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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-06
(45)【発行日】2023-10-17
(54)【発明の名称】位置決め装置
(51)【国際特許分類】
   G12B 5/00 20060101AFI20231010BHJP
【FI】
G12B5/00 A
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2022057127
(22)【出願日】2022-03-30
(62)【分割の表示】P 2019517816の分割
【原出願日】2017-09-29
(65)【公開番号】P2022104963
(43)【公開日】2022-07-12
【審査請求日】2022-04-26
(31)【優先権主張番号】62/402,674
(32)【優先日】2016-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509223830
【氏名又は名称】3エスエーイー テクノロジーズ インク
【住所又は居所原語表記】416 Mary Lindsay Polk Dr.,Suite 511 Franklin TN U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワイリー ロバート
(72)【発明者】
【氏名】クラーク ブレット
(72)【発明者】
【氏名】トロイヤー ジェーソン
(72)【発明者】
【氏名】ローワー ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ジェンキンス アダム
(72)【発明者】
【氏名】トラウトマン クライド
(72)【発明者】
【氏名】イッサ ジョニー
【審査官】平野 真樹
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-536989(JP,A)
【文献】特開2005-140185(JP,A)
【文献】特表2007-505345(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0186285(US,A1)
【文献】特開昭64-000505(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G12B 5/00
B23Q 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置決め装置であって、
基部プレートと、
第1角度付き側面及び第2角度付き側面を有する保持器と、
それぞれの伸縮方向が水平面に対して角度を持つように配置され、それぞれ第1端部が前記基部プレートに固定され、第2端部が前記保持器の前記第1角度付き側面又は前記第2角度付き側面に摺接する複数のアクチュエータと、を備え、
前記複数のアクチュエータは、前記複数のアクチュエータのうち1つ又は複数のアクチュエータの伸長又は収縮に応じて前記保持器を動かすように構成されていることを特徴とする位置決め装置。
【請求項2】
請求項1に記載の位置決め装置であって、
前記複数のアクチュエータのうち少なくとも2つのアクチュエータが、4自由度を有するスライド可能な関節により前記保持器との接触を維持していることを特徴とする位置決め装置。
【請求項3】
請求項1に記載の位置決め装置であって、
前記複数のアクチュエータのうち少なくとも2つのアクチュエータが、5自由度を有するスライド可能な関節により前記保持器との接触を維持していることを特徴とする位置決め装置。
【請求項4】
請求項1に記載の位置決め装置であって、
前記複数のアクチュエータのうち少なくとも4つのアクチュエータが、5自由度を有するスライド可能な関節により前記保持器との接触を維持していることを特徴とする位置決め装置。
【請求項5】
請求項1に記載の位置決め装置であって、
前記複数のアクチュエータのうち1つ又は複数のアクチュエータが、前記保持器の前記第1角度付き側面又は前記第2角度付き側面に対して略90度の角度の方向へ伸縮するように配置されていることを特徴とする位置決め装置。
【請求項6】
請求項1に記載の位置決め装置であって、
前記複数のアクチュエータの全てのアクチュエータが、前記保持器の前記第1角度付き側面又は前記第2角度付き側面に対して約90度の角度の方向へ伸縮するように配置されていることを特徴とする位置決め装置。
【請求項7】
請求項1に記載の位置決め装置であって、
4軸位置決めステージであることを特徴とする位置決め装置。
【請求項8】
請求項1に記載の位置決め装置であって、
前記複数のアクチュエータのうち前記基部プレートの第1角度付き側面部分と前記保持器の前記第1角度付き側面との間に配置されているアクチュエータが中立位置にあるときに、前記保持器の前記第1角度付き側面と平行となる前記第1角度付き側面部分を前記基部プレートが備えることを特徴とする位置決め装置。
【請求項9】
請求項に記載の位置決め装置であって、
前記複数のアクチュエータのうち前記基部プレートの第2角度付き側面部分と前記保持器の前記第2角度付き側面との間に配置されているアクチュエータが中立位置にあるときに、前記保持器の前記第2角度付き側面と平行となる前記第2角度付き側面部分を前記基部プレートが備えることを特徴とする位置決め装置。
【請求項10】
請求項に記載の位置決め装置であって、
前記中立位置とは、アクチュエータが伸長していない位置を指すことを特徴とする位置決め装置。
【請求項11】
請求項1に記載の位置決め装置であって、
前記複数のアクチュエータのうち少なくとも1つのアクチュエータが、前記保持器の前記第1角度付き側面又は前記第2角度付き側面と接触するスライド可能な関節を形成する磁気的な前記第2端部を有することを特徴とする位置決め装置。
【請求項12】
請求項1に記載の位置決め装置であって、
前記複数のアクチュエータのうち2又は3以上のアクチュエータの前記第2端部が、前記保持器の前記第1角度付き側面又は前記第2角度付き側面との間に磁気関節を形成していることを特徴とする位置決め装置。
【請求項13】
請求項1に記載の位置決め装置であって、
前記複数のアクチュエータの全てのアクチュエータの前記第2端部が、前記保持器の前記第1角度付き側面又は前記第2角度付き側面との間に磁気関節を形成していることを特徴とする位置決め装置。
【請求項14】
請求項1に記載の位置決め装置であって、
前記保持器には、細長いケーブル状の物体を保持するために形成された溝が設けられていることを特徴とする位置決め装置。
【請求項15】
請求項14に記載の位置決め装置であって、
前記細長いケーブル状の物体には、少なくとも光ファイバが含まれることを特徴とする位置決め装置。
【請求項16】
請求項14に記載の位置決め装置であって、
前記保持器がV字形状であることを特徴とする位置決め装置。
【請求項17】
請求項1に記載の位置決め装置であって、
前記複数のアクチュエータの伸長及び/又は収縮を効果的に組み合わせることによって、前記保持器を指定された位置へ移動させる電子制御装置を更に備えることを特徴とする位置決め装置。
【請求項18】
請求項17に記載の位置決め装置であって、
前記アクチュエータは、いずれかの対のアクチュエータの同じ量の伸長又は収縮が、単一軸に沿ってだけ前記保持器の運動を生成するように構成され、前記伸長又は収縮は、前記電子制御装置の制御の下で実行されていることを特徴とする位置決め装置。
【請求項19】
請求項17に記載の位置決め装置であって、
前記保持器の位置を検出し、前記保持器の位置のセンサデータをフィードバックループによって前記電子制御装置へ伝達するように構成された1つ又は複数のセンサを更に備え、
前記電子制御装置は、前記センサデータに応じて前記保持器の位置を調整するために前記複数のアクチュエータを制御するように構成されていることを特徴とする位置決め装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2016年9月30日に出願された「MULTI-AXIS RELATIVE POSITIONING STAGE」という名称の米国仮特許出願第62/402,674号の利益を主張し、この出願は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明の概念は、位置決め装置に関し、具体的には、多軸相対位置決め装置に関する。
【背景技術】
【0003】
位置決めマニピュレータが多くの用途において利用されて、対象物、ツール又は器具を種々の精度で位置決めする。位置決めマニピュレータにおいて使用されてもよい動的関節又は対偶についての概観が図1に示されており、剛性(不動)、並進、回転、パラレル円柱、円筒、球形、平面、エッジスライダ、円筒スライダ、点スライダ、球形スライダ及び交差円柱が含まれる。
【0004】
スチュワートプラットフォーム(本明細書ではヘキサポッドとも呼ばれる)は、例えば、それぞれのアクチュエータの両端部に球形、ボール又はユニバーサル関節を有する6個のアクチュエータから構成された多軸位置決めステージである。ヘキサポッドは、ほとんどの用途のための世界的に名の通った多軸位置決めステージ設計と考えられるが、コストが法外に高いことが多い。ヘキサポッドに関する1つの問題は、それがアクチュエータの相互作用のために相乗的な動作プラットフォームであることである。それは、アクチュエータの相互作用に起因して、アクチュエータのどれもが独立して動かされ得ず、ステージが拘束されるのを防ぐために、アクチュエータのうちの多く又は全てが異なる特定量だけ、異なる速度プロファイルで動くことを必要とする。加えて、これらの動作及び速度プロファイルは、規定された開始点及び終了点が変化させられるにつれて連続的に変化する。このため、たとえ短距離の単一軸運動が望まれる場合であっても、それぞれのアクチュエータがステージの上部プレートを点Aから点Bまで動かすのに必要な移動距離及び速度プロファイルを個々に計算するために、非常に複雑なコンピュータアルゴリズムが必要とされる。その結果、人間のオペレータは、ステージを拘束することなく、この単純な動作を手動で実行することができない。
【0005】
ヘキサポッドに関する別の重要な欠点は、関節の剛性(軸外動作に対する)がステージの「スロップ」又は「遊び」、そして分解能を必要とすることである。このことは、球形関節(ヘキサポッドで使用される)をより厳しい許容量で作成することが指数関数的に困難になるので、設計上の課題となっている。すなわち、設計者がステージ分解能を最大化しスロップを最小化するための世界的に名の通った球形ベアリングを作成する場合に、従来のままでは、2つの固有の問題を悪化させる。第1の問題は、球形関節の剛性のために、それぞれのアクチュエータについての動作及び速度プロファイル要件の正確度が、拘束を防止するために指数関数的に増加することである。第2の問題は、アクチュエータの能力要件が、必要な精度の動作及び速度プロファイルを達成するために指数関数的に増加することである。その結果、ヘキサポッドの分解能を改善することは、動作及び速度プロファイルを決定することについての計算能力の指数関数的な増加、アクチュエータのパフォーマンス能力の指数関数的な増加、及び12個の高品質球形ベアリングを必要とする。これらの要因の全ては、有意にヘキサポッドのコストを増大させる。
【0006】
ヘキサポッドは、典型的には、それらの運動学的連鎖の対応物の3~10倍のコストがかかるけれども、許容量積み重ね問題に悩まされないのでしばしば選好される。10ミクロンの精度は、多くの用途に対する稀な位置決め装置要件でなく、例えば、光通信産業では、サブミクロンの精度がしばしば必要とされる。近頃、ヘキサポッドは、典型的にそれぞれ物理サイズ、重量制限及び精度要件に基づいて60,000ドルから120,000ドルを超えるまでコストがかかる。代替となる正確な位置決めマニピュレータが大いに望ましいであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明概念の原理に従って、パラレル位置決めマニピュレータは、上部プレートと、基部プレート(本明細書では底部プレート又は基部プレートとも呼ぶ)と、3個、4個、5個又は6個の並進関節アクチュエータと、を含む。それぞれのアクチュエータは、基部プレート又は上部プレートのいずれかに5自由度(DOF)を有するアクチュエータ関節を含む。作動中、アクチュエータのうちの1つ又は複数が伸長又は収縮するとき、残りのアクチュエータの枢動点、例えば5DOFアクチュエータ関節は、アクチュエータの動作軸(すなわち、アクチュエータの伸長及び収縮によって画定される軸線)以外のいずれかの軸線方向に移動することを可能にされる。例示の実施形態では、磁力、重力及び/又はシリコーン等の柔軟なポリマが利用されて、並進アクチュエータが伸長又は収縮させられるときに、接触領域内の最大5DOF枢動点をそれらのそれぞれの(すなわち、上部又は底部)プレートとの接触状態に保持してもよい。例示の実施形態では、並進アクチュエータのうちの少なくとも2個が、少なくとも2個の別の並進アクチュエータに対して垂直である。第5軸線が付加されるならば、第5軸線の並進アクチュエータは、別の4個の並進アクチュエータに対して垂直に配列される。
【0008】
例示の実施形態では、アクチュエータは、いくつかのタイプ、例えば、圧電性アクチュエータ、手動マイクロメータねじ、磁気アクチュエータ、リニアアクチュエータを有するステッピングモータ(一体型又は分離型のいずれか)、油圧シリンダ、空気圧シリンダ、又は偏心カムを有する回転モータのうちのいずれかであってもよい。例示の実施形態では、本発明概念の原理に従って、パラレル位置決めマニピュレータは、それぞれのアクチュエータによって作用させられる押圧力及び引張力が、組み合された他の全てのアクチュエータのせん断摩擦よりも大きいように構成されている。例示の実施形態では、このことは、高い保持力を有するが低いせん断力を有する材料、例えば、硬い平坦金属面との接触状態に磁気的に保持された硬い合金球面等を利用することによって達成される。そのような実施形態では、側面のうちの1つだけ(すなわち、硬い合金球面又は硬い平坦金属面のいずれか)が磁化されるが、その理由は、両面が磁化される場合、滑り軸方向に半拘束状態になり、そのため球形3DOF関節のように挙動することになるからである。
【0009】
本発明概念の原理に従って、位置決めステージは、複数の磁気並進関節アクチュエータと、基部プレートと、上部プレートと、を含む。上部プレートは、装置の正確な位置決めのために装置を支持してもよい。上部プレートは、複数の磁気並進関節アクチュエータによって支持されてもよく、当該アクチュエータは、基部プレートによって支持される。例示の実施形態では、それぞれのアクチュエータは、基部プレートの一部分に固定され、当該基部プレートは、それぞれのアクチュエータを水平に対してある角度に位置決めする。例示の実施形態では、角度は45度であり、アクチュエータを基部プレートの反対側端部又は端部部分に、そして互いに90度になるように配置する。例示の実施形態では、上部プレートの側面が、水平に対して基部プレートの側面と同じ角度で形成されるけれども、別の構成が、本発明概念の範囲内で考えられる。磁石が、上部プレートの角度付き側面上に提供される。それぞれのアクチュエータは、例えば、それの遠位端部に鉄合金であってもよい磁性材料を含む。例示の実施形態では、磁性材料は、半球形状であるけれども、別の形状及び組合せが、本発明概念の範囲内で考えられる。好ましい実施形態では、それぞれの磁性材料端部が、上部プレートの側面上の磁石と接触することにより、上部プレートを基部プレート上方に支持するように構成されている。
【0010】
作動中、アクチュエータ遠位端部は、磁石の力によって上部プレートの側面上の磁石と接触した状態に保持される。アクチュエータが起動される(すなわち、伸長又は収縮させられる)とき、上部プレートは、アクチュエータの動作によって決定された動作方向に直線的に動く。上部プレートの対向する側面上の磁石と接触しているアクチュエータの遠位端部は、アクチュエータの遠位端部の磁性材料に作用する磁石の磁力によって磁石と接触した状態のままである。同時に、このアクチュエータの遠位端部は、活性化されたアクチュエータの動作によって規定された方向に磁石(及び上部プレート)を滑動することができる。
【0011】
本発明概念に従って、位置決め装置が提供され、当該装置は、基部プレートと、第1角度付き側面及び第2角度付き側面を有する保持器と、それぞれの伸縮方向が水平面に対して角度を持つように配置され、それぞれ第1端部が前記基部プレートに固定され、第2端部が前記保持器の前記第1角度付き側面又は前記第2角度付き側面に摺接する複数のアクチュエータと、を備え、前記複数のアクチュエータは、前記複数のアクチュエータのうち1つ又は複数のアクチュエータの伸長又は収縮に応じて前記保持器を動かすように構成されている。
【0012】
様々な実施形態では、前記複数のアクチュエータのうち少なくとも2つのアクチュエータが、4自由度を有するスライド可能な関節により前記保持器との接触を維持している。
【0013】
様々な実施形態では、前記複数のアクチュエータのうち少なくとも4つのアクチュエータが、4自由度を有するスライド可能な関節により前記保持器との接触を維持している。
【0014】
様々な実施形態では、前記複数のアクチュエータのうち少なくとも2つのアクチュエータが、5自由度を有するスライド可能な関節により前記保持器との接触を維持している。
【0015】
様々な実施形態では、前記複数のアクチュエータのうち少なくとも4つのアクチュエータが、5自由度を有するスライド可能な関節により前記保持器との接触を維持している。
【0016】
様々な実施形態では、前記複数のアクチュエータのうち1つ又は複数のアクチュエータが、前記保持器の前記第1角度付き側面又は前記第2角度付き側面に対して略90度の角度の方向へ伸縮するように配置されている。
【0017】
様々な実施形態では、前記複数のアクチュエータの全てのアクチュエータが、前記保持器の前記第1角度付き側面又は前記第2角度付き側面に対して約90度の角度の方向へ伸縮するように配置されている。
【0018】
様々な実施形態では、4軸位置決めステージである。
【0019】
様々な実施形態では、前記複数のアクチュエータのうち前記基部プレートの第1角度付き側面部分と前記保持器の前記第1角度付き側面との間に配置されているアクチュエータが中立位置にあるときに、前記保持器の前記第1角度付き側面と平行となる前記第1角度付き側面部分を前記基部プレートが備える。
【0020】
様々な実施形態では、前記複数のアクチュエータのうち前記基部プレートの第2角度付き側面部分と前記保持器の前記第2角度付き側面との間に配置されているアクチュエータが中立位置にあるときに、前記保持器の前記第2角度付き側面と平行となる前記第2角度付き側面部分を前記基部プレートが備える。
【0021】
様々な実施形態では、前記中立位置とは、アクチュエータが伸長していない位置を指す。
【0022】
様々な実施形態では、前記複数のアクチュエータのうち少なくとも1つのアクチュエータが、前記保持器の前記第1角度付き側面又は前記第2角度付き側面と接触するスライド可能な関節を形成する磁気的な前記第2端部を有する。
【0023】
様々な実施形態では、前記複数のアクチュエータのうち2又は3以上のアクチュエータの前記第2端部が、前記保持器の前記第1角度付き側面又は前記第2角度付き側面との間に磁気関節を形成している。
【0024】
様々な実施形態では、前記複数のアクチュエータの全てのアクチュエータの前記第2端部が、前記保持器の前記第1角度付き側面又は前記第2角度付き側面との間に磁気関節を形成している。
【0025】
様々な実施形態では、前記保持器には、細長いケーブル状の物体を保持するために形成された溝が設けられている。
【0026】
様々な実施形態では、前記細長いケーブル状の物体には、少なくとも光ファイバが含まれる。
【0027】
様々な実施形態では、前記保持器がV字形状である。
【0028】
様々な実施形態では、前記複数のアクチュエータの伸長及び/又は収縮を効果的に組み合わせることによって、前記保持器を指定された位置へ移動させる電子制御装置を更に備える。
【0029】
様々な実施形態では、前記アクチュエータは、いずれかの対のアクチュエータの同じ量の伸長又は収縮が、単一軸に沿ってだけ前記保持器の運動を生成するように構成され、前記伸長又は収縮は、前記電子制御装置の制御の下で実行されている。
【0030】
様々な実施形態では、前記保持器の位置を検出し、前記保持器の位置のセンサデータをフィードバックループによって前記電子制御装置へ伝達するように構成された1つ又は複数のセンサを更に備え、前記電子制御装置は、前記センサデータに応じて前記保持器の位置を調整するために前記複数のアクチュエータを制御するように構成されている。
【0031】
本発明は、付属の図面及び付随の詳細な説明を考慮すればより明瞭になるであろう。本明細書に示す実施形態は、限定としてではなく例として提供されており、同様の参照番号は、同一又は類似の要素を指す。図面は、必ずしも共通の尺度を持つわけではなく、その代わりに、本発明の特徴を示すことに重点が置かれる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】様々な従来の動的関節を示す。
図2】全てのアクチュエータが収縮させられている4軸ステージ又は位置決め装置の実施形態についての前方端面図であり、第3アクチュエータ(図示せず)が第1アクチュエータの後方にあり、第4アクチュエータ(図示せず)が第2アクチュエータの後方にある。
図3図2の4軸ステージについての同じ前方端面図であり、第1アクチュエータ及び第3アクチュエータが軸線(「X軸」)に沿って伸長させられている。
図4図2の4軸ステージについての同じ端面図であり、第2アクチュエータ及び第4アクチュエータが軸線(「Y軸」)に沿って伸長させられている。
図5図2の4軸ステージについての第1(左)側面図であり、第1及び第3アクチュエータが「X軸」に沿って伸長させられており、第2のアクチュエータ(図示せず)が第1アクチュエータの後方にあり、第4アクチュエータ(図示せず)が第3アクチュエータの後方にある。
図6図2の4軸ステージについての第1(左)側面図の反対側の第2(右)側面図であり、第2及び第4アクチュエータが「Y軸」に沿って伸長させられており、第1アクチュエータ(図示せず)が第2アクチュエータの後方にあり、第3アクチュエータ(図示せず)が第4アクチュエータの後方にある。
図7図2及び5の4軸ステージについての第1(左)側面図であり、第1アクチュエータが収縮させられ、第3アクチュエータが伸長させられていることにより上部プレートをピッチし、第2アクチュエータ(図示せず)が第1アクチュエータの後方にあり、第4アクチュエータ(図示せず)が第2アクチュエータの後方にある。
図8図2及び6の4軸ステージについての第2(右)側面図であり、第2アクチュエータが伸長させられ、第4アクチュエータが収縮させられていることにより上部プレートをヨーし、第1アクチュエータ(図示せず)が第2アクチュエータの後方にあり、第3アクチュエータ(図示せず)が第4アクチュエータの後方にある。
図9図2の4軸ステージについての平面図であり、明瞭にするために基部プレートが省略されている。
図10】本発明概念の原理に従う、4軸ステージに適用されてもよい単一軸/デュアルアクチュエータ運動についての表である。
図11】本発明概念の原理に従う、5軸ステージに適用されてもよい単一軸/シングルアクチュエータ運動についての表である。
図12】本発明概念の原理に従う、5軸ステージの実施形態についての平面図である。
図13】本発明概念の原理に従う、上部プレートの「ロール」動作を達成してもよい多軸ステージの別の実施形態を示す。
図14A】本発明概念の原理に従う、1桁のミクロン精度が可能な手動アクチュエータを使用する4軸ステージの別の実施形態についての図である。
図14B】本発明概念の原理に従う、1桁のミクロン精度が可能な手動アクチュエータを使用する4軸ステージの別の実施形態についての図である。
図14C】本発明概念の原理に従う、1桁のミクロン精度が可能な手動アクチュエータを使用する4軸ステージの別の実施形態についての図である。
図15】本発明概念の原理に従う、関節内に円筒磁石を使用する5軸ステージの実施形態についての平面図である。
図16】本発明概念の原理に従う、電子制御装置を含むフォトニック位置決め装置の実施形態についてのブロック図である。
図17A】本発明概念の原理に従う、4軸ステージを使用するフォトニック位置決め装置システムの実施形態についての平面図である。
図17B図17Aのフォトニック位置決め装置システムについての側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明概念の様々な側面が、添付の図面に関して以下でより十分に説明されることになり、当該図面にはいくつかの例示的な実施形態が示されている。本発明概念は、しかし、多くの異なる形式で具現化されてもよく、本明細書に示す例示的な実施形態に限定されるように解釈されてはならない。
【0034】
用語第1、第2等が、様々な要素を説明するために本明細書において使用されてもよいが、これらの要素はこれらの用語によって限定されてはならないことが理解されるであろう。これらの用語は、1つの要素を別の要素から識別するために使用されるが、要素についての必要な順序を意味しない。例えば、本発明の範囲を逸脱することなく、第1要素が第2要素と呼ばれてもよく、同様に、第2要素が第1要素と呼ばれてもよい。本明細書において使用されるとき、用語「及び/又は」は、関連するリストアップされたアイテムのうちの1つ又は複数の任意の及び全ての組合せを含む。用語「又は」は、排他的論理和の意味ではなく、包含的論理和の意味で使用される。
【0035】
要素が、別の要素に対して「その上に」、「それに接続されて」又は「それに結合されて」とされるとき、それは、別の要素の直接上にあるか、又はそれに接続若しくは結合されていてもよく、或いは介在要素が存在してもよい。逆に、要素が、別の要素の「直接上にある」、「直接接続されている」、別の要素に「直接結合されている」とされるとき、介在要素は存在しない。要素同士の間の関係を説明するために使用される別の語(例えば、「間に」に対する「直接間に」、「隣接して」に対して「直接隣接して」等)は、同様の態様で解釈されなければならない。
【0036】
本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態を説明するためだけのものであり、本発明の限定が意図されていない。本明細書において使用されるとき、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈が別様に明確に指示しない限り、複数形も含むことが意図されている。用語「備える」、「備えている」、「含む」及び/又は「含んでいる」が本明細書で使用されるとき、明示された特徴、ステップ、作動、要素及び/又は構成要素の存在を指定するけれども、1つ又は複数の別の特徴、ステップ、作動、要素、構成要素及び/又はその群の存在又は付加を排除しないことが更に理解されるであろう。
【0037】
「の下」、「の下方」、「下側の」、「の上方」、「上側の」等の空間的相対語は、例えば、図に示されているような別の要素及び/又は特徴に対する要素及び/又は特徴の関係を説明するために使用されてもよい。空間的相対語は、図に表わす向きに加えて、使用及び/又は作動における装置の異なる向きを含むことが意図されていることが理解されるであろう。例えば、図中の装置が反転されるならば、別の要素又は特徴「の下」及び/又は「の下方」と説明された要素は、別の要素又は特徴「の上方」に方向付けられることになる。装置は、別様に方向付けられ(例えば、90度だけ又は別の向きに回転させられ)てもよく、それに従って本明細書で使用された空間的相対記述語が解釈されてもよい。
【0038】
例示的な実施形態が、理想化された例示的な実施形態(及び中間構造)についての略図である断面表示に関して本明細書で説明される。このように、例えば製造の技術及び/又は許容量について、結果としての説明図の形状からの変動が想定されてもよい。したがって、例示的な実施形態は、本明細書に示された領域の特定の形状に限定されるように解釈されてはならず、例えば、製造から生じる形状の偏差を含んでもよい。
【0039】
機能の特徴、作動及び/又はステップが本明細書に説明されている、又は本発明概念の様々な実施形態内に含まれると理解される範囲内で、そのような機能の特徴、作動及び/又はステップが、機能のブロック、ユニット、モジュール、作動及び/又は方法において具現化されてもよい。そして、そのような機能上のブロック、ユニット、モジュール、作動及び/又は方法がコンピュータプログラムコードを含む限りにおいて、そのようなコンピュータプログラムコードが、例えば、少なくとも1つのコンピュータプロセッサによって実行可能である非一過性のメモリ及びメディア等のコンピュータ可読媒体に記憶されてもよい。
【0040】
本発明概念の原理に従う例示の実施形態では、パラレル位置決めマニピュレータは、上部プレートと、基部プレートと、4個、5個、6個以上の並進関節アクチュエータと、を含む。好ましい実施形態では、それぞれのアクチュエータは、基部プレート又は上部プレートのいずれかに5自由度(DOF)を有するアクチュエータ関節を含む。作動中、アクチュエータのうちの1つ又は複数が伸長又は収縮するとき、残りのアクチュエータの枢動点が、そのアクチュエータの運動軸以外のいずれかの軸線(すなわち、アクチュエータの伸長及び収縮によって画定された軸線)方向に移動することを可能にされる。
【0041】
例示の実施形態では、磁力、重力及び/又はシリコーン等の柔軟ポリマが使用されることにより、並進アクチュエータが収縮させられるときに、5DOF枢動点をそれらのそれぞれの(すなわち、上部又は底部)プレートとの接触状態に維持してもよい。
【0042】
いくつかの例示の実施形態では、並進アクチュエータのうちの少なくとも2個は、少なくとも2個の別の並進アクチュエータに垂直であってもよい。
【0043】
いくつかの実施形態では、第5運動軸が付加されてもよい。第5軸が付加される場合、その関連する並進アクチュエータは、別の4個の並進アクチュエータに垂直に配列されてもよい。
【0044】
例示の実施形態では、アクチュエータは、いくつかのタイプのうちのいずれか、例えば、圧電性アクチュエータ、手動マイクロメータねじ、磁気アクチュエータ、リニアアクチュエータ(一体型又は独立型)を有するステッピングモータ、油圧シリンダ、空気圧シリンダ、又は偏心カムを有する回転モータ等であってもよい。本発明概念の原理に従う例示の実施形態では、パラレル位置決めマニピュレータは、それぞれのアクチュエータによって作用させられる押圧及び引張力が、全ての別の結合されたアクチュエータのせん断摩擦よりも大きいように構成されている。例示の実施形態では、これは、例えば、硬い平坦金属面と磁気によって接触状態に保持された硬い合金球面等の、高い保持力を有するが低いせん断力を有する材料を使用することによって達成される。そのような実施形態では、片側(すなわち、硬い合金球面又は硬い平坦金属面)だけが磁化され、その理由は、両側が磁気を帯びている場合、それらは滑り軸方向に半連結され、そのために球形3DOF関節のように挙動することになるからである。
【0045】
本発明概念の原理に従う例示の実施形態では、位置決めステージは、複数の磁気並進関節アクチュエータと、基部プレートと、上部プレートと、を含む。上部プレートは、その正確な位置決めのために装置を支持してもよい。上部プレートは、複数の磁気並進関節アクチュエータによって支持され、当該アクチュエータは、基部プレートによって支持されてもよい。例示の実施形態では、それぞれのアクチュエータは、基部プレートの一部分に固定され、当該基部プレートは、水平に対してある角度にそれぞれのアクチュエータを位置決めする。例示の実施形態では、上部プレートの側面は、水平に対して基部プレートの側面と同じ角度に形成されるけれども、別の構成が、本発明概念の範囲内で考えられる。磁石が、上部プレートの角度付き側面上に提供される。それぞれのアクチュエータは、それの遠位端部に、例えば鉄合金であってもよい磁性材料を含む。例示の実施形態では、磁性材料は半球形状であるけれども、別の形状及び結合が、本発明概念の範囲内で考えられる。それぞれの磁性材料端部は、上部プレートの側面上の磁石と接触することによって、ベースプレート上方に上部プレートを支持するように構成されている。
【0046】
いくつかの実施形態では、上部プレートの側面上の磁石は、上部プレートの外面に従う。例えば、上部プレートは、平面形状、V形状、半円筒形状、又は別の形状を有する断面を有してもよい。
【0047】
作動中に、アクチュエータ遠位端部は、磁石の力によって上部プレートの外面又は側面上の磁石と接触した状態に維持される。アクチュエータが起動されるとき、例えば、伸長させられるか又は収縮させられるときに、上部プレートは、アクチュエータの動作によって決定された動作の方向に直線的に動く。そのため、アクチュエータは、軸線に沿って伸長可能及び収縮可能であってもよい。上部プレートの反対側側面上の磁石と接触した状態のアクチュエータの遠位端部は、アクチュエータの遠位端部の磁性材料に作用する磁石の磁力によって磁石と接触した状態のままである。同時に、そのようなアクチュエータの遠位端部は、磁石(及び上部プレート)が活性化されたアクチュエータの動作によって指示された方向に滑ることを可能にする。活性化に関して、様々な実施形態では、この反対側のアクチュエータは、受動的、すなわち活性化されなくてもよいか、又は異なる方向に活性化されてもよい。
【0048】
本発明概念の原理に従う位置決めステージは、パラレル位置決めマニピュレータの形式をとってもよい。それがパラレル位置決めマニピュレータであるので、運動学的連鎖と呼ばれるものにおいて、互いの上部に積み重ねられた複数の単一軸ステージと関連する機械的積み重ね問題に悩まされることがない。更に、ヘキサポッドと異なり、本発明概念の原理に従う位置決めステージは、4個のアクチュエータの任意の組み合わせが、ステージ拘束を伴わずに、任意の速度で任意の量だけ伸長又は収縮することを可能にする。それぞれのアクチュエータは、ステージの上部プレートの2つの異なる軸方向の運動を達成するように配列されてもよい。単一動作軸動作を実施するために、2つのアクチュエータが、それらが所望の軸方向において互いに補い、所望でない軸方向において互いにキャンセルする態様で動かされてもよい。その結果、本発明概念の原理に従う例示の実施形態では、全ての単一軸ステージ運動は、デュアルアクチュエータ運動を利用する。単一軸ステージ運動及び関連するアクチュエータ作用が、図10及び11の表に示されている。
【0049】
パラレルアクチュエータであることに加えて、本発明概念の原理に従う位置決めステージは、いくつかの別の利点を有してもよい。例えば、本発明概念の原理に従う位置決めステージは、4個の軸線から6個の軸線まで段々に増加可能であるけれども、スチュワートプラットフォームは、常に3又は6個の軸線を有する。運動学的連鎖と異なり、本発明概念の原理に従う位置決めステージは、個々のステージの許容量積み重ねを呈しない。本発明概念の原理に従う位置決めステージは、環状又は直線状のベアリングを必要としないけれども、運動学的連鎖は、それぞれの自由度軸に対して1つを必要とする。本発明概念の原理に従う位置決めステージについては、それぞれの動作軸は、固定の直観的な比率で動く2つのアクチュエータだけを必要とし、そのため、所望の動作が比較的容易に達成される。上記のように、このことは、スチュワートプラットフォームには当てはまらない。更に、スチュワートプラットフォームと異なり、駆動速度が、ステージ拘束を防止するために制御される必要がなく、個々のアクチュエータがステージを連結することなく動かされてもよい。例示の実施形態では、位置決めステージ上部プレートは、容易に取り外され、磁気界面等の界面を結合解除することによって簡単に交換されてもよい。
【0050】
例示の実施形態では、ステージの分解能及び剛性は、アクチュエータの特性、球形スライダ構成要素の滑らかさ及び球形スライダ関節を一緒に保持する磁気(又は別の)力の強度によって決定されてもよい。これらの態様の全てが最適化されることにより、サブミクロン精度のステージを同様の精度のヘキサポッドのコストのごく一部だけで達成することができる。多くの場合、本発明概念の原理に従う位置決めステージは、標準の運動学的連鎖よりも優れており、同時に費用効果がより良好である。例示の実施形態では、アクチュエータ球形スライダ(又は別の5DOF接続)の保持力(例えば、磁気保持力)は、他の全てのアクチュエータ関節の摩擦係数よりも大きい。これが真実である場合、全ての接触点により支えられることが必要とされるため、上部プレートは、4個の(又はより多くの)接続が滑動又は枢動するのを可能にする均衡状態に落ち着くことになる。
【0051】
拘束されたZ軸を有し、他の自由度が干渉されない4軸ステージが、本発明概念の原理に従って実装されてもよく、それは、図15に示すように、Z軸運動のような運動を拘束又は制限する剛性ビームを使用することによるか、又は4個の5DOFアクチュエータ関節のうちの1つを4DOF関節と置換して、Z軸方向の動作を制限することによる。
【0052】
図2~9は、組み合わされて、本発明概念の原理に従う4軸位置決めステージの例示の実施形態の図を提供する。
【0053】
図2は、全てのアクチュエータが収縮している4軸ステージ又は位置決め装置の実施形態の前方端面図を示し、第3アクチュエータ(図示せず)が第1アクチュエータの後方にあり、第4アクチュエータ(図示せず)が第2アクチュエータの後方にある。図5~9は、第3及び第4アクチュエータを示す。例えば、図9からわかるように、第3アクチュエータは、第1アクチュエータの後方にあり、第4アクチュエータは、第2アクチュエータの後方にある。
【0054】
図2に関して、全てのアクチュエータは、この図では収縮している。この例示の実施形態では、位置決めステージは、基部プレート102と、上部プレート104と、並進アクチュエータであってもよい複数のアクチュエータと、を含む4軸ステージ100である。複数のアクチュエータは、第1アクチュエータ106(すなわち並進アクチュエータ1)と、第2アクチュエータ108(すなわち並進アクチュエータ2)と、第3アクチュエータ110(すなわち並進アクチュエータ3)と、第4アクチュエータ112(すなわち並進アクチュエータ4)と、を含む。
【0055】
例示の実施形態では、基部プレート102は、水平に対して角度θで形成された角度付き側面部分118、120を含み、ここに、この実施形態ではθ=θ1=θ2である。別の実施態様では、それは、θ1≠θ2であってもよい。上部プレート104の側面122、124は、水平に対して同じ角度θで形成されている。そのため、基部プレート102の側面部分118が上部プレート104の側面122に平行であり、基部プレートの側面部分120が上部プレート104の側面124に平行である。図2の実施形態では、基部プレート102は、側面部分118及び120から延在する中間部分を含む。中間部分は、水平面内にある平坦部分であってもよいけれども、中間部分が全ての実施形態において平坦である必要はない。
【0056】
この実施形態では、アクチュエータ106、108、110及び112のそれぞれは、基部プレート102の側面部分118、120のうちの1つから上部プレート104に向かう方向に伸長する。例えば、この実施形態では、それぞれのアクチュエータは、基部プレート102の側面部分に固定又は結合され、上部プレート104の対応する側面122又は124に向かって対応する側面部分118又は120に対して90度の角度で伸長する。
【0057】
それぞれのアクチュエータ106、108、110及び112の遠位端部は、磁性材料を含む。この実施形態では、アクチュエータ106、108、110及び112のそれぞれは、鉄合金半球形端部134、136、138及び140を含む。磁石126、128、130及び132が、それぞれのアクチュエータ106、108、110及び112の鉄合金半球形端部134、136、138及び140に対応する位置にある、上部プレート104の側面122、124上に又はそれらの中に配設されている。
【0058】
図3は、図2の4軸ステージについての同じ前方端面図であり、第1アクチュエータ及び第3アクチュエータが軸線(「X軸」)に沿って伸長させられている。図3において、第1アクチュエータ106及び第3アクチュエータ110が、X軸矢印によって示されるように、上部プレート104をX軸の方向に動かすために伸長させられている。上記のように、第3アクチュエータ110(アクチュエータ3)は、第1アクチュエータ106(アクチュエータ1)の後方にあり、第4アクチュエータ112(アクチュエータ4)は、第2アクチュエータ108(アクチュエータ2)の後方にある。例示の実施形態では、第1アクチュエータ106と第3アクチュエータ110とは、X軸運動だけを提供するために同じ量だけ伸長させられている。破線は、上部プレート104及び磁石126、128の元の位置を示し、それは、図2での上部プレートの位置である。
【0059】
図4は、図2の4軸ステージについての同じ端面図を示し、第2アクチュエータ及び第4アクチュエータが軸線(「Y軸」)に沿って伸長させられている。図4の例示の実施形態では、第1アクチュエータ106及び第3アクチュエータ110(X軸)、並びに第2アクチュエータ108及び第4アクチュエータ112(Y軸)が伸長させられている。上記のように、第3アクチュエータ110は、第1アクチュエータ106の後方にあり、第4アクチュエータ112は、第2アクチュエータ108の後方にある。例示の実施形態では、第1アクチュエータ106と第3アクチュエータ110とは、X軸運動を提供するために同じ量だけ伸長させられており、第2アクチュエータ108と第4アクチュエータ112とは、Y軸運動を提供するために同じ量だけ伸長させられている。破線は、上部プレート104及び磁石126、128の元の位置を示す。
【0060】
図5は、図2の4軸ステージについての第1(左)側面図を示し、第1及び第3アクチュエータが「X軸」に沿って伸長させられており、第2アクチュエータ(図示せず)が第1アクチュエータの後方にあり、第4アクチュエータ(図示せず)が第3アクチュエータの後方にある。図5の例示の実施形態では、第1アクチュエータ106と第3アクチュエータ110とは、X軸方向の運動だけを生成するように同じ量だけ伸長させられている。この透視図からみて、第2アクチュエータ108は、第1アクチュエータ106の後方にあり、第4アクチュエータ112は、第3アクチュエータ110の後方にある。破線は、上部プレート104及び磁石126、130の元の位置を示す。
【0061】
図6は、図2の4軸ステージについての、第1(左)側面図の反対の第2(右)側面図を示し、第2及び第4アクチュエータは、「Y軸」に沿って伸長させられており、第1アクチュエータ(図示せず)が第2アクチュエータの後方にあり、第3アクチュエータ(図示せず)が第4アクチュエータの後方にある。図6の実施形態では、第2アクチュエータ108と第4アクチュエータ112とは、Y軸方向の運動だけを生成するように同じ量だけ伸長させられている。この透視図から、第1アクチュエータ106が第2アクチュエータ108の後方にあり、第3アクチュエータ110が第4アクチュエータ112の後方にある。破線は、上部プレート104及び磁石128、132の元の位置を示す。
【0062】
図7は、図2及び5の4軸ステージについての第1(左)側面図を示し、第1アクチュエータ106が収縮させられ、第3アクチュエータ110が伸長させられていることにより上部プレート104をピッチしており、第2アクチュエータ108(図示せず)が第1アクチュエータの後方にあり、第4アクチュエータ112(図示せず)が第2アクチュエータの後方にある。
【0063】
図8は、図2及び6の4軸ステージについての第2(右)側面図を示し、第2アクチュエータ108が伸長させられ、第4アクチュエータ112が収縮させられていることにより上部プレート104をヨーしており、第1アクチュエータ106(図示せず)が第2アクチュエータの後方にあり、第3アクチュエータ110(図示せず)が第4アクチュエータの後方にある。
【0064】
図9は、図2の4軸ステージについての平面図を示し、明瞭にするために基部プレート102が省略されている。図9の例示の実施形態では、本発明概念の原理に従う4軸ステージについての平面図が、第1、第2、第3及び第4アクチュエータ106、108、110及び112の相対位置を、それぞれの関連する磁石126、128、130及び132並びに上部プレート104とともに示している。
【0065】
図10は、本発明概念の原理に従う4軸ステージに適用されてもよい単一軸/デュアルアクチュエータ運動についての表を示す。図10の表は、本発明概念の原理に従う上部プレート運動を実装するデュアルアクチュエータ運動の組合せを示す。例えば、上部プレートを正のX軸方向にだけ伸長させるためには、第1アクチュエータ106及び第3アクチュエータ110が伸長させられ、同時に第2アクチュエータ108及び第4アクチュエータ112がその場所に残されており、上部プレートを正のY軸方向にだけ伸長させるためには、第2アクチュエータ108及び第4アクチュエータ112が伸長させられ、同時に第1アクチュエータ106及び第3アクチュエータ110がその場所に残されている。
【0066】
図11は、本発明概念の原理に従って、5軸ステージに適用されてもよい単一軸/シングルアクチュエータ運動の表を示す。例えば、図12は、水平面内にあるZ軸方向の上部プレート4の運動に影響を及ぼすために付加された第5アクチュエータ113を示す。別の実施態様では、第6アクチュエータが、第5アクチュエータの反対側に提供されてもよい。
【0067】
図11の表は、例えば、アクチュエータ106、108、110及び112に付加される場合に、第5アクチュエータ113の単一軸シングルアクチュエータ運動を示す。すなわち、図11の表は、5個のアクチュエータが使用された場合に、図10の表に追加されてもよい。そのため、図12に示すもの等の5軸ステージは、第5アクチュエータ113の伸長によって達成される正のZ軸方向の運動、及び第5アクチュエータ113の収縮によって達成される負のZ軸方向の運動を備えてもよい。Z軸が拘束されている4軸ステージが使用される例示の実施形態では、第5アクチュエータ113は、例えば、剛性ビームによって置換されてもよい。
【0068】
図13は、本発明概念の原理に従って上部プレートの「ロール」動作を達成することができる、多軸ステージの別の実施形態を示す。本発明概念の原理に従う例示の実施形態では、第6動作軸、ロールが図13に示すように導入されてもよい。この例示の実施形態では、上部プレート104は、磁石133のように半円筒である。そのような例示の実施形態では、第6軸の作用は、別の5個の作用を妨げない。ロールが、アクチュエータ106、108、110及び112の選択的な伸長及び/又は収縮によって達成されてもよい。Z軸方向の運動が意図される場合、第5アクチュエータ113がここでも随意に提供されてもよい。
【0069】
図14A、14B及び14Cは、それぞれ、本発明概念の原理に従う例示の位置決め装置の端面図、斜視図及び分解図である。この例示の実施形態では、上部プレート104及び基部プレート102は、V形状であり、側面は、水平に対して同じ角度θを有し、ここで、この実施形態ではθ=θ1=θ2である。別の実施態様では、それはθ1≠θ2であってもよい。この例示の実施形態では、第1~第4のアクチュエータ106、108、110及び112は、基部プレート102を貫通し、上部プレート104の側面上に設置された磁石135、137と接触する。
【0070】
磁石135及び135は、それぞれのアクチュエータ106、108、110及び112の遠位端部の鉄合金半球形端部134、136、138及び140に対応する位置にある上部プレート104の側面122、124上又はその中に配設されている。
【0071】
例示の実施形態では、アクチュエータ106、108、110及び112は、1桁のミクロン精密調整を可能にするマイクロメータねじ106a、108a、110a及び112a等の精密調整機構であってもよい。
【0072】
図15は、本発明概念の原理に従う、関節内で円筒磁石を使用する5軸ステージの実施形態の平面図である。図15の例示の実施形態に示すように、この例示の実施形態における上部プレート104に付着された磁石139のうちの1つは、例えば、Z軸方向の動作が制限された位置決め装置となる4DOF関節をもたらす円筒磁石の形式であってもよい。円筒磁石は、屈曲することによって、例えば、ロールの第6軸をもたらすように構成されてもよい。
【0073】
図16は、本発明概念の原理に従う、電子制御装置を含むフォトニック位置決め装置の実施形態についてのブロック図である。図16のブロック図は、本発明概念の原理に従う位置決め装置100とともに、ファイバ接続器又は整列装置等のその構成要素等のフォトニック装置101を利用するフォトニックシステム200を示す。例示の実施形態では、位置決め装置100は、制御装置103によって制御され、当該制御装置は、前記の態様で位置決め装置のアクチュエータを作動させてフォトニック装置101を精密に動かす。そのような運動は、例えば、光ファイバ端部の整列を可能にしてもよい。制御装置103は、例えば、制御装置が位置決め装置100を調整するために利用するフォトニック設備101からフィードバックを受け取ってもよい。フォトニック設備101が接続器である例示の実施形態では、例えば、ファイバ同士の間の整列の質を表すセンサは、印を制御装置103に提供してもよく、当該制御装置は、例えば、そのような印を利用して、光ファイバの精密な整列のために位置決め装置を調節する。
【0074】
図17A及び17Bは、それぞれ、本発明概念の原理に従って位置決め装置を利用するフォトニック位置決め装置システム105の平面図及び側面図である。この例示の実施形態では、1対の位置決め装置100がそれぞれ、光ファイバ端部F1、F2を支持して接続する。それぞれの位置決め装置100は、上記のように、電子制御装置103を使用して操作されることにより、ファイバF1、F2の端部を整列させて、プラズマ加熱器(図示せず)等の加熱要素を含む光ファイバ接続器によって接続してもよく、当該加熱要素は、位置決め装置100を使用して一旦整列させられたファイバ端部を加熱するように構成されている。例示の実施形態では、位置決め装置100の上部プレートは、ファイバ保持器107を含むか又は支持してもよい。そのようなファイバ保持器は公知であり、1つ又は複数のファイバを適所に保持して位置決め又は接続するために、平坦な上面内に溝を含んでもよい。
【0075】
上記は、最良モードの及び/又は別の好ましい実施形態であると考えられるものを説明してきたけれども、様々な修正がそれらにおいてなされてもよいこと、1つ又は複数の本発明が様々な形式及び実施形態で実装されてもよいこと、及びそれらは、そのうちの一部だけが本明細書で説明されてきたが、多数の用途に適用されてもよいことがわかる。以下のクレームは、文字通りに記載されているもの、及びそれぞれのクレームの範囲内にある全ての修正及び変更を含む全てのそれらに等価なものをクレームすることが意図されている。
【0076】
明確にするために別個の実施形態の文脈で説明されている本発明の特定の特徴が、単一の実施形態に組み合わされて提供されてもよいことがわかる。逆に、簡潔にするために単一の実施形態の文脈で説明されている本発明の特定の特徴が、別個に、又は任意の好適な部分的組合せで提供されてもよい。
【0077】
例えば、請求項(独立又は従属に関わらず)のうちの任意のものにおいて述べられた特徴の全ては、任意の所与の態様で組み合わされてもよいことがわかるであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図14C
図15
図16
図17A
図17B