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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-06
(45)【発行日】2023-10-17
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G01J 5/02 20220101AFI20231010BHJP
   G01J 1/02 20060101ALI20231010BHJP
   G01J 1/42 20060101ALI20231010BHJP
   G01J 5/48 20220101ALI20231010BHJP
   H01L 27/144 20060101ALI20231010BHJP
【FI】
G01J5/02 J
G01J1/02 C
G01J1/02 Q
G01J1/42 B
G01J5/48 D
H01L27/144 K
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020523572
(86)(22)【出願日】2019-05-07
(86)【国際出願番号】 JP2019018222
(87)【国際公開番号】W WO2019235115
(87)【国際公開日】2019-12-12
【審査請求日】2022-05-02
(31)【優先権主張番号】P 2018107750
(32)【優先日】2018-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】弁理士法人つばさ国際特許事務所
(74)【代理人】
【氏名又は名称】山本 孝久
(74)【代理人】
【識別番号】100118290
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 正明
(72)【発明者】
【氏名】奥村 健市
(72)【発明者】
【氏名】保坂 肇
(72)【発明者】
【氏名】新田 嘉一
【審査官】小澤 瞬
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-040791(JP,A)
【文献】特開2002-296117(JP,A)
【文献】特開2000-146686(JP,A)
【文献】特開2009-133825(JP,A)
【文献】特開平08-122143(JP,A)
【文献】特開平08-122144(JP,A)
【文献】特開2007-333558(JP,A)
【文献】特開2009-156614(JP,A)
【文献】特開2012-154762(JP,A)
【文献】特開2011-169857(JP,A)
【文献】特開2008-204978(JP,A)
【文献】特開2010-276516(JP,A)
【文献】国際公開第2011/036708(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第102386268(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 1/00 - G01J 1/60
G01J 5/00 - G01J 5/90
G01J 11/00
H01L 21/339
H01L 27/14 - H01L 27/148
H01L 29/762
H04N 5/30 - H04N 5/33
H10K 39/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向、及び、第1の方向とは異なる第2の方向に沿って配列された複数の温度検出素子ユニット、及び、第1の方向及び第2の方向に沿って配列された複数の赤外線吸収層ユニット、を備えており、
各温度検出素子ユニットは、第1の方向に沿って隣接する第1温度検出素子及び第2温度検出素子から構成されており、
各赤外線吸収層ユニットは、第2の方向に沿って隣接する第1赤外線吸収層及び第2赤外線吸収層から構成されており、
第1温度検出素子は、第1Aの領域、及び、第2の方向に沿って第1Aの領域と接する第1Bの領域を有しており、
第2温度検出素子は、第2Aの領域、及び、第2の方向に沿って第2Aの領域と接する第2Bの領域を有しており、
第1赤外線吸収層は、第1Aの領域及び第2Aの領域に対して赤外線入射方向に沿って離間して配設され、且つ、第1の接続部を介して第1温度検出素子と熱的に接続されており、
第2赤外線吸収層は、第1Bの領域及び第2Bの領域に対して赤外線入射方向に沿って離間して配設され、且つ、第2の接続部を介して第2温度検出素子と熱的に接続されている
撮像装置。
【請求項2】
第1赤外線吸収層の正射影像は、少なくとも第1Aの領域の一部及び第2Aの領域の一部と重なっており、
第2赤外線吸収層の正射影像は、少なくとも第1Bの領域の一部及び第2Bの領域の一部と重なっている
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
第1赤外線吸収層の正射影像は、第1Aの領域及び第2Aの領域と重なっており、
第2赤外線吸収層の正射影像は、第1Bの領域及び第2Bの領域と重なっている請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
第1赤外線吸収層及び第2赤外線吸収層は、実質的に隙間無く、第1温度検出素子及び第2温度検出素子を覆っている請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
温度検出素子ユニットの間に、ゲイン測定用素子が配設されている請求項1に記載の撮像装置。
【請求項6】
第1赤外線吸収層及び第2赤外線吸収層は、実質的に隙間無く第1温度検出素子及び第2温度検出素子を覆っており、ゲイン測定用素子を覆っていない請求項5に記載の撮像装置。
【請求項7】
第1赤外線吸収層及び第2赤外線吸収層は、実質的に隙間無く第1温度検出素子、第2温度検出素子及びゲイン測定用素子を覆っている請求項5に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、撮像装置、より具体的には、赤外線に基づき温度を検出する温度検出素子を備えた撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
熱型赤外線検出装置として、ウェハを用いて形成され、一表面側において周囲と熱絶縁された赤外線検出部が形成された熱型赤外線検出素子と、熱型赤外線検出素子の一表面側において赤外線検出部を囲む形で熱型赤外線検出素子に封着されたパッケージとを備えた熱型赤外線検出装置が、例えば、特開2007-171170号公報から周知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-171170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の熱型赤外線検出素子の微細化を図ると、以下の問題が生じ得る。即ち、熱型赤外線検出素子の微細化を図り、素子数を増加させた場合でも、信号の読み出しに要する時間の増加を抑制する必要があるが、従来の熱型赤外線検出装置では、後述するように、構造上、信号の読み出しに要する時間の増加抑制が困難である。また、熱型赤外線検出素子の微細化を図ると、読出し信号のバラツキが大きくなるといった問題もある。更には、赤外線検出部は周囲と熱絶縁する必要があるが、熱型赤外線検出素子の微細化を図ると、熱絶縁のための熱型赤外線検出素子の領域が小さくなる結果、周囲との熱絶縁が不十分となり、感度の低下を招くといった問題もある。また、赤外線の偏光状態を知り得る構成、構造を有する撮像装置の提供に対する要望もある。更には、温度検出素子が2次元マトリクス状に配列されて成る温度検出素子アレイを備えた撮像装置において、温度検出素子の配置位置に依存した温度検出のバラツキを小さくする構成、構造に対する要望もある。
【0005】
従って、本開示の第1の目的は、微細化を図り得る構成、構造を有する、赤外線に基づき温度を検出する温度検出素子を備えた撮像装置を提供することにある。また、本開示の第2の目的は、赤外線の偏光状態を知り得る構成、構造を有する撮像装置を提供することにある。更には、本開示の第3の目的は、温度検出素子の配置位置に依存した温度検出のバラツキが小さい撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の第1の目的を達成するための本開示の第1の態様に係る撮像装置は、
第1の方向、及び、第1の方向とは異なる第2の方向に沿って配列された複数の温度検出素子ユニット、及び、
第1の方向及び第2の方向に沿って配列された複数の赤外線吸収層ユニット、
を備えており、
各温度検出素子ユニットは、第1の方向に沿って隣接する第1温度検出素子及び第2温度検出素子から構成されており、
各赤外線吸収層ユニットは、第2の方向に沿って隣接する第1赤外線吸収層及び第2赤外線吸収層から構成されており、
第1温度検出素子は、第1Aの領域、及び、第2の方向に沿って第1Aの領域と接する第1Bの領域を有しており、
第2温度検出素子は、第2Aの領域、及び、第2の方向に沿って第2Aの領域と接する第2Bの領域を有しており、
第1赤外線吸収層は、第1Aの領域及び第2Aの領域に対して赤外線入射方向に沿って離間して配設され、且つ、第1温度検出素子と熱的に接続されており、
第2赤外線吸収層は、第1Bの領域及び第2Bの領域に対して赤外線入射方向に沿って離間して配設され、且つ、第2温度検出素子と熱的に接続されている。
【0007】
上記の第1の目的を達成するための本開示の第2の態様に係る撮像装置は、
第1の方向、及び、第1の方向とは異なる第2の方向に沿って配列された複数の温度検出素子ユニットを備えており、
各温度検出素子ユニットは、第1の方向及び第2の方向のいずれかの方向に沿って隣接する温度検出素子及びゲイン測定用素子から構成されており、
温度検出素子及びゲイン測定用素子に対して赤外線入射方向に沿って離間して、赤外線吸収層が配設されており、
赤外線吸収層は、温度検出素子と熱的に接続されており、且つ、ゲイン測定用素子と熱的に接続されていない。
【0008】
上記の第1の目的を達成するための本開示の第3の態様に係る撮像装置は、
2以上の温度検出素子から構成された温度検出素子ユニットが、複数、配列されて成り、
各温度検出素子に対して赤外線入射方向に沿って離間して配設され、且つ、温度検出素子と熱的に接続された赤外線吸収層を備えており、
温度検出素子ユニットにおいて、赤外線吸収層の正射影像の大きさは温度検出素子毎に異なっている。
【0009】
上記の第2の目的を達成するための本開示の第4の態様に係る撮像装置は、
第1の方向、及び、第1の方向とは異なる第2の方向に沿って配列された複数の温度検出素子ユニット、及び、
第1の方向及び第2の方向に沿って配列された複数の赤外線吸収層ユニット、
を備えており、
各温度検出素子ユニットは、第1温度検出素子ユニット、及び、第1温度検出素子ユニットと第1の方向に沿って並置された第2温度検出素子ユニットから構成されており、
第1温度検出素子ユニット及び第2温度検出素子ユニットのそれぞれは、第1の方向及び第2の方向に沿って配列された複数の温度検出素子を備えており、
各赤外線吸収層ユニットは、第1温度検出素子ユニットに対して赤外線入射方向に沿って離間して配設された第1赤外線吸収層ユニット、及び、第2温度検出素子ユニットに対して赤外線入射方向に沿って離間して配設された第2赤外線吸収層ユニットから構成されており、
第1赤外線吸収層ユニットは、第2の方向に沿って延び、第1の方向に沿って並置された複数の赤外線吸収層から構成されており、
第1温度検出素子ユニットを構成する一の温度検出素子は、第1赤外線吸収層ユニットを構成する一の赤外線吸収層と熱的に接続されており、
第2赤外線吸収層ユニットは、第1の方向に沿って延び、第2の方向に沿って並置された複数の赤外線吸収層から構成されており、
第2温度検出素子ユニットを構成する一の温度検出素子は、第2赤外線吸収層ユニットを構成する一の赤外線吸収層と熱的に接続されている。
【0010】
上記の第3の目的を達成するための本開示の第5の態様に係る撮像装置は、
温度検出素子が、第1の方向、及び、第1の方向とは異なる第2の方向に沿って、複数、配列されて成る温度検出素子アレイを備えており、
各温度検出素子に対して赤外線入射方向に沿って離間して配設され、且つ、温度検出素子と熱的に接続された赤外線吸収層を備えており、
温度検出素子の中心の正射影像から赤外線吸収層の中心の正射影像までの距離は、温度検出素子アレイの中心部に位置する温度検出素子よりも、温度検出素子アレイの周辺部に位置する温度検出素子の方が長い。
【0011】
上記の第3の目的を達成するための本開示の第6の態様に係る撮像装置は、
温度検出素子が、第1の方向、及び、第1の方向とは異なる第2の方向に沿って、複数、配列されて成る温度検出素子アレイを備えており、
各温度検出素子に対して赤外線入射方向に沿って離間して配設され、且つ、温度検出素子と熱的に接続された赤外線吸収層を備えており、
赤外線吸収層の大きさは、温度検出素子アレイの中心部に位置する温度検出素子よりも、温度検出素子アレイの周辺部に位置する温度検出素子の方が大きい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1A及び図1Bは、それぞれ、実施例1の撮像装置における温度検出素子の配置状態を模式的に示す図、及び、温度検出素子の構成を模式的に示す図である。
図2図2は、温度検出素子の構成を拡大して模式的に示す図である。
図3図3は、実施例1の撮像装置において、温度検出素子ユニット及び赤外線吸収層ユニットの配置を模式的に示す図である。
図4図4A及び図4Bは、それぞれ、実施例1の撮像装置及び従来の撮像装置における温度検出素子と信号線、駆動線の配置関係を模式的に示す図である。
図5図5は、実施例1の撮像装置の変形例における温度検出素子の配置状態を模式的に示す図である。
図6図6A及び図6Bは、それぞれ、実施例2の撮像装置における温度検出素子の配置状態を模式的に示す図、及び、温度検出素子の構成を模式的に示す図である。
図7図7は、実施例2の撮像装置において、温度検出素子ユニット及び赤外線吸収層ユニットの配置を模式的に示す図である。
図8図8は、実施例2の撮像装置の変形例において、温度検出素子ユニット及び赤外線吸収層ユニットの配置を模式的に示す図である。
図9図9は、実施例3の撮像装置における温度検出素子の配置状態を模式的に示す図である。
図10図10は、実施例3の撮像装置の変形例における温度検出素子の配置状態を模式的に示す図である。
図11図11は、実施例4の撮像装置における温度検出素子の配置状態を模式的に示す図である。
図12図12は、実施例4の撮像装置の変形例における温度検出素子の配置状態を模式的に示す図である。
図13図13は、実施例5の撮像装置における温度検出素子の配置状態を模式的に示す図である。
図14図14は、実施例5の撮像装置の変形例(変形例-1)における温度検出素子の配置状態を模式的に示す図である。
図15図15は、実施例5の撮像装置の変形例(変形例-2)における温度検出素子の配置状態を模式的に示す図である。
図16図16は、実施例5の撮像装置の変形例(変形例-3)における温度検出素子の配置状態を模式的に示す図である。
図17図17は、実施例5の撮像装置の変形例(変形例-2、変形例-3)における温度検出素子の構成を模式的に示す図である。
図18図18は、実施例5の撮像装置の変形例(変形例-4)における温度検出素子の配置状態を模式的に示す図である。
図19図19は、実施例5の撮像装置の変形例(変形例-5)における温度検出素子の配置状態を模式的に示す図である。
図20図20は、実施例5の撮像装置の変形例(変形例-5)において、温度検出素子ユニット及び赤外線吸収層ユニットの配置を模式的に示す図である。
図21図21は、実施例5の撮像装置の変形例(変形例-6)において、温度検出素子ユニット及び赤外線吸収層ユニットの配置を模式的に示す図である。
図22図22は、実施例6の撮像装置における温度検出素子の配置状態を模式的に示す図である。
図23図23は、実施例6の撮像装置の変形例における温度検出素子の配置状態を模式的に示す図である。
図24図24は、実施例7の撮像装置における温度検出素子の配置状態を模式的に示す図である。
図25図25は、実施例8の撮像装置における温度検出素子の配置状態を模式的に示す図である。
図26図26は、実施例9の撮像装置における温度検出素子の配置状態を模式的に示す図である。
図27図27は、実施例10の撮像装置における温度検出素子及び赤外線吸収層等の模式的な一部端面図ある。
図28図28は、実施例10の撮像装置における第1構造体及び第2構造体の模式的な分解斜視図である。
図29図29は、実施例10の撮像装置の等価回路図である。
図30図30は、実施例10の撮像装置の変形例における温度検出素子及び赤外線吸収層等の模式的な一部端面図ある。
図31図31は、実施例5の撮像装置の更に別の変形例における温度検出素子の配置状態を模式的に示す図である。
図32図32は、本開示の撮像装置を備えた赤外線カメラの概念図である。
図33図33A図33B図33C及び図33Dは、実施例10の撮像装置の製造方法を説明するためのSOI基板等の模式的な一部端面図である。
図34図34A図34B及び図34Cは、図33Dに引き続き、実施例10の撮像装置の製造方法を説明するためのSOI基板等の模式的な一部端面図である。
図35図35A及び図35Bは、図34Cに引き続き、実施例10の撮像装置の製造方法を説明するためのSOI基板等の模式的な一部端面図である。
図36図36A及び図36Bは、図35Bに引き続き、実施例10の撮像装置の製造方法を説明するためのSOI基板等の模式的な一部端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、実施例に基づき本開示を説明するが、本開示は実施例に限定されるものではなく、実施例における種々の数値や材料は例示である。尚、説明は、以下の順序で行う。
1.本開示の第1の態様~第6の態様に係る撮像装置、全般に関する説明
2.実施例1(本開示の第1の態様に係る撮像装置)
3.実施例2(実施例1の変形)
4.実施例3(実施例1~実施例2の変形)
5.実施例4(実施例3の変形)
6.実施例5(本開示の第2の態様に係る撮像装置)
7.実施例6(本開示の第3の態様に係る撮像装置)
8.実施例7(本開示の第4の態様に係る撮像装置)
9.実施例8(本開示の第5の態様に係る撮像装置)
10.実施例9(本開示の第6の態様に係る撮像装置)
11.実施例10(実施例1~実施例9において説明した撮像装置の詳細)
12.実施例11(本開示の撮像装置の応用例)
13.その他
【0014】
〈本開示の第1の態様~第6の態様に係る撮像装置、全般に関する説明〉
本開示の第1の態様に係る撮像装置において、
第1赤外線吸収層の正射影像は、少なくとも第1Aの領域の一部及び第2Aの領域の一部と重なっており、
第2赤外線吸収層の正射影像は、少なくとも第1Bの領域の一部及び第2Bの領域の一部と重なっている形態とすることができる。そして、この場合、
第1赤外線吸収層の正射影像は、第1Aの領域及び第2Aの領域と重なっており、
第2赤外線吸収層の正射影像は、第1Bの領域及び第2Bの領域と重なっている形態とすることができる。
【0015】
以上に説明した好ましい形態を含む本開示の第1の態様に係る撮像装置において、第1赤外線吸収層及び第2赤外線吸収層は、実質的に隙間無く、第1温度検出素子及び第2温度検出素子を覆っている構成とすることができる。ここで、「実質的に隙間無く第1温度検出素子及び第2温度検出素子を覆っている」とは、第1赤外線吸収層と第2赤外線吸収層とを分離するための隙間は形成されているが、第2赤外線吸収層と対向する第1赤外線吸収層の部分の平面形状と、第1赤外線吸収層と対向する第2赤外線吸収層の部分の平面形状とは、相補的な形状を有することを意味する。以下の説明においても同様である。
【0016】
あるいは又、以上に説明した好ましい形態を含む本開示の第1の態様に係る撮像装置において、温度検出素子ユニットの間に、ゲイン測定用素子が配設されている構成とすることができる。そして、この場合、第1赤外線吸収層及び第2赤外線吸収層は、実質的に隙間無く第1温度検出素子及び第2温度検出素子を覆っており、ゲイン測定用素子を覆っていない構成とすることができるし、あるいは又、第1赤外線吸収層及び第2赤外線吸収層は、実質的に隙間無く第1温度検出素子、第2温度検出素子及びゲイン測定用素子を覆っている構成とすることができる。ここで、「実質的に隙間無く第1温度検出素子、第2温度検出素子及びゲイン測定用素子を覆っている」とは、第1赤外線吸収層と第2赤外線吸収層とを分離するための隙間は形成されているが、第2赤外線吸収層と対向する第1赤外線吸収層の部分の平面形状と、第1赤外線吸収層と対向する第2赤外線吸収層の部分の平面形状とは、相補的な形状を有することを意味する。以下の説明においても同様である。
【0017】
本開示の第2の態様に係る撮像装置において、
赤外線吸収層は、第1赤外線吸収層及び第2赤外線吸収層から構成されており、
第1赤外線吸収層の正射影像は、温度検出素子及びゲイン測定用素子と重なっており、
第2赤外線吸収層の正射影像は、温度検出素子及びゲイン測定用素子と重なっており、
第1赤外線吸収層は、温度検出素子と熱的に接続されており、ゲイン測定用素子と熱的に接続されておらず、
第2赤外線吸収層は、温度検出素子と熱的に接続されており、ゲイン測定用素子と熱的に接続されていない形態とすることができる。そして、この場合、
温度検出素子及びゲイン測定用素子は、第2の方向に沿って隣接しており、
温度検出素子ユニットは、更に、温度検出素子-A及び温度検出素子-Bを備えており、
温度検出素子及び温度検出素子-Aは、第1の方向に沿って配設されており、
ゲイン測定用素子及び温度検出素子-Bは、第1の方向に沿って配設されており、
赤外線吸収層-A及び赤外線吸収層-Bは、温度検出素子-A及び温度検出素子-Bに対して赤外線入射方向に沿って離間して配設されており、
赤外線吸収層-Aは、第2の方向に沿って、赤外線吸収層-Bと離間して配設されており、
赤外線吸収層-Aは、温度検出素子-Aと熱的に接続されており、
赤外線吸収層-Bは、温度検出素子-Bと熱的に接続されている形態とすることができる。
【0018】
あるいは又、本開示の第2の態様に係る撮像装置において、
赤外線吸収層は、第1赤外線吸収層及び第2赤外線吸収層から構成されており、
第1赤外線吸収層の正射影像は、温度検出素子及びゲイン測定用素子と重なっており、
第2赤外線吸収層の正射影像は、温度検出素子及びゲイン測定用素子と重なっており、
第1赤外線吸収層は、温度検出素子と熱的に接続されており、ゲイン測定用素子と熱的に接続されておらず、
第2赤外線吸収層は、温度検出素子と熱的に接続されておらず、且つ、ゲイン測定用素子と熱的に接続されていない形態とすることができる。そして、この場合、
温度検出素子及びゲイン測定用素子は、第2の方向に沿って隣接しており、
温度検出素子ユニットは、更に、温度検出素子-A及び温度検出素子-Bを備えており、
温度検出素子及び温度検出素子-Aは、第1の方向に沿って配設されており、
ゲイン測定用素子及び温度検出素子-Bは、第1の方向に沿って配設されており、
赤外線吸収層-A及び赤外線吸収層-Bは、温度検出素子-A及び温度検出素子-Bに対して赤外線入射方向に沿って離間して配設されており、
赤外線吸収層-Aは、第2の方向に沿って、赤外線吸収層-Bと離間して配設されており、
赤外線吸収層-Aは、温度検出素子-Aと熱的に接続されており、
赤外線吸収層-Bは、温度検出素子-Bと熱的に接続されている形態とすることができる。
【0019】
本開示の第4の態様に係る撮像装置において、第1温度検出素子ユニット及び第2温度検出素子ユニットは、第1の方向及び第2の方向に沿って、市松状に配置されている形態とすることができる。
【0020】
そして、上記の好ましい形態を含む本開示の第4の態様に係る撮像装置において、
第1温度検出素子ユニットは、第1の方向に沿って配置された第1温度検出素子及び第2温度検出素子、並びに、第2の方向に沿って、第1温度検出素子に隣接して配置された第3温度検出素子、及び、第2温度検出素子に隣接して配置された第4温度検出素子から構成されており、
第2温度検出素子ユニットは、第1の方向に沿って配置された第5温度検出素子及び第6温度検出素子、並びに、第2の方向に沿って、第5温度検出素子に隣接して配置された第7温度検出素子、及び、第6温度検出素子に隣接して配置された第8温度検出素子から構成されており、
第1温度検出素子は、第1Aの領域、及び、第2の方向に沿って第1Aの領域と接する第1Bの領域を有しており、
第2温度検出素子は、第2Aの領域、及び、第2の方向に沿って第2Aの領域と接する第2Bの領域を有しており、
第3温度検出素子は、第3Aの領域、及び、第2の方向に沿って第3Aの領域と接する第3Bの領域を有しており、
第4温度検出素子は、第4Aの領域、及び、第2の方向に沿って第4Aの領域と接する第4Bの領域を有しており、
第5温度検出素子は、第5Aの領域、及び、第1の方向に沿って第5Aの領域と接する第5Bの領域を有しており、
第6温度検出素子は、第6Aの領域、及び、第1の方向に沿って第6Aの領域と接する第6Bの領域を有しており、
第7温度検出素子は、第7Aの領域、及び、第1の方向に沿って第7Aの領域と接する第7Bの領域を有しており、
第8温度検出素子は、第8Aの領域、及び、第1の方向に沿って第8Aの領域と接する第8Bの領域を有しており、
第1赤外線吸収層ユニットは、第1赤外線吸収層、第2赤外線吸収層、第3赤外線吸収層及び第4赤外線吸収層から構成されており、
第2赤外線吸収層ユニットは、第5赤外線吸収層、第6赤外線吸収層、第7赤外線吸収層及び第8赤外線吸収層から構成されており、
第1赤外線吸収層は、第1Aの領域及び第2Aの領域に対して赤外線入射方向に沿って離間して配設されており、第1温度検出素子と熱的に接続されており、
第2赤外線吸収層は、第1Bの領域及び第2Bの領域に対して赤外線入射方向に沿って離間して配設されており、第2温度検出素子と熱的に接続されており、
第3赤外線吸収層は、第3Aの領域及び第4Aの領域に対して赤外線入射方向に沿って離間して配設されており、第3温度検出素子と熱的に接続されており、
第4赤外線吸収層は、第3Bの領域及び第4Bの領域に対して赤外線入射方向に沿って離間して配設されており、第4温度検出素子と熱的に接続されており、
第5赤外線吸収層は、第5Aの領域及び第6Aの領域に対して赤外線入射方向に沿って離間して配設されており、第5温度検出素子と熱的に接続されており、
第6赤外線吸収層は、第5Bの領域及び第6Bの領域に対して赤外線入射方向に沿って離間して配設されており、第6温度検出素子と熱的に接続されており、
第7赤外線吸収層は、第7Aの領域及び第8Aの領域に対して赤外線入射方向に沿って離間して配設されており、第7温度検出素子と熱的に接続されており、
第8赤外線吸収層は、第7Bの領域及び第8Bの領域に対して赤外線入射方向に沿って離間して配設されており、第8温度検出素子と熱的に接続されている形態とすることができる。
【0021】
第1赤外線吸収層及び第2赤外線吸収層の平面形状として、正方形や長方形といった矩形を含む四角形、菱形、多角形(例えば、六角形)、多角形の組合せ(例えば、八角形と四角形の組合せ)を挙げることができるし、赤外線吸収層として、正方形や長方形といった矩形を含む四角形、菱形、多角形(例えば、六角形)、多角形の組合せ(例えば、八角形と四角形の組合せ)を挙げることもできる。
【0022】
以上に説明した各種の好ましい形態、構成を含む本開示の第1の態様~第6の態様に係る撮像装置(以下、これらを総称して、『本開示の撮像装置等』と呼ぶ場合がある)において、温度検出素子は、SOIダイオードを含むpn接合ダイオードやショットキダイオードといった各種ダイオード、あるいは、トランジスタ、ダイオードと能動素子の組合せ;酸化バナジウム膜やアモルファスシリコン膜、ポリシリコン膜、炭化ケイ素膜、チタン膜等を備えた抵抗ボロメータ素子;白金や金、ニッケル等の金属、サーミスタ等を用いた熱電変換素子;ゼーベック効果を用いたサーモパイル素子;誘電体の表面電荷が変化する焦電素子;強誘電体素子;トンネル効果を用いたダイオード;超電導を応用した素子から成る形態とすることができ、これらは、周知の構成、構造を有する。より具体的には、温度検出素子は、pn接合ダイオード、ボロメータ素子、サーモパイル素子、金属膜抵抗素子、金属酸化物抵抗素子、セラミック抵抗素子、サーミスタ素子から成る形態とすることができる。1つの温度検出素子は、例えば、直列に接続された複数のダイオードから構成することもできる。温度検出素子は、例えば、所謂MEMS技術に基づき形成することができる。
【0023】
第1の方向、及び、第1の方向とは異なる第2の方向に(具体的には、例えば、2次元マトリクス状に)配列され、赤外線に基づき温度を検出する複数の温度検出素子あるいは温度検出素子ユニットの数として、640×480(VGA)、320×240(QVGA)、160×120(QQVGA)、612×512、1980×1080(及びその整数倍)、2048×1080(及びその整数倍)を例示することができる。第1の方向と第2の方向とは、直交していることが好ましいが、これに限定するものではなく、上記画素数の画素配列において、画素を市松状に除去して、斜め45度回転した配列としてもよい。
【0024】
赤外線吸収層は、温度検出素子を基準として、赤外線が入射する側に形成されており、あるいは又、赤外線が入射する側とは反対側に形成されている。赤外線吸収層は、温度検出素子と赤外線入射方向に沿って離間して配設されているが、赤外線吸収層を含む仮想平面をXY平面としたとき、赤外線吸収層は、+Z方向(赤外線が侵入する方向と逆の方向であり、上方)あるいは-Z方向(赤外線が侵入する方向と同じ方向であり、下方)に温度検出素子と離れて形成されている。赤外線吸収層と温度検出素子との間に隙間(空間)が存在する状態で赤外線吸収層が形成されていてもよいし、赤外線吸収層は、温度検出素子の上に形成された絶縁膜の上に形成されていてもよい。
【0025】
赤外線吸収層を構成する材料として、クロム(Cr)及びその合金、アルミニウム(Al)及びその合金、金(Au)及びその合金、銀(Ag)及びその合金、銅(Cu)及びその合金、白金(Pt)及びその合金、あるいは、これらの材料から成る層と例えばSiO2膜やSiN膜との積層構造を例示することができる。赤外線吸収層において赤外線が吸収される結果発生した熱は、温度検出素子に確実に伝熱されることが望ましい。また、赤外線吸収層は、例えば、赤外線吸収層を構成する導電体材料や抵抗体材料のシート抵抗値が377Ω□±30%の範囲になるように厚さに設定することが望ましい。後述する赤外線反射層を構成する材料として、赤外線吸収層とは特性(例えば、面積抵抗率、シート抵抗値)が異なるアルミニウム(Al)及びその合金、金(Au)及びその合金、銀(Ag)及びその合金、銅(Cu)及びその合金、白金(Pt)及びその合金、あるいは、これらの材料から成る層の積層構造を例示することができる。
【0026】
温度検出素子の下方には空所が形成されており、温度検出素子は2箇所の支持部によって支持されており、空中に浮かんでいる状態にあることが好ましい。即ち、温度検出素子は、第1基板に設けられた空所の上方に配設されており;第1基板に設けられた第1接続部と、温度検出素子の第1端子部とは、第1スタッド部(支持脚あるいは細長い梁であり、以下においても同様)を介して接続されており;第1基板に設けられた第2接続部と、温度検出素子の第2端子部とは、第2スタッド部を介して接続されている形態とすることができる。空所は、隣接する複数の温度検出素子において共有化されている形態とすることもできる。
【0027】
また、空所の底部には赤外線反射層が形成されている構成とすることができる。赤外線反射層は、空所の底部の全部又は一部に形成されていることが好ましい。赤外線吸収層が吸収すべき赤外線の波長をλIRとしたとき、赤外線吸収層と赤外線反射層との間の光学的距離(材料の厚さ及び屈折率を考慮した距離)L0は、
0.75×λIR/2≦L0≦1.25×λIR/2
又は、
0.75×λIR/4≦L0≦1.25×λIR/4
を満足する構成とすることができる。λIRとして、8μm乃至14μmを例示することができる。
【0028】
温度検出素子を基準として赤外線が入射する側に赤外線吸収層が形成されている場合、空所と対向する温度検出素子の側に、下方赤外線吸収層が形成されている構成とすることもできる。下方赤外線吸収層は、例えば、空所と対向する温度検出素子の面上に形成すればよいし、空所と対向する温度検出素子の面上に形成された絶縁膜の上に形成されていてもよいし、下方赤外線吸収層と温度検出素子との間に隙間(空間)が存在する状態で下方赤外線吸収層を形成してもよい。各赤外線吸収層は、赤外線を吸収するだけでなく、一部を透過し、一部を反射するため、透過や反射を低減する構造とすることで、より感度を向上させることができる。即ち、このような構成により、赤外線吸収層を透過した一部の赤外線が下方赤外線吸収層で更に吸収されるため、透過を低減させることができる。また、赤外線吸収層で反射された赤外線と下方赤外線吸収層で反射された赤外線が逆位相で打ち消し合い、反射を低減させることができる。また、下方赤外線吸収層で反射された赤外線と赤外線反射層で反射された赤外線が逆位相で打ち消し合い、反射を低減させることができる。更には、これらの場合、赤外線吸収層及び下方赤外線吸収層が吸収すべき赤外線の波長をλIRとし、赤外線吸収層と下方赤外線吸収層との光学的距離L1とし、下方赤外線吸収層と赤外線反射層との光学的距離をL2としたとき、
0.75×λIR/4≦L1≦1.25×λIR/4
0.75×λIR/4≦L2≦1.25×λIR/4
を満足する構成とすることができる。λIRとして、8μm乃至14μmを例示することができる。
【0029】
各信号線は、アナログ・フロント・エンド及びアナログ-デジタル変換回路に接続されており、アナログ・フロント・エンドは、増幅器(プリアンプ)として機能する差動積分回路を有する構成とすることができる。そして、差動積分回路と信号線との間に、差動積分回路と信号線との導通状態を制御するスイッチ手段が設けられている形態とすることができ、更には、この場合、スイッチ手段は、差動積分回路と信号線との間を不導通状態とするとき、信号線を固定電位とする形態とすることができる。差動積分回路を含むアナログ・フロント・エンド、アナログ-デジタル変換回路、スイッチ手段は、周知の回路構成とすることができる。
【0030】
本開示における撮像装置等において、第1基板は、例えば、シリコン半導体基板やSOI基板から構成することができるし、後述する第2基板は、例えば、シリコン半導体基板から構成することができる。駆動線、信号線は周知の導電材料から、周知の方法に基づき、形成すればよい。第2基板に備えられた駆動回路も周知の駆動回路から構成することができる。あるいは又、駆動回路を、周知の読出し用集積回路(ROIC)から構成することもできる。
【0031】
駆動線及び信号線と駆動回路とを電気的に接続する方法として、半田やインジウム、金(Au)等を含むバンプを用いる方法、チップ・オン・チップ方式に基づく方法、スルーチップビヤ(TCV)やスルーシリコンビヤ(TSV)を用いる方法、Cu-Cuを含む金属―金属接合を例示することができる。
【0032】
第2基板に設けられた駆動回路は、被覆層によって被覆されていることが好ましい。即ち、第2基板の頂面は、被覆層によって被覆されていることが好ましい。空所の底部には被覆層が露出している。被覆層は、例えば、酸化シリコン系材料、窒化シリコン系材料、酸窒化シリコン系材料、各種有機材料から構成することができる。被覆層は、単層構成であってもよいし、複数層の積層構造を有していてもよい。赤外線反射層は、被覆層の上に設けられていてもよいし、被覆層の内部に設けられていてもよい。
【0033】
温度検出素子が配置される空間は、減圧され、また、真空(真空に近い低圧を含み、以下においても同様)とされていることが好ましい。空所も、減圧され、また、真空とされていることが好ましい。あるいは又、撮像装置、全体は、減圧され、また、真空にされたパッケージあるいは容器(ケース)内に格納されていることが好ましい。
【0034】
更には、赤外線が入射する側に保護基板が配設されている構成とすることができる。保護基板を構成する材料として、シリコン半導体基板、石英基板、プラスチック基板、プラスチックフィルム、ゲルマニウム基板、赤外線を透過する材料(具体的には、CaF2、BaF2、Al23、ZnSe等)から成る基板を例示することができる。また、プラスチックとして、ポリエチレンを例示することができる。
【0035】
赤外線入射側の撮像装置には、必要に応じて、赤外線の反射を防止する構造や、特定周波数の赤外線のみを通すための赤外線フィルタ、回折格子やレンズ等の集光素子を配設してもよい。
【0036】
本開示における撮像装置等は、例えば、赤外線カメラ、暗視カメラ、サーモグラフ、車載カメラ(人検知)、エアコンディショナー(人検知センサ)、電子レンジに対して適用することができる。尚、場合によっては、本開示における撮像装置等は、赤外線に基づき温度を検出する温度検出センサと云い換えることもできる。
【実施例1】
【0037】
実施例1は、本開示の第1の態様に係る撮像装置に関する。実施例1の撮像装置における温度検出素子の配置状態を模式的に図1Aに示し、温度検出素子の構成を模式的に図1B及び図2に示し、温度検出素子ユニット及び赤外線吸収層ユニットの配置を模式的に図3に示し、図4A及び図4Bのそれぞれに、実施例1の撮像装置及び従来の撮像装置における温度検出素子と信号線、駆動線の配置関係を模式的に示す。
【0038】
実施例1の撮像装置は、
第1の方向、及び、第1の方向とは異なる第2の方向に沿って配列された複数の温度検出素子ユニット20A,20B、及び、
第1の方向及び第2の方向に沿って配列された複数の赤外線吸収層ユニット40A,40B、
を備えており、
各温度検出素子ユニット20A,20Bは、第1の方向に沿って隣接する第1温度検出素子21及び第2温度検出素子22から構成されており、
各赤外線吸収層ユニット40A,40Bは、第2の方向に沿って隣接する第1赤外線吸収層41及び第2赤外線吸収層42から構成されており、
第1温度検出素子21は、第1Aの領域211、及び、第2の方向に沿って第1Aの領域211と接する第1Bの領域212を有しており、
第2温度検出素子22は、第2Aの領域221、及び、第2の方向に沿って第2Aの領域221と接する第2Bの領域222を有しており、
第1赤外線吸収層41は、第1Aの領域211及び第2Aの領域221に対して赤外線入射方向に沿って離間して配設され、且つ、第1温度検出素子21と熱的に接続されており、
第2赤外線吸収層42は、第1Bの領域212及び第2Bの領域222に対して赤外線入射方向に沿って離間して配設され、且つ、第2温度検出素子22と熱的に接続されている。
【0039】
そして、実施例1の撮像装置において、
第1赤外線吸収層41の正射影像は、少なくとも第1Aの領域211の一部及び第2Aの領域221の一部と重なっており、
第2赤外線吸収層42の正射影像は、少なくとも第1Bの領域212の一部及び第2Bの領域222の一部と重なっている。具体的には、
第1赤外線吸収層41の正射影像は、第1Aの領域211及び第2Aの領域221と重なっており、
第2赤外線吸収層42の正射影像は、第1Bの領域212及び第2Bの領域222と重なっている。
【0040】
第1赤外線吸収層41及び第2赤外線吸収層42は、第1温度検出素子21及び第2温度検出素子22の上方(+Z方向)に配設されている。また、第1赤外線吸収層41は、接続部41’において第1温度検出素子21と熱的に接続されており、第2赤外線吸収層42は、接続部42’において第2温度検出素子22と熱的に接続されている。図1Aにおいて、第1赤外線吸収層41及び第2赤外線吸収層42を点線で囲んで示し、図3において、温度検出素子ユニット20A及び温度検出素子ユニット20Bを一点鎖線で囲んで示し、赤外線吸収層ユニット40A及び赤外線吸収層ユニット40Bを二点鎖線で囲んで示す。
【0041】
また、第1赤外線吸収層41及び第2赤外線吸収層42は、実質的に隙間無く、第1温度検出素子21及び第2温度検出素子22を覆っている。具体的には、第1赤外線吸収層41と第2赤外線吸収層42とを分離するための隙間は形成されているが、第2赤外線吸収層42と対向する第1赤外線吸収層41の部分の平面形状と、第1赤外線吸収層41と対向する第2赤外線吸収層42の部分の平面形状とは、相補的な形状を有する。
【0042】
ここで、温度検出素子ユニット20A,20Bの第1の方向に沿った長さをK11、温度検出素子ユニット20A,20Bの第2の方向に沿った長さをK12、赤外線吸収層ユニット40A,40Bの第1の方向に沿った長さをK21、赤外線吸収層ユニット40A,40Bの第2の方向に沿った長さをK22としたとき、第1温度検出素子21及び第2温度検出素子22の第1の方向に沿った長さは、α11×(K11/2)であり、第1温度検出素子21及び第2温度検出素子22の第2の方向に沿った長さは、K12であり、第1赤外線吸収層41及び第2赤外線吸収層42の第1の方向に沿った長さは、K21であり、第1赤外線吸収層41及び第2赤外線吸収層42の第2の方向に沿った長さは、α22×(K22/2)である。α11,α22の値として、
0.5≦α11≦1.0
0.5≦α22≦1.0
を例示することができる。また、K21/K11,K22/K12の値として、
0.5≦K21/K11≦2.0
0.5≦K22/K12≦2.0
を例示することができるが、これらの値、範囲に限定するものではない。
【0043】
尚、温度検出素子の配置状態を模式的に示す図面において、配置状態を簡素化するために、赤外線吸収層ユニットの正射影像の外形線が、温度検出素子ユニットの外形線よりも外側に位置するように示しているが、実際には、赤外線吸収層ユニットの外形線が、温度検出素子ユニットからはみ出している場合もあるし(K21/K11>1、又は、K22/K12>1)、赤外線吸収層ユニットの正射影像が、温度検出素子ユニットの内側に位置している場合もあるし(K21/K11<1、且つ、K22/K12<1)、赤外線吸収層の正射影像が温度検出素子ユニットと一致している場合もある(K21/K11=1、且つ、K22/K12=1)。
【0044】
実施例1において、温度検出素子21,22は、複数(図示した例では4つ)のpn接合ダイオード67が配線68を介して直列接続されて成るが、これに限定されるものではなく、周知の構成、構造を有する抵抗ボロメータ素子や、熱電変換素子、サーモパイル素子、焦電素子、強誘電体素子から構成することもできる。pn接合ダイオードは、周知の構成、構造を有する。温度検出素子21,22は、後述するように、所謂MEMS技術に基づき形成されるし、後述するように、第1基板61の赤外線入射側(第1基板61の第2面61B)に設けられている。
【0045】
温度検出素子21,22(具体的には、pn接合ダイオード67)は、SiO2から成る絶縁材料層から構成されたダイヤフラム部(架空部、架空薄層部)65A上に形成されている。また、後述する隔壁63の頂面にはSiO2から成る絶縁材料層65Bが形成されている。ダイヤフラム部65Aと絶縁材料層65Bとは、ダイヤフラム部65A及び絶縁材料層65Bの延在部に相当する第1スタッド部65C(支持脚あるいは細長い梁。以下においても同様)、第2スタッド部65Dを介して、一体に形成されている。ダイヤフラム部65A、第1スタッド部65C及び第2スタッド部65Dの下には空所69が位置する。図1B図2図6B図17において、空所69を明示するために、空所69に斜線を付した。
【0046】
温度検出素子21,22の一端(複数のpn接合ダイオード67における一端に位置するpn接合ダイオード67)は、ダイヤフラム部65A及び第2スタッド部65D上に形成された配線68を介して、隔壁63の上に形成された絶縁材料層65Bの上に設けられた信号線51に接続されている。また、温度検出素子21,22の他端(複数のpn接合ダイオード67における他端に位置するpn接合ダイオード67)は、ダイヤフラム部65A及び第1スタッド部65C上に形成された配線68、更には、コンタクトホール53を介して、隔壁63の上方に形成された駆動線52に接続されている。ダイヤフラム部65A、第1スタッド部65C、第2スタッド部65D、pn接合ダイオード67、配線68、信号線51、駆動線52は、SiO2から成る絶縁膜66で被覆されている。駆動線52及び信号線51は、駆動回路と電気的に接続されている。信号線51は、例えば、第2の方向へと延びており、駆動線52は、例えば、第1の方向へと延びている。信号線51と駆動線52は立体的に交差している。具体的には、図示した例では、信号線51は駆動線52の上方に位置する。
【0047】
温度検出素子21,22(具体的には、pn接合ダイオード67)は、後述するように、シリコン層にn型不純物及びp型不純物を、例えば、イオン注入することによって形成することができる。複数の温度検出素子21,22の数は、例えば、640×480(VGA)である。第1の方向と第2の方向とは直交している。
【0048】
温度検出素子21,22の構成、構造に関しては、温度検出素子15として、実施例10において詳しく説明する。
【0049】
実施例1の撮像装置における温度検出素子と信号線、駆動線の配置関係を模式的に図4Aに示すように、2つの第1温度検出素子2111,2112及び2つの第2温度検出素子2211,2212の、合計4つの温度検出素子21,22には、1本の駆動線521及び4本の信号線511,512,513,514が接続されている。従って、これらの4つの温度検出素子2111,2112,2211,2212の信号を1度に読み出すことができる。一方、従来の撮像装置における温度検出素子と信号線、駆動線の配置関係を模式的に図4Bに示すように、従来の撮像装置にあっては、同じ面積を占める4つの温度検出素子52111,52112,52121,52122が2×2に配列されている。そして、4つの温度検出素子521には、2本の駆動線521,522及び2本の信号線511,512が接続されている。従って、これらの4つの温度検出素子52111,52112,52121,52122の信号を読み出すには、2度の読出し動作が必要とされる。即ち、従来の撮像装置における信号の読み出しに要する時間と比較して、実施例1の撮像装置における信号の読み出しに要する時間を短縮(例えば、1/2)とすることができる。
【0050】
以上に説明したとおり、実施例1の撮像装置において、第1赤外線吸収層は、第1Aの領域及び第2Aの領域に対して離間して(例えば、上方に)配設され、且つ、第1温度検出素子と熱的に接続されており、第2赤外線吸収層は、第1Bの領域及び第2Bの領域に対して離間して(例えば、上方に)配設され、且つ、第2温度検出素子と熱的に接続されている。従って、第1温度検出素子及び第2温度検出素子の信号読み出しを同時に行うことが可能となり、信号の読み出しに要する時間の増加抑制を図ることができ、しかも、熱絶縁のための温度検出素子の領域(第1スタッド部及び第2スタッド部)が小さくなることがなく、感度低下を招くことがないので、温度検出素子の微細化が可能となる。
【0051】
実施例1の撮像装置の変形例における温度検出素子の配置状態を模式的に図5に示すが、第1温度検出素子21と第2温度検出素子22とは、第2の方向に沿って、ずれた状態(例えば、第2の方向に沿った温度検出素子の配設ピッチの1/2だけずれた状態)で配設されていてもよい。
【実施例2】
【0052】
実施例2は、実施例1の変形である。実施例2の撮像装置における温度検出素子の配置状態を模式的に図6Aに示し、温度検出素子の構成を模式的に図6Bに示し、温度検出素子ユニット及び赤外線吸収層ユニットの配置を模式的に図7に示すように、実施例2の撮像装置においても、第1赤外線吸収層41の正射影像は、少なくとも第1Aの領域211の一部及び第2Aの領域221の一部と重なっており、第2赤外線吸収層42の正射影像は、少なくとも第1Bの領域212の一部及び第2Bの領域222の一部と重なっている。
【0053】
尚、図7において、赤外線吸収層ユニット40A及び赤外線吸収層ユニット40Bの一部を図示するが、温度検出素子ユニット20A及び温度検出素子ユニット20Bを一点鎖線で囲んで示し、赤外線吸収層ユニット40Aを点線で囲んで示し、赤外線吸収層ユニット40Bを破線で囲んで示す。
【0054】
以上の点を除き、実施例2の撮像装置の構成、構造は、実施例1において説明した撮像装置の構成、構造と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
【0055】
尚、実施例2の撮像装置の変形例における温度検出素子の配置状態を模式的に図8に示すように、第1赤外線吸収層41の大きさと第2赤外線吸収層42の大きさを異ならせてもよく、これによって、温度検出素子における読み出し信号のバラツキを抑えることができる。
【実施例3】
【0056】
実施例3は、実施例1~実施例2の変形である。実施例3の撮像装置における温度検出素子の配置状態を模式的に図9及び図10に示す。
【0057】
実施例3の撮像装置は、第1の方向に沿って配置された温度検出素子ユニットの間に、ゲイン測定用素子31が配設されている。ここで、第1赤外線吸収層41及び第2赤外線吸収層42は、実質的に隙間無く第1温度検出素子21及び第2温度検出素子22を覆っているが、ゲイン測定用素子31を覆っていない。
【0058】
図9に示す例では、2つの温度検出素子21,22から構成された温度検出素子ユニット20A,20Bと2つの温度検出素子21,22から構成された温度検出素子ユニット20A,20Bとの間に、ゲイン測定用素子31が配設されている。そして、温度検出素子ユニットにおいて、図面の温度検出素子21の左隣りに位置するゲイン測定用素子31L、及び、図面の温度検出素子22の右隣りに位置するゲイン測定用素子31Rによって得られた信号値の平均値に基づき、温度検出素子21,22によって得られた信号値の補正を行えばよい。
【0059】
また、図10に示す例では、4つの温度検出素子21,22から構成された温度検出素子ユニット20A,20Bと4つの温度検出素子21,22から構成された温度検出素子ユニット20A,20Bとの間にゲイン測定用素子31が配設されている。そして、温度検出素子ユニットにおいて、図面の最左端に位置する温度検出素子21の左隣りに位置するゲイン測定用素子(図示しないが、参照番号31Lで示す)、及び、最右端に位置する温度検出素子22の右隣りに位置するゲイン測定用素子31Rによって得られた信号値の平均値に基づき、4つの温度検出素子21,22によって得られた信号値の補正を行えばよい。
【0060】
ゲイン測定用素子31は、赤外線吸収層が設けられていない点を除き(実施例3)、あるいは又、赤外線吸収層が熱的に接続されていない点を除き(実施例4)、第1温度検出素子21及び第2温度検出素子22と同様の構成、構造を有する。以下の説明においても同様である。実施例3~実施例4の撮像装置は、ゲイン測定用素子31を有する点を除き、実施例1~実施例2において説明した撮像装置の構成、構造と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。以下の実施例におけるゲイン測定用素子によって得られた信号値に基づく温度検出素子によって得られた信号値の補正は、実質的に上述したと同様とすればよい。
【0061】
このように、実施例3あるいは後述する実施例4の撮像装置において、各温度検出素子ユニットは第1の方向に沿って隣接する温度検出素子及びゲイン測定用素子から構成されているので、ゲイン測定用素子によって得られた信号値に基づき温度検出素子によって得られた信号値の補正を行うことができる結果、温度検出素子における読み出し信号のバラツキを抑えることができ、温度検出素子の微細化が可能となる。
【実施例4】
【0062】
実施例4は、実施例3の変形である。実施例4の撮像装置における温度検出素子の配置状態を図11及び図12に模式的に示す。
【0063】
実施例4の撮像装置において、第1赤外線吸収層41及び第2赤外線吸収層42は、実質的に隙間無く第1温度検出素子21、第2温度検出素子22及びゲイン測定用素子31を覆っている。具体的には、第1赤外線吸収層41と第2赤外線吸収層42とを分離するための隙間は形成されているが、第2赤外線吸収層42と対向する第1赤外線吸収層41の部分の平面形状と、第1赤外線吸収層41と対向する第2赤外線吸収層42の部分の平面形状とは、相補的な形状を有する。
【0064】
図11に示す例では、2つの温度検出素子21,22から構成された温度検出素子ユニット20A,20Bと2つの温度検出素子21,22から構成された温度検出素子ユニット20A,20Bとの間にゲイン測定用素子31が配設されている。具体的には、赤外線吸収層41,42は、温度検出素子21,22の上方に配設され、温度検出素子21,22を覆っており、しかも、ゲイン測定用素子31の一部(例えば、約1/2)の上方に配設され、ゲイン測定用素子31の一部(例えば、約1/2)を覆っている。
【0065】
図12に示す例では、4つの温度検出素子21,22から構成された温度検出素子ユニット20A,20Bと4つの温度検出素子21,22から構成された温度検出素子ユニット20A,20Bとの間にゲイン測定用素子31が配設されている。具体的には、赤外線吸収層41,42は、温度検出素子21,22の上方に配設され、これらの温度検出素子21,22を覆っており、しかも、ゲイン測定用素子31の一部(例えば、約1/2)の上方に配設され、ゲイン測定用素子31の一部(例えば、約1/2)を覆っている。
【0066】
以上に説明した点を除き、実施例4の撮像装置は、実施例3において説明した撮像装置の構成、構造と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
【実施例5】
【0067】
実施例5は、本開示の第2の態様に係る撮像装置に関する。実施例5の撮像装置における温度検出素子の配置状態を図13及び図14に模式的に示す。
【0068】
図13及び図14に示す実施例5の撮像装置及びその変形例-1の撮像装置は、
第1の方向、及び、第1の方向とは異なる第2の方向に沿って配列された複数の温度検出素子ユニットを備えており、
各温度検出素子ユニットは、第1の方向及び第2の方向のいずれかの方向に沿って(具体的には、図示した例では、第1の方向に沿って)隣接する温度検出素子23及びゲイン測定用素子33から構成されており、
温度検出素子23及びゲイン測定用素子33に対して赤外線入射方向に沿って離間して、赤外線吸収層43が配設されており、
赤外線吸収層43は、温度検出素子23と熱的に接続されており、且つ、ゲイン測定用素子33と熱的に接続されていない。
【0069】
赤外線吸収層43は、接続部43’において温度検出素子23と熱的に接続されている。図13に示す例にあっては、第2の方向に沿って温度検出素子23と温度検出素子23とが隣接しており、第2の方向に沿ってゲイン測定用素子33とゲイン測定用素子33とが隣接している。一方、図14に示す例にあっては、第2の方向に沿って温度検出素子23とゲイン測定用素子33とが隣接しており、第2の方向に沿ってゲイン測定用素子33と温度検出素子23とが隣接している。
【0070】
実施例5の撮像装置において、各温度検出素子ユニットは、第1の方向及び第2の方向のいずれかの方向に沿って隣接する温度検出素子及びゲイン測定用素子から構成されており、温度検出素子及びゲイン測定用素子に対して離間して赤外線吸収層が配設されており、赤外線吸収層は、温度検出素子と熱的に接続されており、且つ、ゲイン測定用素子と熱的に接続されていないので、ゲイン測定用素子によって得られた信号値に基づき温度検出素子によって得られた信号値の補正を行うことができる結果、温度検出素子における読み出し信号のバラツキを抑えることができ、温度検出素子の微細化が可能となる。
【0071】
図15に示す実施例5の変形例(変形例-2)の撮像装置にあっては、温度検出素子24a及び赤外線吸収層44aの平面形状が、図13及び図14に示した実施例5の撮像装置における温度検出素子23及び赤外線吸収層43の平面形状と異なっている。赤外線吸収層44aは、接続部44a’において温度検出素子24aと熱的に接続されているが、ゲイン測定用素子34aと熱的に接続されていない。
【0072】
図16に示す実施例5の変形例(変形例-3)の撮像装置において、
赤外線吸収層は、第1赤外線吸収層44b1及び第2赤外線吸収層44b2から構成されており、
第1赤外線吸収層44b1の正射影像は、温度検出素子24bと重なっており、更には、ゲイン測定用素子34bの一部と重なっており、
第2赤外線吸収層44b2の正射影像は、ゲイン測定用素子34bの一部と重なっており、温度検出素子24bとは重なっておらず、
第1赤外線吸収層44b1は、接続部44b1’において温度検出素子24bと熱的に接続されており、ゲイン測定用素子34bと熱的に接続されておらず、
第2赤外線吸収層44b2は、温度検出素子24bと熱的に接続されておらず、ゲイン測定用素子34bとも熱的に接続されていない。第2赤外線吸収層44b2は、2箇所に設けられた支持部44b2’によって隔壁63に支持されている。第1赤外線吸収層44b1の平面形状は、第2赤外線吸収層44b2の平面形状よりも大きい。
【0073】
温度検出素子23,24の構成、構造に関しては、温度検出素子15として、実施例10において詳しく説明するが、実施例5の撮像装置の変形例(変形例-2、変形例-3)における温度検出素子の構成を模式的に図17に示す。
【0074】
図18図19に示す実施例5の変形例(変形例-4、変形例-5)の撮像装置において、
赤外線吸収層は、第1赤外線吸収層45a及び第2赤外線吸収層45bから構成されており、
第1赤外線吸収層45aの正射影像は、温度検出素子25a及びゲイン測定用素子35aと重なっており、
第2赤外線吸収層45bの正射影像は、温度検出素子25a及びゲイン測定用素子35aと重なっており、
第1赤外線吸収層45aは、接続部45a’において温度検出素子25aと熱的に接続されており、ゲイン測定用素子35aと熱的に接続されておらず、
第2赤外線吸収層45bは、接続部45b’において温度検出素子25aと熱的に接続されており、ゲイン測定用素子35aと熱的に接続されていない。そして、
温度検出素子25a及びゲイン測定用素子35aは、第2の方向に沿って隣接しており、
温度検出素子ユニットは、更に、温度検出素子-A(25c)及び温度検出素子-B(25d)を備えており、
温度検出素子25a及び温度検出素子-A(25c)は、第1の方向に沿って配設されており、
ゲイン測定用素子35a及び温度検出素子-B(25d)は、第1の方向に沿って配設されており、
赤外線吸収層-A(45c)及び赤外線吸収層-B(45d)は、温度検出素子-A(25c)及び温度検出素子-B(25d)に対して赤外線入射方向に沿って離間して配設されており、
赤外線吸収層-A(45c)は、第2の方向に沿って、赤外線吸収層-B(45d)と離間して配設されており、
赤外線吸収層-A(45c)は、接続部45c’において温度検出素子-A(25c)と熱的に接続されており、
赤外線吸収層-Bは、接続部45d’において温度検出素子-B(25d)と熱的に接続されている。
【0075】
尚、実施例5の撮像装置の変形例(変形例-5)において、温度検出素子ユニット及び赤外線吸収層ユニットの配置を模式的に図20に示す。
【0076】
このように、第2赤外線吸収層45bは、接続部45b’において温度検出素子25aと熱的に接続されており、ゲイン測定用素子35aと熱的に接続されていないので、温度検出素子25aは、他の温度検出素子[温度検出素子-A(25c)、温度検出素子-B(25d)]よりも、例えば、赤外線に対して2倍の感度を有する。
【0077】
図21に示す実施例5の変形例(変形例-6)の撮像装置において、
赤外線吸収層は、第1赤外線吸収層46a及び第2赤外線吸収層46bから構成されており、
第1赤外線吸収層46aの正射影像は、温度検出素子26a及びゲイン測定用素子36aと重なっており、
第2赤外線吸収層46bの正射影像は、温度検出素子26a及びゲイン測定用素子36aと重なっており、
第1赤外線吸収層46aは、温度検出素子26aと熱的に接続されており、ゲイン測定用素子36aと熱的に接続されておらず、
第2赤外線吸収層46bは、温度検出素子26aと熱的に接続されておらず、且つ、ゲイン測定用素子36aと熱的に接続されていない。第2赤外線吸収層46bは、2箇所に設けられた支持部46b’によって隔壁63に支持されている。そして、この場合、
温度検出素子26a及びゲイン測定用素子36aは、第2の方向に沿って隣接しており、
温度検出素子ユニットは、更に、温度検出素子-A(26c)及び温度検出素子-B(26d)を備えており、
温度検出素子26a及び温度検出素子-A(26c)は、第1の方向に沿って配設されており、
ゲイン測定用素子31及び温度検出素子-B(26d)は、第1の方向に沿って配設されており、
赤外線吸収層-A(46c)及び赤外線吸収層-B(46d)は、温度検出素子-A(26c)及び温度検出素子-B(26d)に対して赤外線入射方向に沿って離間して配設されており、
赤外線吸収層-A(46c)は、第2の方向に沿って、赤外線吸収層-B(46d)と離間して配設されており、
赤外線吸収層-A(46c)は、接続部46c’において温度検出素子-A(26c)と熱的に接続されており、
赤外線吸収層-B(46d)は、接続部46d’において温度検出素子-B(26d)と熱的に接続されている。
【0078】
以上に説明した点を除き、実施例5の撮像装置は、実施例4において説明した撮像装置の構成、構造と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
【実施例6】
【0079】
実施例6は、本開示の第3の態様に係る撮像装置に関する。実施例6の撮像装置における温度検出素子の配置状態を図22に模式的に示す。
【0080】
実施例6の撮像装置は、
2以上(実施例6においては、具体的には、2つ)の温度検出素子27a,27bから構成された温度検出素子ユニットが、複数、配列されて成り、
各温度検出素子27a,27bに対して赤外線入射方向に沿って離間して配設され、且つ、温度検出素子27a,27bと熱的に接続された赤外線吸収層47a,47bを備えており、
温度検出素子ユニットにおいて、赤外線吸収層47a,47bの正射影像の大きさは温度検出素子毎に異なっている。図示した例では、赤外線吸収層47aの正射影像の大きさは、赤外線吸収層47bの正射影像の大きさよりも大きい。
【0081】
以上に説明した点を除き、実施例6の撮像装置における温度検出素子、赤外線吸収層の構成、構造は、実施例5の変形例-2や変形例-3において説明した撮像装置における温度検出素子、赤外線吸収層の構成、構造と、実質的に同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
【0082】
実施例6の撮像装置にあっては、温度検出素子ユニットにおいて赤外線吸収層の正射影像の大きさが温度検出素子毎に異なっているので、温度検出素子における読み出し信号のバラツキを抑えることができ、温度検出素子の微細化が可能となる。
【0083】
実施例6の撮像装置の変形例における温度検出素子の配置状態を図23に模式的に示すが、赤外線吸収層の平面形状を、図22に示したと異ならせてもよい。
【実施例7】
【0084】
実施例7は、本開示の第4の態様に係る撮像装置に関する。実施例7の撮像装置における温度検出素子の配置状態を模式的に図24に示す。
【0085】
実施例7の撮像装置は、
第1の方向、及び、第1の方向とは異なる第2の方向に沿って配列された複数の温度検出素子ユニット、及び、
第1の方向及び第2の方向に沿って配列された複数の赤外線吸収層ユニット、
を備えており、
各温度検出素子ユニットは、第1温度検出素子ユニット、及び、第1温度検出素子ユニットと第1の方向に沿って並置された第2温度検出素子ユニットから構成されており、
第1温度検出素子ユニット及び第2温度検出素子ユニットのそれぞれは、第1の方向及び第2の方向に沿って配列された複数の温度検出素子(121,122,123,124、及び、125,126,127,128)を備えており、
各赤外線吸収層ユニットは、第1温度検出素子ユニットに対して赤外線入射方向に沿って離間して配設された第1赤外線吸収層ユニット、及び、第2温度検出素子ユニットに対して赤外線入射方向に沿って離間して配設された第2赤外線吸収層ユニットから構成されており、
第1赤外線吸収層ユニットは、第2の方向に沿って延び、第1の方向に沿って並置された複数の赤外線吸収層(141,142,143,144)から構成されており、
第1温度検出素子ユニットを構成する一の温度検出素子は、第1赤外線吸収層ユニットを構成する一の赤外線吸収層と熱的に接続されており、
第2赤外線吸収層ユニットは、第1の方向に沿って延び、第2の方向に沿って並置された複数の赤外線吸収層(145,146,147,148)から構成されており、
第2温度検出素子ユニットを構成する一の温度検出素子は、第2赤外線吸収層ユニットを構成する一の赤外線吸収層と熱的に接続されている。
【0086】
そして、第1温度検出素子ユニット及び第2温度検出素子ユニットは、第1の方向及び第2の方向に沿って、市松状に配置されている。
【0087】
ここで、具体的には、
第1温度検出素子ユニットは、第1の方向に沿って配置された第1温度検出素子121及び第2温度検出素子122、並びに、第2の方向に沿って、第1温度検出素子121に隣接して配置された第3温度検出素子123、及び、第2温度検出素子122に隣接して配置された第4温度検出素子124から構成されており、
第2温度検出素子ユニットは、第1の方向に沿って配置された第5温度検出素子125及び第6温度検出素子126、並びに、第2の方向に沿って、第5温度検出素子125に隣接して配置された第7温度検出素子127、及び、第6温度検出素子126に隣接して配置された第8温度検出素子128から構成されている。
【0088】
そして、
第1温度検出素子121は、第1Aの領域1211、及び、第2の方向に沿って第1Aの領域1211と接する第1Bの領域1212を有しており、
第2温度検出素子122は、第2Aの領域1221、及び、第2の方向に沿って第2Aの領域1221と接する第2Bの領域1222を有しており、
第3温度検出素子123は、第3Aの領域1231、及び、第2の方向に沿って第3Aの領域1231と接する第3Bの領域1232を有しており、
第4温度検出素子124は、第4Aの領域1241、及び、第2の方向に沿って第4Aの領域1241と接する第4Bの領域1242を有しており、
第5温度検出素子125は、第5Aの領域1251、及び、第1の方向に沿って第5Aの領域1251と接する第5Bの領域1252を有しており、
第6温度検出素子126は、第6Aの領域1261、及び、第1の方向に沿って第6Aの領域1261と接する第6Bの領域1262を有しており、
第7温度検出素子127は、第7Aの領域1271、及び、第1の方向に沿って第7Aの領域1271と接する第7Bの領域1272を有しており、
第8温度検出素子128は、第8Aの領域1281、及び、第1の方向に沿って第8Aの領域1281と接する第8Bの領域1282を有しており、
第1赤外線吸収層ユニットは、第1赤外線吸収層141、第2赤外線吸収層142、第3赤外線吸収層143及び第4赤外線吸収層144から構成されており、
第2赤外線吸収層ユニットは、第5赤外線吸収層145、第6赤外線吸収層146、第7赤外線吸収層147及び第8赤外線吸収層148から構成されており、
第1赤外線吸収層141は、第1Aの領域1211及び第2Aの領域1221に対して赤外線入射方向に沿って離間して配設されており、第1温度検出素子121と熱的に接続されており、
第2赤外線吸収層142は、第1Bの領域1212及び第2Bの領域1222に対して赤外線入射方向に沿って離間して配設されており、第2温度検出素子122と熱的に接続されており、
第3赤外線吸収層143は、第3Aの領域1231及び第4Aの領域1241に対して赤外線入射方向に沿って離間して配設されており、第3温度検出素子123と熱的に接続されており、
第4赤外線吸収層144は、第3Bの領域1232及び第4Bの領域1242に対して赤外線入射方向に沿って離間して配設されており、第4温度検出素子124と熱的に接続されており、
第5赤外線吸収層は、第5Aの領域1251及び第6Aの領域1261に対して赤外線入射方向に沿って離間して配設されており、第5温度検出素子125と熱的に接続されており、
第6赤外線吸収層は、第5Bの領域1252及び第6Bの領域1262に対して赤外線入射方向に沿って離間して配設されており、第6温度検出素子126と熱的に接続されており、
第7赤外線吸収層は、第7Aの領域1271及び第8Aの領域1281に対して赤外線入射方向に沿って離間して配設されており、第7温度検出素子127と熱的に接続されており、
第8赤外線吸収層は、第7Bの領域1272及び第8Bの領域1282に対して赤外線入射方向に沿って離間して配設されており、第8温度検出素子128と熱的に接続されている。
【0089】
以上に説明した点を除き、実施例7の撮像装置における温度検出素子、赤外線吸収層の構成、構造は、実施例1において説明した撮像装置における温度検出素子、赤外線吸収層の構成、構造、あるいは又、実施例5の変形例-2や変形例-3において説明した撮像装置における温度検出素子、赤外線吸収層の構成、構造と、実質的に同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
【0090】
実施例7の撮像装置において、第1赤外線吸収層ユニットは、第2の方向に沿って延び、第1の方向に沿って並置された複数の赤外線吸収層から構成されており、第2赤外線吸収層ユニットは、第1の方向に沿って延び、第2の方向に沿って並置された複数の赤外線吸収層から構成されているので、第1温度検出素子ユニットと赤外線吸収層ユニットとの組み合わせによって、恰も、ワイヤグリッド型偏光子(Wire Grid Polarizer,WGP)と同様の機能を果たす結果、赤外線の偏光状態に依存して第1温度検出素子ユニットと第2温度検出素子ユニットで得られる信号に差異が生じ、赤外線の偏光状態を求めることができる。
【実施例8】
【0091】
実施例8は、本開示の第5の態様に係る撮像装置に関する。実施例8の撮像装置における温度検出素子の配置状態を模式的に図25に示す。
【0092】
実施例8の撮像装置は、
温度検出素子221が、第1の方向、及び、第1の方向とは異なる第2の方向に沿って、複数、配列されて成る温度検出素子アレイを備えており、
各温度検出素子221に対して赤外線入射方向に沿って離間して配設され、且つ、温度検出素子221と熱的に接続された赤外線吸収層241を備えており、
温度検出素子221の中心の正射影像から赤外線吸収層241の中心の正射影像までの距離は、温度検出素子アレイの中心部に位置する温度検出素子221よりも、温度検出素子アレイの周辺部に位置する温度検出素子221の方が長い。
【0093】
即ち、温度検出素子アレイの中心部に位置する温度検出素子221における温度検出素子221の中心の正射影像から赤外線吸収層241の中心の正射影像までの距離をDC、温度検出素子アレイの周辺部に位置する温度検出素子221における温度検出素子221の中心の正射影像から赤外線吸収層241の中心の正射影像までの距離をDSとしたとき、DS>DCの関係にある。温度検出素子221に対して、赤外線吸収層241は、温度検出素子アレイの中心部に向かってずれている。図25において、温度検出素子221の中心の正射影像を黒四角で示す。また、温度検出素子221を実線の四角で示し、赤外線吸収層241を破線の四角で示す。
【0094】
温度検出素子アレイの中心部から同心円状の領域(環状の領域)を設定し、1つの領域内においては、温度検出素子221における温度検出素子221の中心の正射影像から赤外線吸収層241の中心の正射影像までの距離を同じとし、温度検出素子アレイの周辺部側に位置する領域ほど、温度検出素子221における温度検出素子221の中心の正射影像から赤外線吸収層241の中心の正射影像までの距離を長くする形態とすることができる。図25において、上段に示す図は、温度検出素子アレイの周辺部における3×3個の温度検出素子221及び赤外線吸収層241を示し、中段に示す図は、温度検出素子アレイの中心部と周辺部との間における3×3個の温度検出素子221及び赤外線吸収層241を示し、下段に示す図は、温度検出素子アレイの中心部における3×3個の温度検出素子221及び赤外線吸収層241を示す。また、温度検出素子アレイの中心部に位置する温度検出素子221における温度検出素子221の中心の正射影像と、温度検出素子アレイの周辺部に位置する温度検出素子221における温度検出素子221の中心の正射影像とを結ぶ直線上に、あるいは又、概ね直線上に、赤外線吸収層241の中心の正射影像が位置することが好ましい。
【0095】
以上に説明した点を除き、実施例8の撮像装置における温度検出素子、赤外線吸収層の構成、構造は、実施例1において説明した撮像装置における温度検出素子、赤外線吸収層の構成、構造、あるいは又、実施例5の変形例-2や変形例-3において説明した撮像装置における温度検出素子、赤外線吸収層の構成、構造と、実質的に同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
【0096】
実施例8の撮像装置において、温度検出素子の中心の正射影像から赤外線吸収層の中心の正射影像までの距離は、温度検出素子アレイの中心部に位置する温度検出素子よりも温度検出素子アレイの周辺部に位置する温度検出素子の方が長いし、あるいは又、後述する実施例9の撮像装置において、赤外線吸収層の大きさは、温度検出素子アレイの中心部に位置する温度検出素子よりも温度検出素子アレイの周辺部に位置する温度検出素子の方が大きい。従って、温度検出素子の配置位置に依存した温度検出のバラツキが小さい撮像装置を提供することができる。
【実施例9】
【0097】
実施例9は、本開示の第6の態様に係る撮像装置に関する。実施例9の撮像装置における温度検出素子の配置状態を模式的に図26に示す。
【0098】
実施例9の撮像装置は、
温度検出素子321が、第1の方向、及び、第1の方向とは異なる第2の方向に沿って、複数、配列されて成る温度検出素子アレイを備えており、
各温度検出素子321に対して赤外線入射方向に沿って離間して配設され、且つ、温度検出素子321と熱的に接続された赤外線吸収層341を備えており、
赤外線吸収層341の大きさは、温度検出素子アレイの中心部に位置する温度検出素子321よりも、温度検出素子アレイの周辺部に位置する温度検出素子321の方が大きい。
【0099】
温度検出素子アレイの中心部から同心円状の領域(環状の領域)を設定し、1つの領域内においては、赤外線吸収層341の大きさを同じとし、温度検出素子アレイの周辺部側に位置する領域ほど、赤外線吸収層341の大きさを大きくする形態とすることができる。図26において、温度検出素子321の中心の正射影像を黒四角で示す。また、温度検出素子321を実線の四角で示し、赤外線吸収層341を破線の四角で示す。更には、図26において、上段に示す図は、温度検出素子アレイの周辺部における3×3個の温度検出素子321及び赤外線吸収層341を示し、中段に示す図は、温度検出素子アレイの中心部と周辺部との間における3×3個の温度検出素子321及び赤外線吸収層341を示し、下段に示す図は、温度検出素子アレイの中心部における3×3個の温度検出素子321及び赤外線吸収層341を示す。
【0100】
以上に説明した点を除き、実施例9の撮像装置における温度検出素子、赤外線吸収層の構成、構造は、実施例1において説明した撮像装置における温度検出素子、赤外線吸収層の構成、構造、あるいは又、実施例5の変形例-2や変形例-3において説明した撮像装置における温度検出素子、赤外線吸収層の構成、構造と、実質的に同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。また、実施例8と実施例9とを組み合わせることができる。
【実施例10】
【0101】
実施例10においては、温度検出素子及び赤外線吸収層についての説明を行う。実施例10における温度検出素子及び赤外線吸収層の模式的な一部端面図を図27に示す。図27は、第1の方向に沿った模式的な一部端面図であるが、pn接合ダイオード67及び配線68だけは、第2の方向に沿った模式的な一部端面図として示している。また、実施例1~実施例9の撮像装置における第1構造体及び第2構造体の模式的な分解斜視図を図28に示し、実施例1~実施例9の撮像装置の等価回路図を図29に示す。実施例10において説明する撮像装置は、具体的には、後述するように、フェース・ツー・バック構造の撮像装置である。
【0102】
以下においては、先ず、実施例10における撮像装置の概要を説明し、次いで、実施例10における撮像装置の詳細を説明する。
【0103】
実施例10における撮像装置において、温度検出素子と温度検出素子との間に位置する第1基板の部分には、隔壁が形成されており;隔壁の底部は、被覆層と接合されている構成とすることができる。尚、このような構成の撮像装置を、便宜上、『フェース・ツー・バック構造の撮像装置』と呼ぶ。第2基板と対向する第1基板の面を『第1基板の第1面』と呼び、第1基板の第1面と対向する第1基板の面を『第1基板の第2面』と呼ぶ場合、温度検出素子は、第1基板の第2面側に設けられている。第2基板に設けられた被覆層と第1基板との接合、具体的には、隔壁の底部と被覆層との接合は、例えば、脱水縮合によるシリコン-酸素共有結合の形成といった方法に基づき行うことができる。
【0104】
そして、フェース・ツー・バック構造の撮像装置において、空所に露出した被覆層の露出面は、絶縁材料層、金属材料層、合金材料層及び炭素材料層から成る群から選択された少なくとも1種類の材料層から構成されており;隔壁の側壁は、絶縁材料層、金属材料層、合金材料層及び炭素材料層から成る群から選択された少なくとも1種類の材料層から構成されている構成とすることができる。隔壁の側壁によって囲まれた隔壁内部は第1基板の一部から構成されている。場合によっては、隔壁内部は、隔壁の側壁を構成する材料と同じ材料から構成されていてもよいし、第1基板や隔壁の側壁を構成する材料とは異なる材料から構成されていてもよい。
【0105】
あるいは又、フェース・ツー・バック構造の撮像装置において、空所に露出した被覆層の露出面は、絶縁材料層、金属材料層、合金材料層及び炭素材料層から成る群から選択された少なくとも1種類の材料層から構成されている構成とすることができる。そして、このような構成を含むフェース・ツー・バック構造の撮像装置において、隔壁の側壁は、絶縁材料層、金属材料層、合金材料層及び炭素材料層から成る群から選択された少なくとも1種類の材料層から構成されている構成とすることができる。
【0106】
空所に露出した被覆層の露出面を構成する絶縁材料層として、酸化物から成る絶縁材料層(具体的には、例えば、SiOX(1≦X≦2)、SiOF、SiOC)、窒化物から成る絶縁材料層(具体的には、例えば、SiN)、酸窒化物から成る絶縁材料層(具体的には、例えば、SiON)、接着材料層を挙げることができるし、空所に露出した被覆層の露出面を構成する金属材料層として、金(Au)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、チタン(Ti)を挙げることができるし、空所に露出した被覆層の露出面を構成する合金材料層として、これらの金属を含む合金層や半田層を挙げることができるし、空所に露出した被覆層の露出面を構成する炭素材料層として、カーボンフィルムやカーボンナノチューブを挙げることができる。
【0107】
また、隔壁の側壁を構成する絶縁材料層、金属材料層、合金材料層、炭素材料層として、上述した各種材料を挙げることができる。
【0108】
(空所に露出した被覆層の露出面を構成する絶縁材料層の材料,隔壁の側壁を構成する絶縁材料層の材料)の組み合わせとして、(絶縁材料層,絶縁材料層)、(絶縁材料層,金属材料層)、(絶縁材料層,合金材料層)、(絶縁材料層,炭素材料層)、(金属材料層,絶縁材料層)、(金属材料層,金属材料層)、(金属材料層,合金材料層)、(金属材料層,炭素材料層)、(合金材料層,絶縁材料層)、(合金材料層,金属材料層)、(合金材料層,合金材料層)、(合金材料層,炭素材料層)、(炭素材料層,絶縁材料層)、(炭素材料層,金属材料層)、(炭素材料層,合金材料層)、(炭素材料層,炭素材料層)の16通りの組み合わせを挙げることができる。
【0109】
空所に露出した被覆層の露出面を構成する絶縁材料層と、隔壁の側壁を構成する絶縁材料層とは、同じ材料から構成されていてもよいし、異なる材料から構成されていてもよい。空所に露出した被覆層の露出面を構成する金属材料層と、隔壁の側壁を構成する金属材料層とは、同じ材料から構成されていてもよいし、異なる材料から構成されていてもよい。空所に露出した被覆層の露出面を構成する合金材料層と、隔壁の側壁を構成する合金材料層とは、同じ材料から構成されていてもよいし、異なる材料から構成されていてもよい。空所に露出した被覆層の露出面を構成する炭素材料層と、隔壁の側壁を構成する炭素材料層とは、同じ材料から構成されていてもよいし、異なる材料から構成されていてもよい。
【0110】
更には、被覆層に熱伝導層が形成されている形態とすることができる。熱伝導層は、高い熱伝導性を有していてもよいし、逆に、低い熱伝導性を有していてもよい。高い熱伝導性を有する熱伝導層を構成する材料として、金属材料、カーボンフィルムやカーボンナノチューブといったカーボン系材料を挙げることができるし、低い熱伝導性を有する熱伝導層を構成する材料として、有機系材料を挙げることができる。熱伝導層は、限定するものではないが、温度検出素子アレイ領域の全面に形成することが好ましい。また、熱伝導層は、限定するものではないが、被覆層の内部であって、赤外線反射層の下方に配設することが望ましい。場合によっては、熱伝導層は赤外線反射層を兼ねていてもよい。
【0111】
更には、被覆層には温度制御層が形成されており、温度検知手段を更に有する構成とすることができ、これによって、温度検出素子の温度や温度分布を高い精度で制御することができる。ここで、温度制御層はヒータ(抵抗体、抵抗部材)として機能する構成とすることができ、例えば、温度制御層は配線を兼ねている構成とすることができる。具体的には、温度検知手段として、温度に依存した電気抵抗値の変化を測定することで温度を検出するシリコンダイオードやトランジスタ、ポリシリコン薄膜を例示することができるし、配線を兼ねる温度制御層を構成する材料として、タングステン膜等の金属系材料膜、ポリシリコン膜、チタン膜を例示することができるし、温度制御層を構成する材料として、ペリチェ効果を用いた積層膜、カーボン膜を例示することができる。場合によっては、温度制御層を第2基板に設けてもよい。更には、これらの場合、温度検知手段の温度検知結果に基づき、駆動回路は温度制御層を制御する(具体的には、例えば、温度制御層に流す電流を制御し、以て、温度制御層の発熱量を制御する)構成とすることができる。そして、これらの構成において、
第1構造体は、温度検出素子を備えた温度検出素子アレイ領域、及び、温度検出素子アレイ領域を取り囲む周辺領域を備えており、
温度制御層は温度検出素子アレイ領域に形成されている構成とすることができるし、あるいは又、
温度制御層は、温度検出素子アレイ領域の正射影像が存在する被覆層の領域に形成されている構成とすることができるし、あるいは又、
駆動回路は、アナログ-デジタル変換回路(ADC)を備えており、
温度検出素子アレイ領域の正射影像が存在する駆動基板の領域には、アナログ-デジタル変換回路が配設されていない構成とすることができる。アナログ-デジタル変換回路は発熱量が多いので、このような構成を採用することで、より一層温度の均一化を図ることができる。尚、このような温度制御層の配設は、温度検出素子ではなく周知の受光素子(可視光を受光する受光素子)が形成された構造に対して適用することもできる。また、場合によっては、温度制御層は赤外線反射層を兼ねていてもよい。
【0112】
実施例10における撮像装置10は、具体的には、
第1構造体60及び第2構造体70から構成されており、
第1構造体60は、
第1基板61、
第1基板61に設けられ、赤外線に基づき温度を検出する温度検出素子15、並びに、
温度検出素子15に接続された駆動線52及び信号線51、
を備えており、
第2構造体70は、
第2基板71、及び、
第2基板71に設けられ、被覆層(層間絶縁層)73によって被覆された駆動回路、
を備えており、
第1基板61は、被覆層73と接合されており、
温度検出素子15と被覆層73との間には、空所69が設けられており、
駆動線52及び信号線51は、駆動回路と電気的に接続されている。
【0113】
尚、図面において、駆動回路が形成された層を、模式的に参照番号72で示す。ここで、第1構造体60は、図28に示すように、温度検出素子15を備えた温度検出素子アレイ領域11(点線で囲んで示す)、及び、温度検出素子アレイ領域11を取り囲む周辺領域12を有しており、周辺領域12において、駆動線52及び信号線51は、駆動回路と電気的に接続されている。尚、第2構造体70における中央領域を参照番号13で示し、第2構造体70における周辺領域を参照番号14で示す。
【0114】
駆動線52及び信号線51は、周辺領域12,14において、駆動回路と、例えば、スルーシリコンビヤ(TSV)によって電気的に接続されているが、スルーシリコンビヤ(TSV)の図示は省略した。第2構造体70における周辺領域14には、例えば、駆動回路を構成する差動積分回路を含むアナログ・フロント・エンド(AFE)83、サンプルホールド回路84及びアナログ-デジタル変換回路(ADC)85が設けられた領域、並びに、定電流回路82及び垂直走査回路81が配置されている。差動積分回路は増幅器(プリアンプ)としての機能を有する。また、第2構造体70における中央領域13には、例えば、駆動回路を構成する水平走査回路86、CPU(あるいはDSP)、信号処理回路、記憶装置(例えば、メモリや不揮発性メモリ)等が配置されている。尚、CPU(あるいはDSP)、信号処理回路、記憶装置の図示は省略した。第2構造体70に備えられた駆動回路は、周知の駆動回路から構成することができる。
【0115】
このように、実施例10における撮像装置において、第1基板61は第2基板71に形成された被覆層73と接合され、温度検出素子15と被覆層73との間に空所69が設けられているので、温度検出素子15において空所69を高い精度で設けることが可能となり、高い測定精度を有する温度検出素子15を得ることができる。
【0116】
実施例10の撮像装置10において、温度検出素子15と温度検出素子15との間に位置する第1基板61の部分には、隔壁63が形成されており、隔壁63の底部は、被覆層73と接合されている。ここで、隔壁63の底部と被覆層73とは、脱水縮合によるシリコン-酸素共有結合の形成といった方法に基づき接合されている。隔壁63の側壁64は、絶縁材料層、金属材料層、合金材料層及び炭素材料層から成る群から選択された少なくとも1種類の材料層から構成されている。具体的には、実施例10において、隔壁63の側壁64はSiO2層といった絶縁材料層から構成されている。また、隔壁63の側壁64によって囲まれた隔壁63の内部は、第1基板61の一部、具体的には、シリコン層62から構成されている。空所69に露出した被覆層73の露出面は、絶縁材料層、金属材料層、合金材料層及び炭素材料層から成る群から選択された少なくとも1種類の材料層から構成されている。具体的には、実施例10において、空所69に露出した被覆層73の露出面はSiO2層といった絶縁材料層から構成されており、SiO2層の下方には、被覆層73を構成するSiN等から成る層間絶縁層(具体的には図示せず)が形成されている。尚、隔壁63の側壁64を、赤外線を反射する材料から構成すれば、入射した赤外線を効果的に反射することができる。
【0117】
第1基板61は、全て、又は、一部がSOI基板から構成されており、第2構造体70はシリコン半導体基板から成る第2基板71から構成されている。配線68、信号線51、駆動線52及びコンタクトホール53は、例えば、アルミニウム合金から形成されている。
【0118】
赤外線が入射する温度検出素子15の側(第1基板61の第2面61B)には、アルミニウム薄膜から成る赤外線吸収層16が形成されており、空所69の底部に位置する被覆層73の領域には、銅薄膜から成る赤外線反射層74が形成されている。図示した例では、赤外線反射層74は、空所69の底部に位置する被覆層73の部分の一部に形成されている。また、赤外線吸収層16は、温度検出素子15の上方に形成されている。具体的には、絶縁膜66の上には、絶縁膜66と一部が接し、一部が絶縁膜66から隙間を開けた状態(空間が設けられた状態)の赤外線吸収層16が形成されている。赤外線反射層74は、被覆層73の頂面に形成されている。そして、赤外線吸収層16が吸収すべき赤外線の波長をλIRとしたとき、赤外線吸収層16と赤外線反射層74との間の光学的距離L0は、
0.75×λIR/2≦L0≦1.25×λIR/2
又は、
0.75×λIR/4≦L0≦1.25×λIR/4
を満足する。実施例10において、具体的には、
0=λIR/4
を満足する。λIRの値は、8μm乃至14μmであり、実施例10において、具体的には、限定するものではないが、λIR=10μmとした。ウィング状の赤外線吸収層16は、隣接する温度検出素子15の上方に延びている。
【0119】
撮像装置の動作にあっては、垂直走査回路81の制御下、1本の駆動線52を選択する。一方、全ての信号線51に定電流回路82から一定の電流を流す。選択された温度検出素子15にあっては、入射した赤外線に依存して温度が変化し、この温度変化は、温度検出素子15(具体的には、pn接合ダイオード67)の電気抵抗値に変化を生じさせる。その結果、各信号線51に現れる電圧に変化が生じる。各信号線51における電圧は、アナログ・フロント・エンド(AFE)83を構成する差動積分回路の一方の入力部に入力される。一方、差動積分回路の他方の入力部には基準電圧(参照電圧)が入力される。差動積分回路においては、温度検出素子15の出力の増幅が図られる。そして、所定の時間経過後、差動積分回路から電圧の差分の積分値がサンプルホールド回路84に送出され、サンプルホールド回路84においてホールドされたアナログ値はアナログ-デジタル変換回路(ADC)85に出力され、アナログ-デジタル変換回路85において電圧の差分の積分値がデジタル値に変換され、水平走査回路86に送出される。そして、水平走査回路86の作動によって、温度検出素子毎、順次、信号処理回路に出力され、最終的にデジタル出力として出力される。
【0120】
以下、実施例10の撮像装置の製造方法、特に、第1構造体60の製造方法の概要を、SOI基板等の模式的な一部端面図である図33A図33B図33C図33D図34A図34B図34C図35A図35B図36A及び図36Bを参照して説明する。尚、これらの図面は、第2の方向に沿った模式的な一部端面図である。
【0121】
[工程-100]
表面に第1シリコン層91が形成され、第1シリコン層91の下にSiO2層92が形成されたSOI基板90を準備する。SiO2層92の下に位置するSOI基板90を構成するシリコン半導体基板の部分を、便宜上、『第2シリコン層93』と呼ぶ。そして、先ず、隔壁63の側壁64を形成すべきSOI基板90の第2シリコン層93の部分をエッチングして溝部を形成し、側壁64を構成する材料で溝部を埋め込む(図33A参照)。その後、SOI基板90の表面の第1シリコン層91をパターニングすることで、pn接合ダイオード67を形成すべき第1シリコン層91の領域を残す。次いで、周知の方法に基づき、第1シリコン層91にpn接合ダイオード67を形成する(図33B参照)。
【0122】
[工程-110]
その後、周知の方法に基づき、SiO2層92の上、及び、pn接合ダイオード67の一部の上に、配線68、信号線51を形成する(図33C参照)。次に、全面に、SiO2から成る絶縁膜66、コンタクトホール53、駆動線52を形成した後、絶縁膜66をパターニングする(図33D参照)。但し、コンタクトホール53、駆動線52は、図33D以降の図面には図示していない。
【0123】
[工程-120]
その後、第1犠牲層94の形成(図34A参照)、赤外線吸収層16の形成、第2犠牲層95の形成(図34B参照)を行った後、第2犠牲層95に支持基板96を貼り付ける(図34C参照)。
【0124】
[工程-130]
次に、SOI基板90の第2シリコン層93を、CMP法によって薄くする(図35A参照)。第2シリコン層93の厚さによってL0が規定される。それ故、L0の値を正確に規定することが可能である。こうして図35Bに示す構造を得ることができるが、側壁64の内側の部分の第2シリコン層93が隔壁63に相当し、便宜上、この部分のハッチングを第2シリコン層93のハッチングと異ならせた。
【0125】
[工程-140]
駆動回路が設けられた第2構造体70を準備する。尚、被覆層73には、赤外線反射層74を形成しておく。そして、周知の方法で、第2シリコン層93と被覆層73とを接合する(図36A参照)。そして、周辺領域12,14において、駆動線52及び信号線51を、駆動回路と、例えば、図示しないスルーシリコンビヤ(TSV)によって電気的に接続する。
【0126】
[工程-150]
その後、支持基板96を除去し、エッチング法に基づき第2犠牲層95及び第1犠牲層94を除去する(図36B参照)。更には、pn接合ダイオード67の下方に位置する第2シリコン層93を、エッチング法に基づき除去する。こうして、図1Aに示した撮像装置10を得ることができる。SiO2層92によって、ダイヤフラム部65A、絶縁材料層65B、第1スタッド部65C、第2スタッド部65Dが構成される。尚、pn接合ダイオード67の下方に位置する第2シリコン層93が、全てが除去されていなくともよい。
【0127】
その後、得られた撮像装置10を真空雰囲気下でパッケージする。これによって、温度検出素子15が配置される空間は、減圧され、あるいは又、真空とされる。空所69も、減圧され、あるいは又、真空とされる。
【0128】
実施例10の撮像装置において、第1基板は第2基板に形成された被覆層と接合されており、温度検出素子の下方に位置するシリコン層は、シリコン層よりもエッチングされ難い被覆層及び隔壁の側壁によって囲まれている。従って、温度検出素子と被覆層との間に、確実に、しかも、高い精度で空所を設けることができる。その結果、例えば、赤外線吸収層に、所望の波長を有する赤外線を、確実に、高い効率で吸収させることができ、温度検出素子における検出感度の向上を図ることができる。また。任意の公知の駆動回路、信号処理回路を備えた第2構造体を組み合わせることが可能となるため、撮像装置の製造コストの低減、設計自由度の向上、設計時間の短縮化を図ることができるし、入出力ピン数の削減、入出力信号帯域の低減が可能となる。
【0129】
図27に示した実施例10の撮像装置の変形例を、図30に示すが、赤外線反射層74は、被覆層73の内部に形成されている。
【実施例11】
【0130】
実施例11では、実施例1~実施例10において説明した撮像装置を赤外線カメラに適用した例を説明する。図32に概念図を示すように、赤外線カメラは、レンズ401、シャッター402、実施例1~実施例10において説明した撮像装置403、駆動回路404、電源部405、記憶媒体406、ビデオ出力部407、各種インターフェース408から構成されている。駆動回路404には、先に説明した各種の回路の他、例えば、画素間バラツキを補正し、また、欠陥画素の補正を行い、また、各種ノイズ除去を行う信号処理回路が含まれる。このような構成の赤外線カメラの構成要素は、撮像装置403を除き、周知の構成要素とすることができるので、詳細な説明は省略する。
【0131】
以上、本開示の撮像装置を好ましい実施例に基づき説明したが、本開示の撮像装置はこれらの実施例に限定するものではない。実施例において説明した撮像装置や温度検出素子、ゲイン測定用素子の構成、構造は例示であり、適宜、変更することができるし、撮像装置や温度検出素子、ゲイン測定用素子を構成する材料、撮像装置や温度検出素子の製造方法も例示であり、適宜、変更することができる。場合によっては、赤外線反射層の形成を省略し、被覆層の頂面、それ自体を赤外線反射層として機能させてもよい。
【0132】
温度検出素子ユニットを構成する温度検出素子や赤外線吸収層の数は、本質的に任意である。実施例5の更なる変形例を図31に示すように、
第1の方向、及び、第1の方向とは異なる第2の方向に沿って配列された複数の温度検出素子ユニットを備えており、
各温度検出素子ユニットは、第1の方向及び第2の方向のいずれかの方向に沿って(図31に示す例では第2の方向に沿って)隣接する温度検出素子28及びゲイン測定用素子38から構成されており、
温度検出素子28及びゲイン測定用素子38に対して赤外線入射方向に沿って離間して、赤外線吸収層48a,48bが配設されており、
赤外線吸収層48bは、接続部48b’において温度検出素子28と熱的に接続されており、且つ、ゲイン測定用素子38と熱的に接続されていない。赤外線吸収層48aは、接続部48a’において温度検出素子28と熱的に接続されている。また、
各温度検出素子ユニットは、第1の方向及び第2の方向のいずれかの方向に沿って(図31に示す例では第2の方向に沿って)隣接する温度検出素子29及びゲイン測定用素子38から構成されており、
温度検出素子29及びゲイン測定用素子38に対して赤外線入射方向に沿って離間して、赤外線吸収層48c,48bが配設されており、
赤外線吸収層48cは、接続部48c’において温度検出素子29と熱的に接続されており、且つ、ゲイン測定用素子38と熱的に接続されていない。赤外線吸収層48bは、第2の方向に沿って隣接する温度検出素子28と、接続部48b’において熱的に接続されており、且つ、ゲイン測定用素子38と熱的に接続されていない。
【0133】
第1赤外線吸収層及び第2赤外線吸収層の平面形状、あるいは又、赤外線吸収層の平面形状として、正方形や長方形といった矩形を含む四角形(実施例1、実施例3、実施例4、実施例5、実施例7、実施例8、実施例9を参照)、菱形(実施例2、実施例5の変形例を参照)、多角形の組合せ(例えば、八角形と四角形の組合せであり、実施例2の変形例、実施例5の変形例、実施例6を参照)を挙げたが、これらの第1赤外線吸収層及び第2赤外線吸収層あるいは又赤外線吸収層の平面形状はこれらに限定するものではなく、多角形(例えば、六角形)とすることもできる。
【0134】
撮像装置の赤外線入射側に、例えば、レンズ等から成る集光素子を配設してもよい。具体的には、第1基板61の面(第1基板61の第2面61B)側に取り付けられたシリコン半導体基板から成る保護基板の赤外線入射側に、集光素子(レンズ)を設けてもよい。保護基板とは別の部材(例えば、レジスト材料)から集光素子を形成してもよいし、保護基板をエッチング加工することで集光素子を形成することもできる。集光素子は、例えば、周知のオンチップ・マイクロ・レンズの形成方法と同様の方法で形成することができる。シリコン半導体基板から成る保護基板の代わりに、例えば、CaF2、BaF2、Al23、ZnSe等の赤外線を透過する材料から成る保護基板とすることもできる。
【0135】
また、撮像装置の赤外線入射側に遮光部を設け、隣接する温度検出素子への赤外線の入射を抑制してもよい。遮光部は、例えば、保護基板に溝部を形成し、この溝部に金属材料や合金材料を埋め込むことで形成することができる。
【0136】
また、本開示の撮像装置を構成する温度検出素子の1つから温度検出素子を構成することもできるし、本開示の撮像装置を構成する温度検出素子を1次元に配列した撮像装置とすることもできる。即ち、広くは、本開示の撮像装置を構成する温度検出素子を、Q個(但し、Q≧1)、1次元に配列した撮像装置、云い換えれば、1次元に配列されたQ個(但し、Q≧1)の温度検出素子を備えている本開示の撮像装置とすることもできる。
【0137】
温度検出素子アレイの中心部に位置する温度検出素子に対応する赤外線吸収層は水平に配置され、温度検出素子アレイの周辺部に位置する温度検出素子に対応する赤外線吸収層は温度検出素子アレイの中心部に向かって傾斜している形態とすることもでき、これによっても、温度検出素子の配置位置に依存した温度検出のバラツキが小さい撮像装置を提供することができる。このような形態と、実施例8あるいは実施例9とを組み合わせることもできる。
【0138】
信号処理回路には、ノイズを予め測定することによる固定パターンノイズ補正処理、ノイズモデルに基づくノイズ低減処理、レンズ結像モデルに基づく解像度補正処理を含めることができる。また、赤外線カメラから得られた画像と、通常の可視光に基づき撮像された画像を合成することも可能である。以下に、各種信号処理の概略を説明するが、信号処理はこれらに限定されるものではない。
【0139】
固定パターンノイズ補正処理として、例えば、前回の撮像フレームにおいて得られた固定パターンノイズデータと今回の撮像フレームにおいて得られた固定パターンノイズデータとの差に応じた差分データを生成し、差分データと前回の撮像フレームにおいて得られた固定パターンノイズデータとを加算して新たな固定パターンノイズデータとするといった処理を挙げることができる。
【0140】
また、無限インパルス応答(IIR,Infinite Impulse Response)型フィルターを用いたノイズ低減処理として、例えば、
IIRフィルタ処理により、補正対象画素の近傍の参照画素の信号値の平均値を算出する第1工程と、
IIRフィルタ処理により、補正対象画素の近傍の参照画素の信号値の分散値を算出する第2工程と、
参照画素の平均値と分散値を入力し、平均値と分散値を適用したエッジ保存平滑化処理を実行する第3工程と、
第1工程と第2工程において適用するIIRフィルタ係数を、画像を構成する画素の信号値に応じて更新する第4工程、
から構成されたノイズ低減処理を挙げることができる。
【0141】
また、解像度補正処理として、複数の像高にそれぞれ設定されているぼけ補正を行うフィルタを取得し、取得されたフィルタを用いて、補正対象とされた像高における画素の画素値を補正する方法を挙げることができる。ここで、補正は、補正対象とされた像高に隣接する像高に設定されているフィルタを、補正対象とされた画素の画素値に適用し、補正対象とされた像高と隣接する像高との位置関係から係数を算出し、フィルタ適用後の画素値と係数を用いて補正後の画素値を算出する処理とすることができる。あるいは又、補正は、補正対象とされた像高と隣接する像高との位置関係から係数を算出し、補正対象とされた像高に隣接する像高に設定されているフィルタと係数を用いて、補正対象とされた画素の画素値に適用するフィルタを生成し、生成されたフィルタと補正対象とされた画素の画素値を用いて補正後の画素値を算出する処理とすることができる。更には、フィルタの係数は、第1の像高上の複数の像点からPSF(Point Spread Function)データを算出し、PSFデータを平均化し、平均化されたPSFデータを所定の関数で近似し、近似されたPSFデータから算出された係数とすることができ、フィルタの係数の算出はウィナーフィルタを用いることができる。
【0142】
尚、本開示は、以下のような構成を取ることもできる。
[A01]《撮像装置:第1の態様》
第1の方向、及び、第1の方向とは異なる第2の方向に沿って配列された複数の温度検出素子ユニット、及び、
第1の方向及び第2の方向に沿って配列された複数の赤外線吸収層ユニット、
を備えており、
各温度検出素子ユニットは、第1の方向に沿って隣接する第1温度検出素子及び第2温度検出素子から構成されており、
各赤外線吸収層ユニットは、第2の方向に沿って隣接する第1赤外線吸収層及び第2赤外線吸収層から構成されており、
第1温度検出素子は、第1Aの領域、及び、第2の方向に沿って第1Aの領域と接する第1Bの領域を有しており、
第2温度検出素子は、第2Aの領域、及び、第2の方向に沿って第2Aの領域と接する第2Bの領域を有しており、
第1赤外線吸収層は、第1Aの領域及び第2Aの領域に対して赤外線入射方向に沿って離間して配設され、且つ、第1温度検出素子と熱的に接続されており、
第2赤外線吸収層は、第1Bの領域及び第2Bの領域に対して赤外線入射方向に沿って離間して配設され、且つ、第2温度検出素子と熱的に接続されている撮像装置。
[A02]第1赤外線吸収層の正射影像は、少なくとも第1Aの領域の一部及び第2Aの領域の一部と重なっており、
第2赤外線吸収層の正射影像は、少なくとも第1Bの領域の一部及び第2Bの領域の一部と重なっている[A01]に記載の撮像装置。
[A03]第1赤外線吸収層の正射影像は、第1Aの領域及び第2Aの領域と重なっており、
第2赤外線吸収層の正射影像は、第1Bの領域及び第2Bの領域と重なっている[A02]に記載の撮像装置。
[A04]第1赤外線吸収層及び第2赤外線吸収層は、実質的に隙間無く、第1温度検出素子及び第2温度検出素子を覆っている[A01]乃至[A03]のいずれか1項に記載の撮像装置。
[A05]温度検出素子ユニットの間に、ゲイン測定用素子が配設されている[A01]乃至[A03]のいずれか1項に記載の撮像装置。
[A06]第1赤外線吸収層及び第2赤外線吸収層は、実質的に隙間無く第1温度検出素子及び第2温度検出素子を覆っており、ゲイン測定用素子を覆っていない[A05]に記載の撮像装置。
[A07]第1赤外線吸収層及び第2赤外線吸収層は、実質的に隙間無く第1温度検出素子、第2温度検出素子及びゲイン測定用素子を覆っている[A05]に記載の撮像装置。
[B01]《撮像装置:第2の態様》
第1の方向、及び、第1の方向とは異なる第2の方向に沿って配列された複数の温度検出素子ユニットを備えており、
各温度検出素子ユニットは、第1の方向及び第2の方向のいずれかの方向に沿って隣接する温度検出素子及びゲイン測定用素子から構成されており、
温度検出素子及びゲイン測定用素子に対して赤外線入射方向に沿って離間して、赤外線吸収層が配設されており、
赤外線吸収層は、温度検出素子と熱的に接続されており、且つ、ゲイン測定用素子と熱的に接続されていない撮像装置。
[B02]赤外線吸収層は、第1赤外線吸収層及び第2赤外線吸収層から構成されており、
第1赤外線吸収層の正射影像は、温度検出素子及びゲイン測定用素子と重なっており、
第2赤外線吸収層の正射影像は、温度検出素子及びゲイン測定用素子と重なっており、
第1赤外線吸収層は、温度検出素子と熱的に接続されており、ゲイン測定用素子と熱的に接続されておらず、
第2赤外線吸収層は、温度検出素子と熱的に接続されており、ゲイン測定用素子と熱的に接続されていない[B01]に記載の撮像装置。
[B03]温度検出素子及びゲイン測定用素子は、第2の方向に沿って隣接しており、
温度検出素子ユニットは、更に、温度検出素子-A及び温度検出素子-Bを備えており、
温度検出素子及び温度検出素子-Aは、第1の方向に沿って配設されており、
ゲイン測定用素子及び温度検出素子-Bは、第1の方向に沿って配設されており、
赤外線吸収層-A及び赤外線吸収層-Bは、温度検出素子-A及び温度検出素子-Bに対して赤外線入射方向に沿って離間して配設されており、
赤外線吸収層-Aは、第2の方向に沿って、赤外線吸収層-Bと離間して配設されており、
赤外線吸収層-Aは、温度検出素子-Aと熱的に接続されており、
赤外線吸収層-Bは、温度検出素子-Bと熱的に接続されている[B02]に記載の撮像装置。
[B04]赤外線吸収層は、第1赤外線吸収層及び第2赤外線吸収層から構成されており、
第1赤外線吸収層の正射影像は、温度検出素子及びゲイン測定用素子と重なっており、
第2赤外線吸収層の正射影像は、温度検出素子及びゲイン測定用素子と重なっており、
第1赤外線吸収層は、温度検出素子と熱的に接続されており、ゲイン測定用素子と熱的に接続されておらず、
第2赤外線吸収層は、温度検出素子と熱的に接続されておらず、且つ、ゲイン測定用素子と熱的に接続されていない[B01]に記載の撮像装置。
[B05]温度検出素子及びゲイン測定用素子は、第2の方向に沿って隣接しており、
温度検出素子ユニットは、更に、温度検出素子-A及び温度検出素子-Bを備えており、
温度検出素子及び温度検出素子-Aは、第1の方向に沿って配設されており、
ゲイン測定用素子及び温度検出素子-Bは、第1の方向に沿って配設されており、
赤外線吸収層-A及び赤外線吸収層-Bは、温度検出素子-A及び温度検出素子-Bに対して赤外線入射方向に沿って離間して配設されており、
赤外線吸収層-Aは、第2の方向に沿って、赤外線吸収層-Bと離間して配設されており、
赤外線吸収層-Aは、温度検出素子-Aと熱的に接続されており、
赤外線吸収層-Bは、温度検出素子-Bと熱的に接続されている[B04]に記載の撮像装置。
[C01]《撮像装置:第3の態様》
2以上の温度検出素子から構成された温度検出素子ユニットが、複数、配列されて成り、
各温度検出素子に対して赤外線入射方向に沿って離間して配設され、且つ、温度検出素子と熱的に接続された赤外線吸収層を備えており、
温度検出素子ユニットにおいて、赤外線吸収層の正射影像の大きさは温度検出素子毎に異なっている撮像装置。
[D01]《撮像装置:第4の態様》
第1の方向、及び、第1の方向とは異なる第2の方向に沿って配列された複数の温度検出素子ユニット、及び、
第1の方向及び第2の方向に沿って配列された複数の赤外線吸収層ユニット、
を備えており、
各温度検出素子ユニットは、第1温度検出素子ユニット、及び、第1温度検出素子ユニットと第1の方向に沿って並置された第2温度検出素子ユニットから構成されており、
第1温度検出素子ユニット及び第2温度検出素子ユニットのそれぞれは、第1の方向及び第2の方向に沿って配列された複数の温度検出素子を備えており、
各赤外線吸収層ユニットは、第1温度検出素子ユニットに対して赤外線入射方向に沿って離間して配設された第1赤外線吸収層ユニット、及び、第2温度検出素子ユニットに対して赤外線入射方向に沿って離間して配設された第2赤外線吸収層ユニットから構成されており、
第1赤外線吸収層ユニットは、第2の方向に沿って延び、第1の方向に沿って並置された複数の赤外線吸収層から構成されており、
第1温度検出素子ユニットを構成する一の温度検出素子は、第1赤外線吸収層ユニットを構成する一の赤外線吸収層と熱的に接続されており、
第2赤外線吸収層ユニットは、第1の方向に沿って延び、第2の方向に沿って並置された複数の赤外線吸収層から構成されており、
第2温度検出素子ユニットを構成する一の温度検出素子は、第2赤外線吸収層ユニットを構成する一の赤外線吸収層と熱的に接続されている撮像装置。
[D02]第1温度検出素子ユニット及び第2温度検出素子ユニットは、第1の方向及び第2の方向に沿って、市松状に配置されている[D01]に記載の撮像装置。
[D03]第1温度検出素子ユニットは、第1の方向に沿って配置された第1温度検出素子及び第2温度検出素子、並びに、第2の方向に沿って、第1温度検出素子に隣接して配置された第3温度検出素子、及び、第2温度検出素子に隣接して配置された第4温度検出素子から構成されており、
第2温度検出素子ユニットは、第1の方向に沿って配置された第5温度検出素子及び第6温度検出素子、並びに、第2の方向に沿って、第5温度検出素子に隣接して配置された第7温度検出素子、及び、第6温度検出素子に隣接して配置された第8温度検出素子から構成されており、
第1温度検出素子は、第1Aの領域、及び、第2の方向に沿って第1Aの領域と接する第1Bの領域を有しており、
第2温度検出素子は、第2Aの領域、及び、第2の方向に沿って第2Aの領域と接する第2Bの領域を有しており、
第3温度検出素子は、第3Aの領域、及び、第2の方向に沿って第3Aの領域と接する第3Bの領域を有しており、
第4温度検出素子は、第4Aの領域、及び、第2の方向に沿って第4Aの領域と接する第4Bの領域を有しており、
第5温度検出素子は、第5Aの領域、及び、第1の方向に沿って第5Aの領域と接する第5Bの領域を有しており、
第6温度検出素子は、第6Aの領域、及び、第1の方向に沿って第6Aの領域と接する第6Bの領域を有しており、
第7温度検出素子は、第7Aの領域、及び、第1の方向に沿って第7Aの領域と接する第7Bの領域を有しており、
第8温度検出素子は、第8Aの領域、及び、第1の方向に沿って第8Aの領域と接する第8Bの領域を有しており、
第1赤外線吸収層ユニットは、第1赤外線吸収層、第2赤外線吸収層、第3赤外線吸収層及び第4赤外線吸収層から構成されており、
第2赤外線吸収層ユニットは、第5赤外線吸収層、第6赤外線吸収層、第7赤外線吸収層及び第8赤外線吸収層から構成されており、
第1赤外線吸収層は、第1Aの領域及び第3Aの領域に対して赤外線入射方向に沿って離間して配設されており、第1温度検出素子と熱的に接続されており、
第2赤外線吸収層は、第1Bの領域及び第3Bの領域に対して赤外線入射方向に沿って離間して配設されており、第3温度検出素子と熱的に接続されており、
第3赤外線吸収層は、第2Aの領域及び第4Aの領域に対して赤外線入射方向に沿って離間して配設されており、第2温度検出素子と熱的に接続されており、
第4赤外線吸収層は、第2Bの領域及び第4Bの領域に対して赤外線入射方向に沿って離間して配設されており、第4温度検出素子と熱的に接続されており、
第5赤外線吸収層は、第5Aの領域及び第6Aの領域に対して赤外線入射方向に沿って離間して配設されており、第5温度検出素子と熱的に接続されており、
第6赤外線吸収層は、第5Bの領域及び第6Bの領域に対して赤外線入射方向に沿って離間して配設されており、第6温度検出素子と熱的に接続されており、
第7赤外線吸収層は、第7Aの領域及び第8Aの領域に対して赤外線入射方向に沿って離間して配設されており、第7温度検出素子と熱的に接続されており、
第8赤外線吸収層は、第7Bの領域及び第8Bの領域に対して赤外線入射方向に沿って離間して配設されており、第8温度検出素子と熱的に接続されている[D01]又は[D02]に記載の撮像装置。
[E01]《撮像装置:第5の態様》
温度検出素子が、第1の方向、及び、第1の方向とは異なる第2の方向に沿って、複数、配列されて成る温度検出素子アレイを備えており、
各温度検出素子に対して赤外線入射方向に沿って離間して配設され、且つ、温度検出素子と熱的に接続された赤外線吸収層を備えており、
温度検出素子の中心の正射影像から赤外線吸収層の中心の正射影像までの距離は、温度検出素子アレイの中心部に位置する温度検出素子よりも、温度検出素子アレイの周辺部に位置する温度検出素子の方が長い撮像装置。
[E02]《撮像装置:第6の態様》
温度検出素子が、第1の方向、及び、第1の方向とは異なる第2の方向に沿って、複数、配列されて成る温度検出素子アレイを備えており、
各温度検出素子に対して赤外線入射方向に沿って離間して配設され、且つ、温度検出素子と熱的に接続された赤外線吸収層を備えており、
赤外線吸収層の大きさは、温度検出素子アレイの中心部に位置する温度検出素子よりも、温度検出素子アレイの周辺部に位置する温度検出素子の方が大きい撮像装置。
[F01]第1構造体及び第2構造体から構成されており、
第1構造体は、
第1基板、
第1基板に設けられ、赤外線に基づき温度を検出する温度検出素子、並びに、
温度検出素子に接続された駆動線及び信号線、
を備えており、
第2構造体は、
第2基板、及び、
第2基板に設けられ、被覆層によって被覆された駆動回路、
を備えており、
第1基板は、被覆層と接合されており、
温度検出素子と被覆層との間には、空所が設けられており、
駆動線及び信号線は、駆動回路と電気的に接続されている[A01]乃至[E02]のいずれか1項に記載の撮像装置。
[F02]第1の方向、及び、第1の方向とは異なる第2の方向に配列された複数の温度検出素子、
を備えており、
第1の方向に沿って配設され、それぞれに複数の温度検出素子が接続された複数の駆動線、及び、
第2の方向に沿って配設され、それぞれに複数の温度検出素子が接続された複数の信号線、
を更に備えており、
第1構造体は、温度検出素子を備えた温度検出素子アレイ領域、及び、温度検出素子アレイ領域を取り囲む周辺領域を有しており、
周辺領域において、駆動線及び信号線は、駆動回路と電気的に接続されている[F01]に記載の撮像装置。
[F03]1次元に配列されたQ個(但し、Q≧1)の温度検出素子を備えている[F01]に記載の撮像装置。
[F04]温度検出素子と温度検出素子との間に位置する第1基板の部分には、隔壁が形成されており、
隔壁の底部は、被覆層と接合されている[F01]乃至[F03]のいずれか1項に記載の撮像装置。
[F05]空所に露出した被覆層の露出面は、絶縁材料層、金属材料層、合金材料層及び炭素材料層から成る群から選択された少なくとも1種類の材料層から構成されており、
隔壁の側壁は、絶縁材料層、金属材料層、合金材料層及び炭素材料層から成る群から選択された少なくとも1種類の材料層から構成されている[F04]に記載の撮像装置。
[F06]空所に露出した被覆層の露出面は、絶縁材料層、金属材料層、合金材料層及び炭素材料層から成る群から選択された少なくとも1種類の材料層から構成されている[F04]に記載の撮像装置。
[F07]隔壁の側壁は、絶縁材料層、金属材料層、合金材料層及び炭素材料層から成る群から選択された少なくとも1種類の材料層から構成されている[F04]又は[F06]に記載の撮像装置。
[F08]赤外線が入射する温度検出素子の側には、赤外線吸収層が形成されており、
空所の底部に位置する被覆層の領域には、赤外線反射層が形成されている[F04]乃至[F07]のいずれか1項に記載の撮像装置。
[F09]赤外線吸収層は、温度検出素子の上方に形成されている[F08]に記載の撮像装置。
[F10]赤外線反射層は、被覆層の頂面又は被覆層の内部に形成されている[F08]又は[F09]に記載の撮像装置。
[F11]赤外線吸収層が吸収すべき赤外線の波長をλIRとしたとき、赤外線吸収層と赤外線反射層との間の光学的距離L0は、
0.75×λIR/2≦L0≦1.25×λIR/2
又は、
0.75×λIR/4≦L0≦1.25×λIR/4
を満足する[F08]乃至[F10]のいずれか1項に記載の撮像装置。
[F12]赤外線が入射する温度検出素子の側には、第1赤外線吸収層が形成されており、
空所の底部に位置する被覆層の領域には、赤外線反射層が形成されており、
空所と対向する温度検出素子の側には、第2赤外線吸収層が形成されている[F04]乃至[F07]のいずれか1項に記載の撮像装置。
[F13]第1赤外線吸収層及び第2赤外線吸収層が吸収すべき赤外線の波長をλIRとし、第1赤外線吸収層と第2赤外線吸収層との光学的距離L1とし、第2赤外線吸収層と赤外線反射層との光学的距離をL2としたとき、
0.75×λIR/4≦L1≦1.25×λIR/4
0.75×λIR/4≦L2≦1.25×λIR/4
を満足する[F12]に記載の撮像装置。
[F14]温度検出素子と温度検出素子との間に位置する第1基板の部分と被覆層との間には、第1基板と独立して隔壁が形成されており、
隔壁の底部は、被覆層と接合されている[F01]乃至[F03]のいずれか1項に記載の撮像装置。
[F15]空所に露出した被覆層の露出面は、絶縁材料層、金属材料層、合金材料層及び炭素材料層から成る群から選択された少なくとも1種類の材料層から構成されており、
隔壁は、絶縁材料層、金属材料層、合金材料層及び炭素材料層から成る群から選択された少なくとも1種類の材料層から構成されている[F14]に記載の撮像装置。
[F16]空所に露出した被覆層の露出面は、絶縁材料層、金属材料層、合金材料層及び炭素材料層から成る群から選択された少なくとも1種類の材料層から構成されている[F14]に記載の撮像装置。
[F17]隔壁は、絶縁材料層、金属材料層、合金材料層及び炭素材料層から成る群から選択された少なくとも1種類の材料層から構成されている[F14]又は[F16]に記載の撮像装置。
[F18]赤外線が入射する温度検出素子の側には、赤外線吸収層が形成されており、
空所の底部に位置する被覆層の領域には、赤外線反射層が形成されている[F14]乃至[F17]のいずれか1項に記載の撮像装置。
[F19]赤外線反射層は、被覆層の頂面又は被覆層の内部に形成されている[F18]に記載の撮像装置。
[F20]赤外線吸収層が吸収すべき赤外線の波長をλIRとしたとき、赤外線吸収層と赤外線反射層との間の光学的距離L0は、
0.75×λIR/2≦L0≦1.25×λIR/2
又は、
0.75×λIR/4≦L0≦1.25×λIR/4
を満足する[F18]又は[F19]に記載の撮像装置。
[F21]赤外線が入射する温度検出素子の側には、第1赤外線吸収層が形成されており、
空所の底部に位置する被覆層の領域には、赤外線反射層が形成されており、
空所と対向する温度検出素子の側には、第2赤外線吸収層が形成されている[F14]乃至[F17]のいずれか1項に記載の撮像装置。
[F22]第1赤外線吸収層及び第2赤外線吸収層が吸収すべき赤外線の波長をλIRとし、第1赤外線吸収層と第2赤外線吸収層との光学的距離L1とし、第2赤外線吸収層と赤外線反射層との光学的距離をL2としたとき、
0.75×λIR/4≦L1≦1.25×λIR/4
0.75×λIR/4≦L2≦1.25×λIR/4
を満足する[F21]に記載の撮像装置。
[F23]赤外線が入射する第1基板の面側に保護基板が配設されている[F14]乃至[F20]のいずれか1項に記載の撮像装置。
[F24]赤外線に基づき温度を検出する温度検出素子ユニットを備えており、
温度検出素子ユニットは、赤外線の入射に沿って上下に配設された2つの温度検出素子から成り、
温度検出素子ユニットにおいて、各温度検出素子が検出する赤外線の波長は同じであり、又は、異なっており、又は、各温度検出素子の赤外線吸収量は異なっている[F01]乃至[F03]のいずれか1項に記載の撮像装置。
[F25]被覆層には熱伝導層が形成されている[F01]乃至[F23]のいずれか1項に記載の撮像装置。
[F26]被覆層には温度制御層が形成されており、
温度検知手段を更に有する[F01]乃至[F25]のいずれか1項に記載の撮像装置。
[F27]温度制御層はヒータとして機能する[F26]に記載の撮像装置。
[F28]温度制御層は配線を兼ねている[F27]に記載の撮像装置。
[F29]温度検知手段の温度検知結果に基づき、駆動回路は温度制御層を制御する[F26]乃至[F28]のいずれか1項に記載の撮像装置。
[F30]第1構造体は、温度検出素子を備えた温度検出素子アレイ領域、及び、温度検出素子アレイ領域を取り囲む周辺領域を備えており、
温度制御層は温度検出素子アレイ領域に形成されている[F26]乃至[F29]のいずれか1項に記載の撮像装置。
[F31]温度制御層は、温度検出素子アレイ領域の正射影像が存在する被覆層の領域に形成されている[F26]乃至[F29]のいずれか1項に記載の撮像装置。
[F32]駆動回路は、アナログ-デジタル変換回路を備えており、
温度検出素子アレイ領域の正射影像が存在する駆動基板の領域には、アナログ-デジタル変換回路が配設されていない[F01]乃至[F29]のいずれか1項に記載の撮像装置。
[F33]温度検出素子は、pn接合ダイオード、ボロメータ素子、サーモパイル素子、金属膜抵抗素子、金属酸化物抵抗素子、セラミック抵抗素子、サーミスタ素子から成る[A01]乃至[F32]のいずれか1項に記載の撮像装置。
[F34]集光素子を更に備えている[A01]乃至[F33]のいずれか1項に記載の撮像装置。
[F35]遮光部を更に備えている[A01]乃至[F34]のいずれか1項に記載の撮像装置。
【符号の説明】
【0143】
10,10A・・・撮像装置、11・・・温度検出素子アレイ領域、13・・・中央領域、12,14・・・周辺領域、15・・・温度検出素子、16・・・赤外線吸収層、20A,20B・・・温度検出素子ユニット、21,2111,2112・・・第1温度検出素子、211・・・第1温度検出素子の第1Aの領域、212・・・第1温度検出素子の第1Bの領域、22,2211,2212・・・第2温度検出素子、221・・・第2温度検出素子の第2Aの領域、222・・・第2温度検出素子の第2Bの領域、23,24a,24b,25a,26a,27a,27b,121,122,123,124,125,126,127,128,221,321・・・温度検出素子、1211・・・第1温度検出素子の第1Aの領域、1212・・・第1温度検出素子の第1Bの領域、1221・・・第2温度検出素子の第2Aの領域、1222・・・第2温度検出素子の第2Bの領域、1231・・・第3温度検出素子の第3Aの領域、1232・・・第3温度検出素子の第3Bの領域、1241・・・第4温度検出素子の第4Aの領域、1242・・・第4温度検出素子の第4Bの領域、1251・・・第5温度検出素子の第5Aの領域、1252・・・第5温度検出素子の第5Bの領域、1261・・・第6温度検出素子の第6Aの領域、1262・・・第6温度検出素子の第6Bの領域、1271・・・第7温度検出素子の第7Aの領域、1272・・・第7温度検出素子の第7Bの領域、1281・・・第8温度検出素子の第8Aの領域、1282・・・第8温度検出素子の第8Bの領域、25c,26c・・・温度検出素子-A、25d,26d・・・温度検出素子-B、31,31R,31L,33,34b,35a,36a・・・ゲイン測定用素子、40A,40B・・・赤外線吸収層ユニット、41・・・第1赤外線吸収層、42・・・第2赤外線吸収層、43,44a,47a,47b,241,341・・・赤外線吸収層、44b1,45a,46a・・・第1赤外線吸収層、44b2,45b,46b・・・第2赤外線吸収層、45c,46c・・・赤外線吸収層-A、45d,46d・・・赤外線吸収層-B、41’,42’,43’,44a’,44b1’,45a’,45b’,45c’,45d’,46c’,46d’・・・接続部、44b2’,46b’・・・支持部、51,511,512,513,514・・・信号線、52,521,522・・・駆動線、53・・・コンタクトホール、60・・・第1構造体、61・・・第1基板、61B・・・第1基板の第2面、62・・・シリコン層、63・・・隔壁、64・・・隔壁の側壁、65A・・・ダイヤフラム部(架空部、架空薄層部)、65B・・・絶縁材料層、65C・・・第1スタッド部、65D・・・第2スタッド部、66・・・絶縁膜、67・・・pn接合ダイオード、68・・・配線、69・・・空所、70・・・第2構造体、71・・・第2基板、72・・・駆動回路が形成された層、73・・・被覆層(層間絶縁層)、74・・・赤外線反射層、81・・・垂直走査回路、82・・・定電流回路、83・・・アナログ・フロント・エンド(AFE)、84・・・サンプルホールド回路、85・・・アナログ-デジタル変換回路(ADC)、86・・・水平走査回路、90・・・SOI基板、91・・・第1シリコン層、92・・・SiO2層、93・・・第2シリコン層、94・・・第1犠牲層、95・・・第2犠牲層、96・・・支持基板、401・・・レンズ、402・・・シャッター、403・・・撮像装置、404・・・駆動回路、405・・・電源部、406・・・記憶媒体、407・・・ビデオ出力部、408・・・各種インターフェース
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