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特許7362517作業車及び作業車のためのカウンターウェイト
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-06
(45)【発行日】2023-10-17
(54)【発明の名称】作業車及び作業車のためのカウンターウェイト
(51)【国際特許分類】
   A01D 67/00 20060101AFI20231010BHJP
   B62D 49/08 20060101ALI20231010BHJP
【FI】
A01D67/00 L
B62D49/08 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020037815
(22)【出願日】2020-03-05
(65)【公開番号】P2021136930
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2022-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】大野 航平
【審査官】吉原 健太
(56)【参考文献】
【文献】実開昭62-038787(JP,U)
【文献】特開2019-004818(JP,A)
【文献】特開2012-196169(JP,A)
【文献】特開2018-016111(JP,A)
【文献】特開2007-166944(JP,A)
【文献】実開昭49-052211(JP,U)
【文献】特開2017-104074(JP,A)
【文献】特開平09-039850(JP,A)
【文献】米国特許第05255931(US,A)
【文献】英国特許出願公開第02457248(GB,A)
【文献】中国実用新案第201981569(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 1/00 - 79/02
A01C 1/00 - 23/04
A01D 1/00 - 93/00
B62D 49/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体と、
前記車体のうちの前側部分に設けられた前輪と、
前記車体のうちの後側部分に設けられた後輪と、
前記車体のうち、前記前輪の車軸よりも前側又は前記後輪の車軸よりも後側に取り付けられたカウンターウェイトと、が備えられ、
前記カウンターウェイトに、前記車体に取り付けられる本体部と、固定用部材が保持される被保持部と、が設けられ、
前記本体部と前記被保持部とは一体で構成され
前記被保持部は、前記車体から離れる側ほど下側へ傾斜する形状に構成されている作業車。
【請求項2】
前記被保持部は、前記前輪の車軸又は前記後輪の車軸のうち、前記被保持部から近い方の車軸より対地高さが高い請求項1に記載の作業車。
【請求項3】
前記被保持部は、前記車体左右方向における前記本体部の左右横側部のそれぞれに設けられている請求項1又は2に記載の作業車。
【請求項4】
左右それぞれの前記被保持部は、前記本体部から横側方に突出する第一部分と、前記本体部のうち前記第一部分と離れた位置から横側方に突出する第二部分と、前記本体部から離れた状態で前記第一部分と前記第二部分とに亘って設けられる第三部分と、を有している請求項3に記載の作業車。
【請求項5】
車体と、
前記車体のうちの前側部分に設けられた前輪と、
前記車体のうちの後側部分に設けられた後輪と、
前記車体のうち、前記前輪の車軸よりも前側又は前記後輪の車軸よりも後側に取り付けられたカウンターウェイトと、が備えられ、
前記カウンターウェイトに、前記車体に取り付けられる本体部と、固定用部材が保持される被保持部と、が設けられ、
前記被保持部は、前記車体左右方向における前記本体部の左右横側部のそれぞれに設けられ、
左右それぞれの前記被保持部は、前記本体部から横側方に突出する第一部分と、前記本体部のうち前記第一部分と離れた位置から横側方に突出する第二部分と、前記本体部から離れた状態で前記第一部分と前記第二部分とに亘って設けられる第三部分と、を有し、
前記第一部分は、前記第二部分より前記車体の前後方向中央部から遠い側に配置され、前記第二部分より対地高さが低い作業車。
【請求項6】
前記車体のうちの前側部分又は後側部分のいずれか一方に作業装置が連結され、他方に前記カウンターウェイトが取り付けられている請求項1から5のいずれか一項に記載の作業車。
【請求項7】
作業車の車体に取り付けられるカウンターウェイトであって、
前記車体に取り付けられる本体部と、固定用部材が保持される被保持部と、が設けられ、
前記本体部と前記被保持部とは一体で構成され
前記本体部が前記車体に取り付けられた状態において、前記被保持部は、前記車体から離れる側ほど下側へ傾斜する形状に構成されているカウンターウェイト。
【請求項8】
前記本体部が前記車体のうちの前側部分又は後側部分に取り付けられた状態において、前記被保持部は、前記車体左右方向における前記本体部の左右横側部のそれぞれに設けられている請求項7に記載のカウンターウェイト。
【請求項9】
左右それぞれの前記被保持部は、前記本体部から横側方に突出する第一部分と、前記本体部のうち前記第一部分と離れた位置から横側方に突出する第二部分と、前記本体部から離れた状態で前記第一部分と前記第二部分とに亘って設けられる第三部分と、を有している請求項8に記載のカウンターウェイト。
【請求項10】
作業車の車体に取り付けられるカウンターウェイトであって、
前記車体に取り付けられる本体部と、固定用部材が保持される被保持部と、が設けられ、
前記本体部が前記車体のうちの前側部分又は後側部分に取り付けられた状態において、前記被保持部は、前記車体左右方向における前記本体部の左右横側部のそれぞれに設けられ、
左右それぞれの前記被保持部は、前記本体部から横側方に突出する第一部分と、前記本体部のうち前記第一部分と離れた位置から横側方に突出する第二部分と、前記本体部から離れた状態で前記第一部分と前記第二部分とに亘って設けられる第三部分と、を有し、
前記第一部分は、前記第二部分より前記車体の前後方向中央部から遠い側に配置され、前記第二部分より対地高さが低いカウンターウェイト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運搬車両の荷台上に固定用部材を用いて固定される作業車及びその作業車のためのカウンターウェイトに関する。
【背景技術】
【0002】
従来は、作業車をトラック等の搬送車両の荷台に固定する際には、作業車の車体及び車体に備えられたフレームに備えられたフック(本発明における「被連結部」に相当)に、ロープ等(本発明における「固定用部材」)を保持させていた(例えば、引用文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-146529号公報(段落[0167]から[0170]、及び図面の[図11]参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の技術では、作業車に備えられたフックは、細長い部材により構成され、低い位置に設けられるものであり、作業者にとってフックが見つけにくく、さらにフックにロープ等を掛ける作業が困難なものとなっていた。
【0005】
そこで本発明は、上記課題に鑑み、固定用部材を保持する箇所が作業者にとって見つけやすくし、かつ、運搬車両の荷台上に固定する作業を容易にすることができる作業車及びカウンターウェイトを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の作業車は、車体と、前記車体のうちの前側部分に設けられた前輪と、前記車体のうちの後側部分に設けられた後輪と、前記車体のうち、前記前輪の車軸よりも前側又は前記後輪の車軸よりも後側に取り付けられたカウンターウェイトと、が備えられ、前記カウンターウェイトに、前記車体に取り付けられる本体部と、前記固定用部材が保持される被保持部と、が設けられ、前記本体部と前記被保持部とは一体で構成され、前記被保持部は、前記車体から離れる側ほど下側へ傾斜する形状に構成されている
【0007】
この発明によれば、運搬車両の荷台上に作業車を固定させるための固定用部材を、カウンターウェイトに保持させることとなる。カウンターウェイトは一定の重さを有し、作業車に取り付けられることにより、作業装置を備えた作業車の全体の重さバランスを向上させる効果を奏するものである。一定の重さを有するカウンターウェイトは、細長い部材で構成されているフック等と比べ、大きいサイズで構成されていることから、作業者にとって見つけやすくなる。さらに、カウンターウェイトに被保持部が設けられていることから、固定用部材を保持させる作業が容易になる。
【0008】
本発明においては、前記被保持部は、前記前輪の車軸又は前記後輪の車軸のうち、前記被保持部から近い方の車軸より対地高さが高いと好適である。
【0009】
この発明によれば、被保持部が、後輪の車軸よりも高い位置、つまり、一定の対地高さを有する位置に設けられることとなる。その結果、作業者は被保持部を見つけやすくなり、さらに、固定用部材を被保持部に取り付ける際に、作業者は無理な姿勢を強いられることなく、容易に取付作業を行うことができる。
【0010】
本発明においては、前記被保持部は、前記車体左右方向における前記本体部の左右横側部のそれぞれに設けられていると好適である。
【0011】
この発明によれば、左右に設けられた被保持部のどちらか一方又は両方に固定用部材を保持することができる。左右の被保持部のそれぞれに固定用部材を保持すれば、片方のみに固定用部材を保持する場合と比べ、より好適に作業車を固定することができる。また、例えば、運搬車両の荷台の構成上、車体の左右どちらか一方にしか固定用部材を取り付けることができない場合においても、左右どちらか一方の被保持部に固定用部材を取り付けることにより、作業車を固定することができる。
【0012】
本発明においては、左右それぞれの前記被保持部は、前記本体部から横側方に突出する第一部分と、前記本体部のうち前記第一部分と離れた位置から横側方に突出する第二部分と、前記本体部から離れた状態で前記第一部分と前記第二部分とに亘って設けられる第三部分と、を有していると好適である。
【0013】
この発明によれば、被保持部は、第一部分、第二部分、第三部分として、3つの部位を有する構成となり、いずれの部位にも固定用部材を保持させることができる。固定用部材が作業車の前後方向から被保持部へ張り渡される場合や、固定用部材が作業車の側方から被保持部へ張り渡される場合等においても、好適に固定用部材を被保持部に保持することができる。
【0014】
本発明の作業車は、車体と、前記車体のうちの前側部分に設けられた前輪と、前記車体のうちの後側部分に設けられた後輪と、前記車体のうち、前記前輪の車軸よりも前側又は前記後輪の車軸よりも後側に取り付けられたカウンターウェイトと、が備えられ、前記カウンターウェイトに、前記車体に取り付けられる本体部と、固定用部材が保持される被保持部と、が設けられ、前記被保持部は、前記車体左右方向における前記本体部の左右横側部のそれぞれに設けられ、左右それぞれの前記被保持部は、前記本体部から横側方に突出する第一部分と、前記本体部のうち前記第一部分と離れた位置から横側方に突出する第二部分と、前記本体部から離れた状態で前記第一部分と前記第二部分とに亘って設けられる第三部分と、を有し、前記第一部分は、前記第二部分より前記車体の前後方向中央部から遠い側に配置され、前記第二部分より対地高さが低い。
【0015】
被保持部と前輪及び後輪とが近くに配置されると、固定用部材が、前輪及び後輪に接触してしまうことがある一方で、被保持部と前輪及び後輪との距離を確保するためにカウンターウェイトを高い位置に配置させると、カウンターウェイトによって作業運転時に運転者の視野の一部が遮られる虞がある。この発明によれば、被保持部は、前輪の円周のうちの前上側部分又は後輪の円周のうちの後上側部分に対応した傾斜を有することとなり、カウンターウェイトの対地高さを抑えつつも、側面視において、被保持部と前輪又は後輪とにおいて一定の距離を確保することができる。この構成により、固定用部材が作業車の側方から被保持部へ張り渡され、固定用部材が第三部分に保持される場合でも、前輪又は後輪と固定用部材とが接触してしまう等の不都合を回避しやすくなる。
【0016】
また、被保持部は、傾斜を有するため、被保持部に固定用部材を差し込む際には、上下方向のみでなく前後方向からも固定用部材を差し込むことが可能となる。したがって、固定用部材を被保持部に保持させる作業がより容易に行うことができる。
【0017】
本発明においては、前記車体のうちの前側部分又は後側部分のいずれか一方に作業装置が連結され、他方に前記カウンターウェイトが取り付けられていると好適である。
【0018】
この発明によれば、カウンターウェイトを備えることで、作業装置を備えた作業車の全体の重さバランスを向上させたうえで、被保持部に固定用部材を保持することができ、より好適に作業車を固定することができる。
【0019】
本発明のカウンターウェイトは、作業車の車体に取り付けられるカウンターウェイトであって、前記車体に取り付けられる本体部と、固定用部材が保持される被保持部と、が設けられ、前記本体部と前記被保持部とは一体で構成され、前記本体部が前記車体に取り付けられた状態において、前記被保持部は、前記車体から離れる側ほど下側へ傾斜する形状に構成されている
【0020】
この発明によれば、運搬車両の荷台上に作業車を固定させるための固定用部材を、カウンターウェイトに保持させることとなる。カウンターウェイトは一定の重さを有し、作業車に取り付けられることにより、作業装置を備えた作業車の全体の重さバランスを向上させる効果を奏するものである。一定の重さを有するカウンターウェイトは、細長い部材で構成されているフック等と比べ、大きいサイズで構成されていることから、作業者にとって見つけやすくなる。さらに、カウンターウェイトに被保持部が設けられていることから、固定用部材を保持させる作業が容易になる。
【0021】
本発明においては、前記本体部が前記車体のうちの前側部分又は後側部分に取り付けられた状態において、前記被保持部は、前記車体左右方向における前記本体部の左右横側部のそれぞれに設けられていると好適である。
【0022】
この発明によれば、左右に設けられた被保持部のどちらか一方又は両方に固定用部材を保持することができる。左右の被保持部のそれぞれに固定用部材を保持すれば、片方のみに固定用部材を保持する場合と比べ、より好適に作業車を固定することができる。また、例えば、運搬車両の荷台の構成上、車体の左右どちらか一方にしか固定用部材を取り付けることができない場合においても、左右どちらか一方の被保持部に固定用部材を取り付けることにより、作業車を固定することができる。
【0023】
本発明においては、左右それぞれの前記被保持部は、前記本体部から横側方に突出する第一部分と、前記本体部のうち前記第一部分と離れた位置から横側方に突出する第二部分と、前記本体部から離れた状態で前記第一部分と前記第二部分とに亘って設けられる第三部分と、を有していると好適である。
【0024】
この発明によれば、被保持部は、第一部分、第二部分、第三部分として、3つの部位を有する構成となり、いずれの部位にも固定用部材を保持させることができる。固定用部材が作業車の前後方向から被保持部へ張り渡される場合や、固定用部材が作業車の側方から被保持部へ張り渡される場合等においても、好適に固定用部材を被保持部に保持することができる。
【0025】
本発明のカウンターウェイトは、作業車の車体に取り付けられるカウンターウェイトであって、前記車体に取り付けられる本体部と、固定用部材が保持される被保持部と、が設けられ、前記本体部が前記車体のうちの前側部分又は後側部分に取り付けられた状態において、前記被保持部は、前記車体左右方向における前記本体部の左右横側部のそれぞれに設けられ、左右それぞれの前記被保持部は、前記本体部から横側方に突出する第一部分と、前記本体部のうち前記第一部分と離れた位置から横側方に突出する第二部分と、前記本体部から離れた状態で前記第一部分と前記第二部分とに亘って設けられる第三部分と、を有し、前記第一部分は、前記第二部分より前記車体の前後方向中央部から遠い側に配置され、前記第二部分より対地高さが低い。
【0026】
被保持部と前輪及び後輪とが近くに配置されると、固定用部材が、前輪及び後輪に接触してしまうことがある一方で、被保持部と前輪及び後輪との距離を確保するためにカウンターウェイトを高い位置に配置させると、カウンターウェイトによって作業運転時に運転者の視野の一部が遮られる虞がある。この発明によれば、被保持部は、前輪の円周のうちの前上側部分又は後輪の円周のうちの後上側部分に対応した傾斜を有することとなり、カウンターウェイトの対地高さを抑えつつも、側面視において、被保持部と前輪又は後輪とにおいて一定の距離を確保することができる。この構成により、固定用部材が作業車の側方から被保持部へ張り渡され、固定用部材が第三部分に保持される場合でも、前輪又は後輪と固定用部材とが接触してしまう等の不都合を回避しやすくなる。
【0027】
また、被保持部は、傾斜を有するため、被保持部に固定用部材を差し込む際には、上下方向のみでなく前後方向からも固定用部材を差し込むことが可能となる。したがって、固定用部材を被保持部に保持させる作業がより容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】フロントマウント型乗用草刈機の全体を示す平面図である。
図2】フロントマウント型乗用草刈機の全体を示す右側面図である。
図3】カウンターウェイトを示す背面図である。
図4】カウンターウェイトを示す右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の一例である実施形態を作業車の一例としてフロントマウント型乗用草刈機に適用した場合について、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明では、フロントマウント型乗用草刈機の車体に関し、図1,2に示される矢印Fの方向を「車体前方」、矢印Bの方向を「車体後方」、図1に示される矢印Lの方向を「車体左方」、矢印Rの方向を「車体右方」、図2に示される矢印Uの方向を「車体上方」、矢印Dの方向を「車体下方」とする。
【0030】
〔フロントマウント型乗用草刈機の全体の構成〕
図1に示すように、フロントマウント型乗用草刈機は、車体のうちの前側に左右の前輪1が駆動可能に備えられ、車体のうちの後側に左右の後輪2が操向可能に備えられている。前輪1の上方には、運転座席3、後輪2を操向操作するステアリングホィール4を有する乗用型の運転部5が備えられている。車体の前側部分に作業装置として草刈装置10が備えられ、車体の後側端部には、カウンターウェイト20が備えられている。
【0031】
〔草刈装置の構成〕
図1,2に示すように、草刈装置10は、刈り刃ハウジング11を備えている。刈り刃ハウジング11の内部に、車体横幅方向に並ぶ3枚の刈り刃(図示せず)が設けられている。3枚の刈り刃のそれぞれは、車体上下方向に延びる回転支軸(図示せず)を有し、回転支軸を介して刈り刃ハウジング11の上部に回転可能に支持されている。
【0032】
〔カウンターウェイトの構成〕
図1,2に示すように、カウンターウェイト20は、車体の車体幅方向において中央部分、かつ、後輪2の車軸2aよりも後側である車体の後端部分に取り付けられている。カウンターウェイト20は、左右の後輪2の間隔よりも狭い横幅を備えており、後輪2が操向操作された際に、後輪2とカウンターウェイト20とが干渉しないように構成されている。
【0033】
カウンターウェイト20に、車体に取り付けられる本体部21と、運搬車両(図示せず)の荷台上に固定される際にロープ等の固定用部材(図示せず)が保持される被保持部22と、が設けられている。
【0034】
図3に示すように、本体部21に、ボルト(図示せず)を差し込み可能に構成されている2つの固定用貫通孔21aが形成されている。図2に示すように、車体の後端部分に、カウンターウェイト20を固定する固定部6が設けられている。
【0035】
固定部6は、本体部21の固定用貫通孔21aに対応する位置に、ボルトを固定するボルト孔(図示せず)が形成されている。本体部21と固定部6とがボルト固定されることにより、カウンターウェイト20を車体の後端部分に取り付けることができる。カウンターウェイト20と本体部21とは、ボルトにより強固に固定されているため、運搬車両の荷台上等において、固定用部材を被保持部22に保持させることにより、作業車を好適に固定することができる。
【0036】
図1,3に示すように、被保持部22は、車体左右方向における本体部21の左右横側部のそれぞれに設けられている。図3に示すように、左右それぞれの被保持部22は、本体部21の左右横側部のうちの後側部分から横側方に突出する第一部分22aと、本体部21の左右横側部のうちの前側部分から横側方に突出する第二部分22bと、第一部分22aの左右外側端部と第二部分22bの左右外側端部とに亘って設けられる第三部分22cとを有している。
【0037】
第一部分22aは、第二部分22bより車体の前後方向中央部から遠い側に配置され、かつ、第一部分22aと第二部分22bとは、離れた位置に設けられている。被保持部22は、第一部分22a、第二部分22b、及び第三部分22cにより、平面視において、略U字形状に形成されている。
【0038】
被保持部22の大部分は、固定部6が設けられている車体後端部の左右両端部よりも車体幅方向の横外側に位置するように構成されている。この構成により、被保持部22のうちの第一部分22a、第二部分22b、及び第三部分22cのいずれに固定用部材を保持させた場合においても、固定用部材と車体とが干渉してしまうことを軽減することができる。
【0039】
図2,4に示すように、被保持部22は、全体として、後輪2の車軸2aよりも対地高さが高い位置に配置されているという構成を備える。この構成により、作業者は被保持部22を見つけやすくなり、さらに、固定用部材を被保持部22に取り付ける際に、作業者は無理な姿勢を強いられることなく、容易に取付作業を行うことができる。
【0040】
被保持部22と前輪1及び後輪2とが近くに配置されると、固定用部材が、前輪1及び後輪2に接触してしまうことがある一方で、被保持部22と前輪1及び後輪2との距離を確保するために、カウンターウェイト20を高い位置に配置させると、カウンターウェイト20によって作業運転時に運転者の視野の一部が遮られる虞がある。そこで、第一部分22aは、第二部分22bより対地高さが低く配置されるという構成を備える。図2に示すように、被保持部22は、後輪2の円周のうちの後上側部分に対応した傾斜を有することとなり、カウンターウェイト20の対地高さを抑えつつも、側面視において、被保持部22と後輪2とにおいて一定の距離を確保することができる。その結果、固定用部材が第一部分22a、第二部分22b、及び第三部分22cのいずれに保持される場合でも、後輪2等と固定用部材とが接触してしまう等の不都合を回避しやすくなる。
【0041】
また、被保持部22は、傾斜を有するため、被保持部22に固定用部材を差し込む際には、上下方向のみでなく前後方向からも固定用部材を差し込むことが可能となる。したがって、固定用部材を被保持部22に保持させる作業がより容易に行うことができる。
【0042】
草刈装置10の重量が重いものである場合や、車体の後部が軽いものである場合など、必要に応じて、カウンターウェイト20に、補助ウェイト23を取り付けることができる。
【0043】
補助ウェイト23は、図2に示すように、側面視でL字型形状に形成されている。補助ウェイト23の上面部には、ボルト23aを差し込み可能に構成されている2つの貫通孔(図示せず)が形成されており、カウンターウェイト20の上面部に形成されているボルト孔(図示せず)と補助ウェイト23の貫通孔とがボルト固定されることにより、カウンターウェイト20に補助ウェイト23が固定される。
【0044】
被保持部22は、図1に示すように、平面視で補助ウェイト23と重複しない領域を有するように構成されている。この構成により、カウンターウェイト20に補助ウェイト23が取り付けられた状態においても、運搬車両の荷台上等において、固定用部材を被保持部22に保持させることが可能となる。
【0045】
〔別実施形態〕
以下、上記実施形態に変更を加えた別実施形態を例示する。以下の別実施形態は、矛盾が生じない限り、複数組み合わせて上記実施形態に適用してよい。なお、本発明の範囲は、各実施形態の内容に限定されるものではない。
【0046】
(1)上記実施形態において、カウンターウェイト20は、車体の後側端部に取り付けられている場合を例に説明したが、本発明は上記の実施形態に限られるものではない。例えば、草刈装置10が車体の後側部分に備えられている場合は、前輪1の車軸1aよりも前側に取り付けられていてもよい。
【0047】
(2)上記実施形態において、被保持部22は、車体左右方向における本体部21の左右横側部のそれぞれに設けられている場合を例に説明したが、本発明は上記の実施形態に限られるものではない。例えば、被保持部22は、本体部21の左右どちらか一方に設けれている構成を採用してもよく、本体部21の車体左右方向以外の部分、例えば、本体部21の車体上下方向の上側部又は下側部や、本体部21の車体前後方向の前側部又は後側部に設けられる構成を採用してもよい。
【0048】
(3)上記実施形態において、第三部分22cは、第一部分22aの左右外側端部と第二部分22bの左右外側端部とに亘って設けられている場合を例に説明したが、本発明は上記の実施形態に限られるものではない。第三部分22cは、本体部21から離れた状態で配置されていればよく、例えば、第一部分22aの左右方向中央部分と第二部分22bの左右方向中央部分とに亘ように配置されていてもよい。
【0049】
(4)上記実施形態において、被保持部22は、第一部分22aと第二部分22bと第三部分22cとを有し、略U字形状に形成されている場合を例に説明したが、本発明は上記の実施形態に限られるものではない。例えば、被保持部22は、第二部分22bを有さないL字状のフック型に形成されていてもよく、また、その他の形状に形成されていてもよい。
【0050】
(5)上記実施形態において、被保持部22は、後輪2の車軸2aよりも対地高さが高い位置に配置されている場合を例に説明したが、本発明は上記の実施形態に限られるものではない。例えば、草刈装置10が車体の後側部分に備えられている場合は、被保持部22は、前輪1の車軸1aよりも対地高さが高い位置に配置されている構成としてもよい。また、走行に支障がない範囲であれば、被保持部22は、後輪2の車軸2a及び前輪1の車軸1aよりも対地高さが低い位置に配置されていてもよい。
【0051】
(6)上記実施形態において、被保持部22は、第一部分22aは、第二部分22bより対地高さが低く配置される場合を例に説明したが、本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、第一部分22aは、第二部分22bより対地高さが高く配置されてもよく、また、同じ高さに配置されてもよい。
【0052】
(7)上記実施形態において、作業装置として草刈装置10が備えられている場合を例に説明したが、本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、例えば、作業装置として苗植付装置や薬剤散布装置など各種の作業装置が備えられるものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、フロントマウント型乗用草刈機に限らず、運搬車、トラクタ、コンバインなど各種の作業車及びその作業車のためのカウンターウェイトに適用できる。
【符号の説明】
【0054】
1 前輪
1a 車軸
2 後輪
2a 車軸
20 カウンターウェイト
21 本体部
22 被保持部
22a 第一部分
22b 第二部分
22c 第三部分
図1
図2
図3
図4