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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-06
(45)【発行日】2023-10-17
(54)【発明の名称】水中作業システム
(51)【国際特許分類】
   B63C 11/00 20060101AFI20231010BHJP
   B63B 49/00 20060101ALI20231010BHJP
   B63C 11/48 20060101ALI20231010BHJP
   G05D 1/10 20060101ALI20231010BHJP
   G01S 15/74 20060101ALI20231010BHJP
【FI】
B63C11/00 E
B63B49/00 Z
B63B49/00 B
B63C11/00 A
B63C11/00 B
B63C11/00 D
B63C11/48 D
B63C11/48 B
G05D1/10
G01S15/74
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019147156
(22)【出願日】2019-08-09
(65)【公開番号】P2021028186
(43)【公開日】2021-02-25
【審査請求日】2022-07-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡矢 紀幸
(72)【発明者】
【氏名】福井 厚市
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-526148(JP,A)
【文献】米国特許第05844159(US,A)
【文献】特表2018-514433(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63C 11/00
B63B 49/00
B63C 11/48
G05D 1/10
G01S 15/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水上に位置する水上船と、
水底に敷設されたパイプラインを探し出す探索作業を行う潜水機と、
前記水上船に搭載された音響測位装置から出力された音波を用いて前記水上船に対する前記潜水機の相対位置を測定する音響測位システムと、
処理装置と、を備え、
前記処理装置は、前記探索作業の開始時に前記音響測位システムから前記水上船に対する前記潜水機の相対位置を取得し、取得した前記相対位置に基づいて前記潜水機の位置を算出し、算出した前記潜水機の位置を中心とする測定誤差領域と所定の方向に延びる前記パイプラインの予想敷設領域とが重複する場合には、前記測定誤差領域と前記予想敷設領域とが重複しない位置にまで前記潜水機を移動させた後、前記潜水機に前記予想敷設領域を横断しながら前記パイプラインの有無を検知する横断検知を実施させる、水中作業システム。
【請求項2】
水上に位置する水上船と、
水底に敷設されたパイプラインを探し出す探索作業を行う潜水機と、
前記水上船に搭載された音響測位装置から出力された音波を用いて前記水上船に対する前記潜水機の相対位置を測定する音響測位システムと、
処理装置と、を備え、
前記処理装置は、前記探索作業の開始時に前記音響測位システムから前記水上船に対する前記潜水機の相対位置を取得し、取得した前記相対位置に基づいて前記潜水機の位置を算出し、算出した前記潜水機の位置を中心とする測定誤差領域と所定の方向に延びる前記パイプラインの予想敷設領域との間隔が所定距離でない場合には、前記測定誤差領域と前記予想敷設領域の間隔が前記所定距離となる位置にまで前記潜水機を移動させた後、前記潜水機に前記予想敷設領域を横断しながら前記パイプラインの有無を検知する横断検知を実施させる、水中作業システム。
【請求項3】
水上に位置する水上船と、
水底に敷設されたパイプラインを探し出す探索作業を行う潜水機と、
前記水上船に搭載された音響測位装置から出力された音波を用いて前記水上船に対する前記潜水機の相対位置を測定する音響測位システムと、
処理装置と、を備え、
前記処理装置は、前記探索作業において、前記潜水機に所定の方向に延びる前記パイプラインの予想敷設領域を横断しながら前記パイプラインを検知する横断検知を実施させつつ、前記音響測位システムから前記水上船に対する前記潜水機の相対位置を取得し、取得した前記相対位置に基づいて前記潜水機の位置を算出し、算出した前記潜水機の位置を中心とする測定誤差領域と前記予想敷設領域とが重複しなくなる位置にまで前記潜水機が移動しても前記パイプラインを検知できない場合には、前記潜水機の進行方向を変えて前記潜水機に前記横断検知を再度実施させる、水中作業システム。
【請求項4】
水上に位置する水上船と、
前記水上船から水底に投下されるトランスポンダと、
投下された前記トランスポンダを基準として、水底に敷設されたパイプラインを探し出す探索作業を行う潜水機と、
前記水上船に搭載された音響測位装置から出力された音波を用いて前記水上船に対する前記トランスポンダの相対位置を測定する音響測位システムと、
処理装置と、を備え、
前記潜水機は水底に対する当該潜水機の相対速度を計測可能な相対速度計を有し、
前記処理装置は、前記探索作業の開始時に音響測位システムから前記水上船に対する前記トランスポンダの相対位置を取得し、取得した前記相対位置に基づいて前記トランスポンダの位置を算出し、算出した前記トランスポンダが投下された位置を中心とする測定誤差領域と所定の方向に延びる前記パイプラインの予想敷設領域とが重複する場合には、前記測定誤差領域と前記予想敷設領域とが重複しなくなるような仮の前記トランスポンダが投下された位置を目標位置に設定し、前記潜水機を前記トランスポンダが投下された位置まで移動させた後、前記相対速度計から取得した前記潜水機の水底に対する相対速度に基づいて前記トランスポンダに対する前記潜水機の相対位置を算出しつつ前記潜水機の位置が前記目標位置に至るまで前記潜水機を移動させ、その後、前記潜水機に前記予想敷設領域を横断しながら前記パイプラインの有無を検知する横断検知を実施させる、水中作業システム。
【請求項5】
前記処理装置は、前記探索作業の開始時に測定した前記トランスポンダの投下位置を通り前記パイプラインの予想敷設領域に直交する仮想線上に前記目標位置を設定する、請求項4に記載の水中作業システム。
【請求項6】
前記処理装置は、前記横断検知を1回又は複数回実施しても前記パイプラインが検知されない場合、前記潜水機を前記パイプラインの予想敷設領域が延びる方向に沿って移動させた後、前記潜水機に前記横断検知を再度実施させる、請求項1乃至5のうちいずれか一の項に記載の水中作業システム。
【請求項7】
前記処理装置は、前記横断検知を1回又は複数回実施しても前記パイプラインが検知されない場合、前記横断検知における前記潜水機の移動距離を延ばして前記潜水機に前記横断検知を再度実施させる、請求項1乃至5のうちいずれか一の項に記載の水中作業システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潜水機を用いて水中で作業を行う水中作業システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、水底に敷設されたパイプラインに対する作業は、無人の潜水機を用いて行われる(例えば、特許文献1参照)。そのため、事前のパイプラインを探し出す探索作業も潜水機で行うことができれば効率的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-67358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
潜水機の位置は音響測位システムを用いて測定されるが、音響測位システムの測定精度は高いとは言えない。また、水底に敷設されたパイプラインは潮流によって経年移動する。そのため、潜水機を用いてパイプラインの探索作業を行う場合、パイプラインが敷設されていないエリアを探索してしまう場合もあり、パイプラインの探索作業に時間がかかるおそれがある。
【0005】
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、潜水機を用いたパイプラインの探索作業を効率よく行うことができる水中作業システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る水中作業システムは、水上に位置する水上船と、水底に敷設されたパイプラインを探し出す探索作業を行う潜水機と、前記水上船に搭載された音響測位装置から出力された音波を用いて前記水上船に対する前記潜水機の相対位置を測定する音響測位システムと、処理装置と、を備え、前記処理装置は、前記探索作業の開始時に前記音響測位システムから前記水上船に対する前記潜水機の相対位置を取得し、取得した前記相対位置に基づいて前記潜水機の位置を算出し、算出した前記潜水機の位置を中心とする測定誤差領域と所定の方向に延びる前記パイプラインの予想敷設領域とが重複する場合には、前記測定誤差領域と前記予想敷設領域とが重複しない位置にまで前記潜水機を移動させた後、前記潜水機に前記予想敷設領域を横断しながら前記パイプラインの有無を検知する横断検知を実施させる。
【0007】
この構成では、音響測位システムの測定誤差とパイプラインの経年移動を考慮してパイプラインの探索作業を行うため、基本的には一度の横断検知によりパイプラインを探し出すことができる。よって、パイプラインの探索作業を効率よく行うことができる。
【0008】
また、本発明の一態様に係る水中作業システムは、水上に位置する水上船と、水底に敷設されたパイプラインを探し出す探索作業を行う潜水機と、前記水上船に搭載された音響測位装置から出力された音波を用いて前記水上船に対する前記潜水機の相対位置を測定する音響測位システムと、処理装置と、を備え、前記処理装置は、前記探索作業の開始時に前記音響測位システムから前記水上船に対する前記潜水機の相対位置を取得し、取得した前記相対位置に基づいて前記潜水機の位置を算出し、算出した前記潜水機の位置を中心とする測定誤差領域と所定の方向に延びる前記パイプラインの予想敷設領域との間隔が所定距離でない場合には、前記測定誤差領域と前記予想敷設領域の間隔が前記所定距離となる位置にまで前記潜水機を移動させた後、前記潜水機に前記予想敷設領域を横断しながら前記パイプラインの有無を検知する横断検知を実施させてもよい。
【0009】
この構成では、測定誤差領域と予想敷設領域の間隔が所定距離となる位置から横断検知を開始する。そのため、測定誤差領域と予想敷設領域の間隔が所定距離よりも狭い位置から横断検知を開始する場合に比べて確実にパイプラインを探し出すことができる。また、測定誤差領域と予想敷設領域の間隔が所定距離よりも広い位置から横断検知を開始する場合に比べて不要な作業が減り、効率よく探索作業を行うことができる。
【0010】
また、本発明の一態様に係る水中作業システムは、水上に位置する水上船と、水底に敷設されたパイプラインを探し出す探索作業を行う潜水機と、前記水上船に搭載された音響測位装置から出力された音波を用いて前記水上船に対する前記潜水機の相対位置を測定する音響測位システムと、処理装置と、を備え、前記処理装置は、前記探索作業において、前記潜水機に所定の方向に延びる前記パイプラインの予想敷設領域を横断しながら前記パイプラインを検知する横断検知を実施させつつ、前記音響測位システムから前記水上船に対する前記潜水機の相対位置を取得し、取得した前記相対位置に基づいて前記潜水機の位置を算出し、算出した前記潜水機の位置を中心とする測定誤差領域と前記予想敷設領域とが重複しなくなる位置にまで前記潜水機が移動しても前記パイプラインを検知できない場合には、前記潜水機の進行方向を変えて前記潜水機に前記横断検知を再度実施させてもよい。
【0011】
この構成によれば、潜水機による横断検知を行ってもパイプラインを検知できない場合には、横断検知が再度実施されるため、より確実にパイプラインを探し出すことができる。
【0012】
また、本発明の他の態様に係る水中作業システムは、水上に位置する水上船と、前記水上船から水底に投下されるトランスポンダと、投下された前記トランスポンダを基準として、水底に敷設されたパイプラインを探し出す探索作業を行う潜水機と、を備えている。
【0013】
この構成では、トランスポンダを用いてパイプラインの探索作業が行われる。トランスポンダは、投下の際に潜水機よりも潮流の影響を受けにくいため、潜水機よりも狙った位置の近くに投下することができる。そのため、上記の構成によれば、パイプラインの探索作業を効率よく行うことができる。
【発明の効果】
【0014】
上記の構成によれば、潜水機を用いたパイプラインの探索作業を効率よく行うことができる水中作業システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、第1実施形態に係る水中作業システムのブロック図である。
図2図2は、第1実施形態の探索プログラムのフローチャートである。
図3図3は、第1実施形態の探索開始時における潜水機の動作を示す図である。
図4図4は、パイプラインが検知できなかった場合における潜水機の動作を示す図である。
図5図5は、第2実施形態に係る水中作業システムのブロック図である。
図6図6は、第2実施形態の探索プログラムのフローチャートである。
図7図7は、第2実施形態の探索開始時における潜水機の動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態)
はじめに、本発明の第1実施形態に係る水中作業システム100について説明する。まず、水中作業システム100の全体構成について説明する。本実施形態の水中作業システム100では、パイプラインに対して検査等の作業を行う前に、潜水機20を用いて水底に敷設されたパイプラインの探索が実施される。図1は、本実施形態に係る水中作業システム100のブロック図である。図1に示すように、水中作業システム100は、水上船10と、潜水機20と、音響測位システム40と、を備えている。なお、以下で単に「位置」というときは、絶対位置(地球座標系の位置)を意味するものとする。
【0017】
<水上船>
水上船10は、水上を航行して潜水機20を支援する海上支援船である。水上船10は、潜水機20への電力供給や潜水機20が取得したデータの保存等を行っている。水上船10は、推進装置11と、GPS(Global Positioning System)装置12と、音響通信装置13と、給電装置14と、を有している。また、水上船10には処理装置15が設けられている。
【0018】
推進装置11は、水上を航行するための推力を発生させる装置である。GPS装置12は、水上における水上船10の位置情報を取得する装置である。音響通信装置13は、後述する潜水機20の音響通信装置26との間で音響を用いて通信を行う装置である。音響通信装置13により、潜水機20の各機器が取得した情報(例えば、潜水機20のバッテリ25の残量など)を潜水機20から取得できる。
【0019】
給電装置14は、後述する潜水機20の受電装置24に電力を供給する装置である。本実施形態では、潜水機20が水上船10にアプローチし、水上船10の給電装置14から潜水機20の受電装置24に電力を供給する。給電装置14は、受電装置24に非接触に電力を供給する非接触式の給電装置であってもよく、水上船10と潜水機20とをつなぐコネクタ等を介して電力を供給する接触式の給電装置であってもよい。なお、本実施形態では、水上船10で潜水機20の充電を行っているが、水上に浮き体を設け、又は、海底に充電ステーションを設け、これらに上述した水上船10の充電機能等を持たせて、潜水機20の充電を浮き体又は充電ステーションで行うようにしてもよい。
【0020】
処理装置15は、水上船10の全体を制御するなど種々の処理を行う装置である。処理装置15は、プロセッサ、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、SSD、及び、I/Oインターフェース等を有している。そして、SSDには後述する探索プログラムを含む各種制御プログラム及び種々のデータが保存されており、不揮発性メモリがSSDから各種制御プログラムをダウンロードした後、プロセッサが各種制御プログラムに基づき揮発性メモリを用いて演算処理を行う。また、処理装置15は、上述した水上船10の各機器と電気的に接続されており、各機器から送信される測定信号に基づいて種々の情報を取得するとともに、これらの情報に基づいて演算を行い、各機器に制御信号を送信する。
【0021】
<潜水機>
潜水機20は、水上船10から独立して航行が可能な自律型無人潜水機であり、水中で作業を行うことができる。潜水機20は、推進装置21と、対象物検知装置22と、検査装置23と、受電装置24と、バッテリ25と、音響通信装置26と、慣性航法装置27と、深度計28と、相対速度計29と、を有している。また、潜水機20には、処理装置30が設けられている。
【0022】
推進装置21は、水中を航行するための推力を発生させる装置である。推進装置21は、例えば潜水機20を前方へ移動させるための主推進用スラスタ、潜水機20を上下方向に移動させるための垂直スラスタ、潜水機20を左右方向に移動させるための水平スラスタなど、複数の推進器および潜水機20の進路を変更する舵装置を含む。ただし、推進装置21は、これに限定されず、例えば推力を発生させる方向を変更可能な首振り式のスラスタを有していてもよい。
【0023】
対象物検知装置22は、作業対象物であるパイプラインを検知する装置である。本実施形態の対象物検知装置22は、いわゆるマルチビームソーナである。ただし、対象物検知装置22は、形状把握用レーザであってもよく、マルチビームソーナと形状把握用レーザの双方であってもよい。なお、対象物検知装置22が設けられる位置や個数は特に限定されない。
【0024】
検査装置23は、パイプラインを検査するための装置である。本実施形態の検査装置23は、パイプラインを撮像する撮像用カメラ(例えばテレビカメラ)である。ただし、検査装置23は、撮像用カメラの代わりに又は撮像用カメラに加えて、例えばパイプラインの全長に亘って防食処置(例えば防食塗装)の劣化の程度を検査する防食検査器、及び、腐食の程度や損傷の有無を検査するためにパイプラインの肉厚を検査する肉厚検査器の一方又は双方を含んでもよい。
【0025】
受電装置24は、水上船10が有する給電装置14から供給される電力を受電するための装置である。受電装置24が受電した電力に基づき、バッテリ25が充電される。バッテリ25が蓄積する電力は、推進装置21など潜水機20が有する各機器の作動に使用される。
【0026】
音響通信装置26は、水上船10が有する音響通信装置13との間で音響を用いて通信を行う装置である。音響通信装置26により、潜水機20が有する各種装置が取得した情報(例えば、バッテリ25の残量など)を潜水機20から水上船10に送信することができる。
【0027】
慣性航法装置(Inertial Navigation System;INS)27は、加速度センサとジャイロセンサを用いて絶対座標系における潜水機20の向き、位置、及び速度を測定する装置である。深度計28は、潜水機20の深度を計測する機器である。相対速度計29は、ドップラー効果を利用して水底及びパイプラインなどの固定物を基準とする潜水機20の相対移動方向及び相対速度を計測する機器である。
【0028】
処理装置30は、プロセッサ、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、SSD、及び、I/Oインターフェース等を有している。処理装置30は、上述した潜水機20の各機器と電気的に接続されており、各機器から送信される測定信号に基づいて種々の情報を取得するとともに、これらの情報に基づいて演算を行い、各機器に制御信号を送信する。
【0029】
<音響測位システム>
音響測位システム40は、水上船10に対する潜水機20の位置を測定するとともに、潜水機20に対する水上船10の位置を測定するためのシステムである。本実施形態の音響測位システム40は、水上船10及び潜水機20のそれぞれに設けられた音響測位装置41、42と、水上船10及び潜水機20のそれぞれに設けられた応答装置43、44と、を有している。なお、水上船10の音響測位装置41は、水上船10の音響通信装置13と一体的に構成されていてもよい。また、潜水機20の音響測位装置42は、潜水機20の音響通信装置26と一体的に構成されていてもよい。
【0030】
水上船10の音響測位装置41から潜水機20の応答装置44に音波を送ると、その音波を検出した応答装置44は音響測位装置41に応答波(応答信号)を送る。音響測位装置41は、応答装置44からの応答波に基づいて、水上船10に対する潜水機20の相対位置を計測することができる。さらに、水上船10の処理装置15は、音響測位装置41から水上船10に対する潜水機20の相対位置を取得し、当該相対位置とGPS装置12から取得した水上船10の位置情報とに基づいて、潜水機20の位置(見かけの絶対位置)を算出することができる。なお、音響測位装置41による測定は誤差が生じるため、ここで算出する潜水機20の位置は、あくまでも見かけの絶対位置であり、後述する測定誤差領域の設定に利用される。
【0031】
また、潜水機20の音響測位装置42から水上船10の応答装置43に音波を送ると、その音波を検出した応答装置43は音響測位装置42に応答波(応答信号)を送る。音響測位装置42は、応答装置43からの応答波に基づいて、潜水機20に対する水上船10の相対位置を計測することができる。潜水機20の処理装置30は、潜水機20が充電等のために水上船10に帰還する際、音響測位装置42から潜水機20に対する水上船10の相対位置を取得し、当該相対位置と音響測位装置42から取得した情報に基づいて、潜水機20が水上船10に近づくように推進装置21を駆動させる。
【0032】
なお、本実施形態における音響測位システム40は、USBL(Ultra Short Base Line)方式の測位システムを採用している。すなわち、各音響測位装置41、42は、送波器と受波アレイとを有し、送波器から音波を送り、それを検出した応答装置43、44から送られる応答波を受波アレイで受ける。音響測位装置41、42は、応答装置43、44との間の音波の往復時間から応答装置43、44までの距離を計算するとともに、受波アレイ内の各素子へ到達した応答波の位相差をもとに応答装置43、44の方位を特定する。
【0033】
ただし、音響測位システム40は、USBL方式の測位システムに限定されない。例えば、音響測位装置41、42は、水上船10及び潜水機20のそれぞれに3つ以上の受波器を互いに離間するように設けて、これらが受ける応答波の到達時間差に基づいて音響測位装置41、42に対する応答装置43、44の方位を特定するSBL(Short Base Line)方式を採用してもよい。
【0034】
<パイプラインの探索作業>
次に、水底に敷設されたパイプラインを探し出す探索作業について説明する。パイプラインの探索作業は、パイプラインに対して検査等の作業を行う前に実施される。水上船10の処理装置15は、音響通信装置13、26を介して潜水機20の処理装置30から種々の情報を取得し、これらの情報基づいて探索プログラムを実行する。水上船10の処理装置15は、探索プログラムにおいて種々の演算処理を行い、音響通信装置13、26を介して潜水機20の処理装置30に制御信号を送信する。潜水機20の処理装置30は、受信した制御信号に基づいて推進装置21等を制御する。
【0035】
図2は、探索プログラムのフローチャートである。図2で示す探索プログラムは、水上船10の処理装置15によって実行される。探索プログラムは、潜水機20が海底から所定の高さ位置に位置したときに開始される。探索プログラムが開始されると、処理装置15は、パイプラインの予想敷設領域を設定する(ステップS1)。パイプラインの「予想敷設領域」とは、パイプラインが経年移動する可能性がある領域である。本実施形態の処理装置15はパイプラインを敷設した当時の敷設位置を記憶しており、この記憶している敷設位置と敷設時からの経過期間に基づいて設定する。
【0036】
図3は、探索作業における潜水機20の動作を示した図である。図3の二点鎖線は敷設当初におけるパイプラインの敷設位置であり、二点鎖線に平行な直線で挟まれた領域がパイプラインの予想敷設領域である。本実施形態の予想敷設領域は帯状であり、直線状に延びている。なお、図3では、敷設当初のパイプラインの設置位置が予想敷設領域の中央に位置しているが、例えば、パイプラインが一方向にのみ経年移動すると予想される場合は、敷設当初のパイプラインの敷設位置は予想敷設領域の中央からずれることになる。
【0037】
続いて、処理装置15は、潜水機20の位置を算出する(ステップS2)。前述のとおり、潜水機20の位置(見かけの絶対位置)は、処理装置15は、GPS装置12から取得した水上船10の位置情報と、音響測位装置41から取得した水上船10に対する潜水機20の相対位置とに基づいて算出することができる。
【0038】
続いて、処理装置15は、水上船10の測定誤差領域を設定する(ステップS3)。前述のとおり、音響測位装置41の測定精度は高くないため、ステップS2で算出した潜水機20の位置は測定誤差が存在する。「測定誤差領域」とは、潜水機20が位置する可能性がある領域であって、ステップS2で算出した潜水機20の位置を中心とした領域である。例えば、図3において、符号20Aを付した潜水機の位置がステップS2で算出した潜水機20の位置であるとすると、符号20aを付した円で囲まれた領域が測定誤差領域である。測定誤差領域は、水上船10と潜水機20の距離が大きくなるにしたがって大きくなる。なお、水上船10と潜水機20の距離は、深度計28によって推定することができる。
【0039】
続いて、処理装置15は、水上船10の測定誤差領域とパイプラインの予想敷設領域が重複するか否かを判定する(ステップS4)。処理装置15は、測定誤差領域と予想敷設領域が重複すると判定した場合(ステップS4でYES)、それらの領域が離れる位置にまで潜水機20を移動させる(ステップS5)。例えば、図3の符号20aを付した円で示すように、測定誤差領域と予想敷設領域が重複する場合には、符号20bを付した円で示すような測定誤差領域と予想敷設領域が重複しなくなる位置にまで潜水機20を移動させる(図3の符号20Bを付した潜水機を参照)。ステップS5を経た後は、後述する横断検知を開始する(ステップS6)。
【0040】
一方、処理装置15が、測定誤差領域と予想敷設領域が重複しないと判定した場合(ステップS4でNO)、そのまま横断検知を開始する(ステップS6)。ここで、「横断検知」とは、潜水機20が予想敷設領域を横断しながらパイプラインの有無を検知する作業である。潜水機20の対象物検知装置22を用いれば、パイプラインの有無を検知することができる。潜水機20が予想敷設領域を横断する際、例えば処理装置15が算出する潜水機20の位置は、符号20Bを付した潜水機の位置から符号20Cを付した潜水機の位置へと移動してゆく。
【0041】
続いて、処理装置15は、潜水機20がパイプラインを検知したか否かを判定する(ステップS7)。潜水機20がパイプラインを検知していないと判定した場合(ステップS7でNO)、横断検知を続行する(ステップS8)。この横断検知は、パイプラインが検知されるまで繰り返される。一方、潜水機20がパイプラインを検知したと判定した場合(ステップS7でYES)、探索プログラムは終了し、潜水機20はパイプラインの検査等の次の作業を開始する。
【0042】
<作用効果等>
以上が本実施形態に係る水中作業システム100の説明である。本実施形態に係る水中作業システム100は、水上に位置する水上船10と、水底に敷設されたパイプラインを探し出す探索作業を行う潜水機20と、水上船10に搭載された音響測位装置41から出力された音波を用いて水上船10に対する潜水機20の相対位置を測定する音響測位システム40と、処理装置15と、を備えている。そして、処理装置15は、探索作業の開始時に音響測位システム40から水上船10に対する潜水機20の相対位置を取得し、取得した相対位置に基づいて潜水機20の位置を算出し、算出した潜水機20の位置を中心とする測定誤差領域と所定の方向に延びるパイプラインの予想敷設領域とが重複する場合には、測定誤差領域と予想敷設領域とが重複しない位置にまで潜水機20を移動させた後、潜水機20に予想敷設領域を横断しながらパイプラインの有無を検知する横断検知を実施させている。
【0043】
このように、本実施形態に係る水中作業システム100では、音響測位システム40の測定誤差とパイプラインの経年移動を考慮してパイプラインの探索作業を行うため、基本的には一度の横断検知によりパイプラインを探し出すことができる。よって、パイプラインの探索作業を効率よく行うことができる。
【0044】
また、本実施形態に係る水中作業システム100では、測定誤差領域と予想敷設領域とが重複しない位置から横断検知を開始したが、測定誤差領域と予想敷設領域の間隔が所定距離となる位置から横断検知を開始してもよい。つまり、処理装置15は、探索作業の開始時に音響測位システム40から水上船10に対する潜水機20の相対位置を取得し、取得した相対位置に基づいて潜水機20の位置を算出し、算出した潜水機20の位置を中心とする測定誤差領域と所定の方向に延びるパイプラインの予想敷設領域との間隔が所定距離でない場合には、測定誤差領域と予想敷設領域の間隔が所定距離となる位置にまで潜水機20を移動させた後、潜水機20に予想敷設領域を横断しながらパイプラインの有無を検知する横断検知を実施させてもよい。
【0045】
この構成によれば、測定誤差領域と予想敷設領域の間隔が所定距離よりも狭い位置から横断検知を開始する場合に比べて確実にパイプラインを探し出すことができる。また、測定誤差領域と予想敷設領域の間隔が所定距離よりも広い位置から横断検知を開始する場合に比べて不要な作業が減り、効率よく探索作業を行うことができる。
【0046】
また、上記の実施形態に係る水中作業システム100によれば、基本的には一度の横断検知によりパイプラインを探し出すことができるが、一度の横断検知でパイプラインを探し出すことができない場合は、再度横断検知を実施してもよい。例えば、図4の符号20dを付した円で示すように、潜水機20が予想敷設領域を通過して、測定誤差領域と予想敷設領域とが重複しなくなる位置にまで潜水機20が移動してもパイプラインを検知できない場合には、潜水機20の進行方向を変えて横断検知を再度実施させてもよい(図4の符号20E、20Fを付した潜水機を参照)。
【0047】
つまり、処理装置15は、探索作業において、潜水機20に所定の方向に延びるパイプラインの予想敷設領域を横断しながらパイプラインを検知する横断検知を実施させつつ、音響測位システム40から水上船10に対する潜水機20の相対位置を取得し、取得した相対位置に基づいて潜水機20の位置を算出し、算出した潜水機20の位置を中心とする測定誤差領域と予想敷設領域とが重複しなくなる位置にまで潜水機20が移動してもパイプラインを検知できない場合には、潜水機20の進行方向を変えて潜水機20に横断検知を再度実施させてもよい。
【0048】
この構成によれば、潜水機20による横断検知を行ってもパイプラインを検知できない場合には、横断検知が再度実施されるため、より確実にパイプラインを探し出すことができる。なお、進行方向を変える場合、進行方向の変更角度は180度であってもよく、180度以外であってもよい。
【0049】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る水中作業システム200について説明する。図5は、本実施形態に係る水中作業システム200のブロック図である。図5に示すように、水中作業システム200は、上述した水上船10及び潜水機20に加え、トランスポンダ50を備えている。また、第2実施形態の音響測位システム40は、上述した音響測位装置41、42、応答装置43、44に加え、トランスポンダ50に設けられた応答装置45を有している。
【0050】
図6は、第2実施形態の探索プログラムのフローチャートである。本実施形態の探索作業は、この探索プログラムに基づいて実施される。図6で示す探索プログラムは、水上船10の処理装置15によって実行される。本実施形態では、敷設当初におけるパイプラインの敷設位置付近に水上船10からトランスポンダ50を投下した後、探索プログラムが開始される。なお、トランスポンダ50には、水底からの高さ位置が一定となるように「重り」及び「浮き」を設けてもよい。
【0051】
探索プログラムが開始されると、処理装置15は、潜水機20をトランスポンダ50まで移動させる(ステップS11)。潜水機20の移動は、音響測位システム40を用いてトランスポンダ50に対する潜水機20の相対位置を測定しながら行われる。潜水機20がトランスポンダ50に近づくにつれて音響測位システム40による測定誤差が小さくなるため、潜水機20はトランスポンダ50に正確にたどり着くことができる(後述する図7の符号20A及び20Bを付した潜水機を参照)。
【0052】
続いて、処理装置15は、パイプラインの予想敷設領域を設定する(ステップS12)。パイプラインの予想敷設領域の設定方法は、前述したステップS1と同じである。図7は、本実施形態の探索作業における潜水機20の動作を示した図である。図3と同様に、図7の二点鎖線は敷設当初におけるパイプラインの敷設位置であり、二点鎖線に平行な直線で挟まれた領域がパイプラインの予想敷設領域である。
【0053】
続いて、処理装置15は、トランスポンダ50の位置を算出する(ステップS13)。処理装置15は、GPS装置12から取得した水上船10の位置情報と、音響測位装置41から取得した水上船10に対するトランスポンダ50の相対位置とに基づいて、トランスポンダ50の位置(見かけの絶対位置)を算出することができる。
【0054】
続いて、処理装置15は、トランスポンダ50の測定誤差領域を設定する(ステップS14)。測定誤差領域は、トランスポンダ50が位置する可能性がある領域であって、ステップS13で算出したトランスポンダ50の位置を中心とする領域である。例えば、図7において、符号50Aを付した点の位置がステップS13で算出したトランスポンダ50の位置であるとすると、符号50aを付した円で囲まれた領域が測定誤差領域である。測定誤差領域は、水上船10とトランスポンダ50の距離が大きくなるにしたがって大きくなる。水上船10とトランスポンダ50の距離は、トランスポンダ50の近傍に位置する潜水機20の深度計28によって推定することができる。
【0055】
続いて、処理装置15は、トランスポンダ50の測定誤差領域とパイプラインの予想敷設領域が重複するか否かを判定する(ステップS15)。処理装置15は、測定誤差領域と予想敷設領域が重複すると判定した場合(ステップS15でYES)、目標位置を設定する(ステップS16)。
【0056】
この「目標位置」とは、測定誤差領域と予想敷設領域が重複しなくなるようなトランスポンダ50の位置である。つまり、目標位置とは、測定誤差領域と予想敷設領域が重複しなくなるようなトランスポンダ50の位置である。さらに、本実施形態では、処理装置15は、ステップS13で算出したトランスポンダ50の位置を通りパイプラインの予想敷設領域に直交する仮想線上に目標位置が位置するように、目標位置を設定する。
【0057】
例えば、仮に、図7の符号50bを付した円が測定誤差領域であるとすると、この測定誤差領域は予想敷設領域と重複しないため、符号50bを付した円の中心に位置する符号50Bを付した点は目標位置になりうる。さらに、ステップS13で算出したトランスポンダ50の位置が符号50Aを付した点であるとすれば、符号50Bを付した点は、符号50Aを通りパイプラインの予想敷設領域に直行する仮想線102上に位置しているため、この条件からも目標位置になりうる。
【0058】
処理装置15は、ステップS16で目標位置を設定した後、潜水機20を目標位置にまで移動させる(ステップS17;図7の符号20Cを付した潜水機参照)。なお、潜水機20を目標位置にまで移動させる際、潜水機20の相対速度計29から取得した潜水機20の水底に対する相対速度に基づいてトランスポンダ50に対する潜水機20の相対位置を算出しつつ算出した潜水機20が目標位置に至るまで潜水機20を移動させる。
【0059】
処理装置15は、潜水機20が目標位置に到達した後、進行方向を変えて横断検知を開始する(ステップS18;図7の符号20Dを付した潜水機参照)。また、ステップS15において、処理装置15が予想敷設領域と測定誤差領域が重複しないと判定した場合も(ステップS15においてNO)、横断検知を開始する(ステップS18)。
【0060】
続いて、処理装置15は、潜水機20がパイプラインを検知したか否かを判定する(ステップS19)。潜水機20がパイプラインを検知していないと判定した場合(ステップS19でNO)、横断検知を続行する(ステップS20;図7の符号20E、20Fを付した潜水機参照)。ステップS20は、パイプラインが検知されるまで繰り返される。一方、潜水機20がパイプラインを検知したと判定した場合(ステップS19でYES)、探索プログラムは終了し、潜水機20はパイプラインの検査等の作業を開始する。
【0061】
<作用効果等>
以上が、本実施形態に係る水中作業システム200の説明である。本実施形態に係る水中作業システム200は、水上に位置する水上船10と、水上船10から水底に投下されるトランスポンダ50と、投下されたトランスポンダ50を基準として、水底に敷設されたパイプラインを探し出す探索作業を行う潜水機20と、を備えている。
【0062】
このように、本実施形態に係る水中作業システム200では、トランスポンダ50を用いてパイプラインの探索作業が行われる。ここで、トランスポンダ50は、投下の際に潜水機20よりも潮流の影響を受けにくい。そのため、潜水機20よりもパイプラインの探索作業を開始する位置の近くに投下することができる。その結果、本実施形態によれば、パイプラインの探索作業を効率よく行うことができる。
【0063】
また、本実施形態に係る水中作業システム200は、水上船10に搭載された音響測位装置41から出力された音波を用いて水上船10に対するトランスポンダ50の相対位置を測定する音響測位システム40と、処理装置15と、をさらに備えている。また、潜水機20は水底に対する当該潜水機20の相対速度を計測可能な相対速度計29を有している。そして、処理装置15は、探索作業の開始時に音響測位システム40から水上船10に対するトランスポンダ50の相対位置を取得し、取得した相対位置に基づいてトランスポンダ50の位置を算出し、算出したトランスポンダ50が投下された位置を中心とする測定誤差領域と所定の方向に延びるパイプラインの予想敷設領域とが重複する場合には、測定誤差領域と予想敷設領域とが重複しなくなるような仮のトランスポンダ50が投下された位置を目標位置に設定し、潜水機20をトランスポンダ50が投下された位置まで移動させた後、相対速度計29から取得した潜水機20の水底に対する相対速度に基づいてトランスポンダ50に対する潜水機20の相対位置を算出しつつ潜水機20の位置が目標位置に至るまで潜水機20を移動させ、その後、潜水機20に予想敷設領域を横断しながらパイプラインの有無を検知する横断検知を実施させている。
【0064】
このように、本実施形態では、音響測位システム40の測定誤差とパイプラインの経年移動を考慮してパイプラインの探索作業を行うため、基本的には一度の横断検知によりパイプラインを探し出すことができる。よって、パイプラインの探索作業を効率よく行うことができる。
【0065】
また、本実施形態に係る水中作業システム200では、処理装置15は、探索作業の開始時に測定したトランスポンダ50の投下位置を通りパイプラインの予想敷設領域に直交する仮想線上に前記目標位置を設定している。
【0066】
そのため、本実施形態によれば、横断検知の際の移動距離を少なくすることができる結果、パイプラインの探索作業をより効率的に行うことができる。
【0067】
また、上述した第1実施形態及び第2実施形態に係る水中作業システム100、200において、処理装置15は、横断検知を1回又は複数回実施してもパイプラインが検知されない場合、潜水機20をパイプラインの予想敷設領域が延びる方向に沿って移動させた後、潜水機20に横断検知を再度実施させてもよい。
【0068】
この構成によれば、横断検知を行ってもパイプラインを検知できない場合には、横断検知を行う位置を変えて横断検知が再度実施されるため、より確実にパイプラインを探し出すことができる。
【0069】
また、上述した第1実施形態及び第2実施形態に係る水中作業システム100、200において、処理装置15は、横断検知を1回又は複数回実施してもパイプラインが検知されない場合、横断検知における潜水機20の移動距離を延ばして潜水機20に横断検知を再度実施させてもよい。
【0070】
この構成によれば、横断検知を行ってもパイプラインを検知できない場合には、横断検知の際の移動距離を延ばして横断検知が再度実施されるため、より確実にパイプラインを探し出すことができる。
【0071】
また、上述した第1実施形態及び第2実施形態に係る水中作業システム100、200では、水上船10に設けられた処理装置15によって操作プログラムが実行されたが、潜水機20に設けられた処理装置30によって操作プログラムを実行してもよく、両処理装置15、30によって操作プログラムを実行してもよい。
【符号の説明】
【0072】
10 水上船
15 処理装置
20 潜水機
30 処理装置
40 音響測位システム
41 音響測位装置
42 音響測位装置
50 トランスポンダ
100 水中作業システム
102 仮想線
200 水中作業システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7