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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-06
(45)【発行日】2023-10-17
(54)【発明の名称】計測装置及び計測システム
(51)【国際特許分類】
   G04F 10/00 20060101AFI20231010BHJP
【FI】
G04F10/00 Z
G04F10/00 B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019223558
(22)【出願日】2019-12-11
(65)【公開番号】P2021092458
(43)【公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-10-06
(73)【特許権者】
【識別番号】500198210
【氏名又は名称】セイコータイムクリエーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】橋本 邦男
【審査官】榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-191172(JP,A)
【文献】特開2006-280670(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04F 7/00 - 13/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体が競技コースを周回するタイムを計測する計測装置であって、
検出範囲が狭い第1センサによる前記物体の通過の検出結果に基づいて、前記物体の移動に要する時間を第1計測結果として算出する第1算出部と、
検出範囲が前記第1センサの検出範囲より広い第2センサによる前記物体に付された識別装置の通過の検出結果に基づいて、前記識別装置の移動に要する時間を第2計測結果として算出する第2算出部と、
前記第1算出部により第1計測結果が算出されたか否かに基づいて、第1計測結果又は第2計測結果のいずれかのうち一方を確定結果として選択する選択部と、
前記選択部が選択する前記確定結果を提示する提示部と
を備え
前記選択部は、
前記第1算出部により第1計測結果が算出された場合、前記第1計測結果を確定結果として選択し、
前記第2算出部により第2計測結果が算出された後、所定期間内に前記第1算出部により第1計測結果が算出されなかった場合、前記第2計測結果を確定結果として選択し、
前記選択部が前記第2計測結果を確定結果として選択するために用いる所定期間は、前記物体が競技コースを周回するタイムと比べて短い
計測装置。
【請求項2】
前記第2センサの検出位置精度は前記第1センサの検出位置精度より低い
請求項1に記載の計測装置。
【請求項3】
前記第1算出部が前記第1計測結果を算出する有効状態と、前記第1算出部が前記第1計測結果を算出しない無効状態とを切り替える第1切替部を更に備える
請求項1から請求項2のいずれか一項に記載の計測装置。
【請求項4】
前記第2計測結果を算出する有効状態と、前記第2計測結果を算出しない無効状態とを切り替える第2切替部を更に備える
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の計測装置。
【請求項5】
前記第2算出部が算出する前記第2計測結果に基づき、前記第1センサが前記物体の通過を検出する時間を推定する推定部を更に備え、
前記提示部は、前記推定部が推定する時間を示す情報を提示する
請求項4に記載の計測装置。
【請求項6】
前記第1センサはフォトセンサであり、
前記第2センサはアンテナであり、
前記識別装置はトランスポンダである
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の計測装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の計測装置と、
前記物体の通過を検出し、前記物体が通過したことを前記第1算出部に出力する前記第1センサと、
前記物体に付された前記識別装置の通過を検出し、前記識別装置が通過したことを前記第2算出部に出力する前記第2センサと、
前記第1算出部により算出される前記第1計測結果と前記第2算出部により算出される前記第2計測結果とに基づいて前記計測装置が提示する前記確定結果を表示する表示装置と
を備える計測システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計測装置及び計測システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、選手が各種周回コースの移動を複数回行う競技において、フォトセンサにより選手の通過を検出することによりタイムを計測する技術があった(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-142359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上述したような技術によると、検出範囲の狭いフォトセンサにより計測を行うため、選手がフォトセンサの検出範囲外を通過する場合がありうる。選手がフォトセンサの検出範囲外を通過した場合には、フォトセンサによる選手の通過を検出できない。すなわち、フォトセンサによる検出ができなかった場合には、タイムが計測できないという問題が生じていた。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、フォトセンサの検出ができないことによりタイムが計測できない状況の発生を抑止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る計測装置は、物体が競技コースを周回するタイムを計測する計測装置であって、検出範囲が狭い第1センサによる前記物体の通過の検出結果に基づいて、前記物体の移動に要する時間を第1計測結果として算出する第1算出部と、検出範囲が前記第1センサの検出範囲より広い第2センサによる前記物体に付された識別装置の通過の検出結果に基づいて、前記識別装置の移動に要する時間を第2計測結果として算出する第2算出部と、前記第1算出部により第1計測結果が算出されたか否かに基づいて、第1計測結果又は第2計測結果のいずれかのうち一方を確定結果として選択する選択部と、前記選択部が選択する前記確定結果を提示する提示部とを備え、前記選択部は、前記第1算出部により第1計測結果が算出された場合、前記第1計測結果を確定結果として選択し、前記第2算出部により第2計測結果が算出された後、所定期間内に前記第1算出部により第1計測結果が算出されなかった場合、前記第2計測結果を確定結果として選択し、前記選択部が前記第2計測結果を確定結果として選択するために用いる所定期間は、前記物体が競技コースを周回するタイムと比べて短い
【0007】
また、本発明の一態様に係る計測装置は、前記第2センサの検出位置精度が前記第1センサの検出位置精度より低いセンサであってもよい。
【0008】
また、本発明の一態様に係る計測装置は、第1算出部が前記第1計測結果を算出する有効状態と、第1算出部が前記第1計測結果を算出しない無効状態とを切り替える第1切替部を更に備えていてもよい。
【0009】
また、本発明の一態様に係る計測装置は、前記第2計測結果を算出する有効状態と、前記第2計測結果を算出しない無効状態とを切り替える第2切替部を更に備えていてもよい。
【0010】
また、本発明の一態様に係る計測装置は、前記第2算出部が算出する前記第2計測結果に基づき、前記第1センサが前記個体の通過を検出する時間を推定する推定部を更に備え、前記提示部は、前記推定部が推定する時間を示す情報を提示してもよい。
【0011】
また、本発明の一態様に係る計測装置において、前記第1センサはフォトセンサであり、前記第2センサはアンテナであり、前記識別装置はトランスポンダであってもよい。
【0012】
また、本発明の一態様に係る計測システムは、上述した計測装置と、前記物体の通過を検出し、前記物体が通過したことを前記第1算出部に出力する前記第1センサと、前記物体に付された前記識別装置の通過を検出し、前記識別装置が通過したことを前記第2算出部に出力する前記第2センサと、前記第1算出部により算出される前記第1計測結果と前記第2算出部により算出される前記第2計測結果とに基づいて前記計測装置が提示する前記確定結果を表示する表示装置とを備える計測システム。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、フォトセンサの検出ができないことによりタイムが計測できない状況の発生を抑止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態における競技コース及び計測地点の一例を示す図である。
図2】実施形態におけるフォトセンサによる計測の一例を示す図である。
図3】実施形態におけるトランスポンダによる計測の一例を示す図である。
図4】第1の実施形態における計測システムの機能構成の一例を示す図である。
図5】第1の実施形態における計測装置の一連の動作の一例を示す図である。
図6】第2の実施形態における計測システムの機能構成の一例を示す図である。
図7】第3の実施形態における計測システムの機能構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[計測システム100の概要]
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、実施形態における競技コース60及び計測地点65の一例を示す図である。
この一例において、競技とは、選手が各種のコースを周回して、選手が所定距離の移動に要した時間を計測することにより着順が競われる競技全般をいう。例えば、この一例における競技は、スピードスケート、インラインスケート、ローラースケート等のスケート競技、陸上競技、水泳、スキー、リュージュ、等の各種の周回コースを選手が周回する競技を広く含む。また、この一例における競技には、選手が乗り込んだ各種車両等の着順を競う、ボブスレー、自転車レース、自動二輪車レース、自動車レース等も広く含む。また、この一例における競技には、ある地点から、別のある地点まで選手が移動する時間を競うマラソンのような競技も広く含む。
本実施形態においては、競技とはスピードスケートである場合の一例について説明する。
【0016】
競技コース60は、選手Pが走行するコースである。競技コース60は、インコース61とアウトコース62とから構成されていてもよい。インコース61とアウトコース62とを区別しない場合には、競技コース60と記載する。
選手Pは、スピードスケートの競技者である。同図においては、インコース61を選手P1が走行しており、アウトコース62を選手P2が走行している。選手P1と選手P2とを区別しない場合には、選手Pと記載する。
計測システム100は、選手Pが競技コース60を周回する場合において、選手Pが所定距離(例えば、競技コース60を1周)移動するのに要した時間を計測する。
計測地点65は、計測システム100が選手Pの通過を計測する地点である。計測システム100は、選手Pが計測地点65を通過することを検出し、検出した時間に基づいた計測を行う。
なお、種目によっては、インコース61を走行する選手P1とアウトコース62を走行する選手P2とが交差することにより、それぞれの選手Pが走行するコースが入れ替わる場合がある。この場合においても、計測システム100は、計測地点65における、選手Pの通過に基づいた計測を行う。
【0017】
計測地点65には、第1センサ及び第2センサが配置される。第1センサ及び第2センサのそれぞれのセンサは、選手Pの通過を計測する。
第1センサは、第2センサに比べて検出範囲が狭く検出位置精度が高いセンサである。第2センサは、第1センサに比べて、検出範囲が広く、検出位置精度が低いセンサである。
ここで、検出範囲とは、センサが選手Pを検出できる空間的な範囲をいう。検出範囲には、選手Pが走行する方向における空間的な範囲及び競技コース60に直行する方向における空間的な範囲が含まれる。
検出位置精度とは、選手Pが実際に計測地点65を通過する時間と、センサが選手Pを検出する時間との差のずれの度合いをいう。
【0018】
図2は、実施形態におけるフォトセンサによる計測の一例を示す図である。同図を参照しながら、フォトセンサによる計測の一例を説明する。発光側センサ71及びPB検出センサ7は、いずれも、計測地点65に備えられるセンサである。
この一例において、発光側センサ71は、インコース61とアウトコース62との間である中央線C上に備えられる。PB検出センサ7aは、同図における内線C上に配置される。PB検出センサ7bは、同図における外線C上に配置される。
以後、PB検出センサ7aとPB検出センサ7bとを区別しない場合にはPB検出センサ7と記載する。
【0019】
発光側センサ71は、競技コース60における氷面63上に設置され、PB検出センサ7a及びPB検出センサ7bに向けて、所定の波長の光を発光(または、投光。以下同じ。)する。
PB検出センサ7は、発光側センサ71と同様に氷面63上に設置され、発光側センサ71が発光する所定の光を受光(または、検出。以下同じ。)する。PB検出センサ7は、所定の光を受光しているか否かにより、選手Pが通過したか否かを検出する。この一例において、PB検出センサ7が地点C1に設置されている場合、PB検出センサ7の検出可能な範囲を検出範囲D1とする。この場合において、PB検出センサ7は、選手Pが検出範囲D1に存在している場合に、選手Pを検出する。以後、PB検出センサ7を、第1センサとも記載する。PB検出センサ7は、第1センサがフォトセンサである場合の一例である。
なお、第1センサは、第2センサに比べて検出範囲が狭く検出位置精度が高いセンサであればよく、フォトセンサである一例に限定されない。
【0020】
図3は、実施形態におけるトランスポンダによる計測の一例を示す図である。同図を参照しながら、トランスポンダによる計測の一例を説明する。TP検出センサ8は、計測地点65に備えられるセンサである。
この一例において、選手Pは、トランスポンダ80aを一方の足に、トランスポンダ80bを他方の足にそれぞれ装着している。トランスポンダ80aとトランスポンダ80bとを区別しない場合には、トランスポンダ80と記載する。具体的には、トランスポンダ80は、電源を有さず、外部から供給される電力を用いて駆動されるパッシブタグ(RFIDチップ)等であってもよい。
なお、トランスポンダ80は、電源を有さないパッシブタグである一例に限定されず、例えばアクティブタグのような、トランスポンダ80自身に電源を有するような構成であってもよい。
【0021】
TP検出センサ8は、競技コース60における氷面63の下に埋設される。TP検出センサ8は、トランスポンダ80が所定の範囲を通過したことを検出する。TP検出センサ8が地点C2に埋設されている場合において、TP検出センサ8がトランスポンダ80を検出可能な範囲を検出範囲D2とする。この場合において、TP検出センサ8は、トランスポンダ80が検出範囲D2に存在している場合に、トランスポンダ80を検出する。以後、TP検出センサ8を第2センサとも記載する。TP検出センサ8は、第2センサがトランスポンダを検出するアンテナである場合の一例である。
TP検出センサ8は電波を検出するセンサであるため、TP検出センサ8の検出範囲D2は、フォトセンサであるPB検出センサ7(第1センサ)の検出範囲D1より広い。また、TP検出センサ8の検出位置精度は、PB検出センサ7(第1センサ)の検出位置精度より低い。
【0022】
PB検出センサ7と、TP検出センサ8とが設置される計測地点65は、競技におけるゴールラインであってもよいし、途中経過を計測するラップラインであってもよい。計測装置1が計測する選手Pが移動する所定の距離は、計測地点65から計測地点65までの距離であってもよい。
なお、計測の始点は、選手Pが計測地点65を通過した時点でもよいし、不図示のスタートピストルによる号砲、または不図示のスタートピストルによる電子的な信号であってもよい。
【0023】
[第1の実施形態]
図4は、第1の実施形態における計測システム100の機能構成の一例を示す図である。同図を参照しながら計測システム100について説明する。
計測システム100は、PB検出センサ7と、TP検出センサ8と、計測装置1と、表示装置41とを備える。
【0024】
PB検出センサ7は、図2において説明した、計測地点65に備えられるフォトセンサである。PB検出センサ7は、選手Pの通過を検出すると、検出した結果をPB検出情報IPB1として計測装置1に出力する。
TP検出センサ8は、図3において説明した、計測地点65に備えられるトランスポンダの発する信号を検出するアンテナである。TP検出センサ8は、トランスポンダ80を装着した選手Pの通過を検出すると、検出した結果をTP検出情報ITP1として計測装置1に出力する。
計測装置1は、PB検出センサ7からPB検出情報IPB1を、TP検出センサ8からTP検出情報ITP1を、それぞれ取得する。計測装置1は、取得したPB検出情報IPB1と、TP検出情報ITP1とに基づき、確定計測情報Iを表示装置41に提示する。
表示装置41は、計測装置1から確定計測情報Iを取得し、取得した確定計測情報Iを表示する。表示装置41は、例えば、液晶ディスプレイや、LEDディスプレイ等の表示装置であってもよい。
【0025】
計測装置1は、PB算出部10と、TP算出部20と、選択部30と、提示部40とを備える。以後、PB算出部10を第1算出部と、TP算出部20を第2算出部とも記載する。
【0026】
PB算出部10は、PBセンサ情報取得部11と、PB演算部12とを備える。
PBセンサ情報取得部11は、PB検出センサ7からPB検出情報IPB1を取得する。PBセンサ情報取得部11は、取得したPB検出情報IPB1をPB演算部12に出力する。
PB演算部12は、CPU121と、記憶部122と、タイマカウンタ123とを備える。PB演算部12は、取得したPB検出情報IPB1に基づき、選手Pが所定距離移動するのに要した時間を算出する。この一例において、所定距離とは、競技コース60を1周走行する距離である。例えば、選手Pが競技コース60を複数周走行する場合、CPU121は、PB検出情報IPB1を取得する毎に、PB検出情報IPB1を取得した時間を記憶部122に記憶させる、CPU121は、記憶部122に記憶された時間の差を演算することにより、選手Pが所定距離(この場合は競技コース60を1周)移動するのに要した時間を算出する。PB演算部12は、算出した結果をPB計測情報IPB2として選択部30に出力する。PB計測情報IPB2を、第1計測結果とも記載する。
つまり、PB算出部10(第1算出部)は、PB検出センサ7(第1センサ)による物体の通過の検出結果に基づいて、物体が所定距離(この場合は競技コース60を1周)の移動に要する時間をPB計測情報IPB2(第1計測結果)として算出する。
【0027】
TP算出部20は、TPセンサ情報取得部21と、TP演算部22とを備える。
TPセンサ情報取得部21は、TP検出センサ8からTP検出情報ITP1を取得する。TPセンサ情報取得部21は、取得したTP検出情報ITP1をTP演算部22に出力する。
TP演算部22は、CPU221と、記憶部222と、タイマカウンタ223とを備える。TP演算部22は、取得したTP検出情報ITP1に基づき、選手Pが所定距離移動するのに要した時間を算出する。例えば、選手Pが競技コース60を複数周走行する場合、CPU221は、TP検出情報ITP1を取得する毎に、TP検出情報ITP1を取得した時間を記憶部222に記憶させる、CPU221は、記憶部222に記憶された時間の差を演算することにより、選手Pが所定距離(この場合は競技コース60を1周)移動するのに要した時間を算出する。TP演算部22は、算出した結果をTP計測情報ITP2として、選択部30に出力する。TP計測情報ITP2を、第2計測結果とも記載する。
つまり、TP算出部20(第2算出部)は、TP検出センサ8(第2センサ)による物体に付されたトランスポンダ80(識別装置)の通過の検出結果に基づいて、トランスポンダ80(識別装置)が所定距離(この場合は競技コース60を1周)の移動に要する時間をTP計測情報ITP2(第2計測結果)として算出する。
【0028】
選択部30は、PB算出部10からPB計測情報IPB2を取得し、TP算出部20からTP計測情報ITP2を取得する。選択部30は、取得したPB計測情報IPB2(第1計測結果)又はTP計測情報ITP2(第2計測結果)のいずれかのうち一方を確定計測情報I(確定結果)として選択し、提示部40に出力する。
具体的には、選択部30は、PB算出部10(第1算出部)によりPB計測情報IPB2(第1計測結果)が算出されたか否かに基づいて、選択を行う。より具体的には、選択部30は、PB算出部10(第1算出部)によりPB計測情報IPB2(第1計測結果)が算出された場合には、PB計測情報IPB2(第1計測結果)を確定計測情報I(確定結果)として選択し、提示部40に出力する。
【0029】
提示部40は、取得した確定計測情報Iを、表示装置41に表示させる。つまり、提示部40は、選択部30が選択する確定計測情報I(確定結果)を提示する。
なお、提示部40と、表示装置41とは有線により接続されていてもよいし、所定の無線通信により接続されていてもよい。
【0030】
ここで、PB検出センサ7は、TP検出センサ8よりも検出範囲が狭く、TP検出センサ8よりも検出位置精度が高い。PB検出センサ7は、検出位置精度が高いため、選択部30は、優先的にPB検出センサ7による計測結果を選択する。
一方、PB検出センサ7は、検出範囲が狭いため、例えば、選手がPB検出センサ7の検出範囲D1を飛び越えたりすることにより、選手Pの通過を検出できないことがある。選択部30は、PB検出センサ7により計測されない場合、TP検出センサ8による計測結果を選択する。
以後、選手がPB検出センサ7の検出範囲D1を飛び越えたりすることで選手Pの通過を検出できないことにより、PB検出センサ7による計測結果が得られないことを、計測ミスと記載する。
【0031】
図5は、第1の実施形態における計測装置1の一連の動作の一例を示す図である。同図を参照しながら、計測装置1の一連の動作について説明する。
(ステップS12)計測装置1が、検出結果を取得する。PB検出センサ7は、選手Pの通過を検出すると、PB検出情報IPB1を出力する。PB算出部10が、PB検出情報IPB1を取得した場合(つまり、ステップS12;YES)には、処理をステップS16に進める。TP検出センサ8は、トランスポンダ80の発する信号を検出すると、TP検出情報ITP1を出力する。TP算出部20が、TP検出情報ITP1を取得した場合(つまり、ステップS12;NO)には、処理をステップS14に進める。
【0032】
(ステップS14)TP算出部20がTP検出情報ITP1を取得してから、所定期間内に、PB検出センサがPB検出情報IPB1を取得した場合(つまり、ステップS14;YES)には、処理をステップS16に進める。TP算出部20がTP検出情報ITP1を取得してから、所定期間内に、PB検出センサがPB検出情報IPB1を取得しない場合、すなわち、PB検出センサ7が計測ミスであり、TP検出センサ8のみが選手Pの通過を検出した場合(つまり、ステップS14;NO)には、処理をステップS18に進める。ここで、所定期間とは、選手Pが競技コース60を周回する時間に基づいて決定されてもよい。所定期間は、選手Pが競技コース60を周回する時間に比べて短い時間である。例えば、所定期間とは5秒である。
【0033】
(ステップS16)選択部30は、PB計測情報IPB2を確定計測情報Iとして選択する。選択部30は、確定計測情報Iを提示部40に出力し、処理を終了する。
(ステップS18)選択部30は、TP計測情報ITP2を確定計測情報Iとして選択する。選択部30は、確定計測情報Iを提示部40に出力し、処理を終了する。
【0034】
[第2の実施形態]
図6は、第2の実施形態における計測システム100Aの機能構成の一例を示す図である。同図を参照しながら計測システム100Aについて説明する。計測システム100Aは、計測システム100の一例である。計測装置1Aは、計測装置1の一例である。
第2の実施形態における計測システム100Aは、PB許可選択装置75と、TP不検出時間記憶部85とを更に備える点において、計測システム100と異なる。
PB算出部10Aは、PB許可スイッチ13を更に備える点において、PB算出部10と異なる。
TP算出部20Aは、TP許可スイッチ23を更に備える点において、TP算出部20と異なる。
以下、計測装置1が備える機能と同様の機能をもつものは図4と同じ符号を付すことで説明を省略する。
【0035】
PB許可選択装置75は、PB検出センサ7の出力を有効に扱うか否かを選択する装置である。例えば、PB許可選択装置75はオペレータに操作される押しボタンスイッチ等の入力装置である。
ここで、フォトセンサは、複数の選手Pが同時に通過した場合において、それぞれの選手Pを区別して判定することができない場合がある。PB検出センサ7がフォトセンサである一例において、競技によっては、1つのコースに複数の選手Pが同時に通過したような場合、PB検出センサ7は正確に選手Pの通過するタイムを計測できないことがある。
例えば、スピードスケートにおいて、複数の選手が同時にPB検出センサ7を通過した場合、PB検出センサ7は、それぞれの選手の通過を検出できない場合がある。
PB許可選択装置75は、PB許可選択装置75が選択されると、PB許可情報IPBEとして、PB許可選択装置75が選択されたことを示す情報を計測装置1に出力する。
計測システム100Aは、PB許可選択装置75が選択された場合において、PB検出センサ7の出力を無効として扱う。
【0036】
PB許可スイッチ13は、PBセンサ情報取得部11と、PB演算部12との間に接続され、PBセンサ情報取得部11とPB演算部12との接続状態を切り替える。具体的には、PB許可スイッチ13がオン状態である場合、PBセンサ情報取得部11からPB演算部12に、PB検出情報IPB1が出力可能である。PB許可スイッチ13がオフ状態である場合、PBセンサ情報取得部11からPB演算部12に、PB検出情報IPB1が出力されない。
PB許可スイッチ13がオン状態である場合、PB演算部12はPB検出情報IPB1を取得可能な状態であるため、PB算出部10AはPB計測情報IPB2を算出する。PB算出部10AがPB計測情報IPB2を算出可能な状態を有効状態と記載する。PB許可スイッチ13がオフ状態である場合、PB演算部12はPB検出情報IPB1を取得可能でないため、PB算出部10AはPB計測情報IPB2を算出しない。PB算出部10AがPB計測情報IPB2を算出可能でない状態を無効状態と記載する。
つまり、PB許可スイッチ13(第1切替部)は、PB算出部10A(第1算出部)がPB計測情報IPB2(第1計測結果)を算出する有効状態と、PB算出部10A(第1算出部)がPB計測情報IPB2(第1計測結果)を算出しない無効状態とを切り替える。
PB許可スイッチ13のオン状態とオフ状態とは、PB許可選択装置75により、制御される。
なお、PB許可スイッチ13は、ハードウェアにより構成されていてもよいし、ソフトウェアによって実現されていてもよい。
【0037】
TP不検出時間記憶部85は、TP検出センサ8の出力を有効に扱うか否かを決定するTP不検出時間を記憶する記憶部である。
ここで、TP検出センサ8は、選手Pが計測地点65を通過すると予測されるタイミング以外では、無効にしておくことが望ましい。選手Pが計測地点65を通過すると予測されるタイミング以外において、TP検出センサ8を有効にしておくと、TP検出センサ8は誤検出をしてしまう恐れがある。したがって、選手Pが計測地点65を通過するタイミング以外のタイミングにおいて、TP検出センサ8を無効にしておくことにより、誤検出を抑止することができる。
例えば、選手Pが競技コース60を周回するスピードスケートのような競技において、選手Pが計測地点65を通過してから、次に同一の選手Pが計測地点65を通過するまでの時間は、予測することができる。この一例においては、選手Pが競技コース60を1周するのに要すると予測される時間(所定時間)をTP不検出時間記憶部85に記憶しておくことにより、計測装置1Aは、選手Pが計測地点65を通過してからTP不検出時間記憶部85に記憶された所定時間、TP検出センサ8を無効にする。
【0038】
TP許可スイッチ23は、TPセンサ情報取得部21と、TP演算部22との間に接続され、TPセンサ情報取得部21とTP演算部22との接続状態を切り替える。具体的には、TP許可スイッチ23がオン状態である場合、TPセンサ情報取得部21からTP演算部22に、TP検出情報ITP1が出力可能である。TP許可スイッチ23がオフ状態である場合、TPセンサ情報取得部21からTP演算部22に、TP検出情報ITP1が出力されない。
TP許可スイッチ23がオン状態である場合、TP演算部22はTP検出情報ITP1を取得することができるため、TP算出部20AはTP計測情報ITP2を算出することができる。TP算出部20AがTP計測情報ITP2を算出することができる状態を有効状態と記載する。TP許可スイッチ23がオフ状態である場合、TP演算部22はTP検出情報ITP1を取得することができないため、TP算出部20AはTP計測情報ITP2を算出することができない。TP算出部20AがTP計測情報ITP2を算出することができない状態を無効状態と記載する。
つまり、TP許可スイッチ23(第2切替部)は、TP算出部20A(第1算出部)がTP計測情報ITP2(第2計測結果)を算出する有効状態と、TP算出部20A(第2算出部)がTP計測情報ITP2(第2計測結果)を算出しない無効状態とを切り替える。
TP許可スイッチ23がTP計測情報ITP2を検出してから、オフ状態を維持し続ける時間は、TP不検出時間記憶部85に記憶される所定時間により、決定される。TP許可スイッチ23は、オフ状態を維持し続ける時間である所定時間をTP不検出時間記憶部85から、TP許可情報ITPEとして取得する。
なお、TP許可スイッチ23は、ハードウェアにより構成されていてもよいし、ソフトウェアによって実現されていてもよい。
【0039】
[第3の実施形態]
図7は、第3の実施形態における計測システム100Bの機能構成の一例を示す図である。同図を参照しながら計測システム100Bについて説明する。計測システム100Bは、計測システム100の一例である。計測装置1Bは、計測装置1の一例である。
第3の実施形態における計測装置1Bは、推定部50を更に備える。
【0040】
推定部50は、選手Pが計測地点65を通過する時間の推定を行う。
ここで、PB許可選択装置75は、オペレータによって操作される。オペレータは、選手Pが競技コース60のどの辺りを走行しているか目視により認識し、選手Pが計測地点65に近づいてきた場合には、PB許可選択装置75を操作する。本実施形態においては、推定部50を備えることにより、選手Pが計測地点65を通過するタイミングを予測し、提示部40に出力する。
【0041】
推定部50は、TP算出部20からTP計測情報ITP2を取得する。推定部50は、取得したTP算出部20(第2算出部)が算出するTP計測情報ITP2(第2計測結果)に基づき、選手Pが計測地点65を通過するタイミング(時間)を予測する。選手Pが計測地点65を通過するタイミングとは、PB検出センサ7(第1センサ)が選手P(物体)の通過するタイミングである。推定部50は、予測した選手Pが計測地点65を通過するタイミングを、推測計測情報IETとして提示部40に出力する。
【0042】
提示部40は、推定部50から推測計測情報IETを取得する。提示部40は、取得した推測計測情報IETに示される時間を示す情報を表示装置41に表示させる。
なお、表示装置41が行う表示は、計測地点65を通過するタイミングを表示する一例に限定されず、計測地点65を通過するタイミングまでカウントダウンにより通知するよう構成してもよい。例えば、表示装置41は、選手Pが計測地点65を通過すると予測されるタイミングの10秒前から、カウントダウンを行う。オペレータは、表示装置41によるカウントダウンと、実際の競技状況から、PB許可選択装置75の操作を行うことができる。
【0043】
なお、表示装置41が行う表示は、上述したカウントダウンによる通知の一例に限られず、「まもなく選手が通過します。」等の文字情報による通知方法であってもよいし、「まもなく選手が通過します。」と音声により読み上げる通知方法又はブザーオン音等の音情報による通知方法であってもよいし、色彩からなる情報(例えば選手Pが計測地点65に近づくごとに色を緑から、橙、赤と変化させる等)を表示することによる通知方法等であってもよい。
【0044】
なお、TP不検出時間記憶部85に記憶される所定時間に代えて、推定部50により推測される推測計測情報IETを用いて、TP許可スイッチ23のオン状態とオフ状態とを制御するよう構成してもよい。このように構成することにより、競技に合わせた所定の時間により、TP許可スイッチ23を制御することができる。
【0045】
[実施形態の効果のまとめ]
以上説明したように、本実施形態の計測装置1は、PB算出部10と、TP算出部20とを備えることにより、PB検出センサ7からPB検出情報IPB1を取得し、TP検出センサ8からTP検出情報ITP1を取得する。計測装置1は、選択部30を備えることにより、PB検出センサ7に基づく計測結果又はTP検出センサ8に基づく計測結果のうちいずれか一方を選択する。
選択部30は、PB検出センサ7により計測結果が算出された場合には、優先的にPB検出センサ7による計測結果であるPB計測情報IPB2を確定計測情報Iとして出力する。つまり、選択部30は、優先してPB算出部10に基づく計測結果を選択することにより、検出位置精度が高いPB検出センサ7による計測結果を優先して用いることができる。また、選択部30は、PB検出センサ7により計測ができなかった場合においても、TP検出センサ8による計測結果を用いることができる。
したがって、本実施形態の計測装置1によれば、優先的にPB検出センサ7による計測結果を用いることができ、PB検出センサ7により計測がされなかった場合には、TP検出センサ8による計測結果を用いることができる。
【0046】
また、本実施形態の計測装置1は、PB許可スイッチ13を更に備える。計測装置1は、PB許可選択装置75が操作されたことにより、PB許可スイッチ13の接続状態を切り替える。PB許可選択装置75は、混戦状態の場合(複数の選手が同時に計測地点65を横切るような場合)には、PB許可選択装置75が操作される。計測装置1は、PB許可選択装置75が操作された場合には、PB許可スイッチ13の接続状態を非接続状に制御する。
したがって、本実施形態の計測装置1によれば、PB許可スイッチ13を備えることにより、混戦状態になっている場合に、PB検出センサ7による計測結果を用いないことができる。
【0047】
また、本実施形態の計測装置1は、TP許可スイッチ23を更に備える。計測装置1は、TP不検出時間記憶部85に記憶される所定時間に基づき、TP許可スイッチ23の接続状態を切り替える。TP不検出時間記憶部85に記憶される所定時間は、選手Pが計測地点65を通過すると予測されるタイミングである。TP許可スイッチ23は、選手Pが計測地点65を通過すると予測されるタイミング以外のタイミングにおいては非接続状態に制御される。
したがって、本実施形態の計測装置1によれば、TP許可スイッチ23を備えることにより、所定の不検出時間を設けることができる。したがって、計測装置1は、TP検出センサ8による計測をしないタイミングにおいて、ノイズの影響をなくすことができる。
【0048】
また、本実施形態の計測装置1は、推定部50を更に備える。推定部50は、選手Pが計測地点65を通過するタイミングを予測し、提示部40に出力する。提示部40は、所定の方法により、選手Pが計測地点65を通過するタイミングを表示させる。
したがって、本実施形態の計測装置1によれば、推定部50を備えることにより、オペレータに、選手Pが計測地点65を通過するタイミングを通知することができる。
【0049】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【0050】
本実施例において、第2センサは、第1センサに比べて検出範囲が広く検出位置精度が低いセンサである場合を説明したが、第2センサは第1センサに比べて検出範囲が広いセンサであればよい。これにより、第1センサの検出ができないことによりタイムが計測できない状況の発生を抑止することができる。
【符号の説明】
【0051】
100…計測システム、1…計測装置、60…競技コース、65…計測地点、P…選手、61…インコース、62…アウトコース、71…発光側センサ、7…PB検出センサ、80…トランスポンダ、8…TP検出センサ、63…氷面、10…PB算出部、11…PBセンサ情報取得部、12…PB演算部、13…PB許可スイッチ、20…TP算出部、21…TPセンサ情報取得部、22…TP演算部、23…TP許可スイッチ、50…推定部、75…PB許可選択装置、85…TP不検出時間記憶部、30…選択部、40…提示部、41…表示装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7