(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-06
(45)【発行日】2023-10-17
(54)【発明の名称】変換可能な作業最適化形状を有するポジトロン放出断層撮影(PET)システム
(51)【国際特許分類】
G01T 1/161 20060101AFI20231010BHJP
【FI】
G01T1/161 A
(21)【出願番号】P 2020529121
(86)(22)【出願日】2018-11-30
(86)【国際出願番号】 EP2018083148
(87)【国際公開番号】W WO2019106150
(87)【国際公開日】2019-06-06
【審査請求日】2021-11-25
(32)【優先日】2017-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】バイ チュアンヨン
(72)【発明者】
【氏名】アンドレーエフ アンドリー
(72)【発明者】
【氏名】ズー ヤン‐ミン
(72)【発明者】
【氏名】チャン ビン
(72)【発明者】
【氏名】タン チー‐フア
(72)【発明者】
【氏名】マクナイト ダグラス
【審査官】蔵田 真彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-098273(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0119704(US,A1)
【文献】特開平11-211833(JP,A)
【文献】特開平01-227999(JP,A)
【文献】米国特許第9995833(US,B1)
【文献】特開平5-11054(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0303871(US,A1)
【文献】特開2004-37418(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01T 1/161-1/166
A61B 6/00-6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
規定されたボア軸を有するボアの周りに配置される複数のポジトロン放出断層撮影(PET)検出器モジュールと、
前記複数のPET検出器モジュールに動作可能に接続されるロボットガントリと、を備え、
前記ロボットガントリは、前記ボア軸に対して平行な軸である軸方向軸、前記ボア軸に対して垂直な軸である径方向軸、及び前記ボア軸に対して垂直かつ前記径方向軸に垂直な軸である接線方向軸に沿って
、前記複数のPET検出器モジュールの各PET検出器モジュールの位置を制御
し、
前記ロボットガントリは、前記ボアを少なくとも部分的に包囲する1つ以上のリングを備え、前記1つ以上のリングは、前記軸方向軸に延びる複数のラックが前記接線方向軸へ沿って配設されており、
前記複数のPET検出器モジュールは、前記複数のラックの各々に、前記軸方向軸に沿って隣接する2以上の前記PET検出器モジュールが配設され、前記ラックごとのグループで複数のグループを構成し、
前記複数のPET検出器モジュールの各々は、前記ラックに対して互いに独立して前記軸方向軸に沿ってロボット制御により移動可能であり、個々に伸縮式アームに支持され、前記伸縮式アームの伸縮動作によって互いに独立して前記径方向軸に沿って移動可能であり、
前記複数のラックは、前記1つ以上のリングに対して前記接線方向軸に沿って互いに独立して移動可能であり、それによって、前記複数のPET検出器モジュールの複数のグループは、互いに独立して前記接線方向軸に沿って移動可能である、PET撮像デバイス。
【請求項2】
隣接する放射線検出器間の間隙内に配置される複数の放射線シールドを更に含み、
前記ロボットガントリは、個々の前記放射線シールドを選択的に延長又は格納するように、前記放射線シールドに動作可能に接続される、請求項
1に記載のPET撮像デバイス。
【請求項3】
電子プロセッサを備えるロボットコントローラを更に備え、前記電子プロセッサは、
対応する前記PET検出器モジュールの前記軸方向軸、前記径方向軸及び前記接線方向軸のうちの少なくとも1つに沿って所望の位置の変化を決定し、
対応する前記PET検出器モジュールを、決定された前記変化に沿って動かすようにプログラムされる、請求項1
又は2に記載のPET撮像デバイス。
【請求項4】
前記PET検出器モジュールの構成を決定し、
前記PET検出器モジュールの前記構成を用いてPET撮像データを取得し、
減衰マップ及び線量分布を用いて、取得された前記PET撮像データの計数分布をモデル化し、
前記計数分布及び前記線量分布を用いて、放射線検出器の前記構成を更新するようにプログラムされる少なくとも1つの電子プロセッサを更に含む、請求項1から
3のいずれか一項に記載のPET撮像デバイス。
【請求項5】
受け入れられる撮像対象物の形状及び受信される撮像作業のうちの少なくとも一方を含む入力に関して、前記PET検出器モジュールの構成を決定し、
決定された前記構成において前記複数のPET検出器モジュールを配置するように前記ロボットガントリを動作させ、
決定された前記構成に配置された前記複数のPET検出器モジュールを用いて、同時時間窓内でPET検出器モジュールによって検出される一対の511KeV検出イベントをそれぞれ含む、同時イベントを検出することを含む、PET撮像データを取得するようにプログラムされる少なくとも1つの電子プロセッサを更に含む、請求項1から
4のいずれか一項に記載のPET撮像デバイス。
【請求項6】
前記少なくとも1つの電子プロセッサは、受け入れられる前記撮像対象物の形状を包囲する前記PET検出器モジュールの軸方向位置と、受け入れられる前記撮像対象物の形状の胴回りに基づいて決定される前記PET検出器モジュールの径方向位置とを含む、前記PET検出器モジュールの前記構成を決定するようにプログラムされる、請求項
5に記載のPET撮像デバイス。
【請求項7】
前記少なくとも1つの電子プロセッサは、受け入れられる前記撮像対象物の形状の少なくとも1つの表面と共形に前記PET検出器モジュールを位置決めすることを含む、前記PET検出器モジュールの前記構成を決定するようにプログラムされる、請求項
5に記載のPET撮像デバイス。
【請求項8】
前記少なくとも1つの電子プロセッサは、
撮像データの前記取得中に、軸方向及び接線方向のうちの少なくとも一方において前記PET検出器モジュールを振動させるために前記ロボットガントリを動作させるように更にプログラムされる、請求項
5又は
6に記載のPET撮像デバイス。
【請求項9】
前記PET検出器モジュールを用いて撮像データを取得することは、
前記PET検出器モジュールの検出器座標において各511KeV検出イベントの場所を特定することを含む、前記PET検出器モジュールを用いて511KeV検出イベントを検出することと、
放射線検出器を含む前記PET検出器モジュールの前記軸方向軸、前記径方向軸及び前記接線方向軸に沿った前記PET検出器モジュールの前記位置に応じて、PET検出器モジュール座標内の前記511KeV検出イベントの前記場所をシフトすることによって、PET検出器モジュール座標内の各511KeV検出イベントの前記場所をPET撮像デバイス座標内の場所に変換することと、
同時時間窓内でPET検出器モジュールによって検出された一対の511KeV検出イベントをそれぞれ含む同時イベントを検出することとを含み、各同時イベントは、PET撮像デバイス座標内の前記一対の511KeV検出イベントの前記場所を接続する関連する応答線(LOR)を有する、請求項
5から
8のいずれか一項に記載のPET撮像デバイス。
【請求項10】
前記少なくとも1つの電子プロセッサは、前記検出器構成を決定することと、決定された前記検出器構成において前記複数のPET検出器モジュールを配置するように前記ロボットガントリを動作させることと、マルチステーション撮像を実行するために複数のベッド位置に関して撮像データを取得することとを繰り返すようにプログラムされる、請求項
5から
9のいずれか一項に記載のPET撮像デバイス。
【請求項11】
規定されたボア軸を有するボアの周りに配置される複数のポジトロン放出断層撮影(PET)検出器モジュールと、
前記複数のPET検出器モジュールに動作可能に接続されるロボットガントリであって、前記ボア軸に対して平行な軸である軸方向軸、前記ボア軸に対して垂直な軸である径方向軸、及び前記ボア軸に対して垂直かつ前記径方向軸に垂直な軸である接線方向軸に沿って
、前記複数のPET検出器モジュールの各PET検出器モジュールの位置を制御するロボットガントリと、
隣接するPET検出器モジュール間の間隙内に配置される複数の放射線シールドとを含み、
前記ロボットガントリは、個々の前記放射線シールドを選択的に伸縮式で延長又は格納するように、前記放射線シールドに動作可能に接続さ
れ、
前記ロボットガントリは、前記ボアを少なくとも部分的に包囲する1つ以上のリングを備え、前記1つ以上のリングは、前記軸方向軸に延びる複数のラックが前記接線方向軸へ沿って配設されており、
前記複数のPET検出器モジュールは、前記複数のラックの各々に、前記軸方向軸に沿って隣接する2以上の前記PET検出器モジュールが配設され、前記ラックごとのグループで複数のグループを構成し、
前記複数のPET検出器モジュールの各々は、前記ラックに対して互いに独立して前記軸方向軸に沿ってロボット制御により移動可能であり、個々に伸縮式アームに支持され、前記伸縮式アームの伸縮動作によって互いに独立して前記径方向軸に沿って移動可能であり、
前記複数のラックは、前記1つ以上のリングに対して前記接線方向軸に沿って互いに独立して移動可能であり、それによって、前記複数のPET検出器モジュールの複数のグループは、互いに独立して前記接線方向軸に沿って移動可能である、ポジトロン放出断層撮影(PET)撮像デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下の内容は包括的には、医療用撮像技術、ポジトロン放出断層撮影(PET)撮像技術及び関連技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ポジトロン放出断層撮影(PET)スキャナは通常、511KeVガンマ線を検出するためのいくつかのPET検出器リングを支持する円筒形ボアタイプのハウジングを含む。これらのPETスキャナは決まった軸方向寸法及び径方向寸法を有する視野(FOV:field of view)を有する。商用のPETスキャナが開発されてきたが、より大きい患者を収容するために、ボア径も次第に大きくなってきた。しかしながら、そのような設計では、ボア径とともに検出器の数が増えるので、コストが増加する。軸方向において、通常の解決策はマルチステージ撮像を利用することであり、患者がボアの中を進み、軸方向において重なり合ういくつかの位置において撮像される。これらの個々のPET画像は、その後、軸方向の重なり合う部分において「繋ぎ合わされ」、全身画像(又は軸方向に広がるように延長された他の画像)が形成される。この解決策は、繋ぎ合わされた重なり合う領域において誤りが生じる可能性があること、軸方向に沿って複数の画像を取得するのに要する撮像セッション時間が長くなることを含む、不都合がある。また、単一のベッド位置を用いて一定の連続取得による動的調査を実行することもできない。
【0003】
PET検出器モジュールの数の増加(それゆえ、コストの増加)を伴うことなく、軸方向FOV(AFOV)を拡大するために、隣接するPET検出器リング間に間隙を設けることが知られている。そのシステムの軸方向FOVは、おおよそ、リングの軸方向寸法と、リング間の間隙との和である。別の手法では、検出器は、各検出器リングの円周の周りに疎らに存在することができ、その結果、各リングは少ない数のPET検出器モジュールを有することになり、軸方向FOVを拡大するために、より多くのリングを追加できるようになる。Zhangら「PET System With Crystal or Detector Unit Spacing」(国際出願第2015/019312号パンフレット)は、隣接する検出器リング間の1つ又は複数の間隔を特定の撮像作業に合わせて調整できる実施形態を含む、「疎」設計の実施形態を開示する。
【0004】
変形手法(Gagnonら「Positron emission tomography system with hybrid detection geometries and sampling」米国特許第8,558,181号を参照)では、調整可能な軸方向FOVが提供される。PETスキャナのボアの軸方向軸に対して平行に検出器バーが配置され、患者を包囲する円に沿って実装される。全てのバーがその中に延在する中央軸方向領域を保持しながら、所望の軸方向FOVを達成するために、バーは互いに対して所望の量だけ軸方向にシフトすることができ、この中央軸方向領域に関して最大の検出器カバレッジを与える。対象領域/器官は、そのような領域/器官に関する撮像を最適化するために、中央軸方向領域と位置合わせされる。
【0005】
更なる従来の手法(Gagnonら「Modular multi-geometry PET system」米国特許第8,378,305号を参照)では、デュアル検出器PETシステムが、患者の異なる部分を撮像する2つの検出器セットと、調整可能な検出器リングとを含み、一方の検出器セットは異なる体格の患者を撮像するために異なるサイズの軸横断リングを形成するように径方向において行き来することができ、一方、他方の検出器セットは、所望により、同時にデータを取得することができる。
【0006】
以下の内容は、新規の改善されたシステム及び方法を開示する。
【発明の概要】
【0007】
1つの開示される態様では、PET撮像デバイスは、複数のPET検出器モジュールと、PET検出器モジュールに動作可能に接続されるロボットガントリとを含む。ロボットガントリは、各PET検出器モジュールの位置を、対応するPET検出器モジュールの軸方向軸、径方向軸及び接線方向軸のうちの少なくとも2つに沿って制御するように構成される。
【0008】
別の開示される態様では、PET撮像デバイスが、複数のPET検出器モジュールと、PET検出器モジュールに動作可能に接続されるロボットガントリとを含む。ロボットガントリは、対応する放射線検出器の軸方向軸、径方向軸及び接線方向軸のそれぞれに沿って、各PET検出器モジュールの位置を制御するように構成される。
【0009】
別の開示される態様では、PET撮像デバイスが、複数のPET検出器モジュールと、隣接するPET検出器モジュール間の間隙内に配置される複数の放射線シールドとを含む。ロボットガントリが、対応する放射線検出器の軸方向軸、径方向軸及び接線方向軸のうちの少なくとも2つに沿って、各放射線検出器の位置を制御するように構成される。ロボットガントリは、個々の放射線シールドを選択的に延長又は格納するように、放射線シールドに動作可能に接続される。複数のラックがロボットガントリに接続され、PET検出器モジュールがその上に取り付けられ、各ラックは、ボアの軸方向と平行に向けられ、各PET検出器モジュールは、PET検出器モジュールを支持するラックに沿って、軸方向においてロボット制御により移動可能である。
【0010】
1つの利点は、PETスキャナを特定の患者及び/又は作業用に構成するために放射線検出器又は検出器モジュールが複数の方向に(例えば、軸方向に、及び/又は径方向に、及び/又は接線方向に)個々に制御可能であるポジトロン放出断層撮影(PET)撮像デバイスを提供することにある。
【0011】
別の利点は、オーバーサンプリングを与えるために検出器モジュールを軸方向及び/又は接線方向において振動させることによって、拡大FOV構成においてデータカバレッジの損失を削減しながら、撮像デバイスの軸方向視野を拡大又は縮小する、可動放射線検出器を備える撮像デバイスを提供することにある。
【0012】
別の利点は、軸方向視野が拡大され、検出器の数が削減された撮像デバイスを提供することにある。
【0013】
別の利点は、患者の対象形状と共形に配置される可動検出器を備える撮像デバイスを提供することにある。
【0014】
所与の実施形態が、上記の利点をいずれも提供しないか、上記の利点のうちの1つ、2つ、3つ以上又は全てを提供する場合があり、及び/又は本開示を読み、理解すると当業者に明らかになるような他の利点を提供する場合がある。
【0015】
本開示は、種々の構成要素及び構成要素の構成において、並びに種々のステップ及び種々のステップの構成において具現される場合がある。図面は、好ましい実施形態を例示することのみを目的としており、本開示を限定するものと解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】一態様による、画像再構成システムを示す概略図である。
【
図2】一態様による、画像再構成システムを示す概略図である。
【
図3】一態様による、画像再構成システムを示す概略図である。
【
図4】
図1~
図3のシステムの例示的なフローチャート動作を示す図である。
【
図5】
図1~
図3のシステムの例示的なフローチャート動作を示す図である。
【
図6】
図1~
図3のシステムの異なる例示的な構成を示す図である。
【
図7】
図1~
図3のシステムの異なる例示的な構成を示す図である。
【
図8】
図1~
図3のシステムの異なる例示的な構成を示す図である。
【
図9】
図1~
図3のシステムの異なる例示的な構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下の内容は、特定の撮像作業に合わせてPET検出器位置を最適化できる構成可能なPETスキャナを提案する。一実施形態において、PET検出器モジュールはラック上に取り付けられ、ラックは、ラックの長さに沿ってPET検出器モジュールを長手方向に(すなわち、軸方向に、すなわち、z方向において)移動できるようにするトラックである。さらに、各PETモジュールは、径方向に動かすために設けられるロボット伸縮式アームを介してラックに取り付けられる。さらに、各ラックは、接線(すなわち、角度)方向に沿って動かされる。ロボットによるこれら3つの自由度によって、広範なPETスキャナ構成を達成することができる。例えば、軸方向におけるPETモジュールの動きを介して、PETモジュールのリング間により大きい間隙を可能にすることによって、より大きい軸方向FOVを達成することができる。別の手法では、拡大された軸方向FOVを与えるために、異なる角度間隔にあるPETモジュールのセットを相対的にオフセットすることができる。
【0018】
その融通性によって、PETモジュールを不均一に位置決めできるようにもなり、例えば、心臓スキャンにおいて、心臓の場所に近いリングの密度を周辺のリングに対して(隣接するリング間に間隙がなくなるまで)高めることができる。これに関連して、隣接するPETモジュール間の放射線シールドを独立したロボット伸縮式アーム上に取り付けることが考えられ、それにより、これらのシールドを中央リング間から引き下げて、中央領域内のリング密度を最大化できるようにする。
【0019】
いくつかの実施形態において、PETモジュールは、PET撮像データ取得中に動かすことができる。例えば、隣接するPETリングの間隔を開けることによって、より広い軸方向FOVが達成される場合には、最終的に収集されたデータセット内に軸方向の間隙が存在しないように、それらのリングを取得中に動かすことができる。類似の概念が「オーバーサンプリング」であり、軸方向検出器分解能を高めるように、取得中に検出器を行き来させることができる。同様に、角度方向に行き来させることを用いて、接線方向において検出器分解能を高めることができる。
【0020】
いくつかの実施形態において、異なるPETモジュールは、異なる検出器タイプ、例えば、TOF-PETモジュール及び非TOF-PETモジュールの混在物を備えることができ、PETスキャナの構成可能性を利用して、PETモジュールタイプの混在物を最適に位置決めすることができる。同様にして、デッドピクセルの密度が大きいPETモジュールは、デッドピクセルが少ない他のPETモジュールを近づけて、デッドピクセルを補償することによって補償することができる。
【0021】
いくつかの実施形態において、取得設定、例えば、リング間の間隙などが理想的とは言えない任意のPETスキャナ構成では、そのような非理想的な構成と、より理想的な(例えば、間隙がない)構成との両方で構成されたPETスキャナに関してファントムデータを取得することができ、深層学習を用いて、非理想的な構成を用いて取得された画像を調整する変換をトレーニングし、理想的な構成により厳密に近づけることができる。
【0022】
他の実施形態では、開示されるPETシステムは、例示的なラック構成と比べて、異なる構成の、又は更なる構成のロボットを必要とする。例えば、乳房検査の場合、検出器に傾斜ロボット調整手段を更に設けることができ、乳房間に位置する2つのPETモジュールをそれぞれの乳房に面するように傾けることができ、それにより、それらの方向におけるPET計数を与えることができる。有利には、そのような構成によれば、両方の乳房を同時に撮像できるのに対して、現在のPET乳房撮像装置は単一のカップを使用し、乳房を1つずつ撮像する。
【0023】
適切なロボットマニピュレータに加えて、ロボットコントローラは、応答線(LOR:line of response)空間軌跡を正確に記録するために、各PET検出器モジュールの現在の場所(そして、傾斜型PETモジュールの場合、角度)を追跡する。1つの手法では、検出器が公称位置(z,r,θ)を有するものと規定される。ただし、zはデフォルト軸方向位置であり、rはデフォルト径方向位置であり、θはデフォルト接線方向(すなわち、角度)位置である。これは、特定のPETモジュールにおいて値(z+Δz,r+Δr,θ+Δθ)に更新される。ただし、Δzはラックに沿ったPETモジュールの軸方向シフトであり、ΔrはPETモジュールの径方向シフトであり、Δθは、支持用ラックの接線方向(角度)シフトである。LORは、その際、3次元空間において2つの関与する検出器の位置が与えられると、従来通りに規定される。さらに、PET検出器モジュールが、例えば、スキャナ中心に又はスキャナ中心付近に位置決めされる検出器リングの密度を高めることによって軸周辺に対してスキャナ中心付近の感度を高めることができる不均一な構成に構成されるときに特に、PET画像再構成において使用される感度行列を調整する必要がある。
【0024】
特定の撮像作業に合わせてのPETスキャナ構成の選択は様々に選択することができる。最も簡単な手法では、その構成は手動で選択され、例えば、所望の軸方向FOVを達成するだけの大きさの環状間隙を隣接するPETリング間に追加する(又は角度方向において隣接するラック間に軸方向オフセットを追加する)、PETモジュールの径方向位置を特定の胴回りの患者に合わせて最小の実用的な径方向位置に設定する、などである。より複雑な手法では、強度変調放射線治療(IMRT:Intensity-modulated radiation therapy)計画において利用される逆方向治療計画最適化に類似の逆最適化アルゴリズムを使用することが考えられる。逆IMRT計画では、放射線源構成が選択され、ターゲット内に結果として生じる線量(又はフルエンス)分布が、減衰マップを用いて放射線吸収を考慮に入れてモデル化され、放射線源構成は、モデル化された線量分布又はフルエンス分布と線量最適化目標との間の整合を改善するように更新される。同様にして、PETモジュール構成を選択することができ、ターゲット内に結果として生じる計数分布が、減衰マップを用いて放射線吸収を考慮に入れてモデル化され、PETモジュール構成は、モデル化された計数分布と線量最適化目標との間の整合を改善するように更新される。
【0025】
複数のベッド位置を利用する撮像作業では、開示されるPETスキャナ構成は一般に、ベッド位置ごとに異なる可能性がある。
【0026】
開示されるシステムは、患者を包囲するガントリのフレーム(及び患者が横たわるベッド又はパレット)に沿って分散配置される複数のラックを含む。この考えの簡単な実施態様の場合、ラックは互いに平行であり、ラックは全てガントリの軸方向軸に平行である。ラックは、最大のAFOVが達成されるほど十分に長い。他の例では、各ラックは複数のセグメント化された区画を有することができ、それらのセグメントはラックに対して垂直な平面においてオフセットを有することができる。ラック又はラックのセグメントは互いに対して異なる向きを有することができ、例えば、互いに平行である必要はない。
【0027】
開示される検出器は、関連するアセンブリ周辺機器とともにプラグイン構成要素として設計することができる。例えば、検出器はラックに差し込むことができ、ラック上のその位置は独立して制御することができ、システムによってプログラム可能である。システムは、ラック又はラックセグメントを動かすことによって、又はPET検出器モジュールを動かすことによって、検出器が対象物に接近できるようにするか、又は対象物から後退できるようにする機構を含むことができる。また、そのシステムによれば、検出器は対象物に向くように向きを変更できるようになる。PET検出器モジュールは、システムによって制御されるように、検出器を動かし、向きを変更する機構を含む。いくつかの実施形態において、PET検出器モジュールは、衝突検出及び防止機構を含むことができる。例えば、PET検出器モジュールの角に1つ以上の圧力センサ(図示せず)を配置することができる。1つ以上の電子プロセッサが、圧力センサによって得られた圧力信号を解析して、PET検出器モジュール間の(又はPET検出器のうちの1つと撮像される患者との間の)衝突が発生しているか否かを判断することができる。プロセッサは、その後、互いに離間させて衝突を回避するように、PET検出器モジュールを制御することができる。
【0028】
例えば、各ラックが5つの検出器を含み、全てのラック上の全ての検出器を整列させるように検出器を密着させる場合には、システム構成は、約16cmのAFOVを有する従来のPETシステムと同じである(検出器アセンブリが3.2cm×3.2cmの寸法を有すると仮定する)。
【0029】
いくつかの例では、検出器を独立して制御することができ、ラック上の検出器の場所はわかっているので、隣接するPET検出器モジュール18は、ラックに沿って(軸方向に沿って)所定の間隙が存在するように位置決めすることができる。
【0030】
他の例では、1つのラック上の全ての検出器が一緒に動くことができるが、異なるラック上の検出器は異なる量だけ動くことができる。
【0031】
画像取得のAFOVを拡大するために、開示されるPETシステムにおいて、先行する2つの例を実施することができる。開示されるPETシステムのAFOVを更に拡大するために、これら2つの例の実施形態を実施することができる。
【0032】
ラック上の検出器間の所定の間隙はプログラム可能であるので、開示されるPETシステムは、所望に応じて、間隙を調整する融通性を有する。小器官/対象物を撮像する場合、同じ数の検出器エリアを用いて最大感度を得ることができるように、間隙をゼロに設定することができる。
【0033】
いくつかの例において、各ラック上の検出器の数は異なることができる。例えば、ガントリのラックの3分の1が、例えば、7つの検出器(約22.4cm)を有することができ、ラックの残りの部分が、例えば、それぞれ4つの検出器(約12.8cm)を有することができる。7つの検出器を備えるラックは22.4cmの実効AFOVを与えることができる。4検出器ラック上の検出器は、最適な性能を得るために、意図したアプリケーションに応じてシフトすることができる。検出器エリアの全数は、各ラック上に5つの検出器を備えるシステム(又は完全に実装された5つのリングを備えるシステム)と同じであるが、その実効AFOVは、16.4cmから22.4cmに拡大される。
【0034】
開示されるPETシステムの構成可能な設計によれば、低コスト及び高性能で、拡張性のあるシステムを製造できるようになる。例えば、各ラックが3つの検出器を有する場合には、それは9.6cmのAFOVを有する3リングシステムに相当する。開示される構成可能な設計を用いて、その実効AFOVを5つの仮想リングの実効AFOVに、すなわち、16cmに拡張することができる。
【0035】
上記の3リングシステムは、各ラックに1つ又は2つの検出器を追加することによって、4リングシステム、5リングシステムなどに容易にアップグレードすることができる。この融通性は、アップグレードに関して異なる要求がある顧客にとって極めて有用である。
【0036】
AFOVを拡張する融通性によって、大量の動的調査を実行できるようになる。対照的に、同じ検出器エリアを有する従来のシステムでは、実効AFOVが小さすぎるので、そのような調査を行うことはできない。
【0037】
検出器の位置は個々に制御することができ、最適化プログラムを用いて、意図したアプリケーションに合わせてまとめて最適化することができる(マルチリーフコリメータ開口、各角度におけるデリバリ長などが最適化される放射線治療の場合と同様)。
【0038】
検出器は交換可能なプラグイン構成要素として設計されるので、それらの検出器は、必要に応じて、複数のシステム間で共有することができる。例えば、利用可能な3リングシステムから1つ以上の検出器を(一時的に)取り外すことができ、別の3リングシステム上でそれらの検出器を用いて、6リングシステムの最大有効性を達成することができる。他のシステムが複合PET/CTシステムである場合には、システムからPET検出器モジュール18を取り外しても、システムのCT部分の性能には影響を与えない。
【0039】
感度を改善し、バックグラウンドアクティビティの影響を低減し、取得されるデータの品質を改善するために、対象の器官に向くように、及び/又は対象の器官に対して近接離反するように、検出器を方向転換又は回転させることができる。
【0040】
隣接するラック上の検出器が所定のパターンにおいて相対的にシフトするとき、開示されるPETシステムの軸方向オーバーサンプリングを達成することができる。
【0041】
開示される検出器構成は、最適化プログラムを介して、スキャン中に変更することができる。例えば、ステップアンドシュート(step-and-shoot)ベッド運動を用いるマルチフレーム全身スキャンの場合、頭部、頭部/頸部フレーム、胴部及び下半身取得フレームにおいて検出器を異なるように位置決めすることができる。これは、全取得時間を削減し、臨床治療ワークフロー及び患者スループットを改善できる可能性がある。
【0042】
開示されるラックは、他の代替形態が望まれる場合には、システム設計において必ずしもラックとして実現されるとは限らない。例えば、検出器が取り付けられる/差し込まれるためのベースとして、患者を包囲する2次元(2D)表面を設計することができる。2D表面上の検出器の位置はプログラム可能とすることができる。また、検出器は、向きを変更するか、又は患者に対して近接若しくは離反する機構も含むことができる。
【0043】
いくつかの例において、開示されるPETシステムはマンモグラフィPETスキャナに変換することができ、患者の乳房の周りにPET検出器モジュール18のリングが形成され、追加の投影図を得るために、いくつかの追加の検出器が患者の両脇及び背中に位置決めされ、完全な断層撮像データが得られるようにする。
【0044】
他の例では、開示されるPETシステムは、患者頭部の周りにリングを形成することによって、脳PETスキャナに変換することができる。
【0045】
更なる例では、開示されるPETシステムは、前臨床小動物スキャナに再構成することもできる。
【0046】
いくつかの例示的な実施形態では、患者の身体の近くに検出器を位置決めすることによって、検出器の角度を最適化することができる。そのため、相互作用深度(DOI:depth-of-interaction)の影響を最小化するために、検出器結晶を薄くすることができる。これは製造原価を削減できる可能性がある一方で、立体角が最適化されることに起因して、PETカメラの実効感度は依然として高い。
【0047】
他の例示的な実施形態では、より高い空間分解能が得られるように最適化するために、検出器が異なる構成を有することができるか、又は結晶サイズを小さくして検出器を患者の近くに位置決めすることができる。
【0048】
図1を参照すると、例示的なポジトロン放出断層撮影(PET)撮像システム又はデバイス10が、PET撮像のために、検査領域11に患者(図示せず)を受け入れる。撮像システム10は、本明細書においてPETスキャナとして説明されるが、撮像システムは任意の他の適切な撮像モダリティ(例えば、単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)撮像デバイス用のガンマカメラ、ハイブリッドSPECT/PET撮像デバイスなど)とすることができる。PETスキャナ10は、PETコントローラ12、例えば、コンピュータ、又はマイクロプロセッサ、マイクロコントローラなどを含む他の電子デバイスによって制御される。説明されるように、PETスキャナ10は、ロボットコントローラ14によって制御されるロボットガントリを利用する。PETスキャナ10は
図1において側断面図で示されており、ロボットガントリ20によって支持される複数のPET検出器モジュール18を含むことがわかり、この例示的な実施形態では、ロボットガントリ20は複数の支持用ラック24を含む。各PET検出器モジュール18は、511KeVガンマ線を吸収し、511KeVが吸収されるたびに、光電子増倍管(PMT:photomultiplier tube)に結合されるシンチレーションを生成する材料からなるシンチレータ結晶、デジタル/アナログシリコン光電子増倍管(SiPM)、又はシンチレータ結晶において生成されるシンチレーションを検出するように構成される他の検出器のような、適切な放射線検出器デバイス(詳細には示されない)を備える、放射線検出器ピクセルのアレイを含む。詳細な構成は様々であり、例えば、各検出器ピクセルが対応するシンチレータ結晶及びSiPM又は他の検出器を備える一対一構成、又は複数のPMT、SiPMなどと光学的に結合され、各511KeV検出イベントの位置を特定するためにアンガーロジックなどを利用する、大面積のシンチレータ結晶のような分散構成とすることができる。
【0049】
図2及び
図3は、PET撮像システム10をより詳細に例示する。
図1を引き続き参照しながら、ここで
図2及び
図3を参照すると、PET撮像デバイス10は、検査領域11内の患者のPET撮像データを得るように構成される複数のPET検出器モジュール18を含む。いくつかの例において、複数のPET検出器モジュール18は互いに同一にすることができる。他の例では、PET検出器モジュール18のうちの少なくとも1つが、PET検出器モジュールの放射線検出器を構成するために使用される材料によって、PET検出器モジュールのうちの別のPET検出器モジュールとは異なり、PET検出器モジュールのうちの1つが飛行時間検出器を備え、PET検出器モジュールのうちの別のPET検出器モジュールが非飛行時間放射線検出器を備え、PET検出器モジュールのうちの1つが、飛行時間PET検出器モジュールを備えるPET検出器モジュールのうちの別のPET検出器モジュールとは異なる飛行時間分解能を有する飛行時間PET検出器モジュールを含み、PET検出器モジュールのうちの1つが、PET検出器モジュールのうちの別のPET検出器モジュールの結晶とは異なるサイズ及び長さの少なくとも一方の結晶を含むなどである。
【0050】
ロボットガントリ20は、複数のPET検出器モジュール18に動作可能に接続される。ロボットガントリ20は、対応する放射線検出器の軸方向軸z及び/又は径方向軸r(
図2)及び/又は接線方向軸θ(
図3)に沿って、各PET検出器モジュール18の位置を制御するように構成される。いくつかの実施形態において、ロボットガントリ20は、対応する放射線検出器の軸方向軸z、径方向軸r及び接線方向軸θのうちの2つ以上に沿って、各PET検出器モジュール18の位置を独立して制御するように構成される。各PET検出器モジュール18は、ユニットとして一緒に動くように共通の基板又はハウジング上に支持されるPET検出器ピクセルの1次元又は2次元アレイを備えることに留意されたい。しかしながら、ロボットガントリ20は、互いに独立して、PET検出器モジュール18、又はPET検出器モジュール18のうちの少なくともグループを動かすように動作し、それにより、複数のPET検出器モジュール18を広範な異なる構成のいずれかにおいて配置できるようにする。
【0051】
図2に示されるように、PET撮像システム10のPET検出器モジュール18は、ボアの周りに配置され、ボアは、例示において、PET検出器モジュール18の軸方向軸zに対して平行である、規定されたボア軸22を有する水平円筒型ボアである(
図2は、
図1とは異なり、2つの典型的なラックをより明確に例示するために、断面によって横切られる上側ラック及び下側ラックのみの断面図であることに留意されたい)。
図1の完全な断面図において見られるように、ボア軸22の周りに複数のラック24が配置される。各PET検出器モジュール18はラック24のうちの1つに取り付けられる。各ラック24は、ボア軸22と平行に向けられる。各PET検出器モジュール18は、PET検出器モジュール18を支持するラック24に沿って軸方向において(すなわち、ボア軸22と平行に、言い換えると、PET検出器モジュール18の軸方向軸zに沿って)ロボット制御により移動可能である。
図2に示されるように、上側ラック及び下側ラック24(及び支持されるPET検出器モジュール18)は、ボア軸22の両側に示される(ラックは互いの鏡像であるが、明確にするために、「上側」ラックにのみ含まれる参照番号もあれば、「下側」ラックにのみ含まれる参照番号もある)。
【0052】
図1及び
図2を引き続き参照し、ここで
図3を参照すると、
図3は、PETスキャナ10の端面図を示し、伸縮式アーム26が、各PET検出器モジュール18に接続され、各PET検出器モジュール18を支持する。伸縮式アーム26は、放射線検出器の径方向軸rに沿って、すなわち、PETスキャナ10のボア内に配置される撮像対象物に対して近接又は離反するように(すなわち、ボア軸22に対して近接又は離反するように)、支持されたPET検出器モジュール18を動かすように動作可能である。
【0053】
図3において見られるように、ロボットガントリ20は、それぞれが撮像デバイス10のボア22を少なくとも部分的に包囲する、複数のラック支持アーク又はリング28を更に含む。
図3の端面図において、1つのラック支持リング28のみが見えるが、通常は複数のそのような支持リング28が設けられ、例えば、ラック24の2つの反対端のそれぞれに1つの支持リングと、更なる支持を与えるために、任意選択でその間に1つ以上の更なる中間ラック支持リングとが設けられる。別の考えられる変形形態では、PETスキャナ10の軸方向の全長に延在する単一のラック支持リングが設けられ、その結果、この単一のラック支持リングは、軸方向においてラック28と同一の長さを有する円筒形である。1つ以上のラック支持アーク又はリング28は、ラックと直角をなす接線方向軸θ(
図3を参照)に沿って各ラック24を動かし、それにより、接続されたPET検出器モジュール18を接線方向t(
図3を参照)に沿って動かすように動作可能なロボットリンクを含む。
【0054】
図2に明示されるように、PET撮像デバイス10は、任意選択で、軸方向において隣接するPET検出器モジュール18間の間隙内に配置される複数の放射線シールド32も含む。図示されないが、接線方向において隣接するPET検出器モジュール18間の間隙内に配置される放射線シールドを含むことも同様に考えられる。ロボットガントリ20は、個々の放射線シールド32を選択的に延長又は格納する伸縮式アーム33によって放射線シールド32に動作可能に接続される。例えば、
図2に示されるように、軸外のスプリアスFOV放射の検出を低減するために、放射線を遮蔽するように、ロボットガントリ20の端部に配置される一対の放射線シールド32がPET検出器モジュール18を越えて延長され、一方、PET検出器モジュール18が放射線シールドを越えて延在するように、放射線検出器間に配置される放射線シールド32は格納される。
【0055】
いくつかの実施形態では、
図2に示されるように、PET検出器モジュール18は、1つ以上の圧力センサ34を含む、衝突検出及び防止機構を含むことができる。例えば、1つ以上の圧力センサ34は、PET検出器モジュール18の角に配置することができる。PETコントローラ12は、圧力センサ34によって得られた圧力信号を解析して、隣接するPET検出器モジュール間の(又はPET検出器モジュールのうちの1つと撮像される患者との間の)衝突が発生しているか否かを判断することができる。PETコントローラ12は、その後、互いに離間させて衝突を回避するように、PET検出器モジュール18を制御することができる。
【0056】
図1を再び参照すると、ロボットコントローラ14は、対応するPET検出器モジュール18の軸方向軸z、径方向軸r及び接線方向軸θのうちの少なくとも1つに沿って所望の位置変化を決定し、決定された変化に沿って対応する放射線検出器を動かすようにプログラムされる電子プロセッサを備える。少なくとも1つの電子プロセッサ40、少なくとも1つのユーザ入力デバイス(例えば、マウス、キーボード、トラックボールなど)42及び表示デバイス44のような通常の構成要素を備えるコンピュータ、又はワークステーション、又は他の電子データ処理デバイス38によって、放射線科医、技師又は他の医療関係者が、PETコントローラ12とやりとりし、PET撮像データ取得を実行するようにPET撮像デバイス10を動作させることができる。
【0057】
少なくとも1つの電子プロセッサ12、14、40は、1つ以上の非一時的記憶媒体46(磁気ディスク、RAID若しくは他の磁気記憶媒体、ソリッドステートドライブ、フラッシュドライブ、電子的消去可能読み出し専用メモリ(EEROM)若しくは他の電子メモリ、光ディスク若しくは他の光学記憶装置、又はその種々の組合せなど)に動作可能に接続され、記憶媒体は、受け入れられた撮像対象物の形状に合わせて、及び/又は受信された撮像作業に合わせてPET撮像デバイス10を構成するために、検出器構成更新方法又はプロセス100、200(
図4及び
図5を参照)を実行することのような、本明細書において開示される動作を実行し、同時時間窓内でPET検出器モジュール18によって検出された一対の511KeV検出イベントをそれぞれ含む同時イベントを検出することと、同時イベントを再構成し、再構成済みPET画像を生成することとを含む、撮像データ取得及び画像再構成プロセス48を実行するために、少なくとも1つの電子プロセッサ12、14、40によって読み出し可能であり、実行可能である命令を記憶する。画像再構成は、任意の適切な画像再構成アルゴリズム、例えば、最尤期待値最大化(MLEM:maximum likelihood-expectation maximization)、逐次部分期待値最大化(OSEM:ordered subsets expectation maximization)などを利用することができ、散乱補正、エッジ保存正則化、及び/又は当該技術分野において知られているような、画像品質を向上させるための他の技法を組み込むことができる。任意選択で、PET検出器モジュール18が、応答線(LOR)に沿って飛行時間(TOF)定位を提供するほど十分に高速のPET検出器モジュールを含む場合には、画像再構成は、画像再構成においてTOF情報を利用することができる。
【0058】
図4を参照すると、検出器構成更新方法100の例示的な実施形態がフローチャートとして図式的に示される。102において、PET検出器モジュール18が、放射線検出器の望ましい構成及び望ましくない構成の両方において対象物のファントムデータを取得するように、少なくとも1つの電子プロセッサ(すなわち、ロボットコントローラ14)によって構成又は制御される。104において、少なくとも1つの電子プロセッサ40が、取得されたファントムデータ又は患者データに機械学習変換を適用して、PET検出器モジュール18をPET検出器モジュール18の望ましくない構成から望ましい構成に調整するようにプログラムされる。
【0059】
図5を参照すると、放射線検出器構成更新方法200の別の例示的な実施形態がフローチャートとして図式的に示される。202において、少なくとも1つの電子プロセッサ40が、PET検出器モジュール18の構成を決定するようにプログラムされる。いくつかの例において、PET検出器モジュール18の構成は、受け入れられる撮像対象物の形状(例えば、1つ以上の乳房)に合わせて決定される。いくつかの例では、少なくとも1つの電子プロセッサ40は、受け入れられる撮像対象物の形状の胴回りに基づいて決定された、放射線検出器の受け入れられる撮像対象物の形状の径方向位置を包囲するように、PET検出器モジュール18の軸方向位置を含む、検出器構成を決定するようにプログラムされる。他の例では、少なくとも1つの電子プロセッサ40は、受け入れられる撮像対象物の形状のうちの少なくとも1つの表面と共形にPET検出器モジュール18を位置決めすることを含む、検出器構成を決定するようにプログラムされる。
【0060】
204において、少なくとも1つの電子プロセッサ40が、PET検出器モジュール18の構成を用いて撮像データを取得するようにプログラムされる。そのために、少なくとも1つの電子プロセッサ40は、決定された検出器構成において複数のPET検出器モジュール18を配置するように、ロボットガントリ20を動作させるようにプログラムされる。決定された検出器構成に配置された複数のPET検出器モジュール18を用いて、少なくとも1つの電子プロセッサ12、14、40は、PET検出器モジュールを用いて撮像データを取得し、撮像データを再構成して、再構成済み画像を生成するように、ロボットガントリ20を制御するようにプログラムされる。いくつかの例では、少なくとも1つの電子プロセッサ12、14、40は、撮像データの取得中に、オーバーサンプリングを実行するために、軸方向及び接線方向のうちの少なくとも一方においてPET検出器モジュール18を振動させるように、ロボットガントリ20を動作させるように更にプログラムされる。これは、より広いFOVを網羅するために、その構成が検出器モジュール間の間隙を用いて検出器モジュールを離間する場合に有用である可能性がある。オーバーサンプリングは、取得された撮像データセットの完全性に及ぼす間隙の影響を小さくすることができる。他の例では、PET検出器モジュール18は、2つの方向(z、r及びθ)のうちの少なくとも一方に沿って所定の範囲内に配置される。オーバーサンプリング動作の場合、データ取得のために絶えず、又は複数のステップにおいてPET検出器モジュールを異なる場所に動かすように、ロボットガントリ20によってPET検出器モジュール18を制御することができる。スキャンが行われるとき、PET検出器モジュール18は元の位置に戻ることができる。
【0061】
図1~
図3の例示的なロボットガントリ20は例示である。異なる構成、及び/又は更なる構成のロボットも考えられる。軸方向(z)、径方向(r)及び接線方向(t)の3つ全ての自由度が与えられるとは限らないことは理解されよう。例えば、軸方向(z)及び径方向(r)の自由度を与えるが、接線方向(t)の自由度を与えないロボットガントリは、異なる身長(ボア軸22に沿って患者が腹臥位又は仰臥位において横たわっているときの軸方向の「長さ」に対応する)及び異なる胴回りの患者を収容する際に有用である可能性がある。
【0062】
別の例として、軸方向(z)及び接線方向(θ)の自由度を与えるが、径方向(r)の自由度を与えないロボットガントリは、異なる身長の患者を収容し、また、円周方向に沿って隣接する検出器モジュール間に間隙を与えることによって、より少ないPET検出器モジュールを利用する際に有用である可能性がある。
【0063】
別の例として、左乳房及び右乳房の両方の周りにPET検出器モジュールを共形に配置して乳房検査を実施するために、PET検出器モジュールを位置決めするためのロボットに、任意選択で傾斜ロボット調整(図示せず)を与えることができる。この更なるロボット自由度を用いて、乳房間に2つのPETモジュールを配置することができ、一方は左乳房に面するように傾けられ、他方は右乳房に面するように傾けられ、それにより、それらの方向においてPET計数を与えることができる。有利には、そのような構成を用いて、両方の乳房に関する撮像データを同時に収集することができる。
【0064】
図1~
図3を参照しながら説明されたような適切なロボットマニピュレータに加え、任意選択で、上記で言及された傾斜を含むことに加えて、ロボットコントローラ14は、同時イベントの応答線(LOR)空間軌跡を正確に記録するために、各PET検出器モジュール18の現在の場所(そして、傾斜型PETモジュールの場合、角度)を追跡する。1つの手法では、PET検出器モジュールが、デフォルト位置を有するものと規定され、そのモジュール上の所与の検出器が、その際、公称位置(z,r,θ)を有する。ただし、zは検出器のデフォルト軸方向位置であり、rはデフォルト径方向位置であり、θはデフォルト接線方向(すなわち、角度)位置である。これは、特定のPET検出器モジュールにおいて値(z+Δz,r+Δr,θ+Δθ)に更新される。ただし、Δzはラック24に沿ったPET検出器モジュールの軸方向シフトであり、Δrは、伸縮式アーム26によって達成されるPET検出器モジュールの径方向シフトであり、Δθは、PET検出器モジュールを支持するラック24の接線方向(角度)シフトである。より一般的には、その放射線検出器を含むPET検出器モジュールの軸方向(z)、径方向(r)及び接線方向(t)に沿ったPET検出器モジュールの位置に従って、PET検出器モジュール座標内の511KeV検出イベントの場所をシフトすることによって、PET検出器モジュール座標内の各511KeV検出イベントの場所が、PET撮像デバイス座標内の場所に変換される。その際、PET撮像デバイス座標内の一対の511KeV検出イベントの場所を接続することにより、LORが規定される。さらに、PET検出器モジュールが、スキャナ中心に、又はスキャナ中心付近に位置決めされるPET検出器モジュールの密度を高めることによって、例えば、軸周辺に対してPETスキャナ10の中心付近の感度を高めることができる不均一構成に構成されるときに特に、PET画像再構成48において使用される感度行列を調整する必要がある。
【0065】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの電子プロセッサ40は、検出器構成を決定すること、決定された検出器構成において複数のPET検出器モジュール18を配置するようにロボットガントリ20を動作させること、及びマルチステーション撮像を実行するために複数のベッド位置に関して撮像データを取得することを繰り返すようにプログラムされる。
【0066】
206において、少なくとも1つの電子プロセッサ40が、減衰マップ及び線量分布を用いて、取得された撮像データの計数分布をモデル化するようにプログラムされる。
【0067】
208において、少なくとも1つの電子プロセッサ40が、計数分布及び線量分布を用いて、PET検出器モジュール18の構成を更新するようにプログラムされる。
【0068】
[実施例]
PET検出器モジュール18は、数多くの適切な望ましい構成に構成可能である。例えば、PET検出器モジュール18は、タイルとして構成することができ、プラグイン構成要素として設計することができる。PET検出器モジュール18は、患者に面するようにラック24に差し込むことができ、撮像を最適化するために、患者に対して近接離反するように動かし、対象領域に向きを変更することもできる。
【0069】
撮像システム10は、撮像作業に従って各PET検出器モジュール18の最適な位置/向きを計算する最適化ソフトウェアを含むことができる。例えば、16.4cmのAFOVを有する従来の5リングシステムに相当するPET検出器モジュール18を備えるシステムに関して、撮像作業が16.4cmより広い実効AFOVを必要とする場合には、システムは、所望のAFOVを達成するために、それに応じてAFOV拡張をプログラムし、PET検出器モジュール18を動かすことができる。
【0070】
図6A~
図6Cは、PET検出器モジュール18の異なる取り得る構成を示す。
図6Aは、互いに隣接して位置決めされる各ラック(
図6Aには示されない)上の構成可能なPET検出器モジュール18を示し、異なるラック上の検出器が検出器の軸方向軸で位置合わせされる。この構成は、16.4cmのAFOVを有する。心臓スキャンのためにAFOVを19.6cmに拡大するように(
図6Bに示される)、又は、例えば、肺又は頭部及び頸部スキャンにおいて、22.8cmに拡大するように(
図6Cに示される)、PET検出器モジュール18を動かすことができる。
【0071】
図7は、従来の3リングシステム(
図7の「左」側に示される)内のPET検出器モジュール18を、従来の5リングシステム(
図7の「右」側に示される)のAFOVを有するように操作できることを示す。実際の取得からシミュレートされたデータは、再構成可能なシステムが、従来の5リングシステムとして35%の全計数を有することを示した。再構成済み画像は、より高いノイズレベルを示したが、他の点では、画像品質に対する劣化を示さなかった。
【0072】
別の例では、
図8は、撮像システム10のAFOVを16.4cmから22.8cmに拡張するPET検出器モジュール18の2つの他の構成を示す。
図8の「左」側に示されるように、所望のAFOVを達成するために、個々のPET検出器モジュール18間に間隙を形成することができる。例えば、間隙は3.2cmに設定することができ、22.8cmのAFOVを達成するために、間隙のシフトを1.6cmとすることができる。
図8の「右」側に示されるように、ラック24は、異なる数のPET検出器モジュール18を含むことができる。例えば、22.8cmのAFOVを達成するために、上側ラック及び下側ラック24は、7つのPET検出器モジュール18を含むことができ、一方、中央ラック24は、4つの放射線検出器を含むことができる。
【0073】
図9A~
図9Dは、AFOV22.8cmを達成する検出器構成の他の例を示す。
図9Aは、22.8cmのAFOVを達成するために、中央ラック24が3つのみのPET検出器モジュール18を有し、検出器の20%削減を達成することを示す。
図9Bは、22.8cmのAFOVを達成するために、中央ラック24が2つのみのPET検出器モジュール18を有し、検出器の30%削減を達成することを示す。
図9Cは、22.8cmのAFOVを達成するために、第1の中央ラック24が3つのみのPET検出器モジュール18を有し、第2の中央ラックが2つのみの放射線検出器を有し、検出器の33%削減を達成することを示す。
図9Dは、22.8cmのAFOVを達成するために、交互のラック24が2つ及び3つのPET検出器モジュール18を有し、検出器の50%削減を達成することを示す。これらの構成のそれぞれに関して、最適化プログラムが、異なるやり方において、PET検出器モジュール18を再構成/位置決めすることができる。最適化プログラムは、PET検出器モジュール18を患者に対して近接又は離反するように向きを変更するか、又は動かすことができるので、検出器の量を削減することを通しての強引な(brutal force)コスト削減に比べて、性能を更に改善することができる。言い換えると、検出器の削減に起因する感度低下を最適化プログラムによって完全に、又は部分的に補償することができる。
【0074】
図10は、大きい物体及び小さい物体を撮像するための潜在的なプログラム可能構成を示す。小さい物体を撮像するとき、より良好な感度及び分解能を得るために、患者により接近するように、PET検出器モジュール18の一部が径方向に動くが、実効AFOVを拡張し、画像感度を更に改善するために、構成プログラムに従って、検出器の残りを更なるリング又は部分リングを形成するようにプログラムすることができる。
図10の左上角に示されるように、大きい物体を撮像するには広いAFOVが望ましく、一方、撮像する物体が小さくなるほど、狭いFOVが望ましい(
図10の中央左部分に示される)。
図10の右上角に示されるように、より小さい物体を軸横断方向において撮像するとき、最適化プログラムは、PET検出器モジュール18を、より小さい軸横断FOVリングに構成し、それ以外のPET検出器モジュール18は、より大きいAFOVを有するように、追加のリングを形成するようにプログラムされ(
図10の中央右部分及び下側部分に示される)、それにより、小さい物体に関する撮像を改善する。
【0075】
図11は、マンモグラフィ調査のために最適化されたPETシステム10を示す。
図11に示されるように、個々のPET検出器モジュール18は、個々の乳房を撮像するように位置決めすることができる(例えば、検出器は、乳房の形状に共形に配置される)。同様に、
図11に示されるシステム10は、脳撮像を最適化するために構成することができ、脳撮像では、検出器の一部を従来の専用脳PETスキャナとして小さいリングを形成するように構成することができ、その後、患者の下あごと胴との間の利用可能な空間に基づいて、いくつかの検出器を頭頂部から脳に面するように構成することができ、いくつかの検出器を下あごから脳に面するように構成することができる。
【0076】
上記の例は、各PET検出器モジュール18の位置、向きなどを最適化するために、患者サイズ、撮像プロトコル、CT情報などに基づいて最適化することができる。PET検出器モジュール18は、スキャン前に、又はスキャン中に、プログラムされた最適化済みの位置/向きに基づいて位置決めされる。第1の例では、PET/CTシステムの場合に、CTサービュー画像(CT surview image)を用いて、撮像空間内の患者の寸法及び場所が特定される。最適化プログラムは、最適な撮像のために患者を包囲する、より小さい半径のリング又は部分リングを形成するために、どのPET検出器モジュール18を患者のより近くに動かすことができるかを判断することができる。第2の例では、システムが、心臓スキャンのために16.4cmのAFOVを有する従来のPET/CTシステムとして構成される。CT画像(例えば、サービュー)が、患者の心臓が軸方向において15cmの寸法を有することを示す。16.4cmのAFOVを有する従来の構成を用いる撮像は、AFOVの端部付近において著しく高いノイズレベルを引き起こし、散乱の補正も難しい。1つのフレーム内で高品質の心臓スキャンを可能にするために、最適化プログラムを用いて、19.6cmのAFOVを有するようにシステムを構成することができる。そのような最適化は、所望の形状を形成するようにPET検出器モジュール18を動かすことによって、又はラック上のPET検出器モジュール18間に間隙を導入することによって実現することができ、間隙サイズ及びパターンは最適化プログラムから得られる。第2の例では、心臓スキャンのために16.4cmのAFOVを有する従来のPET/CTシステムの場合に、CT画像(例えば、サービュー画像)が、患者の心臓が軸方向において15cmの寸法を有することを示す。16.4cmのAFOVを有する従来の構成を用いる撮像は、AFOVの端部付近において著しく高いノイズレベルを引き起こす。1つのフレーム内で高品質の心臓スキャンを可能にするために、最適化プログラムを用いて、19.6cmのAFOVを有するようにシステムを構成することができる。そのような最適化は、所望の形状を形成するようにPET検出器モジュール18を動かすことによって、又はラック上の放射線検出器間に間隙を導入することによって実現することができ、間隙サイズ及びパターンは最適化プログラムから得られる。さらに、最適化プログラムは、2017年11月15日に出願された同時係属出願第62/586,229号において記述される最適化プログラムを含むことができ、その出願はその全体を参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0077】
PET検出器モジュール18のプラグアンドプレイ構成によれば、例えば、プラグアンドプレイモデルにおいて各ラック上に2つの検出器を追加することによって、従来の3リングシステムから5リングシステムに容易にアップグレード及びメンテナンスできるようになる。これにより、スキャナ間で検出器を共有できるようになり、例えば、複数のシステムを備えるサイトに関する性能を最大化/コストを最小化できるようになり、メンテナンスのコストを最小化できるようになる。
【0078】
PET検出器モジュール18の動的な構成によれば、コンティニューカウチモーション(continue-couch-motion)スキャン中に速度増加及び減少による感度変化を変更により補償できるようになる。この構成は、対象領域、例えば、腫瘍領域に関してより良好な感度を割り当てるために、全身スキャン中に変更することができる。さらに、動的な構成によれば、全身スキャン中の変更により、画像内のあまり重要でない領域(例えば、腫瘍のない脚領域)に割り当てられる感度を下げる(例えば、結晶軸方向距離を拡張する)ことができるようになり、高速スキャンを可能にする。これは、全取得量を削減し、臨床ワークフロー及び患者スループットを改善できる可能性がある。
【0079】
本開示は、好ましい実施形態を参照しながら説明されてきた。これまでの詳細な説明を読み、理解すると、他の人でも変更及び改変を思いつくことができる。そのような変更及び改変が添付の特許請求の範囲又はその均等物内に入る限りにおいて、本発明はそれら全ての変更及び改変を含むものと解釈されることを意図している。
(本発明の第1の形態)
複数のポジトロン放出断層撮影(PET)検出器モジュールと、
前記PET検出器モジュールに動作可能に接続されるロボットガントリとを備え、前記ロボットガントリは、各PET検出器モジュールの位置を、対応する前記PET検出器モジュールの軸方向軸、径方向軸及び接線方向軸のうちの少なくとも2つに沿って制御する、PET撮像デバイス。
(本発明の第2の形態)
前記ロボットガントリは、各PET検出器モジュールの位置を、対応する前記PET検出器モジュールの前記軸方向軸及び前記径方向軸に沿って制御する、本発明の第1の形態に記載のPET撮像デバイス。
(本発明の第3の形態)
前記ロボットガントリは、各PET検出器モジュールの位置を、対応する前記PET検出器モジュールの前記軸方向軸及び前記接線方向軸に沿って制御する、本発明の第1の形態に記載のPET撮像デバイス。
(本発明の第4の形態)
前記ロボットガントリは、各PET検出器モジュールの位置を、対応する前記PET検出器モジュールの前記径方向軸及び前記接線方向軸に沿って制御する、本発明の第1の形態に記載のPET撮像デバイス。
(本発明の第5の形態)
前記PET撮像デバイスは軸方向を有するボアを更に含み、前記ロボットガントリは、
前記ボアの周りに配置された複数のラックであって、前記PET検出器モジュールがその上に取り付けられる複数のラックを含み、各ラックは前記ボアの前記軸方向と平行に向けられ、各PET検出器モジュールは、前記PET検出器モジュールを支持する前記ラックに沿って前記軸方向においてロボット制御により移動可能である、本発明の第1の形態から第4の形態のいずれか一に記載のPET撮像デバイス。
(本発明の第6の形態)
前記ロボットガントリは、
それぞれが少なくとも1つのPET検出器モジュールを支持する伸縮式ロボットアームを更に含み、前記伸縮式ロボットアームは、支持される前記少なくとも1つのPET検出器モジュールを、前記PET検出器モジュールの前記径方向軸に沿って動かすように動作可能である、本発明の第5の形態に記載のPET撮像デバイス。
(本発明の第7の形態)
前記ロボットガントリは、
それぞれが前記撮像デバイスの前記ボアを少なくとも部分的に包囲するラック支持アーク又はリングを更に含み、各ラックを当該ラックと直角をなす接線方向軸に沿って動かすように動作可能なロボットリンクによって、前記ラックは前記ラック支持アーク又はリングに取り付けられ、それにより、前記ラック上に取り付けられた前記PET検出器モジュールは、対応する前記PET検出器モジュールの前記接線方向軸に沿って動く、本発明の第5の形態又は第6の形態に記載のPET撮像デバイス。
(本発明の第8の形態)
隣接する放射線検出器間の間隙内に配置される複数の放射線シールドを更に含み、
前記ロボットガントリは、個々の前記放射線シールドを選択的に延長又は格納するように、前記放射線シールドに動作可能に接続される、本発明の第1の形態から第7の形態のいずれか一に記載のPET撮像デバイス。
(本発明の第9の形態)
前記PET検出器モジュールのうちの少なくとも1つは前記PET検出器モジュールの別のPET検出器モジュールとは異なり、前記PET検出器モジュールは、
前記PET検出器モジュールを構成するために使用される前記PET検出器モジュールの材料、
前記PET検出器モジュールのうちの1つが飛行時間PET検出器モジュールを備え、別のPET検出器モジュールが非飛行時間PET検出器を備えること、
前記PET検出器モジュールのうちの1つが、飛行時間PET検出器モジュールを備える別のPET検出器モジュールとは異なる飛行時間分解能を有する飛行時間PET検出器モジュールを備えること、
前記PET検出器モジュールのうちの1つが別のPET検出器モジュールの結晶とは異なるサイズ及び長さのうちの少なくとも一方の結晶を含むこと、
のうちの少なくとも1つに関して異なる、本発明の第1の形態から第8の形態のいずれか一に記載のPET撮像デバイス。
(本発明の第10の形態)
電子プロセッサを備えるロボットコントローラを更に備え、前記電子プロセッサは、
対応する前記PET検出器モジュールの前記軸方向軸、前記径方向軸及び前記接線方向軸のうちの少なくとも1つに沿って所望の位置変化を決定し、
対応する前記PET検出器モジュールを、決定された前記変化に沿って動かすようにプログラムされる、本発明の第1の形態から第9の形態のいずれか一に記載のPET撮像デバイス。
(本発明の第11の形態)
前記PET検出器モジュールの望ましい構成及び望ましくない構成の両方においてファントムデータ又は患者データを取得するように前記PET検出器モジュールを制御し、
取得された前記ファントムデータ又は患者データに機械学習変換を適用し、前記PET検出器モジュールを前記望ましくない構成から前記望ましい構成に調整するようにプログラムされる少なくとも1つの電子プロセッサを更に含む、本発明の第1の形態から第10の形態のいずれか一に記載のPET撮像デバイス。
(本発明の第12の形態)
前記PET検出器モジュールの構成を決定し、
前記PET検出器モジュールの前記構成を用いてPET撮像データを取得し、
減衰マップ及び線量分布を用いて、取得された前記撮像データの計数分布をモデル化し、
前記計数分布及び前記線量分布を用いて、前記放射線検出器の前記構成を更新するようにプログラムされる少なくとも1つの電子プロセッサを更に含む、本発明の第1の形態から第11の形態のいずれか一に記載のPET撮像デバイス。
(本発明の第13の形態)
受け入れられる撮像対象物の形状及び受信される撮像作業のうちの少なくとも一方を含む入力に関して、前記PET検出器モジュールの構成を決定し、
決定された前記構成において前記複数のPET検出器モジュールを配置するように前記ロボットガントリを動作させ、
決定された前記構成に配置された前記複数のPET検出器モジュールを用いて、同時時間窓内でPET検出器モジュールによって検出される一対の511KeV検出イベントをそれぞれ含む、同時イベントを検出することを含む、PET撮像データを取得するようにプログラムされる少なくとも1つの電子プロセッサを更に含む、本発明の第1の形態から第12の形態のいずれか一に記載のPET撮像デバイス。
(本発明の第14の形態)
前記少なくとも1つの電子プロセッサは、受け入れられる前記撮像対象物の形状と、受け入れられる前記撮像対象物の形状の胴回りに基づいて決定された前記PET検出器モジュールの径方向位置とを包含するように、前記PET検出器モジュールの軸方向位置を含む、前記PET検出器モジュールの前記構成を決定するようにプログラムされる、本発明の第13の形態に記載のPET撮像デバイス。
(本発明の第15の形態)
前記少なくとも1つの電子プロセッサは、受け入れられる前記撮像対象物の形状の少なくとも1つの表面と共形に前記PET検出器モジュールを位置決めすることを含む、前記PET検出器モジュールの前記構成を決定するようにプログラムされる、本発明の第13の形態に記載のPET撮像デバイス。
(本発明の第16の形態)
前記少なくとも1つの電子プロセッサは、
撮像データの前記取得中に、前記軸方向及び前記接線方向のうちの少なくとも一方において前記PET検出器モジュールを振動させるために前記ロボットガントリを動作させるように更にプログラムされる、本発明の第13の形態又は第14の形態に記載のPET撮像デバイス。
(本発明の第17の形態)
前記PET検出器モジュールを用いて撮像データを取得することは、
前記PET検出器モジュールの検出器座標において各511KeV検出イベントの場所を特定することを含む、前記PET検出器モジュールを用いて511KeV検出イベントを検出することと、
放射線検出器を含む前記PET検出器モジュールの前記軸方向軸、前記径方向軸及び前記接線方向軸に沿った前記PET検出器モジュールの前記位置に応じて、PET検出器モジュール座標内の前記511KeV検出イベントの前記場所をシフトすることによって、PET検出器モジュール座標内の各511KeV検出イベントの前記場所をPET撮像デバイス座標内の場所に変換することと、
同時時間窓内でPET検出器モジュールによって検出された一対の511KeV検出イベントをそれぞれ含む同時イベントを検出することとを含み、各同時イベントは、PET撮像デバイス座標内の前記一対の511KeV検出イベントの前記場所を接続する関連する応答線(LOR)を有する、本発明の第13の形態から第16の形態のいずれか一に記載のPET撮像デバイス。
(本発明の第18の形態)
前記少なくとも1つの電子プロセッサは、前記検出器構成を決定することと、決定された前記検出器構成において前記複数のPET検出器モジュールを配置するように前記ロボットガントリを動作させることと、マルチステーション撮像を実行するために複数のベッド位置に関して撮像データを取得することとを繰り返すようにプログラムされる、本発明の第13の形態から第17の形態のいずれか一に記載のPET撮像デバイス。
(本発明の第19の形態)
複数のポジトロン放出断層撮影(PET)検出器モジュールと、
前記PET検出器モジュールに動作可能に接続されるロボットガントリとを備え、前記ロボットガントリは、各PET検出器モジュールの位置を、対応する放射線検出器の軸方向軸、径方向軸及び接線方向軸のそれぞれに沿って制御する、ポジトロン放出断層撮影(PET)撮像デバイス。
(本発明の第20の形態)
前記PET撮像デバイスは軸方向を有するボアを更に含み、前記ロボットガントリは、
前記ボアの周りに配置された複数のラックであって、前記PET検出器モジュールがその上に取り付けられ、各ラックは前記ボアの前記軸方向と平行に向けられ、各放射線検出器は、前記PET検出器モジュールを支持する前記ラックに沿って前記軸方向においてロボット制御により移動可能である、複数のラックと、
それぞれが少なくとも1つのPET検出器モジュールを支持する伸縮式ロボットアームであって、支持される前記少なくとも1つのPET検出器モジュールを、前記PET検出器モジュールの前記径方向軸に沿って動かすように動作可能である、伸縮式ロボットアームと、
それぞれが前記撮像デバイスの前記ボアを少なくとも部分的に包囲するラック支持アーク又はリングとを含み、各ラックを当該ラックに直角をなす接線方向軸に沿って動かすように動作可能なロボットリンクによって、前記ラックは前記ラック支持アーク又はリングに取り付けられ、それにより、前記ラック上に取り付けられた前記PET検出器モジュールは、対応する前記PET検出器モジュールの前記接線方向軸に沿って動く、本発明の第19の形態に記載のPET撮像デバイス。
(本発明の第21の形態)
隣接するPET検出器モジュール間の間隙内に配置される複数の放射線シールドを更に含み、
前記ロボットガントリは、個々の前記放射線シールドを選択的に延長又は格納するように、前記放射線シールドに動作可能に接続される、本発明の第19の形態又は第20の形態に記載のPET撮像デバイス。
(本発明の第22の形態)
受け入れられる撮像対象物の形状に合わせて前記PET検出器モジュールの構成を決定し、
決定された前記検出器構成において前記複数のPET検出器モジュールを配置するように前記ロボットガントリを動作させ、
決定された前記検出器構成に配置された前記複数のPET検出器モジュールを用いて、前記PET検出器モジュールの前記構成を用いて撮像データを取得し、
減衰マップ及び線量分布を用いて、取得された前記撮像データの計数分布をモデル化し、
前記計数分布及び前記線量分布を用いて、前記放射線検出器の前記構成を更新するようにプログラムされる少なくとも1つの電子プロセッサを更に含む、本発明の第19の形態から第21の形態のいずれか一に記載のPET撮像デバイス。
(本発明の第23の形態)
複数のポジトロン放出断層撮影(PET)検出器モジュールと、
隣接するPET検出器モジュール間の間隙内に配置される複数の放射線シールドと、
対応する放射線検出器の軸方向軸、径方向軸及び接線方向軸のうちの少なくとも2つに沿って各放射線検出器の位置を制御するロボットガントリであって、個々の放射線シールドを選択的に延長又は格納するように、前記放射線シールドに動作可能に接続される、ロボットガントリと、
前記ロボットガントリに接続された複数のラックであって、前記PET検出器モジュールがその上に取り付けられ、各ラックはボアの前記軸方向と平行に向けられ、各PET検出器モジュールは、前記PET検出器モジュールを支持する前記ラックに沿って前記軸方向においてロボット制御により移動可能である、複数のラックとを備える、ポジトロン放出断層撮影(PET)撮像デバイス。
(本発明の第24の形態)
前記ロボットガントリは、
対応する前記PET検出器モジュールの前記軸方向軸及び前記径方向軸、
対応する前記PET検出器モジュールの前記軸方向軸及び前記接線方向軸、及び
対応する前記PET検出器モジュールの前記径方向軸及び前記接線方向軸のうちの少なくとも1つに沿って各PET検出器モジュールの位置を制御する、本発明の第23の形態に記載のPET撮像デバイス。
(本発明の第25の形態)
受け入れられる撮像対象物の形状に合わせて前記PET検出器モジュールの構成を決定し、
決定された前記検出器構成において前記複数のPET検出器モジュールを配置するように前記ロボットガントリを動作させ、
決定された前記検出器構成に配置された前記複数のPET検出器モジュールを用いて、前記PET検出器モジュールの前記構成を用いて撮像データを取得し、
減衰マップ及び線量分布を用いて、取得された前記撮像データの計数分布をモデル化し、
前記計数分布及び前記線量分布を用いて、前記PET検出器モジュールの前記構成を更新するようにプログラムされる少なくとも1つの電子プロセッサを更に含む、本発明の第23の形態又は第24の形態に記載のPET撮像デバイス。