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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-06
(45)【発行日】2023-10-17
(54)【発明の名称】縦型ジョセフソン接合超電導デバイス
(51)【国際特許分類】
   H10N 60/12 20230101AFI20231010BHJP
   H10N 60/01 20230101ALI20231010BHJP
【FI】
H10N60/12 A
H10N60/01
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020549012
(86)(22)【出願日】2019-02-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-02
(86)【国際出願番号】 EP2019054837
(87)【国際公開番号】W WO2019179732
(87)【国際公開日】2019-09-26
【審査請求日】2021-07-21
(31)【優先権主張番号】15/934,400
(32)【優先日】2018-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【弁理士】
【氏名又は名称】太佐 種一
(72)【発明者】
【氏名】ローゼンブラット、サミー
(72)【発明者】
【氏名】ブリンク、マーカス
(72)【発明者】
【氏名】トパログ、ラジット、オヌール
【審査官】上田 智志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第09455391(US,B1)
【文献】国際公開第2017/217961(WO,A1)
【文献】米国特許第09324767(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10N 60/12
H10N 60/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チップ表面ベース・デバイス構造であって、
第1の超電導層と物理的に結合された結晶シリコンを含む基板であり、前記第1の超電導層が、結晶シリコンを含む第2の基板と物理的に結合された、前記基板と、
前記基板のエッチング領域中に位置付けられた縦型ジョセフソン接合であり、前記第1の超電導層、トンネル障壁層、および上部超電導層を含み、前記縦型ジョセフソン接合が、前記トンネル障壁層の上方に堆積された第3の超電導層を含む、前記縦型ジョセフソン接合と、
を備えた、チップ表面ベース・デバイス構造。
【請求項2】
前記トンネル障壁層が、前記第1の超電導層または前記第1の超電導層と物理的に結合された第2の超電導層の少なくとも一方上に位置付けられた、請求項1に記載のチップ表面ベース・デバイス構造。
【請求項3】
前記第1の超電導層が、前記縦型ジョセフソン接合の第1の電極を含み、前記第1の超電導層から見て前記トンネル障壁層の反対側に位置付けられた前記上部超電導層が、前記縦型ジョセフソン接合の上部電極を含む、請求項1に記載のチップ表面ベース・デバイス構造。
【請求項4】
前記縦型ジョセフソン接合が、前記第1の超電導層または第2の超電導層を含む第1の電極と、前記上部超電導層を含む第2の電極とを含む、請求項1に記載のチップ表面ベース・デバイス構造。
【請求項5】
前記第1の超電導層が、前記基板と前記第2の基板との間に位置付けられて両者を結合する、請求項1に記載のチップ表面ベース・デバイス構造。
【請求項6】
前記第1の超電導層および前記トンネル障壁層の上方または第2の超電導層および前記トンネル障壁層の上方に第3の超電導層が堆積された、請求項1に記載のチップ表面ベース・デバイス構造。
【請求項7】
結晶シリコンを含む基板を、第1の超電導層と物理的に結合することと、
前記第1の超電導層を、結晶シリコンを含む第2の基板と物理的に結合することと、
前記基板をエッチングすることと、
前記第1の超電導層、トンネル障壁層、および上部超電導層を含む縦型ジョセフソン接合であって、前記縦型ジョセフソン接合が、前記トンネル障壁層の上方に堆積された第3の超電導層を含む、縦型ジョセフソン接合を前記基板の前記エッチング領域中において構成することと、
を含む方法。
【請求項8】
スパッタリング、蒸着、原子層堆積、成長、化学修飾、および酸化から成る群内のプロセスを実行することによって前記トンネル障壁層を堆積させることをさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の超電導層と前記トンネル障壁層との間に第2の超電導層を堆積させることをさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記第2の超電導層の高さが、前記基板の前記エッチングの第2の高さよりも小さく、前記第2の高さが、前記基板の前記エッチングの構成時の前記エッチングの初期高さを含む、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記第2の超電導層および前記第3の超電導層が、異なる種類である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
化学機械的平坦化の実行によって、前記第3の超電導層の一部を除去することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
マスクおよび反応性イオン・エッチングを使用してビアを構成することと、
前記ビア内に前記縦型ジョセフソン接合を構成することと、
をさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項14】
チップ表面ベース・デバイス構造であって、
超電導層の第2の部分と結合され、基板に対して物理的に結合された前記超電導層の第1の部分であり、前記超電導層の前記第2の部分が、第2の基板に対して物理的に結合された、前記超電導層の前記第1の部分と、
前記基板のエッチング領域中に位置付けられた縦型ジョセフソン接合であり、トンネル障壁層および上部超電導層を含み、前記縦型ジョセフソン接合が、前記トンネル障壁層の上方に堆積された第3の超電導層を含む、前記縦型ジョセフソン接合と、
を備えた、チップ表面ベース・デバイス構造。
【請求項15】
前記トンネル障壁層が、前記超電導層上に形成された、請求項14に記載のチップ表面ベース・デバイス構造。
【請求項16】
前記縦型ジョセフソン接合が、前記超電導層の上方および前記トンネル障壁層の下方に位置付けられた第2の超電導層を含む、請求項14に記載のチップ表面ベース・デバイス構造。
【請求項17】
前記超電導層および第2の超電導層が、前記縦型ジョセフソン接合の電極を含む、請求項16に記載のチップ表面ベース・デバイス構造。
【請求項18】
結晶シリコン基板に対して物理的に結合された超電導層の第1の部分を、第2の結晶シリコン基板と物理的に結合された前記超電導層の第2の部分と結合することであり、前記結晶シリコン基板、前記超電導層、および前記第2の結晶シリコン基板が、シリコン・オン・メタル(SOM)ベースを含む、前記結合することと、
前記超電導層、トンネル障壁層、および第2の超電導層を含む縦型ジョセフソン接合であって、前記縦型ジョセフソン接合が、前記トンネル障壁層の上方に堆積された第3の超電導層を含む縦型ジョセフソン接合を前記結晶シリコン基板のエッチング領域中において構成することと、
を含む方法。
【請求項19】
前記縦型ジョセフソン接合が、ビア内に形成され、
化学機械的平坦化の実行によって、前記ビアの外側に位置付けられた前記第2の超電導層の部分を除去することをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
化学機械的平坦化の実行によって、前記ビアの外側に位置付けられた前記トンネル障壁層の部分を除去することをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には超電導デバイスに関し、より詳細には、シリコン・オン・メタル(SOM)基板を用いた縦型ジョセフソン接合(vertical Josephson junction)超電導デバイスの製造に関する。
【背景技術】
【0002】
量子コンピューティングは一般的に、演算および情報処理機能の実行を目的とした量子力学的現象の利用である。量子コンピューティングは、一般的にトランジスタを用いて2進数の値で動作する古典的コンピューティングに対比して考えることができる。すなわち、古典的コンピュータが0または1のビット値で動作し得る一方、量子コンピュータは、0および1の重ね合わせを含む量子ビットで動作し、複数の量子ビットをエンタングル可能であるとともに、干渉を利用して演算結果を求める。
【0003】
量子コンピューティングのハードウェアは、古典的コンピューティングのハードウェアと異なる可能性がある。特に、超電導量子回路は一般的に、半導体デバイス中に製造可能なジョセフソン接合に依拠する。ジョセフソン接合は一般的に、超電導電流(supercurrent)のジョセフソン効果をもたらすものであるが、この場合の電流は、電圧の印加なく、ジョセフソン接合を横切って無制限に流れ得る。後述の通り、ジョセフソン接合は、たとえばトンネル障壁によって、2つの超電導体(superconductors:抵抗なく電気を通す材料であり超伝導体ともいう)を弱く結合させることにより形成可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術のいくつかのジョセフソン接合は、斜め蒸着を用いて実現可能である。斜め蒸着を用いた従来技術のジョセフソン接合の製造に関する問題として、斜め蒸着手法は、200mmまたは300mmのウェハ等、大型の基板上に不均一な結果をもたらし得ることから、スケーラブルではない点が考えられる。斜め蒸着によって実現されるジョセフソン接合は、超電導電流が大きく変動し得る。斜め蒸着によって実現されるジョセフソン接合は、リフトオフ・プロセスにより構成され得るが、これによって、残留超電導層の縁部にフレアが生じ、(レジストすなわちハード・マスクのプロファイルにアンダーカットを使用する場合)ジョセフソン接合の近くに1つまたは複数の浮遊超電導島部が形成され、斜め蒸着におけるアンダーカットおよび微小位置ずれを原因とする任意の接合変動がもたらされ得る(これにより、臨界電流が変動する)。また、斜め蒸着に関する問題として、材料および堆積手法の両者の選択肢の数が限られ点が挙げられる。
【0005】
また、単一磁束量子(SFQ)コンピューティングに用いられるジョセフソン接合も存在し、これは縦型も可能であるが、量子コンピューティングに適する以上の関連損失をもたらす問題も発生し得る。このSFQ接合に伴う関連損失としては、損失正接が不十分な周囲の誘電体による損失およびトンネル障壁における損失の両者が挙げられる。また、SFQ接合は一般的に、量子ビット(キュービット)接合よりも大きい面積を有する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下は、本発明の1つまたは複数の実施形態の基本的な理解を可能にする概要を提示する。この概要は、主要または重要な要素の識別を意図したものでもなければ、特定の実施形態または特許請求の範囲の如何なる範囲の規定を意図したものでもない。その唯一の目的は、以下に提示するより詳細な説明への導入として、簡単な形態の概念を提示することである。本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態においては、縦型ジョセフソン接合超電導デバイスをもたらすデバイス、システム、チップ表面ベース・デバイス構造、コンピュータ実装方法、装置、またはコンピュータ・プログラム製品、あるいはその組合せを説明する。
【0007】
一実施形態によれば、チップ表面ベース・デバイス構造が提供される。一例において、このチップ表面ベース・デバイス構造は、第1の超電導層と物理的に結合された結晶シリコンを含む基板であり、第1の超電導層が、結晶シリコンを含む第2の基板と物理的に結合された、基板を備える。1つまたは複数の実施態様において、このチップ表面ベース・デバイス構造は、基板のエッチング領域中に位置付けられた縦型ジョセフソン接合であり、第1の超電導層、トンネル障壁層、および上部超電導層を含む、縦型ジョセフソン接合をさらに備え得る。このようなチップ表面ベース・デバイス構造の利点として、過去の技術によるジョセフソン接合よりも均一な縦型ジョセフソン接合を含むと考えられる。
【0008】
いくつかの例において、トンネル障壁層は、第1の超電導層または第1の超電導層と結合された第2の超電導層の少なくとも一方上に位置付けられる。トンネル障壁層をこのように堆積させる利点として、このようなチップ表面ベース・デバイス構造は、トンネル障壁層が異なる位置にあるチップ表面ベース・デバイス構造よりも再現性が高いと考えられる。
【0009】
別の実施形態においては、方法が提供される。一例において、この方法は、結晶シリコンを含む基板を、第1の超電導層と物理的に結合することを含む。この方法は、第1の超電導層を、結晶シリコンを含む第2の基板と物理的に結合することをさらに含み得る。この方法は、基板をエッチングすることをさらに含み得る。この方法は、基板のエッチングにおいて縦型ジョセフソン接合を構成することであり、縦型ジョセフソン接合が、第1の超電導層、トンネル障壁層、および上部超電導層を含む、ことをさらに含み得る。このような方法の利点として、過去の技術により製造されたジョセフソン接合よりも均一な縦型ジョセフソン接合の製造に使用可能と考えられる。
【0010】
いくつかの例において、この方法は、第1の超電導層とトンネル障壁層との間に第2の超電導層を堆積させることをさらに含む。第2の超電導層をこのように堆積させる利点として、ビア中のトンネル障壁層の高さの設定に、第2の超電導層の高さを使用可能と考えられる。
【0011】
別の実施形態においては、チップ表面ベース・デバイス構造が提供される。一例において、このチップ表面ベース・デバイス構造は、超電導層の第2の部分と結合され、基板に対して物理的に結合された超電導層の第1の部分であり、超電導層の第2の部分が、第2の基板に対して物理的に結合された、超電導層の第1の部分を備える。1つまたは複数の実施態様において、このチップ表面ベース・デバイス構造は、基板のエッチング領域中に位置付けられた縦型ジョセフソン接合であり、トンネル障壁層および上部超電導層を含む、縦型ジョセフソン接合をさらに備え得る。このようなチップ表面ベース・デバイス構造の利点として、過去の技術によるジョセフソン接合よりも均一な縦型ジョセフソン接合を含むと考えられる。
【0012】
いくつかの例において、トンネル障壁層は、超電導層上に形成される。トンネル障壁層を第1の超電導層上に構成する利点として、このようなチップ表面ベース・デバイス構造は、トンネル障壁層が異なる位置にあるチップ表面ベース・デバイス構造よりも再現性が高いと考えられる。
【0013】
別の実施形態においては、方法が提供される。一例において、この方法は、結晶シリコン基板に対して物理的に結合された超電導層の第1の部分を、第2の結晶シリコン基板と物理的に結合された超電導層の第2の部分と結合することであり、結晶シリコン基板、超電導層、および第2の結晶シリコン基板が、シリコン・オン・メタル(SOM)ベースを含む、ことを含む。この方法は、結晶シリコン基板のエッチングにおいて縦型ジョセフソン接合を構成することであり、縦型ジョセフソン接合が、第1の超電導層、トンネル障壁層、および第2の超電導層を含む、ことをさらに含み得る。このような方法の利点として、過去の技術により製造されたジョセフソン接合よりも均一な縦型ジョセフソン接合の製造に使用可能と考えられる。
【0014】
別の実施形態においては、チップ表面ベース・デバイス構造が提供される。一例において、このチップ表面ベース・デバイス構造は、第1の超電導層と物理的に結合された結晶シリコンを含む基板であり、第1の超電導層が、結晶シリコンを含む第2の基板と物理的に結合された、基板と、基板のエッチングにおいて構成された縦型ジョセフソン接合とを備える。このようなチップ表面ベース・デバイス構造の利点として、過去の技術によるジョセフソン接合よりも均一な縦型ジョセフソン接合を含むと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態に係る、例示的かつ非限定的なチップ表面ベース・デバイス構造を示す図である。
図2】本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態に係る、ビアの形成後の図1の例示的かつ非限定的なチップ表面ベース・デバイス構造を示す図である。
図3】本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態に係る、トンネル障壁層を堆積させた後の図2の例示的かつ非限定的なチップ表面ベース・デバイス構造を示す図である。
図4】本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態に係る、第2の超電導体を堆積させた後の図2の例示的かつ非限定的なチップ表面ベース・デバイス構造を示す図である。
図5】本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態に係る、トンネル障壁層を堆積させた後の図4の例示的かつ非限定的なチップ表面ベース・デバイス構造を示す図である。
図6】本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態に係る、ビアの初期高さよりも厚い別の超電導層を堆積させた後の図5の例示的かつ非限定的なチップ表面ベース・デバイス構造を示す図である。
図7】本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態に係る、ビアの初期高さよりも薄い別の超電導層を堆積させた後の図5の例示的かつ非限定的なチップ表面ベース・デバイス構造を示す図である。
図8】本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態に係る、上部トンネル障壁層まで材料を除去した後の図6の例示的かつ非限定的なチップ表面ベース・デバイス構造を示す図である。
図9】本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態に係る、上部トンネル障壁層を除去した後の図8の例示的かつ非限定的なチップ表面ベース・デバイス構造を示す図である。
図10】本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態に係る、上部基板層まで材料を除去した後の図6または図7の例示的かつ非限定的なチップ表面ベース・デバイス構造を示す図である。
図11】本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態に係る、別の超電導層を堆積させた後の図10の例示的かつ非限定的なチップ表面ベース・デバイス構造を示す図である。
図12】本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態に係る、縦型ジョセフソン接合超電導デバイスの実現を容易化する例示的かつ非限定的なコンピュータ実装方法のフロー図である。
図13】本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態に係る、縦型ジョセフソン接合超電導デバイスの実現を容易化する例示的かつ非限定的なコンピュータ実装方法の別のフロー図である。
図14】本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態を容易化し得る例示的かつ非限定的な動作環境のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の詳細な説明は、ほんの一例に過ぎず、実施形態または実施形態の適用もしくは使用あるいはその両方を制限することを意図したものではない。さらに、前述の背景もしくは概要の項または詳細な説明の項に提示の如何なる明示的または暗示的な情報による制約の意図もない。
【0017】
以下、図面を参照して1つまたは複数の実施形態を説明するが、全体を通して、同じ要素の参照には同じ参照番号が用いられる。以下の記述においては、説明を目的として、多くの具体的詳細を示すことにより、1つまたは複数の実施形態をより深く理解できるようにする。ただし、種々のケースにおいて、これらの具体的詳細なく1つまたは複数の実施形態を実現可能であることは明らかである。
【0018】
ジョセフソン接合の一般的な実施態様に関する上記問題を所与として、本開示は、これらの問題のうちの1つまたは複数に対する解決手段を与える縦型ジョセフソン接合コンピュータ・デバイスを生み出すように実現可能である。このような縦型ジョセフソン接合コンピュータ・デバイスは、非縦型ジョセフソン接合デバイスに対して実装面積が小さいため、スケーリングが改善される利点を有し得る。また、このような縦型ジョセフソン接合コンピュータ・デバイスは、斜め蒸着重ね合わせジョセフソン接合の場合の選択肢の数に対し、材料および堆積方法の両者においてより多くの選択肢を提供する利点を有し得る。このような縦型ジョセフソン接合コンピュータ・デバイスは、チップ製造手法と互換性を有することから、製造スケーリングの利点を有し得る。また、このような縦型ジョセフソン接合コンピュータ・デバイスは、非常に低損失の環境中に埋め込まれる利点を有し得る。
【0019】
図1は、本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態に係る、例示的かつ非限定的なチップ表面ベース・デバイス構造を示している。図示のように、チップ表面ベース・デバイス構造100は、基板102、超電導体104、および基板106を備える。チップ表面ベース・デバイス構造は、チップ表面ベース・デバイス構造と称し得る場合がある。チップ表面ベース・デバイス構造100は、埋設メタル・フローと考えられ、このメタルが超電導材料である。そして、上部基板層(基板106)は、(2つの容量板間等の電気的結合とは対照的に)基板106、超電導体104、および基板102の一体的な物理的結合の前後いずれかに、約100~200nmの厚さまで研磨することができる。いくつかの例において、超電導体104としては、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、または窒化チタン(TiN)が可能である。
【0020】
いくつかの例において、基板102および基板106は、約500マイクロメートル(μm)~800μmの初期厚さを有し得る。そして、いくつかの例においては、最大約500℃の温度において、さまざまな材料を使用可能である。いくつかの例においては、アルミニウム(Al)等の低融点の材料を使用可能であるが、これらの材料は、約300℃で変形し始める。
【0021】
いくつかの例においては、基板102および基板106の一方または両方として、結晶シリコン(Si)が可能であり、このような基板は、結晶シリコン基板と称し得る。結晶Siの使用は、本明細書に記載の縦型ジョセフソン接合と関連付けられたキュービットのコヒーレンス時間を改善可能である。また、いくつかの例においては、高抵抗性結晶Siを利用可能であり、コヒーレンス時間をさらに改善可能である。いくつかの例においては、この結晶Siを成長可能である。
【0022】
いくつかの例においては、超電導体104の一部が基板102上に堆積され、超電導体104の一部が基板106上に堆積される。そして、超電導体104のこれら2つの部分の一体的結合により、基板102を超電導体104、基板106に接続可能である。言い換えると、超電導体104の各部を基板102および基板106上にそれぞれ堆積させた後、超電導体104の第1の部分の露出面を超電導体104の第2の部分の露出面に結合可能である。いくつかの例において、結合は、低温アニーリングまたは別の接着手法により達成可能である。
【0023】
図2は、本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態に係る、ビア(via)208の形成後の図1の例示的かつ非限定的なチップ表面ベース・デバイス構造を示している。図示のように、チップ表面ベース・デバイス構造200は、チップ表面ベース・デバイス構造100の基板106へのビアのエッチングを反映したものである。ビア208は一般的に、2つの他の層間の導電接続を形成可能なチップ・ベース表面の層を通る開口を含み得る。チップ表面ベース・デバイス構造100は基板106を有するが、ここでの基板106は、ビア208を構成するようにエッチングされており、元の基板106から基板206Aおよび基板206Bが残ったものである(基板206Aと基板206Bとの間にビア208が形成されている)。チップ表面ベース・デバイス構造200の側断面図は、基板206Aおよび基板206Bが分離されていることを示す。ただし、当然のことながら、基板106には、この側断面図に示す孔が形成されており、基板206Aおよび基板206Bが依然として接続されている(たとえば、上方からは、この基板の中央に孔が形成されたように見える)。側断面図における他の材料も同様に取り付け可能であるが、側断面図においては、分離されたように見える。場合により、ビア208は、超電導体104に延入可能であり、これは、ビア208の場所で超電導体104の上部の一部を除去可能であることを意味する。
【0024】
いくつかの例においては、深さ100~200nmのビア208をエッチングするように、エッチング・リソグラフィを実現可能である。いくつかの例においては、ビアの高さと幅との1:1のアスペクト比を達成可能である。
【0025】
図3は、本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態に係る、トンネル障壁層を堆積させた後の図2の例示的かつ非限定的なチップ表面ベース・デバイス構造を示している。チップ表面ベース・デバイス構造300に関する図示のように、トンネル障壁層がチップ表面ベース・デバイス構造200上に堆積されており、このトンネル障壁層は、トンネル障壁308A、トンネル障壁308B、およびトンネル障壁308Cを含む。
【0026】
いくつかの例において、トンネル障壁308A、トンネル障壁308B、およびトンネル障壁308Cは、スパッタリング手法、蒸着手法、または原子層堆積(ALD)手法を用いてチップ表面ベース・デバイス構造200上に堆積可能である。いくつかの例において、トンネル障壁308A、トンネル障壁308B、およびトンネル障壁308Cとしては、酸化アルミニウム(Al)、非超電導金属(典型的金属と称する場合もある)、酸化物、または窒化物が可能である。いくつかの例において、トンネル障壁308Bは、たとえば酸化によって、超電導体104の露出面(エッチング後)への成長または化学的誘発が可能である。基板206の化学的感度に応じて、トンネル障壁308Aおよびトンネル障壁308Cの表面層が存在していてもよいし、存在していなくてもよい。一般的に、トンネル障壁層としては、非導電材料の薄層が可能である。
【0027】
当然のことながら、チップ表面ベース・デバイス構造300に対する付加的なステップの実行によって、図4図11に関する記載と類似のチップ表面ベース・デバイス構造をさらに生成することができる。チップ表面ベース・デバイス構造300を用いて形成されたチップ表面ベース・デバイス構造とチップ表面ベース・デバイス構造400を用いて形成されたチップ表面ベース・デバイス構造との差異は、第2の超電導層の有無として見出され得る。チップ表面ベース・デバイス構造400においては、第2の超電導層がトンネル障壁層の下方に堆積されており、チップ表面ベース・デバイス構造300からはこの第2の超電導層が省略されている。
【0028】
トンネル障壁層を第1の超電導層上に堆積または成長させる利点として、このようなチップ表面ベース・デバイス構造は、トンネル障壁層が異なる位置にあるチップ表面ベース・デバイス構造よりも再現性が高いと考えられる。
【0029】
図4は、本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態に係る、第2の超電導体を堆積させた後の図2の例示的かつ非限定的なチップ表面ベース・デバイス構造を示している。チップ表面ベース・デバイス構造400に関する図示のように、第2の超電導体がチップ表面ベース・デバイス構造200上に堆積されており、この第2の超電導層は、超電導体408A、超電導体408B、および超電導体408Cを含む。チップ表面ベース・デバイス構造400は、チップ表面ベース・デバイス構造300に対する代替実施形態と考えられ、これらの実施形態それぞれにおいては、異なる種類の層がチップ表面ベース・デバイス構造200上に堆積される。
【0030】
この第2の超電導層(超電導体408A、超電導体408B、および超電導体408C)は、第1の超電導層(超電導体104)と異なる種類の材料も可能であるし、第1の超電導層と同じ種類の材料も可能である。いくつかの例においては、この第2の超電導層の堆積によって、基板206Aおよび基板206Bの内側に任意の超電導材料が堆積されることから、超電導体408A、超電導体408B、および超電導体408Cが最初は接続され得る。この場合は、等方性エッチバックの実行によって、超電導体408Aを超電導体408Bから切り離し、超電導体408Bを超電導体408Cから切り離すことができる(すなわち、基板206Aおよび基板206Bの内側に堆積された超電導材料の部分を除去することができる)。あるいは、先行エッチング・ステップと位置合わせしたリソグラフィ・パターニング・ステップを実行可能であり、レジスト(フォトレジストまたは電子ビーム・レジスト)を用いてビア(および、超電導体408B)の中心をエッチングから保護しつつ、内側の材料を(たとえば、反応性イオン・エッチングによって)異方的にエッチング可能である。
【0031】
超電導体408Bの追加(および、超電導体408Bの高さあるいは超電導体408Bを追加するか否か)によって、縦型ジョセフソン接合の高さを決定することができる。追加される超電導体408Bが増えると、縦型ジョセフソン接合がビアの頂部に近づき、追加される超電導体408Bが減ると(または、超電導体408Bが一切追加されないと)、縦型ジョセフソン接合がビアの底部に近づく。縦型ジョセフソン接合がビアの底部に形成されるどころか、縦型ジョセフソン接合がビアの底部の下方に形成され得る例も存在し得る。すなわち、トンネル障壁層の堆積前にビアが洗浄された場合は、この洗浄(たとえば、エッチング)によって、ビアの底部の材料が除去され、ビアがさらに深くなる可能性がある。そして、トンネル障壁層が堆積される際には、ビアの元の底部の下方に堆積され得る。
【0032】
縦型ジョセフソン接合の配置の決定に使用可能な検討事項には、複数の縦型ジョセフソン接合の製造におけるこのような縦型ジョセフソン接合の再現能力およびチップ表面ベース・デバイス構造において用いられる特定の材料の付着能力(超電導体104に用いられる材料に対するトンネル障壁層の付着能力等)に対して、縦型ジョセフソン接合の高さがどのように影響するかを含み得る。たとえば、トンネル障壁層がビアの頂部に近い縦型ジョセフソン接合は、複数のこのような縦型ジョセフソン接合の製造における変動が小さくなり得る。
【0033】
チップ表面ベース・デバイス構造400においては、超電導体104および超電導体408Bが互いに接触または近接している。一般的に、この構成または類似構成において互いに隣り合って配置された2つの超電導体は、単一の超電導体として振る舞い、これら2つの超電導体が互いに異なる材料で構成された場合であっても、単一の超電導層を示すことになる。
【0034】
超電導体408A、超電導体408B、および超電導体408Cの堆積過程においては、ビアの側壁に任意の超電導材料が堆積され得る。すなわち、任意の超電導材料が超電導体408Aを超電導体408Bと接続し、任意の超電導材料が超電導体408Bを超電導体408Cと接続する場合がある。このビアの側壁上の付加的な超電導材料は、除去可能である。たとえば、等方性の(すなわち、すべての方向にエッチングが同じように作用する)ウェット・エッチング等を用いてエッチング除去可能である。側壁の堆積は構成上、超電導体408A、超電導体408B、および超電導体408Cよりも薄いため(ただし、ALD等のコンフォーマル成長技術等によって、これが当てはまらない実施形態も存在し得る)、超電導体408A、超電導体408B、および超電導体408Cのエッチング除去なく、側壁の堆積を高速エッチング可能である。他の実施形態においては、先行エッチング・ステップと位置合わせしたリソグラフィ・パターニング・ステップを実行可能であり、レジスト(フォトレジストまたは電子ビーム・レジスト)を用いてビア(および、超電導体408B)の中心をエッチングから保護しつつ、内側の材料を(たとえば、反応性イオン・エッチングによって)異方的にエッチング可能である。
【0035】
第2の超電導層をこのように堆積させる利点として、ビア中のトンネル障壁層(図5に示すように、第2の超電導層上に堆積)の高さの設定に、第2の超電導層の高さを使用可能と考えられる。
【0036】
図5は、本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態に係る、トンネル障壁層を堆積させた後の図4の例示的かつ非限定的なチップ表面ベース・デバイス構造を示している。チップ表面ベース・デバイス構造500に関する図示のように、トンネル障壁層がチップ表面ベース・デバイス構造400上に堆積されており、このトンネル障壁層は、トンネル障壁510A、トンネル障壁510B、およびトンネル障壁510Cを含む。このため、例示的なチップ表面ベース・デバイス構造300と同様に、チップ表面ベース・デバイス構造500についても、トンネル障壁層を備えており、チップ表面ベース・デバイス構造300とチップ表面ベース・デバイス構造500との差異は、チップ表面ベース・デバイス構造300がトンネル障壁層の真下に一層分の超電導体を有し、チップ表面ベース・デバイス構造500がトンネル障壁層の真下に二層分の超電導体を有する点である。トンネル障壁308A、トンネル障壁308B、およびトンネル障壁308Cに関して記載したのと同様に、ここでトンネル障壁510A、トンネル障壁510B、およびトンネル障壁510Cとしても、酸化アルミニウム(Al)、非超電導金属、酸化物、または窒化物が可能である。いくつかの例において、トンネル障壁510Bは、超電導体408Bの露出面(エッチング後)の成長または化学修飾(たとえば、酸化)によって形成可能である。
【0037】
図6は、本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態に係る、ビアの初期高さよりも厚い別の超電導層を堆積させた後の図5の例示的かつ非限定的なチップ表面ベース・デバイス構造を示している。チップ表面ベース・デバイス構造600に関する図示のように、第3の超電導層がチップ表面ベース・デバイス構造500上に堆積されており、この第3の超電導層は、超電導体610A、超電導体610B、および超電導体610Cを含む。
【0038】
超電導体610A、超電導体610B、および超電導体610Cはそれぞれ、区別して示しているものの、当然のことながら、この図は、基板206Aと基板206Bとの間に形成されたビアの強調に用いられるロジック的表現であり、超電導体610A、超電導体610B、および超電導体610Cは、超電導体の連続層を構成可能である。図1図11に示すその他の層の少なくとも一部に対しても、同様のロジック的表現が使用される。
【0039】
ビアの初期高さよりも厚い別の超電導層を堆積させることにより、元の上部超電導層(超電導体408Aおよび超電導体408Cを含む)は、意図した電気的短絡状態となる(直接接触する)。この意図的な短絡は、ビアが完全に充填されるようになされるものであり、超電導体408Aおよび超電導体408Cが除去されたチップ表面ベース・デバイス構造1000等に関する図示のように、後でアドレス指定可能である。また、トンネル障壁510A、トンネル障壁510B、およびトンネル障壁510C(その逆に、トンネル障壁308A、トンネル障壁308B、およびトンネル障壁308C)を堆積させることによって、基板206Aおよび基板206Bの側壁にトンネル障壁層が堆積され得る。この側壁材料が(超電導体408A、超電導体408B、および超電導体408Cの等方性エッチバックの場合のように)エッチバックされない場合は、超電導体610Bが超電導体408Aおよび超電導体408Cを電気的に短絡させない結果となり得る。
【0040】
いくつかの例において、この第3の超電導層としては、第1の超電導層または第2の超電導層のいずれとも異なる種類の材料が可能である。たとえば、第1の超電導層としてはTiが可能であり、第2の超電導層としてはTaが可能であり、第3の超電導層としてはTiNが可能である。いくつかの例においては、これらの層のうちの2つまたは3つが同じ種類の層である。いくつかの例において、第3の超電導層は、第1の超電導層または第2の超電導層あるいはその両方よりも厚く堆積されるが、この厚さの増大によって、(図8に関して示すように)将来的に第3の超電導層の一部または全部を除去する際のより良い制御が容易化され得る。
【0041】
図7は、本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態に係る、ビアの初期高さよりも薄い別の超電導層を堆積させた後の図5の例示的かつ非限定的なチップ表面ベース・デバイス構造を示している。チップ表面ベース・デバイス構造700に関する図示のように、第3の超電導層がチップ表面ベース・デバイス構造500上に堆積されており、この第3の超電導層は、超電導体712A、超電導体712B、および超電導体712Cを含む。
【0042】
チップ表面ベース・デバイス構造700は、チップ表面ベース・デバイス構造600に対比して考えることができる。チップ表面ベース・デバイス構造600に示すように、第3の超電導層は、基板206Aと基板206Bとの間に形成されたビアの初期高さよりも厚い。これと対照的に、チップ表面ベース・デバイス構造700において、第3の超電導層は、基板206Aと基板206Bとの間に形成されたビアの初期高さよりも薄い。
【0043】
図8は、本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態に係る、上部トンネル障壁層まで材料を除去した後の図6の例示的かつ非限定的なチップ表面ベース・デバイス構造を示している。チップ表面ベース・デバイス構造800に関する図示のように、チップ表面ベース・デバイス構造600に対して、トンネル障壁510Aおよびトンネル障壁510Cの高さまで材料が除去されている。この除去された材料には、超電導体610A、超電導体610Bの一部(超電導体810Bをもたらす)、および超電導体610Cを含む。場合によっては、トンネル障壁510Aおよびトンネル障壁510Cの一部が除去されていてもよい。
【0044】
いくつかの例においては、この材料を除去するのに、化学機械的平坦化(CMP)プロセスを利用可能である。当然のことながら、材料を除去する類似の手法をチップ表面ベース・デバイス構造700に適用可能であり、この場合は、超電導体712Aおよび超電導体712Cのほか、いくつかの例においては、超電導体712Bの一部が除去される。
【0045】
図9は、本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態に係る、上部トンネル障壁層を除去した後の図8の例示的かつ非限定的なチップ表面ベース・デバイス構造を示している。チップ表面ベース・デバイス構造900に関する図示のように、チップ表面ベース・デバイス構造800に対して、超電導体408Aおよび超電導体408Cの高さまで材料が除去されている。この除去された材料には、トンネル障壁510A、トンネル障壁510C、および超電導体810Bの一部(超電導体910Bをもたらす)を含む。いくつかの例においては、この材料を除去するのに、短時間CMPプロセスを利用可能である。いくつかの例においては、この材料を除去するのに、短時間異方性エッチング(トンネル障壁に用いられるような酸化物に対する選択性を高くし得る反応性イオン・エッチング等)を利用可能である。
【0046】
図10は、本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態に係る、上部基板層まで材料を除去した後の図6の例示的かつ非限定的なチップ表面ベース・デバイス構造を示している。チップ表面ベース・デバイス構造1000に関する図示のように、チップ表面ベース・デバイス構造900に対して、基板206Aおよび基板206Bの高さまで材料が除去されている。この除去された材料には、超電導体408A、超電導体408C、および超電導体910Bの一部(超電導体1010Bをもたらす)を含む。
【0047】
いくつかの実施形態においては、超電導体1010Bを上部超電導体と称し、超電導体1010Bが形成された縦型ジョセフソン接合の電極を縦型ジョセフソン接合の上部電極と称し得る。用語「上部(top)」は、これら特定の特徴を識別するのに使用可能であるが、当然のことながら、「上部(top)」の使用には、縦型ジョセフソン接合の特定の配向を必要としない。すなわち、いくつかの例において、図10のチップ表面ベース・デバイス構造は、180°回転させた後に実現可能であるため、図の上部に見えるものは、図の底部に見えることになる。さらに、いくつかの実施形態において、「上部(top)」層は、当該層の上方に配置された付加的な層、構成要素、または要素を有し得る。このようなすべての実施形態が考えられる。
【0048】
いくつかの例においては、この材料を除去するのに、短時間CMPプロセスを利用可能である。また、図10は、本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態に係る、超電導体712Bの上部まで材料を除去した後の図7の例示的かつ非限定的なチップ表面ベース・デバイス構造を示している。
【0049】
図11は、本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態に係る、別の超電導層を堆積させた後の図10の例示的かつ非限定的なチップ表面ベース・デバイス構造を示している。チップ表面ベース・デバイス構造1100に関する図示のように、第4の超電導層がチップ表面ベース・デバイス構造1000上に堆積されており、この第4の超電導層は、ここでは超電導体1112として示している。
【0050】
いくつかの例において、この第4の超電導層としては、第1の超電導層、第2の超電導層、および第3の超電導層のうちの1つまたは複数と同じ種類の材料が可能である。いくつかの例において、第4の超電導層は、第1の超電導層、第2の超電導層、および第3の超電導層と異なる材料である。いくつかの例において、この第4の超電導層(または、第2の超電導層または第3の超電導層あるいはその組合せ)には、ニオブ(Nb)を含み得る。
【0051】
いくつかの例において、縦型ジョセフソン接合1114は、トンネル障壁510B、超電導体1010Bを含む第1の電極1120、および超電導体408Bを含む(超電導体1010Bから見てトンネル障壁510Bの反対側1116に位置付けられた)上部電極1118を備える。いくつかの例において、第1の電極の超電導体の厚さおよび第2の電極の超電導体の厚さは、略同じである。この厚さとしては、100nm超が可能である。
【0052】
同じ超電導材料が第1の電極および第2の電極の両者に用いられる例においては、トンネル障壁の両側の超電導ギャップを等しくすることができ、これは、臨界電流(臨界電流は一般的に、ジョセフソン接合を横切って流れ得る最大超電導電流を識別する)の決定に利用され得る。縦型ジョセフソン接合の臨界電流の値は、使用材料および接合中の材料の表面積に基づき得る。関連する臨界電流の両者間での再現性がより高い複数の縦型ジョセフソン接合を形成することは、使用する材料の種類、材料の厚さ、および縦型ジョセフソン接合の開口のサイズに基づき得る。
【0053】
いくつかの例においては、チップ表面ベース・デバイス構造1100に示すような複数の縦型ジョセフソン接合を1つのウェハ上に形成可能である。これら複数の縦型ジョセフソン接合は、並行または連続あるいはその両方にてウェハ上に形成可能である。
【0054】
いくつかの例においては、チップ表面ベース・デバイス構造1100に示すような縦型ジョセフソン接合の利点として、このような縦型ジョセフソン接合を低変動で再現可能であり、このような縦型ジョセフソン接合の製造に多様な材料を使用可能である。
【0055】
図12は、本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態に係る、縦型ジョセフソン接合超電導デバイスの実現を容易化する例示的かつ非限定的なコンピュータ実装方法のフロー図である。いくつかの例において、フロー図1200は、動作環境1400により実現可能である。当然のことながら、フロー図1200の動作は、図示と異なる順序で実現可能である。
【0056】
非限定的かつ例示的な実施形態においては、1つまたは複数のプロセッサと、当該1つまたは複数のプロセッサにより実行された場合に、図12のフロー図に示す非限定的な方法を含めて、本明細書に記載の動作の実行を容易化し得る実行可能命令を格納した1つまたは複数のメモリとを備えたコンピュータ機器(または、システム)(たとえば、コンピュータ1412)が提供される。非限定的な一例として、1つまたは複数のプロセッサは、半導体製造を実行するように動作可能な1つまたは複数の装置を指示または制御することによって、上記方法の実行を容易化することができる。
【0057】
図12に示すような方法の利点として、過去の技術により製造されたジョセフソン接合よりも均一な縦型ジョセフソン接合の製造に使用可能と考えられる。
【0058】
動作1202は、(たとえば、コンピュータ1412によって)結晶シリコンを含む基板を、第1の超電導層と物理的に結合することを示す。動作1204は、(たとえば、コンピュータ1412によって)第1の超電導層を、結晶シリコンを含む第2の基板と物理的に結合することを示す。動作1206は、基板をエッチングすることを示す。
【0059】
上記構成の一例は、基板が基板106であり、第1の超電導層が超電導体104であり、第2の基板が基板102であるチップ表面ベース・デバイス構造100として見られる。いくつかの例においては、結合手法の使用によって、第1の基板、超電導体、および第2の基板を物理的に結合する。たとえば、超電導体の第1の部分が第1の基板上に堆積され、超電導体の第2の部分が第2の基板上に堆積され得る。そして、超電導体の第1の部分および超電導体の第2の部分の一体的な結合によって、第1の基板、超電導体、および第2の基板を物理的に結合することができる。
【0060】
いくつかの例において、基板の厚さは、100~200ナノメートル(nm)である。この100~200nmの厚さは、(製造業者が成長させた)当該厚さの結晶シリコン・ウェハを取得すること、または、100~200nmよりも大きい厚さの結晶シリコンを取得し、基板、超電導体、および第2の基板を物理的に結合した後、厚さが100~200nmとなるように結晶シリコンの一部を除去することによって得られる。
【0061】
結晶シリコンを使用する利点として、本明細書に記載の縦型ジョセフソン接合の構成に結晶シリコンが適した材料となり得る点が挙げられる。結晶シリコンは、マイクロ波系統において損失正接が小さく、超電導量子回路に適するとともに、必須回路素子としてのジョセフソン接合に依拠し得る。
【0062】
動作1208は、(たとえば、コンピュータ1412によって)縦型ジョセフソン接合を基板のエッチングにおいて構成することであり、縦型ジョセフソン接合が、トンネル障壁層および上部超電導層を含む、ことを示す。
【0063】
この動作1208の構成の一例は、チップ表面ベース・デバイス構造900およびチップ表面ベース・デバイス構造1100として見られる。チップ表面ベース・デバイス構造900によれば、縦型ジョセフソン接合としては、超電導体408B、トンネル障壁510B、および超電導体910Bの組合せが可能である。いくつかの例において、超電導体408Bおよび超電導体910Bは、トンネル障壁510Bの両側に配置されると考えられる。そして、超電導体408Bが縦型ジョセフソン接合の電極と考えられ、超電導体910Bが縦型ジョセフソン接合の別の電極と考えられる。
【0064】
チップ表面ベース・デバイス構造1100によれば、縦型ジョセフソン接合としては、超電導体408B、トンネル障壁510B、および超電導体1010Bの組合せが可能である。そして、超電導体408Bが縦型ジョセフソン接合の電極と考えられ、超電導体910Bが縦型ジョセフソン接合の別の電極と考えられる。
【0065】
いくつかの例においては、動作1208において、基板のエッチングにビアを含む。このビアは、たとえばチップ表面ベース・デバイス構造200に見られ、ビアとしては基板206Aと基板206Bとの間の空間が可能である。
【0066】
いくつかの例において、動作1208においては、トンネル障壁層が第1の超電導層または第2の超電導層上に堆積される。この前者の構成は、たとえばチップ表面ベース・デバイス構造300に見られ、トンネル障壁層としてはトンネル障壁308Bが可能であり、超電導体104(第1の超電導層が可能)に直接堆積される。トンネル障壁層の第2の超電導層上への堆積に関して、この後者の構成は、たとえばチップ表面ベース・デバイス構造500に見られ、トンネル障壁層としてはトンネル障壁510Bが可能であり、超電導体408B(第2の超電導層が可能)に堆積される。
【0067】
いくつかの例において、動作1208においては、第1の超電導層とトンネル障壁層との間に堆積された第3の超電導層を縦型ジョセフソン接合が含む。この構成は、たとえばチップ表面ベース・デバイス構造500に見られ、トンネル障壁層としてはトンネル障壁510Bが可能であり、第1の超電導層としては超電導体104が可能であり、第2の超電導層としては超電導体408Bが可能である。
【0068】
いくつかの例において、動作1208においては、第1の超電導層および第2の超電導層がそれぞれ、縦型ジョセフソン接合の電極を含む。この構成は、たとえばチップ表面ベース・デバイス構造1100に見られ、第1の超電導層としては超電導体408Bが可能であり、第2の超電導層としては超電導体1010Bが可能である。
【0069】
いくつかの例において、動作1208においては、スパッタリング、蒸着、原子層堆積(ALD)、成長、または超電導体104もしくは408Bの化学修飾(たとえば、酸化)によって、トンネル障壁層が堆積される。すなわち、トンネル障壁層の堆積は、スパッタリング、蒸着、原子層堆積、および化学修飾から成る群内のプロセスを実行することによってもたらされ得る。スパッタリングでは一般的に、第1の材料の粒子を第2の材料に衝突させることによって、第1の材料を第2の材料上に堆積させる。蒸着では一般的に、真空中で第1の材料を蒸発させるが、この第1の材料の蒸気粒子が第2の材料まで移動し、第2の材料上で凝結して固体状態となる。ALDでは一般的に、気相化学プロセスを利用して、第2の材料の膜を第1の材料上に堆積させる。化学修飾の一例としての酸化では一般的に、基板を含むチャンバに酸素の分圧を導入して、曝露材料の酸化物を生成可能である。
【0070】
いくつかの例において、動作1208においては、第2の基板とトンネル障壁層との間に第2の超電導層が堆積される。この構成は、たとえばチップ表面ベース・デバイス構造500に見られ、第2の超電導層としては超電導体408Bが可能であり、第2の基板としては基板102が可能であり、トンネル障壁層としてはトンネル障壁510Bが可能である。
【0071】
いくつかの例において、動作1208においては、第2の超電導層の高さが基板のエッチングの初期高さよりも小さい。この構成は、たとえばチップ表面ベース・デバイス構造700に見られ、第2の超電導層としては超電導体712Bが可能であり、基板のエッチングの初期高さは、基板106から基板206Aおよび基板206Bを構成するようにエッチングされたものの高さであり、超電導体712Bの高さは、基板106から基板206Aおよび基板206Bを構成するようにエッチングされたものの高さよりも小さい。
【0072】
いくつかの例において、動作1208においては、第2の超電導層および第3の超電導層が異なる種類である。たとえば、チップ表面ベース・デバイス構造700に関して、第2の超電導層としては超電導体408Bが可能であり、第3の超電導層としては超電導体712Bが可能である。このような例において、超電導体408Bとしては、第1の種類の超電導材料が可能であり、超電導体712Bとしては、第2の種類の超電導材料が可能である。
【0073】
いくつかの例において、動作1208においては、第2の超電導層の一部を除去するのに、化学機械的平坦化(CMP)が用いられる。たとえば、チップ表面ベース・デバイス構造600に関して、第2の超電導層としては、超電導体610A、超電導体610B、および超電導体610Cの組合せが可能である。そして、チップ表面ベース・デバイス構造800がチップ表面ベース・デバイス構造600と異なる点として、チップ表面ベース・デバイス構造800においては、チップ表面ベース・デバイス構造600に対して、超電導体610Aが除去され、超電導体610Bの一部が除去され、超電導体610Cが除去されている。この除去において使用可能なCMPとしては一般的に、化学的および機械的な力の組合せ手法による表面の平滑化または表面からの材料の除去を行う手法が可能である。
【0074】
いくつかの例において、動作1208においては、縦型ジョセフソン接合がビア内に形成され、ビアがマスクおよび反応性イオン・エッチング(RIE)を用いて形成される。たとえば、チップ表面ベース・デバイス構造1100に関して、縦型ジョセフソン接合には、超電導体408B、トンネル障壁510B、および超電導体1010Bを含み得る。この縦型ジョセフソン接合はビア内に形成されるが、このビアとしては、基板206Aと基板206Bとの間に形成された空間が可能である(この空間は、チップ表面ベース・デバイス構造100の基板106から形成されたものである)。このビアは、マスクおよびRIEを用いて形成可能である。マスクとしては一般的に、材料の追加、除去、または修飾を行うようにプロセスが適用された場合に半導体の規定部が露出するような(そして、このプロセスによる材料の追加、除去、または修飾がこの保護された部分に行われないように半導体の別の規定部がマスクによって保護されるような)形状に形成された材料または基板が可能である。RIEとしては一般的に、化学反応性のプラズマを利用して材料を除去する手法が可能である。
【0075】
いくつかの例において、動作1208においては、CMPの利用(または、実行)によって、ビアの外側に位置付けられたトンネル障壁層の部分を除去する。たとえば、チップ表面ベース・デバイス構造800とチップ表面ベース・デバイス構造900との間では、一部のトンネル障壁層(トンネル障壁510Aおよびトンネル障壁510C)が除去される。トンネル障壁510Aおよびトンネル障壁510Cの除去は、CMPによって達成され得る。
【0076】
いくつかの例において、動作1208においては、CMPの利用(または、実行)によって、ビアの外側に位置付けられた第2の超電導層の部分を除去する。たとえば、第2の超電導層としては、超電導体408Aおよび超電導体408Cの組合せが可能である(また、超電導体910Bも含み得る)。チップ表面ベース・デバイス構造900とチップ表面ベース・デバイス構造1000との間では、この第2の超電導層の一部が除去される(これは、超電導体408Aの全部、超電導体910Bの一部、および超電導体408Cの全部の除去によるチップ表面ベース・デバイス構造1000の構成として示している)。超電導体408Aの全部、超電導体910Bの一部、および超電導体408Cの全部の除去は、CMPによって達成され得る。
【0077】
いくつかの例において、動作1208においては、ビアの外側に位置付けられた第2の超電導層の部分を除去した後、第3の超電導層が第2の基板上に堆積される。
【0078】
たとえば、チップ表面ベース・デバイス構造1100は、第3の超電導層として超電導体1112を具備可能であり、第2の基板としては、基板206Aおよび基板206Bが可能である。チップ表面ベース・デバイス構造900から(チップ表面ベース・デバイス構造900に示す)超電導体408A、超電導体910Bの一部、および超電導体408Cが除去されてチップ表面ベース・デバイス構造1000が生成された後、超電導体1112を基板206Aおよび基板206B上に堆積可能である(チップ表面ベース・デバイス構造1100は、超電導体1112の堆積によってチップ表面ベース・デバイス構造1000から生成される)。
【0079】
図13は、本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態に係る、縦型ジョセフソン接合超電導デバイスの実現を容易化する例示的かつ非限定的なコンピュータ実装方法の別のフロー図である。いくつかの例において、フロー図1300は、動作環境1400により実現可能である。当然のことながら、フロー図1300の動作は、図示と異なる順序で実現可能である。
【0080】
非限定的かつ例示的な実施形態においては、1つまたは複数のプロセッサと、当該1つまたは複数のプロセッサにより実行された場合に、図13のフロー図に示す非限定的な方法を含めて、本明細書に記載の動作の実行を容易化し得る実行可能命令を格納した1つまたは複数のメモリとを備えたコンピュータ機器(または、システム)(たとえば、コンピュータ1412)が提供される。非限定的な一例として、1つまたは複数のプロセッサは、半導体製造を実行するように動作可能な1つまたは複数の装置を指示または制御することによって、上記方法の実行を容易化することができる。
【0081】
図13に示すような方法の利点として、過去の技術により製造されたジョセフソン接合よりも均一な縦型ジョセフソン接合の製造に使用可能と考えられる。
【0082】
動作1302は、(たとえば、コンピュータ1412によって)結晶シリコン基板に対して物理的に結合された超電導層の第1の部分を、第2の結晶シリコン基板と物理的に結合された超電導層の第2の部分と結合することであり、超電導層および第2の基板が、SOMベースを含む、ことを示す。
【0083】
たとえば、超電導体の第1の部分が第1の基板上に堆積され、超電導体の第2の部分が第2の基板上に堆積され得る。そして、超電導体の第1の部分および超電導体の第2の部分の一体的な結合によって、第1の基板、超電導体、および第2の基板を物理的に結合することができる。
【0084】
この動作1302の構成の一例は、基板が基板106であり、第1の超電導層が超電導体104であり、第2の基板が基板102であるチップ表面ベース・デバイス構造100として見られる。いくつかの例において、基板の厚さは、100~200ナノメートル(nm)である。この100~200nmの厚さは、当該厚さまで結晶シリコンを成長させること、または、100~200nmよりも大きい厚さまで結晶シリコンを成長させ、基板、超電導体、および第2の基板を物理的に結合した後、厚さが100~200nmとなるように結晶シリコンの一部を除去することによって得られる。
【0085】
結合によって基板を第1の超電導層と接続し、第1の超電導層を第2の基板と接続することの利点として、チップ表面ベース・デバイス構造に形成された縦型ジョセフソン接合のように、チップ表面ベース・デバイス構造の構成要素が電気的に隔離され得る。
【0086】
動作1304は、(たとえば、コンピュータ1412によって)縦型ジョセフソン接合を結晶シリコン基板のエッチングにおいて構成することであり、縦型ジョセフソン接合が、超電導層、トンネル障壁層、および第2の超電導層を含む、ことを示す。
【0087】
この動作1304の構成の一例は、チップ表面ベース・デバイス構造900およびチップ表面ベース・デバイス構造1100として見られる。チップ表面ベース・デバイス構造900によれば、縦型ジョセフソン接合としては、超電導体408B、トンネル障壁510B、および超電導体910Bの組合せが可能である。そして、超電導体408Bが縦型ジョセフソン接合の電極と考えられ、超電導体910Bが縦型ジョセフソン接合の別の電極と考えられる。
【0088】
チップ表面ベース・デバイス構造1100によれば、縦型ジョセフソン接合としては、超電導体408B、トンネル障壁510B、および超電導体1010Bの組合せが可能である。そして、超電導体408Bが縦型ジョセフソン接合の電極と考えられ、超電導体910Bが縦型ジョセフソン接合の別の電極と考えられる。
【0089】
いくつかの例において、動作1304においては、基板のエッチングにビアを含む。このビアは、たとえばチップ表面ベース・デバイス構造200に見られ、ビアとしては基板206Aと基板206Bとの間の空間が可能である。
【0090】
いくつかの例において、動作1304においては、トンネル障壁層が第1の超電導層または第2の超電導層上に堆積される。この前者の構成は、たとえばチップ表面ベース・デバイス構造300に見られ、トンネル障壁層としてはトンネル障壁308Bが可能であり、超電導体104(第1の超電導層が可能)に直接堆積される。トンネル障壁層の第2の超電導層上への堆積に関して、この後者の構成は、たとえばチップ表面ベース・デバイス構造500に見られ、トンネル障壁層としてはトンネル障壁510Bが可能であり、超電導体408B(第2の超電導層が可能)に堆積される。
【0091】
いくつかの例において、動作1304においては、第1の超電導層とトンネル障壁層との間に堆積された第2の超電導層を縦型ジョセフソン接合が含む。この構成は、たとえばチップ表面ベース・デバイス構造500に見られ、トンネル障壁層としてはトンネル障壁510Bが可能であり、第1の超電導層としては超電導体104が可能であり、第2の超電導層としては超電導体408Bが可能である。
【0092】
いくつかの例において、動作1304においては、第1の超電導層および第2の超電導層がそれぞれ、縦型ジョセフソン接合の電極を含む。この構成は、たとえばチップ表面ベース・デバイス構造1100に見られ、第1の超電導層としては超電導体408Bが可能であり、第2の超電導層としては超電導体1010Bが可能である。
【0093】
いくつかの例において、動作1304においては、トンネル障壁層がスパッタリング、蒸着、またはALDにより堆積される。
【0094】
いくつかの例において、動作1304においては、第1の超電導層とトンネル障壁層との間に第2の超電導層が堆積される。この構成は、たとえばチップ表面ベース・デバイス構造500に見られ、第2の超電導層としては超電導体408Bが可能であり、第1の超電導層としては超電導体104が可能であり、トンネル障壁層としてはトンネル障壁510Bが可能である。
【0095】
いくつかの例において、動作1304においては、第2の超電導層の高さが基板のエッチングの初期高さよりも小さい。この構成は、たとえばチップ表面ベース・デバイス構造700に見られ、第2の超電導層としては超電導体712Bが可能であり、基板のエッチングの初期高さは、基板106から基板206Aおよび基板206Bを構成するようにエッチングされたものの高さであり、超電導体712Bの高さは、基板106から基板206Aおよび基板206Bを構成するようにエッチングされたものの高さよりも小さい。
【0096】
いくつかの例において、動作1304においては、第2の超電導層および第3の超電導層が異なる種類である。たとえば、チップ表面ベース・デバイス構造700に関して、第2の超電導層としては超電導体408Bが可能であり、第3の超電導層としては超電導体712Bが可能である(それぞれ、縦型ジョセフソン接合の電極を含む)。このような例において、超電導体408Bとしては、第1の種類の超電導材料が可能であり、超電導体712Bとしては、第2の種類の超電導材料が可能である。
【0097】
いくつかの例において、動作1304においては、第3の超電導層の一部を除去するのに、CMPが用いられる。たとえば、チップ表面ベース・デバイス構造600に関して、第3の超電導層としては、超電導体610A、超電導体610B、および超電導体610Cの組合せが可能である。そして、チップ表面ベース・デバイス構造800がチップ表面ベース・デバイス構造600と異なる点として、チップ表面ベース・デバイス構造800においては、チップ表面ベース・デバイス構造600に対して、超電導体610Aが除去され、超電導体610Bの一部が除去され、超電導体610Cが除去されている。
【0098】
いくつかの例において、動作1304においては、縦型ジョセフソン接合がビア内に形成され、ビアがマスクおよびRIEを用いて形成される。たとえば、チップ表面ベース・デバイス構造1100に関して、縦型ジョセフソン接合には、超電導体408B、トンネル障壁510B、および超電導体1010Bを含み得る。この縦型ジョセフソン接合はビア内に形成されるが、このビアとしては、基板206Aと基板206Bとの間に形成された空間が可能である(この空間は、チップ表面ベース・デバイス構造100の基板106から形成されたものである)。このビアは、マスクおよびRIEを用いて形成可能である。
【0099】
いくつかの例において、動作1304においては、CMPの利用によって、ビアの外側に位置付けられたトンネル障壁層の部分を除去する。たとえば、チップ表面ベース・デバイス構造800とチップ表面ベース・デバイス構造900との間では、一部のトンネル障壁層(トンネル障壁510Aおよびトンネル障壁510C)が除去される。トンネル障壁510Aおよびトンネル障壁510Cの除去は、CMPによって達成され得る。
【0100】
いくつかの例において、動作1304においては、CMPの利用によって、ビアの外側に位置付けられた第2の超電導層の部分を除去する。たとえば、第2の超電導層としては、超電導体408Aおよび超電導体408Cの組合せが可能である(また、超電導体910Bも含み得る)。チップ表面ベース・デバイス構造900とチップ表面ベース・デバイス構造1000との間では、この第2の超電導層の一部が除去される(これは、超電導体408Aの全部、超電導体910Bの一部、および超電導体408Cの全部の除去によるチップ表面ベース・デバイス構造1000の構成として示している)。超電導体408Aの全部、超電導体910Bの一部、および超電導体408Cの全部の除去は、CMPによって達成され得る。
【0101】
いくつかの例において、動作1304においては、ビアの外側に位置付けられた第2の超電導層の部分を除去した後、第3の超電導層が基板上に堆積される。
【0102】
たとえば、チップ表面ベース・デバイス構造1100は、第4の超電導層として超電導体1112を具備可能であり、基板としては、基板206Aおよび基板206Bが可能である。チップ表面ベース・デバイス構造900から(チップ表面ベース・デバイス構造900に示す)超電導体408A、超電導体910Bの一部、および超電導体408Cが除去されてチップ表面ベース・デバイス構造1000が生成された後、超電導体1112を基板206Aおよび基板206B上に堆積可能である(チップ表面ベース・デバイス構造1100は、超電導体1112の堆積によってチップ表面ベース・デバイス構造1000から生成される)。
【0103】
本開示の主題の種々の態様の背景を与えるため、図14および以下の記述は、本開示の主題の種々の態様を実現し得る好適な環境の概要を提供することが意図される。たとえば、図12および図13の縦型ジョセフソン接合超電導デバイスの実現を容易化する例示的かつ非限定的なコンピュータ実装方法の態様の実現には、動作環境1400を使用可能である。
【0104】
図14は、本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態をもたらし得る例示的かつ非限定的な動作環境のブロック図である。本明細書に記載の他の実施形態において採用される同じ要素の繰り返し説明は、簡素化のため省略する。図14を参照して、本開示の種々の態様を実現する好適な動作環境1400はまた、コンピュータ1412を具備し得る。また、コンピュータ1412は、処理ユニット1414、システム・メモリ1416、およびシステム・バス1418を具備し得る。システム・バス1418は、システム・メモリ1416を含むシステム構成要素を処理ユニット1414に結合するが、システム構成要素はこれに限定されない。処理ユニット1414としては、種々の利用可能なプロセッサのいずれかが可能である。また、処理ユニット1414としては、デュアル・マイクロプロセッサ等のマルチプロセッサ・アーキテクチャも採用可能である。システム・バス1418としては、メモリ・バスもしくはメモリ・コントローラ、周辺機器用バスもしくは外部バス、または業界標準アーキテクチャ(ISA)、マイクロ・チャネル・アーキテクチャ(MCA)、拡張ISA(EISA)、インテリジェント・ドライブ・エレクトロニクス(IDE),VESAローカル・バス(VLB)、周辺機器相互接続(PCI)、カード・バス、ユニバーサル・シリアル・バス(USB)、アドバンスト・グラフィックス・ポート(AGP)、ファイアワイヤ(IEEE1394)、小型コンピュータ用周辺機器インターフェース(SCSI)、およびこれらに限定されない任意の多様な利用可能バス・アーキテクチャを用いたローカル・バス、あるいはその組合せ等、複数種のバス構造のいずれかが可能である。
【0105】
また、システム・メモリ1416には、揮発性メモリ1420および不揮発性メモリ1422をも含み得る。起動中等にコンピュータ1412内の要素間で情報を転送する基本ルーチンを含む基本入出力システム(BIOS)は、不揮発性メモリ1422に格納される。非限定的な一例として、不揮発性メモリ1422には、リードオンリー・メモリ(ROM)、プログラム可能ROM(PROM)、電気的プログラム可能ROM(EPROM)、電気的消去可能プログラム可能ROM(EEPROM)、フラッシュ・メモリ、または不揮発性ランダム・アクセス・メモリ(RAM)(たとえば、強誘電性RAM(FeRAM))を含み得る。また、揮発性メモリ1420には、外部キャッシュ・メモリとして作用するランダム・アクセス・メモリ(RAM)を含み得る。非限定的な一例として、RAMは、スタティックRAM(SRAM)、ダイナミックRAM(DRAM)、同期DRAM(SDRAM)、ダブル・データ・レートSDRAM(DDR SDRAM)、エンハンストSDRAM(ESDRAM)、シンクリンクDRAM(SLDRAM)、ダイレクト・ラムバスRAM(DRRAM)、ダイレクト・ラムバス・ダイナミックRAM(DRDRAM)、およびラムバス・ダイナミックRAM等の多くの形態で利用可能である。
【0106】
また、コンピュータ1412は、リムーバブル/非リムーバブルな揮発性/不揮発性コンピュータ記憶媒体を具備し得る。図14は、たとえばディスク・ストレージ1424を示している。また、ディスク・ストレージ1424には、磁気ディスク・ドライブ、フロッピー(R)・ディスク・ドライブ、テープ・ドライブ、Jazドライブ、Zipドライブ、LS-100ドライブ、フラッシュ・メモリ・カード、またはメモリ・スティック等のデバイスを含み得るが、これらに限定されない。また、ディスク・ストレージ1424には、コンパクト・ディスクROMデバイス(CD-ROM)、CD記録可能ドライブ(CD-Rドライブ)、CD書き換え可能ドライブ(CD-RWドライブ)、またはデジタルバーサタイルディスクROMドライブ(DVD-ROM)等の光ディスク・ドライブを含む他の記憶媒体と別個または併用の記憶媒体を含み得るが、これらに限定されない。ディスク・ストレージ1424のシステム・バス1418への接続を容易化するため、インターフェース1426等のリムーバブルまたは非リムーバブル・インターフェースが典型的に用いられる。また、図14は、ユーザと好適な動作環境1400に記載の基本コンピュータ・リソースとの間の中間手段として作用するソフトウェアを示している。また、このようなソフトウェアには、たとえばオペレーティング・システム1428を含み得る。ディスク・ストレージ1424に格納可能なオペレーティング・システム1428は、コンピュータ1412のリソースの制御および割り当てを行うように作用する。
【0107】
システム・アプリケーション1430は、たとえばシステム・メモリ1416またはディスク・ストレージ1424に格納されたプログラム・モジュール1432およびプログラム・データ1434を通じたオペレーティング・システム1428によるリソースの管理を利用する。当然のことながら、本開示は、さまざまなオペレーティング・システムまたはオペレーティング・システムの組合せにより実現可能である。ユーザは、入力装置1436を通じて、コマンドまたは情報をコンピュータ1412に入力する。入力装置1436には、マウス等のポインティング・デバイス、トラックボール、スタイラス、タッチ・パッド、キーボード、マイク、ジョイスティック、ゲーム・パッド、サテライト・ディッシュ、スキャナ、TVチューナ・カード、デジタル・カメラ、デジタル・ビデオ・カメラ、ウェブ・カメラ等を含むが、これらに限定されない。上記および他の入力装置がインターフェース・ポート1438を介し、システム・バス1418を通じて処理ユニット1414に接続される。インターフェース・ポート1438には、たとえばシリアル・ポート、パラレル・ポート、ゲーム・ポート、およびユニバーサル・シリアル・バス(USB)を含む。出力装置1440は、入力装置1436と同じ種類のポートのうちのいくつかを使用する。このため、たとえばUSBポートの使用によって、入力をコンピュータ1412に与えるとともに、情報をコンピュータ1412から出力装置1440に出力することができる。いくつかある出力装置1440の中でも、特殊なアダプタを必要とするモニタ、スピーカ、およびプリンタ等の出力装置1440が存在することを示すため、出力アダプタ1442を設けている。一例として、出力アダプタ1442には、出力装置1440とシステム・バス1418との間の接続手段を提供するビデオおよびサウンド・カードを含むが、これらに限定されない。リモート・コンピュータ1444等、他のデバイスまたはデバイスのシステムあるいはその両方が入出力両機能を提供することに留意するものとする。
【0108】
コンピュータ1412は、リモート・コンピュータ1444等の1つまたは複数のリモート・コンピュータへのロジック接続を用いたネットワーク化環境において動作し得る。リモート・コンピュータ1444としては、コンピュータ、サーバ、ルータ、ネットワークPC、ワークステーション、マイクロプロセッサベースの電化製品、ピア・デバイスまたは他の共通ネットワーク・ノード等が可能であり、典型的には、コンピュータ1412に対して記載した要素の多くまたはすべてを含み得る。簡素化のため、リモート・コンピュータ1444には、メモリ記憶装置1446のみを示している。リモート・コンピュータ1444は、ネットワーク・インターフェース1448を通じてコンピュータ1412にロジック接続された後、通信接続1450を介して物理的に接続される。ネットワーク・インターフェース1448には、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)、ワイド・エリア・ネットワーク(WAN)、セルラー・ネットワーク等の有線または無線通信ネットワークあるいはその両方を包含する。LAN技術には、光ファイバ分散データ・インターフェース(FDDI)、銅線分散データ・インターフェース(CDDI)、イーサネット(R)、トークン・リング等を含む。WAN技術には、ポイント・ツー・ポイント・リンク、総合デジタル通信網(ISDN)等の回路交換網およびその変形、パケット交換網、およびデジタル加入者線(DSL)を含むが、これらに限定されない。通信接続1450は、ネットワーク・インターフェース1448をシステム・バス1418に接続するために採用されたハードウェア/ソフトウェアを表す。通信接続1450は、図示の明瞭化のため、コンピュータ1412の内側に示しているが、コンピュータ1412の外部に置くことも可能である。また、ネットワーク・インターフェース1448への接続のためのハードウェア/ソフトウェアには、典型的電話用モデム、ケーブル・モデム、およびDSLモデム等のモデム、ISDNアダプタ、およびイーサネット(R)・カード等の内部および外部技術を含み得るが、これらは例示を目的としているに過ぎない。
【0109】
本発明は、考え得る任意の技術的詳細統合レベルにおけるシステム、方法、装置、またはコンピュータ・プログラム製品、あるいはその組合せが可能である。コンピュータ・プログラム製品は、本発明の態様をプロセッサに実行させるコンピュータ可読プログラム命令が格納された(1つまたは複数の)コンピュータ可読記憶媒体を具備し得る。コンピュータ可読記憶媒体としては、命令実行デバイスが使用する命令を保持および格納し得る有形デバイスが可能である。コンピュータ可読記憶媒体としては、たとえば電子記憶装置、磁気記憶装置、光学記憶装置、電磁記憶装置、半導体記憶装置、またはこれらの任意の好適な組合せが可能であるが、これらに限定されない。また、コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例の非網羅的な一覧には、携帯型コンピュータ・ディスケット、ハード・ディスク、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、リードオンリー・メモリ(ROM)、消去可能プログラム可能リードオンリー・メモリ(EPROMもしくはフラッシュ・メモリ)、スタティック・ランダム・アクセス・メモリ(SRAM)、携帯型コンパクト・ディスク・リードオンリー・メモリ(CD-ROM)、デジタルバーサタイルディスク(DVD)、メモリ・スティック、フロッピー(R)・ディスク、パンチカードもしくは命令が記録された溝中の隆起構造等の機械的符号化デバイス、ならびにこれらの任意の好適な組合せを含み得る。本明細書で使用するとき、コンピュータ可読記憶媒体は、電波等の自由伝搬電磁波、導波路等の送信媒体を伝搬する電磁波(たとえば、光ファイバ・ケーブルを通過する光パルス)、またはワイヤを通じて送信される電気信号等、本質的に一時的な信号としては解釈されないものとする。
【0110】
本明細書に記載のコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ可読記憶媒体から各コンピュータ/処理機器にダウンロードすることも可能であるし、たとえばインターネット、ローカル・エリア・ネットワーク、ワイド・エリア・ネットワーク、または無線ネットワーク、あるいはその組合せを介して外部コンピュータまたは外部記憶装置にダウンロードすることも可能である。ネットワークには、送信銅ケーブル、送信光ファイバ、無線送信、ルータ、ファイアウォール、スイッチ、ゲートウェイ・コンピュータ、またはエッジ・サーバ、あるいはその組合せを含み得る。各コンピュータ/処理機器のネットワーク・アダプタ・カードまたはネットワーク・インターフェースは、ネットワークからコンピュータ可読プログラム命令を受信し、当該コンピュータ可読プログラム命令を転送して、各コンピュータ/処理機器内のコンピュータ可読記憶媒体に格納する。本発明の動作を実行するコンピュータ可読プログラム命令としては、アセンブラ命令、命令セット・アーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、集積回路の設定データ、あるいはSmalltalk(R)、C++等のオブジェクト指向プログラミング言語ならびに「C」プログラミング言語もしくは類似のプログラミング言語等の手続き型プログラミング言語を含む1つまたは複数のプログラミング言語の任意の組合せで記述されたソース・コードまたはオブジェクト・コードが可能である。コンピュータ可読プログラム命令は、独立型ソフトウェア・パッケージとして全部または一部をユーザのコンピュータ上で実行することも可能であるし、一部をユーザのコンピュータ上、一部をリモート・コンピュータ上で実行することも可能であるし、全部をリモート・コンピュータまたはサーバ上で実行することも可能である。後者のシナリオでは、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)またはワイド・エリア・ネットワーク(WAN)等、任意の種類のネットワークを通じてリモート・コンピュータをユーザのコンピュータに接続することも可能であるし、(たとえば、インターネット・サービス・プロバイダを用いることによりインターネットを通じて)外部コンピュータに接続することも可能である。いくつかの実施形態においては、本発明の態様を実行するため、コンピュータ可読プログラム命令の状態情報を利用して電子回路をカスタマイズすることにより、たとえばプログラマブルロジック回路、フィールドプログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、またはプログラマブル・ロジック・アレイ(PLA)を含む電子回路がコンピュータ可読プログラム命令を実行可能である。
【0111】
本明細書においては、本発明の実施形態に係る方法、装置(システム)、およびコンピュータ・プログラム製品のフローチャート図またはブロック図あるいはその両方を参照して、本発明の態様を説明している。フローチャート図またはブロック図あるいはその両方の各ブロックならびにフローチャート図またはブロック図あるいはその両方のブロックの組合せは、コンピュータ可読プログラム命令により実装可能であることが了解される。これらのコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ等のプログラム可能データ処理装置のプロセッサを介した実行によって、フローチャート図またはブロック図あるいはその両方の1つまたは複数のブロックに規定の機能/動作を実装する手段を生成するように、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、または他のプログラム可能データ処理装置のプロセッサに提供されてマシンを構成可能である。また、これらのコンピュータ可読プログラム命令は、命令が格納されたコンピュータ可読記憶媒体が、フローチャート図またはブロック図あるいはその両方の1つまたは複数のブロックに規定の機能/動作の態様を実装する命令を含む製造品を含むように、コンピュータ、プログラム可能データ処理装置、または他の機器、あるいはその組合せに対して特定の様態で機能するように指示し得る当該コンピュータ可読記憶媒体に格納可能である。また、コンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ、他のプログラム可能装置、または他の機器上での実行によって、フローチャートまたはブロック図あるいはその両方の1つまたは複数のブロックに規定の機能/動作を実装するように、コンピュータ、他のプログラム可能データ処理装置、または他の機器へのロードによって、一連の動作をコンピュータ、他のプログラム可能装置、または他の機器上で実行させることにより、コンピュータ実装プロセスを構成可能である。
【0112】
図中のフローチャートおよびブロック図は、本発明の種々の実施形態に係るシステム、方法、およびコンピュータ・プログラム製品の考え得る実施態様のアーキテクチャ、機能、および動作を示している。この点、フローチャートまたはブロック図の各ブロックは、特定のロジック機能を実装する1つまたは複数の実行可能命令を含む命令のモジュール、セグメント、または一部を表し得る。いくつかの代替実施態様において、ブロックに記載の機能は、図面に記載の順序から外れて発生し得る。たとえば、連続して示す2つのブロックは実際のところ、関与する機能に応じて、実質的に同時に実行することも可能であるし、場合により逆の順序で実行することも可能である。また、ブロック図またはフローチャート図あるいはその両方の各ブロックならびにブロック図またはフローチャート図あるいはその両方のブロックの組合せは、特定の機能または動作を実行する専用ハードウェアベースのシステムにより実装することも可能であるし、専用ハードウェアおよびコンピュータ命令の組合せを実行することも可能である。
【0113】
1つまたは複数のコンピュータあるいはその両方で動作するコンピュータ・プログラム製品のコンピュータ実行可能命令の一般的背景にて主題を上述したが、当業者であれば、本開示が他のプログラム・モジュールとの組合せまたは組合せによる実装が可能であることが認識されよう。一般的に、プログラム・モジュールとしては、特定のタスクの実行または特定の抽象データ型の実装あるいはその両方を行うルーチン、プログラム、コンポーネント、データ構造等が挙げられる。さらに、当業者には当然のことながら、本発明に係るコンピュータ実装方法は、シングルプロセッサまたはマルチプロセッサ・コンピュータ・システム、ミニコンピュータ機器、メインフレーム・コンピュータのほか、コンピュータ、手持ち式コンピュータ機器(たとえば、PDA、電話)、マイクロプロセッサベースまたはプログラム可能な家電製品または産業用電子装置等、他のコンピュータ・システム構成により実現可能である。また、図示の態様は、通信ネットワークを通じてつながったリモート処理機器によりタスクが実行される分散コンピューティング環境において実現可能である。ただし、本開示のすべての態様ではないとしても、その一部を独立型コンピュータ上で実現可能である。分散コンピューティング環境においては、ローカルおよびリモートの両メモリ記憶装置にプログラム・モジュールを配置可能である。
【0114】
本願において使用する用語「コンポーネント(component)」、「システム(system)」、「プラットフォーム(platform)」、「インターフェース(interface)」等は、コンピュータ関連エンティティまたは1つもしくは複数の特定の機能を備えた演算マシンと関連するエンティティを表すことまたは含むこと、あるいはその両方が可能である。本明細書に開示のエンティティとしては、ハードウェア、ハードウェアとソフトウェアとの組合せ、ソフトウェア、または実行中のソフトウェアが可能である。たとえば、コンポーネントとしては、プロセッサ上で動作するプロセス、プロセッサ、オブジェクト、実行ファイル、実行スレッド、プログラム、またはコンピュータ、あるいはその組合せが可能であるが、これらに限定されない。一例としては、サーバ上で動作するアプリケーションおよびサーバの両者がコンポーネントとなり得る。1つまたは複数のコンポーネントがプロセスまたは実行スレッドあるいはその両方に存在可能であり、コンポーネントは、1つのコンピュータ上での限定または2つ以上のコンピュータ間の分散あるいはその両方が可能である。別の例においては、さまざまなデータ構造が格納されたさまざまなコンピュータ可読媒体から、各コンポーネントを実行可能である。コンポーネントは、1つまたは複数のデータ・パケット(ローカル・システム、分散システムの別のコンポーネントまたはインターネット等のネットワーク全体で信号を介した他のシステム、あるいはその両方と相互作用する1つのコンポーネントからのデータ)を有する信号等、ローカルまたはリモートあるいは両方のプロセスを介して通信可能である。別の例として、コンポーネントとしては、プロセッサが実行するソフトウェアまたはファームウェア・アプリケーションにより動作する電気または電子回路により動作する機械的部分が与える特定の機能を備えた装置が可能である。このような場合、プロセッサは、装置の内部に置くことも可能であるし、外部に置くことも可能であり、ソフトウェアまたはファームウェア・アプリケーションの少なくとも一部を実行可能である。さらに別の例として、コンポーネントとしては、機械的部分のない電子コンポーネントを通じて特定の機能を与える装置が可能であり、電子コンポーネントには、その機能の少なくとも一部を与えるソフトウェアまたはファームウェアを実行するプロセッサ等の手段を含み得る。一態様において、コンポーネントは、たとえばクラウド・コンピューティング・システム内で、仮想マシンを介して電子コンポーネントをエミュレート可能である。
【0115】
また、用語「または(or)」は、排他的な「または(or)」ではなく、両立的な「または(or)」を意味することが意図される。すなわち、別段の指定もなく、文脈から明らかでもない限り、「XがAまたはBを採用する(X employs A or B)」は、自然な両立的順列のいずれかを意味することが意図される。すなわち、XがAを採用する、XがBを採用する、またはXがAおよびBの両者を採用する場合、「XがAまたはBを採用する(X employs A or B)」は、これらの事例のいずれかにおいて満たされる。さらに、単数形を示す別段の指定もなく、文脈から明らかでもない限り、本明細書および添付の図面において使用する冠詞「ある(a)」および「一(an)」は一般的に、「1つまたは複数(one or more)」を意味するものとして解釈されるものとする。本明細書で使用するとき、用語「例(example)」または「例示(exemplary)」あるいはその両方は、一例として役立つことを意味するのに利用される。誤解を避けるため、本明細書に開示の主題は、このような例に限らない。また、「例」または「例示」あるいはその両方として本明細書に記載の如何なる態様も設計も、他の態様または設計より好適または有利なものとして必ずしも解釈されず、また、当業者に既知の同等の例示的な構造および技術を除外するものでもない。
【0116】
本明細書における採用の通り、用語「プロセッサ(processor)」は、実質的に任意のコンピュータ処理ユニットまたは機器を表すことができ、シングルコア・プロセッサ、ソフトウェアのマルチスレッド実行が可能なシングルプロセッサ、マルチコア・プロセッサ、ソフトウェアのマルチスレッド実行が可能なマルチコア・プロセッサ、ハードウェア・マルチスレッド技術を備えたマルチコア・プロセッサ、並列プラットフォーム、および分散共有メモリを備えた並列プラットフォームが挙げられるが、これらに限定されない。また、プロセッサは、本明細書に記載の機能を実行するように設計された集積回路、特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、プログラマブル・ロジック・コントローラ(PLC)、複合プログラマブル・ロジック・デバイス(CPLD)、離散ゲートもしくはトランジスタ・ロジック、離散ハードウェア・コンポーネント、またはこれらの任意の組合せを表し得る。さらに、プロセッサは、空間使用の最適化またはユーザ装置の性能の向上のため、ナノスケールのアーキテクチャとして、分子および量子ドットベースのトランジスタ、スイッチ、およびゲートを利用可能であるが、これらに限定されない。また、プロセッサは、コンピュータ処理ユニットの組合せとして実現可能である。本開示において、「ストア(store)」、「ストレージ(storage)」、「データ・ストア(data store)」、「データ・ストレージ(data storage)」、「データベース(database)」等の用語、ならびにコンポーネントの動作および機能に関連する実質的にその他の任意の情報記憶コンポーネントは、「メモリ」またはメモリを備えたコンポーネントにおいて具現化された「メモリ・コンポーネント」エンティティを表すのに利用される。当然のことながら、本明細書に記載のメモリまたはメモリ・コンポーネントあるいはその両方としては、揮発性メモリまたは不揮発性メモリのいずれかとすることも可能であるし、揮発性および不揮発性の両メモリを含むことも可能である。非限定的な一例として、不揮発性メモリには、リードオンリー・メモリ(ROM)、プログラム可能ROM(PROM)、電気的プログラム可能ROM(EPROM)、電気的消去可能ROM(EEPROM)、フラッシュ・メモリ、または不揮発性ランダム・アクセス・メモリ(RAM)(たとえば、強誘電性RAM(FeRAM))を含み得る。揮発性メモリには、たとえば外部キャッシュ・メモリとして動作可能なRAMを含み得る。非限定的な一例として、RAMは、同期RAM(SRAM)、ダイナミックRAM(DRAM)、同期DRAM(SDRAM)、ダブル・データ・レートSDRAM(DDR SDRAM)、エンハンストSDRAM(ESDRAM)、シンクリンクDRAM(SLDRAM)、ダイレクト・ラムバスRAM(DRRAM)、ダイレクト・ラムバス・ダイナミックRAM(DRDRAM)、およびラムバス・ダイナミックRAM(RDRAM)等の多くの形態で利用可能である。また、本明細書におけるシステムまたはコンピュータ実装方法の開示のメモリ・コンポーネントは、上記およびその他の任意の好適な種類のメモリを非限定的に含むことが意図される。
【0117】
上述の内容は、システムおよびコンピュータ実装方法の一例に過ぎない。当然のことながら、本開示の説明を目的として、コンポーネントまたはコンピュータ実装方法の考え得るすべての組合せを記載することはできないが、当業者であれば、本開示の別の多くの組合せおよび順列が可能であることが認識されよう。さらに、詳細な説明、特許請求の範囲、付属書、および図面において用語「含む(includes)」、「有する(has)」、「保有する(possesses)」等が使用される範囲において、このような用語は、用語「備える(comprising)」が請求項において移行語として採用される場合の解釈と同様に、包括的であることが意図される。
【0118】
以上、例示を目的として種々の実施形態の説明を提示したが、これらは、何ら網羅的であることも、開示の実施形態への限定であることも意図したものではない。当業者には、上記実施形態の範囲および精神から逸脱することなく、多くの改良および変形が明らかとなるであろう。本明細書に使用の専門用語は、実施形態の原理、実際の適用、もしくは市場に見られる技術の技術的改良の最良の説明のため、または、本明細書に開示の実施形態の当業他者による理解を可能にするために選定している。
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