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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-06
(45)【発行日】2023-10-17
(54)【発明の名称】EIT電極を用いた測定装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/0536 20210101AFI20231010BHJP
【FI】
A61B5/0536
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021547482
(86)(22)【出願日】2020-02-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-04
(86)【国際出願番号】 KR2020002014
(87)【国際公開番号】W WO2020171473
(87)【国際公開日】2020-08-27
【審査請求日】2021-08-13
(31)【優先権主張番号】10-2019-0020522
(32)【優先日】2019-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】519179372
【氏名又は名称】株式会社バイラップ
【氏名又は名称原語表記】BILAB CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100159547
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴谷 裕二
(72)【発明者】
【氏名】ウイ・フン
(72)【発明者】
【氏名】チャン・ジュン
【審査官】田辺 正樹
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2004/0236202(US,A1)
【文献】特開2006-15039(JP,A)
【文献】特開2016-10651(JP,A)
【文献】特表2008-546509(JP,A)
【文献】特表2009-523037(JP,A)
【文献】特開平4-35640(JP,A)
【文献】特表2007-525269(JP,A)
【文献】米国特許第08019402(US,B1)
【文献】特表2016-527943(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B5/05-5/0538、5/24-5/398
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のEIT電極を支持して皮膚に密着可能な電極支持体に、前記複数の各EIT電極と電気的接続のための複数の電極ラインが埋め込まれた少なくともつ以上の電極部と、
少なくとも1つ以上のセンサ接続体を介して前記少なくともつ以上の電極部と外部の電子機器との間を電気的に接続して電気信号を交換するように構成されたセンサ部と、を含み、
前記センサ部は、前記少なくともつ以上の電極部の挿入体を挿入して相互電気的に接続する少なくとも1つ以上の挿入口を備え、前記複数の埋め込まれた電極ラインを介して前記複数のEIT電極と接続されるようにすることをさらに含み、
前記少なくとも2つ以上の電極部は、前記挿入体を前記挿入口に結合又は前記挿入口から分離することで、前記少なくとも2つ以上の電極部を前記センサ部に結合又は前記センサ部から分離して交換することにより、前記少なくとも2つ以上の電極部が前記センサ部を共有するように前記センサ部に連結されて一回使用された後、前記センサ部から分離されて交換が可能であり、
前記センサ部は、前記複数の埋め込まれた電極ラインのうち特定の電極ラインを介して前記複数のEIT電極のうち特定のEIT電極に電流を注入し、前記電流を注入した結果、残りのEIT電極から出力される信号を受け取ってセンシングするように前記外部の電子機器と信号を交換して前記外部の電子機器からの制御で電気インピーダンスを測定し、
前記センサ接続体は、前記少なくとも2つ以上の電極部と前記外部の電子機器との間の電気信号の接続を行うことを特徴とする、EIT電極を用いた測定装置。
【請求項2】
前記電極支持体は、
前記複数のEIT電極を支持し、前記皮膚に密着可能にされ、前記複数のEIT電極が長手方向に離隔するように延在して配置されるか、又は多列若しくは多行に互いに離隔するように配置されることを特徴とする、請求項1に記載のEIT電極を用いた測定装置。
【請求項3】
前記複数のEIT電極は、
それぞれ接着力を有するステッカータイプで設けられ、それぞれ個別に前記皮膚に接着されることを特徴とする、請求項1に記載のEIT電極を用いた測定装置。
【請求項4】
前記電極支持体の前記複数のEIT電極が支持される一面には、前記電極支持体を前記皮膚に付着させるための接着手段が設けられ、
前記接着手段は、前記複数のEIT電極を露出させて前記皮膚に接触させる露出孔が貫通形成されることを特徴とする、請求項に記載のEIT電極を用いた測定装置。
【請求項5】
前記複数の埋め込まれた電極ラインは、前記電極支持体に埋め込まれて延びる長さが互いに異なることを特徴とする、請求項1に記載のEIT電極を用いた測定装置。
【請求項6】
前記複数のEIT電極にそれぞれ対応して、識別色相又は絵が形成された表示体が設けられ、
前記少なくとも2つ以上の電極部には、前記EIT電極の情報を提供するためのバーコード又はRFID(Radio Frequency Identification)タグが設けられていることを特徴とする、請求項1に記載のEIT電極を用いた測定装置。
【請求項7】
前記センサ部は、
前記皮膚に接着され、前記少なくともつ以上の電極部によって測定される電極電位の基準を提供する基準電極(reference electrode)と接続され、前記センサ部に前記基準電極が装着され、前記基準電極の接着力で前記センサ部が前記皮膚に取り付けられることを特徴とする、請求項1に記載のEIT電極を用いた測定装置。
【請求項8】
前記センサ部は、
前記少なくとも2つ以上の電極部によって測定される電極電位の基準を提供する基準電極(reference electrode)と接続され、
前記センサ部は、
前記基準電極と電極ラインを介して接続れることを特徴とする、請求項1に記載のEIT電極を用いた測定装置。
【請求項9】
前記複数のEIT電極のいずれか1つは、
前記少なくとも2つ以上の電極部によって測定される電極電位の基準を提供する基準電極(reference electrode)として設けられて前記センサ部に接続されることを特徴とする、請求項1に記載のEIT電極を用いた測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、EIT電極を用いた測定装置に係り、より具体的には、一回の使用による経済性及び使い勝手を向上させることができるとともに、測定精度を向上させることができる、EIT電極を用いた測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生体インピーダンス検査は、身体に付着した電極を介して微細な電流を通過させ、電圧を測定することにより、細胞膜と組織による電気信号変化の値(生体インピーダンス値)で体成分を検査する方法であって、主に筋肉、脂肪、細胞、体質量、基礎代謝量、体内水分、代謝活動、並びに骨の無機質や血漿などの体内の健康状態を検査するのに用いられている。
【0003】
電気インピーダンストモグラフィ(EIT、Electrical Impedance Tomography)は、身体に多数の電極を付着させ、電流の注入と電圧の測定を繰り返し行って身体断面のインピーダンス分布を画像に復元することにより、呼吸や血流などの生理的機能を映像化するのに用いられている。
【0004】
このようなEIT検査では、多数のEIT電極が設置されたベスト又はベルト状の機器を被験者が着用して測定する。このとき、EIT電極が設けられた機器は、多数回使用されることにより、他の被験者の汗や体臭のみならず、細菌感染の危険性が存在した。それだけでなく、重症の患者に機器を適用しようとする場合には、多数のEIT電極を患者に付着させ難いという問題点も発生する。
【0005】
これにより、近年では、EIT電極を用いて被験者の電気インピーダンスト撮影の利便性や信頼度などを増大させることができる様々な研究が着実に進められている傾向にある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、一回の使用後に交換可能な電極を用いて経済的であるうえ、測定利便性が向上した、EIT電極を用いた測定装置を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、様々な部位に対する計測が可能であり、測定条件に応じて電極部を変更することができるため測定精度を向上させることができる、EIT電極を用いた測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するための本発明によるEIT電極を用いた測定装置は、少なくとも一つのEIT電極を支持して皮膚に密着可能な少なくとも一つの電極部と、前記電極部から測定された信号をセンシングして電気インピーダンス画像情報を測定するセンサ部とを含み、前記電極部は、前記センサ部に接続されて一回使用された後、前記センサ部から分離されて交換可能である。
【0009】
また、前記電極部は、前記少なくとも一つのEIT電極を支持して前記皮膚に密着できるように長さ方向に延びたパッドタイプの少なくとも一つの電極支持体を含み、前記電極支持体には、前記EIT電極との電気的接続のための電極ラインが設けられることができる。
また、前記電極支持体の少なくとも一端は、前記センサ部に接続され、前記EIT電極と前記センサ部とを互いに電気的に接続させることができる。
【0010】
また、前記電極支持体の前記少なくとも一つのEIT電極が支持される一面には、前記電極支持体を前記皮膚に付着させるための接着手段が設けられ、前記接着手段は、前記少なくとも一つのEIT電極を露出させて前記皮膚に接触させる露出孔が穿設されることができる。
【0011】
また、前記EIT電極は、接着力を有するステッカータイプで複数設けられ、それぞれ個別に前記皮膚に接着され、前記複数のEIT電極は、それぞれ接続ラインを介してセンサ部に接続されることができる。
【0012】
また、前記電極部は、前記センサ部に接続可能な少なくとも一つの電極支持体、及び前記電極支持体から延びて前記電極支持体と前記少なくとも一つのEIT電極とをそれぞれ電気的に接続させる少なくとも一つの電極ラインを含むことができる。
また、前記少なくとも一つの電極ラインは、前記電極支持体から延びる長さが互いに異なることができる。
【0013】
また、前記少なくとも一つのEIT電極は、識別色相又は絵が形成された表示体が設けられ、前記電極部は、前記EIT電極の情報を提供するためのバーコードまたはRFID(Radio Frequency Identification)タグが設けられることができる。
また、前記センサ部は、少なくとも一つ設けられ、前記電極部は、複数設けられ、前記少なくとも一つのセンサ部に同時に接続可能である。
【0014】
また、前記センサ部が、前記皮膚に接着され、前記電極部によって測定される電極電位の基準を提供するための基準電極(reference electrode)と接続され、前記センサ部に前記基準電極が装着されることにより、前記基準電極の接着力で前記センサ部が前記皮膚に付着することができる。
【0015】
また、前記センサ部は、前記電極部によって測定される電極電位の基準を提供する基準電極(reference electrode)に接続され、前記センサ部は、前記基準電極と電極ラインを介して接続できるように前記電極部と基準電極の近くに置かれることができる。
【0016】
また、前記EIT電極は、複数設けられるが、前記複数のEIT電極のいずれかは、前記電極部によって測定される電極電位の基準を提供する基準電極(reference electrode)として設けられて前記センサ部に接続されることができる。
【発明の効果】
【0017】
上述した構成を有する本発明によれば、第一に、一回の使用後に廃棄可能な電極部をセンサ部に対して交換可能に接続することにより、電極部の一回の使用による細菌感染などの既存の問題点を改善することができるため被験者の信頼度を向上させることができる。
第二に、相対的に安価な電極部を一回使用することにより、経済的である。
第三に、様々な測定条件に対応して電極部を交換することができることにより、測定多様性を確保し且つ測定精度を向上させることができる。
第四に、ユーザがセンサ部に対して電極部を接続及び分離させる交換動作が簡便であるため、使い勝手に優れる。
第五に、電極部の付着位置の変更が容易であるため、一つのセンサ部を共有して様々な電気インピーダンス撮影情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の好適な第1実施例によるEIT電極を用いた測定装置を概略的に示す平面図である。
図2図1に示された電極部を概略的に分解して示す分解斜視図である。
図3図2に示された電極部を概略的に示す上面図、側面図及び下面図である。
図4図2に示された電極部の変形例を概略的に示す平面図である。
図5図1に示されたセンサ部を概略的に拡大分解して示す分解斜視図である。
図6図5に示されたセンサ接続体の他面に基準電極が設けられた状態を概略的に示す図である。
図7】(a)及び(b)は被験者の皮膚に電極部及びセンサ部が付着した状態を概略的に示す図である。
図8】本発明の好適な第2実施例によるEIT電極を用いた測定装置が被験者に付着した状態を概略的に示す図である。
図9図8に示された電極部の様々な変形例を概略的に示す平面図である。
図10図9に示された電極部が電極保護体に接続された状態を概略的に示す平面図である。
図11】本発明の好適な第3実施例によるEIT電極を用いた測定装置の電極部を概略的に示す平面図である。
図12図11に示された電極が被験者の皮膚に付着した状態を概略的に示す図である。
図13】本発明の好適な第4実施例によるEIT電極を用いた測定装置の電極部を概略的に示す平面図である。
図14図13に示された電極が被験者の皮膚に付着した状態を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好適な一実施例を添付図面を参照して説明する。ただし、本発明の思想は、それらの実施例に限定されず、実施例をなす構成要素の付加、変更及び削除などによって異なるように提案できるが、それらも発明の思想に含まれる。
【0020】
図1を参照すると、本発明の好適な第1実施例によるEIT電極を用いた測定装置1は、電極部10及びセンサ部20を含む。
ちなみに、本実施例で説明するEIT電極を用いた測定装置1は、被験者の皮膚S(図7参照)に付着し、肺呼吸及び心拍出量をモニタリングするために測定するものと図示及び説明する。しかし、これに限定されるものではなく、EIT電極を用いた測定装置1が、肺呼吸及び心拍出量だけでなく、体脂肪、体細胞、水分量、骨の無機質、血漿、基礎代謝量などのさまざまな生体情報のいずれかを測定してモニタリングするように変形可能であるのは当たり前である。
【0021】
電極部10は、皮膚Sに密着可能な少なくとも一つのEIT電極11を備える。このような電極部10は、図2及び図3に示すように、EIT電極11と電極支持体13を含む。ここで、図3の(a)は電極部10の上面図、(b)は側面図、(c)は下面図である。
【0022】
EIT電極11は、図2に示すように複数設けられることができ、互いに長さ方向に離隔するように一列に配置できる。しかし、図2の図示に限定されるものではなく、EIT電極11は、一つが設けられるか、或いは複数個が多列及び多行に相互離隔するように設けられることができる。
【0023】
電極支持体13は、少なくとも一つのEIT電極11を支持し、長さ方向に延び、皮膚Sに密着できるように薄い帯状を有する。また、電極支持体13には、一つのEIT電極11または複数のEIT電極11が互いに離隔するように設けられ、EIT電極11との電気的接続のための電極ライン14が設けられることができる。
【0024】
参考までに、EIT電極11を支持する電極支持体13に電極ライン14が内蔵されるように設けられ、EIT電極11の近くに電子回路が位置することにより、EIT撮影方式における測定データの品質を向上させることができる。
一方、電極支持体13は、少なくとも一つ設けられ、被験者の皮膚Sに付着したセンサ部20に接続され、使用後にはセンサ部20から分離して廃棄される。
【0025】
また、複数のEIT電極11には、ユーザの識別のための表示体12が設けられる。表示体12は、EIT電極11が適用される位置、または内蔵されたEIT電極11の位置を表示することができるように識別可能なイメージ又はカラーで形成できる。このような表示体12は、複数のEIT電極11にそれぞれ対応して複数設けられるものと図示するが、複数のEIT電極11のうちの一部にのみ設けられてもよい。
【0026】
本実施例では、一つの電極支持体13に複数のEIT電極11が支持され、EIT電極11は、被験者の前面に付着する第1電極領域11aと、被験者の背面に付着する第2電極領域11bに区別できる。図3の図示では、第1及び第2電極領域11a、11bがそれぞれ4つずつ設けられ、合計8つのEIT電極11が電極支持体13に支持されるものと例示するが、図2の図示でEIT電極11の数が限定されないのは当たり前である。
【0027】
図2及び図3に示された電極支持体13は、少なくとも一対で設けられ、それぞれの一端13aはセンサ部20に接続される。さらに、電極支持体13の他端13bは、被験者の周りに沿って皮膚Sに密着する(図7参照)。それにより、被験者に対して合計16個のEIT電極11が付着して16チャンネル方式で被験者に電流を印加する。このとき、電極支持体13の一端13aには、センサ部20に挿入されて電気的に接続可能な挿入体15が設けられることができる。挿入体15は、電極ライン14を介して複数のEIT電極11と電気的に接続されるとともに、センサ部20に接続される接続体15aを有し、接続体15aは、挿入ハウジング15bに支持して補強材15cに保護される。
【0028】
一方、図2に示すように、第1及び第2電極領域11a、11bは、互いに異なる二つ以上の色相及び絵を有することにより、ユーザの識別をガイドする。例えば、電極支持体13の一端13a側に設けられる第1電極領域11aのEIT電極11には、青色の表示体12が設けられ、電極支持体13の他端13b側に設けられる第2電極領域11bのEIT電極11には、赤色の表示体12が設けられることで、センサ部20に接続された一端13aの識別をガイドすることができる。併せて、本実施例では、被験者の胴体に沿って付着するものと例示することにより、被験者の前面に付着する第1電極領域11aには、身体の前面絵の表示体12が設けられ、被験者の背面に付着する第2電極領域11bには、身体の背面絵の表示体12が設けられることができる。
【0029】
以上のように、第1及び第2電極領域11a、11bのEIT電極11は、少なくとも二つの色相及び絵を有する表示体12によってユーザに識別力を提供し、EIT電極11が適用される部位及び条件に応じて、表示体12の色相及び絵は図4に示すように様々に変更可能である。
【0030】
また、電極支持体13は、自体の接着力を有するステッカー(Sticker)、または皮膚Sに密着可能なパッド(Pad)タイプで設けられることができる。本実施例では、図2及び図3に示すように、電極支持体13に接着手段16が積層されるパッド形状を有することにより、皮膚Sに付着するものと例示する。
【0031】
接着手段16は、電極支持体13に対応するように長さ方向に延びる帯状を有し、電極支持体13に支持されたEIT電極11を外部に露出させるための露出孔16aが穿設される。併せて、図3の(c)に示すように、電極部10の下面、すなわち、接着手段16の接着面には、被験者の皮膚Sに付着する前の接着力とEIT電極11の保護のために、接着面に保護フィルム17が付着することが好ましい。
【0032】
以上の如く、電極部10は、電極支持体13に複数のEIT電極11が支持され、複数のEIT電極11は、接着手段16の露出孔16aを介して露出した状態で保護フィルム17によって保護される。その後、被験者の皮膚Sに付着する場合には、保護フィルム17が接着手段16から分離され、接着手段16の接着力によって複数のEIT電極11が電極支持体13に支持された状態で皮膚Sに密着される。
【0033】
一方、詳細に示されていないが、電極部10は、それぞれの情報、例えば、正規品か否か、測定部位や測定対象などの情報を提供することができるバーコードまたはRFID(Radio Frequency Identification)タグが設けられることができる。このような電極部10のバーコードまたはRFIDタグなどは、外部の電子機器との電気的信号交換を介して情報を提供することもできる。
【0034】
センサ部20は、電極部10と選択的に接続されることにより、接続された電極部10から測定された信号をセンシングして被験者の肺呼吸及び心拍出量などの体成分を測定する。このようなセンサ部20は、図5に示すように、センサ21とセンサ接続体22を含む。
【0035】
センサ21は、電極部10から入力される信号をセンシングする。このようなセンサ21は、電極部10のEIT電極11に電流を注入してインピーダンスを測定することにより、被験者の肺呼吸及び心拍出量をセンシングする。
【0036】
センサ接続体22は、センサ21に設けられた接続ポート23と電気的に接続され、外部の電子機器とセンサ21とを相互接続させる。このようなセンサ接続体22には、外部のモニターなどのディスプレイ装置、制御機器などの電子機器M(図7参照)との信号交換のための接続ポート25が設けられる。ちなみに、接続ポート25を介して外部との電気的信号の交換が可能であるうえ、センサ21に電力を供給することもできる。
【0037】
一方、センサ21の両側面には、電極部10の挿入体15が挿入されて接続される挿入口24が設けられる。このとき、挿入口24に、図3及び図4に示された挿入体15がバックル(Buckle)方式で結合されることにより、センサ部20に電極部10が接続されるものと図示及び例示するが、センサ部20に対する電極部10の接続方式は、多様に変形可能である。
【0038】
このようなセンサ部20は、接着力を有する接着手段を備えることにより、被験者の皮膚Sに付着した後に電極部10に接続されることができる。本実施例では、電極部10によって測定される電極電位の基準を提供するための基準電極(reference electrode)26がセンサ部20に設けられ、基準電極26の接着力によってセンサ21が皮膚Sに付着するものと図示及び例示する。
【0039】
つまり、本実施例では、基準電極26の接着力を用いてセンサ部20が皮膚Sに付着するのである。このような基準電極26を用いて皮膚Sに付着する場合、センサ部20のセンサ21には第1スナップ27が設けられ、基準電極26には第1スナップ27に対応する第2スナップ28が設けられることにより、第1及び第2スナップ27、28の相互結合によってセンサ21に基準電極26が装着される。このようなセンサ21と基準電極26との結合方式は、図示された例に限定されない。
【0040】
また、図6では、基準電極26がセンサ21に対して一体に設けられるものと図示したが、必ずしもこれに限定されない。すなわち、詳細に図示されていないが、基準電極26がセンサ21とは別に設けられ、センサ21から離隔した位置で被験者の皮膚Sに付着して電極部10の測定電極電位の基準を提供することもできる。それだけでなく、複数のEIT電極11のいずれかが基準電極として設けられてセンサ部20に接続される変形実施例も可能である。
【0041】
このようにセンサ部20が基準電極26の接着力を利用しない場合、センサ部20は、例えば両面テープなど、接着力を有する接着手段が皮膚Sに付着する付着面に設けられることにより、センサ部20が皮膚Sに付着することができる。ちなみに、センサ部20が基準電極26の接着力と共に別途の接着手段を備えて、皮膚Sに二重に付着する変形例も可能である。また、センサ部20が皮膚Sに付着せずに電極部10と接続されるように被験者の近くに置かれる変形例も可能である。
上述した構成を有する本発明によるEIT電極を用いた測定装置1の電気インピーダンス撮影動作を、図7に基づいて説明する。
【0042】
まず、図7の(a)に示すように、被験者の測定しようとする位置の皮膚Sにセンサ部20を位置させる。本実施例では、センサ部20が基準電極26の接着力を用いて被験者の皮膚Sに付着するものと説明する。
【0043】
被験者の皮膚Sにセンサ部20が置かれた状態で、電極部10をセンサ部20に接続させる。より具体的には、図2及び図3に示された8つのEIT電極11を支持する電極支持体13が一対で設けられ、一対の電極支持体13それぞれの一端13aがセンサ21の挿入口24に挿入されて接続される。併せて、図7の(b)に示すように、一対の電極支持体13それぞれの他端13bは、被験者の周りに沿って皮膚Sに付着した状態である。
【0044】
このとき、ユーザは、表示体12のイメージと色相で複数のEIT電極11を識別して、センサ部20に対して電極部10を接続させる。より具体的に、ユーザは、被験者の前面には第1電極領域11aが位置するように付着させ、被験者の背面には第2電極領域11bが位置するように電極部10をセンサ部20に接続させる。
【0045】
参考までに、電極部10は、保護フィルム17が分離された接着手段16の接着力によって電極支持体13が皮膚Sに付着することにより、接着手段16の露出孔16aを介して露出されたEIT電極11が皮膚Sに直接接触して電流を印加する。
【0046】
このようにセンサ部20に電極部10が接続されると、電極部10が被験者の体内に微細な電流を通過させ、センサ部20は、電気信号の変化をセンシングして被験者の肺呼吸及び心拍出量などの生体情報を測定する。このように測定された情報は、外部に設けられたモニターなどの外部機器Mに外部ラインLを介して提供される。
【0047】
一方、測定が完了すると、センサ部20から電極部10は分離されて廃棄されることにより、一回使用される。その後、再び被験者の肺呼吸及び心拍出量を測定しようとする場合、付着したセンサ部20に新しい電極部10を接続させて体成分を測定した後、さらに分離して廃棄する。このように、センサ部20に比べて相対的に安価な電極部10のみが一回の使用後に廃棄されることにより、細菌感染なしに様々な測定条件に対する適用性に優れるうえ、経済的である。
【0048】
図8には、本発明の好適な第2実施例によるEIT電極を用いた測定装置100が概略的に示される。
第2実施例によるEIT電極を用いた測定装置100は、電極部110とセンサ部120を含む。ここで、センサ部120の構成は、図1図7を参照して説明した第1実施例と同様なので、詳細な説明は省略する。
【0049】
第2実施例による電極部110は、図9に示すように、複数のEIT電極111が電極支持体113a、113b、113c、113dに設けられる。このとき、電極支持体113には電極ライン114が設けられ、複数のEIT電極111を互いに電気的に接続する。ここで、複数のEIT電極111は表示体112によって識別可能である。
【0050】
また、電極支持体113は、接着力を持って被験者の皮膚Sに付着することにより、電極部110は、一種のステッカー電極方式で被験者に電流を印加する。ちなみに、被験者に付着した電極部110の数は、図示された例に限定されない。
【0051】
このようなステッカーなどの電極部110は、被験者の皮膚Sに複数付着して、接続ライン119を介して一つのセンサ部120と同時に接続できる。このとき、センサ部120は、一つ設けられ、被験者の皮膚Sに付着した状態で複数の電極部110と接続ライン119を介して接続される。
【0052】
センサ部120は、複数の電極部110から提供された電気信号変化の値をセンシングして測定された電気インピーダンス撮影情報を外部機器Mへ提供する。このような電極部110とセンサ部120との接続によって肺呼吸、心拍出量などの生体情報の測定が完了すると、複数の電極部110は分離されて廃棄される。
【0053】
一方、センサ部120は、詳細に図示されていないが、第1実施例と同様に、基準電極(図示せず)と接続されて基準電極の接着力を共有して皮膚Sに付着することができる。しかし、センサ部120が別途のリード線を用いて基準電極(図示せず)に接続され、基準電極は皮膚Sに付着し、センサ部120は電極部110と接続可能な位置に未付着状態で置かれてもよい。
【0054】
図9には、電極部110の様々な実施例が示される。
図9の(a)には、被験者の前面に付着可能な3つのEIT電極111を有する電極支持体113aが示され、図9の(b)には、被験者の背面に付着可能な3つのEIT電極111を支持する電極支持体113bが示される。また、図9の(c)と(d)には、それぞれ4つのEIT電極111を支持する電極支持体113c、114dが示される。ここで、図9の(a)及び(c)に示されている電極支持体113a、113cに支持されるEIT電極111は、被験者の前面に付着するように表示体112によって識別され、図9の(b)及び(d)に示されている電極支持体113b、113dに支持されるEIT電極111は、被験者の背面に付着するように表示体112によって識別される。
【0055】
このような図9の(a)乃至(d)に示されている電極支持体113a、113b、113c、113dは、測定しようとする条件に応じてEIT電極111の数を選択して、センサ部120と選択的に接続されるように設けられる。
【0056】
ちなみに、図10に示すように、電極部110の電極支持体113が、EIT電極111を表示するための表示体112と電極ライン114が設けられる一種の薄いパッドとして設けられ、このような電極支持体113に接着手段116が積層されてEIT電極111を露出させた状態で電極支持体113を皮膚Sに接着させることもできる。このとき、接着手段116には、複数のEIT電極111とセンサ部120との電気的接続のための接続ライン119が設けられることができ、接着手段116は、保護フィルム(図示せず)によって保護されることができる。
【0057】
図11には、本発明の好適な第3実施例によるEIT電極を用いた測定装置の電極部210が概略的に示される。ちなみに、第3実施例によるEIT電極を用いた測定装置のセンサ部の構成は、前述した第1及び第2実施例と同様なので、詳細な説明及び図示は省略する。
【0058】
図11に示すように、第3実施例による電極部210は、複数のEIT電極211と、これを支持する電極支持体212とを含む。電極支持体212に対して、複数のEIT電極211は電極ライン213を介して接続される。このとき、電極ライン213は、電極支持体212に対して分離されて複数のEIT電極211にそれぞれ延びたリード形状を有する。また、電極支持体212の端部には、センサ部(図1参照)との電気的接続のための接続体214が設けられる。
【0059】
このような構成を有する第3実施例による電極部210は、複数のEIT電極211それぞれが、自体の接着力を有するステッカータイプで設けられる。それにより、前述した帯状の電極支持体13、113に比べて、図12に示すようにEIT電極211の位置を電極支持体212に対して相対的に自由に調整可能である。より具体的には、複数のEIT電極211が相互水平方向に一列に並んで配置される第1及び第2実施例の場合だけでなく、図12に示すようにEIT電極211が対角線方向に皮膚Sにそれぞれ密着して体成分を測定するのと同様に、EIT電極211の付着位置の変更が容易である。
ちなみに、第3実施例によるステッカータイプの電極部210も、センサ部に接続されて一回の使用後に分離されて廃棄される。
【0060】
図13には、本発明の好適な第4実施例によるEIT電極を用いた測定装置の電極部310が概略的に示される。ちなみに、第4実施例によるEIT電極を用いた測定装置のセンサ部(図1参照)の構成は、前述した第1及び第2実施例と同様なので、詳細な説明及び図示は省略する。
【0061】
第4実施例による電極部310は、複数のEIT電極311と、これを支持する電極支持体312と、を含み、電極支持体312の端部には、センサ部(図1参照)との電気的接続のための接続体314が設けられる。ここで、電極支持体312に対して複数のEIT電極311は電極ライン313を介して接続されるが、電極ライン313の長さが互いに異なる。つまり、電極ライン313は、電極支持体312に対して分離され、互いに異なる長さをもって複数のEIT電極311と接続されることにより、複数のEIT電極311がセンサ部(図示せず)から互いに異なる長さに延びて接続される。
【0062】
このような第4実施例によれば、複数のEIT電極311がそれぞれ被験者の皮膚Sに付着できるようにステッカータイプで設けられ、被験者の皮膚Sに複数個付着することもできる。
【0063】
ちなみに、第4実施例でのように、EIT電極311は、前述した円形のEIT電極とは異なり、長さ方向に延びた楕円形状を有することができる。このようなEIT電極311の形状は、第1乃至第4実施例に限定されず、測定条件に適した様々な形状、例えば円形、楕円形、多角形に設けられることができる。
【0064】
以上のように、第1乃至第4実施例に示された電極部10、110、210、310はいずれも、被験者に対して付着する位置を多様に変更することができるように設けられ、被験者の測定条件に応じてEIT電極11、111、211、311の数も変更可能である。それにより、被験者の肺呼吸及び心拍出量の測定だけでなく、さまざまな体成分情報を電気インピーダンス撮影を介して測定することができる。また、センサ部20、120に対して電極部10、110、210が接続されて使用された後、分離されて廃棄されることにより、細菌感染などの従来の問題点も改善することもできる。
【0065】
上述したように、本発明の好適な実施例を参照して説明したが、当該技術分野の熟練した当業者であれば、下記の請求の範囲に記載された本発明の思想及び領域から逸脱することなく、本発明を多様に修正及び変更させることができることを理解することができるだろう。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14