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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-06
(45)【発行日】2023-10-17
(54)【発明の名称】消耗品
(51)【国際特許分類】
   A24B 15/16 20200101AFI20231010BHJP
   A24F 40/20 20200101ALI20231010BHJP
   A24F 40/42 20200101ALI20231010BHJP
【FI】
A24B15/16
A24F40/20
A24F40/42
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2021559749
(86)(22)【出願日】2020-04-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-23
(86)【国際出願番号】 GB2020050921
(87)【国際公開番号】W WO2020208355
(87)【国際公開日】2020-10-15
【審査請求日】2021-12-02
(31)【優先権主張番号】1905233.1
(32)【優先日】2019-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100183782
【弁理士】
【氏名又は名称】轟木 哲
(72)【発明者】
【氏名】ビショップ、デヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ウッドコック、ドミニク コンラッド
(72)【発明者】
【氏名】イルマズ、ウグルハン
【審査官】宮部 菜苗
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0007951(US,A1)
【文献】国際公開第2015/046385(WO,A1)
【文献】特表2018-534908(JP,A)
【文献】特表2017-528153(JP,A)
【文献】特表2019-507592(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24B 15/16
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの乾燥剤に近接した少なくとも1つの基材を含み、乾燥剤は基材上に堆積するエアロゾルの量を減少させるように配置される、エアロゾル供給システム用の消耗品。
【請求項2】
少なくとも1つの乾燥剤は吸着剤を含むことを特徴とする請求項1記載の消耗品。
【請求項3】
吸着剤は、吸湿剤、芯材またはその混合物であることを特徴とする請求項2記載の消耗品。
【請求項4】
吸着剤は、芯材またはその混合物であることを特徴とする請求項3記載の消耗品。
【請求項5】
吸着剤が無水無機塩、高吸水性樹脂(SAP)、シリカ、またはその混合物からなる群から選択される吸湿剤またはその混合物であることを特徴とする請求項3記載の消耗品。
【請求項6】
吸湿剤またはその混合物は、シリカ、ポリアクリル酸ナトリウム、無水塩化カルシウム、無水硫酸ナトリウム、無水硫酸カルシウム、無水硫酸マグネシウムおよびそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項5記載の消耗品。
【請求項7】
1つ以上の乾燥剤および1つ以上の基材は、互いに独立し、混合物の形体であることを特徴とする請求項1乃至6いずれか1項記載の消耗品。
【請求項8】
1つ以上の乾燥剤および1つ以上の基材は、同じ粒で含有されることを特徴とする請求項1乃至6いずれか1項記載の消耗品。
【請求項9】
1つ以上の乾燥剤は、消耗品の面に少なくとも部分的に接触し、1つ以上の基材に隣接するように配置されていることを特徴とする請求項1乃至6いずれか1項記載の消耗品。
【請求項10】
1つ以上の乾燥剤は消耗品内の1つ以上の基材を少なくとも部分的に囲むように配置されていることを特徴とする請求項9記載の消耗品。
【請求項11】
請求項1乃至10いずれか1項記載の消耗品を含み、消耗品はエアロゾルを受けるように構成されているエアロゾル供給システム用ポッド。
【請求項12】
請求項1乃至10いずれか1項記載の消耗品または請求項11記載のポッドの上流にエアロゾルを発生させるためのカトマイザー。
【請求項13】
カトマイザーが少なくとも1つのエアロゾル前駆体材料および少なくとも1つのエアロゾル前駆体材料からエアロゾルを発生させるための少なくとも1つの部材を含むエアロゾル発生チェンバーを含み、エアロゾル発生チェンバーと消耗品は、カトマイザーがエアロゾル供給システムに含まれ、エアロゾル供給システムの出口へとユーザーによって吸引された際にエアロゾル流れ経路がエアロゾル発生チェンバーから消耗品を介して出口へと構築されるように流体連通に配置され、エアロゾル発生チェンバーは乾燥剤を含まないことを特徴とする請求項12記載のカトマイザー。
【請求項14】
請求項1乃至10いずれか1項記載の消耗品または請求項11記載のポッドを含むエアロゾル供給システム。
【請求項15】
請求項12または13記載のカトマイザーを含むエアロゾル供給システム。
【請求項16】
エアロゾル供給システムでの基材からの揮発性化合物の送出の均一性を向上させるおよび/または送出量を増加させるためのエアロゾル供給システムにおける乾燥剤の使用であって、乾燥剤は基材上に堆積するエアロゾルの量を減少させるように配置される、乾燥剤の使用。
【請求項17】
エアロゾル供給システムが請求項1乃至10いずれか1項記載の消耗品または請求項11記載のポッドを含むことを特徴とする請求項16記載の乾燥剤の使用。
【請求項18】
基材からの揮発性化合物の送出の均一性を向上させるおよび/または送出量を増加させるように構成されたエアロゾル供給システムの操作方法であって、該方法は少なくとも1つのエアロゾル前駆体材料からエアロゾルを発生させることと、
そのエアロゾルを少なくとも1つの乾燥剤に近接した少なくとも1つの基材を含み、乾燥剤を基材上に堆積するエアロゾルの量を減少させるように配置した消耗品を通過させることとを含み
1つ以上の乾燥剤および1つ以上の基材は、互いに独立し、混合物の形体である、または
1つ以上の乾燥剤および1つ以上の基材は、同じ粒で含まれている、または
1つ以上の乾燥剤は、1つ以上の基材を少なくとも部分的に囲むように配置されている、または
1つ以上の基材は1つ以上の乾燥剤を少なくとも部分的に囲むように配置されている方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、少なくとも1つの乾燥剤を含むエアロゾル供給システム用消耗品に関する。さらに本開示は、エアロゾル供給システムでの乾燥剤の使用および消耗品を含むエアロゾル供給システムの操作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子タバコ(e-シガレット)などの電子エアロゾル供給システムは、一般に液剤の貯蔵部および/またはタバコ系製品などの基材を有するカトマイザーを含み、そこから蒸気またはエアロゾルが例えば熱気化によってユーザーによる吸引のために発せられる。一般にニコチンそして場合によっては風味剤または風味付け剤が貯蔵部の液体および/または基材に含まれる。一部の国々では各地の条例またはその他の理由(例えば、感覚的問題)ではニコチンを基材のみに含有させることを規定している。
【0003】
したがって、エアロゾル供給システムは、通常は前駆体材料の一部を揮発させてエアロゾル発生チェンバー内にエアロゾルを発生させるために配されたエアロゾルまたは蒸気発生部材、例えばヒーターを有するカトマイザーを含む。ユーザーがエアロゾル供給装置またはデバイスで吸入し、電力がヒーターに供給されると、空気が入り口穴を介してデバイスそしてエアロゾル発生チェンバー内に引き込まれ、そこで空気が気化された前駆体材料と混ざる。通常エアロゾル発生チェンバーとデバイスのマウスピースの開口部を繋ぐ流れ経路があり、エアロゾル発生チェンバーを介して引き込まれる流入空気が流れ経路に沿って継続し、エアロゾルの少なくとも一部を空気によって搬送し、ユーザーによる吸入のためにマウスピース開口部から出るようになっている。
【0004】
基材がある場合、一般にエアロゾル発生チェンバーとデバイスのマウスピースの開口部を繋ぐ流れ経路が基材を介して延びている。基材は、前駆体材料の一部および/またはエアロゾル自体を揮発させ、ユーザーによって吸入されるエアロゾル内にニコチンを抽出するために使用されるエアロゾルまたは蒸気発生部材によって加熱することができる。
【0005】
エアロゾル供給システムは、再利用可能および交換可能な部品の両方を含むモジュラー集合体を含んでもよい。通常はエアロゾル供給システムは、エアロゾル前駆体材料および/またはエアロゾル発生部材を含むカートリッジまたはカトマイザーと、充電可能なバッテリー、デバイス制御回路、作動センサおよび/またはユーザーインターフェース機構などの長寿命アイテムを含む再利用可能なデバイス部とを含む。再利用可能な部品は、コントロールユニットまたはバッテリーセクションとも言われ、エアロゾル発生エレメントおよび前駆体材料の両方を含む交換可能なカートリッジはカトマイザーと言われる場合がある。
【0006】
カートリッジまたはカトマイザーは、例えば適当な係合接触部とのねじ山または差し込み口金を使用してコントロールユニットに電気的および機械的に結合される。カートリッジまたはカトマイザー内のエアロゾル前駆体材料が使い切られるまたはユーザーが異なるエアロゾル前駆体材料を有する異なるカートリッジまたはカトマイザーに変えたい場合にカートリッジ/カトマイザーをコントロールユニットから外してその代わりに交換カートリッジ/カトマイザーを装着してもよい。これとは別にコントロールユニットに再度装着する前に取り外したカートリッジ/カトマイザーを再充填してもよい。
【発明の概要】
【0007】
本明細書で説明する一部の実施態様では少なくとも1つの乾燥剤に近接した少なくとも1つの基材を含むエアロゾル供給システム用消耗品が提供される。「消耗品」なる用語は、一部またはすべてがユーザーに消費されることが意図された物品を意味するために本明細書では使用されている。
【0008】
前記少なくとも1つの乾燥剤は吸着剤を含んでもよい。吸着剤は、吸湿剤、芯材またはその混合物であってもよい。吸着剤が吸湿剤またはその混合物の場合、それは無水無機塩、高吸水性樹脂(SAP)、シリカ、またはその混合物からなる群から選択してもよい。さらにそれはシリカ、ポリアクリル酸ナトリウム、無水塩化カルシウム、無水硫酸ナトリウム、無水硫酸カルシウム、無水硫酸マグネシウムおよびそれらの混合物からなる群から選択してもよい。
【0009】
1つ以上の乾燥剤および1つ以上の基材は互いに独立して混合物の形体であってもよい。これとは別に1つ以上の乾燥剤および1つ以上の基材は、同じ粒子形体で含まれてもよく、即ち同じ粉、粒などに含まれてもよい。さらに別例として1つ以上の乾燥剤は、消耗品の面に少なくとも部分的に接触し、1つ以上の基材に隣接するように配置されてもよい。1つの実施態様では1つ以上の乾燥剤は、1つ以上の基材を少なくとも部分的に囲むように配置されてもよい。
【0010】
またエアロゾル供給システム用ポッドも提供され、このポッドは本明細書で規定するような消耗品を含み、消耗品は、エアロゾルを受けるように構成され、前記少なくとも1つの基材は基材を含む。基材は、タバコ基材であってもよい。
【0011】
さらに本明細書で規定するような消耗品または本明細書で規定するようなポッドの上流でエアロゾルを発生するためのカトマイザーが提供される。カトマイザーは、少なくとも1つのエアロゾル前駆体材料およびこの少なくとも1つのエアロゾル前駆体材料からエアロゾルを発生させるための少なくとも1つの部材を含むエアロゾル発生チェンバーを含んでもよく、エアロゾル発生チェンバーと消耗品またはポッドは、カトマイザーがエアロゾル供給システムに含まれ、エアロゾル供給システムの出口へとユーザーによって吸引された際にエアロゾル流れ経路がエアロゾル発生チェンバーから消耗品またはポッドを介して出口へと構築されるように流体連通に配置され、エアロゾル発生チェンバーは、乾燥剤を含まない。
【0012】
また本明細書で規定するような消耗品または本明細書で規定するようなポッドを含むエアロゾル供給システムが提供される。
【0013】
また本明細書で規定するようなカトマイザーを含むエアロゾル供給システムも提供される。
【0014】
またエアロゾル供給システムの基材からの1つ以上の揮発性化合物の送出の均一性を向上させるおよび/または送出量を増加させるための乾燥剤の使用も提供される。この使用は本明細書で規定するような消耗品または本明細書で規定するようなポッドを含むエアロゾル供給システムを伴う。
【0015】
1つ以上の基材からの揮発性化合物の送出の均一性を向上させるおよび/または送出量を増加させるように構成されたエアロゾル供給システムの操作方法が最後に提供される。本発明の方法は、少なくとも1つのエアロゾル前駆体材料からエアロゾルを発生させることと、このエアロゾルを少なくとも1つの乾燥剤に近接した少なくとも1つの基材を含む消耗品を通過させることとを含み、1つ以上の乾燥剤および1つ以上の基材は、互いに独立し、混合物の形体である、または1つ以上の乾燥剤および1つ以上の基材は、同じ粒子形体で含有される、または1つ以上の乾燥剤は1つ以上の基材を少なくとも部分的に囲むように配置される、または1つ以上の基材は1つ以上の乾燥剤を少なくとも部分的に囲むように配置される。
【0016】
これらの実施態様は添付の独立および従属請求項に記載されている。当然のことながら従属請求項の特徴は互いに組み合わせてもよく、請求項に明示的に記載されている特徴以外の組み合わせで、独立請求項の特徴と組み合わせることができる。
【0017】
さらに本明細書で説明する方法は以下に説明するような特定の実施態様に限定されず、ここで提示される特徴の任意の好適な組み合わせを含みかつ考慮する。例えば、消耗品、ポッド、カトマイザーおよび/またはエアロゾル供給システムは必要に応じて以下に説明する種々の特徴の任意の1つ以上を含む本願明細書で説明する手法によって提供されてもよい。
【0018】
添付図面を参照して本発明の実施態様をあくまで例示を目的として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本開示の特定の実施態様によるカトマイザー1の高度に省略された断面図であり、以下でより詳しく説明するように図1は本開示の特定の実施態様による消耗品の混合物として乾燥剤8と基材7を示している。
図2】本開示の特定の実施態様によるカトマイザー1の高度に省略された断面図であり、図2では乾燥剤8と基材7が本開示の特定の実施態様に従って互いに独立して消耗品6内に配置され、乾燥剤は消耗品の内面(壁)に基材はほぼ中央に配置されており、乾燥剤は少なくとも部分的に基材を囲んでいる。
図3】本開示の特定の実施態様によるカトマイザー1の高度に省略された断面図であり、図3では乾燥剤8と基材7が本開示の特定の実施態様に従って互いに独立して配置され、乾燥剤はほぼ中央の柱を形成し、基材は消耗品の内面(壁)の方に配置されている。当業者には当然のことながら図1~3は正確な比率ではない。
図4】下記実施例1で説明されているように実施されるタバコ顆粒からのニコチン送出量へのあらかじめ湿らすことの効果を示すグラフである。
図5】本開示の特定の実施態様による消耗品の写真であり、この消耗品は実施例2で使用されたものであり、基材に近接して乾燥剤を含むことによって基材上のエアロゾルの堆積の量を減少させるという仮説を証明するために使用され、図5の消耗品の乾燥剤はJapanese Organic Cottonであり、消耗品の縁部の周囲に配され、その内壁または内面と接触し、基材を囲んでいる。
図6】実施例2で説明したような乾燥剤として芯材(Japanese Organic Cotton)を使用した場合の効果を示すグラフであり、図6は以下の実施例でより詳しく考察される。
【発明を実施するための形態】
【0020】
特定の実施例および実施態様の態様および特徴は、本願明細書で考察され、説明される。特定の実施例および実施態様の一部の態様および特徴は、従来通り実行してもよく、それらは簡潔にするために詳しく考察も説明もされない。当然のことながら詳しくは説明されないここで述べられる装置および方法の様相および特徴はこのような様相および特徴を実行するための何らかの従来の技術に従って実行してもよい。
【0021】
本明細書で考察するように、本発明は、少なくとも1つの乾燥剤に近接した少なくとも1つの基材を含む消耗品およびそれぞれこの消耗品を含むポッド、カトマイザーおよびエアロゾル供給システムを提供する。本発明に到達する際に本発明者らは、通常はエアロゾル供給システムに組み込まれた1つ以上の基材からの1つ以上の揮発性化合物の送出量は使用時に徐々に減少することを認識した。特にタバコ基材から揮発性物質(例えばニコチン)送出量は長いパフの後、著しく減少することが本発明者によって観察された。以下により詳しく考察するさらなる実験の実行から本発明者は揮発性化合物の送出量はエアロゾルの堆積によって悪影響を受けることを認識した。
【0022】
連続してパフすることによりエアロゾルが発生し、吸入のためにエアロゾル供給システム内を移動する。上記のように典型的にはエアロゾル発生チェンバーと出口、例えばマウスピースの開口部を接続する流れ経路が構築され、エアロゾル発生チェンバーを介して引き込まれる流入空気が流れ経路に沿って継続し、エアロゾルの少なくとも一部を空気によって搬送し、ユーザーによる吸入のためにマウスピース開口部から出るようになっている。しかしながら、エアロゾルがエアロゾル供給システム内の面と接触すると、それはその面に液体を堆積させる。より具体的にはエアロゾル供給システムが基材、例えばタバコまたは非タバコ基材を含み、エアロゾルが基材と接触する場合、エアロゾルの堆積が基材上で起こりえる。
【0023】
いかなる1つの理論にも束縛されることを望まないが本発明者はエアロゾル供給システムが基材を含む場合、基材表面上のエアロゾルの堆積は基材からの1つ以上の揮発性化合物の送出に対するバリアを形成することを確信している。エアロゾル堆積物の存在により1つ以上の揮発性化合物を基材内または基材上を通過するエアロゾルによって捕捉できなくなる。1つ以上の揮発性化合物は、したがってエアロゾル供給システムの使用の間均一ではなくなり、揮発性物質の均一な送出を提供することができるエアロゾル供給システムが当業界では望まれている。
【0024】
エアロゾル堆積物のさらなる問題は、それがエアロゾル供給システムに集まり、過剰に大きな液体堆積物を形成するということである。そのような液滴がユーザーによって流れ経路内に引き込まれマウスピースから出る際にそれはユーザーの知覚経験に大きな影響を与える。その結果、使用時に形成されるエアロゾル堆積物の量が少ないエアロゾル供給システムの要望が当業界にある。
【0025】
本発明は、消耗品内に少なくとも1つの基材に隣接して少なくとも1つの乾燥剤を組み入れることによってこれらの堆積物の問題を解消する有利な手法を提供する。乾燥剤は、堆積するエアロゾルの量を減らすことができ、それによりユーザーの経験および揮発性物質の送出の均一性を向上させることができる。本発明は、したがって消耗品内のエアロゾル堆積物の量を減らし、ユーザーが簡単に実行できる消耗品、ポッド、カトマイザーおよびエアロゾル供給システムを提供する。参照しやすいように本発明のこれらのおよびさらなる特徴を適当な項目見出しでここで考察する。しかしながら、各項目の教示はそれが記載されている項目に限定されない。
【0026】
消耗品
【0027】
上記のように「消耗品」なる用語は、一部またはすべてが使用中にユーザーによって消費されることを意図した物品を意味するために本明細書では使用されている。本開示は、したがって少なくとも1つの乾燥剤に近接した少なくとも1つの基材を含むエアロゾル供給システム用消耗品に関する。「に近接した」なる表現は、1つ以上の基材および1つ以上の乾燥剤が消耗品内で互いに近くに配置されていることを意味する。1つの実施態様では1つ以上の基材および1つ以上の乾燥剤は、互いに隣接している。別の実施態様では1つ以上の基材および1つ以上の乾燥剤は、少なくとも部分的に互いに接触している。
【0028】
「基材」は、エアロゾル化される化合物、即ち揮発性化合物を含む材料である。基材は固体、液体またはゲルであってもよい。1つの実施態様では本開示の基材は、固体またはゲルである。1つの実施態様では基材は固体である。
【0029】
基材は、少なくとも1つの「風味料」、「風味付け剤」または「風味剤」を含んでもよい。「風味料」、「風味付け剤」および「風味剤」なる用語は、各地の条例で許可されている場合、成人消費者用の製品に所望の味、香りまたは他の体性感覚を所持させるために材料に加えられる材料を意味するために相互に置き換えて使用される。ここで「風味料」、「風味付け剤」または「風味剤」と言った場合、単独成分または複数成分からなる風味料の両方を含む。それらは自然発生の香味材料、植物、植物の抽出物、合成によって得られた材料またはそれを組み合わせたものを含む。
【0030】
風味料、風味付け剤または風味剤は、カンゾウ、アジサイ、ホオノキの葉、タバコ、大麻、カモミール、フェヌグリーク、クローブ、メントール、ニホンハッカ、アニシード、シナモン、ハーブ、ヒメコウジ、サクランボ、ベリー、モモ、リンゴ、ドランブイ、バーボン、スコッチ、ウイスキー、スペアミント、ペパーミント、ラベンダー、カルダモン、セロリ、カスカリラ、ナツメグ、サンダルウッド、ベルガモット、ゼラニウム、ハチミツエキス、ローズ油、バニラ、レモン油、オレンジ油、カシア、キャラウェイ、コニャック、ジャスミン、イランイランノキ、セージ、ウイキョウ、ピメント、ショウガ、アニス、コリアンダー、コーヒー、調味料、苦味受容体部位遮断剤、感覚受容器部位活性化剤または刺激剤、糖及び/または糖置換体(例えば、スクラロース、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、サッカリン、サイクラミン酸塩、ラクトース、スクロース、グルコース、フルクトース、ソルビトール、マンニトールなど)や、木炭、クロロフィル、鉱物、植物息消臭剤などのその他の添加剤などの抽出物からなる群から選択される。これら材料は模造品、合成または天然成分であってもよく、またはこれらのブレンドであってもよい。これら材料は、例えば油、液体、粉末などの任意の好適な形体であってもよい。
【0031】
一部の実施態様では風味料はメンソール、スペアミントおよび/またはペパーミントを含む。一部の実施態様では風味料はキュウリ、ブルーベリー、柑橘類および/またはレッドベリーの風味成分を含む。一部の実施態様では風味料はオイゲノールを含む。一部の実施態様では風味料はタバコから抽出された風味成分を含む。一部の実施態様では風味料は大麻から抽出された風味成分を含む。
【0032】
一部の実施態様では風味料は、感覚惹起剤を含んでもよく、これはアロマまたは味覚神経に加えてまたは代わりに通常第5脳神経(三叉神経)の刺激によって化学的に誘発そして認識され、それらは加熱、冷却、ヒリヒリ感、しびれ感を与える薬剤を含んでもよい。好適な熱作用剤は、バニリルエチルエーテルであるが、これに限定されず、好適な冷却剤はオイカリプトール、WS-3であるが、これらに限定されない。
【0033】
基材は他の成分も含んでもよい。そのような他の成分は、それらが典型的にはe-シガレットまたはベイピングデバイス用の基材に含まれるという意味で従来のものであってもよい。1つの実施態様では基材は活性剤をさらに含む。「活性剤」なる用語は、蒸気が吸い込まれる際に対象者に生物学的影響を与えるあらゆる薬剤を意味する。活性剤または活性物質は、生理反応を達成するまたは高めることを意図した材料である生理的に活性な材料である。活性物質は、例えば栄養補助食品、向知性薬、向精神薬から選択されてもよい。活性物質は、例えばニコチン、カフェイン、タウリン、テイン、B6またはB12またはCなどのビタミン、メラトニン、カンナビノイド、またはこれらの成分、派生物または混合物を含んでもよい。活性物質は、タバコ、大麻または他の植物の成分、派生物または抽出物の1つ以上を含んでもよい。
【0034】
その1つ以上の活性剤は、ニコチン、植物およびそれらの混合物から選択してもよい。1つ以上の活性剤は、合成または天然由来のものであってもよい。活性剤は、タバコ族の植物などの植物からの抽出物であってもよい。一例の活性剤はニコチンである。一部の実施態様では活性物質はカフェイン、メラトニンまたはビタミンB12を含む。
【0035】
1つの実施態様では基材はニコチンを含む。ニコチンは、ユーザーによって吸入される際の所望の用量に応じてあらゆる好適な量で供されてもよい。1つの実施態様ではニコチンは、基材の総重量基準で約6重量%以下の量で含まれる。「基材の総重量」なる表現は、ニコチンが含まれる基材の総重量を意味する。
【0036】
1つの実施態様ではニコチンは、基材の総重量基準で約0.4~約6重量%の量で含まれる。1つの実施態様ではニコチンは、基材の総重量基準で約0.8~約6重量%の量で含まれる。1つの実施態様ではニコチンは、基材の総重量基準で約1~約6重量%の量で含まれる。1つの実施態様ではニコチンは、基材の総重量基準で約1.8~約6重量%の量で含まれる。
【0037】
別の実施態様ではニコチンは、基材の総重量基準で約3重量%以下の量で含まれる。1つの実施態様ではニコチンは、基材の総重量基準で約0.4~約3重量%の量で含まれる。1つの実施態様ではニコチンは基材の総重量基準で約0.8~約3重量%の量で含まれる。1つの実施態様ではニコチンは、基材の総重量基準で約1~約3重量%の量で含まれる。1つの実施態様ではニコチンは、基材の総重量基準で約1.8~約3重量%の量で含まれる。
【0038】
1つの実施態様ではニコチンは、基材の総重量基準で約1.9重量%未満の量で含まれる。1つの実施態様ではニコチンは、基材の総重量基準で約1.8重量%未満の量で含まれる。1つの実施態様ではニコチンは、基材の総重量基準で約0.4~約1.9重量%未満の量で含まれる。1つの実施態様ではニコチンは、基材の総重量基準で約0.4~約1.8重量%未満の量で含まれる。1つの実施態様ではニコチンは、基材の総重量基準で約0.5~約1.9重量%未満の量で含まれる。1つの実施態様ではニコチンは、基材の総重量基準で約0.5~約1.8重量%未満の量で含まれる。1つの実施態様ではニコチンは、基材の総重量基準で約0.8~約1.9重量%未満の量で含まれる。1つの実施態様ではニコチンは、基材の総重量基準で約0.8~約1.8重量%未満の量で含まれる。1つの実施態様ではニコチンは、基材の総重量基準で約1~約1.9重量%未満の量で含まれる。1つの実施態様ではニコチンは、基材の総重量基準で約1~約1.9重量%未満の量で含まれる。
【0039】
1つの実施態様では基材は、ニコチンを含まない。
【0040】
本明細書で説明するように活性物質は植物またはその成分、派生物または抽出物を含むまたはそれらから派生したものであってもよい。ここで言う「植物」なる用語は、抽出物、葉、樹皮、繊維、茎、根、種、花、果実、花粉、殻、さやなどの植物から派生したあらゆる材料を含むがこれらに限定されない。これとは別に材料は合成して得られる植物に天然に存在する活性化合物を含んでもよい。材料は液体、気体、固体、粉体、塵、粉砕された粒子、粒、ペレット、小片、ストリップ、シートなどの形体であってもよい。植物の例としてはタバコ、ユーカリ、トウシミキ、オオアサ、ココア、大麻、ウイキョウ、レモングラス、ペパーミント、スペアミント、ルイボス、カミツレ、亜麻、ショウガ、イチョウ、ハシバミ、ハイビスカス、月桂樹、リコリス(甘草)、抹茶、マテ茶、オレンジの皮、パパイヤ、バラ、セージ、緑茶または紅茶などの茶、タイム、チョウジ、シナモン、コーヒー、アニシード(アニス)、バジル、月桂樹の葉、カルダモン、コリアンダー、クミン、ナツメグ、オレガノ、パプリカ、ローズマリー、サフラン、ラベンダー、レモン果皮、ミント、ビャクシン、ニワトコの花、バニラ、ヒメコウジ、シオガマギク、クルクマ、ターメリック、サンダルウッド、シラントロ、ベルガモット、橙花、ギンバイカ、カシス、カノコソウ、ピメント、メース、ダミエン、ハナハッカ、オリーブ、レモンバーム、レモンバジル、チャイブ、ウイキョウ、バーベナ、タラゴン、ゼラニウム、桑、朝鮮人参、テアニン、テアクリン、マカ、アシュワガンダ、ダミアナ、ガラナ、クロロフィル、バオバブまたはこれらのあらゆる組み合わせがある。ミントは、次のミント種から選択されてもよい、ハッカ、モロッコミント、エジプトミント、ペパーミント、オーデコロンミント、キャンディミント、カーリーミント、ケンタッキーカーネルミント、ホースミント、パイナップルミント、ペニーロイヤルミント、イングリッシュスペアミントおよびマルバハッカ。
【0041】
一部の実施態様では活性物質は、植物またはその成分、派生物または抽出物の1つ以上を含むまたはそれらから派生したものであってもよく、植物はタバコである。
【0042】
一部の実施態様では活性物質は、植物またはその成分、派生物または抽出物の1つ以上を含むまたはそれらから派生したものであってもよく、植物はユーカリ、トウシミキ、ココアおよび麻から選択される。
【0043】
一部の実施態様では植物またはその成分、派生物または抽出物の1つ以上を含むまたはそれらから派生したものであってもよく、植物はルイボスおよびウイキョウから選択される。
【0044】
1つの実施態様では基材は1つ以上の酸類を含んでもよい。1つの実施態様では基材は、ニコチンに加えて1つ以上の酸類(活性剤として)を含んでもよい。1つの実施態様では1つ以上の酸類は、1つ以上の有機酸、例えば安息香酸、レブリン酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、クエン酸、乳酸、酢酸、コハク酸およびそれらの混合物からなる群から選択される有機酸であってもよい。ニコチンと組み合わせて基材に含有される場合、1つ以上の酸類は、ニコチンが少なくとも一部がプロトン化(モノプロトン化および/またはジプロトン化などの)形体の製剤を供する。
【0045】
基材に含まれるニコチンは添加されてもよく、基材がタバコ基材の場合は、元々含有されているものであってもよい。1つの実施態様では基材は少なくとも1つのタバコ基材を含む。タバコ基材は、固体、液体またはゲルであってもよい。1つの実施態様ではタバコ基材は、固体である。タバコ自体は限定されず、あらゆる種類またはグレードのタバコであってもよく、あらゆる部分、例えばタバコ属のあらゆる種の葉または茎を含み、その再生材であってもよい。1つの実施態様ではタバコはタバコ種からのものである。
【0046】
タバコ基材は、1種のタバコまたは2つ以上の種類のタバコからのものであってもよい。当業界で知られているように後者をブレンドと称してもよい。使用してもよいタバコ異種の例としてはバージニア、バーレー、オリエンタルおよびルスティカタバコなどがあるが、これらに限定されない。
【0047】
1つの実施態様ではタバコ基材は、pH-処理されたタバコ材であり、タバコのpH処理は当業界で知られている。一般にpH処理はタバコ材のpHを酸性pHからアルカリ性pHに上げる。
【0048】
タバコ基材がpH処理されたタバコ材である場合を含むタバコ基材は、あらゆる好適な形体であってもよい。1つの実施態様ではタバコ基材は、粒、ビーズ、顆粒などの形体である。そのような粒、ビーズまたは顆粒の形および/または大きさは本発明の関連において限定されない。当業者は、好適な大きさおよび形状そしてそのような大きさおよび形状によって達成されることによる方法を認識するはずである。
【0049】
別の実施態様では基材は、非タバコ基材を含む。
【0050】
基材および乾燥剤と一緒に消耗品は、フィルターまたはエアロゾル変性物質またはエアロゾル変性剤などの1つ以上の他の部材を含んでもよい。本発明はこの点に関して限定されない。エアロゾル変性剤は、典型的にはエアロゾル発生領域の下流に位置し、発生したエアロゾルを例えばエアロゾルの味、風味、酸度または別の特徴を変えることによって変性するように構成された物質である。エアロゾル変性剤は、エアロゾル変性剤を選択的に放出するように動作可能なエアロゾル変性剤放出部材内に供してもよい。
【0051】
エアロゾル変性剤は、例えば添加剤または追加の吸着剤であってもよい。エアロゾル変性剤は、例えば風味剤、着色剤、水および炭素吸着剤のうちの1つ以上を含んでもよい。エアロゾル変性剤は、例えば固体、液体またはゲルであってもよい。エアロゾル変性剤は、粉、糸または粒体であってもよい。エアロゾル変性剤はろ過材を含まなくてもよい。
【0052】
「乾燥剤」なる用語は、別の化合物または材料またはその場の環境から液体または水分を除去する化合物または他の材料を意味する。乾燥剤は、通常、そのように除去される液体または水分を保持する。そのような保持は、一時的または永久的であってもよく、乾燥剤は、例えば除去された液体または水分の一時的な貯蔵部として機能してもよく、除去される液体または水分はその後当業界で知られている別の機構、例えば毛管作用によって排水される。これとは別に乾燥剤は、少なくとも乾燥剤が最大飽和状態に到達するまで除去される水分または液体を永久的に保持してもよい。この時点で乾燥剤または消耗品を交換する必要が生じる。
【0053】
1つ以上の乾燥剤は、吸着剤であってもよい。吸着材は、当業界では良く知られており、スポンジ、ポリプロピレン繊維製品、セルロース繊維製品、吸湿剤、芯材などの多孔質材を含む。
【0054】
1つの実施態様では吸着剤は、吸湿剤、芯材またはその混合物である。1つの実施態様では吸着剤は、芯材またはその混合物である。別の実施態様では吸着剤は、吸湿剤またはその混合物である。当業界で知られているように吸湿剤は、その近傍で乾燥状態を誘発するまたは維持する吸湿性物質である。一般によく見受けられる吸湿剤は、活性炭、硫酸カルシウム、塩化カルシウム、高吸水性樹脂およびモレキュラーシーブ(典型的にはゼオライト)などの水を吸収する固体である。当業者は、吸湿剤として分類され得る他の化合物または材料を認識するはずである。それぞれを本開示では乾燥剤として使用してもよい。
【0055】
1つの実施態様では吸湿剤は、無水の無機塩、高吸水性樹脂、シリカ、ゼオライト、活性チャコールまたはそれらの混合物からなる群から選択される。別の実施態様では吸湿剤は、無水の無機塩、高吸水性樹脂、シリカまたはそれらの混合物からなる群から選択される。無水無機塩は、無水塩化カルシウム、無水硫酸ナトリウム、無水硫酸カルシウム、無水硫酸マグネシウムまたはそれ任意の2つ以上の混合物であってもよい。
【0056】
当業界で知られているように高吸水性樹脂は、それ自体の質量に対して極めて多量の液体を吸収、保持することができる。それらは「屑粉」とも言われ、架橋されるとヒドロゲルとして分類される。最も一般的な種類の高吸水性樹脂は、ポリアクリル酸ナトリウムであるが、本開示はポリアクリルアミド共重合体、エチレン-無水マレイン酸共重合体、架橋されたカルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール共重合体、架橋されたポリエチレンオキシドおよびポリアクリロニトリルのデンプングラフト共重合体などの他の従来の高吸水性樹脂の使用も考慮している。好適な高吸水性樹脂は、市販されておりまたはゲル重合、懸濁重合または溶液重合などの当業界で知られている方法に従って調製されてもよい。通常はゲル重合を使用してポリアクリル酸ナトリウムを調製する。
【0057】
1つの実施態様では吸湿剤は、シリカ、ポリアクリル酸ナトリウム、無水塩化カルシウム、無水硫酸ナトリウム、無水硫酸カルシウム、無水硫酸マグネシウムおよびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0058】
「芯材」なる用語は、別の部材または材料から水分または液体を引き込む材料または布材を意味する。1つの実施態様では芯材は、貯蔵部から液体を加熱部材上に引き込むために電子タバコに使用される布材である。好適な芯材または布材は、ガラス繊維および綿などである。1つの実施態様では芯材は、綿、例えば有機綿またはガラス繊維である。当業者は、ウィッキング布材として電子タバコに使用され、したがって本開示に使用するための芯材を供することができる材料を認識しているはずである。例えば、Japanese Organic Cottonを使用することができる。
【0059】
図1、2および3は、一例であるカトマイザーの略式断面斜視図である。各図は、基材7と乾燥剤8を含む本開示の一部の実施態様による消耗品6を含む。図1の例では乾燥剤および基材は、互いに独立しており(即ち、これらは区別可能な材料である)、混合物の形体である。混合物は均質または不均質であってもよい。図2の例では乾燥剤8が少なくとも部分的に消耗品の面と、具体的には消耗品の壁の内面と接触し、基材7に隣接して配置されている。例えば、乾燥剤は、消耗品の縁部または周囲で層を形成してもよく、基材は、消耗品の中央の方に配置されてもよい。この構成により乾燥剤は、効果的に基材を囲む。1つの実施態様では乾燥剤は、消耗品の内壁に少なくとも部分的な層を形成し、基材は消耗品のほぼ中央の方に配置されている。1つの実施態様では乾燥剤は消耗品内の基材を少なくとも部分的に囲むように配置されている。図3に示す例のカトマイザーは、乾燥剤と基材の位置が入れ替わっていることを除いて図2のものと同じである。基材7は、少なくとも部分的に消耗品の面と、具体的には消耗品の壁の内面と接触し、乾燥剤8に隣接して配置されている。基材は、消耗品の縁部または周囲で層を形成してもよく、乾燥剤は消耗品のほぼ中央の方に配置されてもよい。この構成により基材は消耗品中の基材を効果的に囲む。1つの実施態様では基材は、消耗品の内壁に少なくとも部分的に層を形成し、乾燥剤は、消耗品のほぼ中央の方に例えば中央の柱の形体または他の好適な形で配置される。1つの実施態様では基材は、消耗品中の乾燥剤を少なくとも部分的に囲むように配置されている。
【0060】
当業者には当然のことながら本発明は図1、2および3に示す特定の構造に限定されない。これらの図はあくまで例示のためである。1つ以上の乾燥剤および1つ以上の基材は、例えば同じ粒状形状で含まれてもよい。「同じ粒状形状で含まれる」なる表現は、1つ以上の乾燥剤および1つ以上の基材が、出発原料から、例えば粒子、ビーズ、顆粒などの粒径を小さくした形に一緒に処理されることを意味する。そのような粒子、ビーズまたは顆粒は、例えば1つ以上の乾燥剤および1つ以上の基材を一緒に押し出すことによって、または大半が1つ以上の乾燥剤および1つ以上の基材を含む粒子に形成するために1つ以上の乾燥剤および1つ以上の基材をチョップミリング、グラインディングなどの粒径を小さくするあらゆる他の従来法に付して形成してもよい。
【0061】
ポッド
【0062】
また本開示は、本明細書で定義したような消耗品を含むエアロゾル供給システム用のポッドに関し、消耗品はエアロゾルを受けるように構成されている。
【0063】
「ポッド」なる用語は、通常はカトマイザーの下流のエアロゾル供給システムの開口端部内に設置可能なインサートを意味する。1つの実施態様ではポッドは、エアロゾル供給システムの出口内に入れることができるマウスピースであるまたはマウスピースの一部を形成する。ポッドは、基材が上記で定義したような少なくとも1つのタバコ基材を含むという意味でタバコポッドであってもよい。これとは別にポッドは、基材がタバコを含まず、代わりに本明細書で定義するような風味料または風味付け剤を1つ以上含むという意味で風味ポッドであってもよい。
【0064】
カトマイザー
【0065】
また本開示は、本明細書で定義するような消耗品または本明細書で定義するようなポッドの上流でエアロゾルを発生させるためのカトマイザーに関する。当業界で知られているようにカトマイザーをカートリッジと言う場合もある。以下の説明を通して「カートリッジ」なる用語は、したがって「カトマイザー」とほぼ同じ意味で使用される。
【0066】
1つの実施態様ではカトマイザーは、少なくとも1つのエアロゾル前駆体材料および少なくとも1つのエアロゾル前駆体材料からエアロゾルを発生させるための少なくとも1つの部材を含むエアロゾル発生チェンバーを含み、エアロゾル発生チェンバーと消耗品またはポッドは、カトマイザーがエアロゾル供給システムに含まれ、エアロゾル供給システムの出口へとユーザーによって吸引された際にエアロゾル流れ経路がエアロゾル発生チェンバーから消耗品またはポッドを介して出口へと構築されるように流体連通に配置され、エアロゾル発生チェンバーは乾燥剤を含まない。
【0067】
エアロゾルを発生させるための部材は、使用時にエアロゾル前駆体材料がエアロゾルを発生するように熱を放射する加熱素子であってもよい。加熱素子は、例えば燃焼材を含んでもよく、または変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材を含んでもよい。そのような材料の例を以下でさらに考察する。
【0068】
エアロゾル前駆体材料は、例えば加熱、照射または何らかの他の方法で励起された際にエアロゾルを発生することができる材料である。エアロゾル前駆体材料は、例えば活性物質(例えば、ニコチン)および/または風味剤を含むまたは含まない固体、液体またはゲルの形体であってもよい。風味剤は活性物質および可能なニコチン含有量とともに上記で定義されている。エアロゾル前駆体材料は、「エアロゾル発生材」、「蒸気発生材料」、「エアロゾル化可能な材料」および/または「蒸気前駆体材料」なる用語とほぼ同じ意味で使用される。
【0069】
一部の実施態様ではエアロゾル前駆体材料は、「非晶質固体」を含んでもよく、これはこれとは別に「モノリシック固体」(即ち、非繊維性)とも称される。一部の実施態様では非晶質固体は乾燥ゲルであってもよい。非晶質固体は、その内部に液体などの流体を保持する固体材料である。一部の実施態様ではエアロゾル前駆体材料は、例えば約50重量%から、60重量%からまたは70重量%から約90重量%まで、95重量%までまたは100重量%の非晶質固体を含んでもよい。
【0070】
エアロゾル前駆体材料は、1つ以上の活性物質および/または風味料、1つ以上のエアロゾルまたは蒸気発生剤および必要であれば1つ以上の他の機能材を含んでもよい。1つ以上の機能材は、pHレギュレーター、着色剤、保存料、バインダー、充填材、安定剤および/または酸化防止剤のうちの1つ以上を含んでもよい。
【0071】
一部の実施態様ではエアロゾル前駆体材料は、蒸気またはエアロゾル発生剤または湿潤剤を含んでもよい。そのような発生剤の例としてはグリセリン、グリセリロール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、エリトリトール、メソ-エリトリトール、バニリン酸エチル、エチルラウレート、ジエチル基材、クエン酸トリエチル、トリアセチン、ジアセチン混合物、ベンジルベンゾエート、フェニル酢酸ベンジル、トリブチリン、酢酸ラウリル、ラウリン酸、ミリスチン酸、プロピレンカーボネートおよびこれらの混合物などである。一部の実施態様ではエアロゾル発生剤は、グリセリン、グリセリロール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、エリトリトール、メソ-エリトリトール、バニリン酸エチル、エチルラウレート、ジエチル基材、クエン酸トリエチル、トリアセチン、ジアセチン混合物、ベンジルベンゾエート、フェニル酢酸ベンジル、トリブチリン、酢酸ラウリル、ラウリン酸、ミリスチン酸およびプロピレンカーボネートのうちの1つ以上を含んでもよい。
【0072】
エアロゾル前駆体材料は、支持体上または支持体内に含まれてもよい。支持体は、例えば紙、ボール紙、板紙、厚紙、再生材、プラスチック材、セラミック材、複合材料、ガラス、金属または金属合金であってもあるいは含んでもよい。一部の実施態様では支持体はサセプタを含む。一部の実施態様ではサセプタは、上記材料に埋め込まれている。一部の別の実施態様ではサセプタは材料の一方または両側にある。サセプタは、交番磁界などの変動磁場の侵入によって加熱可能な材料である。サセプタは、導電性材料であってもよく、変動磁場の侵入によって加熱材の誘導加熱を生じさせるようにしてもよい。加熱材は、導電性材料であってもよく、変動磁場の侵入によって加熱材の磁気ヒステリシス加熱を生じさせるようにしてもよい。サセプタは、導電性および磁力の両方によるものであってもよく、これにより加熱材は両方の加熱機構で加熱可能になる。変動磁場を発生させるように構成されている装置を本明細書では磁場発生器と称する。
【0073】
図1、2および3は、本開示の一部の実施態様によるカトマイザーの一例の略式断面斜視図である。これらの図に示すカトマイザーは、プラスチック材で形成してもよいハウジングを含む。ハウジングは、カトマイザーの他の部品を支持し、必要に応じてカトマイザーをエアロゾル供給システムのコントロールユニットに接続するための機械的接合部(図示せず)も供する。カトマイザーがコントロールユニットに接続する方法は、本願明細書で説明する発明には重要ではない。例えばそれはねじ込み式固定または当業者には知られているあらゆる他の取り付けまたは接続手段を含んでもよい。カトマイザーハウジングの形は、限定されず、当業界で知られているあらゆる形状であってもよい。
【0074】
カトマイザーは、少なくとも1つの前駆体材料2およびこの少なくとも1つのエアロゾル前駆体材料からエアロゾルを発生させるための少なくとも1つの部材4、5を含むエアロゾル発生チェンバー3を含む。エアロゾル発生チェンバーは、乾燥剤を含まない。図1~3ではエアロゾル前駆体材料2は、エアロゾル発生チェンバーの内部容積の大半を含む貯蔵部または他の空洞に含まれる。本発明には重要ではないが、貯蔵部または他の空洞は、一般にエアロゾル発生チェンバーの内部に一致する。
【0075】
一部の例では貯蔵部の少なくとも外壁はエアロゾル発生チェンバーと一体に成型されてもよい。他の例では、貯蔵部はエアロゾル発生チェンバーと別個に形成されているが、エアロゾル発生チェンバーによって所定の位置に支持される部材であってもよい。いくつかの例では貯蔵部はテーパーした円形の断面を有するが、1つの側に沿って長手方向に延びた平坦な面を有して貯蔵部の外壁とエアロゾル発生チェンバーの内壁の間に空間を形成し、カトマイザー内で発生したエアロゾルが使用時にカトマイザーの端部の開口部または出口の方へ引き込まれる際に通過する流れ経路を画定するようにしてもよい。他の例では、貯蔵部は、外面がエアロゾル発生チェンバーによって画定され、内面が流れウェブ経路を画定する環状であってもい。当然のことながらカトマイザー内の流れ経路に並んで液体貯蔵部の設けることができる多くの構造がある。貯蔵部は、例えば成型されたプラスチック材を含む従来の技術に従って形成されてもよい。
【0076】
図1、2および3のカトマイザーの例では少なくとも1つのエアロゾル前駆体材料2からエアロゾルを発生させる部品は、芯4とヒーター5である。しかしながら、従来の他の部品を使用してもよい。芯とヒーターは、エアロゾル発生チェンバー内の空間に配置されている。この例では芯は、その両端が貯蔵部の内壁の開口部を介してエアロゾル前駆体材料の受け部内に延びた状態でチェンバー3を横断して延びている。貯蔵部の内壁の開口部は、大まかに芯の寸法に合致し、芯を過度に圧縮することなく、その粒体移送性能に有害となる液体貯蔵部からカートリッジ空気経路内の漏れに対して合理的に封止する。エアロゾル前駆体材料、例えば液体は、表面張力または毛管作用により芯4に浸透する。
【0077】
他の例では貯蔵部は、多孔質セラミックディスク(図示せず)を含み、貯蔵部内のエアロゾル前駆体材料、例えば液体がこのセラミックディスクから染み出るようにしてもよい。このセラミックディスクに隣接して芯があり、この中に液体が浸透する。
【0078】
図1、2および3のヒーター5は、芯4にらせん状に巻かれた電気抵抗性ワイヤーを含み、電力がヒーター5に供給され、芯4によってヒーター5の近傍に引き込まれた所定の量のエアロゾル前駆体材料を気化するようにしてもよい。ヒーター5は、ニッケルクローム合金(Cr20Ni80)ワイヤーを含んでもよく、芯4は、ガラス繊維束を含んでもよいが、当然のことながらそれらの具体的な構造は、本願明細書の発明には重要ではない。エアロゾル前駆体材料が気化される速度は、ヒーター5に供給される電力の量に依存する。したがって、エアロゾルの発生速度は、例えばパルス幅または周波数変調技術などによってヒーター5に供給される電力を調節することによって制御される。
【0079】
図1図2および図3ではカトマイザーは、エアロゾル前駆体材料2からエアロゾルを発生させるための単独の芯4とヒーター5を含んでいる。一部の実施態様ではカトマイザーは、例えば2つ以上のエアロゾル前駆体材料が含まれる場合、エアロゾルを発生させるための2つ以上の部品を含み、カトマイザーは各前駆体材料用のエアロゾル発生部品、例えば気化器を含んでもよい。他の実施態様ではカトマイザーは、図1、2および3に示すようにエアロゾルを発生させるための単独の部品を含む。
【0080】
上述のようにまた図1~3のカトマイザーは、本開示の特定の実施態様による消耗品6を含む。図には示していないが、カトマイザーは、代わりにまたは追加で本開示の特定の実施態様によるポッドを含んでもよい。
【0081】
図から分かるようにエアロゾル発生チェンバーと消耗品(またはポッド)はカトマイザー内に流体連通して配置されてもよい。「流体連通」なる用語は、エアロゾル発生チェンバーと消耗品(またはポッド)がエアロゾル前駆体材料から発生したエアロゾルの流れ経路に配置され、エアロゾルがエアロゾル発生チェンバーから消耗品またはポッド(直接的または間接的に)を介してユーザーによる吸入のための出口へ流れるようになっているということである。言い換えればカトマイザーがエアロゾル供給システムに含まれ、システムの出口にユーザーによって吸い込みが行われた際に発生するエアロゾルはエアロゾル発生チェンバーから消耗品またはポッドを介してユーザーへと流れる。
【0082】
このようにしてカトマイザーによって発生させたエアロゾルは、消耗品またはポッドからの揮発性物質、例えばニコチンおよび/または1つ以上の風味付け剤と混ざることができ、ユーザーに特定の風味を供給する。消耗品またはポッド内の1つ以上の乾燥剤は、有利に揮発性物質の送出の均一性および/または量を向上させ、および/またはユーザーによって吸入されるエアロゾル凝縮物の量を減少させる。
【0083】
エアロゾル発生チェンバーと消耗品は、図1~3に示したようにそれらが重なるように配置されてもよく、あるいはそれらがカトマイザー内で別の空間的な関係を有してもよく、これはそれらがエアロゾル前駆体材料から発生したエアロゾルの流れ経路に配置されることを意味する。流れ経路の例が図1~3の矢印で示されている。しかしながら、当業者は、エアロゾル発生チェンバーおよび消耗品またはポッドを流体連通させる他の好適な構成も認識しているはずである。
【0084】
図1~3は、エアロゾル発生チェンバーと消耗品と共に示されているが、本開示のカトマイザーはこの構成に限定されない。カトマイザーは、例えば乾燥剤と少なくとも1つの基材を有する1つ以上の別のチェンバーを含んでもよい。1つの実施態様ではカトマイザーは、エアロゾル発生チェンバーと消耗品と流体連通する別のチェンバーを含み、エアロゾル流れ経路がエアロゾル供給システムの出口(例えばマウスピース)に到達する前にその別のチェンバーを通るようにしてもよく、その別のチェンバーは少なくとも1つの基材を含む。1つの実施態様では別のチェンバーは、さら少なくとも1つの乾燥剤を含む。別のチェンバー内の基材と任意の乾燥剤は、消耗品の基材および乾燥剤と同じであってもよく、本願明細書で規定したものであってもよい。
【0085】
エアロゾル供給システム
【0086】
また本開示は、本明細書中で説明したような消耗品または本明細書中で説明したようなポッドを含むエアロゾル供給システムに関する。また本明細書中で説明したようなカトマイザーを含むエアロゾル供給システムが提供される。
【0087】
当業界では共通して「蒸気」および「エアロゾル」および「気化する」、「揮発させる」および「エアロゾル化する」などの関連する用語は相互に置き換えて使用してもよい。したがって、エアロゾル供給システム/デバイスは、「蒸気供給システム/デバイス」、「エアロゾル送出デバイス/システム」、「電子蒸気供給デバイス/システム」、「電子エアロゾル供給デバイス/システム」または「e-シガレット/電子タバコ」と本明細書では見なされる。これらの用語は、1つ以上のエアロゾル化可能な材料からこれらエアロゾル化可能な材料を燃やさずに化合物を放出する加熱装置などの非燃焼系エアロゾル供給システム/デバイスと同義で使用してもよく、それを指すことを意図されている。
【0088】
非燃焼系エアロゾル供給システムは加熱または振動などの他の技法によってエアロゾル前駆体材料からエアロゾルを発生させる電子タバコまたはe-タバコおよびエアロゾル前駆体材料および固体基材の組み合わせを介してエアロゾルを供給するハイブリッド装置を含み、例えばハイブリッド装置は液体またはゲル状前駆体材料と固体基材を含む。
【0089】
一部の実施態様ではエアロゾル供給システムは、電動非燃焼系エアロゾル供給システムなどの非燃焼系エアロゾル供給システムである。
【0090】
1つの実施態様ではエアロゾル供給システムは、電子非燃焼系エアロゾル供給システムである。1つの実施態様では電子非燃焼系エアロゾル供給システムは、ベイピングデバイスまたは電子ニコチン供給システム(END)としても知られている電子タバコであるが、エアロゾル発生材内のニコチンの存在は必須ではない。
【0091】
一部の実施態様では非燃焼系エアロゾル供給システムは、エアロゾル発生材加熱システムであり、非燃焼加熱システムとしても知られている。このようなシステムの一例は、タバコ加熱システムである。
【0092】
1つの実施態様では非燃焼系エアロゾル供給システムは、エアロゾル化可能な材料またはエアロゾル発生材の組み合わせを使用し、そのうちの1つまたは複数が加熱されるエアロゾルを供するためのハイブリッドシステムである。エアロゾル発生材のそれぞれは、例えば、固体、液体またはゲルの形体であってもよく、ニコチンを含んでも含まなくてもよい。一部の実施態様ではハイブリッドシステムは、液体またはゲル状エアロゾル発生材および固体エアロゾル発生材を含む。固体エアロゾル発生材は、例えばタバコまたは非タバコ製品を含んでもよい。
【0093】
一部の実施態様では非燃焼系エアロゾル供給システムは、動力源と、コントローラまたはコントロールユニットを含んでもよい。動力源は、例えば電源または発熱動力源であってもよい。一部の実施態様では発熱動力源は、炭素基材を含み、これは動力を熱の形体で発熱動力源に近接したエアロゾル発生材または熱伝導材に分配するように励起される。
【0094】
エアロゾル供給システムは、本開示のカトマイザーと、一般に以下に説明するコントロールユニットとを含む。これとは別にエアロゾル供給システムは、本開示によるものではないカトマイザー(例えば、当業界で知られているカトマイザー)と、本開示によるポッドまたは消耗品と、一般に以下に説明するコントロールユニットとを含む。さらにこれとは別にエアロゾル供給システムは、本開示によるカトマイザーと、本開示によるポッドまたは消耗品と、一般に以下に説明するコントロールユニットとを含む。本開示のポッドまたは消耗品を含む場合、電子タバコはマウスピースにポッドを含んでもよい。
【0095】
エアロゾル供給システムのコントロールユニットは、一般に外方ハウジング、電力源(例えば、バッテリー)、エアロゾル供給システムの操作を制御し、監視するための制御回路、ユーザー入力ボタンおよび選択的にマウスピース(取り外し自在な)を含む。バッテリーは、充電可能であってもよく、従来の型、例えば電子タバコおよび比較的短い時間に亘って比較的高い電流の供給を必要とする他の用途に通常使用される種のものであってもよい。同様にユーザー入力ボタン(または他のエアロゾルの発生機能)および制御回路は、従来のものであってもよい。外方ハウジングは、例えばプラスチックまたは金属材料から形成してもよい。他の好適な材料は当業界で知られている。当然のことながらエアロゾル供給システムは、一般にその機能性の操作に関連する種々の他の部材を含むことになる。例えば、USBポートなどのバッテリーを充電するためのポートおよび他の部材は、従来のものであってもよい。
【0096】
ユーザーが本開示のエアロゾル供給システムで吸い込み/吸入すると、空気は外気からシステム内に引き込まれ、少なくともこの空気の一部はカトマイザーに入る。通常は入り込む空気は、エアロゾル発生部品(例えば、ヒーター)を通過して流れ、ヒーターは、コントロールユニット内のバッテリーから受け取りながらエアロゾル前駆体材料からエアロゾルを発生させる。エアロゾル化された材料は、次に空気流に組み込まれる/同伴され、本開示の消耗品またはポッドを介してカトマイザー内を通ってユーザーによる吸入のために出る。図1、2および3は、本願明細書で説明したカトマイザーの特定の実施態様のための空気流の一般的な方向を示す矢印を含んでいる。空気流は、エアロゾル発生チェンバーから消耗品の方へ流れ、そこで乾燥剤および基材と接触する。
【0097】
エアロゾルは、デバイス、システムまたは製品の性質によって種々の方法で製せられる、または放出される。それらは蒸発させるための加熱、化合物を放出するための加熱および小滴を生じさせるための液体またはゲルの振動を含む。
【0098】
通常の使用時、制御回路は、エアロゾル供給システムの種々の作動態様を監視するように構成してもよい。例えば、制御回路は、充電可能なバッテリーに残っている電力の量を監視するように構成してもよく、これは従来からある技術によって行ってもよい。さらに制御回路は、カトマイザー内のエアロゾル前駆体材料または消耗品内の基材の残りの量を新しいカトマイザーまたは消耗品が設置されてからの使用の累積時間に基づいてまたはカトマイザーまたは消耗品内の量の感知に基づいて見積もるように構成してもよい。これはあらゆる従来の1つ以上の技術に従って行ってもよい。それは例えばあらゆる従来の1つ以上の技術に従ってエアロゾル供給システムでのパフの回数の感知に基づいて行ってもよい。
【0099】
それが例えばカトマイザーおよび/または消耗品および/またはポッドの枯渇が近くなったまたはバッテリーレベルが予め決められた閾値(予め定義されたまたはユーザー設定された)以下になったなどの特定の作動状態が起こったといったエアロゾル供給システムの作動態様の監視を通して決定される場合、エアロゾル供給システムは、あらゆる従来の1つ以上の技術に従ってユーザーに知らせるように構成されてもよい。コントロールユニットを参照して説明しているが、他のユーザー通知も当業界で知られており、本開示のエアロゾル供給システムにおいて実行可能である。さらに当然のことながらユーザー通知が必要になる多くの他の状況があり、本開示は液体または基材または残りのバッテリー電力が少なくなったことを知らせることに限定されない。
【0100】
揮発性物質の送出
【0101】
本開示は、エアロゾル供給システム内の基材からの揮発性化合物の送出の均一性を向上させるおよび/または送出量を増加させるための乾燥剤の使用に関する。1つの実施態様ではエアロゾル供給システムは、本明細書で説明した消耗品または本明細書で説明したポッドを含む。「揮発性化合物」なる用語は本明細書では「揮発性物質」と同義に使用され、周囲温度で蒸発するあらゆる化合物、例えば周囲温度で気体状態に移行する化合物を意味する。「周囲温度」なる用語は、20~25℃、例えば約20℃を意味する。当業者は周囲温度で揮発する化合物を認識しているはずであり、それらは、例えば本明細書で定義したような風味剤および/または本明細書で定義したような活性物資の形体であってもよい。1つの実施態様では揮発性化合物はニコチンであるが、本発明はニコチンに限定されない。
【0102】
さらに本開示は、基材からの揮発性化合物の送出の均一性を向上させるおよび/または送出量を増加させるように構成されたエアロゾル供給システムの操作方法に関し、この方法は、少なくとも1つのエアロゾル前駆体材料からエアロゾルを発生させることと、このエアロゾルを少なくとも1つの乾燥剤に近接した少なくとも1つの基材を含む消耗品を通過させることとを含み、1つ以上の乾燥剤および1つ以上の基材は、互いに独立し、混合物の形体である、または1つ以上の乾燥剤および1つ以上の基材は、同じ粒子形体で含有される、または1つ以上の乾燥剤は1つ以上の基材を少なくとも部分的に囲むように配置される、または1つ以上の基材は1つ以上の乾燥剤を少なくとも部分的に囲むように配置される
【0103】
乾燥剤、基材およびエアロゾル前駆体材料は、本願明細書で説明したようなものである。
【0104】
「揮発性化合物の送出」または「揮発性物質の送出」なる表現は、エアロゾル供給システムのパフ毎のユーザーによる吸入に利用可能な揮発性化合物を意味する。「揮発性物質の送出の均一性を向上させること」または「揮発性化合物の送出の均一性を向上させること」という表現は、したがってエアロゾル供給システムのすべての可能なパフ、例えば目標の100パフに対してパフ毎に同じ量の化合物を得ることを意味する。「揮発性化合物の送出量を増加させる」という表現は、エアロゾル供給システムのユーザーによる吸引のために利用可能な揮発性化合物の合計量を増加させることを意味する。
【0105】
同様に「ニコチン送出」なる用語は、エアロゾル供給システムのパフ毎のユーザーによる吸入に利用可能なニコチンを意味する。「ニコチン送出の均一性を向上させること」なる表現は、したがってエアロゾル供給システムのすべての可能なパフ、例えば目標の100パフに対してパフ毎に同じ量のニコチンを得ることを意味する。「ニコチン送出量を増加させる」なる表現は、エアロゾル供給システムのユーザーによる吸引のために利用可能なニコチンの合計量を増加させることを意味する。
【0106】
あらゆる増加およびしたがって向上は、本開示による乾燥剤を含まないエアロゾル供給システムに対してである。
【0107】
実施例
【0108】
ここで次の非限定的な実施例を参照して本開示を説明する。
【0109】
実施例1
【0110】
pH-処理されたタバコ顆粒上のエアロゾル堆積物は、タバコからニコチンの放出を妨げる液体バリアを形成すると推定されている。この推定を試験するために実験を考案し、顆粒上に堆積したエアロゾルの積層をシミュレーションした。
【0111】
それぞれポッド内に380mg±0.002gのタバコ基材からなる12のサンプルを調製した。これらのサンプルを3つの同じグループに分けた。
(i) e-リキッドが加えられていない対照サンプル(0パフ相当)、
(ii) 100mg±0.005gのe-リキッドで予め湿らされたグループ(~20パフ相当)および
(iii) 300mg±0.005gのe-リキッドで予め湿らされたグループ(~60パフ相当)
【0112】
予め湿らしたグループ(ii)および(iii)を次のように処理した。ポッドを分析天秤上に置き、次の組成の風味付けされていないe-リキッドをポッドの上部にピペットで入れた。グリセリン17.1%(w/w)、プロピレングリコール70.9%(w/w)、水12.0%(w/w)、ニコチン0.0%(w/w)。ポッドをe-リキッドが顆粒の周囲にほぼ均一なコーティングを形成するように2分間放置した。次にサンプルを44mmケンブリッジフィルターパッド上で55mlパフ容量、3秒間のパフ期間、30秒間のパフ間隔の線型喫煙シミュレーションエンジンおよび20パフを一ブロックにまとめて合計で80パフに対してスクエアパフプロファイル(square puff profile)を使用してパフした。
【0113】
喫煙シミュレータでのパフの前と80回のパフの後で 消耗品の圧力降下を測定した(mmWG)。喫煙シミュレータでのパフの前と各ブロックの終わりにケンブリッジフィルターパッドの質量の増加を記録し、新しいパッドに交換した。パッドを好適な内部標準を含むプロパン-2-オルを使用して抽出した。一定分量の抽出物をニコチン濃度を測定するためにGC-FIDを使用して分析した。
【0114】
抽出されたニコチンの濃度を使用してパフ基準の濃度を算出し、そのデータを表示するグラフを作成した。このグラフは図4である。
【0115】
図4から明らかなように経時的なニコチン送出量とパフする前にタバコに加えられる液体の量の間に関連性がある。特にパフ前にタバコに加えられる量が多いほど、全体的なニコチン発生量は少なくなる。実施例1および図4は、したがって基材(例えばタバコ)上のエアロゾルの堆積は、揮発性物質 (例えば、ニコチン)の送出を阻害するという発見を支持している。
【0116】
実施例2
【0117】
基材に近接した乾燥剤を含有させることで基材上のエアロゾル堆積物の量を減少させるということを証明するために次の実験を行った。特に 実施例2は、エアロゾル堆積物が乾燥剤内に取り込むことで減少し、これにより液体バリアの形成が妨げられ、基材から1つ以上の揮発性物質の発生量を増加させ、その発生の均一性を向上させていることを証明している。
【0118】
3つのサンプルグループを作製した
(i) 0.250g±0.002gのタバコ基材と図5に示すように形成された壁内の0.045g±0.001gの芯材、
(ii) 0.250g±0.002gのタバコ基材とそのタバコ基材内に層状に配置された0.045g±0.001gの芯材および
(iii) 0.250g±0.002gのタバコ基材と0gの芯材。
【0119】
タバコ基材は、当業界で知られている方法に従って調製されたpH-処理されたタバコ顆粒からなり、その方法は、WO2019/016535に記載されている。芯材は、OEKE-TEX, Appendix 4によるStandard 100に準拠するJapanese Organic Cottonであった。サンプルグループ(i)は図5に示すように消耗品の内壁の周囲に配置された芯材を使用した。サンプルグループ(ii)は、タバコ基材(図示せず)の中に層状に配置された芯材を使用した。サンプルグループ(iii)は芯材を使用せず、対照であった。
【0120】
次の組成の風味付けされていないe-リキッド(エアロゾル前駆体材料)を有するカトマイザーを調製した。グリセリン17.1%(w/w)、プロピレングリコール70.9%(w/w)、水12.0%(w/w)およびニコチン0.0%(w/w)。
【0121】
グループ(i)から(iii)の4つのレプリカサンプルをバッテリーと電力制御シスを含むエアロゾル供給システムのカトマイザーと使用し、CORESTA Recommended Method No. 81(2015年6月)に従って分析した。サンプルを44mmケンブリッジフィルターパッド上で50mlパフ容量、3秒間のパフ期間、30秒間のパフ間隔の線型喫煙シミュレーションエンジンおよび20パフを一ブロックにまとめて合計で80パフに対してスクエアパフプロファイルを使用してパフした。
【0122】
各パフブロックの始めと終わりにデバイスの吸い込み力を測定し(mmWG)、ケンブリッジフィルターパッドの重量(mg)を記録した。パッドを0.002%内部標準、0.005%エタノールおよび99.99%プロパン-2-オルの組成の20mlの抽出溶液を加えて抽出した。内部標準は、25.0g±0.1gのn-ヘプタデカンおよび約180.5mlのプロパン-2-オルの組成であった。抽出溶液を加えた後、パッドを20分間、160rpmで振動させた。抽出した後、2mlのアリコートを小瓶に入れ、GC-FIDを使用して分析し、ニコチン濃度を測定した。ニコチン濃度をさらにケンブリッジフィルターパッドに集められたエアロゾルの量によって正規化した。結果を図6に示す。
【0123】
図6から明らかなように乾燥剤を加えることでニコチン送出量およびニコチン送出の均一性が著しく増え、向上した。注目すべきはこれらの結果は、Japanese Organic Cottonを含むサンプルは、綿を含まない対照と比較して後の方のパフで高いニコチン発生量を示したことによってニコチン送出の点で利点を示した。
【0124】
本明細書に記載の種々の実施態様は、特許請求された特徴の理解と教示の単なる補助に提供されている。これらの実施態様は単なる代表的な具体例であり、包括的でも排他的でもない。当然だが、本開示の利点、実施形態、具体例、機能、特徴、構造、および/または他の側面は本開示を特許請求の範囲に規定されたとおりに限定するあるいは特許請求の範囲の均等物に限定すると考えるべきではなく、本開示の範囲および/または思想から乖離することなく他の実施形態を利用しても改変してもよいと考えるべきである。種々の実施形態は、開示された構成要素、成分、特徴、部品、工程、手段他の組合せを適切に備えても、これらで構成されても、基本的にこれらで構成されてもよい。また本開示は、現在は特許請求されていないが将来特許請求される可能性がある他の発明を含む。
図1
図2
図3
図4
図5
図6