(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-06
(45)【発行日】2023-10-17
(54)【発明の名称】層システム、そのような層システムを含むバイポーラプレート、およびそれを用いて生産された燃料電池
(51)【国際特許分類】
H01M 8/0228 20160101AFI20231010BHJP
H01M 8/0215 20160101ALI20231010BHJP
H01M 8/0223 20160101ALI20231010BHJP
H01M 8/0236 20160101ALI20231010BHJP
H01M 8/0241 20160101ALI20231010BHJP
H01M 8/0245 20160101ALI20231010BHJP
H01M 8/10 20160101ALI20231010BHJP
C25B 11/052 20210101ALI20231010BHJP
C25B 11/061 20210101ALI20231010BHJP
C25B 11/077 20210101ALI20231010BHJP
C25B 11/081 20210101ALI20231010BHJP
H01M 8/021 20160101ALN20231010BHJP
【FI】
H01M8/0228
H01M8/0215
H01M8/0223
H01M8/0236
H01M8/0241
H01M8/0245
H01M8/10 101
C25B11/052
C25B11/061
C25B11/077
C25B11/081
H01M8/021
(21)【出願番号】P 2021558885
(86)(22)【出願日】2020-02-21
(86)【国際出願番号】 DE2020100126
(87)【国際公開番号】W WO2020200353
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2021-10-01
(31)【優先権主張番号】102019108660.4
(32)【優先日】2019-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515009952
【氏名又は名称】シェフラー テクノロジーズ アー・ゲー ウント コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Schaeffler Technologies AG & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Industriestr. 1-3, 91074 Herzogenaurach, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】デトレフ レーペニング
(72)【発明者】
【氏名】モーリッツ ヴェーゲナー
(72)【発明者】
【氏名】ジヴァンシ ヴィヴェカナンサン
(72)【発明者】
【氏名】ヤシャール ムサイェフ
(72)【発明者】
【氏名】ラディスラウス ドブレニツキ
【審査官】山本 雄一
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-021647(JP,A)
【文献】特開2019-114384(JP,A)
【文献】特表2016-514346(JP,A)
【文献】特開2012-178324(JP,A)
【文献】国際公開第2017/026104(WO,A1)
【文献】特開2017-199535(JP,A)
【文献】特開2013-077436(JP,A)
【文献】特開2013-243113(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/86- 4/98
H01M 8/00- 8/0297
H01M 8/08- 8/2495
C25B 9/00- 9/77
C25B 11/00-11/097
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイポーラプレート(2)を被覆するための層システム(1)であって、酸化スズからなる少なくとも1つのカバー層(1a)を含み、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化チタン
、および酸化ハフニウムを含む群の少なくとも1種類の金属酸化物が、前記酸化スズ中に均一に溶解していることと、前記カバー層(1a)の電気伝導率が10
2S/cm以上であることと、を特徴とする、層システム(1)。
【請求項2】
前記カバー層(1a)が、イリジウムおよび/またはルテニウムでドープされていることを特徴とする、請求項1に記載の層システム(1)。
【請求項3】
前記イリジウムおよび/または前記ルテニウムが、前記カバー層(1a)において、10
-4
at%~0.1at%の範囲の濃度で存在することを特徴とする、請求項2に記載の層システム(1)。
【請求項4】
前記カバー層(1a)と前記バイポーラプレート(2)との間に粘着層(1c)が更に存在し、前記粘着層(1c)が、1nm~300nmの範囲の層厚を有することを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の層システム(1)。
【請求項5】
前記粘着層(1c)が、チタン、タンタル、ニオブ、ジルコニウム、およびハフニウムを含む群からの少なくとも1種類の元素を含有して形成されていることを特徴とする、請求項4に記載の層システム(1)。
【請求項6】
前記カバー層(1a)と前記粘着層(1c)との間に、
-金属炭化物の少なくとも1つの中間層(1b)、または
-金属窒化物の少なくとも1つの中間層(1b)、または
-金属ホウ化物の少なくとも1つの中間層(1b)、または
-少なくとも1つの中間層(1b)であって、
少なくとも1種類の金属炭化物、および少なくとも1種類の金属窒化物、もしくは
少なくとも1種類の金属炭化物、および少なくとも1種類の金属ホウ化物、もしくは
少なくとも1種類の金属窒化物、および少なくとも1種類の金属ホウ化物、もしくは
少なくとも1種類の金属炭化物、および少なくとも1種類の金属窒化物、および少なくとも1種類の金属ホウ化物、を含む、少なくとも1つの中間層(1b)、または
-2つ以上の前記中間層(1b)の組み合わせ、が配置されていることを特徴とする、請求項4または5に記載の層システム(1)。
【請求項7】
前記金属炭化物、および/または前記金属窒化物、および/または前記金属ホウ化物が、チタン、タンタル、ニオブ、ジルコニウム、およびハフニウムを含む群からの少なくとも1種類の金属を有することを特徴とする、請求項6に記載の層システム(1)。
【請求項8】
前記少なくとも1種類の金属が、前記金属炭化物、および/または金属窒化物、および/または金属ホウ化物において、30~56at%の範囲の濃度で存在することを特徴とする、請求項7に記載の層システム(1)。
【請求項9】
前記少なくとも1つの中間層(1b)が、ホウ素を含有することを特徴とする、請求項6~8のいずれか一項に記載の層システム(1)。
【請求項10】
前記カバー層(1a)が、フッ素でドープされていることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の層システム(1)。
【請求項11】
前記カバー層(1a)が、窒素および/または炭素で更にドープされていることを特徴とする、請求項10に記載の層システム(1)。
【請求項12】
アノード側とカソード側を有するバイポーラプレート(2,2’)であって、基材(2a,2a’)と、請求項1~11のいずれか一項に記載の層システム(1)と、を含み、以下の順序、
金属基材(2a,2a’)、
ガス拡散層(6,6’)、
任意選択的な粘着層(1c)、
任意選択的な1つまたは複数の中間層(1b)、
カバー層(1a)
の前記バイポーラプレートの構造を有する、バイポーラプレート(2,2’)。
【請求項13】
請求項12に記載の少なくとも1つのバイポーラプレート(2,2’)を含む、燃料電池(10)。
【請求項14】
少なくとも1つの高分子電解質膜(7)を含む、請求項13に記載の燃料電池(10)。
【請求項15】
請求項12に記載の少なくとも1つのバイポーラプレート(2,2’)を含む、電解槽。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化スズからなる少なくとも1つのカバー層を含む、バイポーラプレートを被覆するための層システムに関する。本発明は更に、金属基材と、そのような層システムと、を含む、バイポーラプレートに関する。本発明は更に、少なくとも1つのそのようなバイポーラプレートを含む、燃料電池に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池ユニットのためのバイポーラプレート構成は、独国特許出願公開第10 2008 036 849(A1)号から既に公知となっており、このバイポーラプレート構成では、カソード側のコーティングは、フッ素でドープされた酸化スズによって形成されている。
【0003】
国際公開第03/092139(A2)号は、1つ以上のバイポーラプレートを備える燃料電池を開示しており、この1つ以上のバイポーラプレートは、耐食性金属で被覆されるとともに、更に導電性のある多結晶酸化スズ層によって被覆されている。この酸化スズ層は、フッ素ドープすることも、アンチモンドープすることもできる。耐食性金属は、ニッケル合金であるか、またはタンタル、ニオブ、ジルコニウム、およびハフニウム金属の群から選択される。
【0004】
独国特許出願公開第10 2008 055 808(A1)号は、親水性コーティングを有する、燃料電池用のバイポーラプレートについて記載しており、この親水性層は、金属酸化物または炭化物により形成されている。好適な金属酸化物として、二酸化ケイ素、二酸化ハフニウム、二酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化スズ、五酸化タンタル、五酸化ニオブ、二酸化モリブデン、二酸化イリジウム、二酸化ルテニウム、およびこれらの混合物が記載されている。導電性を向上させるため、金属酸化物が、とりわけ、N、C、Li、Ba、Pb、Mo、Ag、Au、Ru、Re、Nd、Y、Mn、V、Cr、Sb、Ni、W、Zr、Hf、またはこれらの混合物により、ドープされ得ることが記載されている。親水性層を形成するために好適な炭化物として、炭化クロム、炭化チタン、炭化タンタル、炭化ニオブ、および炭化ジルコニウムが記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、バイポーラプレートのための改善された層システムを提供すること、および、そのようなバイポーラプレートを提供することである。本発明の他の目的は、そのようなバイポーラプレートを少なくとも1つ有する燃料電池を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
目的は、バイポーラプレートを被覆するための層システムであって、酸化スズからなる少なくとも1つのカバー層を含み、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、および酸化ハフニウムを含む群の少なくとも1種類の金属酸化物が、酸化スズ中に均一に溶解しており、カバー層の電気伝導率が102S/cm以上である、層システムについて、達成される。この層システムは、高い導電性と低コストを両立させつつ、優れた長期安定性を併せ持つ点を特徴とする。加えて、この層システムにより、バイポーラプレートの金属のベース材料または基材のための優れた防食性が確保される。
【0007】
層システムは好ましくは、PVD法またはCVD法(PVD:物理蒸着、CVD:化学蒸着)により作製される。
【0008】
カバー層は、特に0.1~15μmの範囲の層厚、特に0.5~3μmの範囲の層厚を有する。
【0009】
ここでは、二酸化スズ中における、均一な溶体中の酸化タンタルおよび/または酸化ニオブの形態で金属酸化物を有するカバー層が特に好ましい。ここでは、上述の利点は、α-二酸化スズ-酸化タンタル、および/またはα-二酸化スズ-酸化ニオブの形態を形成する混合相に基づいて達成される。
【0010】
特に、酸化スズおよび金属酸化物の均一な溶体中のカバー層は、0.1~5at%の割合で、タンタル、および/またはニオブ、および/またはチタン、および/またはジルコニウム、および/またはハフニウムを有する。この範囲において、形成される混合相の導電性が最大となる。
【0011】
カバー層がイリジウム、および/またはルテニウムでドープされると、特に好ましい。イリジウムおよび/またはルテニウムは、カバー層において、10-4at%~0.1at%の範囲の濃度で存在することが好ましい。これにより、カバー層の導電性が更に高まる。
【0012】
層システムの好ましい実施形態においては、カバー層に加えて、粘着層が更に存在し、この粘着層は、1nm~300nmの範囲の層厚を有する。粘着層は好ましくは、チタン、タンタル、ニオブ、ジルコニウム、およびハフニウムを含む群からの少なくとも1種類の元素を含有して形成されている。粘着層の目的は、バイポーラプレートのベース材料または基材に対する、カバー層の付着性を向上させることである。
【0013】
好ましくは、カバー層と粘着層との間に、
-金属炭化物の少なくとも1つの中間層、または
-金属窒化物の少なくとも1つの中間層、または
-金属ホウ化物の少なくとも1つの中間層、または
-少なくとも1つの中間層であって、
少なくとも1種類の金属炭化物、および少なくとも1種類の金属窒化物、もしくは
少なくとも1種類の金属炭化物、および少なくとも1種類の金属ホウ化物、もしくは
少なくとも1種類の金属窒化物、および少なくとも1種類の金属ホウ化物、もしくは
少なくとも1種類の金属炭化物、および少なくとも1種類の金属窒化物、および少なくとも1種類の金属ホウ化物、を含む、少なくとも1つの中間層、または
-2つ以上のそのような中間層の組み合わせ、が配置されている。
中間層により特に、粘着層とカバー層との間の付着性が確保されることとなる。
【0014】
特に、金属炭化物、および/または金属窒化物、および/または金属ホウ化物は、チタン、タンタル、ニオブ、ジルコニウム、およびハフニウムを含む群からの少なくとも1種類の金属を有する。少なくとも1種類の金属は、金属炭化物、および/または金属窒化物、および/または金属ホウ化物において、30~56at%の範囲の濃度で存在することが好ましい。
【0015】
これらの硬質材料のうち、最も導電性が高いのは金属ホウ化物である。このため、少なくとも1つの中間層がホウ素を含有することが有利である。この場合、ホウ素は導電性を高め、それ故特に、1つまたは複数の中間層の導電性を調節する役目を果たす。
【0016】
個々の中間層の層厚は、好ましくは0.1~0.5μmの範囲で選択される。しかしながら、2つ以上の中間層が存在してもよい。
【0017】
層システムの特に好ましい実施形態においては、カバー層は、フッ素でドープされている。これにより、カバー層の安定化と更なる疎水化が図られ、層システムの長期安定性が大きく向上する。そのため、バイポーラプレートのカソード側、すなわち、アノード酸化条件下で有利に使用できるばかりではなく、バイポーラプレートのアノード側においても使用することができる。これは、カバー層の表面抵抗に悪影響を与え得る、すなわち表面抵抗を増加させ得る、表面での水酸化物複合体の形成が妨げられるからである。カバー層をフッ素により0.5~5at%の範囲でドープすることが有用であることがわかっている。
【0018】
カバー層の導電性を更に高めるため、カバー層が、窒素および/または炭素で更にドープされていると有利であることがわかっている。カバー層を、0~10at%の範囲で窒素によりドープすること、および/または0~10at%の範囲で炭素によりドープすることが有用であることがわかっている。
【0019】
粘着層と、少なくとも1つの中間層と、カバー層と、を含む、本発明に係る層システムは、好ましくは0.1~20μmの範囲の総厚さを有する。
【0020】
特に、以下の層システムが、金属製の、特に、オーステナイト鋼製のバイポーラプレートを被覆するために有利であることがわかっている。
【0021】
実施例1:
粘着層: --
中間層: --
カバー層:SnO2 - 0.95at% Ta2O5
【0022】
実施例2:
粘着層: ニオブ
中間層: --
カバー層:SnO2 - 1.3at% Nb2O5
【0023】
実施例3:
粘着層: タンタル
中間層: 炭化タンタル
カバー層:SnO2-xFx - 0.95at% Ta2O5
1at% Irでドープ(Ir含有量 1cm2当たり:0.27μg;1kW当たり:180μg)
【0024】
実施例4:
粘着層: ニオブ
中間層: 窒化ニオブ
カバー層:SnO2-xNyFz - 1.3at% Nb2O5
z=0.05;y=0.3;x=z+y=0.35
【0025】
実施例5:
粘着層: TiNb
中間層: 窒化チタンニオブ
カバー層:SnO2-xFx - 0.2at% Ta2O5 - 1at% Nb2O5
x=0.1
【0026】
目的は、アノード側とカソード側を有するバイポーラプレートであって、基材と、本発明に係る層システムと、を含み、以下の順序、
基材、
ガス拡散層、
任意選択的な粘着層、
任意選択的な1つまたは複数の中間層、
カバー層
のバイポーラプレートの構造を有する、バイポーラプレートについて達成される。
【0027】
これは好ましくは、金属基材または金属担体プレート、特にオーステナイト系ステンレス鋼製の金属基材または金属担体プレートを備えるバイポーラプレートである。担体プレートは、1つ以上の部品に構成され得る。層システムは好ましくは、バイポーラプレートのカソード側に配置されるが、適切なフッ素化、ならびに、窒素、および/または炭素による任意選択的な更なるドーピングにより、バイポーラプレートのアノード側においても使用することができる。
【0028】
目的は、本発明に係る少なくとも1つのバイポーラプレートを含むように構成された燃料電池、または電解槽について更に達成される。この燃料電池は特に、酸素-水素燃料電池、または空気-水素燃料電池として構成される。燃料電池が少なくとも1つの高分子電解質膜を含むことが有用であることがわかっている。
【0029】
以下の表1に、本発明に係る層システムの様々なカバー層の比較を示す。
【0030】
【0031】
図1~
図5は、本発明に係る層システムと、当該層システムで被覆したバイポーラプレートと、燃料電池を例として説明することを意図したものである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】層システムを有するバイポーラプレートを示す図である。
【
図2】複数の燃料電池を備える燃料電池システムを概略的に示す図である。
【
図3】
図1に係る構成を通る断面III-IIIを示す図である。
【
図4】2つのバイポーラプレートとそれらの間に配置された
図2に係る高分子電解質膜を通る断面を示す図である。
【
図5】層システムを通る断面を拡大図で示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は、層システム1を有するバイポーラプレート2を示し、ここで、バイポーラプレート2は、ステンレス鋼製の金属基材、または金属担体プレート2aを有している。層システム1は、バイポーラプレート2の少なくともカソード側を覆っている。層システム1は、100nm~20μmの範囲の総厚さを有する。バイポーラプレート2は、開口部4を有する流入領域3aと、燃料電池にプロセスガスを供給し、燃料電池から反応生成物を除去するために使用される更なる開口部4’を有する出口領域3bとを有する。バイポーラプレート2はまた、両側にガス分配構造5を有し、これは、高分子電解質膜7(
図2参照)との接触のために設けられる。
【0034】
図2は、複数の燃料電池10を備える燃料電池システム100を概略的に示す図である。各燃料電池10は、バイポーラプレート2,2’の両側に隣接する高分子電解質膜7を含む。
図1と同じ参照符号は同一の要素を示す。
【0035】
図3は、
図1に係るバイポーラプレート2を通る断面III-IIIを示す。
図1と同じ参照符号は同一の要素を示す。ここではステンレス鋼から形成された担体プレート2aを見ることができ、これは1つの部品またはいくつかの部品で構成され得る。ガス拡散層6は、担体プレート2aと層システム1との間に配置される。担体プレート2aの更なるアノード側コーティング8が設けられていることもまたわかる。これは、層システム1に対応していてもよい。代替的には、独国特許出願公開第102016202372(A1)号に従って構成されたコーティング8が設けられてもよい。更なるガス拡散コーティング6’が、コーティング8と担体プレート2aとの間に配置されている。ガス拡散コーティング6,6’は、導電性となるように構成されており、特に、炭素材料で作られた繊維マットで作製されている。
【0036】
図4は、2つのバイポーラプレート2,2’と、それらの間に配置された
図2に係る高分子電解質膜7を通る断面を示しており、2つのバイポーラプレート2,2’と高分子電解質膜7は、共に燃料電池10を形成する。
図1および
図3と同じ参照符号は同じ要素を示す。カソードとしての担体プレート2aを伴う第1のバイポーラプレートの層システム1と、アノードとしての更なる担体プレート2a’を伴う第2のバイポーラプレートのコーティング8が、高分子電解質膜7に隣接して配置されていることがわかる。ガス拡散層6,6’も見ることができる。
【0037】
図5は、
図1に係る層システム1を通る断面を示す。カバー層1a、中間層1b、および粘着層1cが存在することがわかる。粘着層1cは、バイポーラプレート2の担体プレート2aと対向して配置される層システム1のB側に配置されている。カバー層1aは、バイポーラプレート2の担体プレート2aから離れる方を向いて配置される層システム1のA側に配置されている。代替的には、層システム1は、複数の中間層1bを有していてもよい。
【符号の説明】
【0038】
1 層システム
1a カバー層
1b 1つまたは複数の中間層
1c 粘着層
2,2’ バイポーラプレート
2a,2a’ 金属基材、担体プレート
3a 流入領域
3b 出口領域
4,4’ 開口部
5 ガス分配構造
6,6’ ガス拡散コーティング
7 高分子電解質膜
8 コーティング
10 燃料電池
100 燃料電池システム
A 担体プレート2aから離れる方を向く層システム1の側
B 担体プレート2aと対向する層システム1の側