(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-06
(45)【発行日】2023-10-17
(54)【発明の名称】ロープガイド装置、電動巻上機及びクレーンシステム
(51)【国際特許分類】
B66D 1/38 20060101AFI20231010BHJP
【FI】
B66D1/38 B
(21)【出願番号】P 2021534572
(86)(22)【出願日】2020-05-29
(86)【国際出願番号】 JP2020021311
(87)【国際公開番号】W WO2021014757
(87)【国際公開日】2021-01-28
【審査請求日】2022-01-21
(31)【優先権主張番号】P 2019135028
(32)【優先日】2019-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】黄 偉傑
【審査官】三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0240392(US,A1)
【文献】特許第5814722(JP,B2)
【文献】登録実用新案第3191390(JP,U)
【文献】米国特許第4103841(US,A)
【文献】中国実用新案第208666964(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66D 1/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷を動力により移動させるための電動巻上機であって、前記動力を伝達するワイヤロープと、軸によって回転自在に支持され、駆動装置により回転駆動され前記ワイヤロープを巻取り及び繰り出しを行うロープドラムを備える電動巻上機を構成するロープガイド装置において、
前記ロープドラムを囲むように設置され、
前記ワイヤロープの前記ロープドラムに対する巻取り及び繰り出しにおける位置を制御し、
互いに環状に接続される複数のチェーンリンクで構成され、当該チェーンリンクの数を前記ロープドラムの直径に応じた数で構成し、
前記複数のチェーンリンクが奇数の場合、前記複数のチェーンリンクのうち、
連続する2つのチェーンリンクについては、ガイドローラが設けられず、他のチェーンリンクについては、前記ガイドローラを設置するチェーンリンクの一つを飛ばすように設置され、
前記複数のチェーンリンクが偶数の場合、
前記複数のチェーンリンクについては、前記ガイドローラを設置するチェーンリンクの一つを飛ばすように設置され、前記チェーンリンクの一端は、角形穴を有し他の部分から凹んで構成され、前記チェーンリンクの他端は、円形穴を有し、前記角形穴と当該チェーンリンクと隣接するチェーンリンクの前記円形穴が連結バーで接続されることを特徴とするロープガイド装置。
【請求項2】
請求項1に記載のロープガイド装置において、
前記ロープドラムの直径が大きくなるほど、前記チェーンリンクの数を増加することを特徴とするロープガイド装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のロープガイド装置において、
前記チェーンリンクの外径と内径に関する数値が互いに異なることを特徴とするロープガイド装置。
【請求項4】
請求項3に記載のロープガイド装置において、
前記チェーンリンクの外径の曲率が内径の曲率より大きいことを特徴とするロープガイド装置。
【請求項5】
請求項1に記載のロープガイド装置において、
前記複数のチェーンリンクのそれぞれは、同一の寸法で構成されることを特徴とするロープガイド装置。
【請求項6】
荷を動力により移動させるための電動巻上機において、
前記動力を伝達するワイヤロープと、
軸によって回転自在に支持され、駆動装置により回転駆動され前記ワイヤロープを巻取り及び繰り出しを行うロープドラムと、
前記ロープドラムを囲むように設置され、前記ワイヤロープの前記ロープドラムに対する巻取り及び繰り出しにおける位置を制御するロープガイドを有し、
前記ロープガイドは、
互いに環状に接続される複数のチェーンリンクで構成され、当該チェーンリンクの数を前記ロープドラムの直径に応じた数で構成し、
前記複数のチェーンリンクが奇数の場合、前記複数のチェーンリンクのうち
連続する2つのチェーンリンクについては、ガイドローラが設けられず、他のチェーンリンクについては、前記ガイドローラを設置するチェーンリンクの一つを飛ばすように設置され、
前記複数のチェーンリンクが偶数の場合、
前記複数のチェーンリンクについて、前記ガイドローラを設置するチェーンリンクの一つを飛ばすように設置され、前記チェーンリンクの一端は、角形穴を有し他の部分から凹んで構成され、前記チェーンリンクの他端は、円形穴を有し、前記角形穴と当該チェーンリンクと隣接するチェーンリンクの前記円形穴が連結バーで接続されることを特徴とする電動巻上機。
【請求項7】
請求項6に記載の電動巻上機において、
前記ロープガイドは、前記ロープドラムの直径が大きくなるほど、前記チェーンリンクの数を増加することを特徴とする電動巻上機。
【請求項8】
請求項6または7に記載の電動巻上機において、
前記チェーンリンクの外径と内径に関する数値が互いに異なることを特徴とする電動巻上機。
【請求項9】
請求項8に記載の電動巻上機において、
前記チェーンリンクの外径の曲率が内径の曲率より大きいことを特徴とする電動巻上機。
【請求項10】
請求項6に記載の電動巻上機において、
前記複数のチェーンリンクのそれぞれは、同一の寸法で構成されることを特徴とする電動巻上機。
【請求項11】
荷を動力により移動させるための電動巻上機と横行移動機構を有するクレーンシステムにおいて、
前記電動巻上機は、
前記動力を伝達するワイヤロープと、
軸によって回転自在に支持され、駆動装置により回転駆動され前記ワイヤロープを巻取り及び繰り出しを行うロープドラムと、
前記ロープドラムを囲むように設置され、前記ワイヤロープの前記ロープドラムに対する巻取り及び繰り出しにおける位置を制御するロープガイドを有し、
前記ロープガイドは、
互いに環状に接続される複数のチェーンリンクで構成され、当該チェーンリンクの数を前記ロープドラムの直径に応じた数で構成し、
前記複数のチェーンリンクが奇数の場合、前記複数のチェーンリンクのうち、
連続する2つのチェーンリンクについては、ガイドローラが設けられず、他のチェーンリンクについては、前記ガイドローラを設置するチェーンリンクの一つを飛ばすように設置され、
前記複数のチェーンリンクが偶数の場合、
前記複数のチェーンリンクについては、前記ガイドローラを設置するチェーンリンクの一つを飛ばすように設置され、前記チェーンリンクの一端は、角形穴を有し他の部分から凹んで構成され、前記チェーンリンクの他端は、円形穴を有し、前記角形穴と当該チェーンリンクと隣接するチェーンリンクの前記円形穴が連結バーで接続されることを特徴とするクレーンシステム。
【請求項12】
請求項11に記載のクレーンシステムにおいて、
前記ロープガイドは、前記ロープドラムの直径が大きくなるほど、前記チェーンリンクの数を増加することを特徴とするクレーンシステム。
【請求項13】
請求項11または12に記載のクレーンシステムにおいて、
前記チェーンリンクの外径と内径に関する数値が互いに異なることを特徴とするクレーンシステム。
【請求項14】
請求項13に記載のクレーンシステムにおいて、
前記チェーンリンクの外径の曲率が内径の曲率より大きいことを特徴とするクレーンシステム。
【請求項15】
請求項11に記載のクレーンシステムにおいて、
前記複数のチェーンリンクのそれぞれは、同一の寸法で構成されることを特徴とするクレーンシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロープガイド装置を有する電動巻上機及び電動巻上機付きクレーンシステムに関する。なお、電動巻上機には、いわゆるホイストが含まれる。
【背景技術】
【0002】
工場等には、吊り下げた荷を鉛直方向に移動させると共に、荷を天井側に設置されたレールに沿って移動させる電動巻上機及び電動巻上機付きクレーンが設置されている。電動巻上機及び電動巻上機付きクレーンには走行モータが備えられており、この走行モータを駆動することにより、レールに沿って電動巻上機及び電動巻上機付きクレーンが移動する。巻上機にはロープを巻き付けるロープドラムを備え、そのロープドラムは、モータによって回転させられる。このような電動巻上機及び電動巻上機付きクレーンとして、例えば特許文献1及び特許文献2がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開US2017/0240392号公報
【文献】特許第5814722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された発明は、ロープガイドを異なる直径を有するロープドラムに用いることが可能である。しかし、実際に一部の直径の大きいロープドラムに取り付ける場合は、外側と内側は同じ曲率を有するため、ガイドロールがロープドラムの上を回転するためには、接続したロープガイド本体の断面形状の幅が大きくなる。ロープドラムとフレームとの間に十分な空間が必要になり、寸法が大きくなるという問題がある。また、ガイドロールとロープガイドの本体との相対位置が固定されて、ワイヤロープ径やロープドラム溝の高さが変わる場合には、ロープガイド本体がロープドラムあるいはワイヤロープと接触する。その場合、違う寸法の部品を使用しなければならない、ワンサイズの部品は通用することができないという問題が起こる。
【0005】
また、特許文献2に記載された発明は、走行方向に並んだ車輪の走行中心軸を容易に一致させることができるクレーン走行装置が記載されているが、ワイヤロープの固定・設置については考慮されていなかった。
【0006】
以上のとおり、特許文献1、2のいずれにおいても、ワイヤロープの固定・設置ついては、考慮されていないか、また、ロープドラムの構成において柔軟性・汎用性が考慮されていなかった。これら従来技術においては、電動巻上機及び電動巻上機付きクレーンのロープドラムにはワイヤロープの直径に応じた半円状の溝が螺旋をなす周状に設けられており、ワイヤロープがその溝に沿って巻き付けられている。ロープドラムの溝に亘って覆うように取付けられるロープガイド装置の場合は、巻き付けられるワイヤロープの直径やロープドラムの直径が変わると、ロープ溝の形状が変わる。このため、ワイヤロープの直径やドラムの直径毎の曲率寸法に合わせる必要があり、製造効率の低下につながっていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明では、互いに環状に接続される複数のモジュール(例えばチェーンリンク)で構成され、当該チェーンリンクの数をロープドラムの直径に応じた数とし、複数のチェーンリンクが奇数の場合、前記複数のチェーンリンクのうち、連続する2つのチェーンリンクについては、ガイドローラが設けられず、他のチェーンリンクについては、ガイドローラを設置するチェーンリンクの一つを飛ばすように設置され、前記複数のチェーンリンクが偶数の場合、複数のチェーンリンクについては、ガイドローラを設置するチェーンリンクの一つを飛ばすように設置され、前記チェーンリンクの一端は、角形穴を有し他の部分から凹んで構成され、前記チェーンリンクの他端は、円形穴を有し、前記角形穴と当該チェーンリンクと隣接するチェーンリンクの前記円形穴が連結バーで接続されるロープガイドを有するロープガイド装置を提案する。この場合、直径が大きくなるほど数を増加させることが好適である。また、このロープガイド装置を備えた電動巻上機や電動巻上機付きクレーンシステムも本発明の一態様である。
【0008】
また、本発明の一態様として、各チェーンリンクの外径と内径に関する数値を異ならせることが含まれる。この場合、外径の曲率を内径の曲率より小さくする(外径の曲率半径がより大きい)ことが好適である。
【0009】
またさらに、本発明の一態様において、複数のチェーンリンクのそれぞれを同一の寸法で構成することがより好適である。
【0010】
なお、上記の構成については、ロープドラムにロープガイド装置を取付け、巻付いたワイヤロープの引出し部の可動範囲を制限し、横方向に溝が1つ以上に移動しないように切欠き部を設けたロープドラムに適用可能である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、様々なロープドラムの寸法に適用可能な、つまり、より柔軟性・汎用性を有するロープガイドを提供可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施例の電動巻上機1付きクレーンシステムの全体構成の外観斜視図である。
【
図2】本発明の一実施例の電動巻上機1の全体構成の部分断面図である。
【
図3】本発明の一実施例の電動巻上機1におけるロープドラム37にロープガイド43を取付けた様子の外観斜視図である。
【
図4】本発明の一実施例のロープガイド43の正面図と側面図である。
【
図5】本発明の一実施例のロープガイド43の外観斜視図である。
【
図6】本発明の一実施例のチェーンリンク44の斜視図である。
【
図7】本発明の一実施例のチェーンリンク連結構造の分解図である。
【
図8】本発明の一実施例のロープガイドストッパー53を示す。
【
図9】本発明の一実施例の支持アーム48の構造を示す。
【
図10】
図9における本発明の一実施例の支持アーム48の構造の分解図である。
【
図11】本発明の一実施例のワイヤロープ浮上防止装置52の斜視図である。
【
図12】本発明の一実施例のロープドラム37の外観図である。
【
図13】本発明の一実施例におけるロープドラム37にロープガイド43を設けた外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係るロープガイドの一実施例を
図1~
図13を用いて説明する。なお、本発明は図示例に限定されるものではない。
【0014】
まず、電動巻上機付きクレーンの全体構成について、
図1を用いて説明する。横行移動機構として、対を成して対向するように配される走行レール11a、11bがあり、走行レール11a上には走行用駆動車輪25aと従動車輪26aを備えるクレーンサドル20aが走行可能に設置されている。走行レール11b上には、走行用駆動車輪25bと従動車輪26bを備えるクレーンサドル20bが走行可能に設置されている。また、クレーンサドル20a、20bはガーダー10によって連結されている。
【0015】
ガーダー10には、電動トロリ2がガーダー10上を移動可能に設置されており、クレーンサドル20a、20bを制御するサドル制御部12が備えられている。電動トロリ2には、荷を上下動させるための電動巻上機1が取付けられ、電動巻上機1には荷を吊り下げるためのクレーンフック4が備えられている。また、電動巻上機1には、電動巻上機1及び電動トロリ2の制御を行う巻上機制御部5と、電動巻上機付きクレーンを操作するための操作入力装置3が備えられている。
【0016】
本実施例のシステムは、電動トロリ2と、電動巻上機1と、クレーンフック4と、巻上機制御部5から構成される。
【0017】
次に、
図1を用いて電動巻上機付きクレーンの動作について説明する。操作者が操作入力装置3を用いて操作を入力すると、入力される制御信号に応じて巻上機制御部5が電動巻上機1及び電動トロリ2の移動を制御し、クレーンフック4に取付けられた荷をZ方向及び-Z方向またはX方向及び-X方向へ移動させることが出来る。また、同様に操作入力装置3で入力される制御信号に応じて、サドル制御部12がクレーンサドル20a及び20bの移動を制御し、クレーンフック4に取付けられた荷をY方向及び-Y方向へ移動させることができる。
【0018】
続いて、本実施例の電動巻上機1の全体構成について
図2を用いて説明する。
図2は本実施例のロープガイド装置の一例である。
【0019】
図2において、電動巻上機1は、巻上機フレーム30の内側に軸34によって回転自在に支持され、駆動装置により回転駆動されてワイヤロープ36を巻取り及び繰り出しするように備えられたロープドラム37を有している。巻上機フレーム30の外側には、ロープドラム37を回転させるための駆動装置として電動機31、電動機31の制動機構であるブレーキ35、ロープドラム37の回転速度を調整する減速機40が組み合わされて取付けられる。このため、電動機31の有する駆動軸32と減速機40の有する従動軸41は軸継手33によってつながれ、回転が伝達されている。ロープドラム37の有する軸34は、減速機40の歯車最終段につながれ、ロープドラム37は電動機31の動力を用いて回転する。
【0020】
ロープドラム37はワイヤロープ36を巻取り及び繰出しする円筒状の部品であり、巻上機フレーム30に回転自在に支持される。ロープドラム37の外周には、ワイヤロープ36を嵌める凹溝状のロープ溝を有している。ロープ溝は、ロープドラム37の外周に螺旋状に形成され、ワイヤロープ36の直径に応じて溝寸法は変更され、ワイヤロープ36が重ならないように規則的に整列できるように設けられている。
【0021】
ここで、
図12にロープドラム37の外観図を示す。ロープドラム37に設けられたロープ溝にワイヤロープ36が巻き付けられる。ワイヤロープが巻き付けられた様子を
図3に示す。
図3において、ロープドラム37の外周側にロープガイド43が、ロープドラム37及び巻上られるワイヤロープ36を囲むようにして、取り付けられている様子を示す。巻上げられるワイヤロープ36がロープ溝によっては巻取り及び繰出しするときに、巻上げロープ、巻き回されるかまたはロープ溝から解かれるときに、以下の機能を奏する。
ロープガイド43は巻取り及び繰出し部の位置、動作を制約する、つまり、ガイドすることで、巻上げられるワイヤロープ36をロープドラム37の螺旋ロープ溝に沿って巻取り及び繰出しすることできる。
【0022】
ロープドラム37が回転し、巻上げられるワイヤロープ36がロープドラム37の外周に巻取り及び繰出しされると、上に巻き取りまた繰り出しされると、巻上げられるワイヤロープ36は、ドラムの長手方向にロープ溝に添って移動する。軸方向の右または左にロープが移動することで、
図4において、ロープガイド43は、チェーンリンク44,反対側チェーンリンク45,連結バー46で構成される。巻上げられるワイヤロープ36は
図3のAに示す巻取り及び繰出し位置にあるロープガイド要素と、巻上げられるワイヤロープ36をロープ溝内に押し込むワイヤロープ浮上防止装置52と、ロープガイド43の円周上に配置される。そして、ロープドラム37または巻上げられるワイヤロープ36の表面上を移動して、ロープドラム37に巻かれ、または繰出しする巻上げられるワイヤロープ36を案内するように構成された部材を含む。ロープガイド43は、ロープドラム37全体の廻りに伸びるリンク状エンティティを形成するように相互に接続されたチェーンリンク44を含むチェーン状の部品であり、ロープガイド装置、ワイヤロープ浮上防止装置52及び制御部材が取付け可能である。
【0023】
ロープガイド43は直径が小さいロープドラムの断面円筒を外接する多辺形を基に、ロープガイド43を構成するチェーンリンク44の長さを決める。チェーンリンク44の外側(外径)の曲率は直径が小さいロープドラムに取付けられる最大直径の曲率を基準とする。内側(内径)の曲率は外側の約半分にする。なお、チェーンリンク44の内側、外側とは、ロープガイド43を構成した場合のロープドラム37側を内側とし、反対側を外側とする。
【0024】
これによって、ロープガイド43がロープドラム37と巻上機フレーム30との空間に回転することができ、ワイヤロープ浮上防止装置52を取付ける空間も残すことができる。さらに、内側の曲率が小さいため、直径が大きいロープドラムに取り付ける際に、チェーンリンク44がロープドラム37に接近する。このため、チェーンリンク44、連結バー46を増やしても直径の大きいロープドラム37と巻上機フレーム30との空間に回転することができる。ロープドラム直径により、必要なチェーンリンク数が奇数になる場合、ガイドローラの設置は
図5に示すように
、複数のチェーンリンクのうち連続する2つのチェーンリンクについては、ガイドローラが設けられず、他のチェーンリンクについては、前記ガイドローラを設置するチェーンリンクの一つを飛ばすように設置し、偶数の場合、
複数のチェーンリンクについては、ガイドローラを設置するチェーンリンクの一つを飛ばすように設置されるように設置することで、ロープガイドを支持する力のバランスをとり、安定な位置を取ることができる。
【0025】
なお、本例では、内径の曲率を外側の曲率の約半分としたが、互いの異なる曲率とすることも本発明に含まれる。さらに、約半分に限定せず、外径の曲率を内径の曲率より小さい(外径の曲率半径がより大きい)構成も本発明に含まれる。さらに、チェーンリンク44の曲率がそれぞれ一定でない場合(外側、内側いずれかにおいて複数の曲率の曲線で構成される)については、チェーンリンク44の外側、内側の代表値を用いる構成とする。
代表値には、平均値、中央値、複数の曲率の内のいずれかを用いることが含まれる。
【0026】
また、
図13に、ロープドラム37に、複数のチェーンリンク44からなるロープガイド43を設けた外観図を示す。このように、ロープガイド43を環状に囲むようにロープドラム37が設置される。このように、設置するため、チェーンリンク44を同一の寸法で揃え、ロープドラム37の形状、大きさに応じて、チェーンリンク44の数を変えてロープガイド43を構成する。このことで、チェーンリンク44の製造コストを抑止しつつ、ロープガイド43に適したロープガイド43を構成することが可能になる。
【0027】
但し、チェーンリンク44の寸法は同一でなくとも構わない。この場合、ロープガイド43全体として、外側と内側の曲率を変える。全体としてとは、代表値を用いることである。代表値としては、各チェーンリンク44の曲率の平均値、中央値、各チェーンリンク44の曲率の1つのうちのいずれかを用いることが含まれる。
【0028】
図6に、チェーンリンク44単体の斜視図を示す。上述のように、チェーンリンク44外側(図面の下側)の曲率が内側(図面の上側)より小さく構成される。
【0029】
次に、ロープガイド43の組立ておよび要部の詳細について、
図7~11を用いて、説明する。
【0030】
まず、
図7に、複数のチェーンリンク44を用いてロープガイド43を組み立て中の図を示す。
図7において、ロープガイド43を構成するチェーンリンク44はすべて同じ寸法の部品で、片側に角形の穴である角形穴44aが設けられ、連結バー46に組立時に固定される状態になることを示す。角形穴44aの外側面には細い突起物44cがあって、もう一つのチェーンリンク44と接続する際に摩擦力を大きくし、すべりを減らすことができる。ロープドラム37に取り付ける作業も簡単になる。チェーンリンクの角形穴44aの反対側に円形穴44bが設けられ、直径の異なるロープドラムに取り付ける時、角度を調整することができる。連結バー46の両端は外側からネジ溝、角形突起物、円柱の順になっており、チェーンリンク44と組み立てる際にも分別しやすくなる。
【0031】
チェーンリンク44の片側は凹むような形状にし、チェーンリンク44を全部接続すると、側面は平らの表面を有する実体となる。このため、ロープガイドストッパー53やワイヤロープ浮上防止装置52などの付属装置を設置することが容易になり、位置を調整することも可能である。また、部品を管理する際に整列が容易になる。
【0032】
次に、円周方向の移動を抑止するための構成を説明する。
図8において、ロープガイド43をロープドラム37に囲み、連続した後、ロープドラム37に対して、円周方向に移動することを防止するため、チェーンリンク44にはロープガイドストッパー53を設ける。ロープガイドストッパー53はロープガイド43の二箇所に取り付け、フレーム開口部の上下部に当たり、円周方向を固定する。また、ロープガイド43が軸方向に移動する際、巻上機フレーム30に対する摩耗を最低限にするため、当たるところにもフレーム上ガイドローラ55を設置することで、フレームの縁の上にすべりではなく、転がらせることにする。ロープガイドの本体に2つの穴を利用し、ロープガイドストッパー53の移動範囲を規制し、一定範囲内に位置調整可能な構造にする。フレーム上ガイドローラ55を取付けるガイドロール調整板57を設けることによりフレーム上ガイドローラ55と巻上機フレーム30接触位置の変更も可能である。
【0033】
次に、
図9および
図10を用いて、ロープガイド43を支える支持アーム48の構造を説明する。
図9は支持アーム48を組み立てた場合の図であり、
図10はこれを構成する各部品の組立て前、つまり、別々に描いた場合の図である。以下、両図を参照する。ロープガイド43を支える支持アーム48はバネを有する構造で支持され、ロープガイド43は一定範囲内の直径変化に対して、適当な距離を取り、ロープガイド43の中心軸とロープドラム37の中心軸を合わせることができる。また、ガイドローラ51が取付けるアームの回転軸49も軸方向に移動でき、ロープドラム溝の溝間距離が変わっても、ガイドローラ51を溝の中心線に回ることができる。アームの回転軸49にはアームがリンクの間に回転軸方向への位置調整をすることが可能な形状にしている。ロープガイド43本体に固定された回転軸が円台の形状にする、調整位置の勾配と上下の直径に合わせて、内側に勾配を有するカップリング50をセットし、外側は平らの円柱状にする。そして、アームの回転軸をカップリング50の外側にはめ込んで、回転軸の細い側に圧着バネ56を設置し、支持アーム48のアームの回転軸49を特定の位置に押し支え、フレーム上ガイドローラ55がロープ溝の中心線上に走ることを維持することができる。
【0034】
ロープガイド43を支持する支持アーム48は常にバネの力が掛かる状態にする。連結バネ47は支持アーム48の回転軸49と連結バー46に固定され、もう一つのバネアームが支持アーム48の穴に通して、力を掛ける。大容量のロープドラムに対し、取付けた後のロープガイドがロープドラムとの距離が小容量のロープドラムに取り付けたときの距離に比べ、少し離れていることになる。しかし、支持する支持アーム48の数が多くなるため、中心軸を合わせるのを保持することが可能である。
【0035】
ドラム溝の高さと直径が使用するワイヤロープによって異なるため、ガイドローラをドラム溝の軸中心に移動させることが困難であり、その代りに、支持アーム48がチェーンリンク44の間に移動できるようにし、位置調整することができる。支持アーム48に付いているガイドローラ51が常にロープ溝の中心に沿って移動することを確保するため、支持アーム48の回転軸を押しバネで抑える。
【0036】
支持アーム48にはガイドローラ51が装着している、ガイドローラ51の幅は小外径ロープドラム溝を基準とする。ロープドラム溝上に転がるようになっている。直径が大きいロープドラムの溝の高さがより高くなるが、溝の幅も大きくなり、支持アーム48がガイドローラ51を支える部分が横から見て、交わっても、実際にロープ溝の縁とガイドローラ51を支える部分と一定の距離が余る。このため、ガイドローラ51に当たることがなく使用できる。
【0037】
図11に、本実施例のワイヤロープ浮上防止装置52の構造を示す。ロープガイド43の上にはワイヤロープ浮上防止装置52が設けられ、ワイヤロープ浮上防止装置52とワイヤロープ36との隙間の距離は、通常的にロープドラム溝の深さより小さく、ワイヤロープ36が溝から外れることを防止することができる。溝から外れることが発生する際に、機能を果たしますため、普段はワイヤロープ36と直接接触せず、ワイヤロープ36が摩耗することを避けられる。又、ワイヤロープ浮上防止装置52は設置する位置高さを一定範囲で調整することができるため、ロープの直径が変わっても機能の実現が可能である。
【0038】
本実施例を適用した場合、発明の直径が大きくなるロープドラム37に取り付ける際に、チェーンリンク44の数を増やしても、リンクの下側の曲率が小さいため、チェーンリンク44は中心線方向にロープドラム37に近寄ることができる。このため、ロープドラム37との距離が遠く離れることなく、ロープガイド43を支えるガイドローラ51がバネの力でロープガイド43の中心軸をロープドラム37の中心軸と合わせることができる。
【0039】
以上、説明したように、ロープガイドはロープドラムの直径に合わせるような装置になり、ロープドラムを囲むことによってロープドラム上に回転させ、ロープの出しをガイドする。この際、直径の異なるロープドラムに対し、寸法の異なる部品で構成されるロープガイドが必要になる。上側と下側の曲率が異なるモジュールで構成されるロープガイド本体は、支持する高さを調整できるガイドロールで支えることになる。このため、同一寸法の部品で構成されるロープガイドが直径の異なるロープドラムに囲むことができ、ワイヤロープの出しをガイドすることができる。
【0040】
よって、直径が異なるロープドラムに応じて、同一部品を使用し、ロープガイド本体を組み立てることができる。ロープガイドを取り付けることが容易に行うことができ、使用上の安全性を向上することができ、据付作業の作業性を向上することができる。また、本実施例では、上記課題を解決し、同一寸法の部品を複数使用することで、ワイヤロープの直径やドラムの直径による寸法制約のないロープガイドを提供することで、生産の効率を向上させることが可能になる。
【0041】
なお、本発明は、上述した実施例に限定するものではなく、様々な変形例が含まれる。
上述した実施例は本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定するものではない。例えば、本実施例では、ロープドラムの直径に応じたチェーンリンクの数を設ける構成を説明したが、他の部位の大きさや形状を基準としてもよい。さらに、半径、口径、短径、長径などその他差し渡しを用いてもよい。
【符号の説明】
【0042】
1…電動巻上機、2…電動トロリ、3…操作入力装置、4…クレーンフック、5…巻上機制御部、10…ガーダー、11a、11b…走行レール、12…サドル制御部、20a、20b…クレーンサドル、25a、25b…走行用駆動車輪、26a、26b…従動車輪、27…ドラムシャフト、26ベアリング、2830…巻上機フレーム、31…電動機、32…駆動軸、33…軸継手、34…軸、35…ブレーキ、36…ワイヤロープ、37…ロープドラム、40…減速機、41…従動軸、42a、42b…歯車、43…ロープガイド、44…チェーンリンク、45…反対側チェーンリンク、46…連結バー、47…連結バネ、48…支持アーム、49…支持アームの回転軸、50…カップリング、51…ガイドローラ、52…ワイヤロープ浮上防止装置、53…ロープガイドストッパー、54…ワイヤロープ保持装置、55…フレーム上ガイドローラ、56…圧着バネ、57…ガイドロール調整板、58…大容量ロープドラム