(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-06
(45)【発行日】2023-10-17
(54)【発明の名称】神経疾患補助検査方法及びそのシステム
(51)【国際特許分類】
G16H 50/20 20180101AFI20231010BHJP
【FI】
G16H50/20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021114505
(22)【出願日】2021-07-09
【審査請求日】2021-10-21
(32)【優先日】2020-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】521305778
【氏名又は名称】神経元科技股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】NEUROBIT TECHNOLOGIES CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Rm.5,7F.,No.495,Guangfu S.Rd.,Xinyi Dist.,Taipei City 110007,Taiwan (R.O.C.)
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】楊鈞程
(72)【発明者】
【氏名】王経富
(72)【発明者】
【氏名】黄勁勲
(72)【発明者】
【氏名】陳維澄
【審査官】森田 充功
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-131495(JP,A)
【文献】特開2018-005908(JP,A)
【文献】特開2019-079532(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00 - 80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
神経疾患補助検査システムであり、検査者が被検査者を診断するのを補助するためのものであり、前記神経疾患補助検査システムはユーザーモジュール、検診モジュール、知能計算モジュールを含み、
前記ユーザーモジュールは指示ユニットとインターフェースユニットを備え、
前記指示ユニットは前記インターフェースユニットに接続しており、前記指示ユニットは第一指示シグナルを受信して前記被検査者に質問を発するように構成され、
前記インターフェースユニットは、前記質問に基づいて前記被検査者が応答メッセージを与え、及び/又は、前記インターフェースユニットは、関連する前記被検査者の生理学的特徴を取り込み、生理学的特徴シグナルを生成するように構成され、
前記検診モジュールは前記ユーザーモジュールに接続しており、前記検診モジュールは前記第一指示シグナルを生成して前記指示ユニットに出力し、前記インターフェースユニットが出力した前記応答メッセージ及び/又は前記生理学的特徴シグナルを受信し、及び神経学的検査プログラムを実行するように構成され、
前記神経学的検査プログラムは、複数個の検査項目を提供し、前記応答メッセージに基づいて前記複数個の検査項目から一つ或いは多数個の検査項目を選択し、第二指示シグナルを生成して前記指示ユニットに出力することで前記被検査者が相応する指定動作を実行するように前記被検査者に指定動作の実行を指示するか又は前記インターフェースユニットが前記生理学的特徴シグナルを生成するように前記インターフェースユニットを駆動するように構成され、
前記知能計算モジュールは前記検診モジュールに接続しており、前記知能計算モジュールは、前記検診モジュールが出力した前記応答メッセージ、前記生理学的特徴シグナル及び/又は前記検査項目を受信し、アルゴリズムを実行して前記応答メッセージ、前記生理学的特徴シグナルと前記検査項目の内の少なくとも一つを計算し、分析レポートを生成して前記検査者に提供するように構成されることを特徴とする神経疾患補助検査システム。
【請求項2】
前記神経疾患補助検査システムは更に診断モジュールを含み、前記診断モジュールは前記知能計算モジュールと前記ユーザーモジュールに接続しており、前記診断モジュールは前記分析レポートを受信して前記検査者の診断を補助し、且つ前記検査者は前記診断モジュールを通して、診断通知を前記ユーザーモジュールに発することを特徴とする請求項1に記載の神経疾患補助検査システム。
【請求項3】
前記インターフェースユニットは入力コンポーネントと検出コンポーネントであり、前記入力コンポーネントは、前記被検査者が基本データと病歴データの内の少なくとも一つを入力するためのものであり、前記検出コンポーネントは受動的に或いは能動的に前記被検査者を検出して、前記被検査者の前記生理学的特徴と意識状態の内の少なくとも一つを取得することを特徴とする請求項1に記載の神経疾患補助検査システム。
【請求項4】
前記検出コンポーネントは前記被検査者の自発的な生理学的反応を検出するか、或いは前記検出コンポーネントは誘発された前記被検査者が生成した前記生理学的反応を検出し、前記生理学的特徴シグナルを生成させ、前記意識状態を確認することを特徴とする請求項3に記載の神経疾患補助検査システム。
【請求項5】
前記検査項目は意識評価、昏睡指数、avpuスコア法、グラスゴー昏睡指数、めまい障害評価尺度、光反射検査、眼球運動、顔部情報収集、角膜反射、まばたき反射、眼球頭反射、シンシナティ脳卒中テスト及び国立衛生研究所脳卒中スケールの内の少なくとも一つであることを特徴とする請求項1に記載の神経疾患補助検査システム。
【請求項6】
前記神経疾患補助検査システムは更に伝送ユニットを含み、前記伝送ユニットは前記検診モジュールと前記ユーザーモジュールの内の少なくとも一つに接続しており、前記伝送ユニットは暗号化プログラム実行して前記応答メッセージと前記生理学的特徴シグナルの内の少なくとも一つを暗号化し、暗号化された前記応答メッセージと前記生理学的特徴シグナルを形成することを特徴とする請求項1に記載の神経疾患補助検査システム。
【請求項7】
前記アルゴリズムは動態眼球映像を計算し、並びに前記動態眼球映像から相応の眼振波形、増益値(gain)、位相(phase)、ピーク速度(peak velocity)、正確さ(accuracy)、作動時間(duration)、位相速度(phase velocity)、遅延(latency)、オーバーシュート(overshoot)、アンダーシュート(undershoot)と全高調波歪(total harmonic distortion)の内の少なくとも一つを取得して、特徴値を取り込み、前記
アルゴリズムにより前記特徴値を計算して疾患の種類を判断し、前記疾患の種類を前記分析レポートに表し、そのなかで、前記アルゴリズムはロックアルゴリズム、適応アルゴリズム、機械学習アルゴリズムとディープラーニングの内の少なくとも一つであることを特徴とする請求項1に記載の神経疾患補助検査システム。
【請求項8】
前記分析レポートは原始データと評価内容を含み、前記原始データはアルゴリズムによって計算されていない前記応答メッセージと前記生理学的特徴シグナルの内の少なくとも一つであり、前記評価内容はアルゴリズムによって前記応答メッセージ、前記生理学的
特徴シグナルと前記検査項目の内の少なくとも一つを計算した後に生成される指標、データと図形であることを特徴とする請求項1に記載の神経疾患補助検査システム。
【請求項9】
前記診断モジュールの前記診断通知は前記知能計算モジュールに送り戻され、前記応答メッセージ、前記生理学的特徴シグナルと前記検査項目の内の少なくとも一つに基づいて、前記診断通知を利用して前記知能計算モジュールを訓練することを特徴とする請求項2に記載の神経疾患補助検査システム。
【請求項10】
神経疾患補助検査方法であり、検査者が被検査者を診断するのを補助するためのものであり、請求項1に記載の神経疾患補助検査システムによって実行され、前記神経疾患補助検査方法は以下のステップを含み、
前記被検査者に質問して前記被検査者から応答メッセージを取得し、
神経学的検査プログラムを実行して前記応答メッセージを分析し、そのなかで前記神経学的検査プログラムは複数個の検査項目を提供するように構成され、
前記神経学的検査プログラムは前記応答メッセージに基づいて前記複数個の検査項目から一つ或いは多数個の検査項目を選択して指示シグナルを生成し、前記被検査者が相応する指定動作を実行して前記被検査者の生理学的特徴シグナルを取得するように前記被検査者に指示し、前記生理学的特徴シグナルは、眼球映像、目の映像、眼球血管の流速、眼球内の液体量及び眼球周囲皮膚の血管の流速のうちの少なくとも1つに由来し、
アルゴリズムを実行して、前記応答メッセージ、前記生理学的特徴シグナルと前記検査項目の内の少なくとも一つの中から分析レポートを生成し、そのなかで、前記アルゴリズムはロックアルゴリズム、適応アルゴリズム、機械学習アルゴリズムとディープラーニングの内の少なくとも一つであり、
及び前記検査者に前記分析レポートを提供することを特徴とする神経疾患補助検査方法。
【請求項11】
前記神経疾患補助検査方法は、前記生理学的特徴シグナルを取得するために、前記被検査者の自発的な生理学的反応の検出、或いは誘発によって前記被検査者が生成した生理学的反応の検出のステップを更に含むことを特徴とする請求項10に記載の神経疾患補助検査方法。
【請求項12】
前記神経疾患補助検査方法は、暗号化プログラム実行して前記応答メッセージと前記生理学的特徴シグナルの内の少なくとも一つを暗号化し、暗号化された前記応答メッセージと前記生理学的特徴シグナルを形成するステップを更に含むことを特徴とする請求項10に記載の神経疾患補助検査方法。
【請求項13】
前記神経疾患補助検査方法は、前記分析レポートを利用して前記アルゴリズムを訓練するステップを更に含むことを特徴とする請求項10に記載の神経疾患補助検査方法。
【請求項14】
前記神経疾患補助検査方法は、前記被検査者に診断通知を発するステップを更に含むことを特徴とする請求項10に記載の神経疾患補助検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は神経検査装置の技術領域に関するものであり、特に、脳神経疾患ビッグデータの人工知能アルゴリズムによる、一種の検査者診断補助の神経疾患補助検査方法及びそのシステムを生成するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の神経学的検査(Neurological examination)では、脳神経疾患の患者を早期に特定及び評価し、後続の診断治療のために病人を適切な病院に送るのに、重要な役割を果たしてきた。意識評価の他、最も重要なのは、第II脳神経から第VIII脳神経の神経学的検査である。第II脳神経から第VIII脳神経はそれぞれ、視神経(例えば、鼻腔から脳部への嗅覚情報の伝達)、動眼神経(例えば、眼球運動及び瞳の制御)、滑車神経(例えば、眼球焦点の制御)、三叉神経(例えば、顔面の皮膚知覚の伝達及び咀嚼の制御)、外転神経(例えば、眼球を外側に動かすことができる)、顔面神経(例えば、顔面の表情筋の制御、味覚情報の伝達)と、内耳神経(例えば、聴覚情報及びバランス感覚情報の伝達)である。
【0003】
神経学的検査は身体検査の一部であり、一般的な疾患の診断では見落とされがちであるが、神経系に関連する疾患診断における神経学的検査の重要性はかけがえのないものである。例えば、認知症、脳卒中、パーキンソン病等である。神経学的検査は、考えられる疾患の診断に役立つ補助的な臨床ツールであり、現在、検査できる項目は多岐にわたる。しかし、実務において、医者は経験に基づいて適切な検査項目を選択し、且つ検査後の結果に基づき、脳神経の疾患があるか否か、或いはどの種類の脳神経疾患であるかを判断する。
【0004】
これらを考慮し、本発明は、診断者の脳神経疾患の診断補助と資源浪費の減少を達成できる、一種の神経疾患補助検査方法及びそのシステムを提供し、被検査者の生存率と治癒率等を高める。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明第一の目的は、神経疾患補助検査システムを提供し、神経学的検査プログラムの実行を通して、被検査者(例えば、疑わしい患者)の脳神経に対して神経学的検査を行うものである。
【0006】
本発明第二の目的は、上記神経疾患補助検査システムに基づき、脳神経疾患ビッグデータの人工知能アルゴリズム検査データを通して、検査レポートを生成し、検査者が精密に診断できるよう補助し、被検査者に適切な治療方法を提供するものである。
【0007】
本発明第三の目的は、上記神経疾患補助検査システムに基づき、被検査者の基本データ(例えば、性別、年齢、居住地等)、病歴データ(例えば、個人の疼痛の病歴、家族の病歴、電子カルテ等)、生理学的情報(例えば、眼球映像、目の映像、脳波信号、筋電信号等)、意識状態等によって、適切な神経学的検査項目を選択するものである。
【0008】
本発明第四の目的は、上記神経疾患補助検査システムに基づき、指定された動作を被検査者が実行するよう導いて、被検査者の生理学的特徴シグナルを取得し、後に生成される分析レポートのアルゴリズムデータとすることである。
【0009】
本発明第五の目的は、上記神経疾患補助検査システムに基づき、神経学的検査プログラムが多種類の検査項目を提供し、被検査者に多種類の検査項目から、一つ或いは多数個の検査を提供することである。
【0010】
本発明第六の目的は、上記神経疾患補助検査システムに基づき、人工知能アルゴリズムを利用して、関連する検査結果の分析モデルを作り、検査者診断補助のための分析レポートを生成することである。
【0011】
本発明第七の目的は、上記神経疾患補助検査システムに基づき、分析モデルを再度訓練するために、検査者の診断通知をフィードバックさせ、人工知能アルゴリズムの分析レポートの結果を、より検査者診断の結果に類似させることである。
【0012】
本発明第八の目的は、上記神経疾患補助検査システムに基づき、知能計算モジュールをリモートサーバー(或いはクラウドと呼ぶ)に設置し、一つ或いは複数個の検診ポート、例えば、病院、クリニック、薬局、家等にリンクさせ、リモートビッグデータ人工知能アルゴリズムを実現することである。
【0013】
本発明第九の目的は、上記神経疾患補助検査システムに基づき、モノのインターネット(IoT)の方法を通して、サーバーと検診ポートがリンクされ、且つリンク過程においてデジタルデータの暗号化と復号化を行い、被検査者のプライバシーを保護することである。
【0014】
本発明第十の目的は、上記神経疾患補助検査システムに基づき、生成された分析レポートは医療システムに送られ、検査者、例えば医者、医療関係者等に提供され、解釈と診断がなされることである。
【0015】
本発明第十一の目的は、上記神経疾患補助検査システムに基づき、知能計算モジュールはハンディタイプのデバイス、装着式装置、モニタ、コンピュータ及びタブレットに応用することができることである。
【0016】
本発明第十二の目的は、上記神経疾患補助検査システムに基づき、データのリアルタイムの収集と分析を提供し、相応する傾向分析或いは予測分析を生成することである。
【0017】
本発明第十三の目的は、上記神経疾患補助検査システムに基づき、データ及び/或いは分析レポートをデータプラットフォームに共有或いは統合することである。
【0018】
本発明第十四の目的は、上記神経疾患補助検査システムに基づき、検査者が被検査者を診断するのを補助する目的を達成することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的或いは他の目的を達成するために、本発明は検査者が被検査者を診断するのを補助するための、神経疾患補助検査システムを提供する。神経疾患補助検査システムはユーザーモジュール、検診モジュール、知能計算モジュールと診断モジュールを含む。ユーザーモジュールは指示ユニットとインターフェースユニットを含む。指示ユニットはインターフェースユニットに接続している。指示ユニットは第一指示シグナルを受信して被検査者に質問を発すことができる。インターフェースユニットは質問に基づいて被検査者が応答メッセージを与えることができるようにさせるか、及び/又は関連する被検査者の生理学的特徴シグナルを取り込むことができる。検診モジュールはユーザーモジュールに接続している。検診モジュールは第一指示シグナルを生成して指示ユニットに出力し、また、検診モジュールは神経学的検査プログラムを実行し、並びに応答メッセージに基づき、第二指示シグナルを生成して指示ユニットに出力することで、被検査者がインターフェースユニットを通して生理学的特徴シグナルを取得できるように被検査者に指示する。検診モジュールは応答メッセージと生理学的特徴シグナルを出力する。神経学的検査プログラムは複数個の検査項目を提供し、応答メッセージに基づき、それらの検査項目から一つ或いは多数個の検査項目を選択する。知能計算モジュールは検診モジュールに接続している。知能計算モジュールはアルゴリズムを実行して応答メッセージ、生理学的特徴シグナルとそれらの検査項目の内の少なくとも一つを計算し、分析レポートを生成して検査者に提供する。
【0020】
上記目的或いは他の目的を達成するために、検査者が被検査者を診断するのを補助するための、他の神経疾患補助検査システムを提供する。神経疾患補助検査システムはユーザーモジュール、検診モジュール、知能計算モジュールと診断モジュールを含む。ユーザーモジュールは指示ユニットとインターフェースユニットを含む。指示ユニットはインターフェースユニットに接続している。指示ユニットは第一指示シグナルを受信して被検査者に質問を発することができる。インターフェースユニットは質問に基づいて被検査者が応答メッセージを与えることができるようにさせるか、及び/又は関連する被検査者の生理学的特徴シグナルを取り込むことができる。検診モジュールはユーザーモジュールに接続している。検診モジュールは第一指示シグナルを生成して指示ユニットに出力し、また検診モジュールは神経学的検査プログラムを実行し、並びに応答メッセージに基づき、第二指示シグナルを生成して指示ユニットに出力することで、被検査者がインターフェースユニットを通して生理学的特徴シグナルを取得できるように被検査者に指示する。検診モジュールは応答メッセージと生理学的特徴シグナルを出力する。神経学的検査プログラムは複数個の検査項目を提供し、応答メッセージに基づき、それらの検査項目から一つ或いは多数個の検査項目を選択する。知能計算モジュールは検診モジュールに接続している。知能計算モジュールはアルゴリズムを実行して応答メッセージ、生理学的特徴シグナルとそれらの検査項目の内の少なくとも一つを計算し、分析レポートを生成する。診断モジュールは知能計算モジュールとユーザーモジュールに接続している。診断モジュールは、検査者の診断を補助するための分析レポートを受信し、且つ検査者は診断モジュールを通して、診断通知をユーザーモジュールに発する。
【0021】
上記目的或いは他の目的を達成するために、本発明は検査者が被検査者を診断するのを補助するための、神経疾患補助検査方法を提供する。神経疾患補助検査方法は、前記神経疾患補助検査システムによって実行することができ、ステップ(a)、(b)、(c)、(d)、(e)を含む。(a)被検査者に質問して被検査者から応答メッセージを取る。(b)神経学的検査プログラムを実行して応答メッセージを分析する、そのなかで神経学的検査プログラムは複数個の検査項目を提供する。(c)神経学的検査プログラムは応答メッセージに基づいてそれらの検査項目から一つ或いは多数個の検査項目を選択し、指示シグナルを生成させて且つ相応する指定動作を実行するよう被検査者に指示し、被検査者が実行した指定動作に基づき、被検査者の生理学的特徴シグナルを取得する。(d)アルゴリズムを実行して、応答メッセージ、生理学的特徴シグナルとそれらの検査項目の内の少なくとも一つの中から分析レポートを生成する、そのなかで、アルゴリズムはロックアルゴリズム、適応アルゴリズム、機械学習アルゴリズムとディープラーニングの内の少なくとも一つである。及び(e)検査者に分析レポートを提供する。
【0022】
従来の技術に比べ、本発明は、知能計算モジュールが生成する分析レポートを受信することができる、一種の神経疾患補助検査方法及びそのシステムを提供し、検査者の診断を補助することができ、且つ検査者は診断通知を被検査者、医療関係者、救護隊等に発することができる。一つの実施例では、診断通知は、事前に関連する医療病院に関連する治療の準備を行うことを通知することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明第1実施例の神経疾患補助検査システムのブロック図である。
【
図2】本発明第2実施例の神経疾患補助検査システムのブロック図である。
【
図3】本発明第3実施例の神経疾患補助検査方法のプロセス図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の目的、特徴及び効果を完全に理解するために、以下の具体的な実施例を使用して、添付の図面とともに本発明を詳細に説明する。説明は以下の通りである。
【0025】
図1を参照。本発明第1実施例の神経疾患補助検査システムのブロック図である。
図1では一種の神経疾患補助検査システム10が、検査者2の被検査者4への検査を補助している。検査者2は疾患の診断とレポートを解釈することができる能力を備えた人であり、被検査者4は神経疾患が疑われる人である。他の一つの実施例では、検査者2はデータプラットフォームの使用者であってもよく、データプラットフォームは、神経疾患補助検査システム10が生成する原始データ或いは処理されたデータ、例えば、生理学的特徴PC、生理学的特徴シグナルPCS、応答メッセージRM等、或いは後に言及する分析レポートARPを受信或いは統合することができる。
【0026】
プラットフォームは、医師などの専門家によってマークすることができ、その後の研究或いは分析用途で共有される。
【0027】
神経疾患補助検査システム10はユーザーモジュール12、検診モジュール14と知能計算モジュール16を含む。
【0028】
ユーザーモジュール12は指示ユニット122とインターフェースユニット124を含む。指示ユニット122はインターフェースユニット124に接続している。
【0029】
指示ユニット122は第一指示シグナルFSに基づいて被検査者4に質問Qを発する。そのなかで、第一指示シグナルFSは駆動信号を提供して指示ユニット122を駆動し、相応の指示を生成し、例えば、指示ユニット122は光、サウンド、光線、画面等の方法を利用して前述の指示を表し、被検査者4の注意を引く。また第一指示シグナルFSは、指示ユニット122が被検査者4に質問Qを発する際に、データを提供する。そのなかで、質問Qは、関連する被検査者のデータ、映像、身元、体の動き等を提供するよう、被検査者4を導いてもよい。
【0030】
例えば、指示ユニット122は液晶画面であり、第一指示シグナルFSが液晶画面を駆動して質問Qを表示し、或いは指示ユニット122はスピーカーであり、第一指示シグナルFSがスピーカーを駆動して被検査者4に質問Qを発する。
【0031】
インターフェースユニット124は質問Qに基づいた被検査者4が応答メッセージRMをフィードバックできるようにし、関連する被検査者4の生理学的特徴PCを取り込み、生理学的特徴シグナルPCSを生成することができる。例えば、生理学的特徴PCは脳血中酸素の変化、心拍、呼吸、筋電信号、関節角度、重心、歩行表現、脳電波(EEG)、脳波、血圧等があり、生理学的特徴シグナルPCSは眼球映像、目の映像、眼球血管の流速、眼球内の液体量、脳波、筋電、心臓のリズム、皮膚の水分量、眼球周囲皮膚の血管の流速、生体電気インピーダンス、聴覚、サウンド、体温等から取得する。他の一つの実施例では、インターフェースユニット124は入力コンポーネント1242と検出コンポーネント1244であってもよい。例えば、入力コンポーネント1242はマイク、カメラ、タッチスクリーン、キーボード、マウス等の電子部品であってもよく、検出コンポーネント1244は体温、環境温度、湿度、筋電信号、映像、サウンド、血圧、呼気/吸気量等を検出するのに用いる電子部品であってもよい。
【0032】
入力コンポーネント1242は被検査者4が基本データ、病歴データを入力するためのものである。そのなかで、被検査者4が入力した基本データ及び/或いは病歴データに基づいて、検診モジュール14が適切な検査項目EIを選択する際にそのデータを、一つの参考因子とすることができる。例えば、基本データは性別、年齢、居住地等であり、病歴データは個人の痛みの病歴、家族の病歴、電子カルテ等であってもよい。
【0033】
検出コンポーネント1244は、能動的或いは受動的な方法を通して、被検査者4を検出し、被検査者4の生理学的特徴PCと意識状態LOCを取得することができる。例えば、意識状態LOCは敏捷(Alert)、眠気(Drowsy)、麻痺(stupor)、昏睡(Comatose)等であってもよい。例えば、受動的形態では、検出コンポーネント1244は被検査者4の受動的行為を観察、検出でき、即ち被検査者4自身が生成した行為或いは自発的な生理学的反応により、被検査者4の相応の生理学的特徴シグナルPCSを取得し、能動的形態では、検出コンポーネント1244は被検査者4の生理学的特徴シグナルPCSを取得するために、外部の刺激(図示していない)例えば、電撃、加熱、冷却、音等の刺激を通して、誘発された被検査者4が生成した生理学的反応等により、被検査者4が刺激により生成した生理学的特徴シグナルPCSを取得し、意識状態LOCを確認することができる。
【0034】
他の一つの実施例では、検出コンポーネント1244は被検査者4の片目或いは両目の眼振に関連する、生理学的特徴PCを検出でき、或いは検出コンポーネント1244は被検査者4の角膜、虹彩、瞳、強膜、結膜、網膜、脈絡膜、目の周りの皮膚と頭部傾斜角度等に関連する生理学的特徴PCを検出することができる。
【0035】
検診モジュール14はユーザーモジュール12に接続している。検診モジュール14は第一指示シグナルFSを生成して指示ユニット122に出力する。また、検診モジュール14は神経学的検査プログラムNEAを実行し、並びに応答メッセージRMに基づき第二指示シグナルSSを生成して指示ユニット122に出力し、相応する指定動作を実行するよう被検査者に指示することができ、或いは検診モジュール14は検出コンポーネント1244(或いはインターフェースユニット124)を駆動し、被検査者4から生理学的特徴シグナルPCSを取り込む。そのなかで、神経学的検査プログラムNEAは複数個の検査項目EIを提供し、神経学的検査プログラムNEAは応答メッセージRMに基づき、それらの検査項目EIから一つ或いは多数個の検査項目EIを選択する。例えば、それらの検査項目EIは意識評価、昏睡指数、avpuスコア法、グラスゴー昏睡指数、めまい障害評価尺度、光反射検査、眼球運動、顔部情報収集、角膜反射、まばたき反射、眼球頭反射、シンシナティ脳卒中テスト、国立衛生研究所脳卒中スケール等であってもよい。異なる検査項目EIの要求に基づき、神経学的検査プログラムNEAは異なる第二指示シグナルSSを生成し、指定動作を実行するよう被検査者4を導き、或いはインターフェースユニット124(或いは検出コンポーネント1244)を駆動して直接、被検査者4から相応の生理学的特徴シグナルPCSを取得する。また、他の一つの実施例では、神経学的検査プログラムNEAに選択させるために、それらの検査項目EIは検査グループに組み合わせることができる。また、検診モジュール14は応答メッセージRMと生理学的特徴シグナルPCSを出力する。
【0036】
他の一つの実施例では、神経学的検査プログラムNEAは、応答メッセージRMがどの種類の検査項目EIを選択するのかを判断することに加え、神経学的検査プログラムNEAは検査時間、必要検査項目、検査項目の優先順序等に基づいて、決定している。
【0037】
知能計算モジュール16は検診モジュール14に接続している。知能計算モジュール16は、アルゴリズムAを実行して応答メッセージRM、生理学的特徴シグナルPCS、それらの検査項目EI等を計算し、分析レポートARPを生成する。そのなかで、アルゴリズムAは、例えば、ロックアルゴリズム、適応アルゴリズム、機械学習アルゴリズム、ディープラーニング等を採用することができる。アルゴリズムAにより、受信した情報、シグナルと検査項目EIの結果に基づき、人工知能を備えるアルゴリズムAを通して、全体的な予測を実行することができる。また、分析レポートARPは原始データと評価内容を含むことができる。そのなかで、原始データはアルゴリズムAによって計算されていない応答メッセージRM、生理学的特徴シグナルPCS等であり、評価内容はアルゴリズムAによって応答メッセージ、生理学的特性信号、検査項目等を計算して生成される指標、データ、図形等である。
【0038】
例えば、アルゴリズムAは動態眼球映像を計算することができ、並びに動態眼球映像から相応の眼振波形、増益値(gain)、位相(phase)、ピーク速度(peak velocity)、正確さ(accuracy)、作動時間(duration)、位相速度(phase velocity)、遅延(latency)、オーバーシュート(overshoot)、アンダーシュート(undershoot)、全高調波歪(total harmonic distortion)等を取得し、特徴値を取り込む。例えば機械学習アルゴリズムにより特徴値を計算して疾患の種類を判断し、疾患の種類を分析レポートARPに表す。
【0039】
他の一つの実施例では、分析レポートARPの精密度を増加させるために、分析レポートARPを知能計算モジュール16に送り戻して再訓練することができる。
【0040】
ある状況を挙げて説明する。被検査者4は神経疾患補助検査システム10を通して、自身が神経性の疾患があるか否か確認しようとしている。従って、被検査者4はユーザーモジュール12のインターフェースユニット124を通して、検診モジュール14を触発し、検診モジュール14が、ユーザーモジュール12の指示ユニット122に質問Qを発するよう指令を出す。例えば被検査者4の基本データ、病歴データと現在の体調、例えば眩暈、ふらつき、無力等を質問される。被検査者4がインターフェースユニット124の入力コンポーネント1242を通して、応答メッセージRM、例えば基本データ、病歴データと現在の体調、を提供した後に検診モジュール14が応答メッセージRMに基づき、神経学的検査プログラムNEAを実行する。神経学的検査プログラムNEAは応答メッセージRM内の状態に基づいて、多種類の検査項目EIから一つ或いは多数個の適切な項目を選択する。神経学的検査プログラムNEAの計算を通して、項目の選択がされることができ、この仮定状況下では、応答メッセージRMの内容に基づき、神経学的検査プログラムNEAは、検査項目EIは国立衛生研究所脳卒中スケール(National Institute of Health Stroke Scale、NIHSS)を採用する必要があると判断する。神経学的検査プログラムNEAが選択したNIHSS表の、そのスケール設定範囲は0スコアの正常状態から42スコアの脳死状態である。NIHSS表は例えば、被検査者4の意識状態のレベルを検査する必要があるので、先に検診モジュール14から第二指示シグナルSSを生成して指示ユニット122を駆動し、順番に小声、大声、被検査者4への低電流感電と被検査者4への高電流感電を生成させ、それぞれ、検出コンポーネント1244から被検査者4の生理学的特徴PCに相応する生理学的特徴シグナルPCSを取得し、神経学的検査プログラムNEAは生理学的特徴シグナルPCSに基づいて、更に例えば閾値の判断を通して、スコアを与える。また、再度検診モジュール14から第二指示シグナルSSを生成して指示ユニット122を駆動し、被検査者4に例えば、現在の年、月、日、被検査者4の年齢等の問題を質問し、被検査者4が入力コンポーネント1242を通して、応答メッセージRMを生成し、神経学的検査プログラムNEAは応答メッセージRMに基づいて更なる判断をして、スコアを与える。
【0041】
ここで、NIHSS表の要求に基づき、被検査者4に対する神経学的検査プログラムNEAが実行する複数の検出によって、NIHSS表評価が必要とする被検査者4に関連のある生理学的特徴シグナルPCSを取得し、最後に被検査者4はNIHSS表のスコアリングの下で完全なスコアを与えられる。
【0042】
知能計算モジュール16がアルゴリズムAを実行して、応答メッセージRM、生理学的特徴シグナルPCS、検査項目EI等を計算し、図表、傾向、数値等の内容を含む分析レポートARPを獲得し、分析レポートARPは検査者2に提供される。
【0043】
また他の一つの状況下では、神経疾患補助検査システム10が生成或いは収集した生理学的特徴PC、生理学的特徴シグナルPCS、応答メッセージRM等はデータプラットフォーム、例えば医療プラットフォーム、クラウドサーバー、保健システム等に送られることができ、データプラットフォームが、神経疾患補助検査システム10から生成した多数個のデータとレポートを収集することによって、データプラットフォームの検査者2はデータを共有、使用することができ、判断の補助に加え、学術研究、新薬開発、臨床討論等の領域に応用することもできる。
【0044】
他の一つの実施例では、神経疾患補助検査システム10は更に伝送ユニット(図示していない)を含むことができ、データ(例えば、応答メッセージRMと生理学的特徴シグナルPCS)伝送の安全性を確保することに留意されたい。伝送ユニットは検診モジュール14とユーザーモジュール12に接続することができ、故にデータが検診モジュール14とユーザーモジュール12の間で伝送されているときに、伝送ユニットは暗号化プログラムを実行して、応答メッセージRMと生理学的特徴シグナルPCSを暗号化して、暗号化された応答メッセージRMと生理学的特徴シグナルPCSを形成する。また、暗号化された応答メッセージRMと生理学的特徴シグナルPCSは復号化の方法を通して、暗号化されていない応答メッセージRMと生理学的特徴シグナルPCSに戻すことができる。
【0045】
他の一つの実施例では、神経疾患補助検査システム10は更に検診モジュール14に接続する、身元検証ユニット(図示していない)を含むことができ、被検査者4の身元を検証することができる。
【0046】
図2を参照。本発明第2実施例の神経疾患補助検査システムのブロック図である。
図2の中の一種の神経疾患補助検査システム10'は第1実施例のユーザーモジュール12、検診モジュール14と知能計算モジュール16に加え、更に診断モジュール18を含む。
【0047】
ユーザーモジュール12、検診モジュール14と知能計算モジュール16の説明は第1実施例の説明と同じであるので、ここでは繰り返さない。
【0048】
診断モジュール18は知能計算モジュール16とユーザーモジュール12に接続している。診断モジュール18は分析レポートARPを受信して検査者2の診断を補助し、且つ検査者2は診断モジュール18を通して、診断通知DNをユーザーモジュール12に発する。
【0049】
前述の状況に続き、検査者2は診断モジュール18を通して、分析レポートARPを取得することができ、並びに分析レポートARP及び検査者2自身の経験判断によって、検査者2は診断通知DNを被検査者4に発し、分析レポートARPによる検査者2の神経疾患補助検査の補助を実現する。
【0050】
他の一つの実施例では、分析レポートARPの精密度を増加させるために、検査者2の診断通知DNを知能計算モジュール16に送り戻して再訓練することができる。
【0051】
図3を参照。本発明第3実施例の神経疾患補助検査方法のプロセス図である。
図3のなかの一種の神経疾患補助検査方法により、検査者が被検査者を検査するのを補助することができる。
【0052】
神経疾患補助検査方法はステップS21から開始し、ステップS21では、被検査者が質問を受けることによって、被検査者から応答メッセージを取得する。
【0053】
ステップS22では、神経学的検査プログラムを実行して応答メッセージを分析する。そのなかで神経学的検査プログラムは複数の検査項目を提供する。
【0054】
ステップS23では、神経学的検査プログラムが応答メッセージに基づいてそれらの検査項目から一つ或いは多数個の検査項目を選択し、指示シグナルを生成して被検査者の生理学的特徴シグナルを取得するよう、被検査者に指示する。他の一つの実施例では、生理学的特徴シグナルを取得するために、本ステップは更に被検査者の自発的な生理学的反応の検出、或いは誘発によって被検査者が生成した生理学的反応の検出、を含むことができる。
【0055】
ステップS24では、アルゴリズムを実行し、応答メッセージ、生理学的特徴シグナルとそれらの検査項目の内の少なくとも一つから、分析レポートを生成する。そのなかで、アルゴリズムはロックアルゴリズム、適応アルゴリズム、機械学習アルゴリズム、ディープラーニングの内の少なくとも一つである。
【0056】
ステップS25では、分析レポートを検査者に提供する。例えば、検査者は分析レポートに基づいて被検査者を診断し、被検査者に診断通知を発する。また、一つのステップでは、診断通知はアルゴリズムを訓練するのに使用することができる。
【0057】
上述の各ステップは、更に暗号化プログラム実行による、応答メッセージと生理学的特徴シグナルの内の少なくとも一つを暗号化するステップを含み、暗号化された応答メッセージと生理学的特徴シグナルを形成する、ことに留意されたい。
【0058】
本発明は、上記の好ましい実施例で開示されているが、当業者は、実施例が本発明を説明するためにのみ使用され、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではないことを理解すべきである。この実施例と同等の全ての変化と置換は、本発明の範囲に含まれるべきであることに留意されたい。従って、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲によって定義されるべきである。
【符号の説明】
【0059】
2 検査者
4 被検査者
10、10' 神経疾患補助検査システム
12 ユーザーモジュール
122 指示ユニット
124 インターフェースユニット
1242 入力コンポーネント
1244 検出コンポーネント
14 検診モジュール
16 知能計算モジュール
18 診断モジュール
FS 第一指示シグナル
Q 質問
RM 応答メッセージ
PC 生理学的特徴
PCS 生理学的特徴シグナル
LOC 意識状態
NEA 神経学的検査プログラム
SS 第二指示シグナル
ARP 分析レポート
A アルゴリズム
DN 診断通知
S21-S25 ステップ