(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-06
(45)【発行日】2023-10-17
(54)【発明の名称】気化器デバイス用のパフ感知および電源回路
(51)【国際特許分類】
A24F 40/51 20200101AFI20231010BHJP
【FI】
A24F40/51
(21)【出願番号】P 2020528294
(86)(22)【出願日】2018-11-26
(86)【国際出願番号】 US2018062467
(87)【国際公開番号】W WO2019104277
(87)【国際公開日】2019-05-31
【審査請求日】2021-11-26
(32)【優先日】2017-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】523071097
【氏名又は名称】ジュール・ラブズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】JUUL Labs, Inc.
【住所又は居所原語表記】1000 F Street NW, Washington DC, 20004, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アダム ボーウェン
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス ジェイ. ハットン
(72)【発明者】
【氏名】ケヴィン ロメリ
(72)【発明者】
【氏名】マシュー ジェイ. タシュナー
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー ワイス
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン ホワイト
【審査官】柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/144703(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/189556(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/210242(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第107280072(CN,A)
【文献】国際公開第2016/077428(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/094225(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0157341(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0108840(US,A1)
【文献】国際公開第2017/001817(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-40/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気化器デバイスであって、
気化器デバイス本体の外側の空気を前記気化器デバイスの気化チャンバおよび前記気化器デバイスのマウスピースに接続する空気流路に沿った空気の第1の圧力を検出するように配置された絶対圧力センサと、
前記気化器デバイスがさらされている周囲空気圧を表す空気の第2の圧力を検出するように配置された付加的な絶対圧力センサと、
付加的なセンサと、
コントローラーと、
を含み、
前記絶対圧力センサおよび前記付加的な絶対圧力センサは、前記マウスピースと前記気化器デバイス本体内に配置された電源との間に配置されており、
前記絶対圧力センサは、チャネルを介して前記空気流路に連通しており、
前記コントローラーは、
前記第1の圧力を表す前記絶対圧力センサからの第1の信号と、前記第2の圧力を表す前記付加的な絶対圧力センサからの第2の信号とを受信するステップと、
少なくとも前記第1の信号および前記第2の信号に基づいて、パフが発生していることを判定するステップであって、前記パフは、ユーザーによる前記マウスピースの吸入に反応して前記空気流路に沿って流れる空気を含む、ステップと、
前記付加的なセンサから第3の信号を受信して、前記第3の信号に基づいて前記パフが発生していることを判定し適合化するステップと、
前記判定に応じて前記気化器デバイスの抵抗加熱素子に電流が供給されるようにするステップと、
を含む操作を実行するように構成されており、
供給された前記電流は、前記空気流路に沿って流れる空気中に吸入可能なエアロゾルを形成するために、気化可能材料を加熱させる、
気化器デバイス。
【請求項2】
前記付加的なセンサは、加速度計または別の運動感知デバイスを含む、請求項1記載の気化器デバイス。
【請求項3】
前記空気流路は、オリフィスを含み、前記絶対圧力センサは、ユーザーがパフを取ることから生じる圧力低下の測定値を提供し、
前記コントローラーによって実行される操作は、
空気流速度および体積流量を計算するステップと、
単位時間当たりの蒸気相に変換された気化可能材料の量を求めるステップと、
前記計算するステップおよび前記求めるステップに基づいて、所定の空気体積に対して生成される吸入可能なエアロゾルの量を制御するステップと、
をさらに含む、
請求項1または2記載の気化器デバイス。
【請求項4】
前記コントローラーによって実行される前記操作は、前記気化器デバイスのヒーターの温度を制御するステップをさらに含む、請求項3記載の気化器デバイス。
【請求項5】
前記コントローラーによって実行される前記操作は、異なるパフ強度にわたって一貫したエアロゾル濃度を提供するステップをさらに含む、請求項3または4記載の気化器デバイス。
【請求項6】
前記コントローラーによって実行される前記操作は、空気流の量に基づく大気圧の影響を補正するために周囲圧力の補正を適用するステップをさらに含む、請求項3から5までのいずれか1項記載の気化器デバイス。
【請求項7】
前記コントローラーによって実行される前記操作は、
サンプルパフまたは一連のサンプルパフを取るようにユーザーに促すステップと、
ユーザーのパフパワーの相対的な強度に関する情報を特徴付けて記憶するステップと、
をさらに含む、請求項3から6までのいずれか1項記載の気化器デバイス。
【請求項8】
前記コントローラーによって実行される前記操作は、実際のパフをより良好に検出し、ユーザーのパフ操作の検出における誤肯定を拒否するために、ユーザーのパフパワーの相対的な強度に基づいてパフを示すために要する圧力低下のサイズを変更するステップをさらに含む、請求項7記載の気化器デバイス。
【請求項9】
前記操作は、前記付加的なセンサから前記第3の信号を受信するステップと、前記第3の信号に基づいて前記パフが発生していることを判定するステップをさらに含む、請求項2から8までのいずれか1項記載の気化器デバイス。
【請求項10】
電子回路において、気化器デバイスの絶対圧力センサから第1の信号を受信し、前記気化器デバイスの付加的な絶対圧力センサから第2の信号を受信するステップであって、前記第1の信号は第1の圧力を表し、前記第2の信号は第2の圧力を表し、前記絶対圧力センサは、前記気化器デバイスの気化器デバイス本体の外側の空気を前記気化器デバイスの気化チャンバおよび前記気化器デバイスのマウスピースに接続する空気流路に沿って発生する空気の第1の圧力を認識するように配置され、前記付加的な絶対圧力センサは、気化器デバイスがさらされている周囲空気圧を表す空気の第2の圧力を検出するように
配置され
、前記絶対圧力センサおよび前記付加的な絶対圧力センサは、前記マウスピースと前記気化器デバイス本体内に配置された電源との間に配置され、かつ、前記絶対圧力センサは、チャネルを介して前記空気流路に連通している、ステップと、
少なくとも前記第1の信号および前記第2の信号に基づいてパフが発生していることを判定するステップであって、前記パフは、ユーザーによる前記マウスピースの吸入に反応して前記空気流路に沿って流れる空気を含む、ステップと、
付加的なセンサから第3の信号を受信して、前記第3の信号に基づいて前記パフが発生していることを判定し適合化するステップと、
前記判定に応じて前記気化器デバイスの抵抗加熱素子に電流が供給されるようにするステップと、
を含む、方法。
【請求項11】
前記付加的なセンサは、加速度計または別の運動感知デバイスを含む、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記空気流路は、オリフィスを含み、前記絶対圧力センサは、ユーザーがパフを取ることから生じる圧力低下の測定値を提供し、
前記方法は、
空気流速度および体積流量を計算するステップと、
単位時間当たりの蒸気相に変換された気化可能材料の量を求めるステップと、
前記計算するステップおよび前記求めるステップに基づいて、所定の空気体積に対して生成される吸入可能なエアロゾルの量を制御するステップと、
をさらに含む、
請求項10又は11記載の方法。
【請求項13】
前記気化器デバイスのヒーターの温度を制御するステップをさらに含む、請求項12記載の方法。
【請求項14】
異なるパフ強度にわたって一貫したエアロゾル濃度を提供するステップをさらに含む、請求項12または13記載の方法。
【請求項15】
空気流量に基づく大気圧の影響を補正するために周囲圧力の補正を適用するステップをさらに含む、請求項12から14までのいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
サンプルパフまたは一連のサンプルパフを取るようにユーザーに促すステップと、
ユーザーのパフパワーの相対的な強度に関する情報を特徴付けて記憶するステップと、
をさらに含む、請求項12から15までのいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
実際のパフをより良好に検出し、ユーザーのパフ操作の検出における誤肯定を拒否するために、ユーザーの前記パフパワーの相対的な強度に基づいてパフを示すために要する圧力低下のサイズを変更するステップをさらに含む、請求項16記載の方法。
【請求項18】
気化器デバイスであって、
気化器デバイス本体の外側の空気を前記気化器デバイスの気化チャンバおよび前記気化器デバイスのマウスピースに接続する空気流路に沿った空気の第1の圧力を検出するように配置された絶対圧力センサと、
前記気化器デバイスがさらされている周囲空気圧を表す空気の第2の圧力を検出するように配置された付加的な絶対圧力センサと、
付加的なセンサと、
コントローラーと、
を含み、
前記絶対圧力センサおよび前記付加的な絶対圧力センサは、前記マウスピースと前記気化器デバイス本体内に配置された電源との間に配置されており、
前記絶対圧力センサは、チャネルを介して前記空気流路に連通しており、
前記コントローラーは、
前記第1の圧力を表す前記絶対圧力センサからの第1の信号と、前記第2の圧力を表す前記付加的な絶対圧力センサからの第2の信号とを受信するステップと、
前記第1の信号および前記第2の信号に基づいて、パフに関連しない圧力変化を検出するステップと、
パフに関連しない前記圧力変化を除外するステップと、
少なくとも前記第1の信号および前記第2の信号に基づいて、パフが発生していることを判定するステップであって、前記パフは、ユーザーによる前記マウスピースの吸入に反応して前記空気流路に沿って流れる空気を含む、ステップと、
前記判定に応じて前記気化器デバイスの抵抗加熱素子に電流が供給されるようにするステップと、
を含む操作を実行するように構成されており、
供給された前記電流は、前記空気流路に沿って流れる空気中に吸入可能なエアロゾルを形成するために、気化可能材料を加熱させ、
前記操作は、前記付加的なセンサから第3の信号を受信するステップをさらに含み、前記パフが発生していることを判定する前記ステップもまた前記第3の信号に基づく、
気化器デバイス。
【請求項19】
前記付加的なセンサは、加速度計または別の運動感知デバイスを含む、請求項18記載の気化器デバイス。
【請求項20】
前記空気流路は、オリフィスを含み、前記絶対圧力センサは、ユーザーがパフを取ることから生じる圧力低下の測定値を提供し、
前記コントローラーによって実行される操作は、
空気流速度および体積流量を計算するステップと、
単位時間当たりの蒸気相に変換された気化可能材料の量を求めるステップと、
前記計算するステップおよび前記求めるステップに基づいて、所定の空気体積に対して生成される吸入可能なエアロゾルの量を制御するステップと、
をさらに含む、
請求項18または19記載の気化器デバイス。
【請求項21】
前記コントローラーによって実行される前記操作は、異なるパフ強度にわたって一貫したエアロゾル濃度を提供するステップをさらに含む、請求項20記載の気化器デバイス。
【請求項22】
前記コントローラーによって実行される前記操作は、空気流の量に基づく大気圧の影響を補正するために周囲圧力の補正を適用するステップをさらに含む、請求項20または21記載の気化器デバイス。
【請求項23】
前記コントローラーによって実行される前記操作は、
サンプルパフまたは一連のサンプルパフを取るようにユーザーに促すステップと、
ユーザーのパフパワーの相対的な強度に関する情報を特徴付けて記憶するステップと、
をさらに含む、請求項20から22までのいずれか1項記載の気化器デバイス。
【請求項24】
前記コントローラーによって実行される前記操作は、実際のパフをより良好に検出し、ユーザーのパフ操作の検出における誤肯定を拒否するために、ユーザーのパフパワーの相対的な強度に基づいてパフを示すために要する圧力低下のサイズを変更するステップをさらに含む、請求項23記載の気化器デバイス。
【請求項25】
方法であって、
電子回路において、気化器デバイスの絶対圧力センサから第1の信号を受信し、前記気化器デバイスの付加的な絶対圧力センサから第2の信号を受信するステップであって、前記第1の信号は第1の圧力を表し、前記第2の信号は第2の圧力を表し、前記絶対圧力センサは、前記気化器デバイスの気化器デバイス本体の外側の空気を前記気化器デバイスの気化チャンバおよび前記気化器デバイスのマウスピースに接続する空気流路に沿って発生する空気の第1の圧力を認識するように配置され、前記付加的な絶対圧力センサは、気化器デバイスがさらされている周囲空気圧を表す空気の第2の圧力を検出するように
配置され
、前記絶対圧力センサおよび前記付加的な絶対圧力センサは、前記マウスピースと前記気化器デバイス本体内に配置された電源との間に配置され、かつ、前記絶対圧力センサは、チャネルを介して前記空気流路に連通している、ステップと、
前記第1の信号および前記第2の信号に基づいて、パフに関連しない圧力変化を検出するステップと、
パフに関連しない前記圧力変化を除外するステップと、
少なくとも前記第1の信号および前記第2の信号に基づいてパフが発生していることを判定するステップであって、前記パフは、ユーザーによる前記マウスピースの吸入に反応して前記空気流路に沿って流れる空気を含む、ステップと、
前記判定に応じて前記気化器デバイスの抵抗加熱素子に電流が供給されるようにするステップと、
を含み、
前記気化器デバイスは、付加的なセンサをさらに含み、
前記方法は、前記付加的なセンサから第3の信号を受信するステップをさらに含み、パフが発生していることを判定する前記ステップもまた前記第3の信号に基づく、方法。
【請求項26】
前記付加的なセンサは、加速度計または別の運動感知デバイスを含む、請求項25記載の方法。
【請求項27】
前記空気流路は、オリフィスを含み、前記絶対圧力センサは、ユーザーがパフを取ることから生じる圧力低下の測定値を提供し、
前記方法は、
空気流速度および体積流量を計算するステップと、
単位時間当たりの蒸気相に変換された気化可能材料の量を求めるステップと、
前記計算するステップおよび前記求めるステップに基づいて、所定の空気体積に対して生成される吸入可能なエアロゾルの量を制御するステップと、
をさらに含む、
請求項25または26記載の方法。
【請求項28】
異なるパフ強度にわたって一貫したエアロゾル濃度を提供するステップをさらに含む、請求項27記載の方法。
【請求項29】
空気流量に基づく大気圧の影響を補正するために周囲圧力の補正を適用するステップをさらに含む、請求項27または28記載の方法。
【請求項30】
サンプルパフまたは一連のサンプルパフを取るようにユーザーに促すステップと、
ユーザーのパフパワーの相対的な強度に関する情報を特徴付けて記憶するステップと、
実際のパフをより良好に検出し、ユーザーのパフ操作の検出における誤肯定を拒否するために、ユーザーの前記パフパワーの相対的な強度に基づいてパフを示すために要する圧力低下のサイズを変更するステップと、
をさらに含む、請求項27から29までのいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年11月24日に出願された「気化器デバイス用のパフ感知および電源回路」と題する米国仮特許出願番号62/590,518号および2017年12月1日に出願された同じく「気化器デバイス用のパフ感知および電源回路」と題する米国仮特許出願番号62/593,801号の優先権を主張するものであり、これによって、それらの開示内容全体は援用により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、以下の共有の特許および/または特許出願に関連しており、それらの開示内容は、援用により本明細書に組み込まれる。本対象の実施形態で使用可能な特徴を有する様々なニコチン製剤は、米国特許出願公開第2014/0345631号明細書および国際公開第2015/08454400号のうちの1つ以上の刊行物に記載されている。本対象の実施形態に関連し得る特徴を有する気化器デバイスは、米国特許出願公開第2015/0150308号明細書、米国特許出願公開第2016/0338412号明細書、米国特許出願公開第2016/0345631号明細書、米国特許第9,408,416号明細書、米国特許出願公開第2013/0312742号明細書、米国特許出願公開第2017/0079331号明細書、米国特許出願公開第2016/0262459号明細書、米国特許出願公開第2014/0366898号明細書、米国特許出願公開第2015/0208729号明細書、米国特許出願公開第2016/0374399号明細書、米国特許出願公開第2016/0366947号明細書、米国特許出願公開第2017/0035115号明細書、米国特許第9,549,573号明細書、米国特許出願公開第2017/0095005号明細書、米国特許出願公開第2016/0157524号明細書、および係属中の出願番号第15/605,890号明細書のうちの1つ以上の刊行物/特許に記載されている。
【0003】
技術分野
本明細書で記述された対象は、例えば1つ以上の気化可能材料から吸入可能なエアロゾルを生成するための携帯型個人用気化器デバイスなどの気化器デバイスに関する。
【0004】
背景技術
電子気化器デバイスまたは「e気化器デバイス」とも称され得る気化器デバイスは、気化器デバイスのユーザーによるエアロゾルの吸入による、1つ以上の活性成分を含むエアロゾル(時折「蒸気」とも称される)の供給に用いることができる。「eタバコ」とも称され得る電子タバコは、典型的にはバッテリー電源方式で、喫煙の体験を、ただしタバコまたは他の物質の燃焼を伴うことなくシミュレートするために使用できるクラスの気化器デバイスである。気化器デバイスの使用では、ユーザーは、通常、蒸気と呼ばれるエアロゾルを吸入する。この蒸気は、気化可能材料を気化する(これは一般に液体または固体を少なくとも部分的に気相に移行させることを指す)加熱素子によって生成され得る。気化可能材料は、液状、溶液、固形物、ワックス、または特定の気化器デバイスの使用に適合し得る任意の他の形態であり得る。
【0005】
気化器デバイスによって生成された吸入可能なエアロゾルを受け入れるために、ユーザーは、所定の例では、パフを取ることによって、ボタンを押すことによって、または任意の他のアプローチによって、気化器デバイスを作動させることができる。一般的に使用されている(および本明細書でも使用されている)用語としてのパフは、気化された気化可能材料と空気との混合によって吸入可能なエアロゾルが生成されるように、気化器デバイス内に所定の空気量を引き込ませるようなユーザーによる吸入を指す。気化器デバイスが気化可能材料から吸入可能なエアロゾルを生成する典型的なアプローチは、気化可能材料を気相(蒸気相)に変換させるための気化チャンバ(時にヒーターチャンバとも称される)内での気化可能材料の加熱を伴う。気化チャンバとは、一般に、空気と、気相と凝縮相(例えば液相および/または固相)の間の一部平衡状態にある気化可能材料との混合物を生成するために、その内部で熱源が(例えば伝導性の、対流性の、かつ/または輻射性の)気化可能材料を加熱させる気化器デバイス内の領域または容積を指す。
【0006】
気相の気化可能材料の所定の成分は、冷却および/または圧力の変化のために気化した後に凝縮し、それにより、パフを介して気化器デバイス内に引き込まれた空気の少なくとも一部に、浮遊する粒子(気体および/または固体)を含むエアロゾルを形成する。気化可能材料が半揮発性の化合物(例えば吸入温度および吸入圧力以下の比較的低い蒸気圧を有するニコチンなどの化合物)が含まれている場合には、吸入可能なエアロゾルは、気相と凝縮相の間の一部局所的平衡状態にある半揮発性の化合物を含み得る。
【0007】
本明細書で本対象に一致して用いられる気化器デバイスとの用語は、一般に、個人的な使用に便利な携帯式の内蔵型デバイスを指す。そのようなデバイスは、典型的には、近年では外部コントローラーとワイヤレス通信できる多くのデバイス(例えばスマートフォン、スマートウォッチ、その他のウェアラブル電子デバイスなど)が入手できるにもかかわらず、気化器上の1つ以上のスイッチ、ボタン、接触感知デバイス、または他のユーザー入力機能など(一般には制御と称され得る)によって制御されている。制御とは、この文脈において、一般に、様々な操作パラメータのうちの1つ以上に影響を与える能力を指す。この能力には、ヒーターをターンオンおよび/またはターンオフさせること、操作中にヒーターが加熱される最低および/または最高温度の調整、ユーザーがデバイス上でアクセスし得る様々なゲームまたはその他の対話機能、および/またはその他の操作が任意に含まれ得るが、これらに限定されない。
【0008】
概要
本対象の所定の態様では、電子気化器デバイスの感受性の高い所定のコンポーネントの内部またはその近傍の液体の気化可能材料の存在に関連する課題は、本明細書で記述された特徴または当業者によって理解されるであろう類似の/同等のアプローチのうちの1つ以上を含めることで対処可能である。
【0009】
一態様では、気化器デバイスは、気化器デバイス本体の外側の空気を気化器デバイスの気化チャンバおよび気化器デバイスのマウスピースに接続する空気流路に沿った空気の第1の圧力を検出するように配置された絶対圧力センサと、気化器デバイスがさらされている周囲空気圧を表す空気の第2の圧力を検出するように配置された付加的な絶対圧力センサとを含み得る。コントローラーは、第1の圧力を表す絶対圧力センサからの第1の信号と、第2の圧力を表す付加的な絶対圧力センサからの第2の信号とを受信するステップと、少なくとも第1の信号および第2の信号に基づいてパフが発生していることを判定するステップと(ただし、パフは、マウスピースを引く(draw)ユーザーに反応して空気流路に沿って流れる空気を含む)、決定に応じて気化器デバイスの抵抗加熱素子に電流が供給されるようにするステップとを含む操作を実行するように構成され得る。供給された電流は、空気流路に沿って流れる空気中に吸入可能なエアロゾルを形成するために、気化可能材料を加熱させる。
【0010】
別の相互関連する態様では、方法は、気化器デバイスの絶対圧力センサから第1の信号を受信するステップであって、ただし第1の信号は第1の圧力を表すステップと、気化器デバイスの付加的な絶対圧力センサから第2の信号を受信するステップであって、ただし第2の信号は第2の圧力を表すステップとを含み得る。絶対圧力センサは、気化器デバイス本体の外側の空気を気化器デバイスの気化チャンバおよび気化器デバイスのマウスピースに接続する空気流路に沿って発生する空気の第1の圧力を認識するように配列または配置されている。付加的な絶対圧力センサは、気化器デバイスがさらされている周囲空気圧を表す空気の第2の圧力を検出するように配列または配置されている。この方法はさらに、少なくとも第1の信号および第2の信号に基づいてパフが発生していることを判定するステップと(ただし、パフは、マウスピースを引くユーザーに反応して空気流路に沿って流れる空気を含む)、決定に応じて気化器デバイスの抵抗加熱素子に電流が供給されるようにするステップとを含み得る。
【0011】
任意の変形形態では、以下の特徴のうちの1つ以上が、任意に実現可能な組み合わせに含まれ得る。操作は、付加的なセンサから第3の信号を受信するステップと、第3の信号に基づいてパフが発生していることを判定し適合化するステップとをさらに含むことができる。この付加的なセンサは、加速度計または別の運動感知デバイスを含むことができる。空気流路は、既知で良好に特徴付けることができる特定のオリフィスサイズを含み得る。絶対圧力センサは、ユーザーがパフを取ることに起因する圧力低下の測定値を提供し得る。
【0012】
一部の態様では、コントローラーによって実行される操作は、気流速度および体積流量を計算するステップと、単位時間当たりの蒸気相に変換された気化可能材料の量を求めるステップと、前述の計算および決定に基づいて、所定の空気体積に対して生成される吸入可能なエアロゾルの量を制御するステップとをさらに含む。当該操作は、ヒーターの温度を制御するステップ、および/または異なるパフ強度にわたって一貫したエアロゾル濃度を提供するステップをさらに含むことができる。さらに一部の他の態様では、コントローラーによって実行される操作は、空気流量に基づく大気圧の影響を補正するために周囲圧力の補正を適用するステップをさらに含む。当該操作は、サンプルパフまたは一連のサンプルパフを取るようにユーザーに促すステップ、および/またはユーザーのパフパワーの相対的な強度に関する情報を特徴付けて記憶するステップをさらに含むことができる。その上さらに他の態様では、当該操作は、実際のパフをより良好に検出し、ユーザーのパフ操作の検出における誤肯定(false positive)を拒否するために、ユーザーのパフパワーの相対的な強度に基づいてパフを示すために要する圧力低下のサイズを変更するステップをさらに含むことができる。
【0013】
他の態様では、気化器デバイス本体シェルおよび内部スケルトンを有する気化器デバイスは、気化器デバイス本体のカートリッジ受容受け口内の容積と、内部電子回路(1つ以上の電子コンポーネント、回路基板などを任意に含む)および/または電源を収容する気化器デバイス本体シェル内の容積との間の液体の通過を防ぐように構成されたガスケットを含み得る。このガスケットは、内部電子回路の一部に接続された圧力感知デバイスがカートリッジ受容受け口内の空気圧にさらされる接続機構を含み得る。気化器デバイス本体とのガスケットの改善された封止は、気化器デバイスシェルと気化器デバイス本体の内部スケルトンとの間のガスケット上の支持リブの配置によって達成することができる。
【0014】
他の態様では、気化器デバイスは、気化器デバイス本体のカートリッジ受容受け口内に挿入可能に受容されるように構成されたカートリッジの接点と電気的に結合するための電気接点を含み得る。この電気接点は、耐水性機能を含み得る。
【0015】
このアプローチに一致するシステムおよび方法、ならびに1つ以上の機械(例えば汎用および/または特定用途向けのプロセッサまたは回路などを含み得るコンピュータ、マイクロコントローラなど)に本明細書で記述された動作を結果として生じさせるように動作可能な有形に具現化された機械可読媒体を含む物品が説明されている。同様に、プロセッサおよびプロセッサに結合されたメモリを含み得るコンピュータシステムも説明される。メモリは、プロセッサに本明細書で記述された動作のうちの1つ以上を実行させる1つ以上のプログラムを含み得る。
【0016】
本明細書で記述された1つ以上の対象の変形形態の詳細は、添付の図面および以下の説明に記載されている。本明細書で記述された他の特徴および利点は、当該説明および図面ならびに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【0017】
本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付の図面は、本明細書で開示される対象の特定の態様を示し、説明とともに、開示される実施形態に関連する原理の一部の説明に役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1A】本対象の実施形態に一致するカートリッジおよび気化器デバイス本体を有する気化器デバイスの特徴を示した概略図
【
図1B】本対象の実施形態に一致する気化器デバイス本体上のカートリッジ受け口からカートリッジが分離された気化器デバイスを上面図で示した図
【
図1C】本対象の実施形態に一致する気化器デバイス本体のカートリッジ受け口内にカートリッジが挿入された気化器デバイスを上面図で示した図
【
図1D】本対象の実施形態に一致する気化器デバイス本体上のカートリッジ受け口内にカートリッジが挿入された気化器デバイスを上面等角斜視図で示した図
【
図1E】本対象の実施形態に一致する気化器デバイス本体との使用に適したカートリッジのマウスピース端部からの上面等角斜視図を示した図
【
図1F】本対象の実施形態に一致する気化器デバイス本体との使用に適したカートリッジの反対側端部からの上面等角斜視図を示した図
【
図2A】本対象の実施形態に一致するカートリッジベースでない気化器デバイスの特徴を示した概略図
【
図2B】カートリッジベースでない気化器デバイスを側面等角斜視図で示した図
【
図2C】カートリッジベースでない気化器デバイスを底面等角斜視図で示した図
【
図3B】ガスケットを有する気化器デバイス本体を切開上面図で示した図
【
図3C】ガスケットを有する気化器デバイス本体を別の切開上面図で示した図
【
図5】アナログ圧力センサを含む気化器デバイス用の回路基板を等角図で示した図
【
図6】本対象の実施形態に一致する絶対圧力センサを含む気化器デバイス用の回路基板を等角斜視図で示した図
【
図7A】本対象の実施形態に一致する気化器デバイス本体を上面図で示した図
【
図7B】本対象の実施形態に一致するガスケットを有する気化器デバイス本体を切開上面図で示した図
【
図7C】本対象の実施形態に一致するガスケットを有する気化器デバイス本体を別の切開上面図で示した図
【
図8】本対象の実施形態に一致するガスケットの特徴を示した気化器デバイス本体を側面/上面等角斜視図で示した図
【
図9】気化器デバイス本体の内部コンポーネントを等角斜視図で示した図
【
図10】本対象の実施形態に一致する気化器デバイス本体内の電気接点として含めることができるピン構造を等角斜視図で示した図
【
図11】本対象の実施形態に一致する圧力センサの特徴を示した概略図
【
図12】本対象の実施形態に一致する方法の特徴を示したフローチャート
【0019】
実用化に際して、同様の参照番号は、同様の構造、特徴、または要素を示す。
【0020】
詳細な説明
本対象の実施形態に一致する気化器デバイスの例には、電子気化器、電子タバコ、eタバコなどが含まれる。上記のように、そのような気化器とは、典型的には、吸入可能な材料用量を提供するために(対流、伝導、輻射、またはそれらの一部の組み合わせによって)気化可能材料を加熱するハンディーデバイスである。気化器で使用される気化可能材料は、一部の例では、カートリッジ内で提供され得る(このカートリッジは、リザーバーまたは他の容器に気化可能材料を含み、空の場合に補充できる、または同種もしくは異種の付加的な気化可能材料を含む新しいカートリッジと入れ替えに使い捨て可能な気化器の一部を指し得る)。任意選択的に、気化器デバイスは、カートリッジベースの気化器デバイス、カートリッジなしの気化器デバイス、またはカートリッジの有無にかかわらず使用可能な多用途気化器デバイスのいずれであってもよい。例えば、多用途気化器デバイスは、気化可能材料を直接加熱チャンバ内に受容するように構成され、気化可能材料を保持するためのリザーバーなどを有するカートリッジも受容するように構成された加熱チャンバ(例えばオーブン)を含み得る。様々な実施形態では、気化器は、液状の気化可能材料(例えば活性成分および/または不活性成分が、気化可能材料自体の溶液または液状の形態で懸濁または保持されている担体溶液)または固形の気化可能材料で使用されるように構成されてもよい。固形の気化可能材料は、(例えば気化可能材料がユーザーによる吸入のために放出された後で材料の一部が廃棄物として残るように)気化可能材料として固形の気化可能材料の一部を放出する植物ベースの材料または植物ベースでない材料を含むことができ、あるいは任意選択的に、固形材料のすべてが吸入のために最終的に気化され得るように、気化可能材料自体が固形形態であってもよい。液状の気化可能材料は、完全に気化され得るようなものであってもよいし、あるいは吸入に適する材料のすべてが消費された後で一部が残るような液体材料を含んでいてもよい。
【0021】
本対象の実施形態は、ユーザーがパフを取ることに応答して気化器デバイスを作動させるための現下で利用可能なアプローチに対して利点を提供することができる。代替的または付加的に、本対象の実施形態は、長期の動作性、メンテナンスの削減などに関して、そのようなデバイスの堅牢性を改善することができる。本明細書で明示的に記述されている別の利点および/または提供されている説明に照らして暗黙的か、そうでなければ内在的な別の利点も一般に、気化器デバイスにおいて生じ得る問題への対処に関連する場合があり、特に、それらの気化器デバイスは、気化可能材料を含んだ(またはそれを収容するように構成された)カートリッジと、カートリッジが取り外し可能に内部および/または上部に結合される気化器デバイス本体とを含むシステムに基づいている。一部の例では、取り外し可能に結合されたカートリッジは、気化器デバイス本体上のカートリッジ受け口内に挿入可能に受容されるカートリッジの(カートリッジ本体の一部または全部を任意選択的に含み得る)特徴を有することができる。取り外し可能に結合されたカートリッジおよび気化器デバイス本体の他の実施形態は、カートリッジ上の受け口内に挿入可能に受容される気化器デバイス本体の一部を含み得る。取り外し可能に結合されたカートリッジおよび気化器デバイス本体のさらに他の形態は、気化器デバイス本体のねじ付き雄部が対応するカートリッジのねじ付き雌部と嵌合するねじ付き接続部および/またはカートリッジのねじ付き雄部が対応する気化器デバイス本体のネジ付き雌部と嵌合するねじ付き接続部を含み得る。
【0022】
上記のように、所定の気化器デバイスは、液状の気化可能材料を収容するカートリッジの少なくとも一部を挿入可能に受容する気化器本体上のカートリッジ受け口を含む。他の気化器デバイスの構成には、本明細書で記述されたより一般的な概念のうちの1つ以上が含まれる場合があり、それらは、一部の実施形態では、改善されたガスケットおよび/または他の封止機能(例えば気化器デバイス本体の部品用)、電気接点に関するより良好な耐腐食性、パフ感知に対する改善されたアプローチなどのうちの1つ以上に関連している。そのような改善は、一部の例では、本対象の様々な発明の態様の説明および例示の一部として以下で説明する気化器デバイスとは1つ以上の態様において異なるものも含めた一般の気化器デバイスに、より汎用的に適用可能である。当業者は、本明細書で列挙されたものを含み得るがこれらに限定されない様々な利益を達成するために、これらの概念をどのように適用するかを容易に理解するであろう。
【0023】
気化器デバイスの起こり得る故障モードは、電源投入か、そうでなければ動作に対する完全な故障、断続的または不適切なパフ操作の感知、早期放電、または気化器デバイス本体を含めた気化器デバイス内に収容される電源の充電の部分的もしくは完全な故障などを含み得る。これらの故障モードの一部は、気化器デバイスの1つ以上のコンポーネントが液状の気化可能材料にさらされることによって引き起こされるか、そうでなければ加速される場合がある。例えば、回路基板、電源、充電回路および/または電源回路の一部である内部および/または外部の電気接点または回路などの気化器デバイスの所定の部品は、湿気による損傷、および/または液状の気化可能材料および/または凝縮水などの他の液体への曝露に起因する腐食を受けやすい場合がある。内部コンポーネントがそのような損傷にさらされるのを防止または少なくとも低減するために、気化器デバイスは、湿気に敏感なコンポーネントを収容する気化器デバイスの一部内への液体の浸入に対するバリアとして機能するように設計された1つ以上のガスケットまたは他の封止機能を含み得る。そのような封止機能は、例えば、気化器デバイスのユーザーによる酷使(例えば、その上に座るかまたはズボンのポケットなどに入れて座ることによる気化器デバイス本体の極端な屈曲または湾曲、硬い表面へのデバイスの落下など)、ガスケットまたは他の封止機能の(例えば熱膨張および/または収縮効果による)シフトを引き起こす温度変化、ガスケットまたは他の封止機能の構築に使用される材料と、気化可能材料の1つ以上の化学成分および/または他の環境要因との相互作用などの様々な要因のためにそのバリア機能が低下する可能性がある。
【0024】
例えば断続的または不適切なパフ操作の感知、蒸気供給の欠陥、気化器デバイスの完全な動作不能などの故障モードのうちの1つ以上もまた、あるいは、気化器デバイス本体とカートリッジとの間の回路を完成させる電気接点の損傷によって引き起こされる場合がある。例えば、その機能性として、液状の気化可能な材料および抵抗加熱素子を収容するカートリッジと、電子回路および電源(例えばバッテリー、ウルトラキャパシタ、燃料電池など)を収容する別個の気化器デバイス本体との取り付けを必要とする気化器デバイスは、特にこれらの接点が容易に清掃できるように配置または配列されていない場合、比較的少量の液状の気化可能材料でさえカートリッジ上および/または気化器デバイス本体上の電気接点との長時間の接触状態に入ることに起因して損傷しやすくなる場合がある。カートリッジは、(例えばその気化可能材料リザーバーが空になるか、そうでなければ枯渇した後で新しいカートリッジが交換できるように)かなり短時間で使い捨て可能および交換可能であることを考えると、カートリッジ上の接点への損傷は比較的軽微な問題である一方で、一般的に多数の使い捨てカートリッジを含めた長期間の使用向けに設計される場合がある気化器デバイス本体の内部または上部の電気接点への損傷は、長期的耐久性にとって重大な問題になる可能性がある。気化器デバイス上の電気接点への損傷に関連する潜在的な問題に加えて、気化器デバイスの他の部分が液状の気化可能材料にさらされることも、以下でさらに説明するように問題になる可能性がある。
【0025】
気化器デバイス本体とカートリッジとの間の回路を完成させるための電気接点は、カートリッジ受け口内に存在し得るものであり、そのため、これらの受け口電気接点は、気化器デバイスの使用を可能にするためにカートリッジと気化器本体とが結合された場合にカートリッジ受け口内に挿入可能に受容されるカートリッジの一部の対応するカートリッジ電気接点と接触するように構成され配列されている。カートリッジ内部か、そうでなければカートリッジの一部であるリザーバーからの液状の気化可能材料の漏れは、気化器本体のカートリッジ受け口内にカートリッジが挿入可能に受容された場合に、液状の気化可能材料がカートリッジの外側表面に存在することになりかねない。カートリッジが気化器デバイス本体に挿入可能に受容されるか、そうでなければ接続または結合されている間、液状の気化可能材料もまた、あるいはリザーバーから直接漏れる可能性があり、それにより、漏れた液状の気化可能材料は、カートリッジ受け口内またはその近傍で露出している気化器デバイス本体の任意のコンポーネントのすぐ近くに容易に運ばれる。本明細書での説明は、液状の気化可能材料を保持するためのリザーバーを含むカートリッジの少なくとも一部がカートリッジ内に挿入可能に受容される例示的な気化器デバイスを背景に提示されているが、そのような特徴は、以下で主張する対象においては、本質的に必要とされる範囲を除き、限定を意図したものではないことを理解されたい。
【0026】
現下で利用可能な一部の電子気化器デバイスの有用な特徴は、ユーザーがパフを取っているときを検出する能力であり、これは、本明細書では、気化器デバイスの気化チャンバを通して空気を引き込ませるような吸入と定義されている。このパフ検出機能は、ユーザーに、ボタンのプッシュや一部の他のアクションを実行させてデバイスに吸入可能なエアロゾルを生成可能にさせるのではなく、単にパフを取るだけでそのようなデバイスを操作できるようにさせる。パフ検出機能を有する気化器デバイスの様々な故障モードは、気化器デバイスのパフ検出システムの一部である圧力センサの故障または断続的な非機能性に起因するものを含み得る。一般に、圧力センサは、気化器デバイスの気化チャンバに空気を供給する空気流路にさらされるように配置されている。ユーザーがマウスピース上でパフを取り空気流路に沿って空気を引き込むと、これによって、気化器デバイスに空気を引き込む圧力低下が引き起こされる。この圧力低下は、圧力センサによって検出されており、この圧力センサは、気化器デバイスのコントローラー(例えばマイクロコントローラ、回路基板、他の制御回路など)に圧力変化を示す信号を提供する。コントローラーは、示された圧力変化がパフによって引き起こされたかどうかを決定するために信号を解釈することができ、そうであると決定された場合、コントローラーは、信号に応じて加熱素子(例えば抵抗加熱素子)を作動させることができる。加熱素子の作動は、電源から加熱素子への電力の供給を引き起こすことを含むことができる。コントローラーは、圧力低下が停止したことを示す、圧力センサからの信号に基づく決定に基づき、加熱素子を非作動化させることができる。一部の例では、パフ検出システムは、パフが継続していることを示すことができる(例えばパフが開始されているが、まだ終了していない)。
【0027】
現下で利用可能な一部の気化器デバイスは、圧力変化(例えば圧力低下または圧力低下の休止)を表す信号を生成するためにアナログ圧力センサを使用する。一部の例では、圧力センサは、例えばマイクロフォンで使用されるものと同様の容量性メンブレンなどの容量性メンブレンを含み得る。しかしながら、容量性メンブレンまたは同様のアナログ圧力センサは、液状の気化可能材料、水などの液体で汚染されると、誤動作しやすくなる場合がある。例えば、圧力センサを空気流路に接続する空気チャネルは、液体のカラムによって少なくとも部分的にブロックされる可能性がある。あるいは、アナログ圧力センサの容量性メンブレンと接触する液体は、メンブレンの容量特性を劇的に変化させる可能性があり、これにより、設計どおりの機能に支障をきたし、パフの適切な検出が妨げられる。
【0028】
ユーザーが気化器デバイス上でいつパフを取っているかを識別するための圧力センサの使用は、一般に、圧力センサと、パフ中に生成される空気流との間に空気接触があることを要する。一部の気化器デバイスでは、圧力センサは、気化可能材料のリザーバーから比較的長い距離に配置される場合がある。しかしながら、この配置は通常、空気流路が気化器デバイスの本体の一部の重要な部分を通過するようにすることで達成されており、それにより、ユーザーによって吸入された空気と気化器本体の内部電子機器および/または回路との接触が生じる。したがって、空気流路が気化器デバイス本体の内部のほとんどを避けることが望ましい場合がある。しかしながら、そうすると、気化チャンバの近傍に圧力センサを配置する必要があり、それにより、気化可能材料が圧力センサの近くにもたらされ、気化可能材料の漏れの可能性が高まる。このことは、液状の気化可能材料が容量性メンブレンと接触するため、圧力センサが不能状態に陥ることにつながりかねない。
【0029】
上記のように、本対象は、気化器デバイスについてのこれらの故障モードを低減もしくはむしろ排除することに関して有益であり得る様々な特徴に関する。以下の記述は、本対象の1つ以上の特徴を実施することができる例示的な気化器デバイスに関する。これらの例示的な気化器デバイスは、本対象によって提供される特徴の記述についての背景を提供するために記述されている。
【0030】
図1A~2Cは、例示的な気化器デバイス100,200、および本対象の実施形態に一致するそこに含まれ得る特徴を示す。
図1Aは、カートリッジ114を含む気化器デバイス100の概略図を示し、
図1B~
図1Eは、気化器デバイス本体101およびカートリッジ114とともに例示的な気化器デバイス100の図を示す。
図1Bおよび1Cは、カートリッジ114を気化器デバイス本体101に接続する前後の上面図を示す。
図1Dは、カートリッジ114と組み合わされた気化器デバイス本体101を含む気化器デバイス100の等角斜視図を示す。
図1Eは、液状の気化可能材料を保持するカートリッジ114の一変形形態の等角斜視図を示す。一般に、気化器デバイスがカートリッジ(カートリッジ114など)を含む場合、カートリッジ114は、気化可能材料(または任意選択的に複数の気化可能材料)を収容するように構成された1つ以上のリザーバー120を含み得る。ニコチンまたは他の有機材料の溶液ならびに(例えば溶媒に溶解されていない)1つ以上のニート化合物を含み得る組成物、混合物、製剤などを含めた任意の適切な気化可能材料が、カートリッジ114のリザーバー120(または複数のリザーバー)内に収容されていてもよい。
【0031】
上記のように、
図1に示す気化器デバイス100は、気化器デバイス本体101を含む。
図1に示すように、本対象の実施形態に一致する気化器デバイス本体101は、充電式または非充電式であり得る、バッテリー、コンデンサ、それらの組み合わせなどであり得る電源103を含み得る(例えばオンデマンド使用のために電気エネルギーを蓄積するデバイスまたはシステム)。プロセッサ(例えばプログラム可能なプロセッサ、特定用途向け回路など)を含み得るコントローラー105は、気化器デバイス本体101の一部として含まれていてもよい。気化器デバイス本体101は、電源103、コントローラー105などの気化器デバイス本体のコンポーネント、および/またはそのようなデバイスの一部として本明細書で記述された任意の他のコンポーネントなどの気化器本体のコンポーネントのうちの1つ以上を取り囲むハウジングを含み得る。気化器デバイス本体101およびカートリッジ114を含めた気化器デバイスの様々な実施形態では、カートリッジ114は、気化器デバイス本体101の上、内部、または一部内部に取り付けられてもよい。例えば、気化器デバイス本体101は、カートリッジ114が挿入可能に受容され得るカートリッジ受け口152を含み得る。
【0032】
コントローラー105のプロセッサは、ヒーター118の動作を制御する回路を含むことができ、該ヒーター118は、カートリッジ114内に、例えばカートリッジ114の一部であるリザーバーまたは容器内に収容される気化可能材料を気化させるための1つ以上の加熱素子を任意選択的に含むことができる。様々な実施形態では、ヒーター118は、気化器デバイス本体101内に、または(
図1Aに示されるように)カートリッジ114内に、またはその両方に存在し得る。コントローラー回路は、1つ以上のクロック(発振器)、充電回路、I/Oコントローラー、メモリなどを含み得る。代替的または付加的に、コントローラー回路は、ブルートゥース(登録商標)、近接場通信(NFC)、Wi-Fi、超音波、ZigBee,RFIDなどを含む1つ以上のワイヤレス通信モードのための回路を含み得る。気化器デバイス本体101は、メモリ125も含むことができ、このメモリ125は、コントローラー105の一部であるか、そうでなければコントローラーとデータ通信することができる。メモリ125は、揮発性のメモリ(例えばランダムアクセスメモリ)および/または不揮発性のメモリ(例えば読み取り専用メモリ、フラッシュメモリ、ソリッドステートストレージ、ハードドライブ、他の磁気ストレージなど)またはデータストレージを含み得る。
【0033】
さらに
図1を参照すれば、気化器デバイス100は、任意選択的に誘導チャージャーおよび/またはプラグインチャージャーを含めてチャージャー133(およびコントローラー105によって制御され得る充電回路)を含み得る。例えばユニバーサルシリアルバス(USB)接続は、気化器デバイス100を充電するために、かつ/またはコンピューティングデバイスとコントローラー105との間の有線接続を介した通信を可能にするために使用され得る。チャージャー133は、オンボード電源103を充電することができる。本対象の実施形態に一致する気化器デバイス100は、ボタン、ダイヤルなどの1つ以上の入力側117と、加速度計もしくは他の運動センサ、(例えば容量性、半導体ベースであり得る相対圧力センサおよび/または絶対圧力センサなどの)圧力センサ、流量センサなどの1つ以上のセンサを含み得るセンサ137とを含むこともできる。1つ以上のそのようなセンサ137は、ユーザーの取り扱いおよび相互作用を検出するために気化器デバイス100によって使用されてもよい。例えば、気化器デバイス100の急速な動き(シェーキング運動など)の検出は、ユーザーデバイスとの通信を開始するためのユーザコマンドとして(例えばセンサ137のうちの1つ以上からの信号の受信を通じて)コントローラー105によって解釈され得る。ユーザーデバイスは、気化器システムの一部であり、以下でより詳細に説明するように、気化器デバイス100の1つ以上の動作および/またはパラメータを制御するために使用することができる。付加的または代替的に、気化器デバイス100の急速な動き(シェーキング運動など)の検出は、カートリッジ114内に保持された気化可能材料がヒーター118の作用によって加熱される複数の温度設定を通じて循環させるためのユーザコマンドとして(例えばセンサ137のうちの1つ以上からの信号の受信を通じて)コントローラー105によって解釈され得る。一部の任意選択的な変形形態では、複数の温度設定を通じた循環中の(例えばセンサ137のうちの1つ以上からの信号の受信を通じた)コントローラー105によるカートリッジ114の取り外しの検出は、温度を確立するように作用し得る(例えば周期が所望の温度にあるとき、ユーザーは所望の温度の設定のためにカートリッジ114を取り外すことができる)。次いで、カートリッジ114は、選択された温度設定と一致する、コントローラー105によって制御されたヒーターによる気化器デバイス100の使用を可能にするために、ユーザーによって気化器デバイス本体101と再嵌合され得る。複数の温度設定は、気化器デバイス本体101上の1つ以上のインジケータによって示されてもよい。圧力センサは、上記のように、パフの開始、終了、または継続のいずれかの検出に使用され得る。
【0034】
本対象の実施形態に一致する気化器デバイス100は、1つ以上の出力側115を含むことも可能である。本明細書で使用される出力側115は、光学式(例えばLED、ディスプレイなど)、触覚式(例えば振動など)、または音響式(例えば圧電など)、フィードバックコンポーネントなど、またはそれらの一部の組み合わせのいずれかを指し得る。
【0035】
カートリッジ114を含む本対象の実施形態に一致する気化器デバイス100は、カートリッジが気化器デバイス本体101に嵌合するときに、カートリッジ114上の補足的なカートリッジ接点119,121,123(例えばピン、プレート、ソケット、嵌合受け口、または他の接点と電気的に結合するための他の特徴など)を嵌合させ得る、気化器デバイス本体101上のもしくはその内部の(
図1Aに示す)気化器デバイス本体電気接点109,111,113などの1つ以上の電気接点(例えばピン、プレート、ソケット、嵌合受け口、または他の接点と電気的に結合するための他の特徴など)を含み得る。気化器本体101上の接点は、一般に本明細書では「気化器本体接点」とも称され、カートリッジ114上の接点は、一般に本明細書では「カートリッジ接点」とも称される。これらの接点は、ヒーター118がカートリッジ114内に含まれた本対象の実施形態では、電源103からヒーター118にエネルギーを供給するために使用され得る。例えば、カートリッジ接点および気化器本体接点が、カートリッジ114を気化器デバイス本体101に結合することによってそれぞれ嵌合される場合、電気回路は、気化器デバイス本体101内の電源103からカートリッジ114内のヒーター118への電力の流れが制御できるように形成され得る。気化器デバイス本体101内のコントローラー105は、ヒーター118がカートリッジ114内に収容された気化可能材料を加熱する温度を制御するために、この電力の流れを調整することができる。
【0036】
3つの気化器デバイス本体接点109,111,113および3つのカートリッジ接点119,121,123が示されているが、本対象の所定の実施形態は、電気回路を完成するために各タイプの接点のうち2つだけを使用することができる。この電気回路は、電源103からヒーター118への電力供給のために、そして任意選択的にヒーター内の加熱素子の温度を測定するためにも使用することができ(例えば加熱素子への電流通流を一時的かつ断続的に遮断し、これらの短い中断の間に加熱素子の抵抗を測定し、測定された抵抗から熱抵抗係数を用いて温度を取得することにより)、かつ/または任意の識別子138とコントローラー105との間のデータ伝送のために使用することができる。代替的または付加的に、付加的接点(例えば任意の接点113および123、これらはカートリッジおよび気化器デバイス本体各々の1つより多くの付加的接点であり得る)を、データの受け渡し、温度の測定、圧力センサの測定(例えば圧力センサがカートリッジに含まれる一方でコントローラー105は気化器デバイス本体101内に含まれている場合など)のために含めることができる。
【0037】
空気流路(
図1Eの150)は、空気をヒーターに配向することができ、そこでは、空気が、リザーバー120からの気化された気化可能材料と組み合わされ、それにより、カートリッジ114の一部でもあり得るマウスピース144を介してユーザーに供給するための吸入可能なエアロゾルが生成される。空気流路150は、一部の例では、以下でさらに説明するように、カートリッジ114の外表面と気化器デバイス本体101のカートリッジ受け口の内表面との間を通過し得る。
【0038】
複数のピン(例えばポゴピン)、プレートなどを含む任意の互換性のある電気接点を使用することができる。さらに、以下で説明するように、本対象の一部の実施形態では、単方向通信または双方向通信が、気化器デバイス本体101とカートリッジ114との間で1つ以上の電気接点を介して提供されている。これらの電気接点は、電源103から抵抗加熱素子などの加熱素子を含み得るヒーター118にエネルギーを供給するために使用される電気接点を含み得る。カートリッジ114および気化器デバイス本体101は、例えば、カートリッジ114のハウジングの一部を、気化器デバイス本体101および/または気化器ハウジングに(例えばスナップおよび/または摩擦ばめなどの)機械的な接続を介して嵌合することにより、取り外し可能に一緒に結合することができる。代替的または付加的に、カートリッジ114および気化器デバイス本体101は、磁気的に、または一部の他の結合または嵌合機構を介して結合されてもよい。その他の接続タイプも、2つ以上の接続タイプの組み合わせと同様に本対象の範囲内である。
【0039】
図1B~
図1Fは、気化器デバイス本体101およびカートリッジ114を有する気化器100の例を示す。これら2つは、
図1Bでは接続されていない状態、
図1Cでは接続されている状態で示されている。
図1Dは、結合された気化器デバイス本体101およびカートリッジ114の等角斜視図を示し、
図1Eおよび
図1Fは、2つの異なる視点からの個々のカートリッジ114を示す。
図1B~
図1Fは、
図1Aに一般的に示される特徴の多くを含んだ例示的なカートリッジベースの気化器デバイスを組み合わせで示す。本明細書で記述された特徴の一部またはすべてを含む他の構成も、本対象の範囲内である。
図1Dは、気化器デバイス本体101のカートリッジ受け口152内に結合されたカートリッジ114を有する気化器デバイス100を示す。本対象の一部の実施形態では、リザーバー120は、全体または一部が半透明の材料から形成されてもよく、それにより、気化可能材料のレベルがウィンドウ158から可視となる。カートリッジ114および/または気化器デバイス本体101は、カートリッジ114がカートリッジ受け口152によって挿入可能に受容されたときにウィンドウ158が可視のままであるように構成されてもよい。例えば、一例の構成では、ウィンドウ158は、カートリッジ114がカートリッジ受け口152と結合されたときに、マウスピース144の底縁部と気化器デバイス本体101の上縁部との間に配列されてもよい。
【0040】
図1Eは、カートリッジ114の外側からヒーター118を通過して(例えばヒーター118を含むかまたは収容する気化チャンバを介して)、吸入可能なエアロゾルを供給するためのマウスピース144までのユーザーのパフによって引き込まれるべき空気に関する空気流路150の例を示す。マウスピースは、任意選択的に、吸入可能なエアロゾルが供給される複数の開口部を有することができる。例えば、カートリッジ受け口152は、カートリッジ114の挿入可能端部154が当該カートリッジ受け口152内に挿入可能に受容され得るように気化器デバイス本体101の一方の端部に存在してもよい。このカートリッジ挿入可能端部154がカートリッジ受け口152に完全に挿入された場合、カートリッジ受け口152の内表面は、空気流路150の一部の一方の表面を形成し、カートリッジ挿入可能端部154の外表面は、空気流路の当該部分の他方の表面を形成する。
【0041】
図1Eに示すように、この構成により、空気は、カートリッジ挿入可能端部154をめぐってカートリッジ受け口152内に引き込まれるように流れ、次いで、それが気化器チャンバおよびヒーター118に向かってカートリッジ本体内に入るように、カートリッジ114の挿入端部(例えばマウスピース144を含む端部とは反対側の端部)をめぐって通過後、反対方向に戻される。その際、空気流路150は、カートリッジ114の内部を通って、例えば1つ以上の管路または内部チャネルを介して、マウスピース144に形成された1つ以上の出口156に進む。円筒形状を有さないカートリッジ114については、マウスピース144も同様に円筒形でなくてもよく、さらに1つよりも多くの出口156がマウスピースに形成され、任意選択的にカートリッジ114の2つの横軸のうちの長い方に沿って一列に配置されてもよい。ここで、カートリッジの長手方向軸は、カートリッジ114が気化器デバイス本体101に挿入可能に受容されるか、そうでなければ結合されるように移動する方向に沿って配向されており、2つの横軸は相互におよび長手軸に対して垂直である。
【0042】
図1Fは、本対象に一致するカートリッジ114に含まれ得る付加的な特徴を示す。例えば、カートリッジ114は、気化器デバイス本体101のカートリッジ受け口152に挿入されるように構成された挿入可能端部154上に配列された2つのカートリッジ接点119,121を含むことができる。これらのカートリッジ接点119,121は、任意選択的にそれぞれ抵抗加熱素子の2つの端部のうちの1つに接続された導電性構造部159,161を形成する単一の金属片の一部であってもよい。これらの2つの導電性構造部は、任意選択的に加熱チャンバの反対側を形成することができ、また、カートリッジ114の外壁への熱の伝達を低減するために熱シールドおよび/またはヒートシンクとして機能することも可能である。
図1Fは、また、2つの導電性構造部159,161とマウスピース144との間に形成された加熱チャンバ間の空気流路150の一部を定めるカートリッジ114内の中央管路162も示す。
【0043】
上述のように、カートリッジ114および任意選択的に気化器デバイス本体101は、任意選択的に、ほぼ矩形、ほぼ菱形、ほぼ三角形もしくは台形、ほぼ楕円形の形状などを含めて想定される様々な横長の(例えば気化器デバイス100の長手軸に直交する2つの横軸のうちの1つが他よりも長い)断面形状を有する、非円形の断面であってもよい。この文脈における「ほぼ」の使用は、断面形状のどの頂点も鋭角である必要はないが、代わりにゼロでない曲率半径を有することができ、そして、そのような頂点間のどの表面も完全に平坦である必要はないが、代わりに無限でない曲率半径を有し得ることを想定することは当業者であるならば十分に理解するであろう。
【0044】
図2A~
図2Cは、気化器デバイスがカートリッジベースでない本対象の例示的な実施形態に関する。
図2Aは、カートリッジを使用しないが(ただし、まだ任意選択的にカートリッジの受け入れは可能)、代わりに(または付加的に)ルーズリーフ式の材料または一部の他の気化可能材料(例えば固体、ワックスなど)を使用するように構成され得る気化器デバイス200の概略図を示す。
図2Aの気化器デバイス200は、オーブン220(例えば気化チャンバ)内で、ルーズな気化可能材料、ワックス、および/または一部の他の液状もしくは固形の気化可能材料などの気化可能材料を受容するように構成され得る。
図1A~1Eに示されるカートリッジ114を使用する気化器デバイス100内に存在するものと同様の多くの要素は、カートリッジの使用を必要としない気化器デバイス200の一部として含まれていてもよい。例えば、気化器デバイス200は、1つのハウジング内で、電力制御回路、および/またはワイヤレス回路207、および/またはメモリ125を含み得る制御回路105を含み得る。ハウジング内の電源103(例えばバッテリー、コンデンサなど)は、チャージャー133によって充電され得る(さらに図示されていない充電制御回路を含んでいてもよい)。この気化器デバイス200もまた、カートリッジベースの気化器デバイス100に関して上記で説明したセンサのうちの1つ以上を含み得るセンサ137とともに1つ以上の出力側115および1つ以上の入力側117を含み得る。付加的に、この気化器デバイス200は、オーブン220または他の加熱チャンバであり得る、気化チャンバを加熱する1つ以上のヒーター118を含み得る。ヒーター118は、例えばヒーターの抵抗率の温度係数を用いることによってヒーターの温度を決定するためにヒーター118の抵抗を用いて制御することができる。マウスピース144は、生成された吸入可能なエアロゾルをユーザーに供給するために、そのような気化器デバイス200内に含まれていてもよい。
図2Bは、気化器デバイス本体201を有する例示的な気化器デバイス200の側面等角斜視図を示す。
図2Cの底面等角斜視図では、蓋230は、気化器本体201から離れて示され、オーブン/気化チャンバ220はさらされている。
【0045】
図3A、
図3B、
図3C、および
図4はそれぞれ、外部上面図(
図3A)、内部コンポーネントを明らかにするために外側シェルを透明化して示した切開上面図(
図3B)、外側シェルを取り外した上面図(
図3C)、および側面/上面等角断面図(
図4)からの気化器デバイス本体101の図を示している。気化器デバイス本体101は、この例では、可視インジケータ(例えば光、発光ダイオード、ライトパイプ、光ファイバーデバイスなど)がデバイス状態に関するフィードバックをユーザーに提供できるポート302(例えば外側シェル303の開口部、ウィンドウなど)を含む外側シェル303を含んでいる。ポート302は、
図3A、
図3B、
図3C、
図4のすべてに表されている。
図3Aおよび
図3Bの図は、気化器デバイス100を使用に関して構成するためにカートリッジ受け口152内に挿入可能に受容されるカートリッジ114の例を示す。
図3Bおよび
図3Cの図も、気化器デバイス本体101内に配置された電源103、ならびに圧力センサ304、ガスケット306、またはカートリッジ受け口152と気化器デバイス本体101の様々な内部コンポーネントとの間にバリアを提供する他の封止機能を示す。圧力センサ304が配置され、ガスケット306は、圧力センサがチャネル310(例えばギャップ、通路、またはその長手方向に沿った空気圧力の変化の迅速な伝送を可能にする一部の他の接続)を介してカートリッジ受け口152内の空気にさらされるような形状であり、それによって、圧力センサは、空気および/またはガスケット306の外側に存在する他の環境要因にさらされる。
【0046】
ユーザーが気化器デバイス上でいつパフを取っているかを識別するための圧力センサの使用は、一般に、圧力センサと、パフ中に生成される空気流との間に接触があることを必要とする。一部の気化器デバイスでは、圧力センサは、気化可能材料のリザーバーから比較的長い距離に配置される場合がある。しかしながら、この配置は通常、空気流路が気化器デバイスの本体の一部を通過するようにすることで達成されており、それによって、ユーザーによって吸入された空気と気化器本体の内部電子機器および/または回路と密接に接触する。そのような配置は、例えば到来する空気からの湿気、ほこりなどが気化器デバイスの敏感な内部電子機器に堆積する可能性があるため、長期のデバイス機能にとって望ましくない場合がある。圧力センサ(例えばパフ検出器)をリザーバーの近く(例えばリザーバー120を収容するカートリッジ114が気化器デバイス本体101内に挿入または受容されている場所の近く)に配置することは、気化器デバイス本体の内部機能部にわたる空気流の回避によりこの問題を緩和することができる。しかしながら、圧力センサのこの配置は、液状の気化可能材料などに、よりさらされやすくなる可能性があり、このことは、上記で説明しようにアナログ圧力センサが不能状態に陥ることにつながりかねない。
【0047】
カートリッジ受け口152内に挿入可能に受容されるカートリッジ114内への空気流は、本対象のいくつかの実施形態では、
図3Bに示すように、カートリッジ114の(例えばカートリッジ受け口152内に挿入可能に受容されるカートリッジ114の一部の外表面における)側壁とカートリッジ受け口152の内壁との間のギャップを通る空気流路150を流れることができる。カートリッジ受け口152内から、空気は、マウスピース144の反対側にあるカートリッジの端部にもしくはその近傍に配置された1つ以上の空気入口を介して、カートリッジ114内に流れ込むことができる。カートリッジ受け口152内の空気を圧力センサ304に接続するチャネル310が
図3Bおよび
図3Cに示されている。この構成は、一般に、カートリッジ受け口152内で発生するかそこに存在する圧力変化にさらすべき(したがって、湿気、気化可能材料の漏れ、汚れなどの環境要因にもさらされるべき)圧力センサ304の配置として説明することができる。
【0048】
カートリッジ受け口152は、
図3Bおよび
図3Cに示されるように、チャネル310と同様に、電気接点も含むかまたは収容している。このチャネル310を介してカートリッジ受け口152内の圧力変化は、アナログ圧力センサ304によって測定される。
図3Bおよび
図3Cに示す電気接点は、2つの「ピン」109,111を含み、これらのピン109,111は、カートリッジ上の対応する接点119,121と電気的に結合するように構成されている。本対象の一部の実施形態では、カートリッジ114は回転対称であってもよく、2つの電気接点119,121は、カートリッジ114が2つの配向方向のいずれかでカートリッジ受け口152内に挿入可能に受容され得るように同等であってもよい。
【0049】
上記のように、アナログ圧力センサ(例えば、容量性センサ、マイクロフォンなど)を利用する気化器デバイス100の潜在的な故障モードは、液体への曝露かまたはアナログ圧力センサ304をカートリッジ内の空気流に連通させるチャネル310の他の汚染の結果として起こり得る。本対象の一部の実施形態では、例えば、微小電気機械システム(MEMS)または他の半導体ベースのセンサなどの絶対圧力センサを、アナログセンサの代わりに使用することができる。半導体ベースのセンサなどは、圧力センサが現下でさらされている絶対圧力を表す信号または値を返すデジタルコンポーネントであり得る。そのようなセンサは、アナログ圧力センサよりも液状の気化可能材料への曝露の影響を本質的に受けにくい防水性にすることができる。
図5は、本明細書で説明されるような気化器デバイス100内に含めるために、自身の上に取り付けられた容量性センサ304(例えばアナログ圧力センサ)を有する回路基板500の例を示す。この回路基板500は、気化器デバイス100内でアナログ圧力センサ304をどのように構成できるかについての単なる一例であるが、当該回路基板500が気化器デバイス本体101内に組み込まれるときに、ガスケット306上の受容機能に合うように取り付けられたアナログ圧力センサ304を含む。
【0050】
本対象の様々な実施形態で提供されたこの設計の改善が
図6に示されており、これは、
図5のアナログ圧力センサ304が絶対圧力センサ604に置き換わっている異なる回路基板600の特徴を示す。図示のように、絶対圧力センサ604を有する回路基板600は、回路基板500上のアナログ圧力センサ304と同様の位置に絶対圧力センサ604が配置されるように構成され得る。このようにして、絶対圧力センサ604が、回路基板500上のアナログ圧力センサ304と同様の方法で、ガスケット306上の受容機能に適合するように構成することができる。絶対圧力センサ604は、従来の容量性センサよりも5倍以上も高感度であり得る。付加的に、MEMSまたはその他の半導体ベースの圧力センサは、現下で採用されているアプローチに比べて、測定の再現性(精度など)の大幅な改善を提供することもできる。
【0051】
半導体ベースの絶対圧力センサ604あるいは液体への曝露によって無効もしくは動作不能にされない他の同様のデバイスは、曝露に起因する上記の問題に容易に対処できるが、そのようなデバイスの使用は、他の課題を提示し得る。例えば、アナログ圧力センサ304、特に、メンブレンのいずれかの側の圧力差に反応して動くメンブレンの容量測定を介して機能するものは、チャネル310などを介して、カートリッジ114内への空気流にさらされたメンブレンの第1の側の局所的な圧力変化と、ベンチュリ効果(例えば比較的高速で移動している間の車両ウィンドウ、強風にさらされているボートやその他の構造物のドアなどの開放によって引き起こされる可能性があるもの)、圧力波(例えば電車などの車両がトンネルや他の制約された空気容積内に入ることによって引き起こされる可能性があるもの)などの高度変化によって引き起こされる可能性のある周囲圧力変化との間で容易に区別できる相対圧力測定を提供する。絶対圧力センサ604によって生成された信号が、パフが発生しているかどうかの判定のためにのみ使用されているならば、誤肯定の可能性は、相対圧力センサを用いた場合よりも大きい。半導体ベースの絶対圧力センサ604の他の利点に照らせば、本対象は、一部の実施形態では、付加的なセンサと、パフが発生しているかどうかを絶対圧力センサ604からの入力ならびに1つ以上の他のセンサからの入力に基づいて判定するためのファームウェアおよび/またはソフトウェアとを含むことができる。1つ以上の他のセンサは、第2の圧力センサと、任意選択的に圧力以外のものを測定する1つ以上のセンサとを含むことができる。
【0052】
一例では、気化器デバイス本体101は、コントローラー105に信号を提供する付加的な絶対圧力センサ606を含むことができる。それにより、少なくとも2つの絶対圧力センサからの信号処理によって仮想相対圧力センサを作成することができる。この付加的な絶対圧力センサ606は、気化器デバイス100が現下でさらされている周囲圧力を測定するように配置してもよい。一部の例では、付加的な絶対圧力センサ606は、回路基板600上で、当該付加的な絶対圧力センサ606がカートリッジ受け口152内の圧力にさらされるのではないが、代わりに付加的な絶対圧力センサを周囲圧力にさらすための1つ以上の開口部を有し得る(あるいはそうでなければ相対的に完全には密閉されていないだけの)気化器デバイス本体101内の圧力にさらされるように配置されてもよい。代替的に、付加的な絶対圧力センサ606は、例えばチャネル、ポート、開口部、またはシェルなどを介してさらされることにより、気化器デバイス100のシェルの外側の周囲空気および周囲圧力に直接さらされるように配置、配列してもよい。
【0053】
絶対圧力センサ604および付加的な絶対圧力センサ606からの信号は、気化器デバイス100のコントローラー105で受信されてもよい。このコントローラー105は、周囲圧力に対する絶対圧力センサ604の圧力変化を決定するか、そうでなければ識別するためにこれらの信号を使用でき、それによって、絶対圧力センサ604により検出される、パフまたは空気流に起因する圧力変化に関連しない圧力変化を除外するロジックを実施することができる。代替的または付加的に、このロジックは、例えば、論理ゲートを形成する一連のトランジスタを介して、またはソフトウェア、ハードウェア、および/またはファームウェアの一部の組み合わせによって、直接ハードウェアで実施されてもよい。一部の例では、このロジックは、絶対圧力センサ604と付加的な絶対圧力センサ606の両方によって測定された絶対圧力を比較すること、ならびに絶対圧力センサ604からの信号が、付加的な絶対圧力センサ606によって示される圧力低下よりも大きい、一部の量(例えば絶対量、分別量など)の圧力低下を示したときにパフが発生していることを判定することを含み得る。このようにして、付加的な絶対圧力センサ606からコントローラーで受信された信号は、コントローラーがそうでなければパフを示すものとして解釈するであろうが、代わりに周囲圧力の変化に起因し得る絶対圧力センサ604からの信号を拒否するゲーティング信号として機能し得る。
【0054】
本対象の実施形態に一致する気化器デバイスは、不適切なパフ検出を引き起こす可能性がある他の要因の影響を受ける場合もある。例えば、上述のような絶対圧力センサ604は、防水性および/またはそうでなければ不浸透性であるか、あるいは液状の気化可能材料などの液体にさらされたときに動作不能になるか、そうでなければ誤動作することに対する少なくとも耐性があり得るものであっても、ガスケットチャネル310または同様の構造部内の流体の存在は、気化器デバイス100の配向方向に依存して絶対圧力センサ604によって検出される異なる圧力測定の読出しを結果的にもたらす圧力カラムとして作用する場合がある。換言すれば、仮に、液体のカラムがチャネル310内に存在していて、重力がこのカラムを絶対圧力センサ604の方向に引き寄せるように気化器デバイス100が配向されている場合、この絶対圧力センサ604は、重力、求心力などがこのカラムを絶対圧力センサ604から引き離すように気化器デバイス100が配向されている場合よりも大きな絶対圧力を検出する可能性がある。この作用は、仮に、ユーザーが気化器デバイスを円弧に沿って振り、それが、そのような液体のカラムの絶対圧力センサ604から離れる動きの運動量などを引き起こしていて、チャネル310内の液体のカラムが絶対圧力センサ604から重力によって引き離されるように気化器デバイスが回転している場合、絶対圧力センサ604によって示される見かけの圧力低下をもたらす可能性がある。この種の見かけの圧力低下は、ユーザーがデバイス上でパフを取ることに関連していない可能性がある。本対象の様々な任意選択的な特徴は、これらの要因または同様の作用の1つによって引き起こされる圧力低下がパフを取るユーザーを示すものではないことを見分ける際のコントローラー105または論理実施機能を支援するために、気化器デバイスに組み込まれてもよい。例えば、1つ以上の付加的なセンサからの信号は、上述のロジックに含めることができる。本対象の一部の実施形態では、加速度計または他の運動感知デバイスは、制御ロジックによって解釈される信号を提供することができる。周囲圧力に対する圧力低下が、絶対圧力センサ604および付加的な絶対圧力センサ606からの信号によって示されている場合、実施されたパフ検出ロジックは、検出された圧力低下が、空気流に関連する圧力低下を不適切に示す可能性がある付加的な要因に関連しているかもしれないことを、気化装置の任意の他のセンサが示したかどうかの決定をさらに含めることができる。この決定が、検出された圧力低下についての別の原因を示すならば、コントローラーまたは他の実施されたロジックは、見かけのパフを拒否することができる。
【0055】
コントローラー105または他のロジックが、パフが発生していることを判定した場合、この判定は、電源からの電流が、リザーバー120内の気化可能材料の一部の量を気化させるための加熱を提供する抵抗ヒーターに供給されることを引き起こし、それによって、マウスピース144およびその中の出口156への空気流路に沿って流れる空気中に吸入可能なエアロゾルが生成されることを引き起こすことができる。
【0056】
カートリッジ114および気化器デバイス本体101を含む気化器デバイス100に関する上記の説明からは、当業者であるならば、カートリッジの使用を必要としない(例えば気化可能材料が加熱のためにオーブン220に挿入される場合があるため)気化器デバイス200においても絶対圧力センサ604の使用が利点となり得ることは容易に認識されることを理解されたい。上記のように、そのような圧力センサは、感度がより高い場合があり、環境要因によって損傷したり、動作不能になったりする傾向が少ない。そのような気化器デバイスでは、絶対圧力センサ604は、空気入口、気化チャンバ(例えばオーブンなど)、およびマウスピース144内にあり得る出口を接続する空気流路にさらされるように配置可能である。付加的な絶対圧力センサ606は、周囲圧力にさらされるように配置可能である。他のセンサ(例えば運動センサなど)は、任意選択的に、パフが発生しているかどうか、または絶対圧力センサ604からの信号が他の要因による影響を受けているかどうかを判定するために、制御ロジックによって使用される信号を提供することもできる。
【0057】
本対象の実施形態は、基板レベルで圧力センサの機能性のチェックを可能にすることもできる。なぜなら、絶対圧力センサ604は、絶対圧力の直接的なデジタル出力信号を提供するので、デバイスは、テストのためにデバイスの完全な組み立てを要求するのではなく、回路基板または他の内部電子機器の組み立て直後にそのようなセンサの正確な機能についてテストすることができる。この能力は、エラー検出が生産プロセスのはるかに早い段階で実施することができるので、より効率的な製造における利点を提供し得る。
【0058】
付加的に、気化器デバイスで使用するための本明細書で記述された絶対圧力センサは、水または他の液体にさらされた場合でも機能し得るため、例えばシェル303内の内部容積の外側の空気とのアクセスを伴う付加的な絶対圧力センサ606の配置を行い、内部容積全体(例えば電源103,任意の回路など)を液体もしくは他の環境要因の浸入から封止する1つ以上のガスケットまたは封止機能を提供することによって、気化器デバイス本体101全体を防水性の仕様にすることが可能になる。
【0059】
本対象の一部の実施形態では、気化デバイス上の高精度/絶対圧力センサは、デバイスに他の機能の提供を可能にさせることができる。例えば、空気流路150が既知のよく特徴付けられたオリフィスサイズを含む気化器デバイスでは、ユーザーがパフを取ることから生じる圧力低下の正確な測定は、空気速度および体積流量を計算するために使用することができる。空気流体積の正確な測定は、所定の空気量で生成される吸入可能なエアロゾルの量の制御のために、ヒーターの温度(または単位時間あたりの蒸気相に変換される気化可能材料の量に影響を与える任意の他の要因)の制御と組み合わせて使用することができる。この能力は、気化器デバイスに、異なるパフ強度にわたって一貫したエアロゾル濃度の提供を可能にさせる。付加的に、付加的な絶対圧力センサ606からの情報は、周囲圧力に関する補正、例えば空気流量に対する大気圧の影響に関する補正などを可能にさせる。
【0060】
これらの能力に関連するさらなる改善は、パフを検出するための可変トリップ閾値の有効化を含み得る。一例では、デバイスは、サンプル(例えばテスト)パフまたは一連のサンプルパフを取るようにユーザーに促すことができ、それによって、デバイスは、ユーザーのパフパワーがどのくらい強いか(または弱いか)に関する情報を特徴付けて記憶することができる。この情報を用いることにより、気化器デバイスは、パフを示すために要する圧力低下のサイズを変化させることができ、それによって実際のパフがより良好に検出され、ユーザーのパフ操作の検出における誤肯定が拒否される。さらに、この能力は、比較的弱いパフに関する低域パフ検出閾値の有効化によって、デバイスに、パフ検出の見逃しを防止させることもできる。
【0061】
気化器デバイス100内のガスケット306または他の封止機能に関して、本対象は、以前の利用可能なアプローチを超える改善を提供することも可能である。そのようなガスケット306の一部の潜在的な故障モードは、ガスケット材料上の機械的、熱的、および/または化学的影響によって引き起こされるガスケット306の変形に起因する可能性がある。機械的要因によるガスケット306の変形は、気化器デバイスシェル303の屈曲、気化器デバイスの落下、カートリッジ114を任意の不適切な角度でカートリッジ受け口152に挿入する際に用いられた過剰な圧力などに起因し得る。そのような問題から保護するために、ガスケット706は、
図7B、
図7C、および
図8の図に示されているように複数の冗長的な支持リブ710を含み得る。
図7Aは、
図3Aに示されるものと同様の図を示し、
図7Bおよび
図7Cの図との参照のために提供されている。
【0062】
代替的または付加的に、1つまたは複数の支持リブ710は、ガスケット706の遠位側に配置することができ、ここで、このガスケット706の遠位側は、カートリッジ受け口152に最も近いガスケットの側の反対側にある。支持リブの配置は、気化器デバイス本体101のシェル303と内部スケルトン712との間の付加的な補強を提供することができる。
【0063】
ガスケット706は、例えば植物性グリセリン、プロピレングリコール、油などの非水溶媒との接触により生じ得る膨潤または他の化学的に誘発された変化に耐性のある材料で形成されてもよい。一部の例では、ガスケット706は、シリコンで形成されてもよい。他の例では、ガスケット706は、シリコーン70A、NBR 70A、NANCAR1052 70A、80%シリコーン/20%フルオロシリコーン70Aの混合物などのうちの1つ以上から形成されてもよい。
【0064】
さらに、上記のように、気化器本体内の電源とカートリッジ内の加熱素子との間の回路を完成する電気接点は、電気伝導の間も液体(液状の気化可能材料など)との接触により生じる様々な故障モードを有する場合がある。例えばこれらの接点上の耐食性メッキまたはコーティングは、そのようなガルバニック作用によって侵食されたり、完全に破壊されたりする場合さえある。さらに、スプリング負荷式の電気接点については、スプリング自体、プランジャーバレルなどの接点の他の要素も、腐食関連の故障および/または過度の加熱または他の損傷を受ける可能性がある。
【0065】
図9は、例示的な気化器デバイス本体101の内部コンポーネントの様々な特徴を表す等角図を示す。図示のように、2つの気化器デバイス本体電気接点109,111は、相補的カートリッジ接点119,121(
図9中には示されていない)を有するカートリッジを受容するように構成されたカートリッジ受け口容積152内へ延びている。気化器デバイス本体電気接点109,111は、本対象の一部の実施形態では、各ピンのプランジャーを上方に付勢して、対応する相補的カートリッジ接点119または121と接触させる内部スプリングを任意選択的に備えた「ポゴ」スタイルのピンであってもよい。本対象の実施形態は、例えば以下で説明するような、1つ以上の耐水性機能を含むことができる。
【0066】
図10は、本対象の実施形態に一致するスプリングピン1000の特徴を示した図を示す。図示のように、そのようなピンは、バレル1002と、該バレル1002の軸線1006に沿って移動可能なプランジャー1004と、該プランジャーをカートリッジ接点119または121などの他の表面に内部接触させ得る付勢力を提供するために当該軸線1006に沿って外向きに当該プランジャー1004を付勢するスプリング1010とを含み得る。
【0067】
プランジャー1004に対する損傷は、腐食、摩耗、異物汚染などのために起こり得る。そのため、本対象の所定の実施形態では、気化器デバイス本体101上で使用するための電気接点が、耐水性機能を含むことによって改善され得る。この耐水性機能は、アップグレードされた耐食コーティング、拡張された接触面、および構造的特徴(例えば変更された構造)のうちの1つ以上を任意選択的に含み得る。構造的特徴は、スプリング駆動特徴および/または2つ以上の機械部品の他の1つに対する移動を必要とする特徴の排除を含み得る。
【0068】
耐水性機能の一例では、スプリング1010は、プランジャー1004および/またはバレル1002よりも低い全体的な導電率を有する材料で形成(または代替的にはコーティング)されてもよい。このようにして、スプリング1010は、電流通流の影響を受けにくくすることができ、これによって、スプリングの腐食および/または過剰な加熱の可能性を低減させることができる。
【0069】
本対象の他の実施形態では、気化器デバイス本体電気接点109,111は、(例えば、スプリングまたは他の付勢機能なしの)固体接点として形成することができる。この例に一致する相補的なカートリッジ接点119,121は、カートリッジが気化器デバイス本体101に結合された場合にピンとの安定した接触を可能にする可撓性または弾性的特徴を有する。
【0070】
図11は、本対象の実施形態に一致する例示的な圧力センサ概略
図1100を示す。図示のように、PS1 604は、ガスケット内のチャネルを通ってデバイスのポッドにルーティングされた「パフ」センサである。PS2 606は、周囲圧力センサである。一部の実施形態では、PS1 604は、ガスケットへの嵌合の容易さを高めるために金属缶ハウジングを含み得る。PS1 604は、下方のセラミック基板上の実際のセンサを保護し、電子ジュースがセンサに損傷を与えるのを防ぐために、缶の内部に「ゲル」を含むことも可能である。
図11に示すコンデンサは、各圧力センサPS1 604およびPS2 606用の電源バイパスコンデンサである。圧力センサPS1 604およびPS2 606は、I2Cまたは他のバス(
図11に示すようなSCL 1110/SDA 1120)を介してコントローラーに通信可能である。
【0071】
図12を参照すれば、プロセスフローチャート1200は、方法の特徴を示しており、この方法は、任意選択的に以下の一部またはすべてを含むことができる。ステップ1210では、気化器デバイスの絶対圧力センサ(例えば絶対圧力センサ604)からの第1の信号と、気化器デバイスの付加的な圧力センサ(例えば付加的な絶対圧力センサ606)からの第2の信号とが、気化器デバイスの電子回路で受信される。第1の信号は第1の圧力を表し、第2の信号は第2の圧力を表す。絶対圧力センサは、気化器デバイス本体の外側の空気を気化器デバイスの気化チャンバおよび気化器デバイスのマウスピースに接続する空気流路に沿って発生する空気の第1の圧力を受けるように配列または配置されている。付加的な絶対圧力センサは、気化器デバイスがさらされている周囲空気圧を表す空気の第2の圧力を検出するように配列または配置されている。
【0072】
ステップ1220では、電子回路が、少なくとも第1の信号および第2の信号に基づいて、パフが発生していることを判定する。本対象の実施形態に一致して、マウスピースを引くユーザーに反応して空気流路に沿って流れる空気は、パフが発生していることを示している。
【0073】
ステップ1230では、パフが発生していることのそのような判定に応じて、電子回路は、気化器デバイスの抵抗加熱素子に電流を供給させる。
【0074】
上記のように、本開示の対象は、特定の電子タバコと、任意の様々な気化可能材料で使用するための気化器デバイスを含めた一般の気化器デバイスとの両方に関連し得る。したがって、本明細書における様々な特徴の説明は、一般に、気化器デバイスの用語において枠組みされている。当業者は、本明細書での記述および説明に基づいて、電子タバコおよび他の気化器デバイスを含むがこれらに限定されない特定の使用事例にそのような特徴をどのように適用するかを容易に理解するであろう。気化器デバイスにおける本対象の1つ以上の特徴の組み込みは、現下で利用可能な気化器デバイスに影響を及ぼし得る様々な使用性、耐久性、および信頼性の問題に関連する改善を提供し得る。
【0075】
本明細書で記述された対象の1つ以上の態様または特徴は、デジタル電子回路、集積回路、特別に設計された特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)コンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェアおよび/またはそれらの組み合わせで実現されてもよい。これらの様々な態様または特徴には、ストレージシステム、少なくとも1つの入力デバイス、および少なくとも1つの出力デバイスからデータおよび命令を受信し、それらにデータおよび命令を伝送するように特定のもしくは汎用の目的で結合された、少なくとも1つのプログラム可能なプロセッサを含むプログラム可能なシステム上で実行可能および/または解釈可能な1つ以上のコンピュータプログラムでの実施形態が含まれ得る。
【0076】
プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、アプリケーション、コンポーネント、またはコードとも称され得る、これらのコンピュータプログラムは、プログラム可能なプロセッサのための機械命令を含み、高水準手続き言語、オブジェクト指向プログラミング言語、関数型プログラミング言語、論理プログラミング言語、および/またはアセンブリ/機械語で実施されてもよい。本明細書で使用されるときに、「機械可読媒体」との用語は、機械可読信号としての機械命令を受け取る機械可読媒体を含め、プログラム可能なプロセッサに機械命令および/またはデータを提供するために使用される、例えば磁気ディスク、光ディスク、メモリ、およびプログラマブルロジックデバイス(PLD)などの任意のコンピュータプログラム製品、装置、および/またはデバイスを指す。「機械可読信号」との用語は、プログラム可能なプロセッサに機械命令および/またはデータを提供するために使用される任意の信号を指す。この機械可読媒体は、そのような機械命令を、例えば非一時的なソリッドステートメモリもしくは磁気ハードドライブまたは任意の同等の記憶媒体などのように非一時的に記憶することができる。またこの機械可読媒体は、代替的または付加的に、そのような機械命令を、例えば1つ以上の物理プロセッサコアに関連するプロセッサキャッシュまたは他のランダムアクセスメモリなどのように一時的に記憶することもできる。
【0077】
ユーザーとの対話を提供するために、本明細書で記述された対象の1つ以上の態様または特徴は、例えば陰極線管(CRT)または液晶ディスプレイ(LCD)またはユーザーに情報を表示するための発光ダイオード(LED)モニタなどのディスプレイデバイスと、ユーザーがコンピュータに入力を提供できるキーボードおよび例えばマウスもしくはトラックボールなどのポインティングデバイスとを有するコンピュータ上で実施することができる。同様に、ユーザーとの対話を提供するために他の種類のデバイスを使用することもできる。例えば、ユーザーに提供されるフィードバックは、例えば視覚的フィードバック、聴覚的フィードバック、または触覚的フィードバックのような任意の形態の感覚的フィードバックであってもよい。また、ユーザーからの入力は、音響入力、音声入力、または触覚入力を含むがこれらに限定されない任意の形態で受信されてもよい。その他の可能な入力デバイスは、タッチスクリーンまたはシングルポイントもしくはマルチポイントの抵抗性もしくは容量性トラックパッドなどのその他の接触感知デバイス、音声認識ハードウェアおよびソフトウェア、光学スキャナー、光学ポインター、デジタル画像キャプチャデバイスおよび関連する通訳ソフトウェアなどを含むがこれらに限定されない。解析器から離れたコンピュータは、解析器とリモートコンピュータとの間のデータ交換(例えばリモートコンピュータにおいて解析器からのデータの受信、および較正データ、操作パラメータ、ソフトウェアのアップグレードもしくはアップデートなどの情報の送信など)、ならびに解析器のリモート制御、診断などを可能にするために、有線または無線ネットワークを介して解析器にリンク可能である。
【0078】
上記の記述および特許請求の範囲では、複数の要素または特徴の連言的なリストに続いて「~のうちの少なくとも1つ」または「~のうちの1つ以上」などの語句が現れる場合がある。「および/または」との用語は、2つ以上の要素または特徴のリスト中に現れる場合もある。用いられる文脈によって特に暗黙的にもしくは明示的に否定されない限り、そのような語句は、列挙された要素または特徴のいずれかを個別に意味すること、あるいは列挙された要素または特徴のいずれかと他の列挙された要素または特徴のいずれかとの組み合わせを意味することを意図している。例えば、「AおよびBのうちの少なくとも1つ」、「AおよびBのうちの1つ以上」、ならびに「Aおよび/またはB」との語句は、それぞれ、「Aのみ、Bのみ、またはAおよびBともに」を意味することを意図している。同様の解釈は、3つ以上の項目を含むリストについても当てはまる。例えば、「A、B、およびCのうちの少なくとも1つ」、「A、B、およびCのうちの1つ以上」、ならびに「A、B、および/またはC」との語句は、それぞれ、「Aのみ、Bのみ、Cのみ、AおよびBともに、AおよびCともに、BおよびCともに、またはAおよびBおよびCともに」を意味することを意図している。上記のおよび特許請求の範囲における「に基づく」との用語の使用は、列挙されていない特徴または要素なども許容されるように、「少なくとも部分的に基づく」との意味を意図している。
【0079】
本明細書で記述された対象は、所望の構成に依存して、システム、装置、方法、および/または物品において実施することができる。前述の説明に記載された実施形態は、本明細書で記述された対象に一致するすべての実施形態を表すものではない。むしろ、それらは、記述された対象に関連する態様に一致する一部の例にすぎない。いくつかの変形形態が上記で詳細に説明されたが、他の変更または追加が可能である。特に、本明細書で記述されている事項に加えて、さらなる特徴および/または変形形態が提供可能である。例えば、上述された実施形態は、開示された特徴の様々な組み合わせおよびサブコンビネーション、および/または上記で開示された複数のさらなる特徴の組み合わせおよびサブコンビネーションに向けることができる。さらに、添付の図面に示され、かつ/または本明細書で記述された論理フローは、所望の結果を達成するために、必ずしも、ここで示された特定の順序または順次連続する順序を要件とするものではない。その他の実施形態も、以下の特許請求の範囲内であり得る。