(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-06
(45)【発行日】2023-10-17
(54)【発明の名称】取付可能なハンドルを備える尿道カテーテルアセンブリ
(51)【国際特許分類】
A61M 1/00 20060101AFI20231010BHJP
A61M 25/00 20060101ALI20231010BHJP
【FI】
A61M1/00 160
A61M25/00
(21)【出願番号】P 2020548685
(86)(22)【出願日】2019-05-22
(86)【国際出願番号】 EP2019063243
(87)【国際公開番号】W WO2019224263
(87)【国際公開日】2019-11-28
【審査請求日】2022-03-25
(32)【優先日】2018-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】512167079
【氏名又は名称】デンツプライ・アイエイチ・アクチエボラーグ
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】アンデルシン,ペル
(72)【発明者】
【氏名】エリクソン,カルステン
(72)【発明者】
【氏名】フォレニウス,イサク
(72)【発明者】
【氏名】サンドバーグ,マイケル
【審査官】胡谷 佳津志
(56)【参考文献】
【文献】特表2006-522624(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0291011(US,A1)
【文献】特表2002-530148(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0018293(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0173300(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/00
A61M 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿入可能区画及び非挿入可能区画を有する尿道カテーテルと、
閉鎖端部及び開放端部が設けられた管状ケースと、
前記尿道カテーテルの前記非挿入可能区画の少なくとも一部の上に固定して配置されたスリーブであって、2つの反対側に配置された開口部と前記開口部の間に延在する本体部分とを含むスリーブと、を備え、
前記管状ケースは、保管位置で、前記尿道カテーテルの前記挿入可能区画を封入するように構成され並びに前記スリーブに及び/又は前記尿道カテーテルの前記非挿入可能区画に取外し可能に接続され、前記管状ケースは前記スリーブに関して第1配置にあり、
前記スリーブの前記本体部分に第1係合部材が設けられ、及び前記管状ケースに第2係合部材が設けられ、それにより前記管状ケースは、前記尿道カテーテルの前記非挿入可能部分から取り外されると第2配置で前記スリーブに解除可能に接続されることが可能になり、前記第2配置は前記第1配置とは異な
り、
前記第2係合部材は前記管状ケースの前記閉鎖端部に配置されている、
尿道カテーテルアセンブリ。
【請求項2】
前記カテーテルの前記非挿入可能区画はフレア状コネクタ部分を含み、前記フレア状コネクタ部分は少なくとも部分的に前記スリーブ内に収容される、請求項1に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項3】
前記フレア状コネクタ部分は前記スリーブの長さを超える長さを有する、請求項2に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項4】
前記フレア状コネクタは前記2つの反対側に配置された開口部のうちの少なくとも一方を通って前記スリーブから延出する、請求項2又は3に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項5】
前記第1係合部材は、前記反対側に配置された開口部の両方から間隔をあけて前記スリーブの前記本体部分に配置されている、請求項1~4のいずれか1項に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項6】
前記第1係合部材は、前記スリーブの前記本体部分の開口部又は凹部と前記スリーブの前記本体部分から延出する突起とのうちの少なくとも一方である、請求項1~5のいずれか1項に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項7】
前記第1係合部材及び前記第2係合部材は、ねじ山、摩擦嵌合、バヨネットマウント、ルアー接続、スナップ-ロック及びスナップ-フィット構成のうちの1つによって接続可能である、請求項1~6のいずれか1項に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項8】
前記管状ケースは、前記第2配置で前記スリーブに接続されると、前記スリーブの長手方向から、好ましくは60~120度、最も好ましくは75~105度の範囲の角度で延在する、請求項1~7のいずれか1項に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項9】
前記尿道カテーテルの前記非挿入可能区画において放出開口部を閉鎖する開放可能キャップをさらに備え、前記キャップは、好ましくは、ヒンジを介して前記スリーブに及び/又は前記カテーテルの前記非挿入可能区画に接続されている、請求項1~8のいずれか1項に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項10】
前記管状ケースは傾斜した又は湾曲した表面を備え、前記スリーブは、前記保管位置にあるときに前記管状ケースの前記傾斜した又は湾曲した表面と嵌合する、対応して傾斜した又は湾曲した表面を備える、請求項1~
9のいずれか1項に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項11】
前記カテーテルの前記挿入可能区画は親水性表面を備え、前記カテーテルアセンブリは前記親水性表面の湿潤のための湿潤流体をさらに含む、請求項1~
10のいずれか1項に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項12】
前記管状ケースは前記非挿入可能区画とともに、前記第1配置にある前記カテーテルの前記挿入可能区画に対する滅菌且つ防湿コンパートメントを提供する、請求項1~
11のいずれか1項に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項13】
尿道カテーテルアセンブリを製造する方法であって、
挿入可能区画及び非挿入可能区画を有する尿道カテーテルを提供することと、
前記非挿入可能区画の上にスリーブを固定して配置することと、
閉鎖端部及び開放端部が設けられた管状ケース内に少なくとも前記挿入可能区画を配置することと、を含み、
前記管状ケースは、保管位置では、前記スリーブに及び/又は前記尿道カテーテルの前記非挿入可能区画に取外し可能に接続され、前記管状ケースは前記スリーブに関して第1配置にあり、前記スリーブに第1係合部材が設けられ、前記管状ケースに第2係合部材が設けられ、それにより、前記管状ケースは、前記尿道カテーテルの前記非挿入可能部分から取り外されると第2配置で前記スリーブに解除可能に接続されることが可能になり、前記第2配置が前記第1配置とは異な
り、前記第2係合部材は前記管状ケースの前記閉鎖端部に配置されている、方法。
【請求項14】
請求項1~
12のいずれか1項に記載の尿道カテーテルアセンブリを使用のために準備する方法であって、
前記管状ケース内の前記保管位置から前記挿入可能区画を取り出すステップと、
前記アセンブリを前記第1配置から前記第2配置にするステップと、
前記スリーブの前記第1係合部材を前記管状ケースの前記第2係合部材と解除可能に接続するステップと、
前記第2配置にあるときに前記カテーテルの操作のためのハンドルとして前記管状ケースを使用するステップと、を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、尿道カテーテルアセンブリに関する。本発明は、特に、親水性カテーテルに関し、具体的には、親水性尿道カテーテルに関する。本発明はまた、こうしたアセンブリを製造し使用する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、尿道カテーテルアセンブリに関する。尿道カテーテルは、一般に、膀胱から尿を排出するために使用される。尿道カテーテルは、数日若しくはさらには数週間等、長期使用のために、又は、カテーテルが、通常は数分間続く1回の排出処置に使用される、間欠使用のために、留置型であり得る。間欠尿道カテーテルは、たとえば、1日に数回行われる、日常生活での処置である自己導尿のために、大勢の人々によって使用される。通常、間欠導尿用のカテーテルは、たとえば、脊髄損傷、多発性硬化症又は前立腺肥大症に起因する尿閉に苦しむ患者によって使用される。間欠カテーテルを使用して、本来の又は人工の尿管を通して膀胱から排尿することができる。間欠導尿用のカテーテル等、多くのカテーテルには、尿管における安全且つ快適な挿入のために、湿潤したときに平滑且つ滑りやすい表面を提供する、親水性コーティング等が施される。
【0003】
尿失禁に苦しむ人は、通常、1日に数回、自己導尿を行う。自己導尿は、カテーテルアセンブリをそのパッケージから取り出し、使用者の尿道を通してカテーテルチューブを挿入して前進させることを含む。しかしながら、既知のカテーテルアセンブリの準備及び操作は、複雑であり、うんざりすることが多い。さらに、多くの場合、間欠尿道カテーテルの使用者は、たとえば、脊髄損傷の結果として、巧緻性が制限されているか又は低下している。また、間欠カテーテルの使用者は、公衆トイレ等、自宅のプライバシーの外で自己導尿を行う必要があることが多い。したがって、これらの理由及び他の理由で、間欠カテーテルは、開封及び操作が容易である個別包装で提供され、小型且つ携帯可能であり、カテーテルは、不注意の尿の漏れ又はこぼれに関する問題を緩和するとともに、使用者に対する苦痛又は不快感をなくす方法で、展開し使用することができることが望ましい。
【0004】
これを得ようとする多くの試みが過去になされてきた。たとえば、国際公開第03/092779号は、パッケージがカテーテルのフレア状コネクタに接続され、それにより小型パッケージを提供する尿道カテーテルアセンブリを提案しており、そこでは、コネクタは少なくとも部分的に環境に露出され、パッケージの一部を形成する。同様の解決法は、国際公開第2014/142917号及び国際公開第2015/184365号に開示されている。別の例が国際公開第2016/044379号に開示されており、そこでは、パッケージはカテーテルのコネクタの後端部に接続されて、ハンドルとして機能することができる。しかしながら、これらの既知のアセンブリのすべては使用及び使用の準備が比較的困難であるとともに、製造が比較的複雑であり且つコストがかかる。
【0005】
したがって、改善された尿道カテーテルアセンブリが依然として必要とされている。このアセンブリは、好ましくは、製造が比較的簡単であり費用効率が高くなければならない。さらに、このアセンブリは、巧緻性が低下した使用者であっても開封及び使用が容易且つ直観的であるべきである。このアセンブリはまた、好ましくは、使用者が自身の日常生活において容易に持ち歩くことができるように小さ目であるべきである。
【発明の概要】
【0006】
したがって、本発明の目的は、少なくとも上述した問題を緩和する尿道カテーテルアセンブリを提供することである。
【0007】
この目的は、添付の特許請求の範囲による尿道カテーテルアセンブリ及び方法によって得られる。
【0008】
本発明の第1態様によれば、
挿入可能区画及び非挿入可能区画を有する尿道カテーテルと、
閉鎖端部及び開放端部が設けられた管状ケースと、
尿道カテーテルの非挿入可能区画の少なくとも一部の上に固定して配置されたスリーブであって、2つの反対側に配置された開口部と前記開口部の間に延在する本体部分とを含むスリーブと、
を備え、
管状ケースが、保管位置で、尿道カテーテルの挿入可能区画を封入するように構成され並びにスリーブに及び/又は尿道カテーテルの非挿入可能区画に取外し可能に接続され、管状ケースはスリーブに関して第1配置にあり、
スリーブの本体部分に第1係合部材が設けられ、及び管状ケースに第2係合部材が設けられ、それにより管状ケースは、尿道カテーテルの非挿入可能部分から取り外されると第2配置でスリーブに解除可能に接続されることが可能になり、第2配置は第1配置とは異なる、尿道カテーテルアセンブリが提供される。
【0009】
本発明によれば、管状ケースは2つの目的にかなう。管状ケースは、使用の前、保管中にカテーテルの少なくとも挿入可能区画を清潔且つ滅菌状態で維持する、パッケージとして機能する。カテーテルが親水性カテーテルである場合、ケースはまた、親水性カテーテルの活性化のための、好ましくは保管中にカテーテルを連続的に湿潤し活性化された状態で維持するための湿潤流体も収容することができる。特に、湿潤流体は、保管中、カテーテルと直接接触して配置することができる。パッケージはまた、再封可能とすることができ、使用後にカテーテルがパッケージ内に再挿入されるように、好ましくは、カテーテルが再挿入されると閉鎖可能であるようにすることができる。しかしながら、管状ケースはまた、第2配置にあるとき、使用中にカテーテルの好都合且つ有効な把持及び操作を可能にする、ハンドルとしても機能し、それは、巧緻性が低下した又は不十分な使用者の場合に特に重要である。これにより、比較的広い把持領域が提供され、それにより、使用者は、カテーテルを操作するために多種多様のさまざまな位置及び技法を使用することができる。使用者は、たとえば、特に巧緻性が不十分な使用者に対して非常に有用な位置である、手のひら把持で、手全体でケースによって提供されるハンドルを把持することができる。しかしながら、ハンドルはまた、たとえば、従来の鉛筆把持、ドラムスティック把持、絵筆把持、親指交差把持等で、2本又は3本の指等の指のみを使用することによって把持することも可能である。したがって、ハンドルは非常に汎用性が高く、任意の好適な位置で把持することができる。
【0010】
さらに、管状ケースは比較的長い。ケースは、好ましくは長尺形状を有し、好ましくは、少なくともカテーテルシャフトの挿入可能部分の長さを超える長さを有する。カテーテルアセンブリは、女性用であり得る。女性の尿道は、通常、約5cm長であり、したがって、カテーテルシャフトの挿入可能部分の長さは、好ましくは4~10cm長である。したがって、管状ケースは、好ましくは、5~15cmの範囲、好ましくは8~12cmの範囲の長さを有する。管状ケースの長さが比較的長いため、使用者は、カテーテルに近接してハンドルを把持するか、又はカテーテルから幾分か離れて把持するかを選択することができる。これは、使用者が極端に下方に手を伸ばすことが困難である可能性があるため、特に有利である。さらに、多くの使用者が、たとえば、便器の縁より下方に手を伸ばす必要なしに、上方からカテーテルを操作することを好む。
【0011】
この機能は、管状ケースが第2配置にあるとき、カテーテルから横方向に延在するように、カテーテルの長手方向に関して角変位した位置を呈するときに、さらに強化される。
【0012】
さらに、拡張ハンドルが必要ではない使用者及び状況の場合、カテーテルは、依然として管状ケースをスリーブに取り付けることなく使用することができる。これにより、新たなカテーテルアセンブリは、さらにより汎用性が高くなる。
【0013】
さらに、アセンブリの開封、カテーテルの引抜き、ハンドルとしての役割を果たすための管状ケースのスリーブへの接続、及び、アセンブリを再封するための使用後のカテーテルの管状ケース内への再挿入は、直観的に容易に理解可能であり、未経験の使用者に対してもアセンブリの開封及び使用を容易にする。
【0014】
したがって、カテーテルアセンブリは、管状ケースが第1配置にあるとき、小型且つ整然とした保管位置を提供する。この位置では、カテーテルアセンブリは注目されることなく、個別に、たとえば、ハンドバッグ、ポケット等に入れて容易に持ち歩くことができる。さらに、係合面によりカテーテルアセンブリを使用位置に容易に変形させることができ、使用位置では、上記に考察したように、好都合な使用のために、管状ケースはたとえばハンドルとして横方向に伸張するように第2配置でスリーブに接続される。使用後、カテーテルアセンブリを直接廃棄することができる。しかしながら別法として、カテーテルアセンブリを閉鎖保管位置に戻すことができ、それにより、使用者が、使用済みカテーテルアセンブリを、未開封アセンブリと同じ個別の態様で、こぼれ等のリスクなしに、後に廃棄するために持ち運ぶことができる。
【0015】
尿道カテーテルアセンブリは好ましくは長尺状であり、好ましくは本質的に円形断面形状を有する。しかしながら、矩形又は楕円形断面形状等の他の形状も実施可能である。尿道カテーテルアセンブリの全体的な外観は、たとえば、ペンの全体的な外観と同様であり得る。
【0016】
第2配置では、管状ケースは、好ましくは、カテーテル及び/又はスリーブの長手方向に関して角度位置で延在する。好ましくは、この角度位置は、30度を超え、最大120度の範囲にある。好ましくは、角度範囲は、60~120度、より好ましくは75~105度、さらにより好ましくは80~100度である。一実施形態では、角度位置は約90度である。
【0017】
第1係合部材及び第2係合部材が2つ以上の方法での係合が可能であり、たとえば、管状ケースをスリーブに関して2つ以上の異なる角度位置で係合させることができるようなものであることも実施可能である。スリーブに2つ以上の第1係合部材を設け、各々が、スリーブに接続されたときの管状ケースの異なる角度向きを提供するようにすることも可能である。
【0018】
カテーテルアセンブリはまた、比較的少数の容易に製造可能な部品を備えるため、製造の費用効果が高い。たとえば、管状ケース及びスリーブは、押出、射出成形等で製造することができる。さらに、カテーテルは、たとえば、比較的直線状の内腔を有する等、従来のカテーテルと同じか又は同様であり得る。これにより、カテーテルを従来の方法で製造し、その後、アセンブリに取り付けるか又は含めることができる。たとえば、カテーテルの比較的直線状に現れる内腔、及び、出口領域における又はその近傍の、すなわち遠位端に近接するいかなる障害物もないことにより、製造中の後端部からカテーテル内への容易且つ好都合なアクセスが可能になる。これは、たとえば、カテーテル表面にコーティングを施すとき、排液開口部の穴をあけるとき、チップを熱成形するとき等に、非常に有利である。
【0019】
スリーブは、カテーテルの非挿入可能区画に固定して接続されるが、このことは、スリーブがカテーテルアセンブリの通常の意図された操作によって非挿入可能区画から取外し可能ではないことを意味する。固定接続は、たとえば摩擦嵌合によって形成することができるが、超音波溶接、接着剤等によっても形成することができる。固定接続はまた、すでにスリーブ及び非挿入可能区画の製造中に、たとえば2成分(2K)射出成形によって得ることも可能である。
【0020】
要約すると、尿道カテーテルアセンブリは、より費用効率の高い製造及び組立、開封するための直観性、開封の容易さ、ケースからの取り出しの容易さを含む、カテーテルを使用のために準備する容易さ、導尿中のカテーテルを操作する容易さ、使用後のケースを閉鎖する容易さ、小型化の促進及びサイズの縮小、選択の自由度の向上、可搬性の向上、清潔さの向上、こぼれのリスクの低減、衛生の向上等、以前から既知であるカテーテルアセンブリと比較して多くの利点を提供する。
【0021】
本出願において、「近位」という用語は、使用者の体内に挿入されるカテーテルの端部又は部分、すなわち、使用中に使用者の身体に近い方の、及び/又は挿入時に使用者の体内に最初に入る、カテーテルチューブの端部又は部分を示すために使用される。「遠位」という用語は、近位端部又は部分とは反対側であり、典型的には使用者の身体から遠い方の、カテーテルチューブの端部又は部分を指すために使用される。一貫性のために、「遠位」及び「近位」という用語は、使用者の体内に導入されるように意図されていない、スリーブ及び管状ケース等、他の構成要素に関して使用する場合。こうした他の構成要素の場合、「近位」は、カテーテルチューブがアセンブリ内に収容されたとき、カテーテルチューブの近位端部に近い方の端部又は部分を指し、「遠位」は、こうした近位端部又は部分とは反対に位置する端部又は部分を指す。
【0022】
管状ケースは、第1配置では、スリーブ若しくはカテーテルのいずれか又は両方に取外し可能に取り付けられて、保管中にカテーテルの少なくとも挿入可能区画に対してケース内の密封容器を提供し、それにより、カテーテルの挿入可能区画を清潔且つ滅菌状態で維持する。カテーテル及びスリーブは、使用時にケースから取り外されるが、好ましくは使用後にケースに再取付可能であり、それにより再度、密封コンパートメントを提供する。
【0023】
たとえば、カテーテルの非挿入可能区画に、管状ケースの開放端部内に挿入可能であり、管状ケースの内壁と係合して密封閉鎖を形成する、たとえばフレア状コネクタの一部を形成する、拡大部分を設けることができる。
【0024】
管状ケースは、非挿入可能区画とともに、第1配置においてカテーテルの挿入可能区画のための滅菌された防湿コンパートメントを提供することができる。
【0025】
管状ケースとカテーテル及び/又はスリーブとの間に、カテーテルの周囲に配置される等、たとえば、Oリングの形態である、ガスケット等のシール部材を設けることができる。
【0026】
カテーテルの非挿入可能区画は、フレア状コネクタ部分を含むことができ、このフレア状コネクタ部分は、少なくとも部分的にスリーブ内に収容される。
【0027】
一実施形態では、フレア状コネクタ部分はスリーブの長さを超える長さを有する。特に、フレア状コネクタは、2つの反対側に配置された開口部のうちの少なくとも一方を通ってスリーブから延出することができる。
【0028】
第1係合部材は、好ましくは、前記反対側に配置された開口部の両方から間隔をあけてスリーブの本体部分に配置されている。第1係合部材は、スリーブ本体の中心に配置することができるが、さらに又は別法として、開口部のうちの一方又は両方に近接して配置することができる。
【0029】
第2係合部材は、好ましくは、管状ケースの閉鎖端部に配置される。しかしながら、さらに又は別法として、第2係合部材は、管状ケースの開放端部に配置することができる。
【0030】
第1係合部材は、好ましくは、スリーブの本体部分の開口部又は凹部とスリーブの本体部分から延出する突起とのうちの少なくとも一方である。第2係合部材は、好ましくは、第1係合部材の形態及び形状と相補的である形態及び形状を有し、それにより、第1係合部材及び第2係合部材は互いに嵌合し接続することができる。したがって、第1係合部材及び第2係合部材のうちの一方は、開口部又は凹部の形態とすることができ、他方は、凹部又は開口部内に挿入されるように形成され且つ寸法が決められた、突起等の形状とすることができる。また、プラグ-ソケット型の接続で、2つ又は3つの対応する開口部内に受け入れられるように構成された2つ又は3つの突起等、2つ以上の凹部/開口部及び2つ以上の突起を設けることができる。スリーブ及び管状ケースの各々に配置された1つ又は複数の突起と、それらの両方の対応する1つ又は複数の開口部/凹部とを有することも実施可能である。
【0031】
しかしながら、スリーブ及び管状ケースのうちの一方に設けられた、好ましくはタブを形成するアンダーカット部を有する、ラッチと、スリーブ及び管状ケースのうちの他方に配置された対応するスロットとであって、ラッチ及びスロットが互いに係合可能である形態、スリーブ及び管状ケースのうちの一方に設けられた戻り止めと、スリーブ及び管状ケースのうちの他方に配置された対応する間隙とであって、戻り止め及び間隙が互いに係合可能である形態等、他のタイプの係合部材も実施可能である。
【0032】
第1係合部材及び第2係合部材は、ねじ山、摩擦嵌合、バヨネットマウント、ルアー接続、スナップ-ロック及びスナップ-フィット構成のうちの1つによって接続可能であり得る。
【0033】
第1係合部材及び第2係合部材の係合面は、突起、短い突出部(stub)等の外面等、第1係合部材及び第2係合部材の外面に、開口部又は凹部の内面等、第1係合部材及び第2係合部材の内面に、若しくは、中空突起等の内面に、又は内面及び外面両方に設けることができる。
【0034】
第1係合部材及び第2係合部材は、管状ケースをスリーブと、それらの部品が不注意でばらばらにならないように、取り付けるように構成されている。言い換えれば、第1係合部材及び第2係合部材は、係合すると、ある程度まで分離に抵抗し、それにより、故意に引き離されるまで部品を合わせて維持する。
【0035】
第1係合部材及び第2係合部材は、好ましくは、互いに形状及び/又はサイズが相補的であり、それにより、それらの部材間の係合を可能にする。たとえば、部材のうちの一方はわずかに凸状とし、他方はわずかに凹状とすることができ、又は、それらの表面はともに、わずかに円錐形又はテーパ状であり得る。
【0036】
一実施形態では、第2係合部材は、ケースの閉鎖端部に又はその近傍に配置されたテーパ状の概して円錐形の表面を備える。
【0037】
第1係合部材及び第2係合部材のうちの一方は、さらに好ましくは、第1係合部材及び第2係合部材のうちの他方内に挿入することができるような形状及びサイズであり、それにより、係合面が、挿入可能なオス部品の外向きに面する面として、且つ、受け入れるメス部品の内向きに面する面として形成される。
【0038】
第1係合部材及び第2係合部材は、摩擦嵌合接続を形成することができる。好ましい実施形態では、第1係合部材及び第2係合部材は、対応する形状を有し、摩擦嵌合によって取り付けられるように構成された、テーパ状の概して円錐形の表面を備えることができる。別法として、それら部材は、ねじ切り、スナップロック構成による等、機械的係合によって互いに接続されるように構成することができる。
【0039】
管状ケースによって形成され且つ尿管カテーテルの挿入可能区画を収容するコンパートメントは、好ましくは、閉鎖された、密封コンパートメントである。このために、コンパートメント内に配置された、開放した入口開口部がある場合、カテーテル内腔のための何らかのタイプの閉鎖を提供することが必要である場合がある。こうした閉鎖は、さまざまな方法で得ることができる。1つの選択肢として、入口開口部は、たとえば、管状ケースの幅狭部分に、これらの入口開口部を含むカテーテルのチップを配置することによって閉鎖することができ、それにより、入口開口部の上に破断可能な又は分解性の膜等を配置する等により、コンパートメントの残りの部分から入口開口部を閉鎖することができる。こうした破断可能又は分解性の膜は、さらに又は別法として、内腔の長さに沿った、又は出口端部に若しくはその近傍の任意の場所に配置することができる。分解性の膜が使用される場合、それは、尿等と接触するとすぐに分解するように構成することができる。
【0040】
しかしながら、好ましい実施形態では、カテーテルアセンブリは、尿道カテーテルの非挿入可能区画において放出開口部を閉鎖する開放可能キャップを備えることができる。キャップは、たとえば、摩擦嵌合、ねじ式接続等によってカテーテルに接続することができる。1つの例示的な実施形態では、キャップに、キャップの下側に形成され、且つ、非挿入可能区画の放出開口部の開口部内に嵌まるようなサイズのボスが設けられる。
【0041】
キャップはさらに、ヒンジを介してスリーブに及び/又はカテーテルの非挿入可能区画に接続することができる。これにより、キャップは開放されているときもカテーテルアセンブリと接触したままであり、それにより操作が容易になり、キャップを別個に操作して廃棄する必要がなくなる。また、これによってキャップを閉鎖状態に戻すこともできるため、使用後、カテーテルアセンブリの再封も容易になる。
【0042】
ヒンジは、好ましくは、開放されたときのキャップを外向きに旋回した位置で維持する力を提供し、それにより、通常操作のためにキャップを邪魔にならないように維持するとともに、放出開口部を常に自由な及び開放された状態で維持する。これは、たとえば、いわゆる双安定リビングヒンジを使用することによって達成することができる。
【0043】
管状ケースは、傾斜した又は湾曲した表面をさらに備えることができ、スリーブは、保管位置にあるときに管状ケースの傾斜した又は湾曲した表面と嵌合する、対応して傾斜した又は湾曲した表面を備えることができる。管状ケースの傾斜した又は湾曲した表面は、たとえば、開放端部の縁に、又は、開放端部の近傍における外向きに若しくは内向きに突出するフランジ等として、配置することができる。これら傾斜した又は湾曲した表面により、スリーブ及び管状ケースが互いに関して回転するときに、スリーブ及び管状ケースを互いから分離する軸方向力を与えることにより、保管位置にあるときに管状ケースからのカテーテルの取外しを容易にすることができる。
【0044】
カテーテルは、好ましくは、近位挿入端部に又はその近傍に配置された、1つ又はいくつかの排液開口部、いわゆるアイを備える。カテーテルの少なくとも挿入可能区画に親水性コーティングを施すことができ、又は他の方法で、湿潤すると摩擦を低下させる親水性表面を設けることができる。さらに、遠位区画は、少なくともその一部に、カテーテルシャフトより大きい断面寸法を有することができる。遠位区画は、たとえば、遠位端に向かって寸法が増大する、フレア状又はじょうご形状とすることができ、それにより、チューブ、収集バッグ等の接続が容易になる。
【0045】
カテーテルは、その少なくとも挿入可能区画において親水性表面を有する、親水性カテーテルであり得る。親水性表面は、当該技術分野において本質的に周知であるように、カテーテルの基材に配置された親水性コーティングとして構成することができる。しかしながら、親水性表面は、別法として、一体化された層等、カテーテルの一体化部分として構成することができ、又は別法として、カテーテル全体又はカテーテルの一部を親水性材料から作製することができる。親水性表面は、好ましくは、湿潤すると低摩擦を提供するように構成される。親水性表面は、たとえば、欧州特許第0093093号及び同0217771号に従って作製される、親水性コーティングが施された表面であり得る。
【0046】
カテーテルアセンブリは、親水性表面の湿潤及び活性化のための、湿潤液等の湿潤流体をさらに備えることができる。湿潤流体は、使用の直前等、好適な時点でカテーテルシャフトを収容しているコンパートメント内に放出されるように、アセンブリ内の別個のコンパートメント内に配置することができる。しかしながら、湿潤流体はまた、カテーテルの挿入可能区画と同じコンパートメント内に、好ましくは挿入可能区画と直接接触して設けることも可能であり、それにより、カテーテルが、保管中も湿潤し活性化された状態で維持される。この湿潤状態は、パッケージの閉鎖及び密封に続いてすぐに存在することができ、又は、保管の幾分かの時間の後に得ることができる。したがって、活性化状態は、パッケージ内のカテーテルの配置の前に、カテーテルの事前湿潤によって提供することができるが、別法として、パッケージ内のカテーテルの配置の後に提供することができる。具体的には、親水性表面の湿潤は、当該技術分野において本質的に既知であるように、たとえば、液体不透過性であり且つ蒸気透過性であるチャンバ又は小袋等、水和要素内に配置されること等による、パッケージ内の高湿度環境の提供により、密封容器内の保管の期間中に発生することができる。
【0047】
それにより、親水性表面は保管中に湿潤状態で維持されるため、医療デバイスは、パッケージから取り出されるとすぐに使用の用意ができており、使用の前にいかなるようにも湿潤及び処置を行う必要はない。
【0048】
管状ケースと、ケースによって形成されたコンパートメントとは、好ましくは、湿潤流体に対して不透過性であり、好ましくは、ガス不透過性材料から作製される。これにより、保管中に水分がパッケージから染み出ることがないことが確実になり、製品の貯蔵寿命が延長される。
【0049】
カテーテルが管状ケースから引き抜かれたときに管状ケースに残っている余分な湿潤流体は、開口端部を通してシンク、便器等に排出することができる。しかしながら、湿潤流体はまた、導尿プロセス全体の間に管状ケース内に残ることも可能である。特に、第2係合部材が管状ケースの閉鎖端部に位置する場合、管状ケースは、ケースからカテーテルを引き抜く間及び導尿用のハンドルとしてケースを使用する間の両方、並びに使用後にカテーテルがケース内に再挿入されるとき、常に、直立の垂直位置で容易に維持することができる。したがって、こうした実施形態では、パッケージ内に保管されているいかなる湿潤液等もこぼれないこと、又は少なくとも、こぼれるリスクが著しく低下することを、容易に確実にすることができる。
【0050】
カテーテルは、好ましくは、間欠的な短時間の使用のための尿道カテーテルである。「短時間の使用」という用語は、時間が限られた、特に、15分未満、好ましくは10分未満、最も好ましくは5分未満の期間に限られる使用を示す。
【0051】
湿潤液は、好ましくは、少なくとも75%の重量、好ましくは少なくとも80%の重量、より好ましくは少なくとも85%の重量、最も好ましくは少なくとも90%の重量の水を含む、水性液である。いくつかの実施形態では、湿潤液は真水であり得る。しかしながら、湿潤液はまた、抗菌剤、医薬有効物質、オスモル濃度増加剤等、1種以上の添加剤も含むことができる。
【0052】
本発明の別の態様によれば、尿道カテーテルアセンブリを製造する方法であって、
挿入可能区画及び非挿入可能区画を有する尿道カテーテルを提供することと、
非挿入可能区画の上にスリーブを固定して配置することと、
管状ケース内に少なくとも挿入可能区画を配置することと、
を含み、
管状ケースは、保管位置で、スリーブに及び/又は尿道カテーテルの非挿入可能区画に取外し可能に接続され、管状ケースはスリーブに関して第1配置にあり、スリーブに第1係合部材が設けられ、管状ケースに第2係合部材が設けられ、それにより、管状ケースは、尿道カテーテルの非挿入可能部分から取り外されると第2配置でスリーブに解除可能に接続されることが可能になり、第2配置が第1配置とは異なる、方法が提供される。
【0053】
本発明のさらに別の態様によれば、上述したタイプの尿道カテーテルアセンブリを使用のために準備する方法であって、
管状ケース内の保管位置から挿入可能区画を取り出すステップと、
アセンブリを第1配置から第2配置にするステップと、
スリーブの第1係合部材を管状ケースの第2係合部材と解除可能に接続するステップと、
第2配置にあるときにカテーテルの操作のためのハンドルとして管状ケースを使用するステップと、
を含む方法が提供される。
【0054】
本発明のこれらの態様及び他の態様は、以下に記載する実施形態から明らかとなり、そうした実施形態を参照して、本発明のこれらの態様及び他の態様について説明する。
【0055】
例示の目的で、本発明について、添付図面に示すその実施形態を参照して以下より詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【
図1A】閉鎖位置にある、本発明の一実施形態による尿道カテーテルアセンブリの斜視図である。
【
図1B】開封された使用位置にある、本発明の一実施形態による尿道カテーテルアセンブリの斜視図である。
【
図1C】上記最終状態の間の中間位置にある、本発明の一実施形態による尿道カテーテルアセンブリの斜視図である。
【
図1D】上記最終状態の間の中間位置にある、本発明の一実施形態による尿道カテーテルアセンブリの斜視図である。
【
図2】
図1の尿道カテーテルアセンブリの組立分解図である。
【
図3A】
図1の尿道カテーテルアセンブリの製造のための組立プロセスの一段階を示す。
【
図3B】
図1の尿道カテーテルアセンブリの製造のための組立プロセスの一段階を示す。
【
図3C】
図1の尿道カテーテルアセンブリの製造のための組立プロセスの一段階を示す。
【
図3D】
図1の尿道カテーテルアセンブリの製造のための組立プロセスの一段階を示す。
【
図4A】管状ケース及びスリーブを第2の使用配置で合わせて接続する代替的なタイプの係合部材を概略的に示す。
【
図4B】管状ケース及びスリーブを第2の使用配置で合わせて接続する代替的なタイプの係合部材を概略的に示す。
【
図4C】管状ケース及びスリーブを第2の使用配置で合わせて接続する代替的なタイプの係合部材を概略的に示す。
【
図4D】管状ケース及びスリーブを第2の使用配置で合わせて接続する代替的なタイプの係合部材を概略的に示す。
【
図4E】管状ケース及びスリーブを第2の使用配置で合わせて接続する代替的なタイプの係合部材を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0057】
以下の詳細な説明では、本発明の好ましい実施形態について説明する。しかしながら、別段具体的な指示がない限り、異なる実施形態の特徴は実施形態の間で交換可能であり、異なる方法で結合することができることが理解されるべきである。また、明確にするために、図面に示すいくつかの構成要素の寸法、たとえば、医療デバイスの長さ等は、本発明の現実の実施態様における対応する寸法とは異なる可能性があることも留意され得る。
【0058】
例示的な例に関連して開示する尿道カテーテルアセンブリは、長尺状のペンのような形状を有し、概して円形の断面を有する。しかしながら、上述の考察のように、本アセンブリは、正方形、矩形又は楕円形である等、他の形状も有することができる。
【0059】
図1~
図3に示すカテーテルアセンブリは、カテーテルシャフトを形成する挿入可能区画11と、コネクタ部を形成する非挿入可能区画12とを有するカテーテル1を備える。非挿入可能区画12は、好ましくは、挿入可能区画11より大きい直径を有する。非挿入可能区画の後端部は、フレア状又はじょうご形状とすることができ、尿収集バッグ等のテーパ状接続部に接続されるように構成することができる。後端部はまた、延長チューブに接続することができ、又は、尿を便器等に直接排出するために使用することができる。
【0060】
挿入可能区画11の少なくとも一部は、使用者の尿道を通して挿入されるように、挿入可能な長さを形成している。
【0061】
挿入可能区画は、閉鎖された丸みを帯びた端部であり得る挿入チップを備える。さらに挿入可能区画は、カテーテルを通って延在する内腔に、且つ非挿入可能区画の後方端部に配置された排液出口14内に通じる、入口開口部13、いわゆるカテーテルアイ又はアイレットを備えることができる。
【0062】
挿入可能区画11は、本質的に当該技術分野において周知であるように、親水性表面を備え、親水性カテーテルを形成することができる。親水性表面は、湿潤流体で湿潤したときに低摩擦表面を提供する親水性表面コーティング、たとえばPVPの形態であり得る。典型的には、挿入可能長さは、女性患者の場合は50~140mm、男性患者の場合は200~350mmの範囲内である。PVPは好ましい親水性材料であるが、ポリビニル化合物、多糖類、ポリウレタン、ポリアクリレート、又はビニル化合物及びアクリレート若しくは無水物のコポリマー、特に、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ヘパリン、デキストラン、キサンタンゴム、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ビニルピロリドン及びアクリル酸ヒドロキシエチルメチルのコポリマー、又はポリメチルビニルエーテル及びマレイン酸無水物のコポリマーから選択される親水性ポリマー等、他の親水性材料を使用することができる。しかしながら、親水性表面コーティングの代わりに、カテーテルの挿入可能区画全体を親水性材料から形成することができる。
【0063】
しかしながら、別法として、カテーテルは、非親水性とすることができ、たとえば、挿入する前にゲルで潤滑することができる。
【0064】
本アセンブリは、カテーテルの非挿入可能区画の全体又は一部の上に配置されているスリーブ2をさらに備える。スリーブ2は管状の形状を有し、近位開口部21がカテーテルの挿入可能区画に面し、遠位端部22が反対方向に面し、チューブ本体23がそれら開口部の間に延在している。スリーブは、カテーテルの非挿入可能区画に固定して接続されている。固定接続は、たとえば、摩擦嵌合によって形成することができるが、超音波溶接、接着剤等によっても形成することができる。固定接続は、スリーブ及び非挿入可能区画の製造中にすでに、たとえば、2成分(2K)射出成形を使用することによって得ることも可能である。例示的な例では、カテーテルの非挿入可能区画に、カテーテルを取り囲み、スリーブの機械的固定を形成するのに役立つ、突出リング15a~15cが設けられている。これらの突出リング15a~15cは、たとえば、スリーブ本体の内側の対応する突出部又は凹状部と相互作用することができる。
【0065】
カテーテルの拡大した非挿入可能区画12は、一方又は両方の開口部21、22を通ってスリーブ2から延出することができる。例示的な例では、カテーテルの非挿入可能区画12は、スリーブの遠位開口部22の近傍で終端する。この目的で、カテーテルは、例示的な例におけるように、0.1~3mm等、短い長さでスリーブから延出することができるが、別法として、開口部と同一平面上にあるか、又は、0.1~3mm等のわずかな距離、開口部の下方で終端することができる。
【0066】
他端では、カテーテルの拡大した非挿入可能区画12は、ある長さ、たとえば3~15mm、好ましくは3~5mm、近位開口部21を通ってスリーブから延出することができる。開口部21を通ってスリーブから突出するこの部分において、又はスリーブの内側であるが、好ましくは開口部21に比較的近接して、非挿入可能区画12に、以下により詳細に考察する、管状ケースへの接続を形成するのに役立つように、Oリング等の環状ガスケット16をさらに設けることができる。ガスケットは、たとえば、カテーテルの外面に配置された円周方向溝内に配置することができる。
【0067】
近位開口部21の近傍において、スリーブに、この場合もまた以下により詳細に考察する、管状ケースへの接続を形成するためのねじ山等をさらに設けることができる。
【0068】
本アセンブリは、スリーブの遠位開口部22の近傍に配置されるキャップ3をさらに備えることができる。キャップは、カテーテルの出口開口部14内に延在するように、且つ、カテーテル内腔の密封閉鎖を形成するように配置された、下向きに面するボス31を備えることができる。例示的な例では、ボスは、環状の下向きに突出するリングとして形成されているが、別法として、ディスクのように形成し、又は他の好適な形状を呈するようにすることができる。ボスは、好ましくは、出口開口部14内に嵌まるようなサイズ及び形状である。ボスはまた、開口部14内により容易に嵌まるように、内向きに丸みを帯びた縁部を有し、円錐形にテーパ状等である、等も可能である。
【0069】
キャップはまた、ボス31の一定距離外側に配置され、且つカテーテル及び/又はスリーブとの解除可能な接続を形成するように構成された、下向きに突出するリム32も備えることができる。したがって、リム32は、スリーブ及び/又はカテーテルと解除可能な機械的接続を形成するように構成され、そうする際、ボス31が、カテーテルの出口開口部14と封止係合するのを確実にする。機械的接続は、ねじ切りキャップを形成するように、カテーテル及び/又はスリーブの対応するねじ山と係合するねじ山等によって形成することができる。しかしながら、キャップはまた、例示的な例に示すように、フリップオープン(flip-open)キャップを形成するように、摩擦接続によっても接続することができる。フリップオープン型のキャップは、歯磨き容器、ケチャップボトル等、通常の使用者によく知られている多くのパッケージにおけるキャップに類似しているため、使用者にとって非常に好都合であるとともに直観的である。
【0070】
スリーブは、好ましくは、比較的剛性のある又は硬質のプラスチック材料によって形成され、一方、キャップは、好ましくは、より剛性が低く且つより可撓性のある材料から形成される。
【0071】
キャップは、ストラップ又はヒンジ32を用いてスリーブ又はカテーテルに接続することができる。好ましくは、ヒンジは、いわゆる双安定リビングヒンジであり、それは、キャップが解除されるとすぐにキャップに対してヒンジから旋回するように力をかけ、キャップをこの旋回位置で維持する。旋回位置は、たとえば、閉鎖したキャップ位置から見ると90度を超える、好ましくは120度を超える角度であり得る。このヒンジにより、キャップが常にスリーブ及びカテーテルに接続されることが確実になり、開放位置と閉鎖位置との間のキャップの選択可能な移動が可能になる。
【0072】
例示的な例では、ヒンジ32は、インサート33に接続されている。インサートは、ここでは、スリーブに固定して接続されるように構成されている。この固定接続は、摩擦嵌合、超音波溶接、機械的係止、接着剤等、さまざまな方法で達成することができる。例示的な例では、スリーブに追加の側壁24が設けられ、それは、スリーブ本体の一面に配置され、スリーブの一部の上に二重壁を形成し、それらの壁の間にポケット25が形成されている。好ましくは、追加の側壁24は、ポケット25が遠位端に向かって開放され、スリーブの近位端において閉鎖されるように構成されている。このために、追加の側壁は、近位側においてスリーブの本体に向かってテーパ状となることができる。
【0073】
ポケット25は、インサート33を受け入れ、インサート33と固定接続で係合するように構成されている。たとえば、例示的な例におけるように、インサートに、外向きに突出する先端を有する舌状部34を設けることができ、追加の側壁24に、スナップ-ロック接続を形成するように舌状部の先端を受け入れるように構成された凹部又は開口部26を設けることができる。しかしながら、機械的接続を形成する他の方法を、他のタイプの接続と同様に使用することができる。
【0074】
スリーブは、さまざまな断面形状を有することができる。例示的な例では、管状コンパートメントは、断面が本質的に円形であり、追加の側壁とその中に形成されたポケットとにより伸出部が形成されている。
【0075】
本アセンブリは、閉鎖近位端部41と、開放遠位端部42と、それら端部の間に延在する管状側壁43とを有する、管状ケース4をさらに備える。管状ケースは、少なくともカテーテルの挿入可能区画11、好ましくは非挿入可能区画12の一部も受け入れるように、且つ、保管中にカテーテルのこれらの部品を収容するように構成されている。管状ケースは、保管中に収容されたカテーテル部品のための密封された滅菌コンパートメントを形成するように、開放遠位端において閉鎖されるように構成されている。開放遠位端部42の閉鎖及び封止は、カテーテル及び/又はスリーブとの相互作用及び係合により、及び/又は追加の閉鎖及び封止要素の使用による等、さまざまな方法で達成することができる。
【0076】
例示的な例では、カテーテルの非挿入可能区画12の近位部分は、管状ケースの開口部42内に隙間なく嵌まるように構成された直径及び形状を有し、それにより、部品を合わせて接続し、そこでは、ガスケット16がコンパートメントの密封を提供する。
【0077】
さらに、スリーブ2内の対応する機械的接続要素との機械的接続を形成するように、管状ケース4に機械的接続要素を設けることができる。例示的な例では、遠位端開口部の近傍の管状ケースの外面にねじ山45が設けられ、近位開口部22の近傍におけるスリーブの対応するめねじ(図示せず)と解除可能に係合するように構成されている。
【0078】
これにより、管状ケース内に挿入されているカテーテルの部分とケース壁との摩擦嵌合の組合せにより、且つ、管状ケースとスリーブとの機械的相互接続により、強固な機械的接続が確立され、同時に、ケースの内壁とカテーテルの挿入された部分との間に設けられたガスケットにより、カテーテルの挿入可能部分のための密封された滅菌収容が確保される。これにより、非常に強固且つ確実な接続が形成され、同時に、アセンブリに対して薄く且つ細長い形状が可能になる。
【0079】
しかしながら、当然ながら、代わりに、ケースの内壁にガスケット等を配置することができ、滅菌且つ密封環境を確実にする他の方法も企図することができる。さらに、スリーブと管状ケースとの接続は、ねじ式接続を使用する代わりに他の方法で達成することができる。たとえば、摩擦嵌合を形成するために、管状ケースの一部をスリーブ内に延在させることで十分である場合がある。
【0080】
したがって、閉鎖された保管位置では、
図1Aに示すように、管状ケース4は、キャップ3とともに滅菌且つ密封コンパートメントを形成し、それにより、保管中、カテーテルの挿入可能部分、及びここではカテーテルの内腔全体も清潔且つ滅菌状態で維持する。したがって、保管中及び使用前に、アセンブリを清潔且つ滅菌状態で維持するために、追加のパッケージ等は不要である。
【0081】
機械的相互接続を形成するのに加えて、スリーブと管状ケースとのねじ式接続もまた、アセンブリが開封されるときにスリーブ及びカテーテルから管状ケースを分離するための補助を提供する。管状ケースに関してスリーブを回転させることにより、ねじ山は、管状ケースとスリーブとの間の軸方向移動をもたらし、それにより、スリーブ及びケースが引き離される。しかしながら、同様の開封作用を他の方法でも提供することができる。たとえば、スリーブ及びケースの嵌合端面は、傾斜した又は湾曲した面として構成することができ、それによってもまた、回転時に部品間の軸方向移動がもたらされる。
【0082】
管状ケースは、ここでは、断面が本質的に円形であるように示すが、矩形又は楕円形の形状等、他の形状もまた企図することができる。
【0083】
管状ケースに、スリーブに設けられた第1係合部材27と相互作用し且つ係合するように、第2係合部材44もまた設けられている。これらの係合部材により、管状ケースを、保管位置で形成される第1配置とは異なる第2配置で、スリーブに解除可能に接続することができる。これにより、管状ケースは、第2配置にあるとき、使用中にカテーテルの好都合且つ有効な把持及び操作を可能にする、ハンドルとして機能することも可能である。この第2配置では、管状ケースは、好ましくは、カテーテルから横方向に延在するように、カテーテル及びスリーブの長手方向に関して角変位した位置を呈し、たとえば、カテーテル/スリーブから約90度で延在することができる。
【0084】
第1係合部材27は、好ましくは、互いに反対側に配置された開口部21、22の両方から間隔をあけて、スリーブ2の本体部分23に配置されている。例示的な例では、第1係合部材27は、スリーブ本体の中心に配置されているが、さらに又は別法として、開口部のうちの一方又は両方に近接して配置することができる。
【0085】
第2係合部材44は、例示的な例では、管状ケース4の閉鎖端部41に配置されている。しかしながら、さらに又は別法として、第2係合部材は、管状ケースの開放端部に配置するか、又は、端部41、42の間で管状ケースの側壁に設けることができる。
【0086】
例示的な例では、第1係合部材27は、スリーブ2の本体部分の開口部又は凹部であり、第2係合部材44は、管状ケース4の端部から延在するか又は管状ケース4の端部によって形成されている突起である。第2係合部材は、好ましくは、第1係合部材の形態及び形状に対して相補的な形態及び形状を有し、それにより、第1係合部材及び第2係合部材が互いに嵌合し接続することができる。
【0087】
例示的な例では、スリーブの開口部は、追加の側壁24に設けられ、インサート33の対応する開口部又は凹部34内にも延在する。したがって、この例では、第1係合部材は、側壁の開口部及びインサート33の開口部又は凹部34の両方によって形成されている。
【0088】
しかしながら、別法として、スリーブに、管状ケースの対応する開口部によって受け入れられるように構成された突起を設けることができる。
【0089】
また、プラグ-ソケット型の接続で、2つ又は3つの対応する開口部に受け入れられるように構成された2つ又は3つの突起等、2つ以上の凹部/開口部及び2つ以上の突起を設けることができる。こうした実施形態を
図4Aに概略的に示し、そこでは、スリーブ2に2つの開口部27が設けられ、管状ケース4に2つの突出要素44が設けられている。3つ以上の開口部及び突出要素もまた使用することができる。同様に、
図4Bに示すように、代わりに、管状ケースに開口部44’を形成し、スリーブに対応する突起27’を設けることができる。スリーブ及び管状ケースの各々に、1つ又は複数の開口部/凹部と1つ又は複数の突出要素との組合せを設けることも可能である。
【0090】
改善された機械的相互接続を提供するために、たとえば
図2に示すように、突出要素44におねじを設けることができ、スリーブに形成された開口部/凹部に対応するめねじを設けることができる。これにより、管状ケースを回転させて強固な機械的相互接続をもたらすことができる。
【0091】
しかしながら、突出部と受け入れる開口部/凹部との摩擦嵌合で十分な場合もある。より強固な相互接続及びより容易な取付を得るために、突出部は、この場合、わずかに円錐形又はテーパ状とすることができ、開口部/凹部は対応する形状を有することができる。
【0092】
さらに又は別法として、
図4Cに示すように、リング等の形態の突起44’’を有することも可能であり、開口部27’’は環状凹部として形成することができる。これにより、突出リングは、その内側及び外側の両方の摩擦作用により、より堅固に適所に保持される。
【0093】
しかしながら、他のタイプの係合部材も実施可能である。
図4Dに示す一例として、突起44’’’は、好ましくは、スリーブ及び管状ケースのうちの一方に設けられた、タブを形成するようにアンダーカット部を有するラッチの形態であり、スリーブ及び管状ケースのうちの他方に、対応するスロット開口部27’’’が配置されており、ラッチ及びスロットは互いに係合可能である。使用時、これにより、突出タブを、開口部の拡大した後方部において挿入し、アンダーカット部により狭くなった区画内に挿入されるように押し上げることができ、それにより、部品が互いに固定される。
【0094】
同様に、
図4Eに示すように、タブは、2つの反対方向に延在する翼の形態とすることができ、開口部は、タブを受け入れるようなサイズであり、片側又は両側に向かってアンダーカット部を有する、長尺状の開口部とすることができる。この構成では、突起を、長尺状開口部内に挿入し、その後、一方の方向に回転させて部品を合わせて係止することができる。
【0095】
熟練した読者であれば理解されるように、第1係合部材及び第2係合部材を係合させる他の多くの代替形態が、当然ながら実施可能である。
【0096】
好ましくは、第1係合部材及び第2係合部材は、ねじ、摩擦嵌合、スナップ-ロック及びスナップ-フィット構成のうちの1つによって接続可能とすることができ、第1係合部材及び第2係合部材は、好ましくは、互いに形状及び/又はサイズが相補的であり、それにより、それらの部材の係合が可能になる。
【0097】
第1係合部材及び第2係合部材が、2つ以上の方法での係合が可能であり、たとえば、管状ケースをスリーブに関して2つ以上の異なる角度位置で係合させることができるようなものであることも実施可能である。スリーブに2つ以上の第1係合部材を設け、各々が、スリーブに接続されたときに管状ケースの異なる角度向きを提供するようにすることも可能である。
【0098】
管状ケース4に、表面壁から延出し、管状ケースの概して長さ方向に延在する、長尺状突起46をさらに設けることができる。この突起は、たとえば、畝状部、リブ、フィン等の形状であり得る。好ましくは、突起は、管状ケースの長さの限られた部分のみにわたって延在する。しかしながら、突起は、別法として、管状ケースの長さの実質的な部分にわたって、又は長さ全体に沿って延在することができる。この突起は、複数の目的にかなう。第1に、突起は、たとえば、テーブルの上、床の上等に置かれたとき、管状ケースが転がっていくのを妨げる。突起はまた、カテーテルアセンブリの開封、特に、管状ケースのスリーブからの分離も容易にし、それは、管状ケースの把持及び保持をより容易にするためである。さらに、突起は方向を示し、それは、管状ケースが第2配置で取り付けられるときに有用である。突起は、たとえば、第2配置でスリーブに取り付けられるとき、カテーテルの挿入可能端部の方に向けることができる。突起は、視覚的に且つ触覚的に認識可能な基準方向を提供し、それは、導尿中に、特に、カテーテルシャフトが使用者に見えにくいようにカテーテルが保持される場合、使用者がカテーテルを操作するのに役立つ。
【0099】
この突起は、一組のより短い尖端状突起等である等、他の形状をとることも可能である。管状ケースに楕円形、六角形、三角形等、非円形外側断面形状を設けることによっても、ある程度、同様の利点を得ることができる。
【0100】
使用時、
図1A~
図1Dに示すように、尿道カテーテルアセンブリは、最初に、
図1Aに示すように保管位置で提供され、そこでは、管状ケース4は第1配置で提供され、キャップ3は閉鎖され、それにより、カテーテルの挿入可能部分に対して閉鎖され密封されたコンパートメントが形成される。
【0101】
使用に備えて、
図1Bに示すように、最初にキャップ3を開放することができる。しかしながら、このキャップを開放するステップは、導尿の直前、又はさらにはカテーテルの尿道への挿入の後等、後に実施することも可能である。
【0102】
次いで、管状ケース及びスリーブを互いに関して回転させることにより、スリーブ2から管状ケース4が分離され、カテーテルが引き抜かれる。これを
図1Cに示す。この時点で、導尿にカテーテルを使用することができる。しかしながら、有利には、第1係合部材及び第2部材を係合させることにより、管状ケースは最初に再びスリーブに、ただしこの時点では第2配置で接続される。この状態を
図1Dに示す。この状態では、管状ケースは、導尿中にカテーテルの操作のために使用することができる、把持部材又はハンドルとして横方向に延在する。
【0103】
導尿中、尿は、カテーテルの出口開口部から直接便器内に排出することができる。しかしながら、延長チューブ又は尿収集バッグをじょうご形状の出口開口部に接続することも可能である。
【0104】
導尿後、本質的に、準備ステップを逆の順序で実施することにより、カテーテルを閉鎖保管位置に再度組み立てることができる。カテーテルが管状ケース内に再挿入され、キャップが再閉鎖されると、パッケージは、その元の密封品質のすべて又は少なくとも一部を保持し、したがって、漏れることなく、使用者をこぼれ及び汚染から保護する。
【0105】
尿道カテーテルアセンブリが開封され又は使用されたか否かが容易に分かるように、開封時に破断したラベル又は他のタイプの不正開封防止機能(tamper proof)を設けることができる。
【0106】
尿道カテーテルアセンブリを製造し組み立てるために、
図2に組立分解図で示すように、スリーブ2、管状ケース4、キャップ3及びカテーテル1を、各々別個に製造し提供することができる。
【0107】
カテーテルは、たとえば、従来の方法で、従来の製造機器を用いて製造することができる。カテーテルは、本質的に当該技術分野において周知であるように、十分な剛性及び可撓性を有する任意の生体適合性ポリマー材料によって製造することができる。
【0108】
スリーブ及び管状ケースは、好ましくは、HDPE、ナイロン又はポリプロピレン等、比較的硬質のプラスチック材料によって形成され、たとえば、射出成形によって製造することができる。中身を容易に識別することができないように、スリーブ及び管状ケースはさらに、非透過性且つ不透明材料によって製造することができる。
【0109】
キャップは、好ましくは、比較的より硬度が低く且つより可撓性の高い材料から形成され、この場合もまた、たとえば、射出成形によっても製造することができる。
【0110】
尿道カテーテルアセンブリを組み立てるために、
図3Aに示すように、最初に、カテーテル1にスリーブ2を固定して接続することができる。この固定接続は、たとえば、単にカテーテルの上でスリーブを適所に押し込んで、摩擦嵌合及びスナップ-ロック相互接続等を形成することによって、達成することができる。しかしながら、固定接続は、強固な接続を確保するために、接着剤、超音波溶接又は他の手段も伴うことができる。
【0111】
次いで、
図3Bに示すように、キャップ3がスリーブ上に配置される。これにより、インサート33は、ポケット25内の適所に押し込まれ、固定して接続される。この固定接続は、たとえば、単にポケット内にインサートを押し込んで、摩擦嵌合及びスナップ-ロック相互接続等を形成することによって、達成することができる。しかしながら、固定接続は、強固な接続を確保するために、接着剤、超音波溶接又は他の手段も伴うことができる。そして、キャップを回転させて、カテーテル内腔を閉鎖することができる。
【0112】
この時点でスリーブ及びキャップが取り付けられているカテーテルは、次いで、管状ケース4内に挿入され、たとえば、部品を回転させてねじ式に相互接続することにより、適所に固定される。
【0113】
しかしながら、代替形態として、部品の製造中にすでに、たとえば、2ショット成形プロセス等を使用することにより、構成要素のうちの2つ以上を組み立てることも可能であり得る。たとえば、こうした方法により、スリーブ及びキャップを単一ユニットとして製造することが可能であり得る。
【0114】
次いで、アセンブリは滅菌され、使用の用意ができる。
【0115】
親水性カテーテルが使用される場合、尿道カテーテルアセンブリはまた、湿潤流体も備えることができる。しかしながら、カテーテルの活性化のための湿潤流体は、パッケージ内に提供される必要はない。代わりに、湿潤流体は、依然としてパッケージ内にあるカテーテルの湿潤のために、パッケージの開封後にパッケージ内に注ぎ込むことができる。場合により、通常は好ましくないが、カテーテルをパッケージから取り出し、たとえば異なる容器内で湿潤させることさえも可能である。
【0116】
しかしながら、好ましくは、湿潤流体はパッケージ内に配置され、それにより、パッケージの開封前であってもカテーテルの親水性表面を活性化することができる。一実施形態では、湿潤流体は、パウチ又は小袋等、湿潤流体容器(図示せず)において、カテーテルから分離して配置される。湿潤流体容器は、たとえば、容器に圧力をかけることによって、開封可能であり、それにより、湿潤流体はパッケージ内に放出され、それによって、カテーテルの親水性表面が湿潤する。湿潤流体容器は、カテーテルアセンブリが、たとえば、キャップの開放又はスリーブに関する管状ケースの回転によって開封されるとき、自動的に開封するようにも構成することができる。別の実施形態では、湿潤流体は、カテーテルも収容するパッケージのコンパートメント内に直接配置され、それにより、カテーテルの親水性表面は、保管中に湿潤流体と直接接触し、それにより、活性化された使用の用意ができた状態で維持される。
【0117】
湿潤流体は、好ましくは液体であり、最も好ましくは、水又は生理食塩水等の水性液である。しかしながら、湿潤流体は、パッケージ内に親水性表面の活性化に十分な湿潤雰囲気を提供する、気体でもあり得る。したがって、湿潤流体は、カテーテルの親水性表面を湿潤させ/活性化する任意の流体、すなわち気体又は液体であり得る。
【0118】
非親水性カテーテルが使用される場合、尿道カテーテルアセンブリは、カテーテルシャフトの上に重なって配置されたコンパートメント等、供給潤滑剤を備えることができ、それにより、シャフトは、管状ケースから引き出されている間に潤滑される。
【0119】
ここでは、本発明の具体的な実施形態について説明した。しかしながら、当業者には明らかとなるように、いくつかの代替形態が可能である。たとえば、記載した実施形態における湿潤流体は、カテーテルと直接接触して配置されるが、別法として、湿潤流体容器内に、カテーテルから分離して配置することができる。さらに、ハンドルとして使用されるように管状ケースをスリーブに取り付ける、多くの異なるタイプの係合部材を使用することが可能である。同様に、キャップは、さまざまな方法で設計し成形することができ、たとえば、ヒンジによって接続される必要はない。また、キャップを省略し、代わりに、箔カバー、破断可能な膜、溶解閉鎖等によって置き換えることも可能である。こうした変更形態及び他の明白な変更形態は、添付の請求項によって定義されるように、本発明の範囲内にあるとみなされなければならない。上述した実施形態は、本発明を限定するのではなく例示するものであり、当業者であれば、添付の請求項の範囲から逸脱することなく多くの代替実施形態を設計することができるであろうということが留意されるべきである。請求項において、括弧の間に配置されたいかなる参照符号も、その請求項に対する限定としてみなされるべきではない。「備える」という語は、請求項に記載されたもの以外の他の要素又はステップの存在を排除するものではない。要素に先行する「1つの(a、an)」という語は、複数のこうした要素の存在を排除するものではない。さらに、単一のユニットが、請求項に記載したいくつかの手段の機能を実施する場合がある。