(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-06
(45)【発行日】2023-10-17
(54)【発明の名称】透明領域が埋め込まれたオブスキュレーション領域を有する合わせガラス
(51)【国際特許分類】
C03C 27/12 20060101AFI20231010BHJP
B60J 1/00 20060101ALI20231010BHJP
【FI】
C03C27/12 D
C03C27/12 Z
B60J1/00 H
(21)【出願番号】P 2020534426
(86)(22)【出願日】2018-12-17
(86)【国際出願番号】 EP2018085249
(87)【国際公開番号】W WO2019121535
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2021-12-14
(32)【優先日】2017-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】512192277
【氏名又は名称】クラレイ ユーロップ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Kuraray Europe GmbH
【住所又は居所原語表記】Philipp-Reis-Strasse 4, D-65795 Hattersheim am Main, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ウーヴェ ケラー
【審査官】有田 恭子
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-147725(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0243796(US,A1)
【文献】特開2006-327381(JP,A)
【文献】特開2015-147724(JP,A)
【文献】国際公開第2017/159452(WO,A1)
【文献】特表2017-504550(JP,A)
【文献】国際公開第2017/057630(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C 27/00-29/00
B60J 1/00
B32B 1/00-43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリビニルアセタールPBおよび少なくとも1種の可塑剤WBを含有する少なくとも1つの膜B
からなる接着膜により合わせられており、オブスキュレーション領域(1)とそこに埋め込まれた少なくとも1つの透明領域(2)とを備える、2枚の板ガラスを含む合わせガラスであって、
前記オブスキュレーション領域は、ポリビニルアセタールPAおよび場合により少なくとも1種の可塑剤WAを含有する膜Aにより提供され、
膜Aは、膜Bと接して配置されており、前記2枚の板ガラスを合わせる前に、膜A中の可塑剤WAの量は、
2重量%未満であり、膜B中の可塑剤WBの量は、少なくとも22重量%であり、
かつ、少なくとも1つの透明領域を有する前記オブスキュレーション領域が、膜Aの少なくとも一方の表面上に印刷または被覆された層により提供され、前記透明領域には、印刷または被覆された層が設けられていないことを特徴とする、合わせガラス。
【請求項2】
前記印刷または被覆された層は、カーボンブラック、酸化鉄、ポリアニリン、ペリレンおよびスピネル顔料からなる群から選択される顔料または染料により提供されることを特徴とする、請求項
1記載の合わせガラス。
【請求項3】
膜Aが、前記オブスキュレーション領域のサイズを有することを特徴とする、請求項
1または2記載の合わせガラス。
【請求項4】
膜Aが、前記膜Bのサイズを有することを特徴とする、請求項
1または2記載の合わせガラス。
【請求項5】
前記少なくとも1枚の板ガラスの縁部には、少なくとも部分的に、オブスキュレーション帯が設けられていることを特徴とする、請求項1から
4までのいずれか1項記載の合わせガラス。
【請求項6】
前記オブスキュレーション帯が、少なくとも部分的に、少なくとも1枚の板ガラスの少なくとも一方の表面上の黒色フリット被覆により提供されることを特徴とする、請求項
5記載の合わせガラス。
【請求項7】
前記オブスキュレーション帯が、少なくとも部分的に、膜Aにより提供されることを特徴とする、請求項
5記載の合わせガラス。
【請求項8】
前記膜Bに対する膜Aの厚み比が、0.2未満であることを特徴とする、請求項1から
7までのいずれか1項記載の合わせガラス。
【請求項9】
前記膜Bは、くさび型の厚みプロファイルを有することを特徴とする、請求項1から
8までのいずれか1項記載の合わせガラス。
【請求項10】
前記オブスキュレーション領域の前記透明領域には、板ガラスの一方の表面にまたはその上に配置された光学検出装置が設けられていることを特徴とする、請求項1から
9までのいずれか1項記載の合わせガラス。
【請求項11】
光学検出装置が、デジタルカメラ、距離計、ヘイズメータ、雨センサ、標的検出器、走査レーザ装置(LIDAR)であることを特徴とする、請求項
10記載の合わせガラス。
【請求項12】
自動車、バス、トラック、船舶または飛行機用のフロントガラス、バックライトおよび側面ガラスのための、請求項1から
11までのいずれか1項記載の合わせガラスの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光デバイスを動作させるための透明領域が埋め込まれたオブスキュレーション領域を備えた合わせガラス、特にフロントガラスに関する。
【0002】
自動車用のほとんどのフロントガラスにおいて、内側板ガラスには、フロントガラスとシャーシとを機械的に接続するシーリングまたは接着剤をUV照射から保護するために、非透明で、ほぼ黒色のフレームが設けられている。代替的には、黒色のオブスキュレーション帯を、フロントガラスの外側板ガラスに適用することができる。これは、高級車に好ましい場合がある。一般的な技術は、ガラス表面上に低融点黒色ガラスフリットをシルクスクリーン印刷し、次いで、このフリットを600℃超の温度で焼成することである。
【0003】
焼成法によるいわゆる「黒色フリット」の適用は確立された技術であるが、オブスキュレーション領域の位置におけるガラス部分の熱吸収特性が変化し、これにより短い距離にわたってガラス部分の温度勾配が生じるため、意図された幾何学的形状からの強度の局所的逸脱が生じる。結果として生じる湾曲欠陥により、このようなガラス部品を通して見ている運転者および乗客にとって、ガラス部品の視覚的外観が悪化する場合があり、また光屈折力の強すぎる局所的変化(光学的欠陥)が生じる場合もあり、これは、フロントガラスの背後に配置された光学センサの動作の機能不全を招く。このような光学装置またはセンサは、通常、迷光を避けかつ車両の外側から見える形で装置を覆うために、非透明なオブスキュレーション領域の後ろに取り付けられる。光学センサとしてカメラを備えた「黒色フリット」から形成されたフロントガラス用のこのようなオブスキュレーション領域は、例えば、米国特許出願公開第20160243796号明細書に開示されている。
【0004】
特に、自動運転またはアシスト運転では、車中光学装置の品質に対する要求が高まるであろう。この点で、合わせガラスの光学的欠陥はどのようなものでも望ましくない。
【0005】
発明の目的
したがって、本発明の目的は、黒色フリット焼成法に付随する光学的欠陥を生じることなく、オブスキュレーション領域を有するフロントガラスを提供することであった。
【0006】
様々な技術分野から、低可塑剤含量を有するかまたは可塑剤含量を有しない薄いPVB膜に被覆または導電性構造を設けることが知られている。これを、一般的な可塑化PVB膜と組み合わせて、機能化合わせガラスを製造することができる(欧州特許出願公開第3074221号明細書)。
【0007】
低い可塑剤含量を有するまたは可塑剤含量を有しない薄いPVB膜を顔料で被覆または印刷することができることが見出された。
【0008】
したがって、本発明の目的は、ポリビニルアセタールPBおよび少なくとも1種の可塑剤WBを含有する少なくとも1つの膜Bを含む接着膜により合わせられており、オブスキュレーション領域(1)とそこに埋め込まれた少なくとも1つの透明領域(2)とを備える、2枚の板ガラスを含む合わせガラスであって、オブスキュレーション領域がポリビニルアセタールPAおよび場合により少なくとも1種の可塑剤WAを含有する膜Aにより提供され、膜Aが膜Bと接して配置されており、2枚の板ガラスを合わせる前に、膜A中の可塑剤WAの量が22重量%未満であり、膜B中の可塑剤WBの量が少なくとも22重量%である、合わせガラスであった。
【0009】
以下、「積層前」という用語は、膜Aと膜Bが互いに何らかの接触する前の状態を指す。例えば、この用語は、別々に形成され、個々のロールに別々に巻かれた各膜の構成を指す。「積層前」という用語は、合わせガラスの積層プロセス中または積層に使用される層からスタックを構築する前のいずれかにおいて、それらを合わせる前の層または膜の状態を指す。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明のオブスキュレーション領域(1)および3つの透明領域(2)を示す図
【
図2】本発明の一実施形態であるオブスキュレーション領域を示す図
【
図3】本発明の一実施形態であるオブスキュレーション領域を示す図
【
図4】本発明の一実施形態であるオブスキュレーション領域を示す図
【
図5】本発明の一実施形態であるオブスキュレーション領域を示す図
【
図6】本発明の一実施形態であるオブスキュレーション領域を示す図
【0011】
「オブスキュレーション領域」という用語は、可視スペクトルにおいて5%未満の光透過率を有する積層体の任意の領域を指す。変形例では、オブスキュレーション領域は、透明に向かってフェードアウトしてもよい。このような変形例では、積層体のオブスキュレーション領域の少なくとも一部が、可視スペクトルにおいて5%未満の光透過率を有する。
【0012】
「少なくとも1つの透明領域を有するオブスキュレーション領域」という用語は、透明領域が埋め込まれた、上記に定義されたような低減された光透過率を有する積層体の1つ以上の領域を指す。例えば、
図1は、オブスキュレーション領域(1)および3つの透明領域(2)を示す。透明領域は、可視スペクトルにおいて、オブスキュレーション領域により覆われていない積層体の残り部分以上の光透過率を有することが好ましい。
【0013】
本発明に係る合わせガラスにおいて、オブスキュレーション領域の透明領域には、板ガラスの一方の表面にまたはその上に配置された光学検出装置を設けることができる。光学検出装置は、デジタルカメラ、距離計、ヘイズメータ、雨センサ、標的検出器、走査レーザ装置(LIDAR)またはスペクトルのUV/VISおよびNIR/IR範囲内からの電磁放射を使用する関連装置である。
【0014】
本発明は、薄い板ガラスを含む積層体にも有利である。なぜならば、薄いガラス上のエナメルを焼成することにより、光学的欠陥を有する、仕様に適合しない湾曲した板ガラスがより一層製造される傾向にあるためである。本発明の好ましい実施形態では、板ガラスの少なくとも一方は、2.1mm未満、例えば、1.8mm、1.8mm未満、1.6mm未満、1.4mm未満、1.0mm未満または0.9mm未満の厚みを有する。
【0015】
膜A
本発明に係る積層体は、1つ以上の膜Aを含むことができるが、少なくとも1つの薄い膜Aは、本発明に係る合わせガラスのガラス表面に隣接して配置される。ガラス/膜A/膜B/膜A/ガラスという層列を有する合わせガラス積層体が提供されるように、膜Aを両ガラスの表面に適用することも可能である。
【0016】
少なくとも1つの透明領域を有するオブスキュレーション領域は、膜Aの少なくとも一方の表面上に印刷または被覆された層により提供することができ、透明領域には、印刷または被覆された層が設けられていない。
【0017】
印刷または被覆された層は、無機顔料または有機顔料を含有する。これらは、ポリマーマトリックスに溶解すべきではないため、膜AからBへの移行に抵抗すべきである。
【0018】
顔料として、カーボンブラック、酸化鉄、ポリアニリン、ペリレンまたはスピネル顔料を使用するのが好ましい。顔料は、担体流体、例えば、水、アルコールまたはアルコールと水との混合物に分散させることができる。さらに、バインダー、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリレート、ポリウレタンまたはポリスチレンアクリレートが存在することができる。このような印刷組成物は、以下、「印刷インク」または単純に「インク」と呼ばれる。
【0019】
水系印刷インクは、有機溶媒をベースとする印刷インクより好ましい。それらは、膜Aを膨潤させまたは溶解させることなくかつ/または膜欠陥を生じさせないためである。被覆が薄い場合および/または溶媒がPVB膜中に移行しないように乾燥工程が速い場合、有機溶媒をベースとする印刷インクを使用することができる。印刷インクのためのバインダーとして低分子量PVBを使用するのが有益である。これにより、PVBを含有する膜AおよびBとの良好な相溶性が確保されるためである。
【0020】
印刷インクは、印刷業界において一般公知の技術、例えば、オフセット印刷、輪転グラビア印刷、フレキソ印刷およびスクリーン印刷により適用することができ、通常、乾燥工程が続く。
【0021】
膜A基材の表面へのインク付着を最適化するために、コロナ処理または関連する処理を、個々の印刷または被覆工程の前に、膜Aの表面の活性化に使用することができる。
【0022】
オブスキュレーション領域は、完全に不透明であることができかつ/または部分的に中断されていることができかつ/または完全に不透明な縁部から印刷されていない透明領域への移行領域を有する場合がある。断続的な印刷は、ドットパターンの形式で達成することができる。着色された帯は、(容易に視認可能なドットが繰り返すことなく)透明から不透明な黒色または灰色へと連続的にフェードインすることができる。
【0023】
オブスキュレーション領域の形状およびサイズは、特に重要ではなく、矩形であってもよいし、合わせガラスの背後および/もしくは完成した合わせガラスの周囲全体に存在するセンサ/カメラのアレイフィールドの輪郭に沿うものであってもよい。
図2および
図3は、一例として、オブスキュレーション領域の形状を示す。
【0024】
第1の変形例では、膜Aは、
図1に示されたように、オブスキュレーション領域のサイズを有することができる。第2の変形例では、
図2または
図6に示されたように、膜Aは、膜Bのサイズを有することができる。
【0025】
ただし、膜Aは、これらの両極の変形例の間の任意のサイズ、例えば、
図3、
図4および
図5に示されたように、オブスキュレーション領域よりわずかに大きなサイズを有することができる。オブスキュレーション領域の外側にある膜Aの部分は、可視光に対して可能な限り透明であるべきである。少なくとも、オブスキュレーション領域の外側の膜Aの部分は、オブスキュレーション領域中の透明領域と同じ程度に可視光に対して透明であるべきである。
【0026】
印刷または被覆プロセスの乾燥工程における過剰な加熱による膜Aのしわおよび/または変形を避けるために、膜Aを、DSC法によりTgとして測定可能なそのガラス転移点を上回る温度に曝さないことが重要である。このため、乾燥工程中の膜Aの温度は、膜のTgを、少なくとも3℃、または少なくとも5℃、または少なくとも10℃、または少なくとも15℃、または最も好ましくは少なくとも20℃だけ下回るように維持されるのが好ましい。
【0027】
印刷された部分の乾燥膜厚は、印刷技術および必要とされる不透明度に応じて、1~50μmである。通常、乾燥膜厚は、10~30μmである。連続的な印刷/被覆工程の繰り返しによってインク層を重ねることにより、十分に厚い総乾燥膜厚を達成することができる。
【0028】
好ましくは、膜A上に印刷または被覆された着色層は、着色層の成分によるガラス表面上の膜Aの透明中心と印刷された縁部分との間の接着の差異を避けるために、ガラス表面ではなく膜Bに面して配置される。
【0029】
伝統的な黒色フリットと膜Aによる局所的なオブスキュレーションとの組み合わせが望まれる場合、任意の組み合わせおよび構成を適用することができる。例えば、黒色フリットが、フロントガラスの側面2に黒色オブスキュレーション帯を構成する場合、黒色印刷/被覆膜Aは、フロントガラスのいずれかの側面2または3に接触していることができる。黒色フリットが、フロントガラスの側面4に黒色オブスキュレーション帯を構成する場合、黒色印刷/被覆膜Aは、フロントガラスのいずれかの側面3または2に接触していることができる。典型的には、膜Aを黒色フリット層に近接して、例えば、表面1-表面2/膜B/膜A/表面3-黒色フリットを有する表面4の構成に配置するのが有利であろう。一方、膜Aを、黒色フリットを有するガラス表面に近接せずに配置すれば、3D効果を得ることができる。例えば、表面1-表面2/膜A/膜B/表面3-黒色フリットを有する表面4の構成または表面1-黒色フリットを有する表面2/膜B/膜A/表面3-表面4の構成である。
【0030】
別の変形例では、オブスキュレーション領域の透明領域は、ガラス/膜サンドイッチ体に挿入する前に膜Aを穿孔することにより得ることができる。その結果、膜Aは、任意の幾何学的パターンで、開口、例えば、通路、孔またはスリットを有することができる。
【0031】
このため、膜Aは、少なくとも1つの開口を有することができる。その結果、この開口により、膜Bは、少なくとも一方のガラス表面と直接接触する。完成した合わせガラスを形成するための接着結合に続けて、開始状態においてより高い可塑剤含量を有する膜Bは、これらの点において中断することなく板ガラスに接着結合される。このため、特に、開口を合わせガラスのある箇所で得ることができ、この箇所の背後では、センサ素子、光学素子および/またはアンテナ素子の機能が、任意の熱遮断または膜Aにより担持される着色層により妨げられる。
【0032】
積層前の開始状態の膜Aは、膜Bに対する厚さ比が0.2未満であることができる。
【0033】
積層前の開始状態における膜Aの厚みは、10~250μm、好ましくは20~160μm、好ましくは30~120μm、好ましくは40~100μm、最も好ましくは50~80μmである。この範囲の厚みは、膜上の追加の印刷層/被覆層を含まない。合わせガラスにおいて、膜の厚みは、膜Bからの可塑剤の移行により増加し得る。
【0034】
膜Aは、膜Bとは別個に製造され(例えば、押出成形または溶媒キャスト成形)、可塑剤を全く有しないかまたは十分に少ない割合の可塑剤を有するため、その後の機能化および加工に悪影響を及ぼさない。
【0035】
膜Aは、好ましくは、合わせガラスの内面の一方と直接接触するため、様々な安全ガラス規格、例えばECE 43Rに規定されているように、自動車の様々なガラス位置に必須の満足のいく耐浸透性に達するために、その接着性を中間レベルに制御するのが望ましい。この目的のために、膜Aは、アルカリ金属イオンおよび/またはアルカリ土類金属イオンを含有して、ガラスへのそれらの接着レベルを調整することができる(いわゆる、接着防止添加剤)。
【0036】
アルカリ金属イオンとしては、カリウムまたはナトリウムまたはリチウムが好ましい。アルカリ金属イオンの好ましい濃度範囲は、リチウムの場合、7~210、好ましくは14~140、より好ましくは21~140ppmであり、ナトリウムの場合、23~690、好ましくは46~460、より好ましくは69~460ppmであり、カリウムの場合、39~1170、好ましくは78~780ppm、より好ましくは117~780である。1~10個の炭素原子を有するカルボン酸の塩の形態でアルカリ金属イオンを添加するのがさらに好ましい。接着制御剤としては、酢酸カリウムが特に好ましい。
【0037】
アルカリ金属塩の総量は、膜Aの重量に対して0.005重量%と低くてもよい。アルカリ金属塩の好ましい範囲は、膜Aの重量に対して0.01%~0.1%;0.02~0.08%;0.03~0.06%(それぞれ重量%)である。
【0038】
本発明の積層体に使用される膜Aは、さらに、アルカリ土類イオンを含むことができるが、接着に対するそれらの効果は限定的であるため、アルカリイオンと比較して少量のみを使用すべきである。本発明の第1の実施形態では、膜Aは、0~20ppm、好ましくは0~5ppmのアルカリ土類イオンを含む。
【0039】
一方、可塑化PVB膜が、異なる表面化学を有する2枚の板ガラスに面する場合、アルカリ土類イオンは、接着のバランス効果を有することが公知である。したがって、本発明の第2の実施形態では、膜Aは、5~20ppmのアルカリ土類イオンを含む。アルカリ土類イオンは、1~10個の炭素原子を有するカルボン酸の塩の形態で加えることができる。二次接着制御剤としては、酢酸マグネシウムが特に好ましい。この実施形態では、膜A中のアルカリ土類イオンに対するアルカリイオンのppm比は、1以上が好ましく、5以上が特に好ましく、10以上がより好ましい。
【0040】
アルカリイオンおよびアルカリ土類イオンの量の代わりに、膜AおよびBのアルカリ力価を使用して、膜中の接着防止剤(すなわち、アルカリ塩およびアルカリ土類塩)の量を特徴付けることができる。膜Aのアルカリ力価は、それぞれ500の最大値で、10より高く、20より高く、40より高く、50より高く、80より高く、90より高く、好ましくは100より高いことができる。膜Aとは対照的に、膜Bのアルカリ力価は、より低いのが好ましく、とりわけ、アルカリ力価(膜A)-アルカリ力価(膜B)間の差が、2、6、好ましくは10AT単位より大きい。
【0041】
ヘイズを避けるために、膜A中の塩化物イオンおよび/または硝酸イオンおよび/または硫酸イオンの量を減少させることができる。
【0042】
このため、膜Aの塩化物含量は、150ppm未満、好ましくは100ppm未満、特に、50ppm未満であることができる。理想的な場合には、膜Aの塩化物含量は、10ppm未満またはさらには0ppmである。
【0043】
膜Aの硝酸塩含量は、場合により150ppm未満、好ましくは100ppm未満、特に、50ppm未満であることができる。理想的な場合には、膜Aの硝酸塩含量は、10ppm未満またはさらには0ppmである。
【0044】
また場合により、膜Aの硫酸塩含量は、150ppm未満、好ましくは100ppm未満、特に50ppm未満であることができる。理想的な場合には、膜Aの硫酸塩含量は、10ppm未満またはさらには0ppmである。
【0045】
膜B
膜Bは、当技術分野において公知で任意の可塑化PVB膜であることができる。膜AおよびBは、積層前の開始状態においてかつ/または板ガラス間の積層のために製造されたスタックにおいて、単一の可塑剤ならびに異なる組成および同一の組成の両可塑剤の混合物を含有することができる。「異なる組成」という用語は、混合物中の可塑剤の種類およびその割合の両方を指す。積層後、すなわち、完成した合わせガラスにおいて、膜Aおよび膜Bは、好ましくは、同じ可塑剤WAおよびWBを有する。好ましい変形例では、膜Aは、その開始状態において、可塑剤を何ら含有しないが、積層後、可塑剤WBを平衡量で含有する。
【0046】
本発明に従って使用される可塑剤含有膜Bは、積層前の開始状態において、少なくとも22重量%、例えば22.0~45.0重量%、好ましくは25.0~32.0重量%、特に26.0~30.0重量%の可塑剤を含有する。
【0047】
本発明に従って使用される膜Aは、積層前の開始状態において、22重量%未満(例えば、21.9重量%)、18重量%未満、16重量%未満、12重量%未満、8重量%未満、4重量%未満、2重量%未満、1重量%未満の可塑剤を含有することができ、さらには可塑剤を含有しない(0.0重量%)ことができる。本発明の好ましい実施形態では、低い可塑剤含量を有する膜Aは、好ましくは0.0~8重量%、最も好ましくは0~4重量%の可塑剤を含有する。
【0048】
膜AまたはBは、好ましくは、同一または異なるかのいずれかで、0.1~20モル%、好ましくは0.5~3モル%または5~8モル%のポリ酢酸ビニル基比率を有するポリビニルアセタールを含有する。
【0049】
開始状態における膜Bの厚みは、450~2500μm、好ましくは600~1000μm、好ましくは700~900μmである。複数の膜Bは、互いに積み重ねられるかまたは膜Aにより分離されるかのいずれかで、本発明に使用することができる。
【0050】
膜Bがサンドイッチ体の製造前に延伸されかつ/またはさらに、湾曲した様式でスクリーン(例えば、フロントガラス)の形状に適合される場合、積層の際の特定の厚みは、20%までさらに小さくなる場合がある。
【0051】
ポリビニルアセタール
本発明に従って使用される膜AおよびBは、ポリビニルアルコールまたはエチレンビニルアルコールコポリマーのアセタール化により製造されるポリビニルアセタールを含有する。
【0052】
これらの膜は、それぞれ異なるポリビニルアルコール含量、アセタール化度、残留アセテート含量、エチレン比率、分子量および/またはアセタール基のアルデヒドの異なる鎖長を有するポリビニルアセタールを含有することができる。
【0053】
特に、ポリビニルアセタールの製造に使用されるアルデヒドまたはケト化合物は、2~10個の炭素原子を含有する直鎖または分枝鎖(すなわち、「n」または「iso」型)であることができ、これにより、対応する直鎖または分枝鎖アセタール基が得られる。したがって、ポリビニルアセタールは、「ポリビニル(イソ)アセタール」または「ポリビニル(n)アセタール」と呼ばれる。
【0054】
本発明に従って使用されるポリビニルアセタールは、特に、少なくとも1つのポリビニルアルコールと、2~10個の炭素原子を含有する1種以上の脂肪族非分岐ケト化合物との反応から生じる。この目的のために、n-ブチルアルデヒドを使用するのが好ましい。
【0055】
膜AまたはB中のポリビニルアセタールを製造するのに使用されるポリビニルアルコールまたはエチレンビニルアルコールコポリマーは、同一または異なり、純粋であるかまたは異なる重合度もしくは加水分解度を有するポリビニルアルコールもしくはエチレンビニルアルコールコポリマーの混合物であることができる。
【0056】
膜AまたはB中のポリビニルアセタールのポリ酢酸ビニル含量は、適切な程度に鹸化されたポリビニルアルコールまたはエチレンビニルアルコールコポリマーを使用することにより設定することができる。ポリビニルアセタールの極性は、ポリ酢酸ビニル含量の影響を受け、それにより、各層の可塑剤相溶性および機械的強度も変化する。ポリビニルアルコールまたはエチレンビニルアルコールコポリマーのアセタール化を、数多くのアルデヒドまたはケト化合物の混合物を使用して行うことも可能である。
【0057】
膜AまたはBは、好ましくは、同一または異なるかのいずれかで、0.1~20モル%、好ましくは0.5~3モル%または5~8モル%のポリ酢酸ビニル基の割合を有するポリビニルアセタールを含有する。
【0058】
膜Aに使用されるポリビニルアセタールPAのポリビニルアルコール含量は、6~26重量%、8~24重量%、10~22重量%、12~21重量%、14~20重量%、16~19重量%、好ましくは16~21重量%または10~16重量%であることができる。
【0059】
膜Aとは独立して、膜Bに使用されるポリビニルアセタールPBのポリビニルアルコール含量は、14~26重量%、16~24重量%、17~23重量%、好ましくは18~21重量%であることができる。
【0060】
本発明の好ましい実施形態では、膜Aは、6~26重量%のビニルアルコール基の割合を有するポリビニルアセタールPAを含み、膜Bは、14~26重量%のビニルアルコール基の割合を有するポリビニルアセタールBを含む。
【0061】
膜AまたはBは、好ましくは、未架橋ポリビニルアセタールを含有する。架橋ポリビニルアセタールも使用可能である。ポリビニルアセタールを架橋するための方法は、例えば、欧州特許第1527107号明細書および国際公開第2004/063231号(カルボキシル基を含有するポリビニルアセタールの熱自己架橋)、欧州特許出願公開第1606325号明細書(ポリアルデヒドにより架橋されたポリビニルアセタール)ならびに国際公開第03/020776号(グリオキシル酸により架橋されたポリビニルアセタール)に記載されている。
【0062】
可塑剤
本発明に従って使用される膜Aおよび/またはBは、可塑剤として、下記群から選択される1種以上の化合物を含有することができる。
- 多価脂肪族または芳香族酸のエステル、例えば、アジピン酸ジアルキル、例えば、アジピン酸ジヘキシル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ヘキシルシクロヘキシル、アジピン酸ヘプチルとアジピン酸ノニルとの混合物、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ヘプチルノニルおよびアジピン酸と脂環式エステルアルコールまたはエーテル化合物を含有するエステルアルコールとのエステル、セバシン酸ジアルキル、例えば、セバシン酸ジブチルおよびセバシン酸と脂環式エステルアルコールまたはエーテル化合物を含有するエステルアルコールとのエステル、フタル酸のエステル、例えば、フタル酸ブチルベンジルまたはフタル酸ビス-2-ブトキシエチル。
- 多価脂肪族または芳香族アルコールまたはオリゴエーテルグリコールと1つ以上の非分岐鎖または分岐鎖で脂肪族または芳香族の置換基とのエステルまたはエーテル、例えば、グリセロール、ジグリコール、トリグリコールまたはテトラグリコールと直鎖または分枝鎖で脂肪族または脂環式のカルボン酸とのエステル(後者の基の例は、ジエチレングリコール-ビス-(2-エチルヘキサノエート)、トリエチレングリコール-ビス-(2-エチルヘキサノエート)、トリエチレングリコール-ビス-(2-エチルブタノエート)、テトラエチレングリコール-ビス-n-ヘプタノエート、トリエチレングリコール-ビス-n-ヘプタノエート、トリエチレングリコール-ビス-n-ヘキサノエート、テトラエチレングリコールジメチルエーテルおよび/またはジプロピレングリコールベンゾエートを含む)。
- 脂肪族または芳香族エステルアルコールとのリン酸塩、例えば、トリス(2-エチルヘキシル)ホスフェート(TOF)、トリエチルホスフェート、ジフェニル-2-エチルヘキシルホスフェートおよび/またはトリクレシルホスフェート。
- クエン酸、コハク酸および/またはフマル酸のエステル。
【0063】
定義によれば、可塑剤は、高沸点を有する有機液体である。このため、120℃超の沸点を有するさらなるタイプの有機液体も可塑剤として使用することができる。
【0064】
可塑剤WAが開始状態において膜A中に存在する変形例での膜Aおよびまた膜Bは、特に好ましくは、可塑剤として、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル(DINCH)またはトリエチレングリコール-ビス-2-エチルヘキサノエート(3G0または3G8)を含有する。
【0065】
膜Bは、異なる可塑剤含量を有する少なくとも2つのサブ膜B’およびB’’からなることができる。
【0066】
加えて、膜AおよびBは、さらなる添加剤、例えば、残留量の水、UV吸収剤、酸化防止剤、接着調節剤、蛍光増白剤もしくは蛍光添加剤、安定剤、着色剤、加工助剤、無機または有機ナノ粒子、発熱性ケイ酸および/または界面活性物質を含有することができる。
【0067】
特に、膜Bは、接着制御剤として、0.001~0.1重量%のカルボン酸のアルカリ金属塩および/またはアルカリ土類塩を含むことができる。膜Bは、マグネシウムイオンを少なくとも10ppm、好ましくは20ppm、最も好ましくは30ppmの量で含有するのが好ましい。
【0068】
積層法
また、本発明は、膜Aを板ガラス上に配置し、次いで少なくとも1つの膜Bにより覆い、次いで第2の板ガラスを適用する、記載されたガラス積層体の製造方法に関する。
【0069】
代替的には、膜Bを板ガラス上に配置し、次いで少なくとも1つの膜Aにより覆い、第2の板ガラスを適用することも可能である。
【0070】
さらに本発明は、合わせガラスの製造方法であって、少なくとも1つの膜Aおよび少なくとも1つの膜Bを含むスタックを提供し、このスタックを第1の板ガラス上に配置し、次いで第2の板ガラスを適用する方法に関する。
【0071】
本発明によれば、まず膜Aを板ガラス上に全領域にわたってまたは局所的に高温で溶融させ、次いでこれを膜Bで覆うことが可能である。代替的には、膜AおよびBを2枚の板ガラス間に共に配置し、高温で溶融させることができる。
【0072】
合わせガラスを製造するための積層工程を、好ましくは膜AおよびBを2枚の板ガラス間に配置し、このように製造された積層体を昇圧または減圧および高温下でプレスして、積層体を形成するように行う。
【0073】
積層体を積層するために、当業者が精通している方法を、前積層体の事前の製造を伴っておよび伴わずに使用することができる。
【0074】
いわゆる「オートクレーブ法」は、約10~15barの昇圧および100~150℃の温度で約2時間行われる。例えば、欧州特許第1235683号明細書による真空バッグまたは真空リング法は、約200mbarおよび130~145℃で機能する。
【0075】
真空ラミネータも使用することができる。これらは、加熱し、排気することができるチャンバからなり、その中で合わせガラスを、30~60分以内に積層することができる。0.01~300mbarの減圧および100~200℃、特に130~160℃の温度は、実際に有用であることが実証されている。
【0076】
最も単純な場合には、合わせガラス積層体を製造するために、膜AまたはBを板ガラス上に配置し、さらなる膜BまたはAを、同期してまたはその後に配置する。次いで、第2の板ガラスを適用し、ガラス膜積層体を製造する。次いで、過剰の空気を、当業者に公知の任意の前積層法により除去することができる。ここで、これらの層同士を、およびこれらの層をガラスに、予め最初に軽く接着しておく。
【0077】
次いで、ガラス膜積層体を、オートクレーブ法に供することができる。膜Aを、好ましくは第1の板ガラス上に配置し、より厚い膜Bにより覆い、その後、第2の板ガラスを適用する。この方法を、多くの考え得る、原則的には実用的な変形例で行うことができる。例えば、膜Aを、適切な幅のロールから容易に取り出し、一方、膜Bを、製造される合わせガラスのサイズに予め合わせて切断する。これは、特に、フロントガラスおよび他の自動車用ガラス部品の場合に有利である。この場合、より厚い膜Bを、合わせて切断する前に、さらに延伸するのも特に有利である。これにより、膜のより経済的な使用が可能となり、また膜Bが色合いを有する場合には、その曲率を上側板ガラス縁部に適合させることが可能となる。
【0078】
自動車分野では、特に、フロントガラスの製造のために、膜Aおよび/またはBには、膜の上部領域にインクリボンのような着色領域を設けることができる。この目的のために、膜Bの上部のいずれかを、適切に着色されたポリマー溶融物と共押出することができる。
【0079】
したがって、本発明によれば、膜Bは、色合いを有することができ、この色合いは、特に、先のプロセス工程において、上記された成形プロセスによりフロントガラスの幾何学的形状に予め適合されている。
【0080】
また、膜Bは、くさび型の厚みプロファイルを有することも可能である。本発明に係る合わせガラス積層体は、膜Aが平面-平行の厚みプロファイルを有していても、くさび型の厚みプロファイルを得て、HUDディスプレイ用の自動車フロントガラスに使用することができる。
【0081】
さらに、膜Bは、層中の可塑剤WBの量が少なくとも2重量%異なる、少なくとも2つの層を含むことができる。防音目的のために、膜Bは、3つの層を含み、そのコア層は、より高い可塑剤含量のためにより柔軟である。
【0082】
合わせガラス
オブスキュレーション領域に加えて、本発明に係る合わせガラスには、少なくとも1枚の板ガラスの縁部に、オブスキュレーション帯(6)を設けることができる。このような帯を、例えば、
図2、4、5または6に示す。
【0083】
オブスキュレーション帯(6)は、黒色フリットがオブスキュレーション領域の透明領域に強すぎる光学的欠陥を生じさせない限り、少なくとも部分的に、少なくとも1枚の板ガラスの少なくとも一方の表面上の黒色フリット被覆により提供することができる。
【0084】
別の実施形態では、オブスキュレーション帯は、
図5a/bに示されたように、少なくとも部分的に、膜Aにより提供される。この目的のために、膜Aには、オブスキュレーション領域と同様または同一の縁部に印刷/被覆を設ける必要があり、膜Aは、板ガラスおよび/または膜Bと実質的に同じサイズおよび形状を有する必要がある。
【0085】
図2、4、5および6に、別個の実体または重なり合う実体として、オブスキュレーション帯およびオブスキュレーション領域を有するこれらの実施形態を示す。
【0086】
最も単純な場合、膜Bは、インクリボンの有無にかかわらず、またくさび型の厚みプロファイルの有無にかかわらず、市販のPVB膜である。IR保護のためにナノ粒子が分散されている膜Bも、着色膜として使用することができる。当然、膜Bは、音響機能を有する膜であることもできる。その結果、さらに改善された防音性が、膜Aと組み合わせることにより得られる。当然、膜Bは、数多くの言及された機能を予め組み合わせることもできる。
【0087】
薄い膜Aは、一般的には、押出により、キャストフィルムラインを使用して、またはインフレートフィルムの形態で製造される。ここで、制御されたメルトフラクチャーによりまたは構造化チルロールおよび/もしくは構造化バックロールの使用により追加的にキャストフィルム法を使用して、表面粗さも生じさせることができる。代替的には、溶媒キャスト法を用いて膜Aを製造してから機能化して、記載された耐浸透性ガラス積層体において使用することができる。本発明に従って使用される膜は、好ましくは0~25μmの粗さRz、好ましくは1~20μmのRz、特に好ましくは3~15μmのRz、特に、4~12μmのRzを有する片面表面構造を有する。膜Aの板ガラスと接する面は、その厚みの20%以下の表面粗さRzを有するのが特に好ましい。
【0088】
積層体の使用
本発明に係る合わせガラスは、自動車、バス、トラック、船舶または飛行機用のフロントガラス、バックライトおよび側面ガラスに使用することができる。