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特許7362503割当装置、それを備えた基地局、コンピュータに実行させるためのプログラムおよびプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-06
(45)【発行日】2023-10-17
(54)【発明の名称】割当装置、それを備えた基地局、コンピュータに実行させるためのプログラムおよびプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体
(51)【国際特許分類】
   H04W 72/543 20230101AFI20231010BHJP
   H04W 72/52 20230101ALI20231010BHJP
【FI】
H04W72/543
H04W72/52
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020025245
(22)【出願日】2020-02-18
(65)【公開番号】P2021132252
(43)【公開日】2021-09-09
【審査請求日】2022-12-06
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)総務省令和元年8月22日付け令和元年度0155-0224「第5世代移動通信システムの更なる高度化に向けた研究開発」技術課題ア-1-(2)サービス品質の維持が可能なネットワーク制御方式に関連、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】393031586
【氏名又は名称】株式会社国際電気通信基礎技術研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100112715
【弁理士】
【氏名又は名称】松山 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】玉井 森彦
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 晃朗
(72)【発明者】
【氏名】横山 浩之
【審査官】桑原 聡一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/164738(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0394830(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0037386(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24-7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のサービス品質要求を有する必須データと、前記第1のサービス品質要求と異なる第2のサービス品質要求を有する任意データとからなるデータを扱うアプリケーションからのフローに無線リソースを割り当てる割当装置であって、
前記必須データを含み、かつ、同一の第1のサービス品質フロー識別子が付与された第1のパケットによって構成される第1のフローと、前記任意データを含み、かつ、前記第1のサービス品質フロー識別子と異なる同一の第2のサービス品質フロー識別子が付与された第2のパケットによって構成される第2のフローとを受信する受信手段と、
サービス品質フロー識別子とサービス品質プロファイルとの対応関係に基づいて、前記受信手段によって受信された第1のフローに付与された前記第1のサービス品質フロー識別子に対応するサービス品質プロファイル内の第1のサービス品質識別子と前記受信手段によって受信された第2のフローに付与された前記第2のサービス品質フロー識別子に対応するサービス品質プロファイル内の第2のサービス品質識別子とを検出する検出手段と、
前記検出手段によって検出された第1のサービス品質識別子が帯域保障型の無線リソースを割り当てることを示す第1の値からなるとき、前記第1および第2のフローのうち、前記第1のフローを少なくとも受信したことを検知し、利用可能な無線リソースの少なくとも一部の無線リソースを前記第1のフローに優先的に割り当てる第1の割当処理を少なくとも実行する割当手段とを備え、
前記利用可能な無線リソースのリソース量は、前記第1のフローを送信先の端末装置の全てに送信するために必要である第1の無線リソースのリソース量と前記第2のフローを送信先の端末装置の全てに送信するために必要である第2の無線リソースのリソース量との和以下であり、かつ、前記第1の無線リソースのリソース量以上である、割当装置。
【請求項2】
前記割当手段は、前記検出手段によって検出された第1のサービス品質識別子が前記第1の値からなり、かつ、前記検出手段によって検出された第2のサービス品質識別子が非帯域保障型の無線リソースを割り当てることを示す第2の値からなるとき、前記第1および第2のフローの両方が受信されたことを検知し、前記第1の割当処理を実行するとともに、更に、前記利用可能な無線リソースのリソース量から前記第1の無線リソースのリソース量を減算した減算結果からなる残存無線リソース量が零よりも大きいとき、前記残存無線リソース量を有する残存無線リソースを前記第1のフローよりも低い優先度で前記第2のフローに割り当てる第2の割当処理を実行する、請求項1に記載の割当装置。
【請求項3】
前記割当手段は、前記第2の割当処理において、前記残存無線リソース量が前記第2の無線リソースのリソース量に等しいとき、前記残存無線リソースを前記第1のフローよりも低い優先度で前記第2のフローに割り当て、前記残存無線リソース量が零よりも大きく、かつ、前記第2の無線リソースのリソース量に一致しないとき、前記残存無線リソース量を前記第2のフローを受信する端末装置の個数で除算した除算結果からなる単位残存無線リソース量を有する無線リソースが1個の端末装置へ送信される前記第2のフローに割り当てられるように全ての端末装置へ送信される前記第2のフローの全体に前記残存無線リソース量を有する無線リソースを割り当てる、請求項2に記載の割当装置。
【請求項4】
前記割当手段は、前記利用可能な無線リソースのリソース量から前記第1の無線リソースのリソース量を減算した減算結果からなる残存無線リソース量が零であるとき、前記第1の割当処理のみを実行する、請求項1に記載の割当装置。
【請求項5】
前記受信手段は、前記第1および第2のフローをコアネットワークから受信する前に、更に、前記サービス品質フロー識別子と前記サービス品質プロファイルとの対応関係を前記コアネットワークから受信し、
前記検出手段および前記割当手段は、前記受信手段によって受信された前記対応関係を予め保持している、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の割当装置。
【請求項6】
前記必須データは、会議の音声データであり、前記任意データは、会議の動画データである、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の割当装置。
【請求項7】
前記必須データは、動画の視聴を可能にするデータであり、
前記任意データは、高画質の動画の視聴を可能にするデータである、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の割当装置。
【請求項8】
前記第1の無線リソースのリソース量は、前記第1のフローを前記送信先の端末装置へ送信するために必要な第1の基本無線リソース量に前記第1のフローを受信する端末装置の個数を乗算した乗算結果からなり、
前記第2の無線リソースのリソース量は、前記第2のフローを前記送信先の端末装置へ送信するために必要な第2の基本無線リソース量に前記第2のフローを受信する端末装置の個数を乗算した乗算結果からなる、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の割当装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の割当装置を備える基地局。
【請求項10】
第1のサービス品質要求を有する必須データと、前記第1のサービス品質要求と異なる第2のサービス品質要求を有する任意データとからなるデータを扱うアプリケーションからのフローへの無線リソースの割当をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
受信手段が、前記必須データを含み、かつ、同一の第1のサービス品質フロー識別子が付与された第1のパケットによって構成される第1のフローと、前記任意データを含み、かつ、前記第1のサービス品質フロー識別子と異なる同一の第2のサービス品質フロー識別子が付与された第2のパケットによって構成される第2のフローとを受信する第1のステップと、
検出手段が、サービス品質フロー識別子とサービス品質プロファイルとの対応関係に基づいて、前記第1のステップにおいて受信された第1のフローに付与された前記第1のサービス品質フロー識別子に対応するサービス品質プロファイル内の第1のサービス品質識別子と前記第1のステップにおいて受信された第2のフローに付与された前記第2のサービス品質フロー識別子に対応するサービス品質プロファイル内の第2のサービス品質識別子とを検出する第2のステップと、
割当手段が、前記第2のステップにおいて検出された第1のサービス品質識別子が帯域保障型の無線リソースを割り当てることを示す第1の値からなるとき、前記第1および第2のフローのうち、前記第1のフローを少なくとも受信したことを検知し、利用可能な無線リソースの少なくとも一部の無線リソースを前記第1のフローに優先的に割り当てる第1の割当処理を少なくとも実行する第3のステップとをコンピュータに実行させ、
前記利用可能な無線リソースのリソース量は、前記第1のフローを送信先の端末装置の全てに送信するために必要である第1の無線リソースのリソース量と前記第2のフローを送信先の端末装置の全てに送信するために必要である第2の無線リソースのリソース量との和以下であり、かつ、前記第1の無線リソースのリソース量以上である、コンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項11】
前記割当手段は、前記第3のステップにおいて、前記第2のステップにおいて検出された第1のサービス品質識別子が前記第1の値からなり、かつ、前記第2のステップにおいて検出された第2のサービス品質識別子が非帯域保障型の無線リソースを割り当てることを示す第2の値からなるとき、前記第1および第2のフローの両方が受信されたことを検知し、前記第1の割当処理を実行するとともに、更に、前記利用可能な無線リソースのリソース量から前記第1の無線リソースのリソース量を減算した減算結果からなる残存無線リソース量が零よりも大きいとき、前記残存無線リソース量を有する残存無線リソースを前記第1のフローよりも低い優先度で前記第2のフローに割り当てる第2の割当処理を実行する、請求項10に記載のコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項12】
前記割当手段は、前記第3のステップにおいて、前記第2の割当処理において、前記残存無線リソース量が前記第2の無線リソースのリソース量に等しいとき、前記残存無線リソースを前記第1のフローよりも低い優先度で前記第2のフローに割り当て、前記残存無線リソース量が零よりも大きく、かつ、前記第2の無線リソースのリソース量に一致しないとき、前記残存無線リソース量を前記第2のフローを受信する端末装置の個数で除算した除算結果からなる単位残存無線リソース量を有する無線リソースが1個の端末装置へ送信される前記第2のフローに割り当てられるように全ての端末装置へ送信される前記第2のフローの全体に前記残存無線リソース量を有する無線リソースを割り当てる、請求項11に記載のコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項13】
前記割当手段は、前記第3のステップにおいて、前記利用可能な無線リソースのリソース量から前記第1の無線リソースのリソース量を減算した減算結果からなる残存無線リソース量が零であるとき、前記第1の割当処理のみを実行する、請求項10に記載のコンュータに実行させるためのプログラム。
【請求項14】
前記受信手段は、前記第1および第2のフローをコアネットワークから受信する前に、更に、前記サービス品質フロー識別子と前記サービス品質プロファイルとの対応関係を前記コアネットワークから受信し、
前記検出手段および前記割当手段は、前記受信手段によって受信された前記対応関係を予め保持している、請求項10から請求項13のいずれか1項に記載のコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項15】
前記必須データは、会議の音声データであり、前記任意データは、会議の動画データである、請求項10から請求項14のいずれか1項に記載のコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項16】
前記必須データは、動画の視聴を可能にするデータであり、
前記任意データは、高画質の動画の視聴を可能にするデータである、請求項10から請求項14のいずれか1項に記載のコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項17】
前記第1の無線リソースのリソース量は、前記第1のフローを前記送信先の端末装置へ送信するために必要な第1の基本無線リソース量に前記第1のフローを受信する端末装置の個数を乗算した乗算結果からなり、
前記第2の無線リソースのリソース量は、前記第2のフローを前記送信先の端末装置へ送信するために必要な第2の基本無線リソース量に前記第2のフローを受信する端末装置の個数を乗算した乗算結果からなる、請求項10から請求項16のいずれか1項に記載のコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項18】
請求項10から請求項17のいずれか1項に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、割当装置、それを備えた基地局、コンピュータに実行させるためのプログラムおよびプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
5G(第5世代移動通信システム)では、スマートフォン、IoT(Internet of Thing)デバイス、ロボットおよびスマートカー等の多種多様なデバイスがネットワークに接続されることから、様々なQoS(Quality of Service)要求を有するアプリケーションのトラフィックを収容することが求められる。
【0003】
QoS要求の多様化の一つの形態として、一つのアプリケーションのトラフィックがQoS要求の異なる複数のパケットから構成される場合が想定される。
【0004】
そのようなアプリケーションの例として、段階的に品質を向上可能なコーデックを用いたビデオ配信が挙げられる。具体的には、動画データ全体が、動画の視聴に最低限必要なデータを送信する基本品質パケットと、基本品質パケットを全て受信した上で、更に受信できた場合に視聴品質を向上可能なデータを送信する拡張品質パケットの2種類のパケットにより構成されている場合がある(非特許文献1,2)。
【0005】
5Gの標準アーキテクチャでは、多様なQoS要求が混在したトラフィック全体から個々のフロー(同一のQoS要求と見做せるパケットの集合)を識別し、フローごとに、そのフローのQoS要求に応じた無線リソースを割り当てる仕組みが用意されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【文献】H. Schwarz, D. Marpe, T. Wiegand, “Overview of Scalable Video Coding Extension of the H.264/AVC Standard,” IEEE Transactions on Circuits and Systems for Video Technology, Vol. 17, No.9, pp.1103-1120, 2007.
【文献】A. Elgabli, V. Aggarwal, S. Hao, F. Qian, S. Sen, “LBP: Robust Rate Adaptation Algorithm for SVC Video Streaming,” IEEE/ACM Transactions on Networking, Vol. 26, No.4, pp.1633-1645, 2018.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、これまでの多くの研究では、個々のアプリケーションごとのQoS要求に応じて無線リソースを割り当てることは考慮されてきたが、一つのアプリケーションが送信するトラフィック内に異なるQoS要求を持つパケットが混在する場合については、十分な検討が行われていない。そのため、トラフィック全体に対して同種の無線リソースを割り当てると、無線リソース量が不足する状況においては、アプリケーションの動作に必須な基本品質パケットにおいてパケットロスが生じ、アプリケーションの実行が停止する端末が生じるという問題がある。
【0008】
そこで、この発明の実施の形態によれば、異なるQoS要求を持つパケットが混在する場合にアプリケーションの実行を継続可能なように無線リソースを割り当てる割当装置を提供する。
【0009】
また、この発明の実施の形態によれば、異なるQoS要求を持つパケットが混在する場合にアプリケーションの実行を継続可能なように無線リソースを割り当てる割当装置を備える基地局を提供する。
【0010】
更に、この発明の実施の形態によれば、異なるQoS要求を持つパケットが混在する場合にアプリケーションの実行を継続可能なように無線リソースの割当をコンピュータに実行させるためのプログラムを提供する。
【0011】
更に、この発明の実施の形態によれば、異なるQoS要求を持つパケットが混在する場合にアプリケーションの実行を継続可能なように無線リソースの割当をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(構成1)
この発明の実施の形態によれば、割当装置は、第1のサービス品質要求を有する必須データと、第1のサービス品質要求と異なる第2のサービス品質要求を有する任意データとからなるデータを扱うアプリケーションからのフローに無線リソースを割り当てる割当装置であって、受信手段と、検出手段と、割当手段とを備える。受信手段は、必須データを含み、かつ、同一の第1のサービス品質フロー識別子が付与された第1のパケットによって構成される第1のフローと、任意データを含み、かつ、第1のサービス品質フロー識別子と異なる同一の第2のサービス品質フロー識別子が付与された第2のパケットによって構成される第2のフローとを受信する。検出手段は、サービス品質フロー識別子とサービス品質プロファイルとの対応関係に基づいて、受信手段によって受信された第1のフローに付与された第1のサービス品質フロー識別子に対応するサービス品質プロファイル内の第1のサービス品質識別子と受信手段によって受信された第2のフローに付与された第2のサービス品質フロー識別子に対応するサービス品質プロファイル内の第2のサービス品質識別子とを検出する。割当手段は、検出手段によって検出された第1のサービス品質識別子が帯域保障型の無線リソースを割り当てることを示す第1の値からなるとき、第1および第2のフローのうち、第1のフローを少なくとも受信したことを検知し、利用可能な無線リソースの少なくとも一部の無線リソースを第1のフローに優先的に割り当てる第1の割当処理を少なくとも実行する。そして、利用可能な無線リソースのリソース量は、第1のフローを送信先の端末装置の全てに送信するために必要である第1の無線リソースのリソース量と第2のフローを送信先の端末装置の全てに送信するために必要である第2の無線リソースのリソース量との和以下であり、かつ、第1の無線リソースのリソース量以上である。
【0013】
(構成2)
構成1において、割当手段は、検出手段によって検出された第1のサービス品質識別子が第1の値からなり、かつ、検出手段によって検出された第2のサービス品質識別子が非帯域保障型の無線リソースを割り当てることを示す第2の値からなるとき、第1および第2のフローの両方が受信されたことを検知し、第1の割当処理を実行するとともに、更に、利用可能な無線リソースのリソース量から第1の無線リソースのリソース量を減算した減算結果からなる残存無線リソース量が零よりも大きいとき、残存無線リソース量を有する残存無線リソースを第1のフローよりも低い優先度で前記第2のフローに割り当てる第2の割当処理を実行する。
【0014】
(構成3)
構成2において、割当手段は、第2の割当処理において、残存無線リソース量が第2の無線リソースのリソース量に等しいとき、残存無線リソースを第1のフローよりも低い優先度で第2のフローに割り当て、残存無線リソース量が零よりも大きく、かつ、第2の無線リソースのリソース量に一致しないとき、残存無線リソース量を第2のフローを受信する端末装置の個数で除算した除算結果からなる単位残存無線リソース量を有する無線リソースが1個の端末装置へ送信される第2のフローに割り当てられるように全ての端末装置へ送信される第2のフローの全体に残存無線リソース量を有する無線リソースを割り当てる。
【0015】
(構成4)
構成1において、割当手段は、利用可能な無線リソースのリソース量から第1の無線リソースのリソース量を減算した減算結果からなる残存無線リソース量が零であるとき、第1の割当処理のみを実行する。
【0016】
(構成5)
構成1から構成4のいずれかにおいて、受信手段は、第1および第2のフローをコアネットワークから受信する前に、更に、サービス品質フロー識別子とサービス品質プロファイルとの対応関係をコアネットワークから受信する。検出手段および割当手段は、受信手段によって受信された対応関係を予め保持している。
【0017】
(構成6)
構成1から構成5のいずれかにおいて、必須データは、会議の音声データであり、任意データは、会議の動画データである。
【0018】
(構成7)
構成1から構成5のいずれかにおいて、必須データは、動画の視聴を可能にするデータであり、任意データは、高画質の動画の視聴を可能にするデータである。
【0019】
(構成8)
構成1から構成7のいずれかにおいて、第1の無線リソースのリソース量は、第1のフローを送信先の端末装置へ送信するために必要な第1の基本無線リソース量に第1のフローを受信する端末装置の個数を乗算した乗算結果からなる。第2の無線リソースのリソース量は、第2のフローを送信先の端末装置へ送信するために必要な第2の基本無線リソース量に第2のフローを受信する端末装置の個数を乗算した乗算結果からなる。
【0020】
(構成9)
また、この発明の実施の形態によれば、基地局は、構成1から構成8のいずれかに記載の割当装置を備える。
【0021】
(構成10)
更に、この発明の実施の形態によれば、プログラムは、第1のサービス品質要求を有する必須データと、第1のサービス品質要求と異なる第2のサービス品質要求を有する任意データとからなるデータを扱うアプリケーションからのフローへの無線リソースの割当をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
受信手段が、必須データを含み、かつ、同一の第1のサービス品質フロー識別子が付与された第1のパケットによって構成される第1のフローと、任意データを含み、かつ、第1のサービス品質フロー識別子と異なる同一の第2のサービス品質フロー識別子が付与された第2のパケットによって構成される第2のフローとを受信する第1のステップと、
検出手段が、サービス品質フロー識別子とサービス品質プロファイルとの対応関係に基づいて、第1のステップにおいて受信された第1のフローに付与された第1のサービス品質フロー識別子に対応するサービス品質プロファイル内の第1のサービス品質識別子と第1のステップにおいて受信された第2のフローに付与された第2のサービス品質フロー識別子に対応するサービス品質プロファイル内の第2のサービス品質識別子とを検出する第2のステップと、
割当手段が、第2のステップにおいて検出された第1のサービス品質識別子が帯域保障型の無線リソースを割り当てることを示す第1の値からなるとき、第1および第2のフローのうち、第1のフローを少なくとも受信したことを検知し、利用可能な無線リソースの少なくとも一部の無線リソースを第1のフローに優先的に割り当てる第1の割当処理を少なくとも実行する第3のステップとをコンピュータに実行させ、
利用可能な無線リソースのリソース量は、第1のフローを送信先の端末装置の全てに送信するために必要である第1の無線リソースのリソース量と第2のフローを送信先の端末装置の全てに送信するために必要である第2の無線リソースのリソース量との和以下であり、かつ、第1の無線リソースのリソース量以上である、コンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0022】
(構成11)
構成10において、割当手段は、第3のステップにおいて、第2のステップにおいて検出された第1のサービス品質識別子が第1の値からなり、かつ、第2のステップにおいて検出された第2のサービス品質識別子が非帯域保障型の無線リソースを割り当てることを示す第2の値からなるとき、第1および第2のフローの両方が受信されたことを検知し、第1の割当処理を実行するとともに、更に、利用可能な無線リソースのリソース量から第1の無線リソースのリソース量を減算した減算結果からなる残存無線リソース量が零よりも大きいとき、残存無線リソース量を有する残存無線リソースを第1のフローよりも低い優先度で第2のフローに割り当てる第2の割当処理を実行する。
【0023】
(構成12)
構成11において、割当手段は、第3のステップにおいて、第2の割当処理において、残存無線リソース量が第2の無線リソースのリソース量に等しいとき、残存無線リソースを第1のフローよりも低い優先度で第2のフローに割り当て、残存無線リソース量が零よりも大きく、かつ、第2の無線リソースのリソース量に一致しないとき、残存無線リソース量を第2のフローを受信する端末装置の個数で除算した除算結果からなる単位残存無線リソース量を有する無線リソースが1個の端末装置へ送信される第2のフローに割り当てられるように全ての端末装置へ送信される第2のフローの全体に残存無線リソース量を有する無線リソースを割り当てる。
【0024】
(構成13)
構成10において、割当手段は、第3のステップにおいて、利用可能な無線リソースのリソース量から第1の無線リソースのリソース量を減算した減算結果からなる残存無線リソース量が零であるとき、第1の割当処理のみを実行する。
【0025】
(構成14)
構成10から構成13のいずれかにおいて、受信手段は、第1および第2のフローをコアネットワークから受信する前に、更に、サービス品質フロー識別子とサービス品質プロファイルとの対応関係をコアネットワークから受信し、検出手段および割当手段は、受信手段によって受信された対応関係を予め保持している。
【0026】
(構成15)
構成10から構成14のいずれかにおいて、必須データは、会議の音声データであり、任意データは、会議の動画データである。
【0027】
(構成16)
構成10から構成14のいずれかにおいて、必須データは、動画の視聴を可能にするデータであり、任意データは、高画質の動画の視聴を可能にするデータである。
【0028】
(構成17)
構成10から構成16のいずれかにおいて、第1の無線リソースのリソース量は、第1のフローを送信先の端末装置へ送信するために必要な第1の基本無線リソース量に第1のフローを受信する端末装置の個数を乗算した乗算結果からなり、第2の無線リソースのリソース量は、第2のフローを送信先の端末装置へ送信するために必要な第2の基本無線リソース量に第2のフローを受信する端末装置の個数を乗算した乗算結果からなる。
【0029】
更に、この発明の実施の形態によれば、記録媒体は、構成10から構成17のいずれかに記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0030】
異なるQoS要求を持つパケットが混在する場合にアプリケーションの実行を継続できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】この発明の実施の形態における通信システムの概略図である。
図2図1に示す割当装置の概略図である。
図3】パケットの構成を示す概略図である。
図4】フローの概念図である。
図5】サービス品質フロー識別子QFIとQoSプロファイルとの関係を示す図である。
図6】サービス品質識別子5QIの値とQoS characteristicsとの関係を示す図である。
図7】サービス品質フロー識別子QFIの値と、サービス品質識別子5QIの値との対応関係を示す図である。
図8】空き周波数領域の周波数および時間依存性を示す概念図である。
図9】利用可能な無線リソースのリソース量を説明するための図である。
図10図1に示す通信システムにおけるフローの流れを示す図である。
図11図1に示すアプリケーション(サーバ)、UPFおよび割当装置の動作を説明するためのフローチャートである。
図12図2に示す割当装置の動作を説明するためのフローチャートである。
図13図12に示すステップS18の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
図14図13のステップS192の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
図15】2つのフローFLW1,FLW2を端末装置へ送信するときの別の無線リソース量を示す図である
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0033】
図1は、この発明の実施の形態における通信システムの概略図である。図1を参照して、通信システム100は、サーバ10と、外部ネットワーク20と、5Gのコアネットワーク(5GC)30と、RAN(Radio Access Network)40と、端末装置50とを備える。そして、RAN40内には、この発明の実施の形態による割当装置60が配置される。
【0034】
サーバ10は、必須データと任意データとからなるデータを扱うアプリケーションによって必須データを含むパケットPKT1からなる第1のフローFLW1と任意データを含むパケットPKT2からなる第2のフローFLW2とが混在するフローを端末装置50へ送信する。
【0035】
必須データは、アプリケーションの動作に必須なデータであり、任意データは、アプリケーションによって送信されるデータの視聴品質を向上可能なデータである。
【0036】
フローを構成するパケットは、サービスの種類を示すサービス種別(ToS:Type of Service)をIPヘッダ内に有する。
【0037】
この発明の実施の形態においては、第1のフローFLW1を構成するパケットPKT1は、サービス種別ToS1をIPヘッダに含む。また、第2のフローFLW2を構成するパケットPKT2は、サービス種別ToS1と異なるサービス品質ToS2をIPヘッダに含む。サービス種別ToS1は、第1のフローFLW1に無線リソースを優先的に割り当てることを要求するものであり、サービス種別ToS2は、第1のフローFLW1よりも低い優先度で第2のフローFLW2に無線リソースを割り当てることを要求するものである。従って、必須データおよび任意データは、相互に異なるQoS要求を有する。
【0038】
アプリケーションは、第1のフローFLW1を構成するパケットPKT1のIPヘッダにサービス種別ToS1を設定して第1のフローFLW1を送信し、第2のフローFLW2を構成するパケットPKT2のIPヘッダにサービス種別ToS2を設定して第2のフローFLW2を送信する。
【0039】
UPF(User Plane Function)は、外部ネットワーク20とRAN40との間に配置されたコアネットワーク30内に配置され、ユーザプレーンのトラフィックの送受信を担う5GCの機能の1つである。
【0040】
UPFは、外部ネットワーク20を介して、アプリケーションによってサーバ10から送信されたフローを受信し、その受信したフローを構成するパケットに対して所定のルールに従ってサービス品質フロー識別子(QFI:QoS Flow Identifier)を付与する。
【0041】
より具体的には、UPFは、外部ネットワーク20を介して第1のフローFLW1を受信し、その受信した第1のフローFLW1を構成するパケットPKT1のサービス種別ToS1を参照して、サービス品質フロー識別子QFI1をパケットPKT1に付与する。また、UPFは、外部ネットワーク20を介して第2のフローFLW2を受信し、その受信した第2のフローFLW2を構成するパケットPKT2のサービス種別ToS2を参照して、サービス品質フロー識別子QFI2をパケットPKT2に付与する。
【0042】
そして、UPFは、サービス品質フロー識別子QFIを付与したパケットPKT1によって構成される第1のフローFLW1をRAN40へ送信するとともに、サービス品質フロー識別子QFIを付与したパケットPKT2によって構成される第2のフローFLW2をRAN40へ送信する。
【0043】
なお、UPFは、アプリケーションが第1および第2のフローFLW1,FLW2を送信する前に、サービス品質フロー識別子QFIとQoSプロファイルとの対応関係RELTを予めRAN40内の割当装置60へ送信する。つまり、UPFは、PDU(Protocol Data Unit)セッションの確立時に対応関係RELTを予めRAN40内の割当装置60へ送信する。ここで、PDUセッションは、4G(第4世代移動通信システム)におけるコアネットワークであるEPC(Evolved Packet Core)のPDN(Packet Data Network)接続に相当するセッションである。
【0044】
RAN40内の割当装置60は、予め、UPFから対応関係RELTを受信し、その受信した対応関係RELTを保持する。
【0045】
割当装置60は、フローFLWをコアネットワーク30から受信する。そして、割当装置60は、フローFLWを構成するパケットPKTに付与されたサービス品質フロー識別子QFIを検出する。その後、割当装置60は、対応関係RELTを参照して、サービス品質フロー識別子QFIに対応するQoSプロファイルQoS_PFを検出し、その検出したQoSプロファイルQoS_PFに含まれるサービス品質識別子5QI(5G QoS Identifier)の値に基づいて、フローFLWに無線リソースを割り当てる。
【0046】
より具体的には、割当装置60は、第1のフローFLW1をコアネットワーク30から受信し、その受信した第1のフローFLW1を構成するパケットPKT1に付与されたサービス品質フロー識別子QFIを検出する。そして、割当装置60は、対応関係RELTを参照して、サービス品質フロー識別子QFIの値に対応するQoSプロファイルQoS_PF1を検出し、その検出したQoSプロファイルQoS_PF1に含まれるサービス品質識別子5QI1に基づいて、無線リソースを第1のフローFLW1に優先的に割り当てる。
【0047】
また、割当装置60は、第2のフローFLW2をコアネットワーク30から受信し、その受信した第2のフローFLW2を構成するパケットPKT2に付与されたサービス品質フロー識別子QFIを検出する。そして、割当装置60は、対応関係RELTを参照して、サービス品質フロー識別子QFIの値に対応するQoSプロファイルQoS_PF2を検出し、その検出したQoSプロファイルQoS_PF2に含まれるサービス品質識別子5QI2に基づいて、第1のフローFLW1よりも低い優先度で第2のフローFLW2に無線リソースを割り当てる。
【0048】
そうすると、第1および第2のフローFLW1,FLW2は、割り当てられた無線リソースを用いてRAN40から端末装置50へ送信される。
【0049】
図2は、図1に示す割当装置60の概略図である。図2を参照して、割当装置60は、アンテナ61と、受信手段62と、検出手段63と、割当手段64とを備える。
【0050】
受信手段62は、有線ケーブル70を介して、PDUセッション確立時に対応関係RELTをコアネットワーク30のUPFから受信し、その受信した対応関係RELTを検出手段63および割当手段64へ出力する。
【0051】
受信手段62は、有線ケーブル70を介して、フローFLWをコアネットワーク30のUPFから受信し、その受信したフローFLWを検出手段63および割当手段64へ出力する。
【0052】
受信手段62は、無線通信に利用可能な周波数帯域BWにおいて、各端末装置の電波伝搬路の通信品質を把握し、その結果を割当手段64へ出力する。
【0053】
検出手段63は、対応関係RELTを受信手段62から受け、その受けた対応関係RELTを保持する。
【0054】
検出手段63は、フローFLWを受信手段62から受けると、その受けたフローFLWに付与されたサービス品質フロー識別子QFIを検出する。
【0055】
その後、検出手段63は、対応関係RELTを参照して、その検出したサービス品質フロー識別子QFIの値に対応するQoSプロファイルQoS_PFを検出し、その検出したQoSプロファイルQoS_PFに含まれるサービス品質識別子5QIを検出する。そうすると、検出手段63は、その検出したサービス品質識別子5QIを割当手段64へ出力する。
【0056】
割当手段64は、対応関係RELTを受信手段62から受け、その受けた対応関係RELTを保持する。
【0057】
割当手段64は、各端末装置の電波伝搬路の通信品質を受信手段62から受ける。また、割当手段64は、周波数と時間とによって規定される周波数-時間平面に、無線通信が行われていない周波数領域の時間依存性を示す空き周波数領域FQ_REGを作成する。
【0058】
割当手段64は、フローFLWを受信手段62から受け、サービス品質識別子5QIを検出手段63から受ける。そして、割当手段64は、サービス品質識別子5QIの値が帯域保障型の無線リソースを割り当てることを示す第1の値からなるとき、フローFLWが第1のフローFLW1であることを検知し、フローFLW(=第1のフローFLW1)に無線リソースを優先的に割り当てる。また、割当手段64は、サービス品質識別子5QIの値が非帯域保障型の無線リソースを割り当てることを示す第2の値からなり、かつ、利用可能な無線リソース量が残っているとき、フローFLWが第2のフローFLW2であることを検知し、第1のフローFLW1よりも低い優先度でフローFLW(=第2のフローFLW2)に無線リソースを割り当てる。
【0059】
なお、割当手段64は、利用可能な無線リソース量が残っていないとき、第2のフローFLW2であると検知されたフローFLWに無線リソースを割り当てない。
【0060】
図3は、パケットの構成を示す概略図である。図3を参照して、パケットPKTは、IPヘッダとデータとを含む。IPヘッダは、2番目の1バイトにToSフィールドを有する。
【0061】
ToSフィールドは、6ビットのDSCP(Differentiated Services Code Point)と、2ビットのECN(Explicit Congestion Notification)とからなる。なお、ECNは、この発明の実施の形態では、未使用である。そして、サービス種別ToS1,ToS2は、6ビットの数値によってDSCPに格納される。
【0062】
アプリケーションは、IPヘッダ内のDSCPにサービス種別ToS1を格納して第1のパケットPKT1を生成し、第1のパケットPKT1によって構成される第1のフローFLW1を送信する。また、アプリケーションは、IPヘッダ内のDSCPにサービス種別ToS2を格納して第2のパケットPKT2を生成し、第2のパケットPKT2によって構成される第2のフローFLW2を送信する(図3の(a)参照)。
【0063】
コアネットワーク30内のUFPは、パケットPKTを受信し、その受信したパケットPKTのIPヘッダ内のToSフィールドを参照してサービス種別ToSがサービスToS1,ToS2のいずれであるかを検出する。
【0064】
そして、UFPは、その結果結果に応じて、サービス品質フロー識別子QFIの値を設定し、その設定した値を含むサービス品質フロー識別子QFIをパケットPKTに付与する(図3の(b)参照)。
【0065】
図4は、フローの概念図である。図4を参照して、フローFLW_Aは、パケットPKT_A1,PKT_A2,PKT_A3,PKT_A4,・・・によって構成される。そして、パケットPKT_A1,PKT_A2,PKT_A3,PKT_A4,・・・は、同一のサービス品質フロー識別子QFIが付与されている。即ち、パケットPKT_A1,PKT_A2,PKT_A3,PKT_A4,・・・においては、サービス品質フロー識別子QFIの値が同じである。
【0066】
フローFLW_Bは、パケットPKT_B1,PKT_B2,PKT_B3・・・によって構成される。そして、パケットPKT_B1,PKT_B2,PKT_B3,・・・は、パケットPKT_A1,PKT_A2,PKT_A3,PKT_A4,・・・およびパケットPKT_C1,PKT_C2,PKT_C3・・・のサービス品質フロー識別子QFIと異なる同一のサービス品質フロー識別子QFIが付与されている。
【0067】
フローFLW_Cは、パケットPKT_C1,PKT_C2,PKT_C3・・・によって構成される。そして、パケットPKT_C1,PKT_C2,PKT_C3,・・・は、パケットPKT_A1,PKT_A2,PKT_A3,PKT_A4,・・・およびパケットPKT_B1,PKT_B2,PKT_B3・・・のサービス品質フロー識別子QFIと異なる同一のサービス品質フロー識別子QFIが付与されている。
【0068】
このように、フローFLW_A~FLW_Cの各々は、同一のサービス品質フロー識別子QFIが付与されたパケットの集合からなる。
【0069】
図5は、サービス品質フロー識別子QFIとQoSプロファイルとの関係を示す図である。
【0070】
図5を参照して、QoSプロファイルQoS_PFは、サービス品質フロー識別子QFIに対応付けられる。そして、QoSプロファイルQoS_PFは、サービス品質識別子5QIを含む。
【0071】
3GPP(Third Generation Partnership Project)の5Gの仕様の中で、代表的なサービス例のQoS要求に関するパラメータ値が“QoS characteristics”として定義されており、このパラメータ値は、サービス品質識別子5QIの値によって参照される。
【0072】
QoS characteristicsは、大きく分けて、帯域保障型(GBR型)と非帯域保障型(Non-GBR型)のリソース種別に分かれている。
【0073】
なお、QoSプロファイルQoS_PFは、サービス品質識別子5QI以外のものも含むが、この発明の実施の形態においては、サービス品質識別子5QI以外のものは、不要であるので、図5においては、QoSプロファイルQoS_PFに含まれるものとして、サービス品質識別子5QIのみを示している。
【0074】
図6は、サービス品質識別子5QIの値とQoS characteristicsとの関係を示す図である。
【0075】
図6を参照して、QoS characteristicsは、サービス品質識別子5QIの値に対応付けられる。QoS characteristicsは、Resource Type、Default Priority Level、Packet Delay Budget、Packet Error Rate、Default Maximum Data Burst Volume、Default Averaging WindowおよびExample Serviceを含む。
【0076】
無線リソースタイプ(Resource Type)であるGBR型は、“1”,“2”,“3”,“4”等の5QIの値に対応付けられる。
【0077】
また、無線リソースタイプ(Resource Type)であるNon-GBR型は、“5”,“6”,“7”,“8”,“9”等の5QIの値に対応付けられる。
【0078】
図6において、GBRは、帯域保障型の無線リソースを意味し、Non-GBRは、非帯域保障型の無線リソースを意味する。
【0079】
そこで、この発明の実施の形態においては、第1のフローFLW1に帯域保障型の無線リソースを割り当てるために、例えば、サービス品質識別子5QIの値を“4”に設定し、第2のフローFLW2に非帯域保障型の無線リソースを割り当てるために、例えば、サービス品質識別子5QIの値を“9”に設定する。
【0080】
なお、図6においては、Default Priority Level、Packet Delay Budget、Packet Error Rate、Default Maximum Data Burst Volume、Default Averaging WindowおよびExample Serviceは、この発明の実施の形態においては、不要であるので、空欄になっている。
【0081】
図7は、サービス品質フロー識別子QFIの値と、サービス品質識別子5QIの値との対応関係を示す図である。
【0082】
図7を参照して、対応表TBLは、サービス品質フロー識別子QFIの値と、サービス品質識別子5QIの値とを含む。サービス品質フロー識別子QFIの値およびサービス品質識別子5QIの値は、相互に対応付けられる。
【0083】
サービス品質フロー識別子QFIの値が“4”であるとき、サービス品質識別子5QIの値は、“4”である。そして、サービス品質識別子5QIの値としての“4”は、帯域保障型(GBR型)の無線リソースを割り当てることを示す。
【0084】
また、サービス品質フロー識別子QFIの値が“9”であるとき、サービス品質識別子5QIの値は、“9”である。そして、サービス品質識別子5QIの値としての“9”は、非帯域保障型(GBR型)の無線リソースを割り当てることを示す。
【0085】
上述した対応関係RELTは、対応表TBLからなる。コアネットワーク30のUFPは、アプリケーションがフローを送信する前に、対応表TBLからなる対応関係RELTを割当装置60へ送信する。そして、割当装置60の受信手段62は、対応関係RELT(=対応表TBL)を受信し、検出手段63および割当手段64は、対応関係RELT(=対応表TBL)を受信手段62から受け、その受けた対応関係RELT(=対応表TBL)を保持する。
【0086】
図8は、空き周波数領域の周波数および時間依存性を示す概念図である。図8において、縦軸は、時間を表し、横軸は、周波数を表す。
【0087】
図8を参照して、無線通信に使用する周波数帯域BWは、最小周波数fminおよび最大周波数fmaxを有する。
【0088】
受信手段62は、最小周波数fminから最大周波数fmaxまでの範囲で各端末装置の伝搬路の通信品質を把握し、その結果を割当手段64へ出力する。
【0089】
割当手段64は、図8に示すように、周波数および時間によって規定される周波数-時間平面での空き周波数領域FQ_REG(図8の斜線領域)を管理している。
【0090】
割当手段64は、フローFLWを受信手段62から受け、サービス品質識別子5QIを検出手段63から受けたとき、空き周波数領域FQ_REGに基づいて利用可能な無線リソース量RSCE_AVLを検出する。
【0091】
図9は、利用可能な無線リソースのリソース量RSCE_AVLを説明するための図である。なお、図9においては、フローFLW1,FLW2を受信する端末装置の個数が5である場合を例として利用可能な無線リソースRSCE_AVLのリソース量について説明する。
【0092】
図9を参照して、フローFLW1を1つの端末装置へ送信するために必要な無線リソースのリソース量を基本無線リソース量R_uni_1とし、フローFLW2を1つの端末装置へ送信するために必要な無線リソースのリソース量を基本無線リソース量R_uni_2とする。
【0093】
基本無線リソース量R_uni_1は、5個の端末装置間で等しく、基本無線リソース量R_uni_2は、5個の端末装置間で等しい。そして、基本無線リソース量R_uni_1および基本無線リソース量R_uni_2の長さ(図9の紙面上、左右方向の長さ)は、QoS要求に応じた長さに設定されている。従って、図9においては、5個の端末装置へ送信されるフローFLW1のQoS要求は、相互に等しく、5個の端末装置へ送信されるフローFLW2のQoS要求は、相互に等しい。
【0094】
基本無線リソース量R_uni_1および基本無線リソース量R_uni_2は、フローFLW1,FLW2のデータ容量および受信手段62により通知される各端末装置の伝搬路の通信品質から得られる送信レート等を用いて算出される。なお、この発明の実施の形態の説明においては、各端末装置の伝搬路の通信品質は全て同一と仮定し、R_uni_1とR_uni_2は、5個の端末装置間で等しいとしたが、各端末装置の伝搬路の通信品質に応じて端末ごとに異なる値をとってもよい。
【0095】
利用可能な無線リソースのリソース量RSCE_AVLが利用可能な無線リソース量RSCE_AVL_1である場合、利用可能な無線リソース量RSCE_AVL_1がフローFLW1を5個の端末装置に送信するために必要な無線リソース量(=R_uni_1×5)に等しいので、フローFLW1に利用可能な無線リソースを割り当てることができる。しかし、フローFLW2に利用可能な無線リソースを割り当てることができない(図9の(a)参照)。
【0096】
利用可能な無線リソースのリソース量RSCE_AVLが利用可能な無線リソース量RSCE_AVL_2である場合、利用可能な無線リソース量RSCE_AVL_2は、R_uni_1×5の無線リソース量よりも大きく、R_uni_1×5の無線リソース量とR_uni_2×5の無線リソース量(=フローFLW2を送信先の端末装置に送信するために必要な無線リソース量)との和よりも小さい。
【0097】
その結果、フローFLW1に利用可能な無線リソースを割り当てることができる。そして、フローFLW1に利用可能な無線リソースを割り当てても、利用可能な無線リソース量RSCE_AVL_2の一部は、割り当て可能な無線リソース量として残る。しかし、利用可能な無線リソース量RSCE_AVL_2からR_uni_1×5の無線リソース量を減算した減算結果からなる無線リソース量は、R_uni_2×5よりも小さいので、フローFLW2の全体に無線リソースを割り当てることができない。そこで、フローFLW2を1つの端末装置へ送信するために必要な基本無線リソース量R_uni_2を基本無線リソース量R_uni_2’に小さくしてフローFLW2に無線リソースを割り当てる。即ち、利用可能な無線リソース量RSCE_AVL_2のうちの残った無線リソース量である残存無線リソース量を有する無線リソースを5個の端末装置へ送信されるフローFLW2に均等に割り当てる。より具体的には、残存無線リソース量を端末装置の個数(=5)で除算した単位残存無線リソース量を有する無線リソースが1個の端末装置へ送信されるフローFLW2に割り当てられるように5個の端末装置へ送信されるフローFLW2に残存無線リソース量を有する無線リソースを割り当てる(図9の(b)参照)。
【0098】
利用可能な無線リソースのリソース量RSCE_AVLが利用可能な無線リソース量RSCE_AVL_3である場合、利用可能な無線リソース量RSCE_AVL_3は、R_uni_1×5とR_uni_2×5との和に等しいので、フローFLW1およびフローFLW2の両方に無線リソースを割り当てることができる(図9の(c)参照)。
【0099】
従って、フローFWL1,FLW2のうち、少なくともフローFLW1を端末装置へ送信するためには、利用可能な無線リソースのリソース量RSCE_AVLは、(R_uni_1×5)以上であり、かつ、(R_uni_1×5+R_uni_2×5)以下であればよい。
【0100】
フローFLW1,FLW2を受信する端末装置の個数をN(Nは、正の整数)とすれば、利用可能な無線リソースのリソース量RSCE_AVLは、(R_uni_1×N)以上、かつ、(R_uni_1×N+R_uni_2×N)以下であればよい。
【0101】
割当手段64は、空き周波数領域FQ_REGに基づいて、利用可能な無線リソースのリソース量RSCE_AVLを検出する。
【0102】
図10は、図1に示す通信システム100におけるフローの流れを示す図である。図10を参照して、アプリケーションは、必須データと、無線リソースを優先的に割り当てることを要求するサービス種別ToS1とを含むパケットPKT1を生成するとともに、任意データと、パケットPKT1によって構成される第1のフローFLW1よりも低い優先度で無線リソースを割り当てることを要求するサービス種別ToS2とを含むパケットPKT2を生成する。そして、アプリケーションは、パケットPKT1およびパケットPKT2を送信する。
【0103】
コアネットワーク内のUPFは、外部ネットワーク20を介して、パケットPKT1からなる第1のフローFLW1と、パケットPKT2からなる第2のフローFLW2とを受信する。
【0104】
そして、UPFは、第1のフローFLW1を構成するパケットPKT1のサービス種別ToS1を参照して、“4”からなるサービス品質フロー識別子QFIをパケットPKT1に付与してパケットPKT1を送信するとともに、第2のフローFLW2を構成するパケットPKT2のサービス種別ToS2を参照して、“9”からなるサービス品質フロー識別子QFIをパケットPKT2に付与してパケットPKT2を送信する。
【0105】
RAN40内に配置された割当装置60は、コアネットワーク30から第1のフローFLW1を受信し、第1のフローFLW1を構成するパケットPKT1に付与されたサービス品質フロー識別子QFI(=4)を検出する。そして、割当装置60は、対応関係RELTを参照して、サービス品質フロー識別子QFI(=4)に対応するQoSプロファイルに含まれるサービス品質識別子5QI(=4)を検出し、帯域保障型(GBR型)の無線リソースを第1のフローFLW1に割り当てるべきことを検知する。
【0106】
そうすると、割当装置60は、パケットPKT1を帯域保障型(GBR型)の伝送路である無線ベアラ1へ流す。
【0107】
また、割当装置60は、コアネットワーク30から第2のフローFLW2を受信し、第2のフローFLW2を構成するパケットPKT2に付与されたサービス品質フロー識別子QFI(=9)を検出する。そして、割当装置60は、対応関係RELTを参照して、サービス品質フロー識別子QFI(=9)に対応するQoSプロファイルに含まれるサービス品質識別子5QI(=9)を検出し、非帯域保障型(Non-GBR型)の無線リソースを第2のフローFLW2に割り当てるべきことを検知する。
【0108】
そうすると、割当装置60は、パケットPKT2を非帯域保障型(Non-GBR型)の伝送路である無線ベアラ2へ流す。
【0109】
なお、パケットPKT1を帯域保障型(GBR型)の伝送路である無線ベアラ1へ流すことは、第1のフローFLW1に無線リソースを優先的に割り当てることに相当し、パケットPKT2を非帯域保障型(Non-GBR型)の伝送路である無線ベアラ2へ流すことは、第1のフローFLW1よりも低い優先度で第2のフローFLW2に無線リソースを割り当てることに相当する。
【0110】
なお、図10においては、サービス品質フロー識別子QFIの値(=4または9)は、サービス品質識別子5QIの値(4または9)と同じであるが、この発明の実施の形態においては、これに限らず、サービス品質フロー識別子QFIの値は、サービス品質識別子5QIの値と異なっていてもよい。
【0111】
また、サービス品質フロー識別子QFIの値およびサービス品質識別子5QIの値は、“4”または“9”以外の値であってもよい。
【0112】
図11は、図1に示すアプリケーション(サーバ)、UPFおよび割当装置60の動作を説明するためのフローチャートである。
【0113】
図11を参照して、UPFは、アプリケーションがパケットを送信する前に、サービス品質フロー識別子QFIとサービス品質識別子5QIとの対応関係RELTを割当装置60へ送信する(ステップS1)。
【0114】
割当装置60は、対応関係RELTを受信し(ステップS2)、その受信した対応関係RELTを保持する。
【0115】
その後、アプリケーションは、必須データとサービス種別ToS1とを含むパケットPKT1と、任意データとサービス種別ToS2とを含むパケットPKT2とを生成し(ステップS3)、その生成したパケットPKT1,PKT2を送信する(ステップS4)。
【0116】
UPFは、パケットPKT1,PKT2を受信し、パケットPKT1のサービス種別ToS1を参照してパケットPKT1からなるフローFLW1にサービス品質フロー識別子QFI(=4)を付与し、パケットPKT2のサービス種別ToS2を参照してパケットPKT2からなるフローFLW2にサービス品質フロー識別子QFI(=9)を付与してパケットPKT1,PKT2を送信する(ステップS5)。
【0117】
そして、割当装置60は、フローFLW1,FLW2を受信し、対応関係RELTおよびサービス品質識別子5QIの値に基づいて、2つのフローFLW1,FLW2のうちの少なくともフローFLW1に無線リソースを割り当てる(ステップS6)。これによって、一連の動作が終了する。
【0118】
図12は、図2に示す割当装置60の動作を説明するためのフローチャートである。図12を参照して、割当装置60の動作が開始されると、受信手段62は、無線通信に用いられる周波数帯域BWにおいて、各端末装置の伝搬路の通信品質を把握し(ステップS11)、その結果を割当手段64へ出力する。
【0119】
割当手段64は、各端末装置の伝搬路の通信品質の把握の結果を受信手段62から受け、その受けた結果に基づいて、周波数および時間によって規定される周波数-時間平面における空き周波数領域FQ_REGを作成する(ステップS12)。
【0120】
そして、受信手段62は、サービス品質フロー識別子QFIとサービス品質識別子5QIとの対応関係RELTをコアネットワーク30のUPFから受信し、その受信した対応関係RELTを検出手段63および割当手段64へ出力する。検出手段63および割当手段64は、対応関係RELTを受信手段62から受け、その受けた対応関係RELTを保持する(ステップS13)。
【0121】
その後、受信手段62は、フローFLW1,FLW2を受信し(ステップS14)、その受信したフローFLW1,FLW2を検出手段63および割当手段64へ出力する。
【0122】
割当手段64は、フローFLW1,FLW2を受信手段62から受けると、空き周波数領域FQ_REGに基づいて利用可能な無線リソースのリソース量RSCE_AVLを検出する(ステップS15)。
【0123】
引き続いて、検出手段63は、フローFLW1,FLW2を受信手段62から受け、その受けたフローFLW1のサービス品質フロー識別子QFI_1とフローFLW2のサービス品質フロー識別子QFI_2とを検出する(ステップS16)。そして、検出手段63は、対応関係RELTに基づいて、検出したサービス品質フロー識別子QFI_1に対応するQoSプロファイルに含まれるサービス品質識別子5QIの値と、サービス品質フロー識別子QFI_2に対応するQoSプロファイルに含まれるサービス品質識別子5QIの値とを検出する(ステップS17)。
【0124】
そうすると、割当手段64は、サービス品質識別子5QIの値を検出手段63から受け、その受けたサービス品質識別子5QIの値に基づいて、2つのフローFLW1,FLW2のうちの少なくともフローFLW1に無線リソースを割り当てる(ステップS18)。これによって、割当装置60の動作が終了する。
【0125】
図13は、図12に示すステップS18の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【0126】
図13を参照して、図12のステップS17の後、割当手段64は、フローFLW1を端末装置へ送信するために必要な無線リソース量[R_uni_1×N]を算出する(ステップS181)。
【0127】
また、割当手段64は、フローFLW2を端末装置へ送信するために必要な無線リソース量[R_uni_2×N]を算出する(ステップS182)。
【0128】
そうすると、割当手段64は、利用可能な無線リソースのリソース量RSCE_AVLが無線リソース量[R_uni_1×N]以上であるか否かを判定する(ステップS183)。
【0129】
ステップS183において、利用可能な無線リソースのリソース量RSCE_AVLが無線リソース量[R_uni_1×N]以上であると判定されたとき、割当手段64は、無線リソース量[R_uni_1×N]と無線リソース量[R_uni_2×N]との和[R_uni_1×N+R_uni_2×N]を演算する。
【0130】
そして、割当手段64は、利用可能な無線リソースのリソース量RSCE_AVLが和[R_uni_1×N+R_uni_2×N]以下である否かを判定する(ステップS184)。
【0131】
ステップS184において、利用可能な無線リソースのリソース量RSCE_AVLが和[R_uni_1×N+R_uni_2×N]以下であると判定されたとき、割当手段64は、サービス品質識別子5QI_1の値が“4”であるか否かを判定する(ステップS185)。
【0132】
ステップS185において、サービス品質識別子5QI_1の値が“4”であると判定されたとき、割当手段64は、サービス品質識別子5QI_2の値が“9”であるか否かを判定する(ステップS186)。
【0133】
ステップS186において、サービス品質識別子5QI_2の値が“9”でないと判定されたとき、割当手段64は、2つのフローFLW1,FLW2のうち、フローFLW1のみを受信したことを検知する(ステップS187)。
【0134】
一方、ステップS186において、サービス品質識別子5QI_2の値が“9”であると判定されたとき、割当手段64は、2つのフローFLW1,FLW2の両方を受信したことを検知する(ステップS188)。
【0135】
その後、割当手段64は、利用可能な無線リソースのリソース量RSCE_AVLから無線リソース量[R_uni_1×N]を減算し、その減算結果[RSCE_AVL-R_uni_1×N]が0よりも大きいか否かを判定する(ステップS189)。
【0136】
ステップS189において、減算結果[RSCE_AVL-R_uni_1×N]が0よりも大きくないと判定されたとき、またはステップS187の後、割当手段64は、第1のフローFLW1に優先的に無線リソースを割り当てる(ステップS190)。
【0137】
一方、ステップS189において、減算結果[RSCE_AVL-R_uni_1×N]が0よりも大きいと判定されたとき、割当手段64は、第1のフローFLW1に優先的に無線リソースを割り当て(ステップS191)、第1のフローFLW1よりも低い優先度でフローFLW2に無線リソースを割り当てる(ステップS192)。
【0138】
そして、ステップS183において、利用可能な無線リソースのリソース量RSCE_AVLが無線リソース量[R_uni_1×N]以上でないと判定されたとき、ステップS184において、利用可能な無線リソースのリソース量RSCE_AVLが和[R_uni_1×N+R_uni_2×N]以下でないと判定されたとき、ステップS185において、サービス品質識別子5QI_1の値が“4”でないと判定されたとき、ステップS190およびステップS192のいずれかの後、一連の動作は、図12の“終了”へ移行する。
【0139】
なお、ステップS190またはステップS191を実行することは、利用可能な無線リソースの少なくとも一部の無線リソースをフローFLW1に優先的に割り当てる「第1の割当処理」を構成し、ステップS190またはステップS191,S192を実行することは、「第1の割当処理」を少なくとも実行することに相当する。
【0140】
また、ステップS189において、減算結果[RSCE_AVL-R_uni_1×N]が0よりも大きいと判定され、その後、ステップS192を実行することは、利用可能な無線リソースのうちの残っている残存無線リソースをフローFLW1よりも低い優先度でフローFLW2に割り当てる「第2の割当処理」を構成する。
【0141】
図13のステップS183において、利用可能な無線リソースのリソース量RSCE_AVLが無線リソース量[R_uni_1×N]以上でないと判定されたとき、割当装置60の動作が終了するのは、利用可能な無線リソースのリソース量RSCE_AVLの全てを用いても、必須データを含むパケットPKT1によって構成されるフローFLW1を送信先の端末装置へ送信できないからである。
【0142】
また、図13のステップS184において、利用可能な無線リソースのリソース量RSCE_AVLが和[R_uni_1×N+R_uni_2×N]以下でないと判定されたとき、割当装置60の動作が終了するのは、利用可能な無線リソースのリソース量RSCE_AVLが和[R_uni_1×N+R_uni_2×N]よりも大きいときは、2つのフローFLW1,FLW2の両方に無線リソースを割り当てることができ、フローFLW1に優先的に無線リソースを割り当てる本願発明の趣旨が没却されるからである。
【0143】
更に、ステップS185において、サービス品質識別子5QI_1の値が“4”でないと判定されたとき、割当装置60の動作が終了するのは、割当装置60が第1のフローFLW1を受信していないので、第1のフローFLW1に無線リソースを割り当てる必要がないからである。
【0144】
更に、ステップS190,S191において、フローFLW1に優先的に無線リソースを割り当てるのは、ステップS185において、サービス品質識別子5QI_1の値が“4”であると判定されており、5QI_1の値が“4”であることは、帯域保障型(GBR型)の無線リソースを割り当てることを意味し、帯域保障型(GBR型)の無線リソースを割り当てることは、優先的に無線リソースを割り当てることに相当するからである。
【0145】
更に、ステップS192において、フローFLW1よりも低い優先度でフローFLW2に無線リソースを割り当てるのは、ステップS186において、サービス品質識別子5QI_2の値が“9”であると判定されており、5QI_2の値が“9”であることは、非帯域保障型(Non-GBR型)の無線リソースを割り当てることを意味し、非帯域保障型(Non-GBR型)の無線リソースを割り当てることは、低い優先度で無線リソースを割り当てることに相当するからである。
【0146】
図14は、図13のステップS192の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【0147】
図14を参照して、図13のステップS191の後、割当手段64は、減算結果[RSCE_AVL-R_uni_1×N]が無線リソース量[N×R_uni_2]に等しいか否かを判定する(ステップS1921)。
【0148】
ステップS1921において、減算結果[RSCE_AVL-R_uni_1×N]が無線リソース量[N×R_uni_2]に等しいと判定されたとき、割当手段64は、無線リソース量R_uni_2が1個の端末装置へ送信されるフローFLW2に割り当てられるように減算結果[RSCE_AVL-R_uni_1×N]の無線リソース量(=残存無線リソース量)を有する無線リソースをN個の端末装置へ送信されるフローFLW2の全体に割り当てる(ステップS1922)。
【0149】
一方、ステップS1921において、減算結果[RSCE_AVL-R_uni_1×N]が無線リソース量[N×R_uni_2]に等しくないと判定されたとき、割当手段64は、減算結果[RSCE_AVL-R_uni_1×N]を端末装置の個数Nで除算した無線リソース量を有する無線リソースが1個の端末装置へ送信されるフローFLW2に割り当てられるように減算結果[RSCE_AVL-R_uni_1×N]の無線リソース量(=残存無線リソース量)を有する無線リソースをN個の端末装置へ送信されるフローFLW2の全体に割り当てる(ステップS1923)。
【0150】
そして、ステップS1922またはステップS1923の後、図12の終了へ移行する。
【0151】
ステップS1922を実行することによって、図9の(c)に示す態様で2つのフローFLW1,FLW2に無線リソースが割り当てられる。また、ステップS1923を実行することによって、図9の(b)に示す態様で2つのフローFLW1,FLW2に無線リソースが割り当てられる。更に、図13のステップS189において、減算結果[RSCE_AVL-R_uni_1×N]が0よりも大きくないと判定され、ステップS190が実行されたとき、またはステップS187が実行された後にステップS190が実行されたとき、図9の(a)に示す態様でフローFLW1のみに無線リソースが割り当てられる。
【0152】
従って、割当装置60は、図12に示すフローチャート(図13および図14に示すフローチャートを含む)を実行することによって、2つのフローFLW1,FLW2のうち、少なくともフローFLW1に無線リソースを割り当てることができる。
【0153】
その結果、少なくとも必須データを端末装置へ送信でき、端末装置は、アプリケーションから送信されたデータの内容を取得することができるので、アプリケーションを継続して実行できる。
【0154】
なお、ステップS1921において、減算結果[RSCE_AVL-R_uni_1×N]が無線リソース量[N×R_uni_2]に等しくないと判定されたとき、ステップS1923を実行するのは、図13のステップS184において、利用可能な無線リソースのリソース量RSCE_AVLが(N×R_uni_1+N×R_uni_2)以下であると判定されており、かつ、ステップS189において、無線リソース量[RSCE_AVL-[N×R_uni_1]]が零(=0)よりも大きいと判定されているので、ステップS1921において、減算結果[RSCE_AVL-R_uni_1×N]が無線リソース量[N×R_uni_2]に等しくないと判定されたことは、減算結果[RSCE_AVL-R_uni_1×N]が無線リソース量[N×R_uni_2]よりも小さいことを意味するからである。
【0155】
この発明の実施の形態においては、割当装置60の動作は、ソフトウェアによって実現されてもよい。この場合、割当装置60は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)を備える。そして、ROMは、図12に示すフローチャート(図13および図14に示すフローチャートを含む)の各ステップからなるプログラムProg_Aを記憶する。
【0156】
CPUは、ROMからプログラムProg_Aを読み出し、その読み出したプログラムProg_Aを実行して、2つのフローFLW1,FLW2のうち、少なくともフローFLW1に無線リソースを割り当てる。
【0157】
また、プログラムProg_Aは、CD,DVD等の記録媒体に記録されて流通してもよい。プログラムProg_Aを記録した記録媒体がコンピュータに装着されると、コンピュータは、記録媒体からプログラムProg_Aを読み出して実行し、2つのフローFLW1,FLW2のうち、少なくともフローFLW1に無線リソースを割り当てる。
【0158】
従って、プログラムProg_Aを記録した記録媒体は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【0159】
図15は、2つのフローFLW1,FLW2を端末装置へ送信するときの別の無線リソース量を示す図である。
【0160】
図15を参照して、1個の端末装置へフローFLW1を送信するために必要な基本無線リソース量R_uni_1は、5個の端末装置間で異なり、1個の端末装置へフローFLW2を送信するために必要な基本無線リソース量R_uni_2は、5個の端末装置間で等しい(図15の(a)参照)。そして、基本無線リソース量R_uni_1および基本無線リソース量R_uni_2の長さ(図15の紙面上、左右方向の長さ)は、QoS要求に応じた長さに設定されている。従って、図15の(a)においては、5個の端末装置へ送信されるフローFLW1のQoS要求は、相互に異なり、5個の端末装置へ送信されるフローFLW2のQoS要求は、相互に等しい。
【0161】
また、1個の端末装置へフローFLW1を送信するために必要な基本無線リソース量R_uni_1は、5個の端末装置間で異なり、1個の端末装置へフローFLW2を送信するために必要な基本無線リソース量R_uni_2も、5個の端末装置間で異なる(図15の(b)参照)。従って、図15の(b)においては、5個の端末装置へ送信されるフローFLW1のQoS要求は、相互に異なり、5個の端末装置へ送信されるフローFLW2のQoS要求も、相互に異なる。
【0162】
このように、この発明の実施の形態においては、2つのフローFLW1,FLW2のうち、少なくともフローFLW1のQoS要求が送信先の端末装置間で相互に異なっていてもよい。
【0163】
[アプリケーションの例]
アプリケーションの例を説明する。SVC(Scalable Video Coding)によりエンコードされたビデオを配信するアプリケーションがある。
【0164】
このアプリケーションによって配信されるビデオデータは、次の特徴を有する。
(1)ビデオデータを基本レイヤと拡張レイヤの2つで構成
(2)基本レイヤのデータのみでもビデオデータを視聴可能
(3)基本レイヤのデータに加え、拡張レイヤのデータを受信できれば、動画の視聴品質(画質など)を向上可能
(4)基本レイヤのデータのパケットをロスすると、ビデオを視聴できなくなる。
【0165】
従って、基本レイヤのデータを必須データとし、拡張レイヤのデータを任意データとすれば、割当装置60によって、基本レイヤのデータおよび拡張レイヤのデータのうち、少なくとも基本レイヤのデータを端末装置へ送信することができ、端末装置は、ビデオを視聴できる。
【0166】
その他のアプリケーションとしては、遠隔会議が想定される。この遠隔会議のアプリケーションは、音声とビデオを扱う。そして、音声を必須データとし、ビデオを任意データとする。
【0167】
その結果、割当装置60によって、音声およびビデオのうち、少なくとも音声を送信することができる。従って、音声によって遠隔会議を行うことができる。少なくとも音声を送信することができれば、必要最小限の会議を行うことができるからである。
【0168】
そして、音声およびビデオの両方を送信できれば、会議の相手の表情等を見ることができ、遠隔会議をスムーズに行うことができる。
【0169】
上述した割当装置60は、上記のアプリケーション以外のアプリケーションから送信されるデータに対して適用されてもよい。
【0170】
この発明の実施の形態においては、割当装置60は、好ましくは、RAN40内の基地局に配置される。従って、この発明の実施の形態による基地局は、割当装置60を備える。そして、基地局は、コアネットワーク30からフローFLW1,FLW2を受信し、その受信したフローFLW1,FLW2を割当装置60によってそれぞれ無線ベアラ1および無線ベアラ2に流す。
【0171】
従って、基地局は、アプリケーションによって送信されたフローFLW1,FLW2のうち、少なくともフローFLW1を端末装置へ送信でき、アプリケーションの実行を継続できる。
【0172】
この発明の実施の形態においては、パケットPKT1は、「第1のパケット」を構成し、パケットPKT2は、「第2のパケット」を構成する。
【0173】
また、この発明の実施の形態においては、フローFLW1は、「第1のフロー」を構成し、フローFLW2は、「第2のフロー」を構成する。
【0174】
更に、この発明の実施の形態においては、サービス種別ToS1は、「第1のサービス品質要求」を構成し、サービス種別ToS2は、「第2のサービス品質要求」を構成する。
【0175】
更に、この発明の実施の形態においては、値が“4”に設定されたサービス品質フロー識別子QFIは、「第1のサービス品質フロー識別子」を構成し、値が“9”に設定されたサービス品質フロー識別子QFIは、「第2のサービス品質フロー識別子」を構成する。
【0176】
更に、この発明の実施の形態においては、“4”が設定された5QIは、「第1のサービス品質識別子」を構成し、“9”が設定された5QIは、「第2のサービス品質識別子」を構成する。
【0177】
更に、この発明の実施の形態においては、5QIの値としての“4”は、帯域保障型の無線リソースを割り当てることを示す「第1の値」を構成し、5QIの値としての“9”は、非帯域保障型の無線リソースを割り当てることを示す「第2の値」を構成する。
【0178】
更に、この発明の実施の形態においては、(N×R_uni_1)は、「第1の無線リソースのリソース量」を構成し、(N×R_uni_2)は、「第2の無線リソースのリソース量」を構成する。
【0179】
更に、この発明の実施の形態においては、減算結果[RSCE_AVL-R_uni_1×N]は、「残存無線リソース量」を構成する。
【0180】
更に、この発明の実施の形態においては、減算結果[RSCE_AVL-R_uni_1×N]を端末装置の個数Nで除算した除算結果は、「単位残存無線リソース量」を構成する。
【0181】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0182】
この発明は、割当装置、それを備えた基地局、コンピュータに実行させるためのプログラムおよびプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に適用される。
【符号の説明】
【0183】
10 サーバ、20 外部ネットワーク、30 コアネットワーク、40 RAN 50 端末装置、60 割当装置、61 アンテナ、62 受信手段、63 検出手段、64 割当手段、70 有線ケーブル、100 通信システム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15