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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-06
(45)【発行日】2023-10-17
(54)【発明の名称】打楽器
(51)【国際特許分類】
   G10D 13/10 20200101AFI20231010BHJP
   G10D 13/03 20200101ALI20231010BHJP
【FI】
G10D13/10 160
G10D13/03
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022002424
(22)【出願日】2022-01-11
(65)【公開番号】P2023102077
(43)【公開日】2023-07-24
【審査請求日】2022-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000111856
【氏名又は名称】パール楽器製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】竹川 彰人
【審査官】上田 雄
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-095561(JP,A)
【文献】特開2019-159219(JP,A)
【文献】特開2003-108120(JP,A)
【文献】特開2019-120826(JP,A)
【文献】特開2021-009390(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10D 13/00-13/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の被取付面を表面に有するフレームと、
前記被取付面に対向する取付面及び該取付面から離れる方向に膨出した湾曲打面を表面に有する複数のパッドと、
前記フレームの複数の前記被取付面と複数の前記パッドの前記取付面を着脱可能に接着させる複数の粘着シートと、
を有する打楽器。
【請求項2】
前記フレームは、平らな前記被取付面を表面に有する少なくとも1本の角パイプを含む、
請求項1の打楽器。
【請求項3】
前記角パイプの中に、前記湾曲打面に与えられる振動を検出するセンサを備える、
請求項2の打楽器。
【請求項4】
前記角パイプは、前記被取付面以外の表面に、前記センサにシールドを接続するためのコネクタを備える、
請求項3の打楽器。
【請求項5】
取付面と該取付面から離れる方向に膨出した湾曲打面を表面に有する複数のパッドと、
複数の前記パッドの前記取付面を、粘着シートを介して、着脱可能に接着させる複数の被取付面を表面に有するフレームと、
を備えた打楽器。
【請求項6】
前記フレームは、複数の前記パッドの前記湾曲打面に与えられる振動をそれぞれ検出する複数のセンサを備える、
請求項5の打楽器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、パッドを備えたトレーニングドラムや電子ドラムなどの打楽器に関する。
【背景技術】
【0002】
電子ドラムは、アコースティックドラムと比べて打撃により発生する音(以下、打撃音とする)が小さく、自宅での練習用ドラムとして広く普及されている。電子ドラムは、一般に、スティックやビーターで叩く複数の円板状のパッドを備えている。複数のパッドは、専用のフレームを用いて、アコースティックドラムのスネアドラム、ハイタム、ロータム、フロアタム、バスドラム、ハイハットシンバル、ライドシンバル、クラッシュシンバルなどを配置する位置にレイアウトされる。つまり、複数のパッドは、アコースティックドラムと同様、一定の間隔を空けてフレームの所定位置に所定角度で取り付けられる。このため、電子ドラムの設置スペースは、アコースティックドラムとほとんど変わらず、比較的大きな設置スペースが必要となる。
【0003】
特許文献1の電子ドラムは、フレームを小さく折り畳むことにより、ドラム全体をコンパクトにすることができ、持ち運びを容易にすることができる。このため、特許文献1の電子ドラムは、折り畳んで収納することができ、設置スペースを常時占有してしまう不具合を解消することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-233523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の電子ドラムは、複数の円板状のパッドをフレームに取り付けているため、折り畳んだ状態でも、十分に満足のいく大きさまでコンパクトにすることはできない。つまり、フレームを展開した使用状態で、各パッドのフレームに対する好適な角度が決まっており、折り畳んだ際にもその角度を維持するため、電子ドラムを小さく折り畳むことが難しい。
【0006】
これに対し、各パッドをフレームに対して自由な角度に配置してドラム全体を小さく折り畳むことも考えられるが、この場合、使用状態に展開した際に各パッドをフレームに対して好適な角度に配置し直す必要があり、各パッドを元の角度に戻す作業に時間がかかり面倒である。
【0007】
また、上述した従来の電子ドラムのように、複数の円板状のパッドの取付角度を調節してフレームに取り付けた構造では、パッドを強く叩くと角度調節機構が緩んでフレームに対するパッドの角度が変わってしまう場合がある。この場合、電子ドラムの使用を一時中断して、フレームに対するパッドの角度を再調節する必要があり、手間がかかり、利便性に欠ける。
【0008】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、安定性が良く使い易いトレーニングドラムや電子ドラムなどの打楽器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の打楽器は、複数の被取付面を表面に有するフレームと、被取付面に対向する取付面及び取付面から離れる方向に膨出した湾曲打面を表面に有する複数のパッドと、フレームの複数の被取付面と複数のパッドの取付面を着脱可能に接着させる複数の粘着シートと、を有する。
【0010】
さらに、本発明の打楽器は、取付面と取付面から離れる方向に膨出した湾曲打面を表面に有する複数のパッドと、複数のパッドの取付面を、粘着シートを介して、着脱可能に接着させる複数の被取付面を表面に有するフレームと、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明の打楽器は、フレームの被取付面にパッドの取付面を(粘着シートを介して)接着させた構造を有するため、パッドのフレームに対する角度調節機構を備えておらず、安定性が良く使い易い。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る打楽器を使用状態に展開した斜視図である。
図2図2は、図1の打楽器の要部を拡大して示す部分拡大図である。
図3図3は、図1の打楽器の半円柱パッドをスティックによって上方から叩いた状態を示す断面図である。
図4図4は、図1の打楽器の半円柱パッドをスティックによって斜め前方から叩いた状態を示す断面図である。
図5図5は、図1の打楽器の半楕円柱パッドをビーターのシャフトによって叩いた状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る電子ドラム100(打楽器)は、フレーム10と、複数個(本実施形態では8個)の半円柱パッド20a~20h(以下、総称して半円柱パッド20とする場合もある)と、半楕円柱パッド30と、を備える。以下の説明では、演奏者側(紙面手前側)から電子ドラム100を見て、上下、前後、左右の各方向を規定する。
【0014】
フレーム10は、上下方向に延設される複数本(本実施形態では6本)の支持フレーム1、2、3、4、5、6と、水平方向に延設される複数本(本実施形態では8本)の枝フレーム11、12、13、14、15、16、17、18と、水平方向に延設される複数本(本実施形態では3本)の連結フレーム7、8、9と、図示しないフットペダルを取り付けるための取付ロッド19と、を備える。
【0015】
支持フレーム1~6は、中空の円筒パイプであり、アルミニウム合金や樹脂などの比較的剛性が高く比較的軽い素材により形成されている。枝フレーム11~18は、中空の四角筒パイプ(角パイプ)であり、アルミニウム合金や樹脂などの比較的剛性が高く比較的軽い素材により形成されている。連結フレーム8、9は、中実の円柱ロッド或いは中空の円筒パイプであり、アルミニウム合金や樹脂などの比較的剛性が高く比較的軽い素材により形成されている。連結フレーム7は、中空の四角筒パイプであり、アルミニウム合金や樹脂などの比較的剛性が高く比較的軽い素材により形成されている。支持フレーム1~6、枝フレーム11~18、連結フレーム7~9は、本実施形態の本数、材質、構造に限らず、任意の本数、材質、構造にすることができる。
【0016】
支持フレーム2、3は、左右に離間して互いに平行に配置されている。支持フレーム2は、支持フレーム3より長い。連結フレーム7は、支持フレーム2、3の上下方向の中間部同士を連結している。連結フレーム7の左右両端には、それぞれ、支持フレーム2、3を着脱可能且つ回動可能に接続するための接続部材40が取り付けられている。連結フレーム7は、両端の接続部材40の支持フレーム2、3に対する接続位置を変えることで、上下方向の任意の位置に取り付けることができる。
【0017】
接続部材40は、この他に、各枝フレーム11、12、13、14、15、16、17、18の一端を支持フレーム1、2、3、4、5、6に対して着脱可能且つ回動可能に接続するために用いられる。また、接続部材40は、枝フレーム12の他端に支持フレーム5を着脱可能且つ回動可能に接続するために用いられる。さらに、接続部材40は、枝フレーム13の他端に支持フレーム6を着脱可能且つ回動可能に接続するために用いられる。フレーム10の複数の接続部材40は、同じ構造を有し、同様に機能する。
【0018】
支持フレーム1は、支持フレーム2の斜め左手前側に離間した位置で、支持フレーム2と平行に配置されている。支持フレーム1は、支持フレーム2より短く、支持フレーム3より長い。連結フレーム8は、支持フレーム1、2の上下方向の中間部同士を連結している。連結フレーム8は、連結フレーム7より高い位置に取り付けられている。
【0019】
連結フレーム8の両端は、それぞれ、固定部材50を介して支持フレーム1、2に固定されている。固定部材50は、連結フレーム8の端部近くに締結固定されるとともに、支持フレーム1、2の中間部に締結固定される。連結フレーム8の両端は、固定部材50の締結を解除することで、支持フレーム1、2と分離することができる。固定部材50の連結フレーム8に対する固定位置を変えることで、支持フレーム1、2の間隔を調節することができる。固定部材50の支持フレーム1、2に対する固定位置を変えることで、連結フレーム8の上下方向の取付位置を調節することができる。
【0020】
支持フレーム4は、支持フレーム3の斜め右手前側に離間した位置で、支持フレーム3と平行に配置されている。支持フレーム4は、支持フレーム3と略同じ長さを有する。連結フレーム9は、支持フレーム3、4の上端近くを連結している。連結フレーム9は、連結フレーム7より高い位置に取り付けられている。
【0021】
連結フレーム9の両端は、それぞれ、固定部材50を介して支持フレーム3、4に固定されている。固定部材50は、連結フレーム9の端部近くに締結固定されるとともに、支持フレーム3、4の上端近くに締結固定される。連結フレーム9の両端は、固定部材50の締結を解除することで、支持フレーム3、4と分離することができる。固定部材50の連結フレーム9に対する固定位置を変えることで、支持フレーム3、4の間隔を調節することができる。固定部材50の支持フレーム3、4に対する固定位置を変えることで、連結フレーム9の上下方向の取付位置を調節することができる。
【0022】
枝フレーム11は、連結フレーム8を接続した位置より上方で、支持フレーム1に対して片持ち梁状態で取り付けられている。枝フレーム11の図示左端には、支持フレーム1に対して枝フレーム11の左端を着脱可能且つ回動可能に接続するための接続部材40が取り付けられている。接続部材40は、枝フレーム11を支持フレーム1の上下方向の任意の位置に取付可能である。
【0023】
図2及び図3に示すように、枝フレーム11は、その上面11a(被取付面)が水平になる角度で支持フレーム1に取り付けられる。言い換えると、接続部材40は、枝フレーム11の上面11aが水平になる角度で枝フレーム11を支持フレーム1に取り付ける。この状態で、枝フレーム11の前面11b(被取付面)は、上下方向に延設される。枝フレーム11の上面11aには、半円柱パッド20aが着脱可能に取り付けられる。枝フレーム11の前面11bには、半円柱パッド20eが着脱可能に取り付けられる。半円柱パッド20eは、図4に示すように省略してもよい。
【0024】
接続部材40は、支持フレーム1を両側から挟む第1部材42と第2部材44を有し、2つの部材42、44をヒンジ43により回動可能に連結した構造を有する。第1部材42は、その一部を枝フレーム11の左端から内部に圧入してネジ留めすることにより、枝フレーム11の左端に固定されている。接続部材40は、ヒンジ43の反対側で第1部材42と第2部材44を締結するためのネジ41を備える。支持フレーム1を間に挟んで第1部材42と第2部材44を支持フレーム1に装着してネジ41を締めることにより、接続部材40を支持フレーム1に締結固定することができる。
【0025】
半円柱パッド20aは、円柱をその中心軸を含む面で切断した半円柱形状に形成されている。つまり、半円柱パッド20aは、その長手方向に延びた平らな底面22、及び底面22から離れる方向に膨出した湾曲打面24を表面に有する。湾曲打面24は、円弧を半円柱パッド20aの長手方向に移動してできる柱面である。半円柱パッド20aは、枝フレーム11よりわずかに短い。半円柱パッド20aの断面形状は、半円であることが好ましいが、これに限らず、例えば、半楕円や半長円などであってもよい。つまり、半円柱パッド20aは、底面22から離れる方向に膨出した形状の湾曲打面24を有していれば、いかなる断面形状であってもよい。
【0026】
半円柱パッド20aは、例えばニトリルゴムなどの弾性を有する中実な発泡素材により形成することができる。半円柱パッド20aの素材は、スティックSによって叩いた際の打撃音を小さくすることができ、且つスティックSの腹で叩いたときの打感がアコースティックドラムのヘッドに近い素材であればよく、ニトリルゴムに限らない。例えば、半円柱パッド20aは、発泡ウレタンにより形成してもよく、複数の素材を重ねたり混合したりして形成してもよい。半円柱パッド20aは、スネアドラムのヘッドに相当するパッドとして割り当てられている。
【0027】
半円柱パッド20aは、粘着シート60を間に挟んで、枝フレーム11の水平な上面11aに着脱可能に取り付けられる。枝フレーム11の上面11aは、半円柱パッド20aを取り付けるための被取付面として機能する。枝フレーム11の上面11aに対向する半円柱パッド20aの平らな底面22は、取付面として機能する。枝フレーム11の上面11a及び半円柱パッド20aの底面22は、粘着シート60を介して全面で良好に接着することができるように、双方とも平らな面に形成されている。
【0028】
粘着シート60は、枝フレーム11の上面11aと半円柱パッド20aの底面22の間に十分な粘着性を与えて、両者を良好に接着するように機能する。また、粘着シート60は、半円柱パッド20aの湾曲打面24をスティックSによって叩いた際に発生する振動を面方向に分散させて、後述するセンサ70に伝わる振動が局所的に大きくなる不具合を抑制するように機能する。粘着シート60は、例えば、ウレタンのゲルシートであってもよい。
【0029】
半円柱パッド20aの底面22(取付面)は、枝フレーム11の上面11a(被取付面)の形状に合わせることが望ましい。つまり、被取付面及び取付面は、平らな面に限らず、例えば双方を同じ曲率の円弧を有する柱面などにしてもよい。言い換えると、被取付面及び取付面は、粘着シート60を介して両者を接着した後、被取付面と取付面の面形状の違いによって、両者の間に剥がれ部分が生じない程度に同じ面形状であればよい。
【0030】
他の枝フレーム12~18は、長さが異なる以外、枝フレーム11と同じ構造を有し、同様に機能する。他の半円柱パッド20b~20hは、長さが異なる以外、半円柱パッド20aと同じ構造を有し、同様に機能する。よって、他の枝フレーム12~18及び他の半円柱パッド20b~20hについては、その詳細な説明を省略する。半円柱パッド20b~20hは、それぞれ、取付対象となる枝フレーム11、12、13、14、16、17、18よりわずかに短い長さに形成されている。
【0031】
図3に示すように、枝フレーム11の内部には、センサ70が取り付けられている。センサ70は、枝フレーム11の上面11aの反対側の内面に振動伝達部材72を介して固設されている。センサ70は、スティックSにより半円柱パッド20aの湾曲打面24を叩いた際に生じる振動を電気信号に変換して出力する。センサ70は、例えば圧電素子により形成することができる。枝フレーム11は、センサ70に図示しないシールドを接続するためのコネクタ74を備えている。コネクタ74は、枝フレーム11の下面側に設けられている。他の枝フレーム12~18も、同様に、同じセンサ70を内蔵しており、同じコネクタ74を備えている。
【0032】
半円柱パッド20eは、粘着シート60を介して、枝フレーム11の前面11bに対して着脱可能に取り付けられる。半円柱パッド20eは、他の半円柱パッド20a、20b、20c、20d、20f、20g、20hと異なり、その湾曲打面24をスティックSにより叩いた際にスイッチングされる機械的なスイッチ76を内蔵している。或いは、スイッチ76は、半円柱パッド20eに設けるのではなく、枝フレーム11の前面11b側に埋設してもよい。半円柱パッド20eは、スネアドラムのリムに相当するパッドとして割り当てられている。そして、スティックSによる打撃によってスイッチ76が入ると、リムショットの信号が出力されるようになっている。
【0033】
枝フレーム12は、支持フレーム2の上端近くに片持ち梁状態で取り付けられている。枝フレーム12の図示右端には、支持フレーム2に対して枝フレーム12の右端を着脱可能且つ回動可能に接続するための接続部材40’が取り付けられている。接続部材40’は、第1部材42’の構造が異なる以外、上述した接続部材40と同じ構造を有する。つまり、接続部材40’は、ネジ41により支持フレーム2に対して締結固定可能なものである。枝フレーム12内には、センサ70が取り付けられている。
【0034】
接続部材40’の第1部材42’は、枝フレーム12の図示右端から上方に向けてアーチ状に湾曲しており、接続部材40’の支持フレーム2に対する締結位置は、枝フレーム12を配置した高さより少し高い位置にある。接続部材40’は、枝フレーム12を支持フレーム2の上下方向の任意の位置に取付可能である。枝フレーム12は、その上面(被取付面)が水平になる角度で支持フレーム2に取り付けられる。言い換えると、接続部材40’は、枝フレーム12の上面が水平になる角度で枝フレーム12を支持フレーム2に取り付ける。
【0035】
枝フレーム13は、枝フレーム12の接続部材40’より下方で支持フレーム2に対して片持ち梁状態で取り付けられている。枝フレーム13の図示左端には、支持フレーム2に対して枝フレーム13の左端を着脱可能且つ回動可能に接続するための接続部材40’’が取り付けられている。接続部材40’’は、第1部材42’’の構造が異なる以外、上述した接続部材40と同じ構造を有する。つまり、接続部材40’’は、ネジ41により支持フレーム2に締結固定可能である。枝フレーム13内には、センサ70が取り付けられている。
【0036】
接続部材40’’の第1部材42’’は、枝フレーム13の図示左端から下方に向けてアーチ状に湾曲しており、接続部材40’’の支持フレーム2に対する締結位置は、枝フレーム13を配置した高さより少し低い位置にある。接続部材40’’は、枝フレーム13を支持フレーム2の上下方向の任意の位置に取付可能である。枝フレーム13は、その上面(被取付面)が水平になる角度で支持フレーム2に取り付けられる。言い換えると、接続部材40’’は、枝フレーム13の上面が水平になる角度で枝フレーム13を支持フレーム2に取り付ける。
【0037】
半円柱パッド20bは、ここでは図示しない粘着シート60を介して、枝フレーム12の上面に着脱可能に取り付けられる。半円柱パッド20cは、ここでは図示しない粘着シート60を介して、枝フレーム13の上面に着脱可能に取り付けられる。半円柱パッド20b、20cは、それぞれ、上述した半円柱パッド20aと同じ素材により同じ断面形状に形成されており、底面22(取付面)及び湾曲打面24を表面に有し、半円柱パッド20aより短い。半円柱パッド20bは、ハイタムのヘッドに相当するパッドとして割り当てられている。半円柱パッド20cは、ロータムのヘッドに相当するパッドとして割り当てられている。
【0038】
枝フレーム12の図示右端に設けた接続部材40’が支持フレーム2に向けて上方に湾曲し、枝フレーム13の図示左端に設けた接続部材40’’が支持フレーム2に向けて下方に湾曲しているため、例えば、右側の枝フレーム13を図1で示す高さより高い位置に取り付けることができ、同じ支持フレーム2に取り付けた枝フレーム12及び枝フレーム13の上面を略同じ高さに配置することもできる。つまり、半円柱パッド20b、20cを同じ高さに配置することもできる。
【0039】
枝フレーム14は、連結フレーム9を接続した位置より上方で、支持フレーム4の上端に片持ち梁状態で取り付けられている。枝フレーム14の図示右端には、支持フレーム4に対して枝フレーム14の右端を着脱可能且つ回動可能に接続するための接続部材40が取り付けられている。接続部材40は、枝フレーム14を支持フレーム4の上下方向の任意の位置に取付可能である。枝フレーム14は、その上面(被取付面)が水平になる角度で支持フレーム4に取り付けられる。言い換えると、接続部材40は、枝フレーム14の上面が水平になる角度で枝フレーム14を支持フレーム4に取り付ける。
【0040】
半円柱パッド20dは、ここでは図示しない粘着シート60を介して、枝フレーム14の上面に着脱可能に取り付けられる。半円柱パッド20dは、上述した半円柱パッド20aと同じ素材により同じ断面形状に形成されており、底面22(取付面)及び湾曲打面24を表面に有し、半円柱パッド20aより短く形成されている。半円柱パッド20dは、フロアタムのヘッドに相当するパッドとして割り当てられている。また、枝フレーム14内には、センサ70が取り付けられている。
【0041】
枝フレーム15は、連結フレーム7を接続した位置の下方で、支持フレーム3の中間部に片持ち梁状態で取り付けられている。枝フレーム15の図示左端には、支持フレーム3に対して枝フレーム15の左端を着脱可能且つ回動可能に接続するための接続部材40が取り付けられている。接続部材40は、枝フレーム15を支持フレーム3の上下方向の任意の位置に取付可能である。枝フレーム15は、その前面(被取付面)が上下方向に沿う角度で支持フレーム3に取り付けられる。言い換えると、接続部材40は、枝フレーム15の前面が上下方向に沿う角度で枝フレーム15を支持フレーム3に取り付ける。
【0042】
半楕円柱パッド30は、図5に示すように、粘着シート60を介して、枝フレーム15の前面15aに着脱可能に取り付けられる。半楕円柱パッド30は、上述した半円柱パッド20aと同じ素材により形成されており、半楕円形の断面形状に形成されている。半楕円柱パッド30は、枝フレーム15の前面15aに対向する底面32(取付面)及び湾曲打面34を表面に有する。半楕円柱パッド30は、半円柱パッド20aより短く形成されている。半楕円柱パッド30は、バスドラムのヘッドに相当するパッドとして割り当てられている。また、枝フレーム15内には、センサ70が取り付けられている。
【0043】
枝フレーム16は、図2に示すように、枝フレーム11の取付位置より上方の位置で支持フレーム1の上端に片持ち梁状態で取り付けられている。枝フレーム16の図示右端には、支持フレーム1に対して枝フレーム16の右端を着脱可能且つ回動可能に接続するための接続部材40が取り付けられている。接続部材40は、枝フレーム16を支持フレーム1の上下方向の任意の位置に取付可能である。枝フレーム16は、その上面(被取付面)が水平になる角度で支持フレーム1に取り付けられる。言い換えると、接続部材40は、枝フレーム16の上面が水平になる角度で枝フレーム16を支持フレーム1に取り付ける。
【0044】
半円柱パッド20fは、ここでは図示しない粘着シート60を介して、枝フレーム16の上面に着脱可能に取り付けられる。半円柱パッド20fは、上述した半円柱パッド20aと同じ素材により同じ断面形状に形成されており、底面22(取付面)及び湾曲打面24を表面に有し、半円柱パッド20aより短く形成されている。半円柱パッド20fは、ハイハットシンバルに相当するパッドとして割り当てられている。また、枝フレーム16内には、センサ70が取り付けられている。
【0045】
枝フレーム12の図示左端には、接続部材40が取り付けられている。接続部材40は、枝フレーム12の図示左端を支持フレーム5の下端に対して着脱可能且つ回動可能に接続している。支持フレーム5の上端には、接続部材40を介して、枝フレーム17の図示左端が着脱可能且つ回動可能に接続されている。つまり、枝フレーム12の左端と枝フレーム17の左端が支持フレーム5を介して連結されている。
【0046】
そして、枝フレーム12の図示左端に設けた接続部材40の支持フレーム5に対する上下方向の接続位置を変更し、及び/或いは枝フレーム17の図示左端に設けた接続部材40の支持フレーム5に対する上下方向の接続位置を変更することにより、枝フレーム17の高さを変えることができる。
【0047】
枝フレーム17は、支持フレーム5の上端に片持ち梁状態で取り付けられている。枝フレーム17は、その上面(被取付面)が水平になる角度で支持フレーム5に取り付けられている。言い換えると、接続部材40は、枝フレーム17の上面が水平になる角度で枝フレーム17を支持フレーム5に取り付けている。
【0048】
半円柱パッド20gは、ここでは図示しない粘着シート60を介して、枝フレーム17の上面に着脱可能に取り付けられる。半円柱パッド20gは、上述した半円柱パッド20aと同じ素材により同じ断面形状に形成されており、底面22(取付面)及び湾曲打面24を表面に有し、半円柱パッド20aより短く形成されている。半円柱パッド20gは、クラッシュシンバルに相当するパッドとして割り当てられている。また、枝フレーム17内には、センサ70が取り付けられている。
【0049】
枝フレーム13の図示右端には、接続部材40が取り付けられている。接続部材40は、枝フレーム13の図示右端を支持フレーム6の下端近くに対して着脱可能且つ回動可能に接続している。支持フレーム6の上端には、接続部材40を介して、枝フレーム18の図示左端が着脱可能且つ回動可能に接続されている。つまり、枝フレーム13の図示右端と枝フレーム18の図示左端が支持フレーム6を介して連結されている。
【0050】
そして、枝フレーム13の図示右端に設けた接続部材40の支持フレーム6に対する上下方向の接続位置を変更し、及び/或いは枝フレーム18の図示左端に設けた接続部材40の支持フレーム6に対する上下方向の接続位置を変更することにより、枝フレーム18の高さを変えることができる。
【0051】
枝フレーム18は、支持フレーム6の上端に片持ち梁状態で取り付けられている。枝フレーム18は、その上面(被取付面)が水平になる角度で支持フレーム6に取り付けられている。言い換えると、接続部材40は、枝フレーム18の上面が水平になる角度で枝フレーム18を支持フレーム6に取り付けている。
【0052】
半円柱パッド20hは、ここでは図示しない粘着シート60を介して、枝フレーム18の上面に着脱可能に取り付けられる。半円柱パッド20hは、上述した半円柱パッド20aと同じ素材により同じ断面形状に形成されており、底面22(取付面)及び湾曲打面24を表面に有し、半円柱パッド20aより短く形成されている。半円柱パッド20hは、ライドシンバルに相当するパッドとして割り当てられている。また、枝フレーム18内には、センサ70が取り付けられている。
【0053】
取付ロッド19は、接続部材55を介して、支持フレーム3の下端に取り付けられている。接続部材55は、取付ロッド19の基端部を支持フレーム3の下端に対して回動可能に接続している。取付ロッド19には、図示しないフットペダルを取り付けることができる。
【0054】
以下、上記構造の電子ドラム100の機能及び効果について説明する。
電子ドラム100は、図3及び図4に示すように、半円柱パッド20a~20hをスティックSの腹の部分で叩くことを想定したものであり、図5に示すように、半楕円柱パッド30をビーターBのシャフトBSで叩くことを想定したものである。しかし、半円柱パッド20a~20hをスティックSのティップ(先端)で叩いてもよく、半楕円柱パッド30をビーターBにより叩いてもよい。
【0055】
電子ドラム100の各枝フレーム11~18は、演奏者から見て左右方向に延設されるように、各支持フレーム1~6に対して角度調節される。このため、半円柱パッド20a~20hをスティックSで叩くときのスティックSの軌道は、半円柱パッド20a~20hの長手方向と略直交する面に沿った軌道になる。また、半楕円柱パッド30をビーターBのシャフトBSで叩くときのシャフトBSの軌道は、半楕円柱パッド30の長手方向と略直交する面に沿った軌道になる。例えば、スネアドラムのヘッドに相当する半円柱パッド20aをスティックSの腹の部分で叩く場合、図3図4に例示する状態になる。
【0056】
例えば、スティックSを持つ演奏者の手が半円柱パッド20aの頂部と略同じ高さでスティックSが湾曲打面24を叩くと、図3に示すようにスティックSが略水平になって底面22と反対側の湾曲打面24の頂部にスティックSの腹が当たる。これに対し、スティックSを持つ演奏者の手が半円柱パッド20aより低い位置でスティックSが湾曲打面24を叩くと、図4に示すようにスティックSの先端が上を向いた角度で湾曲打面24の手前側にスティックSの腹が当たる。つまり、スティックSを持つ手の高さを変えることで、スティックSが半円柱パッド20aの湾曲打面24に当たる角度が変わることになる。例えば、スティックSを所定の角度で振ることにより、半円柱パッド20aと半円柱パッド20eを同時に打つこともできる。
【0057】
半円柱パッド20aの湾曲打面24は、断面形状が円弧であるため、スティックSが湾曲打面24に当たる角度が変わっても、半円柱パッド20aをスティックSが叩く状態は略同じ状態になる。また、半円柱パッド20aの湾曲打面24が円弧状であるのに対し、スティックSの断面が円形であるため、半円柱パッド20aの湾曲打面24にスティックSがどのような角度で当たっても、両者の接触は点接触に近い状態となる。このため、スティックSの打撃によって半円柱パッド20aに与えられる振動や演奏者による打感は、スティックSが湾曲打面24に当たる角度によらず略一定になる。
【0058】
言い換えると、本実施形態の半円柱パッド20aを用いた場合、従来の円板状のパッドと異なり、半円柱パッド20aの枝フレーム11に対する角度調節が不要となる。この場合の角度調節とは、演奏者から見て上下方向のチルト角度の調節である。このため、演奏者は、電子ドラム100を使用状態にセッティングする際に、枝フレーム11~18の高さと支持フレーム1~6に対する水平面内における角度を調節すればよく、セッティングを短時間で容易に実施することができる。
【0059】
また、半円柱パッド20aは、粘着シート60を間に挟んで、枝フレーム11の平らな上面11aに底面22を全面で接着させているため、スティックSが半円柱パッド20aを叩く力が枝フレーム11の上面11aと略直交する方向から作用することになり、半円柱パッド20aが枝フレーム11に対してずれてしまう不具合を生じることがない。言い換えると、枝フレーム11に対する角度調節機構を持たない半円柱パッド20aを用いることで、半円柱パッド20aの湾曲打面24をスティックSで強く叩いた場合であっても、半円柱パッド20aの角度が変わることがないため、電子ドラム100の形状の安定性を高くすることができ、使い易い電子ドラム100を提供することができる。
【0060】
また、上述したように、半円柱パッド20aの湾曲打面24は、スティックSがどのような角度で当たっても、点接触に近くなる形状を有するため、打撃音を小さくすることができ、静音性の高い電子ドラム100を提供することができる。これに対し、例えば、従来の円板状のパッドをスティックの腹で叩いた場合、両者の接触は線接触となり、打撃音が大きくなってしまう。打撃音を小さくするためには、半円柱パッド20aの湾曲打面24の曲率を大きくすることが効果的であるが、曲率をあまり大きくし過ぎるとパッドの耐久性や強度の問題を生じるため、適切な曲率を選択する必要がある。さらに、本実施形態によると、半円柱パッド20aをニトリルゴムなどの弾性材により形成し且つ粘着シート60を間に挟んで半円柱パッド20aを枝フレーム11の上面11aに接着しているため、スティックSの打撃による衝撃を2段階で吸収して打撃音をより小さくすることができる。
【0061】
ビーターBのシャフトBSにより半楕円柱パッド30を叩く場合も同様に、半楕円柱パッド30の湾曲打面34とシャフトBSの接触は点接触となるため、静音性を高くすることができ、打撃音を小さくすることができる。フットペダルによって操作するビーターBによる打撃は、スティックSによる打撃と比較して打撃力が強く打撃音も大きくなる。このため、本実施形態では、ビーターBのシャフトBSによって叩くパッドを半円柱パッド20aより厚い半楕円柱パッド30にして、より衝撃吸収性を高めて打撃音を小さくするようにしている。
【0062】
また、本実施形態のように半楕円柱パッド30をビーターBのシャフトBSで叩くことにより、ビーターBの摩耗を無くすことができ、ビーターBの使用寿命を延長することができる。本実施形態の電子ドラム100は、ここでは説明を省略したフットペダルを取り付けて使用する。このため、本実施形態の電子ドラム100で練習して、同じフットペダルをアコースティックドラムに取り付けて使用する運用を想定すると、電子ドラム100で練習した時間にかかわらず、常にフレッシュな状態のビーターBを使用してアコースティックドラムで演奏することができ、利便性を向上させることができる。
【0063】
半円柱パッド20a~20h及び半楕円柱パッド30は、枝フレーム11~18に対して、それぞれ、粘着シート60を介して着脱可能に取り付けられる。このため、スティックSやビーターBのシャフトBSによる打撃によりパッドが摩耗した場合、新しいパッドに容易に交換することができる。また、パッドの硬さ、材質、湾曲打面24(34)の曲率、形状、長さ、厚みなどを変えた種々のパッドを用意して、演奏者の好みに応じてパッドを付け替えて使用することもできる。また、パッドが摩耗した場合であっても、長手方向に少しずらして枝フレーム11~18に取り付けることで再使用することもできる。さらに、半円柱パッドや粘着シート60が汚れた場合などには、洗って再使用することもできる。
【0064】
半円柱パッド20a~20hは、中実な弾性材の円柱を中心軸を含む平面で切断することによって製造することができ、製造が容易で、安価に製造することができる。また、本実施形態の電子ドラム100は、半円柱パッド20a~20h及び半楕円柱パッド30をニトリルゴムなどの弾性材により形成しているため、全体として重量を軽くすることができ、持ち運び及び設置作業を容易にすることができる。さらに、フレーム10(支持フレーム1~6、枝フレーム11~18、連結フレーム7~9)をアルミニウム合金や樹脂により形成しているため、さらに軽量にすることができる。
【0065】
また、本実施形態の電子ドラム100は、上下方向に延設した支持フレーム1~6と、水平方向に延設した枝フレーム11~18と、水平方向に延設した連結フレーム7~9と、を組み合わせたフレーム10を有するとともに、枝フレーム11~18の上面と略同じ幅の半円柱パッド20a~20h及び半楕円柱パッド30を有するため、小さく折り畳むことができる。例えば、電子ドラム100を使用状態に展開した状態(例えば図1に示す状態)から、複数の枝フレーム11~18を支持フレーム1~6に対して回動させて、全ての枝フレーム11~18の前面(或いは後面)を面一に配置することで、電子ドラム100を枝フレーム11~18の幅よりわずかに大きい幅に折り畳むことができる。この場合、例えば、折り畳んだ状態の電子ドラム100を壁とキャビネット等の間の隙間に収納することができ、収納スペースを小さくすることができる。
【0066】
各枝フレーム11~18に内蔵したセンサ70は、図示しないシールドを介して図示しないコントロールユニットに接続される。この場合、シールドを接続するためのコネクタ74は、例えば、枝フレーム11~18の長手方向の端部、或いは枝フレーム11~18の上面、下面、前面、後面のいずれかに設ける。フレーム10を上述したように薄く折り畳むことを想定すると、コネクタ74は、枝フレーム11~18の端部、或いは枝フレーム11~18の下面側(図3)に設けることが望ましい。
【0067】
或いは、各センサ70から導出した図示しないシールドを枝フレーム11~18の内部を通して配線して、図示しないコントローラに接続してもよい。この場合、シールドが電子ドラム100の外側に露出することがなく、見栄えを良くすることができるとともに、折り畳んだ状態でもシールドが外部に露出しないため、電子ドラム100をよりコンパクトに折り畳むことができる。
【0068】
また、本実施形態の電子ドラム100は、フレーム10の複数の被取付面に複数の半円柱パッド20a~20hの取付面を接着した単純な構造を有するため、枝フレームと半円柱パッドの数を増やしたり減らしたりすることが容易にでき、拡張性が高くカスタマイズが容易な電子ドラムを提供できる。また、スネアドラムに割り当てられた半円柱パッド20aに隣接してリムショット用の半円柱パッド20eを取り付けることができ、従来の電子ドラムでは実現が難しかったリムショットを表現することもできる。
【0069】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0070】
例えば、上述した実施形態では、電子ドラム100に本発明を適用した場合について説明したが、これに限らず、センサ70、コネクタ74、スイッチ76、及びコントローラを備えていないトレーニングドラムとして本発明を適用することもできる。或いは、1本の枝フレームを水平に配置してスタンドに取り付けて、枝フレームの上面に半円柱パッドを接着したトレーニングパッドとして本発明を適用することもできる。
【0071】
また、上述した実施形態では、半円柱パッド20a~20h及び半楕円柱パッド30を枝フレーム11~18に対して着脱可能とした場合について説明したが、これに限らず、粘着シート60を用いずに、半円柱パッド20a~20h及び半楕円柱パッド30を枝フレーム11~18に固着してもよい。
以下、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]
被取付面を表面に有するフレームと、
前記被取付面に対向する取付面及び該取付面から離れる方向に膨出した湾曲打面を表面に有するパッドと、
前記フレームの前記被取付面と前記パッドの前記取付面を着脱可能に接着させる粘着シートと、
を有する打楽器。
[2]
前記フレームは、複数の前記被取付面を有し、
複数の前記パッドを、前記粘着シートを介して、複数の前記被取付面に接着させる、
[1]の打楽器。
[3]
前記パッドは、円柱形の弾性部材をその中心軸を含む平らな面で切断した形状の半円柱パッドである、
[1]又は[2]の打楽器。
[4]
前記フレームは、平らな前記被取付面を表面に有する少なくとも1本の角パイプを含む、
[3]の打楽器。
[5]
前記角パイプの中に、前記湾曲打面に与えられる振動を検出するセンサを備える、
[4]の打楽器。
[6]
前記角パイプは、前記被取付面以外の表面に、前記センサにシールドを接続するためのコネクタを備える、
[5]の打楽器。
[7]
取付面と該取付面から離れる方向に膨出した湾曲打面を表面に有するパッドと、
前記パッドの前記取付面を着脱可能に接着させる被取付面を表面に有するフレームと、
を備えた打楽器。
[8]
前記フレームは、複数の前記被取付面を有し、
複数の前記パッドを、粘着シートを介して、複数の前記被取付面に接着させる、
[7]の打楽器。
[9]
前記フレームは、複数の前記パッドの前記湾曲打面に与えられる振動をそれぞれ検出する複数のセンサを備える、
[8]の打楽器。
【符号の説明】
【0072】
1~6…支持フレーム、 7~9…連結フレーム、 11~18…枝フレーム、 11a…上面、 15a…前面、 20a~20h…半円柱パッド、 22、32…底面、 24、34…湾曲打面、 30…半楕円柱パッド、 40…接続部材、 50…固定部材、 60…粘着シート、 70…センサ、 100…電子ドラム、 B…ビーター、 BS…シャフト、 S…スティック。
図1
図2
図3
図4
図5