(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-06
(45)【発行日】2023-10-17
(54)【発明の名称】四座PNNP配位子ルテニウム錯体でのカルボニルの水素化
(51)【国際特許分類】
C07C 29/149 20060101AFI20231010BHJP
B01J 31/24 20060101ALI20231010BHJP
C07C 31/04 20060101ALI20231010BHJP
C07C 31/08 20060101ALI20231010BHJP
C07C 31/12 20060101ALI20231010BHJP
C07C 31/125 20060101ALI20231010BHJP
C07C 33/025 20060101ALI20231010BHJP
C07C 33/12 20060101ALI20231010BHJP
C07C 33/14 20060101ALI20231010BHJP
C07C 33/22 20060101ALI20231010BHJP
C07C 33/34 20060101ALI20231010BHJP
C07C 35/36 20060101ALI20231010BHJP
C07F 9/58 20060101ALI20231010BHJP
C07F 15/00 20060101ALI20231010BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20231010BHJP
【FI】
C07C29/149
B01J31/24 Z
C07C31/04
C07C31/08
C07C31/12
C07C31/125
C07C33/025
C07C33/12
C07C33/14
C07C33/22
C07C33/34 B
C07C35/36
C07F9/58 B CSP
C07F15/00 A
C07B61/00 300
(21)【出願番号】P 2020529405
(86)(22)【出願日】2019-03-12
(86)【国際出願番号】 EP2019056139
(87)【国際公開番号】W WO2019175158
(87)【国際公開日】2019-09-19
【審査請求日】2022-03-11
(32)【優先日】2018-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】390009287
【氏名又は名称】フイルメニツヒ ソシエテ アノニム
【氏名又は名称原語表記】Firmenich SA
【住所又は居所原語表記】7,Rue de la Bergere,1242 Satigny,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ デュポー
(72)【発明者】
【氏名】ルチア ボノーモ
(72)【発明者】
【氏名】ローラン ケルモルヴァン
(72)【発明者】
【氏名】ミュリエル ハルディマン サンチェス
【審査官】土橋 敬介
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-524428(JP,A)
【文献】Tan, Xuefeng et al,Highly Efficient Tetradentate Ruthenium Catalyst for Ester Reduction: Especially for Hydrogenation of Fatty Acid Esters,Organic Letters,2015年,17(3),454-457
【文献】Wang, Fangyuan et al,New Ruthenium Complexes Based on Tetradentate Bipyridine Ligands for Catalytic Hydrogenation of Esters,Chemistry - An Asian Journal ,2016年,11(15),2103-2106
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
C07F
B01J
C07B
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分子H
2を使用した、1個又は2個のケトン官能基、アルデヒド官能基、エステル官能基又はラクトン官能基を含むC
3~C
70基質の、対応するアルコール又はジオールへの水素化による還元のための方法であって、塩基、
並びにルテニウ
ム及び式
【化1】
[式中、一方の点線は単結合を示し、かつ他方の点線は単結合又は二重結合を示し、zは、双方の点線が単結合である場合に1であり、又は一方の点線が二重結合であり、他方が単結合である場合に0であり、
mは0又は1であり;nは0~4の間の整数であり、
qは、NとC(R
9)(R
10)との間の点線が二重結合を示す場合に0であり、又はNとC(R
9)(R
10)との間の点線が単結合を示す場合に1であり、
q’は、NとC(R
11)(R
12)との間の点線が二重結合を示す場合に0であり、又はNとC(R
11)(R
12)との間の点線が単結合を示す場合に1であり、
R
1及びR
2は、別々の場合に、同時に又は独立して、任意に置換されている直鎖C
1~C
8アルキル基、任意に置換されている直鎖C
2~C
8アルケニル基、任意に置換されている分枝鎖又は環状C
3~C
8アルキル基もしくはアルケニル基、任意に置換されているC
6~C
10芳香族基、又はOR
1’基もしくはNR
1’R
2’基を示し、R
1’及びR
2’はC
1~C
8アルキル基もしくはC
2~C
8アルケニル基であり、又はR
1及びR
2は、一緒の場合に、4~10個の原子を有し、かつR
1基及びR
2基に結合するリン原子を含む、任意に置換されている飽和又は不飽和環を形成し、
R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11及びR
12は、別々になって、同時に又は独立して、水素原子、任意に置換されているC
1~C
10直鎖アルキル基、任意に置換されているC
2~C
10直鎖アルケニル基、任意に置換されているC
3~C
10分枝鎖又は環状アルキル基もしくはアルケニル基、又は任意に置換されているC
6~C
10芳香族基を示し、又はR
3とR
4及び/又はR
4とR
5及び/又はR
5とR
6及び/又はR
6とR
7及び/又はR
7とR
8及び/又はR
8とR
9及び/又はR
9とR
10及び/又はR
9とR
11及び/又はR
11とR
12は、一緒の場合に、4~10個の原子を有する、任意に置換されている飽和又は不飽和環を形成し、
R
13及びR
14は、別々の場合に、同時に又は独立して、任意に置換されているC
6~C
10 芳香族基又はOR
1’基又はNR
1’R
2’基を示し、R
1’及びR
2’は、C
1~C
8アルキル基又はC
2~C
8アルケニル基であり、かつ
R
15は、別々の場合に、同時に又は独立して、水素原子、ハロゲン原子、任意に置換されている直鎖C
1~C
8アルキル基、任意に置換されている直鎖C
2~C
8アルケニル基、任意に置換されている分枝鎖又は環状C
3~C
8アルキル基もしくはアルケニル基、又はハロもしくはペルハロ炭化水素基、CN基、SO
3R
3’基、SO
2R
3’基、NO
2基、OR
3’基又はCONR
3’R
4’基を示し、R
3’及びR
4’は、互いに独立して、水素原子又はC
1~C
8アルキル基又はC
2~C
8アルケニル基であり、2個の隣接するR
15基は、共に結合して任意に置換されたC
5~C
10環を形成することができ、
R
1~R
15基の任意の置換基は、1個又は2個のハロゲン原子、C
1~C
10アルコキシ基、ポリアルキレングリコール基、ハロもしくはペルハロ炭化水素基、COOR基、又はR基であり、Rは、C
1~C
6アルキル基、又はC
5~C
12シクロアルキル基、アラルキル基もしくは芳香族基であり、該基は1個、2個又は3個のハロゲン原子又はC
1~C
8アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、スルホネート基、ハロもしくはペルハロ炭化水素基又はエステル基により任意に置換されていてもよい]の四座配位子
を含む少なくとも1種の触媒又はプレ触媒の存在下で実施することを特徴とする方法。
【請求項2】
ルテニウム錯体が、式
【化2】
[式中、Lは、請求項1において定義した四座配位子を示し、かつ
それぞれのYは、同時に又は独立して、CO、水素原子又はハロゲン原子、ヒドロキシル基、又はC
1~C
6アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基もしくはカルボキシル基、又はBH
4基もしくはA
lH
4基を示す]であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
mが1であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
Lは、式
【化3】
[式中、z、n、q、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
9、R
10、R
11、R
12、R
13、R
14及びR
15は請求項1において定義したものと同様の意味を有する]の配位子であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
R
1及びR
2は、同時に又は独立して、任意に置換されている直鎖C
1~C
6アルキル基、任意に置換されている分枝鎖又は環状C
3~C
6アルキル基、任意に置換されているフェニル基を示し、又はR
1及びR
2は、一緒の場合に、4個、5個、6個又は7個の炭素原子を有し、かつ前記R
1基及びR
2基に結合するリン原子を含む、任意に置換されている飽和又は不飽和環を形成することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
R
1及びR
2は、シクロヘキシル基、フェニル基、tert-ブチル基、イソプロピル基又はエチル基を示すことを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
R
13及びR
14は、任意に置換されているフェニル基を示すことを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11及びR
12は、別々になって、同時に又は独立して、水素原子、任意に置換されているC
1~C
4直鎖アルキル基、任意に置換されているC
5~C
6分枝鎖もしくは環状アルキル基、又は任意に置換されているフェニル基を示し、R
4及びR
5、又はR
5及びR
6、又はR
8及びR
9は、一緒の場合に、4~7個の炭素原子を有する任意に置換されている飽和又は不飽和環を形成することを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
Lは、式
【化4】
[式中、z、n、R
1、R
2、R
9、R
13、R
14及びR
15は請求項1から8において定義したものと同様の意味を有する]の配位子であることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
塩基がpK
a14超を有することを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
塩基が、アルカリ又はアルカリ土類金属カーボネー
ト、アルカリ又はアルカリ土類金属ヒドロキシド、C
1~C
10アミド化物、C
10~C
26ホスファゼン、又は式(R
17O)
2M又はR
17OM’[式中、Mは、アルカリ土類金属であり、M’は、アルカリ金属又はアンモニウムNR
18
4
+であり、R
17は、水素又はC
1~C
6直鎖又は分枝鎖アルキル基を示し、かつR
18は、C
1~C
10直鎖又は分枝鎖アルキル基を示す]のアルコラートであることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
基質が、式(I)
【化5】
[式中、pは0又は1であり、pが1である場合に、R
a及びR
bは、同時に又は独立して、任意に置換されている、直鎖、分枝鎖又は環状C
1~C
30芳香族基、アルキル基又はアルケニル基を示し、又は
pが0である場合に、R
aは、任意に置換されている、直鎖、分枝鎖又は環状C
1~C
30芳香族基、アルキル基又はアルケニル基を示し、かつR
b は、水素原子、任意に置換されている、直鎖、分枝鎖又は環状C
1~C
30芳香族基、アルキル基又はアルケニル基を示し、又は
R
a及びR
bが、共に結合して、任意に置換されているC
4~C
20飽和又は不飽和基を形成し、かつ
R
a及びR
bの置換基は、COOR
c基、1個、2個又は3個のハロゲン基、OR
c基、NR
c
2基又はR
c基であり、ここで、R
cは、水素原子、ハロゲン化C
1~C
2基、又はC
1~C
10環状、直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基もしくはアルケニル基である]の化合物であることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
基質が、式(I)のC
5~C
30化合物であって、式中、R
a及びR
bは、同時に又は独立して、任意に置換されている直鎖C
1~C
30アルキル基、任意に置換されている分枝鎖もしくは環状C
3~C
30アルキル基もしくはアルケニル基、又は任意に置換されているC
5~C
30芳香族基を示し、又はR
a及びR
bが、共に結合して、任意に置換されているC
4~C
20飽和又は不飽和の直鎖、分枝鎖、単環、二環又は三環の基を形成していることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
式
【化6】
[式中、m、n、q、q’、z、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、R
12、R
13、R
14及びR
15は請求項1から9までのいずれか1項における意味と同様の意味を有する]の配位子。
【請求項15】
請求項2において定義した、式(1)の錯体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接触水素化の分野に、及びより詳述すれば、ケトン、アルデヒド、エステル又はラクトンのそれぞれ対応するアルコール又はジオールへの還元のための水素化プロセスにおける式(L)の四座配位子とのRu錯体の使用に関する。
【0002】
背景技術
カルボニル官能基、例えばアルデヒド官能基、ケトン官能基又はエステル官能基の対応するアルコールへの還元は、有機化学における基本の反応の1つであり、多数の化学プロセスにおいて使用される。一般的に、2つの主なタイプのプロセスがかかる変換を達成するために公知である。かかるタイプのプロセスは、以下である:
a)シリル又は金属水素化物塩、例えばLiAlH4を使用する水素化物プロセス、
b)分子水素を使用する水素化プロセス。
【0003】
実用的な観点から、水素化プロセスは、少量の触媒(典型的に基質に対して10~1000ppm)を使用して、少量の溶媒の存在下又は溶媒の不在下で操作できるため、より魅力的である。さらに、水素化プロセスは、反応性が高く高価な水素化物を使用する必要がなく、かつ大量の水性廃棄物を生成しない。
【0004】
水素化プロセスの必須かつ特徴的な要素の1つは、還元を考慮して分子水素を活性化するために使用される触媒又は触媒系である。エステル官能基の水素化のための有用な触媒又は触媒系の開発は、依然として化学における重要な必要性を表している。
【0005】
報告されている第一の水素化条件は、過酷な条件下、すなわち高温及び高圧下で実施された。エステル水素化の効率の改善は、国際公開第2006/106484号(WO2006/106484)、国際公開第2013/023307号(WO2013/023307)、及びより最近ではOrg. Lett., 2015, 17 (3),454-457において、又は中国特許出願公開第103709196号明細書(CN103709196)において報告されており、かかる還元を実施するためのPNNP配位子又はPNN配位子を含む触媒又は触媒系が開示されている。したがって、かかる還元における触媒活性を改善する必要が未だある。
【0006】
本発明は、これまで文献に報告されていない新規のPNPN配位子を使用することにより、カルボニル基、例えばエステルの前記した困難な水素化を実施することによって前記問題に対する解決策を提供する。
【0007】
発明の要旨
驚くべきことに、本発明において記載した四座配位子を含む触媒が、カルボニル基、例えばエステル基又はケトン基の塩基の存在下で水素化するためのより高い触媒活性、及び特に高い効率を有することが発見されている。前記触媒を使用する水素化は、先行技術において報告した触媒を使用するよりも速く所望のアルコールを得ることができる。
【0008】
したがって、本発明の第一の目的は、分子H
2を使用した、1個又は2個のケトン官能基、アルデヒド官能基、エステル官能基又はラクトン官能基を含むC
3~C
70基質の、対応するアルコール又はジオールへの水素化による還元のための方法であって、塩基、及びルテニウムを含む少なくとも1種の触媒又はプレ触媒、及び式
【化1】
[式中、一方の点線は単結合を示し、かつ他方の点線は単結合又は二重結合を示し、zは、双方の点線が単結合である場合に1であり、又は一方の点線が二重結合であり、他方が単結合である場合に0であり;
mは0又は1であり;nは0~4の間の整数であり;
qは、NとC(R
9)(R
10)との間の点線が二重結合を示す場合に0であり、NとC(R
9)(R
10)との間の点線が単結合を示す場合に1であり;
q’は、NとC(R
11)(R
12)との間の点線が二重結合を示す場合に0であり、NとC(R
11)(R
12)との間の点線が単結合を示す場合に1であり;
R
1及びR
2は、別々の場合に、同時に又は独立して、任意に置換されている直鎖C
1~C
8アルキル基、任意に置換されている直鎖C
2~C
8アルケニル基、任意に置換されている分枝鎖又は環状C
3~C
8アルキル基もしくはアルケニル基、任意に置換されているC
6~C
10芳香族基、又はOR
1’基もしくはNR
1’R
2’基を示し、R
1’及びR
2’はC
1~C
8アルキル基もしくはC
2~C
8アルケニル基であり;又はR
1及びR
2は、一緒の場合に、4~10個の原子を有し、かつR
1基及びR
2基に結合するリン原子を含む、任意に置換されている飽和又は不飽和環を形成し;
R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11及びR
12は、別々になって、同時に又は独立して、水素原子、任意に置換されているC
1~C
10直鎖アルキル基、任意に置換されているC
2~C
10直鎖アルケニル基、任意に置換されているC
3~C
10分枝鎖又は環状アルキル基もしくはアルケニル基、又は任意に置換されているC
6~C
10芳香族基を示し;又はR
3とR
4及び/又はR
4とR
5及び/又はR
5とR
6及び/又はR
6とR
7及び/又はR
7とR
8及び/又はR
8とR
9及び/又はR
9とR
10及び/又はR
9とR
11及び/又はR
11とR
12は、一緒の場合に、4~10個の原子を有する、任意に置換されている飽和又は不飽和環を形成し;
R
13及びR
14は、別々の場合に、同時に又は独立して、任意に置換されているC
6~C
10芳香族基又はOR
1’又はNR
1’R
2’基を示し、R
1’及びR
2’は、C
1~C
8アルキル基又はC
2~C
8アルケニル基であり;かつ
R
15は、別々の場合に、同時に又は独立して、水素原子、ハロゲン原子、任意に置換されている直鎖C
1~C
8アルキル基、任意に置換されている直鎖C
2~C
8アルケニル基、任意に置換されている分枝鎖又は環状C
3~C
8アルキル基もしくはアルケニル基、又はハロもしくはペルハロ炭化水素、CN、SO
3R
3’、SO
2R
3’、NO
2、OR
3’又はCONR
3’R
4’基を示し、R
3’及びR
4’は、互いに独立して、水素原子又はC
1~C
8アルキル基又はC
2~C
8アルケニル基であり;2個の隣接するR
15基は、共に結合して任意に置換されたC
5~C
10環を形成することができ;
R
1~R
15基の任意の置換基は、1個又は2個のハロゲン原子、C
1~C
10アルコキシ基、ポリアルキレングリコール基、ハロ又はペルハロ炭化水素基、COOR基、又はR基であり、Rは、C
1~C
6アルキル基、又はC
5~C
12シクロアルキル基、アラルキル(例えばベンジル、フェニルエチル等)基又は芳香族基であり、それは1個、2個又は3個のハロゲン原子又はC
1~C
8アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、スルホネート基、ハロもしくはペルハロ炭化水素基又はエステル基により任意に置換されていてもよい]の四座配位子の存在下で実施することを特徴とする方法である。
【0009】
本発明の第二の目的は、式
【化2】
[m、n、q、q’、z、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、R
12、R
13、R
14及びR
15は前記と同様の意味を有する]の配位子である。
【0010】
本発明の最後の目的は、前記で定義した式(1)の錯体である。
【0011】
発明の説明
本発明は、非常に困難な水素化において、特にエステル、ヒンダードケトン又は感熱性ケトンの水素化のために使用される新規かつ非常に効率的な触媒に関する。
【0012】
したがって、本発明の第一の目的は、分子H
2を使用した、1個又は2個のケトン官能基、アルデヒド官能基、エステル官能基又はラクトン官能基を含むC
3~C
70基質の、対応するアルコール又はジオールへの水素化による還元のための方法であって、塩基、及びルテニウムを含む少なくとも1種の触媒又はプレ触媒、及び式
【化3】
[式中、一方の点線は単結合を示し、かつ他方の点線は単結合又は二重結合を示し、zは、双方の点線が単結合である(すなわち窒素原子がアミノ基に属する)場合に1であり、又は一方の点線が二重結合であり、他方が単結合である(すなわち窒素原子がイミノ基に属する)場合に0であり;
mは0又は1であり;nは0~4の間の整数であり;
qは、NとC(R
9)(R
10)との間の点線が二重結合を示す場合に0であり、又はNとC(R
9)(R
10)との間の点線が単結合を示す場合に1であり;
q’は、NとC(R
11)(R
12)との間の点線が二重結合を示す場合に0であり、又はNとC(R
11)(R
12)との間の点線が単結合を示す場合に1であり;
R
1及びR
2は、別々の場合に、同時に又は独立して、任意に置換されている直鎖C
1~C
8アルキル基、任意に置換されている直鎖C
2~C
8アルケニル基、任意に置換されている直鎖、分枝鎖又は環状C
3~C
8アルキル基もしくはアルケニル基、任意に置換されているC
6~C
10芳香族基、又はOR
1’基もしくはNR
1’R
2’基を示し、R
1’及びR
2’はC
1~C
8アルキル基もしくはC
2~C
8アルケニル基であり;又はR
1及びR
2は、一緒の場合に、4~10個の原子を有し、かつR
1基及びR
2基に結合するリン原子を含む、任意に置換されている飽和又は不飽和環を形成し;
R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11及びR
12は、別々になって、同時に又は独立して、水素原子、任意に置換されているC
1~C
10直鎖アルキル基、任意に置換されているC
2~C
10直鎖アルケニル基、任意に置換されているC
3~C
10直鎖、分枝鎖又は環状アルキル基もしくはアルケニル基、又は任意に置換されているC
6~C
10芳香族基を示し;又はR
3とR
4及び/又はR
4とR
5及び/又はR
5とR
6及び/又はR
6とR
7及び/又はR
7とR
8及び/又はR
8とR
9及び/又はR
9とR
10及び/又はR
9とR
11及び/又はR
11とR
12は、一緒の場合に、4~10個の原子を有する、任意に置換されている飽和又は不飽和環を形成し;
R
13及びR
14は、別々の場合に、同時に又は独立して、任意に置換されている直鎖C
1~C
8アルキル基、任意に置換されている直鎖C
2~C
8アルケニル基、任意に置換されている直鎖、分枝鎖又は環状C
3~C
8アルキル又はアルケニル基、任意に置換されているC
6~C
10 芳香族基、又はOR
1’基又はNR
1’R
2’基を示し、R
1’及びR
2’は、C
1~C
8アルキル基又はC
2~C
8アルケニル基であり;又はR
13及びR
14は、一緒の場合に、4~10個の原子を有し、かつR
13基及びR
14基に結合するリン原子を含む、任意に置換されている飽和又は不飽和環を形成し;かつ
R
15は、別々の場合に、同時に又は独立して、水素原子、ハロゲン原子、任意に置換されている直鎖C
1~C
8アルキル基、任意に置換されている直鎖C
2~C
8アルケニル基、任意に置換されている直鎖、分枝鎖又は環状C
3~C
8アルキル基もしくはアルケニル基、又はハロもしくはペルハロ炭化水素基、CN基、SO
3R
3’ 基、SO
2R
3’ 基、NO
2基、OR
3’ 基又はCONR
3’R
4’基であり、R
3’及びR
4’は、互いに独立して、水素原子又はC
1~C
8アルキル基又はC
2~C
8アルケニル基であり;2個の隣接するR
15基は、共に結合して任意に置換されたC
5~C
10環を形成できる]の四座配位子の存在下で実施することを特徴とする方法である。
【0013】
R15は、芳香族環のホスフィン置換、オルト置換、メタ置換、パラ置換に関係してよい。
【0014】
本発明の特定の実施形態に従って、基質は、式(I)
【化4】
[式中、pは0又は1であり;pが1である場合に、R
a及びR
bは、同時に又は独立して、任意に置換されている、直鎖、分枝鎖又は環状C
1~C
30芳香族基、アルキル基もしくはアルケニル基を示し;又は
pが0である場合に、R
aは、任意に置換されている、直鎖、分枝鎖又は環状C
1~C
30芳香族基、アルキル基もしくはアルケニル基を示し、かつR
bは、水素原子、任意に置換されている、直鎖、分枝鎖又は環状C
1~C
30芳香族基、アルキル基もしくはアルケニル基を示し;又は
R
a及びR
bが、共に結合して、任意に置換されているC
4~C
20飽和又は不飽和基を形成する]の化合物であってよい。
【0015】
pが1である場合に、前記基質(I)の対応するアルコール(すなわち(II-a)及び(II-b))又は対応するジオール(II’)は、式
【化5】
[式中、R
a及びR
bは式(I)において定義したものである]である。
【0016】
式(II)の化合物(すなわちII-a又はII-b)は、式中Ra及びRbが共に結合しない場合に得られる一方で、式(II’)の化合物は、Ra及びRbが共に結合する場合に得られる。
【0017】
pが0である場合に、前記基質(I)の対応するアルコールは、式
【化6】
[式中、R
a及びR
bは式(I)において定義したものである]である。
【0018】
「直鎖、分枝鎖又は環状の・・・・・芳香族基、アルキル基又はアルケニル基」に関しては、特定の制限が1つのタイプのみを挙げていない限り、前記Ra又はRbが、例えば直鎖アルキル基の形であってよく、又は前記タイプの基の混合物の形であってもよく、例えば特定のRaは、直鎖アルキル部分、分枝鎖アルケニル部分、(ポリ)環状アルキル部分及びアリール部分を含みうることを意味することを理解する。同様に、本発明の以下の全ての実施形態において、基が1超のタイプのトポロジー(例えば直鎖、環状又は分枝鎖)及び/又は不飽和(例えばアルキル、芳香族又はアルケニル)の形であると言及されている場合に、前記で説明したように、前記トポロジーのいずれか1つを有するか又は不飽和の部分を含んでよい基も意味する。
【0019】
本発明のさらなる実施形態に従って、基質は、最終生成物又は中間体として製薬、農薬又は香料産業において有用であるアルコール又はジオールを提供するケトン、アルデヒド、エステル、又はラクトンである。特に好ましい基質は、最終生成物又は中間体として香料産業において有用であるアルコール又はジオールを提供するケトン、アルデヒド、エステル、又はラクトンである。さらにより特に好ましい基質は、最終生成物又は中間体として香料産業において有用であるアルコール又はジオールを提供するエステル、又はラクトンである。
【0020】
本発明の方法の特定の実施形態は、図式1:
【化7】
において示される。
【0021】
本発明の前記実施形態のいずれか1つに従って、pは0又は1である。好ましいpは1である。
【0022】
本発明の前記実施形態のいずれか1つに従って、基質は、式(I)のC5~C30化合物であり、特に、式中、Ra及びRbは、同時に又は独立して、任意に置換されている、直鎖C1~C30アルキル基、任意に置換されている分枝鎖又は環状C3~C30アルキル基もしくはアルケニル基、又は任意に置換されているC5~C30芳香族基を示し;又はRa及びRbが、共に結合して、任意に置換されているC4~C20飽和又は不飽和の直鎖、分枝鎖、単環、二環又は三環の基を形成している化合物が挙げられうる。
【0023】
本発明のさらなる実施形態に従って、基質は、式(I)のC5~C20化合物であって、式中、Ra及びRbは、同時に又は独立して、任意に置換されている、直鎖、分枝鎖又は環状C5~C18芳香族基もしくはアルキル基、又は任意に置換されている環状C5~C18アルケニル基を示し;又はRa及びRbが、共に結合して、任意に置換されているC4~C20飽和又は不飽和の直鎖、分枝鎖、単環、二環又は三環の基を形成している化合物である。
【0024】
さらに、さらなる実施形態に従って、Ra及び/又はRbがアルキル基を示す場合に、炭素-炭素二重結合は末端にはなく、かつ接合されていない。
【0025】
Ra及びRbの可能な置換基は、1個、2個又は3個のハロゲン、ORc、NRc
2又はRc基であり、ここで、Rcは、水素原子、ハロゲン化C1~C2基、又はC1~C10環状、直鎖、又は分枝鎖のアルキル基又はアルケニル基、好ましくはC1~C4直鎖又は分枝鎖のアルキル基又はアルケニル基である。他の可能な置換基として、当業者に公知のように使用したH2の分子量に従って、本発明の方法中に対応するアルコールに還元もされうる基COORcも挙げてよい。
【0026】
置換基の制限のない例は、アルキルシンナメート、ソルベート又はサリチレート、天然(脂肪又はそうでない)酸のアルキルエステル、スクラレオリド、スピロラクトン、アリルエステル、ジアルキルジエステル、(非)置換安息香酸エステル、及び不飽和エステル、例えばβ-γ不飽和エステルである。特に、基質は、スクラレオリド、C9~C15スピロラクトン、及び4-メチル-6-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-3-ヘキセン酸のC1~C4アルキルエステルからなる群から選択されうる。1,4-ジカルボキシレート-シクロヘキサンのジアルキルエステル、C2~C10アルカンジイル-ジカルボキシレートのジC1~C5アルキルエステル、C1~C5アルキルシクロプロパンカルボキシレート、モノ-、ジ-又はトリ-メトキシ安息香酸エステルも挙げられる。
【0027】
本発明の方法は、触媒又はプレ触媒(以下、特に明記されない限り錯体という)として前記したルテニウム錯体の使用により特徴付けられる。錯体は、イオン性種又は中性種の形であってよい。
【0028】
本発明の実施形態に従って、ルテニウム錯体は、一般式
【化8】
[式中、Lは、前記で定義した四座配位子を示し;かつ
それぞれのYは、同時に又は独立して、CO、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、又はC
1~C
6アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基もしくはカルボキシル基、又はBH
4基もしくはAlH
4基を示し;
Xは、C
3~C
30モノホスフィン又は溶媒を示し、
Zは、配位結合していないアニオンを示し;かつ
nは、0、1又は2である]のものであってよい。
【0029】
本発明の特定の実施形態において、式(1)、(2)又は(3)において、それぞれのYは、同時に又は独立して、水素原子、塩素原子、ヒドロキシ基、C1~C6アルコキシ基、例えばメトキシ基、エトキシ基もしくはイソプロポキシ基、又はC1~C6アシルオキシ基、例えばCH3COO基、CH3CH2COO基もしくは(CH3)3CCOO基を示す。より好ましくは、それぞれのYは、同時に又は独立して、水素原子、塩素原子、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、CH3COO基、CH3CH2COO基又は(CH3)3CCOO基を示す。
【0030】
本発明の特定の実施形態において、式(2)において、四座配位子Lは、部分的に金属に配位結合し、すなわち3個の原子のみが金属に配位結合する。式(2)の錯体を使用する場合に、式(1)の錯体は、反応条件下でin situで形成される。
【0031】
本発明の特定の実施形態において、式(2)又は(3)において、Xは、式PRd
3のモノホスフィンを示し、式中、Rdは、C1~C12基、例えば任意に置換されている直鎖、分枝鎖もしくは環状のアルキル基、アルコキシ基もしくはアリールオキシ基、置換もしくは非置換のフェニル基、ジフェニル基、ナフチル基もしくはジナフチル基を示す。より詳述すれば、Rdは、置換又は非置換のフェニル基、ジフェニル基、ナフチル基又はジナフチル基を示してよい。可能な置換基は、種々の基R1~R15について以下に挙げたものである。好ましくは、Xはトリフェニルホスフィンである。
【0032】
式(3)において、Xは、溶媒であってもよく、「溶媒」という用語は、当該技術分野において通常の意味に従って理解されるべきであり、かつ錯体の調製において又は本発明の方法中に希釈剤として使用される化合物を含み、制限のない例は、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、アルコール(例えば、C1~C4アルコール)、又はTHF、アセトン、ピリジン、又はC3~C8エステル、又は本発明の方法の基質である。
【0033】
本発明の特定の実施形態において、式(3)において、Zは、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、又はC1~C6アルコキシ基、フェノキシ基もしくはカルボキシル基を示す。
【0034】
式(1)の錯体は、一般的に実用的な理由から本発明の好ましい実施形態を示す。
【0035】
種々の基R1~R15の可能な置換基は、1個又は2個のハロゲン原子、C1~C10アルコキシ基、ポリアルキレングリコール基、ハロもしくはペルハロ炭化水素基、COOR基又はR基であり、ここで、Rは、C1~C6アルキル基、又はC5~C12シクロアルキル基、アラルキル基(例えばベンジル、フェネチル等)もしくは芳香族基であり、その基は1個、2個又は3個のハロゲン原子、又はC1~C8アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、スルホネート基、ハロもしくはペルハロ炭化水素基又はエステル基により任意に置換されていてもよい。「ハロもしくはペルハロ炭化水素」に関しては、例えばCF3又はCClH2のような基を意味する。好ましくは、前記置換基は、特に前記基がフェニル基であるか又はフェニル基を含む場合に、1個又は2個のハロゲン原子、1個又は2個のC1~C5アルコキシ基もしくはポリアルキレングリコール基、COOR基又はR基であってよく、ここで、RはC1~C4アルキル、又はC5~C6シクロアルキル基、アラルキル基又は芳香族基であり、その基は前記したように任意に置換されていてもよい。代わりに、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11及びR12の可能な置換基は、1個又は2個のハロゲン原子、又はR16基又はOR16基であり、ここでR16は、C1~C6アルキル基又はC1~C4アルキル基である。
【0036】
本発明の特定の実施形態に従って、mは1である。言い換えれば、Lは、式
【化9】
[式中、点線、z、n、q、q’、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、R
12、R
13、R
14及びR
15は前記と同様の意味を有する]の化合物であってよい。
【0037】
本発明の特定の実施形態に従って、mは0である。言い換えれば、Lは、式
【化10】
[式中、点線、z、n、q、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
9、R
10、R
11、R
12、R
13、R
14及びR
15は前記と同様の意味を有する]の化合物であってよい。
【0038】
本発明の特定の実施形態に従って、Lは、式
【化11】
[式中、点線、z、n、R
1、R
2、R
9、R
13、R
14及びR
15は前記と同様の意味を有する]の化合物であってよい。
【0039】
本発明の特定の実施形態に従って、Lは、式
【化12】
[式中、点線、z、n、R
1、R
2、R
12、R
13、R
14及びR
15は前記と同様の意味を有する]の化合物であってよい。
【0040】
本発明の前記実施形態のいずれか1つに従って、R1及びR2は、別々の場合に、同時に又は独立して、任意に置換されている直鎖C1~C8アルキル基、任意に置換されている直鎖C2~C8アルケニル基、任意に置換されている分枝鎖又は環状のC3~C8アルキル基もしくはアルケニル基、任意に置換されているC6~C10芳香族基を示してよく;又はR1及びR2は、一緒の場合に、4~10個の原子を有し、かつ前記R1及びR2基に結合するリン原子を含む、任意に置換されている飽和又は不飽和環を形成してよい。好ましくは、R1及びR2は、別々の場合に、同時に又は独立して、任意に置換されている直鎖C1~C6アルキル基、任意に置換されている分枝鎖又は環状のC3~C6アルキル基、任意に置換されているフェニル基を示してよく;又はR1及びR2は、一緒の場合に、4、5、6又は7個の原子を有し、かつ前記R1及びR2基に結合するリン原子を含む、任意に置換されている飽和又は不飽和環を形成してよい。好ましくは、R1及びR2は、任意に置換されている直鎖C1~C6アルキル基、任意に置換されている分枝鎖又は環状のC3~C6アルキル基、又は任意に置換されているフェニル基を示してよい。好ましくは、R1及びR2は、直鎖C1~C6アルキル基、分枝鎖又は環状のC3~C6アルキル基、又はフェニル基を示してよい。さらにより好ましくは、R1及びR2は、シクロヘキシル基、フェニル基、tert-ブチル基、イソプロピル基又はエチル基を示してよい。さらにより好ましくは、R1及びR2は、フェニル基又はtert-ブチル基を示してよい。
【0041】
本発明の前記実施形態のいずれか1つに従って、R13及びR14は、別々の場合に、同時に又は独立して、任意に置換されているC6~C10芳香族基、又はOR1’又はNR1’R2’基を示し、ここでR1’及びR2’は、C1~C8アルキル基又はC2~C8アルケニル基である。好ましくは、R13及びR14は、任意に置換されているフェニル基を示してよい。さらにより好ましくは、R13及びR14は、ハロゲン原子、ハロもしくはペルハロ炭化水素基又はR基の少なくとも1個で置換されているフェニル基を示してよく、ここで、Rは、C1~C4アルキル基、又はC5~C6シクロアルキル基、アラルキル基もしくは芳香族基であり、この基も、前記したように任意に置換されている。
【0042】
本発明の前記実施形態のいずれか1つに従って、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11及びR12は、別々になって、同時に又は独立して、水素原子、任意に置換されているC1~C6直鎖アルキル基、任意に置換されているC2~C6直鎖アルケニル基、任意に置換されているC3~C6分枝鎖又は環状アルキル基もしくはアルケニル基、又は任意に置換されているC6~C10芳香族基を示し;又はR4及びR5及び/又はR5及びR6及び/又はR8及びR9は、一緒の場合に、4~10個の原子を有する任意に置換されている飽和又は不飽和環を形成し;又はR9及びR11は、一緒の場合に、4~10個の原子を有する任意に置換されている飽和又は不飽和の非芳香族環を形成する。好ましくは、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11及びR12は、別々になって、同時に又は独立して、水素原子、任意に置換されているC1~C4直鎖アルキル基、任意に置換されているC5~C6分枝鎖又は環状アルキル基、又は任意に置換されているフェニル基を示してよく;R4及びR5、又はR5及びR6、又はR8及びR9は、一緒の場合に、4~7個の原子を有する任意に置換されている飽和又は不飽和環を形成する。好ましくは、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R11及びR12は、水素原子、メチル基又はフェニル基を示してよい。さらにより好ましくは、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R11及びR12は、水素原子を示してよい。
【0043】
本発明の前記実施形態のいずれか1つに従って、前記nは、0、1又は2であってよい。好ましくは、nは0又は1である。nが1である場合に、R15は、芳香族環のホスフィン置換、メタ置換、またはパラ置換に関係してよい。好ましくは、R15は、芳香族環のホスフィン置換、パラ置換に関係してよい。
【0044】
本発明の前記実施形態のいずれか1つに従って、R15は、別々の場合に、同時に又は独立して、ハロゲン原子、任意に置換されている直鎖C1~C4アルキル基、任意に置換されている直鎖C2~C5アルケニル基、任意に置換されている直鎖、分枝鎖又は環状のC3~C8アルキル基もしくはアルケニル基、又はハロもしくはペルハロ炭化水素基を示してよい。好ましくは、同時に又は独立して、ハロゲン原子、又はハロもしくはペルハロ炭化水素基、例えばCF3を示してよい。
【0045】
適した配位子の例は、1-(6-((ジフェニルホスファンイル)メチル)ピリジン-2-イル)-N-(2-(ジフェニルホスファンイル)フェニル)メタンイミン、2-(ジフェニルホスファンイル)-N-((6-((ジフェニルホスファンイル)メチル)ピリジン-2-イル)メチル)アニリン、2-(ジフェニルホスファンイル)-N-(1-(6-((ジフェニルホスファンイル)メチル)ピリジン-2-イル)エチル)アニリン、1-(6-((ジフェニルホスファンイル)メチル)ピリジン-2-イル)-N-(2-(ジフェニルホスファンイル)フェニル)エタン-1-イミン、1-(6-((ジフェニルホスファンイル)メチル)ピリジン-2-イル)-N-(2-(ジフェニルホスファンイル)フェニル)-1-フェニルメタンイミン、2-(ジフェニルホスファンイル)-N-((6-((ジフェニルホスファンイル)メチル)ピリジン-2-イル)(フェニル)メチル)アニリン、2-(ジフェニルホスファンイル)-N-((6-((ジフェニルホスファンイル)メチル)ピリジン-2-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)アニリン、N-(2-(ジフェニルホスファンイル)-5-(トリフルオロメチル)フェニル)-1-(6-((ジフェニルホスファンイル)メチル)ピリジン-2-イル)メタンイミン、N-(5-クロロ-2-(ジフェニルホスファンイル)フェニル)-1-(6-((ジフェニルホスファンイル)メチル)ピリジン-2-イル)メタンイミン、5-クロロ-2-(ジフェニルホスファンイル)-N-((6-((ジフェニルホスファンイル)メチル)ピリジン-2-イル)メチル)アニリン、4-クロロ-2-(ジフェニルホスファンイル)-N-((6-((ジフェニルホスファンイル)メチル)ピリジン-2-イル)メチル)アニリン、N-(4-クロロ-2-(ジフェニルホスファンイル)フェニル)-1-(6-((ジフェニルホスファンイル)メチル)ピリジン-2-イル)メタンイミン、N-(2-(ジフェニルホスファンイル)-4-(トリフルオロメチル)フェニル)-1-(6-((ジフェニルホスファンイル)メチル)ピリジン-2-イル)メタンイミン、2-(ジフェニルホスファンイル)-N-((6-((ジフェニルホスファンイル)メチル)ピリジン-2-イル)メチル)-4-(トリフルオロメチル)アニリン、N-((6-((ジイソプロピルホスファンイル)メチル)ピリジン-2-イル)メチル)-2-(ジフェニルホスファンイル)-4-(トリフルオロメチル)アニリン、1-(6-((ジイソプロピルホスファンイル)メチル)ピリジン-2-イル)-N-(2-(ジフェニルホスファンイル)-4-(トリフルオロメチル)フェニル)メタンイミン、N-(4-クロロ-2-(ジフェニルホスファンイル)フェニル)-1-(6-((ジイソプロピルホスファンイル)メチル)ピリジン-2-イル)メタンイミン、4-クロロ-N-((6-((ジイソプロピルホスファンイル)メチル)ピリジン-2-イル)メチル)-2-(ジフェニルホスファンイル)アニリン、5-クロロ-N-((6-((ジイソプロピルホスファンイル)メチル)ピリジン-2-イル)メチル)-2-(ジフェニルホスファンイル)アニリン、N-(5-クロロ-2-(ジフェニルホスファンイル)フェニル)-1-(6-((ジイソプロピルホスファンイル)メチル)ピリジン-2-イル)メタンイミン、1-(6-((ジイソプロピルホスファンイル)メチル)ピリジン-2-イル)-N-(2-(ジフェニルホスファンイル)-5-(トリフルオロメチル)フェニル)メタンイミン、((6-((ジイソプロピルホスファンイル)メチル)ピリジン-2-イル)メチル)-2-(ジフェニルホスファンイル)-5-(トリフルオロメチル)アニリン、((6-((ジ-tert-ブチルホスファンイル)メチル)ピリジン-2-イル)メチル)-2-(ジフェニルホスファンイル)-5-(トリフルオロメチル)アニリン、1-(6-((ジ-tert-ブチルホスファンイル)メチル)ピリジン-2-イル)-N-(2-(ジフェニルホスファンイル)-5-(トリフルオロメチル)フェニル)メタンイミン、N-(5-クロロ-2-(ジフェニルホスファンイル)フェニル)-1-(6-((ジ-tert-ブチルホスファンイル)メチル)ピリジン-2-イル)メタンイミン、5-クロロ-N-((6-((ジ-tert-ブチルホスファンイル)メチル)ピリジン-2-イル)メチル)-2-(ジフェニルホスファンイル)アニリン、N-(4-クロロ-2-(ジフェニルホスファンイル)フェニル)-1-(6-((ジ-tert-ブチルホスファンイル)メチル)ピリジン-2-イル)メタンイミン、4-クロロ-N-((6-((ジ-tert-ブチルホスファンイル)メチル)ピリジン-2-イル)メチル)-2-(ジフェニルホスファンイル)アニリン、N-((6-((ジ-tert-ブチルホスファンイル)メチル)ピリジン-2-イル)メチル)-2-(ジフェニルホスファンイル)-4-(トリフルオロメチル)アニリン、1-(6-((ジ-tert-ブチルホスファンイル)メチル)ピリジン-2-イル)-N-(2-(ジフェニルホスファンイル)-4-(トリフルオロメチル)フェニル)メタンイミン、1-(6-((ジ-tert-ブチルホスファンイル)メチル)ピリジン-2-イル)-N-(2-(ジフェニルホスファンイル)フェニル)エタン-1-イミン、N-(1-(6-((ジ-tert-ブチルホスファンイル)メチル)ピリジン-2-イル)エチル)-2-(ジフェニルホスファンイル)アニリン、N-((6-((ジ-tert-ブチルホスファンイル)メチル)ピリジン-2-イル)(フェニル)メチル)-2-(ジフェニルホスファンイル)アニリン、1-(6-((ジ-tert-ブチルホスファンイル)メチル)ピリジン-2-イル)-N-(2-(ジフェニルホスファンイル)フェニル)-1-フェニルメタンイミン、1-(6-((ジ-tert-ブチルホスファンイル)メチル)ピリジン-2-イル)-N-(2-(ジフェニルホスファンイル)フェニル)メタンイミン、N-((6-((ジ-tert-ブチルホスファンイル)メチル)ピリジン-2-イル)メチル)-2-(ジフェニルホスファンイル)アニリン、N-((6-((ジイソプロピルホスファンイル)メチル)ピリジン-2-イル)メチル)-2-(ジフェニルホスファンイル)アニリン、1-(6-((ジイソプロピルホスファンイル)メチル)ピリジン-2-イル)-N-(2-(ジフェニルホスファンイル)フェニル)メタンイミン、1-(6-((ジエチルホスファンイル)メチル)ピリジン-2-イル)-N-(2-(ジフェニルホスファンイル)フェニル)メタンイミン、N-((6-((ジエチルホスファンイル)メチル)ピリジン-2-イル)メチル)-2-(ジフェニルホスファンイル)アニリン、1-(6-((ジシクロヘキシルホスファンイル)メチル)ピリジン-2-イル)-N-(2-(ジフェニルホスファンイル)フェニル)メタンイミン、N-((6-((ジシクロヘキシルホスファンイル)メチル)ピリジン-2-イル)メチル)-2-(ジフェニルホスファンイル)アニリン、N-(2-(6-((ジフェニルホスファンイル)メチル)ピリジン-2-イル)エチル)-1-(2-(ジフェニルホスファンイル)フェニル)メタンイミン、N-(2-(ジフェニルホスファンイル)ベンジル)-2-(6-((ジフェニルホスファンイル)メチル)ピリジン-2-イル)エタン-1-アミン、2-(6-((ジ-tert-ブチルホスファンイル)メチル)ピリジン-2-イル)-N-(2-(ジフェニルホスファンイル)ベンジル)エタン-1-アミン又はN-(2-(6-((ジ-tert-ブチルホスファンイル)メチル)ピリジン-2-イル)エチル)-1-(2-(ジフェニルホスファンイル)フェニル)メタンイミンを含むが、これらに制限されない。
【0046】
配位子がイミンである場合に、前記配位子は、Z配置又はE配置であってよく、好ましくはE配置であってよい。
【0047】
前記リガンドは、当該技術分野において及び当業者により周知である標準の方法を適用することにより得られる。したがって、それらの調製は、特定の記述を必要としない。例えば、Org. Lett., 2015, 17 (3), 454-457を参照してよい。
【0048】
一般的に、式(1)の錯体は、文献において記載される一般的な方法に従った方法におけるそれらの使用前に調製及び単離されうる。その方法は実施例において記載される。
【0049】
さらに、錯体は、in situで、いくつかの方法によって、水素化媒体中で、単離又は精製することなく、それらの使用前のみに調製されうる。
【0050】
本発明の錯体をin situで有利に調製するための可能な手法の1つは、式[Ru(「ジエン」)(「アリル」)2] [式中、「ジエン」は、2個の炭素-炭素二重結合を含み、接合しているかしていない、環状又は直鎖炭化水素、例えば1,5-シクロオクタジエン(COD)又はノルボルナジエンを示し、かつ「アリル」は、1個の炭素-炭素二重結合を含む直鎖又は分枝鎖のC3~C8炭化水素基、例えばメチルアリル又はアリルを示す]の適したRu錯体と、配位していない酸、例えばHBF4Et2Oとを反応し、そして得られた溶液を、例えば前記で定義したような配位子Lの必要量で処理して、式(3)による触媒の溶液を得ることにある。さらに、そのようにして得られた混合物を、第一級又は第二級アルコールの存在下で塩基で処理してもよい。さらに、式(1)又は(2)の錯体は、適したRu触媒、例えば[Ru(「ジエン」)(「アリル」)2]、[RuCl2(PPh3)3]、[RuCl2(COD)]又は[RuCl2(アレーン)]2と、例えば前記で定義したような配位子Lの必要量とを反応させることによって製造されうる(CODは、シクロオクタジエンを示し、アレーンは、例えばベンゼン又はナフタレンである)。
【0051】
本発明の錯体は、同様の式を有し、かつ例えばアルコール及び塩基の存在下で、例えばYが他の意味を有する錯体から本発明のルテニウム錯体に変換される錯体からin situで得ることができることも理解される。
【0052】
本発明の方法を実施するために、塩基を使用することも必要である。前記塩基は、それ自体が基質であってよく、それが塩基性である場合に、対応するアルコラート又は選択的に11超のpKaを有する任意の塩基であってよい。本発明の特定の実施形態に従って、前記塩基は、14超のpKaを有してよい。好ましくは、前記塩基は、式(I)の基質自体を還元しないことも理解される。限定されない例として、以下のタイプの塩基を挙げてよい:アルコラート、水酸化物、アルカリ又はアルカリ土類カーボネート、ホスファゼン、アルキルアミジン、アルキルグアニジンアミド、塩基性アロックス、シリコネート(すなわち、SiO-又はSiRO-基を有するシリシウム誘導体)、水素化物、例えばNaBH4、NaH、又はKH。
【0053】
限定されない例としてアルカリ又はアルカリ土類金属カーボネート、例えばセシウムカーボネート、アルカリ又はアルカリ土類金属ヒドロキシド、C1~C10アミド化物(amidure)、C10~C26ホスファゼン、又は式(R17O)2M又はR17OM’[式中、Mはアルカリ土類金属であり、M’は、アルカリ金属又はアンモニウムNR18
4
+であり、R17は、水素又はC1~C6直鎖又は分枝鎖アルキル基を示し、かつR18は、C1~C10直鎖又は分枝鎖アルキル基を示す]のアルコラート、例えばナトリウム、リチウム、セシウム又はカリウムのアルコラートを挙げられる。もちろん、他の適した塩基を使用できる。
【0054】
本発明の実施形態に従って、前記塩基は、式R17OM’のアルカリアルコラートである。
【0055】
前記のように、本発明の方法は、ルテニウム錯体及び塩基を使用した基質の水素化にある。典型的な方法は、基質とルテニウム錯体、塩基及び任意に溶媒とを混合し、そして選択した圧力及び温度でかかる混合物を分子水素で処理することを含む。
【0056】
本方法の必須パラメータである本発明の錯体は、広範囲の濃度で反応媒体に添加されうる。制限のない例として、錯体の濃度値として、基質の量に対して、1ppm~50000ppmの範囲の濃度値を挙げられる。好ましくは、前記錯体の濃度は、10~20000ppmである。さらにより好ましくは、前記錯体の濃度は、10~5000ppmである。錯体の最適濃度が、当業者に公知であるように、後の性質に、基質の性質に、及びプロセス中に使用されるH2の圧力に、並びに所望の反応時間に依存することは言うまでもない。
【0057】
反応混合物に添加される塩基の有用な量は、比較的大量に含まれてよい。制限のない例として、錯体に対して、5~50000モル当量(例えば、塩基/錯体=5~50000)、好ましくは20~10000モル当量の範囲を挙げられる。
【0058】
水素化反応を、溶媒の存在で又は溶媒の非存在下で実施してよい。溶媒を実践理論のために要求又は使用する場合に、水素化反応において現行のあらゆる溶媒を本発明の目的のために使用してよい。制限のない例は、芳香族溶媒、例えばトルエン、クロロベンゼン又はキシレン、炭化水素溶媒、例えばヘキサン又はシクロヘキサン、エーテル、例えばテトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン又はMTBE、極性溶媒、例えば第一級又は第二級アルコール、例えばイソプロパノール又はエタノール、又はそれらの混合物を含む。溶媒の選択は、錯体の性質の作用であり、当業者は、水素化反応を最適化するためにそれぞれの場合に最も簡便な溶媒をうまく選択することができる。
【0059】
本発明の水素化方法において、反応を、105Paから100×105Paの間(1~100bar)又は所望の場合にそれ以上であるH2圧力で実施してよい。さらに、当業者は、触媒量の作用、及び溶媒中の基質の希釈の作用として圧力を調整することができる。例として、1~50×105Pa(1~50bar)の典型的な圧力を挙げられる。
【0060】
水素化を実施できる温度は、0℃~120℃、より好ましくは20℃~100℃の範囲である。もちろん、当業者は、出発生成物及び最終生成物の融点及び沸点の作用として好ましい温度、並びに反応又は変換の所望の時間を選択することもできる。
【0061】
前記した式(L)の配位子は新規でもある。したがって、本発明の他の目的は、式(L)の配位子である。
【0062】
さらに、本発明の触媒も新規である。したがって、本発明の最後の目的は、前記した一般式(1)のルテニウム錯体である。
【0063】
実施例
本発明は、次の実施例によってさらに詳細に記載され、その際温度は摂氏度で示され、かつ略語は、当該技術分野において通常の意味を有する。
【0064】
以下で記載される全ての手法は、特に明記されない限り不活性雰囲気下で実施されている。水素化を、ステンレス鋼オートクレーブ内に置いた開口ガラス管中で実施した。H2ガス(99.99990%)をそのまま使用した。全ての基質及び溶媒を、Ar下で適した乾燥剤で蒸発させた。NMRスペクトルを、特に明記されない限り、Bruker AM-400(400.1MHzで1H、100.6MHzで13C、及び161.9MHzで31P)分光計で記録し、通常CDCl3中で300Kで測定した。化学シフトはppmで列挙する。
【0065】
実施例1
本発明の配位子の製造
a) N-(2-(ジフェニルホスフィノ)ベンジル)-1-(6-((ジフェニルホスフィノ)メチル)ピリジン-2-イル)メタンイミン (L-1)
・6-((ジフェニルホスフィノ)メチル)ピコリンアルデヒドの製造:
6-((ジフェニルホスフィノ)メチル)ピコリンアルデヒドを、いくつかの以前に記載された方法(Tan X.、Wang Y.、Liu Y.、Wang F.、Shi L.、Lee K.-H.、Lin Z.、Lv H.、Zhang X.、Org. Lett.、2015、17(3)、454-457)に従って得た。酸性水性条件下でのアセタール誘導体の加水分解反応時に塩酸塩として最初に濾過によって単離し、回収した白色の固体を炭酸ナトリウムで塩基性処理して、所望の生成物を淡黄色の固体として得た。
【0066】
【0067】
・(2-(ジフェニルホスフィノ)フェニル)メタンアミン:
(2-(ジフェニルホスフィノ)フェニル)メタンアミンを、以下の経路に従って2-ブロモベンゾニトリルから2ステップで合成してよい。
【0068】
ステップ1:Pd(PPh3)4(0.8mol%)、2-ブロモベンゾニトリル及び脱ガスした(degazed)乾燥トルエンを、磁気撹拌棒及び滴下漏斗を備えた丸底フラッシュに全て装入した。窒素でパージした後に、NEt3(1.04当量)をゆっくりと室温で添加した。添加が完了したら、ジフェニルホスフィン(1.03当量)もゆっくりと室温で添加し、そしてその反応混合物を加熱して12時間還流した。室温まで冷却させた後に、脱気した水で洗浄し、20質量%水性NH4Clで2回洗浄してpHを中性まで下げ、そして水で洗浄した。共沸水を除去した後に、トルエンを完全に濃縮して、黄橙色の粘着性の固体として粗生成物を得た。それをMeOHから再結晶化して、80%の収率で淡黄色の固体として所望の2-(ジフェニルホスフィノ)ベンゾニトリルを得た。
【0069】
(2-(ジフェニルホスフィノ)ベンゾニトリル:
【数2】
【0070】
ステップ2:脱気した乾燥THFを、窒素下で、磁気撹拌棒を備え、事前に秤量したLiAlH4(1.2当量)を含む丸底フラスコに添加した。その懸濁液を0℃まで冷却し、2-(ジフェニルホスフィノ)ベンゾニトリルを少しずつ添加した。0℃でさらに2時間後に、それを室温で一晩撹拌した。そしてそれを0℃まで冷却し、水酸化ナトリウム水溶液でゆっくりとクエンチした。THFを除去した後に、残った残留物をDCM中に溶解させ、セライトプラグに通した。DCM溶液を水で洗浄し、他の硫酸ナトリウムを乾燥させ、そして濃縮させて乾燥し、さらに高真空下で乾燥させて、淡黄色の固体として所望の生成物を得た。
【0071】
(2-(ジフェニルホスフィノ)フェニル)メタンアミン:
【数3】
【0072】
・ (E)-N-(2-(ジフェニルホスフィノ)ベンジル)-1-(6-((ジフェニルホスフィノ)メチル)ピリジン-2-イル)メタンイミン (L-1):
(E)-N-(2-(ジフェニルホスフィノ)ベンジル)-1-(6-((ジフェニルホスフィノ)メチル)ピリジン-2-イル)メタンイミンを、室温で、6-((ジフェニルホスフィノ)メチル)ピコリンアルデヒドと((2-(ジフェニルホスフィノ)フェニル)メタンアミンとの等モル混合物のTHF中での反応によって得た。溶媒を濃縮し、高真空下で一晩乾燥させて、定量的収率で淡黄色の粘稠な油状物として純粋な化合物を得た。
【0073】
【0074】
b) (E)-N-(2-(ジフェニルホスフィノ)ベンジル)-1-(6-((ジ-tert-ブチルホスフィノ)メチル)ピリジン-2-イル)メタンイミン (L-2)の製造
・6-((ジ-tert-ブチルホスフィノ)メチル)ピコリンアルデヒドの製造:
6-((ジ-tert-ブチルホスフィノ)メチル)ピコリンアルデヒドを、6-((ジフェニルホスフィノ)メチル)ピコリンアルデヒドと同様の多段階合成に従って得た。それを、1H、13C及び31PのNMR分析によって完全に特徴付けた。
【0075】
【0076】
・ (E)-N-(2-(ジフェニルホスフィノ)ベンジル)-1-(6-((ジ-tert-ブチルホスフィノ)メチル)ピリジン-2-イル)メタンイミン (L-2)の製造
(E)-N-(2-(ジフェニルホスフィノ)ベンジル)-1-(6-((ジ-tert-ブチルホスフィノ)メチル)ピリジン-2-イル)メタンイミンを、室温で、6-((ジ-tert-ブチルホスフィノ)メチル)ピコリンアルデヒドと((2-(ジフェニルホスフィノ)フェニル)メタンアミンとの等モル混合物のTHF中での縮合によって得た。溶媒を濃縮し、高真空下で一晩乾燥させて、定量的収率で淡黄色の粘稠な油状物として(E)-N-(2-(ジフェニルホスフィノ)ベンジル)-1-(6-((ジ-tert-ブチルホスフィノ)メチル)ピリジン-2-イル)メタンイミンを得て、錯体合成のために直接使用した。
【0077】
c) (E)-N-(2-(ジフェニルホスフィノ)ベンジル)-1-(6-((ジ-tert-ブチルホスフィノ)メチル)ピリジン-2-イル)エタン-1-イミン (L-3)の製造
・1-(6-((ジ-tert-ブチルホスフィノ)メチル)ピリジン-2-イル)エタン-1-オン)の製造:
1-(6-((ジ-tert-ブチルホスフィノ)メチル)ピリジン-2-イル)エタン-1-オン)を、Angew. Chem. Int. Ed. 2016, 55, 6671-6675において以前に記載されたいくつかの手法に従って得た。それを、1H、13C及び31PのNMR分析によって以前に報告されたデータに対応するデータで完全に特徴付けた。
【0078】
・ (E)-N-(2-(ジフェニルホスフィノ)ベンジル)-1-(6-((ジ-tert-ブチルホスフィノ)メチル)ピリジン-2-イル)エタン-1-イミン (L-3)の製造
(E)-N-(2-(ジフェニルホスフィノ)ベンジル)-1-(6-((ジ-tert-ブチルホスフィノ)メチル)ピリジン-2-イル)エタン-1-イミンを、室温で、1-(6-((ジ-tert-ブチルホスフィノ)メチル)ピリジン-2-イル)エタン-1-オンと((2-(ジフェニルホスフィノ)フェニル)メタンアミンとの等モル混合物のTHF中での縮合によって得た。溶媒を濃縮し、高真空下で一晩乾燥させて、定量的収率で淡黄色の固体として純粋な化合物を得て、錯体合成のために直接使用した。
【0079】
実施例2
本発明の錯体の製造
a) [RuCl2((E)-N-(2-(ジフェニルホスフィノ)ベンジル)-1-(6-((ジフェニルホスフィノ)メチル)ピリジン-2-イル)メタンイミン)](錯体C1)の製造
トルエン中で4時間還流して(PPh3)3RuCl2ルテニウム錯体と1.05当量の配位子L1との反応により錯体C1を得た。室温まで冷却した後に、トルエンを真空下で部分的に濃縮し、そして生成物を沈殿させるためにEt2Oを添加した。その懸濁液を窒素下で濾過し、そして得られた紫色の固体をトルエン/Et2O混合物で数回洗浄し、次に純粋なEt2Oで洗浄した。高真空下で一晩乾燥させた後に、生成物を5/2の立体異性体混合物として85%の収率で得た。
【0080】
【0081】
b) 錯体[RuCl2((E)-N-(2-(ジフェニルホスフィノ)ベンジル)-1-(6-((ジ-tert-ブチルホスフィノ)メチル)ピリジン-2-イル)メタンイミン)](錯体C2)の製造
トルエン中で4時間還流して(PPh3)3RuCl2ルテニウム錯体と1.05当量の(E)-N-(2-(ジフェニルホスフィノ)ベンジル)-1-(6-((ジ-tert-ブチルホスフィノ)メチル)ピリジン-2-イル)メタンイミン (L-2)との反応により錯体C2を得た。室温まで冷却した後に、トルエンを真空下で部分的に濃縮し、そして生成物を沈殿させるためにEt2Oを添加した。その懸濁液を窒素下で濾過し、そして得られた紫色の固体をトルエン/Et2O混合物で数回洗浄し、次に純粋なEt2Oで洗浄した。高真空下で一晩乾燥させた後に、生成物を4/1の立体異性体混合物として75%の収率で得た。
【0082】
【0083】
c) 錯体[RuCl2((E)-N-(2-(ジフェニルホスフィノ)ベンジル)-1-(6-((ジ-tert-ブチルホスフィノ)メチル)ピリジン-2-イル)エタン-1-イミン)](錯体C3)の製造
トルエン中で4時間還流して(PPh3)3RuCl2ルテニウム錯体と1.05当量の(E)-N-(2-(ジフェニルホスフィノ)ベンジル)-1-(6-((ジ-tert-ブチルホスフィノ)メチル)ピリジン-2-イル)エタン-1-イミン (L-3)との反応により錯体C3を得た。室温まで冷却した後に、トルエンを真空下で部分的に濃縮し、そして生成物を沈殿させるためにEt2Oを添加した。その懸濁液を窒素下で濾過し、そして得られた紫色の固体をトルエン/Et2O混合物で数回洗浄し、次に純粋なEt2Oで洗浄した。高真空下で一晩乾燥させた後に、生成物を単一の異性体として85%の収率で得た。
【0084】
【0085】
実施例3
比較錯体の製造
a) [RuCl2(2-(ジフェニルホスフィノ)-N-((6-((ジフェニルホスフィノ)メチル)ピリジン-2-イル)メチル)エタン-1-アミン)](比較錯体CC1)の製造
錯体[RuCl2(2-(ジフェニルホスフィノ)-N-((6-((ジフェニルホスフィノ)メチル)ピリジン-2-イル)メチル)エタン-1-アミン)]を、いくつかの以前に記載された方法(Tan X.、Wang Y.、Liu Y.、Wang F.、Shi L.、Lee K.-H.、Lin Z.、Lv H.、Zhang X.、Org. Lett.、2015、17(3)、454-457)に従って得た。
【0086】
b) [RuCl2((E)-N-(2-(ジフェニルホスフィノ)エチル)-1-(6-((ジフェニルホスフィノ)メチル)ピリジン-2-イル)メタンイミン)](比較錯体CC2)の製造
・(E)-N-(2-(ジフェニルホスフィノ)エチル)-1-(6-((ジフェニルホスフィノ)メチル)ピリジン-2-イル)メタンイミン配位子
(E)-N-(2-(ジフェニルホスフィノ)エチル)-1-(6-((ジフェニルホスファンイル)メチル)ピリジン-2-イル)メタンイミン (E)-N-(2-(ジフェニルホスフィノ)エチル)-1-(6-((ジフェニルホスフィノ)メチル)ピリジン-2-イル)メタンイミン配位子を、室温で、6-((ジフェニルホスフィノ)メチル)ピコリンアルデヒドと((2-(ジフェニルホスフィノ)エタン-1-アミンとの等モル混合物のTHF中での反応によって得た。溶媒を濃縮し、高真空下で一晩乾燥させて、定量的収率で淡黄色の粘稠な油状物として純粋な化合物を得た。
【0087】
【0088】
・[RuCl2((E)-N-(2-(ジフェニルホスフィノ)エチル)-1-(6-((ジフェニルホスフィノ)メチル)ピリジン-2-イル)メタンイミン)](錯体CC2)
トルエン中で4時間還流して(PPh3)3RuCl2ルテニウム錯体と1.05当量の(E)-N-(2-(ジフェニルホスフィノ)エチル)-1-(6-((ジフェニルホスフィノ)メチル)ピリジン-2-イル)メタンイミン配位子との反応により錯体CC2を得た。室温まで冷却した後に、トルエンを真空下で部分的に濃縮し、そして生成物を沈殿させるためにEt2Oを添加した。その懸濁液を窒素下で濾過し、そして得られた紫色の固体をトルエン/Et2O混合物で数回洗浄し、次に純粋なEt2Oで洗浄した。高真空下で一晩乾燥させた後に、純粋な生成物を85%の収率で得た。
【0089】
【0090】
c) [RuCl2((E)-1-(6-((ジフェニルホスフィノ)メチル)ピリジン-2-イル)N-(3-(ジフェニルホスフィノ)プロピル)メタンイミン)](比較錯体CC3)の製造
・ (E)-1-(6-((ジフェニルホスフィノ)メチル)ピリジン-2-イル)N-(3-(ジフェニルホスフィノ)プロピル)メタンイミン配位子
(E)-1-(6-((ジフェニルホスフィノ)メチル)ピリジン-2-イル)N-(3-(ジフェニルホスフィノ)プロピル)メタンイミンを、室温で、6-((ジフェニルホスフィノ)メチル)ピコリンアルデヒドと3-(ジフェニルホスフィノ)プロパン-1-アミンとの等モル混合物のTHF中での反応によって得た。溶媒を濃縮し、高真空下で一晩乾燥させて、定量的収率で淡黄色の粘稠な油状物として純粋な化合物を得た。
【0091】
【0092】
・ [RuCl2((E)-1-(6-((ジフェニルホスフィノ)メチル)ピリジン-2-イル)N-(3-(ジフェニルホスフィノ)プロピル)メタンイミン)](比較錯体CC3)
トルエン中で4時間還流して(PPh3)3RuCl2ルテニウム錯体と1.05当量の(E)-1-(6-((ジフェニルホスフィノ)メチル)ピリジン-2-イル)-N-3(ジフェニルホスフィノ)プロピル)メタンイミン配位子との反応により錯体CC3を得た。室温まで冷却した後に、トルエンを真空下で部分的に濃縮し、そして生成物を沈殿させるためにEt2Oを添加した。その懸濁液を窒素下で濾過し、そして得られた紫色の固体をトルエン/Et2O混合物で数回洗浄し、次に純粋なEt2Oで洗浄した。高真空下で一晩乾燥させた後に、純粋な生成物を75%の収率で得た。
【0093】
【0094】
d) [RuCl2(トリフェニルホスフィン)(ビス(2-(エチルチオ)エチル)アミン)] (比較錯体CC4)
市販の錯体[RuCl2(トリフェニルホスフィン)(ビス(2-(エチルチオ)エチル)アミン)]を、Sigma-Aldrich社から購入した。
【0095】
e) [RuCl2(N,N’-(エタン-1,2-ジイル)ビス(1-(2-(ジフェニルホスファンイル)フェニル)メタンイミン))] (比較錯体CC5)
錯体[RuCl2(N,N’-(エタン-1,2-ジイル)ビス(1-(2-(ジフェニルホスファンイル)フェニル)メタンイミン))]を既に記載されているいくつかの手法(Saudan L.、Dupau P.、Riedhauser J.-J.、Wyss P.、国際公開番号第2006106484号)に従って合成した。
【0096】
f) [RuCl2(ビス(2-(ジフェニルホスフィノ)エチルアミン))] (比較錯体CC6)
市販の錯体[RuCl2(ビス(2-(ジフェニルホスフィノ)エチルアミン))]を、Sigma-Aldrich社(CAS番号:[506417-41-0])から購入した。
【0097】
実施例4
一般的な水素化反応方法:
エステル、ルテニウム触媒、金属アルコキシド助触媒(固体又はいくらかのアルコール溶液として使用)及び任意に溶媒(表1を参照されたい)を、機械式撹拌装置、圧力及び内部温度センサー、並びに内部の温度調整のための加熱/冷却システムを備えた100mL又は1Lのオートクレーブに全て装入した。そして、密閉したオートクレーブを、窒素(5barで3回)及び水素(5barで3回)で撹拌しながらパージし、出口圧力調節器及び内部圧力センサーを備えた水素タンクを介して要求される水素圧力まで加圧して、水素消費量を追い決定した。そして反応混合物を要求される温度まで加熱し、オートクレーブへの水素圧を、全反応の間、所望の値に維持した。出発物質と、生成物及び最終的に金属アルコキシド助触媒及び/又はアルコール溶媒とのエステル交換反応から生じる及び混合エステルとの双方が完全に消失したことでGC分析によって反応の完了を決定した後に、オートクレーブを25℃に冷却した。そして、減圧し、窒素でパージし(5barで3回)、その反応混合物を丸底フラスコに移し、軽い化合物を真空下で除去した。そして、反応中に形成した残留物の量を決定するために粗生成物をフラッシュ蒸留し、蒸留生成物のGC純度に基づいて収率を算出した。
【0098】
実施例5
本発明の異なる触媒及び比較触媒を使用した異なるエステルの接触水素化:
水素化を、実施例4において報告したように実施した。
【0099】
【表1-1】
【表1-2】
1) 残留物がほぼ形成されず(<1質量%)、完全な変換に達した。
2) 99%超のGC選択性で生成物を得た。
【0100】
先行技術の触媒と比較して、本発明の触媒でより早く完全な変換に達した。
【0101】
【0102】
実施例6
種々の溶媒中での本発明の異なる触媒及び比較触媒を使用したエチルベンゾエートの接触水素化:
水素化を、実施例4において報告したように実施した。
【0103】
【表3-1】
【表3-2】
1) 溶媒の体積で2当量で反応を行った(適用可能な場合に)。
2) 残留物がほぼ形成されず(<1質量%)、完全な変換に達した。
【0104】
本発明の触媒は、使用した溶媒に関わらず、先行技術の触媒よりも速く完全な変換に達することが可能である。
【0105】
実施例7
種々の温度での錯体C1を使用した異なるエステルの接触水素化:
水素化を、実施例4において報告したように実施した。
【0106】
【表4】
1) 残留物がほぼ形成されず(<1質量%)、完全な変換に達した。
【0107】
実施例8
種々の水素圧での錯体C1を使用したエチルカーボネートの適切な条件下での接触水素化:
水素化を、実施例4において報告したように実施した。
【0108】
【表5】
1) 残留物がほぼ形成されず(<1質量%)、完全な変換に達した。
【0109】
実施例9
塩基として種々の金属アルコキシドを用いて錯体C1を使用したエチルカーボネートの適切な条件下での接触水素化:
水素化を、実施例4において報告したように実施した。
【0110】
【表6】
1) 残留物がほぼ形成されず(<1質量%)、完全な変換に達した。
【0111】
実施例10
錯体C1を使用した種々のエステルの適切な条件下での接触水素化:
水素化を、実施例4において報告したように実施した。
【0112】
【表7】
1) 残留物がほぼ形成されず(<1質量%)、完全な変換に達した。
2) 完全な変換で99%超のGC選択性で所望の生成物を得た。
3) 完全な変換で95%のGC選択性で所望の生成物を得た。
【0113】
実施例11
種々の溶媒中での本発明の異なる触媒及び比較触媒を使用した(+/-)-(3aR,5aS,9aS,9bR)-3a,6,6,9a-テトラメチルデカヒドロナフト[2,1-b]フラン-2(1H)-オンの接触水素化:
水素化を、実施例4において報告したように実施した。
【0114】
【表8】
1) 反応を溶媒の体積で1当量で実施する。
2) 反応を溶媒の体積で2当量で実施する。
3) 残留物がほぼ形成されず(<1質量%)、完全な変換に達した。
【0115】
同様の結果を、鏡像異性的に富化された化合物E16から得た。