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特許7362671分離可能な2つの部分から成るスノーボードビンディング
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-06
(45)【発行日】2023-10-17
(54)【発明の名称】分離可能な2つの部分から成るスノーボードビンディング
(51)【国際特許分類】
   A63C 10/10 20120101AFI20231010BHJP
   A63C 10/04 20120101ALI20231010BHJP
【FI】
A63C10/10
A63C10/04
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020567635
(86)(22)【出願日】2019-02-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-06-17
(86)【国際出願番号】 EP2019054696
(87)【国際公開番号】W WO2019162520
(87)【国際公開日】2019-08-29
【審査請求日】2021-11-02
(31)【優先権主張番号】102018202874.5
(32)【優先日】2018-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】520325407
【氏名又は名称】ヨハネス ヴェッカーレ
【氏名又は名称原語表記】Johannes Weckerle
【住所又は居所原語表記】Bavariaring 7, 80336 Muenchen, Germany
(73)【特許権者】
【識別番号】520325418
【氏名又は名称】ヤーコプ シュナイダー
【氏名又は名称原語表記】Jakob Schneider
【住所又は居所原語表記】Josephsplatz 9, 80798 Muenchen, Germany
(73)【特許権者】
【識別番号】520325429
【氏名又は名称】マティアス アルブレヒト
【氏名又は名称原語表記】Matthias Albrecht
【住所又は居所原語表記】Thalkirchner Str. 35, 80337 Muenchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス ヴェッカーレ
(72)【発明者】
【氏名】ヤーコプ シュナイダー
(72)【発明者】
【氏名】マティアス アルブレヒト
【審査官】佐々木 祐
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3089802(JP,U)
【文献】特開平11-188131(JP,A)
【文献】特開平08-057108(JP,A)
【文献】登録実用新案第3070918(JP,U)
【文献】特開平08-150237(JP,A)
【文献】米国特許第06231057(US,B1)
【文献】米国特許第06267390(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63C 1/00 - 19/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スノーボードにスノーボードブーツ(44)を連結するためのスノーボードビンディングであって、
-ベースプレート(12)であって、取付け装置(14)によりスノーボードに取り付けられ、該スノーボードに面状に当て付けられるように調整されている、ベースプレート(12)と、
着用者のふくらはぎに沿うように前記ベースプレート(12)に対してほぼ垂直に延びているハイバック(36)と、
-トゥストラップ(15)および甲ストラップ(34)と
を含む、スノーボードビンディングにおいて、
該スノーボードビンディングが、2部分から形成されていて、前記ベースプレート(12)と、前記トゥストラップ(15)とが、第1の構造群(10)に対応配置されていて、前記ハイバック(36)と、前記甲ストラップ(34)とが、第2の構造群(30)に対応配置されていて、連結ユニット(20,26)が設けられていて、該連結ユニット(20,26)により、前記第1の構造群(10)と前記第2の構造群(30)とが互いに着脱可能に連結可能であり、前記第1の構造群(10)が、連結解除された状態で前記スノーボードに残るように調整されていて、前記第2の構造群(30)が、連結解除された状態で前記スノーボードブーツ(44)に残るように、調整されており、
前記第2の構造群(30)が、さらにU字形エレメント(32)を含んでいて、該U字形エレメント(32)は、前記スノーボードビンディングが連結された状態において、該U字形エレメント(32)の下面が前記ベースプレート(12)の方向に向けられていて、該U字形エレメント(32)の上面が前記スノーボードブーツ(44)のソールのための当付け面を形成するように、調整されており、
前記ハイバック(36)、前記甲ストラップ(34)および前記U字形エレメント(32)は、単独の軸線(38)を中心として互いに対して旋回可能に互いに結合されていることを特徴とする、スノーボードにスノーボードブーツ(44)を連結するためのスノーボードビンディング。
【請求項2】
前記第1の構造群(10)が、さらに壁エレメント(18)を含み、該壁エレメント(18)が、前記ベースプレート(12)に対してほぼ垂直に、かつ前記ベースプレート(12)の後方領域(12b)の周囲でアーチ状に延びている、請求項1記載のスノーボードビンディング。
【請求項3】
連結された状態で、前記壁エレメント(18)が、前記ハイバック(36)のための当付け部を形成し、これにより前記ハイバック(36)の、前記U字形エレメント(32)に対する旋回運動を、ハイバック(36)とベースプレート(12)との間の予め規定された角度で制限することができる、請求項2記載のスノーボードビンディング。
【請求項4】
前記連結ユニット(20,26)は、係合エレメント(24)を含む第1の部分(20)と、少なくとも1つの移動可能な係止歯部(28)と、該係止歯部(28)のための戻し機構とを含む第2の部分(26)とを含んでいて、連結された状態において、前記戻し機構は、前記少なくとも1つの係止歯部(28)に少なくとも1つの係合エレメント(24)との係合のために予荷重を加える、請求項1から3までのいずれか1項記載のスノーボードビンディング。
【請求項5】
当該スノーボードビンディングは、さらに牽引ケーブル(40)を含んでいて、該牽引ケーブル(40)により、前記少なくとも1つの係止歯部(28)が、前記戻し機構の作用に抗して前記少なくとも1つの係合エレメント(24)との係合から外れるように移動可能である、請求項4記載のスノーボードビンディング。
【請求項6】
前記牽引ケーブル(40)は、少なくとも部分的に前記ハイバック(36)の領域において、または前記ハイバック(36)の内部でガイドされる、請求項5記載のスノーボードビンディング。
【請求項7】
前記連結ユニット(20,26)の前記第1の部分(20)は前記第1の構造群(10)に対応配置されていて、前記連結ユニット(20,26)の前記第2の部分(26)は前記第2の構造群(30)に対応配置されている、請求項4から6までのいずれか1項記載のスノーボードビンディング。
【請求項8】
前記連結ユニット(20,26)が、一方では前記U字形エレメント(32)に対応配置されていて、他方では前記壁エレメント(18)に対応配置されている、請求項2または3記載のスノーボードビンディング。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか1項記載のスノーボードビンディングと、前記スノーボードビンディングの第2の構造群(30)に結合可能であるように調整されているスノーボードブーツ(44)とを含むシステム。
【請求項10】
2つのスノーボードビンディングと、2つのスノーボードブーツ(44)と、1つのスノーボードとを含み、該スノーボードに、前記両スノーボードビンディングの前記ベースプレート(12)がその取付け装置(14)により取付け可能である、請求項9記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取付け装置によりスノーボードに取り付けられ、かつスノーボードに面状に当て付けられるように調整されているベースプレートと、ベースプレートに対してほぼ垂直に延びるハイバックと、トゥストラップと、甲ストラップとを含んでいるスノーボードビンディングに関する。
【0002】
このような形式のスノーボードビンディングは自体公知であり、ユーザ、つまりスノーボーダーのスノーボードブーツとスノーボードとの結合部を形成するために対として働く。このような公知のビンディングでは、ビンディングとブーツとの間の連結部は、通常、まず通常はラチェットを備えたトゥストラップおよび甲ストラップを一回開放し、次いでブーツをベースプレート上の予め規定された位置に置き、次いで両ストラップを再び通して締め付けることにより、形成される。しかし、ビンディングによるスノーボードのこのような装着のために、ユーザは、着座し、通常は手袋を装着したままストラップを通して締め付ける工程を実施しなければならない。このことは、多くのスノーボーダーにとって面倒に感じられる。
【0003】
他方では、最近では、いわゆる「Flow-ビンディング」も市場に登場している。Flow-ビンディングでは、ハイバックを、エントリーのために、つまり足を乗せる(Einsteigen)ために後方に向かってフラップさせることができ、これによりユーザのブーツのためのエントリー開口を提供することができる。エントリー後にハイバックを再び上方に向かってフラップさせ、位置固定することができる。しかしこのためには、ハイバックのこの旋回運動のためにビンディングの後方に十分な自由空間が必要であるので、たとえば急斜面においてビンディング内に足を乗せることは可能ではない。なぜならば、急斜面ではハイバックを旋回させるために適した空間が存在しないからである。さらに、このようなビンディングのハイバックは、閉じた状態で少なくとも5°の前傾角度(Vorlagewinkel)を有している。このことは、このシステムのフレキシビリティを制限する。最後に、Flow-ビンディングの個別の調節および操作には手間がかかる。なぜならば、Flow-ビンディングは、合計4つの留め金を含み、結局のところ手動で開放し、閉じなければならないからである。
【0004】
最後に、先頃では、さらに「ステップ-イン(Step-in)-ビンディング」が入手可能である。このステップ-イン-ビンディングでは、特別に形成されたブーツをスノーボードに設けられたベースプレートに係止することができる。しかしこのためには、この目的のために補強されなければならず、したがってあまりフレキシブルではないこの特別なブーツを費用をかけて購入することが必要であり、かつこのシステムが力伝達、ひいては走行感覚ならびに雪または氷により汚れた状態における操作に関して、スノーボーダーにとって不十分であると感じられたので、このシステムは市場には浸透しなかった。
【0005】
したがって、本発明の課題は、冒頭で述べた形式のスノーボードビンディングを改良して、不変の走行快適性および同一のままの調節可能性でスノーボードの簡略化された装着および取外しを可能にすることである。
【0006】
このためには、本発明に係るスノーボードビンディングは、2部分から形成されていて、ベースプレートおよびトゥストラップが第1の構造群に対応配置されていて、ハイバックおよび甲ストラップが第2の構造群に対応配置されていて、連結ユニットが設けられていて、該連結ユニットにより、第1の構造群と第2の構造群とが互いに着脱可能に連結可能であり、第1の構造群は、連結解除された状態でスノーボードに残るように調整されていて、第2の構造群は、連結解除された状態でスノーボードブーツに残るように調整されている。
【0007】
発明者の功績は、ブーツに残る第2の構造群を備えた本発明に係るスノーボードビンディングの2部分から成る構造形式により、スノーボードの容易にされた装着を、たとえばアルペンスキー用ビンディングと同様に意図的な踏込みにより、達成することができることを認識したことである。しかしながら、走行感覚および/またはビンディングの個別の調節可能性に関する妥協をする必要はない。たとえば、本発明の幾つかの実施形態において、さらに、それぞれのスノーボードブーツに適合するためにストラップを調節するためのラチェットシステムを設けることができ、本来従来のビンディングと一緒に使用するために規定された既に購入したスノーボードブーツを使用することができる。
【0008】
スノーボードブーツと第2の構造群との間の固定的な結合を連結解除された状態でも確保することができるように、この第2の構造群は、好適な構造形態において、さらに、U字形エレメントを含んでいてよい。このU字形エレメントは、ビンディングの連結された状態において、U字形エレメントの下面がベースプレートの方向に向けられていて、U字形エレメントの上面がスノーボードブーツのソールのための当付け面を形成するように、調整されている。この形式では、U字形エレメントを設けることにより、甲ストラップとハイバックとU字形エレメントとの間の力の三角形を形成することができる。この力の三角形は、主に、着用者のくるぶしまたは距腱関節の領域において張設される。したがって、スノーボードブーツにおける第2の構造群の確実な保持が達成される。ブーツは、着用者の歩行時に、連結解除された状態でU字形エレメントによりソール領域において小さな付加的な段部しか有しておらず、この段部は、装着快適性は著しく低下させない。この措置により、たとえば、本来は従来のビンディングと一緒に使用するために規定された既に購入したスノーボードブーツを、本発明に係るビンディングと一緒に引き続き使用することができる。しかし、代替的には、当然ながら、たとえば協働する係合エレメントを介した、スノーボードブーツにおいて第2の構造群の取付けのための代替的な手段も可能である。しかしこのような係合エレメントは、使用されたスノーボードブーツの変更または少なくとも変形を要求するだろう。
【0009】
足首の可動性を特に本発明に係るビンディングが連結解除された状態で、U字形エレメントを備えた構成においてさらに改善するために、ハイバック、甲ストラップおよびU字形エレメントを単独の軸線を中心として互いに対して旋回可能に互いに結合することを想定することができる。したがって、この軸線は、着用者の足もしくはブーツの幅方向で着用者のくるぶしの領域において、距腱関節の関節軸線にほぼ一致するように、延びている。
【0010】
さらに、第1の構造群は壁エレメントをさらに含んでいる。壁エレメントは、ベースプレートに対してほぼ垂直に、かつベースプレートの後方領域の周りにアーチ状に延びている。この壁エレメントを設けることにより、ビンディングの連結された状態で、ビンディング内でのスノーボードブーツの側面保持を改善し、スノーボーダーの足とスノーボードとの間で力が伝達される。
【0011】
この壁エレメントは、さらに連結された状態で、ハイバックのための当付け部を形成することができ、これによりハイバックの、U字形エレメントに対するその旋回運動を、ハイバックとベースプレートとの間の予め規定された角度で制限することができる。好適には、予め規定された角度は、調節機構により適合可能である。これにより、簡単な形式で、ハイバックが同様に着用者のブーツからスノーボードに力を伝達することができ、逆にスノーボードからブーツに力を伝達することができることを確実にすることができ、さらに予め規定された角度は、このようなビンディングの重要なパラメータであり、使用目的ならびに走者の技術に適合可能であることが望ましい。このためには、調節機構は、たとえば、この調節機構が高さ方向でハイバックにおいて移動可能な対向エレメントを含んでいて、対向エレメントが本発明に係るビンディングの連結状態で直接に壁エレメントに当て付けられるように、形成されていてよく、ハイバックにおける対向エレメントの位置により、ハイバックとU字形エレメントとの間の角度が適合可能である。
【0012】
本発明に係るスノーボードビンディングの連結ユニットが種々異なる形式で形成されていてよいにもかかわらず、特に簡単かつ信頼性のよい可能性は、連結ユニットが少なくとも1つの係合エレメント、たとえば歯付きロッドまたは係止切欠きを含む第1の部分と、少なくとも1つの移動可能な係止歯部および係止歯部のための戻し機構を含む第2の部分とを含んでいて、連結された状態において、戻し機構が、少なくとも1つの係止歯部に少なくとも1つの係合エレメントとの係合のために予荷重を加えることにおいて生じる。
【0013】
連結ユニットの実施形態に応じて、連結ユニットは、特に、スノーボードの長手方向で走者の足に対して横方向で主に作用する力を受け止めることができる上述の壁エレメントが設けられている場合に、特に高い力を伝達する必要がない。同様のことは、壁エレメントにおけるハイバックの支持によっても有効である。これにより、走者のアキレス腱の方向の力を受け止めることができるので、連結エレメントは単に、スノーボードから離れる方向に向けられた力が受け止められること、および本発明のビンディングの第1の構造群と第2の構造群が不都合に互いに分離できないことを確保すればよい。
【0014】
上述の係止歯部と、この係止歯部と協働するために適した対向エレメントとを設けることにより、係止歯部の逆鉤効果により、ビンディング内への簡単なエントリー、つまり第1の構造群と第2の構造群との簡単な連結を達成することができる。連結された状態において、戻し機構は、少なくとも1つの係止歯部と係合エレメントとが互いに固く当て付けられ、これによりビンディングがその連結状態で固定されるように働く。
【0015】
ビンディングを開くための操作エレメントとして同様に種々異なる機構、たとえば少なくとも1つの係止歯部と係合エレメントとの間の係合を解除するための適切に配置された押圧ボタンが可能である一方で、特にユーザフレンドリーな実施形態において操作エレメントが牽引ケーブルを含んでいてよく、この牽引ケーブルにより、少なくとも1つの係止歯部が戻し機構の作用に抗して少なくとも1つの係合エレメントとの係合から外れるように移動可能である。この牽引ケーブルを操作するための運動が、たとえば統合されたレバー機構によって、ケーブルの操作がビンディングからの取外しの方向で行われるように、変換されることにより、スノーボードからのブーツの取外しのための最適な力作用が得られることを達成することができる。さらに、牽引ケーブルが少なくとも部分的にハイバックの領域において、またはハイバックの内部でガイドされ、かつ好適にはこのハイバックにおいて固定可能であることが規定されてよい。この形式で、牽引ケーブルは、本発明に係るビンディングの連結状態において、走者を走行時に妨げないことを確実にすることができ、同様に、視覚的に魅力的な外観を達成することができる。ハイバックにおいて牽引ケーブルを固定するために、たとえば、係止状態で牽引ケーブルを固定的にハイバックに結合し、係止解除状態でのみビンディングの開放を可能にする係止機構が設けられていてよい。
【0016】
連結ユニットの両方の部分が両方の構造群に自由に対応配置されているにもかかわらず、特に、ビンディングの開放時の操作を容易にするために、連結ユニットの第1の部分が第1の構造群に対応配置されていて、連結ユニットの第2の部分が第2の構造群に対応配置されていてよい。
【0017】
最適に力を受け止め、本発明に係るビンディングの簡単な操作を確実にすることができるように、連結ユニットの両部分のうちの一方の部分にU字形エレメントが対応配置されていて、連結ユニットの他方の部分に壁エレメントが対応配置されていてよい。
【0018】
さらに本発明は、本発明に係るスノーボードビンディングと、スノーボードビンディングの第2の構造群に結合可能であるように調整されているスノーボードブーツとを含むシステムに関する。この場合、本発明の複数の利点のうちの1つの利点は、スノーボードブーツにおいて、公知のスノーボードブーツに対する著しい変更を実施する必要がなく、特に、既に流通しているスノーボードブーツを本発明に係るシステムにおいて使用することができることにある。
【0019】
さらに本発明に係るシステムは、本発明に係る2つのスノーボードビンディングと、2つのスノーボードブーツと、さらに1つのスノーボードとを含んでいてよい。このスノーボードにおいて両スノーボードビンディングのベースプレートが取付け装置により取付け可能であり、取付け装置はさらに好適には、スノーボードの上面に関するその位置および/またはその角度に関する取付けの適合を可能にする。この適合は、たとえば、4つのねじを備えたそれぞれ1つのディスクにより行うことができる。このディスクは、スノーボード軸線に対するブーツ軸線の適合を可能にする。
【0020】
本発明の別の特徴および利点は、添付の図面と一緒に観察した場合に、実施形態の以下の説明に基づいて明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明に係るスノーボードビンディングの第1の構造群を示す図である。
図2図1に示したスノーボードビンディングの第2の構造群を示す図である。
図3】aおよびbは、スノーボードブーツに結合された状態で図2に示した第2の構造群を示す背面図および側面図である。
【0022】
図1には、まず本発明に係るスノーボードビンディングの第1の構造群が示されており、全体を概して符号10で示されている。第1の構造群は、ベースプレート12を含んでいる。このベースプレート12は、スノーボードに組み付けられ、その場合にベースプレート12の下面がスノーボードに面状に当て付けられるように、設けられかつ調整されている。このためには、ベースプレート12の中央の切欠き内に、「ミニディスク」と呼ばれることの多い取付けディスク14が設けられていて、この取付けディスク14は、スノーボードと結合するためにねじをねじ込むための複数の組付け穴14aを有していて、スノーボードの長手方向軸線とベースプレートの長手方向軸線Aとの間で所望の角度を調節するために、ベースプレートに対して回動可能である。さらに、取付けディスク14には、目盛り14bが配置されている。この目盛り14bにより、上述の角度の正確な調節が可能にされる。
【0023】
さらに、第1の構造群10は、トゥストラップ15を含んでいる。このトゥストラップ15は、2つの取付け点(図1に図示された視点では単に1つの取付け点15aしか示されていない)から、ベースプレート12の、ベースプレート軸線Aの前方領域12aの領域においてほぼ円弧状に延びている。トゥストラップ15は、両取付け点15aを中心として旋回可能に、ベースプレート12に対して垂直に延びる互いに反対の側に位置する組付け区分16に枢着されているので、ベースプレート12に対するトゥストラップ15の位置の個別の調節が可能である。トゥストラップ15は図1に示された実施形態では一体的に図示されているが、本発明によるビンディングの別の実施形態では、トゥストラップ15は公知の形式で、たとえばラチェットシステムを介してその長さを調節可能であってもよい。さらに別の実施形態では、トゥストラップ15は、フラップとして構成されていてもよい。フラップは、連結された状態でスノーボードブーツの前面全体を越えて突出し、したがってブーツの着用者のつま先全体の前に、かつ、つま先全体にわたって延びている。
【0024】
組付け区分16にはさらに壁エレメント18が取り付けられて位置している。この壁エレメント18は、同様にベースプレート12からほぼ垂直に上方に向かって延びていて、側方でベースプレート12の形状にほぼ沿うように延びていて、ベースプレート12の後方領域12bにおいてアーチ18aを描いている。
【0025】
壁エレメント18の側方で内側の区分には、さらに連結ユニットの、2部分から成る構成群の第1の部分20が位置している。この第1の部分20により、さらに下記で説明する図2に示された第2の構造群30と、第1の構造群10との連結が達成される。図1の図面では、単に連結ユニットの第1の部分20の右側部分しか図示されていないが、ベースプレート12の長手方向軸線Aに関して鏡像的に壁エレメント18の別の側にも同一に構成された構造群、つまり連結ユニットの第1の部分20の左側部分が位置している。連結ユニットの上述の両第1の部分20は、それぞれ1対のガイドレール22と、係止開口の形の2つの係合エレメント24とを含んでいる。これらの係止開口24は、連結ユニットの第2の部分26の一部を形成する、外方に向かう方向でばねエレメント(図示せず)により予荷重を加えられた図2に示された係止歯部28がこの係止開口24内にガイドされ、係止歯部28の逆鉤形状およびばねエレメントによる予荷重によって簡単に再びこの係止開口24から上方に向かう方向で取り外されないように、調整されている。それぞれ少なくとも2つの係止開口24が設けられていることによって、たとえばスノーボードブーツのソールまたはベースプレートの内側に雪が溜まった場合でも、常にビンディングの連結が可能であることを確実にすることができ、雪が後に溶融するかまたは除去された場合に、係止歯部28の形状により単にビンディングをさらに締め付けることが可能である。
【0026】
連結ユニットの既に述べた第2の部分26は、本発明に係るスノーボードビンディングの第2の構造群30のU字形エレメント32において設けられていて、図2に図示されている。このU字形エレメント32は、部分的に、ブーツのために設けられた位置の下側に延びていて、かつ第2の構造群30において側方でブーツに沿って上方に向かって延びていて、両構造群10および30が結合された状態において、一方ではガイドレール22によりガイドされていてよく、他方では第1の構造群10のベースプレート12にこのために設けられた切欠き12c内に入り込むことができる。
【0027】
さらに、第2の構造群30は、甲ストラップ34を含んでいる。この甲ストラップ34は、第2の構造群30の別の構成要素に着脱可能に結合されていて、これにより、スノーボードブーツにおける装着を可能にし、このためには図示された実施形態におけるトゥストラップ15と同様に一体的に形成されているが、ラチェットシステムによって長さ調節可能であってもよい。第2の構造群30は、さらにハイバック36を含んでいる。このハイバック36は、ほぼ垂直にかつアーチ形に延びていて、ある程度着用者のふくらはぎに沿っているので、これによりこの方向でスノーボーダーの足とスノーボードとの間での支持および力伝達を可能にすることができる。
【0028】
構成要素、つまりU字形エレメント32、甲ストラップ34およびハイバック36は、軸線38を中心として互いに対して旋回可能に互いに結合されている。軸線は、ほぼその着用者の距腱関節の関節軸線の領域に延びている。結合部自体は、この場合たとえば一対のねじまたはリベットにより形成されていてよく、結合部は、対応して着用者のくるぶしの両側で上述の3つの構成要素を結合している。この結合部を片側で解除するか、または上述のラチェットシステムの分割により、甲ストラップ34の開放と、ひいてはスノーボードブーツにおける装着が可能にされる。
【0029】
ハイバック36の領域において、図2では、たとえば巻成されたワイヤロープから形成された2つのループ40をさらに確認することができる。これらのループ40は、連結ユニット、特に連結ユニットの2つの部分から成る第2の部分26のための解除装置の一部を形成する。このためには、ループ40はワイヤケーブルの一部であり、ワイヤケーブルは、ループ40を上方に向かって引っ張ることによって着用者の足の方向に係止歯部28が引き込まれることが生じるように、係止歯部28に結合され、これにより係止歯部28は、連結ユニットの連結された状態で係止開口24との係合から外れることができ、連結ユニットは、第1の構造群10からの第2の構造群30の解除が可能であるように解放される。ワイヤケーブルは、ハイバック36の内部にガイドされていて、本発明に係るビンディングの変形形では、偶発的な作動を阻止するために固定可能であってよい。
【0030】
最後に、図2はさらに、ハイバック36に対応配置された調節可能な対向エレメント42が示されている。この対向エレメント42は、両構造群10および30が連結された状態において、対向エレメント42が壁エレメント18にアーチ18aの領域において直接に当て付けられるように作用する。高さ方向に関するハイバック36における対向エレメント42の位置により、ハイバック36とU字形エレメント32との間の角度は、連結された状態において適合可能である。
【0031】
対向エレメント42は、図3aおよび図3bにおいて改めて確認することができる。図3aおよび図3bは、市販のスノーボードブーツ44(ソフトブーツ)に結合された状態で図2に示した第2の構造群30をそれぞれ背面図および側面図で示している。これらの2つの図面から、本発明に係るスノーボードビンディングの連結解除された状態では、第2の構造群30が、U字形エレメント32、甲ストラップ34およびハイバック36により形成される三角形によってブーツ44に保持されることが明らかである。上述の3つの構成要素の、軸線38を中心とした互いに対する旋回可能性により、ブーツ44の着用者の足首の優れた可動性が保証されたままであり、ブーツ44における第2の構造群30の着用は邪魔に感じられない。
図1
図2
図3a
図3b