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▶ ユニリーバー・アイピー・ホールディングス・ベスローテン・ヴェンノーツハップの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-06
(45)【発行日】2023-10-17
(54)【発明の名称】日焼け止め組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/37 20060101AFI20231010BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20231010BHJP
   A61K 8/35 20060101ALI20231010BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20231010BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20231010BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20231010BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20231010BHJP
【FI】
A61K8/37
A61K8/34
A61K8/35
A61K8/36
A61K8/81
A61K8/86
A61Q17/04
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020551399
(86)(22)【出願日】2019-04-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-10
(86)【国際出願番号】 EP2019059662
(87)【国際公開番号】W WO2019206714
(87)【国際公開日】2019-10-31
【審査請求日】2022-02-15
(31)【優先権主張番号】18168640.3
(32)【優先日】2018-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】521042714
【氏名又は名称】ユニリーバー・アイピー・ホールディングス・ベスローテン・ヴェンノーツハップ
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ペルマル,ラージクマール
(72)【発明者】
【氏名】バイドヤ,アシシュ・アナント
【審査官】池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-261978(JP,A)
【文献】特開2016-222699(JP,A)
【文献】特表2013-528168(JP,A)
【文献】特表2013-539769(JP,A)
【文献】Day Lotion SPF20, Watsons, 2018年1月, Mintel GNPD [online],[検索日 2023.02.15], インターネット<URL:https://www.gnpd.com>, ID:5404151
【文献】Firming and Dark Spot Correcting Moisturizer SPF30, Lancome, 2018年1月, Mintel GNPD [online],[検索日 2023.02.15], インターネット<URL:https://www.gnpd.com>, ID:5335001
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む日焼け止め組成物:
a.0.1~5wt%のUVA有機日焼け止め剤、
b.0.1~10wt%の2-エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレート、
c.0.1~2.5wt%のレゾルシノール、フェニルエチルレゾルシノール、4-アルキル置換レゾルシノール、及びこれらの混合物から選択される化合物、
d.4~25wt%の脂肪酸、及び、
e.0.1~10wt%の石鹸。
【請求項2】
9~20の範囲のHLB値を有する非イオン性界面活性剤をさらに含む、請求項1に記載の日焼け止め組成物。
【請求項3】
非イオン性界面活性剤が、15.5~20の範囲のHLBを有する飽和炭素鎖を有する脂肪アルコールエトキシレートである、請求項1又は2に記載の日焼け止め組成物。
【請求項4】
0.1~5重量%のポリマーをさらに含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の日焼け止め組成物。
【請求項5】
0.1~3重量%の石鹸を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の日焼け止め組成物。
【請求項6】
8~20重量%の脂肪酸を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の日焼け止め組成物。
【請求項7】
4-アルキル置換レゾルシノールが、4-メチルレゾルシノール、4-エチルレゾルシノール、4-プロピルレゾルシノール、4-イソプロピルレゾルシノール、4-ブチルレゾルシノール、4-ペンチルレゾルシノール、4-ヘキシルレゾルシノール、4-ヘプチルレゾルシノール、4-オクチルレゾルシノール、及びこれらの混合物から選択される、請求項1~6のいずれか1項に記載の日焼け止め組成物。
【請求項8】
4-アルキル置換レゾルシノールが、4-エチルレゾルシノール、4-ヘキシルレゾルシノール、及びこれらの混合物から選択される、請求項1~7のいずれか1項に記載の日焼け止め組成物。
【請求項9】
0.001~15重量%の皮膚美白剤をさらに含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の日焼け止め組成物。
【請求項10】
前記UVA日焼け止め剤が、4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、2-メチルジベンゾイルメタン、4-イソプロピルジベンゾイルメタン、4-tert-ブチルジベンゾイルメタン、2,4-ジメチルジベンゾイルメタン、2,5-ジメチルジベンゾイルメタン、4,4’-ジイソプロピルジベンゾイルメタン、2-メチル-5-イソプロピル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、2-メチル-5-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、2,4-ジメチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、又は2,6-ジメチル-4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタンから選択される、請求項1~9のいずれか1項に記載の日焼け止め組成物。
【請求項11】
前記UVA日焼け止め剤が、4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタンである、請求項1~10のいずれか1項に記載の日焼け止め組成物。
【請求項12】
組成物が、リーオン組成物である、請求項1~11のいずれか1項に記載の日焼け止め組成物。
【請求項13】
組成物が、ウォッシュオフ組成物である、請求項1~11のいずれか1項に記載の日焼け止め組成物。
【請求項14】
改善されたUVAPFを提供する非治療的な方法であって、前記方法は、以下のステップを含む:
f.請求項1~11及び13のいずれか1項に記載の日焼け止め組成物を皮膚に適用し、
g.選択的に、水ですすぐ
方法
【請求項15】
請求項1~13のいずれか1項に記載の組成物の非治療的な使用であって、前記非治療的な使用は改善された紫外線Aから皮膚を保護するためのものである、
使用
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、日焼け止め組成物に関する。特に、本発明は、改善された紫外線(UV)A保護因子(UVAPF)を提供する日焼け止め組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
人々は健康的な生活スタイルを享受することを望んで、自分自身、及び例えば、皮膚、毛髪を含む頭皮等の外表面をケアしようとする。人々が懸念する特定の皮膚関連問題としては、健康で感染のない皮膚、良好な皮膚の色調、十分な保湿、及び太陽光に含まれるUV放射線からの保護が含まれる。
【0003】
太陽光は、赤外領域(700nm~1mm)、可視領域(380~780nm)およびUV領域(100~400nm)を含む。UV領域は、UVC(100~280nm)、UVB(280~315nm)、及びUVA(315~400nm)からなる。人体は適切な量のビタミンDの合成/維持のためにいくらかのUV放射線を必要とするが、UVの有害な作用は典型的には利益を上回る。UVBへの過剰な暴露は、DNAへの直接的な損傷を引き起こし、日焼けも引き起こすと言われており、UVAへの過剰な暴露は、即座の色素の暗色化、及びその後の日焼け作用を引き起こすと言われている。さらに、UVAはまた、活性酸素種を含む酸化反応を介してDNA損傷を引き起こすと言われている(Zhang et al.、1997、Free Radical Biology & Medicine、23、980-985)。
【0004】
このような理由から、人々はできるだけ太陽光にさらされることを避けようとする傾向がある。しかし、多くの場合、日光への暴露を避けることは非常に困難であり、時には不可能である。そのような避けられない理由のために、人々は日光に含まれる紫外線放射への過剰な暴露によって引き起こされる望ましくない作用に対して少なくともいくらかの保護効果を提供する、様々な局所組成物、例えば、日焼け止め組成物を使用する傾向がある。これらの組成物は紫外線を吸収し、組成物が適用される例えば皮膚等の使用者の表面に到達するのを防止する日焼け止め剤を含む。
【0005】
有機日焼け止め剤、例えば4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン(BMDM)はUVA放射線を吸収する。UVA放射線を吸収することによって保護効果を提供する日焼け止め剤の能力は、UVA保護因子(UVAPF)によって表される。他方、有機日焼け止め剤、例えば2-エチルヘキシル2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレート(OCR)及びオクチルメトキシシンナメート(MCX)はUVB放射線を吸収する。UVB放射線を吸収することによって保護効果を提供する日焼け止め剤の能力は、日焼け防止因子(SPF)によって表される。
【0006】
欧州特許出願公開第2431021号明細書(ユニリーバ)は、ジベンゾイルメタンまたはその誘導体、油溶性UV-B有機日焼け止め剤、飽和炭素鎖を有し、15.5より高いHLBを有する脂肪アルコールエトキシレートのクラスから選択されるか、または12より高いHLBを有する不飽和炭素鎖を有する脂肪アルコールエトキシレートのクラスから選択される非イオン性界面活性剤、アクリレート/R-メタクリレートコポリマーのクラスのポリマー;またはアクリレート/R-アルキルアクリレートクロスポリマー、お及び化粧品として許容される基剤を含む、8%未満の全有機日焼け止め剤を含む高SPF日焼け止め組成物を開示している。そこに開示された組成物は、所望の皮膚感覚特性を損なうことなく、15より高いSPFを提供することを目的とする。
【0007】
国際公開第03/080009号(ユニリーバ)には、化粧用に許容される基剤中に、4-置換レゾルシノール誘導体と共に有機日焼け止め剤を含む化粧用組成物が開示されている。この組成物は、改善された貯蔵安定性および酸化安定性を示す。WO 03/080009号は、特に、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、オクチルメトキシシンナメート、ステアリン酸、及び4-置換レゾルシノールの組み合わせを開示している。
【0008】
国際公開第11/147738号(ユニリーバ)は、SPF(15以上)及び高UVAPF(4以上)を提供する日焼け止め組成物に関する。国際公開第11/147738号は、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、選択されたクラスの非イオン性界面活性剤、化粧用に許容される基剤中の選択されたクラスのポリマーを含む固体日焼け止め組成物を開示している。国際公開第11/147738号はさらに、ジベンゾイルメタンまたはその誘導体、選択されたクラスの非イオン性界面活性剤、脂肪酸、及び化粧用に許容される基剤を含む非固体日焼け止め組成物を開示している。
【0009】
国際公開第16/142129号(ユニリーバ)は、C12~C20脂肪酸とC12~C20脂肪酸石鹸、例えば化粧品として許容される担体中の二酸化チタン等の白色顔料、の組み合わせを開示しており、ここで石鹸対脂肪酸のモル比は0.23~0.5である。国際公開第16/142129号は、二酸化チタンのような顔料が脂肪酸含有組成物に添加される場合、組成物の感覚特性を維持しながら光保護を提供するという問題を解決する。
【0010】
これまでの努力にもかかわらず、改善されたUVAPFを提供する組成物は、依然として興味深い話題である。
【0011】
したがって、改善されたUVAPFを提供する日焼け止め組成物を開発する必要が依然として存在する。
【0012】
レゾルシノール、フェニルエチルレゾルシノール、4-アルキル置換レゾルシノール、及びこれらの混合物から選択される化合物を、UVA有機日焼け止め剤、選択されたクラスのUVB有機日焼け止め剤、脂肪酸、及び石鹸と共に含む組成物が、改善されたUVAPFを提供することが見出されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
第一の態様において、本発明は、以下を含む日焼け止め組成物に関する:
a. 0.1~5wt%のUVA有機日焼け止め剤、
b. 0.1~10wt%の2-エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレート、
c. 0.1~2.5wt%のレゾルシノール、フェニルエチルレゾルシノール、4-アルキル置換レゾルシノール、及びこれらの混合物から選択される化合物、
d. 4~25wt%の脂肪酸、及び
e. 0.1~10wt%の石鹸。
【0014】
第2の態様では、本発明は、改善されたUVAPFを提供する方法に関し、この方法は第1の態様の日焼け止め組成物を皮膚上に適用し、選択的に、水ですすぐことを含む。
【0015】
第3の態様では、本発明は、改善されたUVAPFを提供するための第1の態様の組成物の使用に関する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の1つの態様に係る特徴は、本発明の他の態様において利用され得る。「含む(comprising)」という語は、「含む(including)」を意味するものであるが、必ずしも「からなる(consisting of)」又は「からなる(composed of)」を意味するものではない。言い換えれば、列挙されるステップ又はオプションは完全なものではない。操作例及び比較例を除き、又は別途明示的に示されている場合を除き、材料の量又は反応条件、材料の物理的特性及び/又は使用に関して本開示にて開示される全ての数字は、「約」という語によって修飾されるものとして理解されるべきである。「x~y」の形式で表される数値範囲は、x及びyを含むものと理解される。特定の特徴について、複数の好ましい範囲が「x~y」の形式で表される場合、異なるエンドポイントを組み合わせる全ての範囲も考えられることが理解される。
【0017】
別段の指定がない限り、本明細書で使用される量は、組成物の総重量に基づく重量パーセンテージで表され、「wt%」と略される。
【0018】
本明細書で提供される「例えば」などの任意の及びすべての例または例示的な言語の使用は、単に本発明をよりよく説明することを意図したものであり、本発明の範囲を決して限定するものではない。
【0019】
第一の態様において、本発明は、以下を含む日焼け止め組成物に関する:
a. 0.1~5wt%のUVA有機日焼け止め剤、
b. 0.1~10wt%の2-エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレート、
c. 0.1~2.5wt%のレゾルシノール、フェニルエチルレゾルシノール、4-アルキル置換レゾルシノール、及びこれらの混合物から選択される化合物
d. 4~25wt%の脂肪酸、及び
e. 0.1~10wt%の石鹸。
【0020】
UVA有機日焼け止め剤
本発明による組成物は、UVA放射線を吸収し、それらが表面、例えば使用者の皮膚に到達するのを防止するUVA有機日焼け止め剤を含む。
【0021】
組成物中のUVA有機日焼け止め剤として使用され得る日焼け止め剤としては、ジベンゾイルメタン化合物、ビスジスルリゾール二ナトリウム(Neo Heliopan(登録商標)APとして市販されている)、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシル安息香酸塩(Uvinul(登録商標)A Plusとして市販されている)、エカムスル(Mexoryl SXとして市販されている)、及びメチルアントラニル酸塩が、一例として挙げられる。
【0022】
好ましくは、UVA有機日焼け止め剤として使用され得る日焼け止め剤としては、ジベンゾイルメタン化合物、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエート、及びこれらの混合物から選択される。
【0023】
より好ましくは、UVA有機日焼け止め剤として使用され得る日焼け止め剤としては、BMDM(Parsol(登録商標)1789又はAvobenzoneとして市販されている)、2-メチルジベンゾイルメタン、4-イソプロピルジベンゾイルメタン、4-tert-ブチルジベンゾイルメタン、2,4-ジメチルジベンゾイルメタン、2,5-ジメチルジベンゾイルメタン、4,4‘-ジイソプロピル-ジベンゾイルメタン、2-メチル-5-イソプロピル-4‘-メトキシジベンゾイルメタン、2-メチル-5-tert-ブチル-4‘-メトキシジベンゾイルメタン、2,4-ジメチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、2,6-ジメチル-4-tert-ブチル-4‘-メトキシジベンゾイルメタン、及びこれらの混合物から選択される。
【0024】
最も好ましくは、UVA有機日焼け止め剤として使用され得る日焼け止め剤は、BMDMである。
【0025】
組成物は、0.1~5重量%、好ましくは0.5~4.5重量%、より好ましくは1~4重量%、さらにより好ましくは1~3.5重量%、さらにより好ましくは1~3重量%、さらにより好ましくは1~2.5重量%の1種以上のUVA有機日焼け止め剤を含む。
【0026】
2-エチルヘキシル2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレート(OCR)
組成物は、UVB放射を吸収し、それらが例えば皮膚のような面に到達するのを防止するOCR(Octocrylene(登録商標)として市販されている)を含む。
【0027】
組成物は、0.1~10重量%、好ましくは0.5~9重量%、より好ましくは1~8重量%、さらにより好ましくは1.5~7重量%、さらにより好ましくは2~6重量%、さらにより好ましくは2.5~5重量%、最も好ましくは3~4重量%のOCRを含む。
【0028】
レゾルシノール、フェニルエチルレゾルシノール(PER)、4-アルキル置換レゾルシノール
組成物は、レゾルシノール、PER、4-アルキル置換レゾルシノール、及びこれらの混合物から選択される化合物を含む。このような化合物は、皮膚を明るくする効果を提供することが知られている。
【0029】
好ましくは、選択される化合物が4-アルキル置換レゾルシノールである。4-アルキル置換レゾルシノール中のアルキル基は、直鎖アルキル又は分岐鎖アルキルであり得る。例えば、アルキル基は、4-プロピルレゾルシノールの場合のように直鎖アルキルであってもよく、又は4-イソプロピルレゾルシノール(IPR)の場合のように分岐鎖アルキルであってもよい。
【0030】
4-アルキル置換レゾルシノールの例としては、4-メチルレゾルシノール、4-エチルレゾルシノール(ER)、4-プロピルレゾルシノール、IPR、4-ブチルレゾルシノール(BR)、4-ペンチルレゾルシノール、4-ヘキシルレゾルシノール(HR)、4-ヘプチルレゾルシノール、4-オクチルレゾルシノール、及びこれらの混合物が含まれる。
【0031】
好ましい4-アルキル置換レゾルシノールは、ER、BR、HR、及びこれらの混合物である。より好ましい4-アルキル置換レゾルシノールは、ER、HR、及びこれらの混合物である。
【0032】
組成物は、レゾルシノール、PERおよび4-アルキル置換レゾルシノールから選択される1つ以上の化合物の組み合わせを含み得ることが理解される。例えば、この組成物は、レゾルシノールの存在下または非存在下で、1つ以上の4-アルキル置換レゾルシノールを含み得る。好ましくは、組成物がレゾルシノール、PER、4-アルキル置換レゾルシノールから選択される1つの化合物を含む。
【0033】
組成物は、0.1~2.5重量%、好ましくは0.1~2.25重量%、より好ましくは0.25~2重量%、さらにより好ましくは0.25~1.5重量%、さらにより好ましくは0.25~1重量%、さらにより好ましくは0.25~0.75重量%、最も好ましくは0.25~0.5重量%のレゾルシノール、PER、4-アルキル置換レゾルシノール、及びこれらの混合物を含む。
【0034】
脂肪酸
組成物は脂肪酸を含む。石鹸と共に組成物中に存在する場合、脂肪酸はいわゆる消失クリーム効果を提供し、すなわち、組成物はヒトの皮膚に適用される場合、皮膚上で消失し、組成物の明らかな筋を残さない。
【0035】
該組成物は、好ましくは10~22、より好ましくは12~22、さらにより好ましくは14~22、さらにより好ましくは16~22、さらにより好ましくは18~22の範囲の炭素原子を有する脂肪酸を含む。鎖長が増加する脂肪酸は、UVAPFの増加及び/又はSPFの増加をもたらすことが見出されている。
【0036】
組成物に使用され得る脂肪酸の例としては、ラウリン、ミリスチン、パルミチン、ステアリン、イソステアリン、オレイン、リノール、アラキジン、ベヘン、エルカ酸、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0037】
あるいは、好ましく使用され得る脂肪酸は、ステアリン酸、パルミチン酸、又はこれらの混合物である。本発明における脂肪酸は、好ましくは55:45~45:55の比のステアリン酸とパルミチン酸との混合物であるヒストリン酸(一般に約90~95%)である。
【0038】
組成物は、4~25重量%、好ましくは6~22重量%、より好ましくは8~20重量%、さらにより好ましくは10~19重量%、さらにより好ましくは12~18重量%の脂肪酸を含む。
【0039】
石鹸
組成物は石鹸を含む。石鹸は、組成物中に脂肪酸と組み合わせされて存在する場合、いわゆる消失効果を提供する。
【0040】
本発明の石鹸は一般に、組成物中に存在する脂肪酸のin-situ中和によって調製される。したがって、石鹸は、組成物中の脂肪酸の鎖長に対応する炭素鎖長を有することが好ましい。石鹸は、アルカリ金属水酸化物、例えば水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムの使用によって脂肪酸から形成される。このうち、水酸化カリウムがより好ましい。したがって、石鹸は、好ましくはカリウム石鹸(脂肪酸のカリウム塩)である。
【0041】
組成物は、0.1~10重量%、好ましくは1~8重量%、より好ましくは2~7重量%、さらにより好ましくは2~6重量%、さらにより好ましくは2~5重量%、最も好ましくは2~4重量%の石鹸を含む。
【0042】
好ましくは、組成物は、9~20、好ましくは10~19、より好ましくは12~18、さらにより好ましくは13~17、さらにより好ましくは15~17の範囲のHLB値を有する非イオン性界面活性剤をさらに含む。
【0043】
HLBは、Griffin法を用いて計算され、ここで、HLB = 20×Mh/M(式中、Mhは分子の親水性部分の分子量であり、Mは分子全体の分子量であり、0~20の任意のスケールでの結果を与える)。種々の界面活性剤の典型的な値を以下に示す:
10未満の値:脂溶性(水不溶性)
10より大きい値:水溶性
4~8の範囲の値は、消泡剤を示す
7~11の範囲の値は、W/O(油中水)型乳化剤を示す
12~16の範囲の値は、水中油型乳化剤を示す
11~14の範囲の値は、湿潤剤を示す
12~15の範囲の値は、典型的な洗剤である
16~20の範囲の値は、可溶化剤またはヒドロトロープを示す。
【0044】
好ましくは、9~20の範囲のHLB値を有する非イオン性界面活性剤が、脂肪アルコールエトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル、及びこれらの混合物から選択される。好ましくは、非イオン性界面活性剤が、少なくとも9個のアルキレンオキシド基を有するものであり、好ましくは少なくとも9個のエチレンオキシド基を有するものである。
【0045】
組成物中で非イオン性界面活性剤として使用することができる脂肪アルコールエトキシレートの例としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(HLB= 16.9;Brij(登録商標)35として市販されている)、ポリオキシエチレン(20)セチルエーテル(HLB=16;Brij(登録商標)58として市販されている)、ポリエチレングリコールオクタデシルエーテル(HLB= 18.8;Brij(登録商標)700として市販されている)、及びラウレス-9(C12EO9; HLB=14.3;Brij(登録商標)L9として市販されている)が含まれる。
【0046】
組成物中の非イオン性界面活性剤として使用することができるアルキルフェノールエトキシレートの例としては、オクチルフェノールエトキシレート(HLB=15.5;Triton(登録商標)X165として市販されている)、オクチルフェノールエトキシレート(HLB=17.6;Triton(登録商標)X405として市販されている)、及びオクチルフェノールエトキシレート(HLB=18.4;Triton(登録商標)X705として市販されている)が含まれる。
【0047】
組成物中の非イオン性界面活性剤として使用することができるポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステルの例としては、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(HLB=13.3;Tween(登録商標)21として市販されている)、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(HLB=16.7;Tween(登録商標)20として市販されている)、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート(HLB=15.6;Tween(登録商標)40として市販されている)、及びポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート(HLB= 14.9;Tween(登録商標)60として市販されている)が含まれる。
【0048】
より好ましくは、組成物中に存在し得る9~20の範囲のHLB値を有する非イオン性界面活性剤は、15.5より高いHLBを有する飽和炭素鎖を有する脂肪アルコールエトキシレートである。
【0049】
好ましくは、組成物が、9~20の範囲のHLBを有する0.5~5重量%、より好ましくは1~4重量%、さらにより好ましくは2~3重量%の非イオン性界面活性剤を含む。
【0050】
好ましくは、組成物がポリマーをさらに含む。ポリマーは、組成物中で増粘剤として作用し、組成物の感覚特性を改善する。
【0051】
ポリマーは、好ましくは以下のクラスから選択される:
- アクリレート/R-メタクリレートコポリマー、例えばアクリレート/ステアレス-20メタクリレートコポリマー(Aculyn(登録商標)22として市販されている)、及びアクリレート/ベヘン-25メタクリレートコポリマー(Aculyn(登録商標)28として市販されている)、
- アクリレート/R-メタクリレートクロスポリマー、例えばアクリレート/ステアレス-20メタクリレートクロスポリマー(Aculyn(登録商標)88として市販されている)、
- アクリレートコポリマー(Aculyn33として市販されている)、
- アクリレート/R-アルキルアクリレートクロスポリマー、例えばアクリレート/C10-C30アルキルアクリレートクロスポリマー(Pemulen(登録商標)TR-2として市販されている)、
- アクリロイルジメチルツール酸アンモニウムとビニルピロリドンのコポリマー(Aristoflex(登録商標)AVCとして市販されている)、
- アクリロイルジメチルツール酸ナトリウムとビニルピロリドンのコポリマー(Aristoflex(登録商標)AVSとして市販されている)、及び、
- アクリロイルジメチルツール酸とR-アルキルアクリレート及びメタクリレートのクロスポリマー。例えば、アクリロイルジメチルタウレートアンモニウム/ベヘネート-25メタクリレートクロスポリマー(Aristoflex(登録商標)HMB及びAristoflex(登録商標)BLVとして市販されている);及びこれらの混合物。
【0052】
より好ましくは、ポリマーが、アクリレート/ R-メタクリレートのコポリマー、アクリレートコポリマー、及びこれらの混合物から選択される。
【0053】
好ましくは、組成物が0.1~5重量%、より好ましくは0.5~4.5重量%、さらにより好ましくは1~4重量%、さらにより好ましくは1.5~3.5重量%、さらにより好ましくは2~3重量%のポリマーを含む。
【0054】
好ましくは、組成物が、水を含み、組成物中に5~99.9重量%、好ましくは10~95重量%、より好ましくは15~90重量%、さらにより好ましくは20~80重量%、さらにより好ましくは25~75重量%、さらにより好ましくは30~70重量%の量で存在し得る化粧品上許容されるビヒクルを含む。
【0055】
好ましくは、組成物が1つ以上の皮膚美白剤をさらに含む。これらの1つ以上の皮膚美白剤は、ナイアシンアミド、ビタミンB6、ビタミンC、ビタミンA、グルタチオン前駆体、ガラジン、アダパレン、アロエ抽出物、乳酸アンモニウム、アリブチン、アゼライン酸、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、クエン酸エステル、デオキシアリブチン、1,3-ジフェニルプロパン誘導体、2,5-ジヒドロキシ安息香酸及びその誘導体、2-(4-アセトキシフェニル)-1,3-ジチアン、2-(4-ヒドロキシフェニル)-1,3-ジチアン、エラグ酸、グルコピラノシル-1-アスコルビン酸、グルコン酸、グリコール酸、緑茶抽出物、4-ヒドロキシ-5-メチル-3[2H]-フラノン、4-ヒドロキシアニソール及びその誘導体、4-ヒドロキシ安息香酸誘導体、ヒドロキシカプリル酸、イノシトールアスコルビン酸、乳酸、レモン抽出物、リノール酸、リン酸アスコルビルマグネシウム、5-オクタノイルサリチル酸、サリチル酸、3,4,5-トリヒドロキシベンジル誘導体、アセチルグルコサミン、ピテラ抽出物、シンホワイト、パントテン酸カルシウム(メラノブロック)、セピホワイト、大豆抽出物(ボーマンビルクインヒビター)、12-ヒドロキシステアリン酸、及びこれらの混合物。組成物中で使用される場合、12-ヒドロキシステアリン酸は、皮膚美白剤として使用され、脂肪酸としては使用されない。
【0056】
好ましくは、組成物において使用され得る皮膚美白剤が、ナイアシンアミド、ビタミンB6、12-ヒドロキシステアリン酸、グルタチオン前駆体、ガラルジン、及びこれらの混合物である。
【0057】
組成物中に組み込まれる場合、皮膚美白剤は、組成物中に0.001~15重量%、好ましくは0.01~10重量%、より好ましくは0.1~5重量%、さらにより好ましくは0.5~3重量%の量で添加されてもよい。
【0058】
好ましくは、組成物が皮膚軟化剤をさらに含む。組成物中で使用され得る皮膚軟化剤の例としては、ステアリルアルコール、グリセリルモノリシノール酸、ミンク油、セチルアルコール、イソステアリン酸イソプロピル、パルミチン酸イソブチル、オレイルアルコール、ラウリン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、デシルオレエート、オクタデカン-2-オール、イソセチルアルコール、エイコサンアルコール、ベヘニルアルコール、セチルパルミテート、ジメチルポリシロキサンなどのシリコーン油、セバシン酸ジブチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ポリエチレングリコール、トリエチレングリコール、ラノリン、ココア油、トウモロコシ種子油、オリーブ核油、パーム核油、ナタネ種子油、サフラワー種子油、月見草油、大豆油、ヒマワリ種子油、アボカド油、ゴマ種油、ヤシ油、ラッカセイ油、ヒマシ油、アセチル化ラノリンアルコール、石油ゼリー、ミネラルオイル、ミリスチン酸ブチル、リノール酸イソプロピル、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ミリスチルミリスチン酸塩、及びこれらの混合物。
【0059】
好ましくは、組成物は溶媒をさらに含む。組成物に使用することができる溶媒の例としては、エチルアルコール、イソプロパノール、アセトン、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、及びこれらの混合物が含まれる。
【0060】
好ましくは、組成物が粉末をさらに含む。組成物に使用され得る粉末の例としては、チョーク、タルク、フラー土、カオリン、デンプン、ガム、コロイド状シリカポリアクリル酸ナトリウム、テトラアルキル及び/又はトリアルキルアリールアンモニウムスメクタイト、化学修飾されたケイ酸マグネシウムアルミニウム、有機修飾されたモンモリロナイト粘土、水和ケイ酸アルミニウム、ヒュームドシリカ、カルボキシビニルポリマー、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチレングリコールモノステアレート、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0061】
好ましくは、組成物が潜在的に有害な微生物の増殖から保護するための防腐剤をさらに含む。組成物中の防腐剤として使用され得る成分の例としては、パラ-ヒドロキシ安息香酸のアルキルエステル、ヒダントイン誘導体、プロピオン酸塩、及び種々の第四級アンモニウム化合物が挙げられる。より好ましくは、組成物中の保存剤として使用され得る成分が、安息香酸ナトリウム、ヨードプロピニルブチルカルバメート、メチルイソチアゾリノン、ヨードプロピニルブチルカルバメート、フェノキシエタノール、メチルパラベン、プロピルパラベン、イミダゾリジニル尿素、デヒドロ酢酸ナトリウム、エチルヘキシルグリセリン、ベンジルアルコール、アルカンジオール、及びこれらの混合物である。保存剤として使用するのに適したアルカンジオールは、ヒドロキシ基で隣接的に置換されたC6-C12アルカンである。例示的な例としては、1,2-オクタンジオール(カプリリルグリコール)、2,3-オクタンジオール、1,2-ノナンジオール、1,2-デカンジオール、1,2-ヘキサンジオール、3,4-オクタンジオール、これらの混合物などが挙げられ、カプリリルグリコールが典型的に最も好ましい。
【0062】
組成物中に存在する場合、防腐剤は、好ましくは0.001~5重量%、より好ましくは0.01~3重量%、最も好ましくは0.02~2重量%の量で添加される。
【0063】
組成物は、酸化防止剤、結合剤、生物学的添加剤、緩衝剤、着色剤、渋味剤、芳香剤、乳白剤、コンディショナー、剥離剤、pH調整剤、皮膚鎮静剤、及び皮膚治癒剤を含む一連の他の任意成分をさらに含み得る。
【0064】
組成物は、好ましくは粉末、フレーク、ローション、クリーム、ゲル、又はムースの形態で形成される。より好ましくは、組成物がクリーム又はローションの形態で、最も好ましくはクリームの形態で形成される。組成物は、リーブオン又はウォッシュオフタイプの組成物であり得る。組成物は、好ましくはリーブオンタイプの組成物である。本発明の組成物のための包装は、パッチ、ボトル、チューブ、ロールボールアプリケーター、推進駆動エアロゾル装置、スクイーズ容器、又は蓋付きジャーであり得る。
【0065】
レゾルシノール、フェニルエチルレゾルシノール、4-アルキル置換レゾルシノール、及びこれらの混合物は、第1の態様の組成物中に存在する場合、UVAPFを改善することが見出される。このような改善されたUVAPFは、UVA有機日焼け止め剤の存在下でOCRを使用した場合にのみ得られることも見出されている。他のUVB有機日焼け止め剤、例えばMCXをOCRの代わりに使用した場合、改善されたUVAPFは得られなかった。OCRは、ジベンゾイルメタン化合物、例えばBMDMを安定化することが知られている。レゾルシノール、フェニルエチルレゾルシノール、4-アルキル置換レゾルシノール、及びこれらの混合物から選択される化合物の存在下で得られるUVAPFの改善は、同じ組成物中でMCXの代わりにOCRを使用した場合に得られるUVAPFを上回ることが見出される。したがって、驚くべきことに、1つのUVB日焼け止め剤、すなわちMCXを別のUVB日焼け止め剤、すなわちOCRで置き換えると、UVAPFを提供することがUVA日焼け止め剤の機能であるUVAPFが改善された。
【0066】
好ましくは、日焼け止め組成物は、以下を含む組成物である:
a. 0.1~5重量%のジベンゾイルメタン化合物、
b. 0.1~10重量%の2-エチルヘキシル 2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレート、
c. 0.1~2.5重量%のBR、ER、HR、及びこれらの混合物から選択される化合物、
d. 4~25重量%の脂肪酸、及び、
e. 0.1~10重量%の石鹸。
【0067】
より好ましくは、日焼け止め組成物を含む組成物である:
a. 0.1~5重量%の4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、
b. 0.1~10重量%の2-エチルヘキシル 2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレート、
c. 0.1~2.5重量%のER、HR、及びこれらの混合物から選択される化合物、
d. 4~25重量%の脂肪酸、及び、
e. 0.1~10重量%の石鹸。
【0068】
第2の態様では、本発明が、改善されたUVAPFを提供する方法にさらに関し、ここで、該方法は以下の工程を含む:
a. 第1の態様の日焼け止め組成物を皮膚に塗布し、
b. 選択的に、水ですすぐ。
【0069】
本発明はまた、リーブオン組成物の場合に、第1の態様の組成物を表面、例えば皮膚に適用する工程を含む、改善されたUVAPFを提供する方法を提供する。この方法は、選択的に、組成物がウォッシュオフ組成物の形態である場合、組成物を表面から少なくとも部分的に除去する追加の工程を含む。好ましくは、この方法は、非治療的又は美容的である。組成物を皮膚に適用すると、改善されたUVAPFが得られる。
【0070】
第3の態様では、本発明が、改善されたUVAPFのための第1の態様の組成物の使用に関する。
【0071】
ここで、本発明を、以下の非限定的な実施例によって説明する。
【実施例1】
【0072】
プロトコル
組成物の調製
簡潔には、本発明の組成物は、以下のように調製された:脱塩水及び水酸化カリウムを、磁気撹拌機及びヒーター上に備え付けられたビーカー(メインビーカー)に入れた。水相を75℃まで加熱し、同温度に維持した。サイドポットにおいて、以下の実施例に記載される脂肪酸を、溶融のために75℃まで加熱し、75℃に維持されたメインビーカーに添加した。このシステムを75℃で5分間撹拌した。実施例で言及したような日焼け止め剤、他の油溶性成分、及び非イオン性界面活性剤を別個のビーカーに投入し、溶融のために65~70℃に加熱した。これらを十分に混合して、メインビーカーに添加した。75℃にて、さらに5分間撹拌を続けた。撹拌機及びヒーターのスイッチを切って、温度が周囲温度(25℃)に達するまで手動で混合した。
【0073】
In vitro SPF / UVA-PFの測定
薄膜透過率測定は、SPF‐290S SPFメータ(Optometrics Corporation)を用いて行った。この試験では、シェンバーグ社(Schoenberg GmbH & Co.)製の、6μmの粗さを有する70×70mmのPMMAプレートが使用された。種々の組成物の透過率(%)を以下のように測定した。試験試料2mg/cm2をPMMA板上に塗布し、シリンジを用いて均一に分配し、均一に分散させた。PMMAプレートの乾燥時間は30分であった。乾燥後、サンプルプレートをUV光に暴露し、透過率スキャンを記録した。この走査は、所与の試料について波長(290~400nm)の関数として透過率を与える。単一のプレートについて、6~8箇所の異なるスポットを走査した。同じことを3枚のプレートについて繰り返した。従って、報告されたデータは、18回の読み取りにわたる平均である。参照透過率スキャンは、ブランクプレートを用いて取得され、PMMAプレート上にはグリセリンを塗布したサンプルはなかった。透過率値を使用して、測定器に提供されたWin SPFソフトウェアを使用することにより、透過率値がSPF値に到達した。透過率値は、各組成物についてのUVAPF値を計算するために使用される。
【0074】
In-vivo SPF/UVAPF
表1に示される実施例にて説明される組成物を、適切な制御にて実行されるランダム抽出人間ボランティアにおいて試験した。簡潔には、各ボランティアについての最小紅斑用量(MED)及び最小持続型色素暗色化用量(MPPDD)を、サンプル(表1の組成物)適用前に推定した。試験サンプルは、SPF/UVAPFが知られている標準サンプルで盲検化した。必要量の試料(2mg/cm2)をボランティアの背部皮膚に適用した。サンプルは、シリンジを使用して均一に分配され、組成物の適用の容易さに依存する20~50秒の期間にわたって、フィンガーコットを使用して均一に適用された。各サンプルに対して、新しいフィンガーコットが使用される。サンプル適用後、対象をUVに暴露し、その用量は、MEDおよびMPPDD(各ボランティアに特異的)、並びに予想又は標的のSPF/UVAPFに基づいて計算される。暴露後、ボランティアは、紅斑およびMPPDDについて評価された。SPFの評価は、ISO Standard 24444: 2010を用いて実行された。UVAPFの評価は、ISO 24442:2011を用いて実行された。ここで報告されるデータは、5人のボランティアの平均である。
【表1】
【0075】
表1のデータによれば、HRを含有しない比較例(実施例A及びB;本発明によるものではない)と比較して、BMDM、OCR、脂肪酸、及び石鹸と共にHRを含む本発明による組成物(実施例1および2)を使用することで、改善されたUVAPFが得られることが示されている。
【0076】
さらに、データは、選択されたUVB日焼け止め剤、すなわちOCR(実施例1)がMCX(実施例C)の代わりに使用される場合にのみ、これらの組成物の両方において同じ量、すなわち0.5重量%のHRを含むにもかかわらず、改善されたUVAPFが得られることが示されている。従って、HRは、UVA有機日焼け止め剤、2-エチルヘキシル2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレート、脂肪酸、及び石鹸と組み合わせて使用される場合、改善されたUVAPFを提供する。この改善されたUVAPFは、OCRの代わりにMCXが存在する場合には得られなかった。
【0077】
表1のデータはまた、実施例B及びCの組成物中において、HRが含まれるか含まれないかは、UVAPFに影響を及ぼさないことを示している。
【0078】
驚くべきことに、UVAPFの改善は、使用されるHRの用量に依存しないことが見出された。実施例2(0.25重量% HR)から分かるように、17に等しいUVAPFが得られたが、実施例1(0.5重量% HR)は14に等しいUVAPFを示した。このような効果は、HRの濃度が濃度(2mM)まで増加することにつれて増加することが見出されたスーパーオキシド消光効力に基づくものと考えられる。その後、均一な露光条件下でのHR濃度の増加にもかかわらず、スーパーオキシド消光効率は低下した。
【0079】
UVAPF及びSPFに対する組成物中の石鹸の量の影響
表2に概説される組成物は、対照(石鹸なし)と比較して、組成物中の石鹸の存在の効果を示すものである。
【表2】
【0080】
表2のデータは、石鹸が本発明の組成物中に存在する場合、SPF並びにUVAPFを増強することを示す。
【0081】
さらに、以下の表3に示す追加の組成物を、先に記載したように調製し、UVAPF及びSPFを先に記載したように測定した。得られた結果は、以下の表3に示す通りであった。
【表3】
【0082】
表3のデータは、実施例6に示すようなパルミチン酸、又は実施例7に示すようなステアリン酸を組成物に使用した場合に、向上されたUVAPFが得られることを示す。
【0083】
表3のデータはまた、実施例8に示すようなBR、又は実施例9に示すようなERを組成物に使用した場合に、向上されたUVAPFが得られることを示す。
【0084】
結論として、本発明の日焼け止め組成物は、改善されたUVAPFを提供する。