(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-06
(45)【発行日】2023-10-17
(54)【発明の名称】自動食器洗浄洗剤組成物
(51)【国際特許分類】
C11D 3/08 20060101AFI20231010BHJP
C11D 3/36 20060101ALI20231010BHJP
C11D 3/395 20060101ALI20231010BHJP
C11D 3/33 20060101ALI20231010BHJP
C11D 3/20 20060101ALI20231010BHJP
C11D 7/18 20060101ALI20231010BHJP
C11D 1/66 20060101ALI20231010BHJP
C11D 3/37 20060101ALI20231010BHJP
C11D 17/04 20060101ALI20231010BHJP
C11D 7/12 20060101ALI20231010BHJP
A47L 15/44 20060101ALI20231010BHJP
【FI】
C11D3/08
C11D3/36
C11D3/395
C11D3/33
C11D3/20
C11D7/18
C11D1/66
C11D3/37
C11D17/04
C11D7/12
A47L15/44
(21)【出願番号】P 2021576438
(86)(22)【出願日】2020-07-02
(86)【国際出願番号】 US2020070226
(87)【国際公開番号】W WO2021016633
(87)【国際公開日】2021-01-28
【審査請求日】2021-12-22
(32)【優先日】2019-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100209495
【氏名又は名称】佐藤 さおり
(72)【発明者】
【氏名】アクソイ・アバチ、ニルグン・エシン
(72)【発明者】
【氏名】デルプランケ、パトリック・フィルミン・アウグスト
(72)【発明者】
【氏名】ルキク、ネヴェナ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルストレッテン、ウィリアム・マリオ・ローラン
【審査官】本多 仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-206835(JP,A)
【文献】特開2018-021177(JP,A)
【文献】特表2018-507291(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 3/00ー3/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動食器洗浄用洗浄組成物であって、
a)可溶性ビルダー及び結晶質シリケートを含む混合ビルダー系であって、
前記可溶性ビルダーが、錯化剤、ホスホネート及び分散剤ポリマーを含み、前記組成物中の各々の前記可溶性ビルダーのレベルが、
a1)前記組成物の
20重量%~40重量%の錯化剤、
a2)前記組成物の2重量%~7重量%のホスホネート、及び
a3)前記組成物の1重量%~7重量%の分散剤ポリマーであり、
前記可溶性ビルダー及び前記結晶質シリケートが、8:1~15:1の重量比である、混合ビルダー系と、
b)漂白剤、漂白触媒、及び漂白活性化剤を含む漂白剤系と、
c)組成物の0重量%~20重量%のカーボネートとを含む、自動食器洗浄用洗浄組成物。
【請求項2】
前記錯化剤が、メチルグリシン-N,N-二酢酸(MGDA)、クエン酸、グルタミン酸-N,N-二酢酸(GLDA)、これらの塩、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
a1)前記組成物の20重量%~40重量%の錯化剤と、
a2)前記組成物の2重量%~6重量%のホスホネートと、
a3)前記組成物の2重量%~6重量%の分散剤ポリマーとを含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記錯化剤がMGDAを含み、前記漂白剤系が、過炭酸塩、マンガン触媒、及びTAEDを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記シリケートが、式NaMSi
x O
2x+1.y H
2O(式中、Mはナトリウム又は水素を表し、xは1.9~4の数であり、yは0~20の数である。)の結晶質層状構造を有するシリケートを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記シリケートが、式Na
2Si
2O
5を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記分散剤ポリマーが、スルホネートモノマーを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物であって、
a1)前記組成物の20重量%~40重量%のMGDAと、
a2)前記組成物の2重量%~6重量%のHEDPと、
a3)前記組成物の2重量%~6重量%のスルホネートモノマーを含む分散剤ポリマーと、
a4)前記組成物の2重量%~6重量%の式Na
2Si
2O
5を有する結晶質シリケートと、
b1)前記組成物の8重量%~30重量%の過炭酸ナトリウムと、
b2)前記組成物の0.001重量%~1重量%の漂白触媒と、
b3)前記組成物の0.5重量%~5重量%のTAED組成物とを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
非イオン性界面活性剤を更に含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
アミラーゼ、プロテアーゼ、及びこれらの混合物からなる群から選択される酵素を更に含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
カチオン性ポリマーを更に含み、前記カチオン性ポリマーが、
i.60重量%~99重量%の、式Iの少なくとも1つのモノエチレン性不飽和ポリアルキレンオキシドモノマー(モノマー(A))のカチオン性ポリマー:
【化1】
(式中、変数は以下の意味を有する:
Yが-O-である場合、Xは、-CH2-又は-CO-であり、
Yが-NH-である場合、Xは、-CO-であり、
Yは、-O-又は-NH-であり、
R1は、水素又はメチルであり、
R2は、同じか又は異なるC2~C6-アルキレン基であり、
R3は、H又はC1~C4アルキルであり、
nは、3~10
0の整数である。)、と、
ii.1~40重量%の、少なくとも1つの式IIa~IIdのモノマー(モノマー(B))からなる群から選択される少なくとも1つの四級化窒素含有モノマーのカチオン性ポリマー
【化2】
(式中、変数は以下の意味を有する:
Rは、C1~C4アルキル又はベンジルであり、
R’は、水素又はメチルであり、
Yは、-O-又は-NH-であり、
Aは、C1~C6アルキレンであり、
X-は、ハロゲン化物、C1~C4-アルキルサルフェート、C1~C4-アルキルスルホネート及びC1~C4-アルキルカーボネートである。)、と、
iii.0~15重量%の、少なくとも1つのアニオン性モノエチレン性不飽和モノマー(モノマー(C))のカチオン性ポリマーと、
iv.0~30重量%の、少なくとも1つの他の非イオン性モノエチレン性不飽和モノマー(モノマー(D))のカチオン性ポリマーと、
からの共重合形態を含み、
前記カチオン性ポリマーが、2,000~500,00
0の重量平均分子量(Mw)を有する、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
水溶性包装材料及び請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物を含む、水溶性自動食器洗浄用洗浄パウチ。
【請求項13】
前記組成物の少なくとも一部が、ルースパウダーの形態である、請求項12に記載のパウチ。
【請求項14】
前記パウチの重量が、15~20グラムである、請求項12又は13に記載のパウチ。
【請求項15】
食器洗浄機において食器から茶渋を除去する方法であって、
i)前記茶渋のついた食器を提供する工程と、
ii
)250ppm~450ppmの重炭酸塩及び請求項1~11のいずれか一項に記載の洗浄組成物を含む洗浄液、又は請求項12~14のいずれか一項に記載のパウチによって前記食器を処理する工程と、
iii)任意に前記食器をすすぐ工程と、を含む、方法。
【請求項16】
250ppm~450ppmの重炭酸塩を含む洗浄液を使用して自動食器洗浄における茶洗浄除去を提供するための、請求項1~11のいずれか一項に記載の洗浄組成物、又は請求項12~14のいずれか一項に記載のパウチの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動食器洗浄の分野に属する。本発明は特に、効果的な洗浄、光沢、及びケアを提供することができる組成物に関する。本組成物は、高レベルの重炭酸塩を有する硬水で使用した場合でも、茶渋を良好に除去する。本発明はまた、茶渋を除去するための、組成物を使用する方法及び組成物の使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
自動食器洗浄は、品物に清潔さと光沢を残し、すなわち汚れ残留物、膜張り、及び斑点形成なしとすることが期待されている。茶渋は、自動食器洗浄において食器から除去するのに最も困難な汚れの1つであると思われる。
【0003】
国際公開第2015/124384A1号は、比較的少量の非リン酸塩ビルダー、アルカリ過炭酸塩、マンガン漂白触媒、相対的な低量及び1つ以上のポリカルボキシレートポリマーを含む、単位用量形式のゼロリン酸機械食器洗浄組成物を提供する。ビルダーは、メチルグリシン-N,N-二酢酸及び/又はその1つ以上の塩、クエン酸及び/又はその1つ以上の塩、並びにグルタミン酸-N,N-二酢酸及び/又はその1つ以上の塩の1つ以上を含む。ポリカルボキシレートポリマーは、1000~100,000の重量平均分子量を有し、ポリマーは、少なくとも20モル%のアクリレートモノマー及び0~40モル%のマレエートモノマーを含む。組成物は、使用時に茶渋除去の改善をもたらすと言われている。
【0004】
国際公開第2015/0700976A1号は、a)10~90重量%の1つ以上のビルダーであって、ビルダーの総量に対して少なくとも10重量%が式(1)Na2SixO2x+1-yH2O(式中、xは1.9~4の数であり、yは0~20の数である。)の結晶質フィロナトリウムシリケートからなる、1つ以上のビルダーと、b)0.0025~2.0000%の1つ以上の漂白触媒と、c)0.1~20重量%の1つ以上の酸素含有漂白剤と、d)0~10重量%の1つ以上の漂白活性化剤と、e)1~85重量%の1つ以上のpH調整剤と、f)0~10重量%の1つ以上の界面活性物質と、g)0~5重量%の1つ以上の酵素を含む、組成物を提供し、成分a)~g)に記載の量は、組成物の総量に対するものである。この組成物は、食器洗浄機で使用する組成物として優れた適応性を有する。
【0005】
過去に多くの試みがなされてきたが、茶渋を除去して、同時に自動食器洗浄において良好な清浄性及び光沢を提供するという、満足されていない要求が依然として存在する。茶渋除去は、自動食器洗浄プロセスで使用される水の性質に大きく依存することが見出されている。茶渋除去は特に、水中の高レベルの硬度及び重炭酸塩の存在に関連していると思われる。
【0006】
最近、パウチなどの単位用量製品は、自動食器洗浄で広く使用されている。単位用量製品は、食器洗浄機ディスペンサから送達されるため、ディスペンサに適合するような体積を有する必要がある。これにより、1回の洗浄で使用できる化学物質の量が制限される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】国際公開第2015/124384A1号
【文献】国際公開第2015/0700976A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的の1つは、様々な水硬度にわたって良好な茶渋除去を提供し、同時に他の汚れ及び光沢の良好な洗浄を提供する、自動食器洗浄組成物を提供することである。好ましくは、組成物は、単位用量形態で提供されるのに好適であるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様によれば、自動食器洗浄組成物が提供される。組成物は、効果的な洗浄、特に茶渋除去を提供し、同時に洗浄された品物に光沢を残し、品物にケアを提供する。組成物は、単位用量形態での供給に好適である。
【0010】
自動食器洗浄洗剤組成物は、混合ビルダー系を含む。混合ビルダー系は、可溶性ビルダー及び結晶質シリケートを含む。可溶性ビルダー及び結晶質シリケートは、8:1~15:1の重量比である。可溶性ビルダー対結晶質シリケートの重量比は、良好な洗浄を得るために及び良好な光沢を有するために重要であることが見出されている。この範囲外の可溶性ビルダー対結晶質シリケート比を有する組成物は、洗浄後の品物の膜形成に悪影響を有すると思われる。
【0011】
ビルダー系は、複数のビルダーを必要とすることも見出されている。異なるビルダーは、異なるビルディング機構を有すると思われる。ビルダーの種類がより少ないビルダー系では、より高レベルの系が使用されても、同じ洗浄及び光沢性能が得られないように思われる。混合ビルダー系は、可溶性ビルダー及び結晶質シリケートを含む。可溶性ビルダーは、錯化剤、ホスホネート及び分散剤ポリマーを含む。
【0012】
組成物は、漂白剤系も含む。漂白剤系は、漂白剤、漂白触媒、及び漂白活性化剤を含む。
【0013】
組成物は、低レベルの、好ましくは組成物の20重量%未満、より好ましくは15重量%未満のカーボネートも含む。
【0014】
ある重量比の可溶性ビルダー及び結晶質シリケート、漂白剤系、及び低レベルのカーボネートを有する混合ビルダー系の特定の組み合わせは、とりわけ茶渋除去において優れた洗浄特性を有する組成物を生じる。本組成物は、良好な光沢も提供する。良好な光沢は、組成物が単位用量形態であっても達成される。組成物は、高レベルの重炭酸塩を有する水でも、広範囲の水硬度にわたって十分に機能する。
【0015】
本発明の自動食器洗浄洗剤組成物は、以下のものを含む:
a)混合ビルダー系。混合ビルダー系は、可溶性ビルダー及び結晶質シリケートビルダーを含む。可溶性ビルダーは、錯化剤、ホスホネート及び分散剤ポリマーを含む。組成物中の各々の可溶性ビルダーのレベルは:
a1)組成物の15重量%~40重量%の錯化剤と、
a2)組成物の2重量%~7重量%のホスホネートと
a3)組成物の1重量%~7重量%の分散剤ポリマーであり、
可溶性ビルダー及び結晶質シリケートビルダーが、8:1~15:1の重量比である、混合ビルダー系と、
b)漂白剤、漂白触媒、及び漂白活性化剤を含む漂白剤系と
c)組成物の0重量%~20重量%のカーボネート。
【0016】
本発明の第2の態様によれば、水溶性包装材料及び本発明の組成物を含む、水溶性自動食器洗浄用洗浄パウチが提供される。
【0017】
本発明の第3の態様によれば、本発明の組成物を使用する自動食器洗浄方法が、提供される。この方法は、広範囲の水硬度条件下での茶洗浄、光沢、及びケアを含む非常に良好な洗浄を提供する。
【0018】
本発明の第4の態様によれば、高レベルの重炭酸塩を含む水硬水を使用して、自動食器洗浄において茶洗浄を提供するための、本発明の組成物の使用が提供される。
【0019】
本発明の第1の態様に関連して説明される本発明の組成物の各要素は、変更すべきところは変更して、発明の他の態様にも適用される。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、混合ビルダー系、漂白剤系、及び低レベルのカーボネートを含む自動食器洗浄洗剤組成物を想定する。混合ビルダー系は、良好な洗浄、特に良好な茶洗浄を提供するために重要である。
【0021】
混合ビルダー系は、複数のビルダー:高レベルの非リン酸塩ビルダー、好ましくはMGDA、より好ましくはメチルグリシン-N,N-二酢酸の三ナトリウム塩、高レベルの1-ヒドロキシエタン1,1-ジホスホン酸(HEDP)、分散剤ポリマー、及び結晶質シリケートを含む。
【0022】
漂白剤系は、漂白剤、漂白触媒及び漂白活性化剤を含む。
【0023】
本明細書の組成物は、好ましくは、リン酸塩を含まない。本明細書において「リン酸塩を含まない」とは、組成物が、組成物の1重量%未満、好ましくは0.1重量%未満のリン酸塩を含むものとして理解される。
【0024】
洗剤組成物
本発明の洗剤組成物は、任意の形態で提供することができる。好ましくは、組成物又はその一部は、ルースパウダーの形態であり、より好ましくは、組成物は単位用量形態で提供される。本発明の組成物は、多区画型パックの形態、より具体的には、異なる物理的形態の組成物を有する区画、例えばルースパウダー形態の組成物を含む区画と液体形態の組成物を含む別の区画とを含む多区画型パックでの提供に非常によく適している。組成物は、好ましくは、ポリビニルアルコールなどの水溶性フィルムに封入される。組成物は、混合ビルダー系及び漂白剤系、低レベルのカーボネート、並びに任意の非イオン性界面活性剤、酵素、並びにガラス及び/又は金属ケア剤を含む。好ましくは、組成物は、MGDAの三ナトリウム塩、HEDP、分散剤ポリマー、好ましくは2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸モノマーを含む分散剤ポリマー、結晶質ナトリウムシリケート、炭酸ナトリウム、漂白剤、好ましくは過炭酸ナトリウム、漂白活性化剤、好ましくはTAED、漂白触媒、好ましくはマンガン漂白触媒、及び任意に、しかし好ましくは、プロテアーゼ及びアミラーゼ酵素並びに非イオン性界面活性剤を含む。組成物は、好ましくは、クエン酸塩を含まない。組成物は、斑点形成を防止する利益を提供する、カチオン性ポリマーを更に含むことができる。
【0025】
20℃で、1重量/体積%の水溶液中で測定した場合に、本発明の組成物は、好ましくは約9~約12のpHを、より好ましくは約10から約11.5未満のpHを、特に好ましくは、約10.5~約11.5のpHを有する。
【0026】
本発明の組成物は、好ましくは、20℃において100mLの製品を含むNaOH中で測定した場合に、pH9.5で、約10~約20、より好ましくは約12~約18の予備アルカリ度を有する。
【0027】
混合ビルダー系
錯化剤
錯化剤は、硬質イオン、特にカルシウム及び/又はマグネシウムを隔離することができる物質である。本発明の組成物は、高レベルの錯化剤を含むが、レベルは高すぎるべきではなく、さもなければ酵素、特にプロテアーゼが悪影響を受けるおそれがある。錯化剤の濃度が高すぎると、ガラスケアにも悪影響を及ぼすおそれがある。
【0028】
本発明の組成物は、組成物の15重量%~40重量%、好ましくは20重量%~40重量%、より好ましくは20重量%~35重量%の、メチルグリシン-N,N-二酢酸(MGDA)、クエン酸、グルタミン酸-N,N-二酢酸(GLDA)、その塩及びこれらの混合物からなる群から選択される錯化剤を含む。本明細書での使用にとりわけ好ましい錯化剤は、MGDAの塩、特にMGDAの三ナトリウム塩である。好ましくは、本発明の組成物は、組成物の15重量%~40重量%のMGDAの三ナトリウム塩を含む。
【0029】
結晶質ナトリウムシリケート
本発明の組成物は、組成物の2重量%~8重量%、好ましくは3重量%~6重量%の結晶質ナトリウムシリケートを含む。結晶質ナトリウムシリケートは、好ましくは層状シリケートであり、好ましくは、組成NaMSixO2x+1.y H2Oを有し、式中、Mはナトリウム又は水素を表し、xは1.9~4であり、yは0~20である。
【0030】
本発明に従って使用される結晶質ナトリウムシリケートは、走査型電子顕微鏡写真で層状であることが判明している。
【0031】
式Na2SixO2x+1.y H2Oの既知の化合物から、対応する化合物NaHSixO2x+1.y H2Oを、酸による、及び場合により水にもよる処理によって調製することができる。数yによって与えられる含水量は、結晶水と付着水を区別しない。Mは、好ましくはナトリウムを表す。xの好ましい値は、1.9~4である。組成NaMSi 2 O5. y H2Oを有する化合物が特に好ましい。本発明に従って用いられるナトリウムシリケートは結晶質化合物であるため、ナトリウムシリケートはそのX線回折図によって容易にキャラクタリゼーションできる。
【0032】
好ましい層状結晶質シリケートは、上記一般式中のxが1.9~3.5の値をとるものである。
【0033】
特に、デルタ-及びベータ二ナトリウムジシリケート(Na2Si2O5 ■ yH2O)が好ましく、ベータ二ナトリウムジシリケートは、例えば国際公開第91/08171A1号に記載されているプロセスによって得ることができる。1.9~3.2のSiO2/Na2Oのモル比を有するベータ二ナトリウムジシリケートは、日本特許出願第JP04/238809A号又は同第JP04/260610A号に従って調製することができる。ベータ二ナトリウムジシリケートは、非晶質シリケート、実際には上記一般式(1)の無水結晶質アルカリ金属シリケートからも調製することができ、式中、xは1.9~2.1の数である。
【0034】
そのような薬剤の更に好ましい実施形態では、SiO2/Na2Oのモル比が1.8~3の結晶質ナトリウム層シリケートが使用される。好ましい形態では、結晶質層状二ナトリウムジシリケートビルダーは、様々なパーセンテージの多型相アルファ、ベータ、及びデルタから共に形成される。市販の製品では、非晶質部分も存在し得る。
【0035】
アルファ、ベータ、及びデルタ二ナトリウムジシリケートの定義は既知であり、例えば、以下に記載されるように、欧州特許出願公開第0164514A1号に見出すことができる。二ナトリウム状態は、二ナトリウムジシリケート及び非層状シリケートの性質のケイ酸ナトリウムの多形相の少なくとも1つからなる、層状結晶質二ナトリウムジシリケートであることが好ましい。80~100重量%の二ナトリウムジシリケートの含有量を有する結晶質ナトリウム層シリケートを使用することが、特に好ましい。更に好ましい変形では、70~100重量%のベータ二ナトリウムジシリケートの含有量を有する結晶質ナトリウム層シリケートを使用することも可能である。
【0036】
特に好ましく使用される結晶質ナトリウム層シリケートは、1~40重量%のアルファ二ナトリウムジシリケート、0~50重量%、特に0~45重量%のベータ二ナトリウムジシリケート、50~98重量%のデルタ二ナトリウムジシリケート、及び0~40重量%の非ナトリウムシリケート(非晶質部分)を含有する。
【0037】
非常に特に好ましく使用される結晶質層状ナトリウムシリケートは、7~21重量%のアルファ二ナトリウムジシリケート、0~12重量%のベータ二ナトリウムジシリケート、65~95重量%のデルタ二ナトリウムジシリケート、及び0~20重量%の非晶質シェアを含有する。
【0038】
上記のアルファ二ナトリウムジシリケートは、アルファ-Na2Si2O5に帰属されるX線回折データによって再現されるものによってキャラクタリゼーションされる、欧州特許出願公開第0164514A1号に記載のNa-SK-S5に対応する。X線回折図はJoint Committee of Powder Diffraction Standardsから入手可能であり、番号 18-1241、22-1397、22-1397A、19-1233、19-1234及び19-1237で登録されている。
【0039】
上記のベータ二ナトリウムジシリケートは、ベータ-Na2Si2O5に帰属されるX線回折データによって再現されるものによってキャラクタリゼーションされる、欧州特許出願公開第064514A1号に記載のNa-SKS-7に対応する。X線回折図は Joint Committee of Powder Diffraction Standardsから入手可能であり、番号24-1 123及び29-1261で登録されている。
【0040】
上記デルタ二ナトリウムジシリケートは、デルタ-Na2Si2O5に帰属されるX線回折データによって再現されるものによってキャラクタリゼーションされる、欧州特許出願公開第0164514A号に記載のNa-SKS-6に対応する。X線回折図は Joint Committee of Powder Diffraction Standardsによって、番号22-1396で登録されている。
【0041】
本発明による組成物は、例えば国際公開第2007/101622A1号に記載されているように、粒状形態の式(1)の結晶質ナトリウム層シリケート、並びに結晶質ナトリウム層シリケート及び難溶性金属カーボネートを含有する共粒(cogranule)も含有する。
【0042】
本発明の更に好ましい実施形態では、本発明の組成物は、結晶質ナトリウムジシリケートNa2Si205 ■ yH20を含有し、y=0~2である。
【0043】
好ましい形態では、結晶質層状ナトリウムシリケートは、カチオン性及び/又はアニオン性構成成分を更に含有する。カチオン成分は、好ましくは、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属カチオン及び/又はFe、W、Mo、Ta、Pb、Al、Zn、Ti、V、Cr、Mn、Co及び/又はNiの組み合わせである。
【0044】
アニオン性成分は、好ましくはアルミネート、硫酸塩、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、カーボネート、重炭酸塩、硝酸塩、酸化物水和物、リン酸塩、及び/又はホウ酸塩である。
【0045】
結晶質層状ナトリウムシリケートを含有する代替的な好ましい形態では、SiO2の総含有量に対して、最大10mol%のホウ素である。結晶質層状ナトリウムシリケートを含む別の代替的な好ましい形態では、Si02の総含有量に対して、最大20mol%のリンである。
【0046】
また、特許文献の国際公開第92/09526A1号、米国特許第A-5,417,951号、独国特許出願公開第41 02 743A1号及び国際公開第92/13935A1号に記載されているように、式ベータ-Naが2 Si 205である水熱的に調製されたナトリウムジシリケートが特に好ましい。
【0047】
ナトリウム層シリケートとして、国際公開第00/09444A1号によるものが特に好ましい。
【0048】
更に好ましいナトリウム層シリケートは、欧州特許出願公開第0 550 048A1及び欧州特許出願公開第0 630 855A1号によるものである。
【0049】
本明細書での使用にとりわけ好ましいシリケートは、以下の式Na2Si2O5を有する。
【0050】
カーボネート
本発明の組成物は、低レベルのカーボネートを含む。組成物は、組成物の0重量%~20重量%、好ましくは0重量%~15重量%の炭酸ナトリウムを含む。
【0051】
ホスホネート
本発明の組成物は、高レベルのホスホネート、好ましくはHEDPを含む。組成物は、組成物の2重量%~7重量%、好ましくは2重量%~6重量%のHEDPを含む。
【0052】
分散剤ポリマー
分散剤ポリマーは、組成物の約1~約7重量%、好ましくは2重量%~約6重量%の任意の適切な量で使用される。
【0053】
分散剤ポリマーは、自動食器洗浄プロセスにおいてカルシウム又は炭酸カルシウムを懸濁させることができる。好ましくは、分散剤ポリマーは、ポリカルボン酸のスルホン化誘導体であり、2、3、4又はそれ以上の異なるモノマー単位を含むことができる。好ましいコポリマーは、次のものを含む:
一般式(III)を有するカルボン酸モノマーから誘導された少なくとも1つの構造単位:
【0054】
【化1】
式中、R
1~R
3は、水素、メチル、2~12個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖飽和アルキル基、2~12個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖のモノ又はポリ不飽和アルケニル基、-NH2若しくは-OH、又は-COOH、又はCOOR
4で置換された前述のアルキル又はアルケニル基から独立して選択され、式中、R
4は、水素、アルカリ金属又は2~12個の炭素を有する直鎖若しくは分枝鎖の飽和若しくは不飽和のアルキル若しくはアルケニル基であり、
好ましいカルボン酸モノマーは、アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、2-フェニルアクリル酸、桂皮酸、クロトン酸、フマル酸、メタクリル酸、2-エチルアクリル酸、メチレンマロン酸又はソルビン酸のうちの1つ以上を含む。アクリル及びメタクリル酸がより好ましい。
【0055】
任意に、一般式(IV)を有する少なくとも1つの非イオン性モノマーから誘導される1つ以上の構造単位:
【0056】
【化2】
式中、R
5~R
7は、水素、メチル、フェニル又は1~6個の炭素原子を含むヒドロキシアルキル基から独立して選択され、環状構造の一部であってもよく、Xは、-CH
2-、-COO-、-CONH-又は-CONR
8-から選択される、任意に存在するスペーサ基であり、R
8は、直鎖若しくは分枝鎖の、1~22個の炭素原子を有する飽和アルキル基又は6~22個の炭素原子を有する不飽和の好ましくは芳香族の基から選択される。
【0057】
好ましい非イオン性モノマーは、ブテン、イソブテン、ペンテン、2-メチルペント-1-エン、3-メチルペント-1-エン、2,4,4-トリメチルペント-1-エン、2,4,4-トリメチルペント-2-エン、シクロペンテン、メチルシクロペンテン、2-メチル-3-メチル-シクロペンテン、ヘキセン、2,3-ジメチルヘキサ-1-エン、2,4-ジメチルヘキサ-1-エン、2,5-ジメチルヘキサ-1-エン、3,5-ジメチルヘキサ-1-エン、4,4-ジメチルヘキサ-1-エン、シクロヘキセン、メチルシクロヘキセン、シクロヘプテン、10個以上の炭素原子を有する、デカ-1-エン、ドデカ-1-エン、ヘキサデカ-1-エン、オクタデカ-1-エン及びドコサ-1-エンなどのα-オレフィンのうちの1つ以上を含み、好ましい芳香族モノマーは、スチレン、α-メチルスチレン、3-メチルスチレン、4-ドデシルスチレン、2-エチル-4-ベジルスチレン(bezylstyrene)、4-シクロヘキシルスチレン、4-プロピルスチロール、1-ビニルナフタレン、2-ビニルナフタレンであり、好ましいカルボン酸エステルモノマーは、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート及びベヘニル(メタ)アクリレートであり、好ましいアミドは、N-メチルアクリルアミド、N-エチルアクリルアミド、N-t-ブチルアクリルアミド、N-2-エチルヘキシルアクリルアミド、N-オクチルアクリルアミド、N-ラウリルアクリルアミド、N-ステアリルアクリルアミド、N-ベヘニルアクリルアミド、並びに一般式(V)及び(VI)を有する少なくとも1つのスルホン酸モノマーに由来する少なくとも1つの構造単位であり:
【0058】
【化3】
式中、R
7は、少なくとも1つのsp2結合を含む基であり、Aは、O、N、P、S、アミド又はエステル結合であり、Bは、単環式又は多環式芳香族基又は脂肪族基であり、各tは、独立して0又は1であり、M+は、カチオンである。一態様では、R
7は、C2~C6アルケンである。別の態様では、R7は、エテン、ブテン又はプロペンである。
【0059】
好ましいスルホン化モノマーは、1-アクリルアミド-1-プロパンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-プロパンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸、2-メタクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸、3-メタクリルアミド-2-ヒドロキシ-プロパンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、アリルオキシベンゼンスルホン酸、メタリルオキシベンゼンスルホン酸、2-ヒドロキシ-3-(2-プロペニルオキシ)プロパンスルホン酸、2-メチル-2-プロペン-1-スルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、3-スルホプロピル、3-スルホ-プロピルメタクリレート、スルホメタクリルアミド及び上述の酸又はそれらの水溶性塩の混合物のうちの1つ以上を含む。
【0060】
好ましくは、このポリマーは、以下の濃度の各種モノマー、すなわち、ポリマーの約40~約90重量%、好ましくは約60~約90重量%の1種以上のカルボン酸モノマー、ポリマーの約5~約50重量%、好ましくは約10~約40重量%の1種以上のスルホン酸モノマー、及び任意にポリマーの約1重量%~約30重量%、好ましくは約2~約20重量%の1種以上の非イオン性モノマーを含む。特に好ましいポリマーは、ポリマーの約70重量%~約80重量%の少なくとも1種のカルボン酸モノマー及びポリマーの約20重量%~約30重量%の少なくとも1種のスルホン酸モノマーを含む。
【0061】
ポリマー中、カルボン酸基又はスルホン酸基の全て又はいくつかが中和形態で存在していてよく、すなわちいくつか又は全ての酸性基中のカルボン酸基及び/又はスルホン酸基の酸性水素原子が、金属イオン、好ましくはアルカリ金属イオン、特にナトリウムイオンと置き換えられ得る。
【0062】
カルボン酸は、好ましくは(メタ)アクリル酸である。スルホン酸モノマーは、好ましくは2-アクリルアミド-2-プロパンスルホン酸(AMPS)である。
【0063】
好ましい市販のポリマーとしては、Alco Chemicalにより供給されるAlcosperse 240、Aquatreat AR540、及びAquatreat MPS、Dowによって供給されるAcumer 3100、Acumer 2000、Acusol 587G及びAcusol 588G、BF Goodrichによって供給されるGoodrich K-798、K-775及びK-797並びにISP technologies Inc.によって供給されるACP1042が挙げられる。特に好ましいポリマーは、Rohm&Haasによって供給されるAcusol 587G及びAcusol 588Gである。
【0064】
適切な分散剤ポリマーには、低分子量のアニオン性カルボン酸ポリマーが含まれる。それらは、約200,000g/モル以下、又は約75,000g/モル以下、又は約50,000g/モル以下又は約3,000g/モル~約50,000g/モル、好ましくは約5,000g/モル~約45,000g/モルの重量平均分子量を有するホモポリマー又はコポリマーであり得る。分散剤ポリマーは、1,000~20,000、特に2,000~10,000及び特に好ましくは3,000~5,000の平均分子量を有するポリアクリレートの低分子量ホモポリマーであってもよい。
【0065】
分散剤ポリマーは、70,000未満の分子量を有する、アクリル酸とメタクリル酸のコポリマー、アクリル酸及び/又はメタクリル酸とマレイン酸のコポリマー並びにアクリル酸及び/又はメタクリル酸とフマル酸のコポリマーであってもよい。それらの分子量は、2,000~80,000、より好ましくは20,000~50,000、特に30,000~40,000g/モルの範囲であり、(メタ)アクリレート対マレエート又はフマレートセグメントの比は30:1~1:2の範囲である。
【0066】
分散剤ポリマーは、3,000~100,000、あるいは4,000~20,000の分子量を有するアクリルアミドとアクリレートとのコポリマーであってもよく、分散剤ポリマーの50重量%未満、あるいは20重量%未満のアクリルアミド含有量も使用され得る。あるいは、そのような分散剤ポリマーは、4,000~20,000の分子量及びポリマーの0重量%~15%のアクリルアミド含有量を有してもよい。
【0067】
本明細書に好適な分散剤ポリマーには、イタコン酸ホモポリマー及びコポリマーも含まれる。あるいは、分散剤ポリマーは、アルコキシル化ポリアルキレンイミン、アルコキシル化ポリカルボキシレート、ポリエチレングリコール、スチレンコポリマー、セルロースサルフェートエステル、カルボキシル化ポリサッカライド、両親媒性グラフトコポリマー及びそれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0068】
漂白剤系
漂白剤
本発明の組成物は、好ましくは、組成物の約8~約30重量%、より好ましくは約9~約25重量%、更により好ましくは約9~約20重量%の漂白剤を含む。
【0069】
無機及び有機漂白剤が、本明細書における使用に好適である。無機漂白剤には、過ホウ酸塩、過炭酸塩、過硫酸塩及び過ケイ酸塩などの過水和塩が挙げられる。無機過水和塩は、通常、アルカリ金属塩である。無機過水和塩は、追加の保護なしの結晶性固体として含まれ得る。あるいは、塩はコーティングされていてもよい。好適なコーティングには、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム及びこれらの混合物が挙げられる。当該コーティングは、表面に塗布される混合物として塗布されるか、又は順次積層して塗布され得る。
【0070】
アルカリ金属過炭酸塩、特に過炭酸ナトリウムは、本明細書における使用に好ましい漂白剤である。過炭酸塩は、最も好ましくは、製品内安定性を提供するコーティングされた形態で製品に組み込まれる。
【0071】
過酸化モノ過硫酸カリウムは、本明細書で有用な別の無機過水和塩である。
【0072】
典型的な有機漂白剤は、有機ペルオキシ酸、特にドデカンジペルオキシ酸、テトラデカンジペルオキシ酸及びヘキサデカンジペルオキシ酸である。モノ及びジペルアゼライン酸、モノ及びジペルブラシル酸も、本明細書において好適である。ジアシル及びテトラアシル過酸化物、例えば過酸化ジベンゾイル及び過酸化ジラウロイルは、本発明の関連において使用可能な他の有機過酸化物である。
【0073】
更なる典型的な有機漂白剤としては、ペルオキシ酸が挙げられ、具体例は、アルキルペルオキシ酸及びアリールペルオキシ酸である。好ましい代表例は、(a)ペルオキシ安息香酸及びその環置換の誘導体、例えばアルキルペルオキシ安息香酸の他、ペルオキシ-α-ナフトエ酸及びモノペルフタル酸マグネシウム、(b)脂肪族又は置換脂肪族ペルオキシ酸、例えばペルオキシラウリン酸、ペルオキシステアリン酸、ε-フタルイミドペルオキシカプロン酸[フタロイミノペルオキシヘキサン酸(PAP)]、o-カルボキシベンズアミドペルオキシカプロン酸、N-ノネニルアミドペルアジピン酸及びN-ノネニルアミドペルスクシネート、並びに(c)脂肪族及び芳香脂肪族ペルオキシジカルボン酸、例えば1,12-ジペルオキシカルボン酸、1,9-ジペルオキシアゼライン酸、ジペルオキシセバシン酸、ジペルオキシブラシル酸、ジペルオキシフタル酸、2-デシルジペルオキシブタン-1,4-二酸、N,N-テレフタロイルジ(6-アミノペルカプロン酸)である。
【0074】
漂白活性化剤
漂白活性化剤は、典型的には、60℃以下の温度でのクリーニングの過程で漂白作用を強化する有機過酸前駆体である。本明細書での使用に好適な漂白活性化剤には、過加水分解条件下で、好ましくは1~12個の炭素原子、特に2~10個の炭素原子を有する脂肪族ペルオキソカルボン酸(peroxoycarboxylic acid)、及び/又は任意に置換された過安息香酸を与える化合物が含まれる。好適な物質は、炭素原子の数が指定されているO-アシル基及び/若しくはN-アシル基並び/又は任意に置換されたベンゾイル基を有する。ポリアシル化アルキレンジアミン、特にテトラアセチルエチレンジアミン(TAED)、アシル化トリアジン誘導体、特に1,5-ジアセチル-2,4-ジオキソヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン(DADHT)、アシル化グリコールウリル、特にテトラアセチルグリコールウリル(TAGU)、N-アシルイミド、特にN-ノナノイルスクシンイミド(NOSI)、アシル化フェノールスルホネート、特にn-ノナノイル-又はイソノナノイルオキシベンゼンスルホネート(n-又はイソ-NOBS)、デカノイルオキシ安息香酸(DOBA)、無水カルボン酸、特に無水フタル酸、アシル化多価アルコール、特にトリアセチン、二酢酸エチレングリコール及び2,5-ジアセトキシ-2,5-ジヒドロフラン、並びにクエン酸トリエチルアセチル(TEAC)も好まれる。存在する場合、本発明の組成物は、組成物の0.01~5、好ましくは0.2~2重量%の漂白活性化剤、好ましくはTAEDを含む。
【0075】
漂白触媒
本明細書の組成物は、好ましくは、漂白触媒、好ましくは金属含有漂白触媒を含有する。より好ましくは、金属含有漂白触媒は、遷移金属含有漂白触媒、特にマンガン又はコバルト含有漂白触媒である。
【0076】
本明細書での使用に好ましい漂白触媒としては、マンガントリアザシクロノナン及び関連する錯体、Co、Cu、Mn及びFeビスピリジルアミン及び関連する錯体、並びにペンタミン酢酸コバルト(III)及び関連する錯体が挙げられる。
【0077】
本発明の組成物は、好ましくは、組成物の0.001~0.5、より好ましくは0.002~0.05重量%の漂白触媒を含む。好ましくは、漂白触媒は、マンガン漂白触媒である。
【0078】
界面活性剤
本明細書での使用に好適な界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤が挙げられ、好ましくは、組成物は、いかなる他の界面活性剤も含まない。従来的には、表面修飾目的、特に非イオン性界面活性剤は、膜形成及び斑点形成を回避し、光沢を改善するためのシート化を目的として、自動食器洗浄において使用されてきた。非イオン性界面活性剤は、汚れの再堆積の防止にも寄与することができることが判明している。
【0079】
好ましくは、本発明の組成物は、非イオン性界面活性剤又は非イオン性界面活性剤系を含み、より好ましくは、非イオン性界面活性剤又は非イオン性界面活性剤系は、蒸留水中、濃度1%で測定した場合に40~70℃、好ましくは45~65℃の転相温度を有する。「非イオン性界面活性剤系」とは、本明細書において、2つ以上の非イオン性界面活性剤の混合物を意味する。非イオン性界面活性剤系が、本明細書での使用に好適である。これらは、単一の非イオン性界面活性剤よりも、製品中で、改善された洗浄及び仕上がり特性並びに良好な安定性を有すると考えられる。
【0080】
転相温度とは、それよりも低い温度では界面活性剤又はその混合物が油膨張ミセルとして水性相中に優先的に分配され、それよりも高い温度では水膨張逆ミセルとして油性相に優先的に分配される温度である。転相温度は、混濁が生じる温度を識別することによって視覚的に判断することができる。
【0081】
非イオン性界面活性剤又は系の転相温度は、以下のように判断することができる:蒸留水中、溶液の1重量%の対応する界面活性剤又は混合物を含有する溶液を調製する。溶液を軽く撹拌した後、転相温度を分析して、プロセスが化学平衡で生じることを確実にする。転相温度は、75mm密封ガラス試験管中に溶液を浸漬することによって熱安定性の浴槽内で測定する。漏れがないことを確実にするために、転相温度の測定の前後に試験管を秤量しておく。温度が事前予測した転相温度より数度下に達するまで、温度を1℃/分未満の速度で徐々に増加させる。転相温度は、濁りの最初の兆候があった時点で視覚的に判断される。
【0082】
好適な非イオン性界面活性剤としては、i)6~20個の炭素原子を有するモノヒドロキシアルカノール又はアルキルフェノール(alkyphenol)と、アルコール又はアルキルフェノール1モル当たり、好ましくは少なくとも12モル、特に好ましくは少なくとも16モル、更により好ましくは少なくとも20モルのエチレンオキシドとの反応によって調製される、エトキシル化非イオン性界面活性剤、ii)6~20個の炭素原子及び少なくとも1つのエトキシ基及びプロポキシ基を有するアルコールアルコキシル化界面活性剤が挙げられる。界面活性剤i)とii)との混合物が、本明細書での使用に好ましい。
【0083】
他の好適な非イオン性界面活性剤は、次式で表されるエポキシキャップ化ポリ(オキシアルキル化)アルコールであり、
R1O[CH2CH(CH3)O]x[CH2CH2O]y[CH2CH(OH)R2] (I)
式中、R1は、4~18個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖の脂肪族炭化水素基であり、R2は、2~26個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖の脂肪族炭化水素基であり、xは、0.5~1.5、より好ましくは約1の平均値を有する整数であり、yは、少なくとも15、より好ましくは少なくとも20の値を有する整数である。
【0084】
好ましくは、式Iの界面活性剤は、末端エポキシド単位[CH2CH(OH)R2]中に少なくとも約10個の炭素原子を有する。本発明によれば、式Iの好適な界面活性剤は、例えば、Olin Corporationによる1994年10月13日に公開された国際公開第94/22800号に記載の、Olin CorporationのPOLY-TERGENT(登録商標)SLF-18B非イオン性界面活性剤である。
【0085】
酵素
本明細書の酵素変異体を説明する中で、参照しやすいように以下の命名法が用いられる:元のアミノ酸(複数可):位置(複数可):置換アミノ酸(複数可)。標準的な酵素IUPACのアミノ酸の1文字コードを使用する。
【0086】
プロテアーゼ
本発明の組成物は、タンパク質性汚れ、特にクリームブリュレなどの糖の焦げた汚れを除去する観点から有益である。
【0087】
好適なプロテアーゼには、メタロプロテアーゼ及び中性又はアルカリ性微生物セリンプロテアーゼ等のセリンプロテアーゼ、例えばスブチリシン(EC3.4.21.62)、並びにその化学的に又は遺伝的に修飾された突然変異体が挙げられる。好適なプロテアーゼとして、Bacillus lentus、Bacillus alkalophilus、Bacillus subtilis、Bacillus amyloliquefaciens、Bacillus pumilus及びBacillus gibsonii等のBacillus属由来のものを含むスブチリシン(EC3.4.21.62)が挙げられる。
【0088】
本発明の洗剤にとりわけ好ましいプロテアーゼは、バシラス・レンタス由来の野生型酵素と少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも98%、更により好ましくは少なくとも99%、とりわけ100%の同一性を示すポリペプチドであり、これは、本明細書に参照により援用する国際公開第00/37627号に示されるようなBPN’番号付与システム及びアミノ酸略号を用いた場合に、以下に示す位置の1つ以上、好ましくは2つ以上、より好ましくは3つ以上に突然変異を有する:V68A、N87S、S99D、S99SD、S99A、S101G、S101M、S103A、V104N/I、G118V、G118R、S128L、P129Q、S130A、Y167A、R170S、A194P、V205I及び/又はM222S。
【0089】
最も好ましくは、プロテアーゼは、PB92野生型(国際公開第08/010925号の配列番号2)又はスブチリシン309野生型(N87Sの自然変異体を含む以外はPB92主鎖による配列)のいずれかに対して以下の突然変異体(BPN番号方式)を含む群から選択される。
(i)G118V+S128L+P129Q+S130A
(ii)S101M+G118V+S128L+P129Q+S130A
(iii)N76D+N87R+G118R+S128L+P129Q+S130A+S188D+N248R
(iv)N76D+N87R+G118R+S128L+P129Q+S130A+S188D+V244R
(v)N76D+N87R+G118R+S128L+P129Q+S130A
(vi)V68A+N87S+S101G+V104N
【0090】
好適な市販のプロテアーゼ酵素としては、商品名Savinase(登録商標)、Polarzyme(登録商標)、Kannase(登録商標)、Ovozyme(登録商標)、Everlase(登録商標)、及びEsperase(登録商標)でNovozymes A/S社(Denmark)により販売されるもの、商品名Properase(登録商標)、Purafect(登録商標)、PurafectPrime(登録商標)、Purafect Ox(登録商標)、FN3(登録商標)、FN4(登録商標)、Excellase(登録商標)、Ultimase(登録商標)及びPurafect OXP(登録商標)でGenencor International社により販売されるもの、並びに商品名Opticlean(登録商標)及びOptimase(登録商標)でSolvay Enzymes社により販売されるもの、Henkel/Kemiraから利用可能なもの、すなわちBLAPが挙げられる。
【0091】
本発明の組成物中のプロテアーゼの好ましい濃度は、組成物1グラム当たり約0.2~約2mgの活性プロテアーゼを含む。
【0092】
アミラーゼ
本発明の組成物は、アミラーゼを含むことができる。好ましいアルカリ性アミラーゼは、Bacillus株、例えば、Bacillus licheniformis、Bacillus amyloliquefaciens、Bacillus stearothermophilus、Bacillus subtilis、又は他のBacillus sp.、例えば、Bacillus sp.NCIB 12289、NCIB 12512、NCIB 12513、DSM 9375(米国特許第7,153,818号)、DSM 12368、DSMZ no.12649、KSM AP1378(国際公開第97/00324号)、KSM K36又はKSM K38(欧州特許第1,022,334号)に由来する。好ましいアミラーゼとしては、以下が挙げられる。
(a) 米国特許第5,856,164号並びに国際公開第99/23211号、同第96/23873号、同第00/60060号及び同第06/002643号に記載の変異体、とりわけAA560配列番号3に対して以下の位置に1つ以上の置換基を有する変異体:
9、26、30、33、82、37、106、118、128、133、149、150、160、178、182、186、193、195、202、214、231、256、257、258、269、270、272、283、295、296、298、299、303、304、305、311、314、315、318、319、320、323、339、345、361、378、383、419、421、437、441、444、445、446、447、450、458、461、471、482、484、好ましくはD183*及びG184*の欠失も含む変異体。
(b) Bacillus種707由来の野生型酵素(米国特許第6,093,562号中の配列番号7)と少なくとも95%の同一性を示す変異体、とりわけ以下の突然変異体:M202、M208、S255、R172及び/又はM261のうちの1つ以上を含むもの。好ましくは、当該アミラーゼは、M202L又はM202T突然変異体のうちの1つを含む。
【0093】
好適な市販のα-アミラーゼとしては、DURAMYL(登録商標)、LIQUEZYME(登録商標)、TERMAMYL(登録商標)、TERMAMYL ULTRA(登録商標)、NATALASE(登録商標)、EVEREST(登録商標)、SUPRAMYL(登録商標)、STAINZYME(登録商標)、STAINZYME PLUS(登録商標)、FUNGAMYL(登録商標)及びBAN(登録商標)(Novozymes A/S(Bagsvaerd,Denmark))、KEMZYM(登録商標)AT 9000(Biozym Biotech Trading GmbH Wehlistrasse 27b A-1200 Wien Austria)、RAPIDASE(登録商標)、PURASTAR(登録商標)、ENZYSIZE(登録商標)、OPTISIZE HT PLUS(登録商標)、POWERASE(登録商標)、EXCELLENZ(商標)S 1000及びEXCELLENZ(商標)S 2000を含むEXCELLENZ(商標)Sシリーズ並びにPURASTAR OXAM(登録商標)(DuPont Industrial Biosciences,Palo Alto,California);並びにKAM(登録商標)(花王株式会社(日本、103-8210、東京都中央区日本橋茅場町1丁目14-10))が挙げられる。本明細書における使用にとりわけ好ましいアミラーゼとしては、NATALASE(登録商標)、STAINZYME(登録商標)、STAINZYME PLUS(登録商標)、EXCELLENZ(商標)S 1000、EXCELLENZ(商標)S2000、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0094】
好ましくは、本発明の組成物は、少なくとも0.005mg、好ましくは約0.0025~約0.025mg、より好ましくは約0.05~約0.3mg、特に約0.01~約0.25mgの活性アミラーゼを含む。
【0095】
好ましくは、本発明の組成物のプロテアーゼ及び/又はアミラーゼは、粒状体の形態であり、この粒状体は、粒状体の29重量%超の硫酸ナトリウムを含み、並びに/又は硫酸ナトリウム及び活性酵素(プロテアーゼ及び/若しくはアミラーゼ)は、3:1~100:1、又は好ましくは4:1~30:1、又はより好ましくは5:1~20:1の重量比である。
【0096】
金属ケア剤
金属ケア剤は、アルミニウム、ステンレス鋼並びに銀及び銅などの非鉄金属を含む金属の曇り、腐食又は酸化を、防止又は低減することができる。好ましくは、本発明の組成物は、製品の0.1~5重量%、より好ましくは0.2~4重量%、特に0.3~3重量%の金属ケア剤を含み、好ましくは、金属ケア剤はベンゾトリアゾール(BTA)である。
【0097】
ガラスケア剤
ガラスケア剤は、食器洗浄プロセス中にガラス製品の外観を保護する。好ましくは、本発明の組成物は、組成物の0.1~5重量%、より好ましくは0.2~4重量%、特に0.3~3重量%の金属ケア剤を含み、好ましくは、ガラスケア剤は亜鉛含有材料、特に水亜鉛土である。
【0098】
カチオン性ポリマー
組成物は、好ましくは、組成物の0.5~5重量%、好ましくは0.5~2重量%のカチオン性ポリマーを含む。カチオン性ポリマーは、膜張りの利点を提供する。カチオン性ポリマーは、
i.60重量%~99重量%の、式Iの少なくとも1つのモノエチレン性不飽和ポリアルキレンオキシドモノマー(モノマー(A))のカチオン性ポリマー:
【0099】
【化4】
(式中、変数は以下の意味を有する:
Yが-O-である場合、Xは、-CH2-又は-CO-であり、
Yが-NH-である場合、Xは、-CO-であり、
Yは、-O-又は-NH-であり、
R1は、水素又はメチルであり、
R2は、同じか又は異なるC2~C6-アルキレン基であり、
R3は、H又はC1~C4アルキルであり、
nは、3~100、好ましくは15~60の整数である。)、と、
ii.1~40重量%の、少なくとも1つの式IIa~IIdのモノマー(モノマー(B))からなる群から選択される少なくとも1つの四級化窒素含有モノマーのカチオン性ポリマー
【0100】
【化5】
(式中、変数は以下の意味を有する:
Rは、C1~C4アルキル又はベンジルであり、
R’は、水素又はメチルであり、
Yは、-O-又は-NH-であり、
Aは、C1~C6アルキレンであり、
X-は、ハロゲン化物、C1~C4-アルキルサルフェート、C1~C4-アルキルスルホネート及びC1~C4-アルキルカーボネートである。)、と、
iii.0~15重量%の、少なくとも1つのアニオン性モノエチレン性不飽和モノマー(モノマー(C))のカチオン性ポリマーと、
iv.0~30重量%の、少なくとも1つの他の非イオン性モノエチレン性不飽和モノマー(モノマー(D))のカチオン性ポリマーと、
からの共重合形態を含み、
カチオン性ポリマーが、2,000~500,000、好ましくは25,000g/モル~200,000g/モルの重量平均分子量(Mw)を有する、請求項2に記載の組成物。
【0101】
好ましいカチオン性ポリマーでは、モノマー(A)の変数は、以下の意味を有する。
Xは、-CO-であり、
Yは、-O-であり、
R1は、水素又はメチルであり、
R2は、エチレン、直鎖若しくは分枝鎖のプロピレン、又はこれらの混合物であり、
R3は、メチルであり、
nは、15~60の整数である。
【0102】
好ましくは、カチオン性ポリマーが、60~98重量%のモノマー(A)と、1~39重量%のモノマーBと、0.5~6重量%のモノマー(C)と、を含む。
【0103】
好ましいカチオン性ポリマーにおいて、モノマー(A)が、メチルポリエチレングリコール(メタ)アクリレートであり、モノマー(B)が、3-メチル-1-ビニルイミダゾリウムの塩である。
【0104】
好ましくは、カチオン性ポリマーが、69~89%のモノマー(A)と、9~29%のモノマー(B)とを含む。
【0105】
好ましいカチオン性ポリマーにおいて、モノマー(A)のモノマー(B)に対する重量比が≧2:1であり、コポリマーがモノマー(C)を含む場合、モノマー(B)のモノマー(C)に対する重量比も≧2:1、より好ましくは≧2.5:1であり、好ましくは、モノマー(A)がメチルポリエチレングリコール(メタ)アクリレートを含み、モノマー(B)が3-メチル-1-ビニルイミダゾリウムの塩を含む。
【0106】
本発明の自動食器洗浄組成物は、好ましくは、25℃の蒸留水中の1重量/体積%の水溶液で測定した場合に、10を超える、より好ましくは10.5を超えるpHを有する。
【0107】
本発明の自動食器洗浄組成物は、好ましくは、20℃において100グラムの製品を含むNaOH中で測定した場合に、pH9.5で、約10~約20、より好ましくは約12~約18の予備アルカリ度を有する。
【0108】
本発明による好ましい組成物は、
a1)組成物の20重量%~40重量%のMGDA、好ましくはメチルグリシン-N,N-二酢酸の三ナトリウム塩と、
a2)組成物の2重量%~6重量%の結晶質ナトリウムシリケートであって、結晶質層状構造及び組成NaMSix O2x+1.y H2O(式中、Mはナトリウム又は水素を表し、xは1.9~4の数であり、yは0~20の数である。)を有し、好ましくは式Na2Si2O5を有する、ナトリウムシリケートと、
a3)組成物の0重量%~20重量%のカーボネートと、
a4)組成物の2重量%~6重量%のHEDPと、
a5)組成物の2重量%~6重量%の分散剤ポリマー、好ましくはスルホネートポリマーと、
b1)組成物の8重量%~30重量%の過炭酸ナトリウムと、
b2)組成物の0.001重量%~0.5重量%のマンガン漂白触媒と、
b3)組成物の0.5重量%~5重量%のTAEDと、
c)非イオン性界面活性剤と、
d)アミラーゼと、
e)プロテアーゼと、任意に
f)ガラス及び/又は金属ケア剤とを含む。
【0109】
自動食器洗浄の方法
本発明の方法は、食器を本発明の組成物に供するステップを含む。方法は、高レベルの重炭酸塩を含有する水でも、あらゆる種類の、すなわち異なる硬度を有する水で非常に良好な洗浄を提供する。「硬水」とは、本明細書では、2.5~6.5mmol/lのカルシウムイオン及びマグネシウムイオンを有する水を意味する。
【実施例】
【0110】
2種類の自動食器洗浄用洗浄組成物を調製した。本発明による比較組成物A及び組成物B。茶渋の除去を評価した。
【0111】
【表1】
MGDA:メチルグリシン-N,N-二酢酸の三ナトリウム塩
(1)Sokalan PA25CL
(2)非晶質ナトリウムジシリケートBritesil H 20
【0112】
ティーカップ調製
以下の溶液を調製した。
ストック溶液#1:CaCl2.2H2O 6.56gを脱塩水100mL中に溶解させる
ストック溶液#2:MgSO4.7H2O 3.80g脱塩水100mL中に溶解させる
ストック溶液#3:NaHCO3 6.72gを脱塩水100mL中に溶解させる
合成硬度水:ストック溶液1、2、及び3各50mLを、脱塩水7リットルを含む容器に入れ、10リットルまで追加の脱塩水を満たし、HCl又はNaOHによってpHを7.5に調整する。
鉄ストック溶液:Fe2(SO4)3 5g及びのHCl 1mL(37%)を脱塩水に溶解させて総体積を1リットルとする。
【0113】
「Twinnings Assam」ルースリーフティー30g×2を秤量し、ティーバッグ2個に移す。
【0114】
合成硬度水4リットルをケトルに入れる。鉄(III)溶液0.2mLをケトルに添加する。ケトルのスイッチを入れ、茶溶液を沸騰させる。茶溶液が沸騰して、ケトルのスイッチが切れたら、ティーバッグ2個を添加する。茶を5分間浸出させて、ティーバッグを取り除く。
【0115】
ティーカップに茶溶液100mLを満たす。5分後、茶溶液20mLを取り除く。茶全てがティーカップから取り除かれるように、これを5回繰り返す。茶溶液20mLを5回取り除いた後、ティーカップ底部における茶溶液の残りの薄層も除去する。この全プロセスを、新たに入れた茶溶液で2回繰り返す。
【0116】
自動食器洗浄機での洗浄試験
Miele GSL 50 C R-zeit 2(8分)KI 65を21gpgの水と共に試験に使用した。
【0117】
組成物をバイアル内で秤量し、ディスペンサの開放時に食器洗浄機の底部に逆さにして入れた。50g IKWバラスト汚れ(「Recommendations for the Quality Assessment of the Cleaning Performance of Dishwasher Detergents(Part B,update 2015),SOFW-Journal vol 142,June 2016)を洗浄サイクルの開始時に加えた。
【0118】
茶洗浄の評価
洗浄後、ティーカップを食器洗浄機から取り出し、乾燥させた。次いで、ティーカップを目視検査によって採点した。各カップには、1(=最悪の渋除去)~10(=最良の渋除去)の範囲の茶渋除去スコアを与える。1~10の等級の基準ティーカップと比較して、スコアを与えた。洗浄サイクルにわたる各ティーカップ型の平均ティーカップスコアを計算した。
【0119】
結果
ティーカップ洗浄等級:
【0120】
【0121】
本発明の組成物が比較組成物よりも低いレベルのカーボネートを有していても、本発明の組成物による茶渋除去は、より良好であった。
【0122】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。