(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-06
(45)【発行日】2023-10-17
(54)【発明の名称】組み立て方法及びエアロゾル化可能な材料を加熱するための装置
(51)【国際特許分類】
A24F 40/40 20200101AFI20231010BHJP
【FI】
A24F40/40
(21)【出願番号】P 2021557433
(86)(22)【出願日】2019-04-04
(86)【国際出願番号】 CN2019081577
(87)【国際公開番号】W WO2020199214
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2021-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】フン, チ ワイ
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ, グァン ヤン
(72)【発明者】
【氏名】バージェス, ジョナサン ニール
(72)【発明者】
【氏名】ロクトマン, ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】シェリダン, ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】マクグラス, コーナー ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ターンク, ジャイ-ラム
(72)【発明者】
【氏名】トーマス, マイケル デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ビュロー, デイヴィッド ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】ウー, ゼシン
【審査官】河内 誠
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第9427025(US,B2)
【文献】特表2017-535245(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106880086(CN,A)
【文献】中国実用新案第205993632(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00~47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル化可能な材料を加熱して前記エアロゾル化可能な材料の少なくとも1つの成分を揮発させて、ユーザによる吸引のためのエアロゾルを形成するための装置を組み立てる方法であって、
前記装置が、第1の近位端部及び第2の遠位端部を有し、
当該方法は、
エアロゾル化可能な材料を受容及び加熱するための加熱構成体を支持するための第1のシャシーを用意するステップであり、前記第1のシャシー又は前記第1のシャシーによって支持される構成要素が第1の係合要素を備える、ステップと、
前記装置のケーシングの少なくとも一部を形成するための第1のスリーブを用意するステップであり、前記第1のスリーブが第2の係合要素を備える、ステップと、
前記装置の組み立て中に前記第1の係合要素及び前記第2の係合要素の自動的な係合を引き起こすために前記第1のシャシーを前記第1のスリーブの空洞部に挿入するステップと
を含み、前記第1の係合要素及び前記第2の係合要素の分離が、前記第1の係合要素が復元可能な態様で屈曲する又は撓むときにのみ発生する、方法。
【請求項2】
挿入する前記ステップが、前記第1の係合要素及び前記第2の係合要素を備える第1のスナップフィット構成体により、前記第1のシャシー及び前記第1のスリーブ又は前記第1のシャシーによって支持される前記構成要素及び前記第1のスリーブの係合を引き起こす、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
挿入する前記ステップが、エンドストッパによって前記第1のスリーブに対する前記第1のシャシーの移動を阻止するため、前記第1のシャシーを前記第1のスリーブの前記エンドストッパに向かって挿入することを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の係合要素が、前記第1のシャシー又は前記第1のシャシーによって支持される前記構成要素の突出部であり、前記第2の係合要素が、前記第1のスリーブの受容部分である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
電源によって占められる第1のゾーンを備える第2のシャシーを用意するステップと、
前記第1のシャシーの第3の係合要素及び前記第2のシャシーの第4の係合要素を使用して前記第2のシャシー及び前記第1のシャシーを係合するステップと
を含
む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のシャシーが、少なくとも1つの印刷回路基板(PCB)によって占められる第2のゾーンを備え、前記第2のシャシー及び前記第1のシャシーを係合する前記ステップが、前記第2のゾーン及び前記第1のゾーンの一部分のみを、前記第1のスリーブによって囲むことを含
む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ケーシングの第2のスリーブを用意するステップと、
前記第1のスリーブの第5の係合要素及び前記第2のスリーブの第6の係合要素を使用して前記第2のスリーブ及び前記第1のスリーブを係合するステップと
を含
む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記第2のスリーブ及び前記第1のスリーブを係合する前記ステップが、
(i)前記第2のスリーブ及び前記第1のスリーブを係合する前に、係合した前記第1のシャシー及び前記第2のシャシーを前記第2のスリーブに挿入するこ
と
を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第2のスリーブ及び前記第1のスリーブを係合する前記ステップが、(ii
)ユーザ操作ボタンを前記第2のスリーブの穴と整列させることを含み、さらに、前記ユーザ操作ボタンが前記第2のスリーブの前記穴と整列するまで、前記第2のスリーブによって前記ユーザ操作ボタンをカバーすることを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第2のスリーブ及び前記第1のスリーブを係合する前記ステップが、前記加熱構成体の加熱チャンバの一部分を前記第2のスリーブによって囲むことを含
む、請求項7~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
エアロゾル化可能な材料を加熱して前記エアロゾル化可能な材料の少なくとも1つの成分を揮発させて、ユーザによる吸引のためのエアロゾルを形成するための装置(1)であって、
当該装置(1)は、第1の近位端部(3)及び第2の遠位端部(5)を有し、
当該装置(1)は、
エアロゾル化可能な材料を受容及び加熱するための加熱構成体(23)に係合するとともに該加熱構成体(23)を支持するための第1のシャシー(19)であり、前記第1のシャシー(19)又は前記第1のシャシー(19)によって支持される構成要素が第1の係合要素(93)を備える、第1のシャシー(19)と、
当該装置(1)のケーシング(9)の少なくとも一部を形成するための第1のスリーブ(11b)であり、第2の係合要素(97)を備える第1のスリーブ(11b)と
を具備し、
前記第1の係合要素(93)及び前記第2の係合要素(97)は、前記第1のシャシー(19)が当該装置(1)の組み立て中前記第1のスリーブ(11b)の空洞部(12b)へ挿入されるとき、自動的に係合するように配置され、前記第1の係合要素(93)及び前記第2の係合要素(97)の分離が、前記第1の係合要素(93)が復元可能な態様で屈曲する又は撓むときにのみ発生し、
前記第1の係合要素(93)及び前記第2の係合要素(97)が、前記第1のシャシー(19)及び前記第1のスリーブ(11b)の係合、又は前記第1のシャシー(19)によって支持される前記構成要素及び前記第1のスリーブ(11b)の係合のために、第1のスナップフィット構成体を形成する、装置。
【請求項12】
前記第1の係合要素が、前記第1のシャシー又は前記第1のシャシーによって支持される前記構成要素の突出部であり、前記第2の係合要素が、前記第1のスリーブの受容部分である、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
第2のシャシーを備え、
前記第2のシャシーが、前記第1のシャシーの第3の係合要素及び前記第2のシャシーの第4の係合要素を使用して前記第1のシャシーと係合可能であ
る、請求項11又は12に記載の装置。
【請求項14】
第2のスリーブを備え、
前記第2のスリーブ及び前記第1のスリーブが係合されるとき、前記第2のスリーブ及び前記第1のスリーブの各々が、電源によって占められる前記第2のシャシーの第1のゾーンの少なくとも一部分を囲むようになっている、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
請求項11~14のいずれか一項に記載の装置(1)を組み立てる方法であって、
前記第1のシャシー(19)を用意するステップと、
前記第1のスリーブ(11b)を用意するステップと、
前記装置(1)の組み立て中に前記第1の係合要素(93)及び前記第2の係合要素(97)の自動的な係合を引き起こすために前記第1のシャシー(19)を前記第1のスリーブ(11b)の前記空洞部(12b)に挿入するステップであり、
挿入する前記ステップが、前記第1の係合要素(93)及び前記第2の係合要素(97)を備える第1のスナップフィット構成体により、前記第1のシャシー(19)及び前記第1のスリーブ(11b)の係合、又は前記第1のシャシー(19)によって支持される前記構成要素及び前記第1のスリーブ(11b)の係合を引き起こす、挿入するステップと、
を含む、方法。
【請求項16】
第2のシャシー(37)を備え、
前記第2のシャシー(37)が、前記第1のシャシー(19)の第3の係合要素(85)及び前記第2のシャシー(37)の第4の係合要素(87)を使用して前記第1のシャシー(19)と係合可能であり、前記第2のシャシー(37)が、電源(27)によって占められる第1のゾーンを備える、請求項11又は12に記載の装置(1)。
【請求項17】
前記第1のゾーンには電源(27)が配置されており、前記第2のシャシー(37)が前記第1のシャシー(19)に係合しているとき、前記電源(27)が、前記第1の近位端部(3)および前記第2の遠位端部(5)から見て、前記加熱構成体(23)に横方向に隣接している、請求項16に記載の装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル化可能な材料を加熱してエアロゾル化可能な材料の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置を組み立てる方法、及びエアロゾル化可能な材料を加熱してエアロゾル化可能な材料の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
紙巻タバコ、葉巻タバコなどの喫煙品は、使用中にタバコを燃焼させてタバコの煙を生じさせる。燃焼させずに化合物を放出する製品を作り出すことによって、これらの物品の代替物を提供しようとする試みがなされてきた。このような製品の例には、材料を燃焼させるのではなく、加熱することによって化合物を放出する、いわゆる「非燃焼加熱式」製品、又はタバコ加熱デバイス若しくはタバコ加熱製品がある。この材料は、例えば、タバコ、又は他の非タバコ製品としてもよく、これはニコチンを含むことも含まないこともある。
【発明の概要】
【0003】
本発明の第1の態様は、エアロゾル化可能材料を加熱してエアロゾル化可能材料の少なくとも1つの成分を揮発させて、ユーザによる吸引のためのエアロゾルを形成するための装置を組み立てる方法であって、該装置が第1の近位端部及び第2の遠位端部を有する、方法を提供する。本方法は、エアロゾル化可能な材料を受容及び加熱するための加熱構成体を支持するための第1のシャシーを用意するステップであって、第1のシャシー又は第1のシャシーによって支持される構成要素が第1の係合要素を備える、ステップと、装置のケーシングの少なくとも一部を形成するための第1のスリーブを用意するステップであって、第1のスリーブが第2の係合要素を備える、ステップと、第1のシャシーを第1のスリーブの空洞部に挿入して、装置の組み立て中、第1の係合要素及び第2の係合要素の自動的な係合を引き起こすステップとを含む。
【0004】
例示的な実施形態において、挿入するステップは、第1の係合要素及び第2の係合要素を備える第1のスナップフィット構成体により、第1のシャシー及び第1のスリーブ又は第1のシャシーによって支持される構成要素及び第1のスリーブの係合を引き起こす。
【0005】
例示的な実施形態において、挿入するステップは、エンドストッパによって第1のスリーブに対する第1のシャシーの移動を阻止するため、第1のシャシーを第1のスリーブのエンドストッパに向かって挿入することを含む。
【0006】
例示的な実施形態において、本方法は、エンドストッパによって第1のスリーブに対する第1のシャシーの移動を阻止することを含む。例示的な実施形態において、移動を阻止することは、第1のシャシーが空洞部へ挿入される第2の方向と反対の第1の方向における第1のスリーブに対する第1のシャシーの移動を阻止することを含む。
【0007】
例示的な実施形態において、第1のスナップフィット構成体は、エンドストッパを備える。
【0008】
例示的な実施形態において、第1の係合要素は、第1のシャシー又は第1のシャシーによって支持される構成要素の突出部であり、第2の係合要素は、第1のスリーブの受容部分である。例示的な実施形態において、受容部分は、エンドストッパを備え、係合は、突出部を受容部分へ挿入することを含む。例示的な実施形態において、突出部は、クリップである。
【0009】
例示的な実施形態において、第1のスナップフィット構成体は、第2の遠位端部に存在する。
【0010】
例示的な実施形態において、第1のシャシーを空洞部に挿入するステップは、第1のスリーブ及び第1のシャシーをエンドストッパによって装置の第2の遠位端部において当接させることを含む。
【0011】
例示的な実施形態において、第1のスリーブは、装置のケーシングを形成するための結合のために第2のスリーブと係合するためのものである。
【0012】
例示的な実施形態において、第1の近位端部は、エアロゾル化可能な材料を受容するための装置の端部であり、第2の遠位端部は、エアロゾル化可能な材料が挿入される装置の端部である。
【0013】
例示的な実施形態において、第2の遠位端部は、エアロゾル化可能な材料を加熱構成体の加熱チャンバへ挿入するための開口部と反対の端部である。
【0014】
例示的な実施形態において、本方法は、電源によって占められる第1のゾーンを備える第2のシャシーを用意するステップと、第1のシャシーの第3の係合要素及び第2のシャシーの第4の係合要素を使用して第2のシャシー及び第1のシャシーを係合するステップと、を含む。
【0015】
例示的な実施形態において、第2のシャシーを用意するステップは、第1の係合要素を備える第2のシャシーを用意することを含み、第1のシャシーを第1のスリーブの空洞部に挿入するステップは、第2のシャシー及び第1のシャシーを係合するステップの後である。
【0016】
例示的な実施形態において、第2のシャシー及び第1のシャシーを係合することは、第3の係合要素及び第4の係合要素を備える第2のスナップフィット構成体を使用して係合することを含む。例示的な実施形態において、第2のシャシー及び第1のシャシーを係合することは、第2のシャシー及び第1のシャシーを係合する前に、第2のシャシーを第1のスリーブの空洞部へ挿入することを含む。
【0017】
例示的な実施形態において、第2のシャシー及び第1のシャシーは、装置の第2の遠位端部において係合される。
【0018】
例示的な実施形態において、第2のスナップフィット構成体が、第2の遠位端部に存在する。
【0019】
例示的な実施形態において、スナップフィット構成体は、少なくとも1つの係合可能な部分の局所的な屈曲を提供し、少なくとも1つの係合可能な部分を一瞬変形させる。
【0020】
例示的な実施形態において、第1のシャシーを第1のスリーブの空洞部へ挿入するステップは、第2のシャシーを第1のシャシーに係合するステップの前である。
【0021】
例示的な実施形態において、第1のシャシーは、少なくとも1つの印刷回路基板(PCB)によって占められる第2のゾーンを備え、第2のシャシー及び第1のシャシーを係合するステップは、第2のゾーン及び第1のゾーンの一部分のみを、第1のスリーブによって囲むことを含む。例示的な実施形態において、第2のゾーンは、複数のPCBによって占められるものである。例示的な実施形態において、PCBは、実質的に等しい長さのものである。
【0022】
例示的な実施形態において、第1のスリーブによって囲むステップは、第2のゾーンの全長を、第1のスリーブによって囲むことを含む。
【0023】
例示的な実施形態において、本方法は、ケーシングの第2のスリーブを用意するステップと、第1のスリーブの第5の係合要素及び第2のスリーブの第6の係合要素を使用して第2のスリーブ及び第1のスリーブを係合するステップとを含む。
【0024】
例示的な実施形態において、第2のスリーブ及び第1のスリーブを係合することは、第3の係合要素及び第4の係合要素を備える第3のスナップフィット構成体を使用して第2のスリーブ及び第1のスリーブを係合することを含む。例示的な実施形態において、第1のスリーブ及び第2のスリーブは、装置のケーシングを形成する。
【0025】
例示的な実施形態において、第1~第3のスナップフィット構成体は、互いに異なる。例示的な実施形態において、第1~第3のスナップフィット構成体の違いは、幾何学的形状における違いである。例示的な実施形態において、第1~第3のスナップフィット構成体の違いは、係合した部分の運動自由度における違いである。例示的な実施形態において、第1~第3のスナップフィット構成体の違いは、構造における違いである。例示的な実施形態において、第1~第3のスナップフィット構成体の違いは、係合部分の数における違いである。例示的な実施形態において、第3のスナップフィット構成体は、3つ以上の係合部分を備え得る。例示的な実施形態において、第2のスナップフィット構成体は、複数の係合部分を備え得る。例示的な実施形態において、第1のスナップフィット構成体は、単一の係合部分を備え得る。例示的な実施形態において、第3のスナップフィット構成体は、第2のスナップフィット構成体よりも少なくとも1つ多い係合部分を備え得る。
【0026】
例示的な実施形態において、第2のスリーブ及び第1のスリーブを係合するステップは、第1のゾーンの少なくとも一部分を、第2のスリーブ及び第1のスリーブの各々によって囲むことを含む。例示的な実施形態において、第2のスリーブ及び第1のスリーブを係合するステップは、電源コンパートメント内の電源の少なくとも一部を、第2のスリーブ及び第1のスリーブの各々によって囲むことを含む。
【0027】
例示的な実施形態において、第2のスリーブ及び第1のスリーブを係合するステップは、第1のシャシーに対する第1のスリーブの双方向移動を制限することを含み、双方向移動は、加熱チャンバの長手方向軸線に平行の軸線に沿ったものである。例示的な実施形態において、第2のスリーブ及び第1のスリーブを係合するステップは、漸進的係合を含む。例示的な実施形態において、漸進的係合は、いくつかの決まったステップにおいて、第1のスリーブ及び第2のスリーブを断続的に係合及び係合解除することを含む。例示的な実施形態において、断続的に係合及び係合解除するいくつかの決まったステップは、第3のスナップフィット構成体のいくつかの係合部分に対応する。
【0028】
例示的な実施形態において、第2のスリーブ及び第1のスリーブを係合するステップは、第2のスリーブ及び第1のスリーブを係合する前に、係合した第1及び第2のシャシーを第2のスリーブへ挿入することを含む。
【0029】
例示的な実施形態において、第2のスリーブ及び第1のスリーブを係合するステップは、ユーザ操作ボタンを第2のスリーブの穴と整列させることを含む。例示的な実施形態において、第2のスリーブ及び第1のスリーブを係合するステップは、ユーザ操作ボタンが第2のスリーブの穴と整列するまで、第2のスリーブによってユーザ操作ボタンをカバーすることを含む。
【0030】
例示的な実施形態において、第2のスリーブ及び第1のスリーブ係合をするステップは、加熱構成体の加熱チャンバの一部分を、第2のスリーブによって囲むことを含む。
【0031】
例示的な実施形態において、第2のスリーブによって囲むステップは、加熱チャンバの一部分のみを、第2のスリーブによって囲むことを含む。
【0032】
例示的な実施形態において、第2のスリーブによって囲むステップは、加熱構成体の拡張チャンバを、第2のスリーブによって囲むことを含む。
【0033】
例示的な実施形態において、第2のスリーブによって囲むステップは、第2のスリーブの熱ライナによって加熱チャンバの一部分を囲むことを含み、熱ライナは、第2のスリーブの熱伝導率とは異なる熱伝導率を有する。例示的な実施形態において、熱ライナ及び第2のスリーブの内側を係合することを含む。
【0034】
例示的な実施形態において、第2のスリーブによって囲むステップは、加熱構成体の拡張チャンバを囲むことを含む。
【0035】
例示的な実施形態において、第2のシャシーは、加熱構成体の支持管によって占められる第3のゾーンを画定する一対のアームを備え、第1のシャシー及び第2のシャシーを係合するステップは、一対のアームを支持管の周りで誘導することを含む。
【0036】
例示的な実施形態において、第3のスナップフィット構成体は、第1のスリーブの周縁及び第2のスリーブの周縁の協働的係合を含む。
【0037】
例示的な実施形態において、本方法は、留め具を使用して第2のスリーブを第2のシャシーに締め付けるステップを含む。例示的な実施形態において、締め付けるステップは、留め具を第2のシャシーのねじ部分と係合することを含む。例示的な実施形態において、締め付けるステップは、留め具を、まず第2のスリーブ、次いで第2のシャシーを通じて挿入することを含む。
【0038】
例示的な実施形態において、エアロゾル化可能材料は、タバコを含み、及び/又は再生され、及び/又はゲルの形態にあり、及び/又は非晶体を含む。
【0039】
本発明の第2の態様は、エアロゾル化可能な材料を加熱してエアロゾル化可能な材料の少なくとも1つの成分を揮発させて、ユーザによる吸引のためのエアロゾルを形成するための装置であって、第1の近位端部及び第2の遠位端部を有する、装置を提供する。本装置は、エアロゾル化可能な材料を受容及び加熱するための加熱構成体を支持するための第1のシャシーと、本装置のケーシングの少なくとも一部を形成するための第1のスリーブであって、第2の係合要素を備える、第1のスリーブと、を具備し、第1の係合要素及び第2の係合要素は、装置の組み立て中、第1のシャシーが第1のスリーブの空洞部へ挿入されるとき、自動的に係合するように配置される。
【0040】
例示的な実施形態において、第1のスリーブは、エンドストッパであって、これに向かって第1のシャシーが挿入され得る、エンドストッパを、第1のスリーブに対する第1のシャシーの移動がエンドストッパによって阻止されるように構成されるように、備える。
【0041】
例示的な実施形態において、エンドストッパは、第1のスリーブの遠位端部に提供される。例示的な実施形態において、第1のスリーブの遠位端部は、装置の第2の遠位端部に対応する。
【0042】
例示的な実施形態において、第1の近位端部は、エアロゾル化可能な材料を受容するための装置の端部であり、第2の遠位端部は、エアロゾル化可能な材料が挿入される装置の端部である。
【0043】
例示的な実施形態において、第2の遠位端部は、エアロゾル化可能な材料を加熱構成体の加熱チャンバへ挿入するための開口部と反対の端部である。
【0044】
例示的な実施形態において、エンドストッパは、第1のシャシーが空洞部へ挿入される第2の方向と反対の第1の方向における第1のスリーブに対する第1のシャシーの移動を阻止するように構成される。
【0045】
例示的な実施形態において、第1の係合要素及び第2の係合要素は、第1のシャシー及び第1のスリーブ又は第1のシャシーによって支持される構成要素及び第1のスリーブの係合のために、第1のスナップフィット構成体を形成する。例示的な実施形態において、第1のスナップフィット構成体は、エンドストッパを備える。
【0046】
例示的な実施形態において、第1の係合要素は、第1のシャシー又は第1のシャシーによって支持される構成要素の突出部であり、第2の係合要素は、第1のスリーブの受容部分である。例示的な実施形態において、受容部分は、エンドストッパを備える。例示的な実施形態において、突出部は、クリップである。
【0047】
例示的な実施形態において、本装置は、第1のシャシーの第3の係合要素及び第2のシャシーの第4の係合要素を使用して第1のシャシーと係合可能である第2のシャシーを備える。例示的な実施形態において、第2のシャシーは、第1の係合要素を備える。例示的な実施形態において、第2のシャシーは、第3の係合要素及び第4の係合要素を備える第2のスナップフィット構成体を使用して第1のシャシーと係合可能である。例示的な実施形態において、スナップフィット構成体は、少なくとも1つの係合可能な部分係合可能な部分の局所的な屈曲を提供し、少なくとも1つの係合可能な部分を一瞬変形させる。
【0048】
例示的な実施形態において、本装置は、第2のスリーブを、第2のスリーブ及び第1のスリーブが係合されるとき、第2のスリーブ及び第1のスリーブの各々が、電源によって占められる第2のシャシーの第1のゾーンの少なくとも一部分を囲むように、備える。
【0049】
例示的な実施形態において、加熱構成体は、加熱チャンバを備え、第2のスリーブ及び第1のスリーブの各々が、加熱チャンバの一部分を囲む。
【0050】
例示的な実施形態において、第2のスリーブは、留め具によって第2のシャシーと係合可能であり、留め具は、まず第2のスリーブ、次いで第2のシャシーを通じて挿入するためのものである。
【0051】
例示的な実施形態において、第2のスリーブは、エアロゾル化可能な材料を受容するための開口部、及びユーザ操作ボタンとの整列のための穴を備える。
【0052】
例示的な実施形態において、エアロゾル化可能な材料は、タバコを含み、及び/又は再生され、及び/又はゲルの形態にあり、及び/又は非晶体を含む。
【0053】
本発明のさらなる特徴及び利点は、添付の図面を参照してなされる例として単に提供される、本発明の好ましい実施形態の以下の説明から明らかになるものとする。
【0054】
以下、本発明の実施形態について、添付の図面を参照して、単に例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【
図1】エアロゾル化可能な材料を加熱してエアロゾル化可能な材料の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置の例の概略斜視図であって、本装置が、エアロゾル化可能な材料を含む消耗品が挿入された状態で示される、図である。
【
図2】消耗品が挿入された状態の
図1の例示的な装置の概略前面図である。
【
図3】消耗品が挿入された状態の
図1の例示的な装置の概略右側面図である。
【
図4】消耗品が挿入された状態の
図1の例示的な装置の概略左側面図である。
【
図5】
図4に示される線A-Aに沿っての、消耗品が挿入された状態の
図1の例示的な装置の前からの概略断面図である。
【
図6】消耗品が挿入されていない
図1の例示的な装置の前からの概略断面図である。
【
図7】
図1に示される例示的な装置の部分の組み立て手順を示す図である。
【
図8】
図1の例示的な装置の第1のシャシー及び加熱構成体の部分の、第1のスリーブのエンドストッパへ向けた
図1の例示的な装置の第1のスリーブへの挿入を含む、第1の組み立てステップの概略斜視図である。
【
図8a】第1のスナップフィット構成体を形成する第1の組み立てステップの係合部分の概略断面図である。
【
図9】
図8に示される第1のシャシー及び
図1に示される例示的な装置の加熱構成体を
図1の例示的な装置の第2のシャシーに係合することを含む第2の第1の組み立てステップの概略斜視図である。
【
図10】第2のスナップフィット構成体の部分を形成するための
図9に示される第2のシャシーの第1の係合可能な部分を示す図である。
【
図11】第2のスナップフィット構成体の部分を形成するための
図9に示される第1のシャシーの第2の係合可能な部分、及び第1のスナップフィット構成体の部分を形成するための第1のシャシーのクリップを示す図である。
【
図12】
図1の例示的な装置の第2のスリーブを
図1の例示的な装置の第2のシャシーに係合することを含む第3の組み立てステップの概略斜視図である。
【
図13】エアロゾル化可能な材料を加熱してエアロゾル化可能な材料の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置を組み立てる方法の例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
本明細書で使用される場合、用語「エアロゾル化可能な材料」は、加熱時に、揮発した成分を、典型的には蒸気又はエアロゾルの形態で提供する材料を含む。「エアロゾル化可能な材料」は、非タバコ含有材料、又はタバコ含有材料とすることができる。「エアロゾル化可能な材料」は、例えば、タバコそのもの、タバコ派生物、拡張タバコ、再生タバコ、タバコ抽出物、均質化タバコ、又はタバコ代替品のうちの1つ又は複数を含むものとすることができる。「エアロゾル化可能な材料」は、挽きタバコ、刻みラグタバコ、押出タバコ、再生タバコ、再生エアロゾル可能材料、液体、ゲル、非晶体、ゲル化シート、粉末、又は塊等の形態であってもよい。「エアロゾル化可能な材料」はまた、他の非タバコ製品を含むものであってもよく、製品に応じて、ニコチンを含んでも含まなくてもよい。「エアロゾル化可能な材料」は、グリセロール又はプロピレングリコールなど、1つ又は複数の保湿剤を含んでもよい。用語「エアロゾル生成材料」もまた、用語「エアロゾル化可能な材料」と同じ意味で、本明細書内で使用され得る。
【0057】
上に記されるように、エアロゾル化可能な材料は、代替的に「モノリシック固体」(すなわち、非繊維質)、又は「乾燥ゲル」と称される場合がある「非晶体」を含むものとすることができる。非晶体は、その中に、液体などの何らかの流体を保持し得る固体材料である。いくつかの場合において、エアロゾル化可能な材料は、約50wt%、60wt%、又は70wt%の非晶体~約90wt%、95wt%、又は100wt%の非晶体を含む。いくつかの場合において、エアロゾル化可能な材料は、非晶体からなる。
【0058】
本明細書で使用される場合、用語「シート」は、その厚さよりも実質的に大きい幅及び長さを有する要素を意味する。シートは、例えば、ストリップであり得る。
【0059】
本明細書で使用される場合、用語「加熱材料」又は「ヒータ材料」は、いくつかの例において、例えばエアロゾル化可能な材料が誘導加熱構成体によって加熱されるとき、変動磁場による侵入により加熱可能である材料を指す。
【0060】
加熱材料を加熱する他の形態は、電気的抵抗加熱要素に関与する抵抗加熱を含み、電気的抵抗加熱要素は、電流が電気的抵抗加熱要素に印加されるとき熱が上がり、以て加熱材料への伝導により熱を伝達する。
【0061】
図1を参照すると、本発明の実施形態に従う装置1の概略斜視図が示される。装置1は、エアロゾル化可能な材料を加熱してエアロゾル化可能な材料の少なくとも1つの成分を揮発させて、ユーザによる吸引のためのエアロゾルを形成するためのものである。この実施形態において、エアロゾル化可能な材料は、タバコを含み、装置1は、タバコ加熱製品(当該技術分野においては、タバコ加熱デバイス又は非燃焼加熱式デバイスとしても知られる)である。装置1は、ハンドヘルドデバイスであり、これは、ハンドヘルドデバイスのユーザによるエアロゾル化可能な材料の吸引のためのものである。
【0062】
装置1は、第1の端部3、及び第1の端部3の反対の第2の端部5を備える。第1の端部3は、本明細書では、装置1の口側端部又は近位端部と称されることがある。第2の端部5は、本明細書では、装置1の遠位端部と称されることがある。装置1は、装置1が、装置1のユーザによって望まれるときに、全体として、オン及びオフを切り替えられることを可能にするために、オン/オフボタン7を有する。
【0063】
概して述べるならば、装置1は、エアロゾル生成材料を加熱することによってユーザにより吸引されることになるエアロゾルを生成するように構成される。使用時、ユーザは、装置1に物品21を挿入し、例えばボタン7を使用して装置1を活性化して(動作させて)、装置1がエアロゾル生成材料を加熱し始めるようにする。ユーザは、続いて、装置1の第1の端部3の近くの物品21のマウスピース21bを吸って、装置1によって生成されるエアロゾルを吸引する。ユーザが物品21を吸うと、生成されたエアロゾルが、装置1の近位端部3へ向かって流路に沿って装置1を流れる。
【0064】
例においては、蒸気が生成され、次いでこの蒸気は、少なくとも部分的に凝縮して、ユーザによって吸引されるように、装置1を出る前にエアロゾルを形成する。
【0065】
この点において、まず、一般に、蒸気は、その臨界温度よりも低い温度にある気相の物質であり、これは、例えば、蒸気が、温度を下げることなくその圧力を上昇させることによって液体へと凝縮され得ることを意味する、ということに留意されたい。その一方、一般に、エアロゾルは、空気又は別のガス中の、微細固体粒子又は液滴のコロイドである。「コロイド」は、微視的に分散した不溶性粒子が別の物質の至る所に浮遊している物質である。
【0066】
簡便性の理由から、本明細書で使用される場合、エアロゾルという用語は、エアロゾル、蒸気、又はエアロゾル及び蒸気の組み合わせを意味すると取られるべきである。
【0067】
装置1は、装置1の様々な内部構成要素を配置及び保護するためのケーシング9を備える。したがって、ケーシング9は、内部構成要素を収容するための外側ハウジングである。図示実施形態において、ケーシング9は、装置1の周囲を取り囲み、装置1の「上部」を全体的に画定する、第1の端部3における上パネル17と、装置1の「底部」を全体的に画定する、第2の端部5(
図2~5を参照)における底パネル19とが被せられるスリーブ11を備える。
【0068】
スリーブ11は、第1のスリーブ11b及び第2のスリーブ11aを備える。第2のスリーブ11aは、装置1の上方部分として示される装置1の上部分に設けられ、第1の端部3から離れる方へ延びている。第1のスリーブ11bは、装置1の下方部分として示される装置1の下部分に設けられ、第2の端部5から離れる方へ延びている。第2のスリーブ11a及び第1のスリーブ11bは各々、装置1の周囲を取り囲む。すなわち、装置1は、Y軸線方向に長手方向軸線を含み、第2のスリーブ11a及び第1のスリーブ11bは各々、長手方向軸線に対して放射状の方向に内部構成要素を包囲する。
【0069】
この実施形態において、第2のスリーブ11a及び第1のスリーブ11bは、取り外し可能に互いに係合される。この実施形態において、第2のスリーブ11aは、溝及び凹部を備えるスナップフィット構成体で第1のスリーブ11bと係合される。
【0070】
いくつかの実施形態において、上パネル17及び/又は底パネル19は、装置1の内部への容易なアクセスを許すために、対応する第1及び第2のスリーブ11b、11aにそれぞれ、取り外し可能に固定され得る。いくつかの実施形態において、スリーブ11は、例えばユーザが装置1の内部にアクセスすることを阻止するために、上パネル17及び/又は底パネル19に「永続的に」固定され得る。一実施形態において、パネル17及び19は、例えば、射出成形によって形成されるガラス入りナイロンを含む、可撓性材料で作製され、スリーブ11は、アルミニウムで作製されるが、他の材料及び他の製造プロセスが使用されてもよい。
【0071】
装置1の上パネル17は、装置1の口側端部3に開口部20を有し、これを通じて、使用中、エアロゾル化可能な材料を含有する消耗品21が、ユーザによって、装置1へ挿入され、また装置1から取り除かれる。この実施形態において、消耗品21は、ユーザがユーザの唇の間に置くためのマウスピースとして機能する。他の実施形態において、外部マウスピースを設けることができ、エアロゾル化可能な材料の少なくとも1つの揮発成分は、このマウスピースを通じて吸われる。外部マウスピースが使用されるとき、エアロゾル化可能な材料は、外部マウスピース内に設置されない。
【0072】
この実施形態において、開口部20は、蓋4によって開閉される。示される実施形態において、蓋4は、閉位置と開位置との間で移動可能であり、開位置にあるときに装置1内への消耗品21の挿入を可能にする。蓋4は、X軸線方向に沿って双方向に移動するように構成される。
【0073】
接続ポート6は、装置1の第2の端部5に示される。接続ポート6は、装置1の電源27を充電するための、ケーブル及び電源27(
図6に示される)への接続のためのものである。接続ポート6は、装置1の前側から装置1の後側へZ軸線方向に延びている。
図3に示されるように、接続ポート6は、装置1の第2の端部5において装置1の右側でアクセス可能である。装置1は、充電しながら、又は接続ポート6を通じてデータ接続を可能とするために、第2の端部5で立つことができることが有利である。図示実施形態において、接続ポート6は、USBソケットである。
【0074】
図2を参照すると、第2のスリーブ11aは、テーパの付いている、装置1の第1の端部3における表面を備える。テーパが付けられた表面は、第2の端部5における第1のスリーブ11bの表面に対して第1の角度αを持つ。この実施形態において、第2の端部5における第1のスリーブ11bの表面は、X軸線方向と実質的に平行である。したがって、図示されるように、消耗品21は、第1の端部3の近位部分にて開口部20(
図1に示される)を通じて挿入可能である。第2のスリーブ11a及び第1のスリーブ11bが接合部11cで合わさっている部分では、X軸線方向に対して第2の角度βが形成されている。第2の角度βは、第1の角度αよりも大きく示されている。
【0075】
図3及び
図4はそれぞれ、装置1の右側及び左側を示す。ここでは、消耗品21は、横方向において中央の位置にあるように示されている。これは、消耗品21が挿入される開口部20が、Z軸線方向に沿って装置の中間地点に、及びX軸線方向において中心を外れて位置付けられるためである。
【0076】
図5及び
図6は、
図4に示されるような装置1の線A-Aをそれぞれ通る、消耗品が挿入された状態及び引き抜かれた状態にある装置1の前からの概略断面図を示す。
【0077】
図6に示されるように、ケーシング9の中には、ヒータ構成体(heater arrangement)23、制御回路25、及び電源27が配置され又は固定されている。この実施形態において、制御回路25は、電子機器コンパートメントの一部分であり、2つの印刷回路基板(PCB)25a、25bを備える。この実施形態において、制御回路25及び電源27は、ヒータ構成体23に横方向に隣接(すなわち、端部から見て隣接)しており、制御回路25は電源27の下に位置する。これは、装置1が、X軸線方向に対応する横方向においてコンパクトであることを可能にし、有効である。
【0078】
この実施形態において、制御回路25は、以下にさらに論じられるように、消耗品21内のエアロゾル化可能な材料の加熱を制御するように構成及び配置されるマイクロプロセッサ構成体などのコントローラを含む。
【0079】
この実施形態において、電源27は、充電式バッテリーである。他の実施形態において、非充電式バッテリー、コンデンサ又はバッテリー・コンデンサのハイブリッドが用いられてもよく、電気幹線供給源への接続が使用されてもよい。好適なバッテリーの例には、例えば、リチウムイオンバッテリー、ニッケルバッテリー(ニッケルカドミウムバッテリーなど)、アルカリバッテリー、及び/又は同様のものがある。バッテリー27は、必要なときに電力を供給し、制御回路25の制御下で消耗品内のエアロゾル化可能な材料を加熱するために(論じられるように、エアロゾル化可能な材料を燃焼させることなくエアロゾル化可能な材料を揮発させるために)、ヒータ構成体23に電気的に接続される。
【0080】
電源27をヒータ構成体23に対して横に隣接して配置する利点は、物理的に大きい電源27が、装置1が全体として過度に長くなりすぎることなく、使用され得ることである。理解されるように、物理的に大きい電源27は、より高い容量(すなわち、多くの場合はアンペアアワー又は同様のもので測定される、供給され得る合計電気エネルギー)を有し、したがって、装置1のバッテリー寿命はより長くなり得る。
【0081】
一実施形態において、ヒータ構成体23は、一般に、使用時にエアロゾル化可能な材料を含む消耗品21が加熱のために挿入される中空内側加熱チャンバ29を有する中空円筒管の形態にある。概して述べるならば、加熱チャンバ29は、消耗品21を受容するための加熱ゾーンである。ヒータ構成体23のための異なる構成も可能である。いくつかの実施形態において、ヒータ構成体23は、単一の加熱要素を備えてもよいし、ヒータ構成体23の長手方向軸線に沿って整列される複数の加熱要素で形成されてもよい。加熱要素又は各加熱要素は、その外周において環状若しくは管状、又は少なくとも部分環状若しくは部分管状であってもよい。一実施形態において、加熱要素又は各加熱要素は、薄膜ヒータであってもよい。別の実施形態において、加熱要素又は各加熱要素は、セラミックス材料で作製されてもよい。好適なセラミックス材料の例は、積層及び焼結され得るアルミナ及び窒化アルミニウム及び窒化ケイ素セラミックスを含む。誘導加熱、赤外線を放射することによって加熱する赤外ヒータ要素、又は、例えば抵抗性電気巻線によって形成される抵抗加熱要素を含む、他のヒータ構成要素も可能である。
【0082】
この実施形態において、ヒータ構成体23は、ステンレス鋼支持管75によって支持され、ヒータ71を備える。1つの実施形態において、ヒータ71は、少なくとも1つの導電要素が形成される基板を備える。基板は、シートの形態にあり得、例えば、可撓性層を備え得る。好ましい実施形態において、この層は、ポリイミド層である。1つ又は複数の導電要素は、基板層に印刷されてもよいし、別途付着されてもよい。1つ又は複数の導電要素は、基板内に封じられてもよいし、基板で被覆されてもよい。
【0083】
支持管75は、消耗品21に熱を伝達する加熱要素である。したがって、支持管75は加熱材料からなる。この実施形態において、ヒータ材料はステンレス鋼である。他の実施形態において、他の金属材料が加熱材料として使用されてもよい。例えば、加熱材料は、金属又は金属合金を含んでもよい。加熱材料は、アルミニウム、金、鉄、ニッケル、コバルト、導電性カーボン、黒鉛、鋼、普通炭素鋼、軟鋼、フェライト系ステンレス鋼、モリブデン、銅、及び青銅からなる群から選択される1つ又は複数の材料を含んでもよい。
【0084】
ヒータ構成体23は、消耗品21が装置1に挿入されるときエアロゾル化可能な材料の全体が使用時実質的に加熱されるように、寸法決めされている。
【0085】
いくつかの実施形態において、加熱要素又は各加熱要素は、エアロゾル化可能な材料の選択されたゾーンが、所望の通りに、独立して、例えば順番に(経時的に)加熱されるように又は一緒に(同時に)加熱されるように配置されてもよい。
【0086】
この実施形態において、ヒータ構成体23は、その長さの少なくとも一部分に沿って、真空領域31によって包囲される。真空領域31は、ヒータ構成体23から装置1の外側へ伝わる熱を低減するのを助ける。それが熱損失を全体的に低減するため、これによりヒータ構成体23の電力要件を低く抑えるのを助ける。真空領域31はまた、ヒータ構成体23の動作中、装置1の外側を冷えたままにするのを助ける。いくつかの実施形態において、真空領域31は、二重壁のスリーブによって包囲されてもよく、スリーブの2つの壁の間の領域は、伝導及び/又は対流による熱伝達を最小限にするように、低圧領域を提供するために真空にされている。他の実施形態において、真空領域に加えて、又はその代わりに、例えば好適な泡タイプの材料を含め、例えば断熱材料を使用した、別の絶縁構成体が使用されてもよい。
【0087】
ハウジングと称されることがあるケーシング9は、すべての内部構成要素及びヒータ構成体23を支持するための内部支持構造体37(
図6に明示される)をさらに備えてもよい。
【0088】
装置1は、開口部20の周りに延在し開口部20からハウジング9の内側へ突出するカラー33と、カラー33と真空領域31の1つの端部との間に位置する拡張要素35とをさらに備える。拡張要素35は、装置1の口側端部3において拡張チャンバ40を形成するじょうご状のものである。カラー33は、消耗品21を保持するための保持具である(
図5に明示される)。この実施形態において、保持具は、装置1から復元可能に取り外すことができる。
【0089】
拡張要素35の一方の端部は、第2のスリーブ11aに接続し、またこれによって支持され、拡張要素35の他方の端部は、カセット51の一方の端部に接続し、またこれによって支持される。Oリングとして示される第1の封止要素55は、拡張要素35と第2のスリーブ11aとの間に配置され、Oリングとして示される第2の封止要素57は、拡張要素35とカセット51との間に配置される。各Oリングは、シリコーン製であるが、他のエラストマー材料が、封止を可能とするために使用されてもよい。第1及び第2の封止要素55、57は、装置1の周囲構成要素内へのガスの移動を防ぐ。封止要素は、遠位端部における流体出入を防ぐために遠位端部にも提供される。
【0090】
図6に明示されるように、カラー33、拡張要素35及び真空領域31/ヒータ構成体23は、
図5に明示されるように、消耗品21が装置1に挿入されるとき、消耗品21がカラー33及び拡張要素35を通って加熱チャンバ29内へ延びるように、同軸に配置される。
【0091】
上で述べたように、この実施形態において、ヒータ構成体23は概ね中空円筒管の形態にある。この管によって形成される加熱チャンバ29は、拡張チャンバ40を介して装置1の口側端部3において開口部20と流体連通状態にある。
【0092】
この実施形態において、拡張要素35は、開口部20に隣接する第1の開口端部と、加熱チャンバ29に隣接する第2の開口端部とを有する管状本体を備える。管状本体は、管状本体に沿って第1の開口端部からおよそ半分のところまで延びる第1のセクションと、およそ半分のところから管状本体に沿って第2の開口端部まで延びる第2のセクションとを備える。第1のセクションは、第2のセクションから離れる方に従って広がるフレア状部分を備える。したがって、第1のセクションは、開口している第1の開口端部へ向かって外向きに細くなる内径を有する。第2のセクションは、実質的に一定の内径を有する。
【0093】
図6に明示されるように、この実施形態において、拡張要素35は、ハウジング9内に、カラー33と真空領域31/ヒータ構成体23との間に配置されている。より詳細には、拡張要素35の第2の開口端部において、拡張要素35は、第2の開口端部が支持管75及び真空領域31の内側と係合するように、ヒータ構成体23の支持管75の端部分と真空領域31の内側との間に配置される。第1の開口端部において、拡張要素35は、カラー33の脚部59が拡張チャンバ40内へ突出するように、カラー33を受容する。したがって、拡張要素35の第1のセクションの内径は、消耗品21が装置1内に受容されるとき(
図5を参照)、及び消耗品21が存在しないとき、脚部の外径よりも大きい。
【0094】
図5から最もよく理解されるように、拡張要素35の第1のセクションの内径は、消耗品21の外径よりも大きい。したがって、消耗品21が拡張要素35の長さの少なくとも一部分にわたって装置1に挿入されるとき、拡張要素35と消耗品21との間に空隙36が存在する。空隙36は、その領域における消耗品21の全周囲の周りにある。
【0095】
図6に明示されるように、カラー33は、複数の脚部59を備える。この実施形態では、4つの脚部59が存在し、3つのみが
図6の視点では見ることができる。しかしながら、他の実施形態では、脚部59は、4つよりも多くても少なくてもよい。脚部59は、カラー33の内表面に円周方向に等しく離間して配置され、装置1が組み立てられるとき拡張チャンバ40内に配置される。この実施形態において、装置1に設置されるとき、脚部59は、開口部20の周縁に円周方向に等しく離間して配置される。一実施形態では、脚部59は4つあり、他の実施形態では、脚部59は4つよりも多くても少なくてもよい。脚部59の各々は、Y軸線方向に延び、拡張チャンバ40の長手方向軸線に平行に延びており、開口部20内へ突出する。脚部59はまた、脚部59の先端59aにおいて拡張要素35へ向かう方向に放射状に延び、その結果として、先端59aは互いから離れる方へ角度が付けされる。各脚部59の先端59aは、消耗品21を挿入するとき及び/又はこれを装置1から取り外すときに、消耗品21への損傷を回避するよう消耗品21の通過をより良いものとする。脚部59は、まとめて、消耗品21が装置1内にあるとき、拡張チャンバ40内にある消耗品21を正しく位置付け、また保持するために、消耗品21を把持する把持セクションを提供する。それらの間で、脚部59は、脚部59によって接触される消耗品の領域にある消耗品21を軽く圧迫する、又は締め付ける。
【0096】
脚部59は、弾性材料から構成されてもよい(又は何らかの他の方式で弾性的であってもよい)ため、結果として、それらは、消耗品21が装置1に挿入されるとき、消耗品21をより良好に把持するためにわずかに変形する(例えば、圧縮する)が、その後、消耗品21が装置1から取り外されるときには、脚部59は
図6に示される静止位置へ付勢されるため、それらの元の形状を取り戻す。したがって、脚部59は、静止位置である第1の位置から、
図5に示される変形位置である第2の位置へ可逆的に移動可能であり、これにより消耗品21は把持される。この実施形態において、脚部59は、カラー33の主要本体と一体に形成されている。しかしながら、いくつかの実施形態において、脚部59は、カラー33の本体に装着される別個の構成要素であってもよい。第1の位置である静止位置にある脚部59の間に形成される空間の内径は、例えば4.8mm~5mm、好ましくは4.9mmである。脚部59は、脚部59の位置での開口部20の開口範囲が、脚部59なしの位置での開口部20の開口範囲よりも小さくなるように、開口部20内の空間を占めている。
【0097】
例えば、拡張要素35は、例えばポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を含む可撓性材料で形成され得る。PEEKは、大半の他の熱可塑物と比較して比較的高い融解点を有し、熱劣化に対して非常に抵抗力がある。
【0098】
図6を参照すると、この実施形態において、加熱チャンバ29は、遠位端部5に向かう減じられた内径の領域38と連通している。この領域38は、清掃管41によって形成される清掃チャンバ39を画定する。清掃管41は、口側端部3において開口部を通過した消耗品21(
図5を参照)のための端止めを提供する中空管である。清掃管41は、ヒータ構成体23を支持及び配置するように構成される。
【0099】
装置1は、装置1の遠位端部5における蓋61をさらに備え、この蓋61は、加熱チャンバ29が清掃され得るように加熱チャンバ29へのアクセスを可能とするために底パネル19内の開口部を開閉する。蓋61は、ヒンジ63を中心にして枢動する。蓋61を通じたこのようなアクセスは、特に、ユーザが遠位端部5においてヒータ構成体23及び加熱チャンバ29内を清掃することを可能にする。蓋61が開いているとき、真っすぐの貫通孔が、口側端部3における開口部20と、装置1の遠位端部5における清掃チャンバの一方の端部における開口部との間に、装置1全体を通るよう設けられる。したがって、ユーザは、中空加熱チャンバ29の内部の実質的に全体を容易に清掃することができる。このため、ユーザは、好みで装置1のいずれかの端部を通して、加熱チャンバ29にアクセスすることができる。ユーザは、例えば、昔ながらのパイプクリーナ又はブラシ又は同様のものを含む、この目的のための1つ又は複数の様々な清掃デバイスを使用し得る。
【0100】
図6に示されるように、上パネル17は、装置1のハウジング9の第1の端部3を全体的に形成する。上パネル17は、開口部20の形態にある挿入点を画定するカラー33を支持し、開口部20を通して使用時に消耗品21は装置1へ取り外し可能に挿入される。
【0101】
カラー33は、開口部20の周りに延び、そこからハウジング9の内部へ突出する。この実施形態において、カラー33は、上パネル17とは別個の要素であり、バヨネット係止機構などの取り付け具を通じて上パネル17に装着される。他の実施形態において、接着剤又はねじが、カラー33を上パネル17に結合するために使用され得る。他の実施形態において、カラー33は、ハウジング9の上パネル17と一体であってもよいため、カラー33及び上パネル17は単一部片を形成する。
【0102】
図5及び
図6から最もよく理解されるように、消耗品21及びカラー33の脚部59の隣合う対によって画定される開空間は、消耗品21の外側の周りに通気路20aを形成する。かかる通気路20aは、消耗品21から漏れ出た熱い蒸気が装置1から流出することを可能にし、また消耗品21の周りに装置1内へ冷却空気が流れることを可能にする。この実施形態では、4つの通気路が、消耗品21の周縁の周りに位置し、これが装置1の通気をもたらす。他の実施形態においては、より多く又はより少ないそのような通気路20aを設けてもよい。
【0103】
特に
図5を再び参照すると、この実施形態において、消耗品21は円筒ロッドの形態にあり、これは、消耗品21が装置1に挿入されるときヒータ構成体23内にある消耗品21のセクション内の後端部にエアロゾル化可能な材料21aを有する又は包含する。消耗品21の前端部は、装置1から延び、エアロゾルを濾過するためのフィルター及び/又はエアロゾルを冷却するための冷却要素21cのうちの1つ又は複数を含む組立体であるマウスピース21bとして機能する。フィルター/冷却要素21cは、空間21dによってエアロゾル化可能な材料21aから離間され、さらなる空間21eによってマウスピース組立体21bの先端からも離間される。消耗品21は、円周方向に外層(図示せず)で被覆されている。この実施形態において、消耗品21の外層は、エアロゾル化可能な材料21aからの一部の加熱された揮発成分が消耗品21から漏れ出ることを可能にするために透過性を有する。
【0104】
動作中、ヒータ構成体23は、消耗品21を加熱してエアロゾル化可能な材料21aの少なくとも1つの成分を揮発させる。
【0105】
エアロゾル化可能な材料21aからの加熱された揮発成分の主たる流路は、軸線方向に消耗品21を通り、空間21d、フィルター/冷却要素21c、及びさらなる空間21eを通った後に、マウスピース組立体21bの開口端部を通ってユーザの口に入る。しかしながら、揮発成分の一部は、消耗品21から、その透過性の外側被覆材を通って、拡張チャンバ40内の消耗品21を包囲する空間36内へ漏出することもある。
【0106】
消耗品21から拡張チャンバ40内へ流れる揮発成分がユーザによって吸引されることは、これらの成分がフィルター/冷却要素21cを通過しておらず、したがって濾過も冷却もされていないことから望ましくない。
【0107】
拡張チャンバ40内の消耗品21を包囲する空気の容積部は、消耗品21からその外層を通って漏れ出す揮発成分の少なくとも一部を冷却し、拡張チャンバ40の内壁に凝縮させて、それらの揮発成分がユーザによっておそらくは吸引されることを防ぐことが有利である。
【0108】
この冷却効果は、流体が装置内へ及び装置から外へ流れることを可能にする通気路20aを経て装置1の外側から拡張チャンバ40内の消耗品21を包囲する空間36内へ入ることができる冷却空気によって、促され得る。第1の通気路は、挿入点において消耗品21の外側の周りに通気をもたらすように、カラー33の複数の隣り合う脚部59の対の間に画定される。第2の通気路は、少なくとも1つの加熱された揮発成分が第2の位置にて消耗品21から流れるように、隣り合う脚部59の第2の対の間に提供される。したがって、通気は、第1及び第2の通気路によって挿入点において消耗品21の外側の周りにもたらされる。さらには、消耗品21からその外側被覆材を通じて漏れ出す加熱された揮発成分は、拡張チャンバ40の内壁で凝縮せず、ユーザによって吸引されることなく、通気路20aを介して装置1の外へ安全に流れることができる。拡張チャンバ40及び通気の両方が、エアロゾル化可能な材料からの加熱された揮発成分に放出される水蒸気組成物の温度及び含有量を低減することを助ける。
【0109】
装置1には、装置1の第1の端部3へ向かうサーマルライナ(thermal liner)13が取り付けられる。
図6に示されるように、サーマルライナ13は、第2のスリーブ11aに係合される。サーマルライナ13は、熱分配を管理するのを助ける熱分散体(heat diffuser)であり、より大きな面積にわたり装置1の使用により生成される内部熱を分配することによって第2のスリーブ11aを熱応力から保護するのを助ける。サーマルライナ13は、軽量とするために、及び近位端部3の周りに十分に熱を放散させるために、アルミニウムなどの金属材料から作製される。これは、局部的なホットスポットを回避するのを助け、第2のスリーブ11aの寿命を増大させる。ライナ13は、伝導によって熱を分配する。ライナ13は、断熱するように又は放射によって熱を反射するようには構成されていない。
【0110】
図6に示されるように、支持管75は、ヒータ71によって外側が被覆される。この例では、ヒータ71は、ポリイミド及び導電性要素を備える薄膜ヒータである。ヒータ71は、独立して制御される複数の加熱領域、及び/又は同時に制御される複数の加熱領域を備えることができる。この例では、ヒータ71は、単一のヒータとして形成される。しかしながら、他の実施形態において、ヒータ71は、加熱チャンバ29の長手方向軸線に沿って整列される複数のヒータで形成されてもよい。いくつかの実施形態において、複数の温度センサが、ヒータ71及び/又は支持管の温度を検出するために使用されてもよい。この実施形態において、支持管75は、消耗品21が加熱ゾーンに挿入されるとき(加熱ゾーンは支持管75の熱伝導領域によって画定される)ヒータ71から消耗品21の方へ熱を伝導するためにステンレス鋼から作製される。他の実施形態において、支持管75は、支持管75が熱伝導性である限り、異なる材料から作製されてもよい。他の加熱要素75が、他の実施形態において使用されてもよい。例えば、加熱要素は、誘導によって加熱可能であるサセプタとしてもよい。この実施形態において、支持管75は、使用時、エアロゾル化可能な材料を含む物品21を支持するための細長の支持体として機能する。
【0111】
この実施形態において、ヒータ71は、支持管75の外側に配置される。しかしながら、他の実施形態において、ヒータ71は、支持管75の内側に配置してもよい。この実施形態において、ヒータ71は、支持管75の外を通り、本明細書ではヒータテイル73と称される部分を備える。ヒータテイル73は、加熱チャンバ29を越えて延び、制御回路25の電気接続のために構成される。図示実施形態において、ヒータテイル73は、1つのPCB25aに物理的に接続する。電流は、電源27によって、制御回路25及びヒータテイル73を介してヒータ71に提供され得る。
【0112】
加熱チャンバ29と制御回路25との間の接続が必要とされるため、加熱チャンバ29と電子機器コンパートメントとの間の空気流(又は任意の他の流体の流れ)を防ぐことは困難である場合がある。この実施形態において、ガスケット15は、
図6に示されるように、そのような流体流を防ぐために使用される。ガスケット15は、第1のシール15a及び第2のシール15bを備える。ガスケット15は、ヒータテイル73を包囲し、基部53及びカセット51によって一緒にクランプされる。。図示実施形態では、4つの締結部材43が、基部53及びカセット51を一緒にクランプするために十分な力を提供し、この地点においてチャンバ29への、及びチャンバ29からのアクセスを封ずるために使用される。締結部材43は、既定のトルクまで締められるねじである。他の実施形態において、ボルトなどの異なる締結部材43が使用されてもよい。
【0113】
図7を参照すると、組み立て手順100が示される。組み立て手順100は、
図1に示される装置1の部分を組み立てるためのものである。
【0114】
この実施形態において、組み立て手順100は、3つのステップS1~S3を含む。3つのステップS1~S3の各々は、破線矢印によって
図7に示される。3つのステップS1~S3の順序は、ステップの置き換えが可能であり、任意の順序で実施され得ることから、ステップ番号と必ずしも同じではない。例えば、3つのステップS1~S3のうちの少なくとも1つは、組み立て手順100の最初のステップ又は最後のステップとして実施され得る。これは、柔軟な組み立てプロセスをもたらす。
【0115】
3つの組み立てステップS1~S3が順に行われる場合(第1にステップS1、第2にステップS2、第3にS3)、組み立てプロセスは、各部分又は部分のグループが隣合う部分又は部分のグループと同じ方向に一緒にされることから、簡便である。方向は、下方向、例えば、Y軸線方向であってもよく(装置1の長手方向軸線に平行の方向に対応する)、様々な構成要素を一緒にすることは、第1のスリーブ11bが停止する、又は停止するように構成される表面(例えば、装置1の下端部5)に向けたものであってもよい。
【0116】
第1の組み立てステップS1において、第1の19は、第1のスリーブ11bの方へ移動される。この実施形態において、第1のシャシー19は、装置1の底パネル19を備える。第1のスリーブ11bへの第1のシャシー19の挿入方向は、Y軸線方向に対応する。第1のシャシー19は、加熱構成体23及び制御回路25と係合して、またこれを支持して示される。上述したように、エアロゾル化可能な材料は、装置1の長手方向軸線及び細長の加熱ゾーン29の長手方向軸線に平行の長手方向にエアロゾル化可能な材料を挿入することによって、加熱構成体23によって受容される。
【0117】
図8にも示されるように、第1の組み立てステップS1において、係合した第1のシャシー19及び加熱構成体23は、第1のスリーブ11bの空洞部12bへ挿入される。
【0118】
この実施形態において、2つのPCB25a、25b(
図6に示される)を備える制御回路25もまた、第1のシャシー19と係合される。
【0119】
空洞部12bへの第1のシャシー19及び加熱構成体23の挿入の後、第1のシャシー19及び第1のスリーブの相対的移動は、受容部分97として示される第1のエンドストッパ97(
図8を参照)によって抑制される。受容部分97は、第1のシャシー19のクリップ93を受容するように構成される。クリップ93は、クリップ93が突出部であることから、タブと称されることもある。クリップ93は、受容部分97と接合するために、荷重を受けて撓むように構成される。この実施形態において、クリップ93は、片持ち突出部として示される。クリップ93は、したがって、第1のシャシー19の本体から離れた遠位端部に先端を、及び第1のシャシー19の本体に最も近い近位端部に基部を備える。先端は、係合及び係合解除するために、基部の周りで撓み屈曲するように構成される。この実施形態において、クリップ93によって示されるような第1の係合要素は、第1のシャシー19の部分であるが、他の実施形態において、第1の係合要素は、第1のシャシー19によって支持される構成要素によって備えられてもよい。第2のシャシー37は、例えば、第2のシャシー37が第1のシャシー19と係合されるとき第1のシャシー19によって支持される構成要素である。
【0120】
クリップ93及び受容部分97は各々、連結するように、共にラッチする係合要素の例である。クリップ93は、第1の係合要素であると称されることもあり、受容部分97は、第2の係合要素であると称されることもある。この実施形態において、ある程度の運動が、クリップ93と受容部分97との間にもたらされる。これは、第2及び第3の組み立てステップS2、S3とは異なり、第1の組み立てステップS1においては高精度の位置制御が必要とされないためである。他の実施形態において、高精度の位置制御が使用され得ることから、クリップ93と受容部分97との間には運動自由度がほとんど又は全く与えられなくてもよい。
【0121】
受容部分97は、クリップ93の突出部95に当接してクリップ93を妨害し、少なくとも第1の方向、例えば、空洞部12bへの第1のシャシー19の挿入の方向に反対の方向における第1のシャシー19及び第1のスリーブ11bの相対的移動を抑制する縁部を備える。
【0122】
クリップ93は、
図8aでは受容部分97の内側に示される。クリップ93の突出部95は、第1のシャシー19が第1のスリーブ11bの空洞部12bへ挿入されるとき、受容部分97に自動的に受容される。クリップ93は、クリップ93が受容部分97に受容されるまで、第1のスリーブ11bによって内方に撓む。一旦受容部分97に受容されると、クリップ93は、構造的な応力を受けることはなく、又は静止位置から撓むことはない。
【0123】
第1のシャシー19の当接部分81は、第1のスリーブ11bの第2のエンドストッパ83に当接するように構成される。第2のエンドストッパ83は、第2の方向、例えば、空洞部12bへの第1のシャシー19の挿入の方向における第1のスリーブ11bと第1のシャシー19との相対的移動を制限するように機能する。この実施形態において、第2のエンドストッパ83は、第1のエンドストッパ97によって抑制される相対的移動の方向に反対の方向において第1のスリーブ11bと第1のシャシー19との相対的移動を抑制する。したがって、当接部分81と第2のエンドストッパ83との当接は、第1のスリーブ11bの空洞部12bを通じた第1のシャシー19のさらなる挿入を防ぐことができる。当接部分81は、第1のシャシー19の周縁の周りに延びる棚部として示される。
【0124】
いくつかの実施形態において、当接部分81は、当接部分81が第2のエンドストッパ83と当接することができる限り、1つの突出部又は複数の突出部であってもよい。第2のエンドストッパ83は、したがって、挿入方向における第1のシャシー19と第1のスリーブ11bとの相対的移動を阻止(制限)するように構成される。すなわち、第2のエンドストッパ83は、Y軸線方向に沿った方向における第1のシャシー19の挿入を抑制する。対照的に、第1のエンドストッパ97は、挿入方向に反対の引き抜き方向における第1のシャシー19と第1のスリーブ11bとの相対的移動を阻止(制限)するように構成される。第2のエンドストッパ83の阻止方向は、第1のシャシー19及び第1のスリーブ11bが、この段階では挿入方向に反対の方向に互いに対して自由に移動することができるように、Y軸線方向に沿った1つの方向であってもよい。
【0125】
図示実施形態において、第2のエンドストッパ83が、第1のスリーブ11bの遠位端部に設けられる一方、第1のエンドストッパ97は、第1のスリーブ11bの遠位端部の近くに設けられるが、遠位端部には設けられない。しかしながら、他の実施形態において、第2のエンドストッパ83は、第1のスリーブ11bの遠位端部から離れて設けられてもよい。
【0126】
図7及び
図8に示されるように、第1のシャシー19の当接部分81及び第1のスリーブ11bの第2のエンドストッパ83は共に、装置1の底に向かって、遠位端部に配置される(
図5及び
図6を参照)。この実施形態において、第1のシャシー19の当接部分81は、第1のスリーブ11bの第2のエンドストッパ83を受容するための端部空間を備える。いくつかの実施形態において、第1のシャシー19の当接部分81は複数の突出部を備えてもよく、これらの突出部は隣合う突出部間に空間を形成し、この空間は、第1のスリーブ11bの第2のエンドストッパ83の突出部を受容するためのものである。この実施形態において、第1のスリーブ11bの第2のエンドストッパ83は、
図6に示されるように、第1のスリーブ11bの遠位端部にある、第1のスリーブ11bの端部を備える。第2のエンドストッパ83は、この実施形態において、第1のスリーブ11bの本体の突出部ではなく、第1のスリーブ11bの本体の内方に曲げられた部分として示される。いくつかの実施形態において、第1のスリーブ11bの第2のエンドストッパ83は、突出部を備えてもよく、これは単一の突出部であってもよい。他の実施形態において、第2のエンドストッパ83は複数の突出部を備えてもよい。
【0127】
第1のシャシー19の当接部分81が、第1の組み立てステップS1において第2のエンドストッパ83に当接するように構成される場合、孔6aは、電気接続ポート6へのアクセスを可能とする。そうでない場合、第1のスリーブ11bの本体は、第1のシャシー19、及び加熱構成体23の少なくとも部分をカバーする。
【0128】
この実施形態において、第1のシャシー19は、組み立て手順100の第1の組み立てステップS1において、第1のスナップフィット構成体によって第1のスリーブ11bと係合される。第1のスナップフィット構成体は、クリップ93及び受容部分97を備える。第1のシャシー19が第1のスリーブ11bの遠位端部の方へ移動すると、クリップ93の突出部95は、第1のスリーブ11bの受容部分97に自動的に入る。クリップ93が空洞部12bに入るとき、クリップ93は、自動的に内方に撓み、次いで、受容部分97に達するとき自動的に外方に撓むように構成される。
【0129】
図8aにさらに示されるように、突出部95は、傾斜した部分94を備える。傾斜した部分94は、第1のスナップフィット構成体の係合のし易さ、及び第1のスリーブ11bへの第1のシャシー19の確かな取り付けをもたらす。突出部95はまた、挿入の方向に反対の方向における第1のスリーブ11bからの第1のシャシー19の引き抜きを防ぐために阻止部分を備える。阻止部分は、受容部分97に当接する。一旦第1のスナップフィット構成体によって係合されると、第1のスリーブ11bから第1のシャシー19を取り外す唯一の方法は、クリップ93を復元可能に変形させ、受容部分97から突出部95を取り外すことである。
【0130】
図示実施形態において、第1のスナップフィット構成体は、2つのクリップ93と2つの受容部分97とを備えていることが示される。2つのクリップ93は、シャシー19の対向する側面に配置され、2つの受容部分97は、第1のスリーブ11bの対向する側面に配置される。他の実施形態において、第1のスナップフィット構成体は、対応する単一の受容部分97と係合するために単一のクリップ93を備えてもよい。
【0131】
第1の組み立てステップS1は、第1のスリーブ11bの空洞部12bの形状が第1のスリーブ11bに沿って第1のシャシー19を効果的に送り込むため、第1のスナップフィット構成体の係合部分の整列が必要とされないことから、簡便である。したがって、挿入の行為は、係合要素の自動的な係合をもたらす。2つの部分を、この場合、第1のシャシー19及び第1のスリーブ11bを、一緒に押すプロセスは、第1のシャシー19及び第1のスリーブ11bの自動的な連結をもたらす。
【0132】
図7及び
図9~
図11を参照すると、組み立て手順100の第2の組み立てステップS2が示される。第2の組み立てステップS2は、第1のシャシー19及び第2のシャシー37を一緒にすることを含む。
【0133】
この実施形態において、第2のシャシー37は、電源27のための支持構造体である。第2のシャシー37は、電源27が配置される第1のゾーンを備える。すなわち、第1のゾーンは、電源27によって占められるためのものである。第2のシャシー37は、第1の係合可能な部分87を備える。第1のシャシー19は、第2の係合可能な部分85を備える。第1の係合可能な部分87及び第2の係合可能な部分85は共に、第2のスナップフィット構成体を形成する。第1の係合可能な部分87及び第2の係合可能な部分85は各々、係合要素の例である。第2の係合可能な部分85は、第3の係合要素であるとも称され、第1の係合可能な部分87は、第4の係合要素であるとも称される。
【0134】
この実施形態において、クリップ93と受容部分97との間の運動の度合いよりも少ない運動の度合いが第1の係合可能な部分87と第2の係合可能な部分85との間に提供される。これは、第1の組み立てステップS1とは異なり、より精度の高い位置制御が第2の組み立てステップS2において必要とされるためである。他の実施形態において、第1の係合可能な部分87と第2の係合可能な部分85との間にいくつかの運動自由度が与えられてもよい。
【0135】
第1のシャシー19が第1のスリーブ11bの空洞部12bへ完全に挿入されると、当接部分81が第2のエンドストッパ83に当接し、第1のスリーブ11bは、第1のゾーンの一部分のみを囲むように構成される。さらには、PCB25a、25bによって占められる第2のゾーンは、第2のシャシー37が、第2及び第1の組み立てステップS1、S2において、第1のシャシー19と係合されるとき、第1のスリーブ11bによって囲まれる。
【0136】
図9及び
図12に示されるように、第2のシャシー37は、空洞部37aを間に画定する第1のアーム37b及び第2のアーム37cを備える。第2のシャシー37の空洞部37aは、第1のシャシー19と係合した加熱構成体23を受容するためのものである。
図10にさらに示されるように、第1及び第2のアーム37a、37bの各々は、第1の係合可能な部分87を備える。
【0137】
図10に示されるように、第1の係合可能な部分87は、第1の凹部87bによって互いから離間される2つの第1の突出部87aを備える。
【0138】
図11に示されるように、第2の係合可能な部分85は、第1の係合可能な部分87への挿入及びこれとの係合のためのクリップである。第2の係合可能な部分85は、第1の係合可能な部分87の2つの第1の突出部87aを受容するために2つの第2の凹部85aを備える。第1の係合可能な部分87の2つの第1の突出部87aは、受容されると、2つの第2の突出部85bを画定する第2の係合可能な部分85の壁に当接して、第1及び第2の係合可能な部分87、85を一緒に維持し、第1のシャシー19及び第2のシャシー37を係合する。
【0139】
図10に示されるように、例えば、第1の係合可能な部分87の2つの第1の突出部87aは、第2の係合可能な部分85の2つの第2の突出部85bが、第1の凹部87bに入る前に2つの第1の突出部87aに沿って滑動することを可能にするために、傾斜した部分を備える。傾斜した部分は、第1の突出部87aの各々の先端から第1の凹部87bに向かって細くなる。
【0140】
2つの第1の突出部87aは、係合されと、第2の係合可能な部分85のそれぞれの第2の凹部85a内に保持され、第2の係合可能な部分85の2つの第2の突出部85bは、第1の係合可能な部分87の第1の凹部87b内に保持される。
【0141】
第1の係合可能な部分87及び第2の係合可能な部分85のスナップフィット構成体は、したがって、係合の分離に対して大きな抵抗を与える。局所的な変形が、第1の係合可能な部分87及び第2の係合可能な部分85を係合及び分離するために必要とされるが、復元可能な変形(撓み)が、第1のシャシー19及び第2のシャシー37の挿入のし易さ及び確かな取り付けを可能とするために、傾斜した部分によって促進される。
【0142】
第1の係合可能な部分87及び第2の係合可能な部分85には一時的な屈曲が発生するが、この実施形態において、屈曲動作は、復元可能であり、第1の係合可能な部分87及び第2の係合可能な部分85は、第1のシャシー19及び第2のシャシー37が係合されるとき、静止状態へと戻る。静止状態においては、第1の係合可能な部分87と第2の係合可能な部分85との間に変形力は及ぼされない。
【0143】
この実施形態において、第2のスナップフィット構成体は、第2のシャシー87及び第1のシャシー19が係合されるとき、第1の係合可能な部分87と第2の係合可能な部分85との間に協働的係合をもたらす。すなわち、第1の係合可能な部分87及び第2の係合可能な部分85は、第2のシャシー37と第1のシャシー19との相対的移動を防ぐ(抑制する)ように、一旦係合されると連結される。例えば、2つの第2の突出部85bは、そのような相対的移動を防ぐために、凹部87b内に正確に適合する。他の実施形態において、例えば、摩擦が係合の状態を保持するために使用されるとき、協働的係合は必要とされない場合がある。
【0144】
スナップフィット構成体を使用して部分を係合することは、係合した部分が一緒に押されること、及び単純な態様で結合されることを可能にする。いくつかの実施形態において、1つの係合要素の別の係合要素との係合は、移動を抑制するが、2つの部分を完全に制止しない場合がある。すなわち、スナップフィット構成体において、これらの部分の間にいくらかの遊びが存在してもよい。
【0145】
図7及び
図12を参照すると、組み立て手順100の第3の組み立てステップS3が示される。第3の組み立てステップS3は、第2のスリーブ11aを第2のシャシー37と一体とすることを含む。
【0146】
第2のスリーブ11aは、第2のシャシー37及び加熱構成体23を受容するために空洞部12aを備える。一体とされると、第2のスリーブ11aは、留め具18を使用して第2のシャシー37に係合される。係合されると、ユーザ操作ボタン7は、第2のスリーブ11aの穴と整列される。
図2に示されるように、穴は、外側同心円に対応し、内側同心円は、ユーザ操作ボタン7に対応する。図示実施形態においては、2つの留め具18が示される。他の実施形態において、第2のスリーブ11aが第2のシャシー37にしっかりと保持される限り、単一の留め具18が使用されてもよい。2つの留め具18の使用は、1つの留め具18を有するよりも大面積にわたって力を分散させて、組み立て手順100に安定性をもたらすのに役立つ。他の例では、3つ以上の留め具18が使用されてもよい。留め具18を収めるために、ねじ部分18が、第2のシャシー27の本体に提供される。
【0147】
第1のシャシー19が第2のシャシー37と係合されるとき、留め具18は、第2のスリーブ11aが、第2のシャシー37と係合されることを可能にし、その結果として、第2のスリーブ11a、第2のシャシー37、及び第1のシャシー19が、一体になって第1のスリーブ11bに係合され得る。留め具18はまた、第3の組み立てステップS3において第2のスリーブ11及び第1のスリーブ11bを係合するとき、係合した第2のシャシー37及び第1のシャシー19に対する第2のスリーブ11aの相対的位置を保持することによって、組み立て易さを改善するのに役立つ。
【0148】
第2のスリーブ11aは、第3の組み立てステップS3において、第3のスナップフィット構成体の下で第1のスリーブ11bと係合される。第3のスナップフィット構成体は、突出部の第1の構成体89と、第2のスリーブ11aの空間とを備える。第1の構成体89の突出部及び空間は、X軸線方向に角度が付けられている。他の実施形態において、第1の構成体89の突出部及び空間は、X軸線方向に整列されてもよい。第1のスリーブは、突出部を有する第2の構成体91を備える。他の実施形態において、第2の構成体91は、突出部及び空間を備えてもよく、それぞれの係合のために第1の構成体89と実質的に同じであってもよい。
【0149】
第2のスリーブ11aが第1のスリーブ11bの方へ移動されると、第2の構成体91の突出部は、第1の構成体89の突出部の間に形成される隣合う空間の間に断続的に通される。これは、組み立て工にフィードバックを提供し、段階的な係合手順を提供する。完全に挿入されると、第1の構成体89は、第1のスリーブ11bの空洞部12b内にあり、第1のスリーブ11bによって隠される。
【0150】
第1の構成体89及び第2の構成体91は各々、係合要素の例である。第2の構成体91は、第5の係合要素であるとも称され、第1の構成体89は、第6の係合要素であるとも称される。この実施形態において、係合されたとき、第1の構成体89と第2の構成体91との間に運動自由度はほとんど又は全く与えられない。これは、第1のスリーブ11b及び第2のスリーブ11aが単一のユニットとして正確に係合されることが必要とされるためである。そのような位置制御は、例えば、第1の組み立てステップS1におけるものよりも重要である。
【0151】
図6に示されるように、第2のスリーブ11a及び第1のスリーブ11bが係合されるように装置1が組み立てられるとき、第2のスリーブ11a及び第1のスリーブ11bの各々は、電源27が配置される第1のゾーンの少なくとも一部分を囲むように構成される。
【0152】
装置1は、迅速かつ簡便な様式で組み立てられることが有利である。スナップフィット構成体の使用は、部分の自動的な係合をもたらして、組み立てプロセスを迅速化するのを助ける。
【0153】
スナップフィット構成体を説明したが、いくつかの実施形態において、第1及び第2の係合要素、第3及び第4の係合要素、並びに/又は第5及び第6の係合要素は、圧力下で係合及び/又は係合解除する機械ラッチ式の機構を形成する。すなわち、機械機構のそれぞれの係合要素は、係合するように一緒に押圧され得る。それぞれの係合要素を一緒に押圧するプロセスは、係合要素が自動的に連結するようにされる前に係合要素のうちの少なくとも1つの一時的な屈曲をもたらす。連結の動作は、したがって、係合要素のうちの1つの係合要素の別のものへの挿入によって引き起こされる。
【0154】
本明細書に説明される第1~第6の係合要素は、相互連結するように係合する。かかる連結は、2つの別個の構成要素又は構成要素のグループが結合されるようになることを引き起こす。結合された構成要素又は構成要素のグループの間にはいくらかの運動自由度があってもよいが、係合要素の係合が分離を抑制する。すなわち、係合解除は、少なくとも1つの係合要素が復元可能な態様で屈曲する(撓む)ときにのみ発生する。
【0155】
第1のシャシー19は第1の係合要素を備えるが、第1の係合要素は、第1のシャシー19によって支持される内部構成要素のいずれかによって備えられてもよい。例えば、第1の係合要素は、加熱構成体23、制御回路25、第2のシャシー37、及び電源27のうちの少なくとも1つによって備えられてもよい。いくつかの実施形態において、第1の係合要素が第2のシャシー37及び/又は電源27によって備えられるとき、第1の組み立てステップS1は、第2の組み立てステップS2の後に発生する。しかしながら、他の実施形態において、第1のシャシー19を第2のシャシー37に係合する第2の組み立てステップS2は、第1のスリーブ11bを第2のシャシー37及び/又は電源27と係合する組み立てステップの前に実施されてもよい。これは、自動係合が、第1のシャシー19と第1のスリーブ11bとの間ではなく、装置の組み立て中に第2のシャシー37及び/又は電源27と第1のスリーブ11bとの間に起こるためである。
【0156】
図13は、エアロゾル化可能な材料を加熱してエアロゾル化可能な材料の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置を組み立てる方法200の例を示すフロー図を示す。本方法は、単独で、又は組み合わせて、以前に説明されるような特徴のうちのいずれかを追加的に含み得る。
【0157】
方法200は、エアロゾル化可能な材料を受容及び加熱するための加熱構成体を支持するための第1のシャシー201であって、第1のシャシーが第1の係合要素を備える、第1のシャシー201を用意するステップを含む。方法200は、装置のケーシングの少なくとも一部を形成するための第1のスリーブ202を用意するステップであって、第1のスリーブが第2の係合要素を備える、ステップをさらに含む。第1のシャシー及び第1のスリーブが用意されると、本方法は、第1のシャシー203を第1のスリーブの空洞部へ挿入して、装置の組み立て中に第1の係合要素及び第2の係合要素の自動的な係合を引き起こすステップを含む。
【0158】
いくつかの実施形態において、エアロゾル化可能な材料は、タバコを含む。しかしながら、他の実施形態において、エアロゾル化可能な材料は、タバコからなり得るか、実質的に全体的にタバコからなり得るか、タバコ及びタバコ以外のエアロゾル化可能な材料を含み得るか、タバコ以外のエアロゾル化可能な材料を含み得るか、又はタバコを含まない場合がある。いくつかの実施形態において、エアロゾル化可能な材料は、蒸気、又はエアロゾル形成剤、又はグリセロール、プロピレングリコール、トリアセチン、若しくはジエチレングリコールなどの保湿剤を含んでもよい。
【0159】
いくつかの実施形態において、エアロゾル化可能な材料は、非流動性のエアロゾル化可能な材料であり、装置は、非流動性のエアロゾル化可能な材料を加熱してエアロゾル化可能な材料の少なくとも1つの成分を揮発させるためのものである。
【0160】
消耗品21内のエアロゾル化可能な材料の1つ又は複数の揮発性成分のすべて、又は実質的にすべてが消費されると、ユーザは、物品21を装置1から取り外し、物品21を廃棄してもよい。ユーザは、続いて、別の物品21と共に装置1を再使用することができる。しかしながら、他の実施形態において、物品は、非消耗としてもよく、エアロゾル化可能な材料の1つ又は複数の揮発性成分が消費されると、装置及び物品は一緒に廃棄されてもよい。
【0161】
本明細書に説明される実施形態において、消耗品21は、マウスピース組立体21bを備える。しかしながら、他の実施形態においては、本明細書に説明されるような例示的な装置が、マウスピースを備え得るということを理解されたい。例えば、装置1は、装置と一体であるマウスピースを備えてもよく、又は他の実施形態において、本装置は、装置1に着脱可能に装着されるマウスピースを備えてもよい。例において、装置1は、加熱されるべきエアロゾル化可能な材料を受容するように構成されてもよい。エアロゾル化可能な材料は、マウスピース部分を含まない消耗品に含まれてもよい。ユーザは、エアロゾル化可能な材料を加熱することによって装置により生成されるエアロゾルを吸引するために、装置1のマウスピースを吸うことができる。
【0162】
いくつかの実施形態において、物品21は、物品21を使用することができる装置1とは別個に販売、供給、又は別途提供される。しかしながら、いくつかの実施形態において、装置1及び物品21のうちの1つ又は複数は、清掃器具などの追加の構成要素とおそらくは共に、キット又は組立体などのシステムとして一緒に提供されてもよい。
【0163】
様々な問題に対処し、当該技術を発展させるため、本開示の全体は、特許請求された発明が実践され得る、また、エアロゾル化可能な材料を加熱するための装置との使用のための優れた加熱要素、エアロゾル化可能な材料を加熱してエアロゾル化可能な材料の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置との使用のための加熱要素を形成する方法、並びにエアロゾル化可能な材料を加熱してエアロゾル化可能な材料の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置、及びそのような装置によって加熱可能である加熱要素を備えるシステムを提供する様々な実施形態を、例証及び例を用いて示す。本開示の利点及び特徴は、実施形態の代表的なサンプルのものにすぎず、徹底的及び/又は排他的ではない。それらは、理解を支援するのを支援し、特許請求された、及び別途開示された特徴を教示するためだけに提示され。本開示の利点、実施形態、例、機能、特徴、構造、及び/又は他の態様は、特許請求の範囲によって規定されるような開示に対する制限、又は特許請求の範囲の等価物に対する制限と見なされるべきではないということ、並びに、他の実施形態が利用され得、本開示の範囲及び/又は趣旨から逸脱することなく修正がなされ得るということを理解されたい。様々な実施形態は、開示された要素、構成要素、特徴、部分、ステップ、手段などの様々な組み合わせを、好適に含む、これらからなる、又はこれらから本質的になる場合がある。本開示は、今後特許請求され得る、現在特許請求されていない他の発明を含み得る。
[発明の項目]
[項目1]
エアロゾル化可能な材料を加熱して前記エアロゾル化可能な材料の少なくとも1つの成分を揮発させて、ユーザによる吸引のためのエアロゾルを形成するための装置を組み立てる方法であって、
前記装置が、第1の近位端部及び第2の遠位端部を有し、
当該方法は、
エアロゾル化可能な材料を受容及び加熱するための加熱構成体を支持するための第1のシャシーを用意するステップであり、前記第1のシャシー又は前記第1のシャシーによって支持される構成要素が第1の係合要素を備える、ステップと、
前記装置のケーシングの少なくとも一部を形成するための第1のスリーブを用意するステップであり、前記第1のスリーブが第2の係合要素を備える、ステップと、
前記第1のシャシーを前記第1のスリーブの空洞部に挿入して、前記装置の組み立て中に前記第1の係合要素及び前記第2の係合要素の自動的な係合を引き起こすステップと
を含む、方法。
[項目2]
挿入する前記ステップが、前記第1の係合要素及び前記第2の係合要素を備える第1のスナップフィット構成体により、前記第1のシャシー及び前記第1のスリーブ又は前記第1のシャシーによって支持される前記構成要素及び前記第1のスリーブの係合を引き起こす、項目1に記載の方法。
[項目3]
挿入する前記ステップが、エンドストッパによって前記第1のスリーブに対する前記第1のシャシーの移動を阻止するため、前記第1のシャシーを前記第1のスリーブの前記エンドストッパに向かって挿入することを含む、項目1又は2に記載の方法。
[項目4]
前記第1の係合要素が、前記第1のシャシー又は前記第1のシャシーによって支持される前記構成要素の突出部であり、前記第2の係合要素が、前記第1のスリーブの受容部分である、項目1~3のいずれか一項に記載の方法。
[項目5]
電源によって占められる第1のゾーンを備える第2のシャシーを用意するステップと、
前記第1のシャシーの第3の係合要素及び前記第2のシャシーの第4の係合要素を使用して前記第2のシャシー及び前記第1のシャシーを係合するステップと
を含む、項目1~4のいずれか一項に記載の方法。
[項目6]
前記第2のシャシーを用意する前記ステップが、前記第1の係合要素を備える第2のシャシーを用意することを含み、前記第1のシャシーを前記第1のスリーブの前記空洞部に挿入する前記ステップが、前記第2のシャシー及び前記第1のシャシーを係合する前記ステップの後に行われる、項目5に記載の方法。
[項目7]
前記第1のシャシーを前記第1のスリーブの前記空洞部に挿入する前記ステップが、前記第2のシャシー及び前記第1のシャシーを係合する前記ステップの前に行われる、項目5に記載の方法。
[項目8]
前記第1のシャシーが、少なくとも1つの印刷回路基板(PCB)によって占められる第2のゾーンを備え、前記第2のシャシー及び前記第1のシャシーを係合する前記ステップが、前記第2のゾーン及び前記第1のゾーンの一部分のみを、前記第1のスリーブによって囲むことを含む、項目5~7のいずれか一項に記載の方法。
[項目9]
前記第1のスリーブによって囲む前記ステップが、前記第2のゾーンの全長を前記第1のスリーブによって囲むことを含む、項目8に記載の方法。
[項目10]
前記ケーシングの第2のスリーブを用意するステップと、
前記第1のスリーブの第5の係合要素及び前記第2のスリーブの第6の係合要素を使用して前記第2のスリーブ及び前記第1のスリーブを係合するステップと
を含む、項目1~9のいずれか一項に記載の方法。
[項目11]
前記第2のスリーブ及び前記第1のスリーブを係合する前記ステップが、前記第1のゾーンの少なくとも一部分を、前記第2のスリーブ及び前記第1のスリーブの各々によって囲むことを含む、項目10に記載の方法。
[項目12]
前記第2のスリーブ及び前記第1のスリーブを係合する前記ステップが、前記第2のスリーブ及び前記第1のスリーブを係合する前に、係合した前記第1のシャシー及び前記第2のシャシーを前記第2のスリーブに挿入することを含む、項目10又は11に記載の方法。
[項目13]
前記第2のスリーブ及び前記第1のスリーブを係合する前記ステップが、ユーザ操作ボタンを前記第2のスリーブの穴と整列させることを含む、項目10又は11に記載の方法。
[項目14]
前記第2のスリーブ及び前記第1のスリーブを係合する前記ステップが、前記ユーザ操作ボタンが前記第2のスリーブの前記穴と整列するまで、前記第2のスリーブによって前記ユーザ操作ボタンをカバーすることを含む、項目13に記載の方法。
[項目15]
前記第2のスリーブ及び前記第1のスリーブを係合する前記ステップが、前記加熱構成体の加熱チャンバの一部分を前記第2のスリーブによって囲むことを含む、項目10~14のいずれか一項に記載の方法。
[項目16]
前記第2のスリーブによって前記囲むことが、前記加熱チャンバの一部分のみを前記第2のスリーブによって囲むことを含む、項目15に記載の方法。
[項目17]
エアロゾル化可能な材料を加熱して前記エアロゾル化可能な材料の少なくとも1つの成分を揮発させて、ユーザによる吸引のためのエアロゾルを形成するための装置であって、
当該装置は、第1の近位端部及び第2の遠位端部を有し、
当該装置は、
エアロゾル化可能な材料を受容及び加熱するための加熱構成体を支持するための第1のシャシーであり、前記第1のシャシー又は前記第1のシャシーによって支持される構成要素が第1の係合要素を備える、第1のシャシーと、
当該装置のケーシングの少なくとも一部を形成するための第1のスリーブであり、第2の係合要素を備える第1のスリーブと
を具備し、
前記第1の係合要素及び前記第2の係合要素は、前記第1のシャシーが当該装置の組み立て中前記第1のスリーブの空洞部へ挿入されるとき、自動的に係合するように配置される、装置。
[項目18]
前記第1の係合要素及び前記第2の係合要素が、前記第1のシャシー及び前記第1のスリーブ又は前記第1のシャシーによって支持される前記構成要素及び前記第1のスリーブの係合のために、第1のスナップフィット構成体を形成する、項目17に記載の装置。
[項目19]
前記第1の係合要素が、前記第1のシャシー又は前記第1のシャシーによって支持される前記構成要素の突出部であり、前記第2の係合要素が、前記第1のスリーブの受容部分である、項目18に記載の装置。
[項目20]
第2のシャシーを備え、
前記第2のシャシーが、前記第1のシャシーの第3の係合要素及び前記第2のシャシーの第4の係合要素を使用して前記第1のシャシーと係合可能である、項目17~19のいずれか一項に記載の装置。
[項目21]
前記第2のシャシーが前記第1の係合要素を備える、項目20に記載の装置。
[項目22]
前記第2のシャシーが、前記第3の係合要素及び前記第4の係合要素を備える第2のスナップフィット構成体を使用して前記第1のシャシーと係合可能である、項目20又は21に記載の装置。
[項目23]
第2のスリーブを備え、
前記第2のスリーブ及び前記第1のスリーブが係合されるとき、前記第2のスリーブ及び前記第1のスリーブの各々が、電源によって占められる前記第2のシャシーの第1のゾーンの少なくとも一部分を囲むようになっている、項目17~22のいずれか一項に記載の装置。