(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-06
(45)【発行日】2023-10-17
(54)【発明の名称】乾式壁構造用の建築構成要素を接続するためのブラケットおよびアセンブリキットならびにそれによって構成された乾式壁
(51)【国際特許分類】
E04B 2/74 20060101AFI20231010BHJP
E04B 2/72 20060101ALI20231010BHJP
【FI】
E04B2/74 531N
E04B2/72 H
(21)【出願番号】P 2020545464
(86)(22)【出願日】2019-02-19
(86)【国際出願番号】 EP2019000047
(87)【国際公開番号】W WO2019197052
(87)【国際公開日】2019-10-17
【審査請求日】2021-12-01
(31)【優先権主張番号】102018002951.5
(32)【優先日】2018-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】519434400
【氏名又は名称】クナウフ ギプス コマンディトゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル フィーバーン
(72)【発明者】
【氏名】イェンス シャパー
【審査官】須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06792733(US,B2)
【文献】国際公開第2009/089200(WO,A2)
【文献】米国特許出願公開第2015/0152637(US,A1)
【文献】実開平06-035426(JP,U)
【文献】実開昭54-148014(JP,U)
【文献】欧州特許出願公開第01083267(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 2/74
E04B 2/72
E04B 2/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾式壁構造用の構成要素を接続するためのブラケットにおいて、
前記ブラケットが、複数回折り畳まれた側壁が直角に取り付けられたソールプレートを備え、前記側壁が、壁プロファイルの導入のために、前記ソールプレートの反対側にある前記側壁の端部から始まる2つのスロット、および前記壁プロファイルのスライド式固定のための少なくとも1つの細長孔を備え
、
折り畳まれた前記側壁は、前記ソールプレートから直交し、且つ、互いに且つ材料の境界にも平行な前記材料の異なる位置において前記材料の平面から出る、同一方向を中心に複数回折り畳まれている、ことを特徴とするブラケット。
【請求項2】
前記少なくとも1つの細長孔が前記2つのスロットの間にある、および/または前記少なくとも1つの細長孔が、少なくとも1つの固定手段を受け入れるために設けられている、および/または前記少なくとも1つの細長孔が、前記複数回折り畳まれた側壁の平坦面であって前記折り畳みの結果として生じる平坦面のうちの1つの中にある、ことを特徴とする請求項1に記載のブラケット。
【請求項3】
前記少なくとも1つの細長孔が、前記少なくとも1つの細長孔において、前記ブラケットの前記2つのスロットに導入された前記壁プロファイルのスライド経路の長さを、前記壁プロファイルのウェブを介して固定される少なくとも1つの固定手段によって前記少なくとも1つの細長孔の長さに制限する、ことを特徴とする請求項1から2のいずれか一項に記載のブラケット。
【請求項4】
前記ブラケットの前記側壁が溶接によって前記ソールプレートに取り付けられる、または前記ブラケットが一体に製造される、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のブラケット。
【請求項5】
前記複数回折り畳まれた側壁が2回折り畳まれ、および/または前記複数回折り畳まれた側壁が、前記ソールプレートのベースを越える幅および深さにおいて突出しないことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のブラケット。
【請求項6】
前記ブラケットの前記ソールプレートが、乾式壁のフレームワークにおいて、天井プロファイルに固定するために設けられる、ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のブラケット。
【請求項7】
前記乾式壁の前記フレームワークが、板張りされている、ことを特徴とする請求項6に記載のブラケット。
【請求項8】
前記板張りについて、厚板パネルが使用され、および/または少なくとも1つの厚板パネルが厚板に鋼板を備えており、および/または前記鋼板が0.1mmから2mmの厚さを有する、ことを特徴とする請求項7に記載のブラケット。
【請求項9】
前記ブラケットの前記ソールプレートが、天井プロファイルのウェブを介して天井に固定され、および/または前記ソールプレートの幅が、それが固定される前記壁プロファイルの2つのフランジ間の前記ウェブの幅を完全に満たすように設計され、および/または前記側壁の最も外側の折り畳まれた平坦面が、前記スロットに導入されることができ且つ前記導入された前記壁プロファイルの前記ウェブの幅を完全に埋めることができる前記壁プロファイルのフランジと平行に位置合わせされるように構成される、
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載のブラケット。
【請求項10】
前記ブラケットが2つ以上の細長孔を含む、ことを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載のブラケット。
【請求項11】
前記ソールプレートおよび/または前記ブラケットの側壁が鋼から製造され、および/または前記ソールプレートおよび/または前記ブラケットの側壁用の前記鋼が、0.4mmから6mmの厚さを有する、ことを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載のブラケット。
【請求項12】
前記ソールプレートが、固定手段を備えた少なくとも2つの切り欠きを備える、ことを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載のブラケット。
【請求項13】
前記ブラケットの側壁が、乾式壁のフレームワークにおいて、前記2つのスロットおよび前記少なくとも1つの細長孔によって、前記壁プロファイルにスライド式で固定するために設けられる、ことを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載のブラケット。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の少なくとも1つのブラケットを特徴とする、板張りされたフレームワークを備えた乾式壁用のアセンブリキット。
【請求項15】
前記少なくとも1つの細長孔が、前記少なくとも1つの細長孔において、前記ブラケットの前記2つのスロットに導入された前記壁プロファイルのスライド経路の長さを、前記壁プロファイルのウェブを介して固定される少なくとも1つの固定手段によって前記少なくとも1つの細長孔の長さに制限し、
少なくとも二重厚板が前記フレームワーク上に設けられており、第1および第2の厚板が、各場合において2つの部分からなり、それぞれの第1の部分が前記ブラケットの前記ソールプレートに固定された天井プロファイルに固定され、それぞれの第2の部分が前記ブラケットの前記側壁に固定された前記壁プロファイルに固定され、前記スライド経路の各位置における前記二重厚板を介した空気の通過が、前記ブラケットの前記側壁に固定された前記壁プロファイルの前記スライド経路内でブロックされるように、前記第1および第2の厚板の前記2つの部分の高さが異なり、前記スライド経路が前記少なくとも1つの細長孔によって画定される、ことを特徴とする請求項14に記載のアセンブリキット。
【請求項16】
前記ブラケットの前記ソールプレートに固定された前記天井プロファイル上に第3の厚板が設けられ、その厚板が前記少なくとも1つの細長孔の長さに加えて少なくとも前記ブラケットの高さを有し、外側から前記少なくとも1つの細長孔によって画定された前記スライド経路内の前記第2の厚板への空気の通過をブロックする、ことを特徴とする請求項15に記載のアセンブリキット。
【請求項17】
請求項14から16のいずれか一項に記載のアセンブリキットから構成され、および/または請求項1から13のいずれか一項に記載の少なくとも1つのブラケットを備える、ことを特徴とする乾式壁。
【請求項18】
乾式壁構造における、請求項1から13のいずれか一項に記載の少なくとも1つのブラケットの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾式壁構造用の建築構成要素を接続するためのブラケット、特に乾式壁のフレームワーク内でのスライド式固定、好ましくはスライド式天井側固定用のブラケット、好ましくは板張りされた、好ましくは多板張りされた枠組用の乾式壁用のブラケットに関する。さらにまた、本発明は、少なくとも1つのそのようなブラケットを有するアセンブリキットおよび乾式壁、ならびに乾式壁構造におけるそのようなブラケットの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆるスライド式天井接続としての接続要素は、特定の垂直方向の動きと壁プロファイルの上端と天井プロファイルとの間隔の変化が有効化されて許容されることができるような方法で天井プロファイルを壁プロファイルに接続するために、それらの助けを借りて、部屋の天井のたるみまたは曲がりが予想される場合に使用される。これの効果は、壁プロファイルと天井プロファイルとの間の接続が、少なくともある程度、荷重および/または火災の際に完全に分離されないことを意図しており、これは、壁プロファイルがもはやそれらの上端によって水平位置に固定されなくなるため、そうでなければ防止されるべき壁自体の不安定性につながる。天井プロファイルおよび/または壁プロファイルの変形は、特に重量負荷、クリープ変形に起因する大きな熱効果のある火災の場合、または例えば地震もしくは他の衝撃などの衝撃の場合、すなわち動的に発生する可能性がある。そのような場合、天井と壁の間の信頼性の高い、例えば耐歪み性のある接続は、人への危険または怪我を防止するためにおよび火災の場合に可能な限りよく且つ可能な限り長く火の伝播を防止するために、適所に維持するように意図される。
【0003】
乾式壁を形成するために、壁プロファイルは、通常、両面または片面に単層または二重層の厚板パネルによって板張りされる。しかしながら、さらなる厚板層が容易に可能である。後者は、例えば、構成要素として石膏を含むことができ、これはまた、特に防火にも適することができる。さらに、これらの厚板パネルはまた、例えば、高い機械的水平荷重の場合に、鋼板を備えることもできる。火災の場合に備えて、スライド式天井接続も提供されることができる。しかしながら、壁プロファイルの上部自由端と天井プロファイルとの間の距離がスライド式天井接続によって増加すると、壁プロファイルに固定されている厚板パネルの上部自由端の天井からの距離も増加する。したがって、空気透過性の隙間が生じる可能性があり、これは、所望の防火を破り、「弱点」としての延焼を促進および加速する。
【0004】
さらにまた、水平荷重に加えて、特に風荷重、衝撃荷重または防火構造の追加の機械的荷重による動的荷重の場合、および接続における対応する変形に関連する壁の固有の重量にも起因して、無視できない引張力が乾式壁構造によって発生する。従来技術には、特にそのような無視できない引張力に対する実行可能な解決策はなく、したがって、構造の安全レベルの低下、最悪の場合には破損につながる。
【0005】
スライド式天井接続のための従来技術において言及された接続要素は、米国特許第5,040,345号明細書に開示されている。前述の刊行物からの接続要素は、例えば、垂直にスライドする方法でC字形プロファイル(壁プロファイル)に接続される屋根要素などの水平構造の垂直(浮動)運動を可能にし、接続要素は、一般にU字形であり、相互に反対の切り欠きを含む前述のCプロファイルの内側断面に対応する周囲を有し、これは、内側に向けられたCプロファイルのリップを受け入れ、接続要素は、水平構造に固定される。これにより可能にされるスライドの結果として、案内される壁プロファイルの上部自由端は、したがって、天井から特定の距離に位置することができる。しかしながら、部屋の天井が上方に曲がる場合、または壁の対応する荷重、特に壁の水平荷重の場合、この構造では、C字形プロファイルが接続要素から完全に外れる可能性があり、その結果として、天井への壁の固定はもはや存在しない。これは、一方では短いスライド経路に起因し、他方ではスライド経路が画定された端部を有さず、プロファイルを超えて荷重状況において外れることができないという事実に起因する。ここでは、対応する荷重は、建築構造に限られた範囲でのみ伝達されることができる。
【0006】
さらにまた、従来技術では、例えばDIN 18183(2009)に記載されるように、例えば石膏バーおよび天井プロファイルにネジ止めされていない短縮壁プロファイルを使用することにより、壁プロファイルの特定のスライド経路(例えばCプロファイル)を達成することができる(最大20mm)。
【0007】
さらにまた、外部ブラケットを使用して壁をその位置に固定することができる。後者は、より大きな水平荷重を吸収するのに適しているが、無視できないアセンブリコストが必要であり、光学的に非常に目立つ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の根底にある課題は、高い機械的荷重、特に引張荷重とともに防火に関する荷重に対する改善された保護を達成するために、乾式壁構造の建築構成要素の可能な相対的な動きをより適切に考慮することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、この課題は、乾式壁構造用の建築構成要素を接続するためのブラケットにおいて、複数回折り畳まれた側壁が直角に取り付けられたソールプレートを備え、その側壁が、プロファイル、好ましくはCプロファイルの導入のために、ソールプレートの反対側にある側面から始まる2つのスロット、およびプロファイルのスライド式固定のための少なくとも1つの細長孔を備える、ことを特徴とするブラケットによって解決される。
【0010】
この用途の意味でのブラケットまたは角ブラケットは、他の2つの構成要素を直角に接続するために使用される構成要素として理解されるべきである。
【0011】
本特許出願の意味における「スライド式固定」は、プロファイル、好ましくはCプロファイルが、スライド経路、すなわち、細長孔の長さ内でのスライドが引張荷重下で可能であるような方法で、本発明にかかるブラケットの側壁の細長孔において、固定手段、好ましくはネジ、特に好ましくはナットと少なくとも1つのワッシャとを備えたネジによって固定されることができるように理解されるべきである。
【0012】
したがって、本発明の解決策により、好ましくは同時に拡大されたスライド経路(少なくとも20mm)を有する耐歪み性のあるスライド式壁接続が同時に得られ、驚くべき方法で、壁プロファイルがブラケットから完全に外れるために壁自体を不安定にさせることなく、画定された動きの遊び、すなわち、高荷重の場合に天井と厚板との間の少なくとも1つの細長孔の長さを可能にすることが確実に可能である。
【0013】
本発明の本質的な点は、プロファイル、好ましくはCプロファイルが、ブラケットに、より正確にはブラケットのスロットに、正確且つ形状に適合した方法で導入されることができるようにスロットが設計されるということである。Cプロファイルは、本発明にかかるブラケットのスロットへの有利な案内のために、対応する長手方向の溝(ガイド)を備えることができる。そのようなプロファイルは、特に好ましくは本発明にかかるブラケットのスロットと同じ距離に2つの長手方向の溝を有することが好ましい。したがって、スライド経路内の正確且つ形状に適合したガイダンスも達成されることができる。対応するガイダンスは、プロファイルの最も多様なプロファイルサイズおよびプレートの厚さに適応することができる。全体として、本発明にかかるブラケットの幾何学的形状は、壁軸およびそれと直交する双方において高い安定性を達成することができるように設計されることができる。
【0014】
本発明の他の本質的な点は、ブラケットの安定した実施形態によって、したがって、本発明にかかるブラケットの側壁へのCプロファイルのスライド式固定により、少なくとも1つの細長孔の直接の周囲によっても非常に大きな引張強度が生み出されるということである。
【0015】
細長孔の画定された安定した制限と、例えば鋼、好ましくは亜鉛めっき鋼からなるブラケットの安定した製造を通じて、本発明にかかる解決策は、機械的荷重、非常に特には引張荷重に関して乾式壁構造の安定性に特に有利な効果を有する。
【0016】
本発明のさらなる利点は、本発明にかかるブラケットのスロット内の壁プロファイルの安全で正確な形状に適合したガイダンスにある。したがって、高い機械的荷重が存在する場合であっても、スロット内の壁プロファイルの垂直方向のガイダンスが確保される。
【0017】
本発明にかかる本解決策は、様々な乾式壁システムに使用することができる。これの可能な例は、衝撃によって引き起こされる引張力を吸収するための防火壁(例えば、火災に曝された後に3,000Jの衝撃エネルギを負荷するため)、偏心の場合に固有の重量から引張荷重を吸収するためのシャフト壁、大きなスライド経路および/または高い水平荷重およびブラケット荷重を有する仕切り壁、金属スタッドを有する壁の場合における部分的な締め付け、および自立型のスライド式天井構造を備えることができる。
【0018】
本発明にかかるブラケットはまた、部屋の床に対する壁要素の床-側面接続のために有利に使用されることができる。部屋の天井が、例えば火災の際に垂れ下がった場合、これは、本発明にかかるブラケットによって天井プロファイルとして補われる。しかしながら、沈下した天井は、同時に上の部屋の沈下した床でもある可能性がある。したがって、上部の部屋の床領域にも隙間が生じる可能性があり、これは、本発明にかかるブラケットによって補うことができる。
【0019】
本発明およびその好ましい実施形態を以下に詳細に説明する。
【0020】
少なくとも1つの細長孔は、主に、ブラケットと金属フレームワークとの間の耐歪み性とともにスライド式接続を生み出すために使用される。
【0021】
本発明にかかるブラケットの側壁の少なくとも1つの細長孔は、有利には、側壁の内側の2つのスロットの間に位置することができる。さらに、少なくとも1つの細長孔は、少なくとも1つの固定手段、好ましくは少なくとも1つのネジ、特に好ましくは少なくとも1つのナットと少なくとも1つのワッシャとを有する少なくとも1つのネジを受け入れるために設けることができる。さらにまた、少なくとも1つの細長孔は、有利には、平坦面が折り畳みの結果として生じた多重に折り畳まれた側壁の平坦面の1つの中に位置することができる。さらにまた、ブラケットは、2つ以上の細長孔、特に好ましくは2つの細長孔を含むことが好ましい。
【0022】
本特許出願の意味における「固定手段」は、単にネジなどを意味することができるが、例えば、ナットまたはワッシャもまた、固定手段の一部とすることができる。例えばブラケットのソールプレートの場合のように、壁または天井に固定するために、例えばダボも含めることができる。ネジ、ナットおよび少なくとも1つのワッシャを含むセットはまた、例えば固定手段としても可能である。
【0023】
ブラケットの側壁は、有利には、溶接によってソールプレートに取り付けることができる。しかしながら、ブラケットを一体に製造することも可能である。
【0024】
ブラケットの側壁は、例えば、平坦材料、特に金属板を複数回折り畳むことによって製造することができる。
【0025】
本発明にかかるブラケットのソールプレートおよび側壁は、金属から、好ましくは鋼から、特に好ましくは(完全に)亜鉛めっき鋼から互いに独立して製造することができる。ブラケットのソールプレートの金属は、0.4mmから6mm、好ましくは1mmから6mm、特に好ましくは1.5mmから6mm、非常に特に好ましくは2mmから6mmの厚さを有することができる。ブラケットの側壁の金属は、0.4mmから6mm、好ましくは1mmから6mm、特に好ましくは1.5mmから6mm、非常に特に好ましくは2mmから6mmの厚さを有することができる。ソールプレートは、垂直荷重、曲げモーメントおよび水平荷重を建築構造に有利に伝達することができるように、安定して構成されることができる。
【0026】
さらにまた、ソールプレートは、有利には、固定手段、好ましくはダボおよび/またはネジを備えることができる切り欠き、例えば孔または開口部、特にボアを備えることができる。ソールプレートは、好ましくは、固定手段に適した少なくとも2つの切り欠き、好ましくはダボおよび/またはネジを備えることができる。しかしながら、ソールプレートはまた、例えば4つの切り欠きを備えることもできる。しかしながら、切り欠きは、特定の実施形態において固定手段を受け入れるためにより適しているものに応じて、例えば円形または細長く構成されることができる。切り欠きは、例えば、切り欠きを通って駆動される固定手段、好ましくはネジによって、それに接続されるプロファイルを有するブラケットと天井との非常に安定した接続を提供することができる。
【0027】
本発明にかかるブラケットの好ましい実施形態では、複数回折り畳まれた側壁が2回、好ましくは4回折り畳まれ、特に好ましくは半八角形が生成される。
【0028】
ここで提示される本発明に関して、「半八角形」は、このように折り畳まれた平坦材料、特に金属板の形状を意味し、平坦材料は、半八角形になるために、互いに且つ材料の境界にも平行な材料の異なる位置において材料の平面から出て同じ方向に4回折り畳まれ、材料の最も外側の平坦面は、互いに平行であり、好ましくはこのようにして生じる折り畳まれた材料の4つの内角は、合計で540°になる。折り畳みが行われる位置は、互いに等距離とすることができる。1つの可能なそのような形状は、半分に凸状の八角形に対応し、八角形は、2つの対向するコーナーではなく、2つの対向する側面において半分にされる。
【0029】
さらに、互いに平行に延びる構造の側壁の終端面が追加の安定性を提供するため、その半八角形の側壁の好ましい設計は有利である。
【0030】
さらにまた、好ましい実施形態における複数回折り畳まれた側壁は、ソールプレートのベース上に突出しない。複数回折り畳まれた側壁がソールプレートのベースを越えてその幅および深さにおいて突出しないことが特に好ましく、非常に特に好ましくは、折り畳みから生じる平坦面のうちの3つがソールプレートの3つの側面において前記ソールプレートと面一に終端する。ここで、ソールプレートにおいて面一に終端する側壁のうちの3つの平坦面は、側壁の内側で互いに接触しないことがさらにより好ましい。さらにまた、ブラケット、すなわち、ソールプレートおよび側壁の幅は、そのような配置が高いレベルの安定性を示すように、挿入されるべき対応するプロファイルが、互いに平行にある側壁の2つの平坦面に対してその脚によって当接するように構成される。
【0031】
本発明にかかるブラケットのさらに有利な実施形態では、側壁のあらゆる実施形態によってソールプレート上に少なくとも2つ、好ましくは4つの固定手段の固定用の十分な空間が存在することができる。
【0032】
さらに、スロットは、いずれの場合にも、複数回折り畳まれた側壁の平坦面の内側にあることができる。しかしながら、本発明の意味の範囲内で、特定の実施形態では、スロットが平坦面のうちの一方の縁部にあるか、または2つの平坦面間の縁部にあることも可能であり、有利であり得る。さらにまた、スロットおよび少なくとも1つの細長孔は、有利には、互いに平行で且つソールプレートに直交するそれらの長手方向の側面と位置合わせすることができる。本発明の意味の範囲内で、「スロット」はまた、ソールプレートの反対側にある本発明にかかるブラケットのそれぞれの平坦面の端部に向かって開口している細長孔としても理解することができる。スロットはまた、有利には、異なるサイズおよび形状のプロファイルがブラケットに導入されることができ且つ少なくとも1つの細長孔にスライド可能に固定されることもできるように構成されることもできる。
【0033】
本発明のさらに有利な実施形態は、ブラケットのソールプレートが、乾式壁のフレームワークにおいて、プロファイル、好ましくはUプロファイル、特に好ましくは天井側Uプロファイル、非常に特に好ましくはより長い脚を有する天井側Uプロファイルに固定するために設けられることができることを特徴とする。本発明の意味の範囲内で、より長い脚を有するUプロファイルが天井プロファイル(例えば、UWプロファイル)として使用されることが有利であり得る。このように、このUプロファイルに直交する対応するCプロファイルのスライド経路が前述のUプロファイルから外れることができるCプロファイルなしでさらに長くすることができるため、少なくとも1つの細長孔のそれぞれの長さと組み合わせて、より長いスライド経路を達成することができる。
【0034】
さらに、ブラケットの側壁は、2つのスロットおよび少なくとも1つの細長孔によって、乾式壁のフレームワークにおいて、プロファイル、好ましくはCプロファイルにスライド式に固定するために設けられることができる。乾式壁のフレームワークは、板張りにされることができ、好ましくは多板張りにされることができる。板張りのために、厚板パネル、好ましくは厚板材料として石膏を含む厚板パネル、特に好ましくは石膏ボード、石膏プラスターボードまたは石膏繊維ボードから選択される厚板パネルを使用することができる。さらにまた、少なくとも1つの厚板パネルは、厚板の鋼板を備えることができ、特に好ましくは、全ての厚板パネルは、それぞれの場合に鋼板を備えることができる。さらに、鋼板は、0.1mmから2mmの間の厚さ、好ましくは0.5mmの厚さを有することができる。金属板、好ましくは鋼板は、厚板パネル上に直接積層することもできる。ここでは、0.4mmの厚さが推奨されることができる。
【0035】
本発明の実施形態にかかるさらなる利点は、防火および機械的荷重に対する保護に関して最も重要な乾式壁構造の点で、すなわち、ブラケットの少なくとも1つの細長孔の高さにおいて、鋼板によって補強された好ましくは3枚の厚板パネルの層厚、2枚の金属プロファイルの厚さ、およびブラケットの1つの平坦面の厚さが壁の両側に設けられることができるということである。これは、前記の点で、したがって乾式壁構造全体にとって優れた安定性をもたらす。
【0036】
さらに好ましい実施形態では、少なくとも1つの細長孔は、ブラケットの2つのスロットに導入されることができるプロファイル、好ましくはCプロファイルのスライド経路を、少なくとも1つの固定手段によって前記少なくとも1つの細長孔の長さに制限することができ、これは、前記少なくとも1つの細長孔に、プロファイル、好ましくはCプロファイルのウェブを介して固定されることができる。したがって、特に引張荷重は、改善された方法で吸収されることができる。
【0037】
さらに、ブラケットのソールプレートは、プロファイルのウェブ、好ましくはUプロファイルのウェブを介して天井に固定されることができ、好ましくはネジ止めされることができることが好ましい。
【0038】
さらに好ましい実施形態では、ソールプレートの幅は、それが固定されることができるプロファイルの2つのフランジ間のウェブの幅を完全に満たすことができるように設計される。したがって、ソールプレートは、組み立て中に最適な方法で位置決めされることができる。
【0039】
さらにまた、側壁の最も外側の折り畳まれた平坦面は、それらが、スロットに導入されることができ、且つ導入されたプロファイル、好ましくはCプロファイルのウェブの幅を完全に埋めることができるプロファイル、好ましくはCプロファイルのフランジと平行に位置合わせされるように構成されることができることが好ましい。
【0040】
有利に考慮に入れることができる、本発明にかかるブラケットの実施形態のサイズ、サイズ比およびパラメータのいくつかを、単に例として以下に述べる。
【0041】
ブラケットの側壁は、8cmから30cm、好ましくは10cmから25cm、特に好ましくは12cmから20cmの高さを有することができる。
【0042】
ソールプレートの反対側にある側壁の端部から始まるスロットは、4cmから25cm、好ましくは6cmから20cm、特に好ましくは8cmから15cmの長さを有することができる。
【0043】
少なくとも1つの細長孔は、20mmから150mm、好ましくは30mmから100mm、特に好ましくは40mmから80mmの長さを有することができ、少なくとも1つの細長孔は、2mmから30mm、好ましくは4mmから25mm、特に好ましくは8mmから20mmのソールプレートの反対側にある側壁の端部からの距離を有することができる。
【0044】
ここで述べたブラケットの個々の特徴のサイズデータは、相互に関連していることが好ましい。さらに、例えば、側壁の高さとソールプレートの長さとの比が14:9であることも可能である。
【0045】
前述のサイズデータの比は、他の大きさに対しても有利であることがわかる。
【0046】
プロファイル(Uプロファイルおよび/またはCプロファイル)が金属プレートから構成されるように準備がなされることが好ましい。特に、金属板は、約0.6mmの厚さを有することができる。
【0047】
さらに、本発明にかかるブラケットは、前述のプロファイルと同様に、防火材料、好ましくは、火災の際に膨張する防火材料を備えることができ、この防火材料は、例えば、ペンキ、コーティングまたはパテとして塗布されることができる。
【0048】
独立した保護はまた、本発明にかかる少なくとも1つのブラケットによって特徴付けられる、板張りされたフレームワーク、好ましくは多板張りされたフレームワークを備えた乾式壁用のアセンブリキットについても請求される。
【0049】
対応するアセンブリキットは、例えば、UおよびCプロファイルと、本発明にかかる少なくとも1つ、好ましくは複数のブラケットと、様々な固定手段および厚板パネルを備えることができる。
【0050】
本発明にかかるブラケットが各壁プロファイルに設けられることを特徴とする、板張りされたフレームワーク、好ましくは多板張りされたフレームワークを備えた乾式壁用のアセンブリキットは、特に有利である。
【0051】
本発明にかかるアセンブリキットの他の展開は、本発明にかかる2つのブラケットが各壁プロファイル(例えば、Cプロファイル)に設けられ、ブラケットがプロファイルの上端に設けられ、ブラケットがプロファイルの下端に設けられるという事実からなる。
【0052】
本発明にかかるアセンブリキットの好ましい展開は、特に、フレームワーク上に少なくとも二重厚板が設けられ、第1および第2の厚板が、それぞれの場合に2つの部分からなり、それぞれの第1の部分が、ブラケットのソールプレートに固定されたプロファイルに固定され、それぞれの第2の部分が、ブラケットの側壁に固定されたプロファイルに固定され、スライド経路の各位置における二重厚板を介した空気の通過がブラケットの側壁に固定されたプロファイルのスライド経路内でブロックされるように第1および第2の厚板の2つの部分の高さが異なり、前記スライド経路が、少なくとも1つの細長孔によって画定される、ことを特徴としている。
【0053】
本発明にかかるブラケットによっては必ずしも必要ではないが、本発明にかかるアセンブリキットは、ブラケットのソールプレートに固定されたプロファイルに第3の厚板が設けられ、厚板が、少なくとも1つの細長孔の長さに加えて少なくともブラケットの高さを有し、外側から少なくとも1つの細長孔によって画定されたスライド経路内の第2の厚板への空気の通過をブロックするという点で、本発明の展開にしたがって特徴付けられることができる。
【0054】
独立した保護はまた、本発明にかかる少なくとも1つのブラケットを備えることを特徴とする本発明にかかる乾式壁についても請求される。
【0055】
独立した保護はまた、本発明にかかるアセンブリキットから構成され且つ本発明にかかる少なくとも1つのブラケットを備えることを特徴とする本発明にかかる乾式壁についても請求される。
【0056】
独立した保護はまた、本発明にかかる少なくとも1つのブラケットの使用についても請求される。
【0057】
さらなる発明の特徴が出現することができるが、基本的に単なる例示として見なされるべきであり且つ本発明の主題またはその保護範囲を限定することを意図しない例示的な実施形態が図面に示されている。参照符号は、全ての図について同じである。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【
図1】
図1は、1つの細長孔を有する本発明にかかるブラケットの斜視図を示している。
【
図2】
図2は、2つの細長孔を有する本発明にかかるブラケットの斜視図を示している。
【
図3】
図3は、導入されてスライド式に固定されたCプロファイルを有する、
図2にかかる2つの細長孔を有する本発明にかかるブラケットの斜視図を示している。
【
図4】
図4は、多板張り乾式壁の接続要素としての
図1にかかる本発明にかかるブラケットの断面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0059】
図1は、1つの細長孔を有する本発明にかかるブラケットの斜視図を示している。
【0060】
ブラケット(1)は、ソールプレート(2)と、それに固定された側壁(3)とを備える。側壁(3)は、4回折り畳まれ、2つのスロット(4)と、5つの平面のうちの真ん中の3つに細長孔(5)とを備え、中央の平坦面は、細長孔(5)を備える。ソールプレート(2)は、固定手段(7)を受け入れるために、ソールプレート(2)の自由領域上に4つの切り欠き(6)を備える。
【0061】
図2は、2つの細長孔を有する本発明にかかるブラケットの斜視図を示している。
【0062】
図2は、側壁(3)の中央の平坦面が
図1よりも大きく、2つの平行な細長孔(5)がそこに配置されている点でのみ、
図1とは異なる。
【0063】
図3は、導入されてスライド式に固定されたCプロファイル(8)を備えた
図2にかかる2つの細長孔(5)を有する本発明にかかるブラケット(1)の斜視図を示している。
【0064】
Cプロファイル(8)は、Cプロファイル(8)が、一方ではスロット(4)によって、他方では固定手段(7)によってブラケット(1)に安定して保持されるが、それにもかかわらず、例えば引張荷重下では、Uプロファイル(13、図示せず)から大きく外れることなく、スライド経路を正確且つ形状に適合した方法で利用することができるように、2つの細長孔(5)に好ましくはCプロファイル(8)のガイドまたは長手方向溝(9)を使用して且つ固定手段(7)、ここではナットおよびワッシャを有するネジを使用してスライド可能であるように固定される。
【0065】
図4は、三層板張りされた乾式壁の天井プロファイルとしての
図1にかかる本発明にかかるブラケットの断面図を示している。
【0066】
特に、
図4は、スライド経路内の天井(10)からのCプロファイル(8)の最大距離を有する、本発明にかかるブラケット(1)の断面図を示している。これに関して、
図4では、ブラケット(1)の細長孔(5)内のスライド経路を最大限に利用することにより、天井(10)と鋼板(12)によって補強された厚板パネル(11)との間の空気の通過のための隙間が制限された細長孔(5)のために開口しており、したがって、防火違反がないとともに、構造が本発明にかかるブラケット(1)の安定した実施形態によって引張荷重に対して固定されるように構成されることがわかる。
【0067】
完全を期すために、この時点で、
図1-
図4の表現は、上下逆にすると、断面における全てのイベントにおいて確かに可能であり且つ有利であり得るその足元における壁の部屋の床への接続のために対応して使用される場合であっても、本発明にかかるプロファイルがどのように見えて使用されることができるかという状況を示していることに言及する必要がある。
【0068】
平行、直交または半八角形などの幾何学的用語、および例えば内角のサイズの表示は、本特許出願の意味の範囲内で、本質的に平行、直交または半八角形として理解されるべきである。そのような材料の製造、処理および使用において許容できるような小さな偏差もこれらの用語に含まれる。