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特許7362140痛風性関節痛を治療する漢方薬外用貼付剤及びその調製方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-06
(45)【発行日】2023-10-17
(54)【発明の名称】痛風性関節痛を治療する漢方薬外用貼付剤及びその調製方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/756 20060101AFI20231010BHJP
   A61K 36/515 20060101ALI20231010BHJP
   A61K 36/185 20060101ALI20231010BHJP
   A61K 36/284 20060101ALI20231010BHJP
   A61K 36/716 20060101ALI20231010BHJP
   A61K 36/708 20060101ALI20231010BHJP
   A61K 36/315 20060101ALI20231010BHJP
   A61K 36/428 20060101ALI20231010BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20231010BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20231010BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20231010BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20231010BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20231010BHJP
   A61K 47/42 20170101ALI20231010BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20231010BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20231010BHJP
   A61K 9/70 20060101ALI20231010BHJP
【FI】
A61K36/756
A61K36/515
A61K36/185
A61K36/284
A61K36/716
A61K36/708
A61K36/315
A61K36/428
A61P19/02
A61P25/04
A61K47/44
A61K47/12
A61K47/10
A61K47/42
A61K47/32
A61K47/38
A61K9/70 401
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021171163
(22)【出願日】2021-10-19
(65)【公開番号】P2022171531
(43)【公開日】2022-11-11
【審査請求日】2021-10-19
(31)【優先権主張番号】202110482823.2
(32)【優先日】2021-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521459266
【氏名又は名称】佳木斯大学
【氏名又は名称原語表記】Jiamusi University
【住所又は居所原語表記】No. 258 Xuefu Street, Jiamusi, Heilongjiang province, China
(74)【代理人】
【識別番号】100205936
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 海龍
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】邱 洪斌
(72)【発明者】
【氏名】鄭 佳新
(72)【発明者】
【氏名】蘇 瑾
(72)【発明者】
【氏名】宋 朝宇
【審査官】六笠 紀子
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第111840485(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第103211976(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104825616(CN,A)
【文献】特表2006-526636(JP,A)
【文献】特開2002-136587(JP,A)
【文献】特表2016-502874(JP,A)
【文献】特開2001-286549(JP,A)
【文献】特開2015-071553(JP,A)
【文献】特表2020-505422(JP,A)
【文献】特表2017-526749(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104162086(CN,A)
【文献】Rheumatism and Arthritis ,2019年,8(12),pp.27-30,42
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 36/00-36/9068
A61K 47/00-47/69
JSTPlus/JST7580/JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
痛風性関節痛を治療する漢方薬外用貼付剤の調製方法であって、
前記漢方薬外用貼付剤は、バッキング材、薬物、基質及び粘着防止層を含み、
前記薬物は、原料として、質量部で、黄柏30~35部、秦ぎょう20~25部、腫節風30~35部、蒼朮20~25部、威霊仙30~35部、大黄20~25部、大青葉20~25部、天花粉15~20部、氷片5~7.5部を含み、
質量百分率で、前記基質は85~92%であり、前記薬物は8~15%であり、
前記痛風性関節痛を治療する漢方薬外用貼付剤の調製方法は、
各原料を粉砕した後に、回転数180~200r/minの条件で30~42min、基質と混合し、脱泡し、そしてバッキング材に塗布し、50℃で2h乾燥させ、表面を粘着防止層で被覆し、痛風性関節痛を治療する漢方薬外用貼付剤を得るステップを含み、
前記基質の調製方法は、骨格材料を水に浸漬し、膨潤現象が現れた後、溶解するまで加熱し、さらに保湿剤を加え、50~55℃で1h混合することにより、基質を得る方法であることを特徴とする痛風性関節痛を治療する漢方薬外用貼付剤の調製方法。
【請求項2】
前記原料は100~120メッシュの微粉末に粉砕されることを特徴とする請求項1に記載の痛風性関節痛を治療する漢方薬外用貼付剤の調製方法。
【請求項3】
前記骨格材料は、ゼラチン、カルボマー、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウムを混合したものであり、前記保湿剤は、グリセリンとポリエチレングリコール400を混合したものであり、前記骨格材料と前記保湿剤の質量比は(11~12):(5~8)であることを特徴とする請求項1に記載の痛風性関節痛を治療する漢方薬外用貼付剤の調製方法。
【請求項4】
前記ゼラチン、カルボマー、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、グリセリン、ポリエチレングリコール400の質量比は(3~5):(6~8):(6~8):(10~12):(0.7~0.9):(7~9):(9~11)であることを特徴とする請求項3に記載の痛風性関節痛を治療する漢方薬外用貼付剤の調製方法。
【請求項5】
前記ゼラチン、カルボマー、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、グリセリン、ポリエチレングリコール400の質量比は4:7:7:11:0.8:8:10であることを特徴とする請求項3に記載の痛風性関節痛を治療する漢方薬外用貼付剤の調製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は漢方薬の分野に属し、具体的には、痛風性関節痛を治療する漢方薬外用貼付剤及びその調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
痛風(gout)とは、高尿酸血症、尿酸塩沈着と密接に関連する代謝疾患である。高尿酸血症は、プリン代謝障害による代謝異常症状群である。急性痛風性関節炎(acute gouty arthritis、AGA)は、体内の血中尿酸の増加による尿酸塩の沈着が原因で、局所組織の損傷及び炎症性反応を引き起こし、腎臓に関与することが多く、慢性間質性腎炎や腎結石形成を引き起こす。急性痛風性関節炎は、男性の発病率が女性より高く、下肢関節に発生することが多く、関節及び周辺組織は、赤く腫れ、熱を持ち、痛みを伴い、夜間に悪化し、痛みは耐えられず、再発しやすく、患者の活動が不便になり、かつ頭痛、発熱、白血球の上昇などの症状を伴う。近年、生活レベルの向上およびライフスタイルの変化に伴い、高脂肪、高タンパクの食事によるプリン及びタンパクの摂取が増加し、中国及び世界の痛風発病率は上昇する傾向があり、且つ若年化する傾向にある。「2017年中国痛風現状報告白書」では、中国の痛風患者は800万人を超え、AGAは痛風病の一般的な臨床症状であることが記載されている。
【0003】
漢方医学における痛風病に関する最も古い記録は、関節病変に対する認識であり、痛風発病時の関節症状と病因に応じて、漢方医学の臨床診断は「痺症」「痛痺」「歴節」などのカテゴリーに分類される。「痛風」は先天的な体弱に外邪が加わり、痰湿が経絡や関節に滞留して発病すると考えられる。文献によると、古代の医学者は痛風病に対する認識は関節の病変、即ち、急性痛風性関節炎に限られていた。現代の診断技術の発展に伴い、現代中国医学診断は、中国医学の伝統理論と現代医学理論に基づいて高尿酸血症を新たに認識して紹介し、高尿酸血症が
に属するという理論を提唱し、血液レオロジー異常、および循環障害などはいずれも血濁とも言えると考えられる。
【0004】
現在、臨床的に一般的な痛風病予防薬物は化学薬品を主とし、血中尿酸レベルの低下、消炎鎮痛をそれぞれの目的としている。例えば、コルヒチン、糖質コルチコイドなどは、作用が明確で、薬効が迅速であり、急性期臨床症状を緩和することができるが、胃腸管反応、消化管出血、肝臓腎臓機能損害、物質代謝障害などの異なる程度の安全リスクが存在し、かつ休薬した後に症状の繰り返しが発生しやすい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の技術的問題に対して、本発明は、痛風性関節痛を治療する漢方薬外用貼付剤及びその調製方法を提供する。胃腸管を介した経口投与の方式を経ずに、漢方薬の外用貼付により、初回通過効果および胃腸管不良反応を回避し、患部に直接作用し、安全性が高く、操作が簡単であり、患者の適応性が良い。
上記の技術的目的を実現するために、本発明は以下の技術的解決策を提供する。
バッキング材、薬物、基質、粘着防止層を含む痛風性関節痛を治療する漢方薬外用貼付剤。
ただし、薬物は、質量部で、黄柏30~35部、
20~25部、腫節風30~35部、蒼朮20~25部、威霊仙30~35部、大黄20~25部、大青葉20~25部、天花粉15~20部、氷片(ボルネオール)5~7.5部を含む。
【0006】
さらに、前記氷片は、アゾン、ユーカリ油、オレイン酸、メントールのいずれか1種に置換することができる。
【0007】
さらに、前記バッキング材は、不織布又はナイロン布から選択することができる。
【0008】
さらに、質量百分率で、前記基質は85~92%であり、前記薬物は8~15%である。
【0009】
本発明はさらに、以下のステップを含むことを特徴とする痛風性関節痛を治療する漢方薬外用貼付剤の調製方法を提供する。
各原料を粉砕した後に、回転数180~200r/minの条件で30~42min基質と混合し、脱泡し、そしてバッキング材に塗布し、50℃で2h乾燥させ、表面を粘着防止層を被覆し、痛風性関節痛を治療する漢方薬外用貼付剤を得る。
【0010】
さらに、前記原料は100~120メッシュの微粉末に粉砕される。
【0011】
さらに、前記基質の調製方法は、骨格材料を水に浸漬し、膨潤現象が現れた後、溶解するまで加熱し、さらに保湿剤を加え、50~55℃で1h混合することにより、基質を得る。
【0012】
さらに、前記骨格材料は、ゼラチン、カルボマー、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウムを混合したものであり、前記保湿剤は、グリセリンとポリエチレングリコール400を混合したものであり、前記骨格材料と前記保湿剤の質量比は(11~12):(5~8)である。
【0013】
またさらに、前記ゼラチンは、寒天およびアラビアガム粉末のいずれか一種を選択することができる。
【0014】
またさらに、前記カルボマーは、934、940、941仕様のいずれか一種を選択することができる。
【0015】
またさらに、前記ポリビニルピロリドンは、ポリビニルアルコールを選択することができる。
【0016】
またさらに、前記ポリアクリル酸ナトリウムは、ポリアクリル酸又はポリエチレングリコールを選択することができる。
【0017】
またさらに、前記カルボキシメチルセルロースナトリウムは、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロースナトリウム、セルロース誘導体のいずれか一種を選択することができる。
【0018】
またさらに、前記保湿剤は、アゾン、ユーカリ油、オレイン酸、メントールのいずれか一種を選択することができる。
【0019】
さらに、前記ゼラチン、カルボマー、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、グリセリン、ポリエチレングリコール400の質量比は(3~5):(6~8):(6~8):(10~12):(0.7~0.9):(7~9):(9~11)である。
【0020】
さらに、前記ゼラチン、カルボマー、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、グリセリン、ポリエチレングリコール400の質量比は4:7:7:11:0.8:8:10である。
【0021】
本発明の基質成分を置換した後の用量も、上記の配合比と同じ粘度になるように、適宜調整する必要がある。
【0022】
本発明で採用される漢方薬処方については『中国薬典』(2020版)を参照されたい。
【0023】
黄柏は、ミカン科植物黄樹皮の乾燥樹皮である。[性味と帰経]苦、寒。[機能と主治]清熱燥湿、瀉火除蒸、解毒療瘡。蒸熱瀉痢、黄疸尿赤、脚気痿躄、骨蒸労熱、瘡瘍腫毒、湿疹湿瘡に用いられる。
【0024】
秦ぎょうは、リンドウ科植物秦ぎょう、粗茎秦ぎょう又は小秦ぎょうの乾燥根である。[性味と帰経]辛、苦、平。帰経:胃、肝、胆。[機能と主治]去風湿、清湿熱、止痺痛、清虚熱。風湿痺痛、中風半身不遂、筋脈拘攣、骨節酸痛、湿熱黄疸、骨蒸潮熱、小児疳積発熱に用いられる。
【0025】
腫節風は、センリョウ科植物の乾燥全草である。[性味と帰経]苦、辛、平。[機能と主治]清熱涼血、活血消斑、去風通絡。血熱発斑発疹、風湿痺痛、跌打損傷に用いられる。
【0026】
蒼朮は、キンポウゲ科植物茅蒼朮又は北蒼朮の乾燥根茎である。[性味と帰経]辛、苦、温。帰経:脾、胃、肝。[機能と主治]燥湿健脾、去風散寒、明目。湿阻中焦、
泄瀉、水腫、脚気痿躄、風湿痺痛、風寒感冒、夜盲、眼目昏渋に用いられる。
【0027】
威霊仙は、キンポウゲ科植物威霊仙、綿団鉄線蓮又は東北鉄線蓮の乾燥根と根茎である。[性味と帰経]辛、咸、温。帰経:膀胱。[機能と主治]去風湿、通経絡。風湿痺痛、肢体麻木、経脈拘攣、屈伸不利に用いられる。
【0028】
大黄は、タデ科植物掌葉大黄、唐古特大黄又は薬用大黄の乾燥根和根茎である。[性味と帰経]苦、寒。帰経:脾、胃、大腸、肝、心包。[機能と主治]瀉下攻撃、清熱瀉火、涼血解毒、
利湿退黄。実熱積滞便秘、血熱吐衄、目赤咽腫、癰腫疔瘡、跌打損傷、黄疸尿赤;外治やけどに用いられる。大青葉は、アブラナ科植物ホソバタイセイの乾燥葉である。[性味と帰経]苦、寒。帰経:心、胃。[機能と主治]清熱解毒、涼血消斑。温病高熱、神昏、発斑発疹、おたふく風邪、喉痺、丹毒、癰腫に用いられる。
【0029】
天花粉は、
又は双辺か楼の乾燥根である。[性味と帰経]甘、微苦、微寒。帰経:肺、胃。[機能と主治]清熱瀉火、生津止渇、消腫排膿。熱病煩渇、肺熱燥咳、内熱消渇、瘡瘍中毒に用いられる。本発明の薬用メカニズム:
【0030】
元.朱震亨「丹溪心法痛風六十三」曰く:「遍身骨節疼痛、昼静夜劇、如虎噛之状、名曰白虎歴節風」「大率有痰、風熱、風湿、血虚」、痛風の発病は風湿熱、
であることが多く、威霊仙の味は辛、咸、温であり、腫節風の味は苦、辛、平であり、リウマチを除去し、経絡の通りを改善することができ、ともに君薬であり、黄柏は苦、寒であり、秦ぎょうは辛、苦、平であり、大黄は苦、寒であり、三薬は清湿熱、止痺痛、
の作用を有し臣薬であり、君薬と配合して去風、清熱、止痛の効果を奏し、蒼朮の味は辛、苦、温であり、君臣薬が苦寒すぎることを防止し、去湿散寒を助けて佐薬であり、天花粉は甘、微苦、微寒であり、氷片とともに消腫療瘡して使薬であり、諸薬が皮膚を通して痛みに到達し、全体の配合から見ると、去風通絡、除痺止痛の効果を有する。
【0031】
従来技術に比べて、本発明の有益な効果は、
本発明の貼付剤を使用する時に患部に直接貼り、作用が緩和で持続的であり、腫れと痛みを軽減する効果が顕著であり、痛風による関節痛を効果的に予防又は緩和して痛風による結節を改善することができ、使用しやすく、患者の適応性が良く、刺激がなく、複数回の投薬に適する。そして、経口薬の口当たりが良くない欠陥を回避する。同時に、基質の稠度が適切であるため、皮膚表面に貼られた体感が清涼であり、局所的な赤、腫、熱、痛の症状を緩和でき、添加された経皮促進剤類成分は薬物の浸透をより加速でき、即効性の目的を達成する。基質の調製過程において、各成分の比率、加熱温度、撹拌速度、混合時間、脱泡程度はいずれも基質の稠度と薬物放出性能に影響を与えることが可能であり、各影響要因を互いに配合し、最終的に対応する効果を有する産物を製造する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0032】
本発明の様々な例示的な実施形態を詳細に説明するが、この詳細な説明は本発明を制限するものではなく、本発明の特定な方面、特性、および実施形態に対するより詳細な説明と理解すべきである。
【0033】
本発明に記載されている専門用語は単に特別な実施形態を説明するためのものであり、本発明を制限するものではない。また、本発明の数値範囲について、この範囲の上限と下限の間の各中間値も具体的に開示されているものと理解すべきである。すべての記述値又は記述範囲内の中間値及びすべての他の記述値又は前記範囲内の中間値の間の小さい範囲はいずれも本発明に含まれる。これらの小さい範囲の上限と下限は独立して範囲内に含まれるか排除されてもよい。
【0034】
特に記載のない限り、本文で使用されるすべての技術および科学用語は、当業者が通常に理解できるのと同じ意味を有する。本発明では好ましい方法および材料のみを説明しているが、本発明の実施又は測定において本文の記載と類似又は同等の任意の方法および材料を使用してもよい。本明細書で言及されたすべての文献は、前記文献に関連する方法及び/又は材料を開示、説明するために、引用により組み込まれる。組み込まれた文献との間に矛盾が生じた場合、本明細書の内容が優先される。
【0035】
本発明の範囲又は精神から逸脱することなく、本発明の明細書の発明を実施するための形態を様々に改善、変更することができ、これは当業者にとって自明である。本発明の明細書によって得られる他の実施形態は当業者にとって自明である。本願明細書および実施例は例示的なものである。
【0036】
本文で使用される「含む」、「有する」、「含有」などは、いずれもオープンな用語であり、つまり含むがこれらに限られない意味である。
【0037】
本発明で調製された痛風性関節痛を治療する漢方薬外用貼付剤は、10×8cmのバッキング材あたり、薬物と基質全重量が18.0±0.5gである。
【0038】
本発明で調製されたサンプルは、『中国薬典』(2020年版)四部通則「0122パッチ剤」の項目に準拠しており、耐熱性、賦形性、含有量の均一度などを測定したところ、いずれも標準要求を満たし、刺激性実験およびアレルギー性実験は皮膚に刺激性とアレルギー性がないことを示している。
【0039】
[実施例1]
(1)原料の選択:
黄柏33部、秦ぎょう23部、腫節風32部、蒼朮22部、威霊仙32部、大黄22部、大青葉23部、天花粉18部、氷片6部。
(2)秤量された原料をそれぞれ粉砕し、110メッシュの篩にかけ、薬物の微粉末を得た。
(3)重量百分率で、ゼラチン:カルボマー:ポリビニルピロリドン:ポリアクリル酸ナトリウム:カルボキシメチルセルロースナトリウム:グリセリン:ポリエチレングリコール400=4:7:7:11:0.8:8:10となるように基質を調製した。
(4)基質の製法:ゼラチン、カルボマー、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウムを水に浸漬し、膨潤させ、溶解するまで加熱し、さらにグリセリンとポリエチレングリコール400を加え、53℃で1h混合し、基質を得た。
(5)薬物の微粉末と基質を回転数190r/minの条件で36min混合し、脱泡し、そして不織布に塗布し、裁断し、50℃で2h乾燥させ、表面を粘着防止層で被覆し、痛風性関節痛を治療する漢方薬外用貼付剤を得た。
前記基質は88%を占め、前記薬物は12%を占めた。
【0040】
[実施例2]
(1)原料の選択:
黄柏35部、秦ぎょう25部、腫節風30部、蒼朮20部、威霊仙35部、大黄25部、大青葉20部、天花粉15部、氷片5部。
(2)秤量された原料をそれぞれ粉砕し、120メッシュの篩にかけ、混合し、薬物の微粉末を得た。
(3)重量百分率で、ゼラチン:カルボマー:ポリビニルピロリドン:ポリアクリル酸ナトリウム:カルボキシメチルセルロースナトリウム:グリセリン:ポリエチレングリコール400=4:6:7:10:0.8:7:11となるように基質を調製した。
(4)基質の製法:ゼラチン、カルボマー、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウムを水に浸漬し、膨潤させ、溶解するまで加熱し、さらにグリセリンとポリエチレングリコール400を加え、50℃で1h混合し、基質を得た。
(5)薬物の微粉末と基質を回転数180r/minの条件で42min混合し、脱泡し、そして不織布に塗布し、裁断し、50℃で2h乾燥させ、表面を粘着防止層で被覆し、痛風性関節痛を治療する漢方薬外用貼付剤を得た。
前記基質は85%を占め、前記薬物は15%であった。
【0041】
[実施例3]
(1)原料の選択:
黄柏30部、秦ぎょう20部、腫節風35部、蒼朮25部、威霊仙30部、大黄20部、大青葉25部、天花粉20部、氷片7.5部。
(2)秤量された原料をそれぞれ粉砕し、100メッシュの篩にかけ、混合し、薬物の微粉末を得た。
(3)重量百分率で、ゼラチン:カルボマー:ポリビニルピロリドン:ポリアクリル酸ナトリウム:カルボキシメチルセルロースナトリウム:グリセリン:ポリエチレングリコール400=3:7:7:11:0.8:9:10となるように基質を調製した。
(4)基質の製法:ゼラチン、カルボマー、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウムを水に浸漬し、膨潤させ、溶解するまで加熱し、さらにグリセリンとポリエチレングリコール400を加え、55℃で1h混合し、基質を得た。
(5)薬物の微粉末と基質を回転数190r/minの条件で36min混合し、脱泡し、そしてナイロン布に塗布し、裁断し、50℃で2h乾燥させ、表面を粘着防止層で被覆し、痛風性関節痛を治療する漢方薬外用貼付剤を得た。
前記基質は92%を占め、前記薬物は8%を占めた。
【0042】
[実施例4]
(1)原料の選択:
黄柏33部、秦ぎょう21部、腫節風30部、蒼朮24部、威霊仙34部、大黄21部、大青葉22部、天花粉19部、ユーカリ油5.5部。
(2)秤量された原料をそれぞれ粉砕し、110メッシュの篩にかけ、混合し、薬物の微粉末を得た。
(3)重量百分率で、寒天:カルボマー:ポリビニルピロリドン:ポリアクリル酸ナトリウム:カルボキシメチルセルロースナトリウム:プロピレングリコール=5:6:7:10:0.8:17となるように基質を調製した。
(4)基質の製法:ゼラチン、カルボマー、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウムを水に浸漬し、膨潤させ、溶解するまで加熱し、さらにプロピレングリコールを加え、53℃で1h混合し、基質を得た。
(5)薬物の微粉末と基質を回転数190r/minの条件で36min混合し、脱泡し、そして不織布に塗布し、裁断し、50℃で2h乾燥させ、表面を粘着防止層で被覆し、痛風性関節痛を治療する漢方薬外用貼付剤を得た。
前記基質は90%を占め、前記薬物は10%であった。
【0043】
[比較例1]
原料を粉砕し、80メッシュの篩にかけたこと以外は、実施例1と同様である。
【0044】
[比較例2]
薬物の微粉末と基質を回転数100r/minの条件で混合したこと以外は、実施例1と同様である。
【0045】
[比較例3]
薬物の微粉末と基質の混合時間を20minにしたこと以外は、実施例1と同様である。
【0046】
[比較例4]
前記基質が95%を占め、前記薬物が5%であること以外は、実施例1と同様である。
【0047】
[比較例6]
前記基質が80%を占め、前記薬物が20%であること以外は、実施例1と同様である。
調製された漢方薬外用貼付剤は粘度が高すぎて、貼付効果及び体感が良くない。
【0048】
[比較例7]
ステップ(4)の加熱温度が72℃であること以外は、実施例1と同様である。
加熱時間が長すぎるため、基質材料の粘度が変化し、調製された漢方薬外用貼付剤の効果が弱くなる。
【0049】
一、臨床治療効果の観察:
本発明の貼付剤(実施例1~4)と対照グループの貼付剤(比較例1~7)及び薬局で販売されている痛風性関節痛の漢方薬外用貼付剤(対照グループ)の痛風性関節痛に対する治療効果を観察検証した。
痛風性関節炎患者1100例を選択し、ランダムに11グループに分け、各グループ100例である。各グループの年齢、性別、疾患過程、関節痛の程度に統計学的差異はなかった(p>0.05)。
治療方法:
貼付剤を関節に直接貼り、1日1回貼り、1クールは12日である。
判定標準:
1、治癒:関節痛感がなくなるかほぼなくなり、関節活動が正常に戻り、関節腫脹現象がない。
2、有効:関節痛感が好転し、関節活動が軽く制限され、軽度の関節腫脹現象を伴う。
3、無効:関節痛感が明らかに改善されず、ひいては重くなり、関節活動が制限され、活動が難しく、深刻な関節腫脹現象を伴う。
【0050】
試験の結果:
12日間の治療後、各試験グループの臨床治療効果の統計結果を表1に示す。
上記の患者の治療前後の血液、尿、便のルーチン検査、肝臓と腎臓の機能及び心電図に異常は見られなかった。後の再診時に本発明の調製された貼付剤で治療を受けた痛風は、痛風による関節痛及び結節が見られなかった。
【0051】
表1からわかるように、12日間の治療を経て、本発明の貼付剤を使用した患者は基本的に治癒したが、本発明の調製方法で調製されていない貼付剤である比較例1~7の有効率は基本的に90%以下であり、本発明の痛風性関節痛を治療する貼付剤は、本発明の具体的な調製方法に従って処理され後に効果がより良くなる。薬局で販売されている貼付剤で12日間の治療を経ても効果は明らかに良くなかった。
【0052】
二、現在、臨床的には、痛風性関節炎の患者は一般的にイブプロフェンを投与して治療されている。本発明で調製された貼付剤の効果を検証するために、以下の検証を行った。
急性痛風性関節炎患者(すべて男性)70例を選択し、ランダムに対照グループ(イブプロフェンのみを投与する)と治療グループ(イブプロフェンを投与する同時に実施例1で調製された貼付剤を使用する)に分け、各グループ35例とした。治療時間は12日間であり、患者の治療前後の実験室指標[赤血球沈降率(ESR)、血中尿酸(UA)、-反応性タンパク質(CRP)]、中国医学症状評価、関節腫脹及び活動度などの評価、患者疼痛反応及び不良反応状況を観察した。
【0053】
結果は以下のことを示している。
1)治療後、2グループの患者のESR、UA、CRPレベルはいずれも治療前より低く(p<0.05)、グループ間の差異は統計学的な意味はなかった。
2)中国医学症状の評価比較において、治療グループは対照グループより低かった(p<0.05)。
3)関節腫脹及び活動度評価は、グループ間の差異に統計学的な意味はなかった。
4)関節痛が完全に緩和する時間は、治療グループの方が対照グループの方よりも短かった(p<0.05)。
5)2グループの患者の治療前後の血液、尿、便のルーチン検査、肝臓と腎臓の機能及び心電図に異常は見られなかった。
以上の臨床治療結果より、イブプロフェンを併用して急性痛風性関節炎を治療する時、患者の臨床症状を顕著に改善し、疾患過程を短縮することができ、本発明の調製された漢方薬外用貼付剤が痛風性関節痛の治療に良好な治療効果を有することを示し、薬物を経口服用したくない場合、本発明の貼付剤を選択でき、同様に治療作用を有する。又は、経口薬と併用する場合、疾患過程を短縮し、苦痛を軽減し、患者の選択範囲を広げられる。
【0054】
ケース:
王さん、女45歳、痛風性関節痛3年間、四肢関節痛、行動が不便であり、非常に苦痛であった。本発明の貼付剤を6日間使用した後に腫脹がなくなり、痛みが軽減され、また6日間治療した後、正常に戻り、患者は臨床的に治愈した。
【0055】
李さん、男、38歳、急性痛風1年間、西洋薬物を服用しても顕著な治療効果がなかった。本発明の貼付剤を使用して1日1回貼り、3日間後に痛みが緩和され、継続して9日間使用した後、症状が明らかに改善され、痛みがほぼなくなり、継続して1か月使用し、症状がなくなった。
【0056】
銭さん、男58歳、骨関節炎5年間、四肢関節痛、歩くことができなかった。本発明の貼付剤を12日間使用した後に痛みがなくなり、継続して治療1クール治療した後に行動が自由になった。
【0057】
以上は単に本発明の好ましい実施例であり、本発明を制限するものではない。本発明の精神と原則内で行われたすべての修正、均等な置換および改善などは、いずれも本発明の保護範囲内に含まれる。