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特許7362545固定ハウジングと可動ハウジングを備えたコネクタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-06
(45)【発行日】2023-10-17
(54)【発明の名称】固定ハウジングと可動ハウジングを備えたコネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/91 20110101AFI20231010BHJP
【FI】
H01R12/91
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020084521
(22)【出願日】2020-05-13
(65)【公開番号】P2021180100
(43)【公開日】2021-11-18
【審査請求日】2022-07-11
(73)【特許権者】
【識別番号】390005049
【氏名又は名称】ヒロセ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【弁理士】
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】玉木 祥一郎
【審査官】山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-098160(JP,A)
【文献】特開2017-162624(JP,A)
【文献】特開2019-160698(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/91
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定ハウジングと、
相手端子の少なくとも一部が挿入される挿入空間を有する可動ハウジングと、
端子と、を備え、
前記端子は、前記固定ハウジングに固定される固定部と、前記固定ハウジングに前記可動ハウジングが前記固定ハウジングに対して移動可能な状態で載置されたときに少なくとも一部が前記挿入空間に位置付けられる接続部であって、前記挿入空間に挿入された前記相手端子の少なくとも一部と接続され得る前記接続部と、を有し、
前記固定ハウジングは、前記可動ハウジングの少なくとも一部が収容される収容空間を有し、前記収容空間には、該収容空間に収容された前記可動ハウジングが載置される載置部が設けられていることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記可動ハウジングは、前記相手端子が挿入される方向に沿う挿入方向において前記挿入空間を通じて貫通しており、
前記接続部は、前記挿入方向において、前記可動ハウジングが載置される前記固定ハウジングの載置面よりも前記相手端子の挿入側とは反対の側から前記挿入空間へ延びている、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記接続部は、前記挿入方向において前記載置面よりも前記相手端子の挿入側とは反対の側に、前記固定ハウジングによって支持され得る被支持部を有する、請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記固定ハウジングは、前記可動ハウジングが載置される前記載置部に含まれるの載置面を形成し且つ前記相手端子の挿入側を開放した、断面略凹状の収容空間を有し、該収容空間は、前記載置面に前記可動ハウジングがスライド可能な状態で載置されたときに前記可動ハウジングの少なくとも一部を収容するように構成されており、
前記収容空間を形成している前記挿入方向に沿う前記固定ハウジングの内周面に、前記収容空間の内方に突出した内方突出部が設けられており、
前記可動ハウジングの少なくとも一部が前記収容空間に収容されたときに前記挿入方向において前記内方突出部よりも前記相手端子の挿入側とは反対の側に位置する前記可動ハウジングの外周面の少なくとも一部の面に、前記挿入方向において前記内方突出部と係合し得るように外方に突出した外方突出部が設けられている、請求項1乃至3のいずれかに記載のコネクタ。
【請求項5】
前記可動ハウジングは、前記可動ハウジングが載置される前記固定ハウジングの載置面に複数配列されており、それらの間に隔壁を有していない、請求項1乃至4のいずれかに記載のコネクタ。
【請求項6】
前記端子の前記固定部と前記接続部を通る方向が、前記可動ハウジングの配列方向と交差している、請求項5に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記端子及び前記可動ハウジング共に、前記挿入方向に沿って、前記相手端子の挿入側から前記固定ハウジングの側に向って取り付けられる、請求項1乃至6のいずれかに記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定ハウジングと可動ハウジングを備えたコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、上記タイプの従来のコネクタの一例が開示されている。
この従来のコネクタでは、端子の一端側に可動ハウジングが、端子の他端側に固定ハウジングがそれぞれ保持されており、端子の弾性変形によって可動ハウジングが固定ハウジングに対して移動することができるものとなっている。
固定ハウジングに対する可動ハウジングのこの移動は、相手側コネクタとの接続時における、振動や衝撃による相手側コネクタとの間における位置ずれを許容すること等に役立つ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5606588号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の構成では、可動ハウジングは実質的に端子のみによって固定ハウジングに支持されていることから、端子に大きな負荷がかかり易く、また、大きな衝撃や振動に対する端子の耐力が十分でないといった問題があった。
本発明の目的は、上記の欠点を解消したコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するため、本発明の一態様によるコネクタは、固定ハウジングと、相手端子の少なくとも一部が挿入される挿入空間を有する可動ハウジングと、端子と、を備え、前記端子は、前記固定ハウジングに固定される固定部と、前記固定ハウジングに前記可動ハウジングが前記固定ハウジングに対して移動可能な状態で載置されたときに少なくとも一部が前記挿入空間に位置付けられる接続部であって、前記挿入空間に挿入された前記相手端子の少なくとも一部と接続され得る前記接続部と、を有することを特徴として有する。
この態様のコネクタによれば、可動ハウジングは固定ハウジングの載置面に載置されているだけで、端子によって支持されていないことから、端子に大きな負荷がかかることはなく、従って、端子の劣化を軽減することができる。また、この場合でも、可動ハウジングは固定ハウジングの載置面においてスライド可能な状態とされていることから、相手側コネクタとの接続時における、振動や衝撃による相手側コネクタとの間における位置ずれを許容することもできる。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、従来のコネクタの欠点を解消したコネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一つの好適な実施形態によるコネクタの上側斜視図である。
図2】本発明の一つの好適な実施形態によるコネクタの底側斜視図である。
図3】本発明の一つの好適な実施形態によるコネクタの平面図である。
図4】本発明の一つの好適な実施形態によるコネクタの分解斜視図である。
図5】固定ハウジングに対して、固定金具及び端子を取り付けた後であって、且つ、可動ハウジングを取り付ける前の状態を示した斜視図である。
図6】各端子の斜視図である。
図7】各端子の側面図である。
図8】各端子の正面図である。
図9】可動ハウジングの斜視図である。
図10】可動ハウジングの側面図である。
図11図3のA-A線断面図である。
図12図3のB-B線断面図である。
図13図3のC-C線断面図である。
図14図11に相当する断面図であって、図5と同様の状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための例示的な実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。ただし、以下の実施形態で説明する材料、大きさ、形状、及び構成要素の相対的な位置等は任意であり、本発明が適用される装置の構成又は様々な条件に応じて変更できる。また、特別な記載がない限り、本発明の範囲は、以下に具体的に記載された実施形態に限定されるものではない。
【0009】
図1乃至図3はそれぞれ、本発明の一つの好適な実施形態によるコネクタ1の上側斜視図、底側斜視図、及び平面図であり、更に、図4に、コネクタ1の分解斜視図を示す。
【0010】
コネクタ1は、固定ハウジング2、可動ハウジング4、端子6、及び固定金具8を含む。コネクタ1は、相手側コネクタ(図示されていない)と接続させることができる。接続時、相手側コネクタの相手端子の少なくとも一部が、「α1」方向に沿う挿入方向「α」において可動ハウジング4の挿入空間40に挿入され、挿入空間40に位置付けた端子6の少なくとも一部と電気的に接続される。相手端子は、また、「α1」と逆方向、即ち、「α2」方向に沿って挿入空間40から抜去される。尚、「α2」は、「α1」方向に沿うものとなっているから、この場合、挿入方向「α」は、抜去方向でもある。可動ハウジング4、端子6、及び固定金具8は全て、挿入方向「α」に沿って、相手端子の挿入側「m」(図4参照)からそれとは反対の側「n」、即ち、固定ハウジング2の側に向って取り付けられる。よって、これら一連の作業を連続的に行うことができ、従って、コネクタ1の組み立て作業を容易にすることができる。
【0011】
コネクタ1は、通常、基板や筐体(図示されていない)に取り付けた状態で使用される。基板等への取り付けは、固定ハウジング2に取り付けた固定金具8を通じて行うことができる。固定金具8は、基部80とネジ止め部82を含み、それらの全体で側面視略L字状を成す。基部80の両側部にはそれぞれ、外方に突出する圧入突起80aが設けられている。一方、固定ハウジング2の外周面26の両側部にはそれぞれ、凹陥状の溝26aが設けられており。基部80を、「α1」方向に沿って溝26aに圧入することにより、固定金具8は、圧入突起80aを利用して固定ハウジング2に固定される。更に、固定金具8のネジ止め部82を基板面に沿って位置付け、ネジ止め部82に設けた半円状の切り欠き82aにネジ(図示されていない)の一部を引っ掛けた状態で該ネジを基板にネジ止めすることによって、コネクタ1を、固定金具8を通じて、基板や筐体(図示されていない)に取り付けることができる。
【0012】
図5に、図1等と同様の斜視図によって、固定ハウジング2に対して、固定金具8及び端子6を取り付けた後であって、且つ、可動ハウジング4を取り付ける前の状態を示す。更に、図6乃至図8にそれぞれ、各端子6の斜視図、側面図、及び正面図を示す。
【0013】
本実施形態では、計3個の端子6を設けている。勿論、端子6の数は、これに限定されるものではない。例えば、3個より少なくてもよいし、それより多くてもよい。端子6の配列方向「γ」は、固定ハウジング2の長手方向「γ」と一致する。
【0014】
各端子6は、挿入方向「α」及び長手方向「γ」の双方と直交する短手方向「β」に沿って、基部(請求項中の「固定部」に相当)64、基部64の一端側に設けた基板固定部66、更に、基部64の他端側に設けた湾曲部68及び接続部62を含む。基部64と一端側の基板固定部66は、固定された状態で使用する。一方、他端側の湾曲部68及び接続部62は、片持ち梁状に支持され、相手端子との間における位置ずれを許容できるよう弾性変形可能な状態で使用される。
【0015】
基部64は、固定ハウジング2に固定される部分である。固定金具8の基部80と同様に、両側部のそれぞれに、外方に突出する圧入突起64aを有する。固定ハウジング2の内周面25、特に長手方向「γ」に沿う一方の側の内面には、凹陥状の溝25aが設けられている。各端子6の基部64を、挿入方向「α」に沿って、それぞれの溝25aに圧入することにより、各端子6は、圧入突起64aを利用して固定ハウジング2に固定される。
【0016】
基板固定部66は、基部64との間で側面視略L字状を成す部分であって、基部64を溝25aに圧入したときに、基板面に沿って位置付けられる。基板固定部66は、半田等を利用して基板に固定される。
【0017】
接続部62は、連結部60において連結された2本の分岐片621と1本の直状片622を含む。分岐片621と直状片622はそれぞれ、側面視略「く」の字形状を成し、それらの片621、622が形成する凸部同士の間に、挿入空間40に挿入された相手端子の少なくとも一部を弾性挟持する接点62aを構成している。
【0018】
湾曲部68は、基部64と接続部62の間を繋ぐ部分であって、接続部62に弾性を付与する。湾曲部68を設けたことにより、相手側コネクタとの接続時における、振動や衝撃による相手側コネクタとの間における位置ずれを許与することができる。湾曲部68は、第一のU字部681、逆U字部682、及び第二のU字部683をこれらの順に含む。これら複数の部分を設けたことにより、特に、短手方向「β」における位置ずれを効果的に許容することができる。
【0019】
図9及び図10に、可動ハウジング4の斜視図及び側面図をそれぞれ示す。
可動ハウジング4は、各端子6に対応して設けられるものであって、ここでは、計3個の可動ハウジング4を設けている。各可動ハウジング4は、全体として縦長の略直方形状を成し、挿入方向「α」に沿う方向に挿入空間40を有する。挿入空間40には、挿入口41を通じて、相手端子の少なくとも一部が挿抜され得る。相手端子の挿入を容易にするため、挿入口41には、相手端子の挿入側「m」からそれとは反対の側「n」に向って先細となるテーパー41aが設けられている。可動ハウジング4は、この挿入空間40を通じて、挿入方向「α」において貫通した状態で設けられている。但し、必ずしも挿入方向「α」において貫通している必要はなく、各端子6を相手端子と接続可能な状態で設けられていれば足りる。例えば、挿入方向「α」と交差する方向に沿って貫通穴を設けて、各端子6を挿入空間40に案内してもよい。
【0020】
可動ハウジング4の外周面の少なくとも一部の面、例えば、前面44に、挿入空間40と連通する窓44aが、これと対向する側の背面45に、挿入空間40と連通する窓45aが、それぞれ設けられている。これらの窓44a、45aはそれぞれ、挿入空間40と連通している。これらの窓44a、45aにより、挿入空間40に位置付けられた端子6の接続部62との衝突が防止される。
【0021】
前面44の、窓44aよりも相手端子の挿入側「m」とは反対の側「n」に、短手方向「β」にて一方の側(前側)に向って外方に突出した外方突出部441が、同様に、背面45の、窓45aよりも相手端子の挿入側「m」とは反対の側「n」に、短手方向「β」にて他方の側(後側)に向って外方に突出した外方突出部451が、それぞれ設けられている。
【0022】
外方突出部441は、可動ハウジング4の外周面の一部を利用することによって、更に詳細には、可動ハウジング4の左右各側の側面46A、46Bをそれぞれ構成している板体を部分的に利用することによって構成されている。外方突出部441の、相手端子の挿入側には、更に、これらの板体を跨ぐように長手方向「γ」に沿って掛け渡された規制面441aが形成されている。また、側面46A、46Bをそれぞれ構成している各板体の最底の板面46aは、可動ハウジング4を固定ハウジング2に取り付ける際に、固定ハウジング2の所定部分に載置される載置面として機能する。外方突出部441の一方の側の端部には、その底側に、テーパー46bが形成されている。テーパー46bを設けることにより、固定ハウジング2への可動ハウジング4の取り付けを容易にすることができる。
【0023】
一方、外方突出部451は、可動ハウジング4の外周面を利用せずに、更に詳細には、可動ハウジング4の他方の側の背面45を構成している板体とは別個に構成されている。外方突出部451は、背面45において、長手方向「γ」における中央位置付近に位置する。外方突出部451の、相手端子の挿入側には、長手方向「γ」に亘って延びる規制面451aが形成されている。また、背面45を構成している板体の最底の板面45bは、可動ハウジング4を固定ハウジング2に取り付ける際に、固定ハウジング2の所定部分に載置される載置面として機能する。外方突出部451の他方の側の端部には、その底側に、テーパー45cが形成されている。テーパー45cを設けることにより、固定ハウジング2への可動ハウジング4の取り付けを容易にすることができる。
【0024】
図11乃至図13に、図3のA-A線、B-B線、及びC-C線における断面図をそれぞれ示す。図14は、図11に相当する断面図であって、図5と同様の状態を示したものである。
【0025】
可動ハウジング4は、端子6に対応して端子6の個数と同じ数だけ、ここでは、計3個設けられている。可動ハウジング4の配列方向「γ」は、端子6の配列方向と同様に、固定ハウジング2の長手方向「γ」と一致する。言い換えれば、各端子6において、基部64、基板固定部66、湾曲部68、及び接続部62を通る短手方向「β」は、可動ハウジング4の配列方向「γ」と交差しており、従って、湾曲部68や接続部62が変位しても、隣接する可動ハウジング4同士が衝突することはない。
【0026】
固定ハウジング2は、断面略凹状の収容空間20を有する。収容空間20の、相手端子の挿入側「m」は開放されており、この開放側を通じて、可動ハウジング4の少なくとも一部、更に詳細には、外方突出部441、451を設けた可動ハウジング4の底側が収容空間20に収容される。収容空間20への収容を容易にするため、固定ハウジング2の上部開口21の所定位置に、外方突出部441、451に設けたテーパー46bに対応してテーパー25bが設けられている。尚、この収容後も、可動ハウジング4の先端側、即ち、挿入口41を設けた側は、収容空間20の外部に露出したままである。収容空間20の、相手端子の挿入側「m」とは反対の側「n」、更に言えば、固定ハウジング2の底部には、可動ハウジング4の少なくとも一部が収容空間20に収容されたときに可動ハウジング4が載置される載置部24が形成されている。但し、固定ハウジング2の底部は完全には閉じられておらず、端子6の湾曲部68を逃がすため、収容空間20と連通する開口22が形成されている。
【0027】
載置部24は、前側の載置台241、及び、背面側の載置台242を含む。載置台241、242には、それぞれ、載置面241a、242aが形成されている。
【0028】
固定ハウジング2に取り付けた端子6の接続部62は、挿入方向「α」において、これらの載置面241a、242aよりも相手端子の挿入側「m」とは反対の側「n」から挿入空間40へ延びている。接続部62の連結部60、特に、挿入方向「α」において載置面241a、242aよりも相手端子の挿入側「m」とは反対の側「n」に位置する、連結部60の一部に、固定ハウジング2との衝突を避ける段部60aが設けられている。段部60aは、実施形態に示すように、連結部60と湾曲部68との間の長手方向「γ」における長さの差を利用することによって形成してもよい。段部60aは、固定ハウジング2の底部に設けた被支持面69と衝突して支持される被支持部としても機能する。相手端子との接続時に、接続部62には、相手端子の挿入側「m」とは反対の側「n」に向って大きな力が働くことがあるが、被支持部60aを固定ハウジング2と衝突させることによって支持することにより、このような力に対する耐力を得ることができる。
【0029】
可動ハウジング4の少なくとも一部が収容空間20に収容されたとき、固定ハウジング2の載置面241aに、可動ハウジング4の側面46A、46Bをそれぞれ構成している板体の板面46aが載置される。また、このとき、載置面242aに、可動ハウジング4の背面45を構成している板体の板面45bが載置される。この場合、可動ハウジング4は、固定ハウジング2にスライド可能に載置され、固定ハウジング2に固定はされない。従って、相手端子とコネクタ1との間に多少の位置ずれが生じたとしても、そのような位置ずれを許与しつつ、コネクタ1と相手側コネクタを接続させることができる。
【0030】
また、可動ハウジング4の少なくとも一部が収容空間20に収容されて、固定ハウジングの載置面241a、242aに可動ハウジング4がスライド可能な状態で載置されたとき、端子6の接続部62の略全体が、可動ハウジング4の底口42を貫通した状態で挿入空間40に位置付けられる。この結果、固定ハウジング2に対する可動ハウジング4の動きは、可動ハウジング4の挿入空間40に位置付けられた接続部62によって所定の範囲に規制されることになる。このように、本構成では、端子6の接続部62は、可動ハウジング4と実質的に独立した状態で、挿入空間40に位置付けられる。ここで、「実質的に独立した状態」とは、端子6の接続部62が、可動ハウジング4のいずれの部分とも固定されることなく、従って、可動ハウジング4は上記所定の範囲内では端子6によってその動きを実質的に何ら規制されることはないことを意味する。尚、各可動ハウジング4は、上記所定の範囲を超える場合には接続部62によってその動きを規制されることから、可動ハウジング4同士の間に、それらを隔てる隔壁を設ける必要は必ずしもない。
【0031】
収容空間20を形成している挿入方向「α」に沿う固定ハウジング2の内周面25、例えば、短手方向「β」において対向する内側壁の、例えば、収容空間20の上部開口21付近に、収容空間20の内方に突出した内方突出部211、212が設けられている。
【0032】
可動ハウジング4の少なくとも一部が収容空間20に収容されたとき、言い換えれば、可動ハウジング4の底側に設けた外方突出部441、451が収容空間20に収容されたとき、挿入方向「α」において、それら可動ハウジング4の外方突出部441、451は、固定ハウジング2に設けた内方突出部211、212よりも、相手端子の挿入側「m」とは反対の側「n」に位置する。この結果、可動ハウジング4の外方突出部441、451によって形成される規制面441a、451aと、固定ハウジング2の内方突出部211、212によって形成される規制面211a、212aとが、互いに突き合わされた状態となり、仮に、可動ハウジング4に、固定ハウジング2に対して、相手端子の挿入側「m」に移動する力が加わったとしても、それらの規制面同士が係合するため、可動ハウジング4は、固定ハウジング2の収容空間20から容易には抜け出すことはない。
【0033】
以上の説明は、好ましい実施形態に関するものであり、物品を単に代表するものであることを理解すべきである。異なる実施形態の変形及び修正が上述の教示に照らして当業者に容易に明らかになることを認めることができる。従って、例示的実施形態並びに代替的な実施形態は、添付の特許請求の範囲で説明する物品及び方法の精神から逸脱することなく行うことができる。
例えば、本実施形態では、可動ハウジング4は 固定ハウジング2に設けた載置部24の載置面を利用して載置されているが、可動ハウジング4は、固定ハウジング2に、固定ハウジング2に対して移動可能な状態で載置されれば足り、必ずしも載置面を利用して載置する必要はない。
また、本実施形態では、載置面45b、46aは、β-γ面において、互いに離間した略「コ」の字の形状を成すものとして説明しているが、可動ハウジング4は、本構成の機能を達成し得るように固定ハウジング2の所定部分に載置されれば足り、必ずしもそのような形状とする必要はない。例えば、該β-γ面において、略「ロ」の字の形状としてもよいし、また、必ずしも複数の載置面を設ける必要はなく、載置面を1つとしてもよい。
【符号の説明】
【0034】
1 コネクタ
2 固定ハウジング
20 収容空間
21 上部開口
24 載置部
241 前側の載置台
241a 載置面
242 背面側の載置台
242a 載置面
25 内周面
211、212 内方突出部
211a、212a 規制面
4 可動ハウジング
40 挿入空間
441 外方突出部
441a 規制面
451 外方突出部
451a 規制面
6 端子
62 接続部
64 基部
68 湾曲部
8 固定金具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14