(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-06
(45)【発行日】2023-10-17
(54)【発明の名称】実装ヘッド、バッテリ残量管理装置およびバッテリ残量管理方法
(51)【国際特許分類】
H05K 13/00 20060101AFI20231010BHJP
H05K 13/04 20060101ALI20231010BHJP
H05K 13/08 20060101ALI20231010BHJP
【FI】
H05K13/00 Z
H05K13/04 A
H05K13/08 Z
(21)【出願番号】P 2019220195
(22)【出願日】2019-12-05
【審査請求日】2022-08-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 光弘
(72)【発明者】
【氏名】青木 猛史
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 雄介
(72)【発明者】
【氏名】山際 真人
(72)【発明者】
【氏名】平野 崇
(72)【発明者】
【氏名】田中丸 重典
【審査官】内田 茉李
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-260401(JP,A)
【文献】国際公開第2019/097664(WO,A1)
【文献】特開2015-196218(JP,A)
【文献】特開2010-237796(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00
H05K 13/08
H05K 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品実装機で用いられ、実装対象の部品を採取部材で採取する実装ヘッドであって、
前記採取部材を移動させるサーボモータと、
前記サーボモータの回転位置を検出して位置情報を揮発性メモリに記憶するエンコーダと、
前記エンコーダにバックアップ用の電力を供給するバッテリと、
経過時間に基づいて前記バッテリの消費量を減算していくことによりバッテリ残量を算出し、該算出したバッテリ残量に関する所定の報知を行う管理部と、
を備え
、
前記実装ヘッドは、前記部品実装機に着脱可能で、該部品実装機に取り付けられた取り付け状態で該部品実装機からの電力が前記エンコーダに供給されるように構成され、
前記管理部は、前記取り付け状態での単位時間当たりの消費量と経過時間とに基づいて前記取り付け状態での前記バッテリの消費量を算出し、前記部品実装機から取り外されている取り外し状態での単位時間当たりの消費量と経過時間とに基づいて前記取り外し状態での前記バッテリの消費量を算出し、算出した各消費量を減算していくことによりバッテリ残量を算出し、前記部品実装機から取り外される場合にバッテリ残量が第1閾値以下であれば、前記所定の報知として前記バッテリの交換タイミングであることを報知し、バッテリ残量が前記第1閾値を超えて該第1閾値より大きな第2閾値以下であれば、バッテリ残量が前記第1閾値に到達するまでの残り時間を該第1閾値との差分と前記取り外し状態での単位時間当たりの消費量とに基づいて算出し、該算出した残り時間を報知する
実装ヘッド。
【請求項2】
請求項
1に記載の実装ヘッドであって、
不揮発性メモリを備え、
前記管理部は、前記部品実装機への取り付け日時と、前記部品実装機からの取り外し日時とを前記不揮発性メモリに記憶させるものであり、前記部品実装機から取り外される場合に、前記不揮発性メモリに記憶された前記取り付け日時と現在の日時とに基づいて前記取り付け状態での経過時間を求めて該取り付け状態での前記バッテリの消費量を算出し、前記部品実装機に取り付けられる場合に、前記不揮発性メモリに記憶された前記取り外し日時と現在の日時とに基づいて前記取り外し状態での経過時間を求めて該取り外し状態での前記バッテリの消費量を算出する
実装ヘッド。
【請求項3】
実装対象の部品の採取部材を移動させるサーボモータと、前記サーボモータの回転位置を検出して位置情報を揮発性メモリに記憶するエンコーダと、前記エンコーダにバックアップ用の電力を供給するバッテリと、を備え、部品実装機に着脱可能
で、該部品実装機に取り付けられた取り付け状態で該部品実装機からの電力が前記エンコーダに供給されるように構成された実装ヘッドのバッテリ残量を管理するバッテリ残量管理装置であって、
前記実装ヘッドの識別情報と経過時間とに基づいて前記実装ヘッド毎に前記バッテリの消費量を減算していくことによりバッテリ残量を算出し、該算出したバッテリ残量に関する所定の報知を行う管理部を備え
、
前記管理部は、前記取り付け状態での単位時間当たりの消費量と経過時間とに基づいて前記取り付け状態での前記バッテリの消費量を算出し、前記部品実装機から取り外されている取り外し状態での単位時間当たりの消費量と経過時間とに基づいて前記取り外し状態での前記バッテリの消費量を算出し、算出した各消費量を減算していくことによりバッテリ残量を算出し、前記部品実装機から取り外される場合にバッテリ残量が第1閾値以下であれば、前記所定の報知として前記バッテリの交換タイミングであることを報知し、バッテリ残量が前記第1閾値を超えて該第1閾値より大きな第2閾値以下であれば、バッテリ残量が前記第1閾値に到達するまでの残り時間を該第1閾値との差分と前記取り外し状態での単位時間当たりの消費量とに基づいて算出し、該算出した残り時間を報知する
バッテリ残量管理装置。
【請求項4】
実装対象の部品の採取部材を移動させるサーボモータと、前記サーボモータの回転位置
を検出して位置情報を揮発性メモリに記憶するエンコーダと、前記エンコーダにバックアップ用の電力を供給するバッテリと、を備え、部品実装機
に着脱可能で、該部品実装機に取り付けられた取り付け状態で該部品実装機からの電力が前記エンコーダに供給されるように構成された実装ヘッドのバッテリ残量を管理するバッテリ残量管理方法であって、
経過時間に基づいて前記バッテリの消費量を減算していくことによりバッテリ残量を算出し、該算出したバッテリ残量に関する所定の報知を行
い、
前記取り付け状態での単位時間当たりの消費量と経過時間とに基づいて前記取り付け状態での前記バッテリの消費量を算出し、前記部品実装機から取り外されている取り外し状態での単位時間当たりの消費量と経過時間とに基づいて前記取り外し状態での前記バッテリの消費量を算出し、算出した各消費量を減算していくことによりバッテリ残量を算出し、前記部品実装機から取り外される場合にバッテリ残量が第1閾値以下であれば、前記所定の報知として前記バッテリの交換タイミングであることを報知し、バッテリ残量が前記第1閾値を超えて該第1閾値より大きな第2閾値以下であれば、バッテリ残量が前記第1閾値に到達するまでの残り時間を該第1閾値との差分と前記取り外し状態での単位時間当たりの消費量とに基づいて算出し、該算出した残り時間を報知する
バッテリ残量管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、実装ヘッド、バッテリ残量管理装置およびバッテリ残量管理方法を開示する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の実装ヘッドとしては、部品実装機に着脱可能に構成され、部品実装機に取り付けられた状態では電源線を介して電力が供給されることにより、各部を駆動して部品の吸着や実装を行うものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この実装ヘッドは、電源線を介して供給される電圧を検知する検知部を備え、部品実装機から取り外されることを電圧の低下によって検知すると、ログ情報を不揮発性メモリに記録している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、実装ヘッドの各部を駆動するサーボモータのエンコーダが、位置情報を揮発性メモリに記憶するものでは、部品実装機から取り外されている間も位置情報を保持できるようにバックアップ用のバッテリを搭載する必要がある。また、給電が途切れないように、バッテリの残量を管理することも求められる。しかし、そのようなバッテリには、時間が経過しても電圧が大きく低下せず残量が残り僅かになると電圧が急激に低下する放電特性をもつものがある。そうなると、電圧の低下の検知によってバッテリの交換を報知しても、バッテリの交換が間に合わずエンコーダの位置情報を保持できないおそれがある。
【0005】
本開示は、実装ヘッドに搭載されるバックアップ用のバッテリの残量を適切に管理することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本開示の実装ヘッドは、
部品実装機で用いられ、実装対象の部品を採取部材で採取する実装ヘッドであって、
前記採取部材を移動させるサーボモータと、
前記サーボモータの回転位置を検出して位置情報を揮発性メモリに記憶するエンコーダと、
前記エンコーダにバックアップ用の電力を供給するバッテリと、
経過時間に基づいて前記バッテリの消費量を減算していくことによりバッテリ残量を算出し、該算出したバッテリ残量に関する所定の報知を行う管理部と、
を備えることを要旨とする。
【0008】
本開示の実装ヘッドは、経過時間に基づいてバッテリの消費量を減算していくことによりバッテリ残量を算出し、算出したバッテリ残量に関する所定の報知を行う。これにより、バッテリの放電特性に拘わらず、バッテリ残量を適切に把握することができる。また、把握したバッテリ残量に関する所定の報知を行うことで、作業者にバッテリの交換やその準備などを行わせることもできる。したがって、バックアップ用のバッテリ残量を適切に管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】部品実装機10と管理サーバ70の電気的な接続関係を示すブロック図である。
【
図3】バッテリ48の放電特性の一例を示す説明図である。
【
図4】取り付け時残量管理処理の一例を示すフローチャートである。
【
図5】取り外し時残量管理処理の一例を示すフローチャートである。
【
図6】バッテリ残量BLに関する報知の一例を示す説明図である。
【
図7】バッテリ残量BLに関する報知の一例を示す説明図である。
【
図8】バッテリ残量BLに関する報知の一例を示す説明図である。
【
図9】変形例のバッテリ残量管理処理を示すフローチャートである。
【
図10】バッテリ残量管理情報74aの一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本開示を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。
【0011】
図1は、部品実装機10の概略構成図である。
図2は、部品実装機10と管理サーバ70の電気的な接続関係を示すブロック図である。なお、
図1の左右方向がX軸方向であり、前後方向がY軸方向であり、上下方向がZ軸方向である。また、部品実装機10は、基板搬送方向であるX軸方向に複数台配置されて、部品実装ラインを構成する。
【0012】
部品実装機10は、
図1に示すように、部品供給装置21と、基板搬送装置22およびXY移動装置30を含む実装機本体と、実装ヘッド40とを備える。実装機本体は、基台11に支持された筐体12内に配置されている。部品供給装置21と実装ヘッド40は、実装機本体に対して着脱可能に構成されている。また、部品実装機10は、この他に、
図2に示すように、表示装置28と、実装ヘッド40の後述する各軸のサーボモータを制御するサーボ制御部65と、装置全体を制御する制御装置60とを備える。部品実装機10は、工場内の電源100から各部に電力が供給されることにより駆動し、電源100からの電力を実装機本体に取り付けられた実装ヘッド40に供給可能に構成されている。
【0013】
部品供給装置21は、部品を部品供給位置まで供給するものである。部品供給装置21は、所定間隔毎に形成された収容部に部品が収容されたテープをリールから引き出してピッチ送りすることで、部品を供給するテープフィーダとして構成されている。テープフィーダは、基台11の前側に左右方向(X軸方向)に並ぶ複数のフィーダ台にそれぞれ着脱可能に取り付けられる。
【0014】
基板搬送装置22は、左右方向(X軸方向)に基板Sの搬入、固定および搬出を行うものである。基板搬送装置22は、
図1の前後に間隔を空けて設けられ左右方向に架け渡された1対のコンベアベルトを備える。基板Sは、このコンベアベルトにより搬送される。
【0015】
XY移動装置30は、
図1に示すように、X軸スライダ32とY軸スライダ36とを備え、XY平面上で実装ヘッド40を移動させる。X軸スライダ32は、Y軸スライダ36の前面に左右方向に延在するように設けられた上下一対のX軸ガイドレール31に支持され、X軸モータ33(
図2参照)の駆動によって左右方向すなわちX軸方向に移動する。Y軸スライダ36は、筐体12の上段部に前後方向に延在するように設けられた左右一対のY軸ガイドレール35に支持され、Y軸モータ37(
図2参照)の駆動によって前後方向すなわちY軸方向に移動する。XY移動装置30は、この他に、図示しないが、X軸スライダ32の位置を検知するX軸エンコーダやY軸スライダ36の位置を検知するY軸エンコーダなどを備える。X軸スライダ32には実装ヘッド40が着脱可能に取り付けられる。このため、実装ヘッド40は、XY移動装置30によりXY方向に移動可能となる。
【0016】
実装ヘッド40は、部品供給装置21から供給された部品を吸着ノズル44で採取(吸着)し、基板搬送装置22に固定された基板Sへ実装する。実装ヘッド40は、複数の吸着ノズル44をそれぞれ保持するノズルホルダが円周方向に所定間隔で配置されたヘッド本体41と、複数のサーボモータと、各サーボモータ用のエンコーダと、ヘッド制御部45と、バッテリ48と、を備える。実装ヘッド40は、
図2に示すように、サーボモータとして、R軸モータ51と、Q軸モータ53と、第1Z軸モータ55と、第2Z軸モータ57とを備え、サーボモータ用のエンコーダとして、エンコーダ52,54,56,58とを備える。
【0017】
R軸モータ51は、ヘッド本体41をその軸心線(R軸)周りで回転させることで各ノズルホルダに保持された吸着ノズル44をヘッド本体41の円周方向に旋回させる。エンコーダ52は、R軸モータ51の回転位置(回転角度)を検出し、検出した回転位置などの位置情報をメモリ52aに記憶する。Q軸モータ53は、各ノズルホルダをその軸心線(Q軸)周りで回転(自転)させることで吸着ノズル44を軸心線周りに回転させる。エンコーダ54は、Q軸モータ53の回転位置(回転角度)を検出し、検出した回転位置などの位置情報をメモリ54aに記憶する。第1および第2Z軸モータ55,57は、吸着ノズル44の旋回軌道上の2つの所定位置でノズルホルダ(吸着ノズル44)をそれぞれ昇降させることで、2つの吸着ノズル44に部品の吸着動作を個別に行わせる。エンコーダ56,58は、それぞれ第1および第2Z軸モータ55,57の回転位置を検出し、検出した回転位置などの位置情報をメモリ56a,58aに記憶する。メモリ52a,54a,56a,58aは、SRAMなどの揮発性メモリである。
【0018】
ヘッド制御部45は、実装ヘッド40の制御を行うものであり、図示しないCPUやROM、RAM、入出力インタフェースなどの他、稼動データ用メモリ46を備える。稼動データ用メモリ46は、電力が供給されなくてもデータを保持するEEPROMなどの不揮発性メモリであり、実装ヘッド40の稼動データやバッテリ48のバッテリ残量などを記憶する。稼動データとしては、実装ヘッド40が部品実装機10に取り付けられた取り付け日時や部品実装機10から取り外された取り外し日時、稼動時間、ショット数などが含まれる。なお、実装ヘッド40を専用の調整台などに載せた状態でエンコーダ52,54,56,58に位置情報を登録するなどの初期設定作業が行われて、実装ヘッド40が調整台から取り外された場合も、その取り外し日時が稼動データ用メモリ46に記憶される。また、稼動時間は、実装ヘッド40が運転を開始してから停止するまでの時間を積算したものである。また、ショット数は、部品の吸着および部品の実装のそれぞれにおいてノズルホルダが上下動した回数(上下で1回)を積算したものである。
【0019】
バッテリ48は、例えば円筒型のリチウム一次電池であり、実装ヘッド40に交換可能に取り付けられている。なお、バッテリ48の交換は、作業者により容易に行うことが可能となっている。このバッテリ48は、主にエンコーダ52,54,56,58の各メモリ52a,54a,56a,58aのバックアップ用に用いられるものである。上述したように、メモリ52a,54a,56a,58aは、いずれも揮発性メモリであり、実装ヘッド40が部品実装機10から取り外された状態でもメモリ52a,54a,56a,58aが位置情報を保持するために、バッテリ48が電力を供給する。バッテリ48は、
図3に示すように、時間が経過しても電圧が大きく低下せず略一定で推移し、バッテリ残量が残り僅かになると、電圧が急激に低下する放電特性を有する。なお、上述したように、実装ヘッド40が実装機本体に取り付けられている状態では、電源100からの電力が実装ヘッド40に供給されるため、その電力でメモリ52a,54a,56a,58aが位置情報を保持することができる。このため、実装ヘッド40が実装機本体に取り付けられている状態では、取り外されている状態に比して、エンコーダ52,54,56,58の単位時間当たりの消費量が大きく低下することになる。
【0020】
サーボ制御部65は、実装機本体に取り付けられている実装ヘッド40の各サーボモータを、制御装置60からの制御信号に基づいて設定される目標位置(目標回転位置)と、各エンコーダにより検出された位置情報とに基づいてフィードバック制御するものである。本実施形態では、サーボ制御部65は、R軸サーボアンプ66と、Q軸サーボアンプ67と、第1Z軸サーボアンプ68と、第2Z軸サーボアンプ69とを備える。R軸サーボアンプ66は、エンコーダ52からR軸モータ51の位置情報を入力し、R軸モータ51をフィードバック制御する。Q軸サーボアンプ67は、エンコーダ54からQ軸モータ53の位置情報を入力し、Q軸モータ53をフィードバック制御する。第1Z軸サーボアンプ68は、エンコーダ56から第1Z軸モータ55の位置情報を入力し、第1Z軸モータ55をフィードバック制御する。第2Z軸サーボアンプ69は、エンコーダ58から第2Z軸モータ57の位置情報を入力し、第2Z軸モータ57をフィードバック制御する。なお、複数のサーボモータを、1の多軸サーボアンプで制御するように構成してもよい。
【0021】
制御装置60は、
図2に示すように、CPU61を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU61の他に、処理プログラムを記憶するROM62や作業領域として用いられるRAM63、各種データを記憶する外部記憶装置としてのHDD64、入出力インタフェース、日時の計時を行うリアルタイムクロック(RTC)などを備える。制御装置60は、部品供給装置21や基板搬送装置22、表示装置28、XY移動装置30(X軸モータ33,Y軸モータ37)、実装ヘッド40のヘッド制御部45、サーボ制御部65などへ制御信号を出力する。また、制御装置60は、部品供給装置21や基板搬送装置22、XY移動装置30(X軸エンコーダ、Y軸エンコーダ)、実装ヘッド40のヘッド制御部45、サーボ制御部65などから信号を入力する。
【0022】
管理サーバ70は、例えば、汎用のコンピュータであり、複数の部品実装機10を管理する。管理サーバ70は、
図2に示すように、CPU71を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU71の他に、処理プログラムを記憶するROM72や作業領域として用いられるRAM73、各種データを記憶する外部記憶装置としてのHDD74、入出力インタフェース、日時の計時を行うリアルタイムクロック(RTC)などを備える。管理サーバ70には、マウスやキーボード等の入力装置76から入力信号が入力される。管理サーバ70からは、表示装置78への画像信号が出力される。また、管理サーバ70は、複数の部品実装機10の各々と通信を介して必要な情報をやり取り可能である。管理サーバ70のHDD74は、基板Sの生産ジョブを記憶している。基板Sの生産ジョブには、各部品実装機10においてどの部品をどの順番で基板Sへ実装するか、また、そのように部品を実装した基板Sを何枚作製するかなどの生産スケジュールが含まれる。管理サーバ70は、オペレータが入力装置76を介して入力したデータに基づいて生産ジョブを生成し、生成した生産ジョブを各部品実装機10へ送信することで、各部品実装機10に生産の開始を指示する。
【0023】
以下は、こうして構成された部品実装機10において、実装ヘッド40が実装機本体(X軸スライダ32)に取り付けられた場合や実装ヘッド40が実装機本体から取り外される場合のバッテリ48の残量管理に関する処理の説明である。
図4は、取り付け時残量管理処理の一例を示すフローチャートであり、実装ヘッド40が実装機本体に取り付けられた場合にヘッド制御部45により実行される。また、
図5は、取り外し時残量管理処理の一例を示すフローチャートであり、実装ヘッド40が実装機本体から取り外される場合にヘッド制御部45により実行される。なお、ヘッド制御部45は、制御装置60との通信や電源100から供給される電力の電圧変動により、実装機本体への取り付けや取り外しを検知することができる。
【0024】
図4の取り付け時残量管理処理では、ヘッド制御部45は、まず、制御装置60との通信を介して現在日時D0を取得し、実装ヘッド40が実装機本体に取り付けられた取り付け日時D1として稼動データ用メモリ46に記憶する(S100)。また、ヘッド制御部45は、前回の取り外し日時D2とバッテリ48のバッテリ残量BLとを稼動データ用メモリ46から読み出す(S110)。なお、取り外し日時D2は、後述するように、取り外し時残量管理処理のS200で稼動データ用メモリ46に記憶されるものであり、バッテリ残量BLは、本処理や取り外し時残量管理処理のS230で稼動データ用メモリ46に記憶されるものである。なお、バッテリ残量BLは、バッテリ48の最大容量を100%とする百分率で表され、新たなバッテリ48に交換された場合にリセットされる。次に、ヘッド制御部45は、S100で取得した現在日時D0(今回の取り付け日時D1)と、S110で読み出した前回の取り外し日時D2とに基づいて、前回の取り外しから今回の取り付けまでの経過時間Te1を算出する(S120)。即ち、ヘッド制御部45は、実装ヘッド40が実装機本体から取り外されていた取り外し状態での時間を経過時間Te1として算出する。
【0025】
そして、ヘッド制御部45は、取り外し状態でのバッテリ48の消費量を、S110で読み出した前回のバッテリ残量BLから減じることで、バッテリ残量BLを更新して稼動データ用メモリ46に記憶する(S130)。ヘッド制御部45は、取り外し状態における単位時間当たりの消費量K1と、S120で算出した経過時間Te1との積を、取り外し状態でのバッテリ48の消費量として算出する。電力の消費量K1は、電源100から給電が行われない場合における各エンコーダ52,54,56,58での消費電流に基づいて、単位時間当たりの消費量の合計値として予め定められて、稼動データ用メモリ46に記憶されている。なお、取り外し状態では、電源100から実装ヘッド40への給電が行われないから、バッテリ48から各エンコーダ52,54,56,58に供給される電流が大きくなり、単位時間当たりの消費量K1が比較的大きな値となる。
【0026】
ヘッド制御部45は、バッテリ残量BLを更新すると、そのバッテリ残量BLを表示装置28などに表示して(S140)、取り付け時残量管理処理を終了する。S140では、ヘッド制御部45が制御装置60との通信を介してバッテリ残量BLを通知し、その通知を受けた制御装置60が表示装置28にバッテリ残量BLを表示させるものなどとする。表示装置28には、例えば
図6に示すように、バッテリ残量BLを模式的に示す絵柄と、バッテリ残量BLを示す数値(%)とが表示される。なお、この表示は、実装ヘッド40を取り付けてから所定時間表示されるものなどとする。
【0027】
図5の取り外し時残量管理処理では、ヘッド制御部45は、まず、制御装置60との通信を介して現在日時D0を取得し、実装ヘッド40が実装機本体から取り外される取り外し日時D2として稼動データ用メモリ46に記憶する(S200)。また、ヘッド制御部45は、取り付け時残量管理処理のS100で記憶された取り付け日時D1と取り付け時残量管理処理のS130で記憶されたバッテリ残量BLとを稼動データ用メモリ46から読み出す(S210)。次に、ヘッド制御部45は、S100で取得した現在日時D0(今回の取り外し日時D2)と、S210で読み出した取り付け日時D1とに基づいて、取り付けから取り外しまでの経過時間Te2を算出する(S120)。即ち、ヘッド制御部45は、実装ヘッド40が実装機本体に取り付けられていた取り付け状態での時間を経過時間Te2として算出する。
【0028】
そして、ヘッド制御部45は、取り付け状態でのバッテリ48の消費量を、S210で読み出した前回のバッテリ残量BLから減じることで、バッテリ残量BLを更新して稼動データ用メモリ46に記憶する(S230)。ヘッド制御部45は、取り付け状態における単位時間当たりの消費量K2と、S220で算出した経過時間Te2との積を、取り付け状態でのバッテリ48の消費量として算出する。電力の消費量K2は、電源100から給電が行われる場合における各エンコーダ52,54,56,58での消費電流に基づいて、単位時間当たりの消費量の合計値として予め定められて、稼動データ用メモリ46に記憶されている。なお、取り付け状態では、電源100から実装ヘッド40への給電が行われるから、バッテリ48から各エンコーダ52,54,56,58に供給される電流が小さくなり、単位時間当たりの消費量K2は消費量K1よりも小さな値、例えば消費量K1の1/4~1/5程度の値となる。
【0029】
ヘッド制御部45は、バッテリ残量BLを更新すると、バッテリ残量BLが第1閾値BLref1以下であるか否か(S240)、バッテリ残量BLが第2閾値BLref2以下であるか否か(S250)、をそれぞれ判定する。ここで、第1閾値BLref1は、バッテリ48の交換要否を判定するための閾値であり、例えば20%~30%程度の残量に定められている。また、第2閾値BLref2は、例えば第1閾値BLref1よりも5~10%程度大きな残量に定められている。ヘッド制御部45は、S240,S250でバッテリ残量BLが第1閾値BLref1以下でなく、第2閾値BLref2以下でもないと判定すると、そのまま取り外し時残量管理処理を終了する。なお、この場合に、ヘッド制御部45は、取り付け時残量管理処理のS140のようにバッテリ残量BLを表示装置28に表示してもよい。
【0030】
ヘッド制御部45は、S240でバッテリ残量BLが第1閾値BLref1以下であると判定すると、バッテリ48の交換タイミングである旨を表示装置28などに表示して(S260)、取り外し時残量管理処理を終了する。S260では、ヘッド制御部45が制御装置60との通信を介して交換タイミングである旨を通知し、その通知を受けた制御装置60が表示装置28に交換タイミングである旨を表示させるものなどとする。表示装置28には、例えば
図7に示すように、バッテリ残量BLを模式的に示す絵柄と、バッテリ残量BLが少ないためにバッテリ48の交換を促すメッセージとが表示される。この表示は、実装ヘッド40が取り外されてから所定時間表示されるものなどとする。また、部品実装機10は、表示に合わせて、図示しないスピーカから警告音などを出力してもよい。
【0031】
一方、ヘッド制御部45は、S250でバッテリ残量BLが第1閾値BLref1を超えて第2閾値BLref2以下であると判定すると、バッテリ残量BLが第1閾値BLref1となるまでの残り時間Trを算出する(S270)。S270では、ヘッド制御部45は、現在のバッテリ残量BLと第1閾値BLref1との差分を、取り外し状態における単位時間当たりの消費量K1で除することにより、残り時間Trを算出する。そして、ヘッド制御部45は、残り時間Trを表示装置28などに表示して(S280)、取り外し時残量管理処理を終了する。S280では、ヘッド制御部45が制御装置60との通信を介して残り時間Trを通知し、その通知を受けた制御装置60が表示装置28に残り時間Trを表示させるものなどとする。表示装置28には、例えば
図8に示すように、バッテリ残量BLを模式的に示す絵柄と、残り時間Trとが表示される。この表示は、実装ヘッド40が取り外されてから所定時間表示されるものなどとする。また、 部品実装機10は、表示に合わせて、図示しないスピーカから警告音などを出力してもよい。
【0032】
ここで、本実施形態の構成要素と本開示の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態の部品実装機10が部品実装機に相当し、実装ヘッド40が実装ヘッドに相当し、R軸モータ51,Q軸モータ53,第1Z軸モータ55,第2Z軸モータ57がサーボモータに相当し、エンコーダ52,54,56,58がエンコーダに相当し、バッテリ48がバッテリに相当し、取り付け時残量管理処理と取り外し時残量管理処理とを実行するヘッド制御部45が管理部に相当する。また、稼動データ用メモリ46が不揮発性メモリに相当する。なお、本実施形態では、実装ヘッド40の動作を説明することにより本開示のバッテリ残量管理方法の一例も明らかにしている。
【0033】
以上説明した実施形態の実装ヘッド40は、ヘッド制御部45がエンコーダ52,54,56,58による経過時間に基づくバッテリ48の消費量をバッテリ残量BLから減算していくことによりバッテリ残量BLを算出し、算出したバッテリ残量BLに関する報知を行う。これにより、バッテリ48の放電特性に拘わらずバッテリ残量BLを適切に把握すると共に、作業者にバッテリ48の交換やその準備などを行わせることができるから、実装ヘッド40に搭載されるバックアップ用のバッテリ48のバッテリ残量BLを適切に管理することができる。このため、バッテリ残量BLがなくなる(バッテリ切れとなる)ことにより、エンコーダ52,54,56,58の位置情報が消失するのを防止することができる。エンコーダ52,54,56,58の位置情報が消失すると、実装ヘッド40を専用の調整台などに載せた状態でエンコーダ52,54,56,58に位置情報を再登録する作業を行う必要があり、その作業が完了するまで実装ヘッド40を使用することができなくなる。本実施形態では、バッテリ残量BLを適切に管理してバッテリ切れを防止するから、そのような登録作業を必要とすることがなく、実装ヘッド40を使用できない期間が発生するのを防止することができる。
【0034】
また、ヘッド制御部45は、取り付け状態における単位時間当たりの消費量K2と経過時間Te2との積を、取り付け状態での消費量として算出し、取り外し状態における単位時間当たりの消費量K1と経過時間Te1との積を、取り外し状態での消費量として算出し、バッテリ残量BLから減算していくことによりバッテリ残量BLを算出する。部品実装機10に着脱可能な実装ヘッド40では、取り付け状態と取り外し状態とでエンコーダの消費量が大きく変わるから、各状態の消費量をそれぞれ算出して減算していくことで、バッテリ残量BLを精度よく算出することができる。
【0035】
また、ヘッド制御部45は、不揮発性メモリである稼動データ用メモリ46に記憶された取り付け日時D1や取り外し日時D2から、部品実装機10に実装ヘッド40が着脱される度に、それまでの取り付け状態や取り外し状態の経過時間Te1,Te2を容易に求めて、バッテリ残量BLを適切に更新していくことができる。
【0036】
また、ヘッド制御部45は、部品実装機10から取り外される場合にバッテリ残量BLが第1閾値BLref1以下であれば、バッテリ48の交換タイミングであることを報知するから、バッテリ48の速やかな交換を作業者に促すことができる。また、ヘッド制御部45は、バッテリ残量BLが第2閾値BLref2以下であれば、第1閾値BLref1に到達するまでの残り時間Trを算出して報知するから、交換用のバッテリ48を手配するなどの準備を作業者に促すことができる。
【0037】
なお、本開示は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0038】
例えば、上述した実施形態では、ヘッド制御部45が現在日時D0を部品実装機10の制御装置60から取得したが、これに限られず、ヘッド制御部45が日時の計時を行うリアルタイムクロックなどを備えて現在日時D0を取得可能な構成としてもよい。
【0039】
上述した実施形態では、取り外し時残量管理処理のS250,S270,S280でバッテリ残量BLが第2閾値BLref2以下であれば、第1閾値BLref1に到達するまでの残り時間Trを算出して報知したが、これに限られるものではない。例えば、バッテリ残量BLが第1閾値BLref1を超えて第2閾値BLref2以下であれば、バッテリ残量BLが少ない(第1閾値BLref1に近付いている)ことや交換用バッテリを準備すべきことを報知してもよい。あるいは、バッテリ残量BLが第1閾値BLref1を超える場合には報知を行わず、S250,S270,S280を省略してもよい。
【0040】
上述した実施形態では、取り外し時残量管理処理においてバッテリ48の交換タイミングの報知や残り時間Trの報知を行うものとしたが、これに限られず、これらの報知の両方または一方を取り付け時残量管理処理で行うものとしてもよい。ただし、実装ヘッド40が部品実装機10に取り付けられている状態では、電源100から給電されるためバッテリ48を直ちに交換する必要はない旨などを合わせて報知してもよい。
【0041】
上述した実施形態では、実装ヘッド40が4つのエンコーダ52,54,56,58を備えるものとしたが、これに限られるものではない。例えば、Z軸モータとして、第1および第2Z軸モータ55,57の2つを備える構成としたが、1つのみを備える構成として、実装ヘッド40が3つのエンコーダを備えるものとしてもよい。あるいは、サーボモータやエンコーダの数は1つ以上であればよく、5つ以上備えるものでもよい。また、部品実装機10がサーボ制御部65を備えるものとしたが、これに限られず、実装ヘッド40がサーボ制御部65を備えるものとしてもよい。
【0042】
上述した実施形態では、
図2に管理サーバ70を図示したが、これに限られず、管理サーバ70を備えないものでもよい。また、実装ヘッド40が部品実装機10に着脱可能に取り付けられる構成としたが、これに限られず、実装ヘッド40が部品実装機10に着脱不能に取り付けられる構成としてもよい。そのような構成でも、バックアップ用のバッテリ48の残量を算出して、残量に関する報知を行うものとすればよい。この構成では、単位時間当たりのバッテリ48の消費量を一定として、経過時間に基づく消費量を減算していくことでバッテリ残量BLを算出するものとしてもよい。あるいは、部品実装機10の稼動状況や部品実装機10が設置される工場の操業状況、電力使用状況などによっては、部品実装機10の電源がオフとされて電源100からの給電が停止する状態となる可能性がある。このため、電源100から給電されている状態と、電源100から給電されていない状態とを区別して、バッテリ残量BLを算出するものとしてもよい。なお、上述した実施形態においても、実装ヘッド40が部品実装機10に取り付けられており且つ電源100から給電されている状態と、実装ヘッド40が部品実装機10に取り付けられており且つ電源100から給電されていない状態とを区別して、バッテリ残量BLを算出してもよい。
【0043】
上述した実施形態では、単位時間当たりのバッテリ48の消費量K1,K2と経過時間Te1,Te2との積をバッテリ48の消費量として減算していくことでバッテリ残量BLを算出したが、これに限られず、バッテリ48から供給されて各エンコーダで消費される消費電流の合計値と経過時間Te1,Te2との積を減算していくことでバッテリ残量BLを算出するなど、経過時間に基づく消費量を減算していくことでバッテリ残量BLを算出する方法であればよい。
【0044】
上述した実施形態では、稼動データ用メモリ46は、不揮発性メモリとしたが、これに限られず、揮発性メモリとしてバッテリ48から給電されるものとしてもよい。
【0045】
上述した実施形態では、実装ヘッド40のヘッド制御部45がバッテリ残量BLを管理したが、これに限られず、実装ヘッド40が取り付けられる部品実装機10の制御装置60が各実装ヘッド40のバッテリ残量BLを管理してもよい。あるいは、管理サーバ70が、1または複数の部品実装機10に着脱される各実装ヘッド40のバッテリ残量BLを管理してもよい。
図9は、変形例のバッテリ残量管理処理を示すフローチャートであり、
図10は、バッテリ残量管理情報74aの一例を示す説明図である。このバッテリ残量管理情報74aは、例えば管理サーバ70のHDD74に記憶されている。バッテリ残量管理情報74aには、実装ヘッド40の識別情報と、取り付け日時D1や取り外し日時D2、稼働時間などの稼動データと、バッテリ残量BLとが、対応付けて記憶されている。なお、識別情報は、例えば実装ヘッド40のシリアル番号(SN***)であり、稼動データ用メモリ46などに記憶されている。また、識別情報は、実装ヘッド40が取り付けられた部品実装機10の制御装置60が認識可能となっている。
【0046】
図9のバッテリ残量管理処理では、管理サーバ70のCPU71は、まず、各部品実装機10との通信を介して、いずれかの部品実装機10に実装ヘッド40が取り付けられたか否かを判定し(S300)、取り付けられていないと判定すると、S340に進む。CPU71は、S300で実装ヘッド40が取り付けられたと判定すると、その部品実装機10との通信を介して、取り付けられた実装ヘッド40の識別情報を取得する(S310)。続いて、CPU71は、取得した識別情報に基づいてバッテリ残量管理情報74aから必要な情報を取得し(S320)、取り付け時残量管理処理を実行して(S330)、S340に進む。例えば、CPU71は、取り付けられた実装ヘッド40の識別情報に対応する取り外し日時D2やバッテリ残量BLをバッテリ残量管理情報74aから取得して(
図4のS110に相当)、
図4と同様に取り付け時残量管理処理を実行する。また、CPU71は、取り付け時残量管理処理において、現在日時D0を取り付け日時D1として識別情報に対応付けてバッテリ残量管理情報74aに記憶させると共に、更新したバッテリ残量BLを識別情報に対応付けてバッテリ残量管理情報74aに記憶させる。
【0047】
次に、CPU71は、各部品実装機10との通信を介して、いずれかの部品実装機10から実装ヘッド40が取り外されたか否かを判定し(S340)、取り付けられていないと判定すると、バッテリ残量管理処理を終了する。CPU71は、S340で実装ヘッド40が取り外されたと判定すると、その部品実装機10との通信を介して、取り外された実装ヘッド40の識別情報を取得する(S350)。続いて、CPU71は、取得した識別情報に基づいてバッテリ残量管理情報74aから必要な情報を取得し(S360)、取り外し時残量管理処理を実行して(S370)、バッテリ残量管理処理を終了する。例えば、CPU71は、取り外された実装ヘッド40の識別情報に対応する取り付け日時D1やバッテリ残量BLをバッテリ残量管理情報74aから取得して(
図5のS210に相当)、
図5と同様に取り外し時残量管理処理を実行する。また、CPU71は、取り外し時残量管理処理において、現在日時D0を取り外し日時D2として識別情報に対応付けてバッテリ残量管理情報74aに記憶させると共に、更新したバッテリ残量BLを識別情報に対応付けてバッテリ残量管理情報74aに記憶させる。また、CPU71は、バッテリ残量BLに応じて、バッテリの残り時間Trを表示装置78に表示したり、交換タイミングである旨を表示装置78に表示する。これにより、実施形態と同様に、バックアップ用のバッテリ48のバッテリ残量BLを適切に管理することができる。なお、この変形例では、CPU71が管理部に相当し、管理サーバ70がバッテリ残量管理装置に相当する。
【0048】
ここで、本開示の実装ヘッドは、以下のように構成してもよい。例えば、本開示の実装ヘッドにおいて、前記部品実装機に着脱可能で、該部品実装機に取り付けられた取り付け状態で該部品実装機からの電力が前記エンコーダに供給されるように構成され、前記管理部は、前記取り付け状態での単位時間当たりの消費量と経過時間とに基づいて前記取り付け状態での前記バッテリの消費量を算出し、前記部品実装機から取り外されている取り外し状態での単位時間当たりの消費量と経過時間とに基づいて前記取り外し状態での前記バッテリの消費量を算出し、算出した各消費量を減算していくことによりバッテリ残量を算出するものとしてもよい。部品実装機に着脱可能な実装ヘッドのエンコーダは、部品実装機への取り付け状態と取り外し状態とでバッテリの消費量が大きく変わるから、各状態の消費量をそれぞれ算出して減算していくことで、バッテリ残量を精度よく算出することができる。このため、バッテリ残量をさらに適切に管理することができる。
【0049】
本開示の実装ヘッドにおいて、不揮発性メモリを備え、前記管理部は、前記部品実装機への取り付け日時と、前記部品実装機からの取り外し日時とを前記不揮発性メモリに記憶させるものであり、前記部品実装機から取り外される場合に、前記不揮発性メモリに記憶された前記取り付け日時と現在の日時とに基づいて前記取り付け状態での経過時間を求めて該取り付け状態での前記バッテリの消費量を算出し、前記部品実装機に取り付けられる場合に、前記不揮発性メモリに記憶された前記取り外し日時と現在の日時とに基づいて前記取り外し状態での経過時間を求めて該取り外し状態での前記バッテリの消費量を算出するものとしてもよい。こうすれば、部品実装機に着脱される度に、それまでの取り付け状態や取り外し状態の経過時間を容易に求めてバッテリの残量を適切に更新していくことができる。
【0050】
本開示の実装ヘッドにおいて、前記管理部は、前記部品実装機から取り外される場合にバッテリ残量が第1閾値以下であれば、前記所定の報知として前記バッテリの交換タイミングであることを報知し、バッテリ残量が前記第1閾値を超えて該第1閾値より大きな第2閾値以下であれば、バッテリ残量が前記第1閾値に到達するまでの残り時間を該第1閾値との差分と前記取り外し状態での単位時間当たりの消費量とに基づいて算出し、該算出した残り時間を報知するものとしてもよい。こうすれば、バッテリ残量が第1閾値以下であればバッテリの速やかな交換を作業者に促すことができる。また、バッテリ残量が第2閾値以下であれば交換用のバッテリを手配するなどの準備を作業者に促すことができる。
【0051】
また、本開示は、バッテリ残量管理装置の形態とすることもできる。即ち、本開示のバッテリ残量管理装置は、実装対象の部品の採取部材を移動させるサーボモータと、前記サーボモータの回転位置を検出して位置情報を揮発性メモリに記憶するエンコーダと、前記エンコーダにバックアップ用の電力を供給するバッテリと、を備え、部品実装機に着脱可能な実装ヘッドのバッテリ残量を管理するバッテリ残量管理装置であって、前記実装ヘッドの識別情報と経過時間とに基づいて前記実装ヘッド毎に前記バッテリの消費量を減算していくことによりバッテリ残量を算出し、該算出したバッテリ残量に関する所定の報知を行う管理部を備えることを要旨とする。
【0052】
本開示のバッテリ残量管理装置は、実装ヘッドの識別情報と経過時間とに基づいて実装ヘッド毎にバッテリの消費量を減算していくことによりバッテリ残量を算出し、算出したバッテリ残量に関する所定の報知を行う。これにより、上述した実装ヘッドと同様に、バッテリ残量を適切に管理することができる。このバッテリ残量管理装置において、上述した実装ヘッドの種々の態様や機能を実現する構成を備えてもよい。また、バッテリ残量管理装置は、実装ヘッドの識別情報に対応付けて、バッテリ残量と経過時間に関する情報とを記憶する記憶部を備えてもよい。また、バッテリ残量管理装置は、1または複数の部品実装機と通信可能に構成され、部品実装機に着脱される実装ヘッドのバッテリ残量を管理するものとしてもよい。
【0053】
また、本開示は、バッテリ残量管理方法の形態とすることもできる。即ち、本開示のバッテリ残量管理方法は、実装対象の部品の採取部材を移動させるサーボモータと、前記サーボモータの回転位置を検出して位置情報を揮発性メモリに記憶するエンコーダと、前記エンコーダにバックアップ用の電力を供給するバッテリと、を備え、部品実装機で用いられる実装ヘッドのバッテリ残量を管理するバッテリ残量管理方法であって、経過時間に基づいて前記バッテリの消費量を減算していくことによりバッテリ残量を算出し、該算出したバッテリ残量に関する所定の報知を行うことを要旨とする。
【0054】
本開示のバッテリ残量管理方法は、経過時間に基づいてバッテリの消費量を減算していくことによりバッテリ残量を算出し、算出したバッテリ残量に関する所定の報知を行う。これにより、上述した実装ヘッドと同様に、バッテリ残量を適切に管理することができる。このバッテリ残量管理方法において、上述した実装ヘッドの種々の態様や機能を実現するステップを含んでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本開示は、部品実装機や実装ヘッドの製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0056】
10 部品実装機、11 基台、12 筐体、21 部品供給装置、22 基板搬送装置、28 表示装置、31 X軸ガイドレール、32 X軸スライダ、33 X軸モータ、35 Y軸ガイドレール、36 Y軸スライダ、37 Y軸モータ、40 実装ヘッド、41 ヘッド本体、44 吸着ノズル、45 ヘッド制御部、46 稼動データ用メモリ、48 バッテリ、51 R軸モータ、52,54,56,58 エンコーダ、52a,54a,56a,58a メモリ、53 Q軸モータ、55 第1Z軸モータ、57 第2Z軸モータ、60 制御装置、61,71 CPU、62,72 ROM、63,73 RAM、64,74 HDD、65 サーボ制御部、66 R軸サーボアンプ、67 Q軸サーボアンプ、68 第1Z軸サーボアンプ、69 第2Z軸サーボアンプ、70 管理サーバ、74a バッテリ残量管理情報、76 入力装置、78 表示装置、100 電源、S 基板。