(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-06
(45)【発行日】2023-10-17
(54)【発明の名称】指導のための情報を生成するシステム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20231010BHJP
【FI】
G08G1/00 D
(21)【出願番号】P 2019195877
(22)【出願日】2019-10-29
【審査請求日】2022-06-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000153546
【氏名又は名称】ロジスティード株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001678
【氏名又は名称】藤央弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】尾白 大知
(72)【発明者】
【氏名】三幣 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】田中 毅
(72)【発明者】
【氏名】栗山 裕之
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 公則
【審査官】高島 壮基
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-102040(JP,A)
【文献】特開2018-049477(JP,A)
【文献】特開2019-046079(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者の指導のための情報を生成するシステムであって、
1以上のプロセッサと、
前記1以上のプロセッサが実行する命令コードを格納する1以上の記憶装置と、を含み、
前記1以上の記憶装置は、前記運転者に対する指導履歴を格納し、
前記1以上のプロセッサは、
前記運転者に対する指導種類の指導を行う日を基準日として、前記基準日における複数の指導種類候補の各指導種類候補及び前記基準日から過去所定日数の指導履歴において現れている指導種類の実施のパターンから
、前記過去所定日数内の、指導種類数、最も連続する指導種類の回数、前記基準日の指導種類と同一種類の指導数、又は前日の指導種類との同異を示すビット列の少なくとも一つを含む特徴量を生成し、
前記特徴量に基づき、前記複数の指導種類候補から前記運転者に対する指導種類を決定し、
前記運転者の車両監視情報から、前記指導種類の指導を前記運転者に行うための情報を生成する、システム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであって、
前記1以上のプロセッサは、
前記特徴量に基づき、前記複数の指導種類候補の指導それぞれによる前記運転者の運転改善度を推定し、
前記運転改善度に基づき前記複数の指導種類候補から前記指導種類を選択する、システム。
【請求項3】
請求項1に記載のシステムであって、
前記1以上のプロセッサは、
前記車両監視情報に含まれる車両計測データを予め設定された規則に基づき複数の時間帯に分割し、
前記時間帯それぞれにおいて、運転の危険種類を決定し、
前記指導種類に対応する危険種類の時間帯の情報から、前記指導種類の指導を前記運転者に行うための情報を生成する、システム。
【請求項4】
請求項1に記載のシステムであって、
前記1以上の記憶装置は、前記運転者の業務計画及び業務進捗の情報を格納し、
前記1以上のプロセッサは、前記業務計画及び前記業務進捗に基づいて、前記運転者の業務中に前記指導種類の指導を前記運転者に提示する時を決定する、システム。
【請求項5】
運転者の指導のための情報をシステムによって生成する方法であって、
前記システムが、前記運転者に対する指導種類の指導を行う日を基準日として、前記基準日における複数の指導種類候補の各指導種類候補及び前記基準日から過去所定日数の前記運転者に対する指導履歴において現れている指導種類の実施のパターンから、前記過去所定日数内の、指導種類数、最も連続する指導種類の回数、前記基準日の指導種類と同一種類の指導数、又は前日の指導種類との同異を示すビット列の少なくとも一つを含む特徴量を生成し、
前記システムが、前記特徴量に基づき、前記複数の指導種類候補から前記運転者に対する指導種類を決定し、
前記システムが、前記運転者の車両監視情報から、前記指導種類の指導を前記運転者に行うための情報を生成する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、指導のための情報を生成するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、「車載端末3を備えた車両を複数保有する企業を支援する装置であって、車載端末3で収集された運行情報を加工処理して加工情報を作成し、加工情報に含まれる交通事故の予兆情報を検出し、この予兆情報に関連する交通安全の指導案を検索して指導書を作成すること」が開示されている(例えば要約参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、所定期間内で最も危険度が高い、事故の予兆となる運転に対する指導を実施できる。しかし、同じ指導が続くとマンネリ化して期待通りの指導効果が得られない、長期にわたり指導されないと忘れられる、短期間に集中して様々な指導が実施されると覚えられないなど、人の特性に伴う問題が発生する可能性がある。したがって、より効果的な指導を行うための情報を生成する技術が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の代表的な一例は、運転者の指導のための情報を生成するシステムであって、1以上のプロセッサと、前記1以上のプロセッサが実行する命令コードを格納する1以上の記憶装置と、を含み、前記1以上の記憶装置は、前記運転者に対する指導履歴を格納し、前記1以上のプロセッサは、前記指導履歴から抽象された指導種類の同異に基づく特徴量を生成し、前記特徴量に基づき、前記運転者に対する指導種類を決定し、前記運転者の車両監視情報から、前記指導種類の指導を前記運転者に行うための情報を生成する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の代表的な一例によれば、効果的な指導を行うための情報を生成することができる。上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1A】実施例1にかかる指導情報提示システムの論理構成例を示す。
【
図1B】指導情報提示システムのハードウェア構成例を示す。
【
図11】訓練用指導履歴特徴量データの構成例を示す。
【
図12】指導情報提示システムの主要な処理のフローチャートを示す。
【
図13】運転特徴量データ生成の詳細のフローチャートを示す。
【
図14】危険種類判定の詳細を示すフローチャートである。
【
図15】指導効果推定の詳細を示すフローチャートである。
【
図16】一人の操縦士に対する指導用画面の例を示す。
【
図17】複数の操縦士に対する指導用画面の例を示す。
【
図18】改善推定モデルを生成するためのフローチャートを示す。
【
図20】実施例2にかかる指導情報提示システムの論理構成例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施例を図面を用いて説明する。以下に説明する発明の構成において、同一又は類似する構成又は機能には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【実施例1】
【0009】
以下において、車両の挙動から危険場面を検出し、運転者の指導を行うための情報を生成して提示する指導情報提示システムの例を説明する。本例の指導情報提示システムは、輸送や旅客用車両の運転者に対し、業務終了後に行う点呼において、同日の運転における車両挙動を記録した車両監視情報から、指導のための情報を生成させると共に、過去の指導履歴をもとに運転者ごとに効果のある指導種類を決定することで、安全運転に対する効果的な指導を支援するものである。例えば、トラックの車両挙動を解析して危険場面を検出しておき、トラックの運転者が業務を終え営業所に帰着した点呼時に、その日の危険場面の短時間動画を表示することで、安全指導を支援する。
【0010】
業務都合上、日々の指導は帰着後の数分程度と限られており、この限られた時間で効果的な安全指導を実施する必要がある。具体的には、帰着時に当日の危険運転があった場面の動画を出力し、管理者立ち合いで動画を見ながら振り返り、管理者が指導を行う。効果的な指導のためには、日々の指導内容の組み立て方が重要である。危険度が高くとも、日々同じ指導を続けるとマンネリ化して定着しない可能性があるため、こうした人の特性を考慮して日々の指導内容を決定することが重要である。
【0011】
発明者らの検討によれば、人の継続的な成長促進のためには、指導種類(指導内容)そのものではなく、指導履歴における指導種類の同異の観点における特徴量が重要であり、指導種類(指導内容)ごとに特徴量をつくる必要がないことが分かった。本実施例は、指導履歴から抽象した指導種類の同異に基づく指導履歴の特徴量を算出して、効果的な指導を推定できる。指導種類の同異に着目することで算出が必要な特徴量数を削減し、必要な訓練データ量を削減することができる。
【0012】
なお、以下においては、一日の業務におけるトラック運転の挙動に基づきトラックの操縦士(運転者)を指導する例が説明されるが、本開示の特徴は、トラックの運転に限らず、タクシ、荷役車両等、他の車両の運転の指導にも適用することができる。また、指導の対象となる運転期間は一日に限定されず、例えば、複数日でもよく一日の数時間等でもよい。
【0013】
図1Aは、指導情報提示システムの論理構成例を示す。指導情報提示システム1は、処理を実行する機能部及び機能部が生成、更新、使用する情報(データ)を含む。情報は、車両計測データ11、運転特徴量データ12、危険種類判定ルール13、危険種類判定結果14、指導マスタ15、指導対象危険種類データ16、指導履歴17、指導履歴特徴量データ18、危険種類判定結果履歴19、運転スコア改善度データ20、及び訓練用指導履歴特徴量データ21を含む。
【0014】
機能部は、運転特徴量生成部51、危険種類判定部52、指導履歴特徴量生成部53、指導効果推定部54、改善推定モデル55、動画抽出画面出力部56及び、運転スコア改善度算出部57を含む。機能部は、例えば、プログラム(命令コード)に従って動作するプロセッサ、論理回路又はこれらの組み合わせにより実現できる。
【0015】
運転特徴量生成部51は、1又は複数の操縦士それぞれにより運転された車両の車両計測データ11から、運転特徴量データ12を生成する。危険種類判定部52は、危険種類判定ルール13に基づき、運転特徴量データ12から、危険種類判定結果14を生成する。指導履歴特徴量生成部53は、各操縦士の指導履歴17及び今回の指導の指導種類候補から、指導履歴特徴量データ18を生成する。また、指導履歴特徴量生成部53は、指導履歴17から、訓練用指導履歴特徴量データ21を生成する。
【0016】
指導効果推定部54は、訓練済みの改善推定モデル55を使用して、指導履歴特徴量データ18から、各操縦士の指導種類候補それぞれの運転改善度を推定する。指導効果推定部54は、運転改善度に基づき、各操縦士に対して、指導種類候補から1以上の指導種類を選択する。指導効果推定部54は、指導マスタ15を参照して、各操縦士の選択した1以上の指導種類選択した指導種類に対応する危険種類を決定し、指導対象危険種類データ16を生成する。
【0017】
動画抽出画面出力部56は、危険種類判定結果14及び指導対象危険種類データ16に基づき、各操縦士のドライブレコーダによる運転映像から指導に使用する場面を抽出し、各操縦士の指導用画面を生成、表示する。改善推定モデル55は、運転スコア改善度データ20及び訓練用指導履歴特徴量データ21を訓練データとして訓練される。運転スコア改善度データ20は、危険種類判定結果履歴19から、運転スコア改善度算出部57により生成される。
【0018】
図1Bは、指導情報提示システム1のハードウェア構成例を示す。指導情報提示システム1は、計算機構成を有することができる。指導情報提示システム1は、プロセッサ121、メモリ(主記憶装置)122、補助記憶装置123、出力装置124、入力装置125、及び通信インタフェース(I/F)127を含む。上記構成要素は、バスによって互いに接続されている。メモリ122、補助記憶装置123又はこれらの組み合わせは記憶装置であり、プロセッサ121が使用するプログラム及びデータを格納している。
【0019】
メモリ122は、例えば半導体メモリから構成され、主に実行中のプログラムやデータを保持するために利用される。プロセッサ121は、メモリ122に格納されているプログラムに従って、様々な処理を実行する。プロセッサ121がプログラムに従って動作することで、様々な機能部が実現される。
【0020】
例えば、プロセッサ121は、対応するプログラムに従って動作することで、運転特徴量生成部51、危険種類判定部52、指導履歴特徴量生成部53、指導効果推定部54、改善推定モデル55、動画抽出画面出力部56及び、運転スコア改善度算出部57として機能する。
【0021】
補助記憶装置123は、例えばハードディスクドライブやソリッドステートドライブなどの大容量の記憶装置から構成され、プログラムやデータを長期間保持するために利用される。
【0022】
プロセッサ121は、単一の処理ユニットまたは複数の処理ユニットで構成することができ、単一もしくは複数の演算ユニット、又は複数の処理コアを含むことができる。プロセッサ121は、1又は複数の中央処理装置、マイクロプロセッサ、マイクロ計算機、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ、ステートマシン、ロジック回路、グラフィック処理装置、チップオンシステム、及び/又は制御指示に基づき信号を操作する任意の装置として実装することができる。
【0023】
補助記憶装置123に格納されたプログラム及びデータが起動時又は必要時にメモリ122にロードされ、プログラムをプロセッサ121が実行することにより、指導情報提示システム1の各種処理が実行される。したがって、以下において指導情報提示システム1により実行される処理は、プロセッサ121又はプログラムによる処理である。
【0024】
入力装置125は、ユーザが指導情報提示システム1に指示や情報などを入力するためのハードウェアデバイスである。出力装置124は、入出力用の各種画像を提示するハードウェアデバイスであり、例えば、表示デバイス又は印刷デバイスである。通信I/F127は、ネットワークとの接続のためのインタフェースである。
【0025】
指導情報提示システム1の機能は、1以上のプロセッサ及び非一過性の記憶媒体を含む1以上の記憶装置を含む1以上の計算機からなる計算機システムに実装することができる。複数の計算機はネットワークを介して通信する。例えば、指導情報提示システム1の複数の機能の一部が一つの計算機に実装され、他の一部が他の計算機に実装されてもよい。
【0026】
以下において、指導情報提示システム1が保持する情報の例を説明する。以下に説明する例において、各種情報はテーブルに格納されているが、各種情報はどのようなデータ構造において保持されていてもよい。以下に説明する例において、各操縦士の一つの対象運転期間に対する指導(1回の指導)において、一つの指導種類の指導が行われる。これにより、操縦士に対する各指導の効果を高めることができる。1回の指導において、複数の指導種類の指導(複数の指導)が実施されてもよい。これにより、指導対象期間における複数種類の危険運転に対する指導を行うことができる。
【0027】
図2は、車両計測データ11の構成例を示す。車両計測データ11は、1又は複数の操縦士それぞれによる運転における車両の挙動の計測データを格納している。車両計測データは、車両に設置されている計測システムにより計測される。車両計測データ11は、不図示のドライブレコーダによる映像と共に、車両監視情報に含まれる。
図2の例において、車両計測データ11は、車両ID欄201、操縦士ID欄202、日時欄203、速度欄204、加速度欄205、及び車間距離欄206を含む。
【0028】
車両ID欄201及び操縦士ID欄202は、それぞれ、データが計測された車両のID及び操縦士のIDを示す。日時欄203は、データが計測された日時を示す。速度欄204、加速度欄205、及び車間距離欄206は、それぞれ、車両の速度、加速度及び車間距離の計測値を示す。
【0029】
図2の例において、計測値は一定間隔(例えば1秒)で記録される。なお、操縦士は、乗務する際に車載機器に自身の情報を登録する。そのため、車両計測データ11は、車両ID及び操縦士IDを含むことができる。車両計測データ11の構造は任意であって、車両計測テーブルと、各乗務日の車両と操縦士の対応関係を示すテーブルが分離されていてもよい。速度、加速度及び車間距離は計測データの例であって、これに代えて又は加えて他の計測値が格納されていてもよい。
【0030】
図3は、運転特徴量データ12の構成例を示す。上述のように、運転特徴量データ12は、車両計測データ11から生成される。運転特徴量データ12は、各操縦士の車両計測データにおける特徴量を格納している。
図3の例において、各レコードは、予め設定された規則に従って分割された時間帯それぞれの情報を示している。
【0031】
時間帯それぞれにおいて、運転の危険種類を決定され、時間区分の情報により指導種類の指導が行われる。このように、運転履歴の計測データを複数の時間帯の分割することで、操縦士の危険運転を適切の抽出することができ、さらに、操縦士の運転履歴を示す映像から指導のための場面を容易に適切に抽出できる。
【0032】
図3の例において、運転特徴量データ12は、車両ID欄221、操縦士ID欄222、開始日時欄223、終了日時欄224、平均速度欄225、最高速度欄226、最低速度欄227、時間長さ欄228を含む。平均速度欄225、最高速度欄226、最低速度欄227、時間長さ欄228は、危険判定のための特徴量を示す。
【0033】
車両ID欄221及び操縦士ID欄222は、車両のID及び操縦士のIDを示す。開始日時欄223及び終了日時欄224は、各レコードの時間帯の開始日時及び終了日時を示す。平均速度欄225、最高速度欄226及び最低速度欄227は、各レコードの時間帯における平均速度、最高速度及び最低速度を示す。危険判定は、各レコード、つまり、車両と操縦士の各組合せの各時間帯について実行される。なお、
図3が示す特徴量は例であり、それらに加えて又はそれらの一部に代えて、他の特徴量を含めることができる。
【0034】
図4は、危険種類判定ルール13の例を示す。危険種類判定ルール13は、運転特徴量データ12が示す各時間帯の特徴量から、各時間帯の運転の危険種類を判定するためのルールを示す。危険種類判定ルール13は予め設定される。危険種類の判定は、対象時間帯の運転が危険運転であるか否かを判定し、さらに、危険運転である場合にその種類を判定する。
【0035】
危険種類判定ルール13の生成手順の一例を説明する。例えば、過去の運転特徴量データから、複数サンプル(例:数百件)を抽出する。各サンプルの車両及び時間帯の映像(ドライブレコーダ等)を観察し、危険運転か否か、原因がその操縦士の責任に因る(自責)か他の運転者の責任に因る(他責)か、及び危険な場合の種類(車間距離が短い、減速開始が遅いetc)などをタグ付けする。その際、高速道路であるか一般道であるか、渋滞していたかといった外部環境情報なども併せてタグ付けしてもよい。
【0036】
運転特徴量を説明変数、タグを目的変数として分類の教師あり学習を行い、危険種類判定ルールのモデルを生成する。
図4は、決定木のモデルの内容を表している。危険種類判定ルール13の形式は
図4の例に限るものではない。危険種類判定ルール13の記述形式は、用いた学習ライブラリに準拠する。
【0037】
図5は、危険種類判定結果14の構成例を示す。危険種類判定結果14は、運転特徴量データ12の各レコードに対する危険種類の判定結果を示す。上述のように、危険種類判定結果14は、危険種類判定部52によって、運転特徴量データ12から生成される。危険種類判定結果履歴19は、危険種類判定結果14の過去の履歴であり、危険種類判定結果14と同一のテーブル構成を有することができる。
【0038】
危険種類判定結果14は、車両ID欄241、操縦士ID欄242、開始日時欄243、終了日時欄244、平均速度欄245、最高速度欄246、最低速度欄247、時間長さ欄248、及び危険種類欄249を含む。危険種類欄249以外の欄は、運転特徴量データ12の欄と同様である。危険種類欄249は、
図5の例において、各レコードの運転の危険種類を示す。運転が危険運転に該当しない場合、危険種類欄249はハイフンを示す。
【0039】
図6は、指導マスタ15の構成例を示す。指導マスタ15は、危険種類と指導種類とを対応付ける。指導マスタ15は予め設定される。
図6の例において、指導マスタ15は、危険種類欄261、危険種類の説明欄262、指導種類欄263、及び指導内容欄264を示す。危険種類の説明欄262は、危険種類欄261が示す危険種類それぞれの説明を示す。指導種類欄263は、危険種類欄261が示す危険種類それぞれに対応する指導種類を示す。指導内容欄264は、指導種類欄263が示す指導種類それぞれの指導内容を示す。
【0040】
図7は、指導対象危険種類データ16の構成例を示す。指導対象危険種類データ16は、各操縦士に対して行うことが決定された指導についての情報を示す。上述のように、指導対象危険種類データ16は、指導効果推定部54によって、改善推定モデル55を使用して、指導マスタ15及び指導履歴特徴量データ18に基づき生成される。
【0041】
図7の例において、指導対象危険種類データ16は、操縦士ID281欄、危険種類282欄、指導内容欄283、及び推定改善度284欄を含む。操縦士ID281欄は、指導される操縦士それぞれのIDを示す。危険種類282欄は、各操縦士に対する指導の対象となる危険種類を示す。指導内容欄283は、各操縦士に対する指導内容を示す。推定改善度284欄は、各操縦士に対する対応する指導内容によって推定される運転改善度を示す。
【0042】
図8は、指導履歴17の構成例を示す。指導履歴17は、操縦士それぞれの過去の実際の指導履歴を示す。指導履歴17は、例えば、ユーザによって又は指導情報提示システム1(例えば指導効果推定部54)によって更新される。
【0043】
図8の例において、指導履歴17は、操縦士ID欄301、指導日欄302、指導種類欄303、及び危険種類欄304を含む。操縦士ID欄301は、指導された操縦士のIDを示す。指導日欄302は、操縦士に対して実施された指導の日を示す。本例においては、一日の業務における運転に対して、一回の指導が実施される。指導種類欄303及び危険種類欄304は、一回の指導における指導種類及び指導対象の危険種類を示す。
【0044】
図9は、指導履歴特徴量データ18の構成例を示す。指導履歴特徴量データ18は、各操縦士の指導履歴における特徴量を示す。上述のように、指導履歴特徴量データ18は、指導履歴特徴量生成部53によって、指導履歴17から生成される。一つのレコードは、一人の操縦士に対する一つの指導種類候補に対応する情報を示す。例えば、指導履歴特徴量データ18は、各操縦士に対する全ての指導種類候補のレコードを含む。
【0045】
図9の例において、指導履歴特徴量データ18は、操縦士ID欄321、基準日欄322、指導種類欄323、N日内の指導数欄324、N日内の指導種類数欄325、N日内で最も連続で指導された指導の日数欄326、N日内の基準日と同じ指導の数欄327を含む。N日内の指導数欄324、N日内の指導種類数欄325、N日内で最も連続で指導された指導の日数欄326、N日内の基準日と同じ指導の数欄327は、指導対象の危険種類を選択するための特徴量を示す。N日は所定日数を示す。なお、これらの一部のみ(少なくとも一つ)が指導対象選択の特徴量として使用されてもよい。これら特徴量により指導効果が高い危険種類を選択できる。
【0046】
操縦士ID欄321は、指導対象の操縦士のIDを示す。基準日欄322は、指導履歴における特徴量を計算するための基準日であり、
図9の例において、指導対象の乗務日である。指導種類欄323は、操縦士に対して行う指導の指導種類候補を示す。指導種類候補は、指導対象乗務日の運転に対して行う指導種類の候補である。例えば、定義されている全ての指導種類が候補となる。
【0047】
N日内の指導数欄324は、基準日から過去N日内の指導数を示す。Nは2以上の整数であり、指導数は、基準日における指導種類候補を含む。本例において、1回の指導において一つの指導種類の指導が行われるため、指導数、指導日数及び指導回数は同一である。1回の指導で複数の(複数種類の)指導が行われ得る場合、各回の指導数(指導種類数)の総和である。例えば、Nが2であり、基準日の前日に指導1及び指導2の指導が行われ、基準日の指導種類候補が指導2のみである場合、指導数は3である。
【0048】
N日内の指導種類数欄325は、基準日から過去N日内の指導種類の数を示す。種類数のカウント対象は、基準日における指導種類候補を含む。例えば、Nが5であり、過去4日の指導種類が、指導1、指導2、指導2、指導2であり、基準日の指導種類候補が指導1である場合、指導種類数は2である。1回の指導で複数の(複数種類の)指導が行われ得る場合も同様にカウントできる。例えば、Nが2であり、基準日の前日に指導1及び指導2の指導が行われ、基準日の指導種類候補が指導2のみである場合、指導種類数は2である。
【0049】
N日内で最も連続で指導された指導の日数欄326は、基準日から過去N日内で、連続に実施された指導種類の最大連続日数を示す。例えば、Nが5であり、過去4日の指導種類が、指導1、指導2、指導2、指導2であり、基準日の指導種類候補が指導1である場合、最大連続日数は3である。1回の指導で複数の(複数種類の)指導が行われ得る場合も同様にカウントできる。
【0050】
N日内の基準日と同じ指導の数欄327は、基準日から過去N日内で、基準日の指導種類候補と同一種類の指導の数を示す。例えば、Nが5であり、過去4日の指導種類が、指導1、指導2、指導2、指導2であり、基準日の指導種類候補が指導1である場合、欄327の値は1である。基準日に複数の指導種類候補が存在する場合、欄327の値は、例えば、複数の指導種類候補それぞれと同一種類の指導の数の総和でよい。例えば、Nが5であり、過去4日の指導種類が、指導1、指導2、指導3、指導2であり、基準日の指導種類候補が指導1及び指導2である場合、欄327の値は3である。
【0051】
図9の例に示すように、指導履歴特徴量データ18は、指導種類を抽象化し、指導種類の同異の観点から計算された指導履歴の特徴量を示す。例えば、指導1、指導2、指導1、指導(候補)3の指導履歴から計算される特徴量は、指導3、指導1、指導3、指導(候補)2の指導履歴から計算される特徴量と同一である。指導種類の同異に基づく指導履歴の特徴量より、改善推定モデル55の少ない演算量及び訓練データにより、効果的な指導を推定することができる。
【0052】
図9の例において、N日内で最も連続で指導された指導の日数は、指導種類の同異のパターンを示す特徴量の例である。指導種類の同異のパターンを示す特徴量の他の例は、前日の指導種類との同異を示すビット列である。これらのように、指導種類の同異のパターンを示す特徴量が含まれることで、より効果的な指導種類を推定することができる。
図9の例に示すように、指導対象の乗務日の指導日を基準日とすることで、その乗務日の運転に対するより適切な指導種類を決定することができる。
【0053】
図10は、運転スコア改善度データ20の構成例を示す。運転スコア改善度データ20は、過去の指導履歴における運転スコアの改善度を示し、改善推定モデル55の訓練に使用される訓練データである。上述のように、運転スコア改善度データ20は、運転スコア改善度算出部57によって、危険種類判定結果履歴19から生成される。
【0054】
各レコードは、一回の指導の情報を示す。
図10の例において、運転スコア改善度データ20は、操縦士ID341欄、指導日342欄、及び運転スコア改善度343欄を含む。操縦士ID341欄及び指導日342欄は、それぞれ、指導対象の操縦士のID及び指導が実施された日を示す。運転スコア改善度343欄は、指導による運転スコアの改善度を示す。
【0055】
ある日dの運転スコアSdは、例えば、下記数式で表わされる。
Sd=(k1,d(危険1の回数)+k1,d(危険2の回数)+・・・)/運転時間
k1,d、k1,dは、危険種類1及び危険種類2それぞれに予め割り当てられている係数である。全ての危険種類に対して、係数が予め割り当てられている。係数は、例えば、危険運転回数が少ない程運転スコアSdが大きくなるように設定される。
【0056】
運転スコア改善度は、例えば、日dの翌日から後L日(例えば7日)の運転スコアの平均(指導後運転スコア)から、日dから前M日(例えば7日)の運転スコアの平均(指導前運転スコア)を引いた値で表わされる。L及びMは2以上の整数である。運転の安全性を表す運転スコア及びその改善度を示す運転スコア改善度の計算方法は任意であって、上記例に限定されるものではない。
【0057】
図11は、訓練用指導履歴特徴量データ21の構成例を示す。訓練用指導履歴特徴量データ21は、各操縦士の指導履歴における特徴量を示し、改善推定モデル55の訓練に使用される訓練データである。上述のように、訓練用指導履歴特徴量データ21は、指導履歴特徴量生成部53によって、指導履歴17から生成される。
【0058】
図11の例において、訓練用指導履歴特徴量データ21は、操縦士ID欄361、基準日欄362、N日内の指導数欄363、N日内の指導種類数欄364、N日内で最も連続で指導された指導の日数欄365、N日内の基準日と同じ指導の数欄366を含む。訓練用指導履歴特徴量データ21の構成は、
図9に示す指導履歴特徴量データ18から指導種類欄323を除いたテーブル構成を有する。訓練用指導履歴特徴量データ21の欄は、それぞれ、指導履歴特徴量データ18の同名の欄に対応する。
【0059】
運転スコア改善度データ20及び訓練用指導履歴特徴量データ21は、改善推定モデル55の訓練データである。運転スコア改善度データ20の入力は指導履歴特徴量(N日内の指導数、N日内の指導種類数、N日内で最も連続で指導された指導の日数、N日内の基準日と同じ指導の数)である。出力は、運転スコア改善度の推定値である。例えば、改善推定モデル55は、訓練用指導履歴特徴量の線形関数(線形回帰モデル)、つまり、重み係数と訓練用指導履歴特徴量の積和で表わされる。重み係数は学習パラメータである。改善推定モデル55の構成(関数)は任意であって、上記例に限定されない。
【0060】
以下において、指導情報提示システム1の処理の例を説明する。以下において、日中の走行時に生成された車両計測データを元に、指導すべき危険場面を抽出して、帰着時に動画とともに安全指導画面として出力する例を説明する。説明の容易のため、一人の操縦士の指導のための情報を生成及び提示する例を説明する。同様の処理が、複数の操縦士それぞれのために実行され得る。
【0061】
図12は、指導情報提示システム1の主要な処理のフローチャートを示す。
図12は、日中の運転データ(車両計測データ)から、指導対象を選定するための日々の処理のフローチャートを示す。
図12に示すように、指導情報提示システム1は、運転特徴量データ生成を実行する(S11)。次に、指導情報提示システム1は、危険種類判定を実行する(S12)。次に、指導情報提示システム1は、指導種類の同異に基づく特徴量生成を実行する(S13)。次に、指導情報提示システム1は、指導効果推定を実行する(S14)。次に、指導情報提示システム1は、動画抽出及び画面出力を実行する(S15)。
【0062】
以下において、
図12のフローチャートのステップの詳細を説明する。
図13は、運転特徴量データ生成S11の詳細のフローチャートを示す。まず、指導情報提示システム1は、車載センサ等から車両計測データ11を取得する(S21)。
【0063】
次に、運転特徴量生成部51は、予め設定されたルールに従って、車両計測データ11を複数の時間帯に分ける(S22)。運転特徴量生成部51は、車両測定データが示す車両の挙動に基づき、分割する時間帯を決定する。運転特徴量生成部51は、危険運転の観点から特徴的な挙動を示す時間帯を、切り出す時間帯と決定する。
【0064】
例えば、運転特徴量生成部51は、車間距離が閾値以下の状態が続いた時間帯を、切り出す時間帯を決定する。車間距離が10m未満の状態が12:00:00~12:00:54まで続いていたら、この時間帯が切り出される。この他、速度が閾値を超える時間帯や閾値を超える加速度の時間帯等が切り出され得る。特徴的な挙動を示す時間帯の間における、特徴的な挙動を示さない時間帯も、一つの時間帯と決定される。
【0065】
運転特徴量生成部51は、各時間帯について、それぞれ運転挙動を示す特徴量を生成する。例えば、時間帯における平均速度、最高速度、最低速度、速度偏差、時間長さ等が特徴量と定義される。これらは例であり、これに限るものではない。
図3に示す運転特徴量データ12は、上記のように生成されたデータをテーブル形式で出力したものである。
【0066】
次に、危険種類判定S12を説明する。
図14は、危険種類判定S12の詳細を示すフローチャートである。まず、危険種類判定部52は、運転特徴量データ12(
図3)を取得する(S31)。次に、危険種類判定部52は、危険種類判定ルール13(
図4)を取得する(S32)。危険種類判定部52は、運転特徴量データ12に対して危険種類判定ルール13を適用して、各時間帯に対する判定結果を決定する。危険種類判定結果14(
図5)は、このように生成されたデータをテーブル形式で出力したものである。
【0067】
次に、指導種類の同異に基づく特徴量生成S13を説明する。指導履歴特徴量生成部53は、操縦士の直近の指導履歴(指導を受けた履歴)を用いて、指導種類の同異に基づく特徴量を生成する。
図8に示すように、指導履歴17は、操縦士、指導日、指導対象の危険種類、及び危険種類に対応する指導種類、の情報を格納している。
【0068】
図9を参照して説明したように、指導履歴特徴量生成部53は、指導種類を抽象化して、指導種類の同異に基づく特徴量を生成する。上述のように、本実施例は、乗務日の車両計測データを元に、その日の指導内容を決定する。従って、乗務日が基準日となる。その日の指導は未実施であるため、基準日の指導履歴は存在しない。
【0069】
図9を参照して説明したように、指導履歴特徴量生成部53は、全ての指導種類候補それぞれの特徴量の組合せを計算する。例えば、全指導種類が、指導1、指導2、指導3であるとする。指導履歴特徴量生成部53は、当日の指導種類が指導1の場合の特徴量の組み合わせ、当日の指導種類が指導2の場合の特徴量の組み合わせ、及び、当日の指導種類が指導3の場合の特徴量の組み合わせを生成する。
【0070】
次に、指導効果推定S14を説明する。
図15は、指導効果推定S14の詳細を示すフローチャートである。指導効果推定部54は、危険種類判定結果14及び指導履歴特徴量データ18を取得する(S41)。指導効果推定部54は、改善推定モデル55を取得する(S42)。
【0071】
指導効果推定部54は、改善推定モデル55によって、運転スコア改善度を推定する(S43)。指導効果推定部54は、指導履歴特徴量データ18の各レコードの特徴量組み合わせを改善推定モデル55に入力する。改善推定モデル55は、運転スコア改善度の推定値を出力する。上述のように、指導種類候補それぞれの指導履歴特徴量組み合わせが存在する。指導効果推定部54は、指導種類候補それぞれの運転スコア改善度推定値を生成する。
【0072】
次に、指導効果推定部54は、運転スコア改善度の推定値に基づいて、指導対象の危険種類を選択する(S44)。指導効果推定部54は、運転スコア改善度の推定値に基づいて指導種類候補から実施する指導種類を選択し、指導マスタ15を参照して選択した指導種類に対応する危険種類を同定する。運転スコア改善度を参照することで、運転の改善が見込める効果的な指導種類を選択できる。
【0073】
例えば、指導効果推定部54は、運転スコア改善度の推定値が最も大きな改善を示す指導種類候補に対応する危険種類を選択する。危険種類の選択のため、運転スコア改善度と異なる条件をさらに参照してもよい。同一の運転スコア改善度の複数の危険種類が存在する場合、指導効果推定部54は、例えば、危険種類判定結果14において発生回数が最も多い危険種類を選択してもよい。
【0074】
指導対象危険種類データ16(
図7)は、このように生成されたデータをテーブル形式で出力したものである。
図7は、一回の指導において一つの指導種類(危険種類)が選択される例を示す。指導効果推定部54は、指導マスタ15(
図6)から指導対象の危険種類に該当する指導内容を引用して、指導内容欄283に格納する。なお、帰着時に複数の危険種類に対する指導を行う時間がある場合には、複数の危険種類が選択されてもよい。
【0075】
次に、動画抽出及び画面出力S15を説明する。動画抽出画面出力部56は、危険種類判定結果14において、当該操縦士の上記選択された危険種類に該当する時間帯を選択する。当該危険種類の複数の時間帯が存在する場合、動画抽出画面出力部56は、予め設定されたルールに従って一つを選択すればよい。例えば、操縦士の記憶に残りやすいと思われる最近の時間帯を選ぶなど、任意の選定基準を使用できる。
【0076】
動画抽出画面出力部56は、選択した時間帯の場面をドライブレコーダの映像から抽出する。動画抽出画面出力部56は、上記指導対象危険種類の情報、ドライブレコーダの映像を用いて、指導用画面を生成、出力する。
【0077】
図16は、一人の操縦士に対する指導用画面の例を示す。例えば、出力装置124は、指導用画面500を表示する。指導用画面500は、危険運転の映像501、指導対象危険種類の情報511、危険運転の時間帯の特徴量の情報512、及び、指導履歴の情報512を含む。危険運転の映像501と共に付随する情報を提示することで、操縦士に対する指導をより効果的に行うことができる。なお、情報511、512、513の一部又は全部は省略されてもよい。
【0078】
図17は、複数の操縦士に対する指導用画面の例を示す。例えば、出力装置124は、指導用画面550を表示する。指導用画面550は、ランク付けされた危険種類のリスト及び危険種類それぞれの代表場面の映像551を示す。例えば、運転スコアの改善度が高い順に所定数の危険種類が選択され、表示される。指導用画面550により、複数の操縦士に対して同時に適切に指導を行うことができる。
【0079】
次に、改善推定モデル55を生成(訓練)する方法を説明する。
図18は、改善推定モデル55を生成するためのフローチャートを示す。改善推定モデル55は、過去履歴による訓練によって生成される。
図18の処理は、例えば、数ヶ月に1度程度実行される。
【0080】
まず、指導履歴特徴量生成部53は、指導履歴17から、訓練用指導履歴特徴量データ21(
図11)を生成する(S51)。指導履歴特徴量生成部53は、指導履歴17の各操縦士の指導履歴において、訓練用指導履歴特徴量データ21のレコードを生成できる基準日から、所定数(例えば全部)の基準日を選択する。
図11を参照して説明したように、特徴量の計算には基準日より過去のデータが必要である。指導履歴特徴量生成部53は、操縦士及び選択した基準日の組み合わせそれぞれの、訓練用指導履歴特徴量データ21のレコードを生成する。
【0081】
次に、運転スコア改善度算出部57は、訓練用指導履歴特徴量データ21のレコードそれぞれに対応する運転スコア改善度を算出して、運転スコア改善度データ20を生成する(S52)。運転スコア改善度算出部57は、危険種類判定結果履歴19を用いる。危険種類判定結果履歴19は、危険種類判定結果14(
図5)と同様のテーブル構造を有し、危険種類判定結果14の蓄積された過去の履歴である。
【0082】
具体的には、運転スコア改善度算出部57は、
図10を参照して説明したように、危険種類判定結果履歴19から、各操縦士の各乗務日の運転スコアを算出する。運転スコア改善度算出部57は、訓練用指導履歴特徴量データ21が示す基準日の指導による運転スコア改善度を、算出した運転スコアから、
図10を参照して説明したように算出する。上述のように、基準日の指導による運転スコア改善度の計算には、基準日の過去及び未来の運転スコアが必要である。訓練用指導履歴特徴量データ21において、運転スコア改善度を計算できないレコードは破棄される。
【0083】
次に、改善推定モデル訓練部(不図示)は、改善推定モデル55の訓練(学習)を行うことで、改善推定モデル55を生成する(S53)。改善推定モデル訓練部は、訓練用指導履歴特徴量データ21及び運転スコア改善度データ20を訓練データとして使用する、教師あり学習を行う。訓練用指導履歴特徴量データ21が示す一つの基準日(レコード)の特徴量組み合わせが説明変数(入力)であり、当該基準日の運転スコア改善度が目的変数(出力)である。運転スコア改善度データ20が運転スコア改善度の所望の値(教師データ)を示す。以上の処理により、訓練済みの改善推定モデル55が生成される。
【0084】
次に、指導用画面の他の例を説明する。
図16又は17に示す指導用画面は、運転履歴から検出された危険運転を指摘する。他の例において、指導情報提示システム1は、運転の改善を示す操縦士を評価する指導用画面を提示してもよい。
図19は、指導の遵守を評価する画面560の例を示す。指導情報提示システム1は、例えば、危険種類判定結果履歴19を参照し、各操縦士の危険種類ごとの発生頻度の推移を評価する。発生頻度の減少傾向が認められた場合、指導情報提示システム1は、評価画面560において、その情報を提示する。
【0085】
指導用画面560は、操縦士の運転において発生頻度の減少が認められた危険種類のリスト561及びリスト561で選択されたエントリの詳細情報562を含む。リスト561は、操縦士と危険種類の組み合わせのリストである。詳細情報562は、選択された危険種類の頻度の変化を示す。
図19の例において、詳細情報562は、選択された危険種類日ごとの頻度の棒グラフを示す。
【実施例2】
【0086】
実施例1は、日中の走行時に生成された車両計測データを元に、帰着した操縦士に対して指導用画面による指導を行う。以下に説明する実施例2は、業務中の車両計測データにおいて指導すべき危険場面を抽出する処理を逐次実施し、業務時間中の余裕時間を見つけた際に指導を実施する。以下においては、実施例1との相違点を主に説明する。
【0087】
図20は、指導情報提示システム1の論理構成例を示す。指導情報提示システム1は、
図1Aに示す構成に加え、業務情報25及び指導タイミング制御部61を含む。
図21及び22は、業務情報25に含まれる情報を示す。具体的には、
図21は業務計画31を示し、
図22は業務進捗32を示す。
【0088】
業務計画31は、操縦士ID欄381、開始日時欄382、終了日時欄383、作業欄384を含む。操縦士ID欄381は、操縦士のIDを示す。開始日時欄382及び終了日時欄383は、操縦士ID欄381が示す操縦士の計画されている作業それぞれの開始日時及び終了日時を示す。作業欄384は、計画されている作業を示す。
【0089】
業務進捗32は、車載センサや車載の業務管理システムから取得された操縦士の実際の進捗状況を示す。
図22の例において、業務進捗32は、操縦士ID欄401、日時欄402、及び状況欄403を含む。操縦士ID欄401は、操縦士のIDを示す。日時欄402は日時を示す。状況欄403は、日時欄402が示す各日時における、操縦士ID欄401が示す操縦士の実際の状況を示す。
【0090】
指導タイミング制御部61は、操縦士の業務状況に基づいた指導タイミング制御を行う。指導タイミング制御部61は、業務計画31及び業務進捗32に基づき、現在状況が操縦士に指導可能な状況であるか判定する。例えば、指導タイミング制御部61は、業務計画31及び業務進捗32を比較し、前倒しで業務が遂行されており、かつ操縦士が運転中でない状況を検出する。
【0091】
指導タイミング制御部61は、操縦士に指導する余裕時間があると判定すると、例えば操縦士が携行しているスマートデバイスへ通知して、
図16に示すような指導用画面500を呈示する。指導用画面500は、当日の前回の指導から、又は当日初めての指導の場合は当日の業務開始から、今回の指導までの運転における車両計測データに基づき生成される。
【0092】
営業所に常駐して安全面を担当する安全管理者による会話を必要とする場合、指導タイミング制御部61は、安全管理者に通知を行ってもよい。安全管理者が、操縦士への指導が必要と判断すると、操縦士に連絡を行う。その際に、安全管理者は、
図16の指導用画面500のURLを操縦士に通知する。操縦士は、安全管理者と指導用画面500画面を共有しながら、安全管理者から安全指導を受ける。
【0093】
尚、本実施例で説明した画面に掲載する情報は一例であり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではなく、他の構成の追加・削除・置換をしてもよい。たとえば、本実施例で説明しなかった構成についても、専門家が設定し得る情報を追加してもよい。
【0094】
尚、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。たとえば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に別の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0095】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部または全部を、たとえば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリやハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、またはICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に保存することができる。
【符号の説明】
【0096】
1 指導情報提示システム
11 車両計測データ
12 運転特徴量データ
13 危険種類判定ルール
14 危険種類判定結果
15 指導マスタ
16 指導対象危険種類データ
17 指導履歴
18 指導履歴特徴量データ
19 危険種類判定結果履歴
20 運転スコア改善度データ
21 訓練用指導履歴特徴量データ
25 業務情報
31 業務計画
32 業務進捗
51 運転特徴量生成部
52 危険種類判定部
53 指導履歴特徴量生成部
54 指導効果推定部
55 改善推定モデル
56 動画抽出画面出力部
57 運転スコア改善度算出部
61 指導タイミング制御部
121 プロセッサ
122 メモリ
123 補助記憶装置
124 出力装置
125 入力装置
500、550、560 指導用画面