(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-06
(45)【発行日】2023-10-17
(54)【発明の名称】ケラチン繊維を染色するための方法及びキット
(51)【国際特許分類】
A61K 8/31 20060101AFI20231010BHJP
A61K 8/46 20060101ALI20231010BHJP
A61K 8/49 20060101ALI20231010BHJP
A61K 8/41 20060101ALI20231010BHJP
A61K 8/55 20060101ALI20231010BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20231010BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20231010BHJP
A61Q 5/10 20060101ALI20231010BHJP
【FI】
A61K8/31
A61K8/46
A61K8/49
A61K8/41
A61K8/55
A61K8/81
A61K8/34
A61Q5/10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018105923
(22)【出願日】2018-06-01
【審査請求日】2021-05-28
(73)【特許権者】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】小澤 りみ子
(72)【発明者】
【氏名】ロヒット・ジャイン
(72)【発明者】
【氏名】丸山 昌二
【審査官】駒木 亮一
(56)【参考文献】
【文献】特表2006-508173(JP,A)
【文献】特開2008-074775(JP,A)
【文献】特開2015-212247(JP,A)
【文献】特開2015-140326(JP,A)
【文献】特表2010-503646(JP,A)
【文献】特開平10-287534(JP,A)
【文献】特開2011-001344(JP,A)
【文献】特表2008-513509(JP,A)
【文献】特表2010-503647(JP,A)
【文献】特開2008-201727(JP,A)
【文献】特開2005-289865(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Japio-GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケラチン繊維を染色するための方法であって、
ケラチン繊維を、第1の組成物及び第2の組成物の混合物で処理する工程を含み、
第1の組成物が、少なくとも1つの酸性直接染料及び水を含み、
第2の組成物が、少なくとも1つの非極性不揮発性油及び
第2の組成物の総質量に対して10質量%以上の量のペトロラタムを含む、方法(但し、第1の組成物及び第2の組成物のいずれも酸化剤を含まない)。
【請求項2】
第1の組成物における酸性直接染料の量が、第1の組成物の総質量に対して、0.001質量%~5質量%の範囲である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項3】
第1の組成物における水の量が、第1の組成物の総質量に対して、50質量%以上である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
第1の組成物が、少なくとも1つの親水性増粘剤を更に含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
第1の組成物が、少なくとも1つの有機溶媒を更に含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記非極性不揮発性油が炭化水素油から選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
第2の組成物における非極性不揮発性油の量が、第2の組成物の総質量に対して、1質量%~90質量%の範囲である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
第2の組成物における
ペトロラタムの量が、第2の組成物の総質量に対して、
10質量%~50質量%の範囲である、請求項1から
7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
第2の組成物が、少なくとも1つの親油性増粘剤を更に含む、請求項1から
8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
第2の組成物が、気泡を更に含む、請求項1から
9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
ケラチン繊維を、第1の組成物及び第2の組成物の混合物で処理する工程の前に、ケラチン繊維を、少なくとも1つのカチオン性ポリマーを含む前処理組成物で処理する工程を更に含む、請求項1から
10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
ケラチン繊維を染色するためのキットであって:
(1)第1の組成物を含む第1の区画;及び
(2)第2の組成物を含む第2の区画
を含み、
第1の組成物が、少なくとも1つの酸性直接染料及び水を含み、
第2の組成物が、少なくとも1つの非極性不揮発性油及び
第2の組成物の総質量に対して10質量%以上の量のペトロラタムを含むキット(但し、第1の組成物及び第2の組成物のいずれも酸化剤を含まない)。
【請求項13】
(3)前処理組成物を含む第3の区画を更に含み、前処理組成物が、少なくとも1つのカチオン性ポリマーを含む、請求項
12に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケラチン繊維、好ましくは毛髪を、少なくとも1つの直接染料を用いて染色するための方法及びキットに関する。
【背景技術】
【0002】
酸化性塩基と一般に呼ばれる酸化性着色前駆体、例えばオルト-又はパラ-フェニレンジアミン、オルト-又はパラ-アミノフェノール及び複素環式化合物を含有する染色組成物によりケラチン繊維、特にヒト毛髪を染色することが、知られている。これらの酸化ベースは、一般にカップラーと組み合わされる。これらのベース及びこれらのカップラーは、無色又は薄い着色のある化合物であり、酸化剤製品と組み合わされて、酸化縮合プロセスを介して着色化合物をもたらすことができる。
【0003】
酸化によるこのタイプの着色は、非常に高い視認性、白髪を被覆する能力、及び多様な色調を伴う色を得ることを可能にするが、それは、酸化剤及びアルカリ剤の使用に起因して(特に、反復した適用によって又は他の毛髪処理との組合せによって)、ケラチン繊維に損傷をもたらす。
【0004】
他方、直接染料を含有する染色組成物でケラチン繊維、特にヒト毛髪を染色することもまた知られている。従来の直接染料には、特に以下のものがある:硝酸ベンゼン、アントラキノン、ニトロピリジン、アゾ、キサンチン、アクリジン、アジン及びトリアリールメタンタイプ、又は天然着色料。
【0005】
例えば、特開2008-195663号公報は、直接染料を含む、毛髪を染色するための組成物を開示している。
【0006】
直接染料を使用する毛髪着色は、酸化染料を使用する毛髪着色に対して利点を有する。すなわち、それは、アレルギーの問題がなく、毛髪に対するダメージがなく、鮮明な色の視認性を付与する。
【0007】
しかしながら、皮膚の染色は、直接染料を使用する毛髪着色の不可避の欠点であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】WO 00/31154
【文献】特開2008-195663号
【文献】WO 95/15144
【文献】WO 95/01772
【文献】EP 714 954
【文献】FR 2 189 006
【文献】FR 2 285 851
【文献】FR-2 140 205
【文献】EP 1 378 544
【文献】EP 1 674 073
【文献】仏国特許出願公開第2 830 189号
【文献】US 4,131,576
【文献】EP 503 853
【文献】FR 2 416 723
【文献】US 2,798,053
【文献】US 2,923,692
【文献】US 3,915,921
【文献】US 4,509,949
【文献】EP-A-0 173 109
【文献】EP-A-0 750 899
【文献】US 5,089,578
【文献】EP-A750 899
【文献】WO-00/68282
【文献】WO 98/44012
【文献】EP-A-337 354
【文献】仏国特許第2 270 846号
【文献】仏国特許第2 383 660号
【文献】仏国特許第2 598 611号
【文献】仏国特許第2 470 596号
【文献】仏国特許第2 519 863号
【文献】仏国特許第2 505 348号
【文献】仏国特許第2 542 997号
【文献】EP-A-080 976
【文献】仏国特許第2 077 143号
【文献】仏国特許第2 393 573号
【文献】仏国特許第1 492 597号
【文献】米国特許第3,589,578号
【文献】米国特許第4,031,307号
【文献】仏国特許第2 162 025号
【文献】仏国特許第2 280 361号
【文献】仏国特許第2 252 840号
【文献】仏国特許第2 368 508号
【文献】仏国特許第2 080 759号
【文献】同追加特許第2 190 406号
【文献】仏国特許第2 320 330号
【文献】仏国特許第2 316 271号
【文献】仏国特許第2 336 434号
【文献】仏国特許第2 413 907号
【文献】米国特許第2,273,780号
【文献】米国特許第2,375,853号
【文献】米国特許第2,388,614号
【文献】米国特許第2,454,547号
【文献】米国特許第3,206,462号
【文献】米国特許第2,261,002号
【文献】米国特許第2,271,378号
【文献】米国特許第3,874,870号
【文献】米国特許第4,001,432号
【文献】米国特許第3,929,990号
【文献】米国特許第3,966,904号
【文献】米国特許第4,005,193号
【文献】米国特許第4,025,617号
【文献】米国特許第4,025,627号
【文献】米国特許第4,025,653号
【文献】米国特許第4,026,945号
【文献】米国特許第4,027,020号
【非特許文献】
【0009】
【文献】Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry、2004年出版、第7版、「Fluorescent Dyes」章
【文献】Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry (2002年)、「Optical Brighteners」
【文献】Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology (1995年):「Fluorescent Whitening Agents」
【文献】「Industrial Dyes, Chemistry, Properties, Application」、Klaus Hunger編 Wiley-VCH Verlag GmbH & Co KGaA、Weinheim 2003年
【文献】「Ullman's Encyclopedia of Industrial Chemistry」、Azo Dyes、2005年、Wiley-VCH Verlag GmbH & Co. KGaA、Weinheim 10.1002/14356007.a03 245、point 3.2
【文献】「Ullman's Encyclopedia of Industrial Chemistry」、Textile Auxiliaries、2002年、Wiley-VCH Verlag GmbH & Co. KGaA、Weinheim 10.1002/14356007.a26 227
【文献】「Ashford's Dictionary of Industrial Chemicals」、第2版、14頁~39頁、2001年
【文献】Self-assembling amphiphilic polyelectrolytes and their nanostructures、Chinese Journal of Polymer Science、18巻、40号(2000年)、323~336頁
【文献】Micelle formation of random copolymers of sodium 2-(acrylamido)-2-methylpropanesulfonate and a nonionic surfactant macromonomer in water as studied by fluorescence and dynamic light scattering、Macromolecules、33巻、10号、2000年、3694~3704頁
【文献】Solution properties of micelle networks formed by nonionic moieties covalently bound to a polyelectrolyte: salt effects on rheological behavior - Langmuir,2000年、16巻、12号、5324~5332頁
【文献】Stimuli responsive amphiphilic copolymers of sodium 2-(acrylamido)-2-methylpropanesulfonate and associative macromonomers、Polym. Preprint, Div. Polym. Chem、40(2)、(1999年)、220~221頁
【文献】G. Fonnum, J. Bakke, and Fk. Hansen - Colloid Polym. Sci 271, 380.389 (1993)
【文献】Walter Noll著「Chemistry and Technology of Silicones」(1968)Academic Press
【文献】Cosmetics and Toiletries、第91巻、76年1月、27~32頁、Todd & Byers、Volatile Silicone Fluids for Cosmetics
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、直接染料を使用するが、頭皮等の皮膚に対する直接染料による皮膚染色を阻止又は低減することができ、同時に優れた(又は少なくとも許容可能な)着色特性等の優れた化粧効果をケラチン繊維に付与する、ケラチン繊維を染色するための方法及びキットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的は、ケラチン繊維、好ましくは毛髪を染色するための方法であって:
ケラチン繊維を、第1の組成物及び第2の組成物の混合物で処理する工程を含み、
第1の組成物が、少なくとも1つの直接染料及び水を含み、
第2の組成物が、少なくとも1つの油及び少なくとも1つのペースト状又は固体状非極性炭化水素系脂肪物質を含む、方法によって達成することができる。
【0012】
直接染料は、酸性直接染料、塩基性直接染料及び中性直接染料からなる群から、好ましくは酸性直接染料から選択してもよい。
【0013】
第1の組成物における直接染料の量は、第1の組成物の総質量に対して、0.001質量%~5質量%、好ましくは0.01質量%~3質量%、より好ましくは0.05質量%~2質量%の範囲であってもよい。
【0014】
第1の組成物における水の量は、第1の組成物の総質量に対して、50質量%以上、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上であってもよい。
【0015】
第1の組成物は、少なくとも1つの親水性増粘剤を更に含んでいてもよい。
【0016】
第1の組成物は、少なくとも1つの有機溶媒を含んでいてもよい。
【0017】
油は、非極性油、好ましくは炭化水素油、より好ましくは鉱油から選択されてもよい。
【0018】
第2の組成物における油は、第2の組成物の総質量に対して、1質量%~90質量%、好ましくは30質量%~80質量%、より好ましくは50質量%~70質量%の範囲であってもよい。
【0019】
ペースト状又は固体状非極性炭化水素系脂肪物質は、ペトロラタムであってもよい。
【0020】
第2の組成物におけるペースト状又は固体状非極性炭化水素系脂肪物質の量は、第2の組成物の総質量に対して、1質量%~50質量%、好ましくは10質量%~45質量%、より好ましくは20質量%~40質量%の範囲であってもよい。
【0021】
第2の組成物は、少なくとも1つの親油性増粘剤を更に含んでいてもよい。
【0022】
第2の組成物は、気泡を更に含んでいてもよい。
【0023】
本発明による方法は、ケラチン繊維を、第1の組成物及び第2の組成物の混合物で処理する工程の前に、ケラチン繊維を、少なくとも1つのカチオン性ポリマーを含む前処理組成物で処理する工程を更に含んでいてもよい。
【0024】
上記の目的はまた、ケラチン繊維、好ましくは毛髪を染色するためのキットであって:
(1)第1の組成物を含む第1の区画;及び
(2)第2の組成物を含む第2の区画
を含み、
第1の組成物が、少なくとも1つの直接染料及び水を含み、
第2の組成物が、少なくとも1つの油及び少なくとも1つのペースト状又は固体状非極性炭化水素系脂肪物質を含むキットによって達成することができる。
【0025】
本発明によるキットは、(3)前処理組成物を含む第3の区画を更に含んでいてもよく、前処理組成物は、少なくとも1つのカチオン性ポリマーを含む。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】降伏応力及び降伏応力に対応するひずみを判定するための可能な選択肢のうちの1つを示すための概念図を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
鋭意検討した結果、本発明者らは、直接染料を使用するが、頭皮等の皮膚に対する直接染料による皮膚染色を阻止又は低減することができ、同時に優れた(又は少なくとも許容可能な)着色特性等の優れた化粧効果をケラチン繊維に付与する、ケラチン繊維、好ましくは毛髪を染色するための方法及びキットを提供することが可能であることを発見した。
【0028】
したがって、本発明による方法は、ケラチン繊維、好ましくは毛髪を染色することを意図しており、
ケラチン繊維を、第1の組成物及び第2の組成物の混合物で処理する工程を含み、
第1の組成物が、少なくとも1つの直接染料及び水を含み、
第2の組成物が、少なくとも1つの油及び少なくとも1つのペースト状又は固体状非極性炭化水素系脂肪物質を含む。
【0029】
また、本発明によるキットは、ケラチン繊維、好ましくは毛髪を染色することを意図しており、
(1)第1の組成物を含む第1の区画;及び
(2)第2の組成物を含む第2の区画
を含み、
第1の組成物が、少なくとも1つの直接染料及び水を含み、
第2の組成物が、少なくとも1つの油及び少なくとも1つのペースト状又は固体状非極性炭化水素系脂肪物質を含む。
【0030】
本発明による方法及びキットは、ケラチン繊維、好ましくは毛髪を染色するために使用することができる。本発明による方法及びキットは、高度な色強度を有する毛髪を提供すると同時に、皮膚染色を低減することができる。言い換えれば、本発明による方法及びキットは、ケラチン繊維を染料し、ケラチン繊維が強力な色強度を示し、同時に頭皮等の皮膚に対する染色を低減できるようにすることができる。特に、本発明による方法及びキットは、灰色毛髪を適度にカバーする利点を提供し、同時に低度で染色する利点を与えることができる。
【0031】
前処理を追加的に行ってから、ケラチン繊維を第1の及び第2の組成物の混合物で処理する場合、本発明は、毛髪色強度を更に強化することができる。
【0032】
第2の組成物のエアレーションを追加的に行う場合、本発明は、皮膚染色を更に低減することができる。
【0033】
以下、本発明による方法及びキットをより詳細に説明する。
【0034】
[方法]
本発明の1つの態様は、ケラチン繊維、好ましくは毛髪を染色するための方法であって:
ケラチン繊維を、第1の組成物及び第2の組成物の混合物で処理する工程を含み、
第1の組成物が、少なくとも1つの直接染料及び水を含み、
第2の組成物が、少なくとも1つの油及び少なくとも1つのペースト状又は固体状非極性炭化水素系脂肪物質を含む、方法に関する。
【0035】
第1の組成物及び第2の組成物は、混合物の水性相及び油相をそれぞれ形成する。したがって、第1の組成物及び第2の組成物は、それぞれ水性相組成物及び油相組成物と称してもよい。
【0036】
(第1の組成物)
第1の組成物は少なくとも1つの直接染料及び水を含む。
【0037】
(直接染料)
第1の組成物は少なくとも1つの直接染料を含む。2種以上の直接染料を組み合わせて使用してもよい。したがって、単一のタイプの直接染料、又は様々なタイプの直接染料の組合せを使用してもよい。
【0038】
直接染料は、その色を顕色するために酸化剤の使用を必要としない着色物質を意味する。
【0039】
直接染料は、天然の直接染料であっても合成の直接染料であってもよい。
【0040】
「天然直接染料」という表現は、天然に生じ、任意選択の天然化合物、例えば灰又はアンモニアの存在下で、植物基質又は昆虫等の動物からの抽出(任意選択で精製)により製造される、任意の染料又は染料前駆体を意味するものと理解される。
【0041】
天然の直接染料としては、キノン染料(例えばローソン及びユグロン)、アリザリン、プルプリン、ラッカイン酸、カルミン酸、ケルメス酸、プルプロガリン、プロトカテクアルデヒド、インジゴ等のインジゴイド、モロコシ、イサチン、ベタニン、クルクミノイド(例えばクルクミン)、スピヌロシン、種々のタイプの葉緑素及びクロロフィリン、ヘマトキシリン、ヘマテイン、ブラジレイン、ブラジリン、ベニバナ染料(例えばカルタミン)、フラボノイド(例えばルチン、クエルセチン、カテキン、エピカテキン、モリン、アピゲニジン及びビャクダン)、アントシアン(例えばアピゲニニジン及びアピゲニン)、カロテノイド、タンニン、オルセイン、サンタリン並びにコチニールカルミンが挙げられ得る。
【0042】
天然直接染料を含有する抽出物又は煎じ液、特にヘンナベース抽出物、ウコン(curcuma longa)抽出物、ソルガム葉鞘抽出物、アカミノキ(haematoxylon campechianum)抽出物、緑茶抽出物、マツ樹皮抽出物、ココア抽出物、及びロッグウッド抽出物を使用することも可能である。
【0043】
天然の直接染料が、クルクミノイド、サンタリン、クロロフィリン、ヘマトキシリン、ヘマテイン、ブラジレイン、ブラジリン、モロコシ、ラッカイン酸、ローソン、ユグロン、アリザリン、プルプリン、カルミン酸、ケルメス酸、プルプロガリン、プロトカテクアルデヒド、インジゴイド、イサチン、スピヌロシン、アピゲニン、オルセイン、ベタニン、フラボノイド、アントシアン、及びこれらの化合物を含有する抽出物又は煎じ液からなる群から選択されることが好ましい。
【0044】
或いは、天然の直接染料は、好ましくは、例えば、水酸化キノン、インジゴイド、ヒドロキシフラボン、サンタリンA及びB、イサチン及びその誘導体、並びにブラジリン及びその水酸化誘導体から選択され得る。
【0045】
水酸化キノンは、好ましくは、ベンゾキノン、ナフトキノン、及びモノ-又はポリヒドロキシル化アントラキノンであり、これらは、アルキル、アルコキシ、アルケニル、クロロ、フェニル、ヒドロキシアルキル及びカルボキシル等の基で任意選択で置換される。
【0046】
ナフトキノンは、好ましくは、ローソン、ユグロン、フラビオリン、ナフタザリン、ナフトプルプリン、ラパコール、プルムバジン、クロロプルムバジン、ドロセロン、シコニン、2-ヒドロキシ-3-メチル-1,4-ナフトキノン、3,5-ジヒドロキシ-1,4-ナフトキノン、2,5-ジヒドロキシ-1,4-ナフトキノン、2-メトキシ-5-ヒドロキシ-1,4-ナフトキノン及び3-メトキシ-5-ヒドロキシ-1,4-ナフトキノンである。
【0047】
ベンゾキノンは、好ましくは、スピヌロシン、アトロメンチン、オーレンチオグリオクラジン(aurentioglyocladin)、2,5-ジヒドロキシ-6-メチルベンゾキノン、2-ヒドロキシ-3-メチル-6-メトキシベンゾキノン、2,5-ジヒドロキシ-3,6-ジフェニルベンゾキノン、2,3-ジメチル-5-ヒドロキシ-6-メトキシベンゾキノン及び2,5-ジヒドロキシ-6-イソプロピルベンゾキノンである。
【0048】
アントラキノンは、好ましくは、アリザリン、キニザリン、プルプリン、カルミン酸、クリソファノール、ケルメス酸、レイン、アロエエモジン、シュードプルプリン(pseudopurpurin)、キニザリンカルボン酸、フラングラエモジン、2-メチルキニザリン、1-ヒドロキシアントラキノン及び2-ヒドロキシアントラキノンである。
【0049】
インジゴイドは、好ましくは、インジゴ、インジルビン、イソインジゴ及びチリアンパープルである。
【0050】
ヒドロキシフラボンは、好ましくは、クエルセチン及びモリンである。
【0051】
「合成直接染料」という表現は、化学合成によって製造される、任意の染料又は染料前駆体を意味すると理解される。
【0052】
直接染料は、酸性(アニオン性)直接染料、塩基性(カチオン性)直接染料、及び中性(非イオン性)直接染料からなる群から選択され得る。
【0053】
合成染料の非限定的な例としては、(非イオン性)中性、アニオン性(酸性)、及びカチオン性(塩基性)染料、例えば、アゾ、メチン、カルボニル、アジン、ニトロ(ヘテロ)アリールタイプ又はトリ(ヘテロ)アリールメタン直接染料、ポルフィリン及びフタロシアニンがあり、の、単独でも又は混合物としてもよい。
【0054】
より詳細には、アゾ染料は-N=N-官能基を含み、この官能基の2個の窒素原子は、環の中に同時に含まれることはない。しかしながら、-N=N-配列のうちの2個の窒素原子の一方が環に含まれることは排除されない。
【0055】
メチンファミリーの染料は、より詳細には、>C=C<及び-N=C<から選択される少なくとも1つの配列を含む化合物であり、これらの配列のうちの2個の原子は、環の中に同時に含まれることはない。しかしながら、これらの配列の窒素原子又は炭素原子のうちの1つが環の中に含まれ得ることが規定される。より詳細には、このファミリーの染料は、以下のタイプの化合物から生じる:純粋なメチン(1つ又は複数の上述の-C=C-配列を含む);アゾメチン(少なくとも1つ又は複数の-C=N-配列を含む)、例えば、アザカルボシアニン及びそれらの異性体、ジアザカルボシアニン及びそれらの異性体、テトラアザカルボシアニン;モノ-及びジアリールメタン;インドアミン(又はジフェニルアミン);インドフェノール;インドアニリン。
【0056】
カルボニルファミリーの染料としては、例えば、アクリドン、ベンゾキノン、アントラキノン、ナフトキノン、ベンゾアントロン、アントラントロン、ピラントロン、ピラゾールアントロン、ピリミジノアントロン、フラバントロン、インダントロン、フラボン、(イソ)ビオラントロン、イソインドリノン、ベンゾイミダゾロン、イソキノリノン、アントラピリドン、ピラゾロキナゾロン、ペリノン、キナクリドン、キノフタロン、ナフタルイミド、アントラピリミジン、ジケトピロロピロール又はクマリン染料から選択される合成染料が挙げられ得る。
【0057】
環式アジンファミリーの染料に関しては、特に、アジン、キサンテン、チオキサンテン、フルオリンジン、アクリジン、(ジ)オキサジン、(ジ)チアジン及びピロニンの染料を挙げることができる。
【0058】
ニトロ(ヘテロ)芳香族染料は、より詳細には、ニトロベンゼン又はニトロピリジン直接染料である。
【0059】
ポルフィリン又はフタロシアニンのタイプの染料に関しては、1種又は複数の金属又は金属イオン、例えば、アルカリ金属及びアルカリ土類金属、亜鉛及びケイ素を任意選択で含む、カチオン性又は非カチオン性の化合物を使用してもよい。
【0060】
特に好適である合成の直接染料の例として、ニトロベンゼン染料、アゾ、アゾメチン又はメチン直接染料、アザカルボシアニン、例えばテトラアザカルボシアニン(テトラアザペンタメチン)、キノン、特にアントラキノン、ナフトキノン若しくはベンゾキノン直接染料、又はアジン、キサンテン、トリアリールメタン、インドアミン、フタロシアニン及びポルフィリンの直接染料を挙げることができ、単独でも又は混合物としてもよい。より一層好ましくは、これらの合成直接染料は、ニトロベンゼン染料、アゾ、アゾメチン又はメチン直接染料及びテトラアザカルボシアニン(テトラアザペンタメチン)から、単独で又は混合物として選択される。
【0061】
本発明により使用できるアゾ、アゾメチン、メチン又はテトラアザペンタメチン直接染料のなかでも、特許出願WO 95/15144、特許出願WO 95/01772並びにEP 714 954、FR 2 189 006、FR 2 285 851、FR-2 140 205、EP 1 378 544及びEP 1 674 073に記載のカチオン性染料が挙げられ得る。
【0062】
したがって、以下の式に対応するカチオン性直接染料が極めて特に挙げられ得る:
【0063】
【0064】
(式中、
Dは、窒素原子又は-CH基を表し、
R1及びR2は、同一であるか、異なっており、水素原子;-CN、-OH若しくは-NH2基で置換され得るC1~C4アルキル基を表し、又は、ベンゼン環の炭素原子と一緒になって、1つ若しくは複数のC1~C4アルキル基で置換することができる、任意選択で酸素を含む若しくは窒素を含む複素環;又は4'-アミノフェニル基を形成することができ、
R3及びR'3は、同一であるか、異なっており、水素原子、塩素、臭素、ヨウ素及びフッ素から選択されるハロゲン原子、シアノ基、C1~C4アルキル基、C1~C4アルコキシ基、又はアセチルオキシ基を表し、
X-は、塩化物イオン、メチル硫酸イオン及びメチル酢酸イオンから好ましくは選択されるアニオンを表し、
Aは、以下の構造から選択される基を表す:
【0065】
【0066】
(式中、R4は、ヒドロキシル基で置換され得るC1~C4アルキル基を表す;
【0067】
【0068】
(式中、
R5は、水素原子、C1~C4アルコキシ基又はハロゲン原子、例えば、臭素、塩素、ヨウ素若しくはフッ素を表し、
R6は、水素原子若しくはC1~C4アルキル基を表すか、ベンゼン環の炭素原子と一緒になって、酸素を任意選択で含む及び/若しくは1個若しくは複数のC1~C4アルキル基で任意選択で置換された複素環を形成し、
R7は、水素原子、又はハロゲン原子、例えば、臭素、塩素、ヨウ素若しくはフッ素を表し、
D1及びD2は、同一であるか異なっており、窒素原子又は-CH基を表し、
m=0又は1であり、
X-は、塩化物イオン、メチル硫酸イオン及びメチル酢酸イオンから好ましくは選択される、化粧品として許容されるアニオンを表し、
Eは、以下の構造から選択される基を表し:
【0069】
【0070】
(式中、R'はC1~C4アルキル基を表す)、
m=0であり、D1が窒素原子を表すときは、Eはまた、以下の構造を有する基を示すこともできる:
【0071】
【0072】
(式中、R'はC1~C4アルキル基を表す))))。
【0073】
合成直接染料は、蛍光染料から選択され得る。2種以上のタイプの蛍光染料を組み合わせて使用してもよい。
【0074】
いくつかの蛍光染料の使用は、暗色の毛髪上に、従来の親水性又は疎水性の直接染料による色よりも視認性の高い色を得ることを可能にする。更に、これらの蛍光染料はまた、暗色の毛髪に塗布された場合、ダメージを与えることなく毛髪を明色化することを可能にし得る。
【0075】
本明細書で使用する「蛍光染料」という用語は、蛍光化合物及び光学的光沢剤を意味するものと理解される。少なくとも1つの実施形態において、蛍光染料は、第1の組成物の媒体に可溶性である。
【0076】
蛍光染料は、可視光線、例えば400から800nmの範囲の波長を吸収し、より高い波長の可視領域において光を再発光可能な蛍光化合物である。
【0077】
1つの実施形態によれば、本発明に有用な蛍光染料は、オレンジ色の蛍光を再発光する。それらは、例えば、500~700nmの範囲の最大再発光波長を示す。
【0078】
蛍光染料の非限定的な例としては、当技術分野で既知の化合物、例えば、Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry、2004年出版、第7版、「Fluorescent Dyes」章に記載されているものがある。
【0079】
本開示の光学的光沢剤はまた、「光沢剤」若しくは「蛍光ブライトナー(fluorescent brighteners)」若しくは「蛍光光沢剤(fluorescent brightening agents)」又は「FWA」若しくは「蛍光増白剤(fluorescent whitening agents)」若しくは「増白剤」若しくは「蛍光ホワイトナー(fluorescent whiteners)」の名称で知られており、無色透明の化合物である。なぜなら、それらは、可視光を吸収せず、紫外線(200~400ナノメートルの範囲の波長)のみを吸収し、吸収されたエネルギーを、スペクトルの可視部分、一般に青色及び/又は緑色、すなわち400~550ナノメートルの範囲の波長で発光されるより高い波長の蛍光に変換するからである。
【0080】
光学的光沢剤は当技術分野において知られており、例えばそれらは、Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry (2002年)、「Optical Brighteners」及びKirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology (1995年):「Fluorescent Whitening Agents」に記載されている。
【0081】
本開示の第1の組成物において使用することができる蛍光染料としては、当技術分野で公知の化合物、例えば、仏国特許出願公開第2 830 189号に記載のものがある。
【0082】
特に挙げることができる溶解性蛍光化合物としては、以下のファミリーに属するものがある:ナフタルイミド、クマリン、キサンテン、特に、キサンテノジキノリジン及びアザキサンテン;ナフトラクタム;アズラクトン;オキサジン;チアジン;ジオキサジン;アゾ化合物;アゾメチン;メチン;ピラジン;スチルベン;ケトピロール;及びピレン。
【0083】
蛍光染料は、存在する場合には、より詳細には、オレンジ色の蛍光を再発光するものが好ましい。
【0084】
イオン性質の観点から、直接染料は、酸性直接染料、塩基性直接染料及び中性直接染料からなる群から選択されてもよく、これはあらゆるタイプの直接染料、例えば、いわゆるニトロ染料及びHC染料を包含する。酸性直接染料は、その化学構造中に、アニオン性部分を有する。塩基性直接染料は、その化学構造中に、カチオン性部分を有する。中性直接染料は、非イオン性である。
【0085】
1つの実施形態によれば、直接染料は、酸性直接染料から選択されることが好ましい。
【0086】
アニオン性直接染料は、それらのアルカリ性物質との親和性のため、一般に、「酸性直接染料」として知られている(例えば、「Industrial Dyes, Chemistry, Properties, Application」、Klaus Hunger編 Wiley-VCH Verlag GmbH & Co KGaA、Weinheim 2003年を参照のこと)。アニオン性又は酸性染料は、文献において知られている(例えば、「Ullman's Encyclopedia of Industrial Chemistry」、Azo Dyes、2005年、Wiley-VCH Verlag GmbH & Co. KGaA、Weinheim 10.1002/14356007.a03 245、point 3.2;「Ullman's Encyclopedia of Industrial Chemistry」、Textile Auxiliaries、2002年 Wiley-VCH Verlag GmbH & Co. KGaA、Weinheim 10.1002/14356007.a26 227及び「Ashford's Dictionary of Industrial Chemicals」、第2版、14頁~39頁、2001年を参照のこと)。アニオン性又は酸性染料は、他の直接染料と比較して、皮膚刺激をあまり引き起こさない。
【0087】
「アニオン性直接染料」という用語は、その構造中に、少なくとも1つのスルホン酸基SO3
-及び/又は少なくとも1つのカルボキシル酸基C(O)O-及び/又は少なくとも1つのリン酸基P(=O)O-O-、任意選択で1つ又は複数のアニオン性基G-(式中、G-は、同一であっても異なっていてもよく、アルコキシドO-、チオアルコキシドS-、ホスホン酸イオン、カルボン酸イオン及びチオカルボキシル酸イオン: C(Q)Q'-(式中、Q及びQ'は、同一であっても異なっていてもよく、酸素原子又は硫黄原子を表す)から選択されるアニオン性基を表し、好ましくはG-は、カルボン酸イオンを表し、すなわちQ及びQ'は酸素原子を表す)を含む、任意の直接染料を意味する。
【0088】
本発明の配合物の好ましいアニオン性染料は、酸性ニトロ直接染料、酸性アゾ染料、酸性アジン染料、酸性トリアリールメタン染料、酸性インドアミン染料、酸性アントラキノン染料、アニオン性スチリル染料、及びインジゴイド並びに酸性天然染料から選択され、これらの染料のそれぞれは、カチオン性対イオンX+を有する少なくとも1個のスルホネート、ホスホネート又はカルボキシレート基を含有し、ここで、X+は、好ましくはアルカリ及びアルカリ土類金属から選択される有機又は無機のカチオン性対イオン、例えばNa+及びK+を表す。
【0089】
好ましい酸染料は以下のものから選択してもよい:
a)式(II)又は(II')のジアリールアニオン性アゾ染料:
【0090】
【0091】
(式(II)及び(II')中、
・R7、R8、R9、R10、R'7、R'8、R'9及びR'10は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は
- アルキル;
- アルコキシ、アルキルチオ;
- ヒドロキシル、メルカプト;
- ニトロ;
- R°-C(X)-X'-、R°-X'-C(X)-、R°-X'-C(X)-X''-(式中、R°は、水素原子又はアルキル基若しくはアリール基を表し;X、X'及びX''は、同一であっても異なっていてもよく、酸素原子若しくは硫黄原子、又はNR(式中、Rは、水素原子又はアルキル基を表す)を表す);
- 先に規定した(O)2S(O-)-, X+;
- 先に規定した(O)CO--, X+;
- 先に規定した(O)P(O2-)-, 2X+;
- R''-S(O)2-(R''は、水素原子又はアルキル、アリール、(ジ)(アルキル)アミノ若しくはアリール(アルキル)アミノ基、好ましくはフェニルアミノ又はフェニル基を表す);
- R'''-S(O)2-X'-(R'''は、アルキル又は任意選択で置換されているアリール基を表し、X'は先に規定した通りである);
- (ジ)(アルキル)アミノ;
- i)ニトロ、ii)ニトロソ、iii)(O)2S(O-)-, X+、及びiv)X+を伴うアルコキシから選択される1個又は複数の基で任意選択で置換されているアリール(アルキル)アミノ;
- 任意選択で置換されているヘテロアリール、好ましくはベンゾチアゾリル基;
- シクロアルキル、とりわけシクロヘキシル;
- Ar-N=N-(Arは、任意選択で置換されているアリール基、好ましくは、1個又は複数のアルキル、(O)2S(O-)-, X+又はフェニルアミノ基で任意選択で置換されているフェニルを表す);
- 或いは2個の隣接する基であるR7とR8、又はR8とR9、又はR9とR10は、一緒になって、縮合ベンゾ基A'を形成し、R'7とR'8、又はR'8とR'9、又はR'9とR'10は、一緒になって、縮合ベンゾ基B'を形成し、A'及びB'は、i)ニトロ、ii)ニトロソ、iii)(O)2S(O-)-, X+、iv)ヒドロキシル、v)メルカプト、vi)(ジ)(アルキル)アミノ、vii)R°-C(X)-X'-、viii)R°-X'-C(X)-、ix)R°-X'-C(X)-X''-、x)Ar-N=N-及びxi)任意選択で置換されているアリール(アルキル)アミノから選択される1個又は複数の基で場合により置換されており、X+、R°、X、X'、X''及びArは、先に規定の通りである;
から選択される基を表し;
・Wは、シグマ結合σ、酸素若しくは硫黄原子、又は二価の基i)-NR-(Rは、先に規定の通りである)若しくはii)メチレン-C(Ra)(Rb)-を表し、Ra及びRbは、同一であっても異なっていてもよく、水素原子若しくはアリール基を表すか、或いはRa及びRbは、それらを有する炭素原子と一緒になって、スピロシクロアルキルを形成し、好ましくは、Wは、硫黄原子を表すか、又はRa及びRbは、一緒になって、シクロヘキシルを形成する);
式(II)及び(II')は、少なくとも1個のスルホネート(O)2S(O-)-,X+又はホスホネート(O)P(O2
-)2X+又はカルボキシレート(O)C(O-)-,X+基を、環A、A'、B、B'又はCの1つに含み、X+は、先に規定の通りであることが理解され;
式(II)の染料の例として、Acid Red 1、Acid Red 4、Acid Red 13、Acid Red 14、Acid Red 18、Acid Red 27、Acid Red 32、Acid Red 33、Acid Red 35、Acid Red 37、Acid Red 40、Acid Red 41、Acid Red 42、Acid Red 44、Acid Red 68、Acid Red 73、Acid Red 135、Acid Red 138、Acid Red 184、Food Red 1、Food Red 13、Food Red 17、Acid Orange 4、Acid Orange 6、Acid Orange 7、Acid Orange 10、Acid Orange 19、Acid Orange 20、Acid Orange 24、Acid Yellow 9、Acid Yellow 36、Acid Yellow 199、Food Yellow 3; Acid Violet 7、Acid Violet 14、Acid Blue 113、Acid Blue 117、Acid Black 1、Acid Brown 4、Acid Brown 20、Acid Black 26、Acid Black 52、Food Black 1、Food Black 2、Pigment Red 57が挙げられてもよく;
式(II')の染料の例として、Acid Red 111、Acid Red 134、Acid yellow 38が挙げられもよい;
b)式(III)及び(III')のアントラキノン染料:
【0092】
【0093】
(式(III)及び(III')中、
・R22、R23、R24、R25、R26及びR27は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子又はハロゲン原子又は
- アルキル;
- ヒドロキシル、メルカプト;
- アルコキシ、アルキルチオ;
- 任意選択で置換されている、好ましくはアルキル及び(O)2S(O-)-,X+(X+は、先に規定の通りである)から選択される1個又は複数の基で置換されている、アリールオキシ又はアリールチオ;
- アルキル及び(O)2S(O-)-,X+(X+は、先に規定の通りである)から選択される1個又は複数の基で任意選択で置換されているアリール(アルキル)アミノ;
- (ジ)(アルキル)アミノ;
- (ジ)(ヒドロキシアルキル)アミノ;
- (O)2S(O-)-,X+(X+は、先に規定の通りである)
から選択される基を表し;
・Z'は、水素原子又はNR28R29基を表し、R28及びR29は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は
- アルキル;
- ポリヒドロキシアルキル、例えばヒドロキシエチル;
- 1個又は複数の基、特にi)アルキル、例えばメチル、n-ドデシル、n-ブチル、ii)、(O)2S(O-)-, X+(X+は、先に規定の通りである)、iii) R°-C(X)-X'-、R°-X'-C(X)-、R°-X'-C(X)-X''-(R°、X、X'及びX''は、先に規定の通りであり、好ましくは、R°は、アルキル基を表す)で任意選択で置換されているアリール;
- シクロアルキル、特にシクロヘキシル
から選択される基を表し;
・Zは、ヒドロキシル及びNR'28R'29から選択される基を表し、R'28及びR'29は、同一であっても異なっていてもよく、先に規定したR28及びR29と同じ原子又は基を表す);
式(III)及び(III')は、少なくとも1個のスルホネート基(O)2S(O-)-,X+を含み、X+は、先に規定の通りであることが理解され;
式(III)の染料の例として、Acid Blue 25、Acid Blue 43、Acid Blue 62、Acid Blue 78、Acid Blue 129、Acid Blue 138、Acid Blue 140、Acid Blue 251、Acid Green 25、Acid Green 41、Acid Violet 42、Acid Violet 43、Mordant Red 3、EXT Violet 2が挙げられてもよく、
式(III')の染料の例としては、Acid Black 48を挙げることができる;
g)式(IV)のキノリンベース染料
【0094】
【0095】
(式(IV)中、
・R61は、水素若しくはハロゲン原子又はアルキル基を表し;
・R62、R63及びR64は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は(O)2S(O-)-,X+基を表し、X+は、前に定義した通りであり;
・或いは、R61とR62、又はR61とR64は、1つ又は複数の(O)2S(O-)-,X+基で任意選択で置換されているベンゾ基を共に形成し、X+は、前に定義した通りであり;
・Gは、酸素若しくは硫黄原子又はNRe基を表し、Reは、水素原子又はアルキル基を表し、特にGは酸素原子を表す);
式(IV)は、少なくとも1個のスルホネート基(O)2S(O-)-,X+を含み、X+は、先に規定の通りであることが理解され;
式(IV)の染料の例として、Acid Yellow 2、Acid Yellow 3及びAcid Yellow 5を挙げることができる。
【0096】
酸性直接染料は、Acid Orange 4、Ext. Violet 2、Acid Yellow 5及びAcid Black 1からなる群から選択されることが好ましい。
【0097】
第1の組成物における直接染料の量は、第1の組成物の総質量に対して、5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下であってもよく、ただし、直接染料の量は0ではない。
【0098】
第1の組成物における直接染料の量は、第1の組成物の総質量に対して、0.001質量%以上、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上であってもよい。
【0099】
第1の組成物は、直接染料を、第1の組成物の総質量に対して、0.001質量%~5質量%、好ましくは0.01~3質量%、より好ましくは0.05~2質量%の量で含んでいてもよい。
【0100】
(水)
第1の組成物は水を含む。
【0101】
第1の組成物における水の量は、第1の組成物の総質量に対して、50質量%以上、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上であってもよい。
【0102】
第1の組成物における水の量は、第1の組成物の総質量に対して、95質量%以下、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下であってもよい。
【0103】
第1の組成物における水の量は、組成物の総質量に対して、50質量%~95質量%、好ましくは60質量%~90質量%、より好ましくは70~90質量%の範囲であってもよい。
【0104】
(親水性増粘剤)
第1の組成物は、少なくとも1つの親水性増粘剤を含んでいてもよい。2種類以上の親水性増粘剤が使用される場合、これらは同じであっても異なっていてもよい。
【0105】
親水性増粘剤は、第1の組成物、並びに第1及び第2の組成物の混合物の水性相の粘度を高めることができる。
【0106】
本発明によれば、「親水性増粘剤」は、第1の組成物の粘度を高めることができ、室温(25℃)、大気圧及び1s-1のせん断速度(粘度はコーン/プレート粘度計、Haake R600レオメーター等を使用して測定してもよい)で、少なくとも20cpsまで、好ましくは少なくとも50cpsまで第1の組成物に導入される。
【0107】
親水性増粘剤は、優先的には、糖単位を有する非会合性増粘ポリマー、糖単位を有さない非会合性増粘ポリマー、会合性増粘ポリマー、及びこれらの化合物の混合物から選択される。
【0108】
本発明では「糖単位」という用語は、いくつかのアルコール官能基を含み、アルデヒド又はケトン官能基を有し又は有さず、かつ少なくとも4個の炭素原子を含む、酸素含有炭化水素系化合物を意味する。
【0109】
糖単位は、置換によって及び/又は酸化によって及び/又は脱水によって任意選択で変性されていてもよい。
【0110】
本発明の親水性増粘ポリマーの組成物に含まれていてもよい糖単位は、好ましくは、以下の糖に由来する:グルコース、ガラクトース、アラビノース、ラムノース、マンノース、キシロース、フコース、無水ガラクトース、ガラクツロン酸、グルクロン酸、マンヌロン酸、ガラクトーススルフェート、無水ガラクトーススルフェート及びフルクトース。
【0111】
特に挙げることができる、糖単位を有する非会合性増粘ポリマーとしては、以下のもの等の天然ゴムがある。
a)以下のものを含む、高木又は低木の浸出液:
- アラビアゴム(ガラクトース、アラビノース、ラムノース及びグルクロン酸の分岐状ポリマー);
- ガッチゴム(アラビノース、ガラクトース、マンノース、キシロース及びグルクロン酸由来のポリマー);
- カラヤゴム(ガラクツロン酸、ガラクトース、ラムノース及びグルクロン酸由来のポリマー);
- トラガカントゴム(又はトラガカント)(ガラクツロン酸、ガラクトース、フコース、キシロース及びアラビノースのポリマー);
b)以下のものを含む、藻類から得られたゴム:
- 寒天(ガラクトース及び無水ガラクトース由来のポリマー);
- アルギネート(マンヌロン酸及びグルクロン酸のポリマー);
- カラゲナン及びフルセレラン(ガラクトーススルフェート及び無水ガラクトーススルフェートのポリマー);
c)以下のものを含む、種子又は塊茎に由来するガム:
- グアーガム(マンノース及びガラクトースのポリマー);
- ローカストビーンガム(マンノース及びガラクトースのポリマー);
- コロハ種子ガム(マンノース及びガラクトースのポリマー);
- タマリンドガム(ガラクトース、キシロース及びグルコースのポリマー);
- コンニャクガム(グルコース及びマンノースのポリマー);;
d)以下のものを含む微生物ガム:
- キサンタンガム(グルコース、酢酸マンノース、マンノース/ピルビン酸及びグルクロン酸のポリマー);
- ゲランガム(部分的アシル化グルコース、ラムノース及びグルクロン酸のポリマー);
- スクレログルカンガム(グルコースポリマー);
e)以下のものを含む植物抽出物:
- セルロース(グルコースポリマー);
- デンプン(グルコースポリマー)及び
- イヌリン。
【0112】
これらのポリマーは、物理的又は化学的に変性することができる。物理的処理として、特に、温度を挙げることができる。
【0113】
列挙され得る化学的処理としては、エステル化、エーテル化、アミド化及び酸化反応がある。これらの処理は、特に、非イオン性、アニオン性又は両性であり得るポリマーをもたらすことができる。
【0114】
好ましくは、これらの化学的若しくは物理的処理は、グアーガム、ローカストビーンガム、デンプン及びセルロースに適用される。
【0115】
本発明に従って用いることができる非イオン性グアーガムは、C1~C6(ポリ)ヒドロキシアルキル基を用いて変性することができる。
【0116】
C1~C6(ポリ)ヒドロキシアルキル基の中でも、例えば、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル及びヒドロキシブチル基を挙げることができる。
【0117】
これらのグアーガムは、従来技術において周知であり、例えば、相当するアルケンオキシド、例えばプロピレンオキシドをグアーガムと反応させて、ヒドロキシプロピル基で変性されたグアーガムを得ることにより調製してもよい。
【0118】
ヒドロキシアルキル化度は、好ましくは0.4から1.2までの範囲であり、グアーガムに存在する遊離ヒドロキシル官能基の数で除された、消費されたアルキレンオキシド分子の数に相当する。
【0119】
ヒドロキシアルキル基で任意選択で変性されたこのような非イオン性グアーガムは、例えば、Rhodia Chimie社によりJaguar HP8、Jaguar HP60及びJaguar HP120の商品名で販売されている。
【0120】
本発明において使用してもよい植物由来のデンプン分子は、穀物又は塊茎であり得る。したがって、デンプンは、例えば、トウモロコシデンプン、コメデンプン、キャッサバデンプン、オオムギデンプン、ジャガイモデンプン、コムギデンプン、ソルガムデンプン及びエンドウデンプンから選択される。
【0121】
デンプン類は、特に、次の反応のうちの1種又は複数によって、物理的又は化学的に変性することができる:アルファ化、酸化、架橋、エステル化、エーテル化、アミド化、熱処理。
【0122】
ジスターチホスフェート又はジスターチホスフェートが豊富である化合物、例えば、AVEBE社により参照名Prejel VA-70-T AGGL(ゼラチン化されたヒドロキシプロピルキャッサバジスターチリン酸)、Prejel TK1(ゼラチン化されたキャッサバジスターチリン酸)及びPrejel 200(ゼラチン化されたアセチルキャッサバジスターチリン酸)で、又はNational Starch社から参照名Structure Zea(ゼラチン化されたコーンジスターチリン酸)で提供される製品が、優先的に使用されることになる。
【0123】
本発明によれば、両性デンプンを用いることもでき、これらの両性デンプンは、1つ又は複数のアニオン性基及び1つ又は複数のカチオン性基を含む。アニオン性基及びカチオン性基は、デンプン分子の同じ反応部位又は異なる反応部位に結合させてもよく;これらは、好ましくは、同じ反応部位に結合される。アニオン性基は、カルボキシル、ホスフェート又はスルフェートタイプのもの、好ましくはカルボキシルのものであり得る。カチオン性基は、第一級、第二級、第三級又は第四級アミンタイプのものであり得る。
【0124】
デンプン分子は、特に、トウモロコシ、ジャガイモ、カラスムギ、コメ、タピオカ、ソルガム、オオムギ又はコムギ等の任意の植物デンプン源に由来し得る。上記で挙げられたデンプンの加水分解物を用いることも可能である。デンプンは、好ましくは、ジャガイモに由来する。
【0125】
本発明の非会合性増粘ポリマーは、これらの構造中にC10~C30脂肪鎖を含まない、セルロース系ポリマーであり得る。
【0126】
本発明によれば、「セルロース系ポリマー」という用語は、その構造中にβ-1,4結合を介して共に結合されたグルコース残基の配列を有する、任意の多糖類化合物を意味することを意図し、非置換セルロースに加えて、セルロース誘導体は、アニオン性、カチオン性、両性又は非イオン性であり得る。
【0127】
したがって、本発明に従って使用してもよいセルロースポリマーは、微晶質形態のものを含む非置換セルロース、及びセルロースエーテルから選択してもよい。
【0128】
これらのセルロース系ポリマーの中でも、セルロースエーテル、セルロースエステル及びセルロースエステルエーテルがよく知られている。
【0129】
セルロースエステルのうちの1つは、無機セルロースエステル(硝酸、硫酸、リン酸セルロース等)、有機セルロースエステル(セルロースモノアセテート、トリアセテート、アミドプロピオネート、アセテートブチレート、アセテートプロピオネート、及びアセテートトリメリテート等)、及びセルロースの有機/無機混合エステル、例えばセルロースアセテートブチレートスルフェート及びセルロースアセテートプロピオネートスルフェートである。セルロースエステルエーテルの中でも、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース及び硫酸エチルセルロースを挙げることができる。
【0130】
C10~C30脂肪鎖を含まない、すなわち、「非会合性」である、非イオン性セルロースエーテルの中でも、(C1~C4)アルキルセルロース、例えばメチルセルロース及びエチルセルロース(例えばDow Chemical社製のEthocel standard 100 Premium);(ポリ)ヒドロキシ(C1~C4)アルキルセルロース、例えばヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース(例えばAqualon社製のNatrosol 250 HHR)及びヒドロキシプロピルセルロース(例えばAqualon社製のKlucel EF);(ポリ)ヒドロキシ(C1~C4)アルキル(C1~C4)アルキル混合セルロース、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えばDow Chemical社製のMethocel E4M);ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセルロース(例えばAkzo Noble社製のBermocoll E 481 FQ)及びヒドロキシブチルメチルセルロースを挙げることができる。
【0131】
脂肪鎖を有さないアニオン性セルロースエーテルの中でも、(ポリ)カルボキシ(C1~C4)アルキルセルロース及びそれらの塩を挙げることができる。例として、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルメチルセルロース(例えばAqualon社製のBlanose 7M)及びカルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、並びにこれらのナトリウム塩を挙げることができる。
【0132】
脂肪鎖を有さないカチオン性セルロースエーテルの中でも、カチオン性セルロース誘導体、例えば水溶性第四級アンモニウムモノマーでグラフトされ、特に特許US 4,131,576に記載のセルロースコポリマー又はセルロース誘導体等、例えば、特にメタクリロイルエチルトリメチルアンモニウム、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム又はジメチルジアリルアンモニウム塩でグラフトされた、(ポリ)ヒドロキシ(C1~C4)アルキルセルロース、例えばヒドロキシメチル-、ヒドロキシエチル-又はヒドロキシプロピルセルロースを挙げることができる。この定義に相当する市販製品は、より詳細には、National Starch社によりCelquat L 200(登録商標)及びCelquat H 100(登録商標)の名称で販売されている製品である。
【0133】
本発明に従って使用してもよい糖単位を有さない非会合性増粘ポリマーの中でも、架橋アクリル酸若しくはメタクリル酸ホモポリマー又はコポリマー、架橋2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ホモポリマー及びその架橋アクリルアミドコポリマー、アクリル酸アンモニウムホモポリマー、又はアクリル酸アンモニウムとアクリルアミドのコポリマーを、単独又はこれらの混合物で挙げることができる。
【0134】
使用するのに適した非会合性増粘性ポリマーの第1のファミリーは、架橋アクリル酸ホモポリマーによって代表される。
【0135】
このタイプのホモポリマーの中でも、糖系のアリルアルコールエーテルで架橋されたもの、例えば、Noveon社によりCarbopol 980、981、954、2984及び5984の名称で販売されている製品、又は3 VSA社によりSynthalen M及びSynthalen Kの名称で販売されている製品を挙げることができる。これらのポリマーは、カルボマー(Carbomer)のINCI名を有する。
【0136】
また、非会合性増粘ポリマーは、架橋(メタ)アクリル酸コポリマー、例えばNoveon社によってAqua SF1の名称で販売されているポリマーであり得る。
【0137】
非会合性増粘性ポリマーは、架橋2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ホモポリマー及びその架橋アクリルアミドコポリマーから選択され得る。
【0138】
2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸とアクリルアミドの、部分的に又は完全に中和された架橋コポリマーの中でも、特に文献EP 503 853の実施例1に記載の生成物を挙げることができ、これらのポリマーに関し前記文献を参照することができる。
【0139】
組成物は、非会合性増粘性ポリマーとして、アンモニウムアクリレートホモポリマー、又はアンモニウムアクリレートとアクリルアミドのコポリマーも同様に含み得る。
【0140】
列挙され得るアンモニウムアクリレートホモポリマーのうちの1つは、Hoechst社によってMicrosap PAS 5193の名称で販売されている製品である。列挙され得るアンモニウムアクリレートとアクリルアミドのコポリマーのうちの1つは、Hoechst社によってBozepol C Nouveauの名称で販売されている製品又は製品PAS 5193である。このような化合物の説明及び調製に関して、特にFR 2 416 723、US 2,798,053及びUS 2,923,692を参照してもよい。
【0141】
アクリルタイプのカチオン性増粘ポリマーを使用してもよい。
【0142】
親水性増粘ポリマーの中でも、当業者に周知である、特に、非イオン性、アニオン性、カチオン性又は両性性質の会合性ポリマーが挙げられ得る。
【0143】
会合性ポリマーは、水性媒体中で、互いに又は他の分子と可逆的に会合することができるポリマーであることを記載しておく。
【0144】
それらの化学構造は、より詳細には、少なくとも1つの親水性領域及び少なくとも1つの疎水性領域を含む。
【0145】
「疎水性基」という用語は、少なくとも10個の炭素原子、好ましくは10~30個の炭素原子、特に12~30個の炭素原子、より優先的には18~30個の炭素原子を含む、飽和又は不飽和の直鎖状又は分岐状の炭化水素ベースの鎖を有する基又はポリマーを意味する。
【0146】
好ましくは、炭化水素系基は、単官能性化合物に由来する。例として、疎水基は、ステアリルアルコール、ドデシルアルコール又はデシルアルコール等の脂肪族アルコールに由来し得る。これはまた、炭化水素系ポリマー、例えば、ポリブタジエンを示していてもよい。
【0147】
列挙され得るアニオン性タイプの会合性ポリマーのうちの1つは以下のものが挙げられ得る:
- (a)少なくとも1つの親水性単位及び少なくとも1つの脂肪-鎖アリルエーテル単位を含むもの、より詳細にはその親水性単位がエチレン性不飽和アニオン性モノマー、より詳細にはビニルカルボン酸、最も詳細にはアクリル酸若しくはメタクリル酸又はこれらの混合物から構成されるもの。
【0148】
これらのアニオン性会合性ポリマーの中でも、本発明に従って特に好ましいものは、20質量%~60質量%のアクリル酸及び/又はメタクリル酸、5質量%~60質量%の低級アルキル(メタ)アクリレート、2質量%~50質量%の脂肪鎖アリルエーテル、及び0~1質量%の架橋剤から形成されるポリマーであり、これは周知の共重合性不飽和ポリエチレン性モノマー、例えば、ジアリルフタレート、アリル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、(ポリ)エチレングリコールジメタクリレート又はメチレンビスアクリルアミドである。
【0149】
後者のポリマーの中でも、特に最も好ましいものは、メタクリル酸、エチルアクリレート及びポリエチレングリコール(10OE)ステアリルアルコールエーテル(ステアレス10)の架橋ターポリマー、特にCIBA社によってSalcare SC80(登録商標)及びSalcare SC90(登録商標)の名称で販売されているものであり、これらは、メタクリル酸、エチルアクリレート及びステアレス10アリルエーテル(40/50/10)の架橋ターポリマーの水性30%エマルションである。
- (b)i)不飽和オレフィンカルボン酸タイプのうちの少なくとも1つの親水性単位及びii)不飽和カルボン酸タイプの(C10~C30)アルキルエステルのうち少なくとも1つの疎水性単位を含むもの。
【0150】
本発明に有用である不飽和カルボン酸の(C10~C30)アルキルエステルは、例えば、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸デシル、アクリル酸イソデシル及びアクリル酸ドデシル、並びにその対応メタクリラート、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸イソデシル及びメタクリル酸ドデシルを含む。
【0151】
このタイプのアニオン性ポリマーは、例えば、特許US 3,915,921及びUS 4,509,949に従って、説明され、調製される。
【0152】
より詳細に使用されることになるこのタイプのアニオン性会合性ポリマーのうちの1つは、95重量%~60重量%のアクリル酸(親水性単位)、4重量%~40重量%のC10~C30アクリル酸アルキル(疎水性単位)及び0~6重量%の架橋重合可能なモノマーから構成されるもの、又は98重量%~96重量%のアクリル酸(親水性単位)、1重量%~4重量%のC10~C30アクリル酸アルキル(疎水性単位)及び0.1重量%~0.6重量%の前述のもの等の架橋重合可能なモノマーから構成されるものである。
【0153】
上記の前記ポリマーの中でも、本発明による特に最も好ましいものは、Goodrich社によりPemulen TR1(登録商標)、Pemulen TR2(登録商標)、Carbopol 1382(登録商標)、更により優先的にはPemulen TR1(登録商標)の商品名で販売されている製品、及びSEPPIC社によりCoatex SX(登録商標)の名称で販売されている製品である。
【0154】
ISP社によりAcrylidone LMの名称で販売されているアクリル酸/メタクリル酸ラウリル/ビニルピロリドンターポリマーを挙げることもできる。
- (c)無水マレイン酸/C30~C38α-オレフィン/マレイン酸アルキルターポリマー、例えば、NewPhase Technologies社によりPerforma V1608(登録商標)の名称で販売されている製品(無水マレイン酸/C30~C38α-オレフィン/マレイン酸イソプロピルコポリマー)。
- (d)以下のものを含む、アクリルターポリマー
i)約20質量%~70質量%のα,β-モノエチレン性不飽和カルボン酸[A]、
ii)[A]以外の、約20質量%~80質量%のα,β-モノエチレン性不飽和非界面活性モノマー、
iii)一水素性界面活性剤の、モノエチレン性不飽和モノイソシアネートとの反応の生成物である、約0.5質量%~60質量%の非イオン性モノウレタン、例えば特許出願EP-A-0 173 109に記載のもの、より詳細には実施例3に記載のターポリマー、すなわち水性25%分散液としての、メタクリル酸/メチルアクリレート/ベヘニルアルコールジメチル-メタ-イソプロペニルベンジルイソシアネートエトキシ化(40OE)ターポリマー;
- (e)これらのモノマーの中でも、α,β-モノエチレン性不飽和カルボン酸及びα,β-モノエチレン性不飽和カルボン酸及びオキシアルキレン化脂肪族アルコールのエステルを含むコポリマー。
【0155】
優先的には、これらの化合物は、モノマーとしてα,β-モノエチレン性不飽和カルボン酸エステル及びC1~C4アルコールのエステルも含む。
【0156】
挙げることができるこのタイプの化合物の例は、Rohm & Haas社により販売されているAculyn 22(登録商標)であり、これは、メタクリル酸/エチルアクリレート/オキシアルキル化ステアリルメタクリレートターポリマーであり;またRohm & Haasにより販売されているAculyn 88である。
- (f)遊離の又は部分的に若しくは完全に中和された形態でスルホ基を有する、少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマーを含む及び少なくとも1種の疎水性部分を含む、両親媒性ポリマー。これらのポリマーは、架橋されても、架橋されなくてもよい。それらは、好ましくは架橋される。
【0157】
スルホ基を有する、エチレン性不飽和モノマーは、特に、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、(メタ)アクリルアミド(C1~C22)アルキルスルホン酸、ウンデシルアクリルアミドメタンスルホン酸等のN-(C1~C22)アルキル(メタ)アクリルアミド(C1~C22)アルキルスルホン酸、またそれらの部分的に又は完全に中和された形態、及びこれらの混合物から選択される。
【0158】
(メタ)アクリルアミド(C1~C22)アルキルスルホン酸、例えば、アクリルアミドメタンスルホン酸、アクリルアミドエタンスルホン酸、アクリルアミドプロパンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、メタクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-アクリルアミド-n-ブタンスルホン酸、2-アクリルアミド-2,4,4-トリメチルペンタンスルホン酸、2-メタクリルアミドドデシルスルホン酸又は2-アクリルアミド-2,6-ジメチル-3-ヘプタンスルホン酸、及びこれらの部分的又は完全に中和された形態が、より優先的に使用される。
【0159】
2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、及びその部分的に又は完全に中和された形態が、より詳細には使用される。
【0160】
このファミリーのポリマーは、C6~C22n-モノアルキルアミン又はジ-n-アルキルアミンとの反応によって変性されたランダム両親媒性AMPSポリマー、及びWO 00/31154に記載されているもの等から特に選択されてもよい。これらのポリマーは、例えば、(メタ)アクリル酸、これらのβ-置換アルキル誘導体、又はモノアルコール若しくはモノ-若しくはポリアルキレングリコールにより得られたそれらのエステル、(メタ)アクリルアミド、ビニルピロリドン、無水マレイン酸、イタコン酸、又はマレイン酸、或いはこれらの化合物の混合物から選択される、他のエチレン性不飽和親水性モノマーも含んでいてもよい。
【0161】
このファミリーの好ましいポリマーは、AMPS及び少なくとも1種のエチレン性不飽和疎水性モノマーの両親媒性コポリマーから選択される。
【0162】
これらの同じコポリマーは、また、(メタ)アクリル酸、それらのβ-置換アルキル誘導体、又はモノアルコール又はモノ-若しくはポリアルキレングリコールにより得られたそれらのエステル、(メタ)アクリルアミド、ビニルピロリドン、無水マレイン酸、イタコン酸又はマレイン酸、又はこれらの化合物の混合物等の、脂肪鎖を含まない1種又は複数のエチレン性不飽和モノマーも含んでいてもよい。
【0163】
これらのコポリマーは、とりわけ、特許出願EP-A-0 750 899、特許US 5,089,578及び以下のYotaro Morishima氏の刊行物に記載されている。
- Self-assembling amphiphilic polyelectrolytes and their nanostructures、Chinese Journal of Polymer Science、18巻、40号(2000年)、323~336頁;
- Micelle formation of random copolymers of sodium 2-(acrylamido)-2-methylpropanesulfonate and a nonionic surfactant macromonomer in water as studied by fluorescence and dynamic light scattering、Macromolecules、33巻、10号、2000年、3694~3704頁;
- Solution properties of micelle networks formed by nonionic moieties covalently bound to a polyelectrolyte: salt effects on rheological behavior - Langmuir,2000年、16巻、12号、5324~5332頁;
- Stimuli responsive amphiphilic copolymers of sodium 2-(acrylamido)-2-methylpropanesulfonate and associative macromonomers、Polym. Preprint, Div. Polym. Chem、40(2)、(1999年)、220~221頁。
【0164】
これらのポリマーのうち、以下のものを挙げてもよい。
- ポリマーに対して15質量%~60質量%のAMPS単位及び40質量%~85質量%の(C8~C16)アルキル(メタ)アクリルアミド又は(C8~C16)アルキル(メタ)アクリレート単位を含む、架橋又は非架橋の、中和された又は中和されていないコポリマー、例えば特許出願EP-A750 899に記載されているもの;
- 10mol%~90mol%のアクリルアミド単位、0.1mol%~10mol%のAMPS単位及び5mol%~80mol%のn-(C6~C18)アルキルアクリルアミド単位を含むターポリマー、例えば、特許US-5,089,578に記載されているもの。
【0165】
完全に中和されたAMPSとメタクリル酸ドデシルのコポリマー、また、AMPSとn-ドデシルメタクリルアミドの架橋及び非架橋コポリマー、例えば、上記に記述されたMorishima論文に記載されているものを挙げることもできる。
【0166】
カチオン性会合性ポリマーの中でも、以下のものを挙げてもよい。
(a)カチオン性会合性ポリウレタン;
(b)ポリアクリラート-1クロスポリマーのINCI名に相当する、Noveon社によりAqua Ccの名称で販売されている化合物。
【0167】
ポリアクリレート-1クロスポリマーは、以下のものを含むモノマーの混合物の重合生成物である:
- メタクリル酸ジ(C1~C4アルキル)アミノ(C1~C6アルキル)、
- 1種又は複数の、(メタ)アクリル酸のC1~C30アルキルエステル、
- ポリエトキシル化されたメタクリル酸C10~C30アルキル(20~25molのエチレンオキシド単位)、
- 30/5のポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコールアリルエーテル、
- メタクリル酸ヒドロキシ(C2~C6アルキル)、及び
- ジメタクリル酸エチレングリコール。
(c)少なくとも8個の炭素原子を含むアルキル、アリールアルキル又はアルキルアリール基等の少なくとも1種の脂肪鎖を含む基で変性された、四級化(ポリ)ヒドロキシエチルセルロース、又はそれらの混合物。上記の四級化セルロース又はヒドロキシエチルセルロースによって保持されるアルキル基は、好ましくは8~30個の炭素原子を含む。アリール基は、好ましくは、フェニル、ベンジル、ナフチル又はアントリル基を示す。示すことができる、C8~C30脂肪鎖を含む四級化アルキルヒドロキシエチルセルロースの例としては、Aqualon社により販売されている製品Quatrisoft LM 200(登録商標)、Quatrisoft LM-X 529-18-A(登録商標)、Quatrisoft LM-X 529-18B(登録商標)(C12アルキル)及びQuatrisoft LM-X 529-8(登録商標)(C18アルキル)、Croda社により販売されている製品Crodacel QM(登録商標)、Crodacel QL(登録商標)(C12アルキル)及びCrodacel QS(登録商標)(C18アルキル)並びにAqualon社により販売されている製品Softcat SL 100(登録商標)がある。
(d)カチオン性ポリビニルラクタムポリマー。
【0168】
このようなポリマーは、例えば、特許出願WO-00/68282に記載されている。
【0169】
本発明によるカチオン性ポリ(ビニルラクタム)ポリマーとして、ビニルピロリドン/ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド/ドデシルジメチルメタクリル-アミドプロピルアンモニウムトシレートターポリマー、ビニルピロリドン/ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド/ココイルジメチルメタクリルアミドプロピルアンモニウムトシレートターポリマー、ビニルピロリドン/ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド/ラウリルジメチルメタクリルアミドプロピルアンモニウムトシレート又はクロリドターポリマーが特に使用される。
【0170】
両性会合性ポリマーは、好ましくは、少なくとも1つの非環式カチオン性単位を含むものから選択される。更により詳細には、モノマーの総モル数に対して、1~20mol%、好ましくは1.5~15mol%、更により詳細には1.5~6mol%の脂肪鎖モノマーから調製された又はそれを含むものが好ましい。
【0171】
本発明による両性会合性ポリマーは、例えば、特許出願WO 98/44012において記載及び調製される。
【0172】
本発明による両性会合性ポリマーの中でも好ましいものは、アクリル酸/(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド/メタクリル酸ステアリルターポリマーである。
【0173】
本発明に従って用いることができる非イオン性タイプの会合性ポリマーは、好ましくは、以下のものから選択される。
(a)ビニルピロリドン及び脂肪鎖疎水性モノマーのコポリマー、列挙され得るその例としては、以下のものがある。
- ISP社によって販売されている製品Antaron V216(登録商標)又はGanex V216(登録商標)(ビニルピロリドン/ヘキサデセンコポリマー)、
- ISP社によって販売されている製品Antaron V220(登録商標)又はGanex V220(登録商標)(ビニルピロリドン/エイコセンコポリマー)、
(b)C1~C6アルキルメタクリレート又はアクリレート、及び少なくとも1つの脂肪鎖を含む両親媒性モノマーのコポリマー、例えば、Goldschmidt社によりAntil 208(登録商標)の名称で販売されているオキシエチレン化アクリル酸メチル/ステアリルアクリレートコポリマー;
(c)親水性メタクリレート又はアクリレート及び少なくとも1つの脂肪鎖を含む疎水性モノマーのコポリマー、例えばポリエチレングリコールメタクリレート/ラウリルメタクリレートコポリマー;
(d)これらの鎖中に、通常ポリオキシエチレン性の親水性ブロックと単独の脂肪族配列及び/又は環状脂肪族及び/又は芳香族配列であり得る疎水性ブロックの両方を含む、ポリウレタンポリエーテル;
(e)少なくとも1つの脂肪鎖を含むアミノプラストエーテル主鎖を有するポリマー、例えば、Sud-Chemie社により販売されているPure Thix(登録商標)化合物;
(f)セルロース、又はアルキル、アリールアルキル若しくはアルキルアリール基若しくはこれらの混合物等の少なくとも1つの脂肪鎖を含む基で改変されたこれらの誘導体であって、アルキル基がC8のものであるセルロース又はこれらの誘導体、特に:
* 非イオン性アルキルヒドロキシエチルセルロース、例えばAqualon社により販売されている製品Natrosol Plus Grade 330 CS及びPolysurf 67(C16アルキル);
* 非イオン性ノノキシニルヒドロキシエチルセルロース、例えばAmerchol社により販売されている製品Amercell HM-1500;
* 非イオン性アルキルセルロース、例えばBerol Nobel社により販売されている製品Bermocoll EHM 100;
(g)会合性グアー誘導体、例えば脂肪鎖で変性されたヒドロキシプロピルグアー、例えば、Lamberti社により販売されている(C22アルキル鎖で変性された)製品Esaflor HM 22; Rhodia Chimie社により販売されている(C14アルキル鎖で変性された)製品Miracare XC 95-3及び(C20アルキル鎖で変性された)製品RE 205-146。
【0174】
好ましくは、ポリウレタンポリエーテルは、親水性ブロックによって分離された、6~30個の炭素原子を含む、少なくとも2つの炭化水素ベースの親油性鎖を含み、炭化水素系鎖は、側鎖又は親水性ブロックの末端鎖となることもある。特に、1つ又は複数の側鎖と想定することが可能である。更にポリマーは、親水性ブロックの一方の末端又は両方の末端に炭化水素ベースの鎖を含むことができる。
【0175】
ポリウレタンポリエーテルは、マルチブロック、特にトリブロックの形態となり得る。疎水性ブロックは、鎖の各末端にあってよく(例えば、親水性の中央ブロックを有するトリブロックコポリマー)、又は両側の末端及び鎖中に分布され得る(例えば、マルチブロックコポリマー)。これらの同じポリマーはまた、グラフトポリマーでも星型ポリマーでもよい。
【0176】
非イオン性脂肪鎖ポリウレタンポリエーテルは、トリブロックコポリマーであり得、その親水性ブロックは、50~1000個のオキシエチレン基を含むポリオキシエチレン鎖である。非イオン性ポリウレタンポリエーテルは、親水性ブロック間でウレタン結合を含み、それ故、この名称の起源となっている。
【0177】
拡大解釈すると、非イオン性脂肪鎖ポリウレタンポリエーテルの中でやはり含まれるのは、親水性ブロックが他の化学結合を介して親油性ブロックに結合されるものである。
【0178】
本発明において使用してもよい非イオン性脂肪鎖ポリウレタンポリエーテルの例として、Rheox社より販売されている尿素官能を有するRheolate 205(登録商標)、又はRheolate(登録商標)208、204又は212、またAcrysol RM184(登録商標)を使用してもよい。
【0179】
Akzo社製のC12~C14アルキル鎖を有する製品Elfacos T210(登録商標)、及びC18アルキル鎖を有する製品Elfacos T212(登録商標)も挙げられ得る。
【0180】
水中にて固体含有量20%で販売されているC20アルキル鎖及びウレタン結合を有する、Rohm & Haas社製の製品DW 1206B(登録商標)も使用してもよい。
【0181】
更に使用してよいのは、これらのポリマーの、特に水中又は水性/アルコール性媒体中の、溶液又は分散体である。列挙され得るそのようなポリマーの例としては、Rheox社により販売されているRheolate(登録商標)255、Rheolate(登録商標)278及びRheolate(登録商標)244がある。Rohm & Haas社により販売されている製品DW 1206F及びDW 1206Jを使用してもよい。
【0182】
本発明に従って使用し得るポリウレタンポリエーテルは、特に文献G. Fonnum, J. Bakke, and Fk. Hansen - Colloid Polym. Sci 271, 380.389 (1993)に記載されたものである。
【0183】
(i)150~180molのエチレンオキシドを含む少なくとも1つのポリエチレングリコール、(ii)ステアリルアルコール又はデシルアルコール、及び(iii)少なくとも1つのジイソシアネートを含む少なくとも3つの化合物の重縮合によって得られ得るポリウレタンポリエーテルを使用することが更により詳細には好ましい。
【0184】
このようなポリウレタンポリエーテルは、特に、Rohm & Haas社からAculyn 46(登録商標)及びAculyn 44(登録商標)の名称で販売されている[Aculyn 46(登録商標)は、マルトデキストリン(4%)及び水(81%)のマトリクス中に、15質量%の、150又は180molのエチレンオキシドを含有するポリエチレングリコールと、ステアリルアルコールと、メチレンビス(4-シクロへキシルイソシアネート)(SMDI)との重縮合物であり、Aculyn 44(登録商標)は、プロピレングリコール(39%)と水(26%)との混合物中に35質量%の、150又は180molのエチレンオキシドを含有するポリエチレングリコールと、デシルアルコールと、メチレンビス(4-シクロへキシルイソシアネート)(SMDI)との重縮合物である]。
【0185】
好ましくは、親水性増粘剤は、糖単位を全く含まないポリマーから選択される。
【0186】
より優先的には、親水性増粘剤は、アクリル又はメタクリル単位を有する会合性又は非会合性増粘ポリマー、並びに2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸単位及び/又はこれらの塩化形態を有するポリマーから選択される。
【0187】
本発明の好ましい変形態において、親水性増粘剤は、アクリル酸ホモポリマー又はコポリマー、特に2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸及び/又はこれらの塩化形態のアクリル酸ホモポリマー、ホモポリマー又はコポリマー、特に2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸及び/又はこれらの塩化形態のコポリマー、より詳細には2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸及び/又はこれらの塩化形態及びアクリルアミドのコポリマー、又は2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸及び/又はこれらの塩化形態及びヒドロキシエチルアクリレートのコポリマーから選択され、前記ポリマーは、場合により架橋されているか架橋されていない。
【0188】
挙げることができる親水性増粘剤の例としては、カルボキシビニルポリマー、例えばCarbopol製品(carbomer)及びPemulen製品(アクリレート/C10~C30-アルキルアクリレートコポリマー);ポリアクリルアミド、例えば、SEPPIC社により名称Sepigel 305で販売されているもの(CTFA名:ポリアクリルアミド/C13~C14イソパラフィン/ラウレス7);アクリロイルジメチルタウレートコポリマー、例えば、SEPPIC社により販売されているSimulgel FL(CTFA名:ヒドロキシエチルアクリレート/アクリロイルジメチルタウリンナトリウムコポリマー/ポリソルベート60)、Simulgel 800(CTFA名:ポリアクリロイルジメチルタウリンナトリウム/ポリソルベート80/ソルビタンオレエート)又はSimulgel 600(CTFA名:アクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリンナトリウムコポリマー/イソヘキサデカン/ポリソルベート80);任意選択で中和された、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸のポリマー及びコポリマー、例えば、Clariant社により商品名Hostacerin AMPSで販売されているポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸)(CTFA名:ポリアクリロイルジメチルタウリンアンモニウム)2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸及びヒドロキシエチルアクリレートのコポリマー、例えばSEPPIC社により販売されているSimulgel NS及びSepinov EMT 10;セルロース誘導体、例えばヒドロキシエチルセルロース、並びにこれらの混合物がある。Simulge lFL、Simulgel 800及びSimulgel 600等のアクリロイルジメチルタウレートコポリマーが好ましい場合がある。
【0189】
第1の組成物における親水性増粘剤の量は、第1の組成物の総質量に対して、15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下であってもよい。
【0190】
第1の組成物における親水性増粘剤の量は、第1の組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上であってもよい。
【0191】
第1の組成物は、親水性増粘剤を、第1の組成物の総質量に対して、0.01質量%~15質量%、好ましくは0.1~10質量%、及びより好ましくは1~5質量%の量で含んでいてもよい。
【0192】
(有機溶媒)
第1の組成物は、少なくとも1つの有機溶媒を含んでいてもよい。2種以上の有機溶媒を使用する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
【0193】
本発明によれば、使用することができる有機溶媒は、室温(25℃)及び大気圧(760mmHg、すなわち、1.013×105Pa)で液体である。
【0194】
好ましくは、有機溶媒は、1~8個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状のモノアルコール、ポリオール、ポリエチレングリコール、芳香族アルコール、及びこれらの化合物の混合物から選択してもよい。
【0195】
より好ましくは、有機溶媒は、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール、イソブタノール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、ブチレングリコール、グリセロール、ソルビトール、ベンジルアルコール及びフェノキシエタノール、並びにこれらの化合物の混合物から選択してもよい。
【0196】
特に最も好ましくは、有機溶媒は、エタノール、ジプロピレングリコール及びベンジルアルコール、並びにこれらの化合物の混合物から選択してもよい。
【0197】
特に、第1の組成物はベンジルアルコールを含んでいてもよい。
【0198】
有機溶媒は、第1の組成物の総質量に対して、25質量%以下、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下の量で使用してもよい。
【0199】
有機溶媒は、第1の組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上の量で使用してもよい。
【0200】
有機溶媒は、第1の組成物の総質量に対して、0.01質量%~25質量%、好ましくは0.1質量%~20質量%、より好ましくは1質量%~15質量%の範囲の量で使用してもよい。
【0201】
(他の任意の成分)
第1の組成物のpHは、ケラチン繊維の染色において通常使用される酸性化剤又は塩基性化剤を使用して、或いは従来の緩衝液系を使用して、所望の値に調整されてもよい。
【0202】
第1の組成物は好ましくは酸性である。したがって、組成物の水相のpHは、1~6、より好ましくは2~5、更により好ましくは2~4であることが好ましい。
【0203】
酸性化剤の中でも、例として、無機又は有機酸、例えば、塩酸、オルトリン酸、硫酸、カルボン酸、例えば、酢酸、酒石酸、クエン酸及び乳酸、並びにスルホン酸が挙げられてもよい。
【0204】
塩基性化剤の中でも、例として、水酸化アンモニウム、アルカリ金属炭酸塩、アルカノールアミン、例えばモノ-、ジ-及びトリエタノールアミン、またそれらの誘導体、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム、並びに下式の化合物が挙げられてもよく:
【0205】
【0206】
(式中、
Wは、ヒドロキシル又はC1~C4アルキル基で任意選択で置換されているプロピレン等のアルキレンを示し、Ra、Rb、Rc及びRdは、独立して、水素原子、アルキル基又はC1~C4ヒドロキシアルキル基を示す)
これは、1,3-プロパンジアミン及びこれらの誘導体により例示することができる。
【0207】
酸性化剤又は塩基性化剤は、第1の組成物の総質量に対して、0.001質量%~15質量%、好ましくは0.01質量%~10質量%、より好ましくは0.1質量%~5質量%の範囲の量で使用してもよい。
【0208】
第1の組成物は、毛髪を染色するための組成物に従来使用されるさまざまな補助剤、例えば、アニオン性、非イオン性、カチオン性、及び両性又は双性イオン性ポリマー、抗酸化剤、アニオン性、非イオン性、カチオン性、両性界面活性剤、金属イオン封鎖剤、香料、分散剤、調整剤、フィルム形成剤、セラミド、保存料並びに乳白剤も含んでいてもよい。
【0209】
(調製)
第1の組成物は、上記で説明したように、必須成分並びに必要に応じて任意選択の成分を混合することによって調製することができる。
【0210】
上記の必須成分と任意選択の成分とを混合する方法及び手段は、限定されない。混合機又は撹拌機等の任意の従来の方法及び手段を使用し、上記必須成分及び任意選択の成分を混合し、第1の組成物を調製することができる。
【0211】
(第2の組成物)
第2の組成物は、少なくとも1種の油及び少なくとも1つのペースト状又は固体状非極性炭化水素系脂肪物質を含む。
【0212】
(油)
第2の組成物は、少なくとも1種の油を含む。2種類以上の油が使用される場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
【0213】
ここで「油」は、室温(25℃)、大気圧(760mmHg)下で液体形態である脂肪族化合物又は脂肪性物質を意味する。油として、化粧品において一般的に使用されるものを、単独で、又はそれらを組み合わせて使用することができる。これらの油は揮発性であっても不揮発性であってもよい。
【0214】
油は、炭化水素油、シリコーン油等の非極性油、植物性油若しくは動物性油及びエステル油若しくはエーテル油等の極性油、又はこれらの混合物であってもよい。
【0215】
油は、植物又は動物起源の油、合成油、シリコーン油、炭化水素油、及び脂肪族アルコールからなる群から選択してもよい。
【0216】
植物油の例として、例えば、亜麻仁油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、アボカド油、サザンカ油、ヒマシ油、サフラワー油、ホホバ油、ヒマワリ油、アーモンド油、菜種油、ゴマ油、ダイズ油、ピーナツ油、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0217】
動物油の例として、例えば、スクアレン及びスクアランを挙げることができる。
【0218】
合成油の例として、アルカン油、例えばイソドデカン及びイソヘキサデカン、エステル油、エーテル油、及び人工トリグリセリドが挙げられ得る。
【0219】
エステル油は、好ましくは、飽和の又は不飽和の、直鎖状又は分岐状のC1~C26脂肪族一酸又は多酸の液状エステルと、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分岐状のC1~C26脂肪族一価アルコール又は多価アルコールとの液状エステルであり、これらのエステルの合計炭素原子数は10以上である。
【0220】
好ましくは、モノアルコールのエステルの場合、本発明のエステルが由来するアルコール及び酸の中から少なくとも1つは分岐状である。
【0221】
一酸及びモノアルコールのモノエステルの中でも、パルミチン酸エチル、パルミチン酸エチルヘキシル、パルミチン酸イソプロピル、炭酸ジカプリリル、ミリスチン酸アルキル、例えばミリスチン酸イソプロピル又はミリスチン酸エチル、ステアリン酸イソセチル、イソノナン酸2-エチルヘキシル、イソノナン酸イソノニル、ネオペンタン酸イソデシル及びネオペンタン酸イソステアリルが挙げられ得る。
【0222】
C4~C22ジカルボン酸又はトリカルボン酸、及びC1~C22アルコールのエステル、並びに、モノカルボン酸、ジカルボン酸又はトリカルボン酸、及び非糖C4~C26ジヒドロキシ、トリヒドロキシ、テトラヒドロキシ又はペンタヒドロキシアルコールのエステルも使用してもよい。
【0223】
セバシン酸ジエチル、ラウロイルサルコシン酸イソプロピル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ビス(2-エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジ-n-プロピル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ビス(2-エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソステアリル、マレイン酸ビス(2-エチルヘキシル)、クエン酸トリイソプロピル、クエン酸トリイソセチル、クエン酸トリイソステアリル、トリ乳酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、クエン酸トリオクチルドデシル、クエン酸トリオレイル、ジヘプタン酸ネオペンチルグリコール、ジイソノナン酸ジエチレングリコールを特に挙げることができる。
【0224】
エステル油として、C6~C30、好ましくはC12~C22脂肪酸の糖エステル及びジエステルを使用することができる。「糖」という用語は、いくつかのアルコール官能基を含み、アルデヒド又はケトン官能基を有し又は有さず、かつ少なくとも4個の炭素原子を含む、酸素含有炭化水素系化合物を意味することが想起される。これらの糖は、単糖、オリゴ糖又は多糖であってよい。
【0225】
挙げることができる適当な糖の例としては、スクロース(又はサッカロース)、グルコース、ガラクトース、リボース、フコース、マルトース、フルクトース、マンノース、アラビノース、キシロース及びラクトース、並びにそれらの誘導体、特にメチル誘導体等のアルキル誘導体、例えばメチルグルコースがある。
【0226】
脂肪酸の糖エステルは、前述の糖と、直鎖状若しくは分岐状の、飽和若しくは不飽和のC6~C30、好ましくはC12~C22の脂肪酸とのエステル又はエステル混合物からなる群から特に選択してもよい。それらが不飽和である場合、これらの化合物は、1~3個の共役又は非共役炭素-炭素二重結合を有する場合がある。
【0227】
この変形態によるエステルはまた、モノエステル、ジエステル、トリエステル、テトラエステル、及びポリエステル、並びにそれらの混合物から選択してもよい。
【0228】
これらのエステルは、例えば、オレイン酸エステル、ラウリン酸エステル、パルミチン酸エステル、ミリスチン酸エステル、ベヘン酸エステル、ヤシ脂肪酸エステル、ステアリン酸エステル、リノール酸エステル、リノレン酸エステル、カプリン酸エステル、及びアラキドン酸エステル、又はそれらの混合物、例えば、とりわけオレオパルミチン酸、オレオステアリン酸、及びパルミトステアリン酸の混合エステル、並びにテトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチルであってもよい。
【0229】
より詳細には、モノエステル及びジエステル、とりわけ、スクロース、グルコース又はメチルグルコースの、モノオレイン酸エステル又はジオレイン酸エステル、ステアリン酸エステル、ベヘン酸エステル、オレオパルミチン酸エステル、リノール酸エステル、リノレン酸エステル、及びオレオステアリン酸エステルが使用される。
【0230】
挙げることができる例は、Amerchol社によりGlucate(登録商標)DOの名称で販売されている製品であり、これはジオレイン酸メチルグルコースである。
【0231】
好ましいエステル油の例として、例えば、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジオクチル、ヘキサン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸エチル、オクタン酸セチル、オクタン酸オクチルドデシル、ネオペンタン酸イソデシル、プロピオン酸ミリスチル、2-エチルヘキサン酸2-エチルヘキシル、オクタン酸2-エチルヘキシル、(カプリル酸/カプリン酸)2-エチルヘキシル、パルミチン酸メチル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸イソプロピル、炭酸ジカプリリル、ラウロイルサルコシン酸イソプロピル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸エチルヘキシル、ラウリン酸イソヘキシル、ラウリン酸ヘキシル、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸イソデシル、トリ(2-エチルヘキサン酸)グリセリル、テトラ(2-エチルヘキサン酸)ペンタエリスリチル、コハク酸2-エチルヘキシル、セバシン酸ジエチル、及びそれらの混合物を挙げることができる。
【0232】
人工トリグリセリドの例として、例えば、カプリルカプリリルグリセリド、トリミリスチン酸グリセリル、トリパルミチン酸グリセリル、トリリノレン酸グリセリル、トリラウリン酸グリセリル、トリカプリン酸グリセリル、トリカプリル酸グリセリル、トリ(カプリン酸/カプリル酸)グリセリル及びトリ(カプリン酸/カプリル酸/リノレン酸)グリセリルを挙げることができる。
【0233】
シリコーン油の例として、例えば、直鎖状オルガノポリシロキサン、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、及びメチルハイドロジェンポリシロキサン等;環状オルガノポリシロキサン、例えば、シクロヘキサシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、及びドデカメチルシクロヘキサシロキサン等;並びにそれらの混合物を挙げることができる。
【0234】
好ましくは、シリコーン油は、液体ポリジアルキルシロキサン、特に液体ポリジメチルシロキサン(PDMS)及び少なくとも1つのアリール基を含む液体ポリオルガノシロキサンから選択される。
【0235】
これらのシリコーン油は、有機変性されていてもよい。本発明に従って使用することができる有機変性シリコーンは、上記で定義したようなシリコーン油であり、それらの構造中に、炭化水素系基を介して結合されている1個又は複数個の有機官能基を含むシリコーン油である。
【0236】
オルガノポリシロキサンは、Walter Noll著「Chemistry and Technology of Silicones」(1968)Academic Pressにおいてより詳細に定義されている。これらは、揮発性であっても不揮発性であってもよい。
【0237】
これらが揮発性である場合、シリコーンは、より詳細には、沸点が60℃から260℃の間であるものから選択され、更に、より詳細には、以下のものから選択される:
(i)3~7個、好ましくは4~5個のケイ素原子を含む環状ポリジアルキルシロキサン。これらは、例えば、特に、Union Carbide社によりVolatile Silicone(登録商標)7207という名称で、又はRhodia社によりSilbione(登録商標)70045 V2という名称で販売されているオクタメチルシクロテトラシロキサン、Union Carbide社によりVolatile Silicone(登録商標)7158という名称で、Rhodia社によりSilbione(登録商標)70045 V5という名称で販売されているデカメチルシクロペンタシロキサン、及びMomentive Performance Materials社によりSilsoft 1217という名称で販売されているドデカメチルシクロペンタシロキサン、並びにこれらの混合物である。Union Carbide社により販売されているSilicone Volatile(登録商標)FZ 3109等の、以下の式のジメチルシロキサン/メチルアルキルシロキサン等の型のシクロコポリマーを挙げることもできる。
【0238】
【0239】
環状ポリジアルキルシロキサンと有機ケイ素化合物との混合物、例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサンとテトラトリメチルシリルペンタエリスリトールとの混合物(50/50)及びオクタメチルシクロテトラシロキサンとオキシ-1,1'-ビス(2,2,2',2',3,3'-ヘキサトリメチルシリルオキシ)ネオペンタンとの混合物も挙げることもできる。
(ii)2~9個のケイ素原子を含み、25℃で5×10-6m2/s以下の粘度を有する直鎖状揮発性ポリジアルキルシロキサン。例は、特にToray Silicone社からSH 200の名称で販売されるデカメチルテトラシロキサンである。このカテゴリーに属するシリコーンはまた、Cosmetics and Toiletries、第91巻、76年1月、27~32頁、Todd & Byers、Volatile Silicone Fluids for Cosmeticsにおいて公表されている論文に記載されている。シリコーンの粘度は25℃でASTM規格445Appendix Cに従って測定される。
【0240】
不揮発性ポリジアルキルシロキサンを使用することもできる。これらの不揮発性シリコーンは、より詳細には、ポリジアルキルシロキサンから選択され、その中では、トリメチルシリル末端基を含むポリジメチルシロキサンを主に挙げることができる。
【0241】
これらのポリジアルキルシロキサンの中では、非限定的に、以下の市販製品を挙げることができる:
- Rhodia社により販売されているSilbione(登録商標)油の47及び70 047シリーズ又はMirasil(登録商標)油、例えば70 047 V 500 000油;
- Rhodia社により販売されているMirasil(登録商標)シリーズの油;
- Dow Corning社製の200シリーズの油、例えば粘度が60 000mm2/秒であるDC200;並びに
- General Electric社製のViscasil(登録商標)油及びGeneral Electric社製のSFシリーズの特定のの油(SF 96、SF 18)。
【0242】
ジメチコノール(CTFA)の名称で知られている、ジメチルシラノール末端基を含むポリジメチルシロキサン、例えばRhodia社製の48シリーズの油も挙げることができる。
【0243】
アリール基を含むシリコーンの中でも、ポリジアリールシロキサン、特にポリジフェニルシロキサン及びポリアルキルアリールシロキサン、例えばフェニルシリコーン油を挙げることができる。
【0244】
フェニルシリコーン油は、以下の式のフェニルシリコーンから選択してもよい:
【0245】
【0246】
(式中、
R1~R10は、互いに独立して、飽和又は不飽和の、直鎖状、環状又は分岐状のC1~C30炭化水素系基、好ましくはC1~C12炭化水素系基、より好ましくはC1~C6炭化水素系基、特にメチル、エチル、プロピル又はブチル基であり、
m、n、p及びqは、互いに独立して、両端を含んで0~900、好ましくは両端を含んで0~500、より好ましくは両端を含んで0~100の整数であり、
ただし、n+m+qの合計は0以外である)。
【0247】
挙げることができる例としては、以下の名称で販売されている製品がある:
- Rhodia社製Silbione(登録商標)油の70 641シリーズ;
- Rhodia社製Rhodorsil(登録商標)70 633及び763シリーズの油;
- Dow Corning社製Dow Corning 556 Cosmetic Grade Fluidの油;
- Bayer社製PKシリーズのシリコーン、例えばPK20製品;
- General Electric社製SFシリーズの特定の油、例えばSF 1023、SF 1154、SF 1250及びSF 1265。
【0248】
フェニルシリコーン油として、フェニルトリメチコン(上記の式中、R1~R10は、メチルであり;p、q、及びn=0であり;m=1である)が好ましい。
【0249】
有機変性液状シリコーンは、とりわけ、ポリエチレンオキシ基及び/又はポリプロピレンオキシ基を含んでいてもよい。そのため、信越化学工業株式会社によって提案されているシリコーンKF-6017、及びUnion Carbide社製Silwet(登録商標)L722油及びL77油を挙げることができる。
【0250】
炭化水素油は、以下から選択できる:
- 直鎖状又は分岐状、任意選択で環状のC6~C16低級アルカン。挙げることができる例としては、ヘキサン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、及びイソパラフィン、例としてはイソヘキサデカン、イソドデカン及びイソデカンがある;並びに
- 16個超の炭素原子を含有する直鎖状又は分岐状の炭化水素、例えば流動パラフィン、液状ワセリン、ポリデセン及び水添ポリイソブテン、例えばParleam(登録商標)、並びにスクアラン。
【0251】
炭化水素油の好ましい例としては、例えば、直鎖状又は分岐状の炭化水素、例えばイソヘキサデカン、イソドデカン、スクアラン、鉱物油(例えば、流動パラフィン)、パラフィン、ワセリン又はペトロラタム、ナフタレン等;水添ポリイソブテン、イソエイコサン及びデセン/ブテンコポリマー;並びにそれらの混合物が挙げられ得る。
【0252】
脂肪族アルコールにおける「脂肪族」という用語は、比較的大きい数の炭素原子を包含することを意味する。したがって、4個以上、好ましくは6個以上、より好ましくは12個以上の炭素原子を有するアルコールは、脂肪族アルコールの範囲内に包含される。脂肪族アルコールは、飽和であっても、不飽和であってもよい。脂肪族アルコールは、直鎖状であっても、分岐状であってもよい。
【0253】
脂肪族アルコールは、構造R-OH(式中、Rは、4~40個の炭素原子、好ましくは6~30個の炭素原子、より好ましくは12~20個の炭素原子を含有する飽和及び不飽和の、直鎖状及び分岐状の基から選択される)を有してもよい。少なくとも1つの実施形態において、Rは、C12~C20アルキル及びC12~C20アルケニル基から選択され得る。Rは、少なくとも1個のヒドロキシル基で置換されていてもいなくてもよい。
【0254】
脂肪族アルコールの例として、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ウンデシレニルアルコール、ミリスチルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、パルミトレイルアルコール、アラキドニルアルコール、エルシルアルコール、及びそれらの混合物を挙げることができる。
【0255】
脂肪族アルコールは、飽和脂肪族アルコールであることが好ましい。
【0256】
したがって、脂肪族アルコールは、直鎖状又は分岐状の、飽和又は不飽和のC6~C30アルコール、好ましくは、直鎖状又は分岐状の、飽和C6~C30アルコール、更に好ましくは、直鎖状又は分岐状の、飽和C12~C20アルコールから選択することができる。
【0257】
ここで、「飽和脂肪族アルコール」という用語は、長鎖の脂肪族飽和炭素鎖を有するアルコールを意味する。飽和脂肪族アルコールは、任意の直鎖状又は分岐状の飽和C6~C30脂肪族アルコールから選択されることが好ましい。直鎖状又は分岐状の飽和C6~C30脂肪族アルコールの中でも、直鎖状又は分岐状の飽和C12~C20脂肪族アルコールが、好ましくは使用され得る。任意の直鎖状又は分岐状の飽和C16~C20脂肪族アルコールが、より好ましくは使用され得る。分岐状C16~C20脂肪族アルコールが、より一層好ましくは使用され得る。
【0258】
飽和脂肪族アルコールの例として、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ウンデシレニルアルコール、ミリスチルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、及びそれらの混合物を挙げることができる。1つの実施形態において、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、又はそれらの混合物(例えば、セテアリルアルコール)及びベヘニルアルコールを、飽和脂肪族アルコールとして使用することができる。
【0259】
少なくとも1つの実施形態によれば、第2の組成物において使用される脂肪族アルコールは、好ましくは、セチルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、及びこれらの混合物から選択される。
【0260】
油は、分子量が600g/mol未満の油から選択されることが好ましい場合もある。
【0261】
好ましくは、油は、600g/mol以下等の低分子量を有し、炭化水素短鎖(C1~C12)を有するエステル油(例えば、イソプロピルラウロイルサルコシネート、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、イソノナン酸イソノニル、及びパルミチン酸エチルヘキシル)、シリコーン油(例えば、シクロヘキサシロキサン等の揮発性のシリコーン)、炭化水素油(例えば、イソドデカン、イソヘキサデカン、及びスクアラン)、オクチルドデカノール及びオレイルアルコール等の分岐状及び/又は不飽和脂肪族アルコール(C12~C30)型油、並びにジカプリリルエーテル等のエーテル油のうちから選択されてもよい。
【0262】
油は、非極性油、好ましくは炭化水素油、より好ましくは鉱油から選択されることが好ましい。
【0263】
第2の組成物における油の量は、第2の組成物の総質量に対して、1質量%以上、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上であってもよい。
【0264】
第2の組成物における油の量は、第2の組成物の総質量に対して、90質量%以下、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下であってもよい。
【0265】
第2の組成物における油の量は、第2の組成物の総質量に対して、1質量%~90質量%、好ましくは30質量%~80質量%、より好ましくは50質量%~70質量%であってもよい。
【0266】
(ペースト状又は固体状非極性炭化水素系脂肪物質)
第2の組成物は、少なくとも1つのペースト状又は固体状非極性炭化水素系脂肪物質を含む。2種以上のこのような脂肪物質を組み合わせて使用してもよい。したがって、単一のタイプの脂肪物質を、又は異なるタイプの脂肪物質の組合せを使用することができる。
【0267】
「脂肪物質」という用語は、常温(25℃)及び大気圧(760mmHg)において水に不溶性(溶解度が5質量%未満、好ましくは1質量%未満、より一層好ましくは0.1質量%未満)である有機化合物を意味する。
【0268】
炭化水素系脂肪物質は、その構造中に、少なくとも6個の炭素原子、好ましくは10個の炭素原子、より好ましくは16個の炭素原子を含む、少なくとも1つの炭化水素鎖を含んでいてもよい。
【0269】
加えて、脂肪物質は、同じ温度及び圧力条件下で、有機溶媒、例えば、クロロホルム、エタノール、ベンゼン、又はデカメチルシクロペンタシロキサンに可溶性であってもよい。
【0270】
本発明の範囲では、脂肪物質は、C2~C3オキシアルキレン単位も、グリセロール化単位も、一切含まないことに留意する必要がある。
【0271】
本発明において使用される非極性炭化水素系脂肪物質は、ペースト又は固体の形態である。ここで、「ペースト」及び「固体」は、それぞれ、脂肪物質が、室温(25℃)、大気圧(760mmHg又は105Pa)下で、ペースト又は固体の形態であることを意味する。本発明において使用される非極性炭化水素系脂肪物質は、本発明において使用される油と異なり、それは、前者がペースト又は固体の形態であり、同時に後者が上記で説明したように液体形態であるためである。
【0272】
非極性炭化水素系脂肪物質は、30℃以上、好ましくは40℃以上、より好ましくは50℃以上が好ましい場合があり、更により好ましくは50℃以上の融点を有し、それは、最大120℃、好ましくは100℃以下、より好ましくは90℃以下であってもよい。本発明では、融点は、例えばASTMD127に従って測定することができる。
【0273】
本発明において使用されるペースト状又は固体状炭化水素系脂肪物質は、非極性又は非極性である。
【0274】
本発明において使用されるペースト状又は固体状炭化水素系脂肪物質は、揮発性又は非揮発性であってもよい。
【0275】
本発明において使用されるペースト状又は固体状炭化水素系脂肪物質は、脂肪族炭化水素から選択されてもよい。脂肪族炭化水素の例として、例えば、パラフィン、イソパラフィン、ワセリン及びペトロラタム等の直鎖状又は分岐状の脂肪族炭化水素、並びにこれらの混合物が挙げられてもよい。
【0276】
ペースト状又は固体状非極性炭化水素系脂肪物質は、ペトロラタムであることが好ましい。
【0277】
ペースト状又は固体状非極性炭化水素系脂肪物質は、ワックスの形態であってもよい。
【0278】
ペースト状又は固体状非極性炭化水素系脂肪物質は、20℃で5MPa超の、特に5~15MPaの範囲の硬度を有することが好ましい場合がある。
【0279】
硬度は、圧縮力を測定することによって判定することができ、それは直径2mmのステンレス鋼シリンダを備えた、Rheo社によりTA-XT2の名称で販売されているテクスチュロメーターを使用して、このシリンダを0.1mm/秒の測定速度で移動させ、0.3mmの侵入深さまで脂肪物質に侵入させて、20℃で測定される。
【0280】
硬度の測定プロトコールは、次の通りである。
【0281】
脂肪物質を、脂肪物質の融点+10℃に等しい温度で溶融する。溶融した脂肪物質を、直径25mm及び深さ20mmの容器に注ぐ。脂肪物質の表面が平坦で滑らかになるように、脂肪物質を室温(25℃)で24時間再結晶させ、次いで、脂肪物質を20℃で少なくとも1時間貯蔵してから、硬度又はタックを測定する。テクスチュロメータースピンドルを0.1mm/秒の速度で動かし、次いで、0.3mmの侵入深さまで脂肪物質に侵入させる。スピンドルが0.3mmの深さまで脂肪物質に侵入したら、スピンドルを更に1秒間保持し(緩和時間に対応して)、次いで0.5mm/秒の速度で引き抜く。硬さ値は、測定された最大圧縮力を脂肪物質と接触したテクスチュロメーターシリンダーの面積で除した値である。
【0282】
ワックス形態のペースト状又は固体状非極性炭化水素系脂肪物質は、天然ワックス又は合成ワックス、並びに変性ワックスであってもよい。
【0283】
天然ワックスの例として、パラフィンワックス、微晶質ワックス、ペトロラタム、及びラノリンワックスが挙げられてもよい。
【0284】
合成ワックスの例として、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、及びフィッシャー-トロプシュワックスが挙げられてもよい。
【0285】
ポリエチレンワックスの例としては、エチレンホモポリマー及びエチレン-α-オレフィンコポリマーがある。或いは、ワックスは、コポリマーの熱分解によって得ることができる。α-オレフィンの例としては、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、及び1-オクテン等の、3~12個の炭素原子を有するα-オレフィンがある。
【0286】
ポリプロピレンワックスの例としては、プロピレンホモポリマー、エチレン-プロピレンコポリマー(ランダム又はブロックコポリマーである)、プロピレン-α-オレフィン(エチレン又はプロピレンを除く)コポリマーがある。或いは、ワックスは、コポリマーの熱分解によって得ることができる。α-オレフィンの例としては、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、4-メチル-1-ペンテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、及び1-オクタデセンがある。
【0287】
ポリエチレンワックス及びポリプロピレンワックスは、チーグラー触媒、チーグラー-ナッタ触媒、及びメタロセン触媒等の重合触媒を用いた公知の方法によって得ることができる。特に、メタロセン触媒を重合触媒として使用することにより得られるポリエチレンワックス及びポリプロピレンワックスが、チーグラー触媒又はチーグラー-ナッタ触媒を重合触媒として使用することにより得られるポリエチレンワックス及びポリプロピレンワックスと比較して、狭い分子量分布及び安定な性状を有するので好ましい。
【0288】
フィッシャー-トロプシュワックスは、直鎖状炭化水素を主に含み、コバルト、ニッケル又は鉄等の触媒を用いて170~250℃、常圧下で主成分として一酸化炭素及び水素を含有する水性ガスを反応させることにより得られる、合成炭化水素ワックスである。フィッシャー-トロプシュワックスは、奇数及び偶数の炭素原子を含む炭化水素を含む、すなわち、奇数の炭素原子を含む炭化水素と偶数の炭素原子を含む炭化水素の両方を含むことを特徴とする。
【0289】
変性ワックスの例としてパラフィンワックス誘導体、モンタンワックス誘導体、及び微晶質ワックス誘導体が挙げられてもよい。
【0290】
第2の組成物におけるペースト状又は固体状非極性炭化水素系脂肪物質は、第2の組成物の又は第1の及び第2の組成物の混合物の油相の粘度を高め、かつ混合物の安定性を高め、経時的な相分離が起こらないようにする。
【0291】
第2の組成物におけるペースト状又は固体状非極性炭化水素系脂肪物質の量は、第2の組成物の総質量に対して、1質量%以上、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上であってもよい。
【0292】
第2の組成物におけるペースト状又は固体状非極性炭化水素系脂肪物質の量は、第2の組成物の総質量に対して、50質量%以下、好ましくは45質量%以下、より好ましくは40質量%以下であってもよい。
【0293】
第2の組成物におけるペースト状又は固体状非極性炭化水素系脂肪物質の量は、第2の組成物の総質量に対して、1質量%~50質量%、好ましくは10質量%~45質量%、より好ましくは20質量%~40質量%であってもよい。
【0294】
(親油性増粘剤)
第2の組成物は、少なくとも1つの親油性増粘剤を含んでいてもよい。2種類以上の親油性増粘剤が使用される場合、これらは同じであっても異なっていてもよい。
【0295】
親油性増粘剤は、第2の組成物、並びに第1の及び第2の組成物の混合物の脂肪又は油相の粘度を高めることができる。
【0296】
本発明によれば、「親油性増粘剤」は、第2の組成物の粘度を高めることができ、室温(25℃)、大気圧及び1s-1のせん断速度(粘度はコーン/プレート粘度計、Haake R600レオメーター等を使用して測定してもよい)で、少なくとも20cpsまで、好ましくは少なくとも50cpsまで第2の組成物に導入される。
【0297】
本発明による組成物で使用される親油性増粘剤は、無機親油性増粘剤及び有機親油性増粘剤、並びにこれらの化合物の混合物から選択してもよい。
【0298】
本発明による組成物において使用してもよい無機親油性増粘剤は、好ましくは、無機酸化物及び/又は水酸化物で実質的に構成される無機粒子である。
【0299】
これらの粒子は、好ましくは、室温(25℃)の水に不溶性である。「不溶性」という用語は、0.5質量%未満の溶解度を意味する。
【0300】
好ましくは、これらの無機粒子の数平均一次サイズは、0.01~500μmの範囲であり、好ましくは0.1~200μmの範囲であり、更により優先的には1~100μmの範囲である。
【0301】
本発明では、「一次粒子サイズ」という用語は、個々の粒子における直径方向の反対にある2つの点の間を測定することが可能な最大寸法を意味する。
【0302】
無機粒子のサイズは、透過型電子顕微鏡によって、又はBET法による比表面積の測定によって、又はレーザー粒子サイズ分析によって判定してもよい。
【0303】
本発明に従って使用してもよい無機粒子は、さまざまな形態、例えば、球状、針状、フレーク状又は板状の形態であってもよい。
【0304】
本発明の好ましい変形態において、無機親油性増粘剤は、板形状粒子である。
【0305】
本発明による化粧用組成物に使用してもよい無機親油性増粘剤は、好ましくは、シリカ及びシリケートから選択してもよい。
【0306】
本発明のシリケートは、天然であっても、化学的に変性されていても(又は合成であっても)よい。
【0307】
シリケートは、任意選択で水和されたシリカに対応し、この中で、ケイ素原子のうちのいくつかが、Al3+、B3+、Fe3+、Ga3+、Be2+、Zn2+、Mg2+、Co3+、Ni3+、Na+、Li+、Ca2+、Cu2+等の金属カチオンで置き換えられている。
【0308】
より詳細には、本発明の文脈において使用してもよいシリケートは、モンモリロナイト、ヘクトライト、ベントナイト、バイデライト及びサポナイト等のスメクタイトファミリーの、並びにバーミキュライト、ステベンサイト及びクロライトファミリーのクレイから選択される。
【0309】
これらのクレイは、天然由来でも、合成由来でもよい。ケラチン物質と、化粧として適合性がありかつ許容されるクレイが、好ましくは使用される。
【0310】
シリケートは、モンモリロナイト、ベントナイト、ヘクトライト、アタパルジャイト及びセピオライト、並びにそれらの混合物から選択されてもよい。
【0311】
したがって、Laporte社によりLaponite XLG及びLaponite XLSの名称で販売されている化合物が挙げられてもよい。
【0312】
シリケートは、好ましくは、ベントナイト及びヘクトライトから選択される。
【0313】
シリケートは、第四級アミン、第三級アミン、酢酸アミン、イミダゾリン、アミン石鹸、脂肪硫酸塩、アルキルアリールスルホネート及びアミン酸化物、並びにこれらの混合物から選択される化合物で変性されていてもよい。
【0314】
使用に好適なシリケートとして、クオタニウム-18ベントナイト、例えばRheox社によりBentone 3、Bentone 38及びBentone 38V、United Catalyst社によりTixogel VP、Southern Clay社によりClaytone 34、Claytone 40及びClaytone XLの名称で販売されているもの、ステアラルコニウムベントナイト、例えばRheox社によりBentone 27、United Catalyst社によりTixogel LG、並びにSouthern Clay社によりClaytone AF及びClaytone APAの名称で販売されているもの、クオンタニウム-18/ベンザルコニウムベントナイト、例えばSouthern Clay社によりClaytone HT及びClaytone PSの名称で販売されているもの、クオタニウム-18ヘクトライト、例えばRheox社によりBentone Gel DOA、Bentone Gel ECO5、Bentone Gel EUG、Bentone Gel IPP、Bentone Gel ISD、Bentone Gel SS71、Bentone Gel VS8及びBentone Gel VS38、並びにBiophil社によりSimagel M及びSimagel SI 345の名称で販売されているものが挙げられてもよい。
【0315】
本発明による組成物において使用してもよいシリケートは、特に、C10~C12脂肪酸アンモニウムクロリド、特にジステアリルジメチルアンモニウムクロリド及びステアリルベンジルジメチルアンモニウムクロリドで改変されたヘクトライト等の変性ヘクトライトから選択されてもよい。
【0316】
すでに説明されたように、本発明による組成物において使用してもよい無機親油性増粘剤は、シリカであってもよい。
【0317】
本発明による組成物において使用してもよいシリカは、好ましくはヒュームドシリカである。
【0318】
ヒュームドシリカは、酸水素炎中で揮発性ケイ素化合物を高温で加水分解し、微粉砕シリカを生成することにより得てもよい。この方法により、それらの表面に多数のシラノール基を有する親水性シリカを得ることが特に可能になる。このような親水性シリカは、例えば、Degussa社によりAerosil 130(登録商標)、Aerosil 200(登録商標)、Aerosil 255(登録商標)、Aerosil 300(登録商標)及びAerosil 380(登録商標)の名称で、並びにCabot社によりCab-O-Sil HS-5(登録商標)、Cab-O-Sil EH-5(登録商標)、Cab-O-Sil LM-130(登録商標)、Cab-O-Sil MS-55(登録商標)及びCab-O-Sil M-5(登録商標)の名称で販売されている。
【0319】
シラノール基数の減少をもたらす化学反応を介して、前記シリカの表面を化学的に変性することが可能である。シラノール基を疎水性基で置換することが特に可能であり、これによって疎水性シリカが得られる。
【0320】
この疎水性基は以下のものであってもよい。
(a)特に、ヘキサメチルジシラザンの存在下でヒュームドシリカを処理することによって得られるトリメチルシロキシ基。このように処理されたシリカは、CTFA(第6版、1995年)により、「シリル化シリカ」として知られている。それらは、例えば、Degussa社によりAerosil R812(登録商標)及びCabot社によりCab-O-Sil TS-530(登録商標)の参照名で販売されている。
(b)ポリジメチルシロキサン又はジメチルジクロロシランの存在下でフュームドシリカを処理することによって特に得られるジメチルシリルオキシ基又はポリジメチルシロキサン基。
【0321】
こうして処理されたシリカは、CTFA(第6版、1995年)によれば、「ジメチルシリル化シリカ」として知られている。それらは、例えば、Degussa社によりAerosil R972(登録商標)及びAerosil R974(登録商標)、並びにCabot社によりCab-O-Sil TS-610(登録商標)及びCab-O-Sil TS-720(登録商標)の参照名で販売されている。
【0322】
好ましくは、本発明による組成物において使用してもよいヒュームドシリカは、親水性であり、例えば、Aerosil 200(登録商標)の名称で販売されている製品である。
【0323】
好ましくは、無機親油性増粘剤は、有機親和性クレイ及び親水性ヒュームドシリカ、並びにこれらの混合物から選択される。
【0324】
より優先的には、無機親油性増粘剤は、C10~C12脂肪酸アンモニウムクロリド、特にジステアリルジメチルアンモニウムクロリド及びステアリルベンジルジメチルアンモニウムクロリドで変性されたヘクトライト、及びAerosil 200(登録商標)の名称で販売されている親水性シリカ等の親水性ヒュームドシリカから選択される。
【0325】
更により優先的には、無機親油性増粘剤は、C10~C12脂肪酸アンモニウムクロリドで改変されたヘクトライト、特にElementis社によりBentone 38VCGの名称で販売されている製品等の、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリドで改変されたヘクトライト、及びElementis社によりBentone 27Vの名称で販売されている製品等の、ステアリルベンジルジメチルアンモニウムクロリドで改変されたヘクトライトから選択される。
【0326】
すでに説明されたように、本発明による組成物において使用してもよい親油性増粘剤はまた、有機親油性増粘剤から選択してもよい。
【0327】
好ましくは、有機親油性増粘剤は、半結晶質ポリマー、非シリコーンポリアミド、シリコーンポリアミド、サッカライド又はポリサッカライドモノアルキル又はポリアルキルエステル、N-アシルアミノ酸アミド誘導体、ポリステアリルアクリレート等のアルキレン及び/又はスチレンブロックを含むポリマー、弾性オルガノポリシロキサン、固体脂肪エステル、特にC8~C30及び好ましくはC18~C24脂肪酸エステル、並びにこれらの化合物の混合物から選択される。これらのコポリマーは、ジブロック、トリブロック又はマルチブロックポリマー、星形コポリマーとしても知られている放射状ブロックポリマー、或いは櫛型ポリマーであってもよい。
【0328】
C8~C30、好ましくはC18~C24脂肪酸エステルの中でも、C8~C30、好ましくはC18~C24脂肪酸及びポリオールのモノ-、ジ-又はトリエステル、より詳細には、C8~C30、好ましくはC18~C24脂肪酸、及びグリセロールのモノ-、ジ-又はトリエステルが挙げられてもよい。特に、ベヘン酸及びグリセロールのモノ-、ジ-及びトリエステルの混合物等の化合物の混合物を使用してもよい。
【0329】
最も詳細には、有機親油性増粘剤は、半結晶質ポリマー、非シリコーンポリアミド、シリコーンポリアミド、ポリステアリルアクリレート等のアルキレン及び/又はスチレンブロックを含むポリマー、固体脂肪エステル、特にC8~C30及び好ましくはC18~C24脂肪酸エステル、並びにこれらの化合物の混合物から選択される。
【0330】
更により優先的には、有機親油性増粘剤は、C8~C30、好ましくはC18~C24脂肪酸エステル及びこれらの混合物、更により良好にはC8~C30、好ましくはC18~C24脂肪酸及びポリオールのエステル、より詳細にはC8~C30、好ましくはC18~C24脂肪酸及びグリセロールのモノ-、ジ-又はトリエステルから選択される。
【0331】
好ましくは、親油性増粘剤は、有機増粘剤から選択される。ベヘン酸グリセリルは、親油性増粘剤としてより好ましい場合がある。
【0332】
第1の組成物における親油性増粘剤の量は、第2の組成物の総質量に対して、15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下であってもよい。
【0333】
第1の組成物における親油性増粘剤の量は、第2の組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上であってもよい。
【0334】
第2の組成物は、親油性増粘剤を、第2の組成物の総質量に対して、0.01質量%~15質量%、好ましくは0.1~10質量%、及びより好ましくは1~5質量%の量で含んでいてもよい。
【0335】
(調製)
第2の組成物は、上記で説明したように、必須成分並びに必要に応じて任意選択の成分を混合することによって調製することができる。他の任意選択の成分はいずれも、第2の組成物へ添加してもよい。
【0336】
上記の必須成分と任意選択の成分とを混合する方法及び手段は、限定されない。混合機又は撹拌機等の任意の従来の方法及び手段を使用し、上記必須成分及び任意選択の成分を混合し、第2の組成物を調製することができる。
【0337】
(気泡)
第2の組成物は、少なくとも1種類の気泡を含んでいてもよい。
【0338】
気泡のタイプは、制限されない。したがって、単一のタイプの気体を気泡に使用してもよい。例えば、酸素、窒素又は二酸化炭素を使用してもよい。一方、気体の混合物を気泡に使用してもよい。したがって、酸素、窒素及び二酸化炭素の混合物を使用してもよい。
【0339】
空気を気体として使用することが好ましい場合がある。したがって、気泡は、空気を含む又はそれからなることが好ましい場合がある。
【0340】
気泡の直径又はサイズは限定されない。気泡は微細な気泡であることが好ましい場合がある。気泡は、100μm未満、好ましくは50μm未満、より好ましくは20μm未満、更により好ましくは10μm未満の平均直径又は平均サイズを有していてもよい。
【0341】
気泡は第2の組成物に存在することが好ましく、その組成物は以下の必須要件(1)を満たし得る:
Y/Xの比>20、好ましくは>50、より好ましくは>100 (1)
(式中、
Yは、相の降伏応力(Pa)示し、
Xは、降伏応力におけるひずみ(%)を示す)。
【0342】
「Pa」はパスカルを意味する。
【0343】
降伏応力、及び相の降伏応力に対応するひずみは、任意の従来のレオメーターによって判定してもよい。例えば、当該相に対応する配合物にレオロジー試験を行い、配合物に関する応力-ひずみダイアグラムを判定してもよい。応力-ひずみダイアグラムにおける2つの直線領域間の接点における応力を降伏応力(上記必須要件(1)におけるY)として判定することができ、降伏応力を与えるひずみは、降伏応力(Y)に対応するひずみ(上記必須要件(1)におけるX)として判定することができる。
【0344】
上記直線領域が正確な直線ラインに対応しない場合、直線近似を行い、近似直線ラインを判定してもよく、直線領域の代わりに近似直線ラインを使用してもよい。
【0345】
せん断応力を、応力-ひずみダイアグラムに使用し、かつ応力-ひずみダイアグラムが、第1の直線領域、非直線領域及び第2の直線領域を含む場合、これらは、配合物が固体のようにふるまう領域、配合物が固体から液体への転移状態である領域、及び配合物が液体のようにふるまう領域に対応する。そのような場合において、2つの直線ラインを第1の及び第2の直線領域から延長し、
図1に示すように2つの直線の交点を判定してもよい。交点におけるせん断応力は、上記必須要件(1)における降伏応力(Y)に対応し、交点におけるひずみは、上記必須要件(1)におけるひずみ(X)に対応する。
【0346】
上記第1の及び/又は第2の直線領域が正確な直線ラインに対応しない場合、直線近似を行い、近似直線ラインを判定してもよく、第1の及び/又は第2の直線領域の代わりに近似直線ラインを使用してもよい。
【0347】
第2の組成物が、上記必須要件(1)を満たせることが好ましい場合がある。
【0348】
第2の組成物における気泡の量は限定されない。
【0349】
気泡の量は、第2の組成物の総体積に対して、1体積%以上、好ましくは5体積%以上、より好ましくは10体積%以上であってもよい。
【0350】
気泡の量は、第2の組成物の総体積に対して、90体積%以下、好ましくは80体積%以下、より好ましくは70体積%以下であってもよい。
【0351】
したがって、気泡の量は、第2の組成物の総体積に対して、1体積%~90体積%、好ましくは5体積%~80体積%、より好ましくは10体積%~70体積%であってもよい。
【0352】
特定の実施形態において、気泡の量は、気泡を含む第2の組成物又は油相の総体積に対して、1体積%~30体積%、好ましくは5体積%~25体積%、より好ましくは10体積%~20体積%であってもよい。
【0353】
気泡は安定であることが好ましく、気泡の総体積に対して、気泡の85体積%超、好ましくは90体積%超、より好ましくは95体積%超が、25℃で2カ月間維持されるようにする。
【0354】
(エアレーション)
第2の組成物における気泡は、気体を第2の組成物中に混合することによって調製することができる。
【0355】
気体を第2の組成物中に混合するための方法及び手段は、限定されない。混合機又は撹拌機等の任意の従来の方法及び手段を使用し、気体を第2の組成物中に混合することができる。
【0356】
第1の及び第2の組成物の混合物における油相を形成するために使用される第2の組成物は、熟成されることが好ましい。熟成は、第2の組成物を、数日間等の特定の期間放置して行ってもよい。
【0357】
第2の組成物のエアレーションを追加的に行う場合、本発明は、皮膚染色を更に低減することができる。
【0358】
{ケラチン繊維の処理}
本発明の方法によれば、第1の及び第2の組成物は混合される。
【0359】
第1の組成物と第2の組成物との混合比は、限定されない。例えば、第1の組成物及び第2の組成物の混合比(質量ベース)は、10:90~90:10、20:80~80:20、30:70~70:30、40:60~60:40,又は50:50であってもよい。
【0360】
本発明の方法によれば、次いでケラチン繊維を、ケラチン繊維を染色するための第1の及び第2の組成物の混合物で処理する。
【0361】
したがって、第1の及び第2の組成物の混合物は、ケラチン繊維を染色するための化粧用組成物とみなされてもよい。「ケラチン繊維」は、ここでは、少なくとも1種のケラチン物質を含む繊維を意味する。ケラチン繊維の表面の少なくとも一部がケラチン繊維で形成されていることが好ましい。ケラチン繊維の例としては、毛髪、眉毛、睫毛等がある。本発明による方法が毛髪を染色するために使用されることが好ましい。
【0362】
ケラチン繊維の処理は、第1の及び第2の組成物の混合物をケラチン繊維へ適用することによって行うことができる。
【0363】
第1の及び第2の組成物の混合物をケラチン繊維へ適用する工程は、ブラシ等の従来の塗布器によって、又は手によっても行うことができる。
【0364】
第1の及び第2の組成物の混合物が適用されたケラチン繊維は、ケラチン繊維を処理するのに必要とされる適切な時間にわたって放置することができる。処理のための時間の長さは限定されないが、それは、1分間~1時間、好ましくは1分間~30分間、より好ましくは1分間~15分間とすることができる。例えば、ケラチン繊維を染色するための時間は、1~20分間、好ましくは5~15分間とすることができる。
【0365】
ケラチン繊維は、室温にて処理されてもよい。或いは、ケラチン繊維は、第1の及び第2の組成物の混合物をケラチン繊維へ適用する工程、及び/又は混合物が適用されたケラチン繊維を放置する工程中に、25℃~65℃、好ましくは30℃~60℃、より好ましくは35℃~55℃、更により好ましくは40℃~50℃で加熱することができる。
【0366】
第1の及び第2の組成物の混合物をケラチン繊維に適用する工程後、及び/又は混合物が塗布されたケラチン繊維を放置する工程後に、ケラチン繊維をすすいでもよい。
【0367】
{前処理}
本発明による方法は、ケラチン繊維を、第1の組成物及び第2の組成物の混合物で処理する工程の前に、ケラチン繊維を、少なくとも1つのカチオン性ポリマーを含む前処理組成物で処理する工程を更に含んでもよい。
【0368】
前処理を追加的に行ってから、ケラチン繊維を第1の及び第2の組成物の混合物で処理する場合、本発明は、毛髪色強度を更に強化することができる。
【0369】
(前処理組成物)
前処理組成物は、少なくとも1つのカチオン性ポリマーを含む。単一のタイプのカチオン性ポリマーを使用してもよいが、2種以上の異なる種類のカチオン性ポリマーを組み合わせて使用することもできる。
【0370】
本発明では、「カチオン性ポリマー」という用語は、カチオン性基、及び/又はカチオン性基へイオン化されてもよい基を含有する、任意のポリマーを示すことに留意されたい。
【0371】
こうしたポリマーは、それ自体が毛髪の美容特性を改善すると既に公知のものから、すなわち、特に特許出願EP-A-337 354並びに仏国特許第2 270 846号、同第2 383 660号、同第2 598 611号、同第2 470 596号及び同第2 519 863号に記載されているものから選択することができる。
【0372】
好ましいカチオン性ポリマーは、第一級、第二級、第三級及び/又は第四級アミン基を含む単位を含有するものから選択され、このアミン基は、ポリマー主鎖の一部を形成するものであっても、ポリマー主鎖に直接結合している側鎖置換基により保持されているものであっても、いずれでもよい。
【0373】
使用されるカチオン性ポリマーの数平均分子量は、一般に、およそ500からおよそ5×106の間、好ましくはおよそ103からおよそ3×106の間である。
【0374】
カチオン性ポリマーの中でも、より詳細には、ポリアミン型、ポリアミノアミド型及びポリ四級アンモニウムタイプのポリマーを挙げることができる。
【0375】
これらは、既知の製品である。それらのポリマーは、詳細には、仏国特許第2 505 348号及び同第2 542 997号に記載されている。前記ポリマーの中でも挙げることができるのは、以下のものである。
(1)アクリル酸又はメタクリル酸のエステル又はアミドに由来し、以下の式(I)、(II)、(III)又は(IV)の単位のうちの少なくとも1つを含むホモポリマー又はコポリマー
【0376】
【0377】
(式中、
R3は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子又はCH3基を示し、
Aは、同一であっても異なっていてもよく、1~6個の炭素原子、好ましくは2個若しくは3個の炭素原子を有する直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は1~4個の炭素原子のヒドロキシアルキル基を表し;
R4、R5及びR6は、同一であっても異なっていてもよく、1~18個の炭素原子を含むアルキル基、又はベンジル基、好ましくは1~6個の炭素原子を含むアルキル基を表し;
R1及びR2は、同一であっても異なっていてもよく、水素又は1~6個の炭素原子を含むアルキル基、好ましくはメチル又はエチルを表し;かつ
Xは、無機酸若しくは有機酸に由来するアニオン、例えばメト硫酸塩のアニオン、又は塩化物若しくは臭化物等のハロゲン化物を表す)。
【0378】
ファミリー(1)のポリマーは、コモノマーに由来する1つ又は複数の単位を含むこともでき、こうしたコモノマーは、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、窒素上にて低級(C1~C4)アルキルで置換されているアクリルアミド及びメタクリルアミド、アクリル酸若しくはメタクリル酸又はそれらのエステル、ビニルピロリドン又はビニルカプロラクタム等のビニルラクタム、並びに、ビニルエステルのファミリーから選択することができる。
【0379】
そのため、ファミリー(1)のこれらのポリマーの中では、以下のものを挙げることができる:
- アクリルアミドと、硫酸ジメチル又はハロゲン化ジメチルで四級化されたジメチルアミノエチルメタクリレートとのコポリマー、例えばHercules社によりHercoflocの名称で販売されている製品、
- アクリルアミドとメタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリドとのコポリマー、例えば、特許出願EP-A-080 976に記載され、BASF社によりBina Quat P 100の名称で販売されているもの、
- アクリルアミドとメタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムメトスルフェートとのコポリマー、Hercules社によりRetenの名称で販売されているもの、
- 四級化又は非四級化ビニルピロリドン/ジアルキルアミノアルキルアクリレート又はメタクリレートコポリマー、例えばISP社により「Gafquat」の名称で販売されている製品、例としては「Gafquat 734」若しくは「Gafquat 755」、或いは「Copolymer 845、958及び937」として知られる製品。これらのポリマーは、仏国特許第2 077 143号及び仏国特許第2 393 573号で詳細に説明されている。
- ジメチルアミノエチルメタクリレート/ビニルカプロラクタム/ビニルピロリドンのターポリマー、例えばISP社によりGaffix VC 713の名称で販売されている製品、及び
- ビニルピロリドン/メタクリルアミドプロピルジメチルアミンのコポリマー、具体的にはISP社によりStyleze CC 10の名称で販売されているもの、及び四級化されたビニルピロリドン/ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドのコポリマー、例えばISP社により「Gafquat HS 100」の名称で販売されている製品。
【0380】
(2)第四級アンモニウム基を含むセルロースエーテル誘導体、仏国特許第1 492 597号に記載されているもの、詳細にはAmerchol社により「JR」(JR 400、JR 125、JR 30M)又は「LR」(LR 400、LR 30M)の名称で販売されているポリマー。これらのポリマーはまた、CTFA辞典で、トリメチルアンモニウム基で置換されたエポキシドと反応したヒドロキシエチルセルロース第四級アンモニウムとしても定義されている。
【0381】
(3)水溶性の第四級アンモニウムモノマーでグラフトされたセルロース又はセルロース誘導体のコポリマー等のカチオン性セルロース誘導体、特に米国特許第4,131 576号に記載されているもの、例えばヒドロキシアルキルセルロース、例えば、ヒドロキシメチル-、ヒドロキシエチル-又はヒドロキシプロピルセルロース、特にメタクリロイルエチルトリメチルアンモニウム、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム又はジメチルジアリルアンモニウム塩でグラフトされたもの。
【0382】
この定義に相当する市販製品は、より詳細には、Akzo Nobel社によりCelquat L 200及びCelquat H 100の名称で販売されている製品である。
【0383】
(4)カチオン性グアーガム、より詳細には米国特許第3,589,578号及び同第4,031,307号に記載されているもの、例えばトリアルキルアンモニウムカチオン性基を含むグアーガム。例えば2,3-エポキシプロピルトリメチルアンモニウムの塩(例えば塩化物)で変性されたグアーガムが使用される。グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド及びヒドロキシプロピルグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、例えば特にSolvay社によりJaguar C13S、Jaguar C14S、Jaguar C17及びJaguar C162の商品名で販売されているものを挙げることができる。
【0384】
(5)ピペラジニル単位と、直鎖又は分岐状鎖を含み、酸素、硫黄若しくは窒素原子に又は芳香族若しくは複素環に任意選択で割り込まれている、二価アルキレン基又はヒドロキシアルキレン基とからなるポリマー、並びにこれらのポリマーを酸化及び/又は四級化させたもの。このようなポリマーは、特に、仏国特許第2 162 025号及び同第2 280 361号に記載されている。
【0385】
(6)特に、酸性化合物をポリアミンと重縮合させて調製される、水に可溶なポリアミノアミド;これらのポリアミノアミドは、エピハロヒドリン、ジエポキシド、二無水物、不飽和二無水物、ビス-不飽和誘導体、ビス-ハロヒドリン、ビス-アゼチジニウム、ビス-ハロアシルジアミン、ビス-ハロゲン化アルキルで、或いはビス-ハロヒドリン、ビス-アゼチジニウム、ビス-ハロアシルジアミン、ビス-ハロゲン化アルキル、エピハロヒドリン、ジエポキシド又はビス-不飽和誘導体と反応性のある二官能性化合物の反応から得られるオリゴマーで架橋結合させることが可能であり;架橋結合剤は、ポリアミノアミドのアミン基1つ当たり0.025~0.35molの範囲の割合で使用され;これらのポリアミノアミドはアルキル化することができ、又はそれらが1つ又は複数の第三級アミン官能を含有する場合は、それらを四級化することができる。このようなポリマーは、特に、仏国特許第2 252 840号及び同第2 368 508号に記載されている。
【0386】
(7)アルキルジアリルアミンの、又はジアルキルジアリルアンモニウムのシクロポリマー、例えば鎖の主要な構成要素として式(V)又は(VI)に相当する単位を含有するホモポリマー又はコポリマー:
【0387】
【0388】
(式中、
k及びtは、0又は1に等しく、和k+tは1に等しく;R9は、水素原子又はメチル基を示し;R7及びR8は、互いに独立して、1から6個の炭素原子を有するアルキル基、アルキル基が好ましくは1~5個の炭素原子を有するヒドロキシアルキル基、低級(C1~C4)アミドアルキル基を示し、又は、R7及びR8は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、ピペリジル若しくはモルホニル等の複素環基を示すことができ;R7及びR8は、互いに独立して、好ましくは1から4個の炭素原子を有するアルキル基を示し;Y-は、臭化物イオン、塩化物イオン、酢酸イオン、ホウ酸イオン、クエン酸イオン、酒石酸イオン、硫酸水素イオン、亜硫酸水素イオン、硫酸イオン、又はリン酸イオン等のアニオンである)。これらのポリマーは、詳細には仏国特許第2 080 759号及びその追加特許第2 190 406号に記載されている。
【0389】
上記で定義されたポリマーの中でも、より詳細には、例えばNalco社により「Merquat 100」の名称で販売されているジメチルジアリルアンモニウムクロリドのホモポリマー(及び質量平均分子量の低いその同族体)、並びに「Merquat 550」の名称で販売されている、ジアリルジメチルアンモニウムクロリドとアクリルアミドとのコポリマーを挙げることができる。
【0390】
(8)以下の式に相当する繰り返し単位を含有する第四級ジアンモニウムポリマー:
【0391】
【0392】
(式(VII)中、
R10、R11、R12及びR13は、同一であっても異なっていてもよく、1~20個の炭素原子を含有する脂肪族基、脂環式基若しくはアリール脂肪族基、又は低級ヒドロキシアルキル脂肪族基を表し、或いはR10、R11、R12及びR13は、一緒に又は別々に、それらが結合している窒素原子と一緒になって、窒素以外の第2のヘテロ原子を任意選択で含有する複素環を構成し、或いはR10、R11、R12及びR13は、ニトリル、エステル、アシル若しくはアミドの各基、又は-CO-O-R14-D若しくは-CO-NH-R14-D(式中、R14はアルキレン基であり、Dは第四級アンモニウム基である)の各基で置換されている直鎖状又は分岐状のC1~C6アルキル基を表し、
A1及びB1は、2~20個の炭素原子を有するポリメチレン基を表し、これは、直鎖又は分岐状であってよく、飽和又は不飽和であってよく、主鎖に結合した又は挿入された、1つ若しくは複数の芳香族環又は1つ若しくは複数の酸素原子若しくは硫黄原子、若しくはスルホキシド基、スルホン基、ジスルフィド基、アミノ基、アルキルアミノ基、ヒドロキシル基、第四級アンモニウム基、ウレイド基、アミド基若しくはエステル基を含んでいてもよく、
X-は、無機酸又は有機酸から誘導されるアニオンを示し、
A1、R10及びR12は、それらが結合している2個の窒素原子と一緒になって、ピペラジン環を形成することができ;加えて、A1が、直鎖若しくは分岐状の、飽和若しくは不飽和のアルキレン基又はヒドロキシアルキレン基を表す場合、B1は、-(CH2)n-CO-D-OC-(CH2)n-基を示す(式中、Dは、
i)式:-O-Z-O-のグリコール残基、ここで、Zは、直鎖状又は分岐状の炭化水素ベースの基又は以下の式のうちの1つに対応する基を表す:
-(CH2-CH2-O)x-CH2-CH2-;及び
-[CH2-CH(CH3)-O]y-CH2-CH(CH3)-
(式中、x及びyは、定義された固有の重合度を表す1から4の整数、又は平均重合度を表す任意の1から4の数を示す);
ii)ビス-第二級ジアミン残基、例えばピペラジン誘導体;
iii)式-NH-Y-NH-のビス第一級ジアミン残基(式中、Yは、直鎖若しくは分岐状の炭化水素系基、又は二価の基-CH2-CH2-S-S-CH2-CH2-を表す);又は
iv)式-NH-CO-NH-のウレイレン基
を示す))。
【0393】
好ましくは、X-は、塩化物イオン又は臭化物イオン等のアニオンである。
【0394】
これらのポリマーは、一般に、数平均分子量が1,000から100,000の間である。
【0395】
このタイプのポリマーは、特に、仏国特許第2 320 330号、同第2 270 846号、同第2 316 271号、同第2 336 434号及び同第2 413 907号及び米国特許第2,273,780号、同第2,375,853号、同第2,388,614号、同第2,454,547号、同第3,206,462号、同第2,261,002号、同第2,271,378号、同第3,874,870号、同第4,001,432号、同第3,929,990号、同第3,966,904号、同第4,005,193号、同第4,025,617号、同第4,025,627号、同第4,025,653号、同第4,026,945号及び同第4,027,020号に記載されている。
【0396】
以下の式(VIII)に対応する反復単位からなるポリマーを使用することが、より詳細には可能である。
【0397】
【0398】
(式中、
R10、R11、R12及びR13は、同一であっても異なっていてもよく、およそ1~4個の炭素原子を有するアルキル基又はヒドロキシアルキル基を示し、n及びpは、おおよそ2~20の範囲の整数であり、X-は、鉱酸又は有機酸に由来するアニオンである)。
【0399】
1つの特に好ましい式(VIII)の化合物は、R10、R11、R12及びR13がメチル基を表し、n=3、p=6及びX=Clの化合物であり、この化合物は、INCI(CTFA)命名法に従ってヘキサジメスリンクロリドと呼ばれる。
【0400】
(9)Cognis社により販売されているPolyquart H等のポリアミン、これは、CTFA辞典では「ポリエチレングリコール(15)獣脂ポリアミン」の参照名が付されている。
【0401】
(10)架橋されたメタクリロイルオキシ(C1~C4)アルキルトリ(C1~C4)アルキルアンモニウム塩のポリマー、例えば、塩化メチルで四級化されたジメチルアミノエチルメタクリレートを単独重合し、又は塩化メチルで四級化されたジメチルアミノエチルメタクリレートとアクリルアミドとを共重合し、単独重合又は共重合の後に、メチレンビスアクリルアミド等のオレフィン性不飽和を含む化合物と架橋結合することによって得られるポリマー。より具体的には、架橋アクリルアミド/メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリドコポリマー(質量比20/80)を50質量%で鉱油中に含有する分散体が使用され得る。この分散体は、BASF社によって、「Salcare(登録商標)SC 92」の名称で販売されている。鉱物油又は液体エステル中に、架橋メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリドホモポリマーを約50質量%含有するものを使用することもできる。これらの分散体は、Allied Colloids社により「Salcare(登録商標)SC 95」及び「Salcare(登録商標)SC 96」の名称で販売されている。
【0402】
(11)本発明の文脈において使用され得る他のカチオン性ポリマーは、ポリアルキレンイミン、具体的には、ポリエチレンイミン;ビニルピリジン単位又はビニルピリジニウム単位を含有するポリマー;ポリアミンとエピクロロヒドリンとの縮合物、第四級ポリウレイレン及びキチン誘導体である。
【0403】
カチオン性ポリマーが、ポリクオタニウムポリマー又は重合性第四級アンモニウム塩であることが好ましい場合がある。
【0404】
重合性第四級アンモニウム塩は、少なくとも1個の四級化された窒素原子を含むカチオン性ポリマーである。重合性第四級アンモニウム塩として、主として泡の質に、及び使用後の皮膚の感触に、特定すると使用後の皮膚の感触に寄与するポリクオタニウム製品(CTFA名)を具体的に挙げることができる。これらのポリマーは、好ましくは以下のポリマーから選択することができる:
ポリクオタニウム-5、例えばNalco社により販売されている製品Merquat 5;
ポリクオタニウム-6、例えばBASF社により販売されている製品Salcare SC 30、及びNalco社により販売されている製品Merquat 100;
ポリクオタニウム-7、例えばNalco社により販売されている製品Merquat S、Merquat 2200、Merquat 7SPR及びMerquat 550、並びにBASF社により販売されている製品Salcare SC 10;
ポリクオタニウム-10、例えばAmerchol社により販売されている製品Polymer JR400;
ポリクオタニウム-11、例えばISP社により販売されている製品Gafquat 755、Gafquat 755N及びGafquat 734;
ポリクオタニウム-15、例えばRohm社により販売されている製品Rohagit KF 720 F;
ポリクオタニウム-16、例えばBASF社により販売されている製品Luviquat FC905、Luviquat FC370、Luviquat HM552及びLuviquat FC550;
ポリクオタニウム-28、例えばISP社により販売されている製品Styleze CC10;
ポリクオタニウム-44、例えばBASF社により販売されている製品Luviquat Care;
ポリクオタニウム-46、例えばBASF社により販売されている製品Luviquat Hold;
ポリクオタニウム-47、例えばNalco社により販売されている製品Merquat 2001;及び
Polyquaternium-67、例えばAmerchol社により販売されている製品Softcat SL-5、SL-30、SL-60及びSL-100。
【0405】
前処理組成物におけるカチオン性ポリマーの量は限定されないが、これらの量は、前処理組成物の総質量に対して、0.01質量%~10質量%、好ましくは0.1質量%~7質量%、より好ましくは1質量%~5質量%であってもよい。
【0406】
前処理組成物は、水を含んでもよい。
【0407】
前処理組成物における水の量は限定されないが、前処理組成物の総質量に対して、50質量%~99質量%、好ましくは60質量%~98質量%、より好ましくは70質量%~97質量%の範囲であってもよい。
【0408】
前処理組成物は、上記で説明したように、少なくとも1つの親水性増粘剤を含んでいてもよい。
【0409】
前処理組成物における親水性増粘剤の量は限定されないが、前処理組成物の総質量に対して、0.01%~15質量%、好ましくは0.1%~10質量%、より好ましくは1質量%~5質量%の範囲であってもよい。
【0410】
前処理組成物は、上記で説明したように、少なくとも1つの有機溶媒を含んでいてもよい。
【0411】
前処理組成物における有機溶媒の量は限定されないが、前処理組成物の総質量に対して、0.001%~10質量%、好ましくは0.01%~5質量%、より好ましくは0.1質量%~1質量%の範囲であってもよい。
【0412】
前処理組成物は、第1の組成物に関して上記で説明したように、少なくとも1つのその他の任意選択の成分を含んでいてもよい。
【0413】
[キット]
本発明の他の態様は、ケラチン繊維、好ましくは毛髪を染色するためのキットであって:
(1)第1の組成物を含む第1の区画;及び
(2)第2の組成物を含む第2の区画
を含み、
第1の組成物が、少なくとも1つの直接染料及び水を含み、
第2の組成物が、少なくとも1つの油及び少なくとも1つのペースト状又は固体状非極性炭化水素系脂肪物質を含む、キットに関する。
【0414】
本発明による方法のための第1の及び第2の組成物に関する上記説明はまた、本発明によるキットにおける説明に適用することができる。
【0415】
当業者であれば、従来のパッケージング技術をベースとして、本発明によるキットを調製することができる。本発明によるキットは、少なくとも第1の及び第2の区画を含み、そのそれぞれが、第1の及び第2の組成物を個別にそれぞれ含む。第1の及び第2の区画は、ポンプ等の分配又は排出手段を備えていてもよい。第1の及び第2の区画は、2つの個別の容器に別々に含まれていてもよい。一方、第1の及び第2の区画は、単一の容器にあってもよい。
【0416】
例えば以下の工程によってキットを使用することが可能である。
(i)第1の区画から第1の組成物を分配又は排出する工程、
(ii)第2の区画から第2の組成物を分配又は排出する工程、
(iii)第1の及び第2の組成物を混合する工程、及び
(iv)混合物をケラチン繊維へ適用して、ケラチン繊維を染色する工程。
【0417】
(iii) 混合する工程は、第1の及び第2の組成物を手でブレンドすることによって手動で、又は例えばキットを備えていてもよい静的混合機を使用することによって自動で、行うことが可能である。
【0418】
必要であれば、すすぎの工程及び/又は乾燥の工程は、工程(iv)の後に行ってもよい。
【0419】
本発明によるキットは、上記で説明された(3)前処理組成物を含む第3の区画を更に含むことが可能である。この実施形態において、本発明によるキットは、少なくとも第1の、第2の及び第3の区画を含み、そのそれぞれが、第1の組成物、第2の組成物及び前処理組成物を個別にそれぞれ含む。第1の、第2の及び第3の区画は、ポンプ等の分配又は排出手段を備えていてもよい。第1の、第2の及び第3の区画は、3つの個別の容器に別々に含まれていてもよい。一方、第1の、第2の及び第3の区画は、単一の容器にあってもよい。
【0420】
この場合、例えば以下の工程によってキットを使用することが可能である。
(i)第3の区画から前処理組成物を分配又は排出する工程、
(ii)前処理組成物をケラチン繊維へ適用する工程、
(iii)第1の区画から第1の組成物を分配又は排出する工程、
(iv)第2の区画から第2の組成物を分配又は排出する工程、
(v)第1の及び第2の組成物を混合する工程、及び
(vi)混合物をケラチン繊維へ適用して、ケラチン繊維を染色する工程。
【0421】
必要であれば、すすぎの工程及び/又は乾燥の工程は、工程(ii)と工程(iii)との間に行ってもよい。
【0422】
(v) 混合する工程は、第1の及び第2の組成物を手でブレンドすることによって手動で、又は例えばキットを備えていてもよい静的混合機を使用することによって自動で、行うことが可能である。
【0423】
必要であれば、すすぎの工程及び/又は乾燥の工程は、工程(vi)の後に行ってもよい。
【0424】
上記工程(ii)及び(vi)は個別にかつ連続的に行われる。言い換えれば、上記工程(ii)及び(vi)は同時に行われない。
【0425】
本発明はまた、少なくとも1つの油を含む第2の組成物における、少なくとも1つのペースト状又は固体状非極性炭化水素系脂肪物質の、ケラチン繊維、好ましくは毛髪を染色するための方法における使用であって:
ケラチン繊維を、少なくとも1つの直接染料及び水を含む第1の組成物、及び第2の組成物の混合物で処理する工程を含み、
頭皮等の皮膚に対する直接染料による皮膚染色を阻止又は軽減し、同時に優れた(又は少なくとも許容可能な)着色特性、例えば、強化された又は改善された色強度等の優れた化粧効果をケラチン繊維に付与するための使用に関する。
【実施例】
【0426】
本発明を、実施例によって、より詳細に説明することにする。しかしながら、これら実施例が本発明の範囲を限定するものとは解釈すべきでない。
【0427】
[前処理組成物]
前処理組成物を、表1に示す成分を室温で混合することによって調製した。成分の量の数値は、全て、有効原料の「質量%」に基づく。
【0428】
【0429】
[水性相組成物]
水性相組成物を、表2に示す成分を室温で混合することによって調製した。水性相組成物のpHは2.2であった。成分の量の数値は、全て、有効原料の「質量%」に基づく。
【0430】
【0431】
[油相組成物]
油相組成物(油相組成物1及び油相組成物2)を、表3に示す成分を高温下で混合し、続いて室温にゆっくりと冷却することによって調製した。成分の量の数値は、全て、有効原料の「質量%」に基づく。
【0432】
【0433】
[実施例1及び比較例1~2]
(実施例1)
水性相組成物70質量部及び油相組成物1(表3中の組成物1)30質量部を、適用する直前に、スパチュラを用いて1分間混合した。
【0434】
こうして得た混合物4gを、100%白色毛髪見本1gへ適用した。次に、毛髪見本を27℃で30分間維持し、水ですすぎ、シャンプーで洗った。
【0435】
一方、こうして得た混合物0.1gを人工皮膚上の直径1cmの円に適用した。次に、人工皮膚を40℃で10分間維持し、水ですすいだ。
【0436】
(比較例1)
実施例1による方法を繰り返し、ただし、油相組成物1(表3における組成物1)を油相組成物2(表3における組成物2)で置き換えた。
【0437】
(比較例2)
実施例1による方法を繰り返し、ただし、混合物を水性相組成物で置き換えた。
【0438】
言い換えれば、水性相組成物4gを100%白色毛髪見本1gへ適用した。次に、毛髪見本を27℃で30分間維持し、水ですすぎ、シャンプーで洗った。一方、水性相組成物0.1gを人工皮膚上の直径1cmの円へ適用した。次に、人工皮膚を40℃で10分間維持し、水ですすいだ。
【0439】
(In vitro毛髪色強度)
上記の染色プロセス前後の毛髪見本の色差を、Konica Minolta分光測色計CM-3600dを使用することによって測定した。ΔE*(CIE1976に基づく未染色の元々の毛髪見本の色と染色された毛髪見本の色との間)を算出した。ΔE*が大きくなるほど、染色は良好である。測定されたΔE*を、下記に示す評価基準に従って評価した。
優:ΔE*が48超である。
良:ΔE*が43超48以下である。
普通:ΔE*が40以上43以下である。
不良:ΔE*が40未満である。
【0440】
結果を表4に示す。
【0441】
(In vitro染色強度)
人工皮膚に対する、上記の塗布プロセス前後の人工皮膚の表面の色差を、Konica Minolta分光測色計CM-3600dを使用することによって測定した。ΔE*(CIE1976に基づく塗布前の表面の色と塗布後の表面の色との間)を算出した。ΔE*が小さいほど、汚染は弱くなる。測定されたΔE*を、下記に示す評価基準に従って評価した。
優:ΔE*が3未満である。
良:ΔE*が3~6未満である。
普通:ΔE*が6~10未満である。
不良:ΔE*が10以上20以下である。
非常に不良:ΔE*が20超である。
【0442】
結果を表4に示す。
【0443】
【0444】
表4は、比較例2における水性相組成物のみを使用すると、優良な毛髪色強度を付与し、同時に非常に高レベルな皮膚染色を付与ができることを示している。
【0445】
表4はまた、比較例1におけるペトロラタムを有さない油相組成物を使用すると、皮膚染色は減少するが、毛髪色強度も減少する場合があることも示している。ベヘン酸グリセリルは、油相組成物の増粘剤として機能する点に留意されたい。
【0446】
表4はまた、実施例1におけるペトロラタムを含む油相組成物を使用すると、皮膚染色が減少し、同時に良好な毛髪色強度を付与できることも示している。ペトロラタムは粘度を増加させることができ点に留意されたい。したがって、実施例1における油相組成物1中のベヘン酸グリセリルの量の減少に起因する粘度低下の可能性は、ペトロラタムを導入することによって埋め合わせることができる。したがって、第1の及び第2の組成物の混合物における油相は安定であることができる。
【0447】
[実施例2~4]
(実施例2)
前処理組成物0.4gを、100%白色毛髪見本1gへ適用した。次いで、毛髪見本を室温で5分間維持し、水ですすいだ。
【0448】
水性相組成物70質量部及び油相組成物1(表3中の組成物1)30質量部を、適用する直前に、スパチュラを用いて1分間混合した。
【0449】
こうして得た混合物4gを、前処理された100%白色毛髪見本1gへ適用した。次に、毛髪見本を27℃で30分間維持し、水ですすぎ、シャンプーで洗った。
【0450】
一方、こうして得た混合物0.1gを人工皮膚上の直径1cmの円に適用した。次に、人工皮膚を40℃で10分間維持し、水ですすいだ。
【0451】
(実施例3)
染毛剤混合用の混合機(日本で販売されているMagenta Mixer)を使用することによって、油相組成物1(表3における組成物1)にエアレーションを行った。混合時間は3分であった。
【0452】
水性相組成物70質量部及びエアレーションされた油相組成物1の30質量部を、適用する直前に、スパチュラを用いて1分間混合した。
【0453】
こうして得た混合物4gを、100%白色毛髪見本1gへ適用した。次に、毛髪見本を27℃で30分間維持し、水ですすぎ、シャンプーで洗った。
【0454】
一方、こうして得た混合物0.1gを人工皮膚上の直径1cmの円に適用した。次に、人工皮膚を40℃で10分間維持し、水ですすいだ。
【0455】
(実施例4)
前処理組成物0.4gを、100%白色毛髪見本1gへ適用した。次いで、毛髪見本を室温で5分間維持し、水ですすいだ。
【0456】
染毛剤混合用の混合機(日本で販売されているMagenta Mixer)を使用することによって、油相組成物1(表3における組成物1)にエアレーションを行った。混合時間は3分であった。
【0457】
水性相組成物70質量部及びエアレーションされた油相組成物1の30質量部を、適用する直前に、スパチュラを用いて1分間混合した。
【0458】
こうして得た混合物4gを、前処理された100%白色毛髪見本1gへ適用した。次に、毛髪見本を27℃で30分間維持し、水ですすぎ、シャンプーで洗った。
【0459】
一方、こうして得た混合物0.1gを人工皮膚上の直径1cmの円に適用した。次に、人工皮膚を40℃で10分間維持し、水ですすいだ。
【0460】
(In vitro毛髪色強度)
実施例2~4による方法によってこうして得た毛髪色強度を測定し、上述のように評価した。結果を表5に示す。
【0461】
(In vitro染色強度)
実施例2~4による方法によってこうして得た染色強度を測定し、上述のように評価した。結果を表5に示す。
【0462】
【0463】
表4における実施例1と表5における実施例2との比較によって、前処理組成物を用いた前処理は、毛髪色強度を更に強化できることが示される。
【0464】
表4における実施例1と表5における実施例3との比較によって、油相組成物1をエアレーションすると、皮膚染色を更に低減できることが示される。
【0465】
表4における実施例1と表5における実施例4との比較によって、前処理組成物を用いた前処理及び油相組成物1のエアレーションは、毛髪色強度を更に強化し、同時に皮膚染色を更に低減できることが示される。
【0466】
(実施例5)
毛髪の長さによって前処理組成物20~30gを、6個のヒトテスター毛髪へ適用した。次いで、毛髪を室温で5分間維持し、水ですすいだ。
【0467】
染毛剤混合用の混合機(日本で販売されているMagenta Mixer)を使用することによって、油相組成物1(表3における組成物1)にエアレーションを行った。混合時間は3分であった。
【0468】
水性相組成物70質量部及びエアレーションされた油相組成物1の30質量部を、適用する直前に、スパチュラを用いて1分間混合した。
【0469】
毛髪の長さによって、こうして得た混合物40~60gを、毛髪へ適用した。次に、毛髪を室温で30分間維持し、水ですすぎ、シャンプーで洗った。
【0470】
一方、こうして得た混合物0.05gを、6個のヒトテスターの頭皮上の直径0.5cmの円に適用した。次に、頭皮を室温で30分間維持し、水ですすぎ、シャンプーで洗った。
【0471】
(In vivo毛髪色強度)
毛髪色強度を、毛根におけるトーンレベルによって評価した。トーンレベルを、参照毛髪(白色は20であり、黒色は2であり、間隔は0.5である)に基づいて、それぞれ6個のヒトテスターに関して判定した。判定されたトーンレベルを平均化し、次いで下に示す評価基準に従って評価した。
優:トーンレベルが14未満である。
良:トーンレベルが14又は14.5である。
普通:トーンレベルが15である。
不良:トーンレベルが15.5又は16である。
非常に不良:トーンレベルが16超である。
【0472】
結果を表6に示す。
【0473】
(In vitro染色強度)
染色強度を、染色スコアによって評価した。スコアを、参照としての5つの染色レベルに基づいて、6個のヒトテスターそれぞれについて決定した。高レベル(濃い色)は5であり、低レベル(薄い色)は1であり、染色なしは0であり、間隔は1である。決定されたスコアを平均化し、次いで下に示す評価基準に従って評価した。
優:スコアは1又は2である。
良:スコアは3である。
普通:スコアは4である。
不良:スコアは5である。
【0474】
結果を表6に示す。
【0475】
【0476】
表6は、前処理組成物を用いた前処理及び油相組成物1のエアレーションが、優良な毛髪色強度を実際に付与することができ、同時にヒト皮膚上の染色を低減することを示している。