(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-06
(45)【発行日】2023-10-17
(54)【発明の名称】撮像装置組立体、3次元形状測定装置及び動き検出装置
(51)【国際特許分類】
G01B 11/00 20060101AFI20231010BHJP
G01B 11/25 20060101ALI20231010BHJP
G01C 3/06 20060101ALI20231010BHJP
【FI】
G01B11/00 H
G01B11/25 H
G01C3/06 110A
(21)【出願番号】P 2020566398
(86)(22)【出願日】2020-01-10
(86)【国際出願番号】 JP2020000628
(87)【国際公開番号】W WO2020149226
(87)【国際公開日】2020-07-23
【審査請求日】2022-12-28
(31)【優先権主張番号】P 2019004853
(32)【優先日】2019-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】弁理士法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浜口 雄一
【審査官】信田 昌男
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/98400(WO,A1)
【文献】特開2013-207321(JP,A)
【文献】特開2002-164529(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00 - 11/30
G01C 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を照射する光源、
撮像装置、並びに、
光源及び撮像装置を制御する制御装置、
を備えており、
撮像装置は、複数の撮像素子から構成されており、
各撮像素子は、
受光部、
第1電荷蓄積部及び第2電荷蓄積部、並びに、
制御装置の制御下、受光部に蓄積された電荷の第1電荷蓄積部への転送を制御する第1電荷転送制御手段、及び、受光部に蓄積された電荷の第2電荷蓄積部への転送を制御する第2電荷転送制御手段、
から構成されており、
第1動作モードで動作させられる撮像装置組立体。
ここで、第1動作モードにあっては、
制御装置の制御下、撮像素子は、第1期間において、光源から出射された高輝度光に基づき被写体を撮像して、受光部において得られた第1画像信号電荷を第1電荷蓄積部に蓄積し、第2期間において、低輝度光に基づき被写体を撮像して、受光部において得られた第2画像信号電荷を第2電荷蓄積部に蓄積し、
制御装置は、第1電荷蓄積部に蓄積された第1画像信号電荷と、第2電荷蓄積部に蓄積された第2画像信号電荷との差分に基づき、画像信号を得る。
【請求項2】
光源から出射される高輝度光は参照光パターンであり、
制御装置は、得られた画像信号に基づき、被写体までの距離を求め、又は、被写体の外形形状を求め、又は、被写体までの距離及び被写体の外形形状を求める請求項1に記載の撮像装置組立体。
【請求項3】
制御装置は、得られた画像信号から、三角測量に基づき、被写体までの距離を求め、又は、被写体の外形形状を求め、又は、被写体までの距離及び被写体の外形形状を求める請求項2に記載の撮像装置組立体。
【請求項4】
更に、第2動作モードで動作させられる請求項1に記載の撮像装置組立体。
ここで、第2動作モードにあっては、
制御装置の制御下、撮像素子は、第3期間及び第4期間に跨がる第5期間において光源から出射された光に基づき被写体を撮像して、第3期間にあっては、受光部において得られた第3画像信号電荷を第1電荷蓄積部に蓄積し、第4期間にあっては、受光部において得られた第4画像信号電荷を第2電荷蓄積部に蓄積し、
制御装置は、第1電荷蓄積部に蓄積された第3画像信号電荷と、第2電荷蓄積部に蓄積された第4画像信号電荷とに基づき、撮像装置から被写体までの距離を求める。
【請求項5】
第3画像信号電荷をQ
3、第4画像信号電荷をQ
4、cを光速、T
Pを第3期間及び第4期間の時間としたとき、撮像装置から被写体までの距離Dは、
D=(c・T
P/2)×Q
4/(Q
3+Q
4)
に基づき求められる請求項4に記載の撮像装置組立体。
【請求項6】
制御装置は、第1動作モードから第2動作モードへの切り替え、第2動作モードから第1動作モードへの切り替えを行う請求項4に記載の撮像装置組立体。
【請求項7】
制御装置は、第1動作モードに基づき第1のデプスマップを作成し、第2動作モードに基づき第2のデプスマップを作成し、第1のデプスマップと第2のデプスマップとを合成する請求項4に記載の撮像装置組立体。
【請求項8】
制御装置は、撮像装置の所望の領域において第1動作モードを動作させ、撮像装置の他の所望の領域において第2動作モードを動作させる請求項4に記載の撮像装置組立体。
【請求項9】
制御装置は、第1動作モードに基づき求められた被写体までの距離に基づき、第2動作モードに基づき求められる被写体までの距離を校正する請求項4に記載の撮像装置組立体。
【請求項10】
制御装置は、第2動作モードに基づき求められた被写体までの距離に基づき、第1動作モードに基づき求められる被写体までの距離を校正する請求項4に記載の撮像装置組立体。
【請求項11】
制御装置は、第2動作モードに基づき求められた被写体までの距離に不連続状態が認められたとき、第1動作モードに切り替えて被写体までの距離を求める請求項4に記載の撮像装置組立体。
【請求項12】
制御装置は、第2動作モードに基づき求められた被写体までの距離が所定の値未満のとき、第1動作モードに切り替えて被写体までの距離を求める請求項4に記載の撮像装置組立体。
【請求項13】
制御装置は、第1動作モードに基づき求められた被写体までの距離が所定の値以上のとき、第2動作モードに切り替えて被写体までの距離を求める請求項4に記載の撮像装置組立体。
【請求項14】
撮像装置を1つ備えている請求項1に記載の撮像装置組立体。
【請求項15】
撮像装置はアクティブステレオ撮像装置から構成されている請求項1に記載の撮像装置組立体。
【請求項16】
請求項1乃至請求項15のいずれか1項に記載の撮像装置組立体を備えた3次元形状測定装置。
【請求項17】
演算装置を更に備えており、
演算装置は、画像信号から被写体の3次元形状を算出する請求項16に記載の3次元形状測定装置。
【請求項18】
請求項1乃至請求項15のいずれか1項に記載の撮像装置組立体を備えた動き検出装置。
【請求項19】
演算装置を更に備えており、
演算装置は、画像信号から被写体の3次元形状を算出し、算出した3次元形状から被写体の特徴点を抽出して被写体の特徴点の位置を算出し、算出した特徴点の位置の変化から被写体の動きを検出する請求項18に記載の動き検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、撮像装置組立体、3次元形状測定装置及び動き検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被写体までの距離を計測したり、被写体の3次元形状を非接触で計測する方法として、2つの撮像装置を並置して三角測量の原理で計測を行うステレオ法や、1つの光源と1つの撮像装置とを並置して計測を行うストラクチャードライト法が周知である(例えば、WO2016/098400A1参照)。ストラクチャードライト法においては、具体的には、例えばレーザ装置から成る光源から赤外線に基づく参照光パターンを出射し、参照光パターンを被写体に照射する。参照光パターンとして、例えば、ライン・アンド・スペース状パターン、格子状パターン、ドット状パターンを挙げることができる。そして、参照光パターンで照射されている被写体を撮像装置で撮像する。ここで、
図9Aに概念図を示すように、光源と撮像装置との間の距離(基線の長さ)をL、被写体を照射する出射光(光ビーム)と基線との成す角度をα、出射光が衝突する被写体の部分と撮像装置を結ぶ直線と基線との成す角度をβとし、光源が座標系の原点(0,0)に配置され、光ビームが衝突する被写体の部分の座標を(x,y)としたとき、(x,y)は以下の式(A)で表される。また、ステレオ法は、2つの撮像装置を使用し、ストラクチャードライト法における光源を一方の撮像装置で置き換えた方法であるが、
図9Bに概念図を示すように、光源を、別途、配置した構成を有する方法(アクティブステレオ法)も考えられる。
【0003】
x=L・tan(β)/{tan(α)+tan(β)}
y=L・tan(β)・tan(α)/{tan(α)+tan(β)} (A)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ストラクチャードライト法やアクティブステレオ法においては、被写体に照射されている参照光パターンを撮像装置によって画像データとして得なければならない。然るに、環境光(太陽光や屋内の照明等)の影響によって、被写体に照射されている参照光パターンの画像データを得難いといった問題が屡々発生する。撮像装置の感度を増加させても、環境光に対する撮像装置の感度も増加するため、抜本的な解決にはならない。フィルターを用いて、光源から出射される光の波長と同じ波長を有する光を環境光から除去する方法も考えられるが、フィルターの帯域に限界があり、このような光を環境光から高効率に除去することは困難である。光源の輝度を増加させる手法では、光源における消費電力の増加や、場合によっては、参照光パターンが視認されてしまうといった問題がある。
【0006】
従って、本開示の目的は、簡素な構成、構造であるにも拘わらず、環境光に左右されずに画像データを確実に得ることを可能とする撮像装置組立体、並びに、係る撮像装置組立体を用いた3次元形状測定装置及び動き検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための本開示の撮像装置組立体は、
被写体を照射する光源、
撮像装置、並びに、
光源及び撮像装置を制御する制御装置、
を備えており、
撮像装置は、複数の撮像素子から構成されており、
各撮像素子は、
受光部、
第1電荷蓄積部及び第2電荷蓄積部、並びに、
制御装置の制御下、受光部に蓄積された電荷の第1電荷蓄積部への転送を制御する第1電荷転送制御手段、及び、受光部に蓄積された電荷の第2電荷蓄積部への転送を制御する第2電荷転送制御手段、
から構成されており、
第1動作モードで動作させられる。
【0008】
ここで、第1動作モードにあっては、
制御装置の制御下、撮像素子は、第1期間TP1において、光源から出射された高輝度光に基づき被写体を撮像して、受光部において得られた第1画像信号電荷を第1電荷蓄積部に蓄積し、第2期間TP2において、低輝度光に基づき被写体を撮像して、受光部において得られた第2画像信号電荷を第2電荷蓄積部に蓄積し、
制御装置は、第1電荷蓄積部に蓄積された第1画像信号電荷と、第2電荷蓄積部に蓄積された第2画像信号電荷との差分に基づき、画像信号を得る(生成する)。
【0009】
上記の目的を達成するための本開示の3次元形状測定装置は、本開示の撮像装置組立体を備えている。
【0010】
上記の目的を達成するための本開示の動き検出装置は、本開示の撮像装置組立体を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1A及び
図1Bは、実施例1の撮像装置組立体を構成する撮像素子の動作を説明するための撮像素子の概念図であり、
図1Cは、実施例1の撮像装置組立体を構成する撮像素子の第1動作モードにおける経時的な動作を説明するための図である。
【
図2】
図2Aは、実施例1の撮像装置組立体の概念図であり、
図2Bは、実施例2の撮像装置組立体の概念図である。
【
図3】
図3A及び
図3Bは、それぞれ、実施例1の撮像装置組立体において、第1画像信号電荷を取得する状態及び第2画像信号電荷を取得する状態を模式的に示す図である。
【
図4】
図4A及び
図4Bは、それぞれ、実施例2の撮像装置組立体において、第1画像信号電荷を取得する状態及び第2画像信号電荷を取得する状態を模式的に示す図である。
【
図5】
図5は、実施例4の撮像装置組立体を構成する撮像素子の第2動作モードにおける経時的な動作を説明するための図である。
【
図7】
図7A及び
図7Bは、1撮像フレーム当たりの撮像時間T
1,T
2を模式的に示す図である。
【
図8】
図8A及び
図8Bは、1撮像フレーム当たりの撮像時間T
1,T
2を模式的に示す図である。
【
図9】
図9A及び
図9Bは、それぞれ、ストラクチャードライト法及びアクティブステレオ法を説明するための撮像装置等の配置を示す概念図である。
【
図10】
図10は、光が壁によって反射される結果、複数の反射光が発生し、測定距離の値に不連続あるいは異常が発生する状態を模式的に説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、実施例に基づき本開示を説明するが、本開示は実施例に限定されるものではなく、実施例における種々の数値や材料は例示である。尚、説明は、以下の順序で行う。
1.本開示の撮像装置組立体、本開示の3次元形状測定装置、本開示の動き検出装置全般に関する説明
2.実施例1(本開示の撮像装置組立体、本開示の3次元形状測定装置、及び、本開示の動き検出装置全般)
3.実施例2(実施例1の変形)
4.実施例3(実施例1~実施例2の変形)
5.実施例4(実施例1~実施例3の変形)
6.その他
【0013】
〈本開示の撮像装置組立体、本開示の3次元形状測定装置、本開示の動き検出装置全般に関する説明〉
本開示の撮像装置組立体、あるいは又、本開示の3次元形状測定装置、本開示の動き検出装置に備えられた本開示の撮像装置組立体を、総称して、『本開示の撮像装置組立体等』と呼ぶ場合がある。第2期間TP2においては低輝度光に基づき被写体を撮像するが、光源から出射された低輝度光に基づき被写体を撮像する形態、及び、光源から出射された光ではなく、即ち、光源は不動作状態であり、外光(環境光)に基づき被写体を撮像する形態が包含される。第1期間TP1において光源から出射された高輝度光に基づき被写体を撮像する状態を、便宜上、『高輝度光照射状態』と呼び、第2期間TP2において低輝度光に基づき被写体を撮像するとき状態を、便宜上、『低輝度光照射状態』と呼ぶ。
【0014】
本開示の撮像装置組立体等において、
光源から出射される高輝度光は参照光パターンであり、
制御装置は、得られた画像信号に基づき、被写体までの距離を求め、又は、被写体の外形形状を求め、又は、被写体までの距離及び被写体の外形形状を求める形態とすることができる。そして、この場合、制御装置は、得られた画像信号から、三角測量(具体的には、ストラクチャードライト法あるいはアクティブステレオ法)に基づき、被写体までの距離を求め、又は、被写体の外形形状を求め、又は、被写体までの距離及び被写体の外形形状を求める形態とすることができる。尚、低輝度光照射状態において光源は参照光パターンを出射していない状態とされてもよいし、参照光パターンを出射している状態とされてもよい。
【0015】
光源から出射される参照光パターンの輝度(光源の発する光の光量)は、各種の試験を行い、適宜、決定すればよい。あるいは又、使用者が、例えば、屋外モード/屋内モードの切り替えを行うことで、光源から出射される参照光パターンの輝度(光源の発する光の光量)を、切り替え、あるいは、変化させてもよい。尚、低輝度光照射状態において、光源を動作状態(即ち、参照光パターンを出射している状態)としても、高輝度光照射状態/低輝度光照射状態を適切に選択すれば、第1画像信号電荷と第2画像信号電荷との差分を算出することで、画像信号から環境光の影響を除去することができる。
【0016】
以上に説明した各種の好ましい形態を含む本開示の撮像装置組立体等にあっては、更に、第2動作モードで動作させられる形態とすることができる。ここで、第2動作モードにあっては、
制御装置の制御下、撮像素子は、第3期間TP3及び第4期間TP4に跨がる第5期間TP5において光源から出射された光に基づき被写体を撮像して、第3期間TP3にあっては、受光部において得られた第3画像信号電荷を第1電荷蓄積部に蓄積し、第4期間TP4にあっては、受光部において得られた第4画像信号電荷を第2電荷蓄積部に蓄積し、
制御装置は、第1電荷蓄積部に蓄積された第3画像信号電荷と、第2電荷蓄積部に蓄積された第4画像信号電荷とに基づき、撮像装置から被写体までの距離を求める。そして、この場合、第3画像信号電荷をQ3、第4画像信号電荷をQ4、cを光速、TPを第3期間TP3及び第4期間TP4の時間としたとき、撮像装置から被写体までの距離Dは、
D=(c・TP/2)×Q4/(Q3+Q4)
に基づき求められる構成とすることができる。尚、これらの好ましい構成を、便宜上、『第2動作モードを備えた本開示の撮像装置組立体等』と呼ぶ。このような第2動作モードは、インダイレクト・TOF(Time Of Flight)方式とも呼ばれる。即ち、第2動作モードにあっては、光が被写体に当たり、被写体によって反射されてから、撮像装置に入射するまでの時間を撮像装置の露光量に置き換えて距離の計測を行う。
【0017】
第2動作モードを備えた本開示の撮像装置組立体等において、制御装置は、第1動作モードから第2動作モードへの切り替え、第2動作モードから第1動作モードへの切り替えを行う構成とすることができる。例えば、使用者の指示に基づき、第1動作モードから第2動作モードへの切り替え、また、第2動作モードから第1動作モードへの切り替えを行えばよい。そして、この場合、あるいは又、第2動作モードを備えた本開示の撮像装置組立体等において、制御装置は、第1動作モードに基づき第1のデプスマップを作成し、第2動作モードに基づき第2のデプスマップを作成し、第1のデプスマップと第2のデプスマップとを合成する構成とすることができ、これによって、デプスマップ(奥行き情報)の精度の向上を図ることができる。一般に、第1動作モードに基づく距離測定は、近距離(例えば1m未満)の距離測定に適しており、第2動作モードに基づく距離測定は、遠距離(例えば1m以上)の距離測定に適している。従って、例えば、測定距離が1m未満の領域にあっては第1動作モードに基づき第1のデプスマップを作成し、測定距離が1m以上の領域にあっては第2動作モードに基づき第2のデプスマップを作成すればよい。
【0018】
あるいは又、第2動作モードを備えた本開示の撮像装置組立体等において、制御装置は、撮像装置の所望の領域において第1動作モードを動作させ、撮像装置の他の所望の領域において第2動作モードを動作させる構成とすることができる。このような構成例として、例えば、第1動作モードでは被写体(パターン)の輝度不足でパターン認識しない領域(即ち、第1動作モードでは距離情報が取得できない領域)に第2動作モードを適用する例を挙げることができる。
【0019】
あるいは又、第2動作モードを備えた本開示の撮像装置組立体等において、制御装置は、第1動作モードに基づき求められた被写体までの距離に基づき、第2動作モードに基づき求められる被写体までの距離を校正する構成とすることができる。例えば、使用者が、校正モードの切り替えを行えばよい。具体的には、校正モードボタンを押すと、撮像装置起動後の決められたフレーム数において第1動作モードで距離情報が取得され、その後、速やかに第2動作モードで距離情報が取得され、取得された第1動作モードでの距離情報と第2動作モードでの距離情報の摺り合わせ(校正する)を行えばよい。あるいは又、撮像装置起動後、毎回、数フレームは第1動作モードで距離を測り、第2動作モードの距離補正を撮像装置の毎起動後行う構成を採用することもできる。
【0020】
あるいは又、第2動作モードを備えた本開示の撮像装置組立体等において、制御装置は、第2動作モードに基づき求められた被写体までの距離に基づき、第1動作モードに基づき求められる被写体までの距離を校正する構成とすることができる。上述したと同様に、例えば、使用者が、校正モードの切り替えを行えばよい。
【0021】
あるいは又、第2動作モードを備えた本開示の撮像装置組立体等において、制御装置は、第2動作モードに基づき求められた被写体までの距離に不連続状態が認められたとき、あるいは又、第2動作モードに基づき求められた被写体までの距離が不定な値となってしまったとき、第1動作モードに切り替えて被写体までの距離を求める構成とすることができる。あるいは又、(第3期間TP3の時間長T3)/(第4期間TP4の時間長T4)の値を一定として、第3期間TP3の時間長T3及び第4期間TP4の時間長T4を変化させたとき、本来ならば、撮像装置から被写体までの距離Dは不変であるはずであるが、撮像装置から被写体までの距離Dに差異が生じた場合、第1動作モードに切り替えて被写体までの距離を求める構成とすることができる。
【0022】
あるいは又、第2動作モードを備えた本開示の撮像装置組立体等において、制御装置は、第2動作モードに基づき求められた被写体までの距離が所定の値未満のとき、第1動作モードに切り替えて被写体までの距離を求める構成とすることができる。即ち、第2動作モードでの動作中、求められた被写体までの距離が所定の値未満のとき、制御装置は第1動作モードに切り替えて被写体までの距離を求める構成とすることができる。所定の値として、1mを例示することができるが、このような値に限定するものではない。次の説明においても同様である。第2動作モードから第1動作モードへの切り替えは、制御装置、それ自体が行えばよい。
【0023】
あるいは又、第2動作モードを備えた本開示の撮像装置組立体等において、制御装置は、第1動作モードに基づき求められた被写体までの距離が所定の値以上のとき、第2動作モードに切り替えて被写体までの距離を求める構成とすることができる。即ち、第1動作モードでの動作中、求められた被写体までの距離が所定の値以上のとき、制御装置は第2動作モードに切り替えて被写体までの距離を求める構成とすることができる。第1動作モードから第2動作モードへの切り替えは、制御装置、それ自体が行えばよい。
【0024】
更には、以上に説明した各種の好ましい形態、構成を含む本開示の撮像装置組立体等において、撮像装置を1つ備えている形態とすることができるし、撮像装置はアクティブステレオ撮像装置から構成されている形態とすることができる。本開示の撮像装置組立体等において、1つの撮像装置が備えられている形態にあっては、撮像装置から被写体までの距離や被写体の2次元・3次元形状、被写体の動き等を前述したストラクチャードライト法に基づき算出する構成とすることができる。また、2つの撮像装置が備えられている形態にあっては、撮像装置から被写体までの距離や被写体の2次元・3次元形状、被写体の動き等をアクティブステレオ法に基づき算出する構成とすることができる。
【0025】
以上に説明した各種の好ましい形態、構成を含む本開示の撮像装置組立体を備えた本開示の3次元形状測定装置にあっては、
演算装置を更に備えており、
演算装置は、画像信号から被写体の3次元形状を算出する形態とすることができる。
【0026】
以上に説明した各種の好ましい形態、構成を含む本開示の撮像装置組立体を備えた本開示の動き検出装置にあっては、
演算装置を更に備えており、
演算装置は、画像信号から被写体の3次元形状を算出し、算出した3次元形状から被写体の特徴点を抽出して被写体の特徴点の位置を算出し、算出した特徴点の位置の変化から被写体の動きを検出する形態とすることができる。
【0027】
以上に説明した好ましい形態、構成を含む本開示の撮像装置組立体等にあっては、第1期間TP1の時間長(撮像時間)をT1、第2期間TP2の時間長(撮像時間)をT2としたとき、
T1>T2
を満足する構成とすることができ、これによって、光源から出射される高輝度光の光量の低減を図ることができる。但し、これに限定するものではなく、例えば、
T1/T2=1
とすることもできる。撮像時間T1,T2は、撮像装置の仕様等に基づき決定すればよいし、撮像装置組立体の使用者からの指示に基づき、撮像時間T1,T2を可変とすることもできるし、T1/T2の割合を可変とすることもできる。
【0028】
あるいは又、以上に説明した好ましい形態、構成を含む本開示の撮像装置組立体等において、
1撮像フレームは複数の期間に分割されており、
その内の1つの期間は低輝度光照射状態とされ、
残りの期間は高輝度光照射状態とされる構成とすることができる。そして、この場合、限定するものではないが、
撮像フレームレートは30フレーム/秒であり、
1撮像フレームは、2以上の期間(例えば、2乃至4)に分割されている構成とすることができる。
【0029】
尚、本明細書において、『1撮像フレーム』とは、第1画像信号電荷と第2画像信号電荷との差分から画像信号を生成するための1つの撮像フレームを意味する。動画像を得るための1秒当たり画像の枚数を意味するものではない。
【0030】
あるいは又、上記の好ましい形態、構成を含む本開示の撮像装置組立体等において、高輝度光照射状態において被写体を撮像する撮像期間と、低輝度光照射状態において被写体を撮像する撮像期間が繰り返され、前者の撮像期間(第1期間TP1)が後者の撮像期間(第2期間TP2)よりも長い構成とすることができる。
【0031】
更には、以上に説明した各種の好ましい形態、構成を含む本開示の撮像装置組立体等において、
撮像装置は、第1の方向及び第2の方向に2次元マトリクス状に配列された撮像素子を有し、
撮像装置は、ローリングシャッター機構を有する形態とすることができるし、グローバルシャッター機構を有する形態とすることもできる。そして、高輝度光照射状態において全ての撮像素子が被写体を撮像して第1画像信号電荷を得るように、また、低輝度光照射状態において全ての撮像素子が被写体を撮像して第2画像信号電荷を得るように、制御装置は光源及び撮像装置を制御する形態とすることができる。
【0032】
以上に説明した各種の好ましい形態、構成を含む本開示の撮像装置組立体等において、光源は、例えば、波長780nm乃至980nmを有する赤外線を出射する光源であることが好ましいが、これに限定するものではない。光源は、例えば、半導体レーザ素子、発光ダイオード(LED)やスーパールミネッセントダイオード(SLD)等の半導体発光素子から構成することができる。光源は、光源を構成する発光素子の形態に依存して、照射中、連続駆動されてもよいし、パルス駆動されてもよい。パルス駆動される場合のデューティー比は、適宜、決定すればよい。
【0033】
参照光パターンとして、ライン・アンド・スペース状パターン、格子状パターン、ドット状パターンを例示することができるが、これらに限定するものではなく、本質的に任意のパターンとすることができる。ライン・アンド・スペース状パターン、格子状パターン、ドット状パターンを得るためには、例えば、光源の光出射側に回折格子等を配置すればよいし、また、MEMSミラーによってパターンを生成することもできる。あるいは又、濃度傾斜パターン、市松格子パターン、円錐形状パターン等を採用することもできる。
【0034】
本開示の撮像装置組立体等において、撮像装置として、CCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)型の撮像素子やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor::相補性金属酸化膜半導体)型の撮像素子、CMD(Charge Modulation Device)型の信号増幅型撮像素子、CIS(Contact Image Sensor)といった撮像素子(イメージセンサー)を備えた周知の撮像装置を例示することができる。撮像装置それ自体は周知の構成、構造とすることができる。また、撮像装置として、表面照射型の固体撮像装置あるいは裏面照射型の固体撮像装置を挙げることができるし、例えば、デジタルスチルカメラやビデオカメラ、カムコーダから撮像装置を構成することができる。撮像装置は、上記の波長を有する光を信号に換え得る撮像素子(具体的には、例えば、赤外線を受光する撮像素子)を備えていればよい。あるいは又、撮像装置は、例えば参照光パターンを撮像するために適した撮像素子だけでなく、被写体を撮像するために適した撮像素子を備えていることが好ましく、例えば、赤外線を検出する撮像素子、並びに、赤色光を受光(検出)する撮像素子、緑色光を受光(検出)する撮像素子及び青色光を受光(検出)する撮像素子の組合せから構成することができる。例えば参照光パターンを照射した被写体の3次元形状の測定や動きの検出には、最低限、参照光パターンの波長(例えば、赤外線)で撮像できればよい。但し、赤外線を受光する撮像素子以外に、赤色光を受光する撮像素子、緑色光を受光する撮像素子及び青色光を受光する撮像素子等を更に備えることで、より測定や検出の精度を上げることができるし、3次元形状測定や動き検出と同時に被写体の撮像(撮影)を行うことが可能となる。
【0035】
撮像装置には、光源から出射される光の波長と同じ波長を有する光を通過させるフィルターが備えられていてもよい。所定の波長(例えば約850nmの波長)の光を被写体に照射し、照射された被写体の3次元形状の測定や動きを検出する場合、撮像装置は、最低限、所定の波長成分だけを撮像できれば充分である。従って、撮像装置の光入射側に所望の特性を有する波長選択用のフィルター、例えば、850nm付近の波長の光のみを透過させるバンドパスフィルターを配置してもよい。このようにすることで、環境光の内、850nm以外の波長成分の影響を出来るだけ無くすことができ、環境光に一層影響を受けない撮像装置組立体や3次元形状測定装置、動き検出装置を実現することができる。尚、波長選択用のフィルターの特性は、バンドパスフィルターに限定されるものではなく、環境光の波長プロファイルや撮像装置の周波数特性に合せて、適宜、決定すればよい。
【0036】
被写体は本質的に任意である。本開示の撮像装置組立体等は、屋外あるいは屋内で使用することができる。本開示の撮像装置組立体等は、例えば、モーションセンサー、監視用カメラシステム、ディプスセンサー、3次元形状センサー、2次元形状センサー、3次元位置センサー、2次元位置センサー、距離センサー、測域センサー、車両の衝突防止センサー、品質管理や品質検査システムに適用することができる。
【0037】
本開示における撮像方法は、実質的に、本開示の撮像装置組立体を用いた撮像方法であって、
第1期間TP1において、光源から出射された高輝度光に基づき被写体を撮像して、受光部において得られた第1画像信号電荷を第1電荷蓄積部に蓄積し、第2期間TP2において、低輝度光に基づき被写体を撮像して、受光部において得られた第2画像信号電荷を第2電荷蓄積部に蓄積し、
第1電荷蓄積部に蓄積された第1画像信号電荷と、第2電荷蓄積部に蓄積された第2画像信号電荷との差分に基づき、画像信号を得る(生成する)。
【0038】
本開示における3次元形状測定方法は、実質的に、本開示の撮像装置組立体を用いた3次元形状測定方法であって、
第1期間TP1において、光源から出射された高輝度光に基づき被写体を撮像して、受光部において得られた第1画像信号電荷を第1電荷蓄積部に蓄積し、第2期間TP2において、低輝度光に基づき被写体を撮像して、受光部において得られた第2画像信号電荷を第2電荷蓄積部に蓄積し、
第1電荷蓄積部に蓄積された第1画像信号電荷と、第2電荷蓄積部に蓄積された第2画像信号電荷との差分に基づき、画像信号を得た後(生成した後)、画像信号から3次元形状を算出する。
【0039】
更には、本開示における動き検出方法は、実質的に、本開示の撮像装置組立体を用いた動き検出方法であって、
第1期間TP1において、光源から出射された高輝度光に基づき被写体を撮像して、受光部において得られた第1画像信号電荷を第1電荷蓄積部に蓄積し、第2期間TP2において、低輝度光に基づき被写体を撮像して、受光部において得られた第2画像信号電荷を第2電荷蓄積部に蓄積し、
第1電荷蓄積部に蓄積された第1画像信号電荷と、第2電荷蓄積部に蓄積された第2画像信号電荷との差分に基づき、画像信号を得た後(生成した後)、画像信号から3次元形状を算出する操作を、順次、行い、
順次、算出した3次元形状から被写体の特徴点を、順次、抽出して被写体の特徴点の位置を、順次、算出し、算出した特徴点の位置の変化から被写体の動きを検出する。
【実施例1】
【0040】
実施例1は、本開示の撮像装置組立体、本開示の3次元形状測定装置、及び、本開示の動き検出装置に関する。
【0041】
概念図を
図2Aに示す実施例1の撮像装置組立体100
1は、被写体140を照射する光源110、撮像装置120、並びに、光源110及び撮像装置120を制御する制御装置130を備えており、撮像装置120は、複数の撮像素子10から構成されている。そして、各撮像素子10は、
図1A及び
図1Bに示すように、受光部21、第1電荷蓄積部22及び第2電荷蓄積部24、並びに、制御装置130の制御下、受光部21に蓄積された電荷(あるいは、受光部21で生成した電荷)の第1電荷蓄積部22への転送を制御する第1電荷転送制御手段23、及び、受光部21に蓄積された電荷(あるいは、受光部21で生成した電荷)の第2電荷蓄積部24への転送を制御する第2電荷転送制御手段25から構成されており、第1動作モードで動作させられる。尚、このような撮像素子10は、CAPD(Current Assisted Photonic Demodulator)型の撮像素子、あるいは、ゲート・トランスファー型の撮像素子とも呼ばれる。受光部21以外の領域は遮光層26で覆われている。第1電荷転送制御手段23及び第2電荷転送制御手段25は、ゲート電極と同じ構成、構造を有する。
【0042】
ここで、第1動作モードにあっては、
制御装置130の制御下、撮像素子10は、第1期間TP
1(撮像時間であり、時間長T
1)において、光源110から出射された高輝度光に基づき被写体140を撮像して(
図3A参照)、受光部21において得られた第1画像信号電荷q
1を第1電荷蓄積部22に蓄積し、第2期間TP
2(撮像時間であり、時間長T
2)において、低輝度光に基づき、具体的には、例えば、光源110からの光の出射がない状態で、被写体140を撮像して(
図3B参照)、受光部21において得られた第2画像信号電荷q
2を第2電荷蓄積部24に蓄積し、
制御装置130は、第1電荷蓄積部22に蓄積された第1画像信号電荷q
1と、第2電荷蓄積部24に蓄積された第2画像信号電荷q
2との差分に基づき、画像信号を得る(生成する)。
【0043】
実施例1においては、T
1=T
2とした。1撮像フレーム当たりの撮像時間T
1,T
2を模式的に
図6A、
図6B及び
図6Cに示すが、これらの図は、シャッター機構としてローリングシャッター機構を採用した場合の図である。尚、
図6A、
図6B、
図6C、後述する
図7A、
図7B、
図8A、
図8Bにおいて、第1期間TP
1における高輝度光照射状態及び第2期間TP
2における低輝度光照射状態のそれぞれを、実線の矩形で示す。
図6A、
図6B、
図6C、
図7A、
図7B、
図8A、
図8Bにおいて、時刻t
11からt
12の撮像時間T
1にあっては高輝度光照射状態にあり、時刻t
21からt
22の撮像時間T
2にあっては低輝度光照射状態にある。
【0044】
高輝度光照射状態において被写体140を照射する光は、光源110からの光及び外光(環境光)を含む。即ち、高輝度光照射状態において、光源110は動作状態とされ、参照光パターンを出射する。また、低輝度光照射状態において被写体140を照射する光は、外光(環境光)を含むが、場合によっては、光源からの光も含まれる。具体的には、実施例1~実施例4にあっては、例えば、低輝度光照射状態において、光源110は不動作状態(即ち、参照光パターンを出射していない状態)とされる。
【0045】
実施例1において、光源110から出射される高輝度光は参照光パターン(図面においては横方向に延びる複数の点線で示す)である。そして、制御装置130は、得られた画像信号に基づき、被写体140までの距離を求め、又は、被写体140の外形形状を求め、又は、被写体140までの距離及び被写体140の外形形状を求める。具体的には、制御装置130は、得られた画像信号から、三角測量(具体的には、ストラクチャードライト法あるいはアクティブステレオ法)に基づき、被写体140までの距離を求め、又は、被写体140の外形形状を求め、又は、被写体140までの距離及び被写体140の外形形状を求める。
【0046】
実施例1の3次元形状測定装置、動き検出装置は、実施例1の撮像装置組立体を備えている。ここで、本開示の3次元形状測定装置は、演算装置を更に備えており、演算装置は、画像信号から被写体140の3次元形状を算出する。また、実施例1の動き検出装置は、演算装置を更に備えており、演算装置は、画像信号から被写体140の3次元形状を算出し、算出した3次元形状から被写体140の特徴点を抽出して被写体140の特徴点の位置を算出し、算出した特徴点の位置の変化から被写体140の動きを検出する。
【0047】
光源110,210は、例えば、波長850nmを有する赤外線を出射する光源であり、半導体レーザ素子から構成されている。参照光パターンとして、ライン・アンド・スペース状パターンを用いたが、これに限定するものではない。ライン・アンド・スペース状パターンを得るために、必要に応じて、光源110,210の光出射側に回折格子(図示せず)が配置されている。CMOS型の撮像素子(CMOSイメージセンサー)が、第1の方向(行方向)にM個、第2の方向(列方向)にN個、2次元マトリクス状に配列されて成る、周知のビデオカメラあるいはカムコーダから撮像装置120は構成されている。また、撮像装置120は、赤色光を受光(検出)する撮像素子、緑色光を受光(検出)する撮像素子、青色光を受光(検出)する撮像素子、及び、赤外線を検出する撮像素子の組合せから構成されている。但し、これに限定するものではなく、撮像装置120は、赤外線を検出する撮像素子だけから構成されていてもよい。
【0048】
実施例1の撮像装置組立体1001は、撮像装置120を1つ備えている。撮像装置120におけるシャッター機構は、グローバルシャッター機構、ローリングシャッター機構のいずれであってもよい。撮像装置120は、第1の方向及び第2の方向に2次元マトリクス状に配列された撮像素子を有し、撮像装置120は、具体的には、ローリングシャッター機構を有し、制御装置130は、高輝度光照射状態において全ての撮像素子が参照光パターン及び被写体140を撮像し、また、低輝度光照射状態において全ての撮像素子が少なくとも被写体140を撮像する。
【0049】
以下、実施例1の撮像装置組立体を用いた撮像方法の概要を説明する。尚、この撮像方法にあっては、例えば、撮像装置から被写体140までの距離や被写体140の2次元・3次元形状、被写体140の動き、被写体140までの距離等をストラクチャードライト法に基づき算出する。また、実施例1の本開示の3次元形状測定装置においては、実施例1の撮像装置組立体を用いた撮像方法によって得られた画像信号に基づく画像データから、周知の処理アルゴリズムに基づき、被写体140の3次元形状を測定する。実施例1の動き検出装置においては、実施例1の撮像装置組立体を用いた撮像方法によって得られた画像信号に基づく画像データから、周知の処理アルゴリズムに基づき、被写体140の動きを検出する。
【0050】
即ち、実施例1の撮像方法、実施例1の3次元形状測定方法、あるいは、実施例1の動き検出方法は、実施例1の撮像装置組立体を用いた撮像方法、3次元形状測定方法、あるいは、動き検出方法であって、
第1期間TP1において、光源110から出射された高輝度光に基づき被写体140を撮像して、受光部21において得られた第1画像信号電荷q1を第1電荷蓄積部22に蓄積し、第2期間TP2において、低輝度光に基づき被写体140を撮像して、受光部21において得られた第2画像信号電荷q2を第2電荷蓄積部24に蓄積し、
第1電荷蓄積部22に蓄積された第1画像信号電荷q1と、第2電荷蓄積部24に蓄積された第2画像信号電荷q2との差分に基づき、画像信号を得る(生成する)。
【0051】
そして、実施例1の3次元形状測定方法にあっては、得られた画像信号から3次元形状を算出する。また、実施例1の動き検出方法にあっては、画像信号から3次元形状を算出する操作を、順次、行い;順次、算出した3次元形状から被写体140の特徴点を、順次、抽出して、被写体140の特徴点の位置を、順次、算出し、算出した特徴点の位置の変化から被写体140の動きを検出する。
【0052】
具体的には、撮像装置120は、高輝度光照射状態において参照光パターン及び被写体140を撮像して第1画像信号電荷q
1を得るし、低輝度光照射状態において少なくとも被写体140を撮像して(実施例1にあっては、低輝度光照射状態において被写体140を撮像して)第2画像信号電荷q
2を得る。即ち、
図1A及び
図1Cに示すように、制御装置130の制御下、撮像素子10は、第1期間TP
1(時間長T
1、時刻t
0~t
1)において、光源110から出射された高輝度光に基づき被写体140を撮像して(
図3A参照)、受光部21において得られた第1画像信号電荷q
1を第1電荷蓄積部22に蓄積する。このとき、第1電荷転送制御手段23を作動状態(オン状態)とし、第2電荷転送制御手段25を不作動状態(オフ状態)とする。次いで、
図1B及び
図1Dに示すように、第2期間TP
2(時間長T
2、時刻t
1~t
2)において、低輝度光に基づき(具体的には、光源110からの光の出射がない状態で)被写体140を撮像して(
図3B参照)、受光部21において得られた第2画像信号電荷q
2を第2電荷蓄積部24に蓄積する。このとき、第1電荷転送制御手段23を不作動状態(オフ状態)とし、第2電荷転送制御手段25を作動状態(オン状態)とする。尚、
図1A及び
図1Bにおいて、電荷(例えば、電子)を黒丸で示す。
【0053】
その後、例えば、1撮像フレームが終了した後、転送期間において、第1電荷蓄積部22に蓄積された第1画像信号電荷q1及び第2電荷蓄積部24に蓄積された第2画像信号電荷q2を制御装置130に転送し、制御装置130は、第1電荷蓄積部22に蓄積された第1画像信号電荷q1と、第2電荷蓄積部24に蓄積された第2画像信号電荷q2との差分に基づき、画像信号を得る(生成する)。具体的には、例えば、1撮像フレームが終了した後、制御装置130において、第1画像信号電荷q1及び第2画像信号電荷q2に基づき電圧V1,V2を生成し、電圧V1と電圧V2との差分から画像信号を生成する。即ち、電圧V1から電圧V2を減算する処理を行う。
【0054】
そして、こうして得られた画像信号から、制御装置130は、
図9Aに示した角度α,βを求め、更に、式(A)に基づいて座標(x,y)を求め、また、z座標を求め、以上の結果として、制御装置130は、例えば、撮像装置から被写体140までの距離や被写体140の2次元・3次元形状、被写体140の動き等をストラクチャードライト法に基づき算出することができる。尚、これらの処理アルゴリズムは、周知の処理アルゴリズムとすることができる。以下に説明する各種の実施例においても同様である。
【0055】
画像信号電荷を得るための撮像装置120の動作や各種処理、制御装置130への画像信号電荷の送出に関連する動作や各種処理は、周知の動作、処理とすることができる。以下に説明する各種の実施例においても同様である。第1画像信号電荷q1及び第2画像信号電荷q2を得る時間的順序は本質的に任意であり、第1期間TP1と第2期間TP2の時間的順序を逆とし、第2期間TP2に引き続き第1期間TP1としてもよい。また、第1期間TP1と第2期間TP2との間に撮像素子が不作動の期間を設けてもよい。
【0056】
図6Aに示した例にあっては、1秒当たりの撮像フレーム数を15(撮像フレームレート:15fps)とし、1撮像フレーム期間を2つの期間(期間-1及び期間-2)に分割した。また、
図6B及び
図6Cに示した例にあっては、1秒当たりの撮像フレーム数を30(撮像フレームレート:30fps)とし、
図6Bでは、1撮像フレーム期間を2つの期間(期間-1及び期間-2)に分割し、
図6Cでは、1撮像フレーム期間を4つの期間(期間-1、期間-2、期間-3及び期間-4)に分割した。分割した期間の時間長さは同一である。1秒当たりの撮像フレーム数が多くなるほど、また、1撮像フレーム期間の分割期間数が多くなるほど、1撮像フレームを模式的に示す平行四辺形の形状が変化する。具体的には、左上から右下に延びる斜辺の傾斜角が、1秒当たりの撮像フレーム数が多くなるほど、また、1撮像フレーム期間の分割期間数が多くなるほど、大きくなる。即ち、1秒当たりの撮像フレーム数が多くなるほど、また、1撮像フレーム期間の分割期間数が多くなるほど、ローリングシャッター機構を採用した場合の感光時間が増大される。そして、以上の結果として、高輝度光照射状態とし得る時間長さを長くすることができる。
【0057】
1撮像フレーム内で全ての撮像素子に同じ光量の参照光パターンを照射できる時間が存在しないと、正確に環境光の影響を除去することが困難となる。
図6Aに示す例にあっては、撮像時間T
1,T
2の時間長さは、期間-1、期間-2の時間長さの10%程度である。従って、1秒当たりの撮像フレーム数は15(撮像フレームレート:15fps)以上、1撮像フレームにおける分割期間数は2以上であることが好ましい。そして、上述したとおり、1秒当たりの撮像フレーム数(撮像フレームレート)が多くなるほど、また、1撮像フレーム期間の分割期間数が多くなるほど、1撮像フレーム内で全ての撮像素子に同じ光量の参照光パターンを照射できる時間を長くすることができるので、1秒当たりの撮像フレーム数は30(撮像フレームレート:30fps以上)以上、1撮像フレームにおける分割期間数は2以上であることが一層好ましく、1秒当たりの撮像フレーム数は30以上(撮像フレームレート:30fps以上)、1撮像フレームにおける分割期間数は3以上であることがより一層好ましい。尚、
図6B、
図6Cに示す例にあっては、撮像時間T
1,T
2の時間長さは、期間-1、期間-2の時間長さの50%、70%程度である。
【0058】
実施例1の撮像装置組立体、あるいは又、実施例1の撮像装置組立体を備えた実施例1の3次元形状測定装置、動き検出装置にあっては、第1画像信号電荷と第2画像信号電荷との差分から画像信号を生成するので、画像信号から環境光の影響を除去することができる。即ち、環境光に基づき生成する電荷は、第1画像信号電荷と第2画像信号電荷のいずれにも含まれる。従って、第1画像信号電荷と第2画像信号電荷との差分を算出することで、画像信号から環境光の影響を除去することができる。それ故、高輝度光の輝度を増加させること無く、高輝度光に基づく参照光パターンを撮像装置によって捉えることができる。また、光源における消費電力の増加といった問題や、場合によっては参照光パターンが視認されてしまうといった問題を解消することができる。しかも、より自由な環境(屋内や部屋の照度によらない、又は、屋外での使用)において、撮像装置から被写体までの距離や被写体の2次元・3次元形状、被写体の動き等の測定が可能となるし、光源から遠い所に位置する被写体や画角の広い被写体にあっては参照光パターンが暗くなるが、それにも拘わらず、参照光パターンを撮像装置によって確実に捉えることが可能となり、距離制限を緩和することができる。更には、光源の光強度を低減することが可能となるため、例えば、半導体レーザ素子から光源を構成する場合にも高い安全性を確保することができる。以下の実施例においても同様である。尚、制御装置は、第1電荷蓄積部に蓄積された第1画像信号電荷と、第2電荷蓄積部に蓄積された第2画像信号電荷との差分に基づき、画像信号を得るので、制御装置にフレームメモリを備える必要はないし、第1画像信号電荷と第2画像信号電荷との差分をソフトウエアに基づく計算によって算出する必要もなく、制御装置の構成、構造の簡素化を図ることができる。
【実施例2】
【0059】
実施例2は、実施例1の変形である。概念図を
図2Bに示す実施例2の撮像装置組立体100
2において、撮像装置はアクティブステレオ撮像装置から構成されている。具体的には、撮像装置は、第1の撮像装置120A及び第2の撮像装置120Bから構成されている。即ち、実施例1の撮像装置組立体における光源110を第1の撮像装置120Aに置き換えて、光源210を、別途、配設する。撮像装置120A,120Bにおけるシャッター機構は、グローバルシャッター機構、ローリングシャッター機構のいずれであってもよい。
【0060】
以下、実施例2の撮像装置組立体を用いた撮像方法の概要を説明する。尚、この撮像方法にあっては、例えば、撮像装置から被写体までの距離や被写体の2次元・3次元形状、被写体の動き等をアクティブステレオ法に基づき算出する。ここで、制御装置130の制御下、光源110は、実施例1と同様に、参照光パターンを高輝度光照射状態で被写体140に向けて出射し、また、低輝度光照射状態で光を照射する。高輝度光照射状態において、光源110は動作状態(即ち、参照光パターンを出射している状態)とされ、低輝度光照射状態において、光源110は不動作状態(即ち、参照光パターンを出射していない状態)とされる。実施例2にあっても、実施例1と同様に、T1=T2、1秒当たりの撮像フレーム数を30(撮像フレームレート:30fps)とした。
【0061】
撮像装置120A,120Bのそれぞれは、高輝度光照射状態において参照光パターン及び被写体140を撮像して第1画像信号電荷を得るし(
図4A参照)、低輝度光照射状態において少なくとも被写体140を撮像して(実施例2にあっては、低輝度光照射状態において被写体140を撮像して)第2画像信号電荷を得る(
図4B参照)。第1の撮像装置120Aから得られた第1画像信号電荷を『第1画像信号電荷-A』と呼び、第2の撮像装置120Bから得られた第1画像信号電荷を『第1画像信号電荷-B』と呼ぶ。第1の撮像装置120Aから得られた第2画像信号電荷を『第2画像信号電荷-A』と呼び、第2の撮像装置120Bから得られた第2画像信号電荷を『第2画像信号電荷-B』と呼ぶ。
【0062】
そして、例えば、1撮像フレームが終了した後、制御装置130は、第1画像信号電荷-Aと第2画像信号電荷-Aとの差分、及び、第1画像信号電荷-Bと第2画像信号電荷-Bとの差分から画像信号(第1の撮像装置120Aから得られた画像信号-A、及び、第2の撮像装置120Bから得られた画像信号-B)を生成する。即ち、制御装置130は、得られた第1画像信号電荷-A及び第1画像信号電荷-Bと第2画像信号電荷-A及び第2画像信号電荷-Bとの間で減算処理を行う。
【0063】
こうして得られた画像信号-A及び画像信号-Bから、制御装置130は、
図9Bに示した角度α,βを求め、更に、式(A)に基づいて座標(x,y)を求め、また、z座標を求め、以上の結果として、制御装置130は、例えば、撮像装置から被写体までの距離や被写体の2次元・3次元形状、被写体の動き等をアクティブステレオ法に基づき算出することができる。尚、これらの処理アルゴリズムは、周知の処理アルゴリズムとすることができる。以下に説明する各種の実施例においても同様である。
【0064】
実施例2において、第2画像信号電荷-A、第2画像信号電荷-Bは、参照光パターンが存在しない状態で得られた画像信号電荷であり、第1画像信号電荷-A、第1画像信号電荷-Bは、参照光パターンが存在する状態で得られた画像信号電荷である。従って、第1画像信号電荷-Aと第2画像信号電荷-Aとの差分、及び、第1画像信号電荷-Bと第2画像信号電荷-Bとの差分を算出することで、画像信号-A及び画像信号-Bを得ることができる。環境光は、第1画像信号電荷-A、第1画像信号電荷-B、第2画像信号電荷-A及び第2画像信号電荷-Bのいずれにも含まれる。従って、第1画像信号電荷と第2画像信号電荷との差分を算出することで、画像信号から環境光の影響を除去することができる。
【実施例3】
【0065】
実施例3は、実施例1~実施例2の変形である。実施例1~実施例2にあっては、T
1=T
2とした。一方、実施例3にあっては、
T
1>T
2
とした。シャッター機構として、グローバルシャッター機構、ローリングシャッター機構のいずれも用いることができる。
図7A、
図7B、
図8A、
図8Bに、シャッター機構としてローリングシャッター機構を用いた場合の、1撮像フレーム当たりの撮像時間T
1,T
2を模式的に示す。
図7A、
図7B、
図8A、
図8Bに示す例にあっては、1秒当たりの撮像フレーム数を30(撮像フレームレート:30fps)とし、1撮像フレームは、2以上の期間、具体的には、4つの期間に均等に分割されている。
【0066】
図7Aに示す例では、T
1/T
2の値は3を超えており、期間-1の一部分が低輝度光照射状態にあり、期間-2の一部分、期間-3の全部、期間-4の一部分が高輝度光照射状態にある。
図7Bに示す例では、T
1/T
2の値は3であり、期間-1の一部分が低輝度光照射状態にあり、期間-2の一部分、期間-3の一部分、期間-4の一部分が高輝度光照射状態にある。
図8Aに示す例では、T
1/T
2の値は1であり、期間-2の全部が高輝度光照射状態にあり、期間-4の全部が低輝度光照射状態にある。
図8Bに示す例では、T
1/T
2の値は1を超えており、期間-1の一部分、期間-2の全部、期間-3の一部分、期間-4の全部が高輝度光照射状態にあり、期間-1の残りの部分、期間-3の残りの部分が低輝度光照射状態にある。尚、撮像装置組立体の使用者からの指示に基づき、撮像時間T
1,T
2を可変とすることもできるし、T
1/T
2の割合を可変とすることもできる。
【0067】
図7A、
図7B、
図8Aに示す例にあっては、1撮像フレームは複数の期間に分割されており、その内の1つの期間は低輝度光照射状態とされ、残りの期間は高輝度光照射状態とされる。あるいは又、
図7A、
図7B、
図8A、
図8B、特に
図8Bに示す例にあっては、高輝度光照射状態において参照光パターン及び被写体を撮像する撮像期間と、低輝度光照射状態において少なくとも被写体を撮像する撮像期間が繰り返され、前者の撮像期間が後者の撮像期間よりも長い。
【0068】
例えば、
図7Aに示す例にあっては、時刻t
11から時刻t
12の撮像時間T
1において得られた第1画像信号電荷と、時刻t
21から時刻t
22の撮像時間T
2において得られた第2画像信号電荷との差分から、画像信号を得ることができる。但し、画像信号を得るために、以下の補正を施す必要がある。
図7Bに示す例でも同様である。
(第1画像信号電荷)-{2+(期間-3の時間長さ)/(T
2の時間長さ)}×(第2画像信号電荷)
【0069】
図7Bに示す例では、例えば、期間-1において得られた第2画像信号電荷と、期間-2、期間-3及び期間-4において得られた画像信号電荷の合計との差分に基づき、画像信号から環境光の影響を除去すればよい。
【0070】
図8Aに示す例では、期間-1において得られた第2画像信号電荷と、期間-3において得られた画像信号電荷と期間-1において得られた画像信号電荷との差分に基づき、画像信号から環境光の影響を除去すればよい。
【0071】
図8Bに示す例では、期間-1において得られた第2画像信号電荷を第2電荷蓄積部に蓄積しておき、期間-1の一部分、期間-2の全部、期間3の一部分において得られ、第1電荷蓄積部に蓄積された第1画像信号電荷と、第2画像信号電荷との差分に基づき、画像信号から環境光の影響を除去すればよい。
【0072】
尚、画像信号が得難い場合には、T1/T2の値を大きくすることが好ましい。また、環境光が乏しい場合、T1/T2の値を変更して最適化を図ることが望ましい。例えば、環境光が殆ど存在しない場合、T1/T2の値を非常に大きな値、あるいは、T1/T2=∞としてもよい。
【0073】
また、実施例3において、場合によっては、第1画像信号電荷に基づく信号量は、第2画像信号電荷に基づく信号量のT1/T2倍となる。従って、第1画像信号電荷と第2画像信号電荷との差分を算出するとき、第2画像信号電荷に基づく信号量をT1/T2倍にするか、第1画像信号電荷に基づく信号量を(T2/T1)倍とすればよい。
【0074】
以上の点を除き、実施例3の撮像装置組立体あるいは撮像方法は、実施例1~実施例2の撮像装置組立体あるいは撮像方法と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
【実施例4】
【0075】
実施例4は、実施例1~実施例3の変形である。実施例4にあっては、更に、各撮像素子は、第2動作モードで動作させられる。即ち、実施例4の撮像装置組立体は、第2動作モードを備えた本開示の撮像装置組立体である。
図5に、実施例4の撮像装置組立体を構成する撮像素子の第2動作モードにおける経時的な動作を示す。
【0076】
具体的には、第2動作モードにあっては、
制御装置130の制御下、撮像素子は、第3期間TP3(時間長T3)及び第4期間TP4(時間長T4)に跨がる第5期間TP5(時間長T5)において光源110から出射された光に基づき被写体を撮像して、第3期間TP3にあっては、受光部21において得られた第3画像信号電荷を第1電荷蓄積部22に蓄積し、第4期間TP4にあっては、受光部21において得られた第4画像信号電荷を第2電荷蓄積部24に蓄積し、
制御装置130は、第1電荷蓄積部22に蓄積された第3画像信号電荷と、第2電荷蓄積部24に蓄積された第4画像信号電荷とに基づき、撮像装置120から被写体までの距離を求める。そして、この場合、第3画像信号電荷をQ3、第4画像信号電荷をQ4、cを光速、TPを第3期間TP3及び第4期間TP4の時間としたとき、撮像装置120から被写体までの距離Dは、
D=(c・TP/2)×Q4/(Q3+Q4)
に基づき求められる。即ち、実施例4にあっては、インダイレクト・TOF方式に基づき、被写体までの距離を求める。
【0077】
ここで、第3期間に引き続き第4期間が設けられており、T3+T4>T5の関係にある。具体的には、T3=T4=T5である。
【0078】
実施例4の撮像装置組立体において、制御装置130は、第1動作モードから第2動作モードへの切り替え、第2動作モードから第1動作モードへの切り替えを行う。即ち、制御装置130は、撮像装置120からの各種画像信号電荷に基づき、制御装置130、それ自体が、第1動作モードから第2動作モードへの切り替え、第2動作モードから第1動作モードへの切り替えを行い、あるいは又、使用者からの指示に基づき、第1動作モードから第2動作モードへの切り替え、第2動作モードから第1動作モードへの切り替えを行い、あるいは又、使用者からの指示に加えて、撮像装置120からの各種画像信号電荷に基づき、制御装置130は、第1動作モードから第2動作モードへの切り替え、第2動作モードから第1動作モードへの切り替えを行う。
【0079】
一般に、第1動作モードに基づく距離測定は、近距離(例えば1m未満)の距離測定に適しており、第2動作モードに基づく距離測定は、遠距離(例えば1m以上)の距離測定に適している。従って、実施例4の撮像装置組立体において、制御装置130は、第2動作モードに基づき求められた被写体までの距離が所定の値未満のとき、即ち、第2動作モードに基づき求められた被写体までの距離を測定しているとき、測定結果の距離が所定の値(例えば、1m)未満となったならば、第2動作モードから第1動作モードに切り替えて被写体までの距離を求める。また、制御装置130は、第1動作モードに基づき求められた被写体までの距離を測定しているとき、測定結果の距離が所定の値(例えば、1m)以上となったならば、第1動作モードから第2動作モードに切り替えて被写体までの距離を求める。
【0080】
前述したとおり、第2動作モードにあっては、光が被写体に当たり、撮像装置に入射するまでの時間を撮像装置の露光量に置き換えて計測する。ところで、被写体が、例えば、部屋の隅の場合、模式的に
図10に示すように、光が壁によって反射される結果、第2動作モードに基づき求められた被写体までの距離に不連続状態が発生する。あるいは又、第2動作モードに基づき求められた被写体までの距離が不定な値となる。
【0081】
具体的には、例えば、壁の或る地点P1で反射され、撮像装置120に、直接、入射する光LB1が存在するが、壁の或る地点P1で反射され、地点P2に向かい、地点P2で反射され、撮像装置120に入射する光LB2も存在し得る。この場合、光LB1に基づく地点P1から撮像装置120までの距離はL1となるが、光LB2に基づく地点P1から撮像装置120までの距離は、実際には、仮想の地点P3から撮像装置120までの距離L2となる。従って、地点P1の近傍の地点から撮像装置120までの距離は、地点P1の近傍の地点での反射光が、直接、撮像装置120に入射する場合、L1に近い値となる一方、地点P1において光LB2が生成すると、地点P1から撮像装置120までの距離はL2となり、第2動作モードに基づき求められた被写体までの距離に不連続状態が発生する。あるいは又、第2動作モードに基づき求められた被写体までの距離が不定な値となってしまう。
【0082】
このような場合、制御装置130は、それ自体が、第1動作モードに切り替えて被写体までの距離を求める。第1動作モードにあっては、被写体の形状に基づき距離を求めるので、第2動作モードに基づく距離測定の不都合が生じることが無い。
【0083】
あるいは又、例えば、撮像装置全体として、先ず、第1動作モードで被写体の外形形状を求め、例えば、被写体の一部が部屋の隅の場合、制御装置130は、撮像装置120の所望の領域(具体的には、部屋の隅が写っている領域)において第1動作モードを動作させ、撮像装置120の他の所望の領域(具体的には、部屋の隅が写っている領域以外の領域)において第2動作モードを動作させる。あるいは又、例えば、撮像装置全体として、先ず、第2動作モードで被写体までの距離を求めるが、例えば、被写体の一部が部屋の隅の場合、被写体までの距離に不連続状態が発生し、あるいは又、被写体までの距離が不定な値となってしまうといった現象が生じた場合、制御装置130は、撮像装置120の所望の領域(具体的には、部屋の隅が写っている領域)において第1動作モードを動作させ、撮像装置120の他の所望の領域(具体的には、部屋の隅が写っている領域以外の領域)において第2動作モードを動作させる。
【0084】
また、実施例4の撮像装置組立体において、制御装置130は、第1動作モードに基づき求められた被写体までの距離に基づき、第2動作モードに基づき求められる被写体までの距離を校正する構成とすることができる。具体的には、撮像素子の温度変化によって第2動作モードに基づき得られる距離測定結果に誤差が生じる場合がある。撮像素子に温度変化が生じても、第1動作モードに基づき得られる距離測定結果に誤差は生じない。従って、或る距離(例えば、1m)に位置する被写体までの距離を第1動作モード及び第2動作モードに基づき求め、第1動作モードによって得られた距離に基づき、第2動作モードの距離測定の校正を行えばよい。一方、第1動作モードにあっては、光源と撮像装置との間の距離(基線の長さ)Lや2つの撮像装置の間の距離に変化が生じると、第1動作モードに基づき得られる距離測定結果に誤差が生じる場合がある。このような変化が生じても、第2動作モードに基づき得られる距離測定結果に誤差は生じない。従って、或る距離(例えば、1m)に位置する被写体までの距離を第1動作モード及び第2動作モードに基づき求め、第2動作モードによって得られた距離に基づき、第1動作モードの距離測定の校正を行えばよい。例えば、撮像装置組立体の使用者からの指示に基づき、第1動作モードの校正、第2動作モードの校正のどちらを行うかを決定すればよい。
【0085】
また、実施例4の撮像装置組立体において、制御装置130は、第1動作モードに基づき第1のデプスマップを周知の方法に基づき作成し、第2動作モードに基づき第2のデプスマップを周知の方法に基づき作成し、第1のデプスマップと第2のデプスマップとを合成することで、デプスマップ(奥行き情報)の精度の向上を図ることができる。
【0086】
以上、本開示を好ましい実施例に基づき説明したが、本開示はこれらの実施例に限定するものではない。実施例において説明した撮像装置組立体や撮像装置、光源、制御装置の構成、構造の構成は例示であり、適宜、変更することができる。また、実施例においては、種々の値を示したが、これらも例示であり、例えば、使用する光源、撮像装置、制御装置の仕様が変われば、変わることは当然である。実施例2~実施例4において説明した撮像装置組立体を3次元形状測定装置や動き検出装置に適用することができることは云うまでもない。
【0087】
尚、本開示は、以下のような構成を取ることもできる。
[A01]《撮像装置組立体》
被写体を照射する光源、
撮像装置、並びに、
光源及び撮像装置を制御する制御装置、
を備えており、
撮像装置は、複数の撮像素子から構成されており、
各撮像素子は、
受光部、
第1電荷蓄積部及び第2電荷蓄積部、並びに、
制御装置の制御下、受光部に蓄積された電荷の第1電荷蓄積部への転送を制御する第1電荷転送制御手段、及び、受光部に蓄積された電荷の第2電荷蓄積部への転送を制御する第2電荷転送制御手段、
から構成されており、
第1動作モードで動作させられる撮像装置組立体。
ここで、第1動作モードにあっては、
制御装置の制御下、撮像素子は、第1期間において、光源から出射された高輝度光に基づき被写体を撮像して、受光部において得られた第1画像信号電荷を第1電荷蓄積部に蓄積し、第2期間において、低輝度光に基づき被写体を撮像して、受光部において得られた第2画像信号電荷を第2電荷蓄積部に蓄積し、
制御装置は、第1電荷蓄積部に蓄積された第1画像信号電荷と、第2電荷蓄積部に蓄積された第2画像信号電荷との差分に基づき、画像信号を得る。
[A02]光源から出射される高輝度光は参照光パターンであり、
制御装置は、得られた画像信号に基づき、被写体までの距離を求め、又は、被写体の外形形状を求め、又は、被写体までの距離及び被写体の外形形状を求める[A01]に記載の撮像装置組立体。
[A03]制御装置は、得られた画像信号から、三角測量に基づき、被写体までの距離を求め、又は、被写体の外形形状を求め、又は、被写体までの距離及び被写体の外形形状を求める[A02]に記載の撮像装置組立体。
[A04]更に、第2動作モードで動作させられる[A01]乃至[A03]のいずれか1項に記載の撮像装置組立体。
ここで、第2動作モードにあっては、
制御装置の制御下、撮像素子は、第3期間及び第4期間に跨がる第5期間において光源から出射された光に基づき被写体を撮像して、第3期間にあっては、受光部において得られた第3画像信号電荷を第1電荷蓄積部に蓄積し、第4期間にあっては、受光部において得られた第4画像信号電荷を第2電荷蓄積部に蓄積し、
制御装置は、第1電荷蓄積部に蓄積された第3画像信号電荷と、第2電荷蓄積部に蓄積された第4画像信号電荷とに基づき、撮像装置から被写体までの距離を求める。
[A05]第3画像信号電荷をQ3、第4画像信号電荷をQ4、cを光速、TPを第3期間及び第4期間の時間としたとき、撮像装置から被写体までの距離Dは、
D=(c・TP/2)×Q4/(Q3+Q4)
に基づき求められる[A04]に記載の撮像装置組立体。
[A06]制御装置は、第1動作モードから第2動作モードへの切り替え、第2動作モードから第1動作モードへの切り替えを行う[A04]又は[A05]に記載の撮像装置組立体。
[A07]制御装置は、第1動作モードに基づき第1のデプスマップを作成し、第2動作モードに基づき第2のデプスマップを作成し、第1のデプスマップと第2のデプスマップとを合成する[A04]乃至[A06]のいずれか1項に記載の撮像装置組立体。
[A08]制御装置は、撮像装置の所望の領域において第1動作モードを動作させ、撮像装置の他の所望の領域において第2動作モードを動作させる[A04]乃至[A07]のいずれか1項に記載の撮像装置組立体。
[A09]制御装置は、第1動作モードに基づき求められた被写体までの距離に基づき、第2動作モードに基づき求められる被写体までの距離を校正する[A04]乃至[A08]のいずれか1項に記載の撮像装置組立体。
[A10]制御装置は、第2動作モードに基づき求められた被写体までの距離に基づき、第1動作モードに基づき求められる被写体までの距離を校正する[A04]乃至[A08]のいずれか1項に記載の撮像装置組立体。
[A11]制御装置は、第2動作モードに基づき求められた被写体までの距離に不連続状態が認められたとき、第1動作モードに切り替えて被写体までの距離を求める[A04]乃至[A10]のいずれか1項に記載の撮像装置組立体。
[A12]制御装置は、第2動作モードに基づき求められた被写体までの距離が所定の値未満のとき、第1動作モードに切り替えて被写体までの距離を求める[A04]乃至[A11]のいずれか1項に記載の撮像装置組立体。
[A13]制御装置は、第1動作モードに基づき求められた被写体までの距離が所定の値以上のとき、第2動作モードに切り替えて被写体までの距離を求める[A04]乃至[A11]のいずれか1項に記載の撮像装置組立体。
[A14]撮像装置を1つ備えている[A01]乃至[A13]のいずれか1項に記載の撮像装置組立体。
[A15]制御装置は、得られた画像信号から、ストラクチャードライト法に基づき、撮像装置から被写体までの距離を求める[A14]に記載の撮像装置組立体。
[A16]撮像装置はアクティブステレオ撮像装置から構成されている[A01]乃至[A13]のいずれか1項に記載の撮像装置組立体。
[A17]制御装置は、得られた画像信号から、アクティブステレオ法に基づき、撮像装置から被写体までの距離を求める[A16]に記載の撮像装置組立体。
[A18]光源は赤外線を出射する[A01]乃至[A17]のいずれか1項に記載の撮像装置組立体。
[A19]高輝度光照射状態において光源は動作状態とされ、低輝度光照射状態において光源は不動作状態とされる[A01]乃至[A18]のいずれか1項に記載の撮像装置組立体。
[A20]光源は半導体発光素子から成る[A01]乃至[A19]のいずれか1項に記載の撮像装置組立体。
[A21]高輝度光照射状態において参照光パターン及び被写体を撮像するときの撮像時間をT1、低輝度光照射状態において少なくとも被写体を撮像するときの撮像時間をT2としたとき、
T1>T2
を満足する[A01]乃至[A20]のいずれか1項に記載の撮像装置組立体。
[A22]撮像装置組立体の使用者からの指示に基づき、撮像時間T1,T2は可変とされ、又は、T1/T2の割合は可変とされる[A21]に記載の撮像装置組立体。
[A23]1撮像フレームは複数の期間に分割されており、
その内の1つの期間は低輝度光照射状態とされ、
残りの期間は高輝度光照射状態とされる[A01]乃至[A20]のいずれか1項に記載の撮像装置組立体。
[A24]撮像フレームレートは30フレーム/秒であり、
1撮像フレームは、2以上の期間に分割されている[A23]に記載の撮像装置組立体。
[A25]高輝度光照射状態において参照光パターン及び被写体を撮像する撮像期間と、低輝度光照射状態において少なくとも被写体を撮像する撮像期間が繰り返され、前者の撮像期間が後者の撮像期間よりも長い[A01]乃至[A20]のいずれか1項に記載の撮像装置組立体。
[A26]撮像装置は、第1の方向及び第2の方向に2次元マトリクス状に配列された撮像素子を有し、
撮像装置は、ローリングシャッター機構を有し、
制御装置は、高輝度光照射状態において全ての撮像素子が参照光パターン及び被写体を撮像して第1画像信号を制御装置に出力し、低輝度光照射状態において全ての撮像素子が少なくとも被写体を撮像して第2画像信号を制御装置に出力するように、光源及び撮像装置を制御する[A01]乃至[A25]のいずれか1項に記載の撮像装置組立体。
[B01]《3次元形状測定装置》
[A01]乃至[A26]のいずれか1項に記載の撮像装置組立体を備えた3次元形状測定装置。
[B02]演算装置を更に備えており、
演算装置は、画像信号から被写体の3次元形状を算出する[B01]に記載の3次元形状測定装置。
[C01]《動き検出装置》
[A01]乃至[A26]のいずれか1項に記載の撮像装置組立体を備えた動き検出装置。
[C02]演算装置を更に備えており、
演算装置は、画像信号から被写体の3次元形状を算出し、算出した3次元形状から被写体の特徴点を抽出して被写体の特徴点の位置を算出し、算出した特徴点の位置の変化から被写体の動きを検出する[C01]に記載の動き検出装置。
【符号の説明】
【0088】
1001,1002・・・撮像装置組立体、110,210・・・光源、120,120A,120B・・・撮像装置、130・・・制御装置、140・・・被写体、10・・・撮像素子、21・・・受光部、22・・・第1電荷蓄積部、24・・・第2電荷蓄積部、23・・・第1電荷転送制御手段、25・・・第2電荷転送制御手段、26・・・遮光層