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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-06
(45)【発行日】2023-10-17
(54)【発明の名称】方法
(51)【国際特許分類】
   A61Q 5/12 20060101AFI20231010BHJP
   A61K 8/03 20060101ALI20231010BHJP
【FI】
A61Q5/12
A61K8/03
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020564889
(86)(22)【出願日】2019-05-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-07
(86)【国際出願番号】 EP2019063982
(87)【国際公開番号】W WO2019233858
(87)【国際公開日】2019-12-12
【審査請求日】2022-03-29
(31)【優先権主張番号】18176639.5
(32)【優先日】2018-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】521042714
【氏名又は名称】ユニリーバー・アイピー・ホールディングス・ベスローテン・ヴェンノーツハップ
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】コーン,リンジー・ジョアン
(72)【発明者】
【氏名】ジャイルズ,コーリン・クリストファー・デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】グレンディ,ジェニファー・エイミー
(72)【発明者】
【氏名】グティエレス-アバド,ラケル
(72)【発明者】
【氏名】ラック,マティアス
【審査官】相田 元
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-522641(JP,A)
【文献】特表2013-529659(JP,A)
【文献】特表2011-524876(JP,A)
【文献】国際公開第2017/149212(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0129170(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面から組成物のすすぎ特性を予測する方法であって、該方法は以下の工程を含み:
i) 未希釈(neat)のトリートメント組成物を提供し;
ii) 未希釈トリートメント組成物の複数の水性希釈物を調製し;
iii) T-Bスピンドルおよびヘリパスを備えたブルックフィールド粘度計を用いる方法を使用して、0.5rpmおよび25℃で、未希釈トリートメント組成物およびトリートメント組成物の水性希釈液の粘度を測定し;
iv) 測定された粘度と未希釈トリートメント組成物のすすぎ特性とを相関させ;そして、
v) 未希釈トリートメント組成物のすすぎ特性を、表面から未希釈組成物をすすぐために使用される水の量と相関させてもよい、方法
【請求項2】
組成物がゲル組成物およびラメラ組成物から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
表面が毛髪表面であり、未希釈トリートメント組成物が未希釈ヘアトリートメント組成物である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
組成物がリンスオフ組成物である、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
組成物がヘアコンディショナーである、請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
ヘアコンディショナーがゲル相を含有する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
未希釈トリートメント組成物が粘度低下剤を含む、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
粘度低下剤が、疎水性に改質されたアニオン性ポリマーである、請求項に記載の方法。
【請求項9】
2~8の水性希釈液が使用される、請求項1~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
未希釈トリートメント組成物の粘度が、粘度低下剤の添加の前後で測定される、請求項7または8に記載の方法。
【請求項11】
第1の未希釈トリートメント組成物を使用して請求項1記載の方法を実施し、次いで第2の未希釈トリートメント組成物を使用して請求項1記載の方法を実施し、そして、第1および第2の未希釈トリートメント組成物の粘度を比較するステップを含む、請求項1~10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
第2の未希釈トリートメント組成物について工程(i)~(iv)を繰り返し、第1および第2の未希釈トリートメント組成物の粘度を比較して、第1および第2の未希釈トリートメント組成物のすすぎの相対速度を決定することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1および第2の未希釈トリートメント組成物を比較し、前記組成物の粘度および/またはすすぎ速度を、前記未希釈組成物を表面からすすぐために使用される水の量と相関させるステップを含む、請求項11または12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘアケアの分野において特定の用途を有する、組成物のすすぎ特性を決定するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表面上での使用のために配合された多くの製品は、使用中にすすぎ落とされるように設計されている。このような製品には、毛髪に使用するためのシャンプーおよびコンディショニング組成物が含まれる。これらは、毎日の洗浄およびケアプロセスのようなヘアケアレジメの一部として使用され得る。これらの製品は、しばしば、有益な薬剤、例えばシリコーンを毛髪表面に付着させる。他の残りの組成物は、毛髪が次に洗浄されるまで毛髪上に残る有益な薬剤を毛髪上に沈着させる。
【0003】
表面からの組成物のすすぎは重要な現象である。それは、消費者が製品の性能を知覚する方法、またはすすぎを停止するか継続するかについての決定を行う方法に影響を及ぼし得る。ヘアトリートメント組成物のすすぎ特性は消費者が彼/彼女の毛髪をすすぐ時間の長さに影響を及ぼし、したがって、消費者がリンスオフ製品を使用するときに使用する水の量に、事実上直接影響を及ぼす。
【0004】
発明者らは、消費者がコンディショナーを彼/彼女の毛髪からすすぐ場合、満足な一定レベルの滑らかな感触に達したときに、彼/彼女はすすぎを停止することを見出した(本明細書では「リンスされた摩擦プラトー」とも呼ばれる)。消費者がすすぎ洗いされた摩擦プラトーに早く到達することを可能にするように配合された組成物により、消費者がすすぎ洗いを停止し、それにより水のさらなる消費を防止する。
【0005】
先行技術にもかかわらず、信頼性があり、アクセス可能であり、迅速かつ容易に実施することができる組成物のすすぎ特性を決定するための方法が依然として必要とされている。
【0006】
本発明者らは、コンディショニングゲル相組成物が洗浄/ケアプロセスの間に毛髪に適用される場合、ゲル相が毛髪表面上に堆積されることを見出した。沈着したゲル相が水と接触すると(すすぎ工程の間)、ゲル相の構造は、毛髪から効率的に除去されるために破壊されなければならない。ゲル相の破壊が大きければ大きいほど、それは容易かつ迅速に除去され、そして事実上、すすぎを完了するのに必要な水は少なくなる。
【0007】
粘度は化粧品組成物の重要な特性であり、そのレオロジー構造によって決定される。構造が破壊されると、粘度が低下する。本発明者らは、化粧品組成物のすすぎ特性が水との接触時に粘度に生じる変化に関連し、粘度が低下することにつれてすすぎ速度が増加することを見出した。
【0008】
本発明者らは、化粧品組成物を表面に適用すると、そのレオロジー構造が高いことを見出した。水が添加されると、すすぎプロセスにおいて、構造が分解し始め、組成物は表面に対して実質的でなくなり、表面から除去される。破壊が進行することにつれて、表面からの除去速度は増加する。
【0009】
本発明者らはさらに、レオロジー構造、例えばゲル相への破壊が、水での希釈時に生じるその粘度の低下によって測定され得ることを見出した。任意の所与の量の水について、粘度減少の程度は、それが表面からいかに迅速かつ容易に除去されるかに直接関係する。したがって、表面から化粧品組成物をすすぐのに必要な水の量は、水と接触したときの組成物の粘度減少速度に直接関係する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
これらの知見に基づく方法は、組成物のすすぎ特性を予測する、信頼性があり、アクセス可能な方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
第1の態様では、本発明は、表面から組成物のすすぎ特性を予測する方法を提供し、該方法は、以下の工程を含む:
i) ニート(neat)化粧トリートメント組成物を提供し;
ii) ニートトリートメント組成物の一連の水性希釈物を調製し;
iii) T-Bスピンドルおよびヘリパスを備えたブルックフィールド粘度計のような適切な方法を使用して、0.5rpmおよび25℃で、ニートトリートメント組成物およびトリートメント組成物の水性希釈液の粘度を測定し;
iv) 測定された粘度とニートトリートメント組成物のすすぎ特性とを相関させ;
v) 必要に応じて、ニートトリートメント組成物のすすぎ特性を、表面からニート組成物をすすぐために使用される水の量と相関させる。
【0012】
発明の概要
方法
本発明の方法では、組成物のすすぎ特性に関連する組成物の粘度を測定する。すすぎ特性は、表面から組成物をすすぐのに必要な水の量に関連する。
【0013】
組成物は化粧品組成物である。化粧品組成物、例えばパーソナルケア組成物は、人体、特に皮膚または毛髪への適用を意図する。好ましくは、組成物は、毛髪組成物(例えば、毛髪クレンジング組成物、毛髪コンディショニング組成物またはヘアスタイリング組成物)および皮膚組成物(例えば、皮膚クレンジング組成物または皮膚コンディショニング組成物)から選択される。
【0014】
本発明の好ましい方法は、以下の工程を含む:
i) ニートのヘアトリートメント組成物を提供し;
ii) ニートのヘアトリートメント組成物の一連の水性希釈物を調製し;
iii) ニートヘアトリートメント組成物およびトリートメント組成物の水性希釈物の粘度を測定し;
iv) 測定された粘度を、ニートのヘアトリートメント組成物のすすぎ特性と相関させ;そして、
v) 必要に応じて、ニートのヘアトリートメント組成物のすすぎ特性を、毛髪表面からニートヘア組成物をすすぐために使用される水の量と相関させる。
【0015】
有利には、本発明の方法は、粘度、即ち、異なる組成物のすすぎ特性、例えば、組成物への改変が実施される前後の組成物を比較するために使用され得る。これは、第1のニートトリートメント組成物を使用して方法を実施し、次いで、第2のニートトリートメント組成物を使用して方法を実施することによって達成される。
【0016】
好ましくは、この方法は、第2のニートトリートメント組成物について工程(i)~(iv)を繰り返し、第1および第2のニートトリートメント組成物の粘度を比較して、第1および第2のニートトリートメント組成物のすすぎの相対速度を決定することを含む。希釈時の粘度の低下が大きい組成物は、表面からより速くすすがれる。
【0017】
好ましくは、この方法は、第1および第2のニートトリートメント組成物を比較し、組成物の粘度および/またはすすぎ速度を、表面からニート組成物をすすぐために使用される水の量と相関させる工程を包含する。希釈時の粘度の減少がより大きい組成物、またはすすぎの速度がより大きい組成物は、表面からすすぐのに必要な水がより少ないであろう。
【0018】
組成物
組成物は、好ましくはリンスオフ組成物として処方される。
【0019】
好ましくは、組成物は構造化されている。構造化とは、その分子配向がゲル相またはラメラ相を形成することを意味する。
【0020】
組成物は、好ましくはヘアトリートメント組成物である。
【0021】
本発明で使用するためのリンスオフヘアトリートメント組成物は、好ましくはシャンプーおよびコンディショナーから選択され、最も好ましくはコンディショナーである。
【0022】
本発明の方法において使用するための組成物は、好ましくは毛髪のトリートメント(典型的にはシャンプー後)およびその後のすすぎのためのコンディショナーとして処方される。
【0023】
好ましいコンディショナーは、コンディショニングベースを含む。コンディショニングベースは、好ましくはゲル相を形成する。
【0024】
本発明の方法において使用するためのトリートメント組成物は、好ましくはコンディショニング剤を含む。コンディショニング剤は、好ましくはカチオン性界面活性剤から選択され、単独でまたは混合して使用される。
【0025】
本発明の方法に使用するための組成物に有用なカチオン性界面活性剤は、水性組成物に溶解した場合に正に荷電するアミノまたは第四級アンモニウム親水性部分を含有する。
【0026】
適切なカチオン性界面活性剤の例は、以下の式に対応し
[N(R)(R)(R)(R)](X)
ここで、R、R、RおよびRは、(a)1~22個の炭素原子の脂肪族基、または(b)22個までの炭素原子を有する、芳香族、アルコキシ、ポリオキシアルキレン、アルキルアミド、ヒドロキシアルキル、アリールまたはアルキルアリール基から独立に選択され;そして、Xは、ハロゲン(例えば、塩化物、臭化物)、酢酸、クエン酸、乳酸、グリコール酸、リン酸、硝酸、硫酸、およびアルキル硫酸ラジカルから選択されるもののような塩形成アニオンである。
【0027】
脂肪族基は、炭素および水素原子に加えて、エーテル結合、およびアミノ基などの他の基を含有することができる。より長い鎖の脂肪族基、例えば、約12以上の炭素のものは、飽和または不飽和であり得る。
【0028】
本発明の方法に使用するための組成物に最も好ましいカチオン性界面活性剤は、アルキル鎖長が、C~C14のモノアルキル四級アンモニウム化合物である。
【0029】
このような材料の適切な例は、以下の式に対応し
[N(R)(R)(R)(R)](X)
ここで、Rは、8~14個の炭素原子を有する炭化水素鎖、又は8~14個の炭素原子を有し、置換基として又はラジカル鎖中に結合として存在するエーテル、エステル、アミド又はアミノ部分を含む官能化ヒドロカルビル鎖であり、そして、R、R及びRは、(a)1~14個の炭素原子のヒドロカルビル鎖、又は(b)1~4個の炭素原子を有し、置換基として又はラジカル鎖中に結合として存在する1個以上の芳香族、エーテル、エステル、アミド又はアミノ部分を含む官能化ヒドロカルビル鎖、から独立して選択され、そして、Xは、ハロゲン(例えば、塩化物、臭化物)、酢酸、クエン酸、乳酸、グリコール酸、リン酸、硝酸、硫酸及びアルキル硫酸ラジカルから選択されるもののような塩形成アニオンである。
【0030】
官能化ヒドロカルビル鎖(b)は、適切にはアルコキシ(好ましくはC-Cアルコキシ)、ポリオキシアルキレン、アルキルエステル、およびこれらの組み合わせから選択される1以上の親水性部分を含み得る。
【0031】
好ましくは、炭化水素鎖Rは、12~14個の炭素原子、最も好ましくは12個の炭素原子を有する。それらは、所望のヒドロカルビル鎖長を有するかなりの量の脂肪酸を含有する原料油から誘導され得る。例えば、パーム核油またはヤシ油からの脂肪酸は、C~C12のヒドロカルビル鎖源として使用することができる。
【0032】
本発明の方法に使用するための組成物に使用するための上記一般式の典型的なモノアルキル四級アンモニウム化合物は、以下を含む:
(i) ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド(AkzoからArquad C35として市販されている);ココジメチルベンジルアンモニウムクロリド(AkzoからArquad DMCB-80として市販されている)
(ii) 以下の式の化合物
[N(R)(R)((CHCHO)H)((CHCHO)H](X)
ここで、x+yは2~20の整数であり;
は、8~14個、好ましくは12~14個、最も好ましくは12個の炭素原子を有し、置換基または基鎖中の結合として存在するエーテル、エステル、アミドまたはアミノ部分を含むヒドロカルビル鎖であり;
は、C-Cアルキル基またはベンジル基、好ましくはメチルであり、そして、
Xは、ハロゲン(例えば、塩化物、臭化物)、酢酸、クエン酸、乳酸、グリコール酸、リン酸硝酸、硫酸、メト硫酸およびアルキル硫酸ラジカルから選択されるもののような塩形成アニオンである。
【0033】
好適な例は、PEG-nラウリルアンモニウムクロリド(nはPEG鎖長である)、例えばPEG-2ココモニウムクロリド(Akzo NobelからEthoquad C12として市販されている);PEG-2ココベンジルアンモニウムクロリド(Akzo NobelからEthoquad CB12として市販されている);PEG-5ココモニウムメトスルフェート(RewoからRewoquat CPEM EMとして市販されている);PEG-15ココモニウムクロリド(AkzoからEthoquad C/25として市販されている)であり、
【0034】
(iii) 以下の式の化合物
[N(R)(R)(R)((CHOH)](X)
式中、
nは、1~4の整数であり、好ましくは2であり;
は、8~14個、好ましくは12~14個、最も好ましくは12個の炭素原子を有するヒドロカルビル鎖であり;
およびRは、C-Cアルキル基から独立して選択され、好ましくはメチルであり、そして、
Xは、ハロゲン(例えば、塩化物、臭化物)、酢酸、クエン酸、乳酸、グリコール酸、リン酸硝酸、硫酸、アルキル硫酸ラジカルから選択されるもののような塩形成アニオンである。
【0035】
適切な例は、ラウリルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリド(ClariantからPrapagen HYとして市販されている)である。
【0036】
前述のカチオン性界面活性剤化合物のいずれかの混合物も好適であり得る。
【0037】
本発明の方法において使用するための毛髪組成物において使用するための適切なカチオン性界面活性剤の例としては、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ベフェニルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルピリジニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムクロリド、オクチルトリメチルアンモニウムクロリド、ドデシルトリメチルトリメチルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、オクチルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、デシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ステアリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ジドデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド、獣脂トリメチルアンモニウムクロリド、ココトリメチルアンモニウムクロリド、およびそれらの対応する水酸化物を含む。さらに適切なカチオン性界面活性剤には、CTFA指定Quaternium-5、Quaternium-31およびQuaternium-18を有する材料が含まれる。前述の材料の任意の混合物も好適であり得る。特に有用なカチオン性界面活性剤は、例えば、HenkelからDEHYQUARTとして市販されているセチルトリメチルアンモニウムクロリドである。
【0038】
カチオン性界面活性剤のレベルは、好ましくは全組成物の0.01~10、より好ましくは0.05~5、最も好ましくは0.1~2重量%である。
【0039】
好ましいコンディショナーは、コンディショニングゲル相を含む。このようなコンディショナーおよびその製造方法は、WO2014/016354、WO2014/016353、WO2012/016352およびWO2014/016351に記載されている。
【0040】
コンディショニング組成物はまた、他の任意成分を含んでもよい。このような成分としては、脂肪材料、沈着ポリマーおよびさらなるコンディショニング剤を含み、これらに限定されない。
【0041】
コンディショナー組成物は、好ましくは脂肪材料をさらに含む。コンディショニング組成物における脂肪材料およびカチオン性界面活性剤の組み合わせ使用は、カチオン性界面活性剤が分散される構造化されたラメラ相または液晶相の形成をもたらすので、特に有利であると考えられる。
【0042】
「脂肪材料」とは、脂肪アルコール、アルコキシル化脂肪アルコール、脂肪酸またはそれらの混合物を意味する。
好ましくは、脂肪材料のアルキル鎖は完全に飽和している。
【0043】
代表的な脂肪材料は、8~22個の炭素原子、より好ましくは16~22個の炭素原子を含む。適切な脂肪アルコールの例としては、セチルアルコール、ステアリルアルコールおよびそれらの混合物を含む。これらの材料の使用は、それらが組成物の全体的なコンディショニング特性に寄与するという点でも有利である。
【0044】
アルキル鎖中に約12~約18個の炭素原子を有するアルコキシル化(例えば、エトキシル化またはプロポキシル化)脂肪アルコールは、脂肪アルコール自体の代わりにまたはそれに加えて、使用することができる。適切な例としては、エチレングリコールセチルエーテル、ポリオキシエチレン(2)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(4)セチルエーテル、およびそれらの混合物を含む。
【0045】
コンディショナー中の脂肪材料のレベルは、適切には組成物全体の0.01~15重量%、好ましくは0.1~10重量%、より好ましくは0.1~5重量%である。カチオン性界面活性剤対脂肪アルコールの重量比は、適切には10:1~1:10、好ましくは4:1~1:8、最適には1:1~1:7、例えば1:3である。
【0046】
さらなるコンディショニング成分としては、脂肪アルコールおよび脂肪酸(例えば、パルミチン酸セチル)のエステルを含む。
【0047】
本発明で使用するためのコンディショニング組成物は、好ましくはミセル構造の液体を含むことができる。
【0048】
本組成物を含むコンディショナーのpHは、好ましくは3~5である。より好ましくは、組成物のpHは4.5~5.5である。
【0049】
粘度低下剤
好ましくは、本発明の方法は、粘度を低下させるために、ニートトリートメント組成物に粘度低下剤を添加する工程を含む。
【0050】
好ましい粘度低下剤は、疎水的に修飾されたアニオン性ポリマーである。
好ましくは、疎水的に修飾されたアニオン性ポリマーは、アクリレートまたはメタクリレートポリマーである。
【0051】
好ましくは、疎水性修飾はアルキル化を含む。好ましくは、アルキル基は、6~30個の炭素、より好ましくはC12~C30であり、さらにより好ましくは16~28個、最も好ましくは18~24個の炭素を含む。
【0052】
好ましいポリマーは、商標名AculynでRohm&Haasにより販売されており、そのうち最も好ましいものはAculyn 28(商標)である。
【0053】
ポリマーは、ヘアトリートメント組成物の総重量に対して、好ましくは0.01~5重量%、より好ましくは0.02~0.5重量%、さらにより好ましくは0.03~4重量%、最も好ましくは0.05~4重量%のレベルで添加される。
【0054】
好ましくは、本発明の方法は、粘度低下剤の添加の前後に粘度を測定する追加の工程を含む。
【0055】
水性希釈液
好ましくは、少なくとも2の希釈が使用され、より好ましくは2~8の希釈が使用される。
好ましくは、1/2希釈および1/4希釈が使用される。
希釈された組成物は、好ましくは希釈の所望のレベルまでニートの組成物を水と混合することによって調製される。
【0056】
好ましくは、水を各量の添加後に混合しながら、少量でニート組成物に添加される。
水の添加速度、ならびに混合の量および速度は、一連の希釈組成物について一貫していなければならない。
好ましくは、希釈は、例えば粘度が測定される前に1時間放置することによって平衡化させる。
【0057】
本発明の方法に従って2つ以上の組成物を比較する場合、各組成物について一貫した混合および水の添加速度を守るべきである。
【0058】
粘度測定
ニートの組成物および希釈された組成物の粘度を測定する任意の適切な方法を使用することができる。例えば、0.5rpmおよび25℃で、T-Bスピンドルおよびヘリパスを備えたブルックフィールド粘度計のような適切な方法を使用する。
【0059】
測定粘度の相関
本発明者らは、コンディショニングゲル相組成物が洗浄/ケアプロセスの間に毛髪に適用される場合、ゲル相が毛髪表面上に堆積されることを見出した。沈着したゲル相が水と接触すると(すすぎ工程の間)、ゲル相の構造は、毛髪から効率的に除去されるために破壊されなければならない。ゲル相への破壊が大きければ大きいほど、それは容易かつ迅速に除去され、そして事実上、すすぎを完了するのに必要な水は少なくなる。
【0060】
粘度は化粧品組成物の重要な特性であり、そのレオロジー構造によって決定される。構造が破壊されると、粘度は低下する。本発明者らは、化粧品組成物のすすぎ特性が、水との接触時に粘度に生じる変化によって影響されることを見出した。
【0061】
本発明者らは、化粧品組成物を表面に適用すると、そのレオロジー構造が高いことを見出した。水が添加されると、すすぎプロセスにおいて、その構造が分解し始め、組成物は表面に対して実質的でなくなり、表面から除去される。破壊が進行することにつれて、表面からの除去速度は増加する。
【0062】
本発明者らはさらに、レオロジー構造、例えばゲル相への破壊は、水での希釈時に生じるその粘度の低下によって測定され得ることを見出した。任意の所与の量の水について、粘度減少の程度は、それが表面からいかに迅速かつ容易に除去されるかに直接関係する。したがって、表面から化粧品組成物をすすぐのに必要な水の量は、水と接触したときの組成物の粘度低下の速度に直接関連する。
【0063】
測定された粘度は、組成物のすすぎ特性に関連する。例えば、表面からどれくらい迅速に、どれくらい容易に除去されるかである。粘度が低ければ低いほど、表面から除去することが容易かつ迅速になる。それが表面から除去されると、消費者はすすぎを止め、それによって水のさらなる消費を防ぐ。したがって、これは、組成物を表面からすすぐのに必要な水の量と相関させることができる。
【0064】
好ましくは、表面は毛髪表面である。
【0065】
コンディショニングゲル相組成物が洗浄/ケアプロセスの間に毛髪に適用される場合、ゲル相は、毛髪表面上に堆積される。沈着したゲル相が水と接触すると(すすぎ工程の間)、ゲル相の構造は、毛髪から効率的に除去されるために破壊されなければならない。このゲル相への破壊は、その粘度に影響を及ぼす。従って、水で希釈すると粘度の低下が起こる。ゲル相への破壊が大きければ大きいほど、それは容易かつ迅速に除去され、そして事実上、すすぎを完了するのに必要な水は少なくなる。従って、任意の所定量の水について、粘度減少の程度は、それが毛髪からどれくらい迅速かつ容易に除去されるかを示す。これは、毛髪からコンディショニング組成物をすすぐために使用される水の量と相関する。
【実施例
【0066】
以下の実施例において、本発明の実施形態を説明する。
【0067】
実施例1:組成物A、BおよびC

以下のヘアコンディショナー組成物を調製した。
【表1】
【0068】
コンディショナーは、以下の方法を用いて調製した:
コンディショナーA
1. 水を適当な容器に添加し、乳酸およびコポリマーを添加し、容器を80℃に加熱した。
2. 次に、セテアリルアルコールを第三アミン塩(ステアラミドプロピルジメチルアミン)と共に製剤に添加した。
3. 80℃で、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド(BTAC)を添加し、得られた混合物を不透明で濃厚になるまで混合した。
4.次に、加熱を止め、クエンチ水を加えた。
5.次いで、混合物を40℃未満に冷却し、芳香剤を含む残りの材料を添加した。
6.最後に、製剤をSilversonミキサーで5000rpmで5分間高剪断で混合した。
【0069】
コンディショナーB及びC
・ 約35重量%の水を65~70℃に加熱した後、ステアラミドプロピルジメチルアミンを加え、完全に溶解するまで混合した。
・ 次いで、ポリマーであるAculyn 28を、高剪断で添加した。
・ 別に、ベヘニルトリメチルクロリド、セテアリルアルコール、ステアリン酸(および存在する場合にはパラフィン)を一緒に溶融し、得られた溶融混合物を水相に添加した。
・ 残りの水を、混合物を40~45℃に冷却しながら添加した後、コンディショニングシリコーン、芳香剤および防腐剤を添加した。
【0070】
実施例2:希釈下での組成物A、BおよびCの粘度
以下の実施例では、粘度測定を、上記で調製したニート組成物の水性希釈物について行った。
【0071】
試料は、T-AスピンドルおよびRV5を有するブルックフィールド粘度計を用いて測定した。
【0072】
試料は、以下のように150g希釈液として調製した:
組成物(例えば、1/2希釈について75g)をビーカーに添加した。次いで、水(1/2希釈物について75g)を、均一になるまで混合しながら少量添加した。
Brookfield粘度計で測定する前に、試料を1時間放置して平衡化させた。
【0073】
このようにして、一連の希釈物を調製した(一貫した混合および全体にわたる水の添加速度を確実にする)。
【0074】
サンプルは、Brookfield RVDV-II+粘度計を使用して、以下の条件で測定した:T-Aバースピンドル:0.5rpm;60秒測定;サンプル当たり5反復。
【0075】
結果を次の表に示す:
【表2】
【0076】
コンディショニングゲル相組成物が洗浄/ケアプロセスの間に毛髪に適用される場合、ゲル相は、毛髪表面上に堆積される。沈着したゲル相が水と接触すると(すすぎ工程の間)、ゲル相の構造は、毛髪から効率的に除去されるために破壊されなければならない。ゲル相への破壊が大きければ大きいほど、それは容易かつ迅速に除去され、そして事実上、すすぎを完了するのに必要な水は少なくなる。組成物ゲル相への破壊は、水で希釈するとその粘度が低下することによって示される。
【0077】
任意の所与の量の水について、粘度減少の程度は、それが毛髪からどれくらい迅速かつ容易に除去されるかを示す。これは、毛髪からコンディショニング組成物をすすぐために使用される水の量と相関する。
【0078】
したがって、異なる組成物のすすぎ特性を区別することができることが分かるのであろう。