(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-06
(45)【発行日】2023-10-17
(54)【発明の名称】車両固定装置及び車両固定システム
(51)【国際特許分類】
G01M 17/007 20060101AFI20231010BHJP
F16B 5/02 20060101ALI20231010BHJP
【FI】
G01M17/007 C
F16B5/02 U
(21)【出願番号】P 2020181504
(22)【出願日】2020-10-29
【審査請求日】2022-10-28
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】琴尾 浩介
(72)【発明者】
【氏名】西宮 和彦
(72)【発明者】
【氏名】大塚 淳司
【審査官】中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-205075(JP,A)
【文献】特開昭61-056934(JP,A)
【文献】特開2018-131058(JP,A)
【文献】実開昭50-035933(JP,U)
【文献】米国特許第06050137(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 5/00 - 5/12
F16C 21/00 - 27/08
G01M 17/00 - 17/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を固定する車両固定装置であって、
前記車両の車輪の中心に固定され、第1の方向に沿った両側面に一対の側面構造体を一体的に有する軸受ユニットと、
床面に固定された基台と、
前記一対の側面構造体に対応して設けられる一対の連結補助部材とを備え、前記一対の連結補助部材はそれぞれ一端側で前記一対の側面構造体のうち対応する側面構造体と連結され、
前記一対の連結補助部材に対応して、前記基台上に立設して固定される一対の架台をさらに備え、前記一対の連結補助部材はそれぞれ他端側で前記一対の架台のうち対応する架台と連結され、前記軸受ユニット及び前記一対の連結補助部材は、前記第1の方向に沿って、前記一対の架台の間に配置され、
前記車両固定装置は前記車両の固定後において、前記第1の方向が前記車両の前後方向に一致する、
車両固定装置。
【請求項2】
請求項1記載の車両固定装置であって、
前記一対の架台はそれぞれ、前記基台に立設され、前記一対の連結補助部材のうち対応する連結補助部材に対向する高さ方向孔形成面を有する高さ調整部材を含み、
前記高さ調整部材は、前記高さ方向孔形成面を貫通する高さ調整用孔を有し、前記高さ調整用孔を貫通する連結補助固定部材を用いて前記一対の連結補助部材のうち対応する連結補助部材と連結され、前記連結補助固定部材の設置位置によって前記一対の連結補助部材それぞれの設置高さが規定され、
前記高さ調整用孔は、前記連結補助固定部材の設置位置を、前記架台の立設方向に沿って調整可能な長孔形状で形成されることを特徴とする、
車両固定装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の車両固定装置であって、
前記一対の架台はそれぞれ前記基台の表面上に設けられ、前記基台の表面に沿って幅方向形成面を有する幅調整部材を含み、
前記幅調整部材は前記幅方向形成面に幅調整用孔を有し、前記幅調整用孔を貫通する架台用固定部材を用いて前記基台と連結され、前記架台用固定部材の設置位置によって前記一対の架台それぞれの第2の方向における位置が規定され、前記第2の方向は前記第1の方向に対し直交する方向であり、
前記幅調整用孔は、前記架台用固定部材の設置位置を、前記第2の方向に沿って調整可能な長孔形状で形成されることを特徴とする、
車両固定装置。
【請求項4】
一対の前輪及び一対の後輪を有する車両を固定する車両固定システムであって、前記一対の前輪及び前記一対の後輪のうち一方が一対の固定対象車輪として規定され、他方が一対の解放対象車輪として規定され、
前記一対の固定対象車輪に対応する一対の車両固定装置を備え、
前記一対の車両固定装置はそれぞれ、請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載の車両固定装置を含み、
前記一対の車両固定装置によって前記一対の固定対象車輪は固定され、
前記一対の解放対象車輪は固定されることなく解放される、
車両固定システム。
【請求項5】
請求項4記載の車両固定システムであって、
前記一対の固定対象車輪は前記一対の後輪であり、
前記一対の解放対象車輪は前記一対の前輪である、
車両固定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両の車輪を固定するための車両固定装置に関するものであり、例えば、シャーシダイナモメータ上に載置された車両を固定する際に使用する車両固定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シャーシダイナモメータは、車両(自動車)の走行に関する試験を行う際に用いられている。また、当該試験を行う際には、シャーシダイナモメータに対して車両の車輪を固定すべく、車両における車輪の車軸を保持する車両固定装置が必要となる。従来の車両固定装置として例えば特許文献1で開示された車両固定システムがある。
【0003】
特許文献1で開示された従来の車両固定装置は、車両(自動車)の車輪に固定される軸受装置(軸受ユニット)と、床面に設けられる固定部(ベースプレート)と、上記軸受装置と上記固定部との間に配設される所定長のロッド部(ジョイントシャフト)とを主要部として含み、上記ロッド部の一方端が上記軸受装置に連結され、上記ロッド部の他方端が上記固定部に連結される態様が一般的であった。
【0004】
図16は従来の車両固定装置200の全体構成を示す斜視図である。同図に示すように、軸受ユニット111は車輪108の中心に位置する車軸に取り付けされる。軸受ユニット111は、主要構成要素として、ベアリング部111B及び一対のヒンジブロック111Jを含んでいる。一対のヒンジブロック111J,111Jは軸受ユニット111の本体部の両側面に取り付けられる。
【0005】
図17は軸受ユニット111とヒンジブロック111Jとの連結状態を示す説明図である。同図に示すように、一対のヒンジブロック111J,111Jそれぞれの底面部が2つのボルト130を用いて軸受ユニット111の対応する側面に連結されている。
【0006】
図16に戻って、ジョイントシャフトとなるロッド部112は本体部112A、一方取付部112B(一方端)及び他方取付部112C(他方端)を主要構成部として有しており、一方端である一方取付部112Bから他方端の他方取付部112Cにかけて長手方向に所定長の長さで形成される。
【0007】
図16に示すように、一方取付部112Bは断面視コの字状を呈し、コの字状の上下部分を構成する対向面であるヒンジ面にピン137を挿入することにより、ヒンジブロック111Jに取り付けている。
【0008】
この際、ピン137の締め付け内容は、ピン137を第1の回転軸としてロッド部112の回転を許容する回転許容状態に設定される。
【0009】
したがって、ロッド部112は一方取付部112Bのピン137を第1の回転軸として第1の回転動作が可能となる。
【0010】
同様に、他方取付部112Cは断面視コの字状を呈し、コの字状の上下部分を構成する対向面であるヒンジ面にピン138を挿入することにより、固定部113に取り付けている。
【0011】
この際、ピン138の締め付け内容は、ピン138を第2の回転軸としてロッド部112が回転可能な回転許容状態とする。
【0012】
したがって、ロッド部112は他方取付部112Cのピン138を第2の回転軸として第2の回転動作が可能となる。
【0013】
そして、従来の車両固定システムは、上述した従来の車両固定装置200を4台含んで構成され、4台の車両固定装置200を車両の4つの車輪108に対応して用いていた。
【0014】
以下、従来の車両固定システムによる車両固定方法の処理手順を説明する。以下で述べる手順は1つの車輪108に対するものである。
【0015】
まず、ステップS101において、車両を搬入し、ローラを有する床面上に車両を配置する。
【0016】
次に、ステップS102において、車輪108のホイールナットを外し、延長ホイールナットを取り付ける。
【0017】
その後、ステップS103において、延長ホイールナットにアダプタを取り付けた後、ステップS104においてアダプタにシャフトを取り付ける。
【0018】
そして、ステップS105において、シャフトに軸受ユニット111の本体部を取り付けて締結し、ステップS106において、軸カバーを軸受ユニット111の本体部に取り受ける。
【0019】
その後、ステップS107において、ヒンジブロック111Jを軸受ユニット111の本体部に仮締結する。
【0020】
次に、ステップS108で、一対のジョイントシャフトである一対のロッド部112の初期長さを調整した後、ステップS109でヒンジブロック111Jとロッド部112の一方取付部112Bとの間を仮締結する。
【0021】
そして、ステップS110で、一対のロッド部112間の角度を調整する角度調整用治具を取り付けた後、ステップS111で、一対のロッド部112の長さを微調整する。
【0022】
その後、ステップS112で、ベースプレートである固定部113を床面のレール上に仮設置し、固定部113とロッド部112の他方取付部112Cとの間を仮締結する。
【0023】
そして、ステップS113で、軸受ユニット111の本体部とヒンジブロック111Jとを本締結する。
【0024】
続いて、ステップS114で軸受ユニット111とロッド部112の一方取付部112Bとの間を本締結する。
【0025】
次に、ステップS115で、固定部113とロッド部112の他方取付部112Cとを本締結する。
【0026】
その後、ステップS116で、固定部113と床面上のレールとを本締結する。
【0027】
そして、ステップS117で、ロッド部112の長さ調整用ナットを本締結し、ロッド部112の長さを確定する。
【0028】
最後に、ステップS118で、角度調整用治具を取り外して終了する。上述したステップS101~S118の処理が、4つの車輪108に対して総計4回実行される。
【0029】
なお、従来の車両固定システムを用いて車両を固定して行うシャーシダイナモメータの試験として、例えば、車両の風の流れを模擬することを重視した試験が考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0030】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0031】
従来の車両固定装置は以上のように構成されており、ジョイントシャフトとなるロッド部112とベースプレートとなる固定部113とが、車輪108から比較的離れた位置に設けられる。
【0032】
ここで、従来の車両固定装置200により車両を固定した後、車両の操作に関するセンシング情報や外界センサからの検出情報を利用して、画像シミュレータやターゲットシミュレータを利用した車両シミュレーションを行う場合を考える。
【0033】
この場合、従来の車両固定装置200では、車輪108から比較的離れた位置に存在するロッド部112や固定部113が、外界センサの検出範囲に存在してしまう。すなわち、車両固定装置200の構成要素(ロッド部112及び固定部113)の存在が車両に搭載される外界センサのセンシング機能を妨げてしまう。
【0034】
このため、従来の車両固定装置によって車両を固定して車両シミュレーションを実行する場合、精度良く車両シミュレーションを行うことができないという問題点があった。
【0035】
さらに、車両を安定性良く固定すべく、従来の車両固定システムは、車両の4つの車輪108に対応して4台の車両固定装置200を設けていた。
【0036】
このため、4台の車両固定装置200を対応する車輪108に取り付ける必要があり、車両固定に要する作業時間が長くなるという問題点があった。
【0037】
本開示は上記問題点を解決するためになされたもので、外界センサのセンシング機能を妨げる可能性を最小限に抑えた車両固定装置、及び、車両固定に要する作業時間の短縮化を図った車両固定システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0038】
本開示の車両固定装置は、車両を固定する車両固定装置であって、前記車両の車輪の中心に固定され、第1の方向に沿った両側面に一対の側面構造体を一体的に有する軸受ユニットと、床面に固定された基台と、前記一対の側面構造体に対応して設けられる一対の連結補助部材とを備え、前記一対の連結補助部材はそれぞれ一端側で前記一対の側面構造体のうち対応する側面構造体と連結され、前記一対の連結補助部材に対応して、前記基台上に立設して固定される一対の架台をさらに備え、前記一対の連結補助部材はそれぞれ他端側で前記一対の架台のうち対応する架台と連結され、前記軸受ユニット及び前記一対の連結補助部材は、前記第1の方向に沿って、前記一対の架台の間に配置され、前記車両固定装置は前記車両の固定後において、前記第1の方向が前記車両の前後方向に一致する。
【発明の効果】
【0039】
本開示の車両固定装置において、一対の架台は基台上に立設しており、軸受ユニット及び一対の連結補助部材は、第1の方向に沿って、一対の架台の間に配置されている。
【0040】
このため、車両固定装置による車両の固定後において、車両固定装置の主要な構成要素である、軸受ユニット、一対の連結補助部材、一対の架台及び基台は、すべて車両の固定対象となる車輪の近傍に配置される。
【0041】
したがって、本開示の車両固定装置の主要構成要素は、車両に搭載される外界センサのセンシング機能を妨げる可能性を最小限に抑えることができる。
【0042】
加えて、軸受ユニット、一対の連結補助部材、一対の架台及び基台は、すべて車両の近傍に配置されるため、軸受ユニットから基台までの距離を比較的短く設定することができる。その結果、本開示の車両固定装置は車輪を安定性良く固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】実施の形態1である車両固定装置の構成を示す斜視図である。
【
図2】実施の形態1の車両固定装置の構成を示す正面図である。
【
図3】実施の形態1の車両固定装置の構成を示す側面図である。
【
図4】実施の形態1の車両固定装置の構成を示す上面図である。
【
図5】実施の形態1の車両固定装置のピットカバー上での設置状態を示す説明図である。
【
図6】
図1~
図5で示した軸受ユニットの詳細を示す正面図である。
【
図7】
図1~
図5で示したヒンジブロックと右側ロッドエンドとの連結状態を示す説明図である。
【
図8】
図1~
図5で示した右側ロッドエンドの構成を示す正面図である。
【
図9】
図1~
図5で示した右側ロッドエンドの構成を示す下面図である。
【
図12】
図1~
図5で示した架台の架台第1側面の構成を示す側面図である。
【
図14】実施の形態2である車両固定システムの構成を示す説明図(上面図)である。
【
図15】実施の形態2の車両固定システムの構成を示す説明図(側面図)である。
【
図16】従来の車両固定装置の全体構成を示す斜視図である。
【
図17】
図16で示した軸受ユニットとヒンジブロックとの連結状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
<実施の形態1>
図1は本開示の実施の形態1である車両固定装置1の構成を示す斜視図である。
図2は車両固定装置1の構成を示す正面図である。
図3は車両固定装置1の構成を示す側面図である。
図4は車両固定装置1の構成を示す上面図である。
図5は車両固定装置1のピットカバー3上での設置状態を示す説明図である。
図1~
図5それぞれにXYZ直交座標系を記している。
【0045】
これらの図に示すように、車両固定装置1は、主要構成要素として、延長ホイールナット82、アダプタ16、シャフト18、軸受ユニット11、一対のロッドエンド12、一対の架台20、及びベース14を含んで構成される。なお、延長ホイールナット82、アダプタ16及びシャフト18は従来と同様な構成である。以下、車両固定装置1の特徴部分となる軸受ユニット11、一対のロッドエンド12、一対の架台20及びベース14を中心に説明する。
【0046】
なお、軸受ユニット11、一対のロッドエンド12、一対の架台20及びベース14の構成材料は、金属等の比較的強度が高い材料で構成される。
【0047】
(軸受ユニット11)
図1に示すように、軸受ユニット11は、延長ホイールナット82、アダプタ16及びシャフト18を介して対応する車輪8の中心となる車軸に固定される。例えば、
図5に示すように、最大車輪8Lを固定する場合、XZ平面において軸受ユニット11は最大車輪8Lの中心に位置するように配置される。
【0048】
図6は軸受ユニット11の詳細を示す正面図である。
図6にXYZ直交座標系を記している。
【0049】
同図に示すように、軸受ユニット11は、主要構成要素として、本体部、ベアリング部11B、取っ手部11T及び一対のヒンジブロック11J,11Jを含んでいる。なお、ベアリング部11Bは従来と同様な構成である。なお、本体部は、軸受ユニット11全体から、取っ手部11T及び一対のヒンジブロック11Jを除いた部分を指し、本体部にベアリング部11Bが設けられている。
【0050】
取っ手部11Tは軸受ユニット11の本体部の上面上に設けられる。作業者は取っ手部11Tを掴むことにより、軸受ユニット11の移動等の作業を比較的簡単に行うことができる。
【0051】
一対の側面構造体である一対のヒンジブロック11J,11Jは、軸受ユニット11の本体部の両側面に溶接等によって一体的に設けられる。すなわち、従来の車両固定装置200のように、互いに独立した軸受ユニット111とヒンジブロック111Jとを、連結用の固定部材(ボルト130)を用いて連結する態様(
図17参照)を採用していない。
【0052】
一対のヒンジブロック11J,11Jは、第1の方向であるX方向に沿って、軸受ユニット11の両側面に設けられる。なお、一対のヒンジブロック11J,11JはそれぞれX方向に対し下方に少し傾き(α:
図7,
図8参照)を有している。
【0053】
ここで、第1の方向であるX方向は、車両固定装置1が車両2を固定した後において、車両2の前後方向に一致する方向である。
【0054】
図6に示すように、一対のヒンジブロック11J,11Jはそれぞれ略Z方向に沿って貫通する貫通孔11hを有している。
【0055】
(ロッドエンド12)
図1~
図5に示すように、一対の側面構造体である一対のヒンジブロック11J,11Jに対応して一対の連結補助部材である一対のロッドエンド12(12R、12L)が設けられる。ここで、一対のロッドエンド12それぞれにおいて、軸受ユニット11側を一端側、架台20(20R、20L)側を他端側とする。また、一対のロッドエンド12は、右側(+X方向側)の右側ロッドエンド12Rと左側(-X方向側)の左側ロッドエンド12Lとから構成される。
【0056】
右側ロッドエンド12Rと左側ロッドエンド12LとはZ軸に対して対称な形状を有している。右側ロッドエンド12Rと左側ロッドエンド12Lとの実質的な形状は同じであるため、以下では、右側ロッドエンド12Rを代表して説明する。
【0057】
図7はヒンジブロック11Jと右側ロッドエンド12Rとの連結状態を示す説明図である。
図8は右側ロッドエンド12Rの構成を示す正面図である。
図9は右側ロッドエンド12Rの構成を示す下面図である。
図7~
図9それぞれにXYZ直交座標系を記している。
【0058】
図8及び
図9に示すように、右側ロッドエンド12RはXZ平面において略コの字状を形成され、コの字状の上下部分を構成する2つの対向面それぞれに同一の中心軸C1を有する取付用開口部41が設けられる。さらに、
図8に示すように、右側ロッドエンド12Rの外側(+X方向側)の側面に、中心軸C2を有する取付用開口部42が形成されている。
【0059】
図7に示すように、ヒンジピン11Pによって右側(+X方向側)のヒンジブロック11Jと右側ロッドエンド12Rとが連結される。すなわち、右側ロッドエンド12Rは一端側(-X方向側)で右側のヒンジブロック11Jと連結される。連結後、右側ロッドエンド12Rの外側の側面は高さ方向となるZ方向に沿った面となる。
【0060】
ヒンジピン11Pは、右側ロッドエンド12Rの上方対向面の取付用開口部41(
図8参照)、ヒンジブロック11Jの貫通孔11h(
図6参照)、及び、右側ロッドエンド12Rの下方対向面(
図8参照)を貫通して、ヒンジピン11P(
図7参照)を装着し、右側ロッドエンド12Rの下方対向面から突出したヒンジピン11Pの軸先端部分をナット11Nで締め付けている。
【0061】
このように、ヒンジピン11P及びナット11Nを用いて、互いに対応する右側のヒンジブロック11Jと右側ロッドエンド12Rとを連結することができる。
【0062】
なお、互いに対応する、左側(-X方向側)のヒンジブロック11Jと左側ロッドエンド12Lとの連結も同様に行われる。すなわち、ヒンジピン11P及びナット11Nを用いて、左側ロッドエンド12Lは一端側(+X方向側)で左側のヒンジブロック11Jと連結される。
【0063】
上述したように、一対の連結補助部材である一対のロッドエンド12はそれぞれ一端側で一対の側面構造体である一対のヒンジブロック11J,11Jのうち対応するヒンジブロック11Jと連結される。
【0064】
したがって、一対のロッドエンド12(12R,12L)は、従来の車両固定装置200のロッド部112(
図16参照)のように回転動作を行うことはない。
【0065】
(架台20)
一対の連結補助部材である一対のロッドエンド12に対応して、一対の架台20(20R,20L)が設けられる。一対の架台20は基台であるベース14上に立設して固定されている。
【0066】
図10は架台20の主として架台用土台21(21R,21L)を示す底面図である。
図11は架台20の全体構成を示す正面図である。
図12は主として架台第1側面22の構成を示す側面図である。
図10~
図12それぞれにXYZ直交座標系を記している。
【0067】
これらの図に示すように、一対の架台20は、架台右部20R及び架台左部20Lから構成される。架台右部20Rは架台用土台右部21R、架台第1側面右部22R及び架台第2側面右部23Rを主要構成要素として含んでいる。同様に、架台左部20Lは架台用土台左部21L、架台第1側面左部22L及び架台第2側面左部23Lを主要構成要素として含んでいる。
【0068】
図1~
図5に示すように、一対のロッドエンド12はそれぞれ他端側で一対の架台20のうち対応する架台20と連結され、軸受ユニット11及び一対のロッドエンド12は、第1の方向であるX方向に沿って、一対の架台10の間に配置される。
【0069】
ここで、右側ロッドエンド12Rと架台右部20Rとが対応し、左側ロッドエンド12Lと架台左部20Lとが対応する。したがって、右側ロッドエンド12Rは、他端側(+X方向側)で架台右部20Rと連結され、左側ロッドエンド12Lは、他端側(-X方向側)で架台左部20Lと連結される。そして、一対の架台20を構成する架台左部20Lと架台右部20Rとの間において、X方向に沿って左側ロッドエンド12L、軸受ユニット11及び右側ロッドエンド12Rが配置される。
【0070】
したがって、
図4に示すように、軸受ユニット11、一対のロッドエンド12及び一対の架台20の組合せ構造のXY平面における占有面積を比較的小さくしてコンパクトにすることができる。
【0071】
図2,
図10及び
図11に示すように、架台右部20Rと架台左部20LとはZ軸に対して対称な形状を有している。架台右部20Rと架台左部20Lとの実質的な形状は同じであるため、以下では、架台右部20Rを中心に説明する。
【0072】
前述したように、架台右部20Rは、架台用土台右部21R、架台第1側面右部22R及び架台第2側面右部23Rを主要構成要素として含んでいる。
【0073】
図1~
図4に示すように、架台用土台右部21Rはベース14の表面に接触する態様で、ボルト33を用いてベース14に固定される。このように、架台用土台右部21Rはベース14に連結される幅調整部材として機能する。
【0074】
架台用土台右部21Rに対し、立設する態様で架台第1側面右部22R及び架台第2側面右部23Rが固定されている。このように、架台用土台右部21R、架台第1側面右部22R及び架台第2側面右部23Rは一体的に構成される。
【0075】
図10に示すように、架台用土台右部21RはXY平面で規定される幅方向形成面を有する幅調整部材となる。架台用土台右部21Rは、幅方向形成面の上面から下面にかけて貫通する幅調整用孔として幅調整用長孔51R及び52Rを有している。幅調整用長孔51R及び52RはそれぞれY方向に沿った縦長の長孔形状を呈している。
【0076】
したがって、幅調整用孔である幅調整用長孔51R及び52Rを介してベース14にボルト33を装着して固定することにより、架台右部20Rをベース14上に固定することができる。この際、ボルト33が架台用固定部材として機能する。
【0077】
さらに、幅調整用長孔51R及び52Rはそれぞれボルト33の設置位置を、第2の方向であるY方向に沿って調整可能な長孔形状で形成されている。
【0078】
したがって幅調整用長孔51R及び52Rにおけるボルト33のY方向における設置位置を調整することにより、架台右部20RのY方向の配置位置を調整することができる。
【0079】
例えば、
図1及び
図4に示すように、幅調整用長孔51R及び52Rの-Y方向側の端部を貫通させてボルト33を装着した場合、架台右部20Rを車輪8に最も近づけることができる。すなわち、トレッド幅が最小の車両2に対応して架台右部20RのY方向の位置を設定することができる。
【0080】
図11に示すように、架台第1側面右部22Rは、XZ平面で規定される主要形成面を有している。
【0081】
図12に示すように、架台第2側面右部23RはYZ平面で規定される高さ方向孔形成面を有する高さ調整部材となる。
【0082】
これらの図に示すように、架台第1側面右部22Rの主要形成面の-X方向の端部に、高さ方向孔形成面の端部が連結する態様で架台第2側面右部23Rが設けられる。この際、架台第1側面右部22Rの主要形成面と架台第2側面右部23Rの高さ方向孔形成面とが直交する位置関係となる。このように、架台第1側面右部22Rと架台第2側面右部23Rとが一体化することにより互いの強度を高めている。
【0083】
架台第2側面右部23Rは、高さ方向孔形成面を貫通する高さ調整用長孔43を有している。高さ調整用孔となる高さ調整用長孔43はZ方向に沿った縦長の長孔形状を呈している。
【0084】
したがって、
図2に示すように、架台第2側面右部23Rの高さ調整用長孔43及び右側ロッドエンド12Rの取付用開口部42にボルト32の軸部を貫通させ、ボルト32の軸部の先端部を図示しないナット等で固定することにより、右側ロッドエンド12Rと架台右部20Rとを連結することができる。ボルト33及び図示しないナット等がロッドエンド固定部材(連結補助固定部材)として機能する。
【0085】
さらに、高さ調整用長孔43はボルト32の設置位置を、第1の方向であるZ方向に沿って調整可能な長孔形状で形成されている。
【0086】
したがって、高さ調整用長孔43におけるボルト32のZ方向における設置位置を調整することにより、右側ロッドエンド12RのZ方向の配置位置を調整することができる。
【0087】
例えば、
図1や
図3に示すように、高さ調整用長孔43の+Z方向側の端部を貫通させてボルト33を装着した場合、右側ロッドエンド12Rを最も高く配置することができる。すなわち、最大車輪8Lを有する車両2に対応して右側ロッドエンド12RのZ方向の位置を設定することができる。
【0088】
以上、架台右部20Rを中心に説明したが、架台左部20Lの架台用土台左部21Lも幅調整用長孔51L及び52Lを有することにより、架台右部20Rの架台用土台右部21Rと同様の幅調整機能を有している。
【0089】
加えて、架台左部20Lの架台第2側面左部23Lも高さ調整用長孔43を有することにより、架台左部20Lの架台第2側面右部23Rと同様の左側ロッドエンド12Lに対する高さ調整機能を有している。
【0090】
したがって、一対の架台20はそれぞれ、基台となるベース14の表面上に設けられ、ベース14の表面に沿って、XY平面で規定される幅方向形成面を有する幅調整部材となる架台用土台21(21R,21L)を含んでいる。
【0091】
各架台用土台21は幅方向形成面に幅調整用孔51(51R,51L),52(52R,52L)を有し、幅調整用長孔51及び52を貫通する架台用固定部材であるボルト33を用いてベース14と連結される。
【0092】
ボルト33の設置位置によって一対の架台20それぞれの第2の方向であるY方向における位置が規定され、Y方向は第1の方向であるX方向に対し直交する方向となっている。
【0093】
そして、幅調整用長孔51及び52は、ボルト33の設置位置を、Y方向に沿って調整可能な長孔形状で形成されることを特徴としている。
【0094】
一対の架台20はそれぞれ、ベース14に立設され、一対のロッドエンド12のうち対応するロッドエンド12に対向する高さ方向孔形成面を有する高さ調整部材として、架台第2側面23(23R,23L)を含んでいる。高さ方向孔形成面はYZ平面で規定される面である。
【0095】
各架台第2側面23は高さ方向孔形成面を貫通する高さ調整用長孔43を有し、高さ調整用長孔43を貫通するロッドエンド固定部材(連結補助固定部材)であるボルト32等を用いて、一対のロッドエンド12のうち対応するロッドエンド12と連結され、ボルト32の設置位置によって一対のロッドエンド12それぞれの設置高さが規定される。
【0096】
各高さ調整用長孔43は、ボルト32の設置位置を、架台20の立設方向であるZ方向に沿って調整可能な長孔形状で形成されることを特徴としている。
【0097】
(ベース14)
図13はベース14の構成を示す説明図である。同図(a)は上面図であり、同図(b)は正面図である。
図12(a),(b)それぞれにXYZ直交座標系を記している。
【0098】
同図(a)に示すように、ベース14はX方向に沿った両端部近傍及び中央部に3つの取付用開口部45を有している。3つの取付用開口部45はそれぞれボルト34の軸部を貫通せるための開口部である。
【0099】
したがって、同図(a)、
図1、
図4及び
図5に示すように、3つのボルト34によって、ベース14を床面構成台19上に固定することができる。床面構成台19によってピットカバー3が構成される。ピットカバー3下にシャーシダイナモメータの主要構成部であるローラ対4が配置されている。なお、ベース14の床面構成台19上における固定位置は一定である。
【0100】
さらに、ベース14はX方向に沿って4つの取付用開口部44を有している。4つの取付用開口部44はそれぞれ架台用固定部材であるボルト33の軸部を貫通させるための開口部である。
【0101】
したがって、同図(a)及び
図1に示すように、架台用土台21(21R,21L)の4つの幅調整用長孔51R,52R4,51L,52R及びベース14の4つの取付用開口部44に4つのボルト33の軸部を貫通させナット等で固定することにより、ベース14に一対の架台用土台21(21R,21L)固定することができる。その結果、一対の架台20(20R,20L)をベース14の表面上に立設して固定することができる。
【0102】
なお、同図(b)で示す7つの一点鎖線は、3つの取付用開口部45及び4つの取付用開口部44に対応する中心軸を示している。また、同図(a),(b)それぞれで示す点線の領域は底面に形成される凹部を示している。
【0103】
このように、基台となるベース14は、床面構成台19を含むピットカバー3に固定され、一対の架台20はベース14の表面上で、架台第1側面22及び架台第2側面23が立設した状態で固定される。
【0104】
そして、ベース14の少なくとも一部が軸受ユニット11の直下に位置するように、ベース14は軸受ユニット11から比較的近い位置に配置されている。
【0105】
(効果)
実施の形態1の車両固定装置1において、一対の架台20は基台であるベース14上に立設しており、軸受ユニット11及び一対の連結補助部材である一対のロッドエンド12は、第1の方向であるX方向に沿って、一対の架台20の間に配置されている。
【0106】
このため、車両固定装置1による車両2の固定後において、車両固定装置1の主要な構成要素である、軸受ユニット11、一対のロッドエンド12、一対の架台20及びベース14は、車両2における固定対象の車輪8(8L,8S)の近傍に配置される。
【0107】
したがって、実施の形態1の車両固定装置1の主要構成要素は、車両に搭載される外界センサのセンシング機能を妨げる可能性を最小限に抑えることができる。
【0108】
加えて、軸受ユニット11、一対のロッドエンド12、一対の架台20及びベース14は、すべて固定対象の車輪8の近傍に配置されるため、軸受ユニット11からベース14までの距離を比較的短く設定することができる。その結果、実施の形態1の車両固定装置1は固定対象となる車輪8を安定性良く固定することができる。
【0109】
さらに、一対の架台20それぞれの架台第2側面23に設けられた高さ調整用長孔43は、連結補助固定部材となるボルト32の設置位置を、架台20の立設方向であるZ方向に沿って調整可能に長孔形状で形成されている。
【0110】
このため、実施の形態1の車両固定装置1は、車輪8の大きさを考慮して、最適な高さで車輪8を固定した軸受ユニット11の配置高さに適合するように、一対のロッドエンド12の設置高さを調整することができる。
【0111】
加えて、一対の架台20それぞれの架台用土台21に設けられた幅調整用長孔51及び52は、架台用固定部材であるボルト33の設置位置を、第2の方向であるY方向に沿って調整可能な長孔形状で形成されている。
【0112】
このため、実施の形態1の車両固定装置は、車輪8のトレッド幅を考慮して、最適なY方向の位置で車輪8を固定した軸受ユニット11に適合するように、一対の架台20の幅方向調整を行うことができる。
【0113】
<実施の形態2>
(車両固定システム10)
図14及び
図15は本開示の実施の形態2である車両固定システム10の構成を示す説明図である。
図14は上面図、
図15は側面図である。
図14及び
図15それぞれにXYZ直交座標系を記している。
図14及び
図15において、X方向が車両2(自動車)の前後方向となり、-X方向側が車両2の前方となり、+X方向側が車両2の後方となる。
【0114】
これらの図に示すように、実施の形態2の車両固定システム10は、2台の実施の形態1の車両固定装置1を含んで構成される。
【0115】
車両(自動車)2は4つの車輪8として一対の前輪8F及び一対の後輪8Bを有しており、車両固定システム10は、車両2を2台の車両固定装置1を用いて床面となるピットカバー3上に固定している。
【0116】
実施の形態2の車両固定システム10では、一対の後輪8Bを一対の固定対象車輪とし、一対の前輪8Fを一対の解放対象車輪としている。
【0117】
そして、一対の固定対象車輪である一対の後輪8Bに対応して一対の車両固定装置1が設けられる。一対の車両固定装置1はそれぞれ実施の形態1で示した構成を呈している。
【0118】
車両固定システム10は、一対の車両固定装置1によって一対の後輪8Bのみを固定している。したがって、一対の前輪8Fは車両固定装置1によって固定されることなく解放されている。
【0119】
以下、実施の形態2の車両固定システム10による車両固定方法の処理手順を説明する。以下で述べる手順は1つの後輪8Bに対するものである。
【0120】
まず、ステップS1において、車両2を搬入し、ローラ対4を有する床面となるピットカバー3上に車両2を配置する。
【0121】
次に、ステップS2において、後輪8Bのホイールナットを外し、延長ホイールナット82(
図1参照)を取り付ける。
【0122】
その後、ステップS3において、延長ホイールナット82にアダプタ16(
図1参照)を取り付けた後、ステップS4においてアダプタ16にシャフト18(
図1参照)を取り付ける。
【0123】
そして、ステップS5において、シャフト18に軸受ユニット111を取り付けて締結する。この際、軸受ユニット111に一対のロッドエンド12を予め連結させておく。
【0124】
その後、ステップS6において、軸カバーを軸受ユニット111に取り受ける。
【0125】
次に、ステップS7において、ピットカバー3となる床面構成台19上にベース14を設置し、3つのボルト34を用いて床面構成台19にベース14を締結する。
【0126】
そして、ステップS8Aにおいて、一対の架台20をベース14上に搭載し、一対の架台20それぞれにおいて、ベース14の4つの取付用開口部44に対する、架台用土台21の幅調整用長孔51及び52のY方向の設置位置を調整する。
【0127】
さらに、ステップS8Aに関連するステップS8Bにおいて、一対の架台20それぞれにおいて、ロッドエンド12の取付用開口部42に対する、架台第2側面23の高さ調整用長孔43のZ方向の設置位置を調整する。
【0128】
その後、ステップS9Aにおいて、2つのボルト32を用いて、一対のロッドエンド12と一対の架台20とを仮連結する。すなわち、2つのボルト32の締め付けに余裕を持たせておく。
【0129】
さらに、ステップS9Aに関連するステップS9Bにおいて、4つのボルト33を用いて、一対の架台20をベース14上に立設した状態で仮固定する。すなわち、4つのボルト33の締め付けに余裕を持たせておく。
【0130】
その後、ステップS10において、4つのボルト33を用いて、一対の架台20をベース14上に固定する。すなわち、4つのボルト33の締め付けを完全に行い、一対の架台20をベース14上に本締結させる。
【0131】
最後に、ステップS11において、2つのボルト32を用いて、一対のロッドエンド12と一対の架台20とを本連結する。すなわち、2つのボルト32の締め付けを完全に行い、一対のロッドエンド12と一対の架台20とを本締結する。
【0132】
上述したステップS1~S11の処理が、2つの後輪8Bに対して総計2回実行される。
【0133】
実施の形態2の車両固定システム10によって車両2を固定して行うシャーシダイナモメータの試験として、例えば、車両の一般的な走行模擬試験や、電波環境下における車両の耐ノイズ試験等が考えられる。
【0134】
(効果)
実施の形態2の車両固定システム10において、一対の車両固定装置1はそれぞれ一対の固定対象車輪である一対の後輪8Bの一方(他方)を安定性良く固定することができる。このため、実施の形態2の車両固定システム10は、一対の前輪8Fを固定することなく、一対の後輪8Bのみを固定しても、車両2を安定性良く固定することができる。
【0135】
その結果、実施の形態2の車両固定システム10は、従来の車両固定システムと比較して、一対の解放対象車輪である一対の前輪8Fを固定する手間を省略できる分、車両固定に要する作業時間の短縮化を図ることができる。
【0136】
さらに、実施の形態2の車両固定システム10では、一対の固定対象車輪を一対の後輪8Bとし、一対の解放対象車輪を一対の前輪8Fとしている。
【0137】
一般的にカメラ、レーダ等の各種センサは車両2の前方に配置される可能性が高い傾向にある。
【0138】
したがって、実施の形態2の車両固定システム10は、一対の後輪8Bのみに一対の車両固定装置1を設ける構成を呈しているため、車両2の前方にセンサが配置された場合でも、一対の車両固定装置1がセンサ動作を阻害しない前方センサ阻害回避効果を発揮することができる。
【0139】
<その他>
なお、開示の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略したりすることが可能である。
【0140】
例えば、実施の形態2の車両固定システム10では、一対の固定対象車輪を一対の後輪8Bとし、一対の解放対象車輪を前輪8Fとしたが、この関係を逆にしても良い。すなわち、一対の固定対象車輪を一対の前輪8Fとし、一対の解放対象車輪を一対の後輪8Bとしても良い。ただし、この場合、上述した前方センサ阻害回避効果を発揮することはできない。
【0141】
なお、車両固定システム10による車両2の固定は、車両2の駆動タイプ(4輪駆動、前輪駆動、後輪駆動等)の影響を受けることはない。なぜなら、車両2が進行方向に進む力は駆動輪だけでなく、車両2全体に働くため、従属輪の拘束のみでも車両2を安定性良く固定することができるからである。
【符号の説明】
【0142】
1 車両固定装置
2 車両
3 ピットカバー
8(8B,8F) 車輪
10 車両固定システム
11 軸受ユニット
11J ヒンジブロック
12(12R,12L) ロッドエンド
14 ベース
20(20R,20L) 架台
21(21R,21L) 架台用土台
22(22R,22L) 架台第1側面
23(23R,21L) 架台第2側面
32,33,34 ボルト
43 高さ調整用長孔
51(51R,51L),52(52R,52L) 幅調整用長孔