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特許7362606二重プラグを備えるエアロゾル発生基体を有するエアロゾル発生物品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-06
(45)【発行日】2023-10-17
(54)【発明の名称】二重プラグを備えるエアロゾル発生基体を有するエアロゾル発生物品
(51)【国際特許分類】
   A24D 1/20 20200101AFI20231010BHJP
   A24B 15/18 20060101ALI20231010BHJP
   A24F 40/00 20200101ALI20231010BHJP
【FI】
A24D1/20
A24B15/18
A24F40/00
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020528302
(86)(22)【出願日】2018-12-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-18
(86)【国際出願番号】 EP2018083842
(87)【国際公開番号】W WO2019110747
(87)【国際公開日】2019-06-13
【審査請求日】2021-12-03
(31)【優先権主張番号】17205999.0
(32)【優先日】2017-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】リーヴェル トニー
【審査官】木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-517817(JP,A)
【文献】特表2014-528244(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24D 1/20
A24B 15/18
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生基体のロッドを備える加熱式エアロゾル発生物品であって、エアロゾル発生基体の前記ロッドが、
エアロゾル形成体を含む均質化したたばこ材料の第一のプラグと、
エアロゾル形成体を含む均質化したたばこ材料の第二のプラグとを備え、前記第一のプラグおよび前記第二のプラグが隣接する端と端を接した関係で同軸に整列されていて、前記第一のプラグが前記第二のプラグの下流に提供されていて、前記第一のプラグが前記第二のプラグよりも低い活性化温度を有し、それによって前記エアロゾル発生基体の加熱に伴って前記第一のプラグが前記第二のプラグよりも短い時間の後にエアロゾルを放出するように、前記第一のプラグおよび前記第二のプラグが密度およびエアロゾル形成体の組成のうち少なくとも一つにおいて相互に異なる、加熱式エアロゾル発生物品。
【請求項2】
前記第二のプラグが前記第一のプラグよりも高い密度を有する、請求項1に記載の加熱式エアロゾル発生物品。
【請求項3】
前記第二のプラグの密度が、前記第一のプラグの密度よりも少なくとも10パーセント高い、請求項2に記載の加熱式エアロゾル発生物品。
【請求項4】
前記第二のプラグの密度が、前記第一のプラグの密度よりも少なくとも0.1mg/立方ミリメートル高い、請求項2または3に記載の加熱式エアロゾル発生物品。
【請求項5】
前記第二のプラグの密度が0.65mg/立方ミリメートル~0.85mg/立方ミリメートルであり、前記第一のプラグの密度が0.45mg/立方ミリメートル~0.65mg/立方ミリメートルである、請求項2、3または4に記載の加熱式エアロゾル発生物品。
【請求項6】
前記第二のプラグが前記第一のプラグよりも高い引き出し抵抗を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の加熱式エアロゾル発生物品。
【請求項7】
前記第一のプラグおよび前記第二のプラグのそれぞれがエアロゾル形成体を含み、前記第一のプラグのエアロゾル形成体の組成が、前記第二のプラグのエアロゾル形成体の組成と異なる、請求項1~6のいずれか一項に記載の加熱式エアロゾル発生物品。
【請求項8】
前記第一のプラグおよび前記第二のプラグのそれぞれが、グリセロールを含むエアロゾル形成体を含み、前記第二のプラグのグリセロール含有量が、乾燥質量基準で前記第一のプラグのグリセロール含有量よりも少なくとも2重量パーセント高い、請求項7に記載の加熱式エアロゾル発生物品。
【請求項9】
少なくとも前記第一のプラグの前記エアロゾル形成体がプロピレングリコールをさらに含み、前記第一のプラグのプロピレングリコールの含有量が、乾燥質量基準で前記第二のプラグのプロピレングリコール含有量よりも少なくとも2重量パーセント高い、請求項7または8に記載の加熱式エアロゾル発生物品。
【請求項10】
前記第二のプラグが、乾燥質量基準で15重量パーセントを超えるグリセロールおよび4重量パーセント以下のプロピレングリコールを含み、前記第一のプラグが、乾燥質量基準で15重量パーセント以下のグリセロールおよび少なくとも5重量パーセントのプロピレングリコールを含む、請求項8または9に記載の加熱式エアロゾル発生物品。
【請求項11】
前記第二のプラグが、乾燥質量基準で17~25重量パーセントのグリセロールおよび0~4重量パーセントのプロピレングリコールを含み、前記第一のプラグが、乾燥質量基準で5~15重量パーセントのグリセロールおよび5~15重量パーセントのプロピレングリコールを含む、請求項10に記載の加熱式エアロゾル発生物品。
【請求項12】
均質化したたばこ材料の前記プラグのそれぞれが、乾燥質量基準で15重量パーセント~25重量パーセントのエアロゾル形成体を含む、請求項8~11のいずれか一項に記載の加熱式エアロゾル発生物品。
【請求項13】
均質化したたばこ材料の前記プラグの少なくとも一つが、均質なたばこ材料の一つ以上のシートから形成されている、請求項1~12のいずれか一項に記載の加熱式エアロゾル発生物品。
【請求項14】
エアロゾル発生システムであって、
請求項1~13のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品と、
前記エアロゾル発生物品を受容するように適合されたエアロゾル発生装置とを備え、前記エアロゾル発生装置が、使用中に均質化したたばこ材料の前記第一のプラグおよび前記第二のプラグの両方を加熱するように構成されたヒーター要素を備え、前記ヒーター要素による前記エアロゾル発生基体の加熱に伴って、前記第一のプラグが均質化したたばこ材料の前記第二のプラグよりも速くエアロゾルを放出する、エアロゾル発生システム。
【請求項15】
前記ヒーター要素が、使用中に前記第一のプラグおよび前記第二のプラグの中に挿入されるように構成されたヒーターブレードである、請求項14に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項16】
請求項1~13のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品のためのエアロゾル発生基体のロッドを少なくとも部分的に製造する方法であって、前記方法が、
エアロゾル形成体を含む均質化したたばこ材料の第一のプラグを提供する工程と、
エアロゾル形成体を含む均質化したたばこ材料の第二のプラグを提供する工程であって、前記第一のプラグが前記第二のプラグよりも低い活性化温度を有し、それによって前記エアロゾル発生基体の加熱に伴って前記第一のプラグが前記第二のプラグよりも短い時間の後にエアロゾルを放出するように、前記密度および前記エアロゾル形成体の組成のうち少なくとも一つにおいて前記第二のプラグが前記第一のプラグと異なる、工程と、
前記第一のプラグおよび前記第二のプラグが隣接する端と端を接した関係で同軸に整列されるように、かつ前記第一のプラグが前記第二のプラグの下流に配設されるように、前記第一のプラグおよび前記第二のプラグを組み合わせる工程と、
前記組み合わされた第一のプラグおよび第二のプラグを包装して、エアロゾル発生基体のロッドを形成する工程とを含む、方法。
【請求項17】
エアロゾル発生物品内のエアロゾル発生基体として使用するためのロッドであって、前記ロッドが、
エアロゾル形成体を含む均質化したたばこ材料の第一のプラグと、
エアロゾル形成体を含む均質化したたばこ材料の第二のプラグとを備え、前記第一のプラグおよび前記第二のプラグが隣接する端と端を接した関係で同軸に整列されていて、前記第一のプラグが前記第二のプラグの下流に提供されていて、前記第一のプラグが前記第二のプラグよりも低い活性化温度を有し、それによって使用中のロッドの加熱に伴って前記第一のプラグが前記第二のプラグよりも短い時間の後にエアロゾルを放出するように、前記第一のプラグおよび前記第二のプラグが密度および前記エアロゾル形成体の組成のうち少なくとも一つにおいて相互に異なる、ロッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも一つの特性において相互に異なる均質化したたばこ材料の二重プラグを備えるエアロゾル発生基体のロッドを有するエアロゾル発生物品と、こうしたエアロゾル発生基体のロッドの製造方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
たばこ含有基体などのエアロゾル発生基体が燃焼されるのではなく加熱されるエアロゾル発生物品は、当業界で周知である。典型的に、こうした加熱式喫煙物品においてエアロゾルは、熱源からの熱を物理的に分離されたエアロゾル発生基体または材料に伝達することによって生成され、このエアロゾル発生基体または材料は熱源に接触して、または熱源の中に、または熱源の周囲に、または熱源の下流に位置していてもよい。エアロゾル発生物品の使用中、揮発性化合物は、熱源からの熱伝達によってエアロゾル発生基体から放出され、エアロゾル発生物品を通して引き出された空気中に混入される。放出された化合物は冷めるにつれて凝結してエアロゾルを形成する。
【0003】
数多くの先行技術文書は、加熱式エアロゾル発生物品を消費または喫煙するためのエアロゾル発生装置が開示している。こうした装置としては、例えばエアロゾル発生装置の一つ以上の電気ヒーター要素から加熱式エアロゾル発生物品のエアロゾル発生基体への熱伝達によってエアロゾルが発生される、電気加熱式エアロゾル発生装置が挙げられる。こうした電気加熱式エアロゾル発生装置の一つの利点は、副流煙を著しく減少させることである。
【0004】
加熱式エアロゾル発生物品用の基体はこれまで典型的に、たばこ材料の無作為な向きの断片、ストランド、または細片を使用して生産されてきた。均質化したたばこ材料シートから加熱式エアロゾル発生物品用の基体を製造することも周知である。例えば、国際特許出願第WO-A-2012/164009号は、均質化したたばこ材料シートの集合体から形成された加熱式エアロゾル発生物品用のロッドを開示している。WO-A-2012/164009号で開示されたロッドは、空気がロッドを通して引き出されることを可能にする長軸方向の空隙率を有する。事実上、たばこ材料シートの集合体内の折り目は、ロッドを通した長軸方向のチャネルを画定する。
【0005】
エアロゾル発生基体の特性およびエアロゾル発生物品の吸煙プロファイルに対するより良い制御を提供するエアロゾル発生物品のためのエアロゾル発生基体の新しい配設を提供することが望ましい。経時的に、より一貫した、改善されたエアロゾル送達を提供するようなエアロゾル発生基体を提供することが特に望ましい。効率的かつ高速で製造できるようなエアロゾル発生基体を提供することも望ましい。
【0006】
本発明の第一の態様によると、エアロゾル発生基体のロッドを備える加熱式エアロゾル発生物品が提供されていて、エアロゾル発生基体のロッドは、均質化したたばこ材料の第一のプラグ、および均質化したたばこ材料の第二のプラグを備える。第一のプラグおよび第二のプラグは同軸に整列されていて、第一のプラグは第二のプラグの下流に提供されていて、エアロゾル発生基体の加熱に伴って第一のプラグが第二のプラグよりも短い時間の後にエアロゾルを放出するように、第一のプラグおよび第二のプラグは均質化したたばこ材料の少なくとも一つの特性において相互に異なる。
【0007】
本発明の第二の態様によると、本発明の第一の態様に関連して上記で定義された通りのエアロゾル発生物品と、エアロゾル発生物品を受容するように適合されたエアロゾル発生装置とを備えるエアロゾル発生システムが提供されている。エアロゾル発生装置は、使用中に均質化したたばこ材料の第一のプラグおよび第二のプラグの両方を加熱するように構成されたヒーター要素を備え、ヒーター要素によるエアロゾル発生基体の加熱に伴って、第一のプラグは均質化したたばこ材料の第二のプラグよりも速くエアロゾルを放出する。
【0008】
本発明の第三の態様によると、先行する請求項に記載のエアロゾル発生物品のためのエアロゾル発生基体のロッドを少なくとも部分的に作る方法が提供されていて、方法は、均質化したたばこ材料の第一のプラグを提供する工程と、均質化したたばこ材料の第二のプラグを提供する工程とであって、エアロゾル発生基体の加熱に伴って第一のプラグが第二のプラグよりも短い時間の後にエアロゾルを放出するように、均質化したたばこ材料の少なくとも一つの特性において第一のプラグが第二のプラグと異なる、第二のプラグを提供する工程と、第一のプラグおよび第二のプラグが同軸に整列されるように、かつ第一のプラグが第二のプラグの下流に配設されるように、第一のプラグおよび第二のプラグを組み合わせる工程と、組み合わされた第一のプラグおよび第二のプラグを包装して、エアロゾル発生基体のロッドを形成する工程とを含む。
【0009】
本発明の第四の態様によると、エアロゾル発生物品のエアロゾル発生基体として使用するためのロッドが提供されていて、ロッドは、均質化したたばこ材料の第一のプラグと、エアロゾル発生材料の第一のプラグの下流にある均質化したたばこ材料の第二のプラグとを備える。第一のプラグおよび第二のプラグは同軸に整列されていて、第一のプラグは第二のプラグの下流に提供されていて、使用中にロッドの加熱に伴って第一のプラグが第二のプラグよりも短い時間の後にエアロゾルを放出するように、第一のプラグおよび第二のプラグは均質化したたばこ材料の少なくとも一つの特性において相互に異なる。
【0010】
本発明によるエアロゾル発生物品のエアロゾル発生基体のロッドの好ましい特徴または態様についての以下の任意の言及は、本発明のすべての態様に適用できると見なされるべきである。
【0011】
本明細書で使用される「加熱式エアロゾル発生物品」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出するために、燃焼ではなく加熱されることが意図されているエアロゾル発生基体を含む、エアロゾル生成のためのエアロゾル発生物品を指す。
【0012】
本明細書で使用される「エアロゾル発生基体」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を加熱時に放出する能力を有する基体を指す。本明細書に記載のエアロゾル発生物品のエアロゾル発生基体から発生されるエアロゾルは、可視または不可視であってもよく、またベイパー(蒸気)(例えば、室温では通常、液体または固体である物質の、気体状態にある物質の微粒子)ならびに気体および凝縮されたベイパーの液体の液滴を含んでもよい。
【0013】
本明細書で使用される「ロッド」という用語は、実質的に多角形の断面、および好ましくは円形、長円形または楕円形の概して円筒状の要素を指す。本明細書で使用される「プラグ」という用語は、ロッドの構成要素を形成する均質化したたばこ材料の個別の個々の要素を指す。本明細書で使用される「シート」という用語は、その厚さより実質的に大きい幅および長さを有する層状要素を指す。本明細書で使用される「ウェブ」という用語は、その幅よりも実質的に大きい長さを有する層状材料を指す。典型的に、本明細書で使用される「ウェブ」という用語は、材料の連続層を指し、これからシートが形成される。
【0014】
本明細書で使用される「均質化したたばこ材料」という用語は、たばこ材料の粒子の凝集によって形成された任意のたばこ材料を包含する。均質化したたばこ材料のシートまたはウェブは、たばこ葉ラミナおよびたばこ葉茎の一方または両方を粉砕することによって、またはその他の方法で粉末化することによって得られた粒子状たばこを凝集することによって形成されている。さらに、均質化したたばこ材料は、たばこの処理、取り扱い、および発送の間に形成された少量のたばこダスト、たばこ微粉、およびその他の粒子状たばこ副産物のうちの一つ以上を含んでもよい。均質化したたばこ材料のシートは、キャスティング、押出成形、製紙プロセス、または当業界で周知の他の任意の適切なプロセスによって生産されてもよい。
【0015】
本明細書で使用される「上流」および「下流」という用語は、使用中にエアロゾル発生物品を通してエアロゾルが搬送される方向に対する、エアロゾル発生物品の要素(または要素の部分)の相対的な位置を説明する。
【0016】
以下において、「速放性」および「徐放性」という用語は、エアロゾル発生基体のロッドを形成する第一のプラグおよび第二のプラグをそれぞれ識別するために、および同一の装置内の同一の条件下でプラグが加熱された時に、他のプラグと比べて加熱に伴って各プラグからエアロゾルがどのくらい速く放出されるかを示すために使用される。
【発明の概要】
【0017】
上述の通り、本発明のエアロゾル発生物品は、加熱に伴って速放性プラグが徐放性プラグよりも短い時間内に測定可能な量のエアロゾルを放出し始めるように、少なくとも一つの特性において異なるように適合されている第一のプラグ(以下において「速放性プラグ」とも呼ばれる)および第二のプラグ(以下において「徐放性プラグ」とも呼ばれる)を備えるロッドを組み込んでいる。これらの二つの異なるプラグの使用は、ロッド全体の特性に対するより良い制御を提供する。速放性プラグを徐放性プラグの下流に提供して、これら二つのプラグを同軸に整列して配設することによって、および少なくとも一つの相互に異なる特性を有するようにプラグを仕立てることによって、ロッドによって提供される喫煙体験は、ロッドからのエアロゾルの放出プロファイルを変化させるためにより高い精度で調整および制御することができる。この効果は有利なことに、エアロゾル発生物品を加熱するための装置を適合させる必要がないように、単一のヒーター要素を使用して両方のプラグを加熱しながら達成することができる。
【0018】
それらの異なる特性の結果、速放性プラグおよび徐放性プラグは異なるエアロゾル放出プロファイルまたは吸煙プロファイルを示し、これは消費期間にわたり、毎回の吸煙中にプラグから放出されるエアロゾルの量に対応する。本発明の配設では、速放性プラグは、徐放性プラグよりもロッドの加熱の開始後、短い時間内にエアロゾルを放出する。これは典型的に、速放性プラグが徐放性プラグよりも低い活性化温度を有するためであり、ここで活性化温度は測定可能量のエアロゾルがプラグから放出される最低温度に対応する。従って、速放性プラグのより低い活性化温度は、消費者の最初の吸煙までの時間をより短くし、速放性プラグは、吸煙プロファイルの吸い始めの間に、徐放性プラグよりも高い量のエアロゾルを放出する。
【0019】
一方、徐放性プラグは加熱後にエアロゾルを放出し始めるまでに、より長い時間がかかるが、速放性プラグからのエアロゾル放出が終了した後にエアロゾルを放出し続ける。従って、徐放性プラグは、吸煙プロファイルの終わりの方の吸煙中に、速放性プラグよりも高い量のエアロゾルを放出する。従って、組み合わせにおいて、速放性プラグおよび徐放性プラグは、エアロゾル発生物品の消費中に、経時的に高度に一貫したエアロゾル送達を提供することができる。
【0020】
エアロゾル発生基体のロッド内に二重プラグを提供することは、ロッドまたはエアロゾル発生物品の全体構造に影響しない。従って、均質化したたばこ材料の二重プラグを備えるエアロゾル発生基体のロッドは有利なことに、装置または技術の著しい修正を必要とすることなく、加熱式喫煙物品の製造のための既存の高速生産ラインに組み込むことができる。
【0021】
本発明によるエアロゾル発生物品は、エアロゾル発生基体を加熱するための内部ヒーター要素を有する電気加熱式エアロゾル発生装置を備えるエアロゾル発生システムでの使用に適している。例えば、本発明によるエアロゾル発生物品は、エアロゾル発生基体のロッドの中に挿入されるように適合されている内部ヒーターブレードを有する電気加熱式エアロゾル発生装置を備えるエアロゾル発生システムにおいて特定の用途がある。このタイプのエアロゾル発生物品は、先行技術、例えば欧州特許第EP-A-0 822 670号に記載されている。本発明によるエアロゾル発生物品は別の方法として、エアロゾル発生基体のロッドを囲み、かつそれを外側から加熱する外部ヒーター要素を備えるエアロゾル発生システムでの用途を見いだしうる。
【0022】
エアロゾル発生基体のロッドは、速放性プラグおよび徐放性プラグの両方がエアロゾル発生装置の同一のヒーター要素によって加熱されることができるように適合されていることが好ましい。これは有利なことに、ヒーター要素の修正を必要とすることなく、既存のエアロゾル発生装置内で、二重プラグを有するロッドが加熱されることを可能にする。しかしながら、代替的な実施形態において、エアロゾル発生装置は、プラグごとに異なる加熱プロファイルを提供することが可能なように、それぞれのプラグごとに異なるヒーター要素を提供するように適合されうることが理解されよう。
【0023】
本明細書で使用される「エアロゾル発生装置」という用語は、エアロゾル発生物品のエアロゾル発生基体と相互作用してエアロゾルを発生するヒーター要素を備える装置を指す。
【0024】
別の方法として、本発明によるエアロゾル発生物品は、使用中にエアロゾル発生基体を加熱するための可燃性炭素熱源を備えうる。このタイプのエアロゾル発生物品は、先行技術、例えば国際特許出願第WO-A-2009/022232号に記載されている。
【0025】
本発明によるエアロゾル発生物品のエアロゾル発生基体のロッドにおいて、速放性プラグおよび徐放性プラグは相互に対して同軸に配設されている。速放性プラグおよび徐放性プラグは、隣接する端と端を接した関係で配設されていることが好ましい。別の方法として、速放性プラグおよび徐放性プラグは、長軸方向に相互に間隙を介していてもよい。
【0026】
簡単に上述した通り、第一のプラグまたは速放性プラグは、第二のプラグまたは徐放性プラグの下流にある。こうした配設において、エアロゾルが消費者に届くために移動する距離がより短いように、速放性プラグはエアロゾル発生物品の口側端により近くなるように提供されている。これは、ロッドの加熱が開始された後に、エアロゾルが放出されるのにかかる時間をさらに低減するのに役立ちうる。さらに、これは後続の下流プラグにおける速放性プラグからのエアロゾルの堆積のリスクを低減する可能性があり、これは吸煙プロファイルの吸い始めでのエアロゾル送達に悪影響を与えうる。代替的な実施形態において、徐放性プラグの上流に速放性プラグを提供することが好ましい場合がある。
【0027】
上述の通り、速放性プラグおよび徐放性プラグは、プラグからの放出プロファイルの差異を提供するために、均質化したたばこ材料の少なくとも一つの特性において異なるように適合されている。速放性プラグおよび徐放性プラグは、プラグを形成する均質化したたばこ材料の特性において異なりうる。別の方法として、または追加的に、速放性プラグおよび徐放性プラグは、例えばプラグ内の均質化したたばこ材料の形態または配設によって決定されうる、プラグ全体の特性において異なりうる。
【0028】
本発明の第一の好ましい実施形態によると、速放性プラグおよび徐放性プラグは、徐放性プラグが速放性プラグよりも高い密度を有するように適合されている。これは、徐放性プラグには単位容積あたり、速放性プラグよりも高い量の均質化したたばこ材料が提供されていることを意味する。
【0029】
より高い密度を有する徐放性プラグは、速放性プラグの上流に提供されていることが好ましい。従って、徐放性プラグは、エアロゾル発生基体のロッドの上流端に提供されうる。この配設は、上述の通り、速放性プラグがエアロゾル発生物品の口側端の近くにあるという利点を提供する。加えて、エアロゾル発生物品が、ロッドの中に挿入するためのヒーターブレードを備えるエアロゾル発生装置で使用されることが意図されている場合、より高い密度のプラグをロッドの上流端に位置付けることは有利なことに、ヒーターブレードとよりぴったりと合うことを可能にする。さらに、これは、エアロゾル発生物品が装置から取り外された時に、ヒーターブレードによってたばこがロッドから引き出されるリスクを低減し、それによって装置の掃除の必要性が低減される。
【0030】
徐放性プラグの密度は、速放性プラグの密度よりも少なくとも約10パーセント高いことが好ましく、少なくとも約15パーセント高いことがより好ましく、少なくとも約20パーセント高いことがより好ましい。
【0031】
徐放性プラグの密度は、速放性プラグの密度よりも少なくとも約0.1mg/立方ミリメートル高いことが好ましく、少なくとも約0.15mg/立方ミリメートル高いことがより好ましく、少なくとも約0.2mg/立方ミリメートル高いことがより好ましい。
【0032】
徐放性プラグの密度は、約0.65 mg/立方ミリメートル~約0.85 mg/立方ミリメートルであることが好ましく、約0.7 mg/立方ミリメートル~約0.8 mg/立方ミリメートルであることがより好ましい。これらの範囲内からの徐放性プラグの密度の選択は、上記で定義の通り、速放性プラグと徐放性プラグの間の密度の望ましい差異が保たれるようにされるべきである。
【0033】
速放性プラグの密度は、約0.45mg/立方ミリメートル~約0.65mg/立方ミリメートルであることが好ましく、約0.5mg/立方ミリメートル~約0.6mg/立方ミリメートルであることがより好ましい。これらの範囲内からの速放性プラグの密度の選択は、上記で定義の通り、速放性プラグと徐放性プラグの間の密度の望ましい差異が保たれるようにされるべきである。
【0034】
各プラグの密度は、プラグ間に必要な差異を提供するために、当業者によって容易に調整されうる。例えば、プラグを形成する均質化したたばこ材料の密度は、プラグごとに異なってもよい。別の方法として、または追加的に、プラグ内の均質化したたばこ材料の配設は、プラグ内の自由空間の割合がプラグごとに異なりうるように、プラグごとに異なってもよい。
【0035】
徐放性プラグは、速放性プラグよりも高い引き出し抵抗を有することが好ましい。
【0036】
本発明の第二の好ましい実施形態によると、速放性プラグおよび徐放性プラグは、均質化したたばこ材料がプラグごとに異なるエアロゾル形成体組成を有するように適合されている。本明細書で使用される「エアロゾル形成体」という用語は、使用時にエアロゾルの形成を容易にし、かつエアロゾル発生物品の動作温度にて熱分解に対して実質的に抵抗性である、任意の適切な周知の化合物または化合物の混合物を説明する。異なるエアロゾル形成体は、異なるレートのエアロゾル放出を提供し、そのためエアロゾル形成体のタイプまたは特定のエアロゾル形成体の量(または両方)は、必要な速放性および徐放性のプロファイルを提供するために、プラグごとに調整することができる。
【0037】
徐放性プラグおよび速放性プラグの両方は、グリセロールをエアロゾル形成体として含むことが好ましく、ここで徐放性プラグは速放性プラグよりも高い量のグリセロールをエアロゾル形成体として有する。徐放性プラグは、速放性プラグよりも少なくとも約2重量パーセント多いグリセロールを有することが好ましく、少なくとも約5重量パーセント多いことがより好ましく、少なくとも約8重量パーセント多いことがより好ましい。
【0038】
徐放性プラグがより高い量のグリセロールを含むこうした実施形態において、少なくとも速放性プラグはプロピレングリコールをエアロゾル形成体としてさらに含むことが好ましい。速放性プラグは、徐放性プラグよりも少なくとも約2重量パーセント多いプロピレングリコールを有することが特に好ましい。徐放性プラグは、グリセロールに加えて、ある割合のプロピレングリコールを含んでもよく、またはプロピレングリコールを実質的に含まなくてもよい。
【0039】
徐放性プラグは、約4重量パーセント以下のプロピレングリコールと組み合わせて約15重量パーセントを超えるグリセロールを含み、速放性プラグは少なくとも約5重量パーセントのプロピレングリコールと組み合わせて約15重量パーセント以下のグリセロールを含むことが好ましい。それぞれのプラグについて、これらの範囲内からのグリセロールおよびプロピレングリコールの量の選択は、上記で定義の通り、速放性プラグと徐放性プラグの間のグリセロールおよびプロピレングリコールの量の好ましい差異が保たれるようにするべきである。
【0040】
徐放性プラグは、約0重量パーセント~約4重量パーセントのプロピレングリコールと組み合わせて約17重量パーセント~約25パーセントのグリセロールを含み、速放性プラグは約5重量パーセント~約15重量パーセントのプロピレングリコールと組み合わせて約5重量パーセント~約15重量パーセントのグリセロールを含むことが好ましい。徐放性プラグは、約0重量パーセント~約2重量パーセントのプロピレングリコールと組み合わせて約18重量パーセント~約22パーセントのグリセロールを含み、速放性プラグは約8重量パーセント~約12重量パーセントのプロピレングリコールと組み合わせて約8重量パーセント~約12重量パーセントのグリセロールを含むことがより好ましい。それぞれのプラグについて、これらの範囲内からのグリセロールおよびプロピレングリコールの量の選択は、上記で定義の通り、速放性プラグと徐放性プラグの間のグリセロールおよびプロピレングリコールの量の好ましい差異が保たれるようにするべきである。
【0041】
エアロゾル形成体としてのプロピレングリコールは、グリセロールよりも速いエアロゾル放出を提供することが分かっていて、そのため放出プロファイルを制御するために、徐放性プラグがより高い量のグリセロールを有する一方、速放性プラグはより高い量のプロピレングリコールを有するように、各プラグにおけるエアロゾル形成体の組成が適合されている。
【0042】
各プラグのエアロゾル形成体総含有量は、約15重量パーセント~約25重量パーセントであることが好ましく、約18重量パーセント~約22重量パーセントであることがより好ましい。徐放性プラグおよび速放性プラグは、相互に実質的に同一のエアロゾル形成体総含有量を有し、プラグ間の差異は、エアロゾル形成体中のグリセロールとプロピレングリコールの比にあることが好ましい。
【0043】
本発明の第三の実施形態によると、速放性プラグおよび徐放性プラグは、本発明の第一の実施形態に関連して上述した通り、徐放性プラグが速放性プラグよりも高い密度を有し、かつ徐放性プラグおよび速放性プラグが、本発明の第二の実施形態に関連して上述した通り、異なるエアロゾル形成体組成を有するように適合されている。
【0044】
上述の通り、エアロゾル発生基体のロッドのそれぞれのプラグは、均質化したたばこ材料で形成されている。各プラグの均質化したたばこ材料は、様々な形態を取りうる。速放性プラグおよび徐放性プラグのうちの少なくとも一つは、均質化したたばこ材料の一つ以上のシートから形成されていることが好ましい。速放性プラグおよび徐放性プラグのうちの少なくとも一つは、プラグを形成するために集められた均質化したたばこ材料の一つ以上のシートから形成されていることが好ましい。
【0045】
均質化したたばこ材料の一つ以上のシートは、有利なことに捲縮されうる、または同様に処理されうる。本明細書で使用される「捲縮」という用語は、複数の実質的に平行な隆起またはコルゲーションを有するシートを意味する。捲縮されることとは別の方法として、または追加的に、均質化したたばこ材料の一つ以上のシートは、エンボス加工、デボス加工、穿孔、または別の方法で変形されて、シートの一方または両側にテクスチャを提供しうる。
【0046】
本発明によるエアロゾル発生物品のロッドで使用する均質化したたばこ材料のシートは、たばこ葉ラミナの粉砕またはその他の方法での細分によって得られた粒子状のたばこを含むことが好ましい。複数のシートがプラグの一つに提供される場合、シートはすべて、相互に実質的に同一の組成を有してもよい。別の方法として、複数のシートは、少なくとも二つの異なる組成のシートを含んでもよい。
【0047】
本発明で使用する均質化したたばこ材料のシートは、乾燥質量基準で少なくとも約40重量パーセントのたばこ含有量を有してもよく、乾燥質量基準で少なくとも約50重量パーセントのたばこ含有量を有することがより好ましく、乾燥質量基準で少なくとも約70重量パーセントのたばこ含有量を有することがより好ましく、乾燥質量基準で少なくとも約90重量パーセントのたばこ含有量を有することが最も好ましい。
【0048】
本発明で使用する均質化したたばこ材料のシートは、粒子状たばこの凝集を補助するために、たばこ内因性結合剤である一つ以上の内因性結合剤、たばこ外来性結合剤である一つ以上の外因性結合剤、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。別の方法として、または追加的に、エアロゾル発生基体で使用する均質化したたばこ材料シートは、たばこ繊維および非たばこ繊維、エアロゾル形成剤、湿潤剤、可塑剤、風味剤、充填剤、水性および非水性の溶媒、およびこれらの組み合わせを含むがこれらに限定されないその他の添加剤を含んでもよい。
【0049】
本発明で使用する均質化したたばこ材料のシートに含める適切な外因性結合剤は当業界で周知であり、例えばグアーガム、キサンタンガム、アラビアガム、ローカストビーンガムなどのゴム、例えばヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロースなどのセルロース結合剤、例えばデンプン、有機酸(アルギン酸など)、有機酸の共役塩基塩(アルギン酸ナトリウムなど)、寒天、ペクチンなどの多糖類、およびこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0050】
エアロゾル発生基体で使用する均質化したたばこ材料のシートに含める適切な非たばこ繊維は当業界で周知であり、セルロース繊維、柔らかい木材繊維、堅い木材繊維、ジュート繊維およびそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。エアロゾル発生基体で使用する均質化したたばこ材料シートに含める前に、非たばこ繊維は、当業界で周知の適切なプロセスによって処理されてもよく、プロセスには機械式パルプ化、精製、化学的パルプ化、脱色、硫酸塩パルプ化、およびこれらの組み合わせなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0051】
均質化したたばこ材料のシートは、エアロゾル形成体を含むことが好ましい。均質化したたばこ材料のシートは、単一のエアロゾル形成体を含みうる。別の方法として、均質化したたばこ材料のシートは、二つ以上のエアロゾル形成体の組み合わせを含みうる。
【0052】
適切なエアロゾル形成体は当業界で周知であり、多価アルコール(プロピレングリコール、トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、グリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセテート、ジアセテートまたはトリアセテートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチル、テトラデカン二酸ジメチルなど)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0053】
均質化したたばこ材料のシートは、乾燥質量基準で5パーセントを超えるエアロゾル形成体含有量を有することが好ましい。
【0054】
均質化したたばこ材料シートは、乾燥質量基準でおよそ5パーセント~およそ30パーセントのエアロゾル形成体含有量を有してもよい。
【0055】
一つの好ましい実施形態において、均質化したたばこ材料シートは、乾燥質量基準でおよそ20パーセントのエアロゾル形成体含有量を有する。
【0056】
上述の通り、本発明の第二および第三の好ましい実施形態によるエアロゾル発生物品のエアロゾル発生基体のロッドにおいて、各プラグのエアロゾル形成体は、グリセロールまたはグリセロールとプロピレングリコールの組み合わせを含み、プラグごとに望ましいエアロゾル放出プロファイルを提供するようにグリセロールとプロピレングリコールの比が調整される。
【0057】
本発明で使用する均質化したたばこのシートは、約70mm~約250mmの幅、例えば約120mm~約160mmの幅を有することが好ましい。均質化したたばこ材料のシートの厚さは、約50マイクロメートル~300マイクロメートルであることが好ましく、約150マイクロメートル~約250マイクロメートルであることがより好ましい。
【0058】
本発明のエアロゾル発生物品で使用する均質化したたばこのシートは、当業界で周知の方法(例えば国際特許出願第WO-A-2012/164009 A2号で開示された方法)によって作られてもよい。
【0059】
一つの好ましい実施形態において、エアロゾル発生物品で使用する均質化したたばこ材料シートはキャスティングプロセスによって、粒子状たばこ、グアーガム、セルロース繊維およびグリセリンを含むスラリーから形成されている。
【0060】
本発明の好ましい実施形態において、速放性プラグおよび第二の放出プラグの両方は、均質化したたばこ材料の一つ以上のシートで形成されていて、各プラグのシートの組成または配設は、上記で説明の通り、エアロゾル放出プロファイルにおける望ましい差異を提供するために適合されている。別の方法として、プラグの一つは均質化したたばこ材料の一つ以上のシートで形成されてもよく、もう一方のプラグは異なる形態であってもよい。例えば、もう一方のプラグは、押出成形されたたばこ材料、またはたばこ材料の複数の長軸方向のストランドから形成されうる。また別の方法として、両方のプラグは、シートの形態ではないたばこ材料(上述のものなど)で形成されうる。
【0061】
速放性プラグおよび徐放性プラグは、相互に実質的に同じ長さであることが好ましいが、一部の実施形態において、相互に異なる長さを有してもよい。各プラグの好ましい長さは約3mm~約8mmであり、約4mm~約6mmであることがより好ましい。二重プラグを備えるエアロゾル発生基体のロッドは、約7ミリメートル~約15 mmの長さを有しうる。一実施形態において、エアロゾル発生基体のロッドは、約10ミリメートルの長さを有してもよい。一つの好ましい実施形態において、エアロゾル発生基体のロッドは、約12ミリメートルの長さを有する。
【0062】
エアロゾル発生基体のロッドは、エアロゾル発生物品の外径にほぼ等しい外径を有することが好ましい。
【0063】
エアロゾル発生基体のロッドは、少なくとも5ミリメートルの外径を有することが好ましい。エアロゾル発生基体のロッドは、約5ミリメートル~約12ミリメートル、例えば約5ミリメートル~約10ミリメートル、または約6ミリメートル~約8ミリメートルの外径を有してもよい。一つの好ましい実施形態において、エアロゾル発生基体のロッドは7.2ミリメートル±10パーセントの外径を有する。
【0064】
エアロゾル発生基体のロッドは、ロッドの長さに沿って実質的に均一な断面を有することが好ましい。エアロゾル発生基体のロッドは、実質的に円形の断面を有することが特に好ましい。
【0065】
エアロゾル発生基体のロッドは、ラッパーによって囲まれていて、ラッパーは均質化したたばこ材料のプラグを一緒に固定することが好ましい。ラッパーは、多孔性または非多孔性のシート材料で形成されうる。ラッパーは任意の適切な材料または材料の組み合わせから形成されうる。ラッパーは紙ラッパーであることが好ましい。速放性プラグおよび徐放性プラグは、上述の通り一緒に包装される前に、随意に個別に包装されうる。
【0066】
本発明によるエアロゾル発生物品は、速放性プラグおよび徐放性プラグのみから成るエアロゾル発生基体のロッドを備えることが好ましい。しかし、代替的な実施形態において、均質化したたばこ材料の追加的なプラグは、速放性プラグおよび徐放性プラグと組み合わされうる。
【0067】
本発明によるエアロゾル発生物品は、エアロゾル発生基体のロッドに加えて一つ以上の要素を備えることが好ましく、ロッドおよび一つ以上の要素は基体ラッパー内に組み立てられる。例えば、本発明によるエアロゾル発生物品は、マウスピース、エアロゾル冷却要素、および中空のアセテート管などの支持要素のうちの少なくとも一つをさらに備えうる。例えば、一つの好ましい実施形態において、エアロゾル発生物品は直線状の連続的な配設で、上述の通りのエアロゾル発生基体のロッドと、エアロゾル形成基体のすぐ下流に位置する支持要素と、支持要素の下流に位置するエアロゾル冷却要素と、ロッド、支持要素およびエアロゾル冷却要素を囲む外側ラッパーとを備える。
【0068】
本発明の第二の態様によるエアロゾル発生システムは、エアロゾル発生物品を受容するように適合されていて、かつ使用中に均質化したたばこ材料の速放性プラグおよび徐放性プラグの両方を加熱するように構成されている発熱体を備えるエアロゾル発生装置と組み合わせた、上述の通りのエアロゾル発生物品を備える。
【0069】
ヒーター要素は、ヒーターブレードが内側からプラグの両方を加熱するように、エアロゾル発生基体のロッドの中に挿入されるように適合されたヒーターブレードであることが好ましい。別の方法として、ヒーター要素は、均質化したたばこ材料のプラグを少なくとも部分的に囲み、かつそれらの両方を外側から加熱する外部ヒーターであってもよい。外部ヒーター要素は典型的に、ロッドを囲む少なくとも一つのラッパーを通して均質化したたばこ材料のプラグを加熱し、ロッドの表面と接触してもしていなくてもよい。一部の装置において、誘導ヒーター要素が提供されうる。
【0070】
ヒーター要素は、ヒーター要素の長さに沿って均一な加熱プロファイルを提供しうる。別の方法として、ヒーター要素は、長さに沿って異なる加熱プロファイルが提供されるように構成されてもよく、速放性プラグおよび徐放性プラグは異なる加熱プロファイルで加熱されうる。この方法において、各プラグの加熱プロファイルを別々に調整して、プラグの構造を考慮することができる。
【0071】
上記で詳細に説明した、本発明によるエアロゾル発生物品で使用するエアロゾル発生基体のロッドは、上記で定義の通り、本発明の第三の態様による方法を使用して製造されうる。本発明による方法の第一の工程において、均質化したたばこ材料の速放性プラグ、および均質化したたばこ材料の徐放性プラグが提供されていて、速放性プラグおよび徐放性プラグは少なくとも一つの特性において異なり、上記で説明の通り、異なるエアロゾル放出プロファイルを提供する。速放性プラグおよび徐放性プラグは、プラグが同軸に整列されていて、組み合わされたプラグが包装されてロッドを形成するように、組み合わされている。
【0072】
次に、包装されたロッドは、従来の組立方法でエアロゾル発生物品のその他の構成要素と組み合わせられうる。
【0073】
速放性プラグおよび徐放性プラグの交互の連続的な配列が提供されていることが好ましく、これは包装されて連続的なロッドを形成する。次に連続的なロッドは切断されて複数の個別のロッドを形成する。本発明の一部の実施形態において、それぞれの個別のロッドは、一対のエアロゾル発生物品を形成するための速放性プラグおよび徐放性プラグの配設を備える。こうした配設において、下流にあることが意図されているプラグは、一対の上流プラグの間に提供されていて、下流プラグは組み立てられたエアロゾル発生物品の下流プラグの長さの2倍の長さを有する。一対のエアロゾル発生物品が組み立てられると、プラグの配設を中央で切断して、二つの別個のエアロゾル発生物品を形成することができ、それぞれが二重プラグを有するロッドを備える。
【0074】
ここで、図を参照しながら本発明をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0075】
図1図1は、本発明によるエアロゾル発生物品の概略的な長軸方向の横断面図を示す。
図2図2は、図1に示すエアロゾル発生物品で使用するエアロゾル発生基体のロッドの第一の実施形態の分解図を示す。
図3図3は、図1に示すエアロゾル発生物品で使用するエアロゾル発生基体のロッドの第二の実施形態の分解図を示す。
図4図4は、電気的に作動するエアロゾル発生装置と、図1または2に示すエアロゾル発生物品とを備えるエアロゾル発生システムの長軸方向の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0076】
図1に示すエアロゾル発生物品10は、エアロゾル発生基体12のロッド、中空のセルロースアセテートチューブ14、スペーサー要素16、マウスピースフィルター18を備える。これら四つの要素は連続的に、かつ同軸に整列して配設されていて、基体ラッパー20によって囲まれていて、エアロゾル発生物品10を形成する。エアロゾル発生物品10は、口側端22と、口側端22に対して物品の反対側の端に位置する遠位端24とを有する。図1に示すエアロゾル発生物品10は、エアロゾル発生基体のロッドを加熱するためのヒーターを備える電気的に作動するエアロゾル発生装置で使用するのに特に適切である。
【0077】
エアロゾル発生基体12のロッドは、約12ミリメートルの長さ、および約7ミリメートルの直径を有する。ロッド12は円筒状の形状であり、実質的に円形の断面を有する。
【0078】
図1のエアロゾル発生物品10で使用するエアロゾル発生基体12のロッドの第一の実施形態を図2に示す。ロッド12は、均質化したたばこ材料の二重プラグ、ロッド12の下流端に提供された速放性プラグ26と、ロッド12の上流端に提供された徐放性プラグ28とを備える。速放性プラグ26および徐放性プラグ28は、相互に実質的に等しい長さを有し、組み立てられたエアロゾル発生物品10において隣接する端と端を接した関係で提供されている。
【0079】
速放性プラグ26および徐放性プラグ28のそれぞれは、均質化したたばこ材料のシートの集合体で形成される。徐放性プラグ28を形成する均質化したたばこ材料のシートは、徐放性プラグ28が速放性プラグ26の密度よりも少なくとも30パーセント高い密度を有するように、集められる。
【0080】
図1のエアロゾル発生物品10で使用するエアロゾル発生基体112のロッドの第二の実施形態を図3に示す。図2に示すエアロゾル発生基体12のロッドと同様に、ロッド112は、ロッド112の下流端に提供された速放性プラグ126と、ロッド112の上流端に提供された徐放性プラグ128とを備える。速放性プラグ126および徐放性プラグ128は、相互に実質的に等しい長さを有し、組み立てられたエアロゾル発生物品10において隣接する端と端を接した関係で提供されている。
【0081】
速放性プラグ126および徐放性プラグ128のそれぞれは、均質化したたばこ材料のシートの集合体で形成されていて、プラグは相互に実質的に同一の密度を有する。しかし、速放性プラグ126および徐放性プラグ128を形成するシートは、相互に異なる組成を有する。特に、速放性プラグ126の均質化したたばこ材料は、徐放性プラグ128の均質化したたばこ材料に対してエアロゾル形成体の異なる組成を有する。速放性プラグ126の均質化したたばこ材料のエアロゾル形成体は、1:1の比でグリセロールとプロピレングリコールの組み合わせを含む。徐放性プラグ128の均質化したたばこ材料のエアロゾル形成体は、プロピレングリコールなしでグリセロールを含む。プラグのそれぞれにおいて、均質化したたばこ材料のエアロゾル形成体総含有量は、約20重量パーセントである。
【0082】
図4は、図1に示すエアロゾル発生物品10のエアロゾル発生基体12のロッドを加熱するためのヒーターブレード210を利用する電気的に作動するエアロゾル発生システム200の一部分を示す。ヒーターブレード210は、電気的に作動するエアロゾル発生装置212のハウジング内にあるエアロゾル発生物品チャンバー内に取り付けられている。エアロゾル発生装置212は、図4に矢印で図示されている通り、空気がエアロゾル発生物品10に流れることを可能にするための複数の空気穴214を画定する。エアロゾル発生装置212は、電源および電子部品を備え、これらは図6で図示されていない。
【0083】
図1に示すエアロゾル発生物品10は消費されるために、図4に示すエアロゾル発生装置212と係合するように設計されている。ユーザーは、ヒーターブレード210が、速放性プラグ26および徐放性プラグ28の両方を通ってエアロゾル発生基体12のロッドの中に挿入されるように、エアロゾル発生物品10をエアロゾル発生装置212の中に挿入する。マウスピースフィルター18は、装置212の口側端から外向きに突き出す。エアロゾル発生物品10がエアロゾル発生装置212と係合した後、エアロゾル発生基体12のロッドの二重プラグ26、28は、ヒーターブレード210によって両方とも同時に、エアロゾル発生基体12のロッドからエアロゾルを発生させるのに十分な温度に加熱される。エアロゾルは、口側端フィルター18を通して引き出される。
【0084】
使用中にエアロゾル発生基体12のロッドを加熱すると、速放性プラグ28は加熱の開始後、徐放性プラグ26よりも短い時間内にエアロゾルを放出し始める。従って、速放性プラグ28の活性化温度はより低い。温度がさらに上昇するにつれて、徐放性プラグ28もエアロゾルを放出することになる。
【0085】
図3に示すエアロゾル発生基体112のロッドを組み込むエアロゾル発生物品10は、図4に示すエアロゾル発生装置212を使用する類似の方法で消費されうることが理解されよう。エアロゾル発生基体12のロッドに関連して記載した通り、使用中にエアロゾル発生基体52のロッドを加熱すると、速放性プラグ128は加熱の開始後、徐放性プラグ126よりも短い時間内にエアロゾルを放出し始める。
【0086】
当然のことながら、図1に示すエアロゾル発生物品10はまた、その他のタイプのエアロゾル発生装置で使用するのに適しうる。
図1
図2
図3
図4