(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-06
(45)【発行日】2023-10-17
(54)【発明の名称】商用車のステアリングナックル、商用車の車軸アセンブリおよび車両車軸
(51)【国際特許分類】
B62D 7/18 20060101AFI20231010BHJP
【FI】
B62D7/18 A
(21)【出願番号】P 2021569538
(86)(22)【出願日】2020-05-19
(86)【国際出願番号】 EP2020063901
(87)【国際公開番号】W WO2020239523
(87)【国際公開日】2020-12-03
【審査請求日】2021-12-22
(31)【優先権主張番号】102019113942.2
(32)【優先日】2019-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】597007363
【氏名又は名称】クノル-ブレムゼ ジステーメ フューア ヌッツファールツォイゲ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Knorr-Bremse Systeme fuer Nutzfahrzeuge GmbH
【住所又は居所原語表記】Moosacher Strasse 80, D-80809 Muenchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マルクス グルーバー
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン ケムラー
(72)【発明者】
【氏名】マティアス クリングナー
(72)【発明者】
【氏名】ヤコブ ラッハーマイヤー
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルフガング パーレ
(72)【発明者】
【氏名】エドガー ルール
(72)【発明者】
【氏名】ロベルト トリンペ
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー ヴェアト
【審査官】田邉 学
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-177902(JP,U)
【文献】特開平08-268315(JP,A)
【文献】特表平08-509536(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0180726(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102014224683(DE,A1)
【文献】特表2018-508419(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0262875(US,A1)
【文献】特開2004-286161(JP,A)
【文献】特開昭62-053285(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用車のステアリングナックル(2)であって、
基体(21)と、
車両車軸(3)を回動自在に取り付けるための1つのステアリングナックル支持部(22)と、
車両ホイールのリムに向かって開放しているポット形状の収容部(23)であって、内部に転がり軸受(6)および車軸ジャーナル(5)が収容可能である、収容部(23)と
を備える、ステアリングナックル(2)において、
前記基体(21)は、駆動軸(4)に連結されたジョイント(8)を
当該ジョイント(8)の外周に沿って収容するための、前記ポット形状の収容部(23)に開口している開口(25)を有し、
前記開口(25)は、前記基体(21)の一面に形成された凹部として構成されている、
ことを特徴とする、ステアリングナックル(2)。
【請求項2】
前記ジョイント(8)を収容するための前記開口(25)は、前記基体(21)の領域で前記ステアリングナックル支持部(22)の2つの支持部孔の間に形成されていることを特徴とする、請求項1記載のステアリングナックル(2)。
【請求項3】
前記ジョイント(8)を収容するための前記開口(25)は、前記駆動軸(4)に向かう方向で見て、ジョイント(8)を収容するための、半径方向に拡大したジョイント収容部(26)として形成されていることを特徴とする、請求項1または2記載のステアリングナックル(2)。
【請求項4】
前記基体(21)に少なくとも1つのアーム連結部(27,28)が一体成形されていることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載のステアリングナックル(2)。
【請求項5】
商用車の車軸アセンブリであって、
基体(21)と、ステアリングナックル支持部(22)と、ホイールキャリア(73)に向かって開放しているポット形状の収容部(23)とを有するステアリングナックル(2)と、
ブレーキディスク(7)と、
前記ポット形状の収容部(23)内で転がり軸受(6)を介してホイール回転軸線(D)を中心として回転可能に支持された軸ジャーナル(5)と、
前記ステアリングナックル支持部(22)に旋回可能に支持された車両車軸(3)と
を備え、
前記ホイールキャリア(73)および前記ブレーキディスク(7)は、前記軸ジャーナル(5)に相対回動不能に連結されている、
車軸アセンブリにおいて、
駆動軸(4)のヘッド(42)が、ジョイント(8)を介して、前記ステアリングナックル(2)の前記基体(21)の、前記ポット形状の収容部(23)に開口している開口(25)を貫いて前記軸ジャーナル(5)に連結可能であり、
前記開口(25)は、前記基体(21)の一面に形成された凹部として構成されて
おり、
前記開口(25)は、前記ジョイント(8)を当該ジョイント(8)の外周に沿って収容するために設けられている、
ことを特徴とする、車軸アセンブリ。
【請求項6】
前記駆動軸(4)に連結された前記ジョイント(8)は、等速ジョイントとして形成されていることを特徴とする、請求項5記載の車軸アセンブリ。
【請求項7】
前記駆動軸(4)に連結された前記ジョイント(8)は、カルダンジョイントとして形成されていることを特徴とする、請求項5記載の車軸アセンブリ。
【請求項8】
前記軸ジャーナル(5)のヘッド(53)が、前記駆動軸(4)のヘッド(42)または前記ジョイント(8)のヘッド(42)に形状接続的に結合されていることを特徴とする、請求項5から7までのいずれか1項記載の車軸アセンブリ。
【請求項9】
前記軸ジャーナル(5)のヘッド(53)が、歯列を備えており、該歯列は、前記駆動軸(4)のヘッド(42)の歯列(85)または前記ジョイント(8)の歯列(85)に係合していることを特徴とする、請求項5から7までのいずれか1項記載の車軸アセンブリ。
【請求項10】
前記ジョイント(8)のアウタシェル(81)が、少なくとも部分的にジョイント収容部(26)内に収容されていることを特徴とする、請求項5から8までのいずれか1項記載の車軸アセンブリ。
【請求項11】
前記車両車軸(3)は、
車軸長手方向体(31)と、
ステアリングナックル(2)のステアリングナックル支持部(22)に連結するためのキングピン(15)を収容するための孔(33)を有する車軸ヘッド(32)と
を備え、
前記車軸長手方向体(31)の起立面(37)から前記車軸ヘッド(32)の近傍で、前記ステアリングナックル支持部(22)に連結するための別のキングピン(15)を収容するための別の孔(35)を備えたステー(34)が延在しており、
前記ステー(34)は、駆動軸(4)を収容するための貫通孔(36)を有する
ことを特徴とする、請求項5から10までのいずれか1項記載の車軸アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部に記載した、商用車のステアリングナックルに関する。
【0002】
本発明はさらに、請求項5の前提部に記載した、商用車の車軸アセンブリと、請求項10の前提部に記載した、商用車の車両車軸とに関する。
【0003】
商用車では、載荷に基づく負荷と、走行運転に基づく動的な負荷と、ブレーキ作動時に発生する負荷とが、一般的に極めて大きい。したがって、商用車の車軸は、一般的に鍛造構造または溶接構造として構成されている。
【0004】
車体において十分なスペースを利用することができる場合には、例えば、大きなばね撓み行程を有する軍用車両では、車軸は、中空軸として形成されてもよいし、鋳造構造として形成されてもよい。このような場合、車両の、車軸に配置されたホイールの駆動軸は、好ましくは車軸中心に収容されるので、車軸に対して半径方向で極めて大きなスペースが必要になる。
【0005】
代替的に、車軸の端部で伝動装置ハウジング内に収容される伝動装置が使用され、このような構成は、極めて大きな直径を伴い、軸方向でも比較的大きな構造空間を必要とする。このような解決策は、特にバスにおいて使用される。
【0006】
駆動軸を収容するために、ジョイントを備えた車軸では、車両ホイールが50°に至るまでの旋回角だけ旋回可能でなくてはならないということを注意しなくてはならず、これによって、駆動軸もこのような運動のために設計されていなくてはならないということが生じる。
【0007】
乗用車では、このことは、サスペンションの構造が車両フレームに固定されている(いわゆる独立懸架)ことによって解決される。駆動軸の回転は、このような場合には、例えばカルダンジョイントによってホイールに伝えることができる。
【0008】
本発明の課題は、駆動される車両ホイールを懸架するためにも、駆動されない車両ホイールを懸架するためにも使用可能である、商用車のステアリングナックルを提供することである。
【0009】
別の課題は、駆動される車両ホイールのためにも、駆動されない車両ホイールのためにも使用可能である、商用車の車軸アセンブリを提供することである。
【0010】
さらに別の課題は、駆動される車両ホイールへの使用のためにも、駆動されない車両ホイールへの使用のためにも使用可能である、商用車の車両車軸を提供することである。
【0011】
第1の課題は、請求項1の特徴を有する、商用車のステアリングナックルによって解決される。
【0012】
第2の課題は、請求項5の特徴を有する、商用車の車軸アセンブリによって解決される。
【0013】
第3の課題は、請求項11の特徴を有する、商用車の車両車軸によって解決される。
【0014】
本発明に係るステアリングナックルは、基体と、車両車軸を回動自在に取り付けるためのステアリングナックル支持部とを有している。
【0015】
ステアリングナックルは、さらに、車両ホイールのホイールリムに向かって開放しているポット形状のハブ状の収容部であって、内部に転がり軸受および軸ジャーナルが収容可能である、収容部を有している。
【0016】
ステアリングナックルの基体は、駆動軸を収容するための、ハブ状の収容部に開口している開口を有している。
【0017】
このように構成されているステアリングナックルの利点は、車軸ジャーナルを、基体の開口を通して直接または間接的に駆動軸に結合することができることである。
【0018】
ステアリングナックルが、駆動されない車両ホイールを備えた車軸に使用される場合には、この開口は必要とあればカバーによって閉鎖することができる。
【0019】
本発明に係る、商用車の車軸アセンブリは、基体と、ステアリングナックル支持部と、ホイールキャリアに向かって開放しているポット形状のハブ状の収容部とを有するステアリングナックルと、ブレーキディスクと、ポット形状の収容部内で転がり軸受を介してホイール回転軸線を中心として回転可能に支持された軸ジャーナルとを有している。
【0020】
ステアリングナックル支持部には、車両車軸が旋回可能に支持されている。ホイールキャリアおよびブレーキディスクは、軸ジャーナルに相対回動不能に連結されている。
【0021】
車軸アセンブリは、さらに駆動軸を有していてよい。
【0022】
このような駆動軸のヘッドは、直接またはジョイントを介して、ステアリングナックルの基体の、ハブ状の収容部に開口している開口を貫いて軸ジャーナルに連結可能である。
【0023】
商用車のこのような車軸アセンブリは、この車軸アセンブリが、駆動されるホイール車軸のためにも、駆動されないホイール車軸のためにも使用可能であるという利点がある。
【0024】
本発明に係る、商用車の車両車軸は、車軸長手方向体と、ステアリングナックルのステアリングナックル支持部に連結するためのキングピンを収容するための孔を有する車軸ヘッドとを備えている。
【0025】
車軸長手方向体の起立面から車軸ヘッドの近傍で、ステアリングナックル支持部に連結するための別のキングピンを収容するための別の孔を備えたステーが延在している。
【0026】
ステーは、駆動軸を収容するための貫通孔を有している。
【0027】
このような車軸には、この車軸が、駆動されるホイール車軸のためにも、駆動されないホイール車軸のためにも使用可能であるという利点がある。
【0028】
ステアリングナックル、車軸アセンブリおよび車両車軸の利点としては、さらに、商用車において特に前車軸で一般的であるスタンダード鍛造車軸を使用することができるということがある。
【0029】
車軸を駆動したい場合には、駆動軸を、ステアリングナックルの基体に設けられた開口と、車軸のステーに設けられた貫通孔とを貫通させることによって、駆動されない車軸と同じステアリングナックルを使用することができる。
【0030】
中空軸の使用または伝動装置ハウジングによる連結に関連する、純粋に軸方向の配置形式における駆動結合形態とは異なり、本発明に係るステアリングナックル、本発明に係る車軸アセンブリおよび本発明に係る車両車軸によって、駆動軸を、ジョイントを介して軸ジャーナルに連結することが可能である。
【0031】
本発明の有利な実施バリエーションは、従属請求項の対象である。
【0032】
本発明に係るステアリングナックルの有利な実施バリエーションによれば、駆動軸を収容するための開口は、基体の領域でステアリングナックル支持部の2つの支持部孔の間に形成されており、このようにして、ステアリングナックルへの駆動軸の、スペースを節減する取付けを可能にする。
【0033】
駆動軸を収容するための開口は、ポット形状の収容部から離反する方向で見て、ジョイントを収容するための、半径方向に拡大したジョイント収容部として形成されており、このようにして、ステアリングナックルにおけるジョイントの簡単でかつスペースを節減するガイドを可能にする。
【0034】
別の好適な実施バリエーションによれば、ステアリングナックルの基体に少なくとも1つのアーム連結部が一体成形されており、このようにして、例えばタイロッドまたはステアリングコラムのようなステアリングの連結を簡単に可能にする。
【0035】
本発明に係る車軸アセンブリの有利な実施バリエーションによれば、駆動軸に連結されたジョイントは、等速ジョイントとして形成されている。
【0036】
代替的な実施バリエーションによれば、このジョイントは、カルダンジョイントとして形成されている。
【0037】
両ジョイント形態は、車両ホイールに回動不能に結合された軸ジャーナルへの駆動軸の回転運動の伝達を簡単に可能にする。
【0038】
好適な実施バリエーションによれば、軸ジャーナルのヘッドが、駆動軸のヘッドまたはジョイントのヘッドに形状接続的に結合されており、これによって、軸ジャーナルと駆動軸またはジョイントとの間の相対回動不能な結合部を形成する。
【0039】
ジョイントから軸ジャーナルへの回転運動の簡単かつ確実な伝達のために、別の好適な実施バリエーションによれば、軸ジャーナルのヘッドが、歯列を備えており、この歯列は、駆動軸のヘッドの歯列またはジョイントの歯列に係合している。
【0040】
別の有利な実施バリエーションによれば、等速ジョイントのアウタシェルが、少なくとも部分的にジョイント収容部内に収容されている。
【0041】
次に本発明の実施例について、添付の図面を参照しながら詳説する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】商用車の車軸アセンブリとこの車軸アセンブリに取り付けられたディスクブレーキとを示す斜視図である。
【
図2】
図1に示した車軸アセンブリを、ディスクブレーキの図示を省いて示す斜視図である。
【
図3】
図2に示した車軸アセンブリを、挿入された駆動軸と共に、断面して概略的に示す斜視図である。
【
図4】
図2に示した車軸アセンブリを、駆動軸なしに、しかしながら駆動される軸ジャーナルと共に、断面して示す斜視図である。
【
図5】駆動されない車軸アセンブリにおける使用のための端面側の歯列のない、代替的に形成された軸ジャーナルを備えた、
図4に相当する図である。
【
図6】ステアリングナックルをホイール側から見て示す斜視図である。
【
図7】
図6に示したステアリングナックルを、
図6のVII-VIIで示した切断平面に沿って断面して示す断面図である。
【0043】
以下の図面の説明において、上、下、左、右、前、後ろなどのような概念は、もっぱらステアリングナックル、ステアリングナックル支持部、転がり軸受、軸ジャーナル、駆動軸、およびこれに類したものの、それぞれの図において選択された例としての図示および位置に関係する。これらの概念は、限定的に理解すべきものではなく、すなわち、種々異なる作業位置または鏡面対称の設計、またはこれに類したことによって、これらの関係は変化することがある。
【0044】
図1には、商用車の車軸アセンブリが示してあり、この車軸アセンブリには、ステアリングナックル2と、ステアリングナックル2に取り付けられ、ブレーキキャリパ9、ブレーキパッド10およびブレーキディスク7を備えているディスクブレーキとが設けられている。
【0045】
ブレーキキャリパ9、ブレーキディスク7およびブレーキパッド10の構造は、従来技術に基づいて公知であるので、これらについての詳しい記載はここでは省く。
【0046】
ブレーキディスク7は、
図4に示した実施バリエーションでは、ブレーキパッド10が押付け可能である2つの制動面を備えたブレーキリング71と、ブレーキリングから車両ホイール(図示せず)に向かって円筒状に延在しているポット72と、ポット72から半径方向外側に向かって拡大しているホイールキャリア73とを有しており、このホイールキャリア73には車両ホイールが、ホイールねじ14によって固定可能である。
【0047】
ホイールキャリアを別体の部材として形成して、ねじを介してブレーキディスク7の、ポット72に続くフランジに固定することも考えられる。
【0048】
ホイールキャリア73の領域には、軸ジャーナル5を固定するための別のねじを収容するための、半径方向でさらに内側の別の収容孔が設けられている。
【0049】
軸ジャーナル5は、
図4に例として示すように、円筒状のジャーナルコア51と、車両ホイールもしくはホイールキャリア73に向かって延在している半径方向に拡大されたフランジ52であって、ブレーキディスク7のホイールキャリア73との相対回動不能な結合のための収容孔を備えたフランジ52と、歯列、特に
図4に示した外歯列54を備えた、ホイールキャリア73とは反対側のヘッドとを有している。
【0050】
駆動されない車軸への使用のために、
図5に示すように、軸ジャーナル5を歯列なしに形成することも考えられる。
【0051】
軸ジャーナル5は、ジャーナルコア51の外側面に摩擦接続的に固定された軸受内輪62と、軸受外輪61と、両軸受輪62,61の間に配置された転動体63とを備えた転がり軸受6を介して、車両ホイールのリムもしくはブレーキディスク7のホイールキャリア73に向かって開放しているポット形状のハブ状の収容部23内に収容されており、軸受外輪61は、収容部23の内面に摩擦接続的に接触している。
【0052】
軸ジャーナル5の軸方向固定は、軸ジャーナル5のヘッド53の近傍でジャーナルコア51に係合する溝付ナット16によって行われる。
【0053】
図3および
図4にさらに示すように、ステアリングナックル2は、基体21と、車両車軸3を回動自在に取り付けるためのステアリングナックル支持部22とを有している。
【0054】
車両車軸3は、キングピン15を介して、ステアリングナックル支持部22の、キングピン15のために設けられた孔に取り付けられており、キングピン15は、車両車軸3の車軸ヘッド32の相応の孔33,35をも貫通している。
【0055】
キングピン15は、ガイドブシュを介してステアリングナックル支持部22の孔内に保持されている。
【0056】
ステアリングナックル2の基体21は、さらに、駆動軸4または駆動軸4に連結されたジョイント8を収容するための、ハブ状の収容部23に開口している開口25を有している。後者の実施バリエーションは、
図1~
図4に示されている。
【0057】
開口25は、基体21の領域でステアリングナックル支持部22の2つの支持部孔の間に形成されている。
【0058】
駆動軸4がジョイント8を介して軸ジャーナル5に連結されている同図の実施例では、開口25は、ポット形状の収容部23から離反する方向で見て、ジョイント8を収容するための、半径方向で拡大するジョイント収容部26を有している。
【0059】
ジョイント8は、好ましくは、例として
図3に示すように等速ジョイントとして形成されている。
【0060】
このジョイント8は、ジョイント収容部26内に部分的に収容されたアウタシェル81を有しており、このアウタシェル81は、開口25に向けられたその端面で、円筒状に内歯列85を備えて形成されており、この内歯列85は、軸ジャーナル5のヘッド53に設けられた外歯列54に係合していて、これによって、ジョイント8と軸ジャーナル5との間の相対回動不能な結合部を形成している。
【0061】
軸ジャーナル5のヘッド53とジョイント8もしくは駆動軸4のヘッド42との他の形状接続的な結合形態も考えられる。
【0062】
特に、商用車の前車軸への使用の場合に可能にすべき車両ホイールの操舵運動を可能にするために、等速ジョイントはインナシェル82を有しており、このインナシェル82は、転動体83を介してアウタシェル81に回動自在に連結されている。
【0063】
インナシェル82内には、例えば駆動軸4が収容されている軸収容部84が、クランプ結合部またはプレス結合部の形態で固定されている。
【0064】
ジョイント8の領域を環境影響に対して防護するために、ジョイント8のアウタシェル81には好ましくはベローズ13が固定されており、このベローズ13の他方の端部は、駆動軸4のロッド41に固定されている。
【0065】
図3および
図4に示した等速ジョイントの代わりに、ジョイント8として、同様に2つの軸の間の角度運動可能な連結を可能にするカルダンジョイントを使用することも考えられる。
【0066】
図8には、冒頭に述べた形式の車両車軸3の好適な実施バリエーションが示してある。
【0067】
車両車軸3は、車軸長手方向体31と、キングピン15を収容するための孔33を備えた車軸ヘッド32とを有しており、この車軸ヘッド32は、ステアリングナックル2のステアリングナックル支持部22への連結のために働く。
【0068】
車軸ヘッド32の近傍で車軸長手方向体31の起立面37からは、本実施バリエーションでは曲げられたステー34が延在しており、このステー34の端部には、ステアリングナックル支持部22に連結するための別のキングピン15を収容するための別の孔35が一体成形されている。
【0069】
ステー34は、駆動軸4を収容するために働く貫通孔36を有している。貫通孔36は、キングピン15に対して平行に延在している長孔として成形されていて、これにより、駆動軸4の、貫通孔36の内部で駆動軸4の長手方向軸線に対して垂直な運動を可能にする。
【0070】
図1および
図2にさらに示すように、ステアリングナックル2の基体21には、少なくとも1つのアーム連結部27,28が一体成形されている。
【0071】
アーム連結部のうちの1つのアーム連結部は、ステアリングアーム27として形成されている。第2のアーム連結部28は、ステアリングナックル支持部22の側方で車両車軸3に対してほぼ平行にプレート状に延在している。
【0072】
図2および
図6にさらに示すように、ステアリングナックル2には、同図の好適な実施バリエーションでは、ブレーキパッド10のうちの1つのブレーキパッドを収容するために働くパッド収容部29が一体成形されている。
【0073】
ハブ状の収容部23の半径方向外側で、基体21からホイールキャリア73の方向にブレーキディスク被せ部24が延在しており、このブレーキディスク被せ部24は、ホイール側のブレーキパッド10を収容するために働くブレーキキャリア部分を連結するための端面側の取付け部を備えている。
【0074】
駆動軸4を駆動するための駆動モータとして、駆動軸4が別個に案内されていることに基づいて、付加駆動装置としての電気モータも考えられ、このような電気モータは、車体12の領域に取り付けられていてよい。
【0075】
まとめると、このような車軸アセンブリ、このようなステアリングナックル2、およびこのような車軸3によって、これらの車軸アセンブリ、ステアリングナックル2、および車軸3を、駆動される車軸にも、駆動されない車軸にも使用することができる。
【符号の説明】
【0076】
2 ステアリングナックル
21 基体
22 ステアリングナックル支持部
23 収容部
24 ブレーキディスク被せ部
25 開口
26 段部
27 ステアリングアーム
28 アーム連結部
29 パッド収容部
3 車軸
31 車軸長手方向体
32 車軸ヘッド
33 孔
34 ステー
35 孔
36 貫通孔
37 起立面
4 駆動軸
41 ロッド
42 ヘッド
43 歯列
5 軸ジャーナル
51 ジャーナルコア
52 フランジ
53 ヘッド
54 外歯列
6 転がり軸受
61 軸受外輪
62 軸受内輪
63 転動体
7 ブレーキディスク
71 ブレーキリング
72 ポット
73 ホイールキャリア
8 ジョイント
81 アウタシェル
82 インナシェル
83 転動体
84 軸収容部
85 歯列
9 ブレーキキャリパ
10 ブレーキパッド
11 ステアリング
12 車体
13 ベローズ
14 ホイールねじ
15 キングピン
16 溝付ナット
D ホイール回転軸線