(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-06
(45)【発行日】2023-10-17
(54)【発明の名称】トンネル掘削機の中折れ機構
(51)【国際特許分類】
E21D 9/06 20060101AFI20231010BHJP
【FI】
E21D9/06 301A
(21)【出願番号】P 2020031603
(22)【出願日】2020-02-27
【審査請求日】2023-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】521478094
【氏名又は名称】地中空間開発株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小田 誠
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 浩靖
(72)【発明者】
【氏名】高原 健
(72)【発明者】
【氏名】脇田 亮介
【審査官】石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-303134(JP,A)
【文献】特開平03-099097(JP,A)
【文献】特開平09-125881(JP,A)
【文献】特開2017-101487(JP,A)
【文献】特開2018-076752(JP,A)
【文献】特開平02-147795(JP,A)
【文献】特開平02-183092(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネル掘削機の前胴と後胴の間の中折れ機構であって、
前記前胴の後端部とこの後端部の内側に位置する前記後胴の前端部との間に配置される3つ以上の中折れシールと、
前記3つ以上の中折れシールの間に形成された複数のシール室へグリスを供給するグリス供給装置と、
前記中折れ機構の周囲の圧力を検出する第1圧力センサと、
前記複数のシール室のうちの最も後方に位置する最後方シール室の圧力を検出する第2圧力センサと、
前記複数のシール室のうちの最も前方に位置する最前方シール室の圧力を検出する第3圧力センサと、
前記グリス供給装置を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記第2圧力センサで検出される圧力が前記第1圧力センサで検出される圧力よりも高くなるとともに、前記第3圧力センサで検出される圧力が前記第2圧力センサで検出される圧力以下となるように前記グリス供給装置を制御する、トンネル掘削機の中折れ機構。
【請求項2】
トンネル掘削機の前胴と後胴の間の中折れ機構であって、
前記前胴の後端部とこの後端部の内側に位置する前記後胴の前端部との間に配置される3つ以上の中折れシールと、
前記3つ以上の中折れシールの間に形成された複数のシール室のうちの前側に位置する少なくとも1つのシール室とオイルタンクとの間で閉ループを形成し、前記少なくとも1つのシール室へオイルを供給するオイル供給装置と、
前記複数のシール室のうちの残りのシール室へグリスを供給するグリス供給装置と、
前記中折れ機構の周囲の圧力を検出する第1圧力センサと、
前記複数のシール室のうちの最も後方に位置する最後方シール室の圧力を検出する第2圧力センサと、
前記グリス供給装置を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記第2圧力センサで検出される圧力が前記第1圧力センサで検出される圧力よりも高くなるように前記グリス供給装置を制御し、
前記オイル供給装置は、前記複数のシール室のうちの最も前方に位置する最前方シール室の圧力が前記第1圧力センサで検出される圧力よりも低い設定値に保たれるように構成されている、トンネル掘削機の中折れ機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル掘削機の中折れ機構に関する。
【背景技術】
【0002】
トンネル掘削機は、地山を掘削するカッターヘッドと、このカッターヘッドを回転可能に支持する掘削機本体を含む。掘削機本体には中折れ式のものがあり、この中折れ式の掘削機本体では、管状の外殻が前胴と後胴とに分けられ、それらの間に中折れ機構が設けられる。
【0003】
具体的に、中折れ機構では、前胴の後端部の内側に後胴の前端部が位置し、前胴の後端部と後胴の前端部とが重なり合う。また、前胴の後端部と後胴の前端部との間には、複数の環状の中折れシールが配置される。
【0004】
例えば、特許文献1には、前胴の後端部と後胴の前端部との間に2つの中折れシールが配置され、それらの中折れシールの間に形成されたシール室にシール剤を充填することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、トンネル掘削機が高水圧区間を掘削する場合は、中折れ機構を通じた機内への土砂水の流入を防ぐために、中折れシールを3つ以上とするとともに、中折れシールの間に形成される複数のシール室にグリスなどを充填することが望ましい。
【0007】
一般的に、複数のシール室にグリスを充填する場合は、シール室の圧力が機外から機内に向かって段々と高くなるようにシール室へのグリスの供給量が調整される。しかしながら、このような構成では、最も前方(すなわち、機内近く)に位置するシール室の圧力と大気圧との差圧が大きくなるため、その差圧を負担する最前段の中折れシールが反転するおそれがある。
【0008】
そこで、本発明は、最前段の中折れシールが負担する差圧を低減することができるトンネル掘削機の中折れ機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明の1つの側面からのトンネル掘削機の中折れ機構は、トンネル掘削機の前胴と後胴の間の中折れ機構であって、前記前胴の後端部とこの後端部の内側に位置する前記後胴の前端部との間に配置される3つ以上の中折れシールと、前記3つ以上の中折れシールの間に形成された複数のシール室へグリスを供給するグリス供給装置と、前記中折れ機構の周囲の圧力を検出する第1圧力センサと、前記複数のシール室のうちの最も後方に位置する最後方シール室の圧力を検出する第2圧力センサと、前記複数のシール室のうちの最も前方に位置する最前方シール室の圧力を検出する第3圧力センサと、前記グリス供給装置を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記第2圧力センサで検出される圧力が前記第1圧力センサで検出される圧力よりも高くなるとともに、前記第3圧力センサで検出される圧力が前記第2圧力センサで検出される圧力以下となるように前記グリス供給装置を制御する、ことを特徴とする。
【0010】
上記の構成によれば、最前方シール室の圧力が最後方シール室の圧力以下に保たれるので、最前段の中折れシールが負担する差圧を低減することができる。これにより、最前段の中折れシールが反転することを防止することができる。
【0011】
本発明の別の側面からのトンネル掘削機の中折れ機構は、トンネル掘削機の前胴と後胴の間の中折れ機構であって、前記前胴の後端部とこの後端部の内側に位置する前記後胴の前端部との間に配置される3つ以上の中折れシールと、前記3つ以上の中折れシールの間に形成された複数のシール室のうちの前側に位置する少なくとも1つのシール室とオイルタンクとの間で閉ループを形成し、前記少なくとも1つのシール室へオイルを供給するオイル供給装置と、前記複数のシール室のうちの残りのシール室へグリスを供給するグリス供給装置と、前記中折れ機構の周囲の圧力を検出する第1圧力センサと、前記複数のシール室のうちの最も後方に位置する最後方シール室の圧力を検出する第2圧力センサと、前記グリス供給装置を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記第2圧力センサで検出される圧力が前記第1圧力センサで検出される圧力よりも高くなるように前記グリス供給装置を制御し、前記オイル供給装置は、前記複数のシール室のうちの最も前方に位置する最前方シール室の圧力が前記第1圧力センサで検出される圧力よりも低い設定値に保たれるように構成されている、ことを特徴とする。
【0012】
上記の構成によれば、最前方シール室の圧力が中折れ機構の周囲の圧力よりも低く保たれるので、最前段の中折れシールが負担する差圧を低減することができる。これにより、最前段の中折れシールが反転することを防止することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、最前段の中折れシールが負担する差圧を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る中折れ機構を含むトンネル掘削機の側面図である。
【
図2】第1実施形態の中折れ機構を示す、トンネル掘削機の一部の断面図である。
【
図3】本発明の第2実施形態に係る中折れ機構を示す、トンネル掘削機の一部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1実施形態)
図2に、本発明の第1実施形態に係る中折れ機構12を示し、
図1に、その中折れ機構12を含むトンネル掘削機1を示す。例えば、トンネル掘削機1は内部でセグメントを組み立てるシールド掘進機である。ただし、本発明は、シールド掘進機以外のトンネル掘削機にも適用可能である。
【0016】
図1に示すように、トンネル掘削機1は、地山を掘削するカッターヘッド2と、このカッターヘッド2を回転可能に支持する掘削機本体10を含む。掘削機本体10は、中折れ式のものであり、前胴3と後胴4とに分けられた管状の外殻11を含む。そして、前胴3と後胴4の間に中折れ機構12が設けられている。
【0017】
図示は省略するが、前胴3の前側開口は隔壁により閉塞され、この隔壁とカッターヘッド2との間にはカッターチャンバーが形成されている。
【0018】
中折れ機構12では、
図2に示すように、前胴3の後端部31の内側に後胴4の前端部41が位置し、前胴3の後端部31と後胴4の前端部41とが重なり合っている。前胴3の後端部31の内側面および後胴4の前端部41の外側面は、本実施形態では断面が直線の筒状であるが、断面が曲線の球状であってもよい。
【0019】
前胴3の後端部31と後胴4の前端部41との間には、前後方向に並ぶように3つ以上の環状の中折れシール5が配置されている。本実施形態では、中折れシール5の数が4つである。
【0020】
本実施形態では、各中折れシール5としてシングルリップシールが用いられている。ただし、いつくつかのまたは全てのシングルリップシールに変えて、多段リップシールが用いられてもよい。多段リップシールが用いられる場合、各リップ部が中折れシール5である。
【0021】
本実施形態では、中折れシール5がシール押さえ51によって前胴3の後端部31に取り付けられており、当該中折れシール5の弾性力によって後胴4の前端部41に押圧されている。ただし、本実施形態とは反対に、中折れシール5がシール押さえ51によって後胴4の前端部41に取り付けられており、当該中折れシール5の弾性力によって前胴3の後端部31に押圧されてもよい。
【0022】
4つの中折れシール5の間には、3つのシール室が形成されている。3つのシール室は、最も後方に位置する最後方シール室61と、最も前方に位置する最前方シール室63と、中間に位置する中間シール室62である。
【0023】
本実施形態では、最後方シール室61、中間シール室62および最前方シール室63に、半固体のグリスが充填されている。グリスは、グリス供給装置7によって最後方シール室61、中間シール室62および最前方シール室63へ供給される。
【0024】
グリス供給装置7は、最後方シール室61、中間シール室62および最前方シール室63のそれぞれへのグリス供給量を調整可能に構成されている。本実施形態では、グリス供給装置7が1つのポンプ73を含む。ただし、グリス供給装置7の構成はこれに限られるものではなく、適宜変更可能である。
【0025】
具体的に、ポンプ73は吸入路72によりグリスタンク71と接続されている。また、ポンプ73は、供給路74により最後方シール室61と接続され、供給路75により中間シール室62と接続され、供給路76により最前方シール室63と接続されている。供給路74~76の上流側部分は互いに合流して共通の流路となっている。
【0026】
供給路74~76には開閉弁77~79がそれぞれ設けられている。これらの開閉弁77~79および上述したポンプ73は、制御装置8によって制御される。ただし、
図2では、図面の簡略化のために一部の信号線のみを描いている。
【0027】
例えば、制御装置8は、ROMやRAMなどのメモリと、HDDなどのストレージと、CPUを有するコンピュータであり、ROMまたはHDDに記憶されたプログラムがCPUにより実行される。
【0028】
制御装置8は、中折れ機構12の周囲の圧力P0を検出する圧力センサ80(本発明の第1圧力センサに相当)と電気的に接続されている。上述したカッターチャンバーの圧力は、中折れ機構12の周囲の圧力P0とほぼ等しい。このため、本実施形態では、圧力センサ80が、上述した前胴3の前側開口を閉塞する隔壁に設けられ、カッターチャンバーの圧力Pcを中折れ機構12の周囲の圧力P0として検出する。ただし、圧力センサ80は、中折れ機構12の周囲の圧力P0を直接的に検出するために、前胴3の後端部31または後胴4の前端部41に設けられてもよい。
【0029】
さらに、制御装置8は、最後方シール室61の圧力P1を検出する圧力センサ81(本発明の第2圧力センサに相当)、中間シール室62の圧力P2を検出する圧力センサ82、および最前方シール室63の圧力P3を検出する圧力センサ83(本発明の第3圧力センサに相当)とも電気的に接続されている。
【0030】
本実施形態では、圧力センサ81が開閉弁77の下流側で供給路74に設けられている。ただし、圧力センサ81は、例えば、後胴4の前端部41における最後方シール室61に面する部分に設けられてもよい。
【0031】
同様に、圧力センサ82は開閉弁78の下流側で供給路75に設けられており、圧力センサ83は開閉弁79の下流側で供給路76に設けられている。ただし、圧力センサ82は、例えば、後胴4の前端部41における中間シール室62に面する部分に設けられてもよい。同様に、圧力センサ83は、例えば、後胴4の前端部41における最前方シール室63に面する部分に設けられてもよい。
【0032】
制御装置8は、圧力センサ80~83で検出される圧力Pc(P0),P1、P2,P3に基づいて、以下の関係が成立するようにグリス供給装置7を制御する。なお、以下のPaは大気圧(機内の圧力)である。
Pa<P3≦P2≦P1>Pc
【0033】
すなわち、最後方シール室61に関しては、制御装置8は、最後方シール室61の圧力P1がカッターチャンバーの圧力Pc(中折れ機構12の周囲の圧力P0)よりも高くなるようにポンプ73を間欠的に稼働させ、ポンプ73の稼働に合わせて開閉弁77を開く。
【0034】
ポンプ73の間欠的な稼働に関し、制御装置8は、圧力センサ81で検出される圧力が下限(>Pc)を下回ったときに、ポンプ73が所定量のグリスを吐出するだけポンプ73を稼働させてもよい。あるいは、制御装置8は、圧力センサ81で検出される圧力が下限を下回ったときに、圧力センサ81で検出される圧力が上限に至るまでポンプ73を稼働させてもよい。
【0035】
中間シール室62に関しては、制御装置8は、中間シール室62の圧力P2が最後方シール室61の圧力P1以下となるようにポンプ73を間欠的に稼働させ、ポンプ73の稼働に合わせて開閉弁78を開く。
【0036】
ポンプ73の間欠的な稼働に関し、制御装置8は、圧力センサ82で検出される圧力が下限を下回ったときに、ポンプ73が所定量のグリスを吐出するだけポンプ73を稼働させてもよい。あるいは、制御装置8は、圧力センサ82で検出される圧力が下限を下回ったときに、圧力センサ82で検出される圧力が上限に至るまでポンプ73を稼働させてもよい。
【0037】
最前方シール室63に関しては、制御装置8は、最前方シール室63の圧力P3が大気圧Paよりも高く、かつ、中間シール室52の圧力P2以下となるようにポンプ73を間欠的に稼働させ、ポンプ73の稼働に合わせて開閉弁79を開く。言うまでもないが、中間シール室52の圧力P2が最後方シール室61の圧力P1と等しいときは、最前方シール室63の圧力P3は最後方シール室61の圧力P1以下である。
【0038】
ポンプ73の間欠的な稼働に関し、制御装置8は、圧力センサ83で検出される圧力が下限(>Pa)を下回ったときに、ポンプ73が所定量のグリスを吐出するだけポンプ73を稼働させてもよい。あるいは、制御装置8は、圧力センサ83で検出される圧力が下限を下回ったときに、圧力センサ83で検出される圧力が上限に至るまでポンプ73を稼働させてもよい。
【0039】
なお、最前方シール室63の圧力P3は、ゲージ圧で、カッターチャンバーの圧力Pc(中折れ機構12の周囲の圧力P0)の半分以上であることが望ましい。
【0040】
以上説明したように、本実施形態の中折れ機構12では、最前方シール室63の圧力P3が最後方シール室61の圧力P1以下に保たれるので、最前段の中折れシール5が負担する差圧を低減することができる。これにより、最前段の中折れシール5が反転することを防止することができる。
【0041】
(第2実施形態)
図3に、本発明の第2実施形態に係る中折れ機構13を示す。なお、本実施形態において、第1実施形態と同一構成要素には同一符号を付し、重複した説明は省略する。
【0042】
本実施形態では、最前方シール室63に液体のオイルが充填され、中間シール室62および最後方シール室61にグリスが充填されている。そして、最前方シール室63にはオイル供給装置9からオイルが供給され、中間シール室62および最前方シール室63にはグリス供給装置7からグリスが供給される。
【0043】
ただし、中間シール室62には、グリスではなくオイルが充填されてもよい。この場合、オイル供給装置9が最前方シール室63および中間シール室62(前側に位置する2つのシール室)へオイルを供給し、グリス供給装置7が最後方シール室61(残りのシール室)へグリスを供給する。
【0044】
オイル供給装置9は、最前方シール室63とオイルタンク91との間で閉ループを形成する。具体的に、オイル供給装置9は、吸入路92によりオイルタンク91と接続されたポンプ93を含み、このポンプ93が供給路94により最前方シール室63と接続されている。
【0045】
本実施形態では、供給路94から排出路95が分岐しており、この排出路95がオイルタンク91へつながっている。排出路95には、開度が電気的に変更可能な圧力調整弁96が設けられている。ただし、排出路95は、必ずしも供給路94から分岐する必要はなく、最前方シール室63と直接的に連通してもよい。
【0046】
制御装置8は、第1実施形態と同様に、圧力センサ81で検出される最後方シール室61の圧力P1が圧力センサ80で検出されるカッターチャンバーの圧力Pc(中折れ機構13の周囲の圧力P0)よりも高くなるようにグリス供給装置7を制御する(P1>Pc)。なお、本実施形態では、中間シール室62の圧力P2は、最後方シール室61の圧力P1以下であってもよいし(P2≦P1)、最後方シール室61の圧力P1以上であってもよい(P2≧P1)。
【0047】
オイル供給装置9は、最前方シール室63の圧力P3が圧力センサ80でカッターチャンバーの圧力Pc(中折れ機構13の周囲の圧力P0)よりも低い設定値Psに保たれるように構成されている。本実施形態では、制御装置8が、圧力センサ83で検出される最前方シール室63の圧力P3が設定値Psに保たれるように圧力調整弁96を制御する(P3=Ps<Pc)。
【0048】
設定値Psは、カッターチャンバーの圧力Pcに応じて変化するように、ゲージ圧で、カッターチャンバーの圧力Pcに所定割合(例えば、40~60%)を掛け合わせて算出されてもよい。あるいは、設定値Psは、想定されるカッターチャンバーの最小圧力よりも小さな固定値であってもよい。
【0049】
本実施形態では、最前方シール室63の圧力P3がカッターチャンバーの圧力pc(中折れ機構13の周囲の圧力P0)よりも低く保たれるので、最前段の中折れシール5が負担する差圧を低減することができる。これにより、最前段の中折れシール5が反転することを防止することができる。
【0050】
なお、圧力調整弁96の代わりに電磁リリーフ弁が用いられ、この電磁リリーフ弁のリリーフ圧がカッターチャンバーの圧力Pcよりも低くなるように制御装置8により調整されてもよい。この場合、圧力センサ83は不要である。
【0051】
(その他の実施形態)
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0052】
例えば、中折れシール5の数は、3つであってもよいし、5つ以上であってもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 トンネル掘削機
12,13 中折れ機構
3 前胴
31 後端部
4 後胴
41 前端部
5 中折れシール
61 最後方シール室
63 最前方シール室
7 グリス供給装置
8 制御装置
80 圧力センサ(第1圧力センサ)
81 圧力センサ(第2圧力センサ)
83 圧力センサ(第3圧力センサ)
9 オイル供給装置
91 オイルタンク