(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-06
(45)【発行日】2023-10-17
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理方法、及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 21/62 20130101AFI20231010BHJP
G06F 21/32 20130101ALI20231010BHJP
H04N 7/15 20060101ALI20231010BHJP
【FI】
G06F21/62 309
G06F21/32
H04N7/15 120
(21)【出願番号】P 2019182235
(22)【出願日】2019-10-02
【審査請求日】2022-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】大崎 洋介
(72)【発明者】
【氏名】高 金
(72)【発明者】
【氏名】蛭川 慶子
(72)【発明者】
【氏名】寺田 智
【審査官】小林 秀和
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-067347(JP,A)
【文献】特開2015-076044(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 21/62
G06F 21/32
H04N 7/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項9】
会議で使用されるファイルを取得するファイル取得ステップと、
前記ファイル取得ステップにより取得される前記ファイルにパスワードが設定されている場合に、前記会議に関する会議情報に基づいて前記パスワードの認証方式を選択し、選択した前記認証方式により前記パスワードの認証処理を実行する認証ステップと、
前記認証ステップにより前記パスワードが認証された場合に前記ファイルを実行するファイル実行ステップと、
を一又は複数のプロセッサに実行させるための情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理方法、及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のユーザ(会議参加者)が参加する会議において、会議室に設置されたディスプレイに会議用の資料(ファイル)を表示させて、複数のユーザが閲覧したり情報を書き込んだりすることが可能な会議システムが利用されている。また前記会議システムでは、ユーザ端末に表示された表示画面を、前記ディスプレイ及び他のユーザ端末に共有させることも可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記会議において、前記ファイルにパスワードが設定されている場合には、ユーザは、会議中に、前記ディスプレイに表示されるソフトウェアキーボード、ユーザ端末に搭載されるハードウェアキーボードなどの入力装置を操作して前記パスワードを入力しなければならず、前記ファイルに対する利便性が悪い。また、前記ファイルに対する利便性を高めるために、前記パスワードの認証方式を簡易な方式に設定すると、セキュリティが低下する問題が生じる。
【0005】
本発明の目的は、会議で使用されるファイルのセキュリティを低下させることなく利便性を向上させることが可能な情報処理システム、情報処理方法、及び情報処理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一の態様に係る情報処理システムは、会議で使用されるファイルを取得するファイル取得部と、前記ファイル取得部により取得される前記ファイルにパスワードが設定されている場合に、前記会議に関する会議情報に基づいて前記パスワードの認証方式を選択し、選択した前記認証方式により前記パスワードの認証処理を実行する認証処理部と、前記認証処理部により前記パスワードが認証された場合に前記ファイルを実行するファイル実行部と、を備える。
【0007】
本発明の他の態様に係る情報処理方法は、会議で使用されるファイルを取得するファイル取得ステップと、前記ファイル取得ステップにより取得される前記ファイルにパスワードが設定されている場合に、前記会議に関する会議情報に基づいて前記パスワードの認証方式を選択し、選択した前記認証方式により前記パスワードの認証処理を実行する認証ステップと、前記認証ステップにより前記パスワードが認証された場合に前記ファイルを実行するファイル実行ステップと、を一又は複数のプロセッサにより実行する情報処理方法である。
【0008】
本発明の他の態様に係る情報処理プログラムは、会議で使用されるファイルを取得するファイル取得ステップと、前記ファイル取得ステップにより取得される前記ファイルにパスワードが設定されている場合に、前記会議に関する会議情報に基づいて前記パスワードの認証方式を選択し、選択した前記認証方式により前記パスワードの認証処理を実行する認証ステップと、前記認証ステップにより前記パスワードが認証された場合に前記ファイルを実行するファイル実行ステップと、を一又は複数のプロセッサに実行させるための情報処理プログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、会議で使用されるファイルのセキュリティを低下させることなく利便性を向上させることが可能な情報処理システム、情報処理方法、及び情報処理プログラムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る会議システムの概略構成を示す模式図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係る会議システムの構成を示す機能ブロック図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係る会議システムで利用される会議情報の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係る会議システムで利用されるファイル情報の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態に係る会議システムで実行されるファイル制御処理の手順の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態に係る会議システムで実行されるファイル制御処理の手順の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態に係る会議システムで実行されるファイル制御処理の手順の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図8】
図8は、本発明の実施形態に係る会議システムの他の構成を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格を有さない。
【0012】
本発明に係る情報処理システムは、例えば一つの場所(会議室)において一又は複数のユーザが参加する会議に適用することができる。本実施形態に係る会議システムは、本発明に係る情報処理システムの一例である。例えば本実施形態に係る会議システムでは、会議室に、会議に参加する各ユーザが利用するユーザ端末と、当該ユーザ端末の表示画面などの各種情報を表示する表示装置とが配置される。なお、前記会議システムでは、会議室に、さらに、ユーザの音声(会話、音声コマンドなど)を送受信する音声処理装置(AIスピーカ、スマートスピーカなど)を含んでもよい。
【0013】
[会議システム100]
図1は、本発明の実施形態に係る会議システムの概略構成を示す図である。会議システム100は、ユーザ端末1と、表示装置2と、会議情報データベース3Aと、ファイルデータベース3Bとを含んでいる。例えば
図1に示すように、会議室R1には、会議の参加者であるユーザAが利用するユーザ端末1Aと、会議の参加者であるユーザBが利用するユーザ端末1Bと、表示装置2とが配置されている。
【0014】
会議情報データベース3Aには、会議に関する会議情報が登録される。
図3には会議情報データベース3Aの一例を示している。会議情報データベース3Aには、会議ごとに、対応する「会議ID」、「会議名」、「会議室ID」、「開始日時」、「終了日時」、「参加者ID」、「ファイルID」などの情報(スケジュール情報)が互いに関連付けられて登録される。「会議ID」は会議の識別情報であり、「会議名」は会議の名称(件名)である。「開始日時」は会議の開始日時であり、「終了日時」は会議の終了日時である。「開始日時」及び「終了日時」は会議の開催日時に相当する。「参加者ID」は、会議に参加するユーザの識別情報(ユーザID)である。「ファイルID」は、会議に使用されるファイル(資料)の識別情報であり、ファイルIDに対応するファイルデータは、ファイルデータベース3Bに記憶される。会議情報データベース3Aは、会議の開催予定が決定すると責任者などにより事前に登録される。
図3では、ユーザA(「U001」)及びユーザB(「U002」)が会議室R1(「R001」)で開催される会議M1の参加者として登録され、ユーザC(「U003」)及びユーザD(「U004」)が会議室R2(「R002」)で開催される会議M2の参加者として登録され、ユーザE(「U005」)が会議室R3(「R003」)で開催される会議M3の参加者として登録されていることを示している。また、会議M1で使用されるファイルとして、ファイルID「F001」及びファイルID「F002」が登録され、会議M2で使用されるファイルとして、ファイルID「F003」が登録され、会議M3で使用されるファイルとして、ファイルID「F004」が登録されていることを示している。
【0015】
ファイルデータベース3Bには、前記ファイルに関するファイル情報と、前記ファイルデータが登録される。
図4には前記ファイル情報の一例を示している。前記ファイル情報には、ファイルごとに、対応する「ファイルID」、「パスワード有無」、「パスワード」などの情報が互いに関連付けられて登録される。「パスワード有無」はファイルにパスワードが設定されているか否か(有無)を識別する情報である。「パスワード」は、ファイルに設定されたパスワード情報である。ユーザが前記ファイルを実行する(開く)場合、ユーザにより入力された前記パスワードが前記ファイル情報に登録された前記パスワードに一致すると前記ファイルが実行される。前記パスワードは、ファイル管理者により予め設定される。
【0016】
[ユーザ端末1]
図2に示すように、ユーザ端末1は、制御部11、記憶部12、操作部13、表示部14、マイク15、スピーカ16、通信インターフェース17などを備える。
図2では、会議室R1に配置されるユーザ端末1A及びユーザ端末1Bを例示している。ユーザ端末1A,1Bは、互いに同一の機能を備える。
【0017】
操作部13は、ユーザ端末1を利用するユーザの操作を受け付けるマウス、キーボード、又はタッチパネルなどである。表示部14は、各種の情報を表示する液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイなどの表示パネルである。操作部13及び表示部14は、一体に形成されたユーザインターフェースであってもよい。
【0018】
マイク15は、ユーザ端末1のユーザの音声を集音する。マイク15により集音された音声のデータ(音声データ)は制御部11に入力される。スピーカ16は、制御部11の命令に基づいて音声を出力する。
【0019】
通信インターフェース17は、ユーザ端末1を有線又は無線でネットワークN1に接続し、ネットワークN1を介して他の機器(例えばユーザ端末1、表示装置2、会議情報データベース3A、ファイルデータベース3B)との間で所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を実行するための通信インターフェースである。
【0020】
記憶部12は、各種の情報を記憶するフラッシュメモリー、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)などの不揮発性の記憶部である。記憶部12には、制御部11に後述のファイル制御処理(
図5参照)を実行させるためのファイル制御プログラムなどの制御プログラムが記憶されている。例えば、前記ファイル制御プログラムは、USB、CD又はDVDなどのコンピュータ読取可能な記録媒体に非一時的に記録され、ユーザ端末1が備えるUSB、CDドライブ又はDVDドライブなどの読取装置(不図示)で読み取られて記憶部12に記憶されてもよい。また、前記ファイル制御プログラムは、クラウドサーバ(不図示)からダウンロードされて記憶部12に記憶されてもよい。
【0021】
制御部11は、CPU、ROM、及びRAMなどの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサである。前記ROMは、前記CPUに各種の処理を実行させるためのBIOS及びOSなどの制御プログラムを予め記憶する。前記RAMは、各種の情報を記憶し、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される。そして、制御部11は、前記ROM又は記憶部12に予め記憶された各種の制御プログラムを前記CPUで実行することによりユーザ端末1を制御する。
【0022】
具体的には、制御部11は、ファイル取得部111、ファイル実行部112、認証処理部113、会議情報判定部114などの各種の処理部を含む。なお、制御部11は、前記CPUで前記制御プログラムに従った各種の処理を実行することによって前記各種の処理部として機能する。また、制御部11に含まれる一部又は全部の処理部が電子回路で構成されていてもよい。なお、前記制御プログラムは、複数のプロセッサを前記各種の処理部として機能させるためのプログラムであってもよい。
【0023】
ファイル取得部111は、会議で使用されるファイルを取得する。ファイル取得部111は、本発明のファイル取得部の一例である。具体的には、ユーザがユーザ端末1においてファイルデータベース3Bに格納されたファイルを選択した場合に、ファイル取得部111は、ファイルデータベース3Bから前記ファイルを取得する。
【0024】
例えば、会議に参加するユーザAは、ユーザ端末1Aにおいて所定の会議アプリケーションを起動させてログイン操作を行う。会議アプリケーションは、ユーザAを認証するとファイル選択画面をユーザ端末1Aに表示させる。ユーザAが前記ファイル選択画面において所望のファイルを選択すると、ユーザ端末1Aのファイル取得部111は、ファイルデータベース3Bから前記ファイルを取得する。なお、前記会議アプリケーションにログインするためのログイン情報(ユーザID、パスワードなど)が設定されてもよい。
【0025】
また例えば、会議に参加しないユーザは、自身のユーザ端末1においてファイルデータベース3Bにアクセスして所望のファイルを選択する。これにより、前記ユーザ端末1のファイル取得部111は、ファイルデータベース3Bから前記ファイルを取得する。なお、ファイルデータベース3Bにアクセスするためのアクセス情報(ユーザID、パスワードなど)が設定されてもよい。
【0026】
ファイル取得部111は、ファイルデータベース3Bから取得したファイルを記憶部12に格納する。
【0027】
ファイル実行部112は、ファイル取得部111により取得される前記ファイルを実行する。具体的には、ファイル実行部112は、所定のアプリケーションを起動させて前記ファイルを開く処理を実行する。また、ファイル実行部112は、ファイルデータベース3Bの前記ファイル情報(
図4参照)を参照して、前記ファイルにパスワードが設定されているか否かを判定する。
【0028】
前記ファイルにパスワードが設定されていない場合(例えば
図4のファイルID「F002」)には、ファイル実行部112は、前記アプリケーションにより前記ファイルを開いてファイル情報(資料)を表示部14に表示させる。一方、前記ファイルにパスワードが設定されている場合(例えば
図4のファイルID「F001」)には、後述の認証処理部113による認証処理が実行され、ファイル実行部112は、前記パスワードが認証されたことを条件として、前記アプリケーションにより前記ファイルを開いてファイル情報(資料)を表示部14に表示させる。なお、ファイル実行部112は、前記ファイル情報を表示装置2に表示させてもよい。ファイル実行部112は、本発明のファイル実行部の一例である。
【0029】
認証処理部113は、ファイル取得部111により取得される前記ファイルにパスワードが設定されている場合に、会議情報データベース3Aの会議情報(
図3参照)に基づいて前記パスワードの認証方式を選択し、選択した前記認証方式により前記パスワードの認証処理を実行する。前記パスワードの認証方式には、ユーザにより入力される文字により前記パスワードの認証処理を実行する第1認証方式と、前記第1認証方式とは異なる第2認証方式とが含まれる。前記第2認証方式は、例えば、ユーザにより入力される音声が前記パスワードに一致するか否かを判定する方式である。すなわち、認証処理部113は、前記会議情報に含まれる少なくともいずれかの情報に基づいて前記第1認証方式又は前記第2認証方式を選択する。
【0030】
会議情報判定部114は、例えば、前記会議情報(
図3参照)を参照して現在時刻が前記会議の開催日時の時間帯に含まれるか否かを判定する。現在時刻が前記会議の開催日時の時間帯に含まれない場合、認証処理部113は、前記第1認証方式を選択する。この場合、認証処理部113は、パスワードを文字入力するための入力画面をユーザ端末1又は表示装置2に表示させて、ユーザからパスワードの文字入力を受け付ける。ユーザは、例えばユーザ端末1又は表示装置2の入力装置(キーボードなど)を操作してパスワードに対応する文字を入力する。認証処理部113は、入力された文字を取得すると、ファイルデータベース3Bの前記ファイル情報(
図4参照)を参照して、ユーザにより入力された入力文字と前記ファイル情報のパスワードとを照合する。前記入力文字と前記パスワードとが一致する場合、認証処理部113は、前記パスワードを認証する。これにより、ファイル実行部112は、前記ファイルのパスワードを解除して、ファイル情報(資料)を表示部14に表示させる。
【0031】
一方、現在時刻が前記会議の開催日時の時間帯に含まれる場合、認証処理部113は、前記第2認証方式を選択する。この場合、例えば認証処理部113は、ユーザ端末1のマイク15を動作させて、ユーザからパスワードの音声入力を受け付ける。なお、認証処理部113は、音声によりパスワードを入力するように促すメッセージをユーザ端末1に表示させてもよい。なお、ユーザの音声を取得するマイク機能が、表示装置2又は音声処理装置(不図示)に設けられてもよい。ユーザは、例えばユーザ端末1のマイク15に向かってパスワードに対応する音声を発話する。認証処理部113は、入力された音声データを取得すると、音声認識処理を実行して文字列に変換し、ファイルデータベース3Bの前記ファイル情報(
図4参照)を参照して、ユーザにより入力された入力音声(変換文字列)と前記ファイル情報のパスワードとを照合する。前記入力音声と前記パスワードとが一致する場合、認証処理部113は、前記パスワードを認証する。これにより、ファイル実行部112は、前記ファイルのパスワードを解除して、ファイル情報(資料)を表示部14に表示させる。
【0032】
前記第2認証方式は、上述の方式に限定されない。例えば、前記第2認証方式は、ユーザにより入力される音声の声紋が予め登録された前記参加者の声紋に一致するか否かを判定する方式であってもよい。この場合、前記参加者の声紋情報は、予め会議情報データベース3A又はユーザ情報データベース(不図示)に登録される。認証処理部113は、マイク15を介して取得するユーザの音声の声紋が前記参加者の声紋と一致する場合に、前記ファイルのパスワードを認証する。
【0033】
このように、現在時刻が前記会議の開催日時の時間帯に含まれない場合には、認証処理部113は、文字入力操作による前記第1認証方式によりパスワードの認証処理を実行する。一方、現在時刻が前記会議の開催日時の時間帯に含まれる場合には、認証処理部113は、文字入力操作によらない簡易な前記第2認証方式によりパスワードの認証処理を実行する。このため、ユーザは、会議中に、キーボードなどを操作して前記パスワードを入力する手間が省ける。よって、会議で使用されるファイルのセキュリティを低下させることなく利便性を向上させることが可能となる。
【0034】
ここで、認証処理部113は、前記会議情報(
図3参照)に含まれる少なくともいずれかの情報に基づいて、前記第1認証方式又は前記第2認証方式を選択する(切り替える)。前記会議情報には、前記会議の開催日時、前記会議の参加者、前記会議が開催される場所、前記会議で利用される機器の少なくともいずれかの情報が含まれる。
【0035】
例えば、認証処理部113は、前記ファイルにアクセスするユーザが前記会議の参加者ではない場合に前記第1認証方式を選択し、前記ファイルにアクセスするユーザが前記会議の参加者である場合に前記第2認証方式を選択してもよい。なお、前記ファイルにアクセスするユーザの識別情報は、例えば前記会議アプリケーションのログイン情報(ユーザID)、ファイルデータベース3Bへのアクセス情報(ユーザID)などから特定される。
【0036】
また例えば、認証処理部113は、前記ファイルにアクセスするユーザの位置が前記会議が開催される場所に含まれない場合に前記第1認証方式を選択し、前記ファイルにアクセスするユーザの位置が前記会議が開催される場所に含まれる場合に前記第2認証方式を選択してもよい。なお、前記ファイルにアクセスするユーザの位置(現在位置)は、例えばユーザ端末1に搭載される通信機能、会議室に設置されるビーコン、近距離無線通信機器などを利用して特定される。
【0037】
また例えば、認証処理部113は、前記ファイルにアクセスするユーザのユーザ端末1が前記会議情報に登録されていない場合に前記第1認証方式を選択し、前記ファイルにアクセスするユーザのユーザ端末1が前記会議情報に登録されている場合に前記第2認証方式を選択してもよい。この場合、会議に参加するユーザが使用するユーザ端末1の識別情報が、前記会議情報(
図3参照)に予め登録される。なお、ユーザ端末1の識別情報は、ネットワークN1に接続されることにより特定される。
【0038】
また例えば、認証処理部113は、前記会議情報に含まれる複数の情報を組み合わせて前記第1認証方式又は前記第2認証方式を選択してもよい。例えば、認証処理部113は、前記ファイルにアクセスするユーザが前記会議の参加者ではない場合又は当該ユーザの位置が前記会議が開催される場所に含まれない場合に前記第1認証方式を選択し、前記ファイルにアクセスするユーザが前記会議の参加者であって、かつ当該ユーザの位置が前記会議が開催される場所に含まれる場合に前記第2認証方式を選択してもよい。
【0039】
このように、認証処理部113は、前記ファイルにアクセスするユーザが会議に参加していないと判断した場合に前記第1認証方式により前記ファイルのパスワードの認証処理を実行し、前記ファイルにアクセスするユーザが会議に参加していると判断した場合に前記第2認証方式により前記ファイルのパスワードの認証処理を実行する。
【0040】
なお、会議情報データベース3Aの前記会議情報(
図3参照)、ファイルデータベース3Bの前記ファイル情報(
図4参照)などの情報の一部又は全部が、ユーザ端末1及び表示装置2のいずれかに記憶されてもよいし、これら複数の装置に分散して記憶されてもよい。また、前記各情報が会議システム100からアクセス可能なサーバに記憶されてもよい。この場合、会議システム100は、前記サーバから前記各情報を取得して、後述のファイル制御処理(
図5参照)などの各処理を実行してもよい。
【0041】
[ファイル制御処理]
以下、
図5を参照しつつ、会議システム100において実行されるファイル制御処理の手順の一例について説明する。
【0042】
なお、本発明は、前記ファイル制御処理に含まれる一又は複数のステップを実行するファイル制御方法(本発明の情報処理方法の一例)の発明として捉えることができる。また、ここで説明する前記ファイル制御処理に含まれる一又は複数のステップが適宜省略されてもよい。また、前記ファイル制御処理における各ステップは、同様の作用効果を生じる範囲で実行順序が異なってもよい。さらに、ここでは会議システム100に含まれるユーザ端末1の制御部11によって前記ファイル制御処理における各ステップが実行される場合を例に挙げて説明するが、他の実施形態では、1又は複数のプロセッサによって前記ファイル制御処理における各ステップが分散して実行されてもよい。
【0043】
なお、前記ファイル制御処理は、例えば、各ユーザ端末1において、個別に並行して実行される。
【0044】
先ずステップS1において、制御部11は、ユーザにより選択されたファイル(対象ファイル)を取得する。具体的には、制御部11は、ユーザがユーザ端末1において所望のファイルを選択した場合に、当該ファイルをファイルデータベース3Bから取得する。
【0045】
次にステップS2において、制御部11は、所定のアプリケーションを起動させて前記対象ファイルを開く処理を実行する。ステップS1は、本発明のファイル取得ステップの一例である。
【0046】
次にステップS3において、制御部11は、前記対象ファイルにパスワードが設定されているか否かを判定する。具体的には、制御部11は、ファイルデータベース3Bの前記ファイル情報(
図4参照)を参照して、前記対象ファイルにパスワードが設定されているか否かを判定する。前記対象ファイルにパスワードが設定されている場合(S3:Yes)、処理はステップS4に移行し、前記対象ファイルにパスワードが設定されていない場合(S3:No)、処理はステップS9に移行する。
【0047】
ステップS4において、制御部11は、前記会議情報を取得する。具体的には、制御部11は、会議情報データベース3Aに登録された前記会議情報(
図3参照)を取得する。
【0048】
次にステップS5において、制御部11は、現在時刻が前記会議の開催日時の時間帯に含まれるか否かを判定する。具体的には、制御部11は、前記会議情報(
図3参照)を参照して現在時刻が前記会議の開催日時の時間帯に含まれるか否かを判定する。現在時刻が前記会議の開催日時の時間帯に含まれる場合(S5:Yes)、処理はステップS6の会議用認証処理に移行し、現在時刻が前記会議の開催日時の時間帯に含まれない場合(S5:No)、処理はステップS7の標準認証処理に移行する。
【0049】
ステップS6の会議用認証処理では、先ずステップS61において、制御部11は、ユーザからパスワードの音声入力を受け付ける。なお、制御部11は、音声によりパスワードを入力するように促すメッセージをユーザ端末1に表示させる。
【0050】
次にステップS62において、ユーザがユーザ端末1のマイク15に向かってパスワードに対応する音声を発話すると、制御部11は、入力された音声データを取得する。
【0051】
次にステップS63において、制御部11は、音声認識処理を実行して前記音声データを文字列に変換し、ファイルデータベース3Bの前記ファイル情報(
図4参照)を参照して、ユーザにより入力された入力音声(変換文字列)と前記ファイル情報のパスワードとを照合する。その後、処理はステップS8に移行する。ステップS6は、本発明の認証ステップの一例である。
【0052】
一方、ステップS7の標準認証処理では、先ずステップS71において、制御部11は、ユーザからパスワードの文字入力を受け付ける。なお、制御部11は、パスワードを文字入力するための入力画面をユーザ端末1に表示させる。
【0053】
次にステップS72において、ユーザがユーザ端末1の入力装置(キーボードなど)を操作してパスワードに対応する文字を入力すると、制御部11は、入力文字を取得する。
【0054】
次にステップS73において、制御部11は、前記入力文字を取得すると、ファイルデータベース3Bの前記ファイル情報(
図4参照)を参照して、ユーザにより入力された入力文字と前記ファイル情報のパスワードとを照合する。その後、処理はステップS8に移行する。ステップS7は、本発明の認証ステップの一例である。
【0055】
ステップS8において、制御部11は、前記入力音声又は前記入力文字が前記パスワードに一致するか否かを判定する。前記入力音声又は前記入力文字が前記パスワードに一致する場合(S8:Yes)、前記パスワードを解除して処理はステップS9に移行し、前記入力音声又は前記入力文字が前記パスワードに一致しない場合(S8:No)、前記パスワードを拒否して処理はステップS5に戻る。ステップS9は、本発明のファイル実行ステップの一例である。
【0056】
ステップS9において、制御部11は、前記対象ファイルのファイル情報(資料)を表示部14に表示させる。また制御部11は、前記ファイル情報(資料)を表示装置2に表示させてもよい。また制御部11は、前記ファイル情報(資料)を他のユーザ端末1に共有表示させてもよい。以上のようにして、制御部11は、前記ファイル制御処理を実行する。
【0057】
図5に示す例では、ステップS5において、現在時刻が会議の開催日時に含まれるか否かを判定する処理を実行しているが、ステップS5の判定処理はこれに限定されない。制御部11は、上述のように、前記会議の開催日時、前記会議の参加者、前記会議が開催される場所、前記会議で利用される機器の少なくともいずれかの情報を用いて前記判定処理を実行してもよい。前記判定処理の他の例を
図6及び
図7に示す。
【0058】
図6に示す例では、ステップS5において、制御部11は、前記対象ファイルにアクセスするユーザが前記会議の参加者であるか否かを判定する処理を実行する。前記対象ファイルにアクセスするユーザが前記会議の参加者である場合(S5:Yes)、処理はステップS6の会議用認証処理に移行し、前記対象ファイルにアクセスするユーザが前記会議の参加者でない場合(S5:No)、処理はステップS7の標準認証処理に移行する。
【0059】
図7に示す例では、ステップS51において、制御部11は、前記対象ファイルにアクセスするユーザが前記会議の参加者であるか否かを判定する処理を実行する。またステップS52において、制御部11は、前記対象ファイルにアクセスするユーザの位置が前記会議が開催される場所に含まれるか否かを判定する処理を実行する。前記対象ファイルにアクセスするユーザが前記会議の参加者であって(S51:Yes)、かつ当該ユーザの位置が前記会議が開催される場所に含まれる場合(S52:Yes)、処理はステップS6の会議用認証処理に移行する。一方、前記対象ファイルにアクセスするユーザが前記会議の参加者でない場合(S51:No)、又は、当該ユーザの位置が前記会議が開催される場所に含まれない場合(S52:No)、処理はステップS7の標準認証処理に移行する。
【0060】
また、
図5に示す例では、ステップS6の会議用認証処理において、制御部11はユーザの音声によりパスワードの照合を行っているが、ステップS6の照合処理はこれに限定されない。制御部11は、上述のように、ユーザの声紋に基づいてパスワードの照合を行ってもよい。また、制御部11は、ユーザの生体情報(指紋、静脈、顔)に基づいてパスワードの照合を行ってもよい。
【0061】
また、制御部11は、ユーザが提示する情報コード(一次元コード、二次元コードなど)を読み取ることによりパスワードの照合を行ってもよい。この場合、例えば、ユーザは携帯端末(スマートフォンなど)に表示される二次元コードをユーザ端末1の読取部(不図示)に翳し、ユーザ端末1の制御部11は、二次元コードから読み取った情報に基づいてパスワードの照合を行う。また、制御部11は、ユーザが所持するIDカードを読み取ってパスワードの照合を行ってもよい。
【0062】
本発明の会議システムは上述の実施形態に限定されない。例えば、本発明の会議システムは、さらに、ネットワークN1に接続される管理サーバ4を備えてもよい。管理サーバ4は、例えば、ユーザ端末1が備える各処理部(ファイル取得部111、ファイル実行部112、認証処理部113、会議情報判定部114)のうち少なくともいずれかを備えて構成されてもよい。
【0063】
例えば、
図8に示すように、管理サーバ4の制御部41は、ユーザ端末1の認証処理部113と同一機能の認証処理部411と、ユーザ端末1の会議情報判定部114と同一機能の会議情報判定部412とを備える。また、管理サーバ4は、記憶部42、操作部43、表示部44、通信インターフェース45などを備える。記憶部42は、会議情報データベース3Aの会議情報、ファイルデータベース3Bのファイル情報などを記憶してもよい。また、記憶部42には、前記ファイル制御プログラムが記憶される。
【0064】
例えば、認証処理部411は、ユーザが選択した前記ファイルにパスワードが設定されている場合に、前記会議情報(
図3参照)に基づいて前記パスワードの認証方式を選択し、選択した前記認証方式により前記パスワードの認証処理を実行する。また認証処理部411は、前記パスワードを認証した場合、ユーザ端末1に認証情報を送信する。ユーザ端末1のファイル実行部112は、前記認証情報を取得すると前記ファイルのパスワードを解除してファイルを開く。
【0065】
このように、管理サーバ4は、各ファイルに設定されたパスワードの認証処理を実行することにより、各ファイルのアクセスを管理してもよい。
【0066】
上述の実施形態では、会議システム100が本発明の情報処理システムに相当するが、本発明の情報処理システムは、これに限定されない。例えば、本発明の情報処理システムは、ユーザ端末1単体で構成されてもよいし、管理サーバ4単体で構成されてもよいし、ユーザ端末1及び管理サーバ4により構成されてもよい。また、本発明の情報処理システムは、ユーザ端末1、表示装置2、管理サーバ4の少なくともいずれかにより構成されてもよい。
【0067】
なお、本発明の情報処理システムは、各請求項に記載された発明の範囲において、以上に示された各実施形態を自由に組み合わせること、或いは各実施形態を適宜、変形又は一部を省略することによって構成されることも可能である。
【符号の説明】
【0068】
1 :ユーザ端末
2 :表示装置
3A :会議情報データベース
3B :ファイルデータベース
4 :管理サーバ
15 :マイク
100 :会議システム
111 :ファイル取得部
112 :ファイル実行部
113 :認証処理部
114 :会議情報判定部