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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-06
(45)【発行日】2023-10-17
(54)【発明の名称】座席支持装置
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/14 20060101AFI20231010BHJP
   A47C 3/18 20060101ALI20231010BHJP
【FI】
B60N2/14
A47C3/18 B
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019061308
(22)【出願日】2019-03-27
(65)【公開番号】P2020158011
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2022-03-14
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390010054
【氏名又は名称】コイト電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104237
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 秀昭
(72)【発明者】
【氏名】金子 史
【審査官】杉▲崎▼ 覚
(56)【参考文献】
【文献】実公昭26-010357(JP,Y1)
【文献】特開平06-262971(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/14
A47C 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
座席の向きを変換可能な座席支持装置において、
前記座席を回転軸周りに回転させる回転機構と、
前記座席を固定側より前記回転機構ごとスライドさせるスライド機構と、
前記回転機構による前記座席の回転動作に、前記スライド機構による前記座席のスライド動作を連動させるリンク機構と、を備え、
前記リンク機構は、前記座席の固定側と前記座席のスライド動作側との間で互いに連結された複数のリンク部材を備え、何れか一つの前記リンク部材は、前記座席の回転動作に伴ない揺動して各リンク部材を屈曲ないし伸展させ、前記座席のスライド動作を連動させ、
前記座席の回転動作およびスライド動作により、前記座席の向きを、背面側が壁に沿うロング状態と、背面側が壁に略直交するクロス状態と、に変換可能であって各々の状態に維持でき、
前記リンク機構は、前記座席がロング状態のとき、背面側が壁に干渉しない壁際の位置に支持させ、前記座席をロング状態からクロス状態に変換するとき、前記座席の回転軌跡が前記壁際の位置より壁側に接近しない範囲で、前記座席の回転動作にスライド動作を連動させ、
前記クロス状態には、前記座席の背面側が壁に略直交する前向きの一クロス状態と、前記一クロス状態より180度回転して後向きとなる逆クロス状態と、が含まれ、
前記リンク機構は、前記座席を前記一クロス状態ないし前記逆クロス状態に変換するとき、前記座席の回転軸を、前記座席の回転軌跡が壁に干渉しない壁からの最短位置に支持し、
前記リンク機構は、前記座席の固定側に揺動可能に支持された第1リンク部材と、前記座席のスライド動作側に揺動可能に支持された第2リンク部材と、を備え、前記第1リンク部材と前記第2リンク部材とは互いに揺動可能に連結され、
前記第2リンク部材は、前記座席の回転軸と一体に回転する出力ギヤに所定の角度範囲で噛み合う入力ギヤを備え、
前記第2リンク部材は、前記座席の回転動作に伴ない前記入力ギヤが前記出力ギヤに噛み合う所定の角度範囲で揺動され、前記第1リンク部材に対して屈曲ないし伸展され、
前記座席を前記ロング状態から前記一クロス状態に変換するとき、前記第2リンク部材に設けられた係合部が、前記座席のスライド動作側に設けられた被係合部に係合して案内され、
前記座席を前記一クロス状態ないし前記逆クロス状態に変換するとき、前記第2リンク部材に設けられた別の係合部が、前記座席の回転軸と一体に回転するガイド部材に設けられた凹溝に係合して案内され、
前記リンク機構は、前記座席のスライド動作側を、前記座席の固定側に対してスライド不能に拘束可能であり、
前記座席の回転動作側を、前記座席のスライド動作側に対して回転不能に拘束可能な一つのロック機構を備えたことを特徴とする座席支持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、座席の向きを変換可能な座席支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、鉄道車両等に搭載される座席には、その両側方向に長く複数人が掛けられる腰掛タイプが多く、一般に客室内の側壁に沿って設置されている。かかる座席には、背面側が側壁と平行なロング状態と、背面側が側壁と直交するクロス状態とに、座席中央の回転軸周りに回転させて向きを変換できる回転座席が知られている。
【0003】
このような回転座席では、通常は回転軸が一箇所に固定されており、座席を回転させるときに座席の角隅の軌跡(回転半径)が側壁と干渉しないように、座席を側壁から離して配置する必要があった。従って、座席と側壁との間に隙間が生じたり、座席が客室内で通路側に迫り出すため、通路あるいは座席の幅が狭くなる等、客室内の限られたスペースが損なわれるという問題があった。
【0004】
そこで、上記の問題を解決するために、特許文献1では、座席を回転またはスライドさせる各機構に加えて伝達機構を備え、座席を回転させて向きを転換するとき、座席の回転軌跡が側壁に干渉しないように、伝達機構により座席の回転にスライドを連動させる配列切替装置が提案されている。
【0005】
このような配列切替装置の伝達機構は、座席の回転軸と一体のカム部材と、座席の固定架台とスライド架台との間に連結された2つのアームとを備え、一方のアームに設けた係合部材をカム部材に設けたガイド孔内に摺動可能に係合させることにより、座席の回転にスライドを連動させていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第3431772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記の特許文献1に記載の技術では、伝達機構においてアームの係合部材がカム部材のガイド孔に案内されるが、ここでのガイド孔は非円形の複雑な形状であった。そのため、部品間の精度出しが面倒であるだけでなく誤差が生じやすく、部品間の動作も複雑なものとなり、故障等の不具合が生じやすいという問題があった。
【0008】
本発明は、以上のような従来の技術の有する問題点に着目してなされたものであり、簡易な構成により座席の回転とスライドを確実に連動させることができる座席支持装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の一態様は、座席の向きを変換可能な座席支持装置において、前記座席を回転軸周りに回転させる回転機構と、前記座席を固定側より前記回転機構ごとスライドさせるスライド機構と、前記回転機構による前記座席の回転動作に、前記スライド機構による前記座席のスライド動作を連動させるリンク機構と、を備える。
前記リンク機構は、前記座席の固定側と前記座席のスライド動作側との間で互いに連結された複数のリンク部材を備え、何れか一つの前記リンク部材は、前記座席の回転動作に伴ない揺動して各リンク部材を屈曲ないし伸展させ、前記座席のスライド動作を連動させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る座席支持装置によれば、簡易な構成により座席の回転とスライドを確実に連動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る座席支持装置の要部を示す斜視図である。
図2】実施形態に係る座席支持装置の要部を示す平面図である。
図3】実施形態に係る座席支持装置のロング状態を示す平面図である。
図4】実施形態に係る座席支持装置のロング状態を示す底面図である。
図5】実施形態に係る座席支持装置のロング状態を示す正面図である。
図6】実施形態に係る座席支持装置のロング状態を示す背面図である。
図7】実施形態に係る座席支持装置のロング状態を示す左側面図である。
図8】実施形態に係る座席支持装置のロング状態を示す右側面図である。
図9】実施形態に係る座席支持装置のロング状態を示す斜視図である。
図10】実施形態に係る座席支持装置の一クロス状態を示す斜視図である。
図11】実施形態に係る座席支持装置の逆クロス状態を示す斜視図である。
図12】実施形態に係る座席支持装置の回転ロック機構を示す正面図である。
図13】実施形態に係る座席支持装置のロング状態を示す説明図である。
図14】実施形態に係る座席支持装置をロング状態から一クロス状態に変換する途中過程を示す説明図である。
図15】実施形態に係る座席支持装置をロング状態から一クロス状態に変換する途中過程を示す説明図である。
図16】実施形態に係る座席支持装置をロング状態から一クロス状態に変換する途中過程を示す説明図である。
図17】実施形態に係る座席支持装置をロング状態から一クロス状態に変換した状態を示す説明図である。
図18】実施形態に係る座席支持装置を一クロス状態から逆クロス状態に変換する途中過程を示す説明図である。
図19】実施形態に係る座席支持装置を一クロス状態から逆クロス状態に変換する途中過程を示す説明図である。
図20】実施形態に係る座席支持装置を一クロス状態から逆クロス状態に変換する途中過程を示す説明図である。
図21】実施形態に係る座席支持装置を一クロス状態から逆クロス状態に変換した状態を示す説明図である。
図22】実施形態に係る座席支持装置により座席をロング状態から一クロス状態を経て逆クロス状態まで変換する一連の動作を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面に基づき本発明を代表する実施形態を説明する。
図1図22は、一実施形態を示している。
本実施形態に係る座席支持装置10は、座席1の向きを変換可能なものである。ここで座席1は、用途が限定されるものではないが、以下、鉄道車両の客室内に搭載する腰掛に適用した場合を例に説明する。なお、図22中のAは、客室内において車両進行方向と平行な側壁(本発明の「壁」に相当)の一部である。
【0013】
<座席1について>
座席1は、例えば2人掛け用の腰掛として、図22に示すように、2つの座部2と背凭れ3を両側方向に並設してなる。背凭れ3は、その下端側が座部2の後端側に支持されているが、リクライニング機構を介して傾動可能に支持させても良い。このような座席1は、座席支持装置10を介して客室内のフロア上に、背凭れ3の背面側が側壁Aに沿うように設置される。なお、座席1の背面側とは、背凭れ3の背面側と同義である。
【0014】
座席1は、その一部をなす座席支持装置10により、回転軸41を回転中心として回転可能に支持される。本実施形態の座席1では、回転するときに最大回転軌跡をなす部位は背凭れ3の上端隅である。従って、座席1を側壁Aに沿って配置するには、座席1の向きを変換する全ての過程において、背凭れ3の上端隅が側壁Aに干渉しないように設定される。一方、座席1が側壁Aから離れるほど、客室内における座席1間の通路が狭まるので、座席1はなるべく側壁Aに近接させて配置する必要もある。
【0015】
<座席1の向きについて>
座席支持装置10は、本実施形態では座席1の向きを、背面側が側壁Aに略平行に沿うロング状態と、背面側が側壁Aに略直交するクロス状態と、に変換可能なものである。ここでクロス状態には、座席1の背面側が側壁Aに略直交する前向きの一クロス状態と、一クロス状態から180度回転して後向きとなる逆クロス状態と、が含まれている。
【0016】
図22(a)は、座席1のロング状態を示し、図22(c)は、座席1の一クロス状態を示し、図22(d)は、座席1の逆クロス状態を示している。ここで座席1のロング状態の角度を0度とした場合、ロング状態から一方向(図22中で反時計回り)へ90度回転させると一クロス状態となり、さらに一クロス状態から一方向へ180度回転させると逆クロス状態となる。
【0017】
図9は、ロング状態にあるときの座席支持装置10を示し、図10は一クロス状態にあるときの座席支持装置10を示し、図11は逆クロス状態にあるときの座席支持装置10を示している。以下、一クロス状態と逆クロス状態とを総称するときは、単にクロス状態と表記する。
【0018】
<座席支持装置10について>
図1図8に示すように、座席支持装置10は、座席1の構成の一部として、脚台11と、移動台20と、座席1の台枠30と、を備えている。また、座席支持装置10は、座席1を回転軸41周りに回転させる回転機構40と、座席1を固定側である脚台11より回転機構40ごとスライドさせるスライド機構15と、回転機構40による座席1の回転動作にスライド機構15による座席1のスライド動作を連動させるリンク機構50と、を備えている。
【0019】
図1および図2に示すように、脚台11は、客室内で側壁A(図22参照)の傍らのフロアに固定される。脚台11は、例えば側壁Aと略直交する方向に長い架台状にフレーム材を組み合わせて構成されている。脚台11の上面側は略水平であり、この上面側を囲む長手方向に平行な両側端部12,12と、短手方向に平行な前端部13および後端部14と、を備えている。
【0020】
脚台11は、その後端部14が側壁Aに近接した状態でフロアに固定されている。すなわち、脚台11は、長手方向に平行な両側端部12,12が側壁Aと略直交し、短手方向に平行な前端部13および後端部14が側壁Aと略平行となるように固定されている。なお、脚台11の上面側には、台枠30の回転方向を規制するためのストッパ18,19等の関連部品も取り付けられている。
【0021】
脚台11の上面側には、スライド機構15を介して移動台20が、側壁Aと直交する方向へスライド可能に支持されている。スライド機構15は、両側一対のレールユニットからなり、各レールユニットは、脚台11側のガイドレール16と、移動台20側のスライドレール17と、を備えている。一対のガイドレール16,16は、脚台11の両側端部12,12の内側に沿って、互いに平行に対向するように取り付けられている。
【0022】
移動台20は、脚台11の上面側で両側端部12,12の間に略水平に配置されている。移動台20は、例えば長方形の枠組状にフレーム材を組み合わせて構成されている。移動台20の長手方向に平行な両側端部21,21の外側には、上記した一対のスライドレール17,17が取り付けられている。各スライドレール17は、脚台11側の各ガイドレール16の内側にスライド可能に組み合わされている。
【0023】
移動台20の略中央には、座席1の回転機構40が設けられている。回転機構40は、座席1の回転中心となる回転軸41と、駆動源である電動モータ42と、を備えている。回転軸41は、移動台20の略中央で上下方向に軸支されている。電動モータ42は、移動台20の両側端部21,21間で、回転軸41より一端寄りの位置に取り付けられている。なお、移動台20の両側端部21,21間で回転軸41より他端寄りの上面側は支持板22で覆われている。
【0024】
回転機構40は、回転軸41により座席1を移動台20上で回転可能に支持している。回転軸41の上部には、後述する台枠30が一体に取り付けられており、座席1と台枠30は、回転軸41と一体に回転するように構成されている。ここで移動台20は、固定側である脚台11に対して回転機構40ごとスライドする。
【0025】
回転軸41の下部には、回転ギヤ43が一体に固定されている。電動モータ42の出力軸には、ピニオンギヤ44が固定されている。ピニオンギヤ44は、回転ギヤ43に動力伝達可能に噛み合っている。よって、回転軸41は電動力で回転駆動される。なお、本実施形態では、ピニオンギヤ44が回転ギヤ43に直接噛み合っているが、従動ギヤを介して噛み合わせても良い。
【0026】
回転軸41の上部には、ブラケット47を介して台枠30の底面側が一体に取り付けられている。また、回転ギヤ43の上面半分には、略半円形のガイド部材45が固定されている。ガイド部材45は、後述するリンク機構50の動きを規制するものであり、その上面側には回転軸41を中心とする円周方向に沿って半円形の弧状に延びる凹溝45aが形成されている。
【0027】
また、回転ギヤ43の上面でガイド部材45と対向する側には、回転軸41を回転中心として回転ギヤ43と同期して回転する出力ギヤ46が固定されている。出力ギヤ46は、後述するリンク機構50に動力を伝達するものであり、回転軸41を中心とする所定角度の円弧状のセクタギヤとして形成されている。ここで出力ギヤ46の半径は、回転ギヤ43の半径よりも小さく設定されている。
【0028】
図3に示すように、台枠30は、座席1を取り付けて支持するものであり、座席1の底面に合致する形状の板状に形成されている。すなわち、台枠30は、その両側方向に長い略長方形に形成されている。なお、台枠30の外周のうち座席1の前側となる一長辺端縁と座席1の両側に沿う両短辺端縁とが連なる部分は、直角ではなくアール状に形成されている。
【0029】
図1に示すように、脚台11と移動台20との間には、リンク機構50が設けられている。リンク機構50は、座席1の向きをロング状態ないしクロス状態に変換するとき、回転機構40による座席1の回転動作に、スライド機構15による座席1のスライド動作を連動させるものである。
【0030】
リンク機構50は、座席1の固定側である脚台11と座席1のスライド動作側である移動台20との間で互いに連結された複数のリンク部材を備えている。何れか一つのリンク部材は、座席1の回転動作に伴ない揺動して各リンク部材を屈曲ないし伸展させ、座席1のスライド動作を連動させるものである。
【0031】
本実施形態のリンク機構50は、複数のリンク部材として、例えば第1リンク部材51と第2リンク部材52とを備えている。ここで各リンク部材51,52のうち、何れか一つのリンク部材として本実施形態では第2リンク部材52が、座席1の回転動作に伴ない揺動して各リンク部材51,52を屈曲ないし伸展させ、座席1のスライド動作を連動させるように構成されている。
【0032】
第1リンク部材51は、脚台11に揺動可能に支持されている。第2リンク部材52は、移動台20に揺動可能に支持されている。第1リンク部材51と第2リンク部材52とは、互いに揺動して屈曲ないし伸展が可能に連結軸55を介して連結されている。各リンク部材51,52は、それぞれ脚台11の上面と平行な略水平面上で動作するように支持されている。
【0033】
詳しく言えば、第1リンク部材51は、直線状の延びた細幅の板状に形成され、基端側が、脚台11の後端部14の一端に設けられたブラケット14aに、枢軸53を介して水平方向に揺動可能に支持されている。第1リンク部材51は、脚台11の後端部14に沿った位置(図13参照)から脚台11の一側端部12に沿った位置(図17参照)までの略90度の範囲で揺動可能である。
【0034】
脚台11の後端部14の内側には、第1リンク部材51が後端部14に沿った位置にあるときに当接させるリンクストッパ14bが設けられている。なお、第1リンク部材51がリンクストッパ14bから離れる初期動作時に、例えばバネ等の弾性部材によって、第1リンク部材51を揺動させる方向へ付勢するように構成しても良い。
【0035】
第2リンク部材52は、その基端から先端に向かって幅広となる板状に形成され、基端側が、第1リンク部材51の先端側に連結軸55を介して水平方向に揺動可能に連結されている。第2リンク部材52の先端側は、移動台20の両側端部21,21に架設された支持杆23に設けられたブラケット24(図2参照)に、枢軸54を介して水平方向に揺動可能に支持されている。
【0036】
第2リンク部材52は、第1リンク部材51に対して連結軸55を中心とした鋭角に屈曲した位置(図13参照)から第1リンク部材51と連結軸55を間にして直線状に連なる位置(図15参照)までの90度に満たない範囲で揺動可能である。この第2リンク部材52が、座席1の回転動作に伴ない直接的に揺動するように構成されている。
【0037】
すなわち、第2リンク部材52において、その回転中心となる枢軸54より先端側に延出した端縁には、回転機構40の出力ギヤ46に噛み合う入力ギヤ56が一体に設けられている。入力ギヤ56は、枢軸54を中心とする所定角度の円弧状のセクタギヤとして形成されている。
【0038】
入力ギヤ56が出力ギヤ46と所定の角度範囲で噛み合うことで、この噛み合い範囲で入力ギヤ56は出力ギヤ46によって回転駆動され、第2リンク部材52は上記した角度の範囲で揺動する。ここで各リンク部材51,52が鋭角に屈曲した位置(図13参照)から直線状に連なる位置(図15参照)を越えて、さらに鈍角に屈曲した時点で(図17参照)、出力ギヤ46に対する入力ギヤ56の噛み合いが外れるように設定されている。
【0039】
また、図1に示すように、第2リンク部材52には、係合部として例えばローラ57が設けられている。第2リンク部材52の上方には、移動台20の支持板22が重なるように配されている。ここで座席1のスライド動作側として支持板22に、ローラ57が移動可能に係合して案内される被係合部として例えばガイド溝22aが設けられている。
【0040】
詳しく言えば、第2リンク部材52の基端側上面において連結軸55の近傍に、ローラ57は上向きに突設されている。一方、移動台20の支持板22には、ガイド溝22aが枢軸54を中心とする円弧状に設けられている。ここでガイド溝22aは、座席1をロング状態から一クロス状態に変換するとき、第2リンク部材52の揺動に伴うローラ57の軌跡に沿った長さに設定されている。よって、ローラ57がガイド溝22aに案内されることで、各リンク部材51,52は、それぞれ動作が予め定められた屈曲ないし伸展する方向に規制される。
【0041】
また、第2リンク部材52の先端側にも、別の係合部として例えばローラ58が設けられている。第2リンク部材52の先端側の下方には、第2リンク部材52の揺動に伴い回転ギヤ43の円周方向の一部が重なるように配置されている。ここで回転ギヤ43の円周方向の一部には、上記したガイド部材45が設けられている。
【0042】
詳しく言えば、第2リンク部材52の先端側下面において入力ギヤ56の終端近傍に、ローラ58は下向きに突設されている。一方、回転ギヤ43上のガイド部材45には、凹溝45aが回転軸41を中心とする円弧状に設けられている。ここで凹溝45aの始端側は、出力ギヤ46から入力ギヤ56の終端が外れた時点で、ローラ58が入り込んで係合し案内されるように設定されている。
【0043】
第2リンク部材52は、ローラ58が凹溝45aの始端に嵌入する方向にバネ等で付勢すると良い。凹溝45aの始端から終端は、座席1を一クロス状態ないし逆クロス状態に変換するとき、定位置に支持されているローラ58が、回転軸41を中心とする180度の角度範囲で円周方向に相対的に移動する長さに設定されている。
【0044】
さらに、座席支持装置10は、座席1の回転動作側である台枠30を、座席1のスライド動作側である移動台20に対して回転不能に拘束可能な回転ロック機構60を備えている。図12に示すように、回転ロック機構60は、移動台20の上面側から上方へ出没可能なロックピン61と、台枠30に設けられて前記ロックピン61が係脱する係止孔62a,62b,62cと、を備えている。
【0045】
ロックピン61は、ユニット60aに組み込まれており、該ユニット60aは、移動台20の上面側で電動モータ42の近傍に取り付けられている。ロックピン61は、座席1がロング状態ないしクロス状態に変換されたとき、当該位置で上下に合致する台枠30側の係止孔62a,62b,62cに挿入されて係合する。ロックピン61は、上方へ突出して各係止孔62a,62b,62cに挿入されるロック位置と、下方へ没入して各係止孔62a,62b,62cから外れる解除位置とに変位する。
【0046】
図9に示すロング状態のとき、ロックピン61は、台枠30にある係止孔62aに挿入されて係合する。また、図10に示す一クロス状態のとき、ロックピン61は、台枠30にある係止孔62bに挿入されて係合する。さらに、図11に示す逆クロス状態の時、ロックピン61は、台枠30にある係止孔62cに挿入されて係合する。
【0047】
図12に示すように、ロックピン61が組み込まれたユニット60aには、ロックピン61を上方へ突出するロック位置に常時付勢するバネ部材63と、ロックピン61をバネ部材の付勢力に抗して下方の解除位置に変位させるリンク64も備えられている。リンク64は、回動中心である枢軸65より一方へ延びる一端64aがロックピン61の下端側に押し引き可能に配置され、枢軸65より他方へ延びる他端64bには、図示省略した駆動手段が押し引き可能に連結されている。
【0048】
すなわち、ロックピン61は、バネ部材63の付勢力によって通常はロック位置に維持されるが、リンク64の他端が駆動手段によって引かれると、バネ部材63の付勢力に抗して解除位置に変位するように構成されている。なお、駆動手段による操作は、電動力によるものに限らず、手動によっても行えるように構成すると良い。
【0049】
図1に示すように、脚台11の一側端部12上には、座席1の逆クロス状態から一クロス状態への変換を阻止するストッパ18が設けられている。ストッパ18は、座席1が逆クロス状態にあるとき、台枠30の底面側に設けられたブロック等の被係合部(図示せず)に係合することで、座席1が270度以上回転しないように規制するものである。
【0050】
一方、脚台11の他側端部12上には、座席1のロング状態から逆クロス状態への変換を阻止するストッパ19が設けられている。ストッパ19は、座席1がロング状態にあるとき、台枠30の底面側に設けられたブロック等の被係合部(図示せず)に係合することで、座席1が0度以下の方向には回転しないように規制するものである。
【0051】
また、脚台11の上面側の適所には、座席1が各位置に拘束されたとき、台枠30の下面側に係合してガタ付きを防止する受け部材71が取り付けられている。同様に、移動台20の上面側の適所にも、座席1が各位置に拘束されたとき、台枠30の下面側に係合してガタ付きを防止する受け部材72が取り付けられている。一方、図13に示すように、台枠30の下面側の適所には、各受け部材71,72に上から係合する被係合部材73~76が取り付けられている。各受け部材71,72および被係合部材73~76は、例えば所定の厚さで細幅状に延びるリテーナ等からなる。
【0052】
さらに、台枠30の下面側には、回転軸41を中心として円周方向に弧状に延びる回転ガイドレール77(図13参照)を設けると良い。回転ガイドレール77は、例えばロックピン61を移動可能に嵌合させることで、座席1の回転時のガタ付きをいっそう防止するものである。回転ガイドレール77の適所には、座席1が各位置に拘束されたとき、ロックピン61を上方の台枠30にある係止孔62a,62b,62cに挿通させる穴が設けられている。
【0053】
なお、本実施形態の座席支持装置10では、電動モータ42の駆動を、例えばコンピュータからなる制御盤等の制御手段によって制御すると良い。この場合、座席1のロング状態や逆クロス状態を検知するセンサ18a,19aも備えると良い。ここでセンサ18a,19aは、例えば前記ストッパ18,19に当接させる台枠30に設けた被係合部に当たると検知する近接スイッチ等を用いると良い。
【0054】
座席支持装置10の具体的な制御としては、例えば座席1がロング状態に変換されたとき、センサによる検知に基づき、制御手段によって電動モータ42の駆動を停止させる。また、座席1が逆クロス状態に変換されたとき、センサによる検知に基づき、制御手段によって電動モータ42の駆動を停止させるように制御することが考えられる。
【0055】
<座席支持装置10の動作と作用について>
次に、本実施形態に係る座席支持装置10の動作と作用を説明する。
座席1がロング状態(0度)に維持されているとき(図22(a)参照)、図13に示すように、リンク機構50は、第1リンク部材51が脚台11の後端部14に沿い、第2リンク部材52が第1リンク部材51に対して鋭角に屈曲している。このとき、第1リンク部材51と第2リンク部材52とは最大限に屈曲し、第2リンク部材52の先端は側壁Aに最も接近している。
【0056】
このような状態のリンク機構50により、座席1の移動台20は、脚台11上にスライド機構15を介して、側壁A側に最も引き寄せられた位置に支持されている。このとき、第1リンク部材51は、脚台11にあるリンクストッパ14b(図1参照)に当接し、第2リンク部材52の基端側にあるローラ57は、移動台20にあるガイド溝22aの一端に当接し、かつ第2リンク部材52の先端側の入力ギヤ56は、停止状態にある回転機構40側の出力ギヤ46に噛み合っており、リンク機構50自体も動作不能に拘束されている。
【0057】
また、座席1がロング状態に維持されているときは、上記したリンク機構50による移動台20のスライド不能な拘束とは別に、回転ロック機構60により、座席1の台枠30は、移動台20に対して回転不能に拘束されている。すなわち、図12に示す回転ロック機構60のロックピン61は、台枠30にある係止孔62a(図9参照)に係合している。
【0058】
図22(a)に示すように、座席1がロング状態にあるとき、座席1の回転中心となる回転軸41は側壁Aに最も接近した位置にあり、客室内の通路幅が広く確保されている。かかるロング状態の座席1の背面側が側壁Aに沿った位置を、側壁Aとの間に最小限の隙間を確保するための所定位置Bとして定めている。
【0059】
座席1の向きを変換するときは、所定位置Bを基準として、座席1の背凭れ3の上端隅が描く最大回転軌跡が、所定位置Bよりも側壁A側に接近しない範囲で、座席1の回転動作に回転軸41を側壁Aより通路側へ離すスライド動作を連動させる。仮に、座席1の回転軸41をロング状態のときの位置のままで回転させると、座席1の最大回転軌跡は所定位置Bを越えて側壁Aに干渉し回転させることができない。
【0060】
図22(a)から図22(c)に示すように、座席1をロング状態(0度)から一クロス状態(90度)に変換するには、回転ロック機構60のロックを解除した後、電動モータ42を駆動して正回転させる。すると、ピニオンギヤ44の回転は、回転ギヤ43を介して回転軸41に伝達され、座席1は回転軸41を中心として、図22中で反時計回りに回転を開始する。
【0061】
このとき、回転ギヤ43と共に出力ギヤ46も一体に回転し、この出力ギヤ46と噛み合っている入力ギヤ56がある第2リンク部材52は、図13から図14に示すように、図中で時計回りに枢軸54を中心として揺動を開始する。第2リンク部材52の揺動に追従して第1リンク部材51は、図中で反時計回りに枢軸53を中心として揺動し、第1リンク部材51と第2リンク部材52は互いに連結軸55を中心に伸展する。
【0062】
各リンク部材51,52が伸展する動作によって、移動台20は側壁Aから離れる通路側へ押し出されるようにスライドする。これにより、座席1の回転軸41も移動台20ごとスライドする。ここでスライドする距離は、上記したように座席1の最大回転軌跡が、図22に示す所定位置Bよりも側壁A側に接近しない範囲に設定されている。
【0063】
続いて、図14から図15に示すように、座席1がさらに回転しつつスライドすると、各リンク部材51,52は連結軸55を間に直線上に並ぶように伸展する。その後、図16に示すように、各リンク部材51,52の両端となる2つ枢軸53,54を結ぶトグル線を連結軸55が越えて、両リンク部材51,52が反対側に屈曲する。これにより、座席1は回転軸41と共に、側壁A側に少し引き戻されることになる。
【0064】
図22(c)に示すように、座席1が側壁A側に少し引き戻されつつ一クロス状態になると、このタイミングで図17に示すように、出力ギヤ46から入力ギヤ56が外れる。同時に、第2リンク部材52の先端側にあるローラ58が、回転ギヤ43と一体のガイド部材45の凹溝45aに始端側より入り込む。このとき、電動モータ42の駆動は停止され、第2リンク部材52の基端側にあるローラ57は、移動台20のガイド溝22aの他端側に係合した状態となる。
【0065】
このような状態のリンク機構50により、一クロス状態となった座席1の移動台20は、脚台11に対してスライド不能に拘束される。特に、第2リンク部材52のローラ58がガイド部材45の凹溝45aに係合しているため、座席1に対して側壁Aへ押す荷重がかかってもスライドすることはない。また、回転ロック機構60により、座席1の台枠30は、移動台20に対して回転不能に拘束される。すなわち、図12に示す回転ロック機構60のロックピン61は、台枠30にある係止孔62b(図10参照)に係合する。
【0066】
図22(c)から図22(d)に示すように、座席1を一クロス状態(90度)から逆クロス状態(270度)に変換するには、回転ロック機構60のロックを解除した後、電動モータ42を再び駆動して正回転させる。そして、図17図18図19図20図21に順に示したように、台枠30を図中で反時計回りに180度回転させる。
【0067】
このとき、リンク機構50側の入力ギヤ56は、回転機構40側の出力ギヤ46から外れているので、座席1の回転に伴いリンク機構50が動作することはない。よって、台座30が回転に伴いスライドすることはなく、回転軸41は定位置に支持されている。また、座席1が一クロス状態から逆クロス状態に回転するとき、第2リンク部材52にあるローラ58は、ガイド部材45の凹溝45aの始端から終端へ係合しながら相対的に移動する。
【0068】
これにより、座席1が回転する軌跡が、本来の回転軸41周りの円周方向に規制されるため、動作不良やガタつきを防ぐことが可能となる。座席1が逆クロス状態に到達すると、第2リンク部材52にあるローラ58は、移動台20のガイド溝22aの終端に当接して移動が阻止される。また、電動モータ42の駆動は停止され、図12に示す回転ロック機構60のロックピン61は、台枠30にある係止孔62c(図11参照)に係合し、台枠30は回転不能にロックされる。
【0069】
ところで、座席1をロング状態から一クロス状態に変換するとき、座席1が側壁Aに干渉しない最大回転軌跡は、座席1の回転軸41から背凭れ3の上端隅までの距離を半径とする。一方、座席1を一クロス状態から逆クロス状態に変換するときは、座席1の回転軸41から座部2の前端隅までの距離を半径とする。ここで回転軸41から背凭れ3の上端隅までの距離は、回転軸41から座部2の前端隅までの距離よりも大きいため、後者の回転軌跡の方が小さくて済む。
【0070】
従って、リンク機構50は、座席1を一クロス状態ないし逆クロス状態に変換するとき、座席1の回転軸41を、座部2の前端隅の回転軌跡が側壁Aに干渉しない程度の側壁Aからの最短位置に支持させるように設定されている。すなわち、図22(b)から図22(c)に示す座席1の回転時に、上記したように回転軸41を側壁A側に少し引き戻すことにより、クロス状態においても、座席1と側壁Aとの隙間を最小限にして通路用スペースを最大限に確保することが可能となる。
【0071】
また、座席1を逆クロス状態から一クロス状態に戻す場合は、同様な説明は省略するが、回転ロック機構60のロックを解除してから電動モータ42を駆動して逆回転させることで、前述した動作とは逆の動作が行われる。座席1を一クロス状態から元のロング状態に戻すに場合も、同様に前述した動作とは逆の動作が行われる。なお、座席1を一クロス状態ないし逆クロス状態に変換するには、電動モータ42の駆動によらず、手動操作によって行えるように構成すると良い。
【0072】
以上のように、本実施形態に係る座席制御装置10によれば、リンク機構50によって、回転機構40による座席1の回転動作に、スライド機構15による座席1のスライド動作を連動させる。これにより、座席1の回転動作にスライド動作を組み合わせての座席1の向きの変換を、一連の動作で容易に行うことが可能となる。
【0073】
特にリンク機構50は、複数のリンク部材51,52のうち、何れか一つである第2リンク部材52が、座席1の回転動作に伴ない揺動する。この一つの第2リンク部材52の揺動に起因して、各リンク部材51,52が屈曲ないし伸展することにより、座席1がスライド動作する。このような簡易な構成により、座席1の回転とスライドを確実に連動させることが可能となる。
【0074】
また、本実施形態では、座席1の回転動作およびスライド動作により、座席1の向きを、背面側が側壁Aに沿うロング状態と、背面側が側壁Aに略直交するクロス状態と、に変換可能である。ここでリンク機構50は、座席1がロング状態のとき、座席1をその背面側である背凭れ3が側壁Aに干渉しない壁際の所定位置Bに支持させる。
【0075】
そして、座席1をロング状態からクロス状態に変換するとき、リンク機構50は、座席1の回転軌跡が所定位置Bより側壁A側に接近しない範囲で、座席1の回転動作にスライド動作を連動させる。これにより、座席1の向きの変換時に側壁Aに干渉することを確実に防ぐことが可能となる。上記したように、各リンク部材51,52の両端間が最も近接することで座席1が側壁Aに近づく位置を、予め所定位置Bとして定めれば良い。
【0076】
また、本実施形態では、第2リンク部材52は、座席1の回転軸41と一体に回転する出力ギヤ46に所定の角度範囲で噛み合う入力ギヤ56を備える。第2リンク部材52は、座席1の回転動作に伴ない入力ギヤ56が出力ギヤ46に噛み合う所定の角度範囲で揺動する。かかる揺動に伴って第2リンク部材52は、第1リンク部材51と共に連結軸55を中心に屈曲ないし伸展するため、座席1の移動台20を押し引きすることが可能となる。
【0077】
すなわち、第2リンク部材52が第1リンク部材51と共に屈曲すれば、各リンク部材51,52の両端間の直線距離が縮まり、座席1は側壁Aに近づく方向にスライドする。逆に、第2リンク部材52が第1リンク部材51と共に伸展すれば、各リンク部材51,52の両端間の直線距離が延びて、座席1は側壁Aから遠ざかる方向にスライドする。
【0078】
また、各リンク部材51,52が屈曲ないし伸展するとき、第2リンク部材52にあるローラ57が、移動台20のガイド溝22aに係合しながら相対的に移動する。これにより、各リンク部材51,52の揺動が、予め定められた屈曲ないし伸展する方向に規制されるため、各リンク部材51,52の動作不良やガタつきを防ぐことが可能となる。また、座席1をロング状態とクロス状態とに間接的に保持するものとなり、少なからずロック機構の役割も果たす。なお、ローラ57とガイド溝22aの係合は、ガタつきを防ぐことが主目的であり、各リンク部材51,52による支持が強固であれば、ローラ57とガイド溝22aは省略しても良い。
【0079】
さらに、座席1が一クロス状態ないし逆クロス状態に変換するとき、第2リンク部材52にある別のローラ58が、回転ギヤ43と一体のガイド部材45の凹溝45aに係合しながら相対的に移動する。これにより、座席1が回転する軌跡が、本来の回転軸41周りの円周方向に規制されるため、動作不良やガタつきを防ぐことが可能となる。また、座席1を各クロス状態によりいっそう保持するものとなり、少なからずロック機構の役割も果たす。
【0080】
従って、本実施形態の座席支持装置10では、座席1の台枠30(回転動作側)を移動台20に回転不能に拘束する回転ロック機構60とは別に、従来技術で備わっていた脚台11に移動台20をスライド不能に拘束するロック機構は不要となり、一つの回転ロック機構60で足りる。これにより、複数のロック機構を備える場合の操作は簡略化され、複数のロック機構の面倒な操作に起因する誤操作も防止することができる。
【0081】
以上、実施形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成はこれらの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。例えば、脚台11、移動台20、台枠30の形状は図示したものに限定されることはない。また、座席1は2人掛けの例を説明したが、3人掛けや1人掛けの座席1であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、鉄道車両、航空機、自動車、船舶等の客室内に設置される乗物用の座席の他、劇場用、家庭用、事務用の椅子を対象とした座席支持装置として広く利用することができる。
【符号の説明】
【0083】
10…座席支持装置
11…脚台
15…スライド機構
16…ガイドレール
17…スライドレール
20…移動台
21…側端部
22…支持板
22a…ガイド溝
30…台枠
40…回転機構
41…回転軸
42…電動モータ
43…回転ギヤ
44…ピニオンギヤ
45…ガイド部材
46…出力ギヤ
50…リンク機構
51…第1リンク部材
52…第2リンク部材
53…枢軸
54…枢軸
55…連結軸
56…入力ギヤ
57…ローラ
58…ローラ
60…回転ロック機構
61…ロックピン
62a,62b,62c…係止孔
63…バネ部材
64…リンク
65…枢軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
図17
図18
図19
図20
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図22