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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-06
(45)【発行日】2023-10-17
(54)【発明の名称】タンクコンテナ
(51)【国際特許分類】
   B65D 88/12 20060101AFI20231010BHJP
【FI】
B65D88/12 K
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019040128
(22)【出願日】2019-03-06
(65)【公開番号】P2020142823
(43)【公開日】2020-09-10
【審査請求日】2022-02-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000534
【氏名又は名称】弁理士法人真明センチュリー
(72)【発明者】
【氏名】林 秀幸
【審査官】加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-292089(JP,A)
【文献】特開2005-059913(JP,A)
【文献】特表2012-530637(JP,A)
【文献】特開2000-128275(JP,A)
【文献】実開昭50-138708(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第104760780(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 88/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
体の積載物を積載する円筒形状のタンクと、その円筒形状のタンクを横置き状態で支持する枠状のフレームとを備えたタンクコンテナにおいて、
前記タンクへの液体の供給と排出とを行う液体用弁と、
その液体用弁の周囲を囲む液体用弁箱と、
前記タンクへの気体の供給と排出とを行う通気用弁と、
その通気用弁の周囲を囲むと共に、前記液体用弁箱とは別の通気用弁箱とを備え、
前記液体用弁箱および前記通気用弁箱は、前記フレーム内に横置き状態で支持された前記円筒形状のタンクの頂上からずれた位置の側面上方であって、前記フレーム内に収まるように設けられ、
更に前記液体用弁箱および前記通気用弁箱は、それぞれ個別に開閉可能な蓋を有しており、
その蓋は、前記フレーム内に横置き状態で支持された前記円筒形状のタンクの頂上側へ向けて、それぞれ独自に開放可能に構成されていることを特徴とするタンクコンテナ。
【請求項2】
前記液体用弁箱および前記通気用弁箱は、所定の間隔を隔てて前記円筒形状のタンクの頂上から所定位置ずれた側面上方に配設されると共に、
前記液体用弁箱と前記通気用弁箱との間には、作業者が昇降可能な足場が形成されていることを特徴とする請求項1記載のタンクコンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンクコンテナに関し、特に、タンクの容積を更に増大させることができるタンクコンテナに関するものである。
【背景技術】
【0002】
タンクコンテナは、直方体状の枠組み構造をしたコンテナ枠内に、円筒形状をしたタンクが横置き状態で配設されたものである。タンクコンテナは、タンク内に石油などの液体(液化ガス等の高圧ガスを含む)を積載した状態で、タンクコンテナ自体を輸送船から鉄道貨車あるいはトレーラなどへ積み替えることで、タンク内の積載物(収容物)を各種輸送手段を介して運搬することができる。
【0003】
このようにタンクコンテナは、いずれの輸送手段に対しても積み替えが可能なように、規格によって大きさが統一されている。具体的なコンテナ枠の大きさは横幅2438mm×長さ6058mm×高さ2591mmである。タンクのサイズは該コンテナ枠内に収まるように決定される。輸送効率を上げるためにはタンクの容積を増大する必要があるが、タンクはコンテナ枠内に収めなければならないので、その容積の増大は容易ではない。
【0004】
特許文献1には、弁室20がタンク2の上方に設けられたタンクコンテナ1が開示されている。該タンクコンテナ1によれば、弁室20をタンク本体11内に入れ込んだ所謂落とし込み構造とすることで、タンク2からの弁室20の突き出し量を小さくし、その分、コンテナ3内におけるタンク2の径を大きくして、タンク2の容積を増大させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2002-193380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示される弁室20がタンク2の上方に設けられたタンクコンテナ1において、更なるタンク容積の増大が求められていた。
【0007】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、タンクの容積を更に増大させることができるタンクコンテナを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために本発明のタンクコンテナは、液体の積載物を積載する円筒形状のタンクと、その円筒形状のタンクを横置き状態で支持する枠状のフレームとを備え、更に、前記タンクへの液体の供給と排出とを行う液体用弁と、その液体用弁の周囲を囲む液体用弁箱と、前記タンクへの気体の供給と排出とを行う通気用弁と、その通気用弁の周囲を囲むと共に、前記液体用弁箱とは別の通気用弁箱とを備え、前記液体用弁箱および前記通気用弁箱は、前記フレーム内に横置き状態で支持された前記円筒形状のタンクの頂上からずれた位置の側面上方であって、前記フレーム内に収まるように設けられ、更に前記液体用弁箱および前記通気用弁箱は、それぞれ個別に開閉可能な蓋を有しており、その蓋は、前記フレーム内に横置き状態で支持された前記円筒形状のタンクの頂上側へ向けて、それぞれ独自に開放可能に構成されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明のタンクコンテナによれば、液体用弁の周囲を囲む液体用弁箱と通気用弁の周囲を囲む通気用弁箱とは、枠状のフレーム内に横置き状態で支持された円筒形状のタンクの上方に配設される。ここで、液体用弁箱と通気用弁箱とは、円筒形状のタンクの頂上からずれた位置の側面上方に配設されるので、これらを円筒形状のタンクの頂上に配設する場合に比べて、その配設位置を低くできる。よって、液体用弁箱と通気用弁箱とがフレーム内に収まるようにしても、液体用弁箱と通気用弁箱との配設位置が低くなった分、タンクの径を大きくして、タンクの容積を増大させることができる。
また、液体用弁箱および通気用弁箱は、それぞれ個別に開閉可能な蓋を有している。よって、液体用弁箱と通気用弁箱とを1枚の蓋で開閉する場合に比べて、かかる蓋のサイズを小さくできるので、重量も軽くなり、その開閉を容易に行うことができる。しかも、各蓋は、フレーム内に横置き状態で支持された円筒形状のタンクの頂上側へ向けて、それぞれ独自に開放可能に構成されている。よって、各蓋のタンク側面からの開閉を容易にできる。また、蓋を開放した状態でのタンク側面からの、液体用弁や通気用弁との管の接続または取外し作業の作業性を向上できる。
【0010】
更に、液体用弁箱および通気用弁箱は、所定の間隔を隔てて円筒形状のタンクの頂上から所定位置ずれた側面上方に配設されると共に、液体用弁箱と通気用弁箱との間には、作業者が昇降可能な足場が形成されている。よって、この足場を利用することにより、液体用弁および通気用弁へのアクセスを容易にして作業性を向上することができる。
【0011】
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】タンクコンテナの斜視図である。
図2】タンクコンテナの上面図である。
図3】(a)は、図2のIII-III断面線における液体用弁箱の蓋を閉じた場合のタンクコンテナの断面図であり、(b)は、その液体用弁箱の蓋を開いた場合のタンクコンテナの断面図である。
図4】(a)は、図2のIV-IV断面線における通気用弁箱の蓋を閉じた場合のタンクコンテナの断面図であり、(b)は、その通気用弁箱の蓋を開いた場合のタンクコンテナの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。まず、図1図2を参照して、本発明の一実施形態におけるタンクコンテナ1の概略を説明する。図1は、タンクコンテナ1の斜視図である。
【0014】
タンクコンテナ1は、石油や液化した酸化エチレンやアンモニア等の液体等の積載物(収容物)を積載し、鉄道や船舶等で輸送するための容器である。図1においてタンクコンテナ1は、レールR上を走行し、貨物列車を構成する鉄道貨車C上に搭載されている。図1に示す通り、タンクコンテナ1には、フレーム2と、タンク3と、が設けられる。
【0015】
フレーム2は、後述のタンク3を支持するための枠状の部材であり、フレーム2の上面を形成する上フレーム2aと、梁2a1,2a2と、フレーム2の底面を形成する下フレーム2bと、上フレーム2aと下フレーム2bとを接続する柱2cと、梯子2dとで構成される。なお、上フレーム2a、下フレーム2b及び柱2cのその他の構成は周知のため、詳細な説明は省略する。
【0016】
梁2a1は、上フレーム2aのレールR方向における一方側の位置に対して、幅方向に亘って設けられる柱状の部材であり、梁2a2は、上フレーム2aのレールR方向における他方側の位置に対して、幅方向に亘って設けられる柱状の部材である。梁2a1及び梁2a2は上フレーム2aに対して、それぞれ同じ高さとなるように設けられる。以下、レールR方向のことを「長さ方向」と称し、そのうちの一方側を「前側」、他方側を「後側」とそれぞれ称す。また、レールRに直交する方向(即ち枕木方向)のことを「幅方向」と称す。
【0017】
梯子2dは、後述する足場8~12へ昇降するための器具(足場)であり、上フレーム2a及び下フレーム2bにおける後端に設けられる。
【0018】
タンク3は、積載物を積載するための円筒形状の容器であり、フレーム2内に円筒形状の側面を横置きにした状態で支持される。そのタンク3には、液体用弁4、通気用弁5、液体用弁箱6及び通気用弁箱7が設けられる。
【0019】
液体用弁4は、タンク3への積載物である液体の供給および排出をする手動式バルブであり、タンク3の側面上方であって、タンク3の長さ方向における後側の位置に設けられる。通気用弁5は、タンク3への気体の供給および排出をする手動式バルブであり、タンク3の側面上方であって、タンク3の長さ方向における前側の位置に設けられる。
【0020】
液体用弁箱6は、液体用弁4を保護するための箱であり、液体用弁4の側面の四方を囲むように形成される。通気用弁箱7は、通気用弁5を保護するための箱であり、通気用弁5の側面の四方を囲むように形成される。また、液体用弁箱6及び通気用弁箱7には、それぞれの上面を覆う蓋6a及び蓋7aが設けられる。なお、液体用弁4、通気用弁5、液体用弁箱6及び通気用弁箱7のタンク3に対する具体的な配設位置は、図2図4で後述する。
【0021】
上フレーム2aには、作業者が液体用弁4、通気用弁5、液体用弁箱6及び通気用弁箱7の付近に移動して、液体用弁4や通気用弁5の開閉等の作業を可能とするための板状の足場8~12が設けられる。
【0022】
次に図2を参照して、上述した液体用弁4、通気用弁5、液体用弁箱6及び通気用弁箱7と、足場8~12との、タンクコンテナ1の上面視方向における配設位置を説明する。図2は、タンクコンテナ1の上面図である。図2では、説明のため蓋6a及び蓋7aが開放されている場合を表しており、一点鎖線Tは、タンク3の頂上の位置を表している。
【0023】
まず、液体用弁4、通気用弁5、液体用弁箱6及び通気用弁箱7の配設位置を説明する。図2に示す通り、液体用弁4及び通気用弁5は、タンク3に対して、タンク3の頂上Tから、タンク3の上面視における幅方向の一方側へずれた位置にそれぞれ配設される。本実施形態では、液体用弁4と通気用弁5とは、タンク3の頂上Tに対して、同一のずれ方向に、同一のずれ量だけ、ずれている。
【0024】
液体用弁4の周囲を囲む液体用弁箱6と、通気用弁5の周囲を囲む通気用弁箱7とも、タンク3の頂上Tから、タンク3の上面視における幅方向の一方側へずれた位置に設けられる。また、液体用弁箱6と通気用弁箱7の間隔は、作業者がこれらの間に設けられる後述の足場11の一部または足場12に立って、液体用弁箱6及び通気用弁箱7の開閉等の作業ができる程度の幅とされる。かかる間隔として676mmが例示されるが、それ以上でも、それ以下でも良い。蓋6a及び蓋7aは、液体用弁箱6及び通気用弁箱7におけるタンク3の頂上T側の側面に対して開閉可能に取り付けられ、これらの開放方向は、共にタンク3の頂上T側とされる。
【0025】
次に、足場8~11の配設位置を説明する。足場8は、上述した梯子2dの上端の位置から梁2a2に向けて設けられる。足場9は、その梁2a2の後側に亘って設けられ、更に足場8の前側と接続される。その梁2a2の前側から、梁2a1の後側に亘って足場10と足場11とが設けられる。
【0026】
具体的には、足場10は、液体用弁箱6及び通気用弁箱7におけるタンク3の頂上T側の側面を沿うように設けられる。一方で、足場11は、液体用弁箱6及び通気用弁箱7と、液体用弁箱6及び通気用弁箱7に隣接する上フレーム2aとの間に設けられる。足場11は、液体用弁箱6と通気用弁箱7との間の一部にも設けられる。足場12は、足場10と足場11との間であって、液体用弁箱6と通気用弁箱7との間に設けられる。足場12の幅は、上述した通り、液体用弁箱6及び通気用弁箱7の開閉や液体用弁4及び通気用弁5の操作ができる程度とされる。
【0027】
このように梯子2d及び足場8~12を設けることで、作業者は液体用弁箱6及び通気用弁箱7へ容易にアクセスできる。具体的には、梯子2dを上フレーム2aに向けて登ってきた作業者は、梯子2dに隣接する足場8上に乗る。そして、足場8上を液体用弁箱6及び通気用弁箱7に向かって移動することで、足場8に接続される足場9上に乗る。
【0028】
その足場9には、足場10と足場11とが接続されるので、作業者は必要に応じて足場9から足場10又は足場11を移動することで、液体用弁箱6及び通気用弁箱7におけるタンク3の頂上T側と蓋6a及び蓋7aが開放される側、即ち蓋6aと蓋7aの開く側と閉じる側の両方へ移動できる。更に、足場11の一部と足場12とによって、液体用弁箱6及び通気用弁箱7におけるタンク3の頂上T側と、蓋6a及び蓋7aが開放される側、即ち蓋6aと蓋7aの開く側と閉じる側の両方とが、液体用弁箱6と通気用弁箱7との間で接続されるので、これらの間を自在に移動できる。
【0029】
そして、タンク3への液体の供給または排出を行う場合は、蓋6a,7aを開放して、液体用弁4に液体を供給または排出する管P1を、通気用弁5に気体を供給または排出する管P2を、それぞれ足場11側から配管して接続する。ここで蓋6a,7aは、それぞれ個別に設けられているので、液体用弁箱6と通気用弁箱7とを1枚の蓋で開閉する場合に比べて、かかる蓋のサイズを小さくでき、質量も軽くなる。
【0030】
しかも、蓋6a,7aは、タンクの頂上T側へ向けて開放可能に構成されているので、液体用弁箱6及び通気用弁箱7よりもタンク3の上面視における幅方向の一方側に設けられる足場11上の作業者は、蓋6a,7aの開放および閉鎖を容易にできる。また、蓋6a,7aを開放した状態において、蓋6a,7aと、足場11側から配管した管P1や管P2とは干渉することがないので、液体用弁4や通気用弁5と、管P1や管P2との接続または取外し作業の作業性を向上できる。
【0031】
次に図3を参照して、液体用弁4及び液体用弁箱6の高さ方向の位置関係と、足場10~12の取付構造とを説明する。図3(a)は、図2のIII-III断面線における液体用弁箱6の蓋6aを閉じた場合のタンクコンテナ1の断面図であり、図3(b)は、その蓋6aを開いた場合のタンクコンテナの断面図である。なお、図3及び後述の図4においては、下フレーム2b及び柱2cの一部の図示を省略している。
【0032】
図3に示す通り、タンク3は、積載物を積載する円筒形状の内タンク3aと、その内タンク3aを覆う断熱材3bと、更にその断熱材3bを覆う外装3cとの3層で構成される。液体用弁4は、その下端が内タンク3a内に入れ込まれた所謂落とし込み構造とされ、液体用弁箱6は、内タンク3a上に立設される。
【0033】
上述した通り、液体用弁4及び液体用弁箱6はタンク3の頂上Tからタンク3の上面視における幅方向の一方側へずれた位置へ設けられるが、そのずれ量は、図3(a)に示す通り、蓋6aを閉じた場合に、液体用弁箱6及び蓋6aが上フレーム2a、梁2a2及び梁2a1(図示せず)の上端よりも低くなるように設定される。これにより、タンクコンテナ1に別のコンテナを積み重ねたり、並べたりした場合でも、液体用弁箱6及び蓋6aと別のコンテナとが接触しないので、液体用弁箱6及び蓋6aが破損したり、別のコンテナが破損するのを抑制できる。
【0034】
また、図3(b)に示す通り、液体用弁箱6と蓋6aの側面とは、紐状の止め具6bで接続され、蓋6aを開放した場合に、その開度が止め具6bによって制限される。これにより、蓋6aがタンク3の頂上T側へ開き過ぎるのを防止できるので、蓋6aを最大限に開いた状態でも、足場11又は足場12上の作業者が足場10に移動することなく蓋6aを閉鎖できる。
【0035】
次に、上フレーム2a及び梁2a2に対する、足場10~12の取付構造を説明する。足場10は、梁2a2に固定されるが、具体的には、まず梁2a2における、タンク3の頂上付近に該当する位置へ取付部材13を下方に垂設し、更に梁2a2における、液体用弁箱6のタンク3の頂上T側の端部付近に該当する位置へ取付部材14を下方に垂設する。そして、足場10をこれら取付部材13,14の下端に固定することで、足場10が梁2a2に固定される。なお、足場10は梁2a1に垂設される取付部材17,18にも固定されるが、詳細は図4で後述する。
【0036】
また足場11は、液体用弁箱6及び通気用弁箱7に隣接する上フレーム2aに設けられる。具体的には、その上フレーム2aの下端に垂設される取付部材15の下部に、足場11を固定することで、足場11が上フレーム2aに設けられる。その足場11のタンクの頂上T側の側面には、足場12を取り付けるための取付部材16が、上方に向けて垂設される。
【0037】
足場12は、足場10及び足場11に固定されるが、具体的には、取付部材16の上端と、その取付部材16に隣接する足場12の底面とが固定され、更に足場10における液体用弁箱6及び通気用弁箱7側の側面と、その足場10に隣接する足場12の側面とが固定される。これによって、足場12は、足場10及び足場11に固定される。
【0038】
次に図4を参照して、通気用弁5及び通気用弁箱7の高さ方向の位置関係と、足場10~12の取付構造とを説明する。図4(a)は、図2のIV-IV断面線における通気用弁箱7の蓋7aを閉じた場合のタンクコンテナ1の断面図であり、図4(b)は、IV-IV断面線における通気用弁箱7の蓋7aを開いた場合のタンクコンテナ1の断面図である。
【0039】
通気用弁5及び通気用弁箱7は、上述した液体用弁4及び液体用弁箱6と対称な構造のため、詳細な説明は省略するが、図4に示す通り、通気用弁5もその下端が内タンク3a内に入れ込まれた所謂落とし込み構造とされ、通気用弁箱7も内タンク3a上に立設される。通気用弁5及び通気用弁箱7のタンク3の頂上Tからのずれ量も、蓋7aを閉じた場合に、通気用弁5及び通気用弁箱7の端部が上フレーム2a、梁2a1及び梁2a2(図示せず)の端部よりも内側となるように設定される。更に図4(b)に示す通り、通気用弁箱7と蓋7aの側面とも、紐状の止め具7bで接続される。
【0040】
また、足場10は、上述した取付部材13,14に加え、梁2a1に対して下方へ垂設された取付部材17,18によっても固定される。ここで、取付部材17,18と、図3で上述した取付部材13,14とは、これらに対して足場10を固定し、更にその足場10に足場12を固定した場合でも、足場10,12の下端がタンク3、特に頂上Tに接触しないように形成される。また、取付部材19,20は、これらに足場11を固定した場合でも足場11の下端がタンク3に接触にせず、なおかつ足場10,12の下端よりも低くなるように形成される。従って、足場10及び足場12の下端の位置は略同一の高さとなる一方で、足場11の下端の位置は足場10及び足場12の下端の位置よりも低くなるので、足場10~12の下端の位置をタンク3の外形形状に沿ったものとできると共に、足場10~12も上フレーム2a及び梁2a1,2a2の端部よりも内側に配設できる。
【0041】
最後に、このように構成されたタンクコンテナ1の作用効果を説明する。液体用弁箱6と通気用弁箱7とは、フレーム2内に横置き状態で支持された円筒形状のタンク3の上方に配設される。ここで、液体用弁箱6と通気用弁箱7とは、円筒形状のタンク3の頂上Tからずれた位置の側面上方に配設されるので、これらをタンク3の頂上Tに配設する場合に比べて、その配設位置を低くできる。よって、液体用弁箱6と通気用弁箱7とがフレーム2内に収まるようにしても、液体用弁箱6と通気用弁箱7との配設位置が低くなった分、タンク3の径を大きくして、タンク3の容積を増大できる。
【0042】
また、液体用弁箱6及び通気用弁箱7の周囲に設けられる足場10~12の下端の位置は、タンク3の外形形状に沿っているので、足場10~12によるタンク3への干渉を最小限に抑えられる。これにより、タンク3に足場10~12を設けた場合でも、タンク3の径を大きくしてその容積を増大できる。
【0043】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
【0044】
上記実施形態では、液体用弁4と通気用弁5との、タンク3の頂上Tに対するずれ方向や、ずれ量を同一とした。しかし、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、管P1,P2が設置される位置に応じて、液体用弁4と通気用弁5とをそれぞれ異なる方向にずらしても良いし、管P1,P2の長さに応じて、液体用弁4と通気用弁5とのずれ量を異なる値としても良い。
【0045】
上記実施形態では、液体用弁4及び通気用弁5を落とし込み構造によって、内タンク3aに配設した。しかし、液体用弁4及び通気用弁5を内タンク3aに配設する構造は、落とし込み構造に限られるものではなく、例えば、内タンク3aに管座を取り付け、かかる管座に対して液体用弁4及び通気用弁5を設けても良いし、その他の構造によって、液体用弁4及び通気用弁5を配設しても良い。
【0046】
上記実施形態では、液体用弁箱6及び通気用弁箱7は、液体用弁4及び通気用弁5の周囲を矩形状に囲んだ。しかし、必ずしもこれに限られるものではなく、液体用弁箱6及び通気用弁箱7は、液体用弁4及び通気用弁5の周囲を三角形状や五角形状等、多角形状に囲んでも良いし、円形状に囲んでも良いし、その他の形状で囲んでも良い。また、液体用弁箱6と通気用弁箱7との形状は、同一であっても良いし、異なっていても良い。
【0047】
上記実施形態では、液体用弁箱6及び通気用弁箱7の周囲に設けられる足場10~12をそれぞれ個別に形成して、上フレーム2a及び梁2a1,2a2に取り付けた。しかし、必ずしもこれに限られるものではなく、足場10と足場11とを一体に形成しても良いし、足場11と足場12とを一体に形成しても良いし、足場10~12を一体に形成しても良い。
【0048】
上記実施形態では、足場11の下端の位置を、足場10及び足場12の下端の位置よりも低く形成した。足場11の下端の位置を、足場10及び足場12の下端の位置と同じ高さとなるように形成しても良い。
【符号の説明】
【0049】
1 タンクコンテナ
2 フレーム
2d 梯子(足場の一部)
3 タンク
4 液体用弁
5 通気用弁
6 液体用弁箱
7 通気用弁箱
6a,7a 蓋
8~12 足場
T タンクの頂上
図1
図2
図3
図4