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特許7362731周期的な拡張式組織治療プログラム及びそれに関連するシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-06
(45)【発行日】2023-10-17
(54)【発明の名称】周期的な拡張式組織治療プログラム及びそれに関連するシステム
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/10 20130101AFI20231010BHJP
   A61B 17/00 20060101ALI20231010BHJP
【FI】
A61M25/10
A61B17/00 500
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021516978
(86)(22)【出願日】2019-09-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-06
(86)【国際出願番号】 US2019053251
(87)【国際公開番号】W WO2020069188
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-05-17
(31)【優先権主張番号】62/737,044
(32)【優先日】2018-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/752,150
(32)【優先日】2018-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/583,237
(32)【優先日】2019-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391028362
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100093665
【弁理士】
【氏名又は名称】蛯谷 厚志
(74)【代理人】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(72)【発明者】
【氏名】メリル ジェイ.バードノ
(72)【発明者】
【氏名】マイク エー.シュミーダー
(72)【発明者】
【氏名】エドワード イー.ショー
(72)【発明者】
【氏名】ブランドン シー.ショート
(72)【発明者】
【氏名】アリレザ マーシャル
(72)【発明者】
【氏名】マシュー ビー.デナルド
(72)【発明者】
【氏名】フランク ジェイ.ルビコーニ
(72)【発明者】
【氏名】リンダ エム.ドノヒュー
(72)【発明者】
【氏名】サージ シー.ルー
【審査官】竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-000718(JP,A)
【文献】国際公開第2017/168145(WO,A1)
【文献】特開平07-067967(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/10
A61B 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物の身体の治療部位の、公称(開始)径を有する血管を治療するための医療装置であって、
カテーテル上に搭載された、0.1~10Hzの第1の周波数で拡張及び収縮するように構成された拡張エレメント、
前記拡張エレメントは、前記治療部位に定位することが可能であり、
前記拡張エレメントは、前記公称(開始)径よりも大きい第1の直径と、前記第1の直径よりも小さい第2の直径との間で、前記第1の周波数で前記治療部位において循環動作することが可能であり、ここで、前記第2の直径は、直前の循環動作中における前記第2の直径と比較して、引き続く循環動作中に大きさが増加し、
これによって前記治療部位の前記公称(開始)径が前記治療及び前記拡張エレメントの除去後に増加する、こととを含む、医療装置。
【請求項2】
前記拡張エレメントは、薬物被覆バルーンであり、前記薬物被覆バルーンを循環動作させることの結果が、前記治療部位への薬物の送達の効率を増加させる、請求項1に記載の医療装置。
【請求項3】
前記拡張エレメントは、前記治療部位を治療するように構成された周波数に従って循環動作する、請求項1又は2に記載の医療装置。
【請求項4】
前記拡張エレメントは、治療プログラムに従って循環動作し、前記治療プログラムは、変動するひずみ率、ひずみ百分率、サイクル数、拡張振幅、拡張周波数、拡張エレメント容積の変化、拡張エレメント圧力の変化、又は拡張エレメント径の変化を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の医療装置。
【請求項5】
前記拡張エレメントは、所望の血管径を治療するように構成されたコンプライアンスを有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の医療装置。
【請求項6】
前記拡張エレメントは、局所的せん断荷重が前記血管に掛からない状態で、放射状に拡張するように構成される、請求項1から5のいずれか一項に記載の医療装置。
【請求項7】
前記拡張エレメントは、長手方向に可撓性を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の医療装置。
【請求項8】
前記拡張エレメントは、薬物被覆、スコアリングエレメント、カッティングエレメント、組織分布的フィーチャ、又はバルーンに装着されたスキャフォールドを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の医療装置。
【請求項9】
前記拡張エレメントは、加圧源を用いて前記第1の周波数で循環動作することが可能である、請求項1から8のいずれか一項に記載の医療装置。
【請求項10】
前記拡張エレメントは、管腔内バルーンを含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の医療装置。
【請求項11】
前記拡張エレメントは、コンプライアントバルーンを含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の医療装置。
【請求項12】
前記拡張エレメントは、ノンコンプライアントバルーンを含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の医療装置。
【請求項13】
前記医療装置は、加圧源に接続された動力源と前記加圧源を制御するコントローラとを含む圧力モジュレータに接続され、前記加圧源は、1つ又は複数の拡張エレメントに接続されて前記1つ又は複数の拡張エレメントを加圧及び減圧し、プロセッサを含む前記コントローラは、前記加圧源に治療プログラムに従って前記1つ又は複数の拡張エレメントを操作させる、請求項1から12のいずれか一項に記載の医療装置。
【請求項14】
前記動力源、前記加圧源、及び前記コントローラは、ハウジング内に維持されている、請求項13に記載の医療装置。
【請求項15】
前記ハウジングは、ユーザの手中に保持できるように構成されている、請求項14に記載の医療装置。
【請求項16】
前記圧力モジュレータは、ビストンドライブ、スクリュードライブ、エアコンプレッサ、ガスカートリッジ、サーボモータ、圧電モータ、又は与圧流体槽を含む加圧源を含む、請求項9から15のいずれか一項に記載の医療装置。
【請求項17】
前記拡張エレメントは、スコアリングフィーチャ、薬物被覆、カッティングフィーチャ、制御されたトポグラフィフィーチャ、又は軸外拡張フィーチャを備える、請求項1から16のいずれか一項に記載の医療装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、全ての目的のためにその両方が参照によって全体が本明細書に援用される、2018年10月29日に出願された仮出願第62/752,150号明細書及び2018年9月26日に出願された仮出願第62/737,044号明細書の利益を主張する2019年9月25日に出願された米国特許出願第16/583,237号明細書に対する優先権を主張する。
【0002】
本開示は、概して、例えば閉塞及び治療薬送達デバイス、システム及び方法に関連する拡張エレメント等の拡張エレメントを使用する治療プログラムに関する。いくつかのより具体的な実施例では、本開示は、動脈導管の石灰化等の特定の状態を治療するように構成された事前選択の周波数プロファイルでの拡張-収縮サイクルを可能にする。
【背景技術】
【0003】
様々な疾病及び身体の疾患又は状態は、治療部位の組織に係合する拡張エレメントを用いたインターベンションから利益を得ている。アテローム性動脈硬化症、動脈閉塞、血管予防インターベンション、静脈炎、内膜肥厚、プラーク、血管解離、末梢動脈疾患、動脈瘤性疾患、狭窄、再狭窄、及び皮膚伸長等の血管性疾患は、組織に積極的に係合するカテーテルバルーン等の拡張エレメントの使用を含むインターベンションから利益を得る疾病/治療の数例に過ぎない。そのような治療に関連付けられた粘弾性応答を含む組織応答の改善はまだ実現していない。
【0004】
国際公開第2017/168145(A)号パンフレットは、ヒト又は動物の身体の血管内の石灰化したか又はその他の硬化した物質の破壊、途絶又は分解を支援する医療デバイスに関し、当該物質は、放置しておけば血管内へのステント挿入手順又はガイドワイヤ、カテーテル及びその他のデバイスの血管内の通過を阻止する結果になる。このデバイスは、カテーテルの遠位端と近位端との間で拡張する管腔を有するカテーテルと、管腔内の圧力変動によって駆動されるとカテーテルに対して軸方向及び/又は半径方向に変位するように構成された、カテーテルの遠位端にある変位可能なエレメントとを備える。圧力ポンプがカテーテルの近位端に接続され、管腔へのベースライン圧力を印加するように構成されている。圧力調整源もカテーテルの近位端に接続され、1つ又は複数の圧力インパルスを用いて、好ましくは一連の圧力インパルスを用いて、カテーテルの管腔内のベースライン圧力を調整するように構成されている。
【0005】
国際公開第2016/134225(A)号パンフレットは、概ね回転性アテローム切除術システム及び方法を対象とするシステムに関する。具体的には、アテローム動脈硬化プラーク、病変若しくは閉塞の内部及び/又は生体導管若しくは管腔の壁面内に位置する石灰化を入念に軟化させ、又はそれ以外の手段で途絶する方法である。例示の動脈壁内の石灰化の軟化及び/又は途絶は、例示の動脈の内面上に位置する、したがって、動脈管腔内に位置するあらゆる閉塞のアブレーションを用いた除去と連携して達成される。この結果は、例示の管腔内の高速回転中に管腔壁に対して作用する力を含む低周波軌道運動と管腔壁のたわみとの組み合わせ、及び/又は脈動高周波数と管腔壁に対する力の付随する作用と管腔壁のたわみとの組み合わせを生成することが分かっている、少なくとも1つの偏心ヘッドを使用することで達成される。
【0006】
米国特許第4,439,186号明細書は、拡張エレメントを有するカテーテルで血管又はその他の身体の空洞を拡張又は閉塞する拡張デバイスに関する。この拡張エレメントは、非直線的な圧力-量関係を有するバルーン式拡張エレメントである。脈動圧力を前記エレメントの拡張及び収縮を交互に行う拡張エレメントに脈動圧力を供給する圧力源が提供される。
【0007】
欧州特許第0774163号明細書は、その一部分が通常のシャフトをボックス内で往復運動するラムと当該ボックス上に密着したカバー内に配置されたサドルとの間で連続的に圧縮されるバルーンカテーテルを備えるステント拡張システムに関する。バルーンに供給される与圧液状媒質は、ラムとサドル設備の圧縮及び解放動作によって脈動する。
【0008】
拡張治療に対する組織の応答の改善策は、未だに実現していない。改善策のいずれも、充填ゴム内の機械的応答の具体的な態様であるマリンス効果に帰される応答等の、複合弾性材料の応答をエミュレート又はそれ以外の方法で利用する事前選択されたような周期的治療プロファイル(例えば、応力の緩和)を効果的に取り扱っているとは言えない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本明細書に記載する様々な発明の態様は、拡張又はその他の組織拡張手順に対する改善された組織応答を達成するシステム、方法、及びそれに関連付けられた拡張可能な管腔内デバイス(バルーン等)に関する。例えば、改善された組織応答を達成する拡張可能な管腔内デバイスと併用される、周期的歪みプロファイルに関する様々な概念が本開示によって提供される。主要な例は、血管治療(例えば、石灰化した血管に対するバルーンカテーテル手術)の観点から提供されるが、「管腔内」という用語並びに上記の方法及びそれに関連付けられたシステムの適用可能性は、これに限定されないが、末梢動脈疾患、動静脈の動瘻孔、静脈疾患、カイフォプラスティ、サイナプラスティ、皮膚伸長、弁疾患(例えば石灰化)その他を含む様々な場面で存在することを理解する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
いくつかの実施例では、上に言及したシステム及び方法は、特定の材料のひずみ曲線が当該材料が以前に遭遇した最大負荷によって変わる複合ゴム材料に適用されるヒステリシスタイプを記述するマリンス効果に関連付けられた概念を利用している。本開示の様々な発明の概念は、マリンス効果と同様のメカニズムが、ヒト又は動物の身体の血管内の石灰化したか又はその他の硬化した物質を破壊、途絶、又は分解する拡張サイクル及び/又は強化治療後の残留ひずみ/伸長の存在を利用する組織の軟化/緩和を達成するために利用可能な疾患組織を含む一定のタイプの組織に当てはまるという理論を用いている。
【0011】
第1の実施例(「実施例1」)は、哺乳動物の身体の治療部位の公称(開始)径を有する血管を治療する方法であって、カテーテル上に搭載された拡張エレメントを含む装置を提供することを含み、拡張エレメントは、0.1~10Hzの第1の周波数で拡張及び収縮するように構成された方法に関する。また当該方法は、治療部位に拡張エレメントを定位させることと、公称(開始)径よりも大きい第1の直径と第1の直径よりも小さい第2の直径との間で第1の周波数で治療部位の拡張エレメントを循環動作させることとを含む。この方法によれば、治療部位の公称(開始)径は、治療及び拡張エレメントの除去後に増加する。
【0012】
実施例1に付加的な実施例(「実施例2」)によれば、拡張エレメントは、薬物被覆バルーンであり、治療の結果として以下の1つ以上が発生する:治療部位での薬剤吸収の増加、治療部位での薬物損失の減少、治療部位での治療に必要な総薬物量の減少、治療部位での薬物被覆バルーンからの薬物輸送効率の増加、及び/又は治療部位からの薬物の流出の減少。
【0013】
いずれの先行する実施例にも付加的な実施例(「実施例3」)によれば、拡張エレメントは、以下の1つ以上を治療するように構成された周波数に従って循環動作する:特定の血管、膝より下の血管内の血管疾患の状態、膝より上の血管内の血管疾患の状態、動静脈回路、冠状血管、内側の及び/又は管腔の石灰化病変及び/又は血管、静脈弁疾患、カイフォプラスティ、及び動瘻孔の成熟(AV回路)。
【0014】
いずれの先行する実施例にも付加的な実施例(「実施例4」)によれば、拡張エレメントは、以下の1つ以上が変化する治療プログラムに従って循環動作する:ひずみ率、ひずみ百分率、サイクル数、拡張振幅、拡張周波数、拡張エレメント容積の変化、拡張エレメント圧力の変化、及び拡張エレメント径の変化。
【0015】
いずれの先行する実施例にも付加的な実施例(「実施例5」)によれば、拡張エレメントは、所望の血管径を治療するように構成されたコンプライアンスを有する。
【0016】
いずれの先行する実施例にも付加的な実施例(「実施例6」)によれば、拡張エレメントは、血管上の局所的せん断荷重が存在しないときに放射状に拡張するように構成されている。
【0017】
いずれの先行する実施例にも付加的な実施例(「実施例7」)によれば、拡張エレメントは、長手方向に可撓性がある。
【0018】
いずれの先行する実施例にも付加的な実施例(「実施例8」)によれば、拡張エレメントは、以下の特徴の1つ以上を含む:薬物被覆、スコアリングエレメント、カッティングエレメント、組織分布的特徴、及びバルーンに装着されたスキャフォールド。
【0019】
いずれの先行する実施例にも付加的な実施例(「実施例9」)によれば、拡張エレメントは、以下の1つ以上を用いて第1の周波数で循環動作する:携帯バッテリ駆動カテーテルシステム、スクイーズバルブ、ピストンポンプ、スクリュードライブ、及びエアモジュレータ。
【0020】
別の実施例(「実施例10」)は、患者の身体の組織部位を治療する方法であって、組織部位は、公称サイズを有し、医療デバイスの1つ又は複数の拡張エレメントを組織部位に送達することを含み、当該医療デバイスは、1つ又は複数の拡張エレメントを拡張させるように構成された、方法に関する。またこの方法は、1つ又は複数の拡張エレメントが0.1Hz~10Hzの値を有する治療周波数で拡張及び収縮するように、治療プログラムに従って医療デバイスを操作することを含み、1つ又は複数の拡張エレメントは、公称サイズよりも大きい初期値から初期値よりも大きい後続値へと値が漸増する第2のサイズを含む漸増する周期的拡張プロファイルによって、第1のサイズと第1のサイズよりも大きい第2のサイズの間で拡張及び収縮する。当該方法はさらに、組織部位から1つ又は複数の拡張エレメントを除去することを含み、これによって組織部位の公称サイズは拡張エレメントの除去後に増加する。
【0021】
実施例10に付加的な実施例(「実施例11」)によれば、1つ又は複数の拡張エレメントは、管腔内バルーンを含む。
【0022】
実施例10又は11のいずれにも付加的な実施例(「実施例12」)によれば、組織部位は、血管、心臓弁、又は呼吸導管のいずれかである。
【0023】
実施例10から12のいずれにも付加的な実施例(「実施例13」)によれば、治療周波数は、治療プログラム中に変化する。
【0024】
実施例10から12のいずれにも付加的な実施例(「実施例14」)によれば、治療周波数は、治療プログラム中に一定である。
【0025】
実施例10から14のいずれにも付加的な実施例(「実施例15」)によれば、治療プログラムは、単一の拡張エレメントを用いて実行される。
【0026】
実施例10から14のいずれにも付加的な実施例(「実施例16」)によれば、治療プログラムは、複数の拡張エレメントを用いて実行され、当該方法は、複数の拡張エレメントのうち第1の拡張エレメントを用いて治療プログラムの第1の部分を実行し、複数の拡張エレメントのうち第2の拡張エレメントを用いて治療プログラムの第2の部分を実行することを含み、第1の拡張エレメントは、第1の公称拡張サイズを有し、第2の拡張エレメントは、第2の公称拡張サイズを有する。
【0027】
実施例10から16のいずれにも付加的な実施例(「実施例17」)によれば、治療プログラムは、治療プログラム中に1つ又は複数の拡張エレメントの容積、圧力、及び直径の1つ以上を変化させることを含む。
【0028】
実施例10から17のいずれにも付加的な実施例(「実施例18」)によれば、治療プログラムは、サイナプラスティ、カイフォプラスティ、ライノープラスティ、又は皮膚伸長手順のいずれかを実行するように構成され、当該方法は、サイナプラスティ、カイフォプラスティ、ライノープラスティ、又は皮膚伸長手順のいずれかに関連付けられている。
【0029】
実施例10から18のいずれにも付加的な実施例(「実施例19」)によれば、1つ又は複数の拡張エレメントは、コンプライアントなバルーンを含む。
【0030】
実施例10から19のいずれにも付加的な実施例(「実施例20」)によれば、1つ又は複数の拡張エレメントは、ノンコンプライアントなバルーンを含む。
【0031】
実施例10から20のいずれにも付加的な実施例(「実施例21」)によれば)、医療デバイスは、加圧源に接続された電源と当該加圧源を制御するコントローラとを含む圧力モジュレータに接続され、当該加圧源は、1つ又は複数の拡張エレメントに接続されて1つ又は複数の拡張エレメントを加圧及び減圧し、プロセッサを含むコントローラは、加圧源に治療プログラムに従って1つ又は複数の拡張エレメントを操作させる。
【0032】
実施例21に付加的な実施例(「実施例22」)によれば、電源、加圧源、及びコントローラは、ハウジング内に維持されている。
【0033】
実施例22に付加的な実施例によれば、ハウジングは、ユーザの手中に保持できるように構成されている。
【0034】
実施例10から23のいずれにも付加的な実施例(「実施例24」)によれば、圧力モジュレータは、ビストンドライブ、スクリュードライブ、エアコンプレッサ、ガスカートリッジ、サーボモータ、圧電モータ、及び/又は与圧流体槽の1つ以上を含む加圧源を含む。
【0035】
実施例10から24のいずれにも付加的な実施例(「実施例25」)によれば、拡張エレメントは、スコアリングフィーチャ、薬物被覆、カッティングフィーチャ、制御されたトポグラフィフィーチャ、及び/又は軸外拡張フィーチャの1つ以上を含む。
【0036】
上記の実施例はそれだけのものであり、本開示によって別様に提供される発明の概念の適用範囲を制限又はその他の方法で狭めるものと解釈すべきものではない。複数の実施例が開示されているが、例示的な実施例を図示し記述する以下の詳細な説明を読むことで当業者はさらに別の実施形態を想到するであろう。したがって、図面及び詳細な説明は本来限定的なものであるのではなく本来例示的なものとみなす必要がある。
【図面の簡単な説明】
【0037】
本開示の理解を深めるために添付の図面が含まれ、本明細書及び例示的な実施形態の一部を構成し、説明と相俟って本開示の原理を説明するのに役立っている。
図1図1は、いくつかの実施例による患者の身体の組織部位を治療するシステムを示す図である。
図2図2は、いくつかの実施例による患者の身体の組織を治療する図1のシステムの医療デバイスを示す図である。
図3図3は、いくつかの実施例による図1のシステムの医療デバイスの拡張エレメントを示す図である。
図4図4は、いくつかの実施例による図1のシステムの医療デバイスの拡張エレメントを示す図である。
図5A図5Aは、いくつかの実施例による図1のシステムによる試験装置を示す図である。
図5B図5Bは、いくつかの実施例による図1のシステムによる試験装置を示す図である。
図5C図5Cは、いくつかの実施例による図1のシステムによる試験装置を示す図である。
図6図6は、いくつかの実施例による様々な治療プログラム又はその一部を示す図である。
図7図7は、いくつかの実施例による様々な治療プログラム又はその一部を示す図である。
図8図8は、いくつかの実施例による様々な治療プログラム又はその一部を示す図である。
図9図9は、いくつかの実施例による様々な治療プログラム又はその一部を示す図である。
図10図10は、いくつかの実施例による様々な治療プログラム又はその一部を示す図である。
図11図11は、いくつかの実施例による様々な治療プログラム又はその一部を示す図である。 当業者であれば、本開示の様々な態様が意図された機能を実行するように構成された任意の数の方法及び装置によって実現できることを容易に理解するであろう。また、本明細書内で参照される添付の図面は必ずしも正しい縮尺で描かれておらず、本開示の様々な態様を示すために誇張されている場合があり、その点で、図面が限定的と解釈すべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本開示によって提供されるいくつかの発明の概念は、組織治療のための所定の周期的な(例えば、低周波)拡張-収縮治療プログラム及びそれに関連付けられたシステムに関する。いくつかの実施例では、そのような治療プログラム及びそれに関連付けられたシステムは、充填ゴム材料内で示されるマリンス効果の概念に類似した概念を利用する、石灰化したプラークのカテーテルベースのバルーン治療を含む。発明者らは、数あるツールの中で、そのような治療プログラムによって疾患組織(例えば、石灰化した領域)へのより効果的な応力伝達と組織の軟化/緩和応答による治療の改善とが可能になるということを示す有限要素モデル(FEM)分析及び死体血管応答試験を活用するそのような理論の基礎を確認した。そのような応力伝達は、例えば、ヒト又は動物の身体の血管内の石灰化したか又はその他の硬化した物質を破壊、途絶、又は分解する強化治療を支援し、或いは適宜その他の治療を提供することができる。
【0039】
本開示は、限定的に解釈されることを意図していない。例えば、本願で使用される用語は、当業者が理解すると思われるそのような用語の意味の文脈で広く解釈されるべきである。
【0040】
厳密でない用語に関して、「約」及び「おおよそ」という用語を交換可能に使用して記載された測定値と記載された測定値に合理的に近いあらゆる測定値とを含む測定値を指すことができる。記載された測定値に合理的に近い測定値は、当業者個人が理解し容易に確認可能な合理的に小さい量だけ記載された測定値から偏差するものである。そのような偏差は、例えば、測定誤差又は性能最適化のための多少の調整が原因である可能性がある。当業者個人がそのような合理的に小さい誤差を容易に確認できない場合、「約」及び「おおよそ」という用語は記載された値のプラスマイナス10%を意味すると理解してよい。
【0041】
自動システムの実施例
【0042】
図1は、いくつかの実施例による患者の身体の組織部位を治療するシステム1000を示す図である。図1に概略を示すように、システム1000は、医療デバイス1100及び医療デバイス1100に接続された圧力モジュレータ1102を含む。図示のように、圧力モジュレータ1102は、加圧源1104、コントローラ1106、及び動力源1108を含む。いくつかの実施例では、圧力モジュレータ1102は自動化され、又は部分的に自動化されており、動力源1108は、電気装置(例えば、バッテリ)であり、コントローラ1106は、電子装置(例えば、マイクロプロセッサベースのシステム)であり、加圧源1108は、治療プログラム1110に従ってコントローラ1106によって始動される。図1に示すように、医療デバイス1100は、収縮及び拡張状態又はサイズの間で移行可能である。いくつかの実施例では、圧力モジュレータ1102又はその一部分はハンドヘルドハウジングユニット内に収納されている。別の実施例では、圧力モジュレータ1102又はその一部分は、適宜、好適な可搬型又は据え置き型ハウジング内に維持されている(例えば、図5A及び5Bを参照)。
【0043】
哺乳動物の身体の治療部位の公称(開始)径を有する血管を治療するいくつかの方法は、医療デバイス1100等のカテーテル上に搭載された上記の装置のような装置(例えば、拡張エレメントを含む装置)を提供することを含む。拡張エレメントは、第1の周波数(例えば、0.1~10Hz)で治療プログラムに従って拡張及び収縮するように構成されている。いくつかの実施例では、拡張エレメントは、治療部位に定位し、第1の周波数で治療部位の公称(開始)径よりも大きい第1の直径へ、次いで第1の直径よりも小さい第2の直径(例えば、治療部位の公称(開始)径よりも大きい、公称(開始)径と同じ、又は公称(開始)径よりも小さい)へと循環動作する。そのようにして、治療部位の公称(開始)径は治療プログラム及び拡張エレメント除去後に増加する。
【0044】
いくつかの実施例では、患者の身体の組織部位(例えば、血管)を治療する方法は、組織部位が公称サイズを有し、医療デバイス1100の1つ又は複数の拡張エレメントを組織部位に送達することを含み、医療デバイス1100が1つ又は複数の拡張エレメントを拡張させるように構成されている。医療デバイス1100は、1つ又は複数の拡張エレメントが第1のサイズと第2のサイズとの間で所望の値(例えば、0.1Hzから10Hz)を有する治療周波数で拡張及び収縮するように治療プログラムに従って操作され、1つ又は複数の拡張エレメントは、漸増する周期的拡張プロファイルによって第1のサイズと第2のサイズ(第1のサイズよりも大きい)との間で拡張及び収縮する。いくつかの実施例では、周期的拡張プログラムは、組織部位の公称サイズよりも大きい初期値から初期値よりも大きい後続の値へと値が漸増する1つ又は複数の拡張エレメントの第2のサイズを含む。いくつかの方法では、1つ又は複数の拡張エレメントは、組織部位から除去され、これによって組織部位の公称サイズは、拡張エレメントの除去後に増加する。
【0045】
手動システム/操作の実施例
【0046】
様々な実施例では、ユーザ(図示せず)は、手動技法を用いて(例えば、手動の加圧システムによって)治療プログラムに従って1つ又は複数の医療デバイス及び/又は圧力調整システムを始動する。非限定的な実施例として、医師は、シリンジ又はその他の加圧システムを手動で操作して、本明細書に記載の治療プログラムに従って所望の周波数で1つ又は複数の拡張エレメントを選択的に循環動作させることができる。
【0047】
医療デバイスフィーチャの実施例
【0048】
図2は、いくつかの実施例による患者の身体の組織を治療する医療デバイス1100を示す図である。図示のように、医療デバイス1100は、拡張エレメント10及びカテーテル15を含む。様々な実施形態では、カテーテル15は円筒状の形態を有し、長手方向軸17、近位端18、遠位端19、及び任意選択で近位端18から遠位端19まで拡張するカバー菅腔32を備える。拡張エレメント10は、カテーテル15の遠位セクション16上に位置する膨張可能な部材又は拡張可能部材20を備える。図示のように、拡張可能部材20は、作業長さ(W)に沿ってほぼ円筒状であってもよい本体セクション21、2つの相対する脚部22、及び本体セクション21及び2つの相対する脚部22に一体に結合されていてもよい肩/テーパ部分23を含む。本体部21、脚部分22、及び肩/テーパ部分23は、近位端24から遠位端25までの拡張可能部材20の全長を画定する。
【0049】
医療デバイス1100は、カテーテル15の遠位端19から拡張可能部材20の近位端24まで拡張する第1のセクションSを有する。また、医療デバイス1100は、拡張可能部材20の近位端24からカテーテル15の近位端18まで拡張する第2のセクションSを有する。さらに、医療デバイス1100は、カテーテル15のカバー管腔32内でカテーテル15の遠位端19からカテーテル15の近位端18まで拡張するカテーテルの長さに対応する第3のセクションSを有する。
【0050】
拡張エレメントフィーチャの実施例
【0051】
いくつかの実施形態では、拡張エレメント10の拡張可能部材20は、ウレタン、PET、PEBAX、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、並びにナイロン12、ナイロン11、ナイロン9、ナイロン6/9、及びナイロン6/6等のポリアミド、並びにそれらの組み合わせを含む熱可塑性重合体材料を含む。
【0052】
拡張エレメント10の拡張可能部材20は、例えば、ノンコンプライアントで概して非弾性のバルーンを含んでいてもよい。そのような実施例では、拡張可能部材20は、拡張可能部材20が充分な加圧下で選択された直径まで拡張可能で、破壊圧力に達するまでさらなる加圧下で選択された直径の近辺に留まるように構成された材料、例えば、ナイロン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカプロラクタム、ポリエステル、ポリエーテル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリイミド、ABS共重合体、ポリエステル/ポリエーテルブロック共重合体、アイオノマ―樹脂、液晶重合体及び剛直棒状重合体を含んでいてもよい。
【0053】
いくつかの実施例では、拡張可能部材20は、コンプライアントで比較的弾性のバルーンを含んでいてもよい。そのような実施例では、拡張可能部材20は、拡張可能部材20にかかる圧力が増加するにつれてバルーンの直径を増加させるように構成された材料、例えば、ポリウレタン、ラテックス及びポリシロキサン等のエラストマー有機シリコン重合体を含んでいてもよい。コンプライアントで比較的弾性の拡張可能部材20は、弾性が大きい拡張可能部材20は留置の間に望ましくない矯正力を緩和できるため、患者の血管系内等の屈曲部の周囲に留置するのに好適である。ただし、ノンコンプライアントで概して非弾性の拡張可能部材20と比較して、コンプライアントで比較的弾性の拡張可能部材20は不均一な留置を引き起こす場合が多い。
【0054】
さらに別の実施例では、拡張可能部材20は、セミコンプライアントなバルーンを含む。そのような実施例では、拡張可能部材20は材料の1つ又は複数の部分(例えば、層、セクション、又はセグメント)にコンプライアントな属性とノンコンプライアントな属性の両方を組み込んでいる。さらに、バルーンの1つ又は複数の基層は、第1のコンプライアンスによって特徴付けられる一方、バルーンの1つ又は複数のカバー層は、第2の異なるコンプライアンスを有していてもよい。コンプライアントな及びノンコンプライアントな実施例に関連して説明してきたが、患者の身体内で、プライアントとノンコンプライアンな挙動の組み合わせによる場合を含めて、予測可能な方法で拡張可能部材20を膨張させるあらゆる材料又は構成が本開示の範囲内である。低い矯正力を提供するバルーンのいくつかの例が、「Conformable balloon devices and methods」と題された”米国特許公開第2014/0276406号明細書に開示されており、それらの例は様々な実施形態による拡張可能部材20として使用するのに好適でもあり得る。
【0055】
拡張可能部材20の作業長さ(W)は、約10mm~約400mm、約10mm~約250mm、又は約10mm~150mmであってもよい。同様に、拡張可能部材20の公称径は、約1mm~約100mm、約1mm~約60mm、又は約2mm~約30mmであってもよい。例えば、拡張可能部材20は約2mm~約10mmの公称径と約10mm~約200mmの作業長さ(W)とを有していてもよく、又は約6mm~約25mmの公称径と約15mm~約150mmの作業長さ(W)とを有していてもよい。拡張可能部材20は、適宜、あらゆる適当な医療適用分野にとってあらゆる適当な寸法及びサイズを有していてもよい。
【0056】
様々な実施形態では、拡張可能部材20は、カテーテル15が拡張可能部材20と流体連通するようにカテーテルの15の脚部分22に装着又は搭載されている。例えば、カテーテル15は、1つ又は複数の管腔を備えていてもよく、当該管腔の1つは、患者の血管系等の管状の構造内で拡張可能部材20を膨張させる膨張流体を供給する拡張可能部材20のチャンバと任意選択でカテーテル内のオリフィスを通して流体連通していてもよい。
【0057】
いくつかの実施例では、拡張エレメント10は、さらに、2017年9月21日出願の本出願人の出願連続番号第15/711,189号明細書又は2013年12月18日に出願され米国特許出願公開第2014/0172066号明細書として公開された本出願人の出願連続番号第14//132,767号明細書に記載のカバー27を備える。
【0058】
例えば、いくつかの実施形態では、カバー27は多孔層、例えば、これに限定されないが、多孔質フッ素重合体層を備える。ある種の実施形態によれば、多孔質フッ素重合体層は、これに限定されないが、パーフロロエラストマー及び同種のもの、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)及び同種のもの、並びに延伸フッ素重合体及び同種のものを含んでいてもよい。延伸可能なフッ素重合体の非限定的な例は、ePTFE、延伸変性ポリテトラフルオロエチレン、及びポリテトラフルオロエチレンの延伸共重合体を含む。例えば、押出成型ePTFEチューブ、らせん巻きePTFEチューブ、又はたばこ巻きePTFEチューブである。
【0059】
PTFE、延伸可能な変性PTFE、及びPTFEの延伸共重合体の様々な延伸可能なブレンドが、当技術分野で、例えば、米国特許第5,708,044号明細書(Branca);米国特許第6,541,589号明細書(Baillie);米国特許第7,531,611号明細書(Sabolら);米国特許第8,637,144号明細書(Ford);及び米国特許第8,937,105号明細書(Xuら)に開示されている。米国特許出願公開第20160143579号明細書は、追加の実施形態と、本明細書で使用するのに好適な実施形態の作成方法を開示している。
【0060】
様々な実施形態によれば、医療デバイス1100の第1のセクションS及び第2のセクションSに沿って分布するカバー27の複数の領域(例えば、第1、第2、及び第3の領域)は、拡張可能部材20の反復する膨張の結果としてカバー27の異なった領域が、エレメント10をそれが配置された身体の管腔から除去されることなく、管状構造に複数の治療法又は機能面を適用できるように、患者の管状構造内の拡張エレメント10の留置の間、拡張可能部材20上を遠位側へ長手方向に移動するように構成されている。
【0061】
カバー27が多孔層を備えるいくつかの実施形態では、1つ又は複数の被覆を多孔層に適用することができる。1つ又は複数の被覆は、治療薬被覆が拡張可能部材20の作業長さ(W)をほぼ覆うようにカバー27の一領域に適用することができる治療薬を含んでいてもよい。或いは、1つ又は複数の治療薬被覆は、治療薬被覆が拡張可能部材20の作業長さ(W)をほぼ覆い、相対する脚領域22及び/又は肩/テーパ領域23の少なくとも1つの領域に配置されるように、カバー27の一部分に適用される。同じ治療薬被覆をカバー27の1つ又は複数の領域に配置でき、1つ又は複数の異なる治療薬被覆をカバー27の1つ又は複数の領域に配置でき、カバー27の1つ又は複数の領域には被覆を配置することができず、並びに/又は治療薬被覆は以下に詳述するように1つ又は複数の放射線不透過性エレメントを含んでいてもよい。
【0062】
いくつかの実施形態では、カバー27及び/又は拡張可能部材20の外面は、面テクスチャ及び/又は面フィーチャを有していてもよい(例えば、図3及び4を参照)。面テクスチャ及び/又は面フィーチャは、面テクスチャ及び/又は面フィーチャが拡張可能部材20の作業長さ(W)に沿って延びるように、カバー27及び/又拡張可能部材20の一領域の一部であってもよい。或いは、面テクスチャ及び/又は面フィーチャは、面テクスチャ及び/又は面フィーチャが拡張可能部材20の作業長さ(W)に沿って延び、相対する脚部分22及び/又は肩/テーパ部分23の少なくとも1つの部分に配置されるように、カバー27及び/又拡張可能部材20の一領域の一部であってもよい。同じ面テクスチャ及び/又は面フィーチャをカバー27の1つ又は複数の領域に配置でき、1つ又は複数の面テクスチャ及び/又は面フィーチャをカバー27の1つ又は複数の領域に配置でき、カバー27の1つ又は複数の領域には面テクスチャ及び/又は面フィーチャを配置することができず、並びに/又は面テクスチャ及び/又は面フィーチャは以下に詳述するように1つ又は複数の放射線不透過性エレメントを含んでいてもよい。
【0063】
拡張エレメント10はさらに、医療デバイス1100の第2のセクションSの少なくとも1つの部分に沿ってカバー27の一部分の周囲に配置された円筒状シース37を備えていてもよい。いくつかの実施形態では、シース37は、カバー27の全周に巻き付き、医療デバイス1100の第2のセクションSに沿って配置されたカバー27の全長を覆う。別の実施形態では、シース37はカバー27の全周の一部分に巻き付き、及び/又は医療デバイス1100の第2のセクションSに沿って配置されたカバー27の全長を覆う。シース37は、拡張エレメント10を患者の管状構造内に配置している間にシース37下に位置するカバー27の外面上の治療薬被覆(例えば、薬物被覆又は高密度化被覆)を保護することができる。またシース37は、拡張エレメント10の使用中に送達径のシース37の下に位置するカバー27の一部分を保持していてもよい。いくつかの実施形態では、シース37はカテーテル15の一領域に接着剤で接着されている。例えば、シース37は、カテーテル15の近位端18にあるハンドル又はハブに接着されていてもよい。他の実施形態では、シース37はカテーテル15に接着されていない。
【0064】
いくつかの実施形態では、シース37は、重合体管を備えていてもよく、又は、これに限定されないが、熱可塑性物質、例えば、これに限定されないが、ポリメチルメタクリレート(PMMA又はアクリル系)、ポリスチレン(PS)、アクリルニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PETG)、酢酸酪酸セルロース(CAB);ポリエチレン(PE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE又はLLDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)を含む半結晶性汎用樹脂;ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンオキサイド(PPO)、変性ポリフェニレンオキサイド(Mod PPO)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、変性ポリフェニレンエーテル(Mod PPE)、熱可塑性ポリウレタン(TPU);ナイロン11及びナイロン12等のポリアミド、ポリオキシメチレン(POM又はアセタル)、ポリエチレンテレフタレート(PET、熱可塑性ポリエステル)、ポリブチレンテレフタレート(PBT、熱可塑性ポリエステル)、ポリイミド(PI、イミド化プラスチック)、ポリアミドイミド(PAI、イミド化プラスチック)、ポリベンゾイミダゾール(PBI)、イミド化プラスチック);ポリスルホン(PSU)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアリルスルホン(PAS);ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK);フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、エチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、エチレン、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ふっ化ポリビニリデン(PVDF)、ペルフルオロアルコキシ(PFA)、又はそれらの組み合わせ、共重合体、又は誘導体を含むフッ素重合体;を含むその他の好適な材料を含む管を備えていてもよい。その他の一般的に知られている医療用材料は、エラストマー有機シリコン重合体、ポリエーテルブロックアミド(例えば、PEBAX(登録商標))を含む。特に、ポリアミドはナイロン12、ナイロン11、ナイロン9、ナイロン6/9、及びナイロン6/6を含んでいてもよい。ある種の実施形態では、冠状動脈形成術又はその他高圧用途で使用される医療バルーンにPET、ナイロン、及びPEを選択してもよい。材料の具体的な選択はバルーンの所望の特性/所期の用途によって変わる。
【0065】
図3及び4は、医療デバイス1100拡張エレメント10の追加又は代替のフィーチャを示す図である。図3は、いくつかの実施形態によるカテーテル106上に配置された医療デバイス1100の別の拡張エレメント101を示す図である。拡張エレメント101は、任意選択として、拡張エレメント101の追加又は代替のフィーチャとして拡張エレメント10に関連して記述される同様のフィーチャを含み、その逆もまた同じである。
【0066】
図示のように、拡張エレメント101は、膨張可能部材又は拡張可能部材102を含む。図3に示すように、カバー104の第1の領域114は少なくとも1つのアパーチャ120を備えていてもよい。カバー104の第1の領域114は、膨張の間、拡張可能部材102を拘束することができる。カバー104の第1の領域114の制止動作によって、拡張可能部材102は、カバー104の第1の領域114内のアパーチャ120で膨満する。図3に示すように、カバー104の第1の領域114のアパーチャ120を通して膨満する拡張可能部材102の各部分は、「D1」と示される直径を有する。拡張可能部材102上に配置されたカバー104の第1の領域114は、図3に示す「D2」の直径を有する。アパーチャ120は、カバー104の第1の領域114に開口又は弱体化した領域を備えていてもよい。この点で、開口はカバー104の第1の領域114の材料の穴、切り込み、又はその他の不連続部分であってもよい。例えば、カバー104の第1の領域114を穿孔することで穴を形成できる。或いは、アパーチャ120は、材料のある領域が除去されたか又は別の方法で弱体化された第1の領域114を備え、弱体化された領域が拡張可能部材102の膨張に応答して少なくとも部分的に変形又は離脱して第1の膨張した状態を超えた膨満を可能にしてもよい。アパーチャ120は、カッティング、スタンピング、レーザカッティング、穿孔、及び/又はパンチング/パンクチャリング及び/又は同種のものを含むあらゆる好適な手段によって形成できる。様々な実施形態では、カバー104の第1の領域114は、網状の構造を備えていてもよい。
【0067】
いくつかの実施形態では、拡張可能部材102の内面又は外面、又はカバー104の部分、又は拡張可能部材102の内側に治療薬を配置することができる。例えば、治療薬を備える被覆を拡張可能部材102の外面108に塗布してもよい。拡張可能部材102がアパーチャ120を通して突き出るにつれて、治療薬を身体管腔の局所部分で放出することができる。治療薬は液体又は固体の形態を備えていてもよい。液体の形態は、所望する治療にとって所望の粘度であってもよい。いくつかの実施形態では、拡張エレメント101は、治療薬を備える被覆をカバー104の第1の領域114、第2の領域116、及び第3の領域118の1つ以上の内側に一時的に充填し又はその他の方法で配置することもできる。
【0068】
拡張可能部材102は、任意の好適なコンプライアントな拡張可能部材を備えることができる。上記のように、コンプライアントな拡張可能部材は重合体材料を含んでいてもよい。コンプライアントな拡張可能部材の例は、ポリウレタン及びシリコン等のエラストマー、天然ゴム又はラテックス製品、ニトリルブタジエン等の合成ゴム、又はその他の合成若しくは天然の重合体材料を含む。様々な実施形態では、拡張可能部材102は完全にコンプライアントでなくてもよいが、カバー104の第1の領域114よりもコンプライアントであり、制止する第1の領域114の直径よりも大きい直径まで所与の圧力で膨張できる程度に可撓性があり、それにより拡張可能部材102の突起122を生成する。したがって、セミコンプライアント又はノンコンプライアントな拡張可能部材を使用することができる。任意選択として、カバー104の第1の領域114は、サイズが様々なアパーチャを備えていてもよい。サイズを増加させることで、アパーチャはより幅広の(又は「より粗い」)突起を可能にする。様々なアパーチャサイズをテーパカバープロファイルと組み合わせることで、拡張可能部材102の異なる突起高さによって、アセンブリの「スクレイピング」効果を近位側から遠位側へ、又はその逆に強化することができる。
【0069】
本開示のいくつかの実施形態では、カバー104の第1の領域114は、より膨満可能な他の領域よりもコンプライアンスが低下したか又は低い領域を有する壁を備えることができる。他の領域は、原則的に、下にある拡張可能部材102をカバー104の第1の領域114のよりコンプライアンスが低下したか又は低い領域に対して外側に拡張させることができる「アパーチャ」である。より膨満可能な領域は膨満の上限値を備えていてもよい。コンプライアンスが低下した領域は、レーザ高密化によって又は吸収後の領域のコンプライアンスを低下させる重合体の吸収によって形成することができる。一実施形態では、コンプライアンスが低下した領域は、より膨満可能な領域とほぼ同じ厚さを有する。同様に、本明細書に記載の他の実施形態を用いて、テープ巻き付け又は押し出し成型によってカバー104の第1の領域114を形成し、当該領域114は離散した部位でコンプライアンスが変化するePTFE又は任意のその他の材料を含んでいてもよい。
【0070】
本開示の様々な実施形態では、カバー104の第1の領域114は、複数の接触点に沿って拡張可能部材102を拘束するように作用する、任意のサイズが制限された形態を備えていてもよい。或いは、カバー104の第1の領域114は、拡張可能部材102が複数の接触点に沿って拘束されるように拡張可能部材102よりコンプライアントでない形態を備えていてもよい。したがって、カバー104の第1の領域114は、拡張可能部材102の膨張の間に第1の膨張状態を超えて目につくほど変形し得ない任意の材料で構成されていてもよい。
【0071】
上記のコンポーネントを用いて、カバーの少なくとも1つの部分に沿ってカバーの少なくとも1つの部分のコンプライアンスを適合させ、及び/又はアパーチャパターンを適合させて拡張可能部材アセンブリのトポロジーを制御することができる。例えば、アパーチャパターンは「微細なテクスチャ」を取得するための多数の小型のアパーチャを備えていてもよく、又はより「粗いテクスチャ」を取得するためのより少数でより大型の開口を備えていてもよい。理解されるように、任意の可能なアパーチャパターン、又はアパーチャパターンの組み合わせが本明細書内で考えられる。例えば、カバーの第1の領域はアパーチャパターンのような正方形の格子を備えていてもよく、カバーの第2の領域は菱形のパターンを備えていてもよい。
【0072】
本開示の他の実施形態では、カバーを通して拡張する拡張可能部材は、例えば、拡張可能部材の長手方向軸に対して平行に走る尾根と谷とを画定できる。一実施形態では、これらによって、治療の間に拡張可能部材が拡張するときに拡張可能部材と血管壁との間で血液の灌流を可能にする。いくつかの実施形態では、カバー104の第1の領域114は、アパーチャ120を含んでいなくてもよい。いくつかの実施形態では、カバー104の第1の領域114は治療薬被覆、例えば、これに限定されないが、薬物被覆のみを含んでいてもよい。
【0073】
図3は、膨張プロファイルの拡張可能部材102を取り囲むカバー104の第1の領域114を示す図である。図4に示すように、アクチュエータ(図示せず)によって拡張可能部材102を収縮させることができ、カバー104の第1の領域114をカテーテル106のカバー管腔内に反転させてカテーテル106の近位端112の方へ引き寄せることができる。カバー104の第1の領域114は、カテーテル106のカバー管腔を通して引き寄せられるため、カバー104の第2の領域116はカテーテル106の周囲の位置から移動し、拡張可能部材102の周囲に配置される。カバー104の第2の領域116はカバー104の第1の領域114とは異なる面トポロジーを有していてもよい。
【0074】
図4に示すように、いくつかの実施形態では、カバー104の第2の領域116は複数のスコアリングされた部分124を含んでいてもよい。図4に示すように、スコアリングされた部分124は膨張するとカバー104の面126から部分的に離間して外向きに延びる突起を形成する。切れ目124の破裂によって作成されるカバー104の破裂部分は、拡張可能部材102が少なくとも部分的に露出可能な開口部128を形成する。様々な一実施形態では、切れ目124の1つ以上は、所望の効果を達成するために破裂する必要がないカバーの第2の領域116の材料の貫通切れ目として形成されてもよい。
【0075】
スコアリング及びその後の切れ目の破裂によって鋭利な物体を実質的に非鋭利な状態で身体に挿入し、鋭利な物体を特定の時間に留置することが可能になる。さらに、スコアリング及びその後の切れ目の破裂は、治療薬送達の助けになる。例えば、拡張可能部材102とカバー104の第2の領域116との間に治療薬を配置することができる。カバー104は、身体内に配置された治療薬が拡張可能部材102とカバー104と間の空間に実質的に保持されるように、拡張可能部材102上に治療薬を封止することができる。カバー104のスコアリングされた部分124が破裂すると、身体の局所部分に治療薬を放出できる。いくつかの実施形態では、カバーの第2の領域116は、管腔の壁からプラーク及び/又はその他の堆積物を除去することができる。いくつかの実施形態では、管腔から医療デバイス1100を除去することなく、カバー104の第2の領域116のスコアリングされた部分124によって、壁からプラーク及び/又はその他の堆積物を除去する前に第1の領域114によって管腔の壁の治療被覆を適用しておいてもよい。
【0076】
例えば、数ある中で、スコアリング及びカッティングフィーチャ及び同種のもの、薬物被覆、制御されたトポグラフィフィーチャ、及び/又は軸外拡張フィーチャ、を含む様々な追加又は代替の拡張エレメントフィーチャのいずれかが考えられる。さらに、拡張エレメントは、ケージ、メッシュ、ステント、振動部材及び同種のものを含む様々な形態のいずれかをとることができる。
【0077】
直径が変化する拡張エレメント使用の実施例
【0078】
漸増する拡張径を達成するために、いくつかの実施例では、変化する公称サイズ(例えば、直径)の複数の拡張エレメント(例えば、バルーン)が治療プログラムの一部として採用される。特に、組織がさらされる最大径拡張を変えるために、公称径拡張エレメントの漸増するセットを次々に使用してもよい。いくつかの実施例では、医療デバイス1100は、圧力モジュレータ1104に各々が異なる直径のバルーンを含む接続可能な複数のカテーテルバルーンを含んでいてもよい。さらに別の実施例では、単一のカテーテルが異なる公称値を有する複数の拡張エレメントを含む。
【0079】
直径が調整可能な拡張エレメント使用の実施例
【0080】
漸増する拡張サイズ(例えば、直径)を達成するために、いくつかの実施例は、異なる拡張力(例えば、圧力)の下で示されるか又は別の方法で達成される複数の公称サイズを組み込んだ拡張エレメントの使用を含む。この手順は、異なる公称サイズ(上記した)の複数の拡張エレメントの使用と組み合わせて、又はその代替策として使用できることを理解されたい。
【0081】
様々な直径拡張フィーチャ(公称サイズの限度値及び特性)を実施して変化する(例えば、漸増する)公称サイズを達成できる。バルーン又はバルーンのカバーを形成する基層の1つ以上は、径方向及び/又は軸方向に1つ又は複数の停止点を有するように構成することができる。例えば、2013年12月18日出願の米国特許出願公開第2014/0172066号明細書は、任意選択としてエラストマーを吸収したフッ素重合体材料などの延伸重合体を使用するバルーンデバイスについて記載している。
【0082】
バルーンは、膨張が開始すると、それを超えると膨満に要する力が顕著に増加する停止点まで周方向に膨満可能である。停止点は材料が記憶された長さフィーチャを組み込む結果であってもよい。この「記憶された長さ」フィーチャはバルーン又はバルーンのカバーの基材に組み込むことができる。いくつかの実施例では、フッ素重合体材料のヘビ状フィブリル微細構造は、記憶された長さフィーチャ及び放射状膨満能力の少なくとも一部分の根拠である。さらに、そのようなバルーンデバイスは、適切に長手方向に膨満可能であり(又は長手方向に弱体化し)、これによりそうでなければ径方向拡張中に発生する可能性がある長手方向の応力下における長手方向の長さが与えられるか又は増加する。
【0083】
そのようなバルーンを製作するいくつかの方法で、製作は送達径での記憶された長さを有するエラストマー吸収延伸重合体材料を周方向に包み込む(バルーンの基層又はカバー層を形成するために)ことで進行する。とはいえ、様々な実施例で、そのようなバルーン第1の限度値又は停止点まで第1の圧力で拡張させ、次いで第1の限度値を超えて第2の限度値まで第2のより高い圧力で拡張させることができる。このようにして、バルーンの公称サイズ(例えば、直径及び/又は長さ)を段階的に調整できる。異なる直径での1つ又は複数の追加の記憶された長さ層を組み込むことで、適宜、本明細書に記載の拡張エレメントのいずれについても複数の停止点を達成することができる。
【0084】
様々な追加及び/又は代替の拡張エレメント製作及び拡張フィーチャ。例えば、1995年9月18日出願の米国特許第5,752,934号明細書及び2018年4月24日出願の本出願人の米国仮特許出願第62/661,942号明細書に開示された追加のバルーン設計のいずれか等の追加のバルーン設計を、適宜、拡張エレメントについて実施することができる。
【0085】
加圧源の実施例
【0086】
加圧源1104は、カテーテル15のポート26を介してカテーテル15に接続できる。加圧源1104は、カテーテル15を通して拡張可能部材20内へ膨張流体を導通させるシリンジ、エンドフレータ/インサフレータ/インフレータ/、ポンプ又はその他の装置等の任意の好適な膨張-収縮デバイスであってもよい。追加の実施例は、例えば、数ある中で、ピストンドライブ、スクリュードライブ、エアコンプレッサ、ガスカートリッジ、サーボモータ、圧電モータ、及び/又は与圧流体槽の1つ以上を含んでいてもよい。加圧源1104は、自動コンポーネント(例えば、エアシリンダ、エアコンプレッサ、又はその他の好適なコンポーネント)に接続された手動コンポーネント(例えば、シリンジストッパ)を含んでいてもよい。
【0087】
いくつかの実施形態によれば、加圧源104は、カテーテルを介して拡張可能部材(例えば、拡張可能部材20)のチャンバとの間で流体を出し入れして拡張可能部材を膨張及び収縮させる。加圧源1104は、流体槽(図示せず)を含むか又は別の流体槽(図示せず)に接続されていてもよい。1つ又は複数の拡張可能部材の直径の制御を支援するために、膨張流体で拡張可能部材を膨張させる前に医療デバイス1100のカテーテルをアスピレートする(空気を除去して液体と交換する)ことができる。カテーテル及び拡張可能部材をアスピレートし、及び/又は拡張可能部材を膨張させるための膨張流体は、コントラスト剤(例えば、画像診断法によって拡張可能部材を撮像するための造影剤)又はコントラスト剤と生理食塩水との混合物を含んでいてもよい。
【0088】
コントローラの実施例
【0089】
コントローラ1106は、任意選択として、所定の治療プログラムに従って医療デバイスをサイズに関して循環動作させるギア、リンケージ等の機械的時限機構、又はその他の機構を含む。いくつかの実施例では、治療プログラム1110並びにその様々なフィーチャ及びコンポーネントは、1つ又は複数のプロセッサ及びメモリを含む1つ又は複数のコンピュータデバイス(例えば、パーソナルコンピュータ、ラップトップ、サーバ、コントローラ)内で実施できる。例えば、治療プログラム1110は、相互動作するか又は相互に接続された1つ又は複数のコンピュータデバイス内のファームウェア、集積回路、及び/又はソフトウェアモジュールを用いて実施することができる。ある種の実施形態では、治療プログラム1110のために本明細書に開示され図内で概略を示した方法は、1つ又は複数のプロセッサによる実行のためにメモリ(又はその他の記憶形態)に記憶されたコンピュータ可読命令/コードを用いて実施することができる。
【0090】
いくつかの実施形態では、メモリは、揮発性及び/又は不揮発性メモリ形態のコンピュータ可読媒体を含み、着脱式、非着脱式、又はそれらの組み合わせであってもよい。媒体の例は、ランダムアクセスメモリ(RAM);読出専用メモリ(ROM);電子的消去可能プログラマブル読出専用メモリ(EEPROM);フラッシュメモリ;光学又はホログラフィ媒体;電磁カセット;電磁テープ;電磁ディスク記憶装置又はその他の電磁記憶デバイス;データ送信;及び/又は、例えば、量子状態メモリ及び/又は同種のもの等の、情報の記憶に使用できコンピュータデバイスからアクセス可能な任意のその他の媒体を含む。いくつかの実施形態では、メモリは、コントローラ1106のプロセッサに本明細書に記載のシステムコンポーネントの実施形態の態様を実施させ、かつ/又は本明細書に記載の方法及び手順の実施形態の態様を実行させる、コンピュータ実行可能命令を、記憶する。
【0091】
コンピュータ実行可能命令は、例えば、コンピュータコード、マシン使用可能命令、及び同種のもの、例えば、コントローラ1106に関連付けられた1つ又は複数のプロセッサによって実行可能なプログラムコンポーネントを含んでいてもよい。プログラムコンポーネントは、様々な言語、開発キット、フレームワーク、及び/又は同種のものを含む任意の数の異なるプログラミング環境を用いてプログラミングすることができる。本明細書で考えられる機能の一部又は全部もさらに、又は代替策として、ハードウェア及び/又はファームウェア内で実施することができる。
【0092】
コントローラ1106は、治療プログラム1110又はその一部分に従って医療デバイス1100を操作するように構成され、別体のコンポーネントであってもよく、又は適宜加圧源1104、電源1108又は医療デバイス1100等のその他のシステムコンポーネントの何れかに含まれていてもよい。コントローラ1106は、別のユーザインタフェース(図示せず)を含むか又はそれに接続されていてもよい。コントローラ1106は、コントローラ1106のメモリ内に記憶されたソフトウェア及び/又はファームウェアを実行する少なくとも1つのプロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ)を含むことができる。ソフトウェア/ファームウェアコードは、プロセッサによって実行されるとコントローラ1106に治療プログラム1110に従って医療デバイス1100を操作させる命令を含む。或いは、コントローラ1106は、1つ又は複数の特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、ディジタル信号プロセッサ(DSP)、ハードウェア論理、又はそれらの組み合わせを含んでいてもよい。
【0093】
いくつかの実施例では、コントローラ1106は、複数のシステムコンポーネント(例えば、圧力センサ、電流センサ、帰還ループ、又はコンポーネントのいずれかのその他の情報源)から情報を受信し、医療デバイス1100の動作を一部支配できる少なくとも1つの治療プログラムパラメータを決定するコントロールアルゴリズムに情報(例えば、圧力データ、薬物送達データ、ユーザデータ)を流し込む。いくつかの特定の実施形態では、コントローラ1106は、医療デバイス1100及び/又は加圧源1102から拡張エレメントデータ(例えば、バルーン圧力、これは直接測定されるか又は電気モータ内の電流の変化等のプロキシによって間接的に測定されるかを問わない)を受信してもよく、ユーザインタフェース(図示せず)からユーザデータを受信してもよい。ある種の実施形態では、コントローラ1106は遠隔に位置するデバイス(例えば、サーバ、医師のコンピュータ/通信デバイス、及び同種のもの)からユーザデータを受信する。
【0094】
動力源の実施例
【0095】
自動及び非自動の実施例では、動力源1108は、ハンドルを回す(例えば、機械的なタイミング機構を用いて治療プログラムが達成される)等の物理的なユーザ入力を含んでいてもよい。また動力源は、本来電気、化学、又は電気化学式であってもよい。いくつかの実施例では、動力源1108は、システム1102の他のコンポーネントと共に収容されたバッテリである。
【0096】
試験システム
【0097】
図5A及び5Bは、様々な実施例による治療プログラムの効能を評価する試験装置を示す図である。図5Aに示すように、試験装置内で、加圧源1104(図1)は、「Elveflow」という商標名で販売されているポンプ等の1つ又は複数の加圧及び/又は真空ポンプ、フローレギュレータ、エアフィルタ、及びエアコンプレッサ、及び医療デバイス1100(図1)として稼働するカテーテルを加圧するシリンジを含むマイクロ流体制御システムを含む。コントローラ1106(図1)は、ラップトップPCを含み、動力源1108は、コンセントを含む。図5Bは、理解を深めるための様々なシステムコンポーネントの概略図である。図5Cは、いくつかの実施例による加圧源を制御するコントローラの1つの設計のブロック図である。いくつかの実施形態では、圧力センサは、0%測定時に4mAを出力し100%測定時に20mAを出力する4mA~20mAトランスミッタである。電流を電圧に変換するために499Ω抵抗を使用でき、RCフィルタを用いて24V電源からのスイッチングノイズを排除することができる。システムからのデータを記録して治療プログラムの効能を検証し、及び/又は、適宜、システムに閉帰還ループを提供することができる。
【0098】
治療プログラムパラメータ
【0099】
前述したように、治療プログラム又はその一部分は手動で実行でき、又は機械的若しくは電子的方法を用いて自動化することができる。
【0100】
いくつかの実施例では、治療プログラムは、所望の周波数(任意の範囲の周波数を含む)で拡張状態と収縮状態との間で、又は複数の構成の間で、拡張エレメントを循環動作させることを含む。いくつかの実施例では、治療プログラムは、拡張エレメントを第1の周波数(例えば、0.1~10Hz)で、第1の周波数とは異なる第2の周波数(例えば、0.1~10Hz)で、第1及び/又は第2の周波数とは異なる第3の周波数で、その後も同様に、循環動作させることを含む。周波数の変化に加えて、治療プログラムでは、例えば、数ある中で、サイクルあたりの最小拡張サイズ/圧力、サイクルあたりの最大拡張サイズ/圧力、サイクル振幅、サイクル周波数、ドウェル時間、及びプログラム全長が変化することがある。さらに、治療プログラムは、例えば、特定の組織部位を治療し、且つ/又は特定のタイプの医療を提供するように構成することができる。
【0101】
以下の表に、予想圧力範囲、医療デバイス1100に使用されるバルーンタイプ、圧力増分、サイクル周波数、治療プログラムが適用される特定の組織部位のカルシウムスコア、医療デバイス1100に使用できる公称バルーン径、及び治療プログラムが構成/適用される疾病タイプの非限定的な例を列挙する。これらの様々なパラメータは、所望の組み合わせで組み合わせることができ、範囲の各々は以下の表に特記された特定の範囲だけでなく以下の表1に特記された値の間の値又は範囲を含む。言い換えれば、表1は、本質的に限定的であると解釈すべきではなく、逆に本開示の範囲内にある発明性を有すると解釈すべきである。
【表1】
【0102】
治療プログラムの周期的拡張/治療プロファイル
【0103】
以下の実施例の各々は、1つ又は複数の拡張エレメントが0.1Hz~10Hzの値を有する治療周波数で拡張及び収縮する治療プログラム(又はその一部分)の治療プロファイルに関し、当該1つ又は複数の拡張エレメントは、対応する第1の力F1nを受ける第1のサイズD1nと、それぞれ第1のサイズD1n及び第1の力F1nよりも大きい対応する第2の力F2nを受ける第2のサイズD2nとの間で拡張及び収縮する。第1及び/又は第2のサイズ及び力は、適宜、治療プログラム1110を通して漸増させ、一定に保ち、又は減少させることができる。
【0104】
図6は、1つ又は複数の拡張エレメントが0.1Hz~10Hzの値を有する治療周波数で拡張及び収縮する治療プログラム(又はその一部分)の一実施例を示す図であり、当該1つ又は複数の拡張エレメントは、第1のサイズD1nと、第1のサイズD1nよりも大きい第2のサイズD2nとの間で拡張及び収縮する。図6に示す例では、単一のサイクルが示され(n=1)、治療プロファイルは、第2のサイズで3分間(min)、保持時間、又はドウェル時間Dwell(n)を含むが、様々なドウェル時間のいずれも1秒(s)刻みの当該ドウェル時間の任意の値又は値の範囲を含めて1秒(s)から60分(min)の範囲内にある。図6の実施例1は関連付けられた拡張エレメントが伝える最大の力は、0ニュートン(N)から30ニュートン(N)以上であるが、様々な力のいずれも、合力Nの0.5ニュートン(N)刻みの当該力の任意の値又は値の範囲を含めて考えられる。ドウェル時間Dwell(n)の後、拡張エレメントは、収縮して例えば約0ミリメートル(mm)の拡張量に戻ることができる。
【0105】
図7は、1つ又は複数の拡張エレメントが0.1Hz~10Hzの値を有する治療周波数で拡張及び収縮する治療プログラム(又はその一部分)の一実施例を示す図であり、当該1つ又は複数の拡張エレメントは、治療部位の公称サイズよりも大きい初期値D2nから値が漸増する第2のサイズD2nと、当該拡張エレメントがそこまで拡張する、初期値D2nよりも大きい後続の値D2n+1とを含み、nが0から総サイクル数(図7では3サイクルであるが任意の数字が考えられる)までの範囲内にある漸増する周期的拡張プロファイルによって、第1のサイズD1nと、第1のサイズD1nよりも大きい第2のサイズD2nとの間で拡張及び収縮する。図示のように、第2の値は、同時に発生する漸増する力の値に伴って約2mm刻みで拡張量に関して漸増するが、様々な増分漸増のいずれも考えられる。
【0106】
図7の実施例2の各サイクルで、治療プロファイルは第2のサイズで60秒(s)の保持時間、又はドウェル時間Dwell(n)を含むが、様々なドウェル時間のいずれも1秒(s)刻みの当該ドウェル時間の任意の値又は値の範囲を含めて1秒(s)から60分(min)の範囲内にある。各サイクルのドウェル時間Dwell(n)の後、拡張エレメントは収縮して例えば約0の拡張量に戻ることができるが、別の実施例では、拡張量がゼロの方へ戻る(例えば、ゼロの方向に接近又は移行する)前に別のサイクルが開始する。
【0107】
図8は、1つ又は複数の拡張エレメントが0.1Hz~10Hzの値を有する治療周波数で拡張及び収縮する治療プログラム(又はその一部分)の別の実施例を示す図であり、当該1つ又は複数の拡張エレメントは、治療部位の公称サイズよりも大きい初期値D2nから値が漸増する第2のサイズD2nと、当該拡張エレメントがそこまで拡張する、初期値D2nよりも大きい後続の値D2n+1とを含み、nが0から総サイクル数までの範囲内にある漸増する周期的拡張プロファイルによって、第1のサイズD1nと、第1のサイズD1nよりも大きい第2のサイズD2nとの間で拡張及び収縮する。
【0108】
図8に示すように、第2の値は、同時に発生する漸増する力の値に伴って約0.25mm刻みで拡張量/サイズに関して漸増するが、様々な増分漸増のいずれも考えられる。
【0109】
図8の実施例3の各サイクルで、治療プロファイルは、第2のサイズで60秒(s)の保持時間、又はドウェル時間Dwell(n)を含み、各サイクルのドウェル時間Dwell(n)中の力の低下量の増加が示される。例えば、1秒(s)刻みの当該ドウェル時間の任意の値又は値の範囲を含めて0秒(s)から1秒(s)さらに60分(min)の範囲内にある様々なドウェル時間のいずれも考えられる。各サイクルのドウェル時間Dwell(n)の後、拡張エレメントは収縮して例えば約0の拡張量に戻ることができるが、別の実施例では、拡張がゼロの方へ戻る(例えば、ゼロの方向に接近又は移行する)前に別のサイクルが開始する。
【0110】
図9は、1つ又は複数の拡張エレメントが0.1Hz~10Hzの値を有する治療周波数で拡張及び収縮する治療プログラム(又はその一部分)のさらに別の実施例を示す図であり、当該1つ又は複数の拡張エレメントは、治療部位の公称サイズよりも大きい初期値D2nから値が漸増する第2のサイズD2nと、当該拡張エレメントがそこまで拡張する、初期値D2nよりも大きい後続の値D2n+1とを含み、nが0から総サイクル数までの範囲内にある漸増する周期的拡張プロファイルによって、第1のサイズD1nと、第1のサイズD1nよりも大きい第2のサイズD2nとの間で拡張及び収縮する。
【0111】
図9に示すように、第2の値は、同時に発生する漸増する力の値に伴って約0.2mm刻みで拡張量/サイズに関して漸増するが、様々な増分漸増のいずれも考えられる。
【0112】
図9の実施例4の各サイクルで、治療プロファイルは第2のサイズD2nで保持時間を含まず、又はゼロのドウェル時間Dwell(n)を含む。拡張エレメントは、各サイクルの直後又は概ね直後に収縮して例えば約0の拡張量に戻ることができるが、別の実施例では、拡張がゼロの方へ戻る(例えば、ゼロの方向に接近又は移行する)前に別のサイクルが開始する。
【0113】
図10は、1つ又は複数の拡張エレメントが0.1Hz~10Hzの値を有する治療周波数で拡張及び収縮する治療プログラム(又はその一部分)のさらに別の実施例を示す図であり、当該1つ又は複数の拡張エレメントは、第1のサイズD1nと、第1のサイズD1nよりも大きい第2のサイズD2nとの間で拡張及び収縮する。単一のサイクルが示されているが、複数のサイクルも採用できる。
【0114】
図10に示すように、第2の力F2nは、所望の期間(例えば、130秒(s)、ただし任意の力の維持期間も考えられるが)、比較的一定に維持される(例えば、拡張エレメント上の膨張圧力を測定する閉帰還ループを使用して)。一定の力の期間F2n(定数)中、拡張量又はサイズは、所望の量(例えば、7ミリメートル(mm)、ただし任意の値も考えられる)だけ増加する。
【0115】
図11は、1つ又は複数の拡張エレメントが0.1Hz~10Hzの値を有する治療周波数で拡張及び収縮する治療プログラム(又はその一部分)の別の実施例である実施例6を示す図であり、当該1つ又は複数の拡張エレメントは、治療部位の公称サイズよりも大きい初期値D2nから値が漸増する第2のサイズD2nと、当該拡張エレメントがそこまで拡張する、初期値D2nよりも大きい後続の値D2n+1とを含み、nが0から総サイクル数までの範囲内にある漸増する周期的拡張プロファイルによって、第1のサイズD1nと、第1のサイズD1nよりも大きい第2のサイズD2nとの間で拡張及び収縮する。さらに、第1のサイズD1nも初期値D1nから初期値D1nよりも大きい後続の値D1n+1へと値が漸増し、nは0から総サイクル数までの範囲内にある。
【0116】
図1に示すように、第2の値D2nは、同時に発生する漸増する力の値(サイクルごとに増加する)に伴って約0.3mm刻みで拡張量/サイズが漸増するが、様々な増分漸増のいずれも考えられる。同様に、第1の値D1nも、同時に発生する漸増する力の値(サイクルごとに増加する)に伴って拡張量/サイズが漸増するが、様々な増分漸増のいずれも考えられる。
【0117】
図11の実施例6の各サイクルで、治療プロファイルは、各サイクルのドウェル時間Dwell(n)を含み、各サイクルのドウェル時間Dwell(n)中の力の低下量の増加が示される。拡張エレメントは、各サイクルの直後又は概ね直後に収縮して例えば約0の拡張量に戻ることができるが、別の実施例では、拡張がゼロの方へ戻る(例えば、ゼロの方向に接近又は移行する)前に別のサイクルが開始する。
【0118】
前述した治療プロファイル特性のいずれも、組み合わせ、変更し、又は他の治療プロファイルの特性で増強することができる。
【0119】
いずれの実施例でも、第2のサイズD2nは各サイクルで一定でもよく、各サイクルで漸増してもよく、又はサイクルを繰り返すたびに漸増及び/又は減少してもよい。第2のサイズD2nは一定の割合又は変動する割合で漸増してもよい。第2のサイズD2nは、以前の第2のサイズの値D2nの百分率として10%から500%だけ、当該範囲内の任意の値又は当該範囲内の任意の範囲を含めて、0%刻みで漸増してもよい。
【0120】
いずれの実施例でも、第1のサイズD1nは各サイクルで一定でもよく、各サイクルで漸増してもよく、又はサイクルを繰り返すたびに漸増及び/又は減少してもよい。第1のサイズD1nは一定の割合又は変動する割合で漸増してもよい。第1のサイズD1nは、以前の第1のサイズの値D1nの百分率として0%から500%だけ、当該範囲内の任意の値又は当該範囲内の任意の範囲を含めて、1%刻みで漸増してもよい。
【0121】
いずれの実施例でも、ドウェル時間Dwell(n)は各サイクルで一定でもよく、各サイクルで漸増してもよく、又はサイクルを繰り返すたびに漸増及び/又は減少してもよい。サイクルのドウェル時間Dwell(n)は、一定の割合又は変動する割合で漸増してもよい。ドウェル時間Dwell(n)は以前のドウェル時間Dwell(n)の百分率として0%から500%だけ、当該範囲内の任意の値又は当該範囲内の任意の範囲を含めて、1%刻みで変化してもよい。
【0122】
同様に、いずれの実施例でも、治療プログラムは、治療プログラムの特定のサイクルに応じて、各ドウェル時間Dwell(n)中の比較的一定の力の低下量を示してもよく、各ドウェル時間Dwell(n)中の比較的一定の力の低下量を示してもよく、又は各ドウェル時間Dwell(n)中の力の低下量の増加を示してもよく、又は以前のドウェル時間Dwell(n)に対する力の低下量の変動を示してもよい。
【0123】
各サイクルの振幅の変化、又はD1nとD2nとの差は、各サイクルで一定でもよく、各サイクルで漸増してもよく、又はサイクルを繰り返すたびに漸増及び/又は減少してもよい。振幅は、一定の割合又は変動する割合で変化してもよい。サイクルあたりの振幅は、以前のサイクル振幅の百分率として0%から500%だけ、当該範囲内の任意の値又は当該範囲内の任意の範囲を含めて、1%刻みで変化してもよい。
【0124】
さらに、治療プログラムは、サイズではなく力(例えば、応力又は圧力)を単位として表現されてもよい。いずれの実施例でも、第2の力F2nは、各サイクルで一定でもよく、各サイクルで漸増してもよく、又はサイクルを繰り返すたびに漸増及び/又は減少してもよい。第2の力F2nは、一定の割合又は変動する割合で漸増してもよい。第2の力F2nは、以前の第2の力の値F2nの百分率として10%から500%だけ、当該範囲内の任意の値又は当該範囲内の任意の範囲を含めて、0%刻みで漸増してもよい。
【0125】
いずれの実施例でも、第1の力F1nは各サイクルで一定でもよく、各サイクルで漸増してもよく、又はサイクルを繰り返すたびに漸増及び/又は減少してもよい。第1の力F1nは、一定の割合又は変動する割合で漸増してもよい。第1の力F1nは、以前の第1の力の値F1nの百分率として0%から500%だけ、当該範囲内の任意の値又は当該範囲内の任意の範囲を含めて、1%刻みで漸増してもよい。
【0126】
いずれの実施例でも、治療プログラムは、第1のサイズD1n及び第2のサイズD2nが第1の直径及び最終径を表すサイクルを提供することを含んでいてもよい。最終径は、最大径であり、当該サイクルの治療プロトコルにおける所望の最終径を表す。ただし、治療プログラムはD1nよりも大きくD2nよりも小さい任意の数の中間径Dintnを含んでいてもよい。治療プロトコルは、第1のサイズD1nで開始して、第2のサイズD2nまで膨張させることを含み、第1の直径D1nと中間径Dintnとの間で、第2又は最終径D2nまで循環動作させることが好ましく、ここで、第1の直径D1nと中間径Dintnとの間で循環動作させることは、第2の直径D2nが達成されるまで中間径Dintnを漸次増加させることを含む。特定の実施例は、第1の直径D1nから第1の中間径Dint1に達し、第1の直径D1nに戻り、第2のより大きい中間径Dint2に達し、第1の直径D1nに戻り、次いで第3のさらに大きい中間径Dint3に達し、サイクルが標的の第2の直径又は最終径D2nに到達するまで循環動作させることを含んでいてもよい。
【0127】
別の実施形態では、循環動作させることは、第1の直径D1nから第1の中間径Dint1に達し、第1の直径D1nに戻り、第2のより大きい中間径Dint2に達し、第1の中間径Dint1に戻り、次いで第3のさらに大きい中間径Dint3に達し、第2の中間径Dint2に戻り、サイクルが標的の第2の直径又は最終径D2nに到達するまで循環動作させることを含んでいてもよい。様々な循環動作プロトコルの組み合わせが上に開示したサイクルの組み合わせを含んでいてもよく、第1の直径D1n又は以前の中間径Dintn(直前の中間径Dintn又は現在の中間径Dintnに先行するいずれかの中間径Dintn)まで戻る程度に圧力が低下するたびに、直径を漸進的に増加させ得ることは本開示の範囲内である。
【0128】
したがって、いくつかの構成では、治療対象の標的部位又は血管は、開始血管径及び標的完成血管径を有し、当該開始血管径は、当該完成血管径よりも小さい。拡張エレメントの第2の直径D2nは、完成血管径を達成するように構成されている。いくつかの実施形態では、拡張エレメントは、標的の最終血管径を達成するために動作可能な直径に対応する所定の直径を超えた拡張エレメントの拡張を制限する制止構造を含む。いくつかの実施形態では、制止構造は、完全に放射状にコンプライアントな拡張エレメントと比較して放射状にコンプライアントな拡張エレメントの材料の選択を介して達成することができる。これは前述したカバーの使用によっても達成できる。
【0129】
また、上の説明から、各治療プログラムのサイクル数は、実行する特定の治療のために適宜選択できることを理解されたい。様々な追加の方法フィーチャのいずれも、ユーザ及び/又はシステムの回転、スライディング、又は他の方法によってシステムの1つ又は複数の拡張エレメントの相対位置を動かすことを含めて、特定の治療プログラムに組み込むことができる。
【0130】
本願発明を概括的に、また特定の実施形態に関して上述してきた。本開示の範囲から逸脱することなく実施形態に様々な変更及び変形を加えることができることは当業者には明らかであろう。したがって、実施形態は、本発明の変更及び変形が添付の請求の範囲及びその同等物の範囲内である限りそれらの変更及び変形にも及ぶ。
なお、本開示は、以下の態様を更に含んでいる:
《態様1》
哺乳動物の身体の治療部位の、公称(開始)径を有する血管を治療する方法であって、
カテーテル上に搭載された、0.1~10Hzの第1の周波数で拡張及び収縮するように構成された拡張エレメントを含む装置を、提供することと、
前記拡張エレメントを、前記治療部位に定位させることと、
前記公称(開始)径よりも大きい第1の直径と、前記第1の直径よりも小さい第2の直径との間で、前記第1の周波数で前記治療部位の前記拡張エレメントを循環動作させることであって、これによって前記治療部位の前記公称(開始)径が前記治療及び前記拡張エレメントの除去後に増加する、こととを含む、方法。
《態様2》
前記拡張エレメントは、薬物被覆バルーンであり、前記薬物被覆バルーンを循環動作させることの結果が、前記治療部位への薬物の送達の効率を増加させる、態様1に記載の方法。
《態様3》
前記拡張エレメントは、前記治療部位を治療するように構成された周波数に従って循環動作する、態様1又は2に記載の方法。
《態様4》
前記拡張エレメントは、治療プログラムに従って循環動作し、前記治療プログラムは、変動するひずみ率、ひずみ百分率、サイクル数、拡張振幅、拡張周波数、拡張エレメント容積の変化、拡張エレメント圧力の変化、又は拡張エレメント径の変化を含む、態様1から3のいずれか一つに記載の方法。
《態様5》
前記拡張エレメントは、所望の血管径を治療するように構成されたコンプライアンスを有する、態様1から4のいずれか一つに記載の方法。
《態様6》
前記拡張エレメントは、局所的せん断荷重が前記血管に掛からない状態で、放射状に拡張するように構成される、態様1から5のいずれか一つに記載の方法。
《態様7》
前記拡張エレメントは、長手方向に可撓性を有する、態様1から6のいずれか一つに記載の方法。
《態様8》
前記拡張エレメントは、薬物被覆、スコアリングエレメント、カッティングエレメント、組織分布的フィーチャ、又はバルーンに装着されたスキャフォールドを含む、態様1から7のいずれか一つに記載の方法。
《態様9》
前記拡張エレメントは、加圧源を用いて前記第1の周波数で循環動作する、態様1から8のいずれか一つに記載の方法。
《態様10》
患者の身体の組織部位を治療する方法であって、
前記組織部位は、公称サイズを有し、
医療デバイスの1つ又は複数の拡張エレメントを前記組織部位に送達することであって、前記医療デバイスは、前記1つ又は複数の拡張エレメントを拡張及び収縮させるように構成されている、ことと、
前記1つ又は複数の拡張エレメントが0.1Hz~10Hzの値を有する治療周波数で拡張及び収縮するように、治療プログラムに従って前記医療デバイスを操作することであって、前記1つ又は複数の拡張エレメントは、第1のサイズと前記第1のサイズよりも大きい第2のサイズとの間で、前記公称サイズよりも大きい初期値から前記初期値よりも大きい後続値へと値が漸増する前記第2のサイズを含む漸増する周期的拡張プロファイルによって、第1のサイズと前記第1のサイズよりも大きい第2のサイズの間で拡張及び収縮する、ことと、
前記組織部位から前記1つ又は複数の拡張エレメントを除去することであって、これによって、前記組織部位の前記公称サイズが、前記1つ又は複数の拡張エレメントの除去後に増加する、こととを含む、方法。
《態様11》
前記1つ又は複数の拡張エレメントは、管腔内バルーンを含む、態様10に記載の方法。
《態様12》
前記組織部位は、血管、心臓弁、又は呼吸導管の1つ以上である、態様10又は11に記載の方法。
《態様13》
前記治療周波数は、前記治療プログラム中に変化する、態様10から12のいずれか一つに記載の方法。
《態様14》
前記治療周波数は、前記治療プログラム中に一定である、態様10から12のいずれか一つに記載の方法。
《態様15》
前記治療プログラムは、単一の拡張エレメントを用いて実行される、態様10から14のいずれか一つに記載の方法。
《態様16》
前記治療プログラムは、複数の拡張エレメントを用いて実行され、さらに、前記複数の拡張エレメントのうち第1の拡張エレメントを用いて前記治療プログラムの第1の部分を実行し、前記複数の拡張エレメントのうち第2の拡張エレメントを用いて前記治療プログラムの第2の部分を実行することを含み、前記第1の拡張エレメントは、第1の公称拡張サイズを有し、前記第2の拡張エレメントは、第2の公称拡張サイズを有する、態様10から14のいずれか一つに記載の方法。
《態様17》
前記治療プログラムは、前記治療プログラム中に前記1つ又は複数の拡張エレメント特性を変化させることを含み、前記特性は、前記1つ又は複数の拡張エレメントの容積、圧力、又は直径を含む、態様10から16のいずれか一つに記載の方法。
《態様18》
前記治療プログラムは、サイナプラスティ、カイフォプラスティ、ライノープラスティ、又は皮膚伸長手順を含む医療手順を実行するように構成され、前記方法は、サイナプラスティ、カイフォプラスティ、ライノープラスティ、又は皮膚伸長手順を含む医療手順に関連付けられている、態様10から17のいずれか一つに記載の方法。
《態様19》
前記1つ又は複数の拡張エレメントは、コンプライアントなバルーンを含む、態様10から18のいずれか一つに記載の方法。
《態様20》
前記1つ又は複数の拡張エレメントは、ノンコンプライアントなバルーンを含む、態様10から19のいずれか一つに記載の方法。
《態様21》
前記医療デバイスは、加圧源に接続された動力源と前記加圧源を制御するコントローラとを含む圧力モジュレータに接続され、前記加圧源は、前記1つ又は複数の拡張エレメントに接続されて前記1つ又は複数の拡張エレメントを加圧及び減圧し、プロセッサを含む前記コントローラは、前記加圧源に前記治療プログラムに従って前記1つ又は複数の拡張エレメントを操作させる、態様10から20のいずれか一つに記載の方法。
《態様22》
前記動力源、前記加圧源、及び前記コントローラは、ハウジング内に維持されている、態様21に記載の方法。
《態様23》
前記ハウジングは、ユーザの手中に保持できるように構成されている、態様22に記載の方法。
《態様24》
前記圧力モジュレータは、ビストンドライブ、スクリュードライブ、エアコンプレッサ、ガスカートリッジ、サーボモータ、圧電モータ、又は与圧流体槽を含む加圧源を含む、態様10から23のいずれか一つに記載の方法。
《態様25》
前記拡張エレメントは、スコアリングフィーチャ、薬物被覆、カッティングフィーチャ、制御されたトポグラフィフィーチャ、又は軸外拡張フィーチャを備える、態様10から24のいずれか一つに記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
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図9
図10
図11