(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-06
(45)【発行日】2023-10-17
(54)【発明の名称】移動補助具
(51)【国際特許分類】
B60K 1/04 20190101AFI20231010BHJP
B62B 5/00 20060101ALI20231010BHJP
【FI】
B60K1/04 A
B62B5/00 K
(21)【出願番号】P 2020138057
(22)【出願日】2020-08-18
【審査請求日】2022-12-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】宮口 和朋
(72)【発明者】
【氏名】伊東 寛和
【審査官】中川 隆司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第10099710(US,B1)
【文献】特開2019-073148(JP,A)
【文献】特開平11-346815(JP,A)
【文献】特表2020-507513(JP,A)
【文献】実開昭56-003069(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2015/0125250(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 1/04
B62B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリを収容する本体部と、前記本体部の下部の一方の部分に設けられた移動用の車輪と、前記本体部の下部の他方の部分に設けられた接地部とを有するバッテリユニットに取り付けられる移動補助具であって、
前記本体部に取り付け及び取り外し可能な取付部と、
前記取付部に連結されて、前記取付部から延出された脚部と、
前記脚部の延出部分に支持された移動車輪とを有して、
前記取付部が、前記本体部の下部の他方の部分に、取り付け及び取り外し可能で、前記本体部の下部の他方の部分において、前記本体部の底部と、前記本体部における前記底部に接続された縦壁部とに亘って、前記取付部が取り付け可能であり、
前記取付部が前記本体部に取り付けられ、前記移動車輪が接地した状態で、前記バッテリユニットを前記車輪が接地して前記接地部が地面から浮き上がった傾斜姿勢に維持可能な移動補助具。
【請求項2】
前記取付部が、前記本体部の幅方向に沿った所定長さを有し、
前記脚部が、前記取付部における前記所定長さに沿った方向の一方の端部及び他方の端部に連結されて延出されている請求項1に記載の移動補助具。
【請求項3】
前記所定長さが、前記本体部の幅方向の長さと同じ長さである請求項2に記載の移動補助具。
【請求項4】
前記取付部における前記所定長さに沿った方向の一方及び他方の端部に連結された前記脚部に亘って連結されたフレームが備えられている請求項2又は3に記載の移動補助具。
【請求項5】
前記取付部は、前記本体部の底部に取り付け及び取り外し可能な底部取付部分と、前記本体部の縦壁部に取り付け及び取り外し可能な縦壁部取付部分とを有し、
前記底部取付部分及び前記縦壁部取付部分は、前記本体部の底部に沿った同じ方向、又は、前記本体部の縦壁部に沿った同じ方向で、取り付け及び取り外し可能である
請求項1~4のうちのいずれか一項に記載の移動補助具。
【請求項6】
前記底部取付部分及び前記縦壁部取付部分のうちの一方は、前記取付部に開口された開口部であり、
前記底部取付部分及び前記縦壁部取付部分のうちの他方は、前記取付部に連結されたピン又はボス部であり、
ボルトが前記開口部に挿入されて前記本体部に締め付けられることにより、前記底部取付部分及び前記縦壁部取付部分のうちの一方が、前記本体部に取り付けられ、
前記ピン又は前記ボス部が、前記本体部のボス部又はピンに挿入されることにより、前記底部取付部分及び前記縦壁部取付部分のうちの他方が、前記本体部に取り付けられる
請求項5に記載の移動補助具。
【請求項7】
前記移動車輪が、上下方向に沿った軸芯周りに自由に向き変更可能なキャスター車輪である
請求項1~6のうちのいずれか一項に記載の移動補助具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリユニットの移動を補助する移動補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、電動作業車に動力源として搭載されるバッテリユニットが開示されている。
特許文献1のバッテリユニットは、バッテリを収容する本体部と、本体部の下部の一方の部分に設けられた移動用の車輪と、本体部の下部の他方の部分に設けられた接地部とを有しており、車輪及び接地部が接地することにより自立する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
作業者が特許文献1のバッテリユニットを手動で移動させたり、手動でトラックの荷台に載せたりする場合に、作業者は、バッテリユニットの操作ハンドルを持ち、車輪が接地して接地部が地面から浮き上がった傾斜姿勢に、バッテリユニットを操作して維持しながら、操作ハンドルを押したり引いたりすることになる。これにより、重いバッテリユニットであると、作業者に負担が掛かる。
【0005】
これにより、作業車にバッテリユニットを接続して、作業車によりバッテリユニットを押したり牽引したりして、バッテリユニットを移動させることが考えられている。この場合、バッテリユニットの接地部が地面から浮きあがった状態で、バッテリユニットが自立して移動可能な状態となっていることが好ましい。
【0006】
本発明は、バッテリユニットが自立した状態で移動可能となるように補助する移動補助具を簡素に構成することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、バッテリを収容する本体部と、前記本体部の下部の一方の部分に設けられた移動用の車輪と、前記本体部の下部の他方の部分に設けられた接地部とを有するバッテリユニットに取り付けられる移動補助具であって、前記本体部に取り付け及び取り外し可能な取付部と、前記取付部に連結されて、前記取付部から延出された脚部と、前記脚部の延出部分に支持された移動車輪とを有して、前記取付部が、前記本体部の下部の他方の部分に、取り付け及び取り外し可能で、前記本体部の下部の他方の部分において、前記本体部の底部と、前記本体部における前記底部に接続された縦壁部とに亘って、前記取付部が取り付け可能であり、前記取付部が前記本体部に取り付けられ、前記移動車輪が接地した状態で、前記バッテリユニットを前記車輪が接地して前記接地部が地面から浮き上がった傾斜姿勢に維持可能な移動補助具である。
【0008】
本発明によると、作業者が、移動補助具の取付部をバッテリユニットの本体部に取り付けて、移動補助具の移動車輪及びバッテリユニットの車輪を接地させることにより、バッテリユニットの車輪が接地して接地部が地面から浮き上がった傾斜姿勢で、バッテリユニットを自立させることができるのであり、移動補助具の移動車輪及びバッテリユニットの車輪により、バッテリユニットが移動可能な状態となる。
【0009】
本発明によると、移動補助具は、バッテリユニットの車輪を有効に利用して、バッテリユニットの車輪との共同で、バッテリユニットの自立状態及び移動可能な状態を得ることができる。これにより、移動補助具がバッテリユニットの全てを支持するような大掛かりなものになることはなく、簡素な移動補助具を得ることができる。
移動補助具がバッテリユニットに取り付けられた状態において、移動補助具の移動車輪及びバッテリユニットの車輪が接地してバッテリユニットが自立する為には、バッテリユニットの重心が、バッテリユニットの車輪と移動穂補助具の移動車輪との間に位置する必要がある。
バッテリユニットにおいて、バッテリユニットの重心は、バッテリユニットの本体部の下部の中央付近(バッテリユニットの車輪と接地部との間)に位置することが多い。
本発明によると、移動補助具の取付部が、バッテリユニットの本体部の下部の他方の部分(接地部の付近)に取り付けられるので、バッテリユニットの重心がバッテリユニットの車輪と移動穂補助具の移動車輪との間に位置する状態を、無理なく得ることができる。
バッテリユニットの本体部の下部の他方の部分において、バッテリユニットの本体部の底部と本体部の縦壁部とは、互いに交差する状態となっており、互いに向きが異なる状態となっている。
移動補助具の取付部がバッテリユニットの本体部の下部の他方の部分(接地部の付近)に取り付けられるように構成する場合、本発明によると、移動補助具の取付部が、バッテリユニットの本体部の底部と縦壁部とに亘って取り付けられ、互いに向きが異なる部分に取り付けられる状態となるので、移動補助具の取付部の取り付け強度を高めることができる。
【0010】
本発明において、前記取付部が、前記本体部の幅方向に沿った所定長さを有し、前記脚部が、前記取付部における前記所定長さに沿った方向の一方の端部及び他方の端部に連結されて延出されていると好適である。
【0011】
本発明によると、移動補助具の一対の脚部及び移動車輪が、比較的間隔を空けて配置されるので、移動補助具がバッテリユニットに取り付けられた状態において、移動補助具の移動車輪及びバッテリユニットの車輪が接地した状態でのバッテリユニットの自立及び移動の安定性が向上する。
【0012】
本発明において、前記所定長さが、前記本体部の幅方向の長さと同じ長さであると好適である。
【0013】
本発明によると、移動補助具の一対の脚部及び移動車輪が比較的間隔を空けて配置される状態を得ながら、バッテリユニットに取り付けられた移動補助具の一対の脚部及び移動車輪が、バッテリユニットの本体部から外側に大きく出る状態を避けることができる。
これにより、移動補助具がバッテリユニットに取り付けられた状態で、バッテリユニットを移動させる際に、移動補助具の一対の脚部及び移動車輪が他物に接触して、バッテリユニットの移動が妨げられる状態が少なくなる。
【0014】
本発明において、前記取付部における前記所定長さに沿った方向の一方及び他方の端部に連結された前記脚部に亘って連結されたフレームが備えられていると好適である。
【0015】
本発明によると、移動補助具の一対の脚部及び移動車輪が、比較的間隔を空けて配置される状態において、一対の脚部がフレームによって補強される。
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
本発明において、前記取付部は、前記本体部の底部に取り付け及び取り外し可能な底部取付部分と、前記本体部の縦壁部に取り付け及び取り外し可能な縦壁部取付部分とを有し、前記底部取付部分及び前記縦壁部取付部分は、前記本体部の底部に沿った同じ方向、又は、前記本体部の縦壁部に沿った同じ方向で、取り付け及び取り外し可能であると好適である。
【0023】
移動補助具の取付部がバッテリユニットの本体部の底部と縦壁部とに亘って取り付けられる場合、本発明によると、バッテリユニットの本体部の底部と縦壁部とが互いに向きが異なる状態であっても、移動補助具の取付部の底部取付部分及び縦壁部取付部分を、バッテリユニットの本体部の底部に沿った同じ方向又はバッテリユニットの本体部の縦壁部に沿った同じ方向で、バッテリユニットの本体部の底部及び縦壁部に取り付けることができる(取り外すことができる)。これにより、移動補助具の取付部の取り付け及び取り外しの作業性が向上する。
【0024】
本発明において、前記底部取付部分及び前記縦壁部取付部分のうちの一方は、前記取付部に開口された開口部であり、前記底部取付部分及び前記縦壁部取付部分のうちの他方は、前記取付部に連結されたピン又はボス部であり、ボルトが前記開口部に挿入されて前記本体部に締め付けられることにより、前記底部取付部分及び前記縦壁部取付部分のうちの一方が、前記本体部に取り付けられ、前記ピン又は前記ボス部が、前記本体部のボス部又はピンに挿入されることにより、前記底部取付部分及び前記縦壁部取付部分のうちの他方が、前記本体部に取り付けられると好適である。
【0025】
本発明によると、移動補助具の取付部の底部取付部分及び縦壁部取付部分が、開口部及びピン(ボス部)により簡素に構成されるので、構造の簡素化の面で有利である。
開口部及びピン(ボス部)は、取り付け及び取り外しの方向が一方向に設定され易いので、移動補助具の取付部の底部取付部分及び縦壁部取付部分において、取り付け及び取り外しの方向を同じ方向に設定することが容易に行える。
【0026】
本発明において、前記移動車輪が、上下方向に沿った軸芯周りに自由に向き変更可能なキャスター車輪であると好適である。
【0027】
本発明によると、移動補助具がバッテリユニットに取り付けられた状態において、バッテリユニットの移動の向きを変える場合、移動補助具の移動車輪がキャスター車輪であることにより、バッテリユニットの移動の向きを容易に変えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図4】バッテリユニットのブラケット及びピンの付近の左側面図である。
【
図5】バッテリユニットのブラケット及びピンの付近の正面図である。
【
図8】移動補助具の取付部の付近の縦断左側面図である。
【
図9】移動補助具がバッテリユニットに取り付けられる状態での左側面図である。
【
図10】移動補助具がバッテリユニットに取り付けられた状態での移動補助具の取付部の付近の縦断左側面図である。
【
図11】移動補助具がバッテリユニットに取り付けられた状態での左側面図である。
【
図14】移動補助具が取り付けられたバッテリユニットが乗用型草刈機に接続された状態での左側面図である。
【
図15】発明の実施の第1別形態において、移動補助具の斜視図である。
【
図16】発明の実施の第2別形態において、移動補助具がバッテリユニットに取り付けられる状態での移動補助具の取付部の付近の縦断左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1~
図16に、電動作業車の一例である電動型式の乗用型草刈機、乗用型草刈機に搭載されるバッテリユニット4、及び本発明の移動補助具23が示されている。Fは前方向を示し、Bは後方向を示し、Uは上方向を示し、Dは下方向を示し、Rは右方向を示し、Lは左方向を示している。
【0030】
(乗用型草刈機の構成)
図1及び
図2に示すように、乗用型草刈機は、機体7の前部に支持された右及び左の前輪1と、機体7の後部に支持された右及び左の後輪2と、機体7の下部で前輪1及び後輪2の間に支持されたモーア3と、機体7の後部で右及び左の後輪2の間に支持されたバッテリユニット4と、機体7の上部に支持された運転座席5及びロプスフレーム6とを有している。
【0031】
機体7は、前後方向に沿った右及び左の機体フレーム8と、右及び左の機体フレーム8に亘って連結されたフロア9とを有している。右及び左の前輪1は、自由回転可能なキャスター車輪型式であり、機体フレーム8の前端部に支持されている。
【0032】
右の後輪2を駆動可能な右の電動モータ(図示せず)と、左の後輪2を駆動可能な左の電動モータ(図示せず)とが設けられて、右及び左の後輪2が独立に回転駆動される。右及び左の電動モータを操作する右及び左の変速レバー10が設けられており、変速レバー10は中立位置から前側の前進側、及び後側の後進側に操作可能である。
【0033】
変速レバー10が中立位置に操作されると、電動モータが停止状態となる。変速レバー10が前進側に操作されると、電動モータが前進側に作動し、変速レバー10が後進側に操作されると、電動モータが後進側に作動する。右及び左の変速レバー10が操作されることによって、右及び左の後輪2が互いに独立に前進側及び後進側に駆動されて、前進及び後進、右旋回及び左旋回が行われる。
【0034】
(バッテリユニットの構成)
図3,4,5に示すように、バッテリユニット4は、本体部11の内部にバッテリ(図示せず)が収容されて、全体が構成されており、これに加えて以下の説明の構成を有している。
【0035】
本体部11は、底部11a,前壁部11b(本体部11における底部11aに接続された縦壁部に相当)、右及び左の横壁部11c、後壁部11d、天井部11eを有して、箱状に構成されている。
【0036】
右及び左のブラケット12が、本体部11の右及び左の横壁部11cの後部の下部に連結されている。右及び左の車輪13が、左右方向に沿った軸芯周りに自由回転可能にブラケット12に支持されており、本体部11の底部11aよりも下側に出る状態となっている(本体部11の下部の一方の部分に設けられた移動用の車輪13の状態に相当)。
【0037】
硬質ゴム製の右及び左の接地部14が、本体部11の底部11aの前部の右部及び左部に、下向きに連結されている(本体部11の下部の他方の部分に設けられた接地部14の状態に相当)。
【0038】
ブラケット15が本体部11の天井部11eの前部に連結されており、アーチ状の操作ハンドル16が、左右方向に沿った軸芯P1周りに揺動可能にブラケット15に支持されている。操作ハンドル16は、起立姿勢(
図3参照)と後傾姿勢の範囲で上下に揺動可能であり、操作ハンドル16を任意の姿勢で固定及び固定解除可能なダイヤル操作型式の固定具17が設けられている。
【0039】
図4及び
図5に示すように、右及び左の開口部18が、本体部11の前壁部11bの下部の右部及び左部に、前後方向に沿って開口されており、本体部11の前壁部11bの内面にナット19が連結されている。
【0040】
右及び左のブラケット20が、本体部11の底部11aの前部の右部及び左部において、接地部14よりも前側の部分に、下向きに連結されており、右及び左のピン21が、ブラケット20に前向きに連結されている。
これにより、開口部18及びピン21が、バッテリユニット4の本体部11の底部11aに沿った同じ方向A1(
図9及び
図10参照)に向いた状態となっている。
【0041】
(バッテリユニットの機体への取り付け及び取り外し)
図1及び
図2に示すように、カバー体22が、機体7の後部を覆う閉じ位置(
図1及び
図2参照)と、閉じ位置から上側に離れた開き位置とに亘って、機体7の後部の左右方向に沿った軸芯P2周りに操作可能に支持されている。
【0042】
カバー体22において、天井に相当する部分(機体7の後部の上側に対向する部分)は備えられていない。カバー体22が閉じ位置に操作された状態で、機体7の後部の上側が開放された状態なっており、機体7の後部の後側が覆われた状態となる。
【0043】
図1及び
図2に示す状態は、バッテリユニット4が機体7の後部に取り付けられ、カバー体22が閉じ位置に操作された状態である。
作業者は、カバー体22を開き位置に操作し、バッテリユニット4を機体7の後部から後側に移動させることにより、バッテリユニット4を機体7の後部から取り外すことができる。
【0044】
図3に示すように、機体7の後部から取り外されたバッテリユニット4において、車輪13及び接地部14を接地させることにより、バッテリユニット4が自立する。
作業者は、バッテリユニット4の操作ハンドル16を持ち、車輪13が接地して接地部14が地面から浮き上がった傾斜姿勢(
図3の二点鎖線の状態を参照)に、バッテリユニット4を操作して維持することにより、操作ハンドル16によりバッテリユニット4を移動させることができる。
【0045】
バッテリユニット4を機体7の後部に取り付ける場合、作業者は、カバー体22を開き位置に操作し、バッテリユニット4を機体7の後部の後方から前側に移動させることにより、バッテリユニット4を機体7の後部に取り付けることができる。この後に、カバー体22を閉じ位置に操作する。
【0046】
(移動補助具の構成)
図6,7,8に示すように、移動補助具23は、取付部24と、脚部25と、移動車輪26とを有しており、これに加えて以下の説明の構成を有している。
【0047】
取付部24は、板材がアングル状に折り曲げられて構成されており、バッテリユニット4の本体部11の幅方向(左右方向)に沿った所定長さL1を有している。取付部24の所定長さL1は、バッテリユニット4の本体部11の幅方向(左右方向)の長さL2(
図5参照)と同じ長さである。
【0048】
右及び左のボス部27(底部取付部分に相当)が、取付部24の右及び左部に連結されており、右及び左の開口部28(縦壁部取付部分に相当)が、取付部24の右及び左部に開口されている。ボス部27と開口部28とは、取付部24の上面と直交する同じ方向に向いている。
【0049】
脚部25は、角パイプによって構成されている。右及び左の脚部25が、取付部24における所定長さL1に沿った方向の一方の端部及び他方の端部に連結されて、取付部24から下側に延出されている。
右及び左の移動車輪26が、脚部25の延出部分の外側部に支持されており、移動車輪26は左右方向に沿った軸芯周りに自由回転可能である。
【0050】
右及び左の脚部25の中間部に亘って、アングル状のフレーム29が連結されている(取付部24における所定長さL1に沿った方向の一方及び他方の端部に連結された脚部25に亘って連結されたフレーム29の状態に相当)。
【0051】
(移動補助具のバッテリユニットへの取り付け及び取り外し)
移動補助具23をバッテリユニット4に取り付ける場合、作業者は以下の説明のような操作を行う。
【0052】
図9,10,11に示すように、作業者は、バッテリユニット4の車輪13を接地させた状態で、バッテリユニット4の接地部14が地面から浮き上がるように、バッテリユニット4を傾斜させて、この状態を維持する。
【0053】
作業者は、移動補助具23の脚部25が略鉛直姿勢の状態で、移動補助具23を、バッテリユニット4の本体部11の底部11aに沿った方向A1に沿って、バッテリユニット4に接近させて、移動補助具23のボス部27に、バッテリユニット4のピン21を挿入させ、移動補助具23の取付部24(開口部28)を、バッテリユニット4(本体部11)の前壁部11b(開口部18)に当て付ける。
【0054】
作業者は、ボルト30を、バッテリユニット4の本体部11の底部11aに沿った方向A1に沿って、移動補助具23の開口部28及びバッテリユニット4の開口部18及びナット19に挿入して締め付ける。
【0055】
作業者が以上の操作を行うことによって、移動補助具23がバッテリユニット4に取り付けられる。
図11に示すように、移動補助具23の取付部24がバッテリユニット4の本体部11に取り付けられることにより、移動補助具23の移動車輪26が接地した状態で、バッテリユニット4の車輪13が接地して接地部14が地面から浮き上がった傾斜姿勢に、バッテリユニット4が維持される。
【0056】
図10及び
図11に示すように、移動補助具23の取付部24が、バッテリユニット4の本体部11における接地部14の付近の部分(バッテリユニット4の本体部11の下部の他方の部分に相当)に取り付けられる。
【0057】
バッテリユニット4の本体部11における接地部14の付近の部分において、バッテリユニット4の本体部11の底部11aと、バッテリユニット4の本体部11の前壁部11b(バッテリユニット4の本体部11における底部11aに接続された縦壁部に相当)とに亘って、移動補助具23の取付部24が取り付けられる。
【0058】
作業者が移動補助具23をバッテリユニット4から取り外す場合、
図9,10,11に示すように、作業者は、ボルト30を、バッテリユニット4の本体部11の底部11aに沿った方向A1に沿って、移動補助具23の開口部28及びバッテリユニット4の開口部18及びナット19から取り外す。
【0059】
次に作業者は、移動補助具23の脚部25が略鉛直姿勢の状態で、移動補助具23を、バッテリユニット4の本体部11の底部11aに沿った方向A1に沿って、移動補助具23のボス部27を、バッテリユニット4のピン21から抜き出し、移動補助具23の取付部24(開口部28)を、バッテリユニット4(本体部11)の前壁部11b(開口部18)から離す。
【0060】
(乗用型草刈機にバッテリユニットを接続して、乗用型草刈機によりバッテリユニットを押したり牽引したりする状態)
図14に示すように、バッテリユニット4を乗用型草刈機に接続する為の接続具31が乗用型草刈機のフロア9の前部に連結されるのであり、接続具31は以下の説明のように構成されている。
【0061】
図12及び
図13に示すように、アングル状の基板部32に、平面視でチャンネル状に折り曲げられた本体部33が連結されている。本体部33の右部及び左部に、U字状の切り欠き部33a及び開口部33bが開口されており、開口部33bの内面に雌ネジが形成されている。
【0062】
操作ロッド34が、左右方向に沿った軸芯P3周りに回転可能に、本体部33の右部及び左部に亘って支持されており、操作ロッド34の端部が折り曲げられて、持ち手部34aが形成されている。
【0063】
右及び左の取付部35が、操作ロッド34における本体部33の外側の部分に連結されており、取付部35に、U字状の切り欠き部35a及び開口部35bが開口されている。
以上のように接続具31が構成されており、接続具31の基板部32が乗用型草刈機のフロア9の前部にボルト連結される。
【0064】
図14に示すように、作業者は、移動補助具23をバッテリユニット4に取り付けた状態において、バッテリユニット4の固定具17を操作して、バッテリユニット4の操作ハンドル16が自由に上下揺動できる状態とする。
【0065】
図12及び
図13に示すように、作業者は、バッテリユニット4の操作ハンドル16を接続具31(本体部33)の切り欠き部33aに挿入し、操作ロッド34の持ち手部34aを持って、操作ロッド34及び取付部35を回転させて、取付部35の切り欠き部35aに、バッテリユニット4の操作ハンドル16を挿入させる。ボルト36を、接続具31の本体部33の開口部33b及び取付部35の開口部35bに亘って取り付けて、接続具31の取付部35を本体部33に連結する。
【0066】
これにより、バッテリユニット4が乗用型草刈機に接続された状態となる。
図14に示すように、乗用型草刈機が前進すると、バッテリユニット4が、接続具31及びバッテリユニット4の操作ハンドル16を介して押されて、乗用型草刈機と一緒に前進する。乗用型草刈機が後進すると、バッテリユニット4が、接続具31及びバッテリユニット4の操作ハンドル16を介して牽引されて、乗用型草刈機と一緒に後進する。
【0067】
(発明の実施の第1別形態)
図15に示すように、移動補助具23において、移動車輪26が、上下方向(脚部25)に沿った軸芯P4周りに、自由に向き変更可能なキャスター車輪に構成されてもよい。
【0068】
(発明の実施の第2別形態)
バッテリユニット4及び移動補助具23において、以下の説明のように構成されてもよい。
【0069】
図16に示すように、バッテリユニット4において、右及び左の開口部18が、本体部11の底部11aの前部の右部及び左部に上下方向に沿って開口され、本体部11の底部11aの内面にナット19が連結されている。右及び左のブラケット20が、本体部11の前壁部11bの下部の右部及び左部に連結され、右及び左のピン21が、ブラケット20に下向きに連結されている。これにより、開口部18及びピン21が、バッテリユニット4の本体部11の前壁部11bに沿った同じ方向A2に向いた状態となっている。
移動補助具23において、取付部24が、脚部25に対して上下反転され、角度が変更されて連結されている。
【0070】
以上の構成において、作業者は、移動補助具23の脚部25が略鉛直姿勢の状態で、移動補助具23を、バッテリユニット4の本体部11の前壁部11bに沿った方向A2に沿って、バッテリユニット4に接近させて、移動補助具23のボス部27に、バッテリユニット4のピン21を挿入させ、移動補助具23の取付部24(開口部28)を、バッテリユニット4(本体部11)の底部11a(開口部18)に当て付ける。
【0071】
作業者は、ボルト30を、バッテリユニット4の本体部11の前壁部11bに沿った方向A2に沿って、移動補助具23の開口部28及びバッテリユニット4の開口部18及びナット19に挿入して締め付ける。
【0072】
(発明の実施の第3別形態)
図6~
図10に示す構成において、ピン21が移動補助具23の取付部24に設けられて、ボス部27がバッテリユニット4のブラケット20に設けられてもよい。
この構成によると、ピン21が底部取付部分となる。
【0073】
図16に示す構成において、ピン21が移動補助具23の取付部24に設けられて、ボス部27がバッテリユニット4のブラケット20に設けられてもよい。
この構成によると、ピン21が縦壁部取付部分となる。
【0074】
(発明の実施の第4別形態)
図6~
図10に示す構成において、ピン21がバッテリユニット4の本体部11の前壁部11bに設けられ、開口部18及びナット19がバッテリユニット4の本体部11の底部11aのブラケット20に設けられて、ボス部27が移動補助具23の取付部24の上部に設けられ、開口部28が移動補助具23の取付部24の下部に設けられてもよい。
この構成によると、ボス部27が縦壁部取付部分となり、開口部28が底部取付部分となる。
【0075】
作業者は、移動補助具23を、バッテリユニット4の本体部11の底部11aに沿った方向A1に沿って、バッテリユニット4に接近させる。
移動補助具23のボス部27を、バッテリユニット4のピン21に挿入させ、移動補助具23の取付部24(開口部28)を、バッテリユニット4(本体部11)の底部11aのブラケット20に(開口部18)に当て付ける。
【0076】
ボルト30を、バッテリユニット4の本体部11の底部11aに沿った方向A1に沿って、移動補助具23の開口部28及びバッテリユニット4の開口部18及びナット19に挿入して締め付ける。
【0077】
前述の構成において、ボス部27がバッテリユニット4の本体部11の前壁部11bに設けられ、ピン21が移動補助具23の取付部24の上部に設けられてもよい。
この構成によると、ピン21が縦壁部取付部分となる。
【0078】
(発明の実施の第5別形態)
図16に示す構成において、ピン21がバッテリユニット4の本体部11の底部11aに設けられ、開口部18及びナット19がバッテリユニット4の本体部11の前壁部11bのブラケット20に設けられて、ボス部27が移動補助具23の取付部24の下部に設けられ、開口部28が移動補助具23の取付部24の上部に設けられてもよい。
この構成によると、ボス部27が底部取付部分となり、開口部28が縦壁部取付部分となる。
【0079】
作業者は、移動補助具23を、バッテリユニット4の本体部11の前壁部11bに沿った方向A2に沿って、バッテリユニット4に接近させる。
移動補助具23のボス部27を、バッテリユニット4のピン21に挿入させ、移動補助具23の取付部24(開口部28)を、バッテリユニット4(本体部11)の底部11aのブラケット20(開口部18)に当て付ける。
【0080】
ボルト30を、バッテリユニット4の本体部11の前壁部11bに沿った方向A2に沿って、移動補助具23の開口部28及びバッテリユニット4の開口部18及びナット19に挿入して締め付ける。
【0081】
前述の構成において、ボス部27がバッテリユニット4の本体部11の底部11aに設けられ、ピン21が移動補助具23の取付部24の下部に設けられてもよい。
この構成によると、ピン21が底部取付部分となる。
【0082】
(発明の実施の第6別形態)
バッテリユニット4及び移動補助具23において、ピン21及びボス部27が廃止されてもよい。
この構成によると、バッテリユニット4の本体部11の底部11a及び前壁部11bの両方に、開口部18及びナット19が設けられ、移動補助具23の取付部24における開口部18に対向する2箇所に開口部28が設けられる。
【0083】
これにより、作業者は、移動補助具23の取付部24(開口部28)を、バッテリユニット4の本体部11の底部11a及び前壁部11bに当て付け、バッテリユニット4の本体部11の底部11aに沿った方向A1及び前壁部11bに沿った方向A2に沿って、ボルト30を、移動補助具23の開口部28及びバッテリユニット4の開口部18及びナット19に挿入して締め付ける。
【0084】
(発明の実施の第7別形態)
移動補助具23の取付部24が、バッテリユニット4の本体部11における接地部14の付近の部分において、バッテリユニット4の本体部11の底部11aに取り付け及び取り外し可能に構成されて、バッテリユニット4の本体部11の前壁部11bに取り付けられないように構成されてもよい。
【0085】
移動補助具23の取付部24が、バッテリユニット4の本体部11における接地部14の付近の部分において、バッテリユニット4の本体部11の前壁部11bに取り付け及び取り外し可能に構成されて、バッテリユニット4の本体部11の底部11aに取り付けられないように構成されてもよい。
【0086】
(発明の実施の第8別形態)
移動補助具23において、取付部24の所定長さL1が、バッテリユニット4の本体部11の幅方向(左右方向)の長さL2よりも、少し長いもの又は少し短いものに構成されてもよい。
【0087】
脚部25が、取付部24の一方及び他方の端部ではなく、取付部24の所定長さL1の範囲の途中部分に連結されてもよい。3個以上の脚部25が、取付部24に連結されてもよい。
【0088】
(発明の実施の第9別形態)
バッテリユニット4において、車輪13が本体部11の底部11aの前部に支持され、接地部14が、本体部11の底部11aの後部に連結されてもよい。
この構成によると、移動補助具23がバッテリユニット4の下部の後部に取り付けられるのであり、バッテリユニット4の本体部11の後壁部11dが、バッテリユニット4の本体部11における底部11aに接続された縦壁部となる。
【0089】
(発明の実施の第10別形態)
乗用型草刈機において、接続具31が機体7の後部(カバー体22)に連結されるように構成されてもよい。
【0090】
この構成によれば、乗用型草刈機が前進すると、バッテリユニット4が、接続具31及びバッテリユニット4の操作ハンドル16を介して牽引されて、乗用型草刈機と一緒に前進する。乗用型草刈機が後進すると、バッテリユニット4が、接続具31及びバッテリユニット4の操作ハンドル16を介して押されて、乗用型草刈機と一緒に後進する。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明は、電動型式の乗用型草刈機に動力源として搭載されるバッテリユニットばかりではなく、他の電動作業車に搭載されるバッテリユニットに取り付けられる移動補助具にも適用できる。
【符号の説明】
【0092】
4 バッテリユニット
11 本体部
11a 底部
11b 前壁部(縦壁部)
13 車輪
14 接地部
21 ピン(底部取付部分)
24 取付部
25 脚部
26 移動車輪
27 ボス部(底部取付部分)
28 開口部(縦壁部取付部分)
29 フレーム
30 ボルト
A1 方向
A2 方向
L1 所定長さ
L2 長さ
P4 軸芯