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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-06
(45)【発行日】2023-10-17
(54)【発明の名称】マーカ、検出方法および検出プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 15/06 20060101AFI20231010BHJP
【FI】
G01C15/06 T
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020049224
(22)【出願日】2020-03-19
(65)【公開番号】P2021148627
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-03-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000166432
【氏名又は名称】戸田建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100153006
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 勇三
(74)【代理人】
【識別番号】100121669
【弁理士】
【氏名又は名称】本山 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】宮地 淳夫
【審査官】國田 正久
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-74386(JP,A)
【文献】特開2000-35336(JP,A)
【文献】特開2019-20209(JP,A)
【文献】特開2015-99048(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準点を指し示すマーカであって、
前記基準点を頂点とする3直線(A、B、C)を角錐状に配置し、前記3直線のうちの第1及び第2の直線(A、B)により構成される3角形の形状を有する底面と、
前記底面より小さい3角形の形状を有し、前記3直線(A、B、C)のうちの第3の直線(C)の前記基準点ではない端部に3角形の頂点の1つが一致するように、前記底面と略平行に配置された上面と、
前記3直線(A、B、C)と、前記第1及び第2の直線(A、B)に対向する前記上面の3角形の2辺(a、b)から構成される4角形の形状を有する2つの側面と
を備え、
前記上面及び前記2つの側面には、前記マーカごとに予め定めたパターンが付され、
前記3直線(A、B、C)は、第1の色彩で着色されており、前記3直線(A、B、C)、または前記3直線(A、B、C)のうちのいずれかの2直線が認識されることにより前記基準点が認識可能なマーカ。
【請求項2】
前記底面の3角形の前記第1及び第2の直線(A、B)以外の第3の直線(D)と対向する前記上面の3角形の1辺(d)、及び前記上面の3角形の1辺(d)と前記第3の直線(D)を結ぶ直線は、前記第1の色彩と異なる第2の色彩で着色されている
請求項1に記載のマーカ。
【請求項3】
請求項1または2記載のマーカを検出するための検出方法であって、
取得された前記マーカを含む画像から、前記上面及び前記2つの側面の少なくとも何れかの面における前記パターンを検出することにより、前記マーカを識別し、
前記3直線、または前記3直線のうちいずれかの2直線を認識することにより、前記基準点を認識すること
を含む検出方法。
【請求項4】
請求項1または2記載のマーカを検出するための検出プログラムであって、
取得された前記マーカを含む画像から、前記上面及び前記2つの側面の少なくとも何れかの面における前記パターンを検出することにより、前記マーカを識別し、
前記3直線、または前記3直線のうちいずれかの2直線を認識することにより、前記基準点を認識すること
をコンピュータに実行させる検出プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、測量等における基準点として用いられるマーカに関する。
【背景技術】
【0002】
土木や建築等の施工現場において、設計で定めた種々の部品等が適正な位置に設置されていることを確認するために、画像処理による位置計測が行われている。画像処理による位置計測として、施工現場における特定の位置に基準点を設置し、その基準点の位置に基づいて、部品等の設置位置を特定する技術が提案されており、このような技術では、基準点の位置を正確に認識することが求められている。
【0003】
位置計測における基準点を示す計測用マーカとしては、様々な技術が提案されている。例えば、特許文献1では、直交線分で仕切られた色分け模様からなる計測用マーカが提案されている。特許文献1では、計測用マーカの画像における直交線分の交叉位置を基準点として認識することができる。
【0004】
また、特許文献2では、錐体の錐面が複数の色彩の異なる複数の領域に区画されている錐体形状の対空標識が提案されている。特許文献2の対空標識では、錐体形状の頂点を基準点として認識することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第5051493号公報
【文献】特開2019-074386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、特許文献1の計測用マーカは平面形状であるため、斜め方向から撮影した場合には、反射により識別が困難であったり、斜めから撮影した画像を正射状態に変換する必要があるなど、基準点の認識精度が落ちるという場合がある。一方、特許文献2の対空標識は、立体形状であるため斜め方向からの撮影にも対応可能であるが、錐体形状の頂点を基準点とするため、施工現場における特定の位置に対空標識を正確に設置するために労力を要し、認識した基準点の位置と正しい基準点の位置との間に誤差が発生するおそれがあるという問題がある。
【0007】
本願発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、複数方向からの認識が容易で、基準点の認識精度が高いマーカを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本願発明のマーカは、基準点を指し示すマーカであって、前記基準点を頂点とする3直線(A、B、C)を角錐状に配置し、前記3直線のうちの第1及び第2の直線(A、B)により構成される3角形の形状を有する底面と、前記底面より小さい3角形の形状を有し、前記3直線(A、B、C)のうちの第3の直線(C)の前記基準点ではない端部に3角形の頂点の1つが一致するように、前記底面と略平行に配置された上面と、前記3直線(A、B、C)と、前記第1及び第2の直線(A、B)に対向する前記上面の3角形の2辺(a、b)から構成される4角形の形状を有する2つの側面とを備え、前記上面及び前記2つの側面には、前記マーカごとに予め定めたパターンが付され、前記3直線(A、B、C)は、第1の色彩で着色されており、前記3直線(A、B、C)、または前記3直線(A、B、C)のうちのいずれかの2直線が認識されることにより前記基準点が認識可能なマーカである。
【0009】
また、前記底面の3角形の前記第1及び第2の直線(A、B)以外の第3の直線(D)と対向する前記上面の3角形の1辺(d)、及び前記上面の3角形の1辺(d)と前記第3の直線(D)を結ぶ直線は、前記第1の色彩と異なる第2の色彩で着色されていてもよい。
【0010】
上記課題を解決するために、本願発明の検出方法は、取得された前記マーカを含む画像から、前記上面及び前記2つの側面の少なくとも何れかの面における前記パターンを検出することにより、前記マーカを識別し、前記3直線、または前記3直線のうちいずれかの2直線を認識することにより、前記基準点を認識することを含む。
【0011】
上記課題を解決するために、本願発明の検出プログラムは、取得された前記マーカを含む画像から、前記上面及び前記2つの側面の少なくとも何れかの面における前記パターンを検出することにより、前記マーカを識別し、前記3直線、または前記3直線のうちいずれかの2直線を認識することにより、前記基準点を認識することをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0012】
本願発明によれば、複数方向からの認識が容易で、基準点の認識精度が高いマーカを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、マーカの構成例を示す図である。
図2図2は、マーカの他の構成例を示す図である。
図3図3は、マーカの他の構成例を示す図である。
図4図4は、マーカの他の構成例を示す図である。
図5図5は、マーカの他の構成例を示す図である。
図6図6は、マーカの他の構成例を示す図である。
図7図7は、マーカの他の構成例を示す図である。
図8図8は、マーカの他の構成例を示す図である。
図9図9は、マーカの他の構成例を示す図である。
図10図10は、マーカの他の構成例を示す図である。
図11図11は、マーカが設置されたエリアの一例である。
図12図12は、マーカを用いた部品管理システムの構成例である。
図13図13は、基準点情報管理テーブルの一例である。
図14図14は、部品位置情報管理テーブルの一例である。
図15図15は、マーカを用いた部品位置の検証方法のシーケンスの一例である。
図16図16は、マーカの検出方法のフローチャートの一例である。
図17図17は、部品位置の検証方法のフローチャートの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本願発明を実施するための形態について説明する。尚、本願発明は、様々な実施の形態で実施可能であり、以下に説明する発明の実施の形態に限定されるものではない。
【0015】
<マーカの構成>
図1は、マーカの構成例を示す図である。図1のマーカ1は、基準点を頂点とする3直線(A、B、C)を角錐状に配置されており、この3直線(A、B、C)のうちの第1及び第2の直線(A、B)により構成される3角形の形状を有する底面と、底面より小さい3角形の形状を有し、3直線のうちの第3の直線(C)の基準点ではない端部に3角形の頂点の1つが一致するように、底面と略平行に配置された上面とを備えており、底面と上面の間には、3直線(A、B、C)と、第1及び第2の直線(A、B)に対向する上面の3角形の2辺(a、b)から構成される4角形の形状を有する2つの側面とを備えている。
【0016】
マーカ1の上面及び2つの側面には、画像認識が可能なマーカ毎に予め定められたパターン3が付されている。このパターンを画像認識することによりマーカ1を特定することができる。本図の構成例では、塗りつぶされた4角形を他の4角形で取り囲んでいる4角形のパターン3が各面に付されている。パターン3の形状は、施工現場等で認識するために、マーカ1が設置される施工現場等で用いられていない形状のパターンが望ましく、マーカ1が設置される施工現場等に応じて適宜設計される。
【0017】
図1のマーカ1の構成例の底面の3角形と上面の3角形は、相似形状であるが、底面と上面は、必ずしも相似形状である必要はない。上面、及び2つの側面は、パターンを付するのに十分な大きさを有しており、付するパターンの大きさや形状に応じて、適宜設計することができる。
【0018】
マーカ1では、基準点2を頂点とする3直線(A、B、C)が角錐状に配置されており、マーカ1の3直線(A、B、C)が交わる頂点が、施工現場等の予め定められた位置の基準点2を指し示すように設置される。本実施の形態のマーカ1では、3直線(A、B、C)は、第1の色彩で着色されており、この第1の色彩で着色された直線を画像認識することにより、基準点2を認識可能に構成されている。
【0019】
<基準点の検出>
本実施の形態では、基準点を頂点として角錐状に配置され、第1の色彩で着色された3直線(A、B、C)、または3直線(A、B、C)のうちいずれかの2直線を認識することにより、マーカ1の頂点すなわち基準点2を認識することができる。
【0020】
例えば、図1(b)の正面方向からの撮影では、3直線(A、B、C)のうち、2つの直線(A、B)、2つの直線(A、C)、あるいは2つの直線(B、C)のいずれかを認識することができれば基準点2の認識が可能である。図1(c)の横方向からの撮影では、3直線(A、B、C)のうち、2つの直線(A、C)、あるいは2つの直線(B、C)を認識することができれば基準点2の認識が可能である。図1(d)の上方向からの撮影では、3直線(A、B、C)のうち、2つの直線(A、C)、あるいは2つの直線(B、C)を認識することができれば基準点2の認識が可能である。
【0021】
第1の色彩が着色される3直線(A、B、C)の太さは、図1に示した太さに限定されるものではない。3直線(A、B、C)の太さは、それぞれの直線を画像認識するのに十分な太さを有しており、マーカ1が設置される施工現場等の大きさや撮影距離に応じて、マーカ1を構成する直線(A、B、C)の太さを適宜設計すればよい。
【0022】
<マーカのパターンの検出>
本実施の形態では、取得されたマーカ1を含む画像から、上面、2つの側面の少なくとも何れかの面に付されたパターン3を検出することによりパターン3を特定し、特定されたパターン3に基づいて、マーカ1を識別する。
【0023】
本実施の形態では、マーカ1とパターン3の対応関係を予め登録しておき、取得された画像から検出されたパターン3と、登録されたパターンの間でパターンマッチングを行うことによりパターン3に対応するマーカ1を特定する。パターン3は、上面及び2つの側面の少なくとも1つの面から検出できればよい。少なくとも1つの面におけるパターン3を検出できれば、対応するマーカ1を識別することができる。
【0024】
本実施の形態におけるマーカ1は、底面、上面、及び2つの側面からなる形状を有し、上面及び2つの側面に、マーカ毎に予め定められたパターン3が付されているので、正面方向からの撮影に限らず、上方向、斜め方向や横方向から撮影した場合でも、上面及び2つの側面の少なくとも何れかの面におけるパターン3を検出することにより、マーカ1を識別することができる。
【0025】
例えば、正面方向からの撮影では、上面に付されたパターン3を検出することが可能であり、上方向、斜め方向や横方向からの撮影では、2つの側面の少なくとも一つの面に付されたパターン3を検出することにより、マーカ1を識別することが可能である。
【0026】
<マーカの他の構成例>
図2~10を用いて、マーカ1の他の構成例について説明する。以下の説明では、図2で説明したマーカ1を用いて、マーカ1の他の構成例を説明するが、図1で説明したマーカを用いてもよい。
【0027】
図1のマーカ1の構成例では、基準点2を頂点として角錐状に配置された3直線(A、B、C)を第1の色彩で着色した構成を例示したが、図2に示すように、底面を構成する三角形の2つの直線(A、B)以外の直線(D)と対向する上面の3角形の1辺(d)と、上面の3角形の1辺(d)と直線(D)を結ぶ直線を、第1の色彩と異なる第2の色彩で着色するように構成してもよい。
【0028】
このような構成により、底面の3角形の3つの頂点のうち、基準点2を示す1つの頂点と基準点2以外の2つの頂点を確実に識別することができるので、マーカ1における基準点2の認識精度を向上させることが可能となる。すなわち、第1の色彩が付された直線A、Bの交点(基準点)と、第1の色彩が付された直線Aまたは直線Bと第2の色彩が付された線との2つの交点を、色彩の違いに基づいて確実に識別することができるので、底面の3角形の3つの頂点のうち、基準点2以外の2つの頂点を基準点2として誤認識することを防ぐことができる。
【0029】
また、図2の構成において、図3に示すように、底面を構成する三角形の2つの直線(A、B)以外の直線(D)を第2の色彩で着色するようにしてもよい。このような構成により、マーカ1の後方から撮影した場合等に、図2における第2の色彩で着色した部分の認識が困難な場合にも、基準点2以外の2つの頂点のいずれかを基準点2として誤認識することを防ぐことができる。
【0030】
マーカ1に付するパターン3の形状についても図1に示したものに限られず、マーカ1が設置される施工現場等の状況に応じて適宜設計される。図4に示すように、塗りつぶされた円を他の円で取り囲んでいる円形のパターン3や十文字形のパターン3等の他のパターンを用いてもよい。
【0031】
本実施の形態におけるマーカ1は、マーカ1の頂点の1つを基準点に合わせて設置すればよいので、設置に伴う作業や設置場所の変更が容易である。マーカ1が設置される施工現場等の撮影条件に応じて設置場所や設置方向を変更することができる。例えば、図5に示すように、上方向から撮影するか下方向から撮影するかに応じて設置方向の変更が可能である。
【0032】
また、マーカ1を設置する施工現場等の状況に応じて、複数のマーカ1を組み合わせてもよい。例えば、上下方向から撮影する場合や、上下左右方向から撮影する場合に応じて、図6図7のようにマーカ1を複数組み合わせたマーカ1を用いてもよい。図6のマーカ1では、2つのマーカ1を組み合わせて施工現場等の壁から離れた位置に設置することにより、マーカ1の周囲方向から撮影した画像を用いて基準点2を特定することも可能となる。
【0033】
図8に示すように、撮影距離に応じて、大きさの異なる複数のマーカ1を組み合わせることもできる。近い位置から撮影する場合には、小さいマーカ1の画像を用いて基準点2を特定し、遠い位置から撮影する場合には、大きいマーカ1の画像を用いて、基準点2を特定すればよい。なお、図7図8のように、複数のマーカ1を並べて配置する場合には、複数のマーカ1の基準点2の中点を基準点2として施工現場等に設置すればよい。このような設置により、複数のマーカ1のそれぞれの頂点を認識して、この複数の頂点に基づく基準点を設定することもできる。
【0034】
また、図9に示すように、マーカ1には、パターン3に加えて、様々な情報が書き込まれたコード4を付することもできる。このコード4には、例えば、マーカ1の基準点の座標等の位置情報等のマーカ1の詳細な情報を書き込むことができる。
【0035】
図10に示すように、マーカ1を設置する壁の状況に応じて、3直線(A、B、C)が認識できるように、マーカ1の周囲に余白5を設けてもよい。
【0036】
このように、本実施の形態におけるマーカによれば、斜め方向や横方向から撮影した場合でも認識が可能で、認識率の高いマーカを提供することができる。さらに、設置するマーカの数や設置場所を適宜変更することにより、複数の方向から撮影した場合においても認識率の高いマーカを容易に構成することができる。本実施の形態におけるマーカによれば、撮影する方向や数等が異なる様々な状況の施工現場等における撮影条件に対して臨機応変に対応可能なマーカを提供することができる。
【0037】
なお、本実施の形態におけるマーカの形状は、底面と略平行な上面から構成されている三角錐台形状であるため、制作が容易である。さらに、角錐状に配置された3直線から形成されている頂点が基準点を指し示すように設置すればよいので、設置が容易であり、破損等した場合の交換や復元も容易である。
【0038】
<マーカを用いた部品管理システム>
図11-17を用いて、本実施の形態におけるマーカを用いた部品管理について説明する。図11は、マーカが設置された施工現場等のエリアの一例であり、図12は、マーカを用いた部品管理システムの構成例である。本構成例の部品管理システムでは、複数のマーカ#A-#Cが所定の位置に配置された所定のエリアに、種々の形状を有する部品#1-#5が設置されている場合を想定している。
【0039】
マーカおよび部品の画像情報は、撮影端末10により取得することができる。撮影端末10は、マーカおよび部品の画像情報を取得するためのカメラ部12、画像情報取得部13、部品管理装置20との間で通信を行うアンテナ部14および無線部15、各部の制御を行う中央処理部11、各種情報を入力する入力部16、各種情報を表示する表示部17、画像情報等を記憶する記憶部18を備える。中央処理部11は、取得した画像情報を処理することにより、マーカおよび基準点を検出する処理を実行し、特定したパターンおよび部品の画像を含む画像情報をネットワーク30を介して部品管理装置20に送信する。
【0040】
撮影端末10は、記憶部、I/F部および中央処理部を備えたコンピュータによって構成することができ、取得した画像情報の処理、マーカおよび基準点を検出する処理を中央処理部11の検出プログラムによってコンピュータに実行させるように構成してもよい。その場合には、中央処理部に予めその検出プログラムを搭載しておいてもよく、あるいは記憶部に記憶したプログラムを中央処理部にダウンロードするように構成してもよい。
【0041】
部品管理装置20には、図13図14に示すように、マーカ1のパターン3と基準点の位置の対応関係を表す基準点情報テーブルと、施工現場等において部品が設置されるべき位置の位置情報が含まれる部品位置情報テーブルが登録されている。図14の部品位置情報テーブルには、画像情報により特定された部品の位置情報と、部品が設置されるべき位置の位置情報とを比較した検証結果を登録することもできる。
【0042】
部品管理装置20では、パターンに対応する基準点の位置を特定し、エリア内における基準点の位置と、画像情報により得られた基準点の位置と、基準点の位置からみた部品の設置位置の相対的位置関係を用いて、部品のエリア内における位置を特定することができる。さらに、部品がエリア内の設置されるべき位置に設置されているかの検証を行うことができる。
【0043】
図11の例では、エリア内に配置されたマーカ#A-#Cは、エリア内における部品の位置を特定するための基準となるマーカであり、エリア内に少なくとも3つ設置されている。マーカ#A-#Cは、所定のエリア内の予め定められた位置に設置されている。
【0044】
各マーカには、マーカ毎に予め定められたパターンが付されており、パターンを検出することにより各マーカが認識できるように構成されている。マーカのパターンを検出することができれば、そのパターンに対応するマーカと対応する基準点の位置を特定することができる。エリア内におけるマーカの基準点の位置と、画像情報により得られた基準点の位置と、基準点の位置からみた部品が設置された位置の相対的位置関係を用いて、部品のエリア内における位置を特定することができる。
【0045】
ここで、図示しないが、各部品には、部品の形状毎に予め定められた特徴点パターンを付して、特徴点パターンを特定することにより各部品を識別できるように構成してもよい。例えば、円筒形状の部品#1、#2では、円筒形状の特徴面である曲面に特徴点パターンが付され、立方体形状の部品#3では、立方体の特徴面である正方形の面に特徴点パターンが付され、板形状の部品#4、#5では、立方体の特徴面である板形状を構成する広い面に特徴点パターンが付されるようにしてもよい。
【0046】
図15は、マーカを用いた部品位置の検証方法のシーケンスの一例である。部品管理装置には、マーカのパターンと基準点の位置の対応関係を表す基準点情報と、部品が設置されるべき位置情報が含まれる部品位置情報が登録される。
【0047】
撮影端末においてマーカと部品を含む画像情報を取得し、取得した画像情報からマーカのパターン、基準点を検出し、検出したパターン、基準点と部品の画像を含む画像情報を部品管理装置に送信する。
【0048】
部品管理装置では、検出したパターンに対応する基準点の位置を特定し、画像情報により得られた基準点の位置と、基準点の位置からみた部品が設置された位置の相対的位置関係を用いて、部品の施工現場内における位置を特定することができ、さらには、部品が施工現場内の設置されるべき位置に設置されているかの検証を行うことができる。
【0049】
図16は、マーカの検出方法のフローチャートの一例である。撮影端末においてマーカと部品を含む画像情報を取得し(S1-1)、取得した画像情報からマーカ、マーカのパターン及び基準点を検出する(S1-2、S1-3、S1-4)。
【0050】
図17は、部品位置の検証方法のフローチャートの一例である。部品管理装置には、マーカのパターンと基準点の位置の対応関係を表す基準点情報、部品が設置されるべき位置情報が含まれる部品位置情報が予め登録される(S2-1、S2-2)。
【0051】
部品管理装置では、マーカのパターンと画像情報を受信すると(S2-3)、登録されたパターンとのパターンマッチングを行うことにより、パターンに対応する基準点の位置を特定し(S2-4)、画像情報における基準点の位置からみた部品の相対的な位置に基づいて、エリア内における部品の位置を特定する(S2-5)。
【0052】
さらに、画像情報から得られた位置情報と、予め登録された位置情報とを比較することにより、部品が正しい位置に設置されているかを検証し(S2-6)、その検証結果を送信する(S2-7)。
【0053】
このように、本実施の形態のマーカを利用することにより、様々な部品が設置されている施工現場等において、マーカの位置に基づいて各部品の位置を特定し、部品が正しい場所に設置されているかの検証を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本願発明は、物流の現場や建設現場、工事現場において部品の位置を管理する部品情報管理システムに利用することができる。
【符号の説明】
【0055】
1…マーカ、2…基準点、3…パターン、4…コード、5…余白、A、B、C、D…直線、a、b、c…直線(上面)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17