭れ部
22 座部
23 脚乗せ部
24 座席側壁
27 グリップバー掛合部
71 ラッチ部
72 ラッチ受け部
73 ラッチ掛止爪
74 爪受け部
76 ガード掛止爪
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7